説明

改善されたカラー表示能力を有する透明な着色クックトップ及びクックトップの製造方法

本発明は、高温石英混合結晶を主な結晶相として有し、避けることのできない極微量を除いては、清澄剤用の酸化ヒ素及び/又は酸化アンチモンを含まないガラスセラミックからなる、カラー表示能力が改善された透明な有色クックトップ又はハブであって、450nmより大きい可視光の全波長範囲における0.1%を超える透過率、0.8%〜2.5%の可視光透過率、及び45%〜85%の1600nmの赤外線における透過率を特徴とする、クックトップ又はハブに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温石英混合結晶を主な結晶相として有するガラスセラミックを含む、カラー表示能力(colored display capability)が改善された、透明な有色クックトップ(cooktop)又はハブ(hob)、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クックトップ又は調理表面としてガラスセラミックプレートを有する調理ハブは、一般的な技術である。このようなガラスセラミックプレートは通常、平面的なプレートとして利用可能であるか、又は三次元的に造形される。
【0003】
高温石英混合結晶を主な結晶相として有するガラスセラミックは、結晶性リチウムアルミニウムケイ酸ガラスからなる。
【0004】
これらのガラスセラミックの製造は数段階で行われる。
【0005】
ガラスセラミックは数段階で製造される。結晶化は、ガラスの破片の混合物と、1500℃〜1650℃の温度で通常溶融する原材料の粉末状混合物とからなるガラスから開始される。溶融プロセス中では通常、酸化ヒ素及び/又は酸化アンチモンを清澄剤(refining agent)として使用する。これらの清澄剤は、要求されるガラスセラミック特性に適合するものであり、溶融塊の優れた気泡特性(blister qualities)をもたらす。これらの物質は、ガラス構造中にしっかりと包埋されていても、それでもなお、安全性及び環境保護の側面から不利益を与える。したがって、原材料の抽出、原材料の加工中、及び溶融中の気化により、特別な注意を払わなければならない。
【0006】
近年とりわけ、SnOの利用が無害な清澄剤として記載されている。SnOに加えて、従来の溶融温度(最大約1680℃)における完全な気泡特性を達成するために、好ましくはハライド化合物がさらなる清澄剤として使用されている。このため、特許文献1及び特許文献2において、0.1重量%〜2重量%のSnO及び0重量%〜1重量%のClの使用が記載されている。これらの文献によると、単独の着色剤としてVを添加することで着色が達成される。
【0007】
SnOによる清澄を助けるような0.05重量%〜1重量%のフッ素(特許文献3)又は0.01重量%〜1重量%の臭素(特許文献4)の添加も開示されている。また、これらの文献には、1700℃未満の清澄温度が記載されている。主な着色剤はVである。溶融温度内でハライドが著しく気化するというような、ハライドの添加による欠点は、ハライドがHF等の毒性化合物を生成することである。
【0008】
良好な気泡特性を達成するような1700℃を超える高温清澄に関連するSnOの使用が、特許文献5に記載されている。しかしながら、この文献は、450nmから始まる波長範囲内における良好な表示能力の達成を導くものではない。
【0009】
溶融及び清澄後、ガラスは一般に、プレートを製造するために、圧延又はその後のフローティングによる熱間成形を経ている。経済的な生産の面では、低溶融温度及び低加工温度Vが望ましいが、他方では、ガラスが造形プロセス中に何ら失透を示さないのがよい。これは、結晶が出発ガラス及びそれから製造されるガラスセラミックにおける強度に影響を及ぼす可能性があるため、支障をきたす結晶の形成が認められないことを意味する。ガラスの加工温度V付近(粘度10dPas)で形成を実施する場合、溶融物の上限失透温度は、支障をきたす結晶の形成を防ぐために、加工温度付近、又は好ましくはこれよりも低い温度であると保証されなければならない。その後、制御された結晶化により出発ガラスをガラスセラミック物品へと変換する。このセラミック化は、初めに680℃〜800℃の温度で核形成が起こることを通じて、通常、ZrO/TiO混合結晶からなる種結晶が生成する、二段階温度プロセスで実施される。SnOも核形成に関与し得る。その後の温度上昇に起因して、高温石英混合結晶は、これらの結晶化核又は種結晶上で成長する。高結晶成長速度が経済的で速いセラミック化のために望まれるが、それは850℃〜950℃の温度で達成される。この最大生成温度で、セラミック混合物の構造は均質化し、ガラスセラミックの光学特性、物理特性及び化学特性が調整されると考えられる。必要に応じて、高温石英混合結晶は続いて、ケアタイト混合結晶へと変換され得る。ケアタイト混合結晶への変換は、約950℃〜1200℃の範囲の温度上昇により達成される。高温石英のケアタイト混合結晶への変換を通じて、ガラスセラミックの熱膨張係数が増大する一方で透明度が減少し、これは、結晶サイズの増大及びそれに伴う光散乱によって生じる。概して、ケアタイト混合結晶を主な相として有するガラスセラミックはそれゆえ、半透明又は不透明であり、これに関連する光散乱は、表示能力に対する負の効果を有する。
【0010】
高温石英混合結晶を主な結晶相として有するこれらのガラスセラミックの重要な特徴は、室温〜700℃以上までの範囲における0.5×10−6/K未満の極めて低い熱膨張係数の特性を有する材料の製造である。低熱膨張係数に起因して、これらのガラスセラミックは、優れた耐温度差及び耐熱衝撃性を有する。
【0011】
調理領域としての使用に関して、実際の使用により生まれた要求に基づく技術進歩は、透過率に関して、極めて特異的かつ部分的に相反する需要をもたらした。
【0012】
ガラスセラミック調理表面の下の技術部品の憂慮すべき視認性(disturbing visibility)を防止するために、また輻射加熱要素、とりわけ明るいハロゲンヒータによって生じるまぶしさを防ぐために、ガラスセラミッククックトップ又はハブは、その光透過率が制限される。他方、輻射加熱器は、低出力で動作する場合でも、操作中はっきりと視認することができる必要がある。また表示能力に関しては、一般的な赤色LEDを調理プレートの下に搭載するため、或る程度の光透過率が要求される。これらの要求を満たすために、ガラスセラミッククックトップ又はハブは通常、0.5%〜2.5%の光透過率に設定される。これは、着色要素の添加によって達成される。よって、ガラスセラミッククックトップ又はハブは、使用される色要素とは無関係に、使用される発色要素、例えば多くの場合、赤色、赤紫色又は橙褐色による低い光透過率及び透明度に起因して上から見ると黒色に見える。
【0013】
カラーディスプレイは、発光電子部品、主に光ダイオードからなり、調理表面の下に設置される。それらには、使用し易さ及び安全運転が望まれる。それゆえ、例えば、様々な調理帯域の現在の火力又は余熱が光学的に表される。余熱の表示は、とりわけラジエータが放熱していないとき、又は一般的に調理表面が熱いか認識できない誘導加熱されたクックトップ又はハブの場合に、安全に取扱うために重要である。通常赤色LEDは630nm周辺の波長で放射する。技術的な機能を改善するために、また家庭用機器製造業者に設計による差別化の可能性を与えるために、通常の赤色ディスプレイに加えて、他のカラーディスプレイも必要とされる。
【0014】
赤外線では、45%〜85%のクックトップ又はハブの透過率が望ましい。
【0015】
赤外線における高透過率は、輻射が調理ポットの底面に直接当たり、そこで吸収されて、より速い湯通しが達成されることから有益である。透過率が高すぎると、例えば、自由輻射(free radiant)調理帯域からポットを移動させたときに、誤った操作に起因して、調理表面の周辺領域が強力に温まり過ぎるおそれがある。
【0016】
Ceran Color(登録商標)として知られている、SCHOTT AGにより製造される、より以前のタイプのガラスセラミッククックトップ又はハブは、良好な色表示能力を有している。Ceran Color(登録商標)は、NiO、CoO、Fe及びMnOの添加により着色され、Sbによって清澄される。色酸化物のこの組合せにより、4mmの一般的な厚みを有するクックトップ又はハブに関して、通常1.2%の光透過率が達成される。380nm〜500nmの範囲の透過率は、波長に応じて0.1%〜2.8%である。従来の赤色LEDでは、630nmの波長で透過率は約6%である。このより以前のタイプのガラスセラミッククックトップ又はハブの欠点は、使用される色酸化物が、赤外線を極めて強力に吸収することである。1600nmにおけるIR透過率は20%未満である。よって、湯通し速度が減少する。Ceran Color(登録商標)の透過率曲線は、非特許文献1に示されている。組成は非特許文献2に挙げられている。
【0017】
新たなさらに開発されたガラスセラミッククックトップ又はハブでは、可視範囲内における吸光の特殊な特性を有し、かつ、赤外線における高透過率を可能にするため、Vを着色に主に使用している。
【0018】
による着色は非常に複雑なプロセスである。これまでの研究に示されるように(特許文献5)、酸化バナジウムの着色状態への変換は酸化還元プロセスである。結晶性出発ガラス中、Vは依然として比較的弱く呈色し、わずかに緑がかった色調しかもたらさない。セラミック化中に、酸化還元プロセスが進行し、バナジウムが還元され、酸化還元パートナーが酸化される。清澄剤が主なパートナーとして作用する。これは、Moessbauerの研究により、Sb及びSnで清澄した成分について示されている。セラミック化プロセス中、Sb3+、Sn2+各々の一部が、出発ガラス中、より高い酸化状態であるSb5+、Sn4+へとそれぞれ移行する。V4+又はV3+のような還元された酸化状態のバナジウムが種結晶中に組み込まれ、電子電荷移行反応により強力に呈色すると想定される。さらなる酸化還元パートナーとして、TiOも酸化バナジウムの着色作用を強めることができる。出発ガラス中の酸化還元パートナーの種類及び量に加えて、酸化還元状態もまた、溶融プロセス中にガラスに定められる影響を有する。低い酸素分圧pO(溶融還元により調整)は、例えば溶融温度を上げることによって酸化バナジウムの着色作用を強める。
【0019】
酸化バナジウムの着色作用に対するさらなる影響は、セラミック化条件によってもたらされる。
【0020】
特定の高セラミック化温度及びより長いセラミック化時間はより強力な着色をもたらす。
【0021】
専門家は、必要な透過率曲線を設定するために、或る特定の組成のガラスを使用した、Vによる着色プロセス中、溶融中のpOの或る特定の酸化還元調整及びセラミック化条件の上記関係を活用するであろう。しかしながら、今まで、仕様を満たす光透過率、高IR透過率、並びに規格に準拠する赤色LEDについての表示性能等の要件を、種々の有色光ディスプレイに関して改善された表示性能又は表示性能と併せて全て満足のいくものにすることは不可能であった。酸化バナジウムの吸収バンドの形状、それゆえ、450nmより大きく上限750nmまでの全波長範囲内の可視光範囲における透過率は、より高い透過率に適合し得なかった。
【0022】
このようなV着色ガラスセラミックックトップ又はハブ型の例は、Sbで清澄したCeran Hightrans(登録商標)及びSnOで清澄したCeran Suprema(登録商標)であり、これらはSCHOTT AG社により製造されている。これらの2つのガラスセラミックの透過率曲線は、非特許文献3に掲載されている。
【0023】
カラーディスプレイ、特に青色及び緑色のディスプレイの視認性に関する限り、上述のガラスセラミッククックトップ又はハブ、及び市場で入手可能な他のガラスセラミッククックトップの0.1%の透過率を受けるため、約450nm〜550nmの波長も重要である。透過率に対する他の本質的な要件、例えば、高湯通し速度に関する高赤外線透過率、約630nmにおける標準的な赤色光LEDに関する仕様に準拠する透過率、及び約1.5%の光透過率は、これらのガラスセラミッククックトップ又はハブによって満たされる。
【0024】
この欠点を解決するために、特許文献6は、標準光Cを用いてCIEカラーシステムにおいて測定され、2.5〜15のY値(明度)を示す、3mmの厚みのガラスセラミッククックトップ又はハブを記載している。「明度」及び光透過率という用語は、実際には同じ測定量である。Y値は、DIN 5033に準拠して測定される光透過率の値と同一である。この光透過率の改善によって、青色及び緑色のLEDに関するディスプレイを得ることができる。開示されている組成物は、As及び/又はSbにより、場合によってはSnOと組み合わせて清澄されている。着色はVによって行われる。比較例では、光透過率が1.9%である場合、挙げられる材料組成を伴う青色及び緑色のLEDについての表示能力が、不十分であることが示されている。少なくとも2.5%の、好ましくはより高い、添付の請求項に記載の高い値の光透過率は、調理表面の下の電子部品の被覆率に関する限り、不利益を与える。加えて、上から見た場合に、調理表面の黒色の美観が損なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開平11−100229号
【特許文献2】特開平11−100230号
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0004578号
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0026927号
【特許文献5】独国特許第19939787号
【特許文献6】欧州特許出願公開第1465460号
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】"Low Thermal Expansion Glass Ceramics", editor Hans Bach, Springer-Verlag Berlin Heidelberg 1995, on page 66 (ISBN 3-540-58598-2)
【非特許文献2】"Glass-Ceramic Technology, by Wolfram Hoeland and George Beall, The American Ceramic Society 2002 on table 2-7
【非特許文献3】"Low Thermal Expansion Glass Ceramics", Second Edition, Editor Hans Bach, Dieter Krause, Springer-Verlag Berlin Heidelberg 2005, page 63 (ISBN 3-540-24111-6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の目的は、カラー表示能力が改善された透明なカラークックトップ又はハブ、また、高温石英混合結晶を主な結晶層として有し、経済的及び環境に優しい生産に適する、化学清澄用の酸化ヒ素及び/又は酸化アンチモンをいずれも最大でも避けることのできない極微量しか含有しない、ガラスセラミックからなるクックトップ又はハブを製造する方法を提供することである。さらに、経済的な生産のための出発ガラスは、容易に溶融可能かつ清澄可能であり、高い失透安定性を有し、短期間にセラミック化可能であるものとする。クックトップ又はハブは、クックトップ又はハブに関して要求される全てのさらなる需要、即ち、耐薬品性、温度耐性、及び高温耐性/長期曝露耐性の観点から、それらの特性の変化(熱膨張、透過率、機械的応力の発生等)に関して十分なものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
これらの目的は、添付の請求項に記載のクックトップ又はハブによって、また添付の請求項に記載の方法によって実現される。
【0029】
カラークックトップは、450nmより大きい全波長範囲内の可視光範囲における0.1%を超える透過率、0.8%〜2.5%の可視光透過率、及び45%〜85%の1600nmの赤外線における透過率を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ガラス番号9に関して、pOの測定結果及び平衡酸素分圧の温度T(pO=1bar)の決定を示す図である。
【図2】本発明のサンプル番号18及び19と、比較用サンプル番号17の透過率曲線を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明によれば、ガラスセラミッククックトップ又はハブの下の技術部品の憂慮すべき視認性を防ぐこと、及び上から見た黒色の美観を保証することが、0.8%〜2.5%の光透過率によって確保される。輻射加熱要素は操作中に視認することができ、通常の視認可能な赤色LEDディスプレイも視認することができる。450nmからの全波長範囲の可視光範囲内における0.1%を超える透過率は、種々のカラーディスプレイをはっきりと認識可能にする。市販の青色、緑色、黄色又は橙色のLEDの光度を鑑みれば、この透過率は十分なものであり、現行の技術水準の観点から有意な改善をもたらす。とりわけ、青色及び緑色を伴うディスプレイが著しく改善された。白色光を伴うディスプレイには、450nmより大きい全波長範囲における透過率に関してあまりひずみがない。350nm未満の紫外線範囲では、既知のガラスセラミック調理パネルの0.01%よりも有意に小さい低透過率が、本発明による調理パネルによっても保証される。UV光の遮断は、調理パネルの下の技術設備における青色等の有機成分の保護、並びに、紫外線成分を有する青色LEDを表示目的で使用する場合の調理プロセス中の保護に有益である。1600nmで測定される45%〜85%に定められる赤外線透過率によって、高湯通し速度及び調理パネルの隣接表面の許容不可能な加熱からの保護への需要が達成される。本発明による透過率及び光透過率の値はクックトップ又はハブの機能にとって決定的なものであるため、それらは、通常2.5mm〜6mmの範囲であるクックトップ又はハブの厚みに依存しないと考えられる。厚みが薄ければ、強度の点から不利益を被り、厚みが厚ければ、それによってより多くの材料が必要となり、またセラミック化速度が減少するため、非効率である。大抵、調理パネルの厚みは約4mmである。商業用調理パネルについて示され、また実施例中に与えられるような透過率は、他の値の記述がない限り、この厚みに関するものである。ローラによる成形によって調理パネルを作製する場合、大抵の場合、製造中の強度を低下させる損傷から保護するためにこぶ(knobs)を底面に設ける。多くの場合、カラーディスプレイの帯域内のクックトップ又はハブの底面は、こぶにより生じる光学的ひずみを回避するために、透明な有機ポリマーによって平滑にされる。平滑な底面を有しかつこぶを有しないクックトップ又はハブでは、カラーディスプレイがひずまず、より明るく見える。
【0032】
温度耐性に対する需要に応じるために、調理パネルは、本発明に従って、1×10−6/K未満、好ましくは(0±0.3)×10−6/Kの低熱膨張係数を特徴とする。
【0033】
本発明によれば、透明なカラー調理パネルは、酸化ヒ素及び/又は酸化アンチモンを清澄剤として使用しない組成を特徴とし、それゆえ、安全性及び環境保護の側面に基づくこれらの有害な成分を技術的に含まない。一般に、これらの成分は500ppm未満の量で存在する不純物である。
【0034】
カラー表示能力が改善された透明な有色調理パネルを製造する本発明の方法は、高温石英混合結晶を主な結晶相として有するガラスセラミックを形成すること、並びに、避けることのできない極微量を除いては、化学的清澄剤用の酸化ヒ素及び/又は酸化アンチモンを回避し得るか又はそれらを回避すること、並びに、450nmを超える可視光の全波長範囲内のクックトップ又はハブの透過率が0.1%超に定められ、可視光における光透過率が0.8%〜2.5%に定められ、1600nmの赤外線における透過率が45%〜85%に定められることを特徴とする。
【0035】
気泡特性を改善するために、使用されるSnO以外にさらに、CeO、硫酸塩化合物、ハライド化合物等のさらなる清澄剤を使用してもよい。それらの含有率は通常、1重量%の量に限定される。調理パネルの製造中、10個未満の気泡数が良好な気泡特性であると考えられ、好ましくは(0.1mmより大きい気泡サイズに基づき)ガラス1kg当たり気泡が5個未満であることが好ましい。
【0036】
調理パネル又はクックトップ又はハブの透過率は好ましくは以下に示した値:
450nmにおいて0.15%より大きく、
500nmにおいて0.15%より大きく、
550nmにおいて0.25%より大きく、
630nmにおいて3%〜9%であり、
1600nmにおいて50%〜80%であり、
及び可視光範囲内での光透過率は1.0%〜2.0%に設定される。
【0037】
これらの値でカラー表示能力はさらに改善され、透過スペクトルに対する様々な需要がさらに最適化され得る。光透過率が1.7%未満である場合、ガラスセラミッククックトップ又はハブの下の技術設備のさらに改善された被覆率、及び反射光における黒色のとりわけ審美的な外観が、達成されると考えられる。3%〜9%の630nmでのクックトップ表面の透過率は、市販のクックトップ又はハブの許容範囲に適合する。通常の赤色LEDディスプレイの外観が、クックトップ又はハブの本発明による調理表面でも変化しないようにこれらの値を調整することは、有益である。
【0038】
クックトップ表面の透過率の好ましい実施形態が以下の値:
400nmにおいて0.10%より大きく、
450nmにおいて0.15%より大きく、
500nmにおいて0.25%より大きく、
550nmにおいて0.30%より大きく、
630nmにおいて3%〜9%であり、
1600nmにおいて50%〜80%であり、
及び可視光範囲内での光透過率が1.0%〜1.7%に設定された場合、表示性能はさらに改善される。
【0039】
本明細書では調理表面とも呼ばれるクックトップやハブに関して、本発明によると、ガラスセラミックの組成は、酸化物に基づく重量%で、
LiO 3.0〜4.2
Σ NaO+KO 0.2〜1.5
MgO 0〜1.5
Σ CaO+SrO+BaO 0〜4
ZnO 0〜2
0〜2
Al 19〜23
SiO 60〜69
TiO 2.5〜4
ZrO 0.5〜2
0〜3
SnO 0.1〜0.6未満
Σ TiO+ZrO+SnO 3.8〜6
0.01〜0.06
Fe 0.03〜0.2
から本質的になり、
1<Fe/V<8
である。
【0040】
「から本質的になる」という用語は、挙げられる成分が、全組成の少なくとも96%であり、概して98%であることを意味する。F、Cl、アルカリ金属であるRb、Cs等の複数の元素又はHfのような元素は、原材料の工業的に使用される混合物中の共通の不純物である。例えば元素Ge、希土類、Bi、W、Nb、Ta及びY等の他の化合物を少量添加してもよい。
【0041】
0.01重量%〜0.06重量%の量のVカラー酸化物に加えて、呈色を助けるために、着色用のクロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、セレン、希土類、モリブデン化合物等のさらなる成分を使用してもよい。これらの化合物は一般的に赤外線における透過率を下げるため、それらの含有率は最大約1重量%の量に限定される。さらに、これらのより高次の多価化合物は、酸化還元反応を介するVの着色を妨げ、また透過率の背景を複雑にするおそれがある。
【0042】
50ppm〜400ppmのNdの添加によって、ガラスセラミッククックトップ又はハブを特徴づけることが可能である。806nmの近赤外線におけるNdの吸収バンドは、ガラスセラミックの高透過率の範囲内であり、透過スペクトルに極めて特有のものである。これにより、クックトップ又はハブの材料を製造業者に問題なく割り当てることができ、光学破片検出法(optical shard detection methods)によって、良好なリサイクルが可能である。
【0043】
クックトップ又はハブの本発明による製造に係る出発ガラスの含水率は、原材料の混合物及び溶融中のプロセス条件の選択に応じて決まり、通常0.015mol/l〜0.06mol/lである。これは、最初のガラスに関して0.16mm−1〜0.64mm−1のβ−OH値を満たす。
【0044】
好ましい提示された限度内のLiO、Al及びSiOの酸化物は、高温石英混合結晶の不可欠な成分である。LiOの最小含有率は3重量%であることが要求されるが、製造プロセス中にLiO含有率が4.2重量%を超えると多くの場合、意図することなく失透がもたらされる。3.2重量%〜4.0重量%の含有率がとりわけ好適な結果を導く。出発ガラスの粘度が高くなることを避けるために、また造形中のムライトの望ましくない失透傾向の抑制のために、Al含有率は好ましくは、最大23重量%、とりわけ、特に22重量%に限定される。SiO含有率は、この成分がガラスの粘度を大幅に増大させるため、最大値として69重量%であるものとする。好ましくは、この成分は、68重量%又はさらには67重量%の最大値にさらに限定されるであろう。
【0045】
ガラスの良好な溶融結果及び低い形成温度又は成形温度について、SiOの含有率が高いほど非経済的である。SiOの最小含有率は、耐薬品性及び温度耐性等の要求される調理表面特性に有益であるため、60重量%、好ましくは62重量%であるものとする。
【0046】
MgO、ZnO及びP等のさらなる成分を、高温石英混合結晶に添加してもよい。亜鉛スピネル(ガーナイト)等の望ましくない結晶相のその問題となる形成に起因して、セラミック化プロセス中のZnO含有率は、最大2.0重量%の値に限定され、好ましくは最大で1.8重量%である。他の場合にはガラスセラミックの膨張係数を許容できないほど増大させるため、MgO含有率は最大で1.5重量%に限定され、最大で1.2重量%までであることが好ましい。一般的には、ガラスセラミックの熱膨張が負の値にまで低下しないように、0.1重量%のMgOの最小含有率が必要とされる。
【0047】
アルカリ金属酸化物であるNaO、KO、及び同様にアルカリ土類金属酸化物であるCaO、SrO、BaO及びBの添加は、ガラスの造形中の可融性及び失透安定性を改善させる。しかしながら、これらの成分は結晶相中に組み込まれず、ガラスセラミックの残留するガラス相中に本質的に残るため、含有率を限定する必要がある。過剰な含有率は、ガラスセラミックの熱膨張を許容できないほど増大させ、ガラスセラミックへの結晶性初期ガラスの変換中の結晶化挙動に、とりわけ高速セラミック化を犠牲にするような影響を及ぼす。また、より大きい含有率は、ガラスセラミックの時間/温度負荷容量に対する悪い影響を与える。アルカリ金属酸化物であるNaO+KOの合計は、少なくとも0.2重量%であるものとし、好ましくは最小で0.4重量%かつ最大で1.5重量%であり、好ましくは最大で1.2重量%である。
【0048】
アルカリ土類金属酸化物であるCaO+SrO+BaOの合計は、最大で4重量%であるものとし、好ましくは最小で0.2重量%である。上述のアルカリ金属及びアルカリ土類金属は、結晶間の残留ガラス相中のみならず、ガラスセラミックの表面上でも濃縮する。セラミック化中に、結晶をほとんど含まず、これらの元素が豊富で、かつ、リチウムが欠乏する、約200nm〜1000nmの厚いガラス質の表面層が生じる。このガラス質の表面層は、ガラスセラミックの耐薬品性に対する好ましい効果を有する。
【0049】
の添加は、最大3重量%であってもよく、好ましくは1.5%に限定される。Pの添加は耐失透性に好ましい。より大きいレベルは、耐酸性に対する好ましくない効果を示す。
【0050】
TiO、ZrO及びSnOは、成核剤又は種剤として必要とされる。核形成中のセラミック化プロセスでは、高温石英混合結晶の成長に関して結晶化法中の表面として作用する高密度の種結晶を生成する。0.6重量%の合計よりも大きいレベルでは、失透安定性が低下する。これは、とりわけ、SnO成分を0.6重量%未満の値に限定することにも当てはまる。より高い濃度は、造形プロセスにおける接触材料(例えばPt/Rh)でのSn含有結晶相の結晶化を導くため、絶対に回避されねばならない。より高い含有率では、ガラス製造中の混合物の溶融挙動が低下し、ZrO含有結晶の形成に起因する造形における失透安定性が大いに影響を受ける可能性があるため、ZrO含有率は2重量%に限定され、好ましくは1.8重量%であり、さらに好ましくは最大で1.6重量%に限定される。ZrOの最小含有率は、高セラミック化速度に有利なものとするため、0.5重量%であり、好ましくは0.8重量%であるものとする。TiO含有率は、2.5重量%〜4.0重量%、好ましくは少なくとも2.8重量%である。より大きなセラミック化速度を達成するための高速核形成を確実なものとするため、最小量を下げてはならない。含有率は4重量%を超えてはならず、そうでない場合には、失透安定性が低下すると考えられる。
【0051】
驚くべきことに、ここで、TiO、V及びSnOの厳密に規定された含有率と組み合わせて600ppmから、好ましくは700ppmからのFe含有率が、透過率の過程、即ち透過スペクトルに影響を及ぼし得ることが見出された。Fe、とりわけ二価のFe2+の割合がIR透過率に悪影響を及ぼすため、Fe含有率は、最大で0.2重量%、好ましくは0.18重量%であるものとする。0.08重量%〜0.15重量%のFe含有率が特に好ましい。V及びその酸化還元パートナーSnOとのカラー酸化物Feの組合せは、より少量の高価で有害な分類の染料Vとうまく協調する。また450nmからの低波長における透過率に対する要求、仕様を満たす光透過率、赤外線透過率、及び透過率等のさらなる需要も、630nmで保たれている。酸化バナジウムで着色される既知のカラーガラスセラミックと比較した透過率曲線は、可視光の範囲内で平坦になってきている。高価でまた有害な物質である無害でない着色剤Vの含有率を減少させるために、Fe含有率が少なくともV含有率と同じくらい大きく、それゆえ条件
1<Fe/V<8
を満たしている必要がある。
【0052】
それゆえ、着色用の酸化物Feは定量的に主な着色剤であり、含有率はVの含有率の2倍であることが好ましい。したがって、より安い原材料混合物を使用することも可能である。V含有率を減少させるのに寄与する他の成分は、SnO及びTiOである。したがって、本発明による透過率の設定のために、V、SnO、TiO及びFeを或る特定の狭い限定内で調整することが必要である。とりわけ、TiO含有率は、或る特定の最小量を超えていなければならない。
【0053】
本発明によるFe、TiO、V及びSnOの含有率に基づき、仕様の光透過率、高赤外線透過率、及び様々な色のLEDディスプレイに関する望ましい改善された表示能力を兼ね備える標準的な赤色LEDに関する表示能力等の透過スペクトルに関連する要件を全て満たすことが可能である。
【0054】
Feの添加のさらなる重要な結果として、これが清澄を本質的に助けていることが見出された。SnO清澄剤と組み合わせて、また、Feは酸素を生じることにより、Fe2+に還元される。清澄作用に関する有意な反応は、溶融物の温度と共に増大する。1700℃よりも高く、その後1750℃よりも高い温度における溶融物の温度処理はそれゆえ、気泡特性に関して、さらに改善された結果をもたらす。SnOと組み合わせた補助的な清澄剤としてのFeの添加は、かなり有益であり、含有率はSnO含有率の少なくとも20%であるものとする。
【0055】
経済的な生産に関して、出発ガラスの高速セラミック化が要求される。このプロセスでは、好適な選択される組成によって核形成速度及びセラミック化速度を増大させることが必要である。ここで、Pの含有率は小さい値で選ぶ必要があるものの、核形成速度を増大させるために、成核剤であるTiO+ZrO+SnOの濃度を増大させることが有益であることが証明された。さらに、クックトップ表面のセラミック化中に起こるひずみが限定要因である。大規模セラミック化炉は、或る特定の温度不均質性を示し、それゆえ、結晶化中の結晶性ガラスの上部及び下部での温度を完全に等しく設定することが難しい。数℃のわずかな温度差が、より高い温度を有するクックトップ又はハブの側面での、より早い結晶化につながる。約1%の結晶化線収縮(linear crystallization shrinkage)と連関して、その後、ひずみが生じると考えられる。通常、商業用の調理表面は、それらの対角線寸法の0.1%未満のひずみに特徴づけられる。
【0056】
高速セラミック化プログラム中にこのひずみを最小限にするために、LiO、SiO等の結晶相形成成分のパーセンテージ、同様に、アルカリ金属酸化物であるNaO及びKO、並びにアルカリ土類金属酸化物であるCaO、SrO、BaO等のガラスセラミックの残留ガラス相を構成する成分の割合を最小限にすることが好ましいことが判明した。高温石英混合結晶相の割合は有益には、70重量%未満であり、約60重量%〜70重量%である。セラミック化中、ガラスセラミックパネルはフラットベースプレート上にある。残留ガラス相の割合の増大及び結晶相比率の減少に起因して、高温における粘性流中に生じるひずみは、ガラスセラミックパネルがフラットベースプレート上にあるため減少する。
【0057】
好ましくは、本発明のクックトップ表面は初めのガラスの高速セラミック化性能を考慮して、ガラスセラミックの組成は、酸化物に基づく、重量%で:
LiO 3.2〜4.2
NaO 0.1〜1
O 0.1〜1
Σ NaO+KO 0.2〜1.5
MgO 0〜1.5
Σ CaO+SrO+BaO 0.1〜4
ZnO 0〜2
0〜1
Al 19〜23
SiO 60〜68
TiO 2.8〜4
ZrO 0.8〜1.8
0〜1.5
SnO 0.1〜0.6未満
Σ TiO+ZrO+SnO 4.4〜6
0.01〜0.05
Fe 0.07〜0.18
を含有し、かつ、以下の要件を満たす:
2<Fe/V<6。
【0058】
高速セラミック化性能は、2時間未満の継続時間でのガラスセラミックの結晶化のための熱処理であるが、80分未満であることが好ましいと理解される。
【0059】
本発明によるセラミック化のためのプロセスでは、熱により緩和された結晶性出発ガラスを、3分〜30分以内に約680℃の温度範囲にまで加熱する。要求される高加熱速度を大規模ローラ炉(roller furnaces)内で実現することができる。約680℃のこの温度範囲は、ガラスの転移温度に近似的に相当する。この温度より高い約800℃までは、高核形成速度の範囲である。10分〜30分の間に核形成の温度範囲を上回る。その後、結晶核を含有するガラスの温度を、高温石英混合結晶相の高結晶成長速度を特徴とする850℃〜950℃の温度まで5分〜30分以内に上昇させる。最大温度を最大20分維持する。それにより、ガラスセラミックの構造が均質化し、光学特性、物理特性及び化学特性が設定される。得られるガラスセラミックを、約10℃/分の冷却速度によって800℃まで冷却し、その後、室温まで急冷させる。
【0060】
BaOの供給源として使用される原材料、例えば、硝酸バリウム又は塩化バリウムは、環境上有害であり、使用する際には特別な対策を必要とする。さらに、BaOは、ガラスセラミックの密度と共にクックトップの重量を増大させる。BaO含有率を減少させるために、又はそれゆえ、不純物を除いてそれを完全に除去するために、BaOを化学的に類似のアルカリ土類金属酸化物であるCaO及びSrOで置き換えることが有益であると判明した。この場合、CaOの含有率は0.2重量%〜1重量%であるものとし、SrOの含有率は0.1重量%〜1重量%であるものとする。
【0061】
経済的に製造するため、結晶性出発ガラスは、容易に溶融可能であり、高耐失透性を示すものとする。加工温度(V)は、1320℃未満、好ましくは1310℃未満であるものとする。失透の上限は、少なくとも加工温度よりも少なくとも30℃、好ましくは少なくとも50℃低いものとする。失透に関して、重要な結晶相は、ムライト(ケイ酸アルミニウム)、バデライト(ZrO)及びLiO−Al−SiO混合結晶、並びにSnOを含有する結晶相である。耐失透性を鑑み、より大きいレベルのLiO、Al、SiO、ZrO及びSnOは好ましくない。溶融ガラスの粘度を減少させるために、アルカリ金属酸化物であるNaO+KO、アルカリ土類金属酸化物であるCaO+SrO+BaOのレベルをより大きい値で使用する一方で、SiO、Al、ZrOの含有率を減少させることが必要であることが証明された。
【0062】
好ましくは、これを考慮に入れた上で、本発明によると、調理表面は、酸化物に基づく重量パーセントで以下の組成:
LiO 3.2〜4.0
NaO 0.2〜1
O 0.1〜1
Σ NaO+KO 0.4〜1.2
MgO 0.1〜1.2
CaO 0.2〜1
SrO 0〜1
BaO 0〜3
Σ CaO+SrO+BaO 0.2〜4
ZnO 0〜1.8
0〜1
Al 19〜22
SiO 62〜67
TiO 2.8〜4
ZrO 0.5〜1.6
0〜1.5
SnO 0.1〜0.5
Σ TiO+ZrO+SnO 4.2〜6
0.01〜0.05
Fe 0.08〜0.15
を有し、
2<Fe/V<6
である。
【0063】
設定対象であり、かつ、溶融プロセス中に実施される、結晶性出発ガラスの還元条件は、ガラスセラミックの所望の透過スペクトルに対して有益な効果を顕すことが示された。透過率について言及した種々の需要はそれゆえ、より容易に満たされ得る。1barの平衡酸素分圧pOは、1580℃を超え、好ましくは1640℃を超える温度で達成されるものとする。この温度が高くなるほど、得られる調整されたガラスが還元し、Sn2+、Fe2+及びTi3+等のより小さい価数の多価成分の含有率が増大する。これは、酸化バナジウムのカラー効果を高める。
【0064】
平衡酸素分圧pOに関する本発明の温度では、より低いV含有率によって本発明の透過率曲線を調整することが可能である。0.04重量%未満、好ましくは0.03重量%未満であることが必要である。また、バナジウムは高価な原材料であるため、Vの含有率を最小限にすることは経済的に有益である。
【0065】
この平衡酸素分圧pOは、粉末形態及び/又は液体形態の還元剤を出発混合物に添加することに基づいて溶融中に設定され得る。金属、炭素及び/又は酸化可能な炭素化合物又は金属化合物、例えば、Al粉末若しくはSi粉末、砂糖、木炭、SiC、TiC、MgS、ZnSが、この目的に好適である。形成ガス等のガス状還元剤も好適である。上述の還元剤は、溶融物のpOを低下させるのに、また平衡酸素分圧に望ましい値を調整するために好適なものである。
【0066】
平衡酸素分圧pOを調整する好ましい方法は、1700℃を超える、好ましくは1750℃より高い温度におけるガラス溶融物の温度処理である。この温度処理は、高温清澄で有益に実施することができ、大規模では1kg当たり10個未満、好ましくは5個未満の気泡の、所望の少ない気泡数を達成することを可能にする。SnOは、1700℃を超える高温での清澄に要求される酸素の放出を増大させる清澄剤であるため、清澄効果は極めて有意なものである。これは、さらなる清澄剤Feにも当てはまる。よって、両者の組合せが、気泡特性のさらなる改善をもたらし、及び/又は工業用ガラス溶融容器におけるより高いガラススループットを可能にする。清澄に対するFeの寄与は、含有率が、使用される清澄剤SnOの少なくとも20重量%である場合に有意であると考えられる。それゆえ、平衡酸素分圧pOを好ましい値に設定することによって、本発明の利点と良好な清澄効果の利点を併せ持つことができる。この機構は、高温で、ガラス溶融物中に発生し、かつ、ガラス溶融物から出るO清澄気泡を生成することによって、他の溶解したさらなる気体も除去する。清澄中に放出した酸素を溶融物から全て除去するような十分な時間が与えられる場合、平衡酸素分圧pOが1barの値を示す温度は、処理中の最大温度に適合する。工業用ガラス溶融プロセス中のこの平衡及び時間理由に起因して用いられる流量が、十分に達成されないため、常に、或る特定量の酸素清澄気泡が溶融物中に残留し、冷却中に吸収されると考えられる。さらに、最大温度から開始して形成温度又は成形温度Vに至る溶融物の冷却プロセス中に、酸素は少量、環境から再び吸収される。その結果として、1barの平衡酸素分圧pOの測定温度は、溶融物における最大温度に適合せず、それよりも低い。他には、還元添加剤を添加する。
【0067】
好ましくは、カラー表示能力が改善された本発明の調理表面の下に、通常の赤色LED又はディスプレイの代わりに又はこれに加えて、青色、緑色、黄色、橙色又は白色のような1つ又は複数の異なる色のLEDが配置される。カラーディスプレイは、通常、LEDからなる発光電子部品から構成される。クックトップ表面の底面は、旧来型のこぶが設けられていてもよく、滑らかなデザインであってもよい。
【0068】
調理表面の加熱は、輻射加熱器、ハロゲン加熱器、誘導加熱又はガスによって成し遂げることができる。全てのタイプ、例えば、点状又は二次元のディスプレイも可能である。
【0069】
調理表面は、フラットパネルとして形成することができるだけでなく、例えば、湾曲するか、角度があるか又はカーブしたパネルを使用し得るように三次元的にも造形することができる。パネルは、直角又は他の形態で、並びに平らな領域に加えて、例えば中華なべ等の三次元的に造形された領域でも利用可能であり得る。
【0070】
以下の実施例を用いて本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0071】
表1には、結晶性出発ガラスの化合物及び特性を挙げる。
【0072】
ガラス番号1〜12は本発明によるガラスであり、ガラス番号13は、市販のセラミックガラスの組成を満たす、本発明を逸脱する比較用のガラス、例えば、SCHOTT AGからのセラミッククックトップ又はCeran Suprema(登録商標)ハブである。原材料の大規模の混合物中の典型的な不純物のために、組成は合計しても正確に100重量%にはならない。典型的な不純物は、意図的に組成に入れなくても、典型的に0.05重量%未満のF、Cl、B、P、Rb、Cs、Hfである。多くの場合、これらは、化学的に関連する成分に係る原材料により混入され、例えば、Na及び/又はK原材料を用いてRb及びCs、又はBa原材料を用いてSrが混入され、逆もまた同様である。
【0073】
ガラスの含水率は、0.32mm−1〜0.53mm−1のβOH値に従い0.03mol/l〜0.05mol/lである。
【0074】
また、転移温度T、加工温度V、失透温度及び密度等のガラス質状態の特性を、表1に挙げる。同じ組成のガラスでは、清澄温度を変えても、これらの特性が同じままである。
【0075】
失透温度を測定するために、ガラスをPt/Rh10るつぼ内で溶融する。続いて、るつぼを5時間、加工温度Vの範囲内の様々な温度で維持する。最初の結晶がガラス溶融物の接触表面上にるつぼ壁方向に生じる最大温度が、失透温度を決定する。
【0076】
さらに、溶融物の最大温度、及びそれに関する時間、並びにpOが1barの値に達する測定温度を表1に挙げる。pOの測定は、温度の関数として再溶融ガラスにおいて既知の様式で実施し、平衡酸素分圧pO=1barである温度を求めた。pOの測定において、pOは、酸素を環境と交換しない限り、温度の関数であり、可逆的に依存する。
【0077】
図1は、ガラス番号9に関して、pOの測定結果(T)、及び特徴温度T(pO=1bar)の決定を示す。平衡酸素分圧の温度T(pO=1bar)に近い高温におけるガラス溶融物が既に酸素を環境に排出し始めていたため、このことは、この特徴温度の値が変化することを意味する。したがって、測定中、ガラスの温度は、特徴温度T(pO=1bar)より約40℃低い温度まで上がり、この値は、1/Tに比例して測定される直線記録pOを外挿することによって求めた(図1を参照)。
【0078】
ガラス産業において一般的に使用される従来の原材料を有する表1の出発ガラスを、約1620℃の温度で4時間溶融させた。焼結シリカガラスからなるるつぼ内における混合物の溶融後、溶融物を、内部るつぼがシリカガラスからなるPt/Rhるつぼ内に移し、30分間撹拌することによって1550℃の温度で均質化した。この均質化後、清澄のための種々の温度処理を実施した。最大溶融温度及び/又は清澄温度並びに時間を表1に示す。
【0079】
ガラス番号2、3、5、6、8、10、11、13を2時間1640℃で清澄させた。その後、約140mm×100mm×30mmのサイズの断片を形成した。
【0080】
良好な気泡特性を達成するため、かつ特定温度T(pO=1bar)に従って還元条件を調整するために、ガラス番号1、4、7、9、12及び比較用ガラスを、表1に示した温度及び時間における高温清澄にかけた。清澄した溶融ガラスを注ぎ出す前に、温度を約1700℃に下げた。冷却炉内での応力(tension)を回避するために、キャストしたガラスを、ガラスの転移温度より約20℃低い温度から開始して室温まで冷却させた。これらの成形断片から、測定用の試験サンプルを調製した。
【0081】
気泡特性に関する高温清澄の好ましい影響はまた、研究室での溶融物にも反映される。研究室での溶融物における気泡数の絶対値は、技術的な理由(研究室での溶融物における体積に対する表面積の異なる比率)から、大規模溶融物の値より大きい範囲である。相対的差異が意義のあるものである。従来1640℃付近で清澄した溶融物は、ガラス1kg当たり約1000個〜5000個の気泡を示すが、高温清澄では、1kg当たり約200個〜2000個の気泡を示す。同様の組成に基づき、高温清澄はより良好な値をもたらす。大規模プロセスでは、これらの値に基づき、ガラス1kg当たり気泡が10個未満であるという望ましい特性が達成され得る。
【0082】
ガラス番号1、2、3並びに7、8及び9、10は、同様の組成を有するが、種々の方法で溶融させた。ガラス番号1は高温清澄プロセスにかけた。ガラス番号3は、同じ温度で清澄させたガラス番号2と比較して、出発混合物への1重量%の糖の添加によってより還元状態へと調整させた。したがって、平衡酸素分圧に関する温度が異なる。しかしながら、同じ条件下の結晶性出発ガラスの関連する種々の還元条件に起因して、得られるガラスセラミックの透過率が異なる。溶融物の最大温度が低い場合には、等しい透過率を得るために、より大きいレベルのV又はより高いセラミック化温度が必要とされる。
【0083】
清澄及び14l容のPt/Rh10るつぼ内における1600℃での50時間の放置後、ガラス番号1、4、比較用ガラス番号13、並びに商業的に製造されたガラスセラミックCeramic Color(登録商標)の断片を、研究室圧延設備によりクックトップに典型的なパネルへと造形した。研究室ローラは、元の製造ローラを短縮したものからなる。下部ローラは、従来のこぶ付き調理表面の底面の製造用に構成した。応力を低減させるために、冷却後の約200mm幅、4mm厚及び2m長の得られるガラスバンドから、測定用の試験サンプル、及び高速セラミックプロセスにおける平面度試験用の寸法18cm×18cm×4mmのパネルを調製した。パネルは、均質で制御可能な上部加熱及び下部加熱を伴う研究室炉に入れ、平坦なセラミックベースプレート上でセラミック化した。それを、750℃まで10℃/分、保持時間15分で加熱した。その後、加熱を900℃まで4℃/分、保持時間15分で続け、室温まで急冷させた。全プログラムを通じて、下部表面に比べて炉内の上部温度を、6℃上げた。こうして、セラミックプレートを意図的にドーム形状に変形させた。比較用ガラス番号13に関する平面からのずれは、2.1±0.2mm(6回の試験)、Ceramic Color(登録商標)では0.6±0.1mm(4回の試験)であり、ガラス番号1及び4では両方とも0.5±0.1mm(3回の試験)であった。大規模で生産されたガラスセラミック材料であるCeramic Color(登録商標)が80分未満以内に、要求される平面度を伴ってセラミック化し得ることが示されたため、これも、実験での相対比較に基づき本発明によるガラスに有効である。
【0084】
表2は、得られたガラスセラミック及び比較用のセラミックのセラミック化条件及び特性を示す。出発ガラスのセラミック化は、以下の時間/温度プログラムによって実行し、Tmax及びtmaxの値を表2に示す。
【0085】
セラミック化プログラム1:
a)室温から680℃まで15分以内に加熱すること、
b)750℃まで10℃/分、750℃における15分の保持時間で加熱すること、800℃まで4℃/分で加熱することによって、680℃から800℃に34.5分以内に温度を上昇させること、
c)800℃からTmaxまで及び保持時間tmax分で、加熱速度4℃/分において温度を上昇させること、
d)10℃/分で800℃に冷却すること、その後、室温まで急冷すること。
【0086】
セラミック化プログラム2:
a)室温から680℃まで5分以内に加熱すること、
b)730℃まで10℃/分で加熱すること、800℃まで5℃/分でさらに加熱することによって、680℃から800℃に19分以内に温度を上げること、
c)800℃からTmaxまで及び保持時間tmaxで、加熱速度5℃/分において温度を上昇させること、
d)10℃/分で800℃に冷却すること、その後、室温まで急冷すること。
【0087】
比較用ガラスセラミックのサンプル番号2及び4に関して、出発ガラスにおいて設定されるpO値は、本発明による光透過率を明示しない。これらのサンプルは同じセラミック化条件下で作製したものであるため、このことから、サンプル番号1と比較して、酸化還元状態設定の影響が証明される。これは、セラミック化条件の調整によって補正することができる(サンプル番号3及び5)。サンプル番号1〜5の出発ガラス番号1、2及び3は、同じ組成を有し、溶融プロセス中に設定した酸化還元状態のみが異なる。
【0088】
平均微結晶サイズ値及び高温石英混合結晶部分は、x線回折によって求めた。サンプルは、主な結晶相である高温石英混合結晶の含有率に起因して、室温〜700℃の温度範囲内で測定される所望の極めて小さい熱膨張値を有する。種々の波長における透過率、また光透過率(「明度」Yと同じ意味を有する)に特徴的な本発明の値を表に挙げる。パネルの値は磨き板上で求め、典型的な調理表面の厚みは4mmとする。光学測定は、標準光C(2度)によって行った。
【0089】
さらなるサンプル番号18では、ガラス番号1による組成物を大規模で約1770℃における15分間の高温清澄によって溶融し、温度を平衡酸素分圧pO=1barについて1610℃に設定した。このガラスの気泡特性は優れており、ガラス1kg当たり気泡は3個未満であった。形成プロセス中、こぶを有する4mm厚のリボンを作製し、応力を回避するために、冷却炉又は焼きなまし用炉内で冷却させた。500mm×500mm×4mmのサイズのこのガラスリボン調理表面を切断し、工業用ローラ炉内でセラミック化した。セラミック化プログラムはプログラム2(表2)に対応させ、結晶性ガラスパネルをフラットセラミックベースプレート上に置いた。得られるガラスセラミックは、対角線寸法において0.1%未満の極めて良好な平面度を有していた。図2において、本発明によるこのガラスセラミックの透過率曲線を、サンプル番号17の比較用ガラスセラミック及び本発明のサンプル番号19と対峙させる。本発明に不可欠である400nm〜600nmの可視光の波長範囲内で、表示能力を増大させるのに有益な本発明のガラスセラミックの透過率曲線は、0.1%を超える値及び350nm未満の良好なUV遮断を示す。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2−1】

【0092】
【表2−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温石英混合結晶を主な結晶相として有し、避けることのできない極微量を除いては、化学的清澄剤用の酸化ヒ素及び/又は酸化アンチモンを含有しない、ガラスセラミックからなる、カラー表示能力が改善された透明な有色クックトップ又はハブであって、
450nmより大きい可視光の全波長範囲における0.1%を超える透過率、0.8%〜2.5%の可視光透過率、及び45%〜85%の1600nmの赤外線における透過率を特徴とする、クックトップ又はハブ。
【請求項2】
透過率が、
450nmにおいて0.15%より大きく、
500nmにおいて0.15%より大きく、
550nmにおいて0.25%より大きく、
630nmにおいて3%〜9%であり、
1600nmにおいて50%〜80%であり、
かつ、可視光での光透過率が1.0%〜2.0%であることを特徴とする、請求項1に記載のクックトップ又はハブ。
【請求項3】
前記ガラスセラミックの組成が、酸化物に基づく重量%で:
LiO 3.0〜4.2
Σ NaO+KO 0.2〜1.5
MgO 0〜1.5
Σ CaO+SrO+BaO 0〜4
ZnO 0〜2
0〜2
Al 19〜23
SiO 60〜69
TiO 2.5〜4
ZrO 0.5〜2
0〜3
SnO 0.1〜0.6未満
Σ TiO+ZrO+SnO 3.8〜6
0.01〜0.06
Fe 0.03〜0.2
からなり、かつ、
1<Fe/V<8
である、請求項1又は2に記載のクックトップ又はハブ。
【請求項4】
出発ガラスが高速セラミック化性能を有し、かつ、ガラスセラミックの組成が、酸化物に基づく重量%で:
LiO 3.2〜4.2
NaO 0.1〜1
O 0.1〜1
Σ NaO+KO 0.2〜1.5
MgO 0〜1.5
Σ CaO+SrO+BaO 0.1〜4
ZnO 0〜2
0〜1
Al 19〜23
SiO 60〜68
TiO 2.8〜4
ZrO 0.8〜1.8
0〜1.5
SnO 0.1〜0.6未満
Σ TiO+SnO+ZrO 4.4〜6
0.01〜0.05
Fe 0.07〜0.18
からなり、かつ、
2<Fe/V<6
であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のクックトップ又はハブ。
【請求項5】
酸化物に基づく重量%単位で:
CaO 0.2〜1
SrO 0.1〜1
を含有する、前記ガラスセラミックの組成を特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のクックトップ又はハブ。
【請求項6】
結晶性出発ガラスが良好な可融性及び耐失透性を有し、プロセス温度Vが1320℃未満であり、失透上限が少なくともVより30℃低く、組成が酸化物に基づく重量%で:
LiO 3.2〜4.0
NaO 0.2〜1
O 0.1〜1
Σ NaO+KO 0.4〜1.2
MgO 0.1〜1.2
CaO 0.2〜1
SrO 0〜1
BaO 0〜3
Σ CaO+SrO+BaO 0.2〜4
ZnO 0〜1.8
0〜1
Al 19〜22
SiO 62〜67
TiO 2.8〜4
ZrO 0.5〜1.6
0〜1.5
SnO 0.1〜0.5
Σ TiO+ZrO+SnO 4.2〜6
0.01〜0.05
Fe 0.08〜0.15
及び
2<Fe/V<6
であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のクックトップ又はハブ。
【請求項7】
1580℃より高い、好ましくは1640℃より高い温度における1barの、ガラスセラミック及び/又は結晶性出発ガラスの平衡酸素分圧pOを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のクックトップ又はハブ。
【請求項8】
前記平衡酸素分圧が、1700℃より高い、好ましくは1750℃より高い前記溶融ガラスの温度によって設定されることを特徴とする、請求項7に記載のクックトップ又はハブ。
【請求項9】
0.04重量%未満、好ましくは0.03重量%未満のV含有率を特徴とする、請求項7又は8に記載のクックトップ又はハブ。
【請求項10】
前記ガラス溶融物の温度が、1700℃より高い、好ましくは1750℃より高く、ガラス1kg当たり気泡が5個未満である気泡数が得られ、前記Fe含有率が前記SnO含有率の少なくとも20重量%であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のクックトップ又はハブ。
【請求項11】
通常の赤色ディスプレイの代わりに又はこれに加えて、青色、緑色、黄色、橙色又は白色の1つ又は複数の他のカラーディスプレイを使用することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のクックトップ又はハブ。
【請求項12】
カラー表示能力が改善された透明な有色クックトップ又はハブを製造する方法であって、該有色クックトップ又はハブが、高温石英混合結晶を主な結晶相として有するガラスセラミックからなり、これにより、避けることのできない極微量を除いては、化学的清澄用の酸化ヒ素及び/又は酸化アンチモンを分配することなく、調理領域を、450nmより大きい全波長範囲内の可視光領域における、0.1%を超える透過率、0.8%〜2.5%の可視光透過率、45%〜85%の1600nmの赤外線における透過率に設定することを特徴とする、クックトップ又はハブを製造する方法。
【請求項13】
450nmにおいて0.15%より大きく、
500nmにおいて0.15%より大きく、
550nmにおいて0.25%より大きく、
630nmにおいて3%〜9%より大きく、
1600nmにおいて50%〜80%の透過率、及び1.0%〜2.0%の可視光での光透過率を設定することを特徴とする、請求項12に記載のクックトップ又はハブを製造する方法。
【請求項14】
酸化物に基づく重量%で:
LiO 3.0〜4.2
Σ NaO+KO 0.2〜1.5
MgO 0〜1.5
Σ CaO+SrO+BaO 0〜4
ZnO 0〜2
0〜2
Al 19〜23
SiO 60〜69
TiO 2.5〜4
ZrO 0.5〜2
0〜3
SnO 0.1〜0.6未満
Σ TiO+ZrO+SnO 3.8〜6
0.01〜0.06
Fe 0.03〜0.2
からなり、かつ、
1<Fe/V<8
であるガラスセラミックの組成を使用することを特徴とする、請求項12又は13に記載のクックトップ又はハブの製造する方法。
【請求項15】
結晶性出発ガラスが高速セラミック化性能を有し、酸化物に基づく重量%で:
LiO 3.2〜4.2
NaO 0.1〜1
O 0.1〜1
Σ NaO+KO 0.2〜1.5
MgO 0〜1.5
Σ CaO+SrO+BaO 0.1〜4
ZnO 0〜2
0〜1
Al 19〜23
SiO 60〜68
TiO 2.8〜4
ZrO 0.8〜1.8
0〜1.5
SnO 0.1〜0.6未満
Σ TiO+ZrO+SnO 4.4〜6
0.01〜0.05
Fe 0.07〜0.18
からなり、かつ、
2<Fe/V<6
である組成を使用することを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一項に記載のクックトップ又はハブの製造する方法。
【請求項16】
2時間未満、好ましくは80分未満の総継続時間を有する、請求項15に記載の結晶性出発ガラスの高速セラミック化によりクックトップ又はハブを製造する方法であって、前記セラミック化を、以下のプログラム:
a)前記結晶性ガラスの温度を約680℃の温度まで3分〜30分以内に上げること、
b)前記結晶性ガラスの温度を680℃〜800℃の核形成の温度範囲内に約10分〜30分間かけて上げること、
c)核含有ガラスの温度を5分〜30分以内に850℃〜950℃の高結晶成長速度の温度範囲内に上げること、
d)高温石英混合結晶タイプの結晶を結晶化核上で成長させるために、850℃〜950℃の最大温度の温度範囲内で最大20分維持すること、及びその後、
e)得られたガラスセラミックを室温まで急冷すること、
によって実施することを特徴とする、クックトップ又はハブを製造する方法。
【請求項17】
酸化物に基づく重量%単位で:
CaO 0.2〜1
SrO 0.1〜1
を含有する組成を使用することを特徴とする、請求項12〜16のいずれか一項に記載のクックトップ又はハブを製造する方法。
【請求項18】
結晶性初期ガラスが可融性及び失透安定性を有し、プロセス温度Vが1320℃未満であり、失透上限が少なくともVより30℃低く、酸化物に基づく重量%で:
LiO 3.2〜4.0
NaO 0.2〜1
O 0.1〜1
Σ NaO+KO 0.4〜1.2
MgO 0.1〜1.2
CaO 0.2〜1
SrO 0〜1
BaO 0〜3
Σ CaO+SrO+BaO 0.2〜4
ZnO 0〜1.8
0〜1
Al 19〜22
SiO 62〜67
TiO 2.8〜4
ZrO 0.5〜1.6
0〜1.5
SnO 0.1〜0.5
Σ TiO+ZrO+SnO 4.2〜6
0.01〜0.05
Fe 0.08〜0.15
及び
2<Fe/V<6
の組成を使用することを特徴とする、請求項11〜17のいずれか一項に記載のクックトップ又はハブを製造する方法。
【請求項19】
1580℃より高い、好ましくは1640℃より高い温度において、ガラスセラミック及び/又は結晶性出発ガラスの平衡酸素分圧pOが1barに設定されることを特徴とする、請求項12〜18のいずれか一項に記載のクックトップ又はハブを製造する方法。
【請求項20】
前記平衡酸素分圧が、1700℃より高い、好ましくは1750℃より高い前記溶融ガラスの温度で設定されることを特徴とする、請求項19に記載のクックトップ又はハブを製造する方法。
【請求項21】
0.04wt%未満、好ましくは0.03wt%未満のV含有率を使用することを特徴とする、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
1700℃より高い、好ましくは1750℃より高い前記溶融ガラスの温度に基づき、ガラス1kg当たり気泡が5個未満である気泡数が得られ、前記Fe含有率がSnO含有率の少なくとも20重量%未満であることを特徴とする、請求項12〜21のいずれか一項に記載のクックトップ又はハブを製造する方法。
【請求項23】
通常の赤色ディスプレイの代わりに又はこれに加えて、青色、緑色、黄色、橙色又は白色の1つ又は複数の異なるカラーディスプレイを使用することを特徴とする、請求項12〜22のいずれか一項に記載のクックトップ又はハブを製造する方法。

【公表番号】特表2012−505136(P2012−505136A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530388(P2011−530388)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006683
【国際公開番号】WO2010/040443
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】