説明

改善された障壁特性をもつ産業用不織繊維布

本発明は、一つまたはそれ以上のナノ−デニールの連続フィラメントおよび少なくとも一つの強い耐久性をもった基質を含んで成る産業用複合不織繊維布であって、該複合不織繊維布は静水頭対障壁層の坪量の比で測定された障壁性能が改善されている産業用複合不織繊維布に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に産業用繊維布に関し、さらに特定的に述べれば坪量性能に対し改善された障壁性能をもった保護用の産業用繊維布に関し、ここで該改善された保護用の産業用繊維布は実質的に無端の熱可塑性重合体の細かいデニールのフィラメントを連続的に押出すことによってつくられる。この細かいデニールのフィラメント材料の一つまたはそれ以上の層の上または間に少なくとも一つのの通常の熔融吹き込みフィラメント層を沈積させて含ませることにより、従来の保護用の構造物に比べて強化された障壁性能を示す繊維布が得られる。
【背景技術】
【0002】
不織繊維布は繊維布の技術的品質を有利に使用することができる広く多様な用途に使用されている。選ばれた熱可塑性重合体を繊維布の構成要素の構造に使用し、繊維の構成要素(繊維の形をした間、または一体化された構造物にした場合のいずれでも)に対して選ばれた処理を行い、繊維の構成要素を一体化して有用な繊維布にする種々の機構を選んで使用することが、得られる不織繊維布の性能を調節し変更するために変化させ得る典型的な因子である。
【0003】
産業用繊維布、例えば自動車のカバー、電池の隔離板、および濾過媒体のような用途を含む繊維布は、目的物または閉鎖された環境を危険な周囲の有害な影響から保護するのに使用されている。例えば湿気を含んだ環境、強い紫外線のエネルギー、および合成品または天然性の廃棄物に露出すると、塗装された自動車の表面は実用的および美的な性能の両方が迅速に損傷する。好ましくは連続フィラメントを含んで成る障壁繊維布が保護用の構造物に使用されている。
【0004】
連続フィラメントの繊維布はもともとまた自然に比較的高い多孔性をもち、必要とされる障壁性能を達成するためには通常他の余分の構成要素が必要である。従来から障壁性能は、典型的には非常に細いフィラメントから成る障壁用の「熔融吹き込み」層を使用することによって強化されてきた。このようなフィラメントは高速の空気流によって延伸され且つ細分化され、沈積して自己アニーリングした塊にされたものである。典型的にはこのような熔融吹き込み層は非常に低い多孔度を示し、スパンボンド層および熔融吹き込み層を用いてつくられた複合繊維布の障壁特性を強化する。このような不織布構造物は特許文献1に記載されているように障壁繊維布として使用されてきた。この特許は引用により本明細書に包含される。
【0005】
本発明においては、一つまたはそれ以上のナノ−デニール・フィラメントの層を取り付け、産業用複合繊維布(積層品および複合構造物の両方を含む)の全体としての障壁性能を著しく改善すると同時に、適宜全体としての構造物の重量を減少させ、種々の性能強化用の被膜の代替品として、またコストのかかる或いは複雑な処理法の代わりに利用できるようにすることが企図されている。またナノ−デニールのスパンボンド層は、複合不織繊維布の製造中、層の間の境界が一層均一になり、その結果製作された製品の障壁性能が改善される。
【特許文献1】米国特許第4,041,203号明細書、Brock等。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の概要
本発明は一つまたはそれ以上のナノ−デニールの連続フィラメントおよび少なくとも一つの強い耐久性のある基質の層を含んで成る産業用の複合不織繊維布であって、該複合不織繊維布は静水頭対障壁層の坪量の比によって測定された障壁性能が改善されている産業用複合不織繊維布に関する。本発明においては、それぞれの層が連続した熱可塑性のフィラメントのスパンボンド層を含んで成る一つまたはそれ以上の強い耐久性をもった基質層をつくる。障壁層は、平均直径が1000nm(ナノメーター)以下、好ましくは500nm以下の範囲にあり有限の長さをもつナノ繊維を選択的に含んで成り、これを少なくとも1枚の基質層に被覆する。該基質層および該ナノ−繊維の層、並びに随時使用される一つまたはそれ以上の二次的な障壁材料を固めて単一の産業用複合繊維布にする。
【0007】
ナノ−デニールの連続フィラメントの障壁材の熱可塑性重合体はポリオレフィン、ポリアミド、およびポリエステルから成る群から選ばれ、ポリオレフィンはポリプロピレン、ポリエチレン、およびこれらの組み合わせから成る群から選ばれる。ナノ−デニールの連続フィラメントの障壁層が同じ或いは異なった熱可塑性重合体を含んで成ることも本発明の範囲内に入る。さらに、障壁層のナノ−デニールの連続フィラメントは均一で二成分のおよび/または多成分の断面をもち、また性能変性添加物並びにそれらの配合物を含んで成ることができる。
【0008】
強い耐久性をもった基質層は適切な媒体から選ばれる材料を含んで成り、このような媒体は連続フィラメントの不織繊維布、ステープル・ファイバーの不織繊維布、連続フィラメントまたはステープル・ファイバーの織物、およびフィルムによって表わされるが、これだけには限定されない。基質層の組成は合成品および天然産の材料、およびそれらの配合物から選ぶことができる。本発明に従ってつくられた繊維布において、一つまたはそれ以上のナノ−デニールの障壁層を混入すると、障壁機能が実質的に改善され、障壁特性の基準に適合するのに必要とされる基質および/または障壁層の全量を減少させることができる。
【0009】
本発明の他の態様は、製造工程中次に被覆される障壁層または基質層に対して一層均一な支持層を与え、これによって得られる最終製品の障壁機能を改善するナノ−デニールの障壁層に関する。
【0010】
ナノ−デニールの障壁材料から繊維布をつくると、特に軽い坪量のナノ−デニールの障壁層を基質の上に被覆するか「振りかける」か、或いは一つまたはそれ以上の従来の障壁層と組み合わせてつくった場合、障壁特性を強化することができる。本発明によれば、障壁用の繊維布に使用するのに適した、特に例えば屋外用の繊維布、蓄電池の隔離板、および他の産業用の用途に適した、改善された障壁特性をもった同じ重さの繊維布或いは軽量の繊維布をつくることができる。濾過成分として本発明の繊維布を使用することも考えられる。
【0011】
本発明の他の特徴および利点は添付図面を参照して行う下記の説明および特許請求範囲から容易に明らかになるであろう。
【0012】
詳細な説明
本発明はいろいろな形の具体化例をとることができるが、以下に説明するのは現在好適と考えられる具体化例であり、これは本発明を例示するものであって、本発明はこの特定の具体化例に限定されるものではない。
【0013】
本発明は、ナノ−デニールの連続フィラメントの一つの層と少なくとも一つの強くて耐久性をもった材料の基質層をつくることによって得られる産業用複合不織繊維布に関する。この繊維布構造物に対し所望の障壁特性対重さの比を得るためには、ナノ−デニールの連続フィラメントは好ましくは1000nm以下、さらに好ましくは約500nm以下のデニールをもっていることが好適である。
【0014】
適当なナノ−デニールの連続フィラメント障壁層は、ナノ−デニールのフィラメントを直接紡糸するか、或いは多成分フィラメントをつくりこれを基質層の上に沈積させる前にナノ−デニールのフィラメントに分割することよって製造することができる。米国特許第5,678,379号明細書および同第6,114,017号明細書には本発明を実施する上で使用し得る直接紡糸法が例示されている。これらの特許は引用により本明細書に包含される。多成分フィラメントを紡糸し、それと組み合わせてこれをナノ−デニールのフィラメントに細分する方法は米国特許第5,225,018号明細書および同第5,783,503号明細書に従って実施することができる。これらの特許は両方とも引用により本明細書に包含される。
【0015】
強い耐久性をもった基質層を製造し得る技術には、連続フィラメントの不織繊維布、ステープル・ファイバーの不織繊維布、連続フィラメントまたはステープル・ファイバーの織物(編み物を含む)およびフィルムをつくる技術が含まれる。製造および加工工程に耐えるのに十分な物理的性質をもっていることに基づいて基質が強く耐久性をもっていると決定される。強い耐久性をもった基質層を含んでなる繊維および/またはフィラメントは均一の繊維長または混合した繊維長をもつ天然産または合成品の組成物から選ばれる。適切な天然繊維には綿、木材パルプおよびビスコース・レーヨンが含まれるが、これだけには限定されない。全体としてまたは部分的に配合することができる合成繊維は熱可塑性重合体および熱硬化性重合体を含んでいる。熱可塑性樹脂と配合するのに適した熱可塑性重合体にはポリオレフィン、ポリアミドおよびポリエステルが含まれる。熱可塑性重合体はさらに単独重合体、共重合体、共役体および他の誘導体から選ぶことができるが、この中には熔融添加剤または表面活性剤を混入した熱可塑性重合体が含まれる。
【0016】
一般に、連続フィラメントの不織繊維布をつくる方法はスパンボンド法の慣行を含んでいる。スパンボンド法は、熔融した重合体を供給し、次いでこれを紡糸口金またはダイス型として知られる板の多数のオリフィスを通して加圧下に押出す方法である。得られる連続フィラメントを急冷し、いくつかの任意の方法、例えば溝孔延伸システム、アッテニュエーター・ガン(attenuator gun)、またはGodetロールによって延伸する。動いている孔の開いた面、例えば針金の網のコンベヤ・ベルトの上に連続フィラメントをゆるいウエッブとして集める。多層繊維布をつくる目的で製造ラインの中で2個以上の紡糸口金を使用する場合、前につくられたウエッブの面の上に次のウエッブを捕集する。次に通常は加熱および加圧を含む方法、例えば加熱による点接合によりウエッブを少なくとも一時的に固める。この方法を用いる場合、ウエッブまたはウエッブの層を2個の高温の金属ロールの間に通す。このロールの一つは所望の程度の点接合を行い達成するためのエンボッシング・パターンをもち、こうして通常は全表面積の10〜40%程度が接合される。
【0017】
不織繊維布をつくるのに用いられるステープル・ファイバーは、始めは多数の圧縮された繊維のような束の形になっている。これらの繊維をほぐし、組み合わせて不織繊維布に適した繊維にするためには、繊維の束を塊として例えばガーネットのようなファイバー・オープナー(fiber opener)に供給した後、カード(梳綿機)に供給する。さらに同方向および反対方向に回転するワイヤ・カム(wire comb)を使用してカードにより繊維をバラバラした後、繊維を沈積させてかさ高のバットにする。ステープル・ファイバーのこのかさ高のバットに対し、得られる不織繊維布の所望の最終的な引っ張り特性に依存して、次に随時空気により不規則な方向をとらせるかおよび/または交叉させて重ね合わせるような方法で繊維の再配向化を行う。次に、これだけに限定されないが、接着性の結合剤の使用、カレンダー掛けをするか空気炉を通す熱による結合、および水流による絡み合わせを含む適当な結合方法を用い、この繊維のバットを一つにまとめ上げて不織繊維布にする。
【0018】
通常の織物繊維布の製造は複雑な多段工程として知られている。ステープル・ファイバーの糸の製造は繊維のカージング(carding)を行い、粗紡機に対する供給原料をつくり、束にした繊維に撚りをかけて粗紡糸にする。別法として、連続フィラメントをトウとして知られる束にし、次にこのトウを粗紡糸の成分として使用する。紡糸機により多数の粗紡糸を混合し、織って布にするのに適した糸にする。織糸の第1の部分を縦糸のビームに送り、これは機械方向の糸を含んでいるが、これが次に織機に供給される。織糸の第2の部分は横糸を供給し、これは布のシートの横方向の糸になる。現在では、市販の高速織機は毎分1000〜1500ピック(杼、横糸)の速度で作動する。この場合各ピックは単一の糸である。この織り操作によって毎分60〜200インチの製造速度で最終繊維布が製造される。
【0019】
熱可塑性重合体から強い耐久性のある基質層として適した有限の厚さをもったフィルムを製造する方法は公知である。熱可塑性重合体のフィルムは、注型フィルムとして知られている所望の最終製品の寸法をもつ成形型の中に或る量の熔融した重合体を分散するか、押出しフィルムとして知られているように熔融重合体をダイス型を通して連続的に押出す方法によって製造される。押出された熱可塑性重合体フィルムは、フィルムを冷却した後完成した材料として巻き取るか、或いは直接二次的な基質材料の上に分配して基質およびフィルム層の両方の性能をもつ複合材料をつくることができる。適切な二次的な基質材料の例には他のフィルム、重合体または金属のシート原料、および織物または不織繊維布が含まれる。
【0020】
本発明の組成物を使用して押出されるフィルムは下記の代表的な直接押出しフィルム法に従って製造することができる。熱可塑性重合体のチップ、および随時熱可塑性担体樹脂の中に含まれるペレット化された添加物に対する少なくとも一つのホッパー装入量を含んで成る配合投与用の貯蔵材料を可変速度オーガビットに供給する。この可変速度オーガビットにより予め定められた量の重合体チップおよび添加用のペレットは混合ホッパーへ移される。混合ホッパーはさらに混合物の均一性を増加させる混合用プロペラを含んでいる。上記のような基本的な容積計測システムは添加物を熱可塑性重合体の中に正確に配合するための最低の必要事項である。重合体のチップおよび添加物のペレットの配合物を多区域押出し機に供給する。混合して多区域押出し機から押出した後、重合体の配合物を加熱した重合体のパイプを介してスクリーン・チェンジャー(screen changer)に通し、ここで異なったスクリーンの網目をもったブレーカープレートを使用して固体または半分熔融した重合体のチップおよび他の大きな破片を保留する。次に混合した重合体を熔融ポンプに供給した後、結合ブロック(combining block)に供給する。結合ブロックは多重フィルム層に押出すことができ、これらのフィルム層は同じ組成をもっているか、或いは上記のように異なったシステムから供給される。結合ブロックは押出しダイス型に連結されており、このダイス型は、ニップロールと注型ロールとの間のニップのところに熔融フィルムの押出し物が沈積するように頭上方向に位置している。
【0021】
二次的な基質材料がフィルム層の押出し物を受けるようになっている場合、二次的な基質材料の原料はロールの形で張力を制御された引出し機(unwinder)に供給される。二次的な基質材料は引き出されてニップロールの上を移動する。押出し機ダイスから出た熔融フィルムの押出し物をニップロールと注型ロールとの間のニップ点のところで二次的な基質材料の上に沈積させ、強い耐久性のある基質層をつくる。次に新しくつくられた層を抜き取りロールにより注型ロールから取り出し、新しいロールに巻き取る。
【0022】
二次障壁材料をナノ−デニールの障壁層と組み合わせることができることも本発明の範囲内に入る。適当な二次障壁材料は、熔融吹込み繊維、微細多孔性フィルムおよび一体となったフィルム(monolithic film)のような代表的な材料から選ぶことができる。
【0023】
不織繊維布の層をつくるスパンボンド法に関連した方法は熔融吹込み法である。この場合も、熔融した重合体を加圧下において紡糸口金のオリフィスまたはダイス型を通して押出す。フィラメントがダイス型を出る時に、高速の空気をフィラメントに衝突させ、フィラメントを浮遊させて運ぶ。此の段階のエネルギーは、生じたフィラメントの直径が著しく減少し、分裂して有限の長さをもった微細繊維が生じるようなエネルギーである。フィラメントの連続性が保たれるスパンボンド法とこの点が異なっている。単一層または多層のいずれかの繊維布をつくる方法も連続的に行われる。即ち最初の層をつくるためにフィラメントを押出してから結合されたウエッブを巻き取ってロールにするまでの製造段階は中断されることはない。この種の繊維布をつくる方法は米国特許第4,041,203号明細書に記載されている。熔融吹込み法、並びにスパンボンド・フィラメントまたは熔融吹込み微細繊維の断面の輪郭は、本発明を実施する上で重要な制限ではない。
【0024】
通気可能な障壁フィルムをナノ−デニールの連続フィラメントと組み合わせることにより通気可能な障壁フィルムに改善された障壁性能を組み合わせて付与することができる。米国特許第6,191,211号明細書に記載された一体となったフィルム、および米国特許第6,264,864号明細書記載の微細孔性フィルムはこのような通気性障壁フィルムをつくる機構を表わしている。これらの特許は引用により本明細書に包含される。
【0025】
ナノ−デニールの連続層をつくり、その上に次の二次障壁層を沈積させることにより、いくつかの点で繊維布の強化を実現できると考えられている。スパンボンド層の或る与えられた坪量に対し、それよりも細いデニールの繊維布は単位面積当たりフィラメントの数が多くなり、平均の細孔の大きさが小さくなるであろう。平均の細孔の大きさが小さいと、二次障壁材料はナノ−デニールの障壁層の上に一層均一に沈積するであろう。また一層均一な二次障壁層は、障壁性能の低下が起こり得る弱い点の数が少ないであろう。またナノ−デニールの障壁層は複合不織材料の中で二次障壁層を構造的に支える役目をする。ナノ−デニールの障壁層は平均の細孔の大きさが小さく、また二次障壁層に対する多数の支持点を提供し、その結果二次障壁材料の支持されていない部分の間隔が短くなる。この機構は、平均の間隔の長さを短くすると構造的な一体性が強化されるという良く知られた概念を具体化したものである。
【0026】
本発明の原理を具体化した不織複合繊維布の製造は、異なった組成の繊維および/またはフィラメントを使用する方法を含んでいる。異なった熱可塑性重合体は同じまたは異なった性能改善添加物を用いて配合することができる。さらに、繊維および/またはフィラメントを、添加物の配合によって変性されていない繊維および/またはフィラメントと配合することができる。
【0027】
上記の基質および障壁層の製造技術を使用し、異なった構造物の組合せをナノ−デニールの障壁層と組み合わせ、さらに改善された障壁性能をもつ複合不織布材料をつくることができる。いくつかの最終製品では、以前に存在した障壁層を、例えば屋外用の保護繊維布、電池の隔離板、および産業用の濾過媒体のような産業用繊維布を含む本発明のナノ繊維障壁層と一緒に使用するか、或いはその代用品にする利点を得ることができる。
【0028】
自動車のカバー、防水布、テント、および耐久性をもったスポーツ衣類としての用途を含む屋外用の繊維布は、目的物を環境へ長期間に亙り繰り返し露出した場合の有害な影響から保護するのに使用される。例えば湿気を含んだ環境、強い紫外線エネルギーおよび合成品および天然性の廃棄物に対して露出すると、塗装した自動車の表面は実用的および美的な両方の性能が迅速に損傷されるであろう。
【0029】
本発明によれば、障壁繊維布、特に蓄電池に対する用途に適した、改善された障壁特性をもつ同じ重量の繊維布、または軽量の繊維布を製造することができる。蓄電池の隔離板の主要な機能は電極板の間の物理的な接触を防ぎ、電解質溶液を保持することである。飢餓電解質(starved electrolyte)蓄電池においては、隔離板は電極板の間の空間を完全に占め、電解質溶液は蓄電池の隔離板の間に完全に含まれている。従って蓄電池の隔離板はこのような電池の中で電解質溶液に対する保存槽として機能する。ナノ−デニールのスパンボンド材料から繊維布をつくると、特に一つまたはそれ以上の障壁熔融吹き込み層と組み合わせた場合、障壁特性が強化されることが見出だされた。
【0030】
また本発明は、ガスのような流体を濾過し、ガス流から粒子状の不純物を除去し、この不純物が環境の中に導入されるのを制限するか、或いは付随した工程に循環して戻るようにすることを目的としている。本発明の繊維布の内部のナノ−繊維層の障壁性能はこのような粒子状の不純物を捕捉し、障壁対坪量の比が改善されるように作用する。
【0031】
上記の説明から分かるように、本発明の概念の真の精神および範囲を逸脱することなく多くの変更および変形を行うことができる。また、本明細書に記載された特定の具体化例について限定は全く考えられておらず、またすべきでないことを了解されたい。本明細書における開示は添付特許請求の範囲によって該範囲内に入るこのようなすべての変更を含むものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の約1000nm未満の熱可塑性連続フィラメントを含んで成るナノ−デニールの障壁層および基質層を含んで成ることを特徴とする屋外用の複合繊維布。
【請求項2】
該基質層は不織繊維布、織物繊維布、フィルム、およびこれらの配合物から成る群から選ばれることを特徴とする請求項1記載の屋外用の複合繊維布。
【請求項3】
多数の約1000nm未満のデニールの熱可塑性連続フィラメントを含んで成るナノ−デニールの障壁層および基質層を含んで成ることを特徴とする蓄電池用隔離板。
【請求項4】
該基質層は不織繊維布、織物繊維布、フィルム、およびこれらの配合物から成る群から選ばれることを特徴とする請求項3記載の蓄電池用隔離板。
【請求項5】
多数の約1000nm未満のデニールの熱可塑性連続フィラメントを含んで成るナノ−デニールの障壁層および基質層を含んで成ることを特徴とする複合フィルター繊維布。
【請求項6】
該基質層は不織繊維布、織物繊維布、フィルム、およびこれらの配合物から成る群から選ばれることを特徴とする請求項5記載の複合フィルター繊維布。

【公表番号】特表2006−500247(P2006−500247A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−538478(P2004−538478)
【出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/030143
【国際公開番号】WO2004/027135
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(503126326)ポリマー・グループ・インコーポレーテツド (5)
【Fターム(参考)】