説明

改良されたガラス強化方法及び装置

【課題】改良されたガラス強化方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明は、ガラス強化モジュールの急冷ノズルを成形板ガラスの表面から様々な距離で選択的に配列しかつ利用することによって、成形板ガラスの指定領域に向けて強化媒体をより高速で選択的に噴射することができるガラス強化装置のガラス強化モジュールに関する。当該装置を利用した板ガラス強化方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された板ガラス強化装置及び該装置を利用した板ガラス強化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスが破損して大きな長寸の破片になると大怪我の可能性が高くなるが、そうではなく、破損したときに安全性の高い細かい破片になるようにするガラス処理方法が、これまでに数多く実施されてきた。比較的小型の板ガラスを処理するための初期の強化方法の目標は、板ガラスの全面に空気流を均一に分布させることであった。単一板ガラス(例えば自動車用など)が大型化し、ガラスの応力解析がより複雑になったので、1枚の板ガラスの複数の領域を別様に処理する方法が考案された。1つの特に解決困難な問題は、自動車のバックライトなどの大型板ガラスの比較的中央付近における強化が不十分な領域をなくすことである。
【0003】
それゆえ、ガラス強化分野の技術者は、常に、時間制約が厳しい自動車用ガラス製造工程中における強化を改良する方法を探し続けている。
【0004】
上記したように、ガラスの強化または熱処理は、多くの特許の対象である。以下に例を挙げる。
【0005】
米国特許第4,314,836号明細書(特許文献1)には、板ガラスの厚さ方向において板ガラスの中央部分に向かって適用される強化媒体の噴射用の排気経路が、同方向において板ガラスの中央部分の範囲外の部分に適用される強化媒体の噴射用の排気経路と比較して相対的に幅広であるような、強化媒体供給システムの構成及び配列が記載されている。この発明のプロセスを利用して得られる強化板ガラスに対して、破砕試験を行ったときに、中央部分でも中央部分の範囲外の部分でも、規定条件に合う破片が得られるとされている。
【0006】
米国特許第4,323,385号明細書(特許文献2)には、板ガラスの相対する主表面にそれぞれ面し、開口部を備えた壁をそれぞれ有する対向するプレナムチャンバを利用して、板ガラス全体を均一に強化するプロセスが記載されている。ここで、開口部に関しては、強化中に板ガラスの中央部分に面するプレナムの部分にある複数の開口部が、中央部分から離れた壁に設けられた複数の開口部よりも小径でかつ密に配置されるように、構成されかつ配列されている。ノズルに関しては、開口部を備えた壁の中央部分の、相対的に小径の、密に配置された開口部から延出するノズル群が、壁の残りの開口部から延出し、相対的に断面積が大きくかつ相対的に疎に配置されたノズル群よりも、長くかつ狭く、さらには板ガラスの主表面に近い端部を有するように、構成されかつ配列されている。
【0007】
米国特許第4,508,783号明細書(特許文献3)には、2つのゾーンを有する板ガラスの方向に複数のノズルから冷却用ガスを吹き付けることによって、異なった速度で板ガラスを硬化する方法が記載されている。この発明によれば、板ガラスの互いに異なる2つのゾーン間で硬化に差をつけるために異なった処理を施すにもかかわらず、板ガラスは両ゾーンにおいて同時に固化するとされている。
【0008】
米国特許第4,773,926号明細書(特許文献4)には、厚さ2mm以下の板ガラスに対する強化プロセスが記載されている。このプロセスにおいて、ガス流が流れ出てくる複数のノズルは、ガラス表面から僅かに離間した位置において自由端が板ガラスに向けられるように配置されている。各ノズルには狭い較正オリフィス(calibrated orifice)が開けられ、ガス(一般的には空気)を少なくとも音速で板ガラスの表面に向かって吹き付けるために各ノズルのフィード圧が維持される。このノズル構成により、板ガラスの表面において吹き付けるガスの速度が少なくとも音速であることが保証され、故に冷却能が最適化されるとされている。吹き付ける空気の排気を増加させる1つの手段は、自由端に向かって延出する長尺の管状体を有するノズル群を用いることにより達成されるとされている。ノズル群の長さは、強化ステーションの幅よりも大きくてもよい。それに加えて、またはその代わりに、単位表面積当たりの吹き付ける空気流の量を増加させてもよい。
【0009】
米国特許第6,412,390号明細書(特許文献5)には、ガラス急冷装置であって、薄板ガラスの上下表面にブロアエアを噴射する第1ノズル群を備え、この第1ノズル群を固定ノズルとし、薄板ガラスの少なくとも片面にコンプレッサエアを噴射する第2ノズル群を備え、第2ノズル群を板ガラスの面に平行に移動可能な可動ノズルとしたものが記載されている。可動ノズル群を薄板ガラスの最適位置、例えば冷却し難い部分に配置することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,314,836号明細書
【特許文献2】米国特許第4,323,385号明細書
【特許文献3】米国特許第4,508,783号明細書
【特許文献4】米国特許第4,773,926号明細書
【特許文献5】米国特許第6,412,309号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
改良されたガラス強化方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、少なくとも1つの、好適には2つのガラス強化モジュールを含むガラス強化装置に関し、少なくとも1つのそのようなガラス強化モジュールは、複数の急冷ノズルを、強化される板ガラスの表面から互いに異なる距離に選択的に配列しかつ利用することによって、ライン上を動いている板ガラスの指定領域に特定量の強化媒体をより高速で選択的に排出し、そのような指定領域において所望の応力差を生じさせることができる。具体的には、複数のノズルを、板ガラスの進行方向に平行に並べて配列し、ガラス強化装置の中心線の両側に特定距離にわたって配置し、強化される板ガラスの表面からの距離を短くした特定の被選択ノズルからは、強化媒体をより高速で排出させることによって、特に大型の板ガラスの、不十分な強化の発生を実質的に減少させることが分かった。
【0013】
本発明の装置を利用した改良された強化方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に従うガラス強化ラインの平面図。
【図2】強化が不十分になりやすい領域を示す代表的な板ガラスの平面図。
【図3】従来の噴射ヘッドアセンブリの斜視図。
【図4】本発明に従う複数の可変長ノズルを備えた噴射ヘッドアセンブリの斜視図。
【図5】本発明に従う第1及び第2の相補的な強化アセンブリの断面図。
【図6】本発明の好適実施形態に従い噴射ヘッドアセンブリの幅にわたりガラスに排出される急冷空気のグラフ。
【図7】本発明の強化技術を利用した場合の板ガラスにおけるスプラインの発生を従来の強化装置の場合と比較するグラフ。
【図8】本発明の強化技術を利用した場合の板ガラスの選択的破損試験において生じる最小ガラス粒子数を従来の強化装置の場合と比較するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、ガラス強化装置10に関し、そのような装置を利用して板ガラスを強化する方法に関する。より詳細には、本発明は、板ガラス12の少なくとも1つの主表面の1若しくは複数の領域に所望の量の強化媒体(tempering medium)をより高速で選択的に排出するための装置10及び方法に関する。板ガラス12は、例えば、自動車用窓として用いられるように適合されている。具体的には、本発明の装置10は、ガラス品質検査により強化が不十分であり得ることが示された板ガラス10の特定領域に向けて特定量の強化媒体をより高速で噴射することによって、自動車のバックライトなどの大型板ガラス10の強化を著しく向上させることができる。この状況を改善するために、本願出願人は、強化により非晶質ガラス構造に応力が生じるという公知の原理及び圧縮応力が優勢な領域は引張応力が優勢な領域よりもガラスを強くするという公知の原理を利用した。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、本願出願人は、本発明の装置が、応力差を大きくした領域を多数作ることで、望ましくないスプラインの発生を90%も減少させると考えている。より詳細には、本発明は、強化される板ガラスの表面に選択的により近接させた複数の急冷ノズルを用いると、10mPa以上の応力差が生じることが分かり、それが被選択領域におけるスプライン長さの減少に有益であることが分かった。
【0016】
図2に示すように、大型板ガラス12において、許容可能な強化破損パターンから外れた、すなわち、細かい丸みを帯びた粒子ではなく「スプライン」として知られている長寸のガラス破片の破損パターンをもたらす不十分な強化が最も生じやすいことが分かっている領域は、ガラス強化装置の中心線の両側に、中心線から横方向に比較的一定の距離(距離「A」)に存在する。スプラインが一般的に生じる領域の幅も、比較的一定である傾向があり、本明細書において距離「B」と呼ぶこともある。板ガラスの中心線から横方向における距離「B」の外縁から板ガラスの最外縁までの距離を、本明細書において距離「C」と呼ぶこともある。本発明などの強化装置については、「噴射ヘッド」、「急冷モジュール」または「急冷ボックス」と呼ぶこともある。
【0017】
図1に概略的に示すような典型的なガラス強化ライン14の構成要素として強化装置10を用いることができることは、本発明の利点である。図3に従来の噴射ヘッドアセンブリを示す。図に示すように、複数の急冷ノズルは、成形板ガラスの曲線形状に従うように構成されている。従って、急冷ノズルの遠位端は、成形板ガラスの表面からの実質的に均一な距離にとどまる。図4に本発明に従う強化装置10を示す。詳細に後述するように、本発明の目的は、被選択ノズルからの、成形板ガラスの表面と接触する強化媒体の速度を増加させるために、当該被選択急冷ノズルの遠位端をガラス表面に近付けて配置することである。
【0018】
尚も図4を参照すると、図4中でガラスの進行方向として示されている方向において、複数のノズルが図示されており、それらのノズルからは強化媒体(好適には空気)が噴射され、板ガラスの主表面に向けられる。
【0019】
本発明によれば、板ガラス12の進行方向において、板ガラス12は先ず、複数の第1のノズル16を有する第1のゾーンに遭遇する。第1のノズル16の配列は、「ドミノファイブ(domino five:ドミノ牌の「5」の目の配列)」パターンとしても知られる千鳥配列であることが好ましいが、他のノズルパターンも本発明の範囲内である。ライン上を動いている板ガラス12は、その後、複数の第2のノズル18を有する第2のゾーンに遭遇する。第2のノズル18の配列は、「ストライパ(striper:縞模様をなす配列)」または変形ストライパとしても知られる平行配列である。図に示すように、ノズルの長さは、装置の中心線の横方向両側で、或る領域において異なる。図2の板ガラス12上に示されている距離「A」「B」及び「C」は、図4に示した本発明の実施形態に従って、強化装置10の対応する領域上に重ね合わされる。最後に、進行経路の強化装置を過ぎたところで、板ガラス12は、複数の第3のノズル20を有する第3のゾーンに遭遇する。第3のノズル20の配列は、ドミノファイブや変形ドミノファイブパターンなどの千鳥配列である。
【0020】
第1、第2及び第3のノズル16、18、20のノズルの長さは、強化される板ガラス12の形状に実質的に適合するように予め決められる。
【0021】
尚も図4を参照すると、強化装置10の変形ストライパ部分18において、かつガラスの進行方向に対して横方向において、本発明に従う変形ストライパは、冷却用空気が通常50°Fないし150°F(10℃ないし65.6℃)の温度で板ガラス10に向かって噴射されるノズルの平行配列であると言うことができる。
【0022】
例えば図5に示すように、ガラス強化装置の中心線の両側で、横方向距離「A」領域において、板ガラスの表面から平行配列された複数のノズルの先端までの距離は、xとして示すことができ、かつ約80〜90mmであることが好ましい。これらのノズルの直径は、通常約6〜12mm、好適には約6〜9mmである。
【0023】
しかし、注目すべきは、横方向距離「B」によって示される領域において、ガラスから複数の第2のノズル18の先端までの距離を、xより小さいyで表すことができることである。ガラス表面からノズルまでの距離は、約60〜70mmであることが好ましい。ノズルの直径は、通常約6〜12mm、好適には約6〜9mmである。それゆえ、板ガラスの表面の被選択領域に排出することができる強化媒体の速度は、従来のストライパモジュールによって排出される速度よりも、好適には約15%以上、実質的に増加する。変形ストライパモジュールにおいて排出される強化媒体の速度の変化のグラフ表示を図6に示す。強化媒体の温度は、一般的に50°Fないし150°F(10℃ないし65.6℃)である。
【0024】
加えて、ガラス表面からノズルまでの距離がyである横方向距離「B」領域におけるガラス表面からの熱伝達は、ガラス表面からのノズルの距離がxである領域における熱伝達よりも、約10%以上大きい。
【0025】
横方向距離「C」として示される領域において、基板表面からノズルの先端までの距離は、x、すなわち約80〜90mmである。これらのノズルの直径は、通常約6〜12mm、好適には6〜9mmである。本発明によれば、ガラス強化アセンブリの中心線に対して直角をなす該中心線の両側の方向において、横方向距離A、B及びCは、強化される板ガラス12の大きさ及び幾何形状によって決まることになる。
【0026】
本発明の理論については、次式を参照することでよりよく理解することができる。
【数1】

【数2】

【0027】

【0028】
本発明の利益は、表1〜表4に示すデータを参照することにで理解することができる。比較例及び本発明に従う例に対する条件は、以下の通りとした。
ライン速度=240インチ(6.1メートル)/分
急冷モジュール圧力は、54及び47水柱インチ(13.5及び11.7kPa)であった。
ガラス加熱炉温度は、652°C〜657°Cであった。
鋳型を閉じた時間=約1秒。
上部急冷ノズルと下部急冷ノズルの先端間距離=89mm。
噴射ヘッド空気温度=104°F(40℃)、110°F(43.3℃)
ガラス厚さは、3.44〜3.47mmであった。
【0029】
ガラス強化プロセスの有効性を判定する1つの方法は、強化ガラスを破砕したときの最小粒子数及び最大スプライン長さに関して特定の規制基準との比較を行うことである。本願の目的上、最小粒子数が50mm当たり粒子40個より多く、その上、長さが75mmより大きいスプラインがなければ、強化は申し分ないと見なされる。スプラインは、ガラスが破砕された後に基本的に完全なままである概ね長寸のガラス破片を意味する。
【表1】

【0030】
表1は、従来の1組の急冷モジュールを利用して強化された5つのガラス供試体の破砕結果を示している。従来の1組の急冷モジュールとは、すなわち、強化するガラスの形状に合わせた複数のノズルを、ドミノファイブパターン及びストライパパターンで交互に配置した領域を有する上部及び下部急冷モジュールである。上部急冷ノズルにも、下部急冷ノズルにも、選択的に長さを延長したノズルはなかった。
【0031】
表1を見て分かるように、従来の技術を利用した場合、最小粒子数が容易に40/50mmの最小数を超える一方で、スプライン長さはどの例でも75mmより大きく、これは強化が総じて不十分であることを示している。
【表2】

【表3】

【0032】
表2及び表3は、上部急冷ノズル及び下部急冷ノズルの両者の被選択領域において長さを延長したノズルを複数有する1組の急冷モジュールを利用して強化されたいくつかのガラス供試体の破砕結果を示している。例6〜11で、ガラス基板において延長した急冷ノズルの影響を受ける領域の追加加熱(選択加熱)を試験した。例12〜21に関しては、そのような選択加熱を用いなかった。複数の延長したノズルの影響を受ける領域での選択加熱は、観察される最小粒子数を幾分か増加させるようであるが、スプライン長さにはそれほど影響しなかった。最小粒子数は、40/50mmの最小数を優に上回っている。同様に、例6〜21の最大スプライン長さは、75mmを優に下回っている。
【表4】

【0033】
表4は、本発明に従って、上部急冷モジュールの被選択領域においてのみ延長したノズルを複数有する1組の急冷モジュールを利用して強化されたいくつかのガラス供試体の破砕結果を示している。最小粒子数及び最大スプライン長さは、例6〜21において見られるように上部急冷ノズル及び下部急冷ノズルの両者に延長したノズルを利用した場合と同程度に、またはそれ以上に良好である。こうして、意外にも、従来の急冷モジュールではそのような結果を得ることが困難であった大型板ガラスの領域において良好な強化を達成するために、上部急冷ノズル及び下部急冷ノズルの両者に延長したノズルを設ける必要はないということが分かった。
【0034】
好適な構成では、第2の強化装置22は、全てが基板の表面からほぼ同じ距離にある複数のノズルと、強化される板ガラスの形状に実質的に合う形状とを有し、第1のガラス強化装置に相補的であり、第1の強化装置10に対向しかつ、強化される板ガラス12が両者の間を通過するのに十分な距離だけ第1の強化装置10から離間しており、第2のガラス強化装置22は、板ガラスの第2の表面に向けて所望の量の強化媒体を所定の速度で噴射することができる。
【0035】
当業者は、上記の説明に照らして、本発明の変形及び変更が可能であることが分かるであろう。従って、添付の請求項の範囲内で、具体的に説明した以外の別の方法で本発明を実施することができることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス強化装置であって、強化される成形板ガラスの進行方向に平行な方向に、順に、第1のゾーン、第2のゾーン、第3のゾーンを含む第1のガラス強化モジュールを有し、
前記第1のゾーンにおいては、前記板ガラスの第1の表面に向けて強化媒体を所定の速度で噴射する複数の第1のノズルが、前記成形板ガラスの断面形状に合うように前記板ガラスの前記第1の表面から第1の距離をおいて千鳥配列され、
前記第2のゾーンにおいては、前記板ガラスの前記表面に向けて強化媒体を噴射する複数の第2のノズルが、実質的に平行配列されかつ前記第2のゾーンの中心線に関して対称な形態をとり、
前記中心線から、該中心線から第1の横方向距離を隔てた位置までの領域において、前記第2のノズルが、前記ガラス表面に向けて強化媒体を第1の所定の速度で噴射するように、前記ガラス表面から、該ガラス表面から前記第1のゾーンの前記ノズルまでの前記距離に実質的に等しい第1の距離をおいて配列され、
前記中心線から前記第1の横方向距離を隔てた位置から、前記中心線から第2の横方向距離を隔てた位置までの領域において、前記第2のノズルが、前記ガラス表面に向けて強化媒体を前記第1の所定の速度よりも大きい第2の所定の速度で噴射するように、前記板ガラスから前記第1の距離よりも小さい第2の距離をおいて配列され、
前記中心線から前記第2の横方向距離を隔てた位置から、前記中心線から第3の横方向距離を隔てた位置までの領域において、前記第2のノズルが、前記ガラス表面に向けて強化媒体を実質的に前記第1の所定の速度で噴射するように、前記ガラス表面から実質的に前記第1の距離をおいて配列され、
前記第3のゾーンにおいては、前記板ガラスの前記表面に向けて強化媒体を前記第1の速度に実質的に等しい所定の速度で噴射する複数の第3のノズルが、前記板ガラスの前記表面から、前記板ガラスの前記表面から前記第1のノズルまでの前記距離に実質的に等しい距離をおいて、前記第1のノズルの前記配列と実質的に同様に千鳥配列されていることを特徴とするガラス強化装置。
【請求項2】
前記第1のガラス強化モジュールに相補的な形状を有しかつ前記第1のガラス強化モジュールに対向しかつ離間した第2のガラス強化モジュールをさらに含み、該第2のガラス強化モジュールが、第1のゾーンと、第2のゾーンと、第3のゾーンとを含み、
前記第1のゾーンにおいては、複数の第1のノズルが、前記板ガラスの第2の表面から、前記ガラス表面から前記第1のガラス強化モジュールまでの前記第1の距離と実質的に同様の第1の距離をおいて、前記第1のガラス強化モジュールのノズル配列と実質的に同様のパターンで配列され、
前記第2のゾーンにおいては、複数の第2のノズルが、前記板ガラスの前記第2の表面から、前記第1のガラス強化モジュールの前記第1のノズルの前記第1の距離に実質的に等しい距離をおいて配列され、
前記第3のゾーンにおいては、複数の第3のノズルが、前記板ガラスの前記第2の表面から、前記第1のガラス強化モジュールの前記第1のノズルの前記第1の距離に実質的に等しい距離をおいて配列され、
それによって、前記第1、第2及び第3のノズルが、前記成形板ガラスの第2の表面に向けて前記強化媒体を前記第1のガラス強化モジュールの前記第1の所定の速度に実質的に等しい所定の速度で噴射するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のガラス強化装置。
【請求項3】
前記第2のゾーンにおいて、前記中心線から横方向における距離Aの範囲では、前記板ガラスの前記第1の表面から前記ノズルまでの前記第1の距離がxであり、距離Bの範囲では、前記板ガラスの前記第1の表面から前記ノズルまでの前記第2の距離がyであり、距離Cの範囲では、前記板ガラスの前記第1の表面から前記ノズルまでの第1の距離が再びxであり、xがyよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のガラス強化装置。
【請求項4】
前記第2のゾーンにおいて、前記中心線から横方向における距離A、距離B及び距離Cの範囲でそれぞれ、前記板ガラスの前記第2の表面から前記ノズルまでの前記距離がxであることを特徴とする請求項2に記載のガラス強化装置。
【請求項5】
前記成形板ガラスが、自動車用ガラスであることを特徴とする請求項1に記載のガラス強化装置。
【請求項6】
前記強化媒体が、50°F〜150°F(10℃〜65.6℃)の温度の空気であることを特徴とする請求項1に記載のガラス強化装置。
【請求項7】
前記板ガラスの前記第1の表面から第2のより短い距離にある前記第2のノズルの一部によって前記板ガラスの前記第1の表面に噴射される前記強化媒体の前記速度が、前記板ガラスの前記第1の表面からより長い距離にある前記第1及び第3のノズルによって噴射される前記板ガラスの前記第1の表面における前記強化媒体の前記速度よりも、少なくとも10%大きくなるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のガラス強化装置。
【請求項8】
前記板ガラスの前記第1の表面から第2の距離にある前記第2のノズルの一部によって噴射される前記強化媒体が接触する領域における前記板ガラスの前記第1の表面での熱伝達が、前記第1及び第3のノズルによって噴射される強化媒体が接触する領域における前記板ガラスの前記第1の表面での強化媒体の熱伝達よりも、少なくとも15%大きくなるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の第1のガラス強化装置。
【請求項9】
前記各ノズルの直径が、6〜12mmであることを特徴とする請求項1に記載の第1のガラス強化装置。
【請求項10】
xがyより15〜25mm大きいことを特徴とする請求項3に記載の第1のガラス強化装置。
【請求項11】
前記板ガラスの前記第1の表面から距離yにあるノズルが、前記板ガラスの前記第1の表面から距離xにあるノズルよりも、前記板ガラスの前記第1の表面に15〜25mm近いことを特徴とする請求項3に記載の第1のガラス強化装置。
【請求項12】
板ガラス強化方法であって、
第1及び第2の主表面を有し、ガラス搬送システムによって連続的に搬送される1若しくは複数の成形板ガラスを提供するステップと、
互いに相補的な形状を有し、互いに対向しかつ互いから所定の距離離間した第1の強化モジュール及び第2の強化モジュールを提供するステップとを含み、各強化モジュールがそれぞれ、第1のゾーンと、第2のゾーンと、第3のゾーンとを含み、
前記第1のゾーンにおいては、前記板ガラスの第1の表面に向けて強化媒体を所定の速度で噴射する複数の第1のノズルが、前記成形板ガラスの断面形状に合うように前記板ガラスの前記第1の表面から第1の距離をおいて千鳥配列され、
前記第2のゾーンにおいては、前記板ガラスの前記表面に向けて強化媒体を噴射する複数の第2のノズルが、実質的に平行配列されかつ前記第2のゾーンの中心線に関して対称な形態をとり、
前記中心線から、該中心線から第1の横方向距離を隔てた位置までの領域において、前記第2のノズルが、前記ガラス表面に向けて強化媒体を第1の所定の速度で噴射するように、前記ガラス表面から、該ガラス表面から前記第1のゾーンの前記ノズルまでの前記距離に実質的に等しい第1の距離をおいて配列され、
前記中心線から前記第1の横方向距離を隔てた位置から、前記中心線から第2の横方向距離を隔てた位置までの領域において、前記第2のノズルが、前記ガラス表面に向けて強化媒体を前記第1の所定の速度よりも大きい第2の所定の速度で噴射するように、前記板ガラスから前記第1の距離よりも小さい第2の距離をおいて配列され、
前記中心線から前記第2の横方向距離を隔てた位置から、前記中心線から第3の横方向距離を隔てた位置までの領域において、前記第2のノズルが、前記ガラス表面に向けて強化媒体を実質的に前記第1の所定の速度で噴射するように、前記ガラス表面から実質的に前記第1の距離をおいて配列され、
前記第3のゾーンにおいては、前記板ガラスの前記表面に向けて強化媒体を前記第1の速度に実質的に等しい所定の速度で噴射する複数の第3のノズルが、前記板ガラスの前記表面から、前記板ガラスの前記表面から前記第1のノズルまでの前記距離に実質的に等しい距離をおいて、前記第1の複数のノズルの前記配列と実質的に同様に千鳥配列されており、
前記方法がさらに、
前記1若しくは複数の成形板ガラスを、前記第1のガラス強化モジュールと前記第2のガラス強化モジュールとの間で搬送するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記成形板ガラスが、自動車用窓であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記強化媒体の温度が、50°F〜150°F(10℃〜65.6℃)であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の表面に選択的により近接させた前記ノズルによって前記板ガラスの前記第1の表面に噴射される前記強化媒体の前記速度が、前記第1のガラス表面からより遠い距離にある前記ノズルから噴射される前記強化媒体の前記速度よりも、少なくとも10%大きいことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の装置を利用した板ガラス強化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−530029(P2012−530029A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514941(P2012−514941)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/001645
【国際公開番号】WO2010/147624
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(591229107)ピルキントン グループ リミテッド (82)
【Fターム(参考)】