改良された固定手段を有するステント搬送システム
本発明は、膨張可能なバルーン及び搬送カテーテル上のステント(28)の固定力を高め、かつステント展開前及び展開中においてステントの一部を拘束するために、固定部材(10)を備える。固定部材は、カテーテルと係合するように構成される固定コネクタ(14)と、該固定コネクタに対して連結され、可撓性を有する少なくとも1個の連結部材(18)と、ステントの一部(30)と係合するように構成されるロック部材(22)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張により拡張可能なステントの搬送及び展開に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ステント及びステント搬送アセンブリは、多数の医療手技及び医療現場で用いられており、その構造及び機能がよく知られている。ステントは、カテーテルを介して体内管の管腔に挿入されるほぼ円筒形状の人工器官であり、概して縮小された径を有し、体内管の径まで拡張するように構成される。拡張された形状においては、ステントは、体内管を開存状態、すなわち非閉塞状態に保持するとともに、体内管壁を支持し、かつ補強する。
【0003】
自己拡張型ステント及び膨張により拡張するタイプのステントのいずれもよく知られており、様々な設計及び形状のものが販売されている。膨張により拡張するタイプのステントは、搬送カテーテルの周囲において縮小された径となるように巻縮され、展開部位まで進行させられ、搬送カテーテル上に配置されたバルーンを流体により膨張させることにより、ステントの径を体内管の径まで拡張させる。
【0004】
現在、市場では拡張可能な冠状動脈用ステントの壁厚を減少させる傾向がある。臨床では、壁厚を薄くしたステントは、より良好な血管反応を得られるとの結果が出ている。
また、市場においては、ステントの可撓性を高める傾向も見られる。ステントの可撓性を高めることで、医師がより容易にステントに体内管腔、特に細い血管によく見られる蛇行した通路を進行させることができる。
【0005】
したがって、従来のステントは、薄い壁厚と高い可撓性を組み合わせるが、これによりステント搬送に関して様々な不都合な点が見られる。壁厚が薄くされたステントは、通常、全方向において強度が弱められてしまう。強度が弱められたステントは、縮小状態においてバルーン及び搬送カテーテルへの固定力が弱まることとなり、体内を進行するうちに、ステントのカテーテル上における位置がずれる虞が高まる。ステントは、その基端及び先端の位置がずれることなく、搬送カテーテル上において軸方向における位置を安全に維持することができなければならない。
【0006】
ステントの壁厚を減少させることは、ステントの軸方向における強度を減少させることにつながりうる。軸方向における剛性が低くなると、ステントは曲線状をなす体内管内をより容易に通過することができるが、拡張中におけるステントの配置が困難となりうる。軸方向における剛性が低いステントをバルーンカテーテルにより拡張すると、ステントの長さの変化がより大きくなる場合がある。バルーンの膨張が、両端において開始され、内側へ向かって進む場合、展開されたステントは、拡張後における全体の長さが短くなることが多い。逆に、バルーンの膨張が中央から開始され、外側へ向かって進む場合には、ステントは、展開されると長さが長くなることが多い。
【0007】
膨張により拡張可能なステントの搬送及び展開アセンブリとしては、搬送中にステントを覆う拘束手段を用いたものが知られている。サビン(Savin) 他に特許が付与された特許文献1は、拡張可能なステントの搬送システムについて開示しており、同システムでは、搬送中にスリーブがステントの先端縁部又は基端縁部(或いはその両方)を覆う。展開部位においてステントを拡張する間、ステントの縁部が保護スリーブから解放される。ソラー(Solar) に特許が付与された特許文献2には、圧縮されたステントの対向する端部の周囲に配置される保持シースを用いたステント搬送及び展開アセンブリが開示されている。特許文献2に開示される保持シースは、ステントが径方向に拡張されると圧力が付与されて裂けるように構成されており、ステントをシースとの係合状態から解放する。リャン(Ryan)他に特許が付与された特許文献3には、展開部位まで案内している間、可撓性を有する1個又は2個のエンドキャップと、バルーンを包囲する環状ソケットとを用いてステントを配置するステントイントロデューサシステムが開示されている。
【特許文献1】米国特許第4,950,227号明細書
【特許文献2】米国特許第5,403,341号明細書
【特許文献3】米国特許第5,108,416号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これら公知の方法は、通常、バルーンを膨張させる手技の早い段階でステントを解放しており、膨張中にステントの軸方向における寸法を維持しない。
【0009】
このため、ステントが完全に拡張されるまでステントの軸方向における寸法を抑制するステント搬送システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において言及された全ての米国特許及び特許出願ならびに他の刊行物は、その全体が本明細書において開示されたものとする。
【0011】
本発明の範囲を限定することなく、請求される本発明の実施形態のうちいくつかの要約を以下に記載する。要約された実施形態のさらなる詳細及び/又は本発明のさらなる実施形態については、「発明の詳細な説明」に記載されている。
【0012】
なお、要約書は、本願請求の範囲を解釈するために使用することを意図したものではない。
(発明の概要)
一実施形態においては、本発明は、搬送中にステントの移動を防止する器具に関する。該器具は、カテーテルと係合するように構成される固定コネクタと、可撓性を有する少なくとも1個の連結部材と、ステントの一部と係合するように構成される少なくとも1個のロック部材とを備える。前記器具は、ステントが拡張する間、ステントの一部を拘束することができる。
【0013】
別の実施形態においては、本発明は、カテーテルと、膨張可能なバルーンと、径方向に拡張可能なステントと、径方向に拡張可能な少なくとも1個の抑制部材とを備えたステント搬送システムに関する。抑制部材は、カテーテルに対して連結される第1端部と、ステントと係合するように構成される部分を少なくとも一つ有する第2端部とを備える。抑制部材は、バルーンの拡張する間を通じて、ステントと係合し続けてもよい。
【0014】
別の実施形態においては、本発明は、カテーテルと、膨張可能なバルーンと、径方向に拡張可能なステントと、径方向に拡張可能な少なくとも1個の抑制部材とを有するステント搬送システムに関する。抑制部材は、周方向に延びる帯状体を備えており、該帯状体は、これを貫通する複数の開口と、少なくとも1個の係合部とを備える。抑制部材は、少なくともその一部がバルーンと重なり合うように構成されており、前記少なくとも1個の係合部が、ステントを係合するように構成される。抑制部材とステントが係合されると、ステントの軸方向における移動が防止される。
【0015】
本発明の特徴を示すこれらの実施形態及び他の実施形態は、本明細書に添付され、本願の一部をなす請求の範囲において明確に記載される。しかしながら、本発明、ならびに本発明の効果及び目的をよりよく理解するために、本願の一部を形成する図面と、例示され、説明される本発明の実施形態に関する説明事項を参照すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明を詳細に説明する。
(発明の詳細な説明)
本発明は多くの異なる態様にて実施可能であるが、本明細書においては特定の好ましい実施形態について詳細に説明する。この説明は本発明の原理を例示するものであり、本発明を例示された特定の実施形態に限定するものではない。
【0017】
本願においては、特に明示されない限り、図面における同様の符号は同様の特徴を示すものである。
一実施形態においては、本発明は、図1〜図4に示されるステント固定部材10に関する。固定部材10は、固定コネクタ14と、可撓性を有する連結部材18と、ロック部材又は係合部材22とを備える。
【0018】
固定部材10は、望ましくはステント28の一端部又は両端部に配置される係合可能な部分30を有するステント28とともに使用することができる。ロック部材22は、ステントの係合可能な部分30と係合するように構成されており、ステント28の移動を抑制する。望ましくは、ステントの係合可能な部分30におけるステント28の移動は、二次元において抑制される。固定部材10は、バルーンの周囲におけるステント28の回転を防止するとともに、ステントの軸方向における移動も妨げる。望ましくは、固定部材10は、ステント28の径方向に向かう拡張方向の動きは抑制しない。
【0019】
固定部材10は、通常、ステント搬送時にカテーテル34及び膨張バルーン36とともに使用される。バルーンにより拡張可能なステント28は、通常、縮小状態にてバルーン36及びカテーテル34の周囲に巻縮される。固定部材10は、ロック部材22がステントの係合可能な部分30と係合した状態で、カテーテル34上に配置することができる。固定コネクタ14は、望ましくは熱結合、接着、スエージングにより、又はカテーテル34と摩擦係合する適切な寸法の径を有することにより、カテーテル34のシャフトに対して結合される。固定コネクタ14は、望ましくはカテーテル34を包囲するが、カテーテル34と適切に係合する任意の寸法、形状、又は材料で形成することができる。可撓性を有する連結部材18は、固定部材10が所定の位置に配置されたときに、膨張可能なバルーン36の一部と重なり合うことが望ましい。
【0020】
可撓性を有する連結部材18は、望ましくは形状記憶材料から形成される。形状記憶材料は、NiTi、CuZnAl、CuAlNi、MP35N、エルジロイ、フィノックス(Phynox)、TiPtNi、TiPdNi、Cu−Zn、Cu−Al、Fe−Cr−Ni、Fe−Pd、Fe−Pt等の金属とすることができる。形状記憶材料は、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリノルボルネン、トランス−ポリイソプレン、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリエチレン等のポリマーとすることもできる。さらには、可撓性を有する連結部材18は、通常、縮小形状に復元することが望ましい。
【0021】
図3及び図4に基づき説明する。バルーン36が膨張すると、ステント28が拡張する。可撓性を有する連結部材18は、望ましくは、ロック部材22がステント28の径方向への拡張と等しい量だけステントの径方向において移動することができるだけの十分な可撓性と長さを有する。拡張時においては、固定部材10は、ステントの係合可能な部分30の軸方向における移動を妨げ、ステントの長さが変化することを防止する。望ましくは、固定部材10は、ステントの係合可能な部分30がバルーン36の周囲において回転することをも抑制する。
【0022】
ステント28が完全に拡張した径に達すると、バルーン36が収縮させられる。バルーン36が収縮させられると、固定部材10は、望ましくはその元の縮小形状に復元する。望ましくは、これは、可撓性を有する連結部材18の擬弾性効果により達成される。望ましくは、形状記憶合金のオーステナイト相変態終了温度は、ヒトの体温よりも低い。したがって、固定部材10が体内に配置されている間を通じて、形状記憶合金が擬弾性状態を維持する。
【0023】
あるいは、形状記憶合金は、マルテンサイト状態において変形させられてもよい。可撓性を有する連結部材18は、加熱された流体を血管内に注入することにより、その元の縮小形状に復元してもよい。形状記憶合金は、望ましくは、加熱された流体が注入されると、相変化を起こしオーステナイト相に変態する。
【0024】
バルーン36が収縮させられる間、固定部材10を用いてさらにバルーン36に対して圧力を付与し、収縮時間をさらに早めてもよい。バルーン36が収縮すると、固定部材のロック部材22とステントの係合可能な部分30との係合が解除される。
【0025】
バルーン36が適切に収縮させられると、カテーテル34、収縮させられたバルーン36、及び固定部材10がステント28から独立して自由に移動できる。したがって、カテーテル34、バルーン36、及び固定部材10を患者の体内から抜去することができる。
【0026】
別の実施形態においては、本発明は、図5〜図8に示されるステント固定部材10に関する。固定部材10は、固定コネクタ14と、可撓性を有する複数の連結部材18と、複数のロック部材又は係合部材22とを備える。可撓性を有する連結部材18は、蛇行して延びる環状帯を形成してもよい。
【0027】
固定部材10は、複数の係合可能な部分30を有するステント28とともに使用することができる。係合可能な部分30は、望ましくはステント28の一端部又は両端部に位置する。ロック部材22は、ステントの係合可能な部分30と係合するように構成されているため、ステント28の移動を抑制する。望ましくは、ステント28の係合可能な部分30における移動は、二次元において抑制される。固定部材10は、バルーンの周囲におけるステント28の回転を妨げるとともに、ステントの軸方向における移動を妨げる。望ましくは、固定部材10は、ステント28の径方向に向かう拡張方向への移動は抑制しない。
【0028】
固定部材10は通常、ステント搬送時にカテーテル34及び膨張バルーン36とともに使用される。バルーンにより拡張可能なステント28は、通常、縮小状態にてバルーン36及びカテーテル34の周囲に巻縮される。固定部材10は、ロック部材22がステントの係合可能な部分30と適切に係合した状態で、カテーテル34上に配置することができる。固定コネクタ14は、望ましくはスエージングにより、又はカテーテル34と摩擦係合する適切な寸法の径を有することにより、カテーテル34のシャフトに結合される。固定コネクタ14は、望ましくはカテーテル34を包囲するが、カテーテル34と適切に係合する任意の寸法、形状、又は材料で形成することができる。可撓性を有する連結部材18は、固定部材10が所定の位置に配置されたときに、膨張可能なバルーン36の一部と重なり合うことが望ましい。
【0029】
可撓性を有する連結部材18は、望ましくは、NiTi、CuZnAl、CuAlNi、MP35N、エルジロイ、フィノックス、TiPtNi、TiPdNi、Cu−Zn、Cu−Al、Fe−Cr−Ni、Fe−Pd、Fe−Pt等の形状記憶材料で形成される。形状記憶材料は、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリノルボルネン、トランス−ポリイソプレン、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリエチレン等のポリマーであってもよい。さらには、可撓性を有する連結部材18は、通常、縮小形状に復元することが望ましい。
【0030】
図7及び図8に基づき説明する。バルーン36が膨張すると、ステント28が拡張する。可撓性を有する連結部材18は、望ましくは、ロック部材22がステント28の径方向への拡張と等しい量だけステントの径方向において移動することができるだけの十分な可撓性と長さを有する。拡張時においては、固定部材10は、ステントの係合可能な部分30の軸方向における移動を妨げ、ステントの長さが変化することを防止する。望ましくは、固定部材10は、ステントの係合可能な部分30がバルーン36の周囲において回転することをも抑制する。さらには、複数のロック部材22が、ステント28の周方向における拡張が均一かつ比例的に行われるように補助する。
【0031】
ステント28が完全に拡張した径に達すると、バルーン36が収縮させられる。バルーン36が収縮させられると、固定部材10は、元の縮小形状に復元することが望ましい。望ましくは、これは、可撓性を有する連結部材18の擬弾性効果により達成される。望ましくは、形状記憶合金のオーステナイト相変態終了温度は、ヒトの体温よりも低い。したがって、固定部材10が体内に配置されている間を通じて、形状記憶合金が擬弾性状態を維持する。
【0032】
あるいは、形状記憶合金は、マルテンサイト状態において変形させられてもよい。可撓性を有する連結部材18は、加熱された流体を血管内に注入することにより、元の縮小形状に復元してもよい。形状記憶合金は、望ましくは、加熱された流体が注入されると、相変化を起こしオーステナイト相に変態する。
【0033】
バルーン36が収縮させられる間、固定部材10を用いてさらにバルーン36に対して圧力を付与し、収縮時間をさらに早めてもよい。バルーン36が収縮すると、固定部材のロック部材22とステントの係合可能な部分30との係合が解除される。
【0034】
バルーン36が適切に収縮させられると、カテーテル34、収縮させられたバルーン36、及び固定部材10がステント28から独立して自由に移動できる。したがって、カテーテル34、バルーン36、及び固定部材10を患者の体内から抜去することができる。
【0035】
さらに別の実施形態が図9〜図15に示されている。
図9は、固定コネクタ14と、可撓性を有する複数の連結部材18と、複数のロック部材又は係合部材22とを備えた固定部材10の実施形態を示している。可撓性を有する連結部材18は、蛇行して周方向に延びる帯状体を形成し、ロック部材22は、共働してステントの係合可能な部分30と係合する。さらには、本実施形態においては、ステントの係合可能な部分30は、ステント28の一端部における丸みを帯びた山部であってもよい。
【0036】
図10は、固定コネクタ14と、可撓性を有する複数の連結部材18と、少なくとも1個のロック部材又は係合部材22とを備えた固定部材10の実施形態を示している。可撓性を有する連結部材18は、蛇行して周方向に延びる帯状体を形成し、ロック部材22は、前記蛇行して周方向に延びる帯状体の山部の一部上に形成される。本実施形態においては、ステントの係合可能な部分30は、ステント28の一端部における丸みを帯びた山部であってもよい。
【0037】
図11は、固定コネクタ14と、可撓性を有する複数の連結部材18と、少なくとも1個のロック部材又は係合部材22とを備えた固定部材10の実施形態を示している。可撓性を有する連結部材18は、蛇行して周方向に延びる帯状体を形成し、ロック部材22は、前記蛇行して周方向に延びる帯状体の山部の一部上に形成される。
【0038】
図12は、固定コネクタ14と、可撓性を有する複数の連結部材18と、少なくとも1個のロック部材又は係合部材22とを備えた固定部材10の実施形態を示している。可撓性を有する連結部材18は、蛇行して周方向に延びる帯状体を形成し、ロック部材22は、前記蛇行して周方向に延びる帯状体の山部の一部上に形成される。本実施形態においては、ロック部材22は、ステントの係合可能な部分30と係合して、軸方向における移動のみを抑制するように構成される。
【0039】
図13は、別の実施形態における固定部材10を示している。本実施形態におけるロック部材22は、I字状又はH字状の形状を有しており、ステントの係合可能な部分30は、ロック部材22を受承することのできる好適な形状を有する。
【0040】
図14は、別の実施形態における固定部材10を示している。ロック部材22及びステントの係合可能な部分30は、本実施形態においてはフックからなる。
図15は、別の実施形態における固定部材10を示している。本実施形態においては、ロック部材22は、放射線不透過性マーカ38を備えることができる。
【0041】
図1〜図8に示されるカテーテルには、単一の固定部材10が連結されているが、本発明は、単一のステント28に対して複数の固定部材を用いることについても想定している。望ましくは、図16に示されるように、ステント28の各端部においてそれぞれ1個の固定部材10が使用される。状況に応じて、複数の固定部材をステントの一端部又は両端部において使用することができる。したがって、例えば、ステントの一端部に2個以上の固定部材を設けることができる。
【0042】
上述された開示事項は、例示的なものであり、包括的なものではない。これらの記載は、当業者に対して、多くの変更例や別例を提案するものである。これらすべての別例及び変更例は請求項の範囲内に含まれるものであり、請求項における「〜を備える、〜で構成される(comprising)」という語は、「〜を含むものであるが、これに限定されるものではない(including, but not limited to )」ことを意味する。当業者には、本明細書に記載された特定の実施形態と均等である他の技術も、本願の請求項に包含されるものであることが理解されるであろう。
【0043】
さらに、従属項に記載される特定の特徴は、本発明の範囲内で他の様式で互いに組み合わせることができ、本発明は、従属項の特徴の他の可能な組み合わせを有する他の実施形態にも範囲が及ぶものである。例えば、請求項の公開にあたり、多数従属形式が管轄区域内で許容される場合には、後続するいずれの従属項も、当該従属項に記載される全先行語を有する先行請求項すべてに従属する多数従属形式で択一的に記載されたものと見なされるべきである(例えば、請求項1に直接従属する各請求項は、先行する請求項すべてに従属するものと択一的に解釈されるべきである)。多数従属形式が禁止されている管轄区域においては、後続の各従属項において、これら下位従属項に列挙される特定の請求項以外の先行詞を有する先行請求項にそれぞれ単独に従属する形式で択一的に記載されたものと解釈されるべきである。
【0044】
本明細書において、本発明の様々な実施形態について説明した。当業者であれば、本明細書において説明した特定の実施形態の均等物が存在し、このような均等物が添付の請求項に包含されることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一実施形態における本発明のステント固定部材の斜視図。
【図2】一実施形態における、ステントが縮小状態にある、カテーテル上に配置された本発明のステント固定部材の斜視図。
【図3】一実施形態における、膨張バルーンが膨張した状態にある、ステントとともにカテーテル上に配置された本発明のステント固定部材の斜視図。
【図4】一実施形態における、バルーンが収縮させられた後のカテーテル上に配置された本発明のステント固定部材の斜視図。
【図5】一実施形態における本発明のステント固定部材の斜視図。
【図6】一実施形態における、ステントが縮小状態にある、カテーテル上に配置された本発明のステント固定部材の斜視図。
【図7】一実施形態における、膨張バルーンが膨張した状態にある、ステントとともにカテーテル上に配置された本発明のステント固定部材の斜視図。
【図8】一実施形態における、バルーンが収縮させられた後のカテーテル上に配置された本発明のステント固定部材の斜視図。
【図9】別例における本発明のステント固定部材を示す図。
【図10】別例における本発明のステント固定部材を示す図。
【図11】別例における本発明のステント固定部材を示す図。
【図12】別例における本発明のステント固定部材を示す図。
【図13】別例における本発明のステント固定部材を示す図。
【図14】別例における本発明のステント固定部材を示す図。
【図15】別例における、放射線不透過性マーカを有する本発明のステント固定部材を示す図。
【図16】一実施形態における、ステントが縮小状態にある、カテーテル上に配置された本発明のステント固定部材の斜視図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張により拡張可能なステントの搬送及び展開に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ステント及びステント搬送アセンブリは、多数の医療手技及び医療現場で用いられており、その構造及び機能がよく知られている。ステントは、カテーテルを介して体内管の管腔に挿入されるほぼ円筒形状の人工器官であり、概して縮小された径を有し、体内管の径まで拡張するように構成される。拡張された形状においては、ステントは、体内管を開存状態、すなわち非閉塞状態に保持するとともに、体内管壁を支持し、かつ補強する。
【0003】
自己拡張型ステント及び膨張により拡張するタイプのステントのいずれもよく知られており、様々な設計及び形状のものが販売されている。膨張により拡張するタイプのステントは、搬送カテーテルの周囲において縮小された径となるように巻縮され、展開部位まで進行させられ、搬送カテーテル上に配置されたバルーンを流体により膨張させることにより、ステントの径を体内管の径まで拡張させる。
【0004】
現在、市場では拡張可能な冠状動脈用ステントの壁厚を減少させる傾向がある。臨床では、壁厚を薄くしたステントは、より良好な血管反応を得られるとの結果が出ている。
また、市場においては、ステントの可撓性を高める傾向も見られる。ステントの可撓性を高めることで、医師がより容易にステントに体内管腔、特に細い血管によく見られる蛇行した通路を進行させることができる。
【0005】
したがって、従来のステントは、薄い壁厚と高い可撓性を組み合わせるが、これによりステント搬送に関して様々な不都合な点が見られる。壁厚が薄くされたステントは、通常、全方向において強度が弱められてしまう。強度が弱められたステントは、縮小状態においてバルーン及び搬送カテーテルへの固定力が弱まることとなり、体内を進行するうちに、ステントのカテーテル上における位置がずれる虞が高まる。ステントは、その基端及び先端の位置がずれることなく、搬送カテーテル上において軸方向における位置を安全に維持することができなければならない。
【0006】
ステントの壁厚を減少させることは、ステントの軸方向における強度を減少させることにつながりうる。軸方向における剛性が低くなると、ステントは曲線状をなす体内管内をより容易に通過することができるが、拡張中におけるステントの配置が困難となりうる。軸方向における剛性が低いステントをバルーンカテーテルにより拡張すると、ステントの長さの変化がより大きくなる場合がある。バルーンの膨張が、両端において開始され、内側へ向かって進む場合、展開されたステントは、拡張後における全体の長さが短くなることが多い。逆に、バルーンの膨張が中央から開始され、外側へ向かって進む場合には、ステントは、展開されると長さが長くなることが多い。
【0007】
膨張により拡張可能なステントの搬送及び展開アセンブリとしては、搬送中にステントを覆う拘束手段を用いたものが知られている。サビン(Savin) 他に特許が付与された特許文献1は、拡張可能なステントの搬送システムについて開示しており、同システムでは、搬送中にスリーブがステントの先端縁部又は基端縁部(或いはその両方)を覆う。展開部位においてステントを拡張する間、ステントの縁部が保護スリーブから解放される。ソラー(Solar) に特許が付与された特許文献2には、圧縮されたステントの対向する端部の周囲に配置される保持シースを用いたステント搬送及び展開アセンブリが開示されている。特許文献2に開示される保持シースは、ステントが径方向に拡張されると圧力が付与されて裂けるように構成されており、ステントをシースとの係合状態から解放する。リャン(Ryan)他に特許が付与された特許文献3には、展開部位まで案内している間、可撓性を有する1個又は2個のエンドキャップと、バルーンを包囲する環状ソケットとを用いてステントを配置するステントイントロデューサシステムが開示されている。
【特許文献1】米国特許第4,950,227号明細書
【特許文献2】米国特許第5,403,341号明細書
【特許文献3】米国特許第5,108,416号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これら公知の方法は、通常、バルーンを膨張させる手技の早い段階でステントを解放しており、膨張中にステントの軸方向における寸法を維持しない。
【0009】
このため、ステントが完全に拡張されるまでステントの軸方向における寸法を抑制するステント搬送システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において言及された全ての米国特許及び特許出願ならびに他の刊行物は、その全体が本明細書において開示されたものとする。
【0011】
本発明の範囲を限定することなく、請求される本発明の実施形態のうちいくつかの要約を以下に記載する。要約された実施形態のさらなる詳細及び/又は本発明のさらなる実施形態については、「発明の詳細な説明」に記載されている。
【0012】
なお、要約書は、本願請求の範囲を解釈するために使用することを意図したものではない。
(発明の概要)
一実施形態においては、本発明は、搬送中にステントの移動を防止する器具に関する。該器具は、カテーテルと係合するように構成される固定コネクタと、可撓性を有する少なくとも1個の連結部材と、ステントの一部と係合するように構成される少なくとも1個のロック部材とを備える。前記器具は、ステントが拡張する間、ステントの一部を拘束することができる。
【0013】
別の実施形態においては、本発明は、カテーテルと、膨張可能なバルーンと、径方向に拡張可能なステントと、径方向に拡張可能な少なくとも1個の抑制部材とを備えたステント搬送システムに関する。抑制部材は、カテーテルに対して連結される第1端部と、ステントと係合するように構成される部分を少なくとも一つ有する第2端部とを備える。抑制部材は、バルーンの拡張する間を通じて、ステントと係合し続けてもよい。
【0014】
別の実施形態においては、本発明は、カテーテルと、膨張可能なバルーンと、径方向に拡張可能なステントと、径方向に拡張可能な少なくとも1個の抑制部材とを有するステント搬送システムに関する。抑制部材は、周方向に延びる帯状体を備えており、該帯状体は、これを貫通する複数の開口と、少なくとも1個の係合部とを備える。抑制部材は、少なくともその一部がバルーンと重なり合うように構成されており、前記少なくとも1個の係合部が、ステントを係合するように構成される。抑制部材とステントが係合されると、ステントの軸方向における移動が防止される。
【0015】
本発明の特徴を示すこれらの実施形態及び他の実施形態は、本明細書に添付され、本願の一部をなす請求の範囲において明確に記載される。しかしながら、本発明、ならびに本発明の効果及び目的をよりよく理解するために、本願の一部を形成する図面と、例示され、説明される本発明の実施形態に関する説明事項を参照すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明を詳細に説明する。
(発明の詳細な説明)
本発明は多くの異なる態様にて実施可能であるが、本明細書においては特定の好ましい実施形態について詳細に説明する。この説明は本発明の原理を例示するものであり、本発明を例示された特定の実施形態に限定するものではない。
【0017】
本願においては、特に明示されない限り、図面における同様の符号は同様の特徴を示すものである。
一実施形態においては、本発明は、図1〜図4に示されるステント固定部材10に関する。固定部材10は、固定コネクタ14と、可撓性を有する連結部材18と、ロック部材又は係合部材22とを備える。
【0018】
固定部材10は、望ましくはステント28の一端部又は両端部に配置される係合可能な部分30を有するステント28とともに使用することができる。ロック部材22は、ステントの係合可能な部分30と係合するように構成されており、ステント28の移動を抑制する。望ましくは、ステントの係合可能な部分30におけるステント28の移動は、二次元において抑制される。固定部材10は、バルーンの周囲におけるステント28の回転を防止するとともに、ステントの軸方向における移動も妨げる。望ましくは、固定部材10は、ステント28の径方向に向かう拡張方向の動きは抑制しない。
【0019】
固定部材10は、通常、ステント搬送時にカテーテル34及び膨張バルーン36とともに使用される。バルーンにより拡張可能なステント28は、通常、縮小状態にてバルーン36及びカテーテル34の周囲に巻縮される。固定部材10は、ロック部材22がステントの係合可能な部分30と係合した状態で、カテーテル34上に配置することができる。固定コネクタ14は、望ましくは熱結合、接着、スエージングにより、又はカテーテル34と摩擦係合する適切な寸法の径を有することにより、カテーテル34のシャフトに対して結合される。固定コネクタ14は、望ましくはカテーテル34を包囲するが、カテーテル34と適切に係合する任意の寸法、形状、又は材料で形成することができる。可撓性を有する連結部材18は、固定部材10が所定の位置に配置されたときに、膨張可能なバルーン36の一部と重なり合うことが望ましい。
【0020】
可撓性を有する連結部材18は、望ましくは形状記憶材料から形成される。形状記憶材料は、NiTi、CuZnAl、CuAlNi、MP35N、エルジロイ、フィノックス(Phynox)、TiPtNi、TiPdNi、Cu−Zn、Cu−Al、Fe−Cr−Ni、Fe−Pd、Fe−Pt等の金属とすることができる。形状記憶材料は、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリノルボルネン、トランス−ポリイソプレン、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリエチレン等のポリマーとすることもできる。さらには、可撓性を有する連結部材18は、通常、縮小形状に復元することが望ましい。
【0021】
図3及び図4に基づき説明する。バルーン36が膨張すると、ステント28が拡張する。可撓性を有する連結部材18は、望ましくは、ロック部材22がステント28の径方向への拡張と等しい量だけステントの径方向において移動することができるだけの十分な可撓性と長さを有する。拡張時においては、固定部材10は、ステントの係合可能な部分30の軸方向における移動を妨げ、ステントの長さが変化することを防止する。望ましくは、固定部材10は、ステントの係合可能な部分30がバルーン36の周囲において回転することをも抑制する。
【0022】
ステント28が完全に拡張した径に達すると、バルーン36が収縮させられる。バルーン36が収縮させられると、固定部材10は、望ましくはその元の縮小形状に復元する。望ましくは、これは、可撓性を有する連結部材18の擬弾性効果により達成される。望ましくは、形状記憶合金のオーステナイト相変態終了温度は、ヒトの体温よりも低い。したがって、固定部材10が体内に配置されている間を通じて、形状記憶合金が擬弾性状態を維持する。
【0023】
あるいは、形状記憶合金は、マルテンサイト状態において変形させられてもよい。可撓性を有する連結部材18は、加熱された流体を血管内に注入することにより、その元の縮小形状に復元してもよい。形状記憶合金は、望ましくは、加熱された流体が注入されると、相変化を起こしオーステナイト相に変態する。
【0024】
バルーン36が収縮させられる間、固定部材10を用いてさらにバルーン36に対して圧力を付与し、収縮時間をさらに早めてもよい。バルーン36が収縮すると、固定部材のロック部材22とステントの係合可能な部分30との係合が解除される。
【0025】
バルーン36が適切に収縮させられると、カテーテル34、収縮させられたバルーン36、及び固定部材10がステント28から独立して自由に移動できる。したがって、カテーテル34、バルーン36、及び固定部材10を患者の体内から抜去することができる。
【0026】
別の実施形態においては、本発明は、図5〜図8に示されるステント固定部材10に関する。固定部材10は、固定コネクタ14と、可撓性を有する複数の連結部材18と、複数のロック部材又は係合部材22とを備える。可撓性を有する連結部材18は、蛇行して延びる環状帯を形成してもよい。
【0027】
固定部材10は、複数の係合可能な部分30を有するステント28とともに使用することができる。係合可能な部分30は、望ましくはステント28の一端部又は両端部に位置する。ロック部材22は、ステントの係合可能な部分30と係合するように構成されているため、ステント28の移動を抑制する。望ましくは、ステント28の係合可能な部分30における移動は、二次元において抑制される。固定部材10は、バルーンの周囲におけるステント28の回転を妨げるとともに、ステントの軸方向における移動を妨げる。望ましくは、固定部材10は、ステント28の径方向に向かう拡張方向への移動は抑制しない。
【0028】
固定部材10は通常、ステント搬送時にカテーテル34及び膨張バルーン36とともに使用される。バルーンにより拡張可能なステント28は、通常、縮小状態にてバルーン36及びカテーテル34の周囲に巻縮される。固定部材10は、ロック部材22がステントの係合可能な部分30と適切に係合した状態で、カテーテル34上に配置することができる。固定コネクタ14は、望ましくはスエージングにより、又はカテーテル34と摩擦係合する適切な寸法の径を有することにより、カテーテル34のシャフトに結合される。固定コネクタ14は、望ましくはカテーテル34を包囲するが、カテーテル34と適切に係合する任意の寸法、形状、又は材料で形成することができる。可撓性を有する連結部材18は、固定部材10が所定の位置に配置されたときに、膨張可能なバルーン36の一部と重なり合うことが望ましい。
【0029】
可撓性を有する連結部材18は、望ましくは、NiTi、CuZnAl、CuAlNi、MP35N、エルジロイ、フィノックス、TiPtNi、TiPdNi、Cu−Zn、Cu−Al、Fe−Cr−Ni、Fe−Pd、Fe−Pt等の形状記憶材料で形成される。形状記憶材料は、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリノルボルネン、トランス−ポリイソプレン、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリエチレン等のポリマーであってもよい。さらには、可撓性を有する連結部材18は、通常、縮小形状に復元することが望ましい。
【0030】
図7及び図8に基づき説明する。バルーン36が膨張すると、ステント28が拡張する。可撓性を有する連結部材18は、望ましくは、ロック部材22がステント28の径方向への拡張と等しい量だけステントの径方向において移動することができるだけの十分な可撓性と長さを有する。拡張時においては、固定部材10は、ステントの係合可能な部分30の軸方向における移動を妨げ、ステントの長さが変化することを防止する。望ましくは、固定部材10は、ステントの係合可能な部分30がバルーン36の周囲において回転することをも抑制する。さらには、複数のロック部材22が、ステント28の周方向における拡張が均一かつ比例的に行われるように補助する。
【0031】
ステント28が完全に拡張した径に達すると、バルーン36が収縮させられる。バルーン36が収縮させられると、固定部材10は、元の縮小形状に復元することが望ましい。望ましくは、これは、可撓性を有する連結部材18の擬弾性効果により達成される。望ましくは、形状記憶合金のオーステナイト相変態終了温度は、ヒトの体温よりも低い。したがって、固定部材10が体内に配置されている間を通じて、形状記憶合金が擬弾性状態を維持する。
【0032】
あるいは、形状記憶合金は、マルテンサイト状態において変形させられてもよい。可撓性を有する連結部材18は、加熱された流体を血管内に注入することにより、元の縮小形状に復元してもよい。形状記憶合金は、望ましくは、加熱された流体が注入されると、相変化を起こしオーステナイト相に変態する。
【0033】
バルーン36が収縮させられる間、固定部材10を用いてさらにバルーン36に対して圧力を付与し、収縮時間をさらに早めてもよい。バルーン36が収縮すると、固定部材のロック部材22とステントの係合可能な部分30との係合が解除される。
【0034】
バルーン36が適切に収縮させられると、カテーテル34、収縮させられたバルーン36、及び固定部材10がステント28から独立して自由に移動できる。したがって、カテーテル34、バルーン36、及び固定部材10を患者の体内から抜去することができる。
【0035】
さらに別の実施形態が図9〜図15に示されている。
図9は、固定コネクタ14と、可撓性を有する複数の連結部材18と、複数のロック部材又は係合部材22とを備えた固定部材10の実施形態を示している。可撓性を有する連結部材18は、蛇行して周方向に延びる帯状体を形成し、ロック部材22は、共働してステントの係合可能な部分30と係合する。さらには、本実施形態においては、ステントの係合可能な部分30は、ステント28の一端部における丸みを帯びた山部であってもよい。
【0036】
図10は、固定コネクタ14と、可撓性を有する複数の連結部材18と、少なくとも1個のロック部材又は係合部材22とを備えた固定部材10の実施形態を示している。可撓性を有する連結部材18は、蛇行して周方向に延びる帯状体を形成し、ロック部材22は、前記蛇行して周方向に延びる帯状体の山部の一部上に形成される。本実施形態においては、ステントの係合可能な部分30は、ステント28の一端部における丸みを帯びた山部であってもよい。
【0037】
図11は、固定コネクタ14と、可撓性を有する複数の連結部材18と、少なくとも1個のロック部材又は係合部材22とを備えた固定部材10の実施形態を示している。可撓性を有する連結部材18は、蛇行して周方向に延びる帯状体を形成し、ロック部材22は、前記蛇行して周方向に延びる帯状体の山部の一部上に形成される。
【0038】
図12は、固定コネクタ14と、可撓性を有する複数の連結部材18と、少なくとも1個のロック部材又は係合部材22とを備えた固定部材10の実施形態を示している。可撓性を有する連結部材18は、蛇行して周方向に延びる帯状体を形成し、ロック部材22は、前記蛇行して周方向に延びる帯状体の山部の一部上に形成される。本実施形態においては、ロック部材22は、ステントの係合可能な部分30と係合して、軸方向における移動のみを抑制するように構成される。
【0039】
図13は、別の実施形態における固定部材10を示している。本実施形態におけるロック部材22は、I字状又はH字状の形状を有しており、ステントの係合可能な部分30は、ロック部材22を受承することのできる好適な形状を有する。
【0040】
図14は、別の実施形態における固定部材10を示している。ロック部材22及びステントの係合可能な部分30は、本実施形態においてはフックからなる。
図15は、別の実施形態における固定部材10を示している。本実施形態においては、ロック部材22は、放射線不透過性マーカ38を備えることができる。
【0041】
図1〜図8に示されるカテーテルには、単一の固定部材10が連結されているが、本発明は、単一のステント28に対して複数の固定部材を用いることについても想定している。望ましくは、図16に示されるように、ステント28の各端部においてそれぞれ1個の固定部材10が使用される。状況に応じて、複数の固定部材をステントの一端部又は両端部において使用することができる。したがって、例えば、ステントの一端部に2個以上の固定部材を設けることができる。
【0042】
上述された開示事項は、例示的なものであり、包括的なものではない。これらの記載は、当業者に対して、多くの変更例や別例を提案するものである。これらすべての別例及び変更例は請求項の範囲内に含まれるものであり、請求項における「〜を備える、〜で構成される(comprising)」という語は、「〜を含むものであるが、これに限定されるものではない(including, but not limited to )」ことを意味する。当業者には、本明細書に記載された特定の実施形態と均等である他の技術も、本願の請求項に包含されるものであることが理解されるであろう。
【0043】
さらに、従属項に記載される特定の特徴は、本発明の範囲内で他の様式で互いに組み合わせることができ、本発明は、従属項の特徴の他の可能な組み合わせを有する他の実施形態にも範囲が及ぶものである。例えば、請求項の公開にあたり、多数従属形式が管轄区域内で許容される場合には、後続するいずれの従属項も、当該従属項に記載される全先行語を有する先行請求項すべてに従属する多数従属形式で択一的に記載されたものと見なされるべきである(例えば、請求項1に直接従属する各請求項は、先行する請求項すべてに従属するものと択一的に解釈されるべきである)。多数従属形式が禁止されている管轄区域においては、後続の各従属項において、これら下位従属項に列挙される特定の請求項以外の先行詞を有する先行請求項にそれぞれ単独に従属する形式で択一的に記載されたものと解釈されるべきである。
【0044】
本明細書において、本発明の様々な実施形態について説明した。当業者であれば、本明細書において説明した特定の実施形態の均等物が存在し、このような均等物が添付の請求項に包含されることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一実施形態における本発明のステント固定部材の斜視図。
【図2】一実施形態における、ステントが縮小状態にある、カテーテル上に配置された本発明のステント固定部材の斜視図。
【図3】一実施形態における、膨張バルーンが膨張した状態にある、ステントとともにカテーテル上に配置された本発明のステント固定部材の斜視図。
【図4】一実施形態における、バルーンが収縮させられた後のカテーテル上に配置された本発明のステント固定部材の斜視図。
【図5】一実施形態における本発明のステント固定部材の斜視図。
【図6】一実施形態における、ステントが縮小状態にある、カテーテル上に配置された本発明のステント固定部材の斜視図。
【図7】一実施形態における、膨張バルーンが膨張した状態にある、ステントとともにカテーテル上に配置された本発明のステント固定部材の斜視図。
【図8】一実施形態における、バルーンが収縮させられた後のカテーテル上に配置された本発明のステント固定部材の斜視図。
【図9】別例における本発明のステント固定部材を示す図。
【図10】別例における本発明のステント固定部材を示す図。
【図11】別例における本発明のステント固定部材を示す図。
【図12】別例における本発明のステント固定部材を示す図。
【図13】別例における本発明のステント固定部材を示す図。
【図14】別例における本発明のステント固定部材を示す図。
【図15】別例における、放射線不透過性マーカを有する本発明のステント固定部材を示す図。
【図16】一実施形態における、ステントが縮小状態にある、カテーテル上に配置された本発明のステント固定部材の斜視図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルと係合するように構成される固定コネクタと、
形状記憶材料から形成されるとともに、第1端部及び第2端部を備える、可撓性を有する少なくとも1個の連結部材であって、前記第1端部は前記固定コネクタに対して連結されることと、
ステントの一部を係合するように構成される前記可撓性を有する連結部材の第2端部に位置するロック部材と
を備えた、搬送中においてステントの移動を防止する器具。
【請求項2】
可撓性を有する複数の連結部材を備える請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記可撓性を有する連結部材がステントとともに拡張するように構成される請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記周方向に延びる帯状体が蛇行して延びる帯状体である請求項2に記載の器具。
【請求項5】
前記可撓性を有する連結部材がバルーンにより拡張可能である請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記形状記憶材料が、ヒトの通常体温よりも低いAf(オーステナイト変態終了)温度を有する請求項5に記載の器具。
【請求項7】
請求項1に記載の器具と、該器具と係合するステントを周囲に配置するためのバルーンを有するカテーテルとの組み合わせ。
【請求項8】
前記ステントが、前記ロック部材と係合するように構成される係合可能な部分を備える請求項7に記載の組合せ。
【請求項9】
前記器具は、形状記憶材料で形成されることと、バルーンにより拡張可能であることと、バルーン膨張後には非拡張時の径に戻るように構成されることとからなる、請求項8に記載の組合せ。
【請求項10】
カテーテルと、
膨張可能なバルーンと、
係合可能な部分を少なくとも1個有する径方向に拡張可能なステントと、
第1端部及び第2端部を有する径方向に拡張可能な少なくとも1個の抑制部材であって、前記第1端部は前記カテーテルに対して連結され、前記第2端部は少なくとも1個の係合部を有することと、
前記抑制部材の係合部と前記ステントの係合可能な部分とが係合されることと、
前記抑制部材の係合部と前記ステントの係合可能な部分とが、バルーンの膨張中を通して係合状態を維持することができることと
を備えたステント搬送システム。
【請求項11】
前記抑制部材の係合部と前記ステントの係合可能な部分とが、バルーンが収縮させられるまで係合状態を維持するように形成及び構成される、請求項10に記載のステント搬送システム。
【請求項12】
前記抑制部材が形状記憶材料から形成される請求項11に記載のステント搬送システム。
【請求項13】
前記抑制部材が、バルーンの膨張後に縮小した径の形状に復元するように構成される請求項12に記載のステント搬送システム。
【請求項14】
前記抑制部材が蛇行して延びる帯状体の形態をとる請求項13に記載のステント搬送システム。
【請求項15】
前記抑制部材が蛇行して延びる帯状体の形態をとる請求項10に記載のステント搬送システム。
【請求項16】
前記抑制部材の係合部と前記ステントの係合可能な部分がボールとソケットの形態をとる請求項10に記載のステント搬送システム。
【請求項17】
カテーテルと、
膨張可能なバルーンと、
前記膨張可能なバルーンの周囲において非拡張状態で配置される径方向に拡張可能なステントであって、該ステントは少なくとも1個の係合可能な部分を有する一端部を備えることと、
少なくとも一部が前記バルーンと重なり合うように構成される径方向に拡張可能な少なくとも1個の抑制部材であって、該抑制部材は、前記カテーテルに対して連結される第1端部を有し、該抑制部材を貫通する複数の開口及び係合部を有する周方向に延びる帯状体を備えることと、
前記抑制部材の係合部は、前記ステントの係合可能な部分と係合するように構成されることと、
前記抑制部材の係合部と前記ステントの係合可能な部分が係合されると、前記ステントの係合可能な部分の軸方向における移動が防止されることと
を備えたステント搬送システム。
【請求項18】
前記抑制部材の係合部と前記ステントの係合可能な部分が係合されたときに、前記ステントの係合可能な部分はカテーテルの周囲における回転をも抑制される、請求項17に記載のステント搬送システム。
【請求項19】
前記抑制部材の係合部と前記ステントの係合可能な部分が係合されたときに、前記ステントの係合可能な部分が径方向に向かう拡張方向へは自由に移動できる、請求項17に記載のステント搬送システム。
【請求項1】
カテーテルと係合するように構成される固定コネクタと、
形状記憶材料から形成されるとともに、第1端部及び第2端部を備える、可撓性を有する少なくとも1個の連結部材であって、前記第1端部は前記固定コネクタに対して連結されることと、
ステントの一部を係合するように構成される前記可撓性を有する連結部材の第2端部に位置するロック部材と
を備えた、搬送中においてステントの移動を防止する器具。
【請求項2】
可撓性を有する複数の連結部材を備える請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記可撓性を有する連結部材がステントとともに拡張するように構成される請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記周方向に延びる帯状体が蛇行して延びる帯状体である請求項2に記載の器具。
【請求項5】
前記可撓性を有する連結部材がバルーンにより拡張可能である請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記形状記憶材料が、ヒトの通常体温よりも低いAf(オーステナイト変態終了)温度を有する請求項5に記載の器具。
【請求項7】
請求項1に記載の器具と、該器具と係合するステントを周囲に配置するためのバルーンを有するカテーテルとの組み合わせ。
【請求項8】
前記ステントが、前記ロック部材と係合するように構成される係合可能な部分を備える請求項7に記載の組合せ。
【請求項9】
前記器具は、形状記憶材料で形成されることと、バルーンにより拡張可能であることと、バルーン膨張後には非拡張時の径に戻るように構成されることとからなる、請求項8に記載の組合せ。
【請求項10】
カテーテルと、
膨張可能なバルーンと、
係合可能な部分を少なくとも1個有する径方向に拡張可能なステントと、
第1端部及び第2端部を有する径方向に拡張可能な少なくとも1個の抑制部材であって、前記第1端部は前記カテーテルに対して連結され、前記第2端部は少なくとも1個の係合部を有することと、
前記抑制部材の係合部と前記ステントの係合可能な部分とが係合されることと、
前記抑制部材の係合部と前記ステントの係合可能な部分とが、バルーンの膨張中を通して係合状態を維持することができることと
を備えたステント搬送システム。
【請求項11】
前記抑制部材の係合部と前記ステントの係合可能な部分とが、バルーンが収縮させられるまで係合状態を維持するように形成及び構成される、請求項10に記載のステント搬送システム。
【請求項12】
前記抑制部材が形状記憶材料から形成される請求項11に記載のステント搬送システム。
【請求項13】
前記抑制部材が、バルーンの膨張後に縮小した径の形状に復元するように構成される請求項12に記載のステント搬送システム。
【請求項14】
前記抑制部材が蛇行して延びる帯状体の形態をとる請求項13に記載のステント搬送システム。
【請求項15】
前記抑制部材が蛇行して延びる帯状体の形態をとる請求項10に記載のステント搬送システム。
【請求項16】
前記抑制部材の係合部と前記ステントの係合可能な部分がボールとソケットの形態をとる請求項10に記載のステント搬送システム。
【請求項17】
カテーテルと、
膨張可能なバルーンと、
前記膨張可能なバルーンの周囲において非拡張状態で配置される径方向に拡張可能なステントであって、該ステントは少なくとも1個の係合可能な部分を有する一端部を備えることと、
少なくとも一部が前記バルーンと重なり合うように構成される径方向に拡張可能な少なくとも1個の抑制部材であって、該抑制部材は、前記カテーテルに対して連結される第1端部を有し、該抑制部材を貫通する複数の開口及び係合部を有する周方向に延びる帯状体を備えることと、
前記抑制部材の係合部は、前記ステントの係合可能な部分と係合するように構成されることと、
前記抑制部材の係合部と前記ステントの係合可能な部分が係合されると、前記ステントの係合可能な部分の軸方向における移動が防止されることと
を備えたステント搬送システム。
【請求項18】
前記抑制部材の係合部と前記ステントの係合可能な部分が係合されたときに、前記ステントの係合可能な部分はカテーテルの周囲における回転をも抑制される、請求項17に記載のステント搬送システム。
【請求項19】
前記抑制部材の係合部と前記ステントの係合可能な部分が係合されたときに、前記ステントの係合可能な部分が径方向に向かう拡張方向へは自由に移動できる、請求項17に記載のステント搬送システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2007−500567(P2007−500567A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532427(P2006−532427)
【出願日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/011951
【国際公開番号】WO2004/103217
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/011951
【国際公開番号】WO2004/103217
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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