説明

改良された延伸ブロー成形用モノビニリデン芳香族ポリマー

本発明に従って、特定の比較的高い分子量並びに必要なゴムレベル及び粒子を有する、改良されたゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマーが提供される。これらの改良された樹脂は、延伸ブロー成形方法に於いて使用するのに特に適合している。これらは、容器ネック強度及び靱性、壁強度及び剛性並びに包装効率の改良された組合せをもたらす。本発明は延伸ブロー成形容器のメーカーに改良された包装コスト及び効率のための選択を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年10月23日出願の米国仮特許出願第60/999,995号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、延伸ブロー成形方法に於いて使用するのに特に適している、改良されたゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマーに関する。本発明は、別の態様に於いて、また、延伸ブロー成形方法に於いて使用するための改良されたプレフォームの形態にある及び改良された延伸ブロー成形物品の形態にある、このような樹脂に関する。本件に於いて、これらの樹脂は、包装効率、改良された表面外観及び物理的特性の組合せを提供する。
【背景技術】
【0003】
延伸ブロー成形(Stretch blow molding)(SBM)機は、成形されたプレフォーム及び薄いシートから、飲料、乳製品、医薬品及びその他の製品用の包装材料及び容器を迅速に成形するように設計されている。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12及び特許文献13を参照されたい。
【0004】
特許文献14には、押出ブロー成形及び射出延伸ブロー成形を含む、高度のポリマー配向を与える熱成形及びその他の成形方法のために、或る種のゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマーの使用が教示されている。
【0005】
共通に譲渡された出願係属中の特許文献15には、少量のオレフィンポリマー成分を含有するゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマーの或る種のブレンドが、制御された光沢表面が望まれる延伸ブロー成形方法に於いて使用するために非常に適していることが開示されている。
【0006】
特許文献16には、ポリスチレン樹脂を使用する延伸ブロー成形方法が教示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第3,775,524号明細書
【特許文献2】米国特許第4,145,392号明細書
【特許文献3】米国特許第4,668,729号明細書
【特許文献4】欧州特許第870,593号明細書
【特許文献5】欧州特許第1,265,736号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第1,679,178A号明細書
【特許文献7】特開平09−194543号公報
【特許文献8】国際出願公開第WO96/08356A号明細書
【特許文献9】国際出願公開第WO2005/074428A号明細書
【特許文献10】国際出願公開第WO2005/077642A号明細書
【特許文献11】国際出願公開第WO2006/040,627A号明細書
【特許文献12】国際出願公開第WO2006/040,631A号明細書
【特許文献13】国際出願公開第WO2007/060,529A号明細書
【特許文献14】米国特許第7,208,547号明細書
【特許文献15】国際出願第PCT/US2008/061562号明細書(2008年4月25日出願)
【特許文献16】公開PCT出願第WO2007/124894号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
容器容量を最大にしながら、容器コスト及び/又は必要な材料を最小にする見地からより大きい包装効率を得ることが、延伸ブロー成形プラスチック容器のメーカー及びユーザーによって常に望まれている。例えば、包装効率の一面は、(水の)ミリリットルでの容器容量の、グラムでの未充填容器の重量に対する比として測定することができる。また、最も短いサイクル時間内に成形容器を得ることも望ましい。従って、容器壁強度、ネック/リム部分靱性及び延伸ブロー成形方法に於ける二軸配向条件下での加工性の改良された組合せを有する延伸ブロー成形物品を与える、改良された樹脂を提供することが一般的に望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様に於いて、本発明は、延伸ブロー成形物品の形態にあるゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマー組成物であって、(A)約190,000〜約350,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有するモノビニリデン芳香族ポリマー、(B)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約3.5〜約10重量%の、グラフト化され、架橋されたゴムポリマー、(C)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約5重量%以下の、任意的な可塑剤並びに(D)任意的な非ポリマー性添加剤及び安定剤を含んでなる組成物である。本発明のこの態様の他の代替物に於いて、可塑剤は、1種若しくはそれ以上の鉱油(ミネラルオイル)、1種若しくはそれ以上の非鉱油及び1種若しくはそれ以上の鉱油と1種若しくはそれ以上の非鉱油とのブレンドの群から選択され、モノビニリデン芳香族ポリマーのMwは、少なくとも約215,000g/モルから約260,000g/モル以下までであり、モノビニリデン芳香族ポリマーが、少なくとも1種のゴムポリマーの存在下で塊状(mass)、バルク若しくは溶液重合されたポリスチレンであり、そして/又はゴムポリマーは、1,3−ブタジエンホモポリマーゴム、1,3−ブタジエンと1種若しくはそれ以上の共重合性モノマーとのコポリマーゴム及びこれらの2種若しくはそれ以上の混合物からなる群から選択される。
【0010】
更なる代替態様に於いて、延伸ブロー成形物品の形態にある本発明の組成物は、(A)約220,000〜約260,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有するモノビニリデン芳香族ポリマー、(B)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約4〜約6重量%の、約2〜約5ミクロンの体積平均ゴム粒子サイズを有するグラフト化され、架橋された粒子の形態にあるゴムポリマー、(C)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約3〜約4重量%の可塑剤並びに(D)任意的な非ポリマー性添加剤及び安定剤から本質的になる。本発明のこの面の代替態様に於いて、延伸ブロー成形物品は、熱成形物品又は射出成形されたプレフォームから延伸ブロー成形された容器であってよく、一つの態様は、この容器が、圧縮成形されたプレフォームから延伸ブロー成形される場合である。
【0011】
別の態様に於いて、本発明は、(A)約215,000〜約350,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有するモノビニリデン芳香族コポリマー、(B)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約3.5〜約40重量%の、約1.5〜約10ミクロンの体積平均ゴム粒子サイズを有するグラフト化され、架橋された粒子の形態にあるゴムポリマー、(C)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約5重量%以下の、任意的な可塑剤並びに(D)任意的な非ポリマー性添加剤及び安定剤を含んでなる、ゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマー組成物である。この態様の可能性のある代替変形には、この組成物が、約25〜約70%の破断点伸び値を有し、モノビニリデン芳香族ポリマーが、約220,000〜約350,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有し、モノビニリデン芳香族ポリマー組成物が、約1.5〜約5重量%の可塑剤を含んでなり、ポリマー組成物が、約3.5〜約10重量%のゴムポリマーを含んでなり、モノビニリデン芳香族ポリマーのMwが約240,000〜約300,000g/モルであり、モノビニリデン芳香族ポリマーが少なくとも1種のゴムポリマーの存在下で塊状、バルク若しくは溶液重合されたポリスチレンであり、そして/又はゴムポリマーが、1,3−ブタジエンホモポリマーゴム、1,3−ブタジエンと1種若しくはそれ以上の共重合性モノマーとのコポリマーゴム及びこれらの2種若しくはそれ以上の混合物からなる群から選択される場合が含まれる。
【0012】
好ましい態様に於いて、本発明に従った組成物は、(A)約240,000〜約260,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有するポリスチレン、(B)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約4〜約6重量%の、約2〜約5ミクロンの体積平均ゴム粒子サイズを有するグラフト化され、架橋された粒子の形態にあるゴムポリマー、(C)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約3〜約4重量%の可塑剤並びに(D)任意的な非ポリマー性添加剤及び安定剤を含んでなる。
【0013】
更なる代替態様に於いて、本発明は、A.前記の態様に従ったモノビニリデン芳香族ポリマー樹脂からプレフォームを成形する工程、B.このプレフォームを加熱する工程、C.このプレフォームを延伸ブロー成形装置内で延伸する工程、D.このプレフォームを、延伸ブロー成形物品形状にブロー成形する工程及びE.この延伸ブロー成形物品を冷却し、延伸ブロー成形装置から取り出す工程(プレフォームは、任意的に、射出又は圧縮成形される)を含んでなる延伸ブロー成形物品の製造方法であってよい。
【0014】
前記のように、包装効率を改良することができる樹脂は、容器壁強度、ネック/リム部分靱性及び延伸ブロー成形方法に於ける二軸配向条件下での加工性の改良された組合せをもたらすことが必要である。延伸ブロー成形容器に於けるこの特徴の組合せは、一般的に、十分な容器壁強度を与えるために、より高い分子量の樹脂を使用し、最大二軸ポリマー配向を与えながら、容器壁厚さを減少させることによって試みられている。容器壁強度に関して、容器壁強度及び剛性は、充填した容器を、包装し、貯蔵し及び/又は輸送するときに生じる上面荷重を十分に支持する必要があることが、この分野の専門家によって十分に認識されている。
【0015】
しかしながら、残念ながら、壁領域に於いて高分子量樹脂材料及び/又は二軸配向を使用することによって、十分な壁強度及び剛性がもたらされるが、このことは一般的に、容器直径が細くなっているショルダー部分、特に、成形工程から配向が殆ど又は全く存在しないという事実のために、容器直径が最も細い容器のネック又はリム部分に於いて、如何なる追加の強度又は十分な靱性ももたらさない。容器のショルダー、ネック又はリム部分に於いて十分な靱性がないと、これらの領域は脆すぎて、クロージャー、例えばねじ込み式上蓋又は接着剤でシールした蓋の機械的適用のために必要な力によって、亀裂が入るか又は破壊するであろう。追加した耐衝撃性改良成分によって、より小さい配向の容器部分に於ける樹脂靱性を改良できるが、これらの材料は、容器壁剛性及び樹脂加工性に対して有害である傾向がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明に従った改良された樹脂が、延伸ブロー成形容器に於いて、前記特性の組合せを提供できることが見出された。以下更に説明するように、これらの樹脂は、最高の可能な樹脂Mwを、延伸ブロー成形方法の間の高度の配向を可能にし(壁強度及び/又は剛性、軽量を提供する)、容器の無−及び低−配向領域内の脆性を回避するために、十分な伸び、延性及び靱性を提供する最適化されたゴム成分と組合せる。
【0017】
本発明に従った樹脂、方法及び成形物品を、先行技術のものに対して比較する際に、特に、延伸ブロー成形容器の領域に於いて、これらは、特に重量減少、改良された望ましい壁厚さ分布、増加した寸法安定性及び非配向部分に於ける十分な靱性を与えることの分野において、改良された特性の組合せを提供し、これらは全てより高い包装効率比に転換される。
【0018】
本発明に従って、所定のパラメーターのセット内で、先行技術の樹脂及び容器に対して比較したとき、少なくとも、1個又はそれ以上の他の特性を維持しながら、1個又はそれ以上の望ましい特性に於ける改良が存在した。本発明は、所定のサイズの容器を作るために、より少ない重量の樹脂を必要とし、原材料コスト及び減少した容器輸送重量の項目で自明の利点をもたらすことを意味する、改良された包装効率についての選択肢を、多種類の容器のメーカーにもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に於いて使用するのに適しているモノビニリデン芳香族ポリマー(ホモポリマー及びコポリマーの両方を含む)は、公知であり、市販されている。当業者に公知であるように、これらは、モノビニリデン芳香族モノマーを重合させることによって製造される。本発明の実施に於いて使用されるポリマー及びコポリマーを製造するのに適しているモノビニリデン芳香族モノマーは、好ましくは、下記式:
【0020】
【化1】

【0021】
(式中、R’は水素又はメチルであり、Arはアルキル、ハロ又はハロアルキル置換基を有する又は有しない、1〜3個の芳香族環を有する芳香族環構造であり、ここで、アルキル基は炭素数1〜6であり、ハロアルキルはハロ置換されたアルキル基を指す)
のものである。好ましくは、Arはフェニル又はアルキルフェニル(ここで、フェニル環のアルキル基は炭素数1〜10、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜4である)であり、フェニルが最も好ましい。使用することができる典型的なモノビニリデン芳香族モノマーにはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの全ての異性体、特にパラ−ビニルトルエン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン及びビニルアントラセンの全ての異性体並びにこれらの混合物が含まれ、スチレンが最も好ましい。
【0022】
モノビニリデン芳香族モノマーは少量の他の共重合性モノマーの範囲の1種又はそれ以上と共に共重合させることができる。好ましいコモノマーには、ニトリルモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル及びフマロニトリル;(メタ)アクリレートモノマー、例えばメタクリル酸メチル又はアクリル酸n−ブチル;無水マレイン酸並びに/又はN−アリールマレイミド、例えばN−フェニルマレイミド並びに共役及び非共役ジエンが含まれる。代表的なコポリマーには、スチレン−アクリロニトリル(SAN)コポリマーが含まれる。使用する場合、重合されたコモノマーは、典型的には、少量で、例えば少なくとも測定可能な量、一般的に、ゴムを含有しないモノビニリデン芳香族コポリマーの重量基準で少なくとも約0.1重量%、コポリマーの重量基準で好ましくは少なくとも約1重量%、好ましくは少なくとも約2重量%、更に好ましくは少なくとも約5重量%のコモノマーから誘導された単位で、モノビニリデン芳香族ポリマー中に存在するであろう。コモノマーが少量で含有される場合、モノビニリデン芳香族ポリマー中の重合されたコモノマーレベルは、コポリマーの重量基準で、典型的に約40重量%よりも少ない、好ましくは約20重量%よりも少ない、更に好ましくは約15重量%よりも少ない、更に好ましくは約10重量%よりも少ない、更に好ましくは約5重量%よりも少ない、最も好ましくは約3重量%よりも少ない。
【0023】
モノビニリデン芳香族ポリマー(ホモポリマー又はコポリマー)の適切な、比較的高い重量平均分子量(Mw)の選択は本発明の実施に於いて重要である。延伸ブロー成形物品の形で二軸配向を保持する機械的強度及び溶融強度を与えることの理由のために、樹脂Mwは少なくとも約190,000g/モル、好ましくは少なくとも約200,000g/モル、更に好ましくは少なくとも約205,000g/モル、更に好ましくは少なくとも約210,000g/モル、更に好ましくは少なくとも約215,000g/モル、更に好ましくは少なくとも約220,000g/モル、最も好ましくは少なくとも約230,000g/モルであることを必要とする。最高の可能な分子量は樹脂の性能を向上させるが、製造方法の加工性及び装置制限の理由のために、Mwは、一般的には、約350,000g/モル又はそれ以下、好ましくは約330,000g/モル又はそれ以下、好ましくは約300,000g/モル又はそれ以下、更に好ましくは約260,000g/モル又はそれ以下、更に好ましくは約250,000g/モル又はそれ以下である。モノビニリデン芳香族モノマーのコポリマーの使用により、Mw及び分子量分布は一般的に同じ範囲内に入るが、コポリマーで使用するために、公知のように幾つかの特別の選択を有することができる。本明細書中に使用されるとき、Mw、Mn及び分子量分布は、典型的には、較正のためにポリスチレン標準物質を使用してゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される。
【0024】
Mw値と共に、Mn(数平均分子量)及び多分散度又は分子量分布としても知られているMw/Mnの比は、重要な一面である。典型的には、Mw/Mn比は、少なくとも約2.3、好ましくは少なくとも約2.4、更に好ましくは少なくとも約2.5である。分子量分布比は、典型的には、約3.0又はそれ以下、好ましくは約2.8又はそれ以下、更に好ましくは約2.7又はそれ以下、最も好ましくは約2.6又はそれ以下である。前記のように、Mw及びMnは、典型的には、較正のためにポリスチレン標準物質を使用してゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される。
【0025】
所望の組成物並びに本発明に従って提供される樹脂中のMw、Mn及び分子量分布についての目標の知識を持って、当業者は、モノマーから又は2種若しくはそれ以上の成分樹脂の量から、これらの樹脂を得るために、公知の重合又はブレンド技術を利用することができる。
【0026】
非配向容器ネック領域内の脆性を回避するために必要な伸び、延性及び改良された靱性をもたらすために、樹脂が、樹脂Mw、Mn、ゴム含有量及び可塑剤の組合せを有するために、本発明の実施に於いて使用されるモノビニリデン芳香族ポリマー及びコポリマーは、耐衝撃性モノビニリデン芳香族ポリマー又はコポリマーを形成するために、1種若しくはそれ以上のゴムを含有するか又はこれらのゴムとブレンドするか若しくはこれらのゴムと共にグラフト重合させることが必要である。例えば、ゴム成分を得るために、(a)GPPS若しくはSANをゴムとブレンドすることができ、又は(b)対応するモノマー、即ちスチレン若しくはスチレン及びアクリロニトリルを、ゴムとグラフト重合させて、ゴム改質樹脂、例えばHIPS若しくはABSを製造する。このゴムは、典型的には、ASTM D−756−52Tによって決定したとき、約0℃以下、好ましくは約−20℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する不飽和ゴムポリマーである。Tgは、ポリマー材料が、例えば機械的強度を含むその物理的特性に於ける急激な変化を示す温度又は温度範囲である。Tgは示差走査熱量法(DSC)によって決定することができる。
【0027】
本発明に於いて使用するのに適しているゴムは、約5〜約300センチポアズ(cps、20℃でスチレン5重量%)の範囲内の溶液粘度及び約5〜約100のムーニー粘度(ML+1、100C)を有するものである。適切なゴムには、これらに限定するものではないが、ジエンゴム、ジエンブロックゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)ゴム、エチレンコポリマーゴム、アクリレートゴム、ポリイソプレンゴム、ハロゲン含有ゴム、シリコーンゴム及びこれらのゴムの2種又はそれ以上の混合物が含まれる。ゴム形成モノマーと他の共重合性モノマーとの共重合体も適している。適切なジエンゴムには、これらに限定するものではないが、共役1,3−ジエン、例えばブタジエン、イソプレン、ピペリレン、クロロプレン又はこれらのジエンの2種若しくはそれ以上の混合物のポリマーが含まれる。適切なゴムには、また、共役1,3−ジエンのホモポリマー及び共役1,3−ジエンと1種又はそれ以上の共重合性モノエチレン性不飽和モノマーとの共重合体又はコポリマー、例えばブタジエン又はイソプレンのホモポリマー又はコポリマーが含まれ、1,3−ブタジエンホモ−又はコポリマーが特に好ましい。このようなゴムには、また、これらの1,3−ジエンゴムの何れかの混合物が含まれる。他のゴムには、1,3−ブタジエンのホモポリマーが含まれ、1,3−ブタジエンと1種又はそれ以上の共重合性モノマー、例えば前記のようなモノビニリデン芳香族モノマー(スチレンが好ましい)とのコポリマーが含まれる。1,3−ブタジエンの好ましいコポリマーは、少なくとも約30重量%、更に好ましくは少なくとも約50重量%、なお更に好ましくは少なくとも約70重量%、なお更に好ましくは少なくとも約90重量%の1,3−ブタジエンと、好ましくは約70重量%以下、更に好ましくは約50重量%以下、なお更に好ましくは約30重量%以下、なお更に好ましくは約10重量%以下のモノビニリデン芳香族モノマーとの(全て、1,3−ブタジエンコポリマーの重量基準の重量)、ランダム、ブロック又はテーパード(tapered)ブロックゴムである。
【0028】
当業者に公知のように、1,3−ジエンゴムは、更に、所望のゴム粒子形態を与えるように最適化された分子量分布を有していてよい。とりわけ、双峰(bimodal)分子分布のためにより高分子量ゴム又は高分子量成分を提供するために、公知のカップリング剤を使用することができる。
【0029】
一般的に、本発明のゴム改質ポリマー中のゴムは、ネック及びリム領域に於いて十分な靱性を与えるために、典型的には、全ゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマー基準で少なくとも3.5重量%よりも多い、ゴム改質ポリマーの重量基準で、好ましくは少なくとも約3.7重量%、更に好ましくは少なくとも約4重量%の量で存在する。
【0030】
モノビニリデン芳香族コポリマーの場合を除いて、本発明のゴム改質ポリマー中のゴムは、十分な壁強度及び剛性を与えるために、典型的には、ゴム改質ポリマーの重量基準で約10重量%又はそれ以下、ゴム改質ポリマーの重量基準で、好ましくは約9重量%又はそれ以下、更に好ましくは約8重量%又はそれ以下、最も好ましくは約7重量%又はそれ以下の量で存在する。本明細書中に使用するとき、最終ゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマー組成物のゴム含有量は、コポリマーゴム成分からジエン含有量のみをカウントし、コポリマーゴムの一部である任意の共重合されたモノビニリデン又は他の非ジエンモノマーを含めないことによって、コポリマーゴム成分について測定される。
【0031】
モノビニリデン芳香族ポリマーの場合に、ゴムは、より高いレベルで添加することができ、典型的には、ゴム改質ポリマーの重量基準で約40重量%又はそれ以下、ゴム改質ポリマーの重量基準で、好ましくは約30重量%又はそれ以下、更に好ましくは約25重量%又はそれ以下、更に好ましくは約20重量%又はそれ以下の量で存在する。
【0032】
本発明に従ったゴム改質モノビニリデン芳香族樹脂は、広範囲の、ゴム粒子の群についての形態、平均粒子サイズ及び粒子サイズ分布(これらの全ては当業者に知られている)を利用することができる。ゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマーマトリックス中に分散されたゴム粒子は、コア/シェル若しくはカプセル粒子形態として参照される単一吸蔵形態又は当該技術分野で公知であり、気泡状、絡み合い、多重吸蔵、ラビリンス、コイル、オニオンスキン又は同心円として記載することができる構造を有する一層複雑なゴム粒子形態を含む、公知のゴム粒子形態の1種又はそれ以上を有することができる。
【0033】
本発明に従った組成物中のゴム粒子は、十分な樹脂伸び及び靱性を与えるために、典型的には、少なくとも約1.5ミクロン(「μ」、マイクロメートル又はμm)、好ましくは少なくとも約1.6ミクロン、更に好ましくは少なくとも約1.7ミクロン、更に好ましくは1.8ミクロンよりも大きい、更に好ましくは少なくとも約1.9ミクロン、最も好ましくは少なくとも約2ミクロンで、典型的には約10ミクロン又はそれ以下、好ましくは約7ミクロン又はそれ以下、更に好ましくは約5ミクロン又はそれ以下、更に好ましくは約4ミクロン又はそれ以下、最も好ましくは約3.5ミクロン又はそれ以下の体積平均直径を有するであろう。本明細書中に使用するとき、体積平均ゴム粒子サイズ又は直径は、ゴム粒子内のモノビニリデン芳香族ポリマーの全ての吸蔵物を含む、ゴム粒子の直径を指す。これらの範囲内の粒子サイズは、電気泳動測定技術、例えば、Multisizer(登録商標)ブランドの粒子カウンターを含む、Beckman Coulter,Inc.によって提供される装置を使用して、典型的に最も良く測定される。より大きい平均ゴム粒子サイズのために及び形態解析のために必要な場合、透過型電子顕微鏡画像解析を使用することができる。当業者は、ゴム粒子の異なったサイズ群が、最適化された精度のために、ゴム粒子測定技術の幾らかの選定又は修正を必要とすることを認識している。
【0034】
本発明に従った樹脂のゴム含有量に関連して、これらの樹脂についての測定された伸び値が、延伸ブロー成形応用に於けるそれらの性能に於いて重要であることも見出された。当業者に公知のように、破断点伸び(「伸び」又は「E」値)は、引張試験装置(例えばインストロン万能試験機)内で、標準引張試験方法ISO527に従って5mm/分の歪み速度で、引張試験片上で測定される。4ミリメートル(mm)厚さの引張試験片を製造するために、414逆秒(s-1)の剪断速度及び828の全剪断歪みでISO2897−2標準条件(210℃の溶融温度、射出速度35mm/分)下での射出成形によって、試験サンプルを注意深く製造することが、試験結果一致のために重要である。このサンプルは、如何なる気泡、ダスト汚染及び/又は如何なる他の傷若しくは欠陥も回避するために、試験の前に注意深く点検しなくてはならない。
【0035】
延伸ブロー成形物品に於ける良好な性能のために、本発明に従った樹脂は、少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約30%、更に好ましくは少なくとも約35%の伸び値を示さなくてはならないことが見出された。他方、延伸ブロー成形物品に於ける壁剛性を維持するために、この樹脂は、約75%又はそれ以下、好ましくは約65%又はそれ以下、更に好ましくは約55%又はそれ以下の伸び値を示さなくてはならないことが見出された。
【0036】
好ましいモノビニリデン芳香族ポリマーには、約1.5〜約4ミクロンの範囲内の平均粒子直径を有する粒子の形態で、約4〜7重量%のポリブタジエンゴムを含有するHIPS樹脂が含まれる。
【0037】
適切なレベルの加工性を与え、成形プレフォーム中の如何なる流れ又はカットマークも回避し、低サイクル時間を維持するために、可塑剤の使用が必要であることが見出された。必要な場合に、この可塑剤は添加することができ又はモノビニリデン芳香族ポリマー成分の1種中にある程度まで既に含有されていてよい。モノビニリデン芳香族ポリマー成分のための代表的な可塑剤には、鉱油、非官能化非鉱油、単一成分炭化水素、例えばシクロヘキサン、不飽和若しくは飽和エチレンプロピレンコポリマー又は低分子量ポリオレフィンワックスが含まれる。これらの種類の組成物中に使用するための、種々の種類の鉱油可塑剤が市販されており、当業者に公知である。好ましい鉱油可塑剤には、低揮発性ホワイトミネラルオイル並びにPenrecoからDrakeol(登録商標)及びSonnebornからHydrobrite(登録商標)のような商品名で入手可能である「プラスチックオイル」が含まれるであろう。これらの鉱油は、一般的に、少なくとも10センチストークス(cSt)、好ましくは少なくとも25cSt、更に好ましくは少なくとも50cStで、250cStよりも小さい、好ましくは150cStよりも小さい、更に好ましくは130cStよりも小さい、40℃でASTM D−445によって測定したときの動粘度を有するであろう。
【0038】
前記のように、代表的な可塑剤には、また、落花生、綿実、オリーブ、菜種、高オレインヒマワリ、ヤシ及びトウモロコシから誘導されるもののような植物油を含む非官能化非鉱油が含まれてよい。これらの油には、また、典型的に、環境条件下で液体である動物油、例えば、或る種の魚油、マッコウ鯨油及び魚肝油が含まれてよく、ラード、牛脂及びバターが含まれてよい。これらの非官能化非鉱油は、単独で又は1種若しくはそれ以上の他の鉱油若しくは非鉱油と組合せて使用することができる。
【0039】
本発明の組成物に於いて使用される可塑剤の量は、特に、選択される種類の有効性に依存して幾らか変化させることができるが、典型的には、組成物中に使用される量は、ポリマーの全重量基準で、少なくとも約1.5重量%、好ましくは少なくとも約2重量%、更に好ましくは少なくとも約2.4重量%、更に好ましくは少なくとも約2.6重量%であり、特に、プレフォームが圧縮成形されるSBM応用に於いて使用するために、最も好ましくは、ポリマーの全重量基準で少なくとも約3.0重量%の可塑剤である。本発明の組成物中に使用できる可塑剤ブレンドの最大量への唯一の制限は、コスト及び実施上の配慮によって設定されるものであるが、典型的には、これらの組成物中のブレンドの最大量は、ポリマーの全重量基準で、約5重量%又はそれ以下、好ましくは約4重量%又はそれ以下、更に好ましくは約3.5重量%又はそれ以下である。この可塑剤は、モノビニリデンポリマーの形成の前及び/又は後に添加することができる。また、これらの非官能化非鉱油は、等重量の鉱油よりも幾らか有効であり、僅かにより少ない量で使用することができる。
【0040】
モノビニリデン芳香族ポリマー(群)及び可塑剤に加えて、本発明の樹脂組成物は、公知の着色剤(染料及び顔料を含む)、充填剤、離型剤、安定剤及びIR吸収剤を含む、更なる添加剤成分を含有することができる。これらの他の成分は当該技術分野で公知であり、これらは、これらが公知のモノビニリデン芳香族ポリマー中に使用されるのと同じ方法及び量で使用される。
【0041】
本発明に従った樹脂は、公知の塊状、バルク若しくは溶液グラフト重合方法の何れかに於いてゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマーを直接重合させること又はゴム若しくはゴム含有モノビニリデン芳香族ポリマーを別に製造したニートのモノビニリデン芳香族ポリマー成分とブレンドすることを含む、当該技術分野で公知の種々の方法の何れかによって製造することができる。モノビニリデン芳香族ポリマーの組合せを使用する場合に、例えば種々の形式の特定化されたブレンド若しくは配合装置に於いて又は溶融混合工程を有する他の単位操作に於いて、例えば成形機の押出機スクリューに於いて、添加物又はブレンド成分をモノビニリデン芳香族ポリマーの中にブレンド又は配合するための方法も知られている。この二つの組合せを、先行するドライブレンドと共に又は一方若しくは両方の別個の供給物を溶融混合装置の中に計量することによって行うことができる。
【0042】
本発明に従った樹脂は、ゴム粒子成分を与える成分の一つとして、STYRON(登録商標)A−TECH(登録商標)1200の商品名で、ザ・ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Company)から市販されているHIPS製品を使用して製造することができる。HIPS樹脂とGPPSとのブレンドを使用することは、高いモノビニリデン芳香族ポリマー分子量と最適化されたゴムレベル及びゴム粒子サイズとの所望の組合せを得ることを容易にするために有用であることが見出された。好ましい態様に於いて、所望のモノビニリデン芳香族ポリマー組成物は、成形機内でHIPS及びGPPS樹脂をブレンドすることによって得られる。
【0043】
本発明の樹脂は、これらに限定するものではないが、容器、包装、消費者エレクトロニクス及び電気器具のコンポーネントを含む種々の物品の製造に於いて使用することができる。これらの樹脂は、公知のモノビニリデン芳香族ポリマーと同じ方法、例えば押出、射出及び圧縮成形、熱成形等で使用される。しかしながら、本発明に従った樹脂組成物は、延伸ブロー成形(「SBM」)用途のための特に適合しており、一つの態様に於いて、本発明は、改良された延伸ブロー成形方法である。適切な公知の射出延伸ブロー成形方法(射出成形されたプレフォームを使用する)の例は、特許文献8、特許文献4、特開平07−237261号公報及び特許文献9に示されている。適切な延伸ブロー成形方法に於ける圧縮成形プレフォームの使用は、特許文献10、特許文献12及び特許文献11に示されている。
【0044】
本発明に従ったモノビニリデン芳香族モノマー樹脂は、適切なモノビニリデン芳香族ポリマー加工温度及び条件の使用のために調節されるとき、一般的にそれらの標準的な運転条件に従ってこれらの方法に於いて使用される。これらの方法に於いて、プレフォームは圧縮成形又は射出成形によって製造され、一段又は2段延伸ブロー成形方法に於いて使用される。
【0045】
本発明に従った改良されたSBM方法は、射出又は圧縮成形されたプレフォームの形で前記のような樹脂を使用して、改良された延伸ブロー成形物品を提供する。延伸ブロー成形方法に於いて本発明に従った樹脂組成物を使用するための好ましいプレフォーム射出成形条件は、約1,000〜約28,000ポンド/平方インチゲージ(psig)、好ましくは約22,000psigの射出圧力及び約170〜約280℃の範囲内、好ましくは約240℃の温度である。本発明に従った比較的高い分子量の樹脂の使用は、適切な射出成形条件、例えばホットランナー金型及び/又はリサイズドゲート(re-sized gate)に於けるより高い温度の加熱を要求するであろう。
【0046】
延伸ブロー成形方法に於いて本発明に従った樹脂組成物を使用するための好ましいプレフォーム圧縮成形条件は、約1,000〜約10,000ニュートン(N)、好ましくは約5000Nの圧縮力及び約130〜約190℃の範囲内、好ましくは約170℃の温度である。
【0047】
次いで、SBM方法は、公知のSBM装置で、一般的に、本発明に従ったモノビニリデン芳香族ポリマー樹脂のためにある程度調整されるような公知の方法条件に従って実施することができる。
【0048】
2段階又は再加熱延伸ブロー成形方法に於いて、別個の分離した第一段階に於いてプレフォームが製造され、成形方法から取り出され、次いで冷却され、任意に貯蔵され、次いで次の延伸ブロー成形方法に送られる。次いで、延伸ブロー成形のために、プレフォームは、分離した延伸ブロー成形機内で再加熱され、延伸され、ブロー成形される。プレフォーム(再)加熱区画に於いて、赤外、対流及び/又はマイクロ波加熱を含む種々の加熱方法を使用することができる。
【0049】
プレフォーム(射出成形又は圧縮成形されたもの)及びSBM段階は、2段階方法で異なった場所で実施することができ、しばしば、プレフォーム成形業者は、プレフォームを、容器内容物(例えば、乳製品)が製造され、プレフォームが、ボトル又は容器にブロー成形され、充填される場所に、販売又は配送する。
【0050】
その代わりに、これらの方法を一層エネルギー効率的にするために、プレフォームでの延伸ブロー成形段階を、プレフォーム成形段階の後、直ちに又はまもなく実施し、プレフォームをプレフォーム成形方法からの上昇した温度で維持し、そうして、他の場合には必要である加熱の少なくとも幾らかを節約することができる。このような単一ステーション延伸ブロー成形方法に於いて、プレフォームの成形並びに延伸及びブロー成形段階が、共に、典型的にカルーセル型のものである一つの機械装置で行われる。プレフォームは、射出成形又は圧縮成形の何れかによって一点で成形され、次いで(成形方法からの熱をまだ保持しながら)延伸され、容器金型内でブロー成形される。
【0051】
プレフォームの圧縮又は射出成形タイプのために及び一段方法又は二段方法で、延伸ブロー成形方法は類似しており、同じ共通の一連の段階を含む。
【0052】
・プレフォームの加熱−プレフォームの本体を、ネック(又は口若しくはリム)がこの温度以下であって、延伸及び吹込段階の間にプレフォームに対する支持を与えながら、延伸及び吹込段階に於いて十分に降伏する適切な熱軟化温度にまで加熱する(任意的に、成形段階からできるだけ熱く保持する)。この加熱は、任意の公知の加熱技術、例えば赤外、対流及び/又はマイクロ波加熱によって行うことができる。この加熱は、一段方法のために、プレフォーム成形方法に於いて部分的に又は完全に行うことができる。その代わりに、二段方法のために、この加熱は、一般的な形式の加熱器群を通過させてプレフォームを輸送することによって行われる。
【0053】
・プレフォームの本体の延伸−ここで、熱軟化したプレフォームを、延伸ブロー成形装置内で、延伸手段、例えばプランジャー又はプラグによって、最終容器の長さ寸法に近づくまで物理的に延伸する。この延伸は、典型的に、約10〜約450ミリメートル/秒(mm/s)、好ましくは約200mm/sの歪み速度で、約130〜約190℃の範囲内、好ましくは約160℃の温度で行われる。延伸段階に於いて、マトリックス及びゴム粒子は、SBM製品の機械的特性に寄与する軸伸長歪みに付される。
【0054】
・プレフォームの、延伸ブロー成形物品形状へのブロー成形−ここで、容器の内側からの流体圧力、例えば空気圧力を含む気体圧力及び任意に外側からの真空によって、プレフォームを、金型形状に一致するように造形する。ブロー成形段階では、典型的には、約3〜約20バール、好ましくは約8〜12バールの内部圧力、例えば空気圧が使用される。ブロー成形の間に、マトリックス及びゴム粒子は、また、SBM製品の機械的特性に寄与する、軸歪みに対してフープ方向又は垂直内の歪みを受ける。金型温度は、典型的には、約1.5〜約14秒の範囲内、好ましくは5秒未満、更に好ましくは2秒である冷却時間のための吹込圧力及び保持段階の間、約15〜約45℃、好ましくは約30℃である。
【0055】
・延伸ブロー成形装置からの延伸ブロー成形物品の冷却及び取り出し−ここで、造形された容器は、物理的接触及び取扱いのために冷却し、十分に固化し、ポリマー鎖の運動は凍結され、成形された容器がSBM装置から取り出される。
【0056】
本発明に従った樹脂組成物は、また、延伸ブロー成形方法の1種として見ることができる押出シート熱成形方法(ここで、押し出されたシートがプレフォームである)に使用するために適合している。熱成形方法は、当該技術分野で公知であり、例えば、“Technology of Thermoforming”;Throne,James;Hanser Publishers、1996年、第16−29頁に教示されているような幾つかの手段で行うことができる。「ポジティブ」熱成形方法に於いて、ガス又は空気圧力が軟化したシートに適用され、次いで、このシートが泡のように延伸され、雄型が「泡」の中に入れられる。次いで、真空が適用されて、部分を雄型表面に合致させる。この熱成形方法に於いて、必要な二軸延伸/配向は、軟化したシートに適用されたガス又は空気圧力が存在するとき、主として一段で行われる。それによって、このシートは、それが、泡のようにほぼ最終部品サイズにまで延伸されるとき、二軸配向される。次いで、真空及び雄型によって、この配向を、物理的特性及び外観特性の良好なバランスのためにシートの中に凍結させて、成形段階が完結する。
【0057】
「ネガティブ」熱成形方法に於いて、真空又は物理的プラグが熱軟化したシートに適用され、このシートをほぼ最終部品サイズにする。次いで、このシートを外側の雌型に対して成形するポジティブ空気圧又は更なる外部真空によって、配向がポリマーの中に凍結され、このシートは物品に成形される。このネガティブ熱成形は、フープ方向に於いて幾らか少ない配向で、幾らか多い軸配向を与える。
【0058】
前記のように、十分な二軸配向の保持は、延伸ブロー成形容器に於いて壁強度を維持する上で重要である。
【0059】
下記の群の実験は、本発明の種々の態様を例示するために提供される。これらは、他の方法で記載され、特許請求の範囲に記載されたとき、本発明を限定することを意図しない。全ての数値は近似値であり、全ての部及びパーセントは、他の方法で示さない限り重量基準である。
【0060】
下記のモノビニリデン芳香族ポリマーを使用した。
【0061】
【表1】

【0062】
下記の表2に示すように、樹脂を、それらの適合性について評価した。ブレンド樹脂1及び2は、上記表1中で同定されるように示したHIPS樹脂とGPPS樹脂とを組合せることによって製造した。下記の表2中のブレンド樹脂組成物は、20°傾斜タンブラー内で50rpmで20分間ドライブレンドすることによって製造した。次いで、このブレンドを、二軸共回転スクリュー押出機内で60rpm及び190℃の溶融温度で配合した。
【0063】
下記に示す樹脂組成物特性は、以下の試験方法に従って測定した。樹脂物理的特性を試験するための試験サンプルは、4ミリメートル(mm)厚さの引張試験片を製造するために、414逆秒(s-1)の剪断速度及び828の全剪断歪みでISO2897−2標準条件(210℃の溶融温度、射出速度35mm/分)下でサンプルを製造するように、射出成形によって製造した。
【0064】
RPS−30ミクロンチューブを有する、Coulter Beckman,Inc.からのMultisizer、3機器械を使用して測定したときの、ミクロンでのゴム粒子サイズ。
【0065】
メガパスカル(Mpa)での曲げ弾性率−ISO178(ASTM D790と同等)に従って、3点曲げ技術を使用して測定した。
【0066】
ノッチ付きアイゾット23℃−ISO180/1Aに従って、キロジュール/平方メートル(kJ/m2)で23℃で測定した。
【0067】
5mm/分の歪み速度での降伏点引張強度(「TsY」)−ISO527に従って、MPaで測定した。
【0068】
5mm/分の歪み速度での破断点引張強度(「TsR」)−ISO527に従って、MPaで測定した。
【0069】
破断点伸び(「E」)−気泡及びダスト汚染を回避するために注意深く点検した、射出成形したサンプルで、ISO527に従って5mm/分の歪み速度で測定した。
【0070】
ビカーA(℃)−10ニュートン重り質量を使用して、ISO306Aに従って測定した。
【0071】
【表2】

【0072】
延伸ブロー成形方法に於いて圧縮成形したプレフォームを使用して、上記の樹脂1〜3は、主壁部分で58mmの外径、ネック部分で36.4mmの外径及びそれらの間の細くなったショルダー部分を有する、より大きい(250mL)ボトルに延伸ブロー成形し、樹脂3及び樹脂4は、最広壁部分で60mmの外径、ネック部分で41mmの外径及びそれらの間の細くなったショルダー部分を有する、より小さい(100mL)ボトルに延伸ブロー成形した。プレフォームを圧縮成形するために、樹脂「ゴブ(gob)」又は「ペレット」の溶融温度は195℃であり、次いで、これを、雌ツールについて110℃の温度及び雄ツールについて70℃の温度の嵌め合せ金型で、0.5秒間の圧縮時間で、圧縮成形した。ブロー成形段階に於いて、延伸速度は約500mm/秒であり、続いて8バールの空気圧であった。次いで、これらのボトルを、下記のようなこの工業界で一般的に使用されている一連の試験を使用して、試験し、特徴付けし、ボトル試験の結果を下記の表3に示す。
【0073】
包装効率(mL/g)−水を使用して測定した、グラム容器重量当たりの容器内容物体積。
【0074】
上面荷重(N)−10mm/分の速度で閉じる2枚の平行な板の間で圧縮されている容器で、3mmの軸変形を起こすために必要な力。
【0075】
ニュートン/グラム(N/g)での比上面荷重−容器重量で割った上面荷重(上記のようにして測定した)、単位容器重量当たりの強度値を与える。
【0076】
臨界壁厚−ミリメートルで測定した、上面荷重試験下で破損が始まる壁位置で測定したボトル壁の厚さ。これは種々のボトル形状の間で変わり得る。プロトタイプ成形の間に、臨界壁厚さに於ける変動、特に、実験組成物3に示される故意でない減少(これは、一般的に減少した上面荷重になる)が存在した。成形方法及び臨界壁厚の均一性のより良い制御によって、規格化値(これも計算し、示した)に従って性能を反映する最適化された上面荷重結果を得ることができる。
【0077】
規格化上面荷重−上面荷重及び臨界壁厚から計算し、ニュートン/ミリメートル(N/mm)で報告した。これは、臨界壁厚の単位当たりの上面荷重を示し、延伸ブロー成形方法に於ける樹脂の最適化した使用を表す。
【0078】
二軸配向A/H−ボトルのショルダー、中間及び底部分での、軸方向及びフープ方向に於ける配向レベル(二軸配向)の試験。この試験は、容器のショルダー、中間及び底位置から、直径22mmの円板を切り出し、予め、軸方向及びフープ方向で円板にマークを付けることによって行われる。円板を、145℃で5分間対流オーブン内で加熱し、フローズン−イン配向(frozen-in orientation)が緩和するとき自由に収縮させる。これは、緩和される方向配向の量に基づいて、配向した円板部分が楕円に収縮する結果になる。次いで、配向パーセントを、下記のようにして計算する。
【0079】
[(元の寸法−最終寸法)/(元の寸法)]×100
【0080】
前記のように、十分な二軸配向の保持は、延伸ブロー成形容器に於いて壁強度を維持する上で重要である。
【0081】
ネック強度試験−ボトルネックの圧縮強度は、インストロンブランド万能引張試験機を使用し、ボトルネック開口を、10mm/分の速度で2個の側面から平行板の間で圧縮して測定する。ボトルネックは、直径に於いて5%の減少が存在するまで圧縮され、ネックで観察される某かの亀裂又は破壊破損が存在する場合、ボトルは試験に合格しない。亀裂又は破壊が存在せず、ボトルネックが5%の直径減少後に合格する場合、この試験を継続し、ボトルネックを、直径に於いて10%減少が存在するまで更に圧縮する。観察される亀裂又は破壊が存在しない場合、この試験は合格する。
【0082】
【表3】

【0083】
上記の表4に於いて判るように、組成物1及び2は、延伸ブロー成形ボトルに於いて、ネック強度及び靱性、ボトル壁強度並びに包装効率の良好な組合せをもたらすために十分であった樹脂特性を有していた。
【0084】
本発明を非常に詳細に記載したが、この詳細は、例示の目的のためであり、特許請求の範囲に記載されたような発明の範囲への限定として解釈されるべきではない。数値範囲が示されているとき、値はその範囲の端点を含む。前記同定した全ての米国特許及び公開特許出願を、参照して本明細書に含める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸ブロー成形物品の形態にあるゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマー組成物であって、
(A)約190,000〜約350,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有するモノビニリデン芳香族ポリマー、
(B)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約3.5〜約10重量%の、グラフト化され、架橋されたゴムポリマー、
(C)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約5重量%以下の、任意的な可塑剤並びに
(D)任意的な非ポリマー性添加物及び安定剤
を含んでなる組成物。
【請求項2】
前記可塑剤が、1種又はそれ以上の鉱油、1種又はそれ以上の非鉱油及び1種又はそれ以上の鉱油と1種又はそれ以上の非鉱油とのブレンドの群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記モノビニリデン芳香族ポリマーのMwが少なくとも約215,000g/モルから約260,000g/モル又はそれ以下までである請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記モノビニリデン芳香族ポリマーが少なくとも1種のゴムポリマーの存在下で塊状、バルク又は溶液重合されたポリスチレンである請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ゴムポリマーが、1,3−ブタジエンホモポリマーゴム、1,3−ブタジエンと1種又はそれ以上の共重合性モノマーとのコポリマーゴム及びこれらの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
(A)約220,000〜約260,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有するモノビニリデン芳香族ポリマー、
(B)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約4〜約6重量%の、約2〜約5ミクロンの体積平均ゴム粒子サイズを有するグラフト化され、架橋された粒子の形態にあるゴムポリマー、
(C)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約3〜約4重量%の可塑剤並びに
(D)任意的な非ポリマー性添加剤及び安定剤
から本質的になる請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記延伸ブロー成形物品が、射出成形されたプレフォームから延伸ブロー成形された容器である請求項1に記載のゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマー組成物。
【請求項8】
前記延伸ブロー成形物品が圧縮成形されたプレフォームから延伸ブロー成形された容器である請求項1に記載のゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマー組成物。
【請求項9】
前記延伸ブロー成形物品が熱成形物品である請求項1に記載のゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマー組成物。
【請求項10】
(A)約215,000〜約350,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有するモノビニリデン芳香族コポリマー、
(B)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約3.5〜約40重量%の、約1.5〜約10ミクロンの体積平均ゴム粒子サイズを有するグラフト化され、架橋された粒子の形態にあるゴムポリマー、
(C)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約5重量%以下の、任意的な可塑剤並びに
(D)任意的な非ポリマー性添加物及び安定剤
からなる、ゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマー組成物。
【請求項11】
前記組成物が約25〜約70%の破断点伸び値を有する請求項10に記載のゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマー組成物。
【請求項12】
前記モノビニリデン芳香族ポリマーが約220,000〜約350,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する請求項10に記載のゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマー組成物。
【請求項13】
成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約1.5〜約5重量%の可塑剤を含む請求項10に記載のゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマー組成物。
【請求項14】
約3.5〜約10重量%のゴムポリマーを含む請求項10に記載のゴム改質モノビニリデン芳香族ポリマー組成物。
【請求項15】
前記モノビニリデン芳香族ポリマーのMwが約240,000〜約300,000g/モルである請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記モノビニリデン芳香族ポリマーが少なくとも1種のゴムポリマーの存在下で塊状、バルク又は溶液重合されたポリスチレンである請求項10に記載の組成物。
【請求項17】
前記ゴムポリマーが、1,3−ブタジエンホモポリマーゴム、1,3−ブタジエンと1種又はそれ以上の共重合性モノマーとのコポリマーゴム及びこれらの2種又はそれ以上の混合物からなる群から選択される請求項10に記載の組成物。
【請求項18】
(A)約240,000〜約260,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有するポリスチレン、
(B)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約4〜約6重量%の、約2〜約5ミクロンの体積平均ゴム粒子サイズを有するグラフト化され、架橋された粒子の形態にあるゴムポリマー、
(C)成分(A)、(B)及び(C)の重量基準で約3〜約4重量%の可塑剤並びに
(D)任意的な非ポリマー性添加剤及び安定剤
を含んでなる請求項10に記載の組成物。
【請求項19】
A.請求項10に記載のモノビニリデン芳香族ポリマー樹脂からプレフォームを成形する工程、
B.前記プレフォームを加熱する工程、
C.前記プレフォームを延伸ブロー成形装置内で延伸する工程、
D.前記プレフォームを、延伸ブロー成形物品形状にブロー成形する工程及び
E.前記延伸ブロー成形物品を冷却し、延伸ブロー成形装置から取り出す工程
を含んでなる延伸ブロー成形物品の製造方法。
【請求項20】
前記プレフォームが射出成形される請求項19に記載の延伸ブロー成形物品の製造方法。
【請求項21】
前記プレフォームが圧縮成形される請求項19に記載の延伸ブロー成形物品の製造方法。

【公表番号】特表2011−501778(P2011−501778A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531223(P2010−531223)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/080877
【国際公開番号】WO2009/055527
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】