説明

改良された知覚特性を有する水中油型乳剤

本発明は水中油型乳剤の形態にある組成物に関し、その100重量%につき、a)0.1から10重量%の乳化系(A)と(その100重量%につき(i)式(I)HO−R−O−(G)n−Hのヒドロキシル−オクタデシルポリグリコシドおよび式(II)H−(G)m−O−R−O−(G)p−Hのポリグリコシルオクタデシルポリグリコシドから実質的に構成される、還元糖と1,12−オクタデカンジオールとの反応生成物の混合物5ないし95重量%[ここで、式(I)および(II)において、Gは還元糖の残基であり、Rは二価ラジカルオクタデカン−ジイル−1,12であり、ここで、同一または異なるn、mおよびpは、互いに独立して、それぞれ1ないし5の小数である]、(ii)1,12−オクタデカンジオール95ないし5重量%からなる)、b)0.01ないし5重量%の、天然の増粘剤および/またはゲル化剤から選択される少なくとも1種の増粘剤および/またはゲル化剤と、c)10ないし50重量%の、1種または複数のモノグリセリドおよび/またはジグリセリドおよび/またはトリグリセリド植物油からなる油相(P2)と、d)89.89ないし35重量%の、化粧品として許容される水相(P1)とを含む。さらに、本発明は、皮膚、髪または頭皮のための洗浄、保護および/またはケアのための前記組成物の使用、ならびにその調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、水中油型乳剤の形態の新規な組成物およびそれらの調製方法に関する。
【0002】
本発明は、好ましくは、特に皮膚、髪および頭皮のケア、保護および洗浄において使用するために、美容および皮膚美容の分野、皮膚医薬および医薬の分野に適用されるが、例えば、織られたもしくは編まれた、合成もしくは天然の織物繊維の処理のために繊維産業の分野に、または、例えば、衛生用もしくは家庭用に使用するための紙の製造のために製紙産業の分野にも適用される。
【0003】
皮膚および/または粘膜および/または頭皮を処理および/または保護することを意図した配合物、および一般的にはボディーケア製品のための配合物の開発において、知覚特性は、それら配合物の商業的な成功のための重要な基準を構成する。事実、エンドユーザーの選択は、皮膚につけたときに美容配合物によって示される技術的な効能の基準と同じくらい、知覚基準および直接の満足感の基準に基づく。さらに、美容配合物を調製するための天然起源の成分の使用も、ラベルを専門の団体から取得することができ、これらの製品の天然起源を証明することを意味するため、これらの製品の商業的な成功の要素である。これらの美容配合物の調製において、脂肪相としての植物起源の脂肪と、天然起源の増粘剤および/またはゲル化剤および/または安定剤と、乳化剤としての植物起源の原料から調製される界面活性剤とを使用することができる。乳化剤として使用され、植物起源の原料から調製される界面活性剤の中で、配合者らは、ステアリン酸グリセロールなどのグリセロールと植物起源の脂肪酸とのエステル、ステアリン酸ナトリウムなどの石鹸、スクロース脂肪エステルなどの糖および植物起源の脂肪酸から得られる界面活性剤、ならびに約20年以上前に開発された、その商業的成功をさらに実証する必要のない、糖および植物起源の脂肪アルコールから得られる界面活性剤を一般的に使用する。これらの乳化剤は、アルキルポリグリコシドと脂肪アルコールとの混合物からなり、使用される脂肪アルコールに応じて、フレークもしくはビーズとしての固体形態または室温で液体である形態のいずれかで市販されている。これらの乳化剤は、例えば、WO92/06778、WO95/13863、WO96/37285もしくはWO00/56438の番号で公開された国際出願またはFR2830464の番号で公開されたフランス特許出願に記載されている。
【0004】
FR2803537の番号で公開されたフランス特許出願は、より詳細には、サッカライドと1,12−オクタデカンジオールとの反応生成物からなるアルキルポリグリコシドの混合物5ないし95重量部と、1,12−オクタデカンジオール95ないし5重量部とを含む組成物を開示する。それら組成物は、発泡性美容配合物を調製するために適切な、不透明で安定的である乳剤を調製するために使用することができる。また、この公開は、その重量100%につき、1,12−オクタデカンジオールとそのアルキル鎖が12−ヒドロキシオクタデシルオキシラジカルからなるアルキルポリグリコシドとの混合物4重量%と、ホホバ油4重量%と、CAPIGEL(商標)98の名称で市販されているアクリルコポリマーをベースとする増粘剤3重量%と、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム7重量%とを含み、100重量%までの残りは水である、発泡性メイク落とし乳液として使用される美容組成物を開示している。ホホバ油は、エステルの混合物であり、それぞれの分子は、それぞれがエステル結合によって一緒に連結された18ないし22個の炭素原子を含む直鎖脂肪酸および直鎖脂肪アルコールからなる(D.J.Understander、E.A.Oelke、A.R.Kaminski、J.D.Doll、S.M.CombsおよびC.V.Hanson、「Alternative Field Crops Manual」の中の“Jojoba”、1990)。FR2803537に記載されている乳化組成物は、発泡性美容組成物に適切であり、前記組成物の視覚特性である安定性と乳白度とを改良することができる。
【0005】
国際公開公報WO95/13863は、改良された安定性を有する乳剤を調製することと、真珠光効果、すなわち美容組成物に虹色効果、モアレ効果、金属化効果、または不透明化効果を賦与することからなる視覚効果を前記乳剤に賦与することとを意図した、アルキルポリグリコシドと脂肪アルコールとの乳化混合物を含む濃縮物を開示している。この乳化および光沢生成濃縮物が与える安定性により、配合者らは、乳剤の安定性を完全にするために通常使用される増粘ポリマーなどの安定剤の使用を回避することが可能になる。
【0006】
公報US6,348,202B1は、ジヒドロキシアセトンと非イオン性乳化剤とを含む美容セルフタンニング組成物の調製を開示しており、前記非イオン性乳化剤は、アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドとポリ−12−ヒドロキシステアレートポリオールとの混合物からなる。前記非イオン性乳化剤の使用は、セルフタンニング美容組成物に、改良された安定性を賦与することができ、セルフタンニング美容組成物の高温貯蔵の間のジヒドロキシアセトンの化学分解を防ぐことができる。
【0007】
しかし、植物起源の脂肪ならびに/または、天然起源の増粘剤および/もしくはゲル化剤および/もしくは安定剤ならびに/または、糖および植物起源の脂肪アルコールから得られる乳化剤ならびに/または、糖および植物起源の脂肪酸から得られる乳化剤ならびに/または、植物起源の脂肪酸とグリセロールとのエステルをベースとする乳化剤を含む美容配合物を皮膚につける場合、知覚の結果は不満足なものである。
【0008】
ボディーケアのための美容配合物の知覚特性は、いくつかの基準によって特徴付けられ、その基準の中で、皮膚への組成物の適用の間のユーザーにとっての柔らかさの感覚、組成物のコンシステンシー、およびいわゆる「ソーピング」現象を挙げることができる。美容配合物のコンシステンシーは、流れることに対するその抵抗によって特徴付けられる。そのコンシステンシーは、経験的に、重力の影響下での美容配合物の流れの目視観察によって、および/または測定用プローブを備えデータ処理ソフトウエアを接続したテクスチュロメーターを用いて、加わる最大圧縮力を測定することによって決定される。上述のいわゆる「ソーピング」現象は、皮膚への配合物の適用の間の皮膚上の白みがかった薄膜の出現によって特徴付けられる。この基準は、その薄膜の存在の目視観察および/またはその薄膜がどれくらい速く出現したかの目視観察によって評価される。これは、参考文献「Cosmetic additives−an industrial guide」、William Andrew Publishing/Noyes、1991に、E.W.Flickによって記載されているように、シリコン油などの添加物を美容配合物の中に組み入れることによって減少させることができる。
【0009】
また、三重乳剤の形態であって、ポリエトキシレート化されたおよび/またはポリプロポキシレート化された鎖を有するシリコンポリマーを含む、皮膚を処理および/または保護することを意図した配合物の調製が、上述の「ソーピング」現象を回避することを可能にすることが、国際公開公報WO94/01073に開示されている。
【0010】
また、EP0958856A1の番号で公開されている欧州特許出願は、皮膚へのそれらの適用の間「ソーピング」現象を示さない、水中油中水型三重乳剤の形態であって、ポリエトキシレート化されたおよび/またはポリプロポキシレート化された鎖を有する少なくとも1個の部分的または完全に架橋されたオルガノポリシロキサンエラストマーの存在を特徴とする配合物を記載している。
【0011】
しかし、これらの技術的解決法は、天然起源ではない美容配合物の構成成分を導入するという欠点を有する。
【0012】
したがって、本発明者らは、天然起源の成分を含み、改良された知覚特性を示す新規な組成物、すなわち、下記の組成物を開発しようと試みた:
− 室温での貯蔵の間、最低で1ヶ月間の後に均質のままである、
− 7.0の値より高い、本明細書の実験部分のパラグラフII−3に記載した手順による、柔らかさ指標によって特徴付けられる、
− 本明細書の実験部分のパラグラフII−2に記載した手順による、知覚分析のための試験の作業条件にしたがって、適切に訓練された11人のパネルによって、皮膚への適用の前に、コンシステンシーの基準にしたがって満足と評価される、
− 本明細書の実験部分のパラグラフII−1に記載した手順による、知覚分析のための試験の作業条件にしたがって、適切に訓練された11人のパネルによって、皮膚への適用の段階の間に「非ソーピング」と評価される。
【0013】
したがって、第一の態様によれば、本発明は水中油型乳剤の形態にある組成物に関し、その重量100%につき、
a)0.1から10重量%の乳化系(A)であって、その重量100%につき、
(i)式(I)のヒドロキシオクタデシルポリグリコシド
HO−R−O−(G)n−H (I)
および式(II)のポリグリコシルオクタデシルポリグリコシド
H−(G)m−O−R−O−(G)p−H (II)
から実質的に構成される、還元糖と1,12−オクタデカンジオールとの反応生成物の混合物5から95重量%
[ここで、式(I)および(II)において、Gは前記還元糖の残基を表し、Rは1,12−オクタデカン−ジイル二価ラジカルを表し、ここで、同一または異なってもよいn、mおよびpは、互いに独立して、それぞれ1ないし5の小数を表す]、
(ii)1,12−オクタデカンジオール95から5重量%
からなる乳化系(A)と、
b)0.01から5重量%の、天然起源の増粘剤および/またはゲル化剤から選択される少なくとも1種の増粘剤および/またはゲル化剤と、
c)10から50重量%の、モノグリセリドおよび/またはジグリセリドおよび/またはトリグリセリドをベースとする1種または複数の植物油からなる脂肪相(P2)と、
d)89.89から35重量%の、化粧品として許容される水相(P1)と
を含む。
【0014】
上に定義した式(I)の定義において、nは残基Gの平均重合度を表す小数である。nが整数であるとき、(G)nは残基Gのランクnのポリマー残基である。nが小数であるとき、式(I)は下記の化合物の混合物を表す:
1HO−R−O−G−H+a2HO−R−O−(G)2−H+a3HO−R−O−(G)3−H+...+aqHO−R−O−(G)q−H
この場合、qは1ないし5の整数で、モル比a1、a2、a3、...aqにおいて下記のようになることを表す。
【数1】

【0015】
上に定義した式(II)の定義において、mおよびpは残基Gの平均重合度を表す小数である。mが整数であるとき、(G)mは残基Gのランクmのポリマー残基を表す。pが整数であるとき、(G)pは残基Gのランクpのポリマー残基を表す。mおよびpが小数であるとき、式(II)は下記の化合物の混合物を表す。
【0016】
1H−G−O−R−O−G−H+b2H−G−O−R−O−(G)2−H+b3H−G−O−R−O−(G)3−H+...+bqH−G−O−R−O−(G)q−H+c1H−(G)2−O−R−O−G−H+c2H−(G)2−O−R−O−(G)2−H+c3H−(G)2−O−R−O−(G)3−H+...cqH−(G)2−O−R−O−(G)q−H+...,d1H−(G)3−O−R−O−G−H+d2H−(G)3−O−R−O−(G)2−H+d3H−(G)3−O−R−O−(G)3−H+...dqH−(G)3−O−R−O−(G)q−H+e1H−(G)4−O−R−O−G−H+e2H−(G)4−O−R−O−(G)2−H+e3H−(G)4−O−R−O−(G)3−H+...eqH−(G)4−O−R−O−(G)q−H+f1H−(G)5−O−R−O−G−H+f2H−(G)5−O−R−O−(G)2−H+f3H−(G)5−O−R−O−(G)3−H+...fqH−(G)5−O−R−O−(G)q−H
この場合、qは1ないし5の整数で、モル比において下記にようになることを表す。
【数2】

【0017】
本発明の特定の態様によれば、式(I)および(II)において、n、mおよびpは、互いに独立して、1.05ないし5、より詳細には1.05ないし2である。
【0018】
「還元糖」は、式(I)および(II)において、参考文献「Biochemistry」、Daniel Voet/Judith G.Voet、250頁、John Wiley & Sons、1990において定義されている通り、その構造がアノマー炭素とアセタール基の酸素との間に確立したグリコシド結合を有しないサッカライド誘導体を意味する。オリゴマー構造(G)n、(G)mおよび(G)pは、それが光学異性、幾何異性または位置異性のいずれであっても、異性の任意の形態とすることができ、それらオリゴマー構造は異性体の混合物も表し得る。
【0019】
上に定義した式(I)において、HO−R−O基は、アセタール官能基を形成するために、サッカライド残基のアノマー炭素によってGへ結合される。
【0020】
上に定義した式(II)において、O−R−O基は、2個の別々のアセタール官能基を形成するために、それぞれのサッカライド残基のアノマー炭素によってそれぞれの残基Gへ結合される。
【0021】
本発明の特定の態様によれば、式(I)および(II)の化合物の定義において、Gはグルコース、デキストロース、スクロース、フルクトース、イドース、グロース、ガラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、ラクトース、セロビオース、マンノース、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース、アロース、アルトロース、デキストランまたはタロースから選択される還元糖を、より詳細にはグルコース、キシロースまたはアラビノースから選択される還元糖を表す。
【0022】
前記乳化系(A)は、所望の所定の割合で、式(I)の化合物と式(II)の化合物と1,12−オクタデカンジオールとの単純な混合によって調製できる。
【0023】
また、前記乳化系(A)は、
工程a)酸触媒系の存在下における、還元糖Gの、化学量論的に過剰の1,12−オクタデカンジオールとの反応
を含む方法にしたがって調製することができる。
【0024】
前記乳化系(A)の調製方法において、工程a)は、2つの反応物の間の化学量論的な比を調節して、温度および減圧の所定の条件、例えば、70℃ないし130℃の温度で、300ミリバール(3 104Pa)ないし20ミリバール(2 103Pa)の減圧下での機械攪拌によって、反応器において一般的に実行される。
【0025】
「酸触媒系」は、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、次亜リン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの強酸または酸性イオン交換樹脂を意味する。
【0026】
また、前記乳化系(A)は、
a1)式(III)
3−OH (III)
(ここで、R3は、酸触媒系の存在下で、1ないし4個の炭素原子を有し、より詳細にはブタノールを有する直鎖脂肪族ラジカルを表す)
のアルコールとの還元糖Gの反応の、式(IV)
3O−(G)p (IV)、
(ここで、pは1ないし5の小数を表す)
のアセタールを形成する工程と、
b)in situで形成された式(III)のアルコールの減圧蒸留によって、過剰の1,12−オクタデカンジオールを加えることによる、工程a1)において得られた式(IV)のアセタールのトランス−アセタール化の工程と
を含む上述の方法の変形形態にしたがって調製することができる。
【0027】
上に定義した方法の変形形態の工程a1)は、より詳細には、減圧下で90℃ないし105℃の温度で行われ、反応の間に形成された水の同時除去をしばしば伴う。この工程a1)において使用される触媒系は、より詳細には、前記変形形態の元となる調製方法の適用のために記載されている触媒系である。
【0028】
前記方法およびその変形形態に、必要であればまたは所望であれば、中和、濾過および漂白の操作を補充することができる。
【0029】
本発明の組成物中に含まれる乳化系(A)の調製のために使用される1,12−オクタデカンジオールは、ヒマシ油の脂肪酸の水素付加の結果生じるジオールである。その1,12−オクタデカンジオールは、特に、Speziol(商標)C18/2の名称でCognis社から市販されている。
【0030】
「天然起源の増粘剤および/またはゲル化剤」は、水相を増粘させるための化学物質を意味し、それらの調製のために必要とされる原料は、植物、藻、無機物、および少なくとも1種の細菌とその調製に必要とされる原料が植物または藻である少なくとも1つの炭化水素基質との発酵作用によって得られる化学物質である。
【0031】
天然起源の増粘剤および/またはゲル化剤の中で、局所的に許容可能で、活性のこの圏内で通常使用されるポリサッカライドおよびタンパク質、例えば、アカシアガム、カラヤガム、ガティガム、スクレロチウムガム、グアーガム、カロブ、ペクチン、コロハ、カラゲナート、アルギナート、ガラクトマンナン、セルロースおよびその誘導体、デンプンおよびその誘導体、キサンタンガム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウムを挙げ得る。
【0032】
特定の態様によれば、本発明による組成物は、その重量100%につき、天然起源の増粘剤および/またはゲル化剤から選択される少なくとも1種の増粘剤および/またはゲル化剤0.01ないし5重量%、より詳細には0.1ないし5重量%を含む。
【0033】
別の特定の態様によれば、本発明による組成物は、キサンタンガム、アカシアガム、グアーガム、ペクチン、カロブ、コロハ、カラゲナート、アルギナートおよびガラクトマンナンからなる群の要素から選択される天然起源の少なくとも1種の増粘剤および/またはゲル化剤を含む。
【0034】
「モノグリセリドおよび/またはジグリセリドおよび/またはトリグリセリドをベースとする植物起源の油」は、それらの調製のために必要とされる原料が植物である、式(A1)および/もしくは式(A’1)のモノグリセリドおよび/または、式(A2)および/もしくは式(A’2)のジグリセリドおよび/または、式(A3)のトリグリセリドとを含む化学物質を意味する:
CH3−(CH2x1−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−OH (A1)
HO−CH2−CH[O−C(O)−(CH2x2−CH3]−CH2−O−H (A’1)
CH3−(CH2x3−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−C(O)−(CH2x4−CH3 (A2)
CH3−(CH2x5−C(O)−O−CH2−CH[O−C(O)−(CH2x6−CH3]−CH2−O−H (A’2)
CH3−(CH2x7−C(O)−O−CH2−CH[O−C(O)−(CH2x8−CH3]−CH2−O−C(O)−(CH2x9−CH3 (A3)
(ここで、x1、x2、x3、x4、x5、x6、x7、x8およびx9は、同一または異なってもよく、7ないし23の整数を表す)。
【0035】
上に定義したモノグリセリドおよび/またはジトリグリセリドおよび/またはトリグリセリドをベースとする植物起源の油の中で、例えば、スイートアーモンド油、コプラ油、ヒマシ油、オリーブ油、コルザ油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、トウモロコシ胚芽油、大豆油、綿実油、アルファルファ油、ポピー油、パンプキン油、ホソバタイセイ油、ボリジ油、月見草油、キビ油、大麦油、ライ麦油、紅花油、キャンドルナッツ油、トケイソウ油、ヘーゼルナッツ油、パーム油、シアバター、杏仁油、カロフィラム油、シシンブリウム油、アボカド油、キンセンカ油、ヘンプ油、花から得られる油、植物から得られる油、植物起源の脂肪酸とグリセロールとの間のエステル化反応によって得られるトリグリセリド、例えば、STEARINERIE DUBOIS社からDUB MCTの名称で市販されているカプリル酸カプリン酸トリグリセリド、STEARINERIE DUBOIS社からDUB THGの名称で市販されている、7個の炭素原子を有する脂肪酸とグリセロールとの間のエステル化反応によって得られるトリグリセリド、CRODA社からSYNCHROWAX HRCの名称で市販されている、22個の炭素原子を有する脂肪酸とグリセロールとの間のエステル化反応によって得られるトリグリセリドを挙げ得る。
【0036】
本発明による水中油型乳剤の形態である組成物の水相(P1)の定義において使用される表現「化粧品として許容される」は、1993年6月14日の欧州経済共同体委員会指令第93/35/EECによって修正された1976年7月27日の指令第76/768/EECにしたがって、前記水相(P1)が、排他的かつ主に、ヒトの身体の様々な部分(表皮、剛毛および髪系、つめ、唇および生殖器官)または歯および口腔粘膜を洗浄する、香り付けする、それらの外観を改変するおよび/または体臭を修正するおよび/またはそれらを保護するもしくは良好な状態に維持する目的のために、それらに接触させることを意図した、水と任意の物質または調製物とを含むことを意味する。
【0037】
本発明による水中油型乳剤の形態であるこれらの組成物中に含まれる化粧品として許容される水相(P1)は、水を含み、従来通り、1種または複数の化粧品として許容される有機溶媒、水と1種または複数の化粧品として許容される有機溶媒との混合物を含むことができる。化粧品として許容される溶媒は、より詳細には、多価アルコール、例えばグリセロール、ジグリセロール、グリセロールのオリゴマー、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、キシリトール、エリトリトール、ソルビトールなど、またはエタノール、イソプロパノールもしくはブタノールなどの水溶性アルコールから選択することができる。
【0038】
さらに別の特定の態様によれば、本発明による組成物は、その重量の100%につき、ジヒドロキシアセトン0.5ないし10重量%を含む。
【0039】
ジヒドロキシアセトンは、太陽へのまたは紫外線灯下での長期に渡る暴露で引き起こすことができるのとほとんど同様の外観のブロンジングまたは日焼け効果を得ることを可能にする、皮膚の人工的なブロンジングおよび/または日焼けのための薬剤として、化粧品において一般的に使用される製品である。本発明によれば、その重量の100%につき、ジヒドロキシアセトン0.5ないし10重量%を含む水中油型乳剤の形態である組成物も、皮膚のブロンジングおよび/または日焼けのためのその他の薬剤と組み合わせることができ、それら薬剤の中で、モノ−またはポリカルボニル化された化合物、例えば、イサチン、アロキサン、ニンヒドリン、グリセルアルデヒド、メソ酒石酸アルデヒド、グルタルアルデヒド、エリトルロースを挙げ得る。
【0040】
また、一般的に、本発明による組成物は、共乳化界面活性剤など、洗浄界面活性剤など、安定剤、薄膜形成化合物、艶出し剤、過脂肪剤、増粘剤および/またはゲル化界面活性剤、金属イオン封鎖剤、ヒドロトロープ剤、可塑剤、過脂肪剤、抗酸化剤、天然起源の脂肪、保存料、皮膚または髪に対する処理作用を提供することを意図した有効成分、サンフィルター、無機充填剤または顔料、視覚効果を与えるまたは有効成分のカプセル化を意図する粒子、角質除去粒子、感触向上剤などの、美容、皮膚美容、医薬品または皮膚医薬品配合物の分野において通常使用される賦形剤および/または有効成分を含む。
【0041】
本発明による組成物中に含むことができる有効成分の中で、美白または脱色作用、水和作用、リフティング作用、鎮静またはリラックス作用、抗炎症作用、スリム化作用、脂肪分解作用、排出作用、解毒作用、活力化作用、収縮防止作用、刺激作用、皮膚軟化作用、神経調節作用、保護作用、浄化作用、皮脂調節作用、抜け毛を防止する作用、アンチエージング作用、引き締め、再構築、抗ラジカルまたは抗酸化作用を有する有効成分を挙げ得る。前記有効成分は、例えば、N−アシル化タンパク質、例えばMATRIXIL(商標)などのN−アシル化ペプチド、例えばSEPIWHITE(商標)MSHの名称でSEPPIC社から市販されているN−(ω−ウンデシレノイル)フェニルアラニン、LIPACIDE(商標)C8Gの名称でSEPPIC社から市販されているオクタノイルグリシン、LIPACIDE(商標)UGの名称でSEPPIC社から市販されているウンデシレノイルグリシンなどの酸および/または塩の形態であるN−アシル化アミノ酸、N−アシル化タンパク質、アミノ酸、ペプチドの部分加水分解物、タンパク質の完全な加水分解物、脂溶性ビタミン、例えばレチノールなどの脂溶性ビタミンの誘導体、ビタミンEおよびその誘導体、例えばビタミンCおよびその誘導体などの水溶性および/または水分散性ビタミン、リン酸アスコルビルマグネシウムおよびその誘導体、アスコルビルグルコシド、フィチン酸、フルーツ酸、ポリフェノールの、キノアの、パースニップの、ポテンティラの、ブドウの、ワインの水性または水性−アルコール性または水性−グリコール性抽出物、オリーブの抽出物、マールの抽出物、ポリオール(例えばグリセロールもしくはブチレングリコール)、乳の誘導体、または例えば尿素などのNMF(天然保湿因子)の組成物中の様々な構成成分、ピロリドンカルボン酸もしくは前記酸の誘導体、アミノ酸、無機塩、糖もしくは糖の誘導体、ポリサッカライドもしくはその誘導体、例えば乳酸などのヒドロキシ酸、タンニンの豊富な植物抽出物、イソフラボンの豊富な植物抽出物もしくはテルペンの豊富な植物抽出物などの水性または水性−アルコール性または水性−グリコール性植物抽出物、淡水もしくは海の藻の抽出物、珊瑚などの海洋性抽出物全般、細菌抽出物;GIVOBIO(商標)、カルシウムの誘導体、マグネシウムの誘導体、銅の誘導体、コバルトの誘導体、亜鉛の誘導体、リチウムの誘導体、またはマンガンの誘導体、銀の塩、金の塩などの無機物;SEPITONIC(商標)M3またはPhysiogenyl(商標)などの活力化特性または刺激特性を有する有効成分;例えばジヒドロキシアセトンおよびエリトルロースなどのセルフタンニング有効成分;例えばAQUAXYL(商標)、脂質全般、セラミドまたはリン脂質などの、脂質などの表皮を水和させるまたは再構築するための有効成分、カフェインまたはその誘導体、SEPICAP(商標)MPなどのパンテノールおよびその誘導体などのスリム化作用または脂肪分解作用を有する有効成分、SEPILIFT(商標)DPHP、LIPACIDE(商標)PVBなどのアンチエージング有効成分、例えばコラーゲン、エラスチン、グリコサミノグリカンなどの細胞外マトリックスの構成成分の合成を増進する有効成分、サイトカインなどの化学物質またはインテグリンなどの身体物質などの細胞の伝達に好ましく作用する有効成分、皮膚の微小循環の活性化因子(例えばニコチネート)などの皮膚上に「熱」の感覚を作り出す有効成分または皮膚上に「さわやかさ」の感覚を作り出す生成物(例えばメントールおよびその誘導体);ハチミツ;例えば若い大麦の新芽の水などのフローラルウォーターである。
【0042】
本発明による組成物中に場合によって存在する感触向上剤の例として、アミノ酸のN−アシル化誘導体、例えば味の素株式会社からAMINOHOPE(商標)LLの名称で市販されているラウロイルリシン、NATIONAL STARCH社からDRYFLO(商標)の名称で市販されているデンプンオクテニルスクシネート、MONTANOV14の名称でSEPPIC社から市販されているミリスチルポリグルコシド、セルロース繊維、綿繊維、キトサン繊維、タルク、絹雲母、雲母を挙げ得る。
【0043】
本発明による組成物中に場合によって存在する乳白剤および/または艶出し剤の例として、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、脂肪アルコールを挙げ得る。
【0044】
本発明による組成物中に場合によって存在する増粘剤および/またはゲル化界面活性剤の例として、
− 場合によってアルコキシル化されたアルキルポリグリコシドの脂肪エステル、非常に詳細には、それぞれGLUCAMATE(商標)LTおよびGLUMATE(商標)DOE120の名称で市販されている、トレイン酸PEG120メチルグルコースおよびジオレイン酸PEG120メチルグルコースなどのメチルポリグルコシドのエトキシル化エステル;
− CROTHIX(商標)DS53の名称で市販されているテトラステアリン酸PEG150ペンタエリスリチル、ANTIL(商標)141の名称で市販されているオレイン酸PEG55プロピレングリコールなどのアルコキシル化された脂肪エステル;
− ELFACOS(商標)T211の名称で市販されているジカルバミン酸PPG14ラウレスイソホリル、ELFACOS(商標)GT2125の名称で市販されているジカルバミン酸PPG14パルメス60ヘキシルなどの脂肪鎖のカルバミン酸ポリアルキレングリコール
を挙げ得る。
【0045】
本発明による組成物中に場合によって存在する共乳化界面活性剤の例として、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤を挙げ得る。
【0046】
本発明による組成物中に場合によって存在する非イオン性共乳化界面活性剤の例として、脂肪酸とソルビトールとのエステル、例えばSEPPIC社からMONTANE(商標)80およびMONTANE(商標)85およびMONTANE(商標)60の名称で市販されている製品;アルキルポリグリコシド;アルキルポリグリコシドと直鎖または分枝脂肪アルコールとの組成物、例えばSEPPIC社からMONTANOV(商標)およびFLUIDANOV(商標)の名称で市販されている組成物;脂肪酸とポリグリセロールとのエステル、例えばBASF社からISOLAN(商標)GI34およびGATTEFOSSE社からPLUROL(商標)DIISOSTEARIQUEの呼称で市販されている製品;エトキシル化ヒマシ油およびエトキシル化硬化ヒマシ油、例えばSEPPIC社からSIMULSOL(商標)989の呼称で市販されている製品;ステアリン酸グリセロールとエチレンオキシド5モルないし150モルのエトキシル化ステアリン酸とを含む組成物、例えばエチレンオキシド135モルを有するエトキシル化ステアリン酸を含む、SEPPIC社からSIMULSOL165の名称で市販されているステアリン酸グリセロールの組成物;ポリグリコールの、またはポリグリセロールのポリヒドロキシステアレート、例えばUNIQEMA社から市販されているHYPERMER(商標)B246、ARLACEL(商標)P135と呼ばれる製品、COGNIS社から市販されているDEHYMULS(商標)PGPHと呼ばれる製品、NIKKO社から市販されているDECAGLYN(商標)5HSと呼ばれる製品;AKZO社からELFACOS(商標)ST9の呼称で市販されている製品などのPEG−45ドデシルグリコールコポリマーなどのポリエチレングリコール−アルキルグリコールコポリマー;エトキシル化ソルビタンエステル、例えばSEPPIC社からMONTANOX(商標)の呼称で市販されている製品;マンニタンエステル;エトキシル化マンニタンエステル;スクロースエステル;メチルグルコシドエステルを挙げ得る。
【0047】
本発明による組成物中に場合によって存在する陰イオン性共乳化界面活性剤の例として、デシルホスフェート、DSM社からAMPHISOL(商標)の名称で市販されているセチルホスフェート、グリセリルステアレートシトレート;セテアリルサルフェート;SEPPIC社によるSENSANOV(商標)WRの名称で市販されている組成物アラキジル/ベヘニルホスフェートおよびアラキジル/ベヘニルアルコール;石鹸、例えばステアリン酸ナトリウムまたはトリエタノールアンモニウムステアレート;塩化されたリポアミノ酸、例えばステアロイルグルタメートを挙げ得る。
【0048】
本発明による組成物中に場合によって存在する陽イオン性共乳化界面活性剤の例として、アミノキシド、クオタニウム−82および特許出願WO96/00719に記載されている界面活性剤、ならびに主にその脂肪鎖が少なくとも16個の炭素を含む界面活性剤を挙げ得る。
【0049】
本発明による組成物中に場合によって存在する洗浄界面活性剤の例として、陰イオン性洗浄界面活性剤、陽イオン性洗浄界面活性剤、両性洗浄界面活性剤、非イオン性洗浄界面活性剤を挙げ得る。
【0050】
本発明による組成物中に場合によって存在する陰イオン性洗浄界面活性剤の中で、特に、アルカリ金属の塩、アルカリ土類金属の塩、アンモニウム塩、アミンの塩、以下の化合物のアミノアルコールの塩:アルキルエーテルサルフェート、アルキルサルフェート、アルキルアミドエーテルサルフェート、アルカリルポリエーテルサルフェート、モノグリセリドサルフェート、アルファ−オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルカリルスルホネート、アルキルカルボキシレート、アルキルスルホサクシネート、アルキルエーテルスルホサクシネート、アルキルアミドスルホサクシネート、アルキルスルホアセテート、アルキルサルコシネート、アシルイセチオネート、N−アシルタウレート、アシルラクチレートを挙げ得る。また、陰イオン性界面活性剤の中で、リポアミノ酸、リポタンパク質、リポペプチド、リポタンパク質の誘導体、タンパク質の誘導体、脂肪酸の塩、コプラ油の、場合によって水素付加されたコプラ油の酸の塩を挙げ得る。
【0051】
本発明による組成物中に場合によって存在する両性洗浄界面活性剤の中で、特に、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、サルタイン、アルキルアミドアルキルスルホベタイン、イミダゾリンの誘導体、ホスホベタイン、両性ポリアセテート(amphopolyacetate)および両性プロピオネートを挙げ得る。
【0052】
本発明による組成物中に場合によって存在する陽イオン性洗浄界面活性剤の中で、特に、第四級アンモニウムの誘導体を挙げ得る。
【0053】
本発明による組成物中に場合によって存在する非イオン性洗浄界面活性剤の中で、特に、アルキルポリグリコシド、ヒマシ油の誘導体、ポリソルベート、コプラのアミド、N−アルキルアミンを挙げ得る。
【0054】
本発明による組成物中に場合によって存在する天然起源の脂肪の例として、植物起源の飽和または不飽和の、直鎖または分枝脂肪アルコール;植物起源の飽和または不飽和の、直鎖または分枝脂肪酸;植物起源の飽和または不飽和の、直鎖または分枝脂肪アルコールおよび脂肪酸のエステル、例えばステアリン酸ブチル、パルミチン酸セチル、リシノール酸セチル、オレイン酸デシル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、リノール酸エチル、トリラウリン、ステアリン酸イソセチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、カカオ酸エチルヘキシル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、パルミチン酸エチルヘキシル、ステアリン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、テトライソステアリン酸ペンタエリルスリチル、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、カプリル酸ステアリル、ヘプタン酸ステアリル、トリイソステアリン、べヘン酸ベヘニル、オクチルドデシルステアロイルステアレート、イソセチルステアロイルステアレート、テトラべヘン酸ペンタエリスリチル、テトラカプリル酸/テトラカプリン酸ペンタエリスリチル、ヘキサカプリル酸/カプリン酸ジペンタエリスリチル;植物起源の飽和または不飽和の、直鎖または分枝脂肪アルコールおよび脂肪酸のエーテル;植物起源の直鎖または分枝アルカン、例えば、フィトスクワラン;植物起源の直鎖または分枝アルケン、例えば、フィトスクワレン;エトキシル化植物油;植物起源のエトキシル化メチルエステル;植物起源の蝋、例えば、カルナバ蝋、キャンデリラ蝋、コルク繊維蝋、サトウキビ蝋および蜜蝋を挙げ得る。
【0055】
本発明による組成物中に場合によって存在する顔料の例として、二酸化チタン、オキシ塩化ビスマス、茶色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄もしくは赤色酸化鉄、または雲母チタンなどの白色もしくは有色の真珠光沢顔料を挙げ得る。
【0056】
本発明による組成物中に場合によって存在するサンフィルターとして、化粧品指令76/768/EEC修正付則VIIにおいて登場する全てのサンフィルター、より詳細には天然起源の日焼け止め剤、例えば酸化チタンおよび酸化亜鉛を挙げ得る。
【0057】
本発明による組成物は、クリーム、乳液、ゲルクリーム、液体ローション、揮発性液体ローションの形態であり得る。本発明による組成物は、適切な流動体の特徴を有する場合、例えば、皮膚の、頭皮の、もしくは髪のケア、保護もしくは洗浄を意図した拭き取り布または例えば衛生用もしくは家庭用に使用するための紙などの製品を構成するための、合成もしくは天然の、織られたもしくは不織の織物繊維または紙からなる基質の含浸にまた、役立ち得る。
【0058】
本発明による組成物は、美容、皮膚美容、皮膚医薬品または医薬品組成物の場合における直接的な適用のいずれであっても、皮膚、髪または頭皮に接触することを意図した、例えば拭き取り布などの繊維品の形態または例えば衛生用のための紙など紙の形態である、身体のケア、保護または洗浄のための製品の場合における間接的な適用のいずれであっても、皮膚、髪または頭皮上に適用することによって使用できる。
【0059】
また、本発明は、皮膚、髪または頭皮の洗浄のため、保護のため、および/またはケアのための、上に定義した組成物の美容のための使用に関する。
【0060】
本発明による組成物は、皮膚、髪または頭皮を洗浄するために使用することができ、より詳細には、バスジェルまたはシャワージェルとして、シャンプーとして使用することができる。この特定の使用において、本発明による組成物はさらに、上に記載した少なくとも1種の洗浄界面活性剤を含む。
【0061】
本発明による組成物は、皮膚のケアのためまたは保護のために、例えば、顔、手および身体のケアのためのもしくは保護のためのクリームとして、乳液として、またはローションとして使用できる。
【0062】
また、本発明による組成物は、太陽光線から皮膚を保護するための製品として、およびスキンメイクアップ製品として使用することができる。
【0063】
別の特定の態様によれば、本発明は、上に定義され、さらに、皮膚の人工的なブロンジングおよび/または日焼けのために、その重量100%につき、ジヒドロキシアセトン0.5ないし10重量%を含む組成物の美容のための使用に関するものである。
【0064】
また、本発明は、皮膚の人工的なブロンジングおよび/または日焼けのための美容処理の方法であって、後者において、上に定義されており、その重量100%につきジヒドロキシアセトン0.5ないし10重量%をさらに含む組成物を適用することからなることを特徴とする方法に関する。
【0065】
別の態様によれば、本発明は、上に定義した組成物の調製方法であって、
a)上に記載した通り、脂肪相(P2)を乳化系(A)と混合する少なくとも1つの工程と;
b)工程a)の終わりに得られる脂肪相(P2)と乳化系(A)との混合物の、水相(P1)との乳化の少なくとも1つの工程と
を含む方法に関する。
【0066】
本発明による方法において、脂肪相(P2)は、上に定義した通り、モノグリセリドおよび/またはジグリセリドおよび/またはトリグリセリドをベースとする1種または複数の植物油を含む。脂肪相(P2)が、モノグリセリドおよび/またはジグリセリドおよび/またはトリグリセリドをベースとする単一の植物油からなっていない場合、脂肪相(P2)は、典型的には20℃ないし85℃の温度で、さらにより詳細には、20℃ないし60℃の温度で、当業者によって知られている任意の混合デバイスを用いて、例えば、「アンカー」型の羽根車を備えた機械攪拌デバイスを用いて、50回転/分ないし500回転/分、より詳細には50回転/分ないし300回転/分の攪拌速度で、その構成成分を混合することによって調製される。
【0067】
上に記載した本発明による方法において、脂肪相(P2)を乳化系(A)と混合する工程a)が、90℃未満または90℃に等しい温度で、より詳細には50℃ないし85℃の温度で、さらにより詳細には60℃ないし85℃の温度で実行できることは有利である。
【0068】
本発明による方法の脂肪相(P2)を乳化系(A)と混合する工程a)は、当業者によって知られている任意の混合デバイスを使用して、例えば「アンカー」型の羽根車を備えた機械攪拌デバイスを用いて、50回転/分ないし500回転/分、より詳細には50回転/分ないし300回転/分の攪拌速度で、および例えば回転子−固定子型の攪拌デバイスを用いて、100回転/分ないし10000回転/分、より詳細には500回転/分ないし4000回転/分の攪拌速度で実行できる。
【0069】
本発明による方法において、工程a)の終わりに調製される脂肪相(P2)と乳化系(A)との混合物の、水相(P1)との乳化の工程b)が、20℃ないし90℃の温度で、より詳細には50℃ないし85℃の温度で、さらにより詳細には60℃ないし85℃の温度で実行できることは有利である。
【0070】
本発明による方法において、乳化の工程b)は、当業者によって知られている任意の混合デバイスを使用して、例えば「アンカー」型の羽根車を備えた機械攪拌デバイスを用いて、50回転/分ないし500回転/分、より詳細には50回転/分ないし300回転/分の攪拌速度で、例えば回転子−固定子型の攪拌デバイスを用いて、100回転/分ないし10000回転/分、より詳細には500回転/分ないし4000回転/分の攪拌速度で実行できる。
【0071】
上に記載した本発明による方法において、水相(P1)は、水と、場合によって1種または複数の上に記載した化粧品として許容される有機溶媒と、少なくとも1種の上に記載した天然起源の増粘剤および/またはゲル化剤とを含む。水相(P1)は、20℃ないし85℃の温度で、さらにより詳細には20℃ないし60℃の温度で、および当業者によって知られている任意の混合デバイスを用いて、例えば、「アンカー」型の羽根車を備えた機械攪拌デバイスを用いて、50回転/分ないし500回転/分、より詳細には50回転/分ないし300回転/分の攪拌速度で、水と、場合によって1種または複数の化粧品として許容される有機溶媒とを、少なくとも1種の上に記載した天然起源の増粘剤および/またはゲル化剤と混合することによって調製される。
【0072】
以下の実施例は、本発明を例証するが、それに限定されない。
【0073】
I−本発明による安定的な水中油型乳剤の形態の組成物の調製
I−1−グルコースと1,12−オクタデカンジオールと1,12−オクタデカンジオールとの反応生成物の混合物からなる乳化組成物(A1)の調製
熱伝導流体がその中で循環し、効率的な攪拌を備えている二重ジャケット付きガラス反応器に、1,12−オクタデカンジオール1074.6gを入れる。1,12−オクタデカンジオールを、90℃の温度で30分内に融解し、無水グルコース100.3gを、反応混合物中に徐々に分散し、90℃で20分間ホモジナイズする。次に、96%硫酸1.50gからなる酸触媒系を、得られた混合物に加える。次に、反応混合物を、90ミリバールないし25ミリバールの減圧下に置き、蒸留装置を用いて、形成された水を除去しながら103℃ないし106℃の温度で6時間保持する。次に、反応混合物を、95℃ないし100℃に冷却し、30%ソーダ1.47gを加えることによって中和して、この混合物の5%溶液のpHを5.5ないし7.5の値に調整する。次に、このようにして得られた組成物(A1)を、取り出す。
【0074】
組成物(A1)の分析的特徴は、以下の通りである:
外観(視覚的):室温でベージュ色の蝋;
5%溶液のpH:7.3;
融点:70.3℃
残留水分含有量:0.21%
1,12−オクタデカンジオール含有量:81.4%
1,12−オクタデカンジオールアルキルポリグルコシドの含有量:18.2%。
【0075】
I−2−安定的な美容水中油型乳剤の調製
乳剤(E1)、(E’1)、(E2)、(E’2)および(E3)を、下に示した同一の手順にしたがって調製する:
− 脂肪相の構成成分を、反応器の中へ連続的に導入し、得られた混合物を、アンカー型の羽根車を備えた攪拌機によって80回転/分の速度で攪拌する間に、80℃の温度まで加熱する;
− 次に、乳化系を、80℃の温度で脂肪相に加え、得られた混合物を、80回転/分の速度で、アンカー型の羽根車を備えた攪拌機によって、30分間ホモジナイズする;
− 水と保存料と錯化剤(DISSOLVINE(商標)GL−38)と増粘剤(KELTROL(商標)CG Tの名称で市販されているキサンタンガムまたはCAPIGEL(商標)98の名称で市販されているアクリルコポリマーをベースとする増粘剤)とを含む水相を、80回転/分の速度で、アンカー型の羽根車を備えた攪拌機による機械攪拌によって、25℃の温度で、その様々な成分を混合することによって、別に調製する;
− 次に水相を、80回転/分の速度で、アンカー羽根車を備えた機械攪拌機によって機械的に攪拌して80℃の温度まで加熱し、次に80℃の温度で脂肪相と乳化系とを含む混合物に加える;
− 得られた混合物を、4000回転/分の速度で4分間、SILVERSON社から市販されている回転子−固定子型の乳化機を用いてせん断し、次に10分間アンカー下で80回転/分の速度でアンカー羽根車を備えた機械攪拌機による機械攪拌によって30℃の温度に冷却する;
− 次に、保存料(GEOGARD(商標)221)を、このようにして得られた乳化された混合物に加え、次に、それを室温に冷却し、80回転/分の速度でアンカー型の羽根車を備えた攪拌機によってさらに10分間、攪拌する。
【0076】
それぞれの乳剤の重量による組成を下の表1に示す。
【表1】

【0077】
このようにして調製された乳剤を、7日間、20℃の温度に調節された断熱された人工気候室の中に貯蔵する。この7日の期間の終わりに、それぞれの乳剤の外観を観察し、その粘度を測定する(Brookfield LVT、羽根車4枚、速度6、mPa.s)。次に、乳剤を取替え、1ヶ月間、20℃の温度に調節された同一の断熱された人工気候室の中に貯蔵する。1ヶ月の期間の後で、それぞれの乳剤を、その外観の観察のために人工気候室から取り出す。
【0078】
得られた観察および粘度測定の結果を次の表2に示す。
【表2】

【0079】
これらの結果は、本発明による水中油型乳剤(E1)が、先行技術の水中油型乳剤(E’1)、(E2)、(E’2)および(E3)とまったく同じように、最低で1ヶ月間の後、室温での貯蔵の間、均質のままであることを示している。
【0080】
II−本発明による局所使用のための組成物の「ソーピング」効果の改良の実証
II−1−「ソーピング」効果の評価
「ソーピング」効果は、組成物を皮膚につけたときの皮膚の表面上の白みがかった薄膜の出現に反映される。「ソーピング」効果は、下のパラグラフb)に示した手順にしたがって、適切に訓練されたユーザーの代表パネルによって、実験的に評価される。
【0081】
a)方法の原理
皮膚上の組成物の「ソーピング」効果は、皮膚に組成物をつける指によって行われる(それから始めて薄膜が現れる)回転数を記録する、前記評価において適切に訓練された11人のパネルによって、皮膚への適用の作業の間に評価される。
【0082】
b)実験のプロトコル
評価される組成物が適用されることになる試験者の皮膚の表面を、エタノールによって事前に洗浄し、次に吸収性の紙によって拭く。評価される組成物50μlを、マイクロピペットを使用して取り、次に試験者の手首の内側の皮膚上に置く。次に、試験者は、毎秒約1回の回転頻度で反対の手の2本の指(人差し指および中指)によって約3センチメートルの回転を行う。試験者は、組成物が適用された皮膚の表面上の白みがかった薄膜の出現までに行われた回転数を書き留める。
【0083】
c)結果の表現
試験者の皮膚上の白みがかった薄膜の出現のために必要とされる回転数が、1ないし30である場合、試験される組成物は「ソーピング」とみなされる。
【0084】
試験者の皮膚上の白みがかった薄膜の出現のために必要とされる回転数が、31ないし60である場合、試験される組成物は「わずかにソーピング」とみなされる。
【0085】
試験者の皮膚上の白みがかった薄膜の出現のために必要とされる回転数が、61を超える場合、試験される組成物は「非ソーピング」とみなされる。
【0086】
試験されるそれぞれの組成物に対して、算術平均を、以下の式にしたがって、11人の試験者のそれぞれによって記録された回転数から計算する:
平均回転数=各試験者の回転数の合計/11。
【0087】
II−2−組成物のコンシステンシーの評価
組成物のコンシステンシーは、前記組成物の流れに対する抵抗を意味し、組成物の流れの目視観察などの実験に基づいた観察によっておよび/または測定用プローブを備えデータ処理ソフトウエアを接続したテクスチュロメーターを用いて印加される最大圧縮力を測定することによって特徴付けることができる。
【0088】
II−2−1−目視観察による組成物のコンシステンシーの評価
a)方法の原理
コンシステンシーは、ビンを180°まで回転させた後で、前記ビンの中に入っている、評価される組成物の流れの目視観察によって評価することができる。
【0089】
b)実験のプロトコル
50グラムの量の試験組成物を、100mlの透明ガラスビンの中に入れて、ネジ栓を用いて封をする。適切に訓練された、経験豊富な試験者は、3秒間180°まで試験組成物の入っているビンを回転させ、自分の観察を記録する。次に、試験者は再度180°まで試験組成物の入っているビンを回転させる。
【0090】
c)結果の表現
− 試験組成物が入っているビンが180°まで回転する間の3秒内に、試験組成物が自発的に流れる場合、組成物は使用において「液状」と記載される。
【0091】
− 試験組成物が入っているビンが180°まで回転する間の3秒内に、試験組成物が自発的に流れないが、試験者がビンの底に手による衝撃を3回与えた後で流れる場合、美容組成物は「流動可能」と記載される。
【0092】
− 試験組成物が入っているビンが180°まで回転する間の3秒内に、試験組成物が自発的に流れない場合および試験者がビンの底に手による衝撃を3回与えた後で流れない場合、試験組成物は「固まり」と記載される。
【0093】
II−2−2−最大圧縮力を測定することによる組成物のコンシステンシーの評価
a)方法の原理
コンシステンシーは、データ処理ソフトウエアを接続し、半球状測定用プローブを備えたETIA社から市販されているTEC95モデルのテクスチュロメーターを用いて印加される最大圧縮力を測定することによって評価できる。
【0094】
b)実験のプロトコル
試験組成物を、内径7.7センチメートルおよび高さ4センチメートルのビンの中に入れ、密封した後で、20℃の温度で24時間、貯蔵する。TEC95モデルのテクスチュロメーターは、ステンレス鋼製の半球状プローブが設置された移動ユニットからなり、50ニュートン±0.025ニュートンの力センサーを用いて、プローブの移動の動きの間、試料によって試料によって維持される力を継続的に測定する。プローブの移動の動きは、試料中をプローブが下降する単純な動きからなる。移動の速度は1ミリメートル/秒に設定され、試料によって維持される力の測定を始動するための閾値は0.1ニュートンであり、試料中へのプローブの侵入深度は10ミリメートルに設定される。24時間のこの貯蔵時間の後で、試験される組成物が入れられているビンを開け、最大圧縮力を測定するために、下に述べられている実験の条件に従う。測定の間、力の変化をテクスチュロメーターに接続されたETIAソフトウエアによって記録し、ETIAは侵入の持続時間の関数として力の変化の曲線を記録し、この曲線からニュートンで表現される最大圧縮力の変化を計算することを可能にする。
【0095】
c)結果の表現
− 上に記載した実験の条件において測定される最大圧縮力が、0.3ニュートンの値以上である場合、試験組成物は「固まり」とみなされる。
【0096】
− 上に記載した実験の条件において測定される最大圧縮力が、0.2ニュートンの値以上であり、確実に0.3ニュートンの値より低い場合、試験組成物は「流動可能」とみなされる。
【0097】
− 上に記載した実験の条件において測定される最大圧縮力が、確実に0.2ニュートンの値より低い場合、試験組成物は「液状」とみなされる。
【0098】
II−3−組成物によって示される柔らかさの基準の評価
組成物によって示される柔らかさの基準は、組成物を皮膚につけて伸ばしたときにユーザーに与える柔らかさの感覚を意味する。
【0099】
a)方法の原理
組成物によって示される柔らかさの基準は、皮膚への試験組成物の適用によって示される感覚を、0ないし10の範囲の尺度で分類する、前記評価において適切に訓練された11人のパネルによって、皮膚への前記組成物の適用の作業の後で、柔らかさ指標を決定することによって評価される。その適用の間「非常に柔らかい」と判断される組成物は10に相当する柔らかさ指標を有し、その皮膚への適用の間「柔らかくない」または「粗い」と判断される組成物は0に相当する柔らかさ指標を有する。
【0100】
b)実験のプロトコル
評価される組成物が適用されることになる試験者の皮膚の表面を、エタノールによって事前に洗浄し、次に吸収性の紙によって拭く。評価される組成物50μlを、マイクロピペットを使用して取り、次に試験者の手首の内側の皮膚上に置く。次に、試験者は、毎秒約1回の回転の頻度で反対の手の2本の指(人差し指および中指)によって約3センチメートルの回転を行う。
【0101】
次に、試験者は、0ないし10の範囲の尺度上の柔らかさ指標に基づくことによって、試験組成物の適用において受けた柔らかさの感覚を特徴付ける。
【0102】
c)結果の表現
試験されるそれぞれの組成物に対して、11人の試験者のそれぞれによって記録された柔らかさ指標の算術平均を、以下の式にしたがって計算する:
平均柔らかさ指標=各試験者の柔らかさ指標の合計/11。
【0103】
II−4−乳剤(E1)、(E’1)、(E2)、(E’2)および(E3)に対して得られた結果
本発明による乳剤(E1)の、および先行技術による乳剤(E’1)、(E2)、(E’2)および(E3)の知覚特性の評価の結果、すなわち、「ソーピング」効果、コンシステンシーおよび柔らかさ指標を、下の表3に示す。
【表3】

【0104】
本発明による乳剤(E1)ならびに先行技術による乳剤(E’1)および(E2)は「固まり」コンシステンシーを有し、一方で乳剤(E’2)は「流動可能」コンシステンシーを有し、乳剤(E3)は「液状」と判定されるコンシステンシーを有する。
【0105】
乳剤(E1)、(E2)および(E3)は5より高い柔らかさ指標を有し、一方で乳剤(E’1)および(E’2)は5より低い柔らかさ指標を有する。
【0106】
乳剤(E1)および(E2)は、それぞれ柔らかさ指標4.4、5.5、および6.0を有する乳剤(E’1)、(E’2)および(E3)と対照的に、7より高い柔らかさ指標を有する。
【0107】
しかし、先行技術の乳剤(E2)および(E3)は皮膚上の白みがかった薄膜の出現のために必要とされる平均回転数がそれぞれ9および16であるので、かなりのソーピング効果であると特徴付けられ、一方で乳剤(E1)は皮膚上の白みがかった薄膜の出現のために必要とされる平均回転数が87なので、使用したプロトコルにしたがって「非ソーピング」として分類される。先行技術による乳剤(E’1)は白みがかった薄膜の出現のために必要とされる平均回転数が56なので、使用したプロトコルにしたがって、「わずかにソーピング」として分類され、したがってこの特定の特性の要求に合致しない。
【0108】
脂肪相の性質においてのみ本発明による乳剤(E1)と異なる乳剤(E’2)は(乳剤(E1)はスイートアーモンド油を含み、乳剤(E’2)はホホバ油を含む)、満足な「非ソーピング」効果を示すが、要求を満足しないコンシステンシーおよび柔らかさ指標を示す。
【0109】
したがって、本発明による組成物(E1)は、先行技術の乳剤(E’1)、(E2)、(E’2)および(E3)と比較して、改良された知覚特性を有する。
【0110】
III−セルフタンニング水中油型乳剤の知覚特性の改良の実証
III−1−セルフタンニング水中油型乳剤の調製
3種のセルフタンニング水中油型乳剤(E4)、(E5)、(E6)を、以下の通り、同一の手順にしたがって調製する:
乳剤(E4)、(E5)および(E6)を、以下の手順を使用して調製する:
− 脂肪相の構成成分を、反応器の中へ連続的に導入し、80回転/分の攪拌速度で「アンカー」型の羽根車を備えた攪拌機によって15分間80℃の温度でホモジナイズする。
【0111】
− 次に、乳化系を80℃の温度で脂肪相に加え、このようにして得られた混合物を80回転/分の速度で、アンカー型の羽根車を備えた機械攪拌機を使用して30分間ホモジナイズする。
【0112】
− 水とグリセロールとプロピレングリコールとポリマー増粘剤(KELTROL(商標)CG T)とを含む水相を、80回転/分の速度で、「アンカー」型の羽根車を備えた攪拌機による機械攪拌によって25℃の温度で、ビーカー中のその様々な構成物質を混合することによって別に調製する。次に前記水相を、攪拌によって80℃の温度まで加熱し、15分間この温度を維持する。
【0113】
− 次に、水相を、80℃の温度で脂肪相と乳剤とを含む混合物に加える。
【0114】
− 次に、得られた混合物を、80℃の温度で4000回転/分の速度で4分間、SILVERSON社から市販されている「回転子−固定子」型の乳化機を用いてせん断する。
【0115】
− 次に、得られた乳剤を、100回転/分の攪拌速度で「アンカー」型の羽根車を備えた攪拌機によって30分間、攪拌し、次に放冷する。
【0116】
− 温度が40℃に達したとき、50%ジヒドロキシアセトン水溶液と保存料GEOGARD(商標)221とを加える。温度が20℃に達したとき、得られた乳剤を100回転/分の撹拌速度で「アンカー」型の羽根車を備えた攪拌機によって15分間攪拌する。
【0117】
それぞれの乳剤の重量による組成を下の表4に示す。
【表4】

【0118】
III−2−セルフタンニング水中油型乳剤(E4)、(E5)および(E6)の特性の評価
次に、このようにして調製された乳剤(E4)、(E5)および(E6)を、7日間、20℃の温度に調節された断熱された人工気候室の中に貯蔵する。この7日の期間の終わりに、調製されたそれぞれの乳剤の外観を観察し、それぞれの乳剤の粘度を測定する。次に、乳剤を取替え、1ヶ月間、20℃の温度に調節された同一の断熱された人工気候室の中に貯蔵する。1ヶ月の期間の後で、それぞれの乳剤を、その外観の観察のために人工気候室から取り出す。
【0119】
乳剤(E4)、(E5)および(E6)は、
− 本明細書のパラグラフII−1、II−2、およびII−3に記載したプロトコルによるそれらの知覚特性の評価、
− 20℃の温度で3ヶ月間の貯蔵の後のそれらの外観の観察、
− 45℃の温度で3ヶ月間の貯蔵の後のそれらの外観の観察
によって特徴付けられる。
【0120】
得られた結果を、下の表5に示す。
【表5】

【0121】
先行技術のセルフタンニング乳剤(E5)および(E6)は、それぞれ柔らかさ指標9および8、ならびにそれぞれ「固まり」および「流動可能」と評価されるコンシステンシーによって特徴付けられる。
【0122】
しかし、先行技術のセルフタンニング乳剤(E5)および(E6)は、皮膚上の白みがかった薄膜の出現に必要とされる平均回転数がそれぞれ13および18であるので、かなりのソーピング効果によって特徴付けられる。
【0123】
本発明によるセルフタンニング乳剤(E4)は、皮膚上の白みがかった薄膜の出現のために必要とされる平均回転数が94なので、使用したプロトコルにしたがって「非ソーピング」と分類される。
【0124】
さらに、本発明によるセルフタンニング乳剤(E4)は、柔らかさ指標9および「固まり」と判断されるコンシステンシーによって特徴付けられる。
【0125】
したがって、本発明によるセルフタンニング乳剤(E4)は、先行技術の乳剤(E5)および(E6)によって示される知覚特性と比較して、改良された知覚特性を有する。
【0126】
IV−配合物
以下の処方において、パーセンテージを配合物の重量の100%についての重量パーセントとして表現する。
【0127】
実施例IV−1「デイフルイド」配合物
処方
A 組成物(A1) 3.00%
MONTANOV(商標)14 1.50%
DUB(商標)BB 2.00%
ブチロスペルマムパルキイ(バイオ) 1.50%
DUB(商標)MUG 1.50%
スクワラン 3.00%
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 6.00%
DUB(商標)ISIP 3.00%
DERMOFEEL(商標)Toco70 0.10%
B 水 Q.S.100.00%
水性のホルデウムブルガレ抽出物 3.50%
キサンタンガム 0.60%
C GEOGARD(商標)221 0.60%
AQUAXYL(商標) 3.00%
DERMOSOFT(商標)700 0.50%
ソーダ Q.S.pH=5.5
手順:相Bを、回転子/固定子型のタービンによる攪拌によって、80℃の温度で相Aに加え、次に80回転/分の速度でアンカー型の攪拌羽根車を備えた機械攪拌機による中適度の攪拌によって冷却する。次に、相Cを、40℃の温度で攪拌の同一条件において加える。
【0128】
実施例IV−2皮膚浄化メイク落とし乳液
処方
A 水 Q.S.100.00%
Amigum(スクレロチウムガム) 0.15%
B 水 Q.S.30.00%
LIPACIDE(商標)C8G 1.00%
48%のソーダ Q.S.pH=5.5
PROTEOL(商標)OAT 2.00%
グリセロール 2.00%
C 組成物(A1) 4.00%
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 4.00%
スクワラン 4.00%
コリルスヌキフェラ(ヘーゼル)種子油 2.00%
プルヌスアミグダルスドゥルキス(スイートアーモンド)油 2.00%
蜜蝋 0.30%
D 水性のホルデウムブルガレ抽出物 10.00%
GEOGARD(商標)221 0.60%
DERMOFEEL(商標)Toco70 0.10%
手順:相Aおよび相Bを、事前に別々に調製し、次に、相Aを、80回転/分の速度でアンカー型の羽根車を備えた攪拌機による機械攪拌よって、80℃の温度で相Bに加える。次に、相Cを、回転子/固定子タービンによる攪拌によって80℃の温度で相A+Bの混合物に加え、次に中程度の攪拌によって冷却する。次に、相Dを40℃で加える。
【0129】
実施例IV−3強力引き締めボディー用乳液
処方
A 水 Q.S.100.00%
48%のソーダ Q.S.pH=5.5
AVICEL(商標)PC611 0.40%
グリセロール 2.00%
B 組成物(A1) 2.00%
DUB(商標)ISIP 4.00%
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 7.00%
カルタムスチンクトリウス(紅花)油 1.00%
SEPILIFT(商標)DPHP 1.00%
C 水性のホルデウムブルガレ抽出物 10.00%
D GEOGARD(商標)221 0.60%
DERMOFEEL(商標)Toco70 0.10%
芳香料 0.10%
手順:相Aを、回転子/固定子タービンによる攪拌によって80℃で相Bに加える。次に、得られた混合物を、80回転/分の速度でアンカー型の羽根車を備えた機械攪拌機を使用して、中程度の攪拌で40℃の温度に冷却する。次に相Cを40℃で加え、次に相Dを40℃で加える。
【0130】
MONTANOV(商標)14は乳化剤としてSEPPIC社から市販されているミリスチックアルコールとミリスチルポリグルコシドとの混合物である。
【0131】
DUB(商標)BBはSTEARINERIE DUBOIS社から市販されているべヘン酸ベヘニルである。
【0132】
DUB(商標)MUGはSTEARINERIE DUBOIS社から市販されているウンデシレン酸グリセロールである。
【0133】
DUB(商標)ISIPはSTEARINERIE DUBOIS社から市販されているイソステアリン酸イソプロピルである。
【0134】
DERMOFEEL(商標)Toco70は抗酸化剤として使用され、Dr Straetmans社から市販されているトコフェロールとヘリアンサスアンヌス種子油との混合物である。
【0135】
GEOGARD(商標)221は、保存料として使用され、LONZA社から市販されているデヒドロ酢酸とベンジルアルコールとの混合物である。
【0136】
LIPACIDE(商標)C8Gは皮膚浄化活性剤としてSEPPIC社から市販されているカプリロイルグリシンである。
【0137】
PROTEOL(商標)OATは、WO94/26694に記載されており、SEPPIC社から市販されている、燕麦タンパク質の完全な加水分解によって得られたN−ラウリルアミノ酸の混合物である。
【0138】
AVICEL(商標)PC611はFMC社から市販されている結晶セルロースである。
【0139】
SEPILIFT(商標)DPHPはしわ防止有効成分としてSEPPIC社から市販されているジパルミトイルヒドロキシプロリンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型乳剤の形態にある組成物であって、その重量100%につき、
a)0.1から10重量%の乳化系(A)であって、その重量100%につき、
(i)式(I)のヒドロキシオクタデシルポリグリコシド
HO−R−O−(G)n−H (I)
および式(II)のポリグリコシルオクタデシルポリグリコシド
H−(G)m−O−R−O−(G)p−H (II)
から実質的に構成される、還元糖と1,12−オクタデカンジオールとの反応生成物の混合物5から95重量%
[ここで、式(I)および(II)において、Gは前記還元糖の残基を表し、Rは1,12−オクタデカン−ジイル二価ラジカルを表し、ここで、同一または異なってもよいn、mおよびpは、互いに独立して、それぞれ1ないし5の小数を表す]、
(ii)1,12−オクタデカンジオール95から5重量%
からなる乳化系(A)と、
b)0.01から5重量%の、天然起源の増粘剤および/またはゲル化剤から選択される少なくとも1種の増粘剤および/またはゲル化剤と、
c)10から50重量%の、モノグリセリドおよび/またはジグリセリドおよび/またはトリグリセリドをベースとする1種または複数の植物油からなる脂肪相(P2)と、
d)89.89から35重量%の、化粧品として許容される水相(P1)と
を含む組成物。
【請求項2】
その重量100%につき、ジヒドロキシアセトン0.5から10重量%をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
皮膚、髪または頭皮の洗浄のため、保護のため、および/またはケアのための、請求項1に記載の組成物の美容のための使用。
【請求項4】
皮膚の人工的なブロンジングおよび/または日焼けのための、請求項2に記載の組成物の美容のための使用。
【請求項5】
請求項2に記載の組成物を皮膚につけることを特徴とする、皮膚の人工的なブロンジングおよび/または日焼けのための美容処理の方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の組成物の調製方法であって、
a)脂肪相(P2)を乳化系(A)と混合する少なくとも1つの工程と、
b)工程a)の終わりに得られる脂肪相(P2)と乳化系(A)の混合物の、水相(P1)との乳化の少なくとも1つの工程と
を含む方法。

【公表番号】特表2013−500318(P2013−500318A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522218(P2012−522218)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051556
【国際公開番号】WO2011/015759
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(398057293)ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック (27)
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
【Fターム(参考)】