説明

改良型ディーゼル用酸化触媒

本発明は、ディーゼルエンジンからの排気ガスを浄化するための触媒、特に、粒子フィルタ及び/又は窒素酸化物還元触媒のような更なる排気ガス浄化ユニットが大型車両の下流に配置されているときに当該車両からの排気ガスを浄化するのに特に適した酸化触媒に関する。触媒は、異なる組成を有し、一方のみが流出する排気ガスと直接接触する2つの触媒活性コーティングを含有する。流出する排気ガスと直接接触するコーティング(1)は、白金を多く含んでおり、流出する排気ガスと直接接触しないコーティング(2)におけるよりも多くの貴金属(白金及びパラジウム)の全量を含有する。白金を多く含んでいるコーティング(1)は、特にNOの酸化において非常に高い酸化力を示し、流出する排気ガスと直接接触しないコーティング(2)は、触媒の良好な「ヒートアップ性能」を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンからの排気ガスを浄化するための触媒、特に、粒子フィルタ及び/又は窒素酸化物還元触媒のような更なる排気ガス浄化ユニットが大型車両の下流に設置されているときに当該車両からの排気ガスを浄化するのに特に適した酸化触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンからの粗排気ガスは、15容積%までの比較的高い酸素含有量に加えて、一酸化炭素CO、炭化水素HC及び窒素酸化物NOを含有する。さらに、粗排気ガスには、主としてすす及び場合により有機凝集物からなり、シリンダ内での部分的に不完全な燃料の燃焼から生ずる粒子の放出が含まれる。汚染ガスの一酸化炭素及び炭化水素は、適当な酸化触媒上で酸化することによって、容易に非汚染状態にすることができる。粒子の放出を除去するには、触媒活性コーティングを備えた又は備えていないディーゼル粒子フィルタが適当な装置である。窒素酸化物を窒素に還元(排気ガスからの「NO除去」)するのは、酸素含有量が高いので困難である。公知の方法は、略してSCR触媒として知られる適当な触媒上での窒素酸化物の選択触媒還元(SCR)である。この方法は、現在のところ、ディーゼルエンジンの排気ガスからNOを除去するのに好ましい。排気ガス中に存在する窒素酸化物は、SCR法では、外部源から排気ガスシステムに導入された還元剤を利用して低減される。還元剤として好ましくは、アンモニア又はアンモニアを放出する化合物、例えば尿素又はカルバミン酸アンモニウムが使用される。場合により前駆化合物からその場で生成されるアンモニアは、SCR触媒上において均化反応で排気ガス中の窒素酸化物と反応して、窒素と水を形成する。
【0003】
ディーゼル車両に関して将来的に欧州、北米及び日本において適用される法的な排気ガス限界値を遵守するには、種々の排気ガス浄化ユニットを組み合わせることが必要不可欠である。このような排気ガス浄化システムは既に提案されており、目下、多くの車種(乗用車両及び大型車両)に対する量産を求めて試験され又は準備されている。
【0004】
かくして、欧州特許第1054722号明細書(特許文献1)は、NO及び粒子を含有するディーゼル排気ガスを処理するためのシステムを記載しており、ここでは酸化触媒が、粒子フィルタの前方に設置されている。還元剤源及び還元剤とSCR触媒のための計量装置が、粒子フィルタの下流に配置されている。米国特許第6,928,806号明細書(特許文献2)もまた、ディーゼルエンジンの排気ガスから窒素酸化物及び粒子を除去するためのシステムを記載している。ここでは、SCR触媒が、上述の還元剤の導入とともに、酸化触媒の下流にまず装備される。ディーゼル粒子フィルタがSCR触媒の下流に置かれる。
【0005】
このような組み合わせ式システムでは、上流の酸化触媒は、特別な要件に適合しなければならない。酸化触媒上で起こる反応は、極めて最適な排気ガス浄化結果が下流のユニットでも得ることができるように、排気ガスを処理することを意図している。例えば、最適なNO/NO比がSCR触媒への入口のところで優勢であるとき、SCR触媒が窒素酸化物の最良の変換度を示すことが考慮されなければならない。この最適なNO/NO比は、現在知られている全てのSCR触媒では約1である。排気ガス中に存在するNOがNOとNOのみからなる場合には、最適なNO/NO比は、0.3から0.7までの範囲、好ましくは0.4から0.6までの範囲、特に好ましくは0.5である。この比が米国特許第6,928,806号明細書(特許文献2)に記載されるようなシステムで達成されるか否かは、排気ガスの温度、従ってエンジンの運転状態及び酸化触媒の活性で決まる。欧州特許第1054722号明細書(特許文献1)に記載されるようなシステムでは、別の影響を及ぼすパラメータは、酸化触媒の下流に置かれたディーゼル粒子フィルタの構成とすすの負荷である。これは、NOによるすすの酸化が、CO及びCOに加えて、主としてNOを形成するからである。
【0006】
組み合わせ式システムにおいて酸化触媒が適合しなければならない別の重要な要件は、下流のディーゼル粒子フィルタを時々再生させなければならないという要件から生ずる。大部分のシステムにおいて、粒子が運転時間にわたってフィルタに付着し、これらを、酸素又はNOによってその場で即ち運転中に、フィルタ内に導入されたのと同じ程度まで燃焼させることができない。この結果、フィルタにおいて排気ガスの逆圧力が増加することとなる。所定の閾値に到達すると、活性粒子フィルタの再生が引き起こされる。即ち、触媒作用で低減しているかもしれない、すすの着火温度を超過させるために、そしてフィルタに付着したすすを酸素によって燃焼させてCOを形成するために、粒子フィルタがより高い温度レベルまで加熱される。再生段階の開始時に粒子フィルタを加熱するための種々の方策がある。確立された方策には、ピストンの排気行程の際におけるシリンダの燃焼チャンバへの燃料の噴射、又は排気ガスシステム内への二次噴射として含まれる。噴射された燃料は、酸化触媒上において触媒作用で燃焼され、放出された反応熱は、排気ガスに導入され、下流の粒子フィルタをすすの着火温度以上の温度に加熱するのに利用される。
【0007】
従って、粒子フィルタ及びSCR触媒を有する組み合わせ式システムでは、上流の酸化触媒は、長期の高い熱的安定性、硫黄含有化合物(特にSO)に対する良好な耐毒性、及び理想的な低着火温度(ライトオフ温度)での非常に高いCO及びHC変換のような通常の要件のみならず、以下の2つの付加的な要件にも適合しなければならない。即ち、
1.NOの酸化度は、下流のSCR触媒に十分に良好に適合しなければならない。即ち、酸化触媒上で生成されたNO/NO比は、理想的には約0.5又はそれを超えるものとすべきである。
2.酸化触媒は、下流の粒子フィルタに対して「加熱触媒」として良好に適応しなければならない。即ち、極めて多量の未燃焼炭化水素を、酸化反応を中止することなく短時間で酸化させることができなければならない。未燃焼炭化水素の変換は、できるだけ完全でなければならない。これは、酸化触媒を経てさらに下流に置かれたSCR触媒への未燃焼炭化水素のブレークスルーが、SCR触媒の触媒作用を阻害することがあるからである。さらに、排気ガスシステムの終端での未燃焼炭化水素のブレークスルーによって、法的な限界値が遵守されない事態となることがある。酸化触媒上での燃料の燃焼は、理想的には低い排気ガス温度(180℃〜250℃)で「着火」しなければならない。
概して、酸化触媒はまた、非常に低い排気ガス温度でさえも、極めて高いHC変換を示し、HC変換は、ライトオフ温度に到達した後に、理想的には極めて迅速に最大値まで増加すべきである。さらに、触媒は、その活性が炭化水素の放熱燃焼の際に解放された反応熱によって過剰に損なわれない程にエージング安定性を有しなければならない。以下、これらの性能要件を要約して「ヒートアップ性能」と呼ぶ。
【0008】
さらに、ディーゼル車両の排気ガスを浄化するための組み合わせ式システムにおける触媒の使用について、例えば、路線バスのような大型商用車両、廃棄物処理車両、建設機械又は農業機械が多くの場合、ディーゼル乗用車とは基本的に異なる運転条件の下で使用されることを考慮しなければならない。この結果、異なる排気ガスの特性は、排気ガス温度がかなり低く、排気ガスの組成が異なるものとなる。かくして、ディーゼル乗用車の排気ガスと比較して、粗排気ガス中の窒素酸化物含有量は著しく少ないが、粒子の放出の割合は、かなり増加するかもしれない。上流の酸化触媒の性能は、このような排気ガスの特性に合致しなければならない。
【0009】
従来の酸化触媒は、上述の要件、特に大型商用車両からの排気ガスを浄化するための組み合わせ式システムに使用する要件に適合することができない。
【0010】
かくして、例えば、本出願人による欧州特許第0800856号明細書(特許文献3)は、Na又はHの形態中に存在する1つ又はそれ以上のゼオライトと、更に珪酸アルミニウム(二酸化珪素/酸化アルミニウムの重量比=0.005対1)、酸化アルミニウム、及び酸化チタン、及び少なくとも1つの白金族金属の中から選択される1つ又はそれ以上の金属酸化物とからなるディーゼル用酸化触媒を記載している。白金族金属が付加的な金属酸化物上にのみ付着される触媒は、特に200℃未満の温度で排気ガス中の難酸化性の長鎖パラフィンを酸化させることができる。しかしながら、この反応は、低温ではあまりにも緩慢であり十分に完了しないので、触媒が下流のフィルタの活性再生のため加熱触媒として使用されるときに、未燃焼炭化水素のブレークスルーが生ずる。この触媒は、NOの酸化活性が不十分であるので、SCR触媒を備えた組み合わせ式システムに使用するのにも適当ではない。
【0011】
本出願人による欧州特許第1370357号明細書(特許文献4)は、セラミック又は金属で構成された不活性ハニカム体上における触媒活性コーティングで構成された触媒を記載している。コーティングは、二酸化珪素を主成分とし、大きな多孔性を有する超微粒子状酸化物支持材料上に、白金族金属の白金、パラジウム、ロジウム及びイリジウムのうち少なくとも1つを含む。支持材料は、平均粒径が7nm〜60nmの範囲内の実質的に球形の一次粒子の凝集物を含む。この触媒は、良好な耐熱エージング性と、含硫排気ガス成分(特にSO)によって作用が弱められることが減少する傾向を示す。しかしながら、この触媒は、SCR触媒を備えた組み合わせ式システム用に十分なNO酸化活性を示さないし、満足すべきヒートアップ性能も示さない。
【0012】
上述のように、大部分のディーゼル用酸化触媒は、均一に構成された機能的コーティングのみを含有する。例えば、火花点火機関からの排気ガスを浄化するための三元触媒として知られるような、異なる組成の2つの機能的コーティングを有する触媒は、ディーゼル用酸化触媒の場合には稀となりがちである。米国特許出願公開第2008/0045045号明細書(特許文献5)は、このようなディーゼル用酸化触媒を記載している。この中で、白金及び/又はパラジウムを含み、二酸化珪素を実質的に含まない高表面積の支持材料を含有する底層(「底ウオッシュコート層」)又は下流帯域(「下流ウオッシュコート層」)が、支持基体に塗布される。この底層又は下流帯域は、HC吸蔵部分(例えばゼオライト)を全く含有しない。高表面積の支持材料と、白金及び/又はパラジウムと、更にHC吸蔵材料とを同様に含有する頂層(「頂ウオッシュコート層」)又は上流帯域(「上流ウオッシュコート層」)が、底層又は下流帯域の上流に塗布される。触媒の頂層(又は上流帯域)におけるPt:Pdの重量比は、底層(又は下流帯域)におけるPt:Pdの重量比よりも大きい。触媒の頂層(上流帯域)は、耐硫黄性とパラフィンの酸化に関して最適にされ、底層(下流帯域)は、熱水安定性に関して最適にされる。しかしながら、耐硫黄性に関して最適にされ、従って酸性である被覆層を有するこの触媒は、十分なNO酸化活性を示さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許第1054722号明細書
【特許文献2】米国特許第6,928,806号明細書
【特許文献3】欧州特許第0800856号明細書
【特許文献4】欧州特許第1370357号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0045045号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、還元剤の噴射とともに、粒子フィルタと、SCR触媒とを含む、組み合わせ式システムに使用するのに適した、ディーゼルエンジンの排気ガス、特に大型商用車両の排気ガスを浄化するための酸化触媒を提供することであり、この酸化触媒は、従来技術で知られた酸化触媒よりも良好に上述の要件に適合する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、支持体と、異なる組成を有し、一方のみが流出する排気ガスと直接接触する2つの触媒活性コーティングとを含む、ディーゼルエンジンの排気ガスを浄化するための触媒によって達成される。両方のコーティングは、白金族金属の白金(Pt)及びパラジウム(Pd)を触媒活性成分として含有し、流出する排気ガスと直接接触するコーティングが、PdよりもPtをより多く含有する。この触媒は、流出する排気ガスと直接接触するコーティングが、流出する排気ガスと直接接触しないコーティングよりも、より多くの量の全白金族金属を含有することを特徴としている。
【0016】
本発明の触媒中に存在するコーティングは、異なる機能を果たす。かくして、流出する排気ガスと直接接触するコーティングは、HC成分及びCO成分に対して、特にNO成分に対して優れた酸化活性を有する。全貴金属含有量が増加した層と高Pt:Pd重量比との組み合わせが、流出する排気ガスと直接接触するコーティングの酸化力を、全貴金属含有量が少なく、流出する排気ガスと直接接触しないコーティングの酸化力よりも、著しく大きくする。その結果、本発明の触媒は、事実上完全なCOとHCの変換を示す他、下流の粒子フィルタの活性再生とは無関係に、「正常運転段階」の際にNOの優れた形成度を示す。組み合わせ式システムの下流に置かれる排気ガス浄化構成要素の粒子フィルタ及びSCR触媒に関して、これは、2つの利点を有する。即ち、排気ガスのNO含有量の増加の結果として、酸化されてその場で(即ち、正常運転の際に付加的な加熱手段の増加なしに)燃え尽きることができるフィルタ上に付着した粒子の割合は、増加する。従って、フィルタにおけるすす粒子の「フィルタケーク」の形成、かくしてフィルタ上における排気ガスの逆圧力の増加が弱められる。フィルタは、再生の頻度が少なくなる。さらに、正常運転の際の本発明の触媒上におけるNOの優れた形成度は、下流のSCR触媒への入口でのNO/NO比が0.3〜0.7の範囲内になることを保証する。その結果、低温(180℃〜250℃)時でさえもSCR触媒上においてNOの優れた変換度が可能になる。
【0017】
流出する排気ガスと直接接触するコーティングは好ましくは、流出する排気ガスと直接接触しないコーティングの1.2倍から2倍の白金族金属を含有する。本発明の触媒の好ましい実施形態では、触媒中に存在する全貴金属のうち55重量%〜80重量%、特に好ましくは55重量%〜70重量%、理想的には57重量%〜60重量%が、流出する排気ガスと直接接触するコーティング中にある。さらに、コーティングのPt:Pdの重量比は、好ましくは6:1に等しいか又はそれを上回る。Pt:Pdの重量比は、特に好ましくは6:1〜20:1、特に極めて好ましくは6:1〜10:1の範囲内にあり、理想的には7:1である。その時、流出する排気ガスと直接接触するコーティングの酸化力は、使用しなければならない貴金属の全量を過度に多くせずに、特に高価な貴金属の白金の量をそれほど多くせずに、NOの所要の形成度に非常に良く合致する。
【0018】
流出する排気ガスと直接接触しない第2コーティングは、より少量の全貴金属量を含有し、Pt:Pdの重量比が著しく小さく、即ち、パラジウムの相対的な量が著しく大きい。流出する排気ガスと直接接触しないこのコーティングのPt:Pdの重量比は、好ましくは1:4〜2:1、特に好ましくは1:2〜1:1である。それは、下流の粒子フィルタの活性再生の際の「ヒートアップ」の機能を呈し、(上述のような)非常に良好なヒートアップ性能を示す。
【0019】
従って、一般にHCの変換、特にヒートアップ性能を支援するため、本発明の触媒の特に好ましい実施形態は、流出する排気ガスと直接接触しないコーティング中に、ベータ型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト、及びZSM−5ゼオライトからなる群から選択される1つ又はそれ以上のゼオライト化合物を含有する。これらのゼオライトは、ディーゼル排気ガス中に生ずる炭化水素に関して吸蔵作用を示す。流出する排気ガスと直接接触しないコーティング中におけるHC吸蔵ゼオライトの存在は、例えば、コールドスタート段階の際に又はその量の結果として活性フィルタ再生のための「ヒートアップ」段階の際にゼオライトに組み込まれ、適当な運転条件下における時間的に後の時点でHC吸蔵から再び解放される炭化水素が、強制流により、流出する排気ガスと直接接触し、貴金属を多量に含有するコーティングを通過しなければならないという利点を有する。このことは、これらの炭化水素ができるだけ完全にCOと水に変換されることを保証する。これは、流出する排気ガスと接触するコーティングが、上述のように、より大きな酸化力を有するコーティングであるからである。その結果、全駆動サイクルにわたる良好なHC変換性能が、HC吸蔵ゼオライト化合物が存在せず、触媒が流出する排気ガスと接触するコーティングに配列されている従来技術の触媒におけるよりも、本発明の触媒の適当な実施形態において達成される。
【0020】
本発明者の発見によれば、2つの層の組み合わせは初めて、酸化触媒が経済的に実行可能な全貴金属含有量で組み合わせ式システムに適合することとなる全ての要件に適合することができる酸化触媒を提供することを可能にする。触媒の異なる運転状態において生ずるNOの酸化とヒートアップ性能の2つの技術的な効果は、本発明者の発見によれば、コーティングの三次元配列が堅持されているとき、即ち、貴金属を多量に含有し、白金を多量に含有し、より大きな酸化力を有するコーティングが流出する排気ガスと直接接触しているときにのみ、十分に効果的になることができる。
【0021】
本発明の触媒の好ましい実施形態では、白金及び/又はパラジウムが、2つの層において、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム及び/又は酸化チタンでドープされた酸化アルミニウム又はアルミニウム珪素混合酸化物からなる群から選択される1つ又はそれ以上の高融点、高表面積支持酸化物に塗布される。適当なコーティング懸濁液を生成するため、選択された支持酸化物は、水に懸濁される。白金とパラジウムが、攪拌し、必要に応じてPHの設定及び/又は補助試薬の付加によって支持材料に固定しつつ、硝酸パラジウム又はヘキサヒドロキシ白金酸のような適当な水溶性の前駆体化合物の形態で懸濁液に加えられる。適当な前駆体化合物及び補助試薬は、当業者には公知である。次いで、このようにして得られた懸濁液はかきまぜられ、従来のコーティング法の1つによって不活性支持体に加えられる。各コーティング工程の後、コーティングされた部分は熱風流で乾燥され、必要に応じて焼成が実施される。触媒活性コーティング用の支持体として、本発明の触媒を製造するためのセラミック又は金属の通気ハニカム体を使用するのが有利である。
【0022】
支持体上のコーティングについて種々の可能な構成がある。図1は、好ましい実施形態を示している。
【0023】
流出する排気ガスと直接接触しない触媒活性コーティング(2)は、好ましくは、図1b)に示されるように、通気ハニカム体に直接塗布され、構成要素の長さ全体にわたって延びており、排気ガスの側が構成要素の長さ全体にわたって、流出する排気ガスと直接接触するコーティング(1)によって被覆されている。これは、2層触媒即ち「層触媒」を形成し、層触媒では、パラジウムが豊富であり、必要に応じてゼオライトを含有する「ヒートアップ」機能的コーティングが底層として存在し、白金が豊富であり、大きな酸化力を有するコーティングによって、頂層として完全に被覆されている。
【0024】
さらに、本発明の触媒中で流出する排気ガスと直接接触しない触媒活性コーティング(2)が、流入側において構成要素の長さの5%〜50%のみにわたって延びて上流帯域を形成するように、通気ハニカム体に塗布されることができる。そして、流出する排気ガスと直接接触するコーティング(1)は、構成要素の残りの長さにわたって延びて、隣接する下流帯域を形成する。図1c)は、このような実施形態を「帯域触媒」として示している。帯域触媒の利点として、帯域の長さを、触媒が使用される組み合わせ式システムによって要求される性能特性に容易に合致させることができる。本発明の触媒として最初に粒子フィルタ、次いでSCR触媒が設けられると、正常運転の際にNOによってすすが燃え尽きる結果として比較的高いNO/NO比(0.6〜0.9)が提供されることとなる。下流帯域は、通気ハニカム体の長さLの70%〜95%を被覆することができる。例えば、極めて多量の粒子が比較的低温の排気ガスで生成される商用車両の特別な運転特性のため、下流の粒子フィルタの頻繁な活性再生が必要になる場合には、上流の「ヒートアップ」コーティング帯域の長さを容易に通気ハニカム体の長さの40%〜50%にすることができる。
【0025】
本発明の触媒が「層触媒」として構成されるか「帯域触媒」として構成されるかにかかわらず、通気ハニカム体に直接塗布される(底)層又は上流帯域も、ベータ型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト、及びZSM−5ゼオライトからなる群から選択される1つ又はそれ以上のゼオライト化合物を含有し、ディーゼル排気ガス中に生ずる炭化水素に関して吸蔵作用を示すことが特に好都合である。上述のように、このゼオライトの付加が、一般にHCの変換、特に「ヒートアップ性能」の改善をもたらす。
【0026】
本発明の触媒は、ディーゼルエンジンの排気ガスを浄化するための装置に使用するのに適している。このような装置は、特に好ましくは、ディーゼル粒子フィルタ及び/又は窒素酸化物の選択触媒還元のための触媒をさらに含有し、本発明の触媒が、ディーゼル粒子フィルタ及び/又は窒素酸化物の選択触媒還元のための触媒の上流に設置される。
【0027】
幾つかの図面及び例によって、本発明を以下に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の触媒の種々の実施形態を示し、矢印は、浄化すべき排気ガスの流れ方向を表している。 図1a)は、全体概略図であって、長さLを有し、触媒活性コーティング(1)及び(2)を含有する通気ハニカム体(3)を示している。 図1b)は、「層触媒」としての構成が、丁度1つの流路を示す通気ハニカム体(3)の断面として示されており、流出する排気ガスと直接接触しない触媒活性コーティング(2)が、通気ハニカム体(3)に直接塗布され、通気ハニカム体(3)の長さ全体にわたって、流出する排気ガスと直接接触するコーティング(1)によって被覆されている。 図1c)は、「帯域触媒」としての構成が、丁度1つの流路を示す通気ハニカム体(3)の断面として示されており、流出する排気ガスと直接接触しない触媒活性コーティング(2)が、上流帯域として構成され、通気ハニカム体の長さの5%〜50%を被覆し、流出する排気ガスと直接接触するコーティング(1)が、下流帯域を形成し、ハニカム体の残りの長さを被覆している。
【図2】本発明の触媒K1のNO収率を、従来技術による単一層触媒CK1と比較して、触媒の上流の温度の関数として示している。
【図3】触媒を経てHC処理量が著しく増加した運転点における本発明の触媒K1を経たHCブレークスルー(「HCスリップ」)を、従来技術による触媒CK1と比較して示している。
【図4】流出する排気ガスと直接接触するコーティングCK3におけるNO収率を、流出する排気ガスと直接接触しない本発明の触媒K1のコーティングCK2におけるNO収率と比較して、触媒の上流の温度の関数として示している。
【図5】触媒を経てHC処理量が著しく増加した運転点において、流出する排気ガスと直接接触するコーティングCK3を経たHCブレークスルー(「HCスリップ」)を、流出する排気ガスと直接接触しない本発明の触媒K1のコーティングCK2を経たHCブレークスルーと比較して示している。
【図6】流出する排気ガスと直接接触しないコーティング中にゼオライト化合物を一切含有しない本発明の触媒K2のNO収率を、流出する排気ガスと直接接触しないコーティング中にゼオライトを付加した本発明の触媒K3のNO収率と比較して、触媒の上流の温度の関数として示している。
【図7】流出する排気ガスと直接接触しないコーティング中にゼオライト化合物を一切含有しない本発明の触媒K2を経たHCブレークスルー(「HCスリップ」)を、流出する排気ガスと直接接触しないコーティング中にゼオライトを付加した本発明の触媒K3を経たHCブレークスルーと比較して示している。
【図8】本発明による機能的層の三次元配列及び流出する排気ガスと直接接触しないコーティング中のゼオライト化合物を備えた比較触媒CK5のNO収率を、同じ組成を有するが層の三次元配列が逆である比較触媒CK4のNO収率と比較して、触媒の上流の温度の関数として示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明による触媒と幾つかの比較触媒を製造した。この目的のため、直径266.7mm、長さ152.4mm、セル壁厚0.1651mmの62セル/cmのセラミック製ハニカム体を、従来の浸漬法によって、後述する組成のコーティング懸濁液でコーティングした。コーティング懸濁液の塗布の後、ハニカム体を熱風ブロアで乾燥させ、500℃で熱処理した。
【0030】
完成した触媒の触媒活性を、10.5リットルの固体容量を有するMAND2066コモンレール・ディーゼルエンジンを装備した機関試験台(ユーロ−IV)で試験した。試験台には、触媒の上流に温度測定点があり、触媒の上流及び下流に詳細な排気ガス分析用の設備があった。
【0031】
試験前に、まず触媒を人工時効に供した。この目的のため、触媒を炉内で16時間の間、熱水雰囲気(空気中で10容積%のHO及び10容積%のO)において750℃の温度で吸蔵した。
【0032】
触媒のNO酸化性能を試験するため、「ライトオフ試験」を実施した。ここで、触媒を、規定された以下の条件、
回転速度:1100/分
トルク特性:0→2130Nm(時間=1800秒において)
2130Nm(時間=30秒間)
2130→0Nm(時間=1800秒において)
→触媒の上流の温度:115〜455℃
下で、浄化すべき排気ガス内で加熱する。
この間じゅう、触媒の上流と下流の排気ガス中のNO及びNOの濃度を、化学発光検出器(CLD;AVL)によって1Hzの周波数で測定した。次いで、これらのデータから、以下の式によって温度の関数としてNO収率を決定することができた。
【数1】


ここで、
【数2】


である。
【0033】
「ヒートアップ性能」を試験するため、以下の運転点を連続して設定した。
【0034】
【表1】

【0035】
酸化触媒をブレークスルーする残留炭化水素の割合を、水素炎イオン化検出器(FID、AVL)によって1Hzの測定周波数で容積ppmで決定した。
【実施例】
【0036】
比較例1
活性層が1つのみの従来のディーゼル用酸化触媒を製造した。適当なコーティング懸濁液を生成するため、20重量%までのSiOを含有する珪素−アルミニウム混合酸化物を、白金硝酸塩溶液及び硝酸パラジウム溶液で細孔が満たされるように含浸させ、乾燥させた。貴金属の熱固定の後、このようにして得られた粉末を水中で懸濁し、上述のようなセラミック製ハニカム体にかきまぜた後に加えた。ハニカム体の容積に基づき、乾燥及び焼成の後に完成した触媒CK1を含めた:
20重量%までのSiOを含有する100g/lの珪素−アルミニウム混合酸化物
硝酸塩溶液からの0.681g/lの白金
硝酸塩溶液からの0.272g/lのパラジウム
【0037】
実施例1
全貴金属含有量及び白金−パラジウム比が比較例1のような従来のディーゼル用酸化触媒のものに対応している、本発明による触媒を製造した。
【0038】
この目的のため、まず、セラミック製ハニカム体に、完成した触媒の容積に基づき以下の組成を有する第1コーティングを設けた:
20重量%までのSiOを含有する40g/lの珪素−アルミニウム混合酸化物
硝酸塩溶液からの0.204g/lの白金
硝酸塩溶液からの0.204g/lのパラジウム
15g/lの市販のベータ型ゼオライト
【0039】
このコーティングは、完成した触媒の製造の後、流出する排気ガスと直接接触しないコーティングになった。
【0040】
第1層の乾燥及び焼成の後、完成した触媒の容積に基づき、以下の組成を有する第2層を塗布した:
20重量%までのSiOを含有する40g/lの珪素−アルミニウム混合酸化物
硝酸塩溶液からの0.477g/lの白金
硝酸塩溶液からの0.068g/lのパラジウム
【0041】
このコーティングは、完成した触媒の製造の後、流出する排気ガスと直接接触するコーティングになる。その組成は、乾燥及び焼成の後の完成した触媒K1に基づいている。
【0042】
図2は、従来技術による単一層触媒CK1と比較した本発明による触媒K1のNOの収率を、触媒の上流の温度の関数として示している。本発明による触媒を使用して得られるNOの収率は、同等の温度範囲において20%まで高い。
【0043】
図3は、本発明による触媒K1及び従来技術による触媒CK1に対する「ヒートアップ試験」の上述の運転点において、触媒の下流で観測されたHCブレークスルーを示している。本発明による触媒は、試験した8箇所の運転点のうち6箇所において、従来技術による触媒CK1よりも著しく低いHCブレークスルーを示している。
【0044】
2つの比較触媒CK2、CK3を利用して、本発明による触媒中に存在する2つのコーティングの機能性を互いに別個に調べた。
【0045】
比較触媒2
セラミック製ハニカム体に、完成した触媒CK2の容積に基づき、以下の組成を有するコーティングを設けた:
20重量%までのSiOを含有する40g/lの珪素−アルミニウム混合酸化物
硝酸塩溶液からの0.204g/lの白金
硝酸塩溶液からの0.204g/lのパラジウム
15g/lの市販のベータ型ゼオライト
【0046】
このコーティングは、流出する排気ガスと直接接触しない実施例1の触媒K1の底部コーティングに対応している。
【0047】
比較触媒3
セラミック製ハニカム体に、完成した触媒CK3の容積に基づき、以下の組成を有するコーティングを設けた:
20重量%までのSiOを含有する40g/lの珪素−アルミニウム混合酸化物
硝酸塩溶液からの0.477g/lの白金
硝酸塩溶液からの0.068g/lのパラジウム
【0048】
このコーティングは、流出する排気ガスと直接接触する実施例1の触媒K1の頂部コーティングに対応している。
【0049】
図4は、触媒CK2及びCK3におけるNOの収率を示している。明らかなように、本発明による触媒K1において流出する排気ガスと直接接触するコーティングに対応する触媒CK3は、流出する排気ガスと直接接触しないコーティングに対応する触媒CK2よりも著しく高いNOの収率を提供する。
【0050】
図5は、両方の層に対して同等である触媒CK2及びCK3によるHCブレークスルーを示している。図2における本発明の触媒K1のHCブレークスルーと比較すると、より興味深い:図3に示されるように、各々自体は特に良好な「ヒートアップ性能」を示さない2つのコーティングが組み合わされて本発明による触媒を形成する場合には、そのようにして得られる触媒におけるHCブレークスルーは、本発明による2層の三次元配列のケースでは劇的に減少する。極めて高いHC処理量が発生する運転点6、7及び8のところで、HCブレークスルーは、個々の層に特有の3000〜3500容積ppmから、運転点6、8における1000容積ppm未満、及び運転点7における1500容積ppm未満まで減少する。この効果は、それぞれの機能的コーティングの個々の性能から見ると、それ自体としては予想されるものではない。その理由は、パラジウムを多量に含み、流出する排気ガスと直接接触しないコーティングと、流出する排気ガスと直接接触する第2のコーティングとの相乗効果的な相互作用である。流出する排気ガスは、より高い酸化力を有するコーティングに通される。その結果、「ヒートアップコーティング」単独では変換されることができず又はあまりにも早く脱着されてきた残留炭化水素が酸化される。これにより、本発明の触媒によるHCブレークスルーの顕著な減少、従って優れた「ヒートアップ性能」が得られる。
【0051】
本発明による2つの触媒K2、K3は、流出する排気ガスと直接接触しないコーティングにおいて付加的なゼオライトの影響を明瞭に示している。
【0052】
実施例2
実施例1に記載された手順と類似した手順を使用して、2つの重ね合わされた層を有し、以下の組成を有する本発明の触媒K2を製造した:
第1層=底層=流出する排気ガスと直接接触しないコーティング:
20重量%までのSiOを含有する92g/lの珪素−アルミニウム混合酸化物
硝酸塩溶液からの0.302g/lの白金
硝酸塩溶液からの0.302g/lのパラジウム
第2層=頂層=流出する排気ガスと直接接触するコーティング:
20重量%までのSiOを含有する45g/lの珪素−アルミニウム混合酸化物
硝酸塩溶液からの0.706g/lの白金
硝酸塩溶液からの0.101g/lのパラジウム
【0053】
実施例3
実施例1に記載された手順と類似した手順を使用して、2つの重ね合わされた層を有し、以下の組成を有する本発明の触媒K2を製造した:
第1層=底層=流出する排気ガスと直接接触しないコーティング:
20重量%までのSiOを含有する40g/lの珪素−アルミニウム混合酸化物
硝酸塩溶液からの0.303g/lの白金
硝酸塩溶液からの0.303g/lのパラジウム
15g/lの市販のベータ型ゼオライト
第2層=頂層=流出する排気ガスと直接接触するコーティング:
20重量%までのSiOを含有する45g/lの珪素−アルミニウム混合酸化物
硝酸塩溶液からの0.706g/lの白金
硝酸塩溶液からの0.101g/lのパラジウム
【0054】
図6に示されるように、流出する排気ガスと直接接触しないコーティングにおけるゼオライトの付加は、触媒のNOの収率に関して著しい影響を及ぼさない。
【0055】
しかしながら、図7に示されるように、ゼオライトのこのような付加は、触媒によるHCブレークスルーを著しく減少させ、かくして触媒の「ヒートアップ性能」に非常に肯定的な影響を有する。
【0056】
さらに、機能的層の三次元配列が、触媒の性能に関してどのような基礎的な影響を有するかを調べた。この目的のため、2つの別の比較触媒を製造した:
【0057】
比較例4
実施例1に記載された手順と類似した手順を使用して、完成した触媒の容積に基づき、以下の組成を有する2層の比較触媒CK4を製造した:
第1層=底層=流出する排気ガスと直接接触しないコーティング:
20重量%までのSiOを含有する40g/lの珪素−アルミニウム混合酸化物
硝酸塩溶液からの0.681g/lの白金
硝酸塩溶液からの0.068g/lのパラジウム
第2層=頂層=流出する排気ガスと直接接触するコーティング:
20重量%までのSiOを含有する40g/lの珪素−アルミニウム混合酸化物
硝酸塩溶液からの0.204g/lのパラジウム
15g/lの市販のベータ型ゼオライト
【0058】
比較例5
実施例1に記載された手順と類似した手順を使用して、完成した触媒の容積に基づき、以下の組成を有する2層の比較触媒CK5を製造した:
第1層=底層=流出する排気ガスと直接接触しないコーティング:
20重量%までのSiOを含有する40g/lの珪素−アルミニウム混合酸化物
硝酸塩溶液からの0.204g/lのパラジウム
15g/lの市販のベータ型ゼオライト
第2層=頂層=流出する排気ガスと直接接触するコーティング:
20重量%までのSiOを含有する40g/lの珪素−アルミニウム混合酸化物
硝酸塩溶液からの0.681g/lの白金
硝酸塩溶液からの0.068g/lのパラジウム
【0059】
図8は、触媒CK4、CK5におけるNOの収率を示している。図8に明瞭に示されるように、流出する排気ガスと接触しないコーティングのような、より大きな酸化力を有するゼオライトを含まないコーティングの構成は、触媒のNO酸化力に関して著しい悪影響を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンの排気ガスを浄化するための触媒であって、支持体(3)と、異なる組成を有し、一方(1)のみが流出する前記排気ガスと直接接触する2つの触媒活性コーティングとを含み、両方のコーティングが、白金族金属の白金(Pt)及びパラジウム(Pd)を触媒活性成分として含有し、前記流出する排気ガスと直接接触する前記コーティング(1)が、PdよりもPtをより多く含有している触媒において、
前記流出する排気ガスと直接接触する前記コーティング(1)が、前記流出する排気ガスと直接接触しない前記コーティング(2)よりも、より多くの全白金族金属量を含有することを特徴とする、触媒。
【請求項2】
前記流出する排気ガスと直接接触する前記コーティング(1)が、前記流出する排気ガスと直接接触しない前記コーティング(2)の1.2倍〜2倍の白金族金属を含有することを特徴とする、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記流出する排気ガスと直接接触する前記コーティング(1)のPt:Pd重量比が、6:1に等しいか又はそれを上回ることを特徴とする、請求項2に記載の触媒。
【請求項4】
前記流出する排気ガスに直接接触しない前記コーティング(2)のPt:Pd重量比が、1:4〜2:1であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の触媒。
【請求項5】
白金及び/又はパラジウムが、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム及び/又は酸化チタンでドープされた酸化アルミニウム、及びアルミニウム−珪素混合酸化物からなる群から選択される1つ又はそれ以上の高融点、高表面積支持酸化物上の両方の層に塗布されることを特徴とする、請求項1〜4までのいずれか一項に記載の触媒。
【請求項6】
両方の触媒活性コーティングが、支持体(3)としてのセラミック又は金属の通気ハニカム体に塗布されることを特徴とする、請求項1〜5までのいずれか一項に記載の触媒。
【請求項7】
前記流出する排気ガスと直接接触しない前記触媒活性コーティング(2)が、前記通気ハニカム体(3)に直接塗布され、前記構成要素の長さ全体にわたって延び、前記構成要素の長さ全体にわたって前記流出する排気ガスと直接接触する前記コーティング(1)によって、前記排気ガスの側が被覆されることを特徴とする、請求項6に記載の触媒。
【請求項8】
前記流出する排気ガスと直接接触しない前記触媒活性コーティング(2)が、前記通気ハニカム体(3)に塗布され、前記構成要素の長さの5%〜50%のみにわたって前記上流側に延びて上流帯域を形成し、前記流出する排気ガスと直接接触する前記コーティング(1)が、前記構成要素の残りの長さにわたって延びて隣接する下流帯域を形成することを特徴とする、請求項6に記載の触媒。
【請求項9】
前記通気ハニカム体又は前記上流帯域(2)に直接塗布される前記層(2)が、ベータ型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト及びZSM−5ゼオライトからなる群から選択される1つ又はそれ以上のゼオライト化合物をさらに含有し、前記ディーゼル排気ガスで発生する炭化水素に関して吸蔵作用を示すことを特徴とする、請求項7又は8に記載の触媒。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の触媒を有する、ディーゼルエンジンの前記排気ガスを浄化するための装置。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の前記触媒が、ディーゼル粒子フィルタ及び/又は窒素酸化物の前記選択触媒還元のための触媒の上流に置かれていることを特徴とする請求項10に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−510702(P2013−510702A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538200(P2012−538200)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008047
【国際公開番号】WO2011/057649
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(501399500)ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (139)
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D−63457 Hanau,Germany
【Fターム(参考)】