説明

改良型熱伝導性ポリマーPTC組成物

向上した熱伝導率を有し、熱可塑性ポリマーと、カーボンブラックと、黒鉛とを含む正温度係数(PTC)組成物。黒鉛を含まない組成物またはより小さい黒鉛粒子を使用する組成物と比較して、これらの組成物は、PTC組成物の熱伝導率および/またはレオロジーを向上させる。これらの組成物は、1種または複数種の添加剤を含むこともできる。本発明のPTC組成物は、殆どの温度で向上した熱伝導率を示し、また使用される熱可塑性ポリマーに基づいて、様々な温度で作用しうる効果を発揮するPTC材料の設計を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2006年8月8日に出願された米国仮特許出願第60/821751号について優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、正温度係数組成物、正温度係数組成物を含む製品、および正温度係数組成物を含む物品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
近年、正温度係数(PTC)ポリマー材料が、自己制御型加熱ケーブル、過電流保護装置、たとえばサーミスタ、接触制御素子等に広く適用されている。コンピュータおよびその周辺機器、携帯電話、充電式二次電池、ネットワークインターフェースボード/マシン、モデム、電子設備などの電子製品の広範囲に及ぶ開発、適用および普及により、過電流保護装置の必要性は著しく高まっている。特に、現在の電子製品の傾向は軽量化および/または精密化であり、この傾向に対処する助けとなるようにPTCポリマー材料から製造される過電流保護装置の特性を利用している。
【0003】
PTC材料は、スイッチング温度(Ts)に達した際に抵抗率が急増することを特徴とする導電性材料である。抵抗率の急上昇が十分に大きい場合、材料の過熱が抑制されるように、その抵抗率が材料の電流およびさらなる加熱を効果的に阻止する。PTC材料の主な利点の1つは、PTC材料自体が電子回路に類似した特性を有するため、PTC材料を含む物品において追加の電子回路を必要としないことである。さらに、冷却すると、この材料はそれ自身でリセットする。この抵抗率の急上昇は、多くの場合PTC振幅と称することができ、また室温(約23℃)における体積抵抗率に対する最大体積抵抗率の比と定義することもできる。多くの先行技術の実施形態においては、PTCポリマー材料が、主に、カーボンブラックや金属粉末などの導電性添加剤のポリマー材料への添加によって調製されてきた。化学薬品もしくは照射による導電性ポリマーの架橋を、または、無機充てん剤もしくは有機添加剤の添加を、電気的安定性を向上させるために採用することもできる。
【0004】
前記のとおり、カーボンブラックは、PTC材料において使用されてきた一材料である。カーボンブラックは、ポリマーをベースとするPTC材料用の最も頻繁に使用される導電性充てん剤の1つである。導電性金属充てん剤と比較してカーボンブラックを使用する利点として、より低い原価およびより低い密度がある。先行技術によれば、中型の低ストラクチャーカーボンブラックにより、導電率とPTC振幅とのバランスに優れたPTC材料がもたらされる。通常、これらカーボンブラックをベースとするポリマーPTC材料は、回路遮断器および(リセット可能な)ヒューズにおいて採用されている。にもかかわらず、これらのPTC材料の真のヒータとしての使用は、「純粋な」カーボンブラックをベースとするポリマーPTCの熱伝導率が限られているため、制限される。ヒータは、発生した熱を別の媒体に伝達する必要がある。熱伝導率が高くなればなるほど、加熱することが望ましい外部/媒体への熱伝達がより良くなる。
【0005】
先行技術の一実施形態においては、熱伝導性を提供するためにカーボンブラックが使用される。一部の先行技術の教示によれば、中型の低ストラクチャーカーボンブラックにより、導電率とPTC振幅とのバランスに優れたPTC材料がもたらされる。通常、これらカーボンブラックをベースとするポリマーPTC材料は、回路遮断器および(リセット可能な)ヒューズにおいて採用されている。にもかかわらず、これらのPTC材料の真のヒータとしての使用は、「純粋な」カーボンブラックをベースとするポリマーPTCの熱伝導率が限られているため、制限される。これらのPTC材料に基づくヒータは、発生した熱を別の媒体に伝達する必要がある。熱伝導率が高くなればなるほど、外部/別の媒体への熱伝達がより速く、またヒータがより有効となる。加えて、より優れた熱伝導率は、電極間の材料の断面が変化した場合に生じることがあるホットスポットを防ぐまたは沈静化することができる。
【0006】
先行技術の代替諸実施形態では、小さい黒鉛粒子(すなわち、平均直径が10ミクロン未満のもの)を、PTC材料における導電性充てん剤として利用する。しかしながら、直径が小さい黒鉛粒子は、これら小さい粒子の製造に関連するコストのためにより高価であり、また健康および環境安全の問題により、製造環境においてはこのような小さい粒子を使用することはより困難になっている。
【0007】
したがって、明らかなように、先行技術のPTC材料に関連する不利な点を有することなく先行技術のPTC材料と比較して向上した熱伝導率を有するPTC材料を提供することが有益となるはずである。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
本発明は、向上した熱伝導率を有する正温度係数(PTC)材料を提供することによって、先行技術が有する問題に対処するものである。本発明の組成物は、熱可塑性ポリマーと、カーボンブラックと、黒鉛とを含むが、この黒鉛は、黒鉛を含まない組成物と比較してPTC組成物の熱伝導率を向上させる量が含まれている。この黒鉛は、粒径がより大きい材料(すなわち、平均直径が10ミクロンを超えるもの)であって、充てん剤のコストを下げる助け、ならびに製造環境における使いやすさを増大させる助けとなる。本発明の組成物は、幅広い様々な用途において使用することができるようにPTC組成物の選択特性を向上させるために、1種または複数種の添加剤を含むこともできる。本発明のPTC組成物は、殆どの温度で向上した熱伝導率を提供し、また使用される熱可塑性ポリマーおよび/またはカーボンブラックの量および/または使用されるグラファイトに基づき様々な温度で作用しうる効果を発揮することができるPTC材料の設計を可能にする。
【0009】
したがって、一態様において、本発明は、結晶化度が少なくとも5%である半結晶質熱可塑性ポリマー30重量%〜90重量%と、カーボンブラック5重量%〜50重量%と、炭素含有量が少なくとも99%で、粒径が少なくとも10ミクロンである黒鉛5重量%〜50重量%とを有する正温度係数組成物を提供する。この正温度係数組成物は、熱可塑性ポリマーおよびカーボンブラックからなる組成物と比較して向上した熱伝導率を有する。
【0010】
別の態様において、本発明は、結晶化度が少なくとも5%である半結晶質熱可塑性ポリマー30重量%〜90重量%と、カーボンブラック5重量%〜50重量%と、炭素含有量が少なくとも99%で、粒径が少なくとも10ミクロンである黒鉛5重量%〜50重量%とを有する正温度係数組成物を含む物品を提供する。この正温度係数組成物は、熱可塑性ポリマーおよびカーボンブラックからなる組成物と比較して向上した熱伝導率を有する。
【0011】
さらに別の態様において、本発明は、結晶化度が少なくとも5%である半結晶質熱可塑性ポリマー30重量%〜90重量%と、カーボンブラック5重量%〜50重量%と、炭素含有量が少なくとも99%で、d90粒径が少なくとも10ミクロンである黒鉛5重量%〜50重量%とを有する正温度係数組成物を提供する。この正温度係数組成物は、熱可塑性ポリマーおよびカーボンブラックからなる組成物と比較して向上した熱伝導率を有する。
【0012】
さらに別の態様において、本発明は、結晶化度が少なくとも5%である半結晶質熱可塑性ポリマー30重量%〜90重量%と、カーボンブラック5重量%〜50重量%と、炭素含有量が少なくとも99%で、d90粒径が少なくとも10ミクロンである黒鉛5重量%〜50重量%とを有する正温度係数組成物を含む物品を提供する。この正温度係数組成物は、熱可塑性ポリマーおよびカーボンブラックからなる組成物と比較して向上した熱伝導率を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
以下の説明および実施例において本発明をより詳細に説明するが、以下の説明および実施例は例示的なものにすぎず、本発明における多くの変更形態および変形形態は当業者には明らかである。本明細書において、また特許請求の範囲において使用される用語「含む(comprising)」は、実施形態「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」を包含する。本明細書中に開示するすべての範囲は両端点を包含し、その両端点は独立に組合せ可能である。これらの範囲の両端点および本明細書中に開示する任意の値は、その厳密な範囲または値に限定されない。即ち、全く厳密なのもではなく、これらの範囲および/または値を近似した値を含む。
【0014】
本明細書中で使用されているように、近似用語は、関連する基本機能に変化を生じさせることなく変動することがある任意の定量的表現を修正するために使用される。したがって、「約」や「実質的に」などの1つまたは複数の用語によって修正される値は、場合によっては厳密な特定値に限定されないことがある。少なくとも一部の例においては、近似用語は、値を測定するための機器の精度に一致しうる。
【0015】
本発明は、正温度係数(PTC)材料、1種または複数種の正温度係数材料を含む物品、ならびに1種または複数種の正温度係数材料を含む物品を製造する方法を提供する。本発明のPTC材料は、先行技術のPTC材料と比較して向上した熱伝導率および/またはレオロジーを有する。その結果、この材料内で発生する熱は、ヒータとしてのPTC材料の効率を向上させる任意の外部媒体に向かって伝達されるのと同様に、材料中をより迅速に伝達される。加えて、本発明の材料を使用することにより、デバイスの一部分が別の部分よりもはるかに熱くなるホットスポットを低減および/または排除することができる。この向上したレオロジーは、これらの組成物の流動速度がより大きく、したがって先行技術のPTC材料よりも加工しやすいことを示している。
【0016】
向上した熱伝導性および/または熱伝達により、十分な量の黒鉛を含有する本発明の調合物は、定常状態モードで作動させた場合、カーボンブラックをベースとするPTC材料と比較してPTC材料の内部PTC温度と表面温度との間の温度差が小さい。従って、最初にこの材料は、この電源に接続された後迅速に熱くなり、最終的には平衡温度(作動温度と定義することもできる)に達し、その温度では、発生する熱が失われる熱と実質的に等しく、温度は時間が経っても実質的に一定のままである。加えて、カーボンブラックのみを利用する先行技術のPTC材料は、トリップ温度(trip temperature)で横ばいになる前にトリップ温度を通り過ぎてしまう傾向にある。従って、この温度の急上昇が下層の材料に害を及ぼすことがある。
【0017】
逆に言えば、本発明の材料は、選択したトリップ温度を通り過ぎることはなく、トリップ温度に達すると単に横ばいになるため、それによりトリップ温度オーバーシュート(temperature overshoot)に関連する欠点が回避される。加えて、黒鉛の使用は材料の熱変形温度を上昇させる助けとなり、その結果、より大きい力を受けることがある構造的な用途においてPTC材料を使用することが可能となる。これらの材料はより高温で変形するため、本発明のPTC材料が使用中に変形する可能性はより低くなる。
【0018】
本発明のPTC材料により、熱可塑性材料と、カーボンブラックと、粒径がより大きい黒鉛とを含むPTC組成物を使用することにより説明される特性の1つまたは複数が実現される。本発明の組成物では、十分な量のカーボンブラックおよび黒鉛を利用して、材料の温度が選択スイッチング温度に達したときには抵抗体としても作用する一方で熱可塑性材料に電気伝導性を提供する。これらに限定される訳ではないが、使用される熱可塑性物質、使用されるカーボンブラックの量、黒鉛粒子の粒径および/または使用される黒鉛の量を含む1つまたは複数の因子に起因して、本発明のPTC組成物は、カーボンブラックのみまたはより小さい黒鉛粒子を含む先行技術のPTC組成物と比較すると、向上した熱伝導率を有する。
【0019】
本明細書中で使用する「より小さい」黒鉛粒子とは、平均直径が10ミクロン未満である黒鉛粒子である。既に述べたとおり、これらの粒子は、熱伝導率を増大させるが、製造コストが高く、また材料の寸法のために配合がより困難である。
【0020】
しかしながら、予想外にも、「より大きい」黒鉛粒子、すなわち、平均直径が10ミクロンを超える黒鉛粒子が、製造コストがより安く配合がより容易である一方で、実際にはさらに大きな熱伝導率の増大をもたらすことがわかった。同じ重量パーセントのより大きな粒子は、同じ重量のより小さい粒子よりも表面積が小さいため、より小さい粒子によるより大きな表面積が、より大きな粒子のより小さい表面積よりも、組成物の熱伝導率を増大させる助けになると考えられた筈である。しかしながら、実施例において説明するように、それが事実ではないことがわかった。
【0021】
そのようなものとして、一実施形態においては、本発明の組成物は、粒径がより大きい黒鉛粒子を含む。一実施形態においては、本発明の組成物において使用される黒鉛粒子の平均粒径は10ミクロン以上である。別の実施形態においては、本発明の組成物において使用される黒鉛粒子の平均粒径は10ミクロン〜300ミクロンである。さらに別の実施形態においては、本発明の組成物において使用される黒鉛粒子の平均粒径は10ミクロン〜150ミクロンである。
【0022】
加えて、本発明の組成物では、直径が様々な寸法の黒鉛粒子を使用することもできる。そのようなものとして、さらに別の実施形態においては、本発明の組成物において使用される黒鉛粒子のd90粒径は10ミクロン以上である。さらに別の実施形態においては、本発明の組成物において使用される黒鉛粒子のd90粒径は10ミクロン〜150ミクロンである。さらに別の実施形態においては、本発明の組成物において使用される黒鉛粒子のd90粒径は15ミクロン〜75ミクロンである。本明細書中で使用される「d90粒径」とは、粒子の90%が規定の直径以下の直径を有することを意味する。したがって、25ミクロンのd90とは、黒鉛粒子の90%が25ミクロン以下の直径を有することを示す。加えて、範囲が規定されているd90粒径は、その範囲の上限が上記d90粒径を示し、一方その範囲の下限が、下限より小さい粒子がすべて取り除かれているように黒鉛材料をふるいにかけたことを示している。たとえば、15ミクロン〜75ミクロンのd90とは、黒鉛粒子の90%が75ミクロン未満の直径を有し、15ミクロン未満の直径を有する粒子がすべて取り除かれていることを示している。
【0023】
黒鉛粒子の寸法に加えて、黒鉛粒子が高い割合の炭素を有することが有利である。したがって、一実施形態においては、黒鉛の炭素含有量は少なくとも99%である。別の実施形態においては、黒鉛の炭素含有量は少なくとも99.5%である。
【0024】
既に述べたとおり、本発明のPTC組成物は、カーボンブラックおよび黒鉛を含まないPTC材料と比較して増大した熱伝導率を示す。熱伝導率のこのような増大は、同じ総量のカーボンブラックのみを含む組成物と比較して示され、組成物が同量の導電性材料を有していたとしても、カーボンブラックと黒鉛の併用により相乗的向上がもたらされる。
【0025】
本発明の組成物は、カーボンブラックと黒鉛との混合物を熱可塑性材料に添加してPTC材料を形成することによって、これらの向上した熱伝導率を実現する。組成物中の黒鉛の量は、一実施形態においては、PTC組成物の総重量の5〜50重量%である。別の実施形態においては、PTC組成物中の黒鉛の量は、PTC組成物の総重量の15〜45重量%である。さらに別の実施形態においては、PTC組成物中の黒鉛の量は、PTC組成物の総重量の20〜40重量%である。
【0026】
組成物中のカーボンブラックの量は、一実施形態においては、PTC組成物の総重量の5〜50重量%である。別の実施形態においては、PTC組成物中のカーボンブラックの量は、PTC組成物の総重量の10〜45重量%である。さらに別の実施形態においては、PTC組成物中のカーボンブラックの量は、PTC組成物の総重量の15〜40重量%である。加えて、本発明において使用されるカーボンブラックのフタル酸ジブチル吸収量(DBP)は250ml/100g未満でよい。別の実施形態においては、本発明において使用されるカーボンブラックのフタル酸ジブチル吸収量は200ml/100g未満でよい。さらに別の実施形態においては、本発明において使用されるカーボンブラックのフタル酸ジブチル吸収量は150ml/100g未満でよい。
【0027】
本発明ではカーボンブラックと黒鉛とを共に利用する。というのは、この組合せにより、カーボンブラックのみまたは黒鉛のみを用いる組成物よりも優れた熱伝導率がもたらされるからである。加えて、カーボンブラックと黒鉛との組合せにより、カーボンブラックのみまたは黒鉛のみを有する組成物と比較して本発明の組成物のレオロジーまたは流動特性も増大することもわかった。そういうことで、本発明の組成物は、先行技術の組成物よりも製造しやすい。本発明のPTC組成物中のカーボンブラックの量は、カーボンブラックおよび黒鉛の総量はPTC組成物の総重量の10〜70重量%となるように、熱可塑性ポリマーの量がPTC組成物の総重量の90〜30重量%となるように規定されている。別の代替実施形態においては、熱可塑性ポリマーの量がPTC組成物の総重量の70〜40重量%となるように、カーボンブラックおよび黒鉛の総量はPTC組成物の総重量の30〜60重量%である。さらに別の代替実施形態においては、熱可塑性ポリマーの量がPTC組成物の総重量の60〜40重量%となるように、カーボンブラックおよび黒鉛の総量はPTC組成物の総重量の40〜60重量%である。
【0028】
これらカーボンブラックおよび黒鉛は、PTC材料を形成するために使用することができる任意の熱可塑性材料と共に使用することができる。一実施形態においては、熱可塑性材料は半結晶質材料である。というのは、熱可塑性材料は、非晶質熱可塑性材料と比較して半結晶質材料においてPTC特性を得やすいからである。一実施形態においては、半結晶質熱可塑性材料の結晶化度は少なくとも5%である。別の実施形態においては、半結晶質熱可塑性材料の結晶化度は少なくとも10%である。さらに別の実施形態においては、半結晶質熱可塑性材料の結晶化度は少なくとも15%である。用語「半結晶質」とは、その挙動が実質的ではあるが完全ではない結晶質熱可塑性挙動を示すようにするのに十分な結晶化度を有する熱可塑性材料を指す。
【0029】
本発明において使用することができる熱可塑性ポリマーの例には、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、無水マレイン酸官能化ポリエチレンを含むポリエチレン(PE)、無水マレイン酸官能化弾性エチレンコポリマー類(ExxonMobilのEXXELOR VA1801およびVA1803のようなもの)、エチレン−ブテンコポリマー類、エチレン−オクテンコポリマー類、エチレン−メチルアクリレート、エチレン−エチルアクリレートおよびエチレン−ブチルアクリレートコポリマーのようなエチレン−アクリレートコポリマー類、グリシジルメタクリレート変性ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、無水マレイン酸官能化ポリプロピレン、グリシジルメタクリレート変性ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセチル、アクリル樹脂、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、PA6、PA66、PA11、PA12、PA6T、PA9Tを含むがこれらに限定されないポリアミド類、ポリ−テトラ−フルオロエチレン(PTFE)、ポリブチレン−テレフタレート(PBT)、ポリフェニレン−スルフィド(PPS)、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエチレン酢酸ビニル(EVA)、グリシジルメタクリレート変性ポリエチレン酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリイソブチレン、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリエチレン−テレフタレート(PET)、ポリ(8−アミノカプリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリカプロラクトン、あるいはこれらのポリマー類の1種または複数種のブレンド、混合物または組合せが含まれるが、これらに限定されない。本発明の有益な諸実施形態においては、熱可塑性ポリマーは、高密度ポリエチレンなどのポリエチレンポリマーである。本明細書中で使用される「高密度ポリエチレン」は、0.94g/cm3を超える密度を有する。熱硬化性樹脂を使用することもできるが、大部分の実施形態が熱可塑性材料を使用する。一部の諸実施形態においては、熱可塑性材料を使用し、成形後架橋する。
【0030】
加えて、本発明のPTC組成物は1種または複数種の添加剤を含むことができる。この添加剤としては、PTC材料の最終的な所望特性に応じて、充てん剤、酸化防止剤、潤滑剤、難燃剤、核形成剤、カップリング剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、顔料、染料、可塑剤、加工助剤、粘度調整剤、粘着性付与剤、粘着防止剤、界面活性剤、エクステンダー油、金属不活性化剤、電圧安定剤、ブースター、触媒、防煙剤等、または上記添加剤のうち少なくとも1種を含有する組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。本発明において使用することができる添加剤、充てん剤等の例には、ガラス繊維、鉱物充てん剤等、または上記のうちの少なくとも1種を含有する組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
核形成剤の例には、タルク、シリカ、雲母、カオリン、ソルビトール、安息香酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等、または上記核形成剤のうちの少なくとも1種を含有する組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
酸化防止剤の例には、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]−メタン、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、チオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート、オクタデシル−3(3.5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロプリオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3(3.5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロプリオネート)などのヒンダードフェノール類、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどの亜リン酸塩および亜ホスホン酸塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリルなどのチオ化合物、ヨウ化カリウム、ヨウ化第一銅、様々なシロキサン類、重合した2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどのアミン類等、あるいは上記酸化防止剤のうちの少なくとも1種を含有する組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
難燃剤の例には、BC58やBC52などのテトラブロモビスフェノールAオリゴマー類、臭素化ポリスチレンまたはポリ(ジブロモ−スチレン)、臭素化エポキシ類、デカブロモジフェニレンオキシド、ペンタブロモベンジルアクリレートモノマー、ペンタブロモベンジルアクリレートポリマー、エチレン−ビス(テトラブロモフタルイミド、ビス(ペンタブロモベンジル)エタンのようなハロゲン化難燃剤、Mg(OH)2およびAl(OH)3のような金属水酸化物、シアヌル酸メラミン、赤リン、ポリリン酸メラミン、リン酸エステル類、ホスフィン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウムのようなリンをベースとするFR系、膨張性黒鉛、パーフルオロブタン硫酸ナトリウムまたはカリウム、パーフルオロオクタン硫酸ナトリウムまたはカリウム、ジフェニルスルフォン硫酸ナトリウムまたはカリウム、および2,4,6−トリクロロ安息香酸ナトリウムまたはカリウム、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルフィミドのカリウム塩、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドのカリウム塩、もしくは上記難燃剤のうちの少なくとも1種を含有する組合せが含まれるが、これらに限定されない。PTC組成物全体の0.1〜約40重量%の量で、充てん剤および添加剤を添加することができる。
【0034】
加えて、本発明の組成物は、カーボンブラックおよび黒鉛を用いて形成されるものとして記載されているが、別の実施形態においては、ガラス質炭素、活性炭(activated charcoal)、活性炭(activated carbon)、炭素繊維など他の結晶質または非晶質の炭素材料を使用できることが理解される。これら他の結晶質または非晶質の炭素材料を、一実施形態においては、カーボンブラックの代わりに使用することができ、あるいは別の一実施形態においては、カーボンブラックおよび黒鉛と併せて使用することができる。
【0035】
また、PTC材料の1つまたは複数の利点を利用することができる任意の物品において本発明の概念を使用できることが理解される。たとえば、自動制御ヒータ、過電流保護装置、空気調和ユニット、加熱シート、加熱ミラー、加熱窓、加熱ステアリングホイール等の自動車用途、回路保護装置、香水ディスペンサおよび熱可塑性プラスチックをベースとするPTC材料を使用可能な任意の他の用途において、本発明のPTC材料を使用することができる。
【0036】
PTC組成物の調製は、親密なブレンド(intimate blend)の形成のための条件下で成分をブレンドすることによって実現することができる。これらの成分はすべて初期に工程系に添加することができるが、一部の添加剤を予備配合することもできる。成分にせん断を加えることができる一軸もしくは二軸スクリュー型押出機または類似の混合装置、たとえば、ブッシュ型共混練機、バンバリミキサーおよびブラベンダーミキサー内で混合することによって、あるいは射出成形配合(IMC)工程においてブレンドを形成することもできる。
【0037】
一実施形態においては、ブレンド工程において別々の複数の押出機が使用される。別の実施形態においては、様々な成分の添加に対応するためにその長さ方向に沿って複数の供給口を有する一軸押出機を用いることによって、組成物が調製される。組成物中の揮発性不純物を取り除くために、押出機における少なくとも1つまたは複数のベント口を通じて溶融体に対して真空操作を適用することができる。諸実施形態の1つにおいては、得られる混合物中の黒鉛粒子の粒径ができるだけ大きくなるように、黒鉛粒子を下流で供給することが有利となることがある。
【0038】
引用した特許、特許出願および他の文献はすべて、参照によりそれら全体が本明細書中に援用される。以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0039】
実施例
表1は、本発明のPTC材料の3つの実施例と、カーボンブラックと黒鉛(または熱伝導性ブラック)との両方を含んではいないPTC材料と比較した本発明のPTC材料の向上した伝導率とを示す。これらの実施例においては、使用した高密度ポリエチレンはBasellのGD7255であった。カーボンブラックは、DegussaのPrintex Gで、黒鉛はd50が180ミクロンであるAshburyのTC300であった。本明細書中で使用するd50とは、粒子の50wt%が≦180ミクロンであることを意味する。これらのPTC材料は、Werner&Pfleiderer社の25mm共回転10−バレル二軸スクリュー押出機で配合した。成分はすべてスロートで供給した。取入口ゾーンを50℃に設定し、最初の加熱素子を150℃に設定した。その他の加熱素子ならびにダイを190℃に設定した。典型的には、すべての組成物をスクリュー回転数300rpmで配合し、トルクが70〜80パーセントに達するように、処理量を調整した。
【0040】
80℃で4時間予備乾燥した後、Engel 75を用いて以下の設定条件で組成物を射出成形した。ホッパー50℃、第1のゾーン225℃、第2のゾーン235℃、第3のゾーン245℃、ダイ240℃、成形温度60℃である。これらの組成物をISO引張試験片に成形し、次いでこれらのISO引張試験片を使用して組成物のPTC特性を測定した。
【0041】
PTC特性は「静的試験」を用いて測定した。この静的試験用の試料は以下のように調製した。ISO引張試験片の傾斜点(inclination point)に切欠きを入れ、−40℃まで冷却し破壊し、その後銀色ペイントを塗布した。この静的試験では、材料に対して温度を強制的に与えて、得られる抵抗率を測定した。オーブン温度は、PTC効果の発現前には約20℃ずつ上昇させ、発現直前および発現後には5〜10℃ずつ上昇させた。PTC温度付近でのみ、抵抗率対温度は大きく変化した。そういうことで、温度増加幅は、初期には比較的大きくし、PTC温度に近づくと減少させ、PTC効果が生じた後には増加させた。均質で全体に亘って十分に加熱された試料を確保するために、各段階的温度上昇の後、40分の調整時間を設けた。これらの試料の抵抗を測定するために、2つの異なる方法を採用した。試料1〜4については、オーブンから試料を取り出すことなく、オーブンを開けた直後に抵抗を測定した。この測定は数秒以内に完了した。以下の試料5〜17については、特別に設計した試料ホルダを用いて、閉じたオーブン内に試料を留めた状態で、オーブンの外において試料の抵抗を測定した。
【0042】
有効体積固有抵抗率(SVR)を、以下の式に従って計算した。
【0043】
【数1】

【0044】
PTC効果の大きさの尺度としてR135/R23を使用した。ここで、R135は135℃における抵抗率、R23は室温における抵抗率を示す。
【0045】
トリップ温度は、温度対対数体積抵抗率プロットにおいて抵抗率の急増が観測され始める温度である。この開始温度は、50℃で引かれた正接と抵抗率曲線の最急勾配部分との交点によって決定した。射出成形した厚さ2mmの直径12mmのディスクを用い、Netzsch LFA 447レーザフラッシュ装置を使用して熱伝導率を測定した。
【0046】
加熱撓み温度または熱変形温度(「HDT」と称する)は、荷重下における加熱撓み温度の尺度であり、ISO75/Beによって定義された手順に従って測定した。溶融体積レート(Melt Volume Rate、MVR)は、材料の粘度の尺度であり、ISO1133に従って測定した。
【0047】
試料1は対照試料で、HDPE50wt%と、カーボンブラック50wt%とを含有していた。試料2および3は、黒鉛とカーボンブラックの両者を含むPTC材料であった。試料2は黒鉛を20重量%含有し、またカーボンブラックと黒鉛とを合計50重量%含有していた。試料3は黒鉛を25重量%含有し、またカーボンブラックと黒鉛とを合計50重量%含有していた。試料4は黒鉛を30重量%含有し、またカーボンブラックと黒鉛とを合計55重量%含有していた。
【0048】
このデータからわかるとおり、本発明の概念に従って製造された組成物は、熱変形温度が高いので、カーボンブラックのみを含んだ先行技術のPTC材料と比較すると、任意の構造的な用途において有用性が高くまた熱伝導率が向上している。
【0049】
加えて、明らかなように、本発明の組成物は、HDPEおよびカーボンブラックを含むだけの組成物よりもはるかに高いMVRを有しており、流動速度が高く、したがってより加工しやすい。
【0050】
【表1】

【0051】
実施例5〜17においては、Coperionの25mm共回転二軸スクリュー押出機でPTC調合物を製造した。HDPEをスロートで供給し、C−ブラックをセクション4で、黒鉛をセクション6で添加した。取入口ゾーンを50℃に設定し、最初の加熱素子を150℃に設定した。その他の加熱素子ならびにダイを190℃に設定した。典型的には、すべての組成物をスクリュー回転数300rpmで配合し、トルクが70〜80パーセントに達するように、処理量を調整した。射出成形は、実施例1〜4に記載のとおり行った。
【0052】
【表2】

【0053】
表2によれば、10ミクロン未満の粒径と比較して、10ミクロンを超える粒径の黒鉛粒子を使用するとどのようにより優れた特性が得られるのか、またこれらの利点は大型の粒子の場合にも存在するが、黒鉛粒子の平均粒径が中型粒子を含む場合に最良の結果が見られることがわかる。これらの実施例においては、試料5、6および7(黒鉛なし)と、試料14、15および16(d90が6ミクロンの黒鉛粒子を使用)によってデータを比較することができる。このデータからわかるとおり、試料8(大粒子)および試料11(中サイズ粒子)は、試料14(小粒子)と比較して、熱伝導率およびMVRが向上した。この熱伝導率およびMVRの向上は、試料15(小粒子)と比較される試料9(大粒子)、試料12(中サイズ粒子)および試料17(やはり中サイズ粒子)のグループにおいても、また、試料16(小粒子)と比較される試料10(大粒子)および試料13(中サイズ粒子)のグループにおいても見られたが、一部の例においては、MVRのみが向上した。
【0054】
また、類似の室温抵抗率を有する試料を比較すると、より大きい粒径を用いた試料の熱伝導率およびMVRが、より小さい粒径を用いた試料と比較して向上した(たとえば、試料16と比較した試料11)。
【0055】
このように、熱伝導率およびMVRが向上したPTC材料を形成するためには、小型の黒鉛粒子を用いたPTC材料と比較して、中型およびより大型の黒鉛粒子を使用した場合に予想外の利点があることを、上記データは実証している。
【0056】
本明細書では実施例を使用してベストモードを含む発明を開示し、また当業者が発明を実施および使用できるようにしている。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を包含するものである。このような他の実施例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にある。本明細書中で言及する引用文献はすべて、参照により本明細書中に援用される。
【0057】
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き複数対象物を含む。化合物は、標準名称法を用いて記載されている。たとえば、何らかの明示された基によって置換されていない任意の位置は、その原子価が、明示したような結合または水素原子で充たされていると解釈される。2つの文字または記号間にはないダッシュ(「−」)を使用して、置換基の結合点を示す。たとえば、−CHOは、カルボニル基の炭素を介して結合する。別段の定義がない限り、本明細書中で使用する専門用語および科学用語は、本発明が属する分野における当業者が通常理解する意味と同じ意味を有する。同じ特性または量を対象とする範囲は、全てその両端点が独立に組合せ可能であり、その端点もその範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)結晶化度が少なくとも5%である半結晶質熱可塑性ポリマー約30重量%〜約90重量%と、
b)カーボンブラック約5重量%〜約50重量%と、
c)炭素含有量が少なくとも99%で、粒径が少なくとも10ミクロンである黒鉛約5重量%〜約50重量%とを含む正温度係数組成物であって、
前記熱可塑性ポリマーおよび前記カーボンブラックからなる組成物と比較して向上した熱伝導率を有する正温度係数組成物。
【請求項2】
熱可塑性ポリマー約40重量%〜約80重量%と、カーボンブラック約10重量%〜約50重量%と、黒鉛約10重量%〜約50重量%とを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
熱可塑性ポリマー約40重量%〜約65重量%と、カーボンブラック約15重量%〜約30重量%と、黒鉛約20重量%〜約40重量%とを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
充てん剤、酸化防止剤、潤滑剤、難燃剤、核形成剤、カップリング剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、顔料、染料、試剤、可塑剤、加工助剤、粘度調整剤、粘着性付与剤、粘着防止剤、界面活性剤、エクステンダー油、金属不活性化剤、電圧安定剤、ブースター、触媒、防煙剤またはこれらの組合せから選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリカプロラクトンポリエステル類、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、ポリアミド類、ポリ−テトラ−フルオロエチレン、ポリブチレン−テレフタレート、ポリフェニレン−スルフィド、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリエチレン−テレフタレート、ポリ(8−アミノカプリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、エチレンをベースとするコポリマーおよびターポリマー、無水マレイン酸変性ポリエチレン、グリシジルメタクリレート変性グラフト化ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、グリシジルメタクリレート変性ポリプロピレン、あるいはこれらのポリマー類の1つまたは複数のブレンド、混合物または組合せから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記カーボンブラックのフタル酸ジブチル吸収量が250ml/100g未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記黒鉛の粒径が10ミクロン〜150ミクロンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
a)結晶化度が少なくとも5%である半結晶質熱可塑性ポリマー約30重量%〜約90重量%と、
b)カーボンブラック約5重量%〜約50重量%と、
c)炭素含有量が少なくとも99%で、d90粒径が少なくとも10ミクロンである黒鉛約5重量%〜約50重量%とを含む正温度係数組成物であって、
前記熱可塑性ポリマーおよび前記カーボンブラックからなる組成物と比較して向上した熱伝導率を有する正温度係数組成物。
【請求項9】
熱可塑性ポリマー約40重量%〜約80重量%と、カーボンブラック約10重量%〜約50重量%と、黒鉛約10重量%〜約50重量%とを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
熱可塑性ポリマー約40重量%〜約65重量%と、カーボンブラック約15重量%〜約30重量%と、黒鉛約20重量%〜約40重量%とを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
充てん剤、酸化防止剤、潤滑剤、難燃剤、核形成剤、カップリング剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、顔料、染料、試剤、可塑剤、加工助剤、粘度調整剤、粘着性付与剤、粘着防止剤、界面活性剤、エクステンダー油、金属不活性化剤、電圧安定剤、ブースター、触媒、防煙剤またはこれらの組合せから選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリカプロラクトンポリエステル類、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、ポリアミド類、ポリ−テトラ−フルオロエチレン、ポリブチレン−テレフタレート、ポリフェニレン−スルフィド、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリエチレン−テレフタレート、ポリ(8−アミノカプリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、エチレンをベースとするコポリマーおよびターポリマー、無水マレイン酸変性ポリエチレン、グリシジルメタクリレート変性グラフト化ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、グリシジルメタクリレート変性ポリプロピレン、あるいはこれらのポリマー類の1つまたは複数のブレンド、混合物または組合せから選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
前記カーボンブラックのフタル酸ジブチル吸収量が250ml/100g未満である、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
前記黒鉛のd90粒径が10ミクロン〜150ミクロンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の正温度係数組成物を含む製品。
【請求項16】
請求項8に記載の正温度係数組成物を含む製品。

【公表番号】特表2010−500454(P2010−500454A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523927(P2009−523927)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/075234
【国際公開番号】WO2008/021768
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(309001610)サビック イノベーティブ プラスチックス イーペー ベスローテン フェンノートシャップ (16)
【Fターム(参考)】