説明

改質器および改質方法

【課題】部分酸化改質触媒と水蒸気改質触媒との間の熱伝導効率を向上し、部分酸化改質反応の発熱を有効に利用する改質器を提供する。
【解決手段】改質器100は、炭化水素系の原燃料の部分酸化改質反応に用いられる第1触媒粒子Cと、第1触媒粒子とは異なる成分から成り原燃料の水蒸気改質反応に用いられる第2触媒粒子Cと、が互いに物理的に接触して充填される触媒充填室110と、原燃料と水とを加熱して気化させ、気化させた原燃料と水とを酸素とともに触媒充填室110に導入する蒸発部120と、触媒充填室110において部分酸化改質反応または水蒸気改質反応により生成された水素を少なくとも含む改質燃料を送出する改質燃料送出口130と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質器および改質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メタノールやメタン、プロパン等の炭化水素系の燃料から水素ガスを生成する製造方法は「改質」と呼ばれ、また改質する装置は「改質器」と呼ばれる。
【0003】
改質の方法は、大別して三つの方法がある。一つは、燃料に水蒸気を反応させて水素を得る水蒸気改質法である。水蒸気改質法は燃料から水素へ改質する効率が比較的良いという利点があるが、吸熱反応のため反応を継続するためには熱を与えなくてはならないという欠点がある。一つは、燃料に酸素を反応させて水素を得る部分酸化改質法である。部分酸化改質法は発熱反応のため一度反応が始まれば、燃料と酸素の供給が絶えるまで反応を続けるというメリットがあるが、燃料から水素へ改質する効率が比較的悪いという欠点がある。一つは、上述した水蒸気改質法および部分酸化改質法を併用して行うオートサーマル改質法(自己熱改質法)である。オートサーマル改質法は、水蒸気改質法および部分酸化改質法それぞれの利点と欠点とを互いに補うことができる。
【0004】
特許文献1に記載のオートサーマル改質法を用いた改質器は、次のような特徴を有する。部分酸化改質触媒またはオートサーマル改質触媒(部分酸化改質と水蒸気改質の両方の特性を備える触媒)からなる層を内部に備える改質管であって、この改質管は、閉じられた一端が内管と外管とが連通する二重管構造をなし、内管から燃料、酸素および水蒸気を供給し、外管から水素ガスを排出する。これにより、改質管入口(内管)の発熱を改質管出口(外管)に伝達することで、改質管入口の高温化および改質管出口の低温化を抑制し、原料スリップ発生や水素ガスの水素濃度低下を防ぐことができる。
【0005】
非特許文献1に記載のオートサーマル改質法を用いた改質器は、次のような特徴を有する。ハニカム状のセラミック担体の表面上にウォッシュコート法により白金(オートサーマル改質触媒)と酸化亜鉛とアルミナからなる担体に銅を担持した触媒(水蒸気改質触媒)を付着させた触媒層を反応槽の中に有する。そして、触媒層の出口の温度に基づいて反応槽内の温度を制御することができる。また、反応槽内への燃料流量、空気(酸素)流量および水蒸気流量も調節することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−306306号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Rong-Fang Horng,Huann-Ming Chou, Chiou-Hwang Lee,Hsien-Te Tsai, Characteristics of hydrogen produced by partial oxidation and auto-thermal reforming in a small methanol reformer, Journal of Power Sources, 161(2006), pp.1225-1233
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記文献に記載の技術は、以下の改善の余地を有していた。特許文献1には、外管にはオートサーマル改質触媒を充填し、内管には外管に充填した触媒より水蒸気改質活性が低い触媒を充填することで、内管の触媒から外管の触媒へ熱を伝導する事例が挙げられている。この技術において、内管の触媒から外管の触媒への熱伝導媒体は主に改質管の隔壁と思われるが、この場合は隔壁に接触していない触媒間の熱伝導は不十分である。
【0009】
非特許文献1に記載の触媒層は、ハニカム状セラミック担体の表面上にオートサーマル改質触媒と水蒸気改質触媒が分散されて付着されている。上述のような付着では、オートサーマル改質触媒と水蒸気改質触媒と間で直接の熱伝導はほとんどなされず、熱伝導のほとんどは担体を介してなされる。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、炭化水素系の燃料を用いたオートサーマル改質において、部分酸化改質触媒と水蒸気改質触媒との間の熱伝導効率を向上し、部分酸化改質反応の発熱を有効に利用する改質器および改質方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、炭化水素系の原燃料の部分酸化改質反応に用いられる第1触媒粒子と、前記第1触媒粒子とは異なる成分から成り前記原燃料の水蒸気改質反応に用いられる第2触媒粒子と、が互いに物理的に接触して充填された触媒充填室と、前記原燃料と水とを加熱して気化させ、気化させた前記原燃料と前記水とを酸素とともに前記触媒充填室に導入する蒸発部と、前記触媒充填室において前記部分酸化改質反応または前記水蒸気改質反応により生成された、水素を少なくとも含む改質燃料を送出する改質燃料送出口と、を備えることを特徴とする改質器が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、炭化水素系の原燃料の部分酸化改質反応に用いられる第1触媒粒子と、前記第1触媒粒子とは異なる成分から成り前記原燃料の水蒸気改質反応に用いられる第2触媒粒子と、が互いに物理的に接触して充填される触媒充填室に、気化された前記原燃料と水とを、酸素とともに導入し、前記部分酸化改質反応により生じる熱を前記第1触媒粒子から前記第2触媒粒子に直接伝達して前記水蒸気改質反応を行い、前記原燃料を改質して水素を少なくとも含む改質燃料を生成するオートサーマル改質ステップと、前記オートサーマル改質ステップにおいて生成された前記改質燃料を送出する改質燃料送出ステップと、を備えることを特徴とする改質方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上記発明によれば、触媒収容室の内部に、部分酸化改質触媒の粒子と水蒸気改質触媒の粒子とが、互い物理的に接触して充填されるので、各触媒粒子の接点から熱伝導が行われる。これにより、部分酸化改質触媒と水蒸気改質触媒との間の熱伝導効率がよくなり、部分酸化改質反応の発熱の損失を減少させることができる。
【0014】
本発明によれば、炭化水素系の燃料を用いたオートサーマル改質において、部分酸化改質触媒と水蒸気改質触媒との間の熱伝導効率を向上し、部分酸化改質反応の発熱を有効に利用する改質器および改質方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態の改質器の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の改質方法のフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態の改質器の構成図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の改質方法のフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施形態の改質器を備える燃料電池システムの構成図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の改質器に含まれる蒸発部および触媒充填室の上面図、正面図および断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の燃料電池システムの動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
〔第1の実施形態〕
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態の改質器100の構成図である。本実施形態の改質器100は、炭化水素系の原燃料の部分酸化改質反応に用いられる第1触媒粒子Cと、第1触媒粒子とは異なる成分から成り原燃料の水蒸気改質反応に用いられる第2触媒粒子Cと、が互いに物理的に接触して充填された触媒充填室110を備える。また、改質器100は、原燃料と水とを加熱して気化させ、気化させた原燃料と水とを酸素とともに触媒充填室110に導入する蒸発部120を備える。さらに、改質器100は、触媒充填室110において部分酸化改質反応または水蒸気改質反応により生成された、水素を少なくとも含む改質燃料を送出する改質燃料送出口130を備える。
【0018】
触媒充填室110は、その内部で第1触媒粒子Cからなる層と第2触媒粒子Cからなる層とが分離して、一方の層の下面と他方の層の上面に位置する第1触媒粒子Cと第2触媒粒子Cとが互いに物理的に接触して充填されていてもよい。ただし、第1触媒粒子Cと第2触媒粒子Cとが混合状態で触媒充填室110に充填されている方がより好ましい。前者の充填方法と比べて後者の充填方法が、第1触媒粒子Cと第2触媒粒子Cとの接触点が増えるので、互いの熱伝導効率が良くなり、改質器100の転化率が向上する。
【0019】
触媒充填室110に充填される、第1触媒粒子Cおよび第2触媒粒子Cの形状は粒状であればいずれでもよく、球状やペレット状であってもよい。
【0020】
第1触媒粒子Cおよび第2触媒粒子Cは、相対的に前者が部分酸化改質活性が高い触媒であって、また相対的に後者が水蒸気改質活性が高い触媒であればよい。
【0021】
例えば、第1触媒粒子Cは、アルミナを成分に含んでもよい。また、第1触媒粒子Cは、アルミナを担体としてルテニウム、パラジウム、イリジウム、オスミウム、白金、鉄またはコバルトのうち少なくとも一種の成分を担持してもよい。
【0022】
また、第2触媒粒子Cは銅、亜鉛、クロムまたはニッケルのうち少なくとも一種を成分に含んでもよい。特に、第2触媒粒子Cが銅を担持する銅系触媒の場合、その担体はアルミナ、シリカ、ゼオライト等比表面積が大きなものを用いるのが好ましいとともに、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等助触媒的なものを用いるのも好ましい。これにより、水蒸気改質反応をより起こし易くすることができる。
【0023】
また、第2触媒粒子Cは、上述に記載の成分の少なくとも一種に加えて白金を成分に含んでもよい。これにより、触媒充填室110において、水性ガスシフト反応により改質燃料中の一酸化炭素および水から二酸化炭素と水素を生成することができる。これにより、改質器100の転化率が向上する。
【0024】
本実施形態の蒸発部120は上段と下段に分かれる。蒸発部120の下段内部は多孔質板121を内包している。また、蒸発部120の上段内部はステンレス球122を充填している。さらに、蒸発部120の上下段は、その周囲にヒータ部123を設けており、ヒータ部123は蒸発部120を加熱する。さらに、蒸発部120は、触媒充填室110に導入する混合ガス(原燃料と水と空気)の温度を計測する蒸発温度計124をその上段の上部に設ける。
【0025】
蒸発部120は、その下段の下部に設ける下段流入口125から原燃料と水とが供給される。蒸発部120は、下部(重力方向において下方)から原燃料と水とを供給される構造とすることが好ましい。これにより、原燃料と水とが液化した場合、蒸発部120の下部に落ちて再度ヒータ部123により加熱されて気化する。これにより、上部で液化した原燃料と水とを再び気化して利用することができる。
【0026】
本実施形態において原燃料はメタノールを用いる。そして、蒸発部120は下段において原燃料と水とを加熱して気化させる。多孔質板121は表面積が大きく、液体状態の原燃料および水との接触点が多い。これにより、液体状態の原燃料および水への伝達効率がよくなる。
【0027】
蒸発部120は上段と下段の境目に設ける上段流入口126から空気(酸素)が供給される。
【0028】
蒸発部120は、気化された原燃料と水と空気とを、その上段において混合する。蒸発部120の上段に充填されるステンレス球122は、その間を原燃料と水と空気とを通すことで、それぞれを撹拌する役割を果たす。また、ステンレス球122は、ヒータ部123から発熱される熱を原燃料と水と空気とに効率良く伝達する役割も果たす。
【0029】
蒸発部120で気化されて混合された混合ガス(原燃料と水と空気)は、ヒータ部123の加熱等で生じる対流により触媒充填室110に導入される。触媒充填室110は、蒸発部120から導入された混合ガスが、触媒充填室110の内部に充填した第1触媒粒子Cおよび第2触媒粒子Cに接触して部分酸化改質反応または水蒸気改質反応が活性化することにより、原燃料を改質して改質燃料を生成する。部分酸化改質反応および水蒸気改質反応の反応式は以下(反応式1)のように表すことができる。
【0030】
【化1】

【0031】
また、触媒充填室110は断熱材112で被覆される。本実施形態において、断熱材112で被覆するとは、触媒充填室110の外壁の全部を断熱材112で被覆することも含んでもよく、断熱材112の一部に穴が空いており、触媒充填室110の外壁の大部分が被覆されていることも含んでもよい。触媒充填室110を断熱材112で被覆することにより、改質器100は、触媒充填室110の内部温度を保持することができる。
【0032】
さらに、触媒充填室110は、その内部温度を計測する触媒温度計111を有する。
【0033】
触媒充填室110において生成された改質燃料は、改質燃料送出口130から送出される。改質燃料送出口130から送出された改質燃料は、他装置に利用されてもよいし、圧縮処理または液化処理等を行い貯蔵してもよい。
【0034】
図2は、本実施形態の改質方法のフローチャートである。本実施形態の改質方法は、炭化水素系の原燃料の部分酸化改質反応に用いられる第1触媒粒子Cと、第1触媒粒子Cとは異なる成分から成り原燃料の水蒸気改質反応に用いられる第2触媒粒子Cと、が互いに物理的に接触して充填された触媒充填室110に、気化された原燃料と水とを、酸素とともに導入し、部分酸化改質反応により生じる熱を第1触媒粒子から第2触媒粒子に直接伝達して水蒸気改質反応を活性化し、水素を少なくとも含む改質燃料を生成するオートサーマル改質ステップ(ステップS103)を備える。さらに、この改質方法は、オートサーマル改質ステップ(ステップS103)において生成された改質燃料を送出する改質燃料送出ステップ(ステップS104)を備える。
【0035】
ここで、オートサーマル改質ステップ(ステップS103)において部分酸化改質反応により発熱される熱量が、当該オートサーマル改質ステップ(ステップS103)において水蒸気改質反応により吸熱される熱量より大きければ、蒸発ステップ(ステップS102)において部分酸化改質反応による発熱のみで水蒸気改質反応に要する熱量を供給することも可能となる。
【0036】
また、この改質方法は、オートサーマル改質ステップ(ステップS103)に用いられる原燃料と水と空気(酸素)を供給する原燃料供給ステップ(ステップS101)と、原燃料供給ステップ(ステップS101)において供給される原燃料と水とを加熱して気化させる蒸発ステップ(ステップS102)と、を備える。
【0037】
なお、この改質方法は、原燃料供給を停止しない(ステップS105のNO)間は、部分酸化改質反応または水蒸気改質反応のいずれかが継続する。これは、触媒充填室110の内部温度(触媒温度計111の計測温度)と触媒充填室110に導入される原燃料等の温度(蒸発温度計124の計測温度)が理想的に制御され、原燃料等が触媒充填室110に適当な温度で供給されることを前提としている。
【0038】
当然、原燃料供給を停止するとき(ステップS105のYES)、この改質方法のフローは終了する。
【0039】
本実施形態の効果を説明する。まず、第1触媒粒子Cで発熱された熱が互いの接点を通じて直接第2触媒粒子Cに伝達されるので、触媒粒子間に何かを介して熱伝達するよりも効率をよくすることができる。また、触媒充填室110に触媒粒子を充填することにより、各触媒粒子は互いの接点を三次元のいずれの方向にも有することができる。よって、担体の表面に付着させた触媒よりも、互いの接点を多くすることが可能であり、より熱伝達効率を向上することができる。すなわち、第1触媒粒子Cにおける部分酸化改質反応による発熱を、第2触媒粒子Cにおける水蒸気改質反応に有効利用し、その損失量を減少させることができる。
【0040】
また、第1触媒粒子Cと第2触媒粒子Cとの熱伝達効率を向上することにより、全体の改質反応(オートサーマル改質反応)における転化率の向上を図ることができる。
【0041】
さらに、第1触媒粒子Cと第2触媒粒子Cとが同室内に充填され、互いの熱伝達用の付帯設備を設ける必要がないので、装置の簡素化および小型化を図ることができる。
〔第2の実施形態〕
【0042】
図3は、本発明の第2の実施形態の改質器200の構成図である。本実施形態の改質器200に備えられる触媒充填室210、蒸発部220および改質燃料送出口230は、それぞれ第1の実施形態の触媒充填室110、蒸発部120および改質燃料送出口130と同様の構成を含んでいる。さらに、触媒充填室210は、第1の実施形態の触媒温度計111、断熱材112と同様の触媒温度計211、断熱材212を有している。そして、蒸発部220は、第1の実施形態の多孔質板121、ステンレス球122、ヒータ部123、蒸発温度計124、下段流入口125および上段流入口126と同様の多孔質板221、ステンレス球222、ヒータ部223、蒸発温度計224、下段流入口225および上段流入口226を有している。
【0043】
また、改質器200は、蒸発部220に供給するための原燃料を少なくとも貯蔵する原燃料貯蔵部240と、蒸発部220に供給するための水を少なくとも貯蔵する水貯蔵部250と、蒸発部220に供給するための酸素を少なくとも貯蔵する酸素貯蔵部260と、を備える。なお、原燃料貯蔵部240、水貯蔵部250および酸素貯蔵部260は、それぞれ原燃料、水、酸素以外の成分を含んでもよく、圧縮貯蔵方式や液化貯蔵方式等のいずれの貯蔵方式を用いてもよい。
【0044】
さらに、改質器200は、蒸発部220に供給する原燃料、水および酸素の供給流量を調節する調節弁241、251、261を備える。そして、触媒温度計211の計測温度または蒸発温度計224の計測温度に基づいてヒータ部223または調節弁241、251、261を制御する制御部270を備える。なお、制御部270はヒータ部223を制御することにより、ヒータ部223から蒸発部220への加熱量を変化させることができる。また、制御部270は調節弁241、251、261を制御することにより蒸発部220に供給される原燃料、水および酸素の供給流量を個別に制御することができる。
【0045】
制御部270は、蒸発部220の内部温度(蒸発温度計224の計測温度)が原燃料の気化温度以上の所定温度Tに達するまで、ヒータ部223により蒸発部220を加熱する。そして、制御部270は、蒸発部220の内部温度が所定温度Tを超えるとき、ヒータ部223による蒸発部220への加熱を抑制する。ここで、ヒータ部223による蒸発部220への加熱を抑制するとは、ヒータ部223による加熱を停止することを含んでもよい。
【0046】
また、制御部270は調節弁241、251、261による供給流量を制御して、第1触媒粒子Cおよび第2触媒粒子Cの温度(触媒温度計211の計測温度)が部分酸化改質反応の安定作動温度T以下であるとき、原燃料および酸素を蒸発部220に供給させる。そして、制御部270は調節弁241、251、261による供給流量を制御して、第1触媒粒子Cおよび第2触媒粒子Cの温度が部分酸化改質反応の安定作動温度Tを超えたとき、原燃料、水および酸素を蒸発部220に供給させる。ここで、安定作動温度Tとは部分酸化改質反応が安定的に作動する温度を意味する。すなわち、改質器200は、触媒充填室210内において部分酸化改質反応が安定的に作動するまでは、触媒充填室210に原燃料と酸素とが導入されるので部分酸化改質反応のみで原燃料の改質が行われる。さらに、改質器200は、触媒充填室210内において部分酸化改質反応が安定的に作動した後には、触媒充填室210に原燃料と水と酸素とが導入されるので部分酸化改質反応および水蒸気改質反応を併用して原燃料の改質が行われる。
【0047】
図4は、本発明の第2の実施形態の改質方法のフローチャートである。本実施形態の改質方法は、原燃料と空気とが供給される原燃料供給ステップ(ステップS201)と、原燃料を加熱して気化させる蒸発ステップ(ステップS202)と、を備える。
【0048】
そして、この改質方法は、蒸発ステップ(ステップS202)において加熱された原燃料の温度(図3の蒸発温度計224の計測温度)が原燃料の気化温度以上の所定温度Tになるまで(ステップS203のNO)、図3のヒータ部223により原燃料を加熱しながら、原燃料供給ステップ(ステップS201)と蒸発ステップ(ステップS202)とを繰り返す。
【0049】
また、この改質方法は、加熱された原燃料の温度が所定温度Tを超えて(ステップS203のYES)、第1触媒粒子Cおよび第2触媒粒子Cの温度(図3の触媒温度計211の計測温度)が部分酸化改質反応の安定作動温度T以下であるとき(ステップS204のNO)、触媒充填室210に原燃料および酸素を導入して、部分酸化改質反応により原燃料を改質して改質燃料を生成する部分酸化改質ステップ(ステップS205)を備える。また、この改質方法は、部分酸化改質ステップ(ステップS205)に移行するとともに、図3のヒータ部223による加熱を抑制する(ステップS206)。
【0050】
さらに、第1触媒粒子Cおよび第2触媒粒子Cの温度が部分酸化改質反応の安定作動温度Tを超えているとき(ステップS204のYES)、原燃料および酸素に加えて、さらに水を供給する(ステップS207)。供給された水は、部分酸化改質反応による発熱または図3のヒータ部223により加熱されて気化される。そして、この改質方法は、第1触媒粒子Cおよび第2触媒粒子Cの温度が部分酸化改質反応の安定作動温度Tを超えているとき、触媒充填室210に原燃料、水および酸素を導入して、部分酸化改質反応および水蒸気改質反応により原燃料を改質して改質燃料を生成するオートサーマル改質ステップ(ステップS208)に移行する。
【0051】
さらに、この改質方法は、部分酸化改質ステップ(ステップS205)またはオートサーマル改質ステップ(ステップS208)において生成された改質燃料を送出する改質燃料送出ステップ(ステップS209)を備える。
【0052】
なお、この改質方法は、原燃料供給を停止しない(ステップS210のNO)間は、部分酸化改質反応または水蒸気改質反応のいずれかが継続する。そして、原燃料供給を停止するとき(ステップS210のYES)、この改質方法のフローは終了する。
【0053】
本実施形態の効果を説明する。まず、本実施形態のヒータ部223は、加熱された原燃料の温度(図3の蒸発温度計224の計測温度)が原燃料の気化温度Tを超えたとき、原燃料の加熱を抑制するので、部分酸化改質反応が開始した後は、ヒータ部223が消費する全体のエネルギー量が減少する。例えば、ヒータ部223が電力により稼動する場合、消費電力が減少する。また、ヒータ部223が改質器200が生成する水素を燃焼して稼動する場合、水素の消費量が減少する。
【0054】
また、本実施形態は部分酸化改質反応が安定するまで、水を供給しないので、部分酸化改質反応からオートサーマル改質反応への移行を安定させることができる。
〔第3の実施形態〕
【0055】
図5は、本発明の第3の実施形態の改質器300を備える燃料電池システム1000の構成図である。本実施形態の燃料電池システム1000は、改質器300とともに改質器300から送出された改質燃料を燃料として発電する燃料電池400を備える。本実施形態の改質器300は、炭化水素系の原燃料の部分酸化改質反応に用いられる第1触媒粒子Cと、第1触媒粒子とは異なる成分から成り原燃料の水蒸気改質反応に用いられる第2触媒粒子Cと、が互いに物理的に接触して充填される触媒充填室310を含む。また、改質器300は、原燃料と水とを加熱して気化させ、気化させた原燃料と水とを酸素とともに触媒充填室310に導入する蒸発部320を含む。さらに、改質器300は、触媒充填室310において部分酸化改質反応または水蒸気改質反応により生成された、水素を少なくとも含む改質燃料を送出する改質燃料送出口330を含む。
【0056】
なお、触媒充填室310および蒸発部320は一体となっている。そして、触媒充填室310および蒸発部320は、その周囲に触媒充填室310およびを加熱するヒータ部321を有する。
【0057】
さらに、改質器300は、改質燃料送出口330から送出された改質燃料から水素以外の成分を除去する分離膜部341、342を備える。分離膜部341、342に用いられる分離膜343、344にはパラジウム銀の金属膜等が適している。これにより、改質器300は、燃料電池400により水素純度の高い改質燃料を送出することができる。
【0058】
さらに、蒸発部320(触媒充填室310)は、その外部を断熱材360で被覆される。断熱材360は、改質燃料送出口330および分離膜部341、342の周囲も被覆する。
【0059】
さらに、改質器300は、蒸発部320に供給するための原燃料と酸素と水を常温で貯蔵する燃料貯蔵部350を備える。この燃料貯蔵部350は、蒸発部320の内圧より高い貯蔵圧において原燃料と酸素と水を貯蔵し、当該貯蔵圧により原燃料と酸素と水とを蒸発部320に供給する。この場合、蒸発部320は、燃料貯蔵部350の内圧に押し出された原燃料と酸素と水とを供給される。
【0060】
さらに、蒸発部320は、重力方向において下方から原燃料と水とを供給される。改質反応終了後、液化して蒸発部320の下部に落ちた原燃料と水とを再び気化して利用することができる。
【0061】
図6は、本発明の第3の実施形態の改質器300に含まれる蒸発部320および触媒充填室310の上面図、正面図および断面図である。図6(A)が上面図、図6(B)が正面図、図6(C)がC―Cの断面図、図6(D)がD−Dの断面図である。本実施形態の蒸発部320は、触媒充填室310内で部分酸化改質反応により発熱された熱が蒸発部320に伝達して、原燃料と水とを加熱して気化させるため、以下のような特徴を有する。
【0062】
蒸発部320は、良熱伝導性の隔壁を隔てて触媒充填室310と隣接している。ここで、良熱伝導性の素材の例としては、アルミニウムや銅等の金属や窒化アルミニウム等のセラミック等が挙げられる。また、蒸発部320が隔壁を隔てて触媒充填室310と隣接しているとは、蒸発部320と触媒充填室310とが共通の隔壁を有していることを意味している。
【0063】
さらに、蒸発部320は、その内部に触媒充填室310を内包している。ここで内包とは、図6に示すとおり、触媒充填室310の一部が蒸発部320の外側に出ていてもよい。
【0064】
上記の触媒充填室310と蒸発部320の構造をより詳細に説明する。触媒充填室310は、円筒状の第1隔壁311に囲まれる空間から形成され、蒸発部320は、第1隔壁311を外側から囲う円筒状の第2隔壁322と第1隔壁311とに囲まれる空間から形成される。
【0065】
また、第2隔壁322は、原燃料、水または酸素が第2隔壁322の内壁に沿って蒸発部320に流入する流入口324、325が設けられる。流入口324、325は、それぞれ第2隔壁322の内壁に沿って延在する管路に接続されてもよい。これにより、蒸発部320内で内壁に沿って対流が起こる。
【0066】
第2隔壁322に複数の流入口324、325が設けらる場合、第2隔壁322の内壁に沿って、隣接する流入口324、325間の距離が等間隔であることが望ましい。これにより、気化した原燃料等が混合する。流入口324、325は局所的に設けるより、等間隔で設けた方が対流の動きがよくなる。
【0067】
さらに、第1隔壁311の下段には、第1の改質燃料送出口331と第2の改質燃料送出口332とが設けられる。触媒充填室310において生成された改質燃料は、蒸発部320内で起こった対流によって、第1の改質燃料送出口331と第2の改質燃料送出口332とから送出される。
【0068】
図7は、本実施形態の燃料電池システム1000の動作手順を示すフローチャートである。この燃料電池システム1000の動作手順は、常温で貯蔵された原燃料と水とを供給する原燃料供給ステップ(ステップS301)を備える。ここで、原燃料供給ステップ(ステップS301)は、蒸発部320の内圧より高い圧力で貯蔵された原燃料と水とを、当該内圧で押し出して蒸発部320に供給する。
【0069】
また、この燃料電池システム1000の動作手順は、(ステップS301)において、蒸発部320に供給された原燃料と水とを加熱して気化させる蒸発ステップ(ステップS302)を備える。さらに、蒸発ステップ(ステップS302)において気化された原燃料と水とを、酸素とともに導入して原燃料を改質し、水素を少なくとも含む改質燃料を生成するオートサーマル改質ステップ(ステップS303)を備える。
【0070】
ここで、蒸発ステップ(ステップS302)は、オートサーマル改質ステップ(ステップS303)において部分酸化改質反応が開始した後、当該部分酸化改質反応により発熱された熱を用いて原燃料と水とを加熱して気化させることができる。
【0071】
さらに、オートサーマル改質ステップ(ステップS303)において部分酸化改質反応により発熱される熱量が、当該オートサーマル改質ステップ(ステップS303)において水蒸気改質反応により吸熱される熱量と、当該部分酸化改質反応が開始した後に蒸発ステップ蒸発ステップ(ステップS302)において必要とされる熱量と、の総和より大きければ、部分酸化改質反応が開始した後にヒータ部321による蒸発部320の加熱を停止することも可能である。
【0072】
さらに、この燃料電池システム1000の動作手順は、改質燃料から水素以外の成分を除去する除去ステップ(ステップS304)と、除去ステップ(ステップS304)において水素以外の成分を除去された改質燃料を燃料電池に送出する改質燃料送出ステップ(ステップS305)と、を備える。
【0073】
さらに、この燃料電池システム1000の動作手順は、改質燃料送出ステップ(ステップS305)において送出された水素を用いて発電する発電ステップ(ステップS306)を備える。
【0074】
なお、この燃料電池システム1000の動作手順も、原燃料供給を停止しない(ステップS307のNO)間は、部分酸化改質反応または水蒸気改質反応のいずれかが継続する。そして、原燃料供給を停止するとき(ステップS307のYES)、この燃料電池システム1000の動作手順は終了する。
【0075】
ここで、本実施形態の効果について説明する。本実施形態の改質器300は、部分酸化改質反応により発熱された熱を用いて蒸発部320を加熱するので、部分酸化改質反応により生じた熱により原燃料や水を気化することができる。これにより、ヒータ部321の消費エネルギー量が減少する。
【0076】
また、蒸発部320および触媒充填室310の内部温度を断熱材360で保持することができるので、蒸発部320および触媒充填室310に供給する熱量を減少させることができる。
【0077】
原燃料、水および空気を改質器300の内部に常温で貯蔵するので、改質器300の設置場所は利用者の任意とすることができる。
【0078】
また、蒸発部320の内圧より高い圧力で貯蔵された原燃料と水とを、当該内圧で押し出して蒸発部320に供給するので、ポンプ設備を必要としない。これにより、改質器300の小型化を図ることができる。
【0079】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0080】
例えば、本発明の実施形態において、原燃料はメタノールとしたが、炭化水素系の燃料であればいずれでもよい。例えば、原燃料はエタノールまたはジメチルエーテル等でもよい。
【0081】
また、第3の実施形態において、改質器300と燃料電池400とから構成される燃料電池システムについて説明したが、本発明の改質器の使用用途は燃料電池に限定されるものではない。
【0082】
さらに、本発明の実施形態において、原燃料と水と酸素は、原燃料貯蔵部等から供給されるように説明したが、これに限らなくてもよい。例えば、原燃料、水または酸素の少なくとも一つは蒸発部120(220、320)に予め封入されているものを利用してもよい。
【0083】
さらに、第3の実施形態の改質器300は、第2の実施形態において説明した制御部270と同様の制御が実行可能な制御部(図示せず)を備えてもよい。このとき、蒸発部320または触媒充填室310は、その内部温度を計測する温度計を有してもよい。
【0084】
なお、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一つの構成要素として形成されていること、一つの構成要素が複数の構成要素で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0085】
また、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各構成要素の機能などを具体的に説明したが、その機能などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
【符号の説明】
【0086】
100 改質器
110 触媒充填室
111 触媒温度計
112 断熱材
120 蒸発部
121 多孔質板
122 ステンレス球
123 ヒータ部
124 蒸発温度計
125 下段流入口
126 上段流入口
130 改質燃料送出口
200 改質器
210 触媒充填室
211 触媒温度計
212 断熱材
220 蒸発部
221 多孔質板
222 ステンレス球
223 ヒータ部
224 蒸発温度計
225 下段流入口
226 上段流入口
230 改質燃料送出口
240 原燃料貯蔵部
241 調節弁
250 水貯蔵部
251 調節弁
260 酸素貯蔵部
261 調節弁
270 制御部
300 改質器
310 触媒充填室
311 第1隔壁
320 蒸発部
321 ヒータ部
322 第2隔壁
324 流入口
325 流入口
330 改質燃料送出口
331 第1の改質燃料送出口
332 第2の改質燃料送出口
341 分離膜部
342 分離膜部
343 分離膜
344 分離膜
350 燃料貯蔵部
360 断熱材
400 燃料電池
1000 燃料電池システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素系の原燃料の部分酸化改質反応に用いられる第1触媒粒子と、前記第1触媒粒子とは異なる成分から成り前記原燃料の水蒸気改質反応に用いられる第2触媒粒子と、が互いに物理的に接触して充填された触媒充填室と、
前記原燃料と水とを加熱して気化させ、気化させた前記原燃料と前記水とを酸素とともに前記触媒充填室に導入する蒸発部と、
前記触媒充填室において前記部分酸化改質反応または前記水蒸気改質反応により生成された、水素を少なくとも含む改質燃料を送出する改質燃料送出口と、
を備えることを特徴とする改質器。
【請求項2】
請求項1に記載の改質器において、
前記第1触媒粒子と前記第2触媒粒子とが混合状態で前記触媒充填室に充填されていることを特徴とする改質器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の改質器において、
前記蒸発部は、前記触媒充填室内で前記部分酸化改質反応により発熱された熱が前記蒸発部に伝達して、前記原燃料と前記水とを加熱して気化させることを特徴とする改質器。
【請求項4】
請求項3に記載の改質器において、
前記蒸発部は、良熱伝導性の隔壁を隔てて前記触媒充填室と隣接していることを特徴する改質器。
【請求項5】
請求項4に記載の改質器において、
前記蒸発部は、その内部に前記触媒充填室を内包していることを特徴とする改質器。
【請求項6】
請求項5に記載の改質器において、
前記触媒充填室は、円筒状の第1隔壁に囲まれる空間から形成され、
前記蒸発部は、前記第1隔壁を外側から囲う円筒状の第2隔壁と前記第1隔壁とに囲まれる空間から形成されることを特徴とする改質器。
【請求項7】
請求項6に記載の改質器において、
前記第2隔壁は、前記原燃料、前記水または前記酸素が前記第2隔壁の内壁に沿って前記蒸発部に流入する流入口が設けられることを特徴とする改質器。
【請求項8】
請求項7に記載の改質器において、
前記第2隔壁は複数の前記流入口が設けられ、前記第2隔壁の内壁に沿って、隣接する前記流入口間の距離が等間隔であることを特徴とする改質器。
【請求項9】
請求項3乃至8のいずれかに記載の改質器において、
前記蒸発部の外部を被覆する断熱材をさらに有することを特徴とする改質器。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の改質器において、
前記蒸発部に供給するための前記原燃料と前記酸素と前記水をそれぞれ常温で貯蔵する燃料貯蔵部を備えることを特徴とする改質器。
【請求項11】
請求項10に記載の改質器において、
前記燃料貯蔵部は、前記蒸発部の内圧より高い貯蔵圧において前記原燃料と前記酸素と前記水を貯蔵し、前記貯蔵圧により前記原燃料と前記酸素と前記水とを前記蒸発部に供給することを特徴とする改質器。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の改質器において、
前記蒸発部は、重力方向において下方から前記原燃料と前記水とを供給されることを特徴とする改質器。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の改質器において、
前記第1触媒粒子は、アルミナを成分に含み、
前記第2触媒粒子は、銅、亜鉛、クロムまたはニッケルのうち少なくとも一種を成分に含むことを特徴とする改質器。
【請求項14】
請求項13に記載の改質器において、
前記第2触媒粒子は、さらに白金を成分に含むことを特徴とする改質器。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の改質器において、
前記蒸発部を加熱するヒータ部と、
前記ヒータ部に加熱されて前記蒸発部の内部温度が前記原燃料の気化温度以上の所定温度を超えるとき、前記ヒータ部による前記蒸発部への加熱を抑制する制御部と、
を備えることを特徴とする改質器。
【請求項16】
請求項15に記載の改質器において、
前記蒸発部に供給する前記原燃料、前記水および前記酸素の供給流量を調節する調節弁を備え、
前記制御部は前記調節弁による前記供給流量を制御して、
前記第1触媒粒子および第2触媒粒子の温度が部分酸化改質反応の安定作動温度以下であるとき、前記原燃料および前記酸素を前記蒸発部に供給させて、
前記第1触媒粒子および第2触媒粒子の温度が部分酸化改質反応の安定作動温度を超えているとき、前記原燃料、前記水および前記酸素を前記蒸発部に供給させること特徴とする改質器。
【請求項17】
炭化水素系の原燃料の部分酸化改質反応に用いられる第1触媒粒子と、前記第1触媒粒子とは異なる成分から成り前記原燃料の水蒸気改質反応に用いられる第2触媒粒子と、が互いに物理的に接触して充填される触媒充填室に、気化された前記原燃料と水とを、酸素とともに導入し、前記部分酸化改質反応により生じる熱を前記第1触媒粒子から前記第2触媒粒子に直接伝達して前記水蒸気改質反応を活性化し、前記原燃料を改質して水素を少なくとも含む改質燃料を生成するオートサーマル改質ステップと、
前記オートサーマル改質ステップにおいて生成された前記改質燃料を送出する改質燃料送出ステップと、
を備えることを特徴とする改質方法。
【請求項18】
請求項17に記載の改質方法において、
前記第1触媒粒子と前記第2触媒粒子とが混合状態で前記触媒充填室に充填されていることを特徴とする改質方法。
【請求項19】
請求項17または18に記載の改質方法において、
前記オートサーマル改質ステップにおいて前記部分酸化改質反応により発熱される熱量が、当該オートサーマル改質ステップにおいて前記水蒸気改質反応により吸熱される熱量より大きいことを特徴とする改質方法。
【請求項20】
請求項19に記載の改質方法において、
前記オートサーマル改質ステップにおいて前記部分酸化改質反応が開始した後、当該部分酸化改質反応により発熱された熱を用いて前記原燃料と前記水とを加熱して気化させる蒸発ステップを備え、
前記オートサーマル改質ステップは、前記蒸発ステップにおいて気化された前記原燃料と前記水とを用いることを特徴とする改質方法。
【請求項21】
請求項20に記載の改質方法において、
前記オートサーマル改質ステップにおいて部分酸化改質反応により発熱される熱量が、当該オートサーマル改質ステップにおいて水蒸気改質反応により吸熱される熱量と、当該部分酸化改質反応が開始した後に蒸発ステップにおいて必要とされる熱量と、の総和より大きいことを特徴とする改質方法。
【請求項22】
請求項17乃至21のいずれかに記載の改質方法において、
前記第1触媒粒子および第2触媒粒子の温度が前記部分酸化改質反応の安定作動温度以下であるとき、前記触媒充填室に前記原燃料および前記酸素を導入して、前記部分酸化改質反応により前記原燃料を改質して前記改質燃料を生成する部分酸化改質ステップを備えることを特徴とする改質方法。
【請求項23】
請求項22に記載の改質方法において、
前記オートサーマル改質ステップは、前記第1触媒粒子および第2触媒粒子の温度が部分酸化改質反応の安定作動温度を超えているとき、前記触媒充填室に前記原燃料、前記水および前記酸素を導入して、前記部分酸化改質反応および前記水蒸気改質反応により前記原燃料を改質して前記改質燃料を生成すること特徴とする改質方法。
【請求項24】
請求項17乃至23のいずれかに記載の改質方法において、
前記第1触媒粒子は、アルミナを成分に含み、
前記第2触媒粒子は、銅、亜鉛、クロムまたはニッケルのうち少なくとも一種の成分を含むことを特徴とする改質方法。
【請求項25】
請求項24に記載の改質器において、
前記第2触媒粒子は、さらに白金を成分に含み、
前記触媒充填室において、水性ガスシフト反応により改質燃料中の一酸化炭素および前記水から二酸化炭素と水素を生成することを特徴とする改質方法。
【請求項26】
炭化水素系の原燃料の部分酸化改質反応に用いられる第1触媒粒子と、前記第1触媒粒子とは異なる成分から成り前記原燃料の水蒸気改質反応に用いられる第2触媒粒子と、が互いに物理的に接触して充填された触媒充填室と、
前記原燃料と水とを加熱して気化させ、気化させた前記原燃料と前記水とを酸素とともに前記触媒充填室に導入する蒸発部と、
前記触媒充填室において前記部分酸化改質反応または前記水蒸気改質反応により生成された、水素を少なくとも含む改質燃料を送出する改質燃料送出口と、
を含む改質器と、
前記改質器から送出された前記改質燃料を燃料として発電する燃料電池と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−189217(P2010−189217A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34470(P2009−34470)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【出願人】(591001282)大同メタル工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】