改質器用断熱材の製造方法
【課題】薄肉化してもこれまでと同等以上の断熱性能が得られる改質器用断熱材を提供する。
【解決手段】改質器を包囲する断熱材において、フュームドシリカと無機繊維とを含む成形体からなることを特徴とする改質器用断熱材。
【解決手段】改質器を包囲する断熱材において、フュームドシリカと無機繊維とを含む成形体からなることを特徴とする改質器用断熱材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ガスやLPG等の炭化水素系燃料を水蒸気改質して水素リッチな改質ガスを製造する改質器を方位する断熱材に関し、特に固体高分子型燃料電池に用いる単管円筒式改質器用の断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
改質器は、都市ガスやLPG等の原料ガスを水蒸気改質して水素濃度の高い改質ガスを生成する装置であり、光ファイバーや半導体の製造過程や燃料電池等で使用する水素を製造するために、広く使用されている。
【0003】
改質器による水蒸気改質反応は吸熱反応であるため、反応を持続させるため加熱が必要で、通常バーナ等の燃焼装置を改質器に付設し、燃料電池からの余剰水素や改質原料ガスをバーナで燃焼させて加熱している。比較的小容量の水素を製造する改質器としては、例えば特許文献1に開示されているような単管円筒式改質器が知られている。この単管円筒式改質器は、2つの円筒間に触媒層を内蔵させた円筒容器の中心にバーナ等の加熱手段を設け、触媒層を加熱手段で加熱し触媒層に通した原料ガスを水蒸気により改質するように構成しており、その周囲を断熱材で覆われている。こういった断熱材としては、例えば、特許文献2に開示されているにグラスウールやセラミックス繊維ブランケットが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−11901号公報
【特許文献2】特開2006−213566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固体高分子型燃料電池を家庭や自動車等に用いる場合には、改質器を含む改質装置全体の小型軽量化が必須条件であり、改質器を覆う断熱材の小型化も望まれている。
【0006】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、薄肉化してもこれまでと同等以上の断熱性能が得られる改質器用断熱材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の改質器用断熱材を提供する。
(1)改質器を包囲する断熱材において、フュームドシリカと無機繊維とを含む成形体からなることを特徴とする改質器用断熱材。
(2)上記(1)において、無機繊維が熱の伝播方向と直交するように配向されることを特徴とする改質器用断熱材。
(3)上記(1)または(2)において、無機バインダーおよび有機バインダーが含まれないことを特徴とする改質器用断熱材。
(4)上記(1)〜(3)いずれかにおいて、乾式にて加圧成形されていることを特徴とする改質器用断熱材。
(5)上記(1)〜(4)いずれか1つにおいて、平均粒径1〜50μmである無機粉体をさらに含むことを特徴とする改質器用断熱材。
(6)上記(5)において、フュームドシリカが58〜87質量%、無機粉体が10〜30質量%、無機繊維が3〜12質量%含まれることを特徴とする改質器用断熱材。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、薄肉化しても十分な断熱性能が得られる改質器用断熱材が提供され、家庭用や自動車用の燃料電池の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】フュームドシリカ及びその二次粒子を示す模式図である。
【図2】回転混合装置を示す模式図である。
【図3】繊維配向方向における熱伝導率を示す図である。
【図4】本発明の改質器用断熱材を示す模式図である。
【図5】本発明の改質器用断熱材を円弧状に成形した例を示す模式図である。
【図6】円弧状に成形する際の加圧方向を示す模式図である。
【図7】本発明の改質器用断熱材を円筒状に成形する例を示す模式図である。
【図8】実施例1〜10の試験片の作製方法を説明する模式図である。
【図9】参考例1、4の試験片の作製方法を説明する模式図である。
【図10】実施例11の試験片の作製方法を説明する模式図である。
【図11】実施例12の試験片の作製方法を説明する模式図である。
【図12】参考例3の試験片の作製方法を説明する模式図である。
【図13】実施例10〜12、参考例3〜4の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
本発明に係る改質器用断熱材は、フュームドシリカと無機繊維とを含む成形体である。
【0012】
フュームドシリカとは、気相法により作られた平均粒径50nm以下のシリカ超微粉末をいい、図1に模式的に示すように、直径1〜50nmの微粒子1aで、常温(25℃)での熱伝導率(以下、同様)が0.01W/(m・K)程度の低熱伝導材料である。また、フュームドシリカは、非常に細かい微粒子であることから、分子間力等により会合して直径数十nm〜数μmの二次粒子10を形成するが、同図右側に拡大して示すように、リング内径が0.1μm以下の空間が多数形成される。このような空間は伝熱媒体となる空気の平均自由行程よりも小さいため、フュームドシリカを通じての伝熱を大幅になくすことができる。このようなフュームドシリカが無機繊維間の空隙に点在して、改質器用断熱材全体としての断熱性能を高める。
【0013】
無機繊維としては、シリカ−アルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維、アルカリケイ酸塩繊維等を用いることができる。中でも、低熱伝導性の、好ましくは熱伝導率0.1W/(m・K)以下、特に0.04W/(m・K)以下の無機繊維が好ましく、シリカ−アルミナ繊維やシリカ繊維等のシリカ系繊維を好適に使用できる。なお、これらの無機繊維は、複数種を併用してもよい。
【0014】
また、改質器用断熱材は、平均粒径1〜50μmである無機粉体をさらに含んでいてもよい。無機粉体は、波長1μm以上の光に対する比屈折率が1.25以上であることが好ましく、炭化珪素、ジルコニア、チタニア材質のいずれか、或いはこれらを適宜組み合わせて使用することができる。このような無機粉体を含ませることにより、改質器用断熱材に伝播する輻射エネルギーを低減させることができ、断熱性がさらに向上する。
【0015】
上記のフュームドシリカ、無機繊維、無機粉体の配合量は、断熱性能及び成形性を考慮すると、フュームドシリカが58〜87質量%、無機粉体が0〜30質量%、無機繊維が3〜13質量%、好ましくは、フュームドシリカが58〜87質量%、無機粉体が10〜30質量%、無機繊維が3〜13質量%、さらに好ましくは、フュームドシリカが70〜80質量%、無機粉体が15〜25質量%、無機繊維が3〜7質量%である。無機繊維が3質量%未満では、強度低下が認められ、無機繊維が13質量%を超えると粉体流動性を著しく低下させ、密度ムラによる成形性の著しい悪化が認められる。
【0016】
改質器用断熱材は、フュームドシリカ、無機繊維、無機粉体をそれぞれ上記配合量にて混合した成形材料を加圧成形することで得られる。このとき、乾式で混合し、しかも無機バインダー及び有機バインダーを用いることなく成形することが好ましい。バインダーにより形成される結着点は、固体熱伝導作用を増大させてしまい、断熱性を著しく低下させてしまうことが懸念される。また、混合に際し、ヘキサンやエタノールなどのアルコールといった揮発性の無極性溶媒を少量添加してもよい。
【0017】
また、フュームドシリカ、無機繊維、無機粉体に、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤を1〜2質量%添加することで混合がしやすくなり、成形材料の流動性が高まるため密度ムラもなくなる。尚、潤滑剤は成形後に加熱して、焼飛ばすことが好ましい。
【0018】
更に、無機繊維として、表面をフュームドシリカの二次粒子からなる多孔体で被覆したものを用いることができる。多孔体で被覆した無機繊維を用いた場合には、改質器用断熱材中で無機繊維同士が直接接触せず、固体伝導が起こらないため、より一層断熱性能に優れたものとなる。このようなフュームドシリカの多孔体で被覆した無機繊維を得るには、例えば、図2に示す回転混合装置30を用いる。この回転混合装置30は、チャンバ31の内部に、チャンバ31の内壁との間に微小隙間を形成する押圧部材32を備えており、無機繊維とフュームドシリカとの混合物33を入れ、回転させることにより、フュームドシリカが無機繊維の表面に押し込まれるように堆積する。
【0019】
ところで、図3に示すように、無機繊維集成体(ここではアルミナシリカブランケット)の熱伝導率は、繊維積層方向の熱伝導率(λy)と繊維配向方向の熱伝導率(λx)とでは異なり、繊維配向方向の熱伝導率(λx)は繊維積層方向の熱伝導率(λy)よりも大きくなる。これは、無機繊維に伝播した熱が繊維配向方向に伝えられるので、熱の伝播方向と同じ繊維積層方向には熱が伝わりにくくなり、断熱性が向上すると思われる。
【0020】
そのため、図4に示すように、改質器用断熱材において、無機繊維は熱の伝播方向と直交するように配向されていることが好ましい。尚、図中の符号20はフュームドシリカ、21は無機繊維、22は無機粉体である。ここで、「直交」とは、熱の伝播方向(0°)に対して厳密に90°である必要はなく、無機繊維の長さ方向が熱の伝播方向に対して30〜150°、好ましくは45〜135°、さらに好ましくは60〜120°となるように配置されていればよい。また、全ての無機繊維が熱の伝播方向に対して直交している必要はなく、全無機繊維の50%以上、好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上の無機繊維が直交していればよい。
【0021】
このような配向状態を得るには、加圧方向と直交する方向に配向しやすい無機繊維を用いればよく、平均繊維長が好ましくは1〜7mm、より好ましくは2〜6mm、さらに好ましくは3〜5mmの無機繊維を用いる。平均繊維長が1mm未満であると配向し難く、平均繊維長が7mmを超えると成形時の流動性を著しく悪化させ、成形性が悪くなると共に密度ムラによる機械的強度の低下を招くおそれがある。特に、平均繊維径が15μmを超えると、繊維が折れやすくなり、強度低下が顕著になる。また、無機繊維の平均繊維径は15μm以下が好ましく、より好ましくは12μm以下、更に好ましくは10μm以下である。
【0022】
また、フュームドシリカは、上記のように非常に微細な粒子であり、付着性が高いため、粉体流動性が非常に悪く、無機繊維や無機粉体と混合して成形する際に密度ムラを起こしやすい。しかし、上記のような平均繊維長の無機繊維を用いることにより、このような密度ムラを抑えることもできる。
【0023】
改質器用断熱材の形状は、板材やブロックの他、改質器の外形にあわせて例えば図5に示すようには円弧状とすることもできる。このような円弧状の改質器用断熱材100とするには、フュームドシリカと無機繊維とを含む材料を加圧成形して得られた板材またはブロックから円弧状に切り出せばよい。このとき、無機繊維21は、改質器の外周面と同心円状に配向していることが好ましいが、図示されるように、元の板材やブロックにおける配向の通りとなるため(図の例では水平方向)、円弧長を短くするなどして、改質器の外周面と平行に配向する無機繊維21の数を増すことが好ましい。具体的には、改質器の中心から放射状に延びる線に対して0〜60°の範囲で交差する無機繊維が、全無機繊維の50%以上、好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上となるように調整する。
【0024】
また、図6に示すように、円弧状の成形型を用いて加圧成形することもできる、即ち、フュームドシリカ、無機繊維、無機粉体を混合してなる成形材料を円弧状の成形型に充填し、(A)に示すように円弧の内径面側から、あるいは(B)に示すように円弧の外径面側から加圧することにより、円弧状の改質器用断熱材が得られる。この方法によれば、無機繊維が加圧方向と直交するように配向され、改質器の外周面と平行に配向された無機繊維の割合が多くなる。また、この方法によれば、板材やブロックから切り出す場合に比べて原料の無駄が無く、製造工程も簡略化できる。
【0025】
これら円弧状の改質器用断熱材は、複数個を連結して円筒状とし、改質器の周囲に配置される。
【0026】
また、図7に示すように、円筒状に成形することもできる。その際、加圧方法は、中心に円筒状の中子を配し、外周方向から中心に向けて均一に加圧してもよく、図示されるように、円筒状の外枠の中心に、円筒状で外方に拡径するような冶具を配し、冶具を拡径して成形することもできる。
【0027】
尚、上記の加圧成形に際し、成形型には、加圧成形時に成形体内部の空気を吸引脱気できるよう脱気孔を設けてもよい。脱気孔は、成形型の上下面に直径3mm〜5mmの孔をピッチ10〜20mmで設ければよい。また、脱気孔を通じて吸引脱気するためには、例えば成形下型の下部に吸引チャンバーを設け、真空ポンプ等で強制吸引すればよい。
【0028】
改質器用断熱材のかさ密度は、190〜310kg/m3であることが好ましく、230〜280kg/m3であることがより好ましい。かさ密度をこの範囲とすることにより、断熱性能及び機械的強度に優れるようになる。具体的には、600℃における熱伝導率が0.04W/(m・K)以下、好ましくは0.03W/(m・K)以下の優れた断熱性能を示す。さらに、曲げ強度は0.1MPa以上であり、切断等の加工も可能になる。
【0029】
また、改質器用断熱材は、ガラスクロス等の表面材や、無機質のコーティング層で覆われていてもよい。それにより、改質器用断熱材からの発塵や、改質器用断熱材の割れや欠けを防ぐことができる。
【実施例】
【0030】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0031】
(実施例1)
平均1次粒子径が約7nmで、熱伝導率(25℃)が0.01W/(m・K)のフュームドシリカ(日本アエロジル製、製品名AEROSIL300)77質量%と、平均粒子径3μmの炭化珪素(山本染料化学品(株)製、製品名G14)20質量%と、耐熱グラスファイバー(サカイ産業(株)製、製品名S2、平均繊維径10μm)の平均繊維長5mm品3質量%とを、図2に示す回転混合装置30に投入し、チャンバ31と押圧部材32との微小隙間2000μmに設定し、回転速度1000/minにて30秒間を連続回転させた。得られた成形用材料をプレス形成して一辺が150mmで、厚さ50mmの板状成形品を得た。また、同一の成形用材料を、図6(A)に示すように内径面側を加圧して成形し、内径170mm、外径210mm、高さ100mmの円筒の1/3円筒成形品を得た。プレス圧は、何れも1.0MPaとした。そして、板状成形品から、図8に示すように、加圧方向に沿って直径50mm、厚さ20mmの円盤状の試験片を切り出し、かさ密度及び曲げ強度を測定した。尚、かさ密度は、板状成形品の数箇所を切り出して測定し、そのバラツキも求めた。また、1/3円筒成形品を用いて、その厚さ方向の熱伝導率を周期加熱法にて測定した。更に、かさ密度、曲げ強度及び熱伝導率のバランスを考慮して、以下の評価基準に基づいて総合的な評価をした。結果を表1に示す。
◎:実用に好適に使用できる
〇:実用上に問題なく使用できる
△:実用上多少問題があるが使用できる
×:実用上利用できない
【0032】
(実施例2)
成形用原料をフュームドシリカ75質量%、炭化珪素20質量%、耐熱グラスファイバー5質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で成形品を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0033】
(実施例3)
成形用原料をフュームドシリカ68質量%、炭化珪素20質量%、耐熱グラスファイバー12質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で成形品を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0034】
(実施例4)
成形用原料をフュームドシリカ75質量%、炭化珪素20質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長0.5mm品5質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で断熱材を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0035】
(実施例5)
成形用原料をフュームドシリカ微粒子75質量%、炭化珪素20質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長1mm品5質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で断熱材を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0036】
(実施例6)
成形用原料をフュームドシリカ75質量%、炭化珪素20質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長7mm品5質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で断熱材を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0037】
(実施例7)
成形用原料をフュームドシリカ75質量%、炭化珪素20質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長9mm品5質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で断熱材を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0038】
(実施例8)
成形用原料をフュームドシリカ85質量%、炭化珪素10質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長5mm品5質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で断熱材を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0039】
(実施例9)
成形用原料をフュームドシリカ65質量%、炭化珪素30質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長5mm品5質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で断熱材を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0040】
(比較例1)
けい酸カルシウム保温材「ケイカルエース・スーパーシリカ」(ニチアス株式会社製)から実施例1と同様の大きさの板状成形品および1/3円筒成形品を切り出した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】
(比較例2)
耐熱グラスファイバーを配合することなく、フュームドシリカ80質量%と炭化珪素20質量%とから実施例1と同様の方法、条件で断熱材の成形を試みたが、成形ができなかった。
【0042】
(参考例1)
フュームドシリカ85質量%、炭化珪素10質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長5mm品5質量%を図2に示す回転混合装置30に投入し、チャンバ31と押圧部材32との微小隙間2000μmに設定し、回転速度1000/minにて30秒間を連続回転させた。得られた成形材料をプレス形成して一辺が150mmで、厚さ50mmの板状成形品を得た。そして、図9に示すように、板状成形品から、加圧方向と直交する方向に沿って直径50mm、厚さ20mmの円盤状の試験片を切り出し、かさ密度及び曲げ強度を測定した。また、円弧状の成形型を用い、その高さ方向に沿って(図6(A)または図6(B)における加圧方向とは直交する方向)加圧して内径170mm、外径210mm、高さ100mmの円筒の1/3円筒成形品を作製し、その厚さ方向の熱伝導率を周期加熱法にて測定した。結果を表1に示す。
【0043】
(参考例2)
フュームドシリカ68質量%、炭化珪素20質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長5mm品12質量%とし、参考例1と同様の成形方法、条件で断熱材を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例1〜9と、比較例1〜2及び参考例1〜2との比較から、フュームドシリカと耐熱グラスファイバーとをバインダーを用いることなく乾式で混合し、加圧成形してなる成形体を、熱源に対して耐熱グラスファイバーが直交するように配向させて配設することにより、優れた断熱性が得られることがわかる。
【0046】
また、無機繊維の熱源との配向角度を検証するために、下記の試験を行った。
【0047】
(実施例10)
実施例2で用いた成形用材料をプレス成形により一辺が150mm、厚さ20mm、かさ密度230kg/m3または280kg/m3の成形体を作製し、更に図8に示すように、加圧方向と同一方向に、直径60mmで厚さ10mmの試験片を切り出した。そして、試験片の厚さ方向の熱伝導率を周期加熱法にて測定した。結果を表2及び図13に示す。
【0048】
(実施例11)
実施例10と同様にして成形体を作製し、更に図10に示すように、加圧方向に対して45°になるように実施例10と同一形状の試験片を切り出し、厚さ方向の熱伝導率を周期加熱法にて測定した。結果を表2及び図13に示す。
【0049】
(実施例12)
実施例10と同様にして成形体を作製し、更に図11に示すように、加圧方向に対して60°になるように実施例10と同一形状の試験片を切り出し、厚さ方向の熱伝導率を周期加熱法にて測定した。結果を表2及び図13に示す。
【0050】
(参考例3)
実施例10と同様にして成形体を作製し、更に図12に示すように、加圧方向に対して75°になるように実施例10と同一形状の試験片を切り出し、厚さ方向の熱伝導率を周期加熱法にて測定した。結果を表2及び図13に示す。
【0051】
(参考例4)
実施例10と同様にして成形体を作製し、更に図9に示すように、加圧方向に対して90°になるように実施例10と同一形状の試験片を切り出し、厚さ方向の熱伝導率を周期加熱法にて測定した。結果を表2及び図13に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
実施例10〜12及び参考例3〜4から、熱伝導率は、耐熱グラスファイバーと熱源との交差角度が平行、45°傾斜、60°傾斜、75°傾斜、垂直となるの順で大きくなることがわかる。
【符号の説明】
【0054】
1a フュームドシリカの一次粒子
10 フュームドシリカの二次粒子
20 フュームドシリカ
21 無機繊維
22 無機粉体
30 回転混合装置
31 チャンバ
32 押圧部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ガスやLPG等の炭化水素系燃料を水蒸気改質して水素リッチな改質ガスを製造する改質器を方位する断熱材に関し、特に固体高分子型燃料電池に用いる単管円筒式改質器用の断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
改質器は、都市ガスやLPG等の原料ガスを水蒸気改質して水素濃度の高い改質ガスを生成する装置であり、光ファイバーや半導体の製造過程や燃料電池等で使用する水素を製造するために、広く使用されている。
【0003】
改質器による水蒸気改質反応は吸熱反応であるため、反応を持続させるため加熱が必要で、通常バーナ等の燃焼装置を改質器に付設し、燃料電池からの余剰水素や改質原料ガスをバーナで燃焼させて加熱している。比較的小容量の水素を製造する改質器としては、例えば特許文献1に開示されているような単管円筒式改質器が知られている。この単管円筒式改質器は、2つの円筒間に触媒層を内蔵させた円筒容器の中心にバーナ等の加熱手段を設け、触媒層を加熱手段で加熱し触媒層に通した原料ガスを水蒸気により改質するように構成しており、その周囲を断熱材で覆われている。こういった断熱材としては、例えば、特許文献2に開示されているにグラスウールやセラミックス繊維ブランケットが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−11901号公報
【特許文献2】特開2006−213566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固体高分子型燃料電池を家庭や自動車等に用いる場合には、改質器を含む改質装置全体の小型軽量化が必須条件であり、改質器を覆う断熱材の小型化も望まれている。
【0006】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、薄肉化してもこれまでと同等以上の断熱性能が得られる改質器用断熱材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の改質器用断熱材を提供する。
(1)改質器を包囲する断熱材において、フュームドシリカと無機繊維とを含む成形体からなることを特徴とする改質器用断熱材。
(2)上記(1)において、無機繊維が熱の伝播方向と直交するように配向されることを特徴とする改質器用断熱材。
(3)上記(1)または(2)において、無機バインダーおよび有機バインダーが含まれないことを特徴とする改質器用断熱材。
(4)上記(1)〜(3)いずれかにおいて、乾式にて加圧成形されていることを特徴とする改質器用断熱材。
(5)上記(1)〜(4)いずれか1つにおいて、平均粒径1〜50μmである無機粉体をさらに含むことを特徴とする改質器用断熱材。
(6)上記(5)において、フュームドシリカが58〜87質量%、無機粉体が10〜30質量%、無機繊維が3〜12質量%含まれることを特徴とする改質器用断熱材。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、薄肉化しても十分な断熱性能が得られる改質器用断熱材が提供され、家庭用や自動車用の燃料電池の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】フュームドシリカ及びその二次粒子を示す模式図である。
【図2】回転混合装置を示す模式図である。
【図3】繊維配向方向における熱伝導率を示す図である。
【図4】本発明の改質器用断熱材を示す模式図である。
【図5】本発明の改質器用断熱材を円弧状に成形した例を示す模式図である。
【図6】円弧状に成形する際の加圧方向を示す模式図である。
【図7】本発明の改質器用断熱材を円筒状に成形する例を示す模式図である。
【図8】実施例1〜10の試験片の作製方法を説明する模式図である。
【図9】参考例1、4の試験片の作製方法を説明する模式図である。
【図10】実施例11の試験片の作製方法を説明する模式図である。
【図11】実施例12の試験片の作製方法を説明する模式図である。
【図12】参考例3の試験片の作製方法を説明する模式図である。
【図13】実施例10〜12、参考例3〜4の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
本発明に係る改質器用断熱材は、フュームドシリカと無機繊維とを含む成形体である。
【0012】
フュームドシリカとは、気相法により作られた平均粒径50nm以下のシリカ超微粉末をいい、図1に模式的に示すように、直径1〜50nmの微粒子1aで、常温(25℃)での熱伝導率(以下、同様)が0.01W/(m・K)程度の低熱伝導材料である。また、フュームドシリカは、非常に細かい微粒子であることから、分子間力等により会合して直径数十nm〜数μmの二次粒子10を形成するが、同図右側に拡大して示すように、リング内径が0.1μm以下の空間が多数形成される。このような空間は伝熱媒体となる空気の平均自由行程よりも小さいため、フュームドシリカを通じての伝熱を大幅になくすことができる。このようなフュームドシリカが無機繊維間の空隙に点在して、改質器用断熱材全体としての断熱性能を高める。
【0013】
無機繊維としては、シリカ−アルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維、アルカリケイ酸塩繊維等を用いることができる。中でも、低熱伝導性の、好ましくは熱伝導率0.1W/(m・K)以下、特に0.04W/(m・K)以下の無機繊維が好ましく、シリカ−アルミナ繊維やシリカ繊維等のシリカ系繊維を好適に使用できる。なお、これらの無機繊維は、複数種を併用してもよい。
【0014】
また、改質器用断熱材は、平均粒径1〜50μmである無機粉体をさらに含んでいてもよい。無機粉体は、波長1μm以上の光に対する比屈折率が1.25以上であることが好ましく、炭化珪素、ジルコニア、チタニア材質のいずれか、或いはこれらを適宜組み合わせて使用することができる。このような無機粉体を含ませることにより、改質器用断熱材に伝播する輻射エネルギーを低減させることができ、断熱性がさらに向上する。
【0015】
上記のフュームドシリカ、無機繊維、無機粉体の配合量は、断熱性能及び成形性を考慮すると、フュームドシリカが58〜87質量%、無機粉体が0〜30質量%、無機繊維が3〜13質量%、好ましくは、フュームドシリカが58〜87質量%、無機粉体が10〜30質量%、無機繊維が3〜13質量%、さらに好ましくは、フュームドシリカが70〜80質量%、無機粉体が15〜25質量%、無機繊維が3〜7質量%である。無機繊維が3質量%未満では、強度低下が認められ、無機繊維が13質量%を超えると粉体流動性を著しく低下させ、密度ムラによる成形性の著しい悪化が認められる。
【0016】
改質器用断熱材は、フュームドシリカ、無機繊維、無機粉体をそれぞれ上記配合量にて混合した成形材料を加圧成形することで得られる。このとき、乾式で混合し、しかも無機バインダー及び有機バインダーを用いることなく成形することが好ましい。バインダーにより形成される結着点は、固体熱伝導作用を増大させてしまい、断熱性を著しく低下させてしまうことが懸念される。また、混合に際し、ヘキサンやエタノールなどのアルコールといった揮発性の無極性溶媒を少量添加してもよい。
【0017】
また、フュームドシリカ、無機繊維、無機粉体に、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤を1〜2質量%添加することで混合がしやすくなり、成形材料の流動性が高まるため密度ムラもなくなる。尚、潤滑剤は成形後に加熱して、焼飛ばすことが好ましい。
【0018】
更に、無機繊維として、表面をフュームドシリカの二次粒子からなる多孔体で被覆したものを用いることができる。多孔体で被覆した無機繊維を用いた場合には、改質器用断熱材中で無機繊維同士が直接接触せず、固体伝導が起こらないため、より一層断熱性能に優れたものとなる。このようなフュームドシリカの多孔体で被覆した無機繊維を得るには、例えば、図2に示す回転混合装置30を用いる。この回転混合装置30は、チャンバ31の内部に、チャンバ31の内壁との間に微小隙間を形成する押圧部材32を備えており、無機繊維とフュームドシリカとの混合物33を入れ、回転させることにより、フュームドシリカが無機繊維の表面に押し込まれるように堆積する。
【0019】
ところで、図3に示すように、無機繊維集成体(ここではアルミナシリカブランケット)の熱伝導率は、繊維積層方向の熱伝導率(λy)と繊維配向方向の熱伝導率(λx)とでは異なり、繊維配向方向の熱伝導率(λx)は繊維積層方向の熱伝導率(λy)よりも大きくなる。これは、無機繊維に伝播した熱が繊維配向方向に伝えられるので、熱の伝播方向と同じ繊維積層方向には熱が伝わりにくくなり、断熱性が向上すると思われる。
【0020】
そのため、図4に示すように、改質器用断熱材において、無機繊維は熱の伝播方向と直交するように配向されていることが好ましい。尚、図中の符号20はフュームドシリカ、21は無機繊維、22は無機粉体である。ここで、「直交」とは、熱の伝播方向(0°)に対して厳密に90°である必要はなく、無機繊維の長さ方向が熱の伝播方向に対して30〜150°、好ましくは45〜135°、さらに好ましくは60〜120°となるように配置されていればよい。また、全ての無機繊維が熱の伝播方向に対して直交している必要はなく、全無機繊維の50%以上、好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上の無機繊維が直交していればよい。
【0021】
このような配向状態を得るには、加圧方向と直交する方向に配向しやすい無機繊維を用いればよく、平均繊維長が好ましくは1〜7mm、より好ましくは2〜6mm、さらに好ましくは3〜5mmの無機繊維を用いる。平均繊維長が1mm未満であると配向し難く、平均繊維長が7mmを超えると成形時の流動性を著しく悪化させ、成形性が悪くなると共に密度ムラによる機械的強度の低下を招くおそれがある。特に、平均繊維径が15μmを超えると、繊維が折れやすくなり、強度低下が顕著になる。また、無機繊維の平均繊維径は15μm以下が好ましく、より好ましくは12μm以下、更に好ましくは10μm以下である。
【0022】
また、フュームドシリカは、上記のように非常に微細な粒子であり、付着性が高いため、粉体流動性が非常に悪く、無機繊維や無機粉体と混合して成形する際に密度ムラを起こしやすい。しかし、上記のような平均繊維長の無機繊維を用いることにより、このような密度ムラを抑えることもできる。
【0023】
改質器用断熱材の形状は、板材やブロックの他、改質器の外形にあわせて例えば図5に示すようには円弧状とすることもできる。このような円弧状の改質器用断熱材100とするには、フュームドシリカと無機繊維とを含む材料を加圧成形して得られた板材またはブロックから円弧状に切り出せばよい。このとき、無機繊維21は、改質器の外周面と同心円状に配向していることが好ましいが、図示されるように、元の板材やブロックにおける配向の通りとなるため(図の例では水平方向)、円弧長を短くするなどして、改質器の外周面と平行に配向する無機繊維21の数を増すことが好ましい。具体的には、改質器の中心から放射状に延びる線に対して0〜60°の範囲で交差する無機繊維が、全無機繊維の50%以上、好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上となるように調整する。
【0024】
また、図6に示すように、円弧状の成形型を用いて加圧成形することもできる、即ち、フュームドシリカ、無機繊維、無機粉体を混合してなる成形材料を円弧状の成形型に充填し、(A)に示すように円弧の内径面側から、あるいは(B)に示すように円弧の外径面側から加圧することにより、円弧状の改質器用断熱材が得られる。この方法によれば、無機繊維が加圧方向と直交するように配向され、改質器の外周面と平行に配向された無機繊維の割合が多くなる。また、この方法によれば、板材やブロックから切り出す場合に比べて原料の無駄が無く、製造工程も簡略化できる。
【0025】
これら円弧状の改質器用断熱材は、複数個を連結して円筒状とし、改質器の周囲に配置される。
【0026】
また、図7に示すように、円筒状に成形することもできる。その際、加圧方法は、中心に円筒状の中子を配し、外周方向から中心に向けて均一に加圧してもよく、図示されるように、円筒状の外枠の中心に、円筒状で外方に拡径するような冶具を配し、冶具を拡径して成形することもできる。
【0027】
尚、上記の加圧成形に際し、成形型には、加圧成形時に成形体内部の空気を吸引脱気できるよう脱気孔を設けてもよい。脱気孔は、成形型の上下面に直径3mm〜5mmの孔をピッチ10〜20mmで設ければよい。また、脱気孔を通じて吸引脱気するためには、例えば成形下型の下部に吸引チャンバーを設け、真空ポンプ等で強制吸引すればよい。
【0028】
改質器用断熱材のかさ密度は、190〜310kg/m3であることが好ましく、230〜280kg/m3であることがより好ましい。かさ密度をこの範囲とすることにより、断熱性能及び機械的強度に優れるようになる。具体的には、600℃における熱伝導率が0.04W/(m・K)以下、好ましくは0.03W/(m・K)以下の優れた断熱性能を示す。さらに、曲げ強度は0.1MPa以上であり、切断等の加工も可能になる。
【0029】
また、改質器用断熱材は、ガラスクロス等の表面材や、無機質のコーティング層で覆われていてもよい。それにより、改質器用断熱材からの発塵や、改質器用断熱材の割れや欠けを防ぐことができる。
【実施例】
【0030】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0031】
(実施例1)
平均1次粒子径が約7nmで、熱伝導率(25℃)が0.01W/(m・K)のフュームドシリカ(日本アエロジル製、製品名AEROSIL300)77質量%と、平均粒子径3μmの炭化珪素(山本染料化学品(株)製、製品名G14)20質量%と、耐熱グラスファイバー(サカイ産業(株)製、製品名S2、平均繊維径10μm)の平均繊維長5mm品3質量%とを、図2に示す回転混合装置30に投入し、チャンバ31と押圧部材32との微小隙間2000μmに設定し、回転速度1000/minにて30秒間を連続回転させた。得られた成形用材料をプレス形成して一辺が150mmで、厚さ50mmの板状成形品を得た。また、同一の成形用材料を、図6(A)に示すように内径面側を加圧して成形し、内径170mm、外径210mm、高さ100mmの円筒の1/3円筒成形品を得た。プレス圧は、何れも1.0MPaとした。そして、板状成形品から、図8に示すように、加圧方向に沿って直径50mm、厚さ20mmの円盤状の試験片を切り出し、かさ密度及び曲げ強度を測定した。尚、かさ密度は、板状成形品の数箇所を切り出して測定し、そのバラツキも求めた。また、1/3円筒成形品を用いて、その厚さ方向の熱伝導率を周期加熱法にて測定した。更に、かさ密度、曲げ強度及び熱伝導率のバランスを考慮して、以下の評価基準に基づいて総合的な評価をした。結果を表1に示す。
◎:実用に好適に使用できる
〇:実用上に問題なく使用できる
△:実用上多少問題があるが使用できる
×:実用上利用できない
【0032】
(実施例2)
成形用原料をフュームドシリカ75質量%、炭化珪素20質量%、耐熱グラスファイバー5質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で成形品を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0033】
(実施例3)
成形用原料をフュームドシリカ68質量%、炭化珪素20質量%、耐熱グラスファイバー12質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で成形品を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0034】
(実施例4)
成形用原料をフュームドシリカ75質量%、炭化珪素20質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長0.5mm品5質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で断熱材を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0035】
(実施例5)
成形用原料をフュームドシリカ微粒子75質量%、炭化珪素20質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長1mm品5質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で断熱材を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0036】
(実施例6)
成形用原料をフュームドシリカ75質量%、炭化珪素20質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長7mm品5質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で断熱材を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0037】
(実施例7)
成形用原料をフュームドシリカ75質量%、炭化珪素20質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長9mm品5質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で断熱材を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0038】
(実施例8)
成形用原料をフュームドシリカ85質量%、炭化珪素10質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長5mm品5質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で断熱材を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0039】
(実施例9)
成形用原料をフュームドシリカ65質量%、炭化珪素30質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長5mm品5質量%とした以外は実施例1と同様の方法、条件で断熱材を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0040】
(比較例1)
けい酸カルシウム保温材「ケイカルエース・スーパーシリカ」(ニチアス株式会社製)から実施例1と同様の大きさの板状成形品および1/3円筒成形品を切り出した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】
(比較例2)
耐熱グラスファイバーを配合することなく、フュームドシリカ80質量%と炭化珪素20質量%とから実施例1と同様の方法、条件で断熱材の成形を試みたが、成形ができなかった。
【0042】
(参考例1)
フュームドシリカ85質量%、炭化珪素10質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長5mm品5質量%を図2に示す回転混合装置30に投入し、チャンバ31と押圧部材32との微小隙間2000μmに設定し、回転速度1000/minにて30秒間を連続回転させた。得られた成形材料をプレス形成して一辺が150mmで、厚さ50mmの板状成形品を得た。そして、図9に示すように、板状成形品から、加圧方向と直交する方向に沿って直径50mm、厚さ20mmの円盤状の試験片を切り出し、かさ密度及び曲げ強度を測定した。また、円弧状の成形型を用い、その高さ方向に沿って(図6(A)または図6(B)における加圧方向とは直交する方向)加圧して内径170mm、外径210mm、高さ100mmの円筒の1/3円筒成形品を作製し、その厚さ方向の熱伝導率を周期加熱法にて測定した。結果を表1に示す。
【0043】
(参考例2)
フュームドシリカ68質量%、炭化珪素20質量%、耐熱グラスファイバーの平均繊維長5mm品12質量%とし、参考例1と同様の成形方法、条件で断熱材を作製した。そして、同様の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例1〜9と、比較例1〜2及び参考例1〜2との比較から、フュームドシリカと耐熱グラスファイバーとをバインダーを用いることなく乾式で混合し、加圧成形してなる成形体を、熱源に対して耐熱グラスファイバーが直交するように配向させて配設することにより、優れた断熱性が得られることがわかる。
【0046】
また、無機繊維の熱源との配向角度を検証するために、下記の試験を行った。
【0047】
(実施例10)
実施例2で用いた成形用材料をプレス成形により一辺が150mm、厚さ20mm、かさ密度230kg/m3または280kg/m3の成形体を作製し、更に図8に示すように、加圧方向と同一方向に、直径60mmで厚さ10mmの試験片を切り出した。そして、試験片の厚さ方向の熱伝導率を周期加熱法にて測定した。結果を表2及び図13に示す。
【0048】
(実施例11)
実施例10と同様にして成形体を作製し、更に図10に示すように、加圧方向に対して45°になるように実施例10と同一形状の試験片を切り出し、厚さ方向の熱伝導率を周期加熱法にて測定した。結果を表2及び図13に示す。
【0049】
(実施例12)
実施例10と同様にして成形体を作製し、更に図11に示すように、加圧方向に対して60°になるように実施例10と同一形状の試験片を切り出し、厚さ方向の熱伝導率を周期加熱法にて測定した。結果を表2及び図13に示す。
【0050】
(参考例3)
実施例10と同様にして成形体を作製し、更に図12に示すように、加圧方向に対して75°になるように実施例10と同一形状の試験片を切り出し、厚さ方向の熱伝導率を周期加熱法にて測定した。結果を表2及び図13に示す。
【0051】
(参考例4)
実施例10と同様にして成形体を作製し、更に図9に示すように、加圧方向に対して90°になるように実施例10と同一形状の試験片を切り出し、厚さ方向の熱伝導率を周期加熱法にて測定した。結果を表2及び図13に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
実施例10〜12及び参考例3〜4から、熱伝導率は、耐熱グラスファイバーと熱源との交差角度が平行、45°傾斜、60°傾斜、75°傾斜、垂直となるの順で大きくなることがわかる。
【符号の説明】
【0054】
1a フュームドシリカの一次粒子
10 フュームドシリカの二次粒子
20 フュームドシリカ
21 無機繊維
22 無機粉体
30 回転混合装置
31 チャンバ
32 押圧部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改質器を包囲する断熱材において、フュームドシリカと無機繊維とを含む成形体からなることを特徴とする改質器用断熱材。
【請求項2】
請求項1に記載の改質器用断熱材において、無機繊維が熱の伝播方向と直交するように配向されることを特徴とする改質器用断熱材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の改質器用断熱材において、無機バインダーおよび有機バインダーが含まれないことを特徴とする改質器用断熱材。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1つに記載の改質器用断熱材において、乾式にて加圧成形されていることを特徴とする改質器用断熱材。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1つに記載の改質器用断熱材において、平均粒径1〜50μmである無機粉体をさらに含むことを特徴とする改質器用断熱材。
【請求項6】
請求項5に記載の改質器用断熱材において、フュームドシリカが58〜87質量%、無機粉体が10〜30質量%、無機繊維が3〜12質量%含まれることを特徴とする改質器用断熱材。
【請求項1】
改質器を包囲する断熱材において、フュームドシリカと無機繊維とを含む成形体からなることを特徴とする改質器用断熱材。
【請求項2】
請求項1に記載の改質器用断熱材において、無機繊維が熱の伝播方向と直交するように配向されることを特徴とする改質器用断熱材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の改質器用断熱材において、無機バインダーおよび有機バインダーが含まれないことを特徴とする改質器用断熱材。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1つに記載の改質器用断熱材において、乾式にて加圧成形されていることを特徴とする改質器用断熱材。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1つに記載の改質器用断熱材において、平均粒径1〜50μmである無機粉体をさらに含むことを特徴とする改質器用断熱材。
【請求項6】
請求項5に記載の改質器用断熱材において、フュームドシリカが58〜87質量%、無機粉体が10〜30質量%、無機繊維が3〜12質量%含まれることを特徴とする改質器用断熱材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−148969(P2012−148969A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−34214(P2012−34214)
【出願日】平成24年2月20日(2012.2.20)
【分割の表示】特願2006−355038(P2006−355038)の分割
【原出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000110804)ニチアス株式会社 (432)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月20日(2012.2.20)
【分割の表示】特願2006−355038(P2006−355038)の分割
【原出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000110804)ニチアス株式会社 (432)
【Fターム(参考)】
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