放出可能な生物活性薬剤を含む移植用複合材および組成物
本明細書において、移植用フィルムベース複合材、移植用弾性バンド複合材、移植用可撓性本体複合材、移植用吸引カップ複合材、ターポリマー組成物、スプレーコーティング組成物、複合材および組成物を使用するための方法、ならびに複合材および組成物を備える移植デバイスを開示する。一態様において、使用場所での適用が開示され、生物活性薬剤は、使用時点に近い時点で医療デバイスに適用され、これにより、最終移植デバイスの品質または有効性が過度に影響を受けないように、生物活性薬剤および移植デバイスの個別でより迅速な開発が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それぞれ2008年12月23日に出願された先の米国特許仮出願第61/140,417号、第61/140,449号、第61/140,468号、第61/140,476号、第61/140,486号、第61/140,492号に基づき、その優先権の利益を主張し、当該仮出願それぞれの全体の内容は、それぞれ参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
従来より、医学分野において、ある特定の障害および状態は、医療移植片を必要とする。医療移植片は、多くの場合、損傷した生物組織または流体を置換する、生物学的プロセスを増強または向上させる、手術部位の治癒を向上させる、対象内の局所的部位に薬物を送達する、または別の生物学的もしくは構造的役割を行うために使用される。移植片はさらに、患者の生存を維持するために必要となり得る。残念ながら、移植手術の間、または患者が医療移植片を埋め込まれた後に問題が生じ得る。いくつかの場合において、移植片は、手術部位の治癒を弱める。例えば、移植片の表面は、細菌、真菌、または他の感染物質に感染し得る細胞残屑および他の生体物質を集める可能性がある。また、対象の免疫系は、移植片を異物として認識し、自然の防御を用いて移植片と戦おうとし得る。これは、多くの場合、対象の免疫系の強さを低下させ、人工装具周囲の感染、または外科的移植部位もしくはその近くのその他の感染等、さらなる深刻な問題をもたらし得る。
【0003】
したがって、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を送達することも望ましくなり得る。そのような生物活性薬剤は、移植片に関連した上述の問題の少なくともいくつかを防止する、または移植片自体の機能を向上させるのに役立つことができる。残念ながら、各移植片を、生物活性薬剤を局所的に送達し得るように構成することは、常に可能である、または実用的であるとは限らない。例えば、製剤の製造のための規制は、医療デバイスの製造のための規制とは大きく異なる。
【0004】
したがって、移植片に適用することができる、または対象に移植することができる、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を効果的に提供する複合材および組成物が必要とされている。これらの必要性およびその他の必要性は、本発明により満足される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において、移植用複合材および組成物、移植用複合材および組成物を備えるキット、ならびに移植用複合材および組成物を備える移植デバイスが開示される。一態様において、使用場所での適用が開示され、生物活性薬剤は、使用時点に近い時点で医療デバイスに適用され、これにより、最終移植デバイスの品質または有効性が過度に影響を受けないように、生物活性薬剤および移植デバイスの個別でより迅速な開発が可能となる。
【0006】
本明細書において、移植用フィルムベース複合材、移植用弾性バンド複合材、移植用可撓性本体複合材、移植用吸引カップ複合材、ターポリマー組成物、スプレーコーティング組成物、複合材および組成物を使用するための方法、ならびに複合材および組成物を備える移植デバイスが、それぞれ開示され説明される。
【0007】
本発明の利点の一部は以下の説明において記載され、一部は説明から明らかであるか、または以下に記載の態様の実践により学ぶことができる。以下に記載の利点は、添付の特許請求の範囲において具体的に指摘された要素および組合せを用いて実現および達成される。上記概要および以下の詳細な説明の両方は、例示および説明のみを目的としており、制限するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】例示的な移植用フィルムベース複合材の図である。
【図1B】別の例示的な移植用フィルムベース複合材の図である。
【図2】複数の移植用フィルムベース複合材を備える例示的なキットの図である。
【図3】移植用フィルムベース複合材を備える例示的な移植デバイスの図である。
【図4】例示的移植用弾性バンド複合材の図である。
【図5】移植用弾性バンド複合材を備える例示的移植デバイスの図である。
【図6A】第1の部分および第2の部分が接続されていない、例示的移植用可撓性本体複合材の図である。
【図6B】第1の部分および第2の部分が接続されている、例示的移植用可撓性本体複合材の図である。
【図7】それに固定された移植用可撓性本体複合材を備える、例示的な移植デバイスの図である。
【図8】例示的な移植用吸引カップ複合材の図である。
【図9】デバイスに接着された移植用吸引カップ複合材を備える、例示的な移植デバイスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本化合物、組成物、複合材、物品、デバイスおよび/または方法を開示および説明する前に、以下に記載される態様は、特定の化合物、組成物、複合材、物品、デバイス、方法、または使用に限定されず、当然ながらそれに従い変動することを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様のみを説明することを目的としており、限定は意図してないことも理解されるべきである。
【0010】
本明細書および続く特許請求の範囲において、複数の用語が参照されるが、これらの用語は以下の意味を有することが定義されるものとする。
【0011】
本明細書全体を通して、文脈により異なる意味が求められない限り、「備える」という用語、または「備える(三人称)」もしくは「備えている」等の変化形は、述べられた整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を包含することを暗示するが、任意の他の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を除外することを暗示しないことを理解されたい。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈上異なる定義が明示されていない限り、単数形は複数形の支持対象を含むことを理解されたい。したがって、例えば、「生物活性薬剤」という呼称は、2つ以上のそのような薬剤の混合物等を含む。
【0013】
「任意選択の」または「任意選択で」は、次いで説明される事象または状況が生じても生じなくてもよいことを意味し、またその説明が、事象または状況が生じる場合および生じない場合を含有することを意味する。
【0014】
本明細書では、範囲は、「約」1つの具体的値から、および/または「約」別の具体的値までというように表現され得る。そのような範囲が表現されている場合、別の態様は、当該1つの具体的値から、および/または他の具体的値までを含む。同様に、値が近似値として表現されている場合、「約」という先行詞を使用することにより、具体的値が別の態様を形成することが理解される。さらに、範囲のそれぞれの端点は、他の端点と関連して、および他の端点とは独立して有効である。
【0015】
「生体適合性」という用語は、対象に対し実質的に「非毒性」である物質を指す。
【0016】
「生体分解性」は、一般に、可溶性種まで破壊されるか、または生理学的条件下で、それ自体は対象にとって非毒性(生体適合性)であり、対象により代謝、排除、または排泄され得るより小さい単位または化学種まで分解する材料を指す。
【0017】
「生物活性薬剤」は、生物学的活性を有する薬剤を指す。生物学的薬剤は、疾患、障害、感染等を処置、診断、治療、軽減、防止(すなわち予防的に)、改善、またはそれに対して有益な効果を与えるために使用され得る。「放出可能な生物活性薬剤」は、開示される複合材または組成物から放出され得る生物活性薬剤である。生物活性薬剤はまた、対象の構造もしくは機能に影響するそれらの物質、または、所定の生理学的環境内に置かれると生物活性となる、もしくはより生物活性となるプロドラッグを含む。
【0018】
「粘着性ポリマー」という用語は、室温で粘着性である少なくとも1つの表面を有するポリマーを指す。一態様において、「粘着性ポリマー」は、接着剤のように機能し得る。「粘着性ポリマー」は、移植デバイス、リリースライナ、または対象の組織もしくは流体等の材料または物品に接着可能となるように設計され得る。
【0019】
「弾性」という用語は、変形可能(例えば、伸縮または伸長可能)であり、変形から実質的に回復し得る、すなわち、変形前の初期の状態に実質的に復帰し得る弾力性材料を指す。
【0020】
「バンド」という用語は、ループを形成する少なくとも1つの連続的な細長い表面を有する材料を指す。
【0021】
「接着ターポリマー」という用語は、接触表面に接着し得るターポリマーを指す。「接着ターポリマー」は、所望の期間表面に張り付くことができる任意のターポリマーであってもよい。一態様において、「接着ターポリマー」は、接着剤、ゲル、ワックスもしくはワックス状ポリマー、Vaseline(登録商標)様材料、粘性ターポリマー、または粘着性ターポリマーのように機能し得るか、またはそれらであってもよい。
【0022】
開示される方法の生成物および組成物のために使用され得る、それらと併せて使用され得る、それらの調製において使用され得る、またはそれらである化合物、組成物、および成分が開示される。これらのまたは他の材料が本明細書において開示され、これらの材料の組合せ、部分集合、相互作用、群等が開示される場合、これらの化合物のそれぞれの様々な個々のおよび集合的組合せおよび順列が明示的に開示されていない可能性があるが、それぞれが本明細書において具体的に企図および記載されることを理解されたい。例えば、複数の異なるポリマーおよび薬剤が開示および考察される場合、それとは反対に具体的に示されない限り、ポリマーおよび薬剤のありとあらゆる組合せおよび順列が具体的に企図される。したがって、分子A、BおよびCのクラスが、分子D、EおよびFのクラスと同様に開示され、組合せ分子A−Dの例が開示される場合、それぞれが個々に列挙されなくても、それぞれが個々におよび集合的に企図される。したがって、この例において、A、BおよびC;D、EおよびF;ならびに例示的組合せA−Dの開示から、組合せA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC−Fのそれぞれが具体的に企図され、開示されるとみなされるべきである。同様に、任意の部分集合またはそれらの組合せもまた、具体的に企図され開示される。したがって、例えば、A、BおよびC;D、EおよびF;ならびに例示的組合せA−Dの開示から、A−E、B−F、およびC−Eの部分集合が具体的に企図され、開示されるとみなされるべきである。この概念は、開示される組成物の作製方法および使用方法におけるステップを含むがこれらに限定されない、本開示の全ての態様に適用される。したがって、実行され得る様々な追加的ステップが存在する場合、これらの追加的ステップのそれぞれが、開示される方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組合せに関して実行され得ること、またそれぞれのそのような組合せが具体的に企図され、開示されるとみなされるべきであることが理解される。
【0023】
本明細書に記載の移植用複合材および組成物は、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体に適用され得る。移植用複合材または組成物は、生物活性薬剤を対象内に放出することができる。本明細書に記載の複合材および組成物は、生物活性薬剤の制御放出、持続放出、調節放出、徐放、パルス放出、遅延放出、またはプログラム放出を可能とする。移植用フィルムベース複合材、移植用弾性バンド複合材、移植用可撓性本体複合材、移植用吸引カップ複合材、ターポリマー組成物、およびスプレーコーティング組成物が、それぞれ以下に開示され説明される。
【0024】
i)移植用フィルムベース複合材
一態様において、移植用複合材は、移植用フィルムベース複合材である。この態様において、移植用複合材は、生体適合性ポリマーフィルムと、放出可能な生物活性薬剤と;生体適合性ポリマーフィルムに貼付されるリリースライナとを備える。さらなる態様において、移植用複合材は、少なくともその一部上に接着剤を備える少なくとも第1の表面を有する生体適合性ポリマーフィルムを備え、接着剤にリリースライナが貼付され、放出可能な生物活性薬剤がフィルム内またはフィルム上にある。さらなる態様において、移植用複合材は、少なくとも第1の表面および放出可能な生物活性薬剤を有する、生体適合性ポリマーフィルムと、第1の表面の少なくとも一部上の接着剤と、を備え、移植用複合材は、長さ寸法および幅寸法を有し、長さ寸法は、幅寸法と実質的に同じである。さらなる態様において、移植用複合材は、少なくとも第1の表面および放出可能な生物活性薬剤を備える、生体適合性ポリマーフィルムと、第1の表面の少なくとも一部上の接着剤と、を備え、移植用複合材は、長方形ではない形状を有する。
【0025】
一態様において、移植デバイスは、少なくともその一部上に開示される移植用フィルムベース複合材を備える、少なくとも第1の移植デバイス表面を備え、移植用フィルムベース複合材は、長さ寸法および幅寸法を有し、長さ寸法は、幅寸法と実質的に同じである。さらなる態様において、移植デバイスは、少なくともその一部上に開示される移植用フィルムベース複合材を備える、少なくとも第1の移植デバイス表面を備え、移植用フィルムベース複合材は、長方形ではない形状を有する。
【0026】
また、移植用フィルムベース複合材を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、移植用フィルムベース複合材を移植デバイスの表面上に固定することを含む、方法が開示される。
【0027】
一態様において、移植用フィルムベース複合材は、少なくとも第1の表面および複合材のその中に放出可能な生物活性薬剤を有する、生体適合性ポリマーフィルムと、第1の表面の少なくとも一部上の接着剤と、を備え、リリースライナが接着剤に貼付される。
【0028】
移植用フィルムベース複合材は、任意の所望の形状を有し得る。例えば、移植用フィルムベース複合材は、実質的に球形、円筒形、平面、または立方体であってもよい。平面移植用フィルムベース複合材は、他の形状の中でも、実質的に正方形、長方形、円形、三角形であってもよい。一態様において、移植用フィルムベース複合材は、正方形または長方形であってもよい。さらなる態様において、移植用フィルムベース複合材は、非長方形である形状を有する。図1Aに示されるように、例えば、移植用フィルムベース複合材100は、実質的に正方形の形状を有し、複合材の長さが複合材の幅とほぼ等しくてもよい。図1Aに示されるように、移植用フィルムベース複合材100は、少なくとも第1の表面120を有するポリマーフィルム110を備える。ポリマーフィルム110は、放出可能な生物活性薬剤(図示せず)を備える。接着剤(図示せず)は、任意選択で、ポリマーフィルムの第1の表面120の少なくとも一部上、または第1の表面120全体の上に存在してもよい。接着剤により、ポリマーフィルムは、移植デバイスに、または対象の内部組織もしくは流体に接着することができる。移植用フィルムベース複合材が対象に移植される前に、接着剤は、少なくとも部分的に、または完全に、リリースライナで被覆されてもよい。図1Aに示されるように、リリースライナ130は、ポリマーフィルムの第1の表面120上に存在する接着剤に貼付される。他の代替の実施形態において、リリースライナは存在しない。
【0029】
移植用フィルムベース複合材は、任意の所望のサイズを有し得る。一般に、移植用フィルムベース複合材のサイズ選択は、生物活性薬剤の所望の投入量により影響され得る。一般的に、所望の生物活性薬剤が多いほど、移植用フィルムベース複合材は大きくなる。また、サイズは、ポリマーフィルムの所望の放出特性を提供するように選択され得る。さらに、移植用フィルムベース複合材が移植デバイスに適用される場合、移植デバイスのサイズは、移植用フィルムベース複合材のサイズを選択する際に重要となり得る。例えば、移植デバイス表面の一部が露出したままであることが望ましくなり得る。これらの場合において、移植片のサイズは、移植デバイス表面を完全には被覆しないように選択され得る。
【0030】
移植用フィルムベース複合材は、任意の所望の体積、例えば、1、2、3、4、5、6、7、10、12、14、15、18、20、22、25、28、および29cm3等を含む、約0.1cm3から約30cm3までの体積を占めることができる。例えば、より小さい移植用フィルムベース複合材は、0.5、1、3、5、7、9、10、12、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、85、または90mm3等を含む、約0.1mm3から約100mm3までの体積を占めることができる。他の態様において、移植用フィルムベース複合材は、長さおよび幅を有するように整形され得る。長さは、移植用フィルムベース複合材の幅より大きい、それより小さい、またはそれと同じであってもよい。好適な長さおよび幅は、例えば、制限することなく1、2、3、4、5、6、7、10、12、14、15、18、20、22、25、28、および29cmを含む、0.1cm以下から約30cm以上までを含む。例えば、移植用フィルムベース複合材は、0.1cm×0.5cm、1cm×1cm、1cm×1.5cm、2cm×2cm、2cm×0.5cm、5cm×5cm、5cm×2cm、10cm×10cm、10cm×5cm、15cm×10cm、15cm×15cm、20cm×20cm、20cm×15cm、25cm×25cm、または30cm×20cm等を含む、約0.1cm×0.1cmから約30cm×30cmまでの面積を有し得る。より小さい移植用フィルムベース複合材は、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、または0.9mm等を含む、約0.1mm以下から約1mm以上の長さまたは幅を有し得る。そのような移植片は、約0.1mm×0.1mm、0.2mm×0.1mm、0.3mm×0.3mm、0.3mm×0.2mm、0.5mm×0.5mm、0.5mm×0.2mm、0.8mm×0.8mm、または0.9mm×0.9mmからの面積を有し得る。
【0031】
一態様において、移植用フィルムベース複合材が、幅寸法より実質的に大きい長さ寸法および厚さ寸法より実質的に大きい幅寸法を有する場合、幅寸法は約2mm未満である。さらなる態様において、移植用フィルムベース複合材が、幅寸法より実質的に大きい長さ寸法および厚さ寸法より実質的に大きい幅寸法を有する場合、幅寸法は約2mm未満である。さらなる態様において、移植用フィルムベース複合材は、幅寸法と実質的に同じ長さ寸法を有し得る。さらなる態様において、移植用フィルムベース複合材は、幅寸法より実質的に大きい長さ寸法および厚さ寸法より実質的に大きい幅寸法を有さない。
【0032】
さらに他の態様において、移植用フィルムベース複合材は、非正方形または非長方形の形状であってもよく、したがって、制限されることなく1、2、3、4、5、6、7、10、12、14、15、18、20、22、25、28、および29cmを含む、約0.1cmから約30cmまでの1つ以上の寸法を有する。例えば、三角形は、上述のサイズ範囲内の1つ以上の寸法を有し得る。さらなる態様において、移植用フィルムベース複合材は、実質的に円形(例えば、図1Bに示されるように)であってもよく、1、2、3、4、5、6、7、10、12、14、15、18、20、22、25、28、および29cm等を含む、約0.1cmから約30cmの直径を有する。
【0033】
ポリマーフィルムは、任意の所望の厚さを有し得る。一態様において、ポリマーフィルムは、制限されることなく約5nm、20nm、50nm、150nm、200nm、300nm、500nm、800nm、または900nmの厚さを有するそれらのフィルムを含む、約1nm以下から約1000nmまでの厚さを有する薄いフィルムである。さらなる態様において、フィルムは、制限されることなく約1000nmから約50cm以上までの厚さを有するそれらのフィルムを含む、約1000nmを超える厚さを有する。例えば、フィルムは、約2000nm、0.1cm、0.5cm、1cm、5cm、20cm、30cm、40cm、または50cmの厚さを有し得る。フィルムは平面である必要はないが、平面であってもよいことを理解されたい。したがって、様々な態様において、フィルムは、フィルムの異なる領域で様々な高さを有してもよい。したがって、フィルムは、移植用フィルムベース複合材の所望の形状に依存して、上述のような任意の形状を有し得る。
【0034】
移植用複合材とともに使用されるポリマーは、任意の好適な生体適合性および生体分解性または非生体分解性ポリマーであってもよい。本明細書に記載のポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。ポリマーは、ブロックもしくはブロック状コポリマーもしくはターポリマー、ランダムコポリマーもしくはターポリマー、星型ポリマー、またはデンドリマーであってもよい。移植用フィルムベース複合材の所望の特性に依存して、任意の所望の分子量のポリマーを使用することができる。ある特定の態様において、高強度の移植用フィルムベース複合材が望ましい場合、例えば強度要件を満たすために高分子量のポリマーを使用することができる。他の態様において、例えば材料強度よりもポリマーの吸収時間が望ましい場合は、低分子量または中間分子量のポリマーを使用することができる。
【0035】
ポリマーの分子量は、移植用フィルムベース複合材の所望の特性を提供するように選択され得る。ある特定の態様において、ポリマーフィルムは、ポリマーのフィルムを形成することにより提供され得る。そのような態様において、分子量は、満足のいくフィルムを形成するように十分高い分子量であるべきである。通常、10,000ダルトンを超える分子量がこれを達成し得る。しかしながら、フィルムの特性はまた、使用されている特定のポリマー材料に部分的に依存するため、全てのポリマーに対して適切な分子量範囲を特定することは困難である。ポリマーの分子量はまた、分子量がポリマーの生体分解速度に影響するという点からも重要である。生物活性薬剤放出の拡散機構においては、ポリマーは、薬剤の全てがポリマーから放出されるまでは無傷のままであり、その後に分解するべきである。薬剤はまた、ポリマーが生体分解する際にポリマーから放出され得る。ポリマー材料の適切な選択により、ポリマー調合物は、得られる生体適合性ポリマーが拡散放出特性および生体分解放出特性の両方を示すように作製され得る。分子量は、他の方法の中でも、ゲル濾過クロマトグラフィー、粘度、光散乱を含む、当技術分野において知られた方法により測定することができる。
【0036】
生体分解性ポリマーフィルムは、対象内に入ったら、所望の時間間隔以内で分解するように調合され得る。いくつかの態様において、時間間隔は、約1日未満から約1ヶ月までとなり得る。より長い時間間隔は、例えば約0ヶ月以上から約6ヶ月まで、または約1ヶ月から約6ヶ月まで分解するポリマーマトリックスを含め、6ヶ月まで延長され得る。他の態様において、ポリマーは、例えば、約0ヶ月以上から約2年まで、または約1ヶ月から約2年までを含む、最長2年以上までのより長い時間間隔で分解し得る。
【0037】
所望の生物活性薬剤放出機構は、ポリマーの選択に影響し得る。生体適合性ポリマーは、移植用フィルムベース複合材が対象内に移植された後所望の経過時間で、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。例えば、ポリマーは、生物活性薬剤がその活性を消失し始める前、生物活性薬剤が活性を消失し始める際、生物活性薬剤が部分的に活性を消失した時、例えば少なくとも25%、少なくとも50%または少なくとも75%が消失した時、生物活性薬剤が活性を実質的に消失した時、または、生物活性薬剤が完全になくなったかもしくはもはや活性を有さなくなったときに、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。
【0038】
一態様において、ポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシバレレート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホスフェート、ポリホスホエステル、ポリジオキサノン、ポリホスホエステル、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンのうちの1つ以上であってもよい。他の非生体分解性であるが耐久性であるポリマーには、制限されることなく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の好適な非生体分解性ポリマーには、制限されることなく、シリコーンおよびポリウレタンが含まれる。
【0039】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、またはポリ(ヒドロキシブチレート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生体分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレート、またはポリヒドロキシバレレートを含有するコポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、およびそれらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、またはブレンドであってもよい。
【0040】
さらなる態様において、有用な生体適合性ポリマーは、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体適合性ポリマーである。さらなる態様において、有用な生体適合性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体適合性ポリマーである。
【0041】
一態様において、有用な生体分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せを含む別の生体適合性または生体分解性ポリマーの1つ以上のブロックと組み合わせた、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むがこれらに限定されない、親水性または水溶解性ポリマーの1つ以上のブロックを有する生体分解性ポリマーである。
【0042】
特定の態様において、生体分解性ポリマーは、1つ以上のラクチド残基を有してもよい。ポリマーは、L−ラクチド、D−ラクチド、およびD,L−ラクチド、またはそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、ラクチドの全てのラセミ体および立体特異的形態を含む、任意の残基を有してもよい。ラクチドを含む有用なポリマーは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、およびポリ(DL−ラクチド);ならびに、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)、およびポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド);または、それらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、もしくはブレンドを含むが、これらに限定されない。ラクチド/グリコリドポリマーは、ラクチドおよびグリコリドモノマーの開環を介した溶融重合により便利に作製され得る。さらに、ラセミDL−ラクチド、L−ラクチドおよびD−ラクチドポリマーは、市販されている。L−ポリマーはより結晶性であり、DL−ポリマーより吸収が遅い。グリコリドおよびDL−ラクチド又はL−ラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーは市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーもまた、市販されている。
【0043】
生体分解性ポリマーがポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)である場合、ポリマー中のラクチドおよびグリコリドの量は変動し得る。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、0から100モル%、40から100モル%、50から100モル%、60から100モル%、70から100モル%、または80から100モル%までのラクチド、および0から100モル%、0から60モル%、10から40モル%、20から40モル%、または30から40モル%までのグリコリドを含有し、ラクチドおよびグリコリドの量は100モル%である。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、50:50ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であり、比はモル比である。
【0044】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよい。一態様において、ポリマーは、様々な態様において95:5ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、または50:50ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよいポリ(ラクチド−カプロラクトン)であってもよく、比はモル比である。
【0045】
一態様において、ポリマーフィルムは、ターポリマーを含んでもよい。一態様において、ターポリマーは、2008年11月12日出願の米国特許出願公開第12/269135号(米国特許公開第2009/0124535号)に開示されるターポリマーであり、この参照によりそのターポリマーおよび本開示の考慮される部分の教示の全てが本明細書に組み込まれる。
【0046】
そのコポリマー、その混合物、またはそのブレンドを含むがそれらに限定されない、上述の生体分解性ポリマーの任意の組合せを使用することができることが理解される。同様に、生体分解性ポリマーの残基が開示される場合、開示される残基を有する任意の好適なポリマー、コポリマー、混合物、またはブレンドもまた開示されるとみなされることが理解される。この目的のために、複数の残基が個々に開示される場合(すなわち、別のものとの組合せではない)、個々の残基の任意の組合せが使用され得ることが理解される。
【0047】
また、移植用フィルムベース複合材を備える物品およびキットも開示される。例示的な物品200を図2に示すが、これは、複数の移植用フィルムベース複合材を備える平面状リリースライナ230を示している。図示されるように、各移植用フィルムベース複合材は、任意選択で接着剤(図示せず)を備える少なくとも第1の表面220を有するポリマーフィルム210を備える。接着剤は、リリースライナ230に貼付され得る。この実施例において、物品は、全てがリリースライナ230を共有する複数の移植用フィルムベース複合材を備える。しかしながら、代替の実施形態は、パッケージ内の図1Aおよび図1Bに描写されるもの等の、複数の移植用フィルムベース複合材のパッケージであるキットを含む。また、同じまたは異なる移植用フィルムベース複合材の混合物を備えるキットが開示される。例えば、キットは、それぞれ異なるサイズを有する移植用フィルムベース複合材のいくつかの組を備えてもよい。そのようなキットは、移植用フィルムベース複合材の使用場所での適用に有用となり得、例えば1つのキットが、複数の異なる移植デバイスとサイズが適合する移植用フィルムベース複合材を提供し得る。
【0048】
一態様において、接着剤は、開示される移植用フィルムベース複合材の表面上に存在し得る。ある特定の態様において、ポリマーフィルム自体が、リリースライナ、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体が直接接着する接着剤として機能する、粘着性ポリマーフィルムであってもよい。上に開示される粘着性ポリマーを作製する方法は、当技術分野において知られている。例えば、添加剤を添加して、接着可能な粘着性ポリマーを提供することができる。一態様において、粘着性ポリマーは、約室温未満のガラス転移温度を有する上に開示されるポリマーを含む、約室温未満のTgを有する粘着性ポリマーであってもよい。
【0049】
移植用フィルムベース複合材の様々な態様において、ポリマーフィルムは、粘着性ポリマーフィルムを含む必要はないが、それを含み得る。したがって、さらなる態様において、ポリマーフィルムとは別個の接着剤が、ポリマーフィルム上にあってもよい。接着剤は、任意の所望の接着剤であってよい。好適な接着剤は、熱可塑性樹脂、糖タンパク質、ムコ多糖類、生体接着剤、炭水化物、デンプン、デキストリン、糖類、ゼラチン、エポキシ、アクリル系、ゴム、シリコーン、ポリウレタン、粘着剤、ポリエステル、ポリエーテル、ポリクロロプレン、天然ゴム、過酸化物、シラン、イソシアネート、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを含むが、それらに限定されない。
【0050】
一態様において、接着剤は、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを制限なく含む、生体適合性または生体分解性接着剤であってもよい。
【0051】
接着剤は、当技術分野において知られた方法により、ポリマーフィルムの第1の表面に適用することができる。接着剤は、例えば、ポリマーフィルムの第1の表面上への接着剤組成物のスピンコーティング、ドロップキャスティング、はけ塗り、または噴霧により適用することができる。
【0052】
上述のように、一態様において、移植用フィルムベース複合材は、リリースライナを備える。リリースライナは、任意の好適なリリースライナであってよい。リリースライナは、典型的には、移植用フィルムベース複合材が対象内に移植される前に移植用フィルムベース複合材のポリマーフィルムから取り外される、一時的リリースライナである。したがって、一時的リリースライナは、対象に有害となり得る量の任意の材料を後に残さないのが好ましい。
【0053】
好適なリリースライナは、リリースライナが隣接する接着剤から容易に剥脱または剥離されるようにする材料で作製される。例示的なリリースライナは、紙および/またはプラスチック材料を含むリリースライナである。典型的には、そのようなリリースライナは、リリースライナと隣接する接着剤との間の接着性を低減するシリコーンまたはフッ素化炭化水素等の材料でコーティングされた、ポリエステルまたはポリエチレン等のポリマーから作製される。他の好適なリリースライナは、接着剤からのライナの容易な分離を可能とするシリコーン材料で被覆されたクラフト紙等の紙を含む。リリースライナ材料は市販されており、例えば、ポリエチレンは、3M(登録商標)から市販されている。
【0054】
一態様において、リリースライナは、ポリマーフィルムである。すなわち、ポリマーフィルムの第1の表面は、接着剤により、ポリマーフィルムの対置する第2の表面に接着される。例えば、移植用フィルムベース複合材は、1巻きのテープとして構成され得、ポリマーフィルムの第2の対置する表面は、リリースライナとして機能する。他の態様において、リリースライナは、ポリマーフィルムではない。すなわち、ポリマーフィルムの第1の表面は、ポリマーフィルムの対置する第2の表面に接着されない。したがって、いくつかの態様において、移植用フィルムベース複合材は、1巻きのテープではなく、ポリマーフィルムの第2の対置する表面は、リリースライナとして機能する。
【0055】
一態様において、移植デバイスは、少なくともその一部上に移植用フィルムベース複合材を備える、少なくとも第1の移植デバイス表面を備え、移植用フィルムベース複合材が、幅寸法より実質的に大きい長さ寸法および厚さ寸法より実質的に大きい幅寸法を有する場合、幅寸法は約2mm未満である。
【0056】
移植デバイスは、棒、繊維、円筒、ビーズ、リボン、ディスク、ウエハ、自由形状整形固体、または様々な他の整形固体等、任意の形状を有し得る。デバイスは、任意の規則的または不規則的形状を有し得、円形、長方形、三角形、楕円等の任意の断面を有し得る。さらなる態様において、デバイスは、移植用ポンプの典型的な形状等、円筒形状を有する。
【0057】
移植片は、金属(例えば、チタン)、金属複合材、有機材料、ポリマー、またはさらにセラミック材料等の任意の好適な材料を含み得る。移植片の表面は、任意の整形表面であってもよく、ある特定の移植片に存在するような、多孔性、ビーズ状またはメッシュ状の内部成長表面を有してもよい。
【0058】
移植デバイスは、任意の種類の医療移植片であってもよい。移植デバイスは、例えば、薬物送達ポンプを含む薬物送達用移植片;脊椎移植片、骨融合もしくは骨修復用移植片を含む整形外科用移植片;固有の薬物送達能力を有するステントを含む医療用ステント;乳房用移植片、筋肉用移植片等を含む人工装具移植片;歯科用移植片;人工内耳および補聴器を含む耳用移植片;ペースメーカー、カテーテル等を含む心臓用移植片;空間充填用移植片;生体電気移植片;神経用移植片;透析グラフトを含む内臓用移植片;除細動器;監視デバイス;記録デバイス;脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器;移植型識別デバイスおよび情報チップ;人工器官;薬物投与デバイス;移植型センサ/バイオセンサ;ネジ;管;ロッド;プレート;または人工関節を含み得る。
【0059】
さらなる態様において、移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または、脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0060】
図3を参照すると、移植デバイス300は、ポリマーフィルム320の第1の表面330により第1の移植デバイス表面に接着されるポリマーフィルム320を備える移植用複合材を備える、第1の移植デバイス表面310を備える。図3に示されるデバイスは、移植用ポンプである。移植デバイスが対象内に置かれると、ポリマーフィルムは分解して、生物活性薬剤を、移植部位に隣接する組織内またはその近くで放出させることができる。望ましい場合、複数の移植用フィルムベース複合材は、移植デバイスに適用され得る。
【0061】
開示される移植用フィルムベース複合材とともに使用されると有益となり得る他の移植デバイスは、1つ以上の活性表面、例えば、組織もしくは流体と移植デバイスとの間の接続を向上させる表面、または創傷治癒を可能にする、もしくは向上させる表面を有する移植デバイスを含む。開示される移植用フィルムベース複合材は、移植デバイスの一部のみに適用されると効果的となり得、移植デバイスが対象内に移植された際に任意の活性表面の露出を維持して機能的とすることができる。
【0062】
上述のように、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を送達することが望ましくなり得る。生物活性薬剤は、感染などの移植片に関連した問題のいくつかを防止する、または移植片自体の機能を向上させるのに役立つことができる。また、上述のように、生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造することを回避するのも望ましくなり得る。本明細書に開示される複合材、方法、およびキットは、移植デバイスの表面上への移植用フィルムベース複合材の使用場所での適用を可能とし、それにより生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造する必要性を排除することができる。
【0063】
一態様において、移植用フィルムベース複合材は、使用時点に近い時点で、または使用している間に移植デバイス表面に適用され得る。例えば、移植用フィルムベース複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、移植用フィルムベース複合材を移植デバイスの表面上に固定することにより、移植デバイスに適用され得る。一態様において、移植用フィルムベース複合材は、例えば医師または看護婦により、手術室内で移植デバイスに適用され得る。
【0064】
移植用フィルムベース複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点の前または後に、移植デバイスの表面に固定され得る。一態様において、移植用フィルムベース複合材を備える移植デバイスが、対象内に移植され得る。さらなる態様において、移植デバイスが対象内に移植され得、次いで移植用フィルムベース複合材が移植デバイスの表面に適用され得る。より小さい移植片を移植する場合、まず移植用フィルムベース複合材を移植デバイス表面に適用することが有益となり得る。
【0065】
一態様において、移植用フィルムベース複合材は、例えば23時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、5時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、2分以内、30秒以内、または移植手術中を含む、移植手術の同日(すなわち、24時間以内)に移植デバイスの表面に固定され得る。
【0066】
所望の場合は、移植デバイスを含むまたは含まない、移植用フィルムベース複合材自体が、対象の組織または流体の上または中に移植され得る。一態様において、移植用フィルムベース複合材は、移植部位の近くまたはそれに隣接する組織または流体の上または中、すなわち、移植デバイスが移植された部位、または所望の移植部位の近くまたはそれに隣接した部位に移植され得る。
【0067】
一態様において、開示される方法は、放出可能な生物活性薬剤を備える移植用フィルムベース複合材とともに使用することができる。さらなる態様において、方法は、少なくとも第1の表面と、放出可能な生物活性薬剤とを有するポリマーフィルムと;第1の表面の少なくとも一部または全体の上の接着剤と、を備える移植用フィルムベース複合材とともに使用することができる。さらなる態様において、方法は、少なくとも第1の表面と、放出可能な生物活性薬剤とを有する、ポリマーフィルムと、第1の表面の少なくとも一部または全体の上の接着剤と、接着剤に貼付されるリリースライナと、を備える、移植用フィルムベース複合材とともに使用することができ、リリースライナは、移植用フィルムベース複合材が移植デバイスの表面上に固定される前に、接着剤から取り外される。リリースライナは、ポリマーフィルムおよび/もしくは接着剤からリリースライナを剥離することにより、または、リリースライナからポリマーフィルムを剥離することにより取り外すことができる。次いで、移植用フィルムベース複合材は、移植片の表面を、移植用フィルムベース複合材の接触側と接触させることにより、および任意選択で、良好な接着を促進するために圧力を印加することにより、移植片の表面または対象の組織もしくは流体に適用することができる。粘着剤が使用される場合、移植デバイス表面上への複合材の良好な接着を促進するために、移植用フィルムベース複合材に圧力を印加することが望ましくなり得る。
【0068】
また、移植用フィルムベース複合材を備える移植デバイスも開示される。「デバイス」という用語は、デバイスの少なくとも1つの寸法において、長さが1mmを超える任意の調合物または物品である。デバイスは、開示される移植用複合材を備えることができる。さらなる態様において、デバイスは、1mmから50mmまで、1.2mmから45mmまで、1.4mmから42mmまで、1.6mmから40mmまで、1.8mmから38mmまで、または2.0mmから36mmまで、5.0mmから33mmまで、または10mmから30mmまでの1つの寸法を有する。さらなる態様において、デバイスは、3cmを超え、さらに10cm、20cm、またはさらに30cm以上までの1つの寸法を有する。
【0069】
移植デバイスは、任意の所望の対象内に移植することができる。対象は、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類等の脊椎動物であってもよい。本明細書に開示される方法の対象は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類であってもよい。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成獣および新生動物対象、ならびに胎児が、雄または雌を問わず含まれることが意図される。
【0070】
典型的には、移植用フィルムベース複合材を移植デバイスに適用する前に、いかなる表面汚染物質も除去しポリマーフィルムの良好な接着を促進するために、移植デバイス表面を清浄化または処理することができる。例えば、移植用複合材および/または移植デバイスは、例えば水蒸気下での高圧蒸気殺菌法により滅菌することができる。次いで、移植用フィルムベース複合材、または移植用フィルムベース複合材を備える移植デバイスは、既知の手術手技を用いて対象内に移植することができる。ある特定の態様において、滅菌された容器またはパッケージ内に、移植用複合材または複合材を備えるキットを保存することが望ましくなり得る。一態様において、キットは、移植用複合材の滅菌されたパッケージを備えることができる。
【0071】
ii)移植用弾性バンド複合材
別の態様において、移植用複合材は、少なくとも1つの連続的な細長い表面を有し、生体適合性ポリマーと生物活性薬剤とを備える、弾性バンドを含む弾性バンド複合材である。さらなる態様において、移植デバイスは、移植デバイスの少なくとも一部と接触する、開示される移植用弾性バンド複合材を備える。また、移植用弾性バンド複合材を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、移植用弾性バンド複合材を移植デバイスの表面上に固定することを含む、方法が開示される。
【0072】
一態様において、移植用弾性バンド複合材は、少なくとも1つの連続的な細長い表面を有し、生体適合性ポリマーと、マトリックス内に配置される生物活性薬剤とを備える、弾性バンドを備える。一態様において、生物活性薬剤は、バンドおよび/またはポリマー内に配置される。一態様において、弾性バンドは、生体適合性または生体分解性であってもよい。本明細書に開示される移植用弾性バンド複合材は、ゴムバンドとして機能することができ、またゴムバンドのような特性を有し得る。したがって、移植用弾性バンド複合材は、典型的には、移植デバイスまたは対象の組織もしくは流体の周りに取り付けることができる、閉じたループである。
【0073】
図4を参照すると、移植用弾性バンド複合材400は、それを貫通する少なくとも1つの開口430を画定する、少なくとも1つの連続的な細長い表面420を有する弾性バンド410を備えることができる。バンド410は、バンド内またはバンドの表面上に配置される、放出可能な生物活性薬剤(図示せず)を備える。弾性バンドは、伸長されて移植デバイスまたは対象の内部組織もしくは流体に適用され得る(例えば、伸長されてその周りに設置され得る)。一態様において、少なくとも1つの連続的な細長い表面は、対置する第2の連続的な細長い表面を有してもよい。さらなる態様において、弾性バンドは、単層の弾性バンドであってもよい。
【0074】
移植用弾性バンド複合材は、任意の所望のサイズを有し得る。一般に、移植用弾性バンド複合材のサイズ選択は、生物活性薬剤の所望の投入量により影響され得る。一般的に、所望の生物活性薬剤が多いほど、移植用弾性バンド複合材は大きくなる。また、サイズは、ポリマーの所望の放出特性を提供するように選択され得る。さらに、移植用弾性バンド複合材が移植デバイスに適用される場合、移植デバイスのサイズは、移植用弾性バンド複合材のサイズを選択する際に重要となり得る。例えば、移植デバイス表面の一部が露出したままであることが望ましくなり得る。これらの場合において、移植片のサイズは、移植デバイス表面を完全には被覆しないように選択され得る。
【0075】
一態様において、移植用弾性バンド複合材の開口は、伸長されていない場合、約1cmから約50cm以上まで、約5cmから約25cm以上まで、または約7cmから約15cm以上までの直径を制限なく含む、任意の所望のサイズを有してもよく、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、または45cm以上の直径を有する1つ以上の開口を備える移植用弾性バンド複合材を含む。さらに、移植用弾性バンド複合材は、例えば約0.1cmから約1cmまでを含む、約1cm未満の直径を有する1つ以上の開口を備えてもよい。さらなる態様において、移植用弾性バンド複合材は、以下で考察される弾性バンドの弾性率に依存して、任意の所望のサイズに伸縮され得る。
【0076】
一態様において、弾性バンドは、弾性ポリマーを含んでもよい。弾性ポリマーは、比較的低い応力または歪みで可逆的に延長し得るポリマーである。そのようなポリマーは、非晶質ポリマー、低いガラス転移温度(Tg)を有するポリマー、高いポリマー鎖移動性を有するポリマー、架橋ポリマー、またはそれらの組合せを制限なく含む。一態様において、好適なポリマーは、実質的に非晶質であり、低いTgを有するポリマーである。好適なガラス転移温度は、約25℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約0℃以下、約−10℃以下、約−20℃以下、約−30℃以下、約−40℃以下、約−50℃以下、約−60℃以下、約−70℃以下、または約−70℃未満を制限なく含む。さらなる態様において、好適なポリマーは、架橋したポリマーである。弾性ポリマーのための架橋度は、典型的には、ポリマーの所望の弾性に基づき選択され得る。一般に、比較的急速な変形およびほぼ完全な可逆性を達成するには、少なくともある程度の架橋度が有用となり得る。
【0077】
好適な弾性ポリマーは、不都合な量の力がなくてもポリマーが伸長し得るように、比較的低い初期の力係数(例えば100N/cm未満)を有し得る。しかしながら、典型的には、力係数は、ポリマーが伸長されると初期の力係数を超えて増加するべきである。ある特定の態様において、高い伸長力で高い強度を維持するために、上述のようにポリマーは架橋していてもよく、および/または、マトリックスに強度を追加する生体適合性充填材料を備えてもよい。さらに、ポリマーは、大きな延長で少量の結晶化が生じるように設計することができ、これにより強制的な伸長の間、ポリマーに強度を追加することができる。バンドの弾性的効果を補助するために、例えば、鉱物油、ポリエチレングリコール(PEG)、脂肪酸、カーボンブラック、シリカ、カオリン、炭酸カルシウム、可塑剤、溶媒、またはそれらの組合せもしくは混合物等の他の添加剤をポリマーに添加することができる。
【0078】
移植用弾性バンド複合材とともに使用されるポリマーは、任意の生体適合性および生体分解性または非生体分解性ポリマーを含み得る。本明細書に記載のポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。ポリマーは、ブロックもしくはブロック状コポリマーもしくはターポリマー、ランダムコポリマーもしくはターポリマー、星型ポリマー、またはデンドリマーであってもよい。移植用弾性バンド複合材の所望の特性に依存して、任意の所望の分子量のポリマーを使用することができる。ある特定の態様において、高強度の弾性バンド複合材が望ましい場合、例えば強度要件を満たすために高分子量のポリマーを使用することができる。他の態様において、例えば材料強度よりもポリマーの吸収時間が望ましい場合は、低分子量または中間分子量のポリマーを使用することができる。一態様において、ポリマーは弾性バンドを形成する。
【0079】
ポリマーの分子量は、弾性バンド複合材の所望の特性を提供するように選択され得る。ある特定の態様において、ポリマーは、ポリマーの成形複合材を形成することにより提供され得る。そのような態様において、分子量は、十分な成形複合材を形成させるような分子量であるべきである。分子量はまた、ポリマーを弾力的に伸長させるのに好適であるべきである。ポリマーの分子量はまた、分子量がポリマーの生体分解に影響するという点からも重要である。生物活性薬剤放出の拡散機構においては、ポリマーは、薬剤の全てがポリマーから放出されるまでは無傷のままであり、その後に分解するべきである。薬剤はまた、ポリマーが生体分解する際にポリマーから放出され得る。ポリマー材料の適切な選択により、ポリマー調合物は、得られる生体分解性ポリマーが拡散放出特性および生体分解放出特性の両方を示すように作製され得る。分子量は、他の方法の中でも、ゲル濾過クロマトグラフィー、粘度、光散乱を含む、当技術分野において知られた方法により測定することができる。
【0080】
生体分解性ポリマーは、対象内に入ったら、所望の時間間隔以内で分解するように調合され得る。いくつかの態様において、時間間隔は、約1日未満から約1ヶ月までとなり得る。より長い時間間隔は、例えば約0ヶ月以上から約6ヶ月まで、または約1ヶ月から約6ヶ月まで分解するポリマーマトリックスを含め、6ヶ月まで延長され得る。他の態様において、ポリマーは、例えば、約0ヶ月以上から約2年まで、または約1ヶ月から約2年までを含む、最長2年以上までのより長い時間間隔で分解し得る。
【0081】
所望の生物活性薬剤放出機構は、弾性バンド用のポリマーの選択に影響し得る。生体分解性ポリマーは、弾性バンド複合材が対象内に移植された後所望の経過時間で、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。例えば、ポリマーは、生物活性薬剤がその活性を消失し始める前、生物活性薬剤が活性を消失し始める際、生物活性薬剤が部分的に活性を消失した時、例えば少なくとも25%、少なくとも50%または少なくとも75%が消失した時、生物活性薬剤が活性を実質的に消失した時、または、生物活性薬剤が完全になくなったかもしくはもはや活性を有さなくなったときに、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。
【0082】
弾性バンド複合材の一態様において、ポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシバレレート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホスフェート、ポリホスホエステル、ポリジオキサノン、ポリホスホエステル、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンのうちの1つ以上であってもよい。他の非生体分解性であるが耐久性であるポリマーには、制限されることなく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の好適な非生体分解性ポリマーには、制限されることなく、シリコーンおよびポリウレタンが含まれる。
【0083】
弾性バンド複合材のさらなる態様において、ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、またはポリ(ヒドロキシブチレート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生体分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレート、またはポリヒドロキシバレレートを含有するコポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、およびそれらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、またはブレンドであってもよい。他の非生体分解性であるが耐久性であるポリマーには、制限されることなく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の好適な非生体分解性ポリマーには、制限されることなく、シリコーンおよびポリウレタンが含まれる。
【0084】
弾性バンド複合材のさらなる態様において、有用な生体分解性ポリマーは、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体分解性ポリマーである。さらなる態様において、有用な生体分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体分解性ポリマーである。
【0085】
一態様において、有用な生体分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せを含む別の生体適合性または生体分解性ポリマーの1つ以上のブロックと組み合わせた、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むがこれらに限定されない、親水性または水溶解性ポリマーの1つ以上のブロックを有する生体分解性ポリマーである。
【0086】
弾性バンド複合材の特定の態様において、生体分解性ポリマーは、1つ以上のラクチド残基を有してもよい。ポリマーは、L−ラクチド、D−ラクチド、およびD,L−ラクチド、またはそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、ラクチドの全てのラセミ体および立体特異的形態を含む、任意のラクチド残基を有してもよい。ラクチドを含む有用なポリマーは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、およびポリ(DL−ラクチド);ならびに、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)、およびポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド);または、それらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、もしくはブレンドを含むが、これらに限定されない。ラクチド/グリコリドポリマーは、ラクチドおよびグリコリドモノマーの開環を介した溶融重合により便利に作製され得る。さらに、ラセミDL−ラクチド、L−ラクチドおよびD−ラクチドポリマーは、市販されている。L−ポリマーはより結晶性であり、DL−ポリマーより吸収が遅い。グリコリドおよびDL−ラクチド又はLラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーは市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーもまた、市販されている。
【0087】
生体分解性ポリマーがポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)である場合、ポリマー中のラクチドおよびグリコリドの量は変動し得る。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、0から100モル%、40から100モル%、50から100モル%、60から100モル%、70から100モル%、または80から100モル%までのラクチド、および0から100モル%、0から60モル%、10から40モル%、20から40モル%、または30から40モル%までのグリコリドを含有し、ラクチドおよびグリコリドの量は100モル%である。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、50:50ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であり、比はモル比である。
【0088】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよい。一態様において、ポリマーは、様々な態様において95:5ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、または50:50ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよく、比はモル比である。
【0089】
一態様において、弾性バンド複合材は、ターポリマーを含んでもよい。一態様において、ターポリマーは、2008年11月12日出願の米国特許出願公開第12/269135号(米国特許公開第2009/0124535号)に開示されるターポリマーであり、この参照によりそのターポリマーおよび本開示の考慮される部分の教示の全てが本明細書に組み込まれる。
【0090】
そのコポリマー、その混合物、またはそのブレンドを含むがそれらに限定されない、上述の生体分解性ポリマーの任意の組合せを使用することができることが理解される。同様に、生体分解性ポリマーの残基が開示される場合、開示される残基を有する任意の好適なポリマー、コポリマー、混合物、またはブレンドもまた開示されるとみなされることが理解される。この目的のために、複数の残基が個々に開示される場合(すなわち、別のものとの組合せではない)、個々の残基の任意の組合せが使用され得ることが理解される。さらに、上記ポリマーのいずれも、弾力的に伸長可能なポリマーを達成するために、所望のレベルまで加工(例えば、架橋)されてもよい。追加的な架橋剤が使用されてもよく、および/または既存のポリマーのラジカル、カチオン、またはアニオン架橋が使用されてもよい。
【0091】
一態様において、接着剤は、移植デバイス表面、または対象の組織もしくは流体に接触する、開示される弾性バンド複合材の外側表面上、例えば図4に示される表面420上に存在してもよく、ある特定の態様において、ポリマー自体が、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体が接着し得る接着剤として機能する、粘着性ポリマーであってもよい。上に開示される粘着性ポリマーを作製する方法は、当技術分野において知られている。例えば、添加剤を添加して、接着可能な粘着性ポリマーを提供することができる。一態様において、粘着性ポリマーは、約室温未満のガラス転移温度を有する上に開示されるポリマーを含む、約室温未満のTgを有する粘着性ポリマーであってもよい。したがって、ある特定の態様において、弾力的に伸長可能なポリマーは、粘着性ポリマーの使用により、開示される移植デバイス、対象の組織もしくは流体に、共に弾性的および接着により接触し得る。
【0092】
さらなる態様において、ポリマーとは別個の接着剤が、弾力的に伸長可能なポリマー上にあってもよい。接着剤は、任意の所望の接着剤であってよい。好適な接着剤は、熱可塑性樹脂、糖タンパク質、ムコ多糖類、生体接着剤、炭水化物、デンプン、デキストリン、糖類、ゼラチン、エポキシ、アクリル系、ゴム、シリコーン、ポリウレタン、粘着剤、ポリエステル、ポリエーテル、ポリクロロプレン、天然ゴム、過酸化物、シラン、イソシアネート、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを含むが、それらに限定されない。
【0093】
一態様において、接着剤は、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを制限なく含む、生体分解性接着剤であってもよい。
【0094】
接着剤は、当技術分野において知られた方法により、ポリマーの第1の表面に適用することができる。接着剤は、例えば、ポリマーの第1の表面上への接着剤組成物のスピンコーティング、ドロップキャスティング、はけ塗り、または噴霧により適用することができる。
【0095】
また、移植用弾性バンド複合材を備えるキットも開示される。キットは、1つ以上の開示される移植用複合材をパッケージとして備えることができる。一態様において、キットは、同じ移植用複合材を備えることができる。別の態様において、キットは、異なる移植用複合材の混合物を備えることができる。例えば、キットは、それぞれ異なるサイズを有する移植用複合材のいくつかの組を備えてもよい。そのようなキットは、移植用複合材の使用場所での適用に有用となり得、例えば1つのキットが、複数の異なる移植デバイスとサイズが適合する移植用複合材を提供し得る。
【0096】
また、移植用弾性バンド複合材を備える移植デバイスも開示される。デバイスは、デバイスの少なくとも1つの寸法において、長さが1mmを超える任意の調合物または物品であってもよい。デバイスは、開示される移植用複合材を備えることができる。さらなる態様において、デバイスは、1mmから50mmまで、1.2mmから45mmまで、1.4mmから42mmまで、1.6mmから40mmまで、1.8mmから38mmまで、または2.0mmから36mmまで、5.0mmから33mmまで、または10mmから30mmまでの1つの寸法を有する。さらなる態様において、デバイスは、3cmを超え、さらに10cm、20cm、またはさらに30cm以上までの1つの寸法を有する。
【0097】
一態様において、移植デバイスは、移植デバイスの少なくとも一部と弾性的に接触する、開示される移植用複合材を備える。
【0098】
移植デバイスは、棒、繊維、円筒、ビーズ、リボン、ディスク、ウエハ、自由形状整形固体、または様々な他の整形固体等、任意の形状を有し得る。デバイスは、任意の規則的または不規則的形状を有し得、円形、長方形、三角形、楕円等の任意の断面を有し得る。さらなる態様において、デバイスは、移植用ポンプの典型的な形状等、円筒形状を有する。
【0099】
移植片は、金属(例えば、チタン)、金属複合材、有機材料、ポリマー、またはさらにセラミック材料等の任意の好適な材料を含み得る。移植片の表面は、任意の整形表面であってもよく、ある特定の移植片に存在するような、多孔性、ビーズ状またはメッシュ状の内部成長表面を有してもよい。
【0100】
移植デバイスは、任意の種類の医療移植片であってもよい。移植デバイスは、例えば、薬物送達ポンプを含む薬物送達用移植片;脊椎移植片、骨融合もしくは骨修復用移植片を含む整形外科用移植片;固有の薬物送達能力を有するステントを含む医療用ステント;乳房用移植片、筋肉用移植片等を含む人工装具移植片;歯科用移植片;人工内耳および補聴器を含む耳用移植片;ペースメーカー、カテーテル等を含む心臓用移植片;空間充填用移植片;生体電気移植片;神経用移植片;透析グラフトを含む内臓用移植片;除細動器;監視デバイス;記録デバイス;脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器;移植型識別デバイスおよび情報チップ;人工器官;薬物投与デバイス;移植型センサ/バイオセンサ;ネジ;管;ロッド;プレート;または人工関節を含み得る。
【0101】
さらなる態様において、移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または、脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、または隔膜刺激器を含む刺激器のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0102】
図5を参照すると、移植デバイス500は、デバイス500の少なくとも一部、または全体と接触している弾性バンド520を備える移植用弾性バンド複合材を備える、第1の移植デバイス表面510を備えることができる。図5に示されるデバイスは、移植用ポンプである。
【0103】
移植デバイスが対象内に置かれると、ポリマーは分解して、生物活性薬剤を、移植部位に隣接する組織内またはその近くで放出させることができる。望ましい場合、複数の移植用複合材が、移植デバイスに適用され得る。さらに、移植用複合材がその意図される目的を果たしたら、移植用複合材は、移植デバイスから隣接する組織または流体中に脱落し得る。
【0104】
開示される移植用複合材とともに使用されると有益となり得る他の移植デバイスは、1つ以上の活性表面、例えば、組織もしくは流体と移植デバイスとの間の接続を向上させる表面、または創傷治癒を可能にする、もしくは向上させる表面を有する移植デバイスを含む。開示される移植用複合材は、移植デバイスの一部のみに適用されると効果的となり得、移植デバイスが対象内に移植された際に任意の活性表面の露出を維持して機能的とすることができる。
【0105】
上述のように、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を送達することが望ましくなり得る。生物活性薬剤は、感染などの移植片に関連した問題のいくつかを防止する、または移植片自体の機能を向上させるのに役立つことができる。また、上述のように、生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造することを回避するのも望ましくなり得る。本明細書に開示される複合材、方法、およびキットは、移植デバイスの表面上への移植用複合材の使用場所での適用を可能とし、それにより生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造する必要性を排除することができる。
【0106】
一態様において、移植用弾性バンド複合材は、使用時点に近い時点で、または使用している間に移植デバイス表面に適用され得る。例えば、移植用複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、移植用複合材を移植デバイスの表面上に固定することにより、移植デバイスに適用され得る。一態様において、移植用複合材は、例えば医師または看護婦により、手術室内で移植デバイスに適用され得る。
【0107】
移植用弾性バンド複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点の前、その時点または後に、移植デバイスの表面に固定され得る。一態様において、弾性バンド複合材を備える移植デバイスが、対象内に移植され得る。さらなる態様において、移植デバイスが対象内に移植され得、次いで弾性バンド複合材が移植デバイスの表面に適用され得る。より小さい移植片を移植する場合、まず弾性バンド複合材を移植デバイス表面に適用することが有益となり得る。
【0108】
一態様において、弾性バンド複合材は、例えば23時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、5時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、2分以内、30秒以内、または移植手術中を含む、移植手術の同日(すなわち、24時間以内)に移植デバイスの表面に固定され得る。
【0109】
所望の場合は、移植デバイスを含むまたは含まない、弾性バンド複合材自体が、対象の組織または流体の上または中に移植され得る。一態様において、弾性バンド複合材は、移植部位の近くまたはそれに隣接する組織または流体の上または中、すなわち、移植デバイスが移植された部位、または所望の移植部位の近くまたはそれに隣接した部位に移植され得る。
【0110】
典型的には、弾性バンド複合材を移植デバイスに適用する前に、いかなる表面汚染物質も除去しポリマーの良好な接着を促進するために、移植デバイス表面を清浄化または処理することができる。例えば、弾性バンド複合材および/または移植デバイスは、例えば水蒸気下での高圧蒸気殺菌法により滅菌することができる。しかしながら、いくつかの態様において、弾力的に伸長可能なポリマーを変形する不可逆性を回避するように注意が必要となり得る。次いで、弾性バンド複合材、または弾性バンド複合材を備える移植デバイスは、既知の手術手技を用いて対象内に移植することができる。ある特定の態様において、滅菌された容器またはパッケージ内に、弾性バンド複合材または複合材を備えるキットを保存することが望ましくなり得る。一態様において、キットは、弾性バンド複合材の滅菌されたパッケージを備えることができる。
【0111】
開示される方法は、放出可能な生物活性薬剤を備える、開示される全ての弾性バンド複合材とともに使用することができる。一態様において、方法は、弾力的に伸長可能なポリマーを伸長させ、それにより少なくとも1つのポリマー表面により画定される開口の直径を増加させることを含む。伸長の程度は、典型的には、移植用デバイスまたは弾性バンド複合材を受容する組織のサイズに影響される。ポリマーが伸長されたら、移植片、組織または流体の周囲に弾性バンド複合材を設置し、続いて伸長力を低減させて、弾性バンド複合材を弛緩させ、移植デバイスの少なくとも一部または全表面に弾性的に接触させることができる。任意選択で、弾性バンド複合材の移植デバイスへの固定を補助するために、ポリマーの第1の表面の一部もしくは全体に、または、移植デバイス表面の一部もしくは全体に接着剤を適用することができる。
【0112】
移植デバイスは、任意の所望の対象内に移植することができる。対象は、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類等の脊椎動物であってもよい。本明細書に開示される方法の対象は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類であってもよい。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成獣および新生動物対象、ならびに胎児が、雄または雌を問わず含まれることが意図される。
【0113】
iii)移植用可撓性本体複合材
一態様において、移植用複合材は、移植用可撓性本体複合材である。可撓性本体複合材は、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体に適用され得る。可撓性本体複合材は、生物活性薬剤を対象内に放出することができる。本明細書に記載の複合材は、生物活性薬剤の制御放出、持続放出、調節放出、徐放、パルス放出、遅延放出、またはプログラム放出を可能とする。
【0114】
一態様において、可撓性本体複合材は、第1の端部と第2の端部とを有し、放出可能な生物活性薬剤を有する生体適合性ポリマーを備える、実質的に可撓性の細長い本体を備え、実質的に可撓性の細長い本体の第1の部分は、実質的に可撓性の細長い本体の第2の部分に接続されて実質的に連続的なループを形成し得る。
【0115】
さらなる態様において、可撓性本体複合材は、第1の端部と第2の端部とを有する、実質的に可撓性の細長い本体と、実質的に可撓性の細長い本体の第1の部分を、実質的に可撓性の細長い本体の第2の部分に接続し、それにより実質的に連続的なループを形成するための手段と、を備え、実質的に可撓性の細長い本体は、生体適合性ポリマーと、放出可能な生物活性薬剤とを備える。
【0116】
可撓性本体複合材は、任意の所望のサイズを有し得る。一般に、可撓性本体複合材のサイズ選択は、生物活性薬剤の所望の投入量により影響され得る。一般的に、所望の生物活性薬剤が多いほど、可撓性本体複合材は大きくなる。また、サイズは、実質的に可撓性の細長い本体の所望の放出特性を提供するように選択され得る。さらに、可撓性本体複合材が移植デバイスに適用される場合、移植デバイスのサイズは、可撓性本体複合材のサイズを選択する際に重要となり得る。例えば、移植デバイス表面の一部が露出したままであることが望ましくなり得る。これらの場合において、移植片のサイズは、移植デバイス表面を完全には被覆しないように選択され得る。
【0117】
可撓性本体複合材は、任意の所望のサイズを有し得る。例えば、第1の端部が第2の部分に接続された可撓性本体複合材は、約1cmから約50cm以上まで、約5cmから約25cmまで、または約7cmから約15cmまでを制限なく含む直径を有してもよく、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、または45cm以上の直径を有する1つ以上の開口を備える可撓性本体複合材を含む。さらに、可撓性本体複合材は、例えば約0.1cmから約1cmまでを含む、約1cm未満の直径を有してもよい。同様に、第1の部分が第2の部分に接続されていない可撓性本体複合材は、任意の所望の長さを有し得る。一態様において、可撓性本体複合材は、約1cmから約500cm以上まで、約5cmから約400cmまで、約20cmから約200cmまで、または約50cmから約100cmまでの長さ(すなわち、第1の端部から第2の端部までの距離)を有してもよく、約2、3、4、5、8、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、または500cm以上の長さを有する可撓性本体複合材を含む。
【0118】
一態様において、実質的に可撓性の細長い本体の第1の部分を、実質的に可撓性の細長い本体の第2の部分に接続して、実質的に連続的なループを形成することができる。さらなる態様において、実質的に可撓性の細長い本体は、本体の第1の部分を本体の第2の部分に接続するための手段を備える。機械的接続、または機械的接続手段は、任意の所望の接続を含み得る。一態様において、機械的接続、または機械的接続手段は、ジップタイ接続、ケーブルタイ接続、例えば、ツイストタイ接続と同様の、第1の部分が第2の部分の周囲でねじられるものを含む係止接続、スナップ接続、ジッパーもしくはジッパー様接続、または当技術分野において知られた任意の他の接続を含み得る。
【0119】
一態様において、機械的接続、または機械的接続手段は、ジップタイ接続を含む。図6Aおよび6Bを参照すると、可撓性本体複合材600は、第1の部分620の少なくとも一部または全体に沿って一連の隆線640を備える第1の部分620を備えてもよく、第2の部分630は、第1の部分620が第2の部分630の受容開口650に挿入された時に一連の隆線640の少なくとも一部または全てにしっかりと係合する隆線状係合歯660(複数を含む)を備える受容開口650を備える。図6Bに示されるように、第1の部分620は、第2の部分630の受容開口650に挿入され、第2の部分の1つ以上の隆線状係合歯660により係合される。
【0120】
一態様において、実質的に可撓性の細長い本体は、半剛性ポリマー、またはエラストマーではないが硬質繊維ほど剛性でもないポリマーを含んでもよい。いくつかの態様において、実質的に可撓性の細長い本体は、可撓性本体複合材を移植デバイス、対象の組織または流体に機械的に固定させるのに十分可撓性であるべきである。一態様において、実質的に可撓性の細長い本体は、可撓性プラスチック等のプラスチックであってもよい。好適な可撓性プラスチックは、中程度から高程度の結晶性の範囲を示す可撓性プラスチックである。典型的には、可撓性プラスチックは、約10,000N/cm2から約400,000N/cm2までの力係数、および約1000N/cm2から約10,000N/cm2までの引張強度を有する。一態様において、可撓性プラスチックは、約10%から約1000%までの最終伸長率を有し得る。例えば、ポリエチレンは、約2500N/cm2の引張強度、約20,000N/cm2の力係数、約500%の最終伸長率を有する典型的な可撓性プラスチックである。他の典型的な可撓性プラスチックは、ポリプロペンおよびポリ(ヘキサメチレンアジパミド)を制限なく含む。さらに、以下で考察されるようなポリマーは、可撓性本体複合材の所望の機械的特性、例えば可撓性および剛性を提供するように設計(例えば、架橋または添加剤により加工)され得る。
【0121】
可撓性本体複合材とともに使用される実質的に可撓性の細長い本体は、任意の生体適合性、生体分解性、または非生体分解性ポリマーを含んでもよい。本明細書に記載のポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。ポリマーは、ブロックもしくはブロック状コポリマーもしくはターポリマー、ランダムコポリマーもしくはターポリマー、星型ポリマー、またはデンドリマーであってもよい。可撓性本体複合材の所望の特性に依存して、任意の所望の分子量のポリマーを使用することができる。ある特定の態様において、高強度の可撓性本体複合材が望ましい場合、例えば強度要件を満たすために高分子量のポリマーを使用することができる。他の態様において、例えば材料強度よりもポリマーの吸収時間が望ましい場合は、低分子量または中間分子量のポリマーを使用することができる。
【0122】
ポリマーの分子量は、可撓性本体複合材の所望の特性を提供するように選択され得る。ある特定の態様において、実質的に可撓性の細長い本体は、ポリマーの成形複合材を形成することにより提供され得る。そのような態様において、分子量は、十分な成形複合材を形成させるような分子量であるべきである。分子量はまた、実質的に可撓性の細長い本体を弾力的に伸長させるのに好適であるべきである。ポリマーの分子量はまた、分子量がポリマーの生体分解速度に影響するという点からも重要である。生物活性薬剤放出の拡散機構においては、ポリマーは、薬剤の全てがポリマーから放出されるまでは無傷のままであり、その後に分解するべきである。薬剤はまた、ポリマーが生体分解する際にポリマーから放出され得る。ポリマー材料の適切な選択により、ポリマー調合物は、得られる生体分解性ポリマーが拡散放出特性および生体分解放出特性の両方を示すように作製され得る。分子量は、他の方法の中でも、ゲル濾過クロマトグラフィー、粘度、光散乱を含む、当技術分野において知られた方法により測定することができる。
【0123】
実質的に可撓性の細長い本体は、対象内に入ったら、所望の時間間隔以内で分解するように調合され得る。いくつかの態様において、時間間隔は、約1日未満から約1ヶ月までとなり得る。より長い時間間隔は、例えば約0ヶ月以上から約6ヶ月まで、または約1ヶ月から約6ヶ月まで分解するポリマーマトリックスを含め、6ヶ月まで延長され得る。他の態様において、ポリマーは、例えば、約0ヶ月以上から約2年まで、または約1ヶ月から約2年までを含む、最長2年以上までのより長い時間間隔で分解し得る。
【0124】
所望の生物活性薬剤放出機構は、ポリマーの選択に影響し得る。生体分解性ポリマーは、可撓性本体複合材が対象内に移植された後所望の経過時間で、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。例えば、ポリマーは、生物活性薬剤がその活性を消失し始める前、生物活性薬剤が活性を消失し始める際、生物活性薬剤が部分的に活性を消失した時、例えば少なくとも25%、少なくとも50%または少なくとも75%が消失した時、生物活性薬剤が活性を実質的に消失した時、または、生物活性薬剤が完全になくなったかもしくはもはや活性を有さなくなったときに、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。
【0125】
一態様において、ポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシバレレート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホスフェート、ポリホスホエステル、ポリジオキサノン、ポリホスホエステル、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンのうちの1つ以上であってもよい。他の非生体分解性であるが耐久性であるポリマーには、制限されることなく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の好適な非生体分解性ポリマーには、制限されることなく、シリコーンおよびポリウレタンが含まれる。
【0126】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、またはポリ(ヒドロキシブチレート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生体分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレート、またはポリヒドロキシバレレートを含有するコポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、およびそれらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、またはブレンドであってもよい。
【0127】
さらなる態様において、有用な生体適合性ポリマーは、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体適合性ポリマーである。さらなる態様において、有用な生体適合性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体適合性ポリマーである。
【0128】
一態様において、有用な生体適合性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せを含む別の生体適合性または生体分解性ポリマーの1つ以上のブロックと組み合わせた、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むがこれらに限定されない、親水性または水溶解性ポリマーの1つ以上のブロックを有する生体適合性ポリマーである。
【0129】
特定の態様において、生体適合性ポリマーは、1つ以上のラクチド残基を有してもよい。ポリマーは、L−ラクチド、D−ラクチド、およびD,L−ラクチド、またはそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、ラクチドの全てのラセミ体および立体特異的形態を含む、任意のラクチド残基を有してもよい。ラクチドを含む有用なポリマーは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、およびポリ(DL−ラクチド);ならびに、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)、およびポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド);または、それらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、もしくはブレンドを含むが、これらに限定されない。ラクチド/グリコリドポリマーは、ラクチドおよびグリコリドモノマーの開環を介した溶融重合により便利に作製され得る。さらに、ラセミDL−ラクチド、L−ラクチドおよびD−ラクチドポリマーは、市販されている。L−ポリマーはより結晶性であり、DL−ポリマーより吸収が遅い。グリコリドおよびDL−ラクチド又はL−ラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーは市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーもまた、市販されている。
【0130】
生体適合性ポリマーがポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)である場合、ポリマー中のラクチドおよびグリコリドの量は変動し得る。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、0から100モル%、40から100モル%、50から100モル%、60から100モル%、70から100モル%、または80から100モル%までのラクチド、および0から100モル%、0から60モル%、10から40モル%、20から40モル%、または30から40モル%までのグリコリドを含有し、ラクチドおよびグリコリドの量は100モル%である。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、50:50ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であり、比はモル比である。
【0131】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよい。一態様において、ポリマーは、様々な態様において95:5ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、または50:50ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよいポリ(ラクチド−カプロラクトン)であってもよく、比はモル比である。
【0132】
一態様において、可撓性本体複合材は、ターポリマーを含んでもよい。一態様において、ターポリマーは、2008年11月12日出願の米国特許出願公開第12/269135号(米国特許公開第2009/0124535号)に開示されるターポリマーであり、この参照によりそのターポリマーおよび本開示の考慮される部分の教示の全てが本明細書に組み込まれる。
【0133】
そのコポリマー、その混合物、またはそのブレンドを含むがそれらに限定されない、上述の生体適合性ポリマーの任意の組合せを使用することができることが理解される。同様に、生体適合性ポリマーの残基が開示される場合、開示される残基を有する任意の好適なポリマー、コポリマー、混合物、またはブレンドもまた開示されるとみなされることが理解される。この目的のために、複数の残基が個々に開示される場合(すなわち、別のものとの組合せではない)、個々の残基の任意の組合せが使用され得ることが理解される。さらに、上記ポリマーのいずれも、実質的に可撓性の細長い本体を達成するために、所望のレベルまで加工(例えば、架橋)されてもよい。追加的な架橋剤が使用されてもよく、および/または既存のポリマーのラジカル、カチオン、またはアニオン架橋が使用されてもよい。
【0134】
所望により、様々な態様において、実質的に可撓性の細長い本体とは別個であってもよい、または実質的に可撓性の細長い本体自体の一部であってもよい接着剤が、移植デバイス表面、または対象の組織もしくは流体に接触する、開示される可撓性本体複合材の1つ以上の表面上に存在してもよい。接着剤は、任意の所望の接着剤であってよい。ある特定の態様において、実質的に可撓性の細長い本体自体が、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体が接着し得る接着剤として機能する、粘着性ポリマーであってもよい。上に開示される粘着性ポリマーを作製する方法は、当技術分野において知られている。例えば、添加剤を添加して、接着可能な粘着性ポリマーを提供することができる。一態様において、粘着性ポリマーは、約室温未満のガラス転移温度を有する上に開示されるポリマーを含む、約室温未満のTgを有する粘着性ポリマーであってもよい。したがって、ある特定の態様において、弾力的に伸長可能なポリマーは、粘着性ポリマーの使用により、開示される移植デバイス、対象の組織もしくは流体に、共に弾性的および接着により接触し得る。ポリマー自体以外の他の好適な接着剤は、熱可塑性樹脂、糖タンパク質、ムコ多糖類、生体接着剤、炭水化物、デンプン、デキストリン、糖類、ゼラチン、エポキシ、アクリル系、ゴム、シリコーン、ポリウレタン、粘着剤、ポリエステル、ポリエーテル、ポリクロロプレン、天然ゴム、過酸化物、シラン、イソシアネート、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを含むが、それらに限定されない。
【0135】
一態様において、接着剤は、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを制限なく含む、生体分解性接着剤であってもよい。
【0136】
接着剤は、当技術分野において知られた方法により、ポリマーの第1の表面に適用することができる。接着剤は、例えば、ポリマーの第1の表面上への接着剤組成物のスピンコーティング、ドロップキャスティング、はけ塗り、または噴霧により適用することができる。
【0137】
上述のように、可撓性本体複合材は、生物活性薬剤を備える。生物活性薬剤は、放出可能な生物活性薬剤、すなわち、実質的に可撓性の細長い本体から放出され得る生物活性薬剤であってもよい。ある特定の態様において、生物活性薬剤は、実質的に可撓性の細長い本体内または本体上にあってもよい。
【0138】
また、可撓性本体複合材を備えるキットも開示される。キットは、1つ以上の開示される可撓性本体複合材をパッケージとして備えることができる。一態様において、キットは、同じまたは異なる可撓性本体複合材の混合物を備えることができる。例えば、キットは、それぞれ異なるまたは同じサイズを有する可撓性本体複合材のいくつかの組を備えてもよい。そのようなキットは、可撓性本体複合材の使用場所での適用に有用となり得、例えば1つのキットが、複数の異なる移植デバイスとサイズが適合する可撓性本体複合材を提供し得る。
【0139】
また、可撓性本体複合材を備える移植デバイスも開示される。「デバイス」という用語は、デバイスの少なくとも1つの寸法において、長さが1mmを超える任意の調合物または物品である。デバイスは、開示される可撓性本体複合材を備えることができる。さらなる態様において、デバイスは、1mmから50mmまで、1.2mmから45mmまで、1.4mmから42mmまで、1.6mmから40mmまで、1.8mmから38mmまで、または2.0mmから36mmまで、5.0mmから33mmまで、または10mmから30mmまでの1つの寸法を有する。さらなる態様において、デバイスは、3cmを超え、さらに10cm、20cm、またはさらに30cm以上までの1つの寸法を有する。
【0140】
一態様において、移植デバイスは、移植デバイスの少なくとも一部と接触する、開示される可撓性本体複合材を備える。
【0141】
移植デバイスは、棒、繊維、円筒、ビーズ、リボン、ディスク、ウエハ、自由形状整形固体、または様々な他の整形固体等、任意の形状を有し得る。デバイスは、任意の規則的または不規則的形状を有し得、円形、長方形、三角形、楕円等の任意の断面を有し得る。さらなる態様において、デバイスは、移植用ポンプの典型的な形状等、円筒形状を有する。
【0142】
移植片は、金属(例えば、チタン)、金属複合材、有機材料、ポリマー、またはさらにセラミック材料等の任意の好適な材料を含み得る。移植片の表面は、任意の整形表面であってもよく、ある特定の移植片に存在するような、多孔性、ビーズ状またはメッシュ状の内部成長表面を有してもよい。
【0143】
移植デバイスは、任意の種類の医療移植片であってもよい。移植デバイスは、例えば、薬物送達ポンプを含む薬物送達用移植片;脊椎移植片、骨融合もしくは骨修復用移植片を含む整形外科用移植片;固有の薬物送達能力を有するステントを含む医療用ステント;乳房用移植片、筋肉用移植片等を含む人工装具移植片;歯科用移植片;人工内耳および補聴器を含む耳用移植片;ペースメーカー、カテーテル等を含む心臓用移植片;空間充填用移植片;生体電気移植片;神経用移植片;透析グラフトを含む内臓用移植片;除細動器;監視デバイス;記録デバイス;脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器;移植型識別デバイスおよび情報チップ;人工器官;薬物投与デバイス;移植型センサ/バイオセンサ;ネジ、管、ロッド、プレート、または人工関節を含み得る。
【0144】
さらなる態様において、移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または、脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0145】
図7を参照すると、移植デバイス700は、デバイス700の少なくとも一部、または全体と接触している実質的に可撓性の細長い本体720を備える可撓性本体複合材を備える、第1の移植デバイス表面710を備えることができる。図7に示されるデバイスは、移植用ポンプである。
【0146】
移植デバイスが対象内に置かれると、実質的に可撓性の細長い本体は分解して、生物活性薬剤を、移植部位に隣接する組織内またはその近くで放出させることができる。望ましい場合、複数の可撓性本体複合材が、移植デバイスに適用され得る。
【0147】
開示される可撓性本体複合材とともに使用されると有益となり得る他の移植デバイスは、1つ以上の活性表面、例えば、組織もしくは流体と移植デバイスとの間の接続を向上させる表面、または創傷治癒を可能にする、もしくは向上させる表面を有する移植デバイスを含む。開示される可撓性本体複合材は、移植デバイスの一部のみに適用されると効果的となり得、移植デバイスが対象内に移植された際に任意の活性表面の露出を維持して機能的とすることができる。
【0148】
上述のように、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を送達することが望ましくなり得る。生物活性薬剤は、感染などの移植片に関連した問題のいくつかを防止する、または移植片自体の機能を向上させるのに役立つことができる。また、上述のように、生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造することを回避するのも望ましくなり得る。本明細書に開示される複合材、方法、およびキットは、移植デバイスの表面上への可撓性本体複合材の使用場所での適用を可能とし、それにより生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造する必要性を排除することができる。
【0149】
一態様において、可撓性本体複合材は、使用時点に近い時点で、または使用している間に移植デバイス表面に適用され得る。例えば、可撓性本体複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、可撓性本体複合材を移植デバイスの表面上に固定することにより、移植デバイスに適用され得る。一態様において、可撓性本体複合材は、例えば医師または看護婦により、手術室内で移植デバイスに適用され得る。
【0150】
可撓性本体複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点の前または後に、移植デバイスの表面に固定され得る。一態様において、可撓性本体複合材を備える移植デバイスが、対象内に移植され得る。さらなる態様において、移植デバイスが対象内に移植され得、次いで可撓性本体複合材が移植デバイスの表面に適用され得る。より小さい移植片を移植する場合、デバイスを対象に移植する前に、まず可撓性本体複合材を移植デバイス表面に固定することが有益となり得る。
【0151】
一態様において、可撓性本体複合材は、例えば23時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、5時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、2分以内、30秒以内、または移植手術中を含む、移植手術の同日(すなわち、24時間以内)に移植デバイスの表面に固定され得る。
【0152】
所望の場合は、移植デバイスを含むまたは含まない、可撓性本体複合材自体が、対象の組織または流体の上または中に移植され得る。一態様において、可撓性本体複合材は、移植部位の近くまたはそれに隣接する組織または流体の上または中、すなわち、移植デバイスが移植された部位、または所望の移植部位の近くまたはそれに隣接した部位に移植され得る。
【0153】
典型的には、可撓性本体複合材を移植デバイスに適用する前に、いかなる表面汚染物質も除去し実質的に可撓性の細長い本体の良好な接着を促進するために、移植デバイス表面を清浄化または処理することができる。例えば、可撓性本体複合材および/または移植デバイスは、例えば水蒸気下での高圧蒸気殺菌法により滅菌することができる。しかしながら、いくつかの態様において、実質的に可撓性の細長い本体を変形する、または実質的に可撓性の細長い本体を溶融する不可逆性を回避するように注意が必要となり得る。次いで、可撓性本体複合材、または可撓性本体複合材を備える移植デバイスは、既知の手術手技を用いて対象内に移植することができる。ある特定の態様において、滅菌された容器またはパッケージ内に、可撓性本体複合材または複合材を備えるキットを保存することが望ましくなり得る。一態様において、キットは、可撓性本体複合材の滅菌されたパッケージを備えることができる。
【0154】
開示される方法は、放出可能な生物活性薬剤を備える、開示される全ての可撓性本体複合材とともに使用することができる。一態様において、方法は、可撓性本体複合材を、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体の少なくとも第1の表面の周囲に固定することを含む。例えば、可撓性本体複合材は、移植デバイスの周囲に巻かれてもよく、可撓性本体複合材の第1の部分は、上述のように、機械的接続、または機械的接続手段を介して可撓性本体複合材の第2の部分に接続されてもよい。任意選択で、可撓性本体複合材の移植デバイスへの固定を補助するために、実質的に可撓性の細長い本体の第1の表面の一部もしくは全体に、または、移植デバイス表面の一部もしくは全体に接着剤を適用することができる。
【0155】
移植デバイスは、任意の所望の対象内に移植することができる。対象は、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類等の脊椎動物であってもよい。本明細書に開示される方法の対象は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類であってもよい。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成獣および新生動物対象、ならびに胎児が、雄または雌を問わず含まれることが意図される。
【0156】
iv)接着性生体適合性ターポリマー組成物
別の態様において、接着性生体適合性ターポリマー組成物が開示される。一態様において、組成物は、接着生体適合性ターポリマーと放出可能な生物活性薬剤とを含む生物活性薬剤送達組成物である。また、開示される組成物を備えるキットも開示される。また、キットであって、1)接着生体適合性ターポリマーと、2)生物活性薬剤と、を備え、ターポリマーおよび生物活性薬剤は分離されているキットも開示される。また、第1の移植デバイス表面を有する移植デバイスであって、開示される組成物を、第1の移植デバイス表面の少なくとも一部上に備える、移植デバイスも開示される。また、生物活性組成物を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、開示される組成物を移植デバイスの表面上に適用することを含む方法も開示される。また、コーティングを移植デバイスに適用する方法であって、1)接着生体適合性ターポリマーと、2)開示されるキットの生物活性薬剤とを含むコーティングを、移植デバイスの表面上に適用することを含む方法も開示される。また、生物活性組成物を調合するための方法であって、接着生体適合性ターポリマーと生物活性薬剤とを混合し、それにより生物活性組成物を形成することを含む方法も開示される。
【0157】
組成物とともに使用されるターポリマーは、任意の好適な生体適合性ターポリマーであってよい。一態様において、ターポリマーは、生体分解性または非生体分解性ターポリマーである。ポリマーは、ブロックもしくはブロック状ターポリマー、ランダムターポリマー、または星型ターポリマーであってもよい。組成物の所望の特性に依存して、任意の所望の分子量のターポリマーを使用することができる。ある特定の態様において、高強度の組成物が望ましい場合、例えば強度要件を満たすために高分子量のターポリマーを使用することができる。他の態様において、例えば材料強度よりもターポリマーの吸収時間が望ましい場合は、低分子量または中間分子量のターポリマーを使用することができる。
【0158】
ターポリマーの分子量は、組成物の所望の特性を提供するように選択され得る。ある特定の態様において、ターポリマーは、ターポリマーの接着調合物を形成することにより提供され得る。そのような態様において、分子量は、満足のいく調合物を形成するように十分高いまたは低い分子量であるべきである。ターポリマーの分子量はまた、分子量がターポリマーの生体分解速度に影響するという点からも重要である。生物活性薬剤放出の拡散機構においては、ターポリマーは、薬剤の全てがターポリマーから放出されるまでは無傷のままであり、その後に分解するべきである。薬剤はまた、ターポリマーが生体分解する際にターポリマーから放出され得る。ポリマー材料の適切な選択により、ターポリマー調合物は、得られる生体分解性ターポリマーが拡散放出特性および生体分解放出特性の両方を示すように作製され得る。分子量は、他の方法の中でも、ゲル濾過クロマトグラフィー、粘度、光散乱を含む、当技術分野において知られた方法により測定することができる。
【0159】
生体分解性ターポリマーは、対象内に入ったら、所望の時間間隔以内で分解するように調合され得る。いくつかの態様において、時間間隔は、約1日未満から約1ヶ月までとなり得る。より長い時間間隔は、例えば約0ヶ月以上から約6ヶ月まで、または約1ヶ月から約6ヶ月まで分解するターポリマーマトリックスを含め、6ヶ月まで延長され得る。他の態様において、ターポリマーは、例えば、約0ヶ月以上から約2年まで、または約1ヶ月から約2年までを含む、最長2年以上までのより長い時間間隔で分解し得る。
【0160】
所望の生物活性薬剤放出機構は、ターポリマーの選択に影響し得る。組成物は、組成物が対象内に移植された後所望の経過時間で、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。一態様において、組成物またはターポリマーは、生物活性薬剤がその活性を消失し始める前、生物活性薬剤が活性を消失し始める際、生物活性薬剤が部分的に活性を消失した時、例えば少なくとも25%、少なくとも50%または少なくとも75%が消失した時、生物活性薬剤が活性を実質的に消失した時、または、生物活性薬剤が完全になくなったかもしくはもはや活性を有さなくなったときに、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。
【0161】
一態様において、ターポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシバレレート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホスフェート、ポリホスホエステル、ポリジオキサノン、ポリホスホエステル、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンのうちの1つ以上を含むターポリマーであってもよい。他の非生体分解性であるが耐久性であるポリマーには、制限されることなく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の好適な非生体分解性ターポリマーには、制限されることなく、シリコーンおよびポリウレタンを含む非生体分解性ターポリマーが含まれる。
【0162】
さらなる態様において、ターポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、またはポリ(ヒドロキシブチレート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生体分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレート、またはポリヒドロキシバレレートを含有するコポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、および組合せ、またはブレンドを含むターポリマーであってもよい。
【0163】
さらなる態様において、有用な生体分解性ターポリマーは、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体分解性ターポリマーである。さらなる態様において、有用な生体分解性ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体分解性ポリマーである。
【0164】
一態様において、有用な生体分解性ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せを含む別の生体適合性または生体分解性ターポリマーの1つ以上のブロックと組み合わせた、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むがこれらに限定されない、親水性または水溶解性ポリマーの1つ以上のブロックを有する生体分解性ターポリマーである。
【0165】
特定の態様において、生体分解性ターポリマーは、1つ以上のラクチド残基を有してもよい。ターポリマーは、L−ラクチド、D−ラクチド、およびD,L−ラクチド、またはそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、ラクチドの全てのラセミ体および立体特異的形態を含む、任意のラクチド残基を有してもよい。ラクチドを含む有用なターポリマーは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、およびポリ(DL−ラクチド);ならびに、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)、およびポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド);または、それらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、もしくはブレンドを含むターポリマーを含むが、これらに限定されない。ラクチド/グリコリドターポリマーは、ラクチドおよびグリコリドモノマーの開環を介した溶融重合により便利に作製され得る。さらに、ラセミDL−ラクチド、L−ラクチドおよびD−ラクチドポリマーは、市販されている。L−ポリマーはより結晶性であり、DL−ポリマーより吸収が遅い。グリコリドおよびDL−ラクチド又はL−ラクチドを含むターポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーは市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーもまた、市販されている。これらのポリマーを組み合わせてターポリマーを形成することができる。
【0166】
生体分解性ターポリマーがポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)を含むターポリマーである場合、ターポリマー中のラクチドおよびグリコリドの量は変動し得る。さらなる態様において、生体分解性ターポリマーは、0から100モル%、40から100モル%、50から100モル%、60から100モル%、70から100モル%、または80から100モル%までのラクチド、および0から100モル%、0から60モル%、10から40モル%、20から40モル%、または30から40モル%までのグリコリドを含有し、ラクチドおよびグリコリドの量は100モル%である。さらなる態様において、生体分解性ターポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、50:50ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を含むターポリマーであり、比はモル比である。
【0167】
さらなる態様において、ターポリマーは、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)を含むターポリマーであってもよい。一態様において、ターポリマーは、様々な態様において95:5ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、または50:50ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよいポリ(ラクチド−カプロラクトン)を含むターポリマーであってもよく、比はモル比である。
【0168】
さらなる態様において、ターポリマーは、ラクチド(DもしくはL)、グリコリド、またはカプロラクトンのうちの少なくとも1つ、または全てを含み得る。ラクチド(DもしくはL)、グリコリド、またはカプロラクトンのうちの任意の2つは、存在する場合、他方に対して任意の所望の比率で存在し得る。一態様において、ターポリマーは、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン)であってもよい。さらなる態様において、ターポリマーは、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン)であってもよい。ラクチド対グリコリド対カプロラクトンの比率は、任意の所望の比率であってもよい。一態様において、ラクチド体グリコリド対カプロラクトンの比率は、20:30:50である。一態様において、ターポリマーは、少なくとも1つのエステルエンドキャップを有するポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン)であり、ラクチド対グリコリド対カプロラクトンの比率は、20:30:50であり、約0.1dL/gの粘度を有する(20:30:50 DLGCL 1Eと略される)。
【0169】
さらなる態様において、ターポリマーは、任意選択でエンドキャップされたポリエチレングリコールを含むターポリマーであってもよい。任意選択でエンドキャップされたポリエチレングリコールの例には、制限されることなく、とりわけ、ポリエチレングリコール(エンドキャップされていない)、およびmPEG(メトキシポリ(エチレングリコール)が含まれる。一態様において、ターポリマーは、例えばポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)等の粘着性ターポリマーである。さらなる態様において、ターポリマーは、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)であり、ラクチド対グリコリドの比率は50:50であり、mPEGの分子量は約2000ダルトンである。そのようなターポリマーは、エステルエンドキャップおよび約0.2dL/gの粘度を有する(50:50 DLG mPEG 2000 2Eと略される)。
【0170】
一態様において、ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、任意選択でエンドキャップされたポリエチレングリコール(PEG)、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む。さらなる態様において、ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、およびカプロラクトン残基のターポリマーを含み、ターポリマーは、開始剤の残基である末端基を有し、開始剤は、非結晶性の第一級または第二級アルコールである。さらなる態様において、ターポリマーは、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド−コ−任意選択でエンドキャップされたPEG)、またはポリ(ラクチド−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む。
【0171】
一態様において、ターポリマーは、2008年11月12日出願の米国特許出願公開第12/269135号(米国特許公開第2009/0124535号)に開示されるターポリマーであり、この参照によりそのターポリマーおよび本開示の考慮される部分の教示の全てが本明細書に組み込まれる。
【0172】
その混合物、またはそのブレンドを含むがそれらに限定されない、上述の生体分解性ターポリマーの任意の組合せを使用することができることが理解される。同様に、生体分解性ターポリマーの残基が開示される場合、開示される残基を有する任意の好適なターポリマー、混合物、またはブレンドもまた開示されるとみなされることが理解される。この目的のために、複数の残基が個々に開示される場合(すなわち、別のものとの組合せではない)、個々の残基の任意の組合せが使用され得ることが理解される。
【0173】
一態様において、ターポリマーは、接触表面に粘着することができる接着ターポリマーであってもよい。ある特定の態様において、表面が直接接着し得る接着剤として機能するターポリマー自体が粘着性ターポリマーであってもよい。上に開示される粘着性ポリマーを作製する方法は、当技術分野において知られている。例えば、添加剤を添加して、接着可能な粘着性ターポリマーを提供することができる。一態様において、粘着性ポリマーは、約室温未満のガラス転移温度を有する上に開示されるポリマーを含む、約室温未満のTgを有する粘着性ポリマーであってもよい。他の態様において、ターポリマーは、ゲルまたはゲル様、ワックスまたはワックス様、VASELINE(登録商標)様、粘性、粘着性、またはそれらの組合せであってもよい。
【0174】
上述のように、組成物は、生物活性薬剤を備える。生物活性薬剤は、放出可能な生物活性薬剤、すなわち、ターポリマーから放出され得る生物活性薬剤であってもよい。ある特定の態様において、生物活性薬剤は、ターポリマー内またはターポリマー上にあってもよい。
【0175】
一態様において、ターポリマーは、生物活性薬剤とは別個に保存されてもよく、組成物は、使用時点に近い時点または使用時点に調合されてもよい。そのような態様は、薬物安定性を独立した状態に維持し、および/またはターポリマーの存在に起因する汚染もしくは改変がない状態に維持することを可能にする。また、それらの生体分解性の粘着性ターポリマーの多くは十分に特性決定され、非経口的使用に関して一般にFDAにより認められていることを理解されたい。
【0176】
また、組成物を備えるキットも開示される。キットは、全て1つのユニットとして一緒に封入された、その使用目的に依存して同じまたは異なっていてもよい様々な組成物を有してもよい。
【0177】
さらなる態様において、キットは、1)接着生体適合性ターポリマーと、2)生物活性薬剤と、を備え、ターポリマーおよび生物活性薬剤は分離されている。一態様において、ターポリマーは、第1の容器内に存在し、生物活性薬剤は、第2の容器内に存在する。さらなる態様において、ターポリマーは、第1の分配システム内に存在し、生物活性薬剤は、第2の分配システム内に存在する。ターポリマーおよび生物活性薬剤を含む混合物が形成されるように、第1の分配システムは、ターポリマーを分配することができ、一方第2の分配システムは、活性薬剤を分配することができる。そのようなプロセスは、様々な態様において、第1および/第2の分配システムとしてシリンジを使用して、都合よく行うことができる。
【0178】
様々な態様において上述されるような組成物は、接着生体適合性ターポリマーと生物活性薬剤とを混合して組成物を形成することにより提供され得る。一態様において、ターポリマーおよび生物活性薬剤は、使用時点に近い時点または使用時点まで別個に保存されてもよい。例えば、ターポリマーおよび生物活性薬剤は、開示されるキット内で別個に保存されてもよい。
【0179】
一態様において、生物活性組成物を調合するための方法は、接着生体適合性ターポリマーと生物活性薬剤とを混合し、それにより生物活性組成物を形成することを含む。混合ステップは、任意の時点で行うことができる。一態様において、混合ステップは、使用時点に近い時点もしくは使用時点、または例えば23時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、5時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、2分以内、30秒以内、または移植手術中を含む、移植手術の同日(すなわち、24時間以内)を制限なく含む、移植手術に近い時点もしくは移植手術の時点で行われる。
【0180】
また、組成物を備える移植デバイスも開示される。デバイスは、デバイスの少なくとも1つの寸法において、長さが1mmを超える任意の調合物または物品であってもよい。デバイスは、開示される組成物を備えることができる。さらなる態様において、デバイスは、1mmから50mmまで、1.2mmから45mmまで、1.4mmから42mmまで、1.6mmから40mmまで、1.8mmから38mmまで、または2.0mmから36mmまで、5.0mmから33mmまで、または10mmから30mmまでの1つの寸法を有する。さらなる態様において、デバイスは、3cmを超え、さらに10cm、20cm、またはさらに30cm以上までの1つの寸法を有する。
【0181】
一態様において、移植デバイスは、少なくともその一部上に組成物を備える、少なくとも第1の移植デバイス表面を備え、組成物が、幅寸法より実質的に大きい長さ寸法および厚さ寸法より実質的に大きい幅寸法を有する場合、幅寸法は約2mm未満である。
【0182】
移植デバイスは、棒、繊維、円筒、ビーズ、リボン、ディスク、ウエハ、自由形状整形固体、または様々な他の整形固体等、任意の形状を有し得る。デバイスは、任意の規則的または不規則的形状を有し得、円形、長方形、三角形、楕円等の任意の断面を有し得る。さらなる態様において、デバイスは、移植用ポンプの典型的な形状等、円筒形状を有する。
【0183】
移植片は、金属(例えば、チタン)、金属複合材、有機材料、ポリマー、またはさらにセラミック材料等の任意の好適な材料を含み得る。移植片の表面は、任意の整形表面であってもよく、ある特定の移植片に存在するような、多孔性、ビーズ状またはメッシュ状の内部成長表面を有してもよい。
【0184】
移植デバイスは、任意の種類の医療移植片であってもよい。移植デバイスは、例えば、薬物送達ポンプを含む薬物送達用移植片;脊椎移植片、骨融合もしくは骨修復用移植片を含む整形外科用移植片;固有の薬物送達能力を有するステントを含む医療用ステント;乳房用移植片、筋肉用移植片等を含む人工装具移植片;歯科用移植片;人工内耳および補聴器を含む耳用移植片;ペースメーカー、カテーテル等を含む心臓用移植片;空間充填用移植片;生体電気移植片;神経用移植片;透析グラフトを含む内臓用移植片;除細動器;監視デバイス;記録デバイス;脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器;移植型識別デバイスおよび情報チップ;人工器官;薬物投与デバイス;移植型センサ/バイオセンサ;ネジ;管;ロッド;プレート;または人工関節を含み得る。
【0185】
さらなる態様において、移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または、脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0186】
開示される組成物とともに使用されると有益となり得る他の移植デバイスは、1つ以上の活性表面、例えば、組織もしくは流体と移植デバイスとの間の接続を向上させる表面、または創傷治癒を可能にする、もしくは向上させる表面を有する移植デバイスを含む。開示される組成物は、移植デバイスの一部のみに適用されると効果的となり得、移植デバイスが対象内に移植された際に任意の活性表面の露出を維持して機能的とすることができる。
【0187】
上述のように、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を送達することが望ましくなり得る。生物活性薬剤は、感染などの移植片に関連した問題のいくつかを防止する、または移植片自体の機能を向上させるのに役立つことができる。また、上述のように、生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造することを回避するのも望ましくなり得る。本明細書に開示される組成物、方法、およびキットは、移植デバイスの表面上への組成物の使用場所での適用を可能とし、それにより生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造する必要性を排除することができる。
【0188】
一態様において、組成物またはコーティング(例えば、ターポリマーおよび生物活性薬剤が分離されているコーティング)は、使用時点に近い時点で、または使用している間に移植デバイス表面に適用され得る。例えば、組成物は、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、組成物またはコーティングを移植デバイスの表面上に適用すること(例えば、ラビング、はけ塗り、塗り付け、分配システムまたはキットからの分配等)により、移植デバイスに適用され得る。一態様において、組成物またはコーティングは、例えば医師または看護婦により、手術室内で移植デバイスに適用され得る。
【0189】
さらなる態様において、移植デバイスは、1)接着生体適合性ターポリマーと、2)開示されるキットの生物活性薬剤とを含むコーティングで、移植デバイスの表面上にコーティングされ得る。一態様において、移植デバイスの表面にコーティングが適用される前、その時点、またはその後に、1)接着生体適合性ターポリマーと、2)生物活性薬剤とが混合される。「コーティング」という用語は、デバイス表面上の少なくとも2つのコーティングを制限なく含み、少なくとも2つのコーティングは互いから分離されている。例えば、デバイス表面の第1の領域は、ターポリマーを備えてもよく、デバイス表面の第2の領域は、ターポリマーから分離されている生物活性薬剤を備えてもよい。そのようなコーティングは、デバイス表面上に存在する場合、ターポリマーと生物活性薬剤とを混合することにより、開示される組成物中に形成することができる。デバイス表面上で別個に存在する場合、ターポリマーおよび生物活性薬剤は、既知の方法を使用して、例えば、アプリケータまたはq−チップで2つのコーティングを一緒に塗り付けることにより、混合することができる。さらなる態様において、ターポリマーおよび生物活性薬剤は、混合される。さらなる態様において、ターポリマーおよび生物活性薬剤はまず混合され、次いで組成物として移植デバイス表面に適用される。
【0190】
ターポリマーおよび生物活性薬剤が、使用時点まで互いに別個に保存または保持される場合、ターポリマーおよび生物活性薬剤は、任意の所望の時点で混合され得る。一態様において、接着生体適合性ターポリマーおよび生物活性薬剤は、コーティングをデバイス表面に適用する前に混合される。したがって、この態様において、まずターポリマーおよび生物活性薬剤を含む組成物が、コーティングをデバイス表面に適用する前に形成される。さらなる態様において、上述のように、ターポリマーおよび生物活性薬剤は、それぞれが個々におよび別個にデバイス表面上に存在した後に混合される。さらなる態様において、ターポリマーおよび生物活性薬剤は、それぞれが個々にデバイス表面に適用される時点と同時に、またはそれに近い時点で混合される。
【0191】
組成物およびコーティングは、移植デバイスが対象内に移植される時点の前または後に、移植デバイスの表面に適用され得る。一態様において、組成物および/またはコーティングを備える移植デバイスが、対象内に移植され得る。さらなる態様において、移植デバイスが対象内に移植され得、次いで組成物および/またはコーティングが移植デバイスの表面に適用され得る。より小さい移植片を移植する場合、まず組成物および/またはコーティングを移植デバイス表面に適用することが有益となり得る。
【0192】
一態様において、組成物および/またはコーティングは、例えば23時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、5時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、2分以内、30秒以内、または移植手術中を含む、移植手術の同日(すなわち、24時間以内)に移植デバイスの表面に適用され得る。
【0193】
所望の場合は、移植デバイスを含むまたは含まない、組成物および/またはコーティング自体が、対象の組織または流体の上または中に移植され得る。一態様において、組成物および/またはコーティングは、移植部位の近くまたはそれに隣接する組織または流体の上または中、すなわち、移植デバイスが移植された部位、または所望の移植部位の近くまたはそれに隣接した部位に移植され得る。
【0194】
典型的には、組成物および/またはコーティングを移植デバイスに適用する前に、いかなる表面汚染物質も除去しターポリマーの良好な接着を促進するために、移植デバイス表面を清浄化または処理することができる。例えば、組成物、コーティングおよび/または移植デバイスは、滅菌することができる。次いで、組成物および/もしくはコーティング、または組成物および/もしくはコーティングを備える移植デバイスは、既知の手術手技を用いて対象内に移植することができる。ある特定の態様において、滅菌された容器またはパッケージ内に、組成物、その成分、または組成物もしくはその成分を備えるキットを保存することが望ましくなり得る。一態様において、キットは、上述のように、組成物またはその成分の滅菌されたパッケージを備えることができる。
【0195】
一態様において、開示される方法は、放出可能な生物活性薬剤を含む組成物とともに使用することができる。さらなる態様において、方法は、接着生体適合性ターポリマーと生物活性薬剤とを含む組成物とともに使用することができる。組成物は、移植片の表面を、ターポリマー組成物またはその成分と接触させることにより、移植片の表面、または対象の組織もしくは流体に適用することができる。
【0196】
移植デバイスは、任意の所望の対象内に移植することができる。対象は、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類等の脊椎動物であってもよい。本明細書に開示される方法の対象は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類であってもよい。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成獣および新生動物対象、ならびに胎児が、雄または雌を問わず含まれることが意図される。
【0197】
実施例iv.1(予測)
第1の実施例においては、ターポリマー組成物が提供される。第1のシリンジは、20:30:50 DLGCL 1E等の粘性ターポリマーを含有する。第2のシリンジは、生物活性薬剤を含有し、これはこの場合ポリマー適合性溶媒(DMSO、NMP等)中に溶解または懸濁した溶媒抗生物質である。組成物を移植デバイス表面に適用する前に、2つのシリンジを接続することができ、シリンジプランジャを押して前後させることにより成分を混合することができる。生物活性薬剤含量は、所望の用量に依存して、0.1wt%から約60wt%以上までの範囲となり得る。得られる粘性溶液/懸濁液は、シリンジで直接移植デバイス表面に適用することができる。活性薬剤の制御放出は、上述のように、数時間から数日までの範囲の期間で達成され得る。
【0198】
実施例iv.2(予測)
第2の実施例においては、別のターポリマー組成物が提供される。第1のシリンジは、20:30:50 DLGCL 1E等の粘性ターポリマーを含有する。第2のシリンジは、乾燥粉末の形態の生物活性薬剤を含有する。2つのシリンジを接続し、シリンジプランジャを押して前後させることにより活性薬剤をターポリマーに懸濁させる。得られる粘性懸濁液は、シリンジで直接移植デバイス表面に適用することができる。同様に、薬物含量は、用量および放出速度を制御するために、必要に応じて0.1wt%から約60wt%以上までの範囲となり得る。
【0199】
実施例iv.3(予測)
第3の実施例においては、ターポリマー組成物を提供するための単一シリンジ法が開示される。ターポリマー、活性薬剤、および共溶媒(所望の場合、または必要に応じて)を一緒に組み合わせ、単一シリンジ内に封入することができる。薬物含量は、所望の用量に依存して、0.1wt%から約60wt%以上までの範囲となり得る。得られる粘性溶液/懸濁液は、シリンジで直接移植デバイスの表面に適用することができる。活性薬剤の制御放出は、数時間から数日までの範囲の期間で達成され得る。
【0200】
実施例iv.4(予測)
第4の実施例においては、ターポリマー組成物を備える単一包装システムが提供される。単一シリンジまたは他の好適な包装デバイスは、50:50 DLG mPEG 2000 2E等の粘着性ターポリマーを含有する。第2のシリンジまたは包装デバイスは、乾燥粉末またはフィルムの形態の生物活性薬剤を含有する。粘着性ターポリマーは、移植デバイスの表面上に適用および展着して、それにより、生物活性薬剤調合物を適用することができる接着表面を提供することができる。次いで、生物活性薬剤調合物を、粘着性ターポリマー表面に適用することができる。生物活性薬剤の制御放出は、数時間から数日までの範囲の期間で達成され得る。
【0201】
実施例iv.5(予測)
第5の実施例においては、別のターポリマー組成物が提供される。単一シリンジシステムまたは他の好適な包装デバイスは、50:50 DLG mPEG 2K等のターポリマー、生物活性薬剤、および共溶媒(所望の場合または必要に応じて)を備える。生物活性薬剤含量は、所望の用量に依存して、0.1wt%から約60wt%以上までの範囲となり得る。得られる粘性溶液/懸濁液は、シリンジで直接移植デバイス表面に適用し、デバイスの表面上に展着することができる。活性薬剤の制御放出は、数時間から数日までの範囲の期間で達成され得る。
【0202】
v)移植用吸引カップ複合材
また、本明細書において、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体に適用され得る吸引カップ複合材も記載される。吸引カップ複合材は、生物活性薬剤を対象内に放出することができる。本明細書に記載の複合材は、生物活性薬剤の制御放出、持続放出、調節放出、徐放、パルス放出、遅延放出、またはプログラム放出を可能とする。
【0203】
一態様において、吸引カップ複合材は、空洞を画定し、実質的に平面の縁部を有するカップ部材を備え、カップ部材は、弾力性生体適合性ポリマーを備え、弾力性生体適合性ポリマーは、ポリマー内に配置される生物活性薬剤を備える。一態様において、縁部は、実質的に平面である。さらなる態様において、縁部は、表面に接触する際に実質的に平面となる。したがって、ある特定の態様において、縁部は、実質的に非平面であるが、表面に接触する際に平面となることができる。
【0204】
図8を参照すると、例示的吸引カップ複合材800のカップ部材810は、カップ部材が、凸面と対置する空洞820を画定するように、図示されるように少なくとも1つの凸面を備える。カップ部材が接触表面に接着するのを可能とするために、カップ部材の縁部830は、実質的に平面である。一態様において、開示される吸引カップ複合材は、吸引カップとして機能する。一態様において、凸面は、若干凸型となるだけでもよく、または若干の曲面を有するだけでもよい。
【0205】
吸引カップ複合材は、任意の所望のサイズを有し得る。一般に、吸引カップ複合材のサイズ選択は、生物活性薬剤の所望の投入量により影響され得る。一般的に、所望の生物活性薬剤が多いほど、吸引カップ複合材は大きくなる。また、サイズは、吸引カップ複合材の所望の放出特性を提供するように選択され得る。さらに、吸引カップ複合材が移植デバイスに適用される場合、移植デバイスのサイズは、吸引カップ複合材のサイズを選択する際に重要となり得る。例えば、移植デバイス表面の一部が露出したままであることが望ましくなり得る。これらの場合において、移植片のサイズは、移植デバイス表面を完全には被覆しないように選択され得る。
【0206】
例えば、吸引カップ複合材は、約1cmから約50cm以上まで、約5cmから約25cm以上まで、または約7cmから約15cm以上までのを制限なく含む直径(カップ部材により画定される空洞を横断する最大距離)を有してもよく、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、または45cm以上の直径を有する空洞を備える吸引カップ複合材を含む。さらに、吸引カップ複合材は、例えば約0.1ミクロンから約10mmまで、または約0.1ミクロンから約1cmまでを含む、約1cm未満の直径を有してもよい。同様に、吸引カップ複合材は、様々な態様において、接触表面に適用された吸引カップ複合材の所望の接着強度に依存し得る、任意の所望の空洞深さを有してもよい。一態様において、吸引カップ複合材は、約0.1ミクロンから約500cm以上まで、約5ミクロンから約400cmまで、約20ミクロンから約200cmまで、または約50ミクロンから約100cmまでの空洞深さ(すなわち、最大空洞深さ)を有してもよく、約0.1ミクロン、1ミクロン、50ミクロン、100ミクロン、200ミクロン、1mm、5mm、10mm、20mm、50mm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、8cm、10cm、20cm、30cm、40cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、100cm、150cm、200cm、250cm、300cm、350cm、400cm、450cm、または500cm以上の空洞深さを有する吸引カップ複合材を含む。
【0207】
カップ部材はまた、任意の所望の厚さを有し得る。一態様において、カップ部材は、例えば約50nm(以下)から約1000nm以上までの厚さを有する薄膜と同じ程度薄くてもよい。一態様において、カップ部材は、約1000nmから約500cm、または約5cmから約100cm、または約10cmから約80cm、または約20cmから約50cm以上の厚さを制限なく含む、より大きな厚さを有してもよい。
【0208】
カップ部材は、任意の所望の形状を有し得る。一態様において、平面の縁部は、実質的に円形、実質的に長方形、または実質的に楕円形(長円状)である形状を有する。
【0209】
一態様において、カップ部材は、カップ部材が接触表面に接触した際に変形するのを可能にする機械的特性を有するポリマーを含んでもよい。ポリマーは、変形から回復して吸引カップ複合材を接触表面に接着させるシールを形成することができるように、少なくとも部分的に弾力性であるべきである。
【0210】
一態様において、ポリマーはエラストマーであってもよい。弾性ポリマーは、比較的低い応力で可逆的に延長し得るポリマーである。そのようなポリマーは、非晶質ポリマー、低いガラス転移温度(Tg)を有するポリマー、高いポリマー鎖移動性を有するポリマー、架橋ポリマー、またはそれらの組合せを制限なく含む。一態様において、好適なポリマーは、実質的に非晶質であり、低いTgを有するポリマーである。好適なガラス転移温度は、約25℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約0℃以下、約−10℃以下、約−20℃以下、約−30℃以下、約−40℃以下、約−50℃以下、約−60℃以下、約−70℃以下、または約−70℃未満を制限なく含む。さらなる態様において、好適なポリマーは、架橋したポリマーである。弾性ポリマーのための架橋度は、典型的には、カップ部材の所望の弾力性に基づき選択され得る。一般に、接触表面上のシールを形成する上で効果的な比較的急速な変形およびほぼ完全な可逆性を達成するには、少なくともある程度の架橋度が有用となり得る。
【0211】
好適な弾性ポリマーは、不都合な量の力がなくてもポリマーが伸長し得るように、比較的低い初期の力係数(例えば100N/cm未満)を有し得る。しかしながら、典型的には、力係数は、ポリマーが伸長されると初期の力係数を超えて増加するべきである。ある特定の態様において、高い伸長力で高い強度を維持するために、上述のようにポリマーは架橋していてもよく、および/または、マトリックスに強度を追加する生体適合性充填材料を備えてもよい。さらに、ポリマーは、大きな延長で少量の結晶化が生じるように設計することができ、これにより強制的な伸長の間、ポリマーに強度を追加することができる。
【0212】
さらなる態様において、カップ部材は、より弾力性の低いポリマー、例えば半剛性ポリマー、またはエラストマーではないが硬質繊維ほど剛性でもないポリマーを含んでもよい。そのために、いくつかの態様において、カップ部材は、吸引カップ複合材が変形して接触表面に固定されるのを可能にするのに十分可撓性であるべきである。一態様において、カップ部材は、弾力性の可撓性プラスチック等のプラスチックであってもよい。好適な可撓性プラスチックは、中程度から高程度の結晶性の範囲を示す可撓性プラスチックである。典型的には、可撓性プラスチックは、約10,000N/cm2から約400,000N/cm2までの力係数、および約1000N/cm2から約10,000N/cm2までの引張強度を有する。一態様において、可撓性プラスチックは、約10%から約1000%までの最終伸長率を有し得る。例えば、ポリエチレンは、約2500N/cm2の引張強度、約20,000N/cm2の力係数、約500%の最終伸長率を有する典型的な可撓性プラスチックである。他の典型的な可撓性プラスチックは、ポリプロペンおよびポリ(ヘキサメチレンアジパミド)を制限なく含む。さらに、以下で考察されるようなポリマーは、吸引カップ複合材の所望の機械的特性、例えば可撓性および剛性を提供するように設計(例えば、架橋または添加剤により加工)され得る。
【0213】
吸引カップ複合材とともに使用されるカップ部材は、任意の生体適合性、生体分解性または非生体分解性ポリマーを含み得る。本明細書に記載のポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。ポリマーは、ブロックもしくはブロック状コポリマーもしくはターポリマー、ランダムコポリマーもしくはターポリマー、星型ポリマー、またはデンドリマーであってもよい。吸引カップ複合材の所望の特性に依存して、任意の所望の分子量のポリマーを使用することができる。ある特定の態様において、高強度の吸引カップ複合材が望ましい場合、例えば強度要件を満たすために高分子量のポリマーを使用することができる。他の態様において、例えば材料強度よりもポリマーの吸収時間が望ましい場合は、低分子量または中間分子量のポリマーを使用することができる。一態様において、ポリマーは、2つ以上のポリマーのブレンドとして存在し得る。
【0214】
ポリマーの分子量は、吸引カップ複合材の所望の特性を提供するように選択され得る。ある特定の態様において、吸引カップ複合材は、ポリマーの成形複合材を形成することにより提供され得る。そのような態様において、分子量は、十分な成形複合材を形成させるような分子量であるべきである。分子量はまた、吸引カップ複合材を弾力的に伸長させるのに好適であるべきである。ポリマーの分子量はまた、分子量がポリマーの生体分解に影響するという点からも重要である。生物活性薬剤放出の拡散機構においては、ポリマーは、薬剤の全てがポリマーから放出されるまでは無傷のままであり、その後に分解するべきである。薬剤はまた、ポリマーが生体分解する際にポリマーから放出され得る。ポリマー材料の適切な選択により、ポリマー調合物は、得られる生体分解性ポリマーが拡散放出特性および生体分解放出特性の両方を示すように作製され得る。分子量は、他の方法の中でも、ゲル濾過クロマトグラフィー、粘度、光散乱を含む、当技術分野において知られた方法により測定することができる。
【0215】
吸引カップ複合材は、対象内に入ったら、所望の時間間隔以内で分解するように調合され得る。いくつかの態様において、時間間隔は、約1日未満から約1ヶ月までとなり得る。より長い時間間隔は、例えば約0ヶ月以上から約6ヶ月まで、または約1ヶ月から約6ヶ月まで分解するポリマーマトリックスを含め、6ヶ月まで延長され得る。他の態様において、ポリマーは、例えば、約0ヶ月以上から約2年まで、または約1ヶ月から約2年までを含む、最長2年以上までのより長い時間間隔で分解し得る。
【0216】
所望の生物活性薬剤放出機構は、ポリマーの選択に影響し得る。生体分解性ポリマーは、吸引カップ複合材が対象内に移植された後所望の経過時間で、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。例えば、ポリマーは、生物活性薬剤がその活性を消失し始める前、生物活性薬剤が活性を消失し始める際、生物活性薬剤が部分的に活性を消失した時、例えば少なくとも25%、少なくとも50%または少なくとも75%が消失した時、生物活性薬剤が活性を実質的に消失した時、または、生物活性薬剤が完全になくなったかもしくはもはや活性を有さなくなったときに、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。
【0217】
一態様において、ポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシバレレート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホスフェート、ポリホスホエステル、ポリジオキサノン、ポリホスホエステル、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンのうちの1つ以上であってもよい。他の非生体分解性であるが耐久性であるポリマーには、制限されることなく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の好適な非生体分解性ポリマーには、制限されることなく、シリコーンおよびポリウレタンが含まれる。
【0218】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、またはポリ(ヒドロキシブチレート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生体分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレート、またはポリヒドロキシバレレートを含有するコポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、およびそれらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、またはブレンドであってもよい。
【0219】
さらなる態様において、有用な生体分解性ポリマーは、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体適合性ポリマーである。さらなる態様において、有用な生体分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体分解性ポリマーである。
【0220】
一態様において、有用な生体分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せを含む別の生体適合性または生体分解性ポリマーの1つ以上のブロックと組み合わせた、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むがこれらに限定されない、親水性または水溶解性ポリマーの1つ以上のブロックを有する生体分解性ポリマーである。
【0221】
特定の態様において、生体分解性ポリマーは、1つ以上のラクチド残基を有してもよい。ポリマーは、L−ラクチド、D−ラクチド、およびD,L−ラクチド、またはそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、ラクチドの全てのラセミ体および立体特異的形態を含む、任意のラクチド残基を有してもよい。ラクチドを含む有用なポリマーは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、およびポリ(DL−ラクチド);ならびに、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)、およびポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド);または、それらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、もしくはブレンドを含むが、これらに限定されない。ラクチド/グリコリドポリマーは、ラクチドおよびグリコリドモノマーの開環を介した溶融重合により便利に作製され得る。さらに、ラセミDL−ラクチド、L−ラクチドおよびD−ラクチドポリマーは、市販されている。L−ポリマーはより結晶性であり、DL−ポリマーより吸収が遅い。グリコリドおよびDL−ラクチド又はLラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーは市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーもまた、市販されている。
【0222】
生体分解性ポリマーがポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)である場合、ポリマー中のラクチドおよびグリコリドの量は変動し得る。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、0から100モル%、40から100モル%、50から100モル%、60から100モル%、70から100モル%、または80から100モル%までのラクチド、および0から100モル%、0から60モル%、10から40モル%、20から40モル%、または30から40モル%までのグリコリドを含有し、ラクチドおよびグリコリドの量は100モル%である。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、50:50ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であり、比はモル比である。
【0223】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよい。一態様において、ポリマーは、様々な態様において95:5ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、または50:50ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよいポリ(ラクチド−カプロラクトン)であってもよく、比はモル比である。
【0224】
一態様において、吸引カップ複合材は、ターポリマーを含んでもよい。一態様において、ターポリマーは、2008年11月12日出願の米国特許出願公開第12/269135号(米国特許公開第2009/0124535号)に開示されるターポリマーであり、この参照によりそのターポリマーおよび本開示の考慮される部分の教示の全てが本明細書に組み込まれる。
【0225】
そのコポリマー、その混合物、またはそのブレンドを含むがそれらに限定されない、上述の生体分解性ポリマーの任意の組合せを使用することができることが理解される。同様に、生体分解性ポリマーの残基が開示される場合、開示される残基を有する任意の好適なポリマー、コポリマー、混合物、またはブレンドもまた開示されるとみなされることが理解される。この目的のために、複数の残基が個々に開示される場合(すなわち、別のものとの組合せではない)、個々の残基の任意の組合せが使用され得ることが理解される。さらに、上記ポリマーのいずれも、弾力性カップ部材を達成するために、所望のレベルまで加工(例えば、架橋)されてもよい。追加的な架橋剤が使用されてもよく、および/または既存のポリマーのラジカル、カチオン、またはアニオン架橋が使用されてもよい。
【0226】
所望により、様々な態様において、カップ部材とは別個であってもよい、またはカップ部材自体の一部であってもよい接着剤が、移植デバイス表面、または対象の組織もしくは流体に接触する、開示される吸引カップ複合材の接触縁部上に存在してもよい。接着剤は、任意の所望の接着剤であってよい。ある特定の態様において、カップ部材自体が、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体が接着し得る接着剤として機能する、粘着性ポリマーであってもよい。上に開示される粘着性ポリマーを作製する方法は、当技術分野において知られている。例えば、添加剤を添加して、接着可能な粘着性ポリマーを提供することができる。一態様において、粘着性ポリマーは、約室温未満のガラス転移温度を有する上に開示されるポリマーを含む、約室温未満のTgを有する粘着性ポリマーであってもよい。したがって、ある特定の態様において、弾力的に伸長可能なポリマーは、粘着性ポリマーの使用により、開示される移植デバイス、対象の組織もしくは流体に、共に弾性的および接着により接触し得る。ポリマー自体以外の他の好適な接着剤は、熱可塑性樹脂、糖タンパク質、ムコ多糖類、生体接着剤、炭水化物、デンプン、デキストリン、糖類、ゼラチン、エポキシ、アクリル系、ゴム、シリコーン、ポリウレタン、粘着剤、ポリエステル、ポリエーテル、ポリクロロプレン、天然ゴム、過酸化物、シラン、イソシアネート、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを含むが、それらに限定されない。
【0227】
一態様において、接着剤は、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを制限なく含む、生体分解性接着剤であってもよい。
【0228】
接着剤は、当技術分野において知られた方法により、カップ部材の縁部に適用することができる。接着剤は、例えば、ポリマーの第1の表面上への接着剤組成物のスピンコーティング、ドロップキャスティング、はけ塗り、または噴霧により適用することができる。
【0229】
他の態様において、吸引カップ複合材は、接着剤を含まない。さらなる態様において、吸引カップ複合材の縁部は、接着剤を含まない。開示される吸引カップ複合材は、接着剤を使用することなく接触表面にシールすることができることが理解される。
【0230】
一態様において、吸引カップ部材の縁部を湿らせて、または濡らして、接触表面へのカップ部材の接着を向上させることができる。したがって、一態様において、吸引カップ複合材は、湿らせた縁部を備える。
【0231】
さらなる態様において、カップ部材は、乳白剤を備えてもよい。この態様のために、任意の所望の乳白剤を使用することができる。乳白剤は、蛍光等の乳白剤信号により、または例えば他の診断技術の中でもX線により、対象内の吸引カップ複合材または吸引カップ複合材を備えるデバイスを視認するのに有用となり得る。一態様において、乳白剤は、様々な態様において、例えばとりわけX線等の画像化技術により移植デバイスを可視化する、またはより可視化することができる硫酸バリウムであってもよいが、これに制限されない。
【0232】
上述のように、吸引カップ複合材は、生物活性薬剤を備える。生物活性薬剤は、放出可能な生物活性薬剤、すなわち、吸引カップ複合材から放出され得る生物活性薬剤であってもよい。ある特定の態様において、生物活性薬剤は、カップ部材内またはカップ部材上にあってもよい。さらなる態様において、生物活性薬剤は、ポリマー内に分散されてもよい。
【0233】
また、吸引カップ複合材を備えるキットも開示される。キットは、1つ以上の開示される吸引カップ複合材をパッケージとして備えることができる。一態様において、キットは、同じまたは異なる吸引カップ複合材の混合物を備えることができる。例えば、キットは、それぞれ異なるまたは同じサイズを有する吸引カップ複合材のいくつかの組を備えてもよい。そのようなキットは、吸引カップ複合材の使用場所での適用に有用となり得、例えば1つのキットが、複数の異なる移植デバイスとサイズが適合する吸引カップ複合材を提供し得る。
【0234】
また、吸引カップ複合材を備える移植デバイスも開示される。「デバイス」という用語は、デバイスの少なくとも1つの寸法において、長さが1mmを超える任意の調合物または物品である。デバイスは、開示される吸引カップ複合材を備えることができる。さらなる態様において、デバイスは、1mmから50mmまで、1.2mmから45mmまで、1.4mmから42mmまで、1.6mmから40mmまで、1.8mmから38mmまで、または2.0mmから36mmまで、5.0mmから33mmまで、または10mmから30mmまでの1つの寸法を有する。さらなる態様において、デバイスは、3cmを超え、さらに10cm、20cm、またはさらに30cm以上までの1つの寸法を有する。
【0235】
一態様において、移植デバイスは、移植デバイスの少なくとも一部と接触する、開示される吸引カップ複合材を備える。
【0236】
移植デバイスは、棒、繊維、円筒、ビーズ、リボン、ディスク、ウエハ、自由形状整形固体、または様々な他の整形固体等、任意の形状を有し得る。デバイスは、任意の規則的または不規則的形状を有し得、円形、長方形、三角形、楕円等の任意の断面を有し得る。さらなる態様において、デバイスは、移植用ポンプの典型的な形状等、円筒形状を有する。
【0237】
移植片は、金属(例えば、チタン)、金属複合材、有機材料、ポリマー、またはさらにセラミック材料等の任意の好適な材料を含み得る。移植片の表面は、任意の整形表面であってもよく、ある特定の移植片に存在するような、多孔性、ビーズ状またはメッシュ状の内部成長表面を有してもよい。
【0238】
移植デバイスは、任意の種類の医療移植片であってもよい。移植デバイスは、例えば、薬物送達ポンプを含む薬物送達用移植片;脊椎移植片、骨融合もしくは骨修復用移植片を含む整形外科用移植片;固有の薬物送達能力を有するステントを含む医療用ステント;乳房用移植片、筋肉用移植片等を含む人工装具移植片;歯科用移植片;人工内耳および補聴器を含む耳用移植片;ペースメーカー、カテーテル等を含む心臓用移植片;空間充填用移植片;生体電気移植片;神経用移植片;透析グラフトを含む内臓用移植片;除細動器;監視デバイス;記録デバイス;脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器;移植型識別デバイスおよび情報チップ;人工器官;薬物投与デバイス;移植型センサ/バイオセンサ;ネジ、管、ロッド、プレート、または人工関節を含み得る。
【0239】
さらなる態様において、移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または、脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器のうちの少なくとも1つであってもよい。図9を参照すると、移植デバイス900は、吸引カップ複合材920を備える第1の移植デバイス表面910を備えることができる。
【0240】
移植デバイスが対象内に置かれると、吸引カップ複合材は分解して、生物活性薬剤を、移植部位に隣接する組織内またはその近くで放出させることができる。望ましい場合、複数の吸引カップ複合材が、移植デバイスに適用され得る。任意選択で、吸引カップ複合材は、対象内に入ったら、接触表面から脱落し得る。一態様において、吸引カップ複合材は、吸引カップ複合材の機能、例えば対象の隣接する組織または流体への生物活性薬剤の送達が完了したら、接触表面から脱落し得る。
【0241】
開示される吸引カップ複合材とともに使用されると有益となり得る他の移植デバイスは、1つ以上の活性表面、例えば、組織もしくは流体と移植デバイスとの間の接続を向上させる表面、または創傷治癒を可能にする、もしくは向上させる表面を有する移植デバイスを含む。開示される吸引カップ複合材は、移植デバイスの一部のみに適用されると効果的となり得、移植デバイスが対象内に移植された際に任意の活性表面の露出を維持して機能的とすることができる。
【0242】
上述のように、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を送達することが望ましくなり得る。生物活性薬剤は、感染などの移植片に関連した問題のいくつかを防止する、または移植片自体の機能を向上させるのに役立つことができる。また、上述のように、生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造することを回避するのも望ましくなり得る。本明細書に開示される複合材、方法、およびキットは、移植デバイスの表面上への吸引カップ複合材の使用場所での適用を可能とし、それにより生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造する必要性を排除することができる。
【0243】
一態様において、吸引カップ複合材は、使用時点に近い時点で、または使用している間に移植デバイス表面に適用され得る。例えば、吸引カップ複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、吸引カップ複合材を移植デバイスの表面上に固定することにより、移植デバイスに適用され得る。一態様において、吸引カップ複合材は、例えば医師または看護婦により、手術室内で移植デバイスに適用され得る。
【0244】
吸引カップ複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点の前または後に、移植デバイスの表面に固定され得る。一態様において、吸引カップ複合材を備える移植デバイスが、対象内に移植され得る。さらなる態様において、移植デバイスが対象内に移植され得、次いで吸引カップ複合材が移植デバイスの表面に適用され得る。より小さい移植片を移植する場合、デバイスを対象に移植する前に、まず吸引カップ複合材を移植デバイス表面に固定することが有益となり得る。
【0245】
一態様において、吸引カップ複合材は、例えば23時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、5時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、2分以内、30秒以内、または移植手術中を含む、移植手術の同日(すなわち、24時間以内)に移植デバイスの表面に固定され得る。ある特定の態様において、上述のように、吸引カップ複合材は、数日、数週間、またはそれ以上を制限なく含む、任意の所望の時間間隔の間デバイスに固定された状態を維持することができる。
【0246】
所望の場合は、移植デバイスを含むまたは含まない、吸引カップ複合材自体が、対象の組織または流体の上または中に移植され得る。一態様において、吸引カップ複合材は、移植部位の近くまたはそれに隣接する組織または流体の上または中、すなわち、移植デバイスが移植された部位、または所望の移植部位の近くまたはそれに隣接した部位に移植され得る。
【0247】
典型的には、吸引カップ複合材を移植デバイスに適用する前に、いかなる表面汚染物質も除去し吸引カップ複合材の良好な接着を促進するために、移植デバイス表面を清浄化または処理することができる。例えば、吸引カップ複合材および/または移植デバイスは、例えば水蒸気下での高圧蒸気殺菌法により滅菌することができる。しかしながら、いくつかの態様において、吸引カップ複合材を変形する、または吸引カップ複合材を溶融する不可逆性を回避するように注意が必要となり得る。次いで、吸引カップ複合材、または吸引カップ複合材を備える移植デバイスは、既知の手術手技を用いて対象内に移植することができる。ある特定の態様において、滅菌された容器またはパッケージ内に、吸引カップ複合材または複合材を備えるキットを保存することが望ましくなり得る。一態様において、キットは、吸引カップ複合材の滅菌されたパッケージを備えることができる。
【0248】
開示される方法は、放出可能な生物活性薬剤を備える、開示される全ての吸引カップ複合材とともに使用することができる。一態様において、方法は、吸引カップ複合材を、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体の接触表面上に固定することを含む。一態様において、実質的に平面の縁部を、移植デバイスの接触表面(例えば、実質的に平面の接触表面)に適用することができる。接触表面への吸引カップ複合材の適用は、様々な態様において、カップ部材により画定される空洞内から空気を押出す、カップ部材の手による変形を制限なく含む、既知の手段を使用して行うことができる。空気が押出されると、カップ部材の縁部は接触表面との密着したシールを形成し、形成されたシールの密着度に依存して、カップ部材が接触表面に長期間を含む所望の期間接着した状態を維持するのを可能にする。そのようなシールは、吸引カップのような様式で達成される。任意選択で、吸引カップ複合材の移植デバイスへの固定を補助するために、吸引カップ複合材の第1の表面の一部もしくは全体に、または、移植デバイス表面の一部もしくは全体に接着剤を適用することができる。さらに、上述のように、接着剤とともに、または接着剤なしで使用することができるカップ部材の縁部を湿らせて、接触表面へのシールの形成を補助することができる。
【0249】
移植デバイスは、任意の所望の対象内に移植することができる。対象は、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類等の脊椎動物であってもよい。本明細書に開示される方法の対象は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類であってもよい。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成獣および新生動物対象、ならびに胎児が、雄または雌を問わず含まれることが意図される。
【0250】
実施例v.1(予測)
第1の実施例においては、好適なサイズ、例えば平均約500ミクロンのトブラマイシン(抗生物質)の粒子およびポリラクチド(生体適合性、生体吸収性ポリマー)の粒子を調製し、ブレンドする。薬物およびポリマー粒子のブレンドされた混合物を、二軸溶融押出機内に導入する。トブラマイシンおよびポリラクチドを含む溶融混合物がダイを通過して溶融フィルムとして押出機から出て、次いでこれが冷却されて連続フィルムとして固化するように、溶融押出機は長方形ダイを備える。硬化されたフィルムは、ポリマーマトリックス全体に分散したトブラマイシンを含有する。次いで、得られたフィルムを、円形凸状金型に対し熱圧縮し、フラッシング付きのカップ部材を形成する。次いで、フラッシングまたは余分なフィルムを切断により除去し、円形カップ部材を作製する。カップ部材を包装して最後に加熱殺菌する。投与直前に、カップ部材を無菌パッケージから取り出し、医療デバイス、例えば脳深部刺激器に押し付ける。接着を補助するために、カップ部材を滅菌水またはリン酸緩衝生理食塩水で湿らせてもよい。吸引によりカップ部材が医療デバイスの適所に保持されたら、デバイスを患者内に設置する。続いて、感染を防止するのに所望の期間、カップ部材(薬物溶出フィルム)からのトブラマイシンの持続放出が生じる。
【0251】
vi)スプレーコーティング組成物
また、本明細書において、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体に適用され得るスプレーコーティング組成物も記載される。本明細書に記載の組成物は、生物活性薬剤の制御放出、持続放出、調節放出、徐放、パルス放出、遅延放出、またはプログラム放出を可能とする。
【0252】
スプレーコーティング組成物とともに使用されるポリマーは、任意の生体適合性および生体分解性または非生体分解性ポリマーを含み得る。本明細書に記載のポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。ポリマーは、ブロックもしくはブロック状コポリマーもしくはターポリマー、ランダムコポリマーもしくはターポリマー、星型ポリマー、またはデンドリマーであってもよい。スプレーコーティング組成物の所望の特性に依存して、任意の所望の分子量のポリマーを使用することができる。ある特定の態様において、高強度のスプレーコーティング組成物が望ましい場合、例えば強度要件を満たすために高分子量のポリマーを使用することができる。他の態様において、例えば材料強度よりもポリマーの吸収時間が望ましい場合は、低分子量または中間分子量のポリマーを使用することができる。
【0253】
ポリマーの分子量は、スプレーコーティング組成物の所望の特性を提供するように選択され得る。ある特定の態様において、スプレーコーティング組成物は、揮発性溶媒中のポリマーの溶液または分散液を形成することにより提供され得る。そのような態様において、分子量は、十分な溶液または分散液を形成させるような分子量であるべきである。ある特定の態様において、分子量はまた、加圧された噴射剤によりポリマーをエアロゾル容器から噴射させるのに好適であるべきである。いくつかの態様において、ポリマーは、生物学的に関連した溶媒系に対する十分な溶解度を有するために、低分子量ポリマーであってもよい。他の態様において、ポリマーは、事実上オリゴマーであってもよい。ポリマーの分子量はまた、分子量がポリマーの生体分解速度に影響するという点からも重要である。生物活性薬剤放出の拡散機構においては、ポリマーは、薬剤の全てがポリマーから放出されるまでは無傷のままであり、その後に分解するべきである。薬剤はまた、ポリマーが生体分解する際にポリマーから放出され得る。ポリマー材料の適切な選択により、ポリマー調合物は、得られる生体分解性ポリマーが拡散放出特性および生体分解放出特性の両方を示すように作製され得る。分子量は、他の方法の中でも、ゲル濾過クロマトグラフィー、粘度、光散乱を含む、当技術分野において知られた方法により測定することができる。
【0254】
スプレーコーティング組成物は、対象内に入ったら、溶媒が揮発すると所望の時間間隔以内で分解するように調合され得る。いくつかの態様において、時間間隔は、約1日未満から約1ヶ月までとなり得る。より長い時間間隔は、例えば約0ヶ月以上から約6ヶ月まで、または約1ヶ月から約6ヶ月まで分解するポリマーマトリックスを含め、6ヶ月まで延長され得る。他の態様において、ポリマーは、例えば、約0ヶ月以上から約2年まで、または約1ヶ月から約2年までを含む、最長2年以上までのより長い時間間隔で分解し得る。
【0255】
所望の生物活性薬剤放出機構は、ポリマーの選択に影響し得る。生体分解性ポリマーは、スプレーコーティング組成物が表面に適用された後所望の経過時間で、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。例えば、ポリマーは、生物活性薬剤がその活性を消失し始める前、生物活性薬剤が活性を消失し始める際、生物活性薬剤が部分的に活性を消失した時、例えば少なくとも25%、少なくとも50%または少なくとも75%が消失した時、生物活性薬剤が活性を実質的に消失した時、または、生物活性薬剤が完全になくなったかもしくはもはや活性を有さなくなったときに、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。
【0256】
一態様において、ポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシバレレート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホスフェート、ポリホスホエステル、ポリジオキサノン、ポリホスホエステル、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンのうちの1つ以上であってもよい。他の非生体分解性であるが耐久性であるポリマーには、制限されることなく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の好適な非生体分解性ポリマーには、制限されることなく、シリコーンおよびポリウレタンが含まれる。
【0257】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、またはポリ(ヒドロキシブチレート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生体分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレート、またはポリヒドロキシバレレートを含有するコポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、およびそれらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、またはブレンドであってもよい。
【0258】
一態様において、ポリマーは、ラクチド(L)、グリコリド(G)、カプロラクトン(CPL)(それらのコポリマーを含む)を含むポリエステル;ポリエチレングリコール(PEG)とL、G、もしくはCPLを含むポリエステルとのブロックコポリマー;PVPとL、G、CPLを含むポリエステルとのブロックコポリマー;ならびに他のポリエステルを含む同様のポリマーおよびコポリマー(例えばジオキサノン、ヒドロキシバレレート、オルトエステル、ヒドロキシブチレート、改質ポリエステル、例えばヘキシル改質ポリラクチド等)、さらに他の生体分解性ポリマーを含むポリマーおよびコポリマー(例えばポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスフェート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリエーテルエステル、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、改質多糖類、デンプン、キトサン、改質キトサン、アルブミン、ヒアルロン酸等)であってもよい。
【0259】
一態様において、ポリマー材料は、好適なレベル(例えば、1%、5%、10%、20%、40%)で溶媒系に溶解される粘性ターポリマーであってもよい。同様に、ポリマー材料は、ヘキシル改質ポリ(ラクチド)であってもよい。
【0260】
一態様において、有用な生体分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せを含む別の生体適合性または生体分解性ポリマーの1つ以上のブロックと組み合わせた、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むがこれらに限定されない、親水性または水溶解性ポリマーの1つ以上のブロックを有する生体分解性ポリマーである。
【0261】
さらなる態様において、有用な生体分解性ポリマーは、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体適合性ポリマーである。さらなる態様において、有用な生体分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体分解性ポリマーである。
【0262】
特定の態様において、生体分解性ポリマーは、1つ以上のラクチド残基を有してもよい。ポリマーは、L−ラクチド、D−ラクチド、およびD,L−ラクチド、またはそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、ラクチドの全てのラセミ体および立体特異的形態を含む、任意のラクチド残基を有してもよい。ラクチドを含む有用なポリマーは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、およびポリ(DL−ラクチド);ならびに、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)、およびポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド);または、それらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、もしくはブレンドを含むが、これらに限定されない。ラクチド/グリコリドポリマーは、ラクチドおよびグリコリドモノマーの開環を介した溶融重合により便利に作製され得る。さらに、ラセミDL−ラクチド、L−ラクチドおよびD−ラクチドポリマーは、市販されている。L−ポリマーはより結晶性であり、DL−ポリマーより吸収が遅い。グリコリドおよびDL−ラクチド又はLラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーは市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーもまた、市販されている。
【0263】
生体分解性ポリマーがポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)である場合、ポリマー中のラクチドおよびグリコリドの量は変動し得る。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、0から100モル%、40から100モル%、50から100モル%、60から100モル%、70から100モル%、または80から100モル%までのラクチド、および0から100モル%、0から60モル%、10から40モル%、20から40モル%、または30から40モル%までのグリコリドを含有し、ラクチドおよびグリコリドの量は100モル%である。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、50:50ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であり、比はモル比である。
【0264】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよい。一態様において、ポリマーは、様々な態様において95:5ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、または50:50ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよいポリ(ラクチド−カプロラクトン)であってもよく、比はモル比である。
【0265】
一態様において、ポリマーは、適切な溶媒系に好適な濃度で溶解され得る低分子量ポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよく(例えば、エタノールまたはエタノール溶媒中2〜5%ポリマー)、これは次いで好適な生物活性薬剤の投与および送達のためのシステムとしてのエアロゾル容器またはポンプ噴霧器内で使用される。
【0266】
さらなる態様において、スプレーコーティング組成物は、ターポリマーを含んでもよい。一態様において、ターポリマーは、2008年11月12日出願の米国特許出願公開第12/269135号(米国特許公開第2009/0124535号)に開示されるターポリマーであり、この参照によりそのターポリマーおよび本開示の考慮される部分の教示の全てが本明細書に組み込まれる。
【0267】
そのコポリマー、その混合物、またはそのブレンドを含むがそれらに限定されない、上述の生体分解性ポリマーの任意の組合せを使用することができることが理解される。同様に、生体分解性ポリマーの残基が開示される場合、開示される残基を有する任意の好適なポリマー、コポリマー、混合物、またはブレンドもまた開示されるとみなされることが理解される。この目的のために、複数の残基が個々に開示される場合(すなわち、別のものとの組合せではない)、個々の残基の任意の組合せが使用され得ることが理解される。さらに、上記ポリマーのいずれも、所望の特性を達成するために、所望のレベルまで加工(例えば、架橋)されてもよい。追加的な架橋剤が使用されてもよく、および/または既存のポリマーのラジカル、カチオン、またはアニオン架橋が使用されてもよい。
【0268】
ポリマーは、好適な溶媒または溶媒系に溶解または分散されてもよい。一態様において、溶媒は、生体適合性溶媒であってもよい。そのような態様において、組成物が移植デバイス表面上に噴霧されてから、溶媒のほとんどが揮発した後に残留溶媒が残る場合であっても、残留溶媒が対象に対し有害とならないことが好ましくなり得る。好適な溶媒の例には、エタノール、乳酸エチル、プロピレンカーボネート、グリコフロール、Nメチルピロリドン、2ピロリドン、プロピレングリコール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ベンジルアルコール、トリアセチン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ポリエチレングリコール、CFC噴射剤、非CFC噴射剤、またはそれらの組合せもしくは混合物が含まれるが、これらに限定されない。そのような溶媒は、許容されるレベルの水を含んでもよい。
【0269】
上述のように、スプレーコーティング組成物は、生物活性薬剤を備える。生物活性薬剤は、放出可能な生物活性薬剤、すなわち、表面上に被覆されると組成物から放出され得る生物活性薬剤であってもよい。一態様において、生物活性薬剤は、少なくとも1つの溶媒および/またはポリマーに溶解または分散されてもよい。
【0270】
また、スプレーコーティング組成物を備えるキットも開示される。キットは、1つ以上の開示されるスプレーコーティング組成物をパッケージとして備えることができる。そのようなキットは、スプレーコーティング組成物の使用場所での適用に有用となり得る。
【0271】
また、スプレーコーティング組成物を表面上に適用するために使用され得る、スプレーコーティング組成物を含む容器も開示される。一態様において、容器は、エアロゾル容器である。エアロゾル容器は、液体粒子のエアロゾルミストを形成する分配システムの一種である。そのような容器は、圧力下でスプレーコーティング組成物を液体として含み得る。容器は、開放されるとスプレーコーティング組成物がエアロゾルまたはミストとして容器から押出されるようにする弁を有してもよい。典型的には、エアロゾル容器は、通常は膨張してスプレーコーティング組成物を噴出させることができる気体である噴射剤を含んでもよく、一方いくつかの噴射剤は、容器内で蒸発して均一な圧力を維持することができる。容器から出ると、噴射剤の液滴は、好ましくは急速に蒸発し、スプレーコーティング組成物を微細な粒子または液滴として維持する。
【0272】
噴射剤は、存在する場合、任意の好適な噴射剤であってもよい。一態様において、噴射剤は、揮発性炭化水素、例えば、プロパン、n−ブタンおよびイソブタン等のうちの1つ以上であってもよい。一態様において、噴射剤は、CFCまたは非CFC噴射剤を含んでもよい。一態様において、噴射剤は、ジメチルエーテル(DME)またはメチルエチルエーテルであってもよい。さらなる態様において、噴射剤は、気体であってもよい。例えば、好適な気体には、亜酸化窒素および二酸化炭素が含まれるが、それらに限定されない。一態様において、噴射剤は、医療用途に典型的に使用される噴射剤であってもよい。そのような噴射剤の例には、ヒドロフルオロアルカン(HFA)、例えばHFA134a(1,1,1,2,−テトラフルオロエタン)もしくはHFA227(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)、またはそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されない。本明細書における分散系およびエアロゾル容器の作製方法は、当技術分野において知られた方法により行うことができる。
【0273】
一態様において、溶媒系はまず、2成分系において、生物活性薬剤/ポリマー混合物とは別個に提供されてもよい。一態様において、溶媒系は、使用時点で生物活性薬剤/ポリマー混合物に添加されてもよい。好適な混合後、溶解/分散系を、上述のように表面上に噴霧することができる。
【0274】
また、コーティング組成物を備える移植デバイスも開示される。「デバイス」という用語は、デバイスの少なくとも1つの寸法において、長さが1mmを超える任意の調合物または物品である。デバイスは、溶媒を含む、または含まない開示されるコーティング組成物を備えることができる。さらなる態様において、デバイスは、1mmから50mmまで、1.2mmから45mmまで、1.4mmから42mmまで、1.6mmから40mmまで、1.8mmから38mmまで、または2.0mmから36mmまで、5.0mmから33mmまで、または10mmから30mmまでの1つの寸法を有する。さらなる態様において、デバイスは、3cmを超え、さらに10cm、20cm、またはさらに30cm以上までの1つの寸法を有する。
【0275】
一態様において、移植デバイスは、移植デバイス表面の少なくとも一部と接触する、溶媒を含む、または含まない開示されるスプレーコーティング組成物を備える。
【0276】
移植デバイスは、棒、繊維、円筒、ビーズ、リボン、ディスク、ウエハ、自由形状整形固体、または様々な他の整形固体等、任意の形状を有し得る。デバイスは、任意の規則的または不規則的形状を有し得、円形、長方形、三角形、楕円等の任意の断面を有し得る。さらなる態様において、デバイスは、移植用ポンプの典型的な形状等、円筒形状を有する。
【0277】
移植片は、金属(例えば、チタン)、金属複合材、有機材料、ポリマー、またはさらにセラミック材料等の任意の好適な材料を含み得る。移植片の表面は、任意の整形表面であってもよく、ある特定の移植片に存在するような、多孔性、ビーズ状またはメッシュ状の内部成長表面を有してもよい。
【0278】
移植デバイスは、任意の種類の医療移植片であってもよい。移植デバイスは、例えば、薬物送達ポンプを含む薬物送達用移植片;脊椎移植片、骨融合もしくは骨修復用移植片を含む整形外科用移植片;固有の薬物送達能力を有するステントを含む医療用ステント;乳房用移植片、筋肉用移植片等を含む人工装具移植片;歯科用移植片;人工内耳および補聴器を含む耳用移植片;ペースメーカー、カテーテル等を含む心臓用移植片;空間充填用移植片;生体電気移植片;神経用移植片;透析グラフトを含む内臓用移植片;除細動器;監視デバイス;記録デバイス;脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器;移植型識別デバイスおよび情報チップ;人工器官;薬物投与デバイス;移植型センサ/バイオセンサ;ネジ、管、ロッド、プレート、または人工関節を含み得る。
【0279】
さらなる態様において、移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または、脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0280】
移植デバイスが対象内に置かれると、スプレーコーティング組成物は分解して、生物活性薬剤を、移植部位に隣接する組織内またはその近くで放出させることができる。望ましい場合、複数のスプレーコーティング組成物が、移植デバイスに適用され得る。任意選択で、スプレーコーティング組成物は、対象内に入ったら、接触表面から脱落し得る。一態様において、スプレーコーティング組成物は、スプレーコーティング組成物の機能、例えば対象の隣接する組織または流体への生物活性薬剤の送達が完了したら、接触表面から脱落し得る。
【0281】
開示されるスプレーコーティング組成物とともに使用されると有益となり得る他の移植デバイスは、1つ以上の活性表面、例えば、組織もしくは流体と移植デバイスとの間の接続を向上させる表面、または創傷治癒を可能にする、もしくは向上させる表面を有する移植デバイスを含む。開示されるスプレーコーティング組成物は、移植デバイスの一部のみに適用されると効果的となり得、移植デバイスが対象内に移植された際に任意の活性表面の露出を維持して機能的とすることができる。
【0282】
上述のように、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を送達することが望ましくなり得る。生物活性薬剤は、感染などの移植片に関連した問題のいくつかを防止する、または移植片自体の機能を向上させるのに役立つことができる。また、上述のように、生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造することを回避するのも望ましくなり得る。本明細書に開示される組成物、方法、システムおよびキットは、移植デバイスの表面上へのスプレーコーティング組成物の使用場所での適用を可能とし、それにより生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造する必要性を排除することができる。
【0283】
一態様において、スプレーコーティング組成物は、使用時点に近い時点で、または使用している間に移植デバイス表面に適用され得る。例えば、スプレーコーティング組成物は、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、スプレーコーティング組成物を移植デバイスの表面上に噴霧することにより、移植デバイスに適用され得る。一態様において、スプレーコーティング組成物は、例えば医師または看護婦により、手術室内で移植デバイスに適用され得る。
【0284】
スプレーコーティング組成物は、移植デバイスが対象内に移植される時点の前または後に、移植デバイスの表面上に噴霧され得る。一態様において、スプレーコーティング組成物を備える移植デバイスが、対象内に移植され得る。さらなる態様において、移植デバイスが対象内に移植され得、次いでスプレーコーティング組成物が移植デバイスの表面上に噴霧され得る。より小さい移植片を移植する場合、デバイスを対象に移植する前に、まずスプレーコーティング組成物を移植デバイス表面上に噴霧することが有益となり得る。
【0285】
一態様において、スプレーコーティング組成物は、例えば23時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、5時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、2分以内、30秒以内、または移植手術中を含む、移植手術の同日(すなわち、24時間以内)に移植デバイスの表面上に噴霧され得る。
【0286】
所望の場合は、移植デバイスを含むまたは含まない、スプレーコーティング組成物自体が、対象の組織または流体の上または中に噴霧され得る。一態様において、スプレーコーティング組成物は、移植部位の近くまたはそれに隣接する組織または流体の上または中、すなわち、移植デバイスが移植された部位、または所望の移植部位の近くまたはそれに隣接した部位に噴霧され得る。そのような態様において、生体適合性溶媒が好ましい。
【0287】
典型的には、スプレーコーティング組成物を移植デバイス上に噴霧する前に、いかなる表面汚染物質も除去しスプレーコーティング組成物の良好な接着を促進するために、移植デバイス表面を清浄化または処理することができる。例えば、スプレー分配システム(例えば、エアロゾル容器)および/またはインプラントデバイスは、滅菌することができる。ある特定の態様において、滅菌された容器またはパッケージ内に、スプレーコーティング組成物または組成物を備えるキットを保存することが望ましくなり得る。一態様において、キットは、好適な分配システム内に存在する、スプレーコーティング組成物の滅菌されたパッケージを備えることができる。
【0288】
開示される方法は、放出可能な生物活性薬剤を備える、開示される全てのスプレーコーティング組成物とともに使用することができる。
【0289】
移植デバイスは、任意の所望の対象内に移植することができる。対象は、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類等の脊椎動物であってもよい。本明細書に開示される方法の対象は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類であってもよい。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成獣および新生動物対象、ならびに胎児が、雄または雌を問わず含まれることが意図される。
【0290】
生物活性薬剤
上述のように、開示される移植用複合材および組成物はそれぞれ、生物活性薬剤を備える。生物活性薬剤は、放出可能な生物活性薬剤、すなわち、ポリマーフィルムから放出され得る生物活性薬剤であってもよい。ある特定の態様において、生物活性薬剤は、ポリマーフィルム内またはポリマーフィルム上にあってもよい。
【0291】
隣接する組織または流体中に放出され得る様々な形態の生物活性薬剤を使用することができる。液体または固体の生物活性薬剤を、本明細書に記載の複合材および組成物中に組み込むことができる。生物活性薬剤は、少なくとも非常に僅かに水溶性であり、好ましくは中程度に水溶性である。生物活性薬剤は、活性成分の塩を含み得る。したがって、生物活性薬剤は、酸性、塩基性、または両性塩であってもよい。それらは、非イオン性分子、極性分子、または水素結合可能な分子錯体であってもよい。生物活性薬剤は、効果的な生物学的または生理学的活性を提供するように、例えば、非荷電性分子、分子錯体、塩、エーテル、エステル、アミド、ポリマー薬物複合体の形態、または他の形態で組成物中に含まれてもよい。
【0292】
本明細書におけるシステム中に組み込まれる生物活性薬剤の例には、ペプチド、タンパク質、例えばホルモン、酵素、抗体等、核酸、例えばアプタマー、iRNA、DNA、RNA、アンチセンス核酸等、アンチセンス核酸類似体等、低分子量化合物、または高分子量化合物が含まれるが、それらに制限されない。開示される移植用フィルムベース複合体における使用に企図される生物活性薬剤には、同化剤、制酸剤、抗喘息薬、抗コレステロールおよび抗高脂血薬、抗凝固剤、抗痙攣薬、止瀉薬、制吐薬、抗菌薬および抗菌剤を含む抗感染症薬、抗炎症薬、抗躁病薬、代謝拮抗薬、制嘔吐剤、抗腫瘍薬、抗肥満薬、解熱剤および鎮痛薬、鎮痙薬、抗血栓剤、鎮咳薬、抗尿酸血薬、、抗狭心症薬、抗ヒスタミン剤、食欲抑制剤、生物製剤、脳血管拡張薬、冠動脈拡張薬、気管支拡張薬、細胞毒性薬、充血除去剤、利尿薬、診断用薬、赤血球生成剤、去痰薬、胃腸鎮静剤、血糖上昇剤、睡眠薬、血糖降下薬、免疫抑制薬、イオン交換樹脂、下剤、ミネラルサプリメント、粘液溶解薬、神経筋薬、末梢血管拡張薬、向精神薬、鎮静剤、興奮剤、甲状腺および抗甲状腺薬、組織成長薬、子宮弛緩薬、ビタミン、または抗原性物質が含まれる。
【0293】
他の生物活性薬剤には、アンドロゲン阻害薬、多糖類、成長因子、ホルモン、抗血管新生因子、デキストロメトルファン、臭化水素酸デキストロメトルファン、ノスカピン、クエン酸カルベタペンタン、塩酸クロフェジアノール、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸フェニンダミン、マレイン酸ピリラミン、コハク酸ドキシラミン、クエン酸フェニルトロキサミン、塩酸フェニレフリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸プソイドエフェドリン、エフェドリン、リン酸コデイン、硫酸コデインモルヒネ、ミネラルサプリメント、コレスチラミン、N−アセチルプロカインアミド、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、カフェイン、グアイフェネシン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ペプチド、ポリペプチド、プロテイン、アミノ酸、ホルモン、インターフェロン、サイトカイン、およびワクチンが含まれる。
【0294】
本明細書におけるシステムにおいて生物活性薬剤として使用され得る代表的薬物には、ペプチド薬、タンパク質薬、減感剤、抗原、抗感染症薬、例えば抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス薬、抗菌薬、駆虫薬、抗真菌物質およびそれらの組合せ、抗アレルギー薬、アンドロゲン性ステロイド、充血除去剤、催眠剤、ステロイド性抗炎症薬、抗コリン作用薬、交感神経興奮剤、鎮静剤、縮瞳薬、精神賦活剤、精神安定剤、ワクチン、エストロゲン、黄体ホルモン薬、体液性物質、プロスタグランジン、鎮痛剤、鎮痙薬、抗マラリア薬、抗ヒスタミン剤、心臓作用薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗パーキンソン病薬、血圧降下薬、βアドレナリン遮断薬、栄養薬剤、およびベンゾフェナントリジンアルカロイドが含まれるが、それらに限定されない。薬剤は、さらに、興奮剤、鎮静剤、催眠剤、鎮痛剤、抗痙攣薬等として作用し得る物質であってもよい。
【0295】
本明細書におけるシステムは、より多数の生物活性薬剤を、単一でまたは組み合わせて備えることができる。他の生物活性薬剤には、鎮痛剤、例えばアセトアミノフェン、アセチルサリチル酸等;麻酔薬、例えばリドカイン、キシロカイン等;食欲抑制薬、例えばデキセドリン、酒石酸フェンジメトラジン等;抗関節炎薬、例えばメチルプレドニゾロン、イブプロフェン等;抗喘息薬、例えば硫酸テルブタリン、テオフィリン、エフェドリン等;抗生物質、例えばスルフイソキサゾール、ペニシリンG、アンピシリン、セファロスポリン、アミカシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、イソニアジド、リファンピン等;抗真菌剤、例えばアンフォテリシンB、ナイスタチン、ケトコナゾール等;抗ウイルス剤、例えばアシクロビル、アマンタジン等;抗癌剤、例えばシクロホスファミド、メトトレキサート、エトレチネート等;抗凝固剤、例えばヘパリン、ワルファリン等;抗痙攣薬、例えばフェニトインナトリウム、ジアゼパム等;抗鬱剤、例えばイソカルボキサジド、アモキサピン等;抗ヒスタミン剤、例えばジフェンヒドラミンHCl、マレイン酸クロルフェニラミン等;ホルモン、例えばインスリン、プロゲスチン、エストロゲン、コルチコイド、グルココルチコイド、アンドロゲン等;精神安定剤、例えばソラジン、ジアゼパム、クロルプロマジンHCl、レセルピン、クロルジアゼポキシドHCl等;鎮痙薬、例えばベラドンナアルカロイド、塩酸ジシクロミン等;ビタミンおよびミネラル、例えば必須アミノ酸、カルシウム、鉄、カリウム、亜鉛、ビタミンB12等;心血管作動薬、例えばプラゾシンHCl、ニトログリセリン、プロプラノロールHCl、ヒドララジンHCl、パンクレリパーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ等;ペプチドおよびタンパク質、例えばLHRH、ソマトスタチン、カルシトニン、成長ホルモン、グルカゴン様ペプチド、成長ホルモン放出因子、アンジオテンシン、FSH、EGF、骨形態形成タンパク質(BMP)、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロン、インターロイキン、コラーゲン、フィブリノゲン、インスリン、第VIII因子、第IX因子、Enbrel(登録商標)、Rituxam(登録商標)、Herceptin(登録商標)、α−グルコシダーゼ、Cerazyme/Ceredose(登録商標)、バソプレッシン、ACTH、ヒト血清アルブミン、ガンマグロブリン、構造タンパク質、血液製剤タンパク質、複合タンパク質、酵素、抗体、モノクローナル抗体等;プロスタグランジン;核酸;炭水化物;脂肪;麻酔薬、例えばモルヒネ、コデイン等、精神治療薬;抗マラリア薬、L−ドーパ、利尿薬、例えばフロセミド、スピロノラクトン等;抗潰瘍薬、例えばラニチジンHCl、シメチジンHCl等が含まれるが、それらに限定されない。
【0296】
生物活性薬剤はまた、例えばサイトカイン、インターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子を含む免疫調節剤;アレルゲン、例えばネコのふけ、樺花粉、家ダニ、牧草花粉等;肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyrogenes)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphteriae)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、ミュータンス連鎖球菌(Streptococcus mutans)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、腸チフス菌(Salmonella typhi)、パラインフルエンザ菌(Haemophilus parainfluenzae)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、野兎病菌(Francisella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、らい菌(Mycobacterium leprae)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptspirosis interrogans)、ライム病ボレリア(Borrelia burgddorferi)、カンピロバクター‐ジェジュニ(Campylobacter jejuni)等の細菌性生物の抗原;天然痘、インフルエンザAおよびB、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザ、はしか、HIV、SARS、水痘帯状疱疹、単純ヘルペス1型および2型、サイトメガロウイルス、エプスタイン−バー、ロタウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、ポリオウイルス、おたふく風邪、狂犬病、風疹、コクサッキーウイルス、馬脳炎、日本脳炎、黄熱病、リフトバレー熱、リンパ球性脈絡髄膜炎、B型肝炎等のウイルスの抗原;クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcuc neoformans)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、ノカルジア・アステロイド(Nocardia asteroids)、斑点熱リケッチア(Rickettsia ricketsii)、発疹熱リケッチア(Rickettsia typhi)、マイコプラズマ肺炎(Mycoplasma pneumoniae)、オウム病クラミジア(Chlamyda psittaci)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、マラリヤ原虫(Plasmodium falciparum)、トリパノソーマ・ブルーセイ(Trypanasoma brucei)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、トキソプラズマ・ゴンヂ(Toxoplasma gondii)、膣トリコモナス (Trichomonas vaginalis)、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)等の真菌、原生動物、および寄生生物の抗原であってもよい。これらの抗原は、不活化全生物体、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、炭水化物、またはそれらの組合せの形態であってもよい。
【0297】
特定の態様において、生物活性薬剤は、上で開示されるもののうちのいずれかを制限なく含む、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む。
【0298】
さらなる特定の態様において、生物活性薬剤は、抗生物質を含む。抗生物質は、例えば、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルミシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、アンサマイシン、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、カルバセフェム、ロラカルベフ、カルバペネム、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、メロペネム、セファロスポリン(第一世代)、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチンまたはセファロシン、セファレキシン、セファロスポリン(第二世代)、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セファロスポリン(第三世代)、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジディム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロスポリン(第四世代)、セフェピム、セファロスポリン(第五世代)、セフトビプロール、グリコペプチド、テイコプラニン、バンコマイシン、マクロライド、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシン、モノバクタム、アズトレオナム、ペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、ピペラシリン、チカルシリン、ポリペプチド、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、キノロン、シプロキサン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、スルホンアミド、マフェナイド、プロントジル(旧)、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルイミド(旧)、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(コ−トリモキサゾール)(TMP−SMX)、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリンその他を含むテトラサイクリン;アルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジナミド、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、リファンピシン(米国ではリファンピン)、チニダゾール、またはそれらの組合せのうちの1つ以上であってもよい。一態様において、生物活性薬剤は、リファンピシン(米国ではリファンピン)およびミノサイクリンの組合せであってもよい。
【0299】
他の成分、例えば、賦形剤、薬学的担体またはアジュバント、微小粒子等を、複合材、組成物、または生物活性薬剤と組み合わせることができることが企図される。したがって、ある特定の態様において、生物活性薬剤は、薬学的組成物中の成分として存在し得る。薬学的組成物は、所望の投薬形態、例えば単一投薬形態または制御放出投薬形態で便利に調製することができ、薬学分野において周知の方法のいずれかにより調製することができる。一般に、薬学的組成物は、生物活性薬剤を液体担体もしくは微粉化固体担体、またはその両方と均一および密に関連させることにより、調製される。使用される薬学的担体は、例えば、固体、液体、または気体であってもよい。固体担体の例には、ラクトース、白土、ショ糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が含まれる。液体担体の例は、シュガーシロップ、落花生油、オリーブ油、および水である。ガス状担体の例には、二酸化炭素および窒素が含まれる。生物活性薬剤と混合され得る他の薬学的に許容される担体または成分には、例えば、脂肪酸、糖、塩、水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、タンパク質、多糖類、もしくはカルボキシメチルセルロース、界面活性剤、可塑剤、高分子量もしくは低分子量ポロシゲン、例えばポリマーもしくは塩もしくは糖、または疎水性低分子量化合物、例えばコレステロールもしくはワックスが含まれる。
【0300】
ある特定の態様において、ポリマーおよび生物活性薬剤は、組み合わされるかまたは混合されて、ブレンドまたは混合物を形成する。混合方法は、当技術分野において知られた技術を使用して行うことができる。例えば、ポリマーおよび生物活性薬剤は、例えばPatterson−Kelley V−blenderを使用して乾式混合(すなわち、ポリマーおよび薬剤の粒子を混合)するか、または加工前に粒状化することができる。
【0301】
一態様において、混合物の加工は、薬剤が密に混合されるかまたはポリマーフィルム全体に分散されるような条件下で行うことができる。あるいは、混合物の加工は、薬剤がポリマーフィルムの一部(複数を含む)のみの上または中に局在するような条件下で行うことができる。ポリマーフィルムは、生物活性薬剤が豊富な領域、およびそれほど豊富でない領域を含み得る。混合物は、例えば、混合物の所望の形状または構造への溶融押出、射出成形、圧縮成形、またはローラー転圧等の様々な技術により加工され得る。
【0302】
他の好適な薬学的担体には、制限されることなく、微小粒子が含まれる。「微小粒子」という用語は、本明細書のにおいて、一般に、実質的に約10nmから2000ミクロン(2ミリメートル)までのサイズを有する様々な構造を指すように使用され、マイクロカプセル、ミクロスフェア、ナノ粒子、ナノカプセル、ナノスフェア、および、一般に約2000ミクロン(2ミリメートル)未満の粒子を含む。微小粒子は、ポリマーフィルムからの生物活性薬剤を含有し、その放出を達成することができる。
【0303】
微小粒子は、上述のポリマーのいずれか、または微小粒子の分野において使用される任意のポリマーを含み得る。一般に、上述のポリマーは、ある特定のレベルまで架橋されてもよく、それにより当技術分野で知られるようなポリマーの微小粒子を形成し得る。ポリマーフィルム内に微小粒子が存在する場合、微小粒子は、ポリマーフィルムのバルクを含むポリマーと同じかまたは異なってもよい。ポリマーフィルムは、例えば、全ポリマーフィルムの重量に対して5、10、20、30、40、50、60、70、80、および90重量%を含む、約1重量%から約95重量%までを含む任意の所望の量の微小粒子を含んでもよい。微小粒子は、既知の方法によりポリマーフィルムと組み合わされてもよい。
【0304】
一態様において、開示される微小粒子は、約20ミクロンから約125ミクロンまでの平均的または平均粒径を有し得る。一実施形態において、平均粒径の範囲は、約40ミクロンから約90ミクロンまでである。別の実施形態において、平均粒径の範囲は、約50ミクロンから約80ミクロンまでである。粒径分布は、当業者に知られるレーザ回折技術により測定される。
【0305】
さらなる態様において、生物活性薬剤は、カプセル化、マイクロカプセル化、またはその他の様式で微小粒子内に封入され得る。微小粒子は、生物活性薬剤の放出を調節し得る。微小粒子は、任意の所望の量の生物活性薬剤を含み得る。例えば、微小粒子は、微小粒子の重量に対して、1重量%、5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量の生物活性薬剤を含んでもよく、開示されるパーセンテージの間の任意の範囲を含む。
【0306】
微小粒子は、当技術分野において知られる方法、例えば、2007年8月16日公開の米国特許公開第2007/0190154号、およびTiceらに対する米国特許第5,407,609号(両方とも、微小粒子調製方法の教示に関してこの参照により全内容が本明細書に組み入れられる)に開示される方法を使用して作製することができる。明らかなように、加工条件に依存して、混合ステップにおいて出発材料として使用されるポリマーは、最終的な移植用複合材中に存在するポリマーと同じであっても同じでなくてもよい。例えば、加工中のポリマーは、重合または解重合してもよく、最終的に加工前に使用されたポリマーと異なるポリマーを生成してもよい。したがって、「ポリマー」という用語は、出発材料として使用されるポリマーだけでなく、本明細書に記載の方法により製造されたデバイス中に存在する最終ポリマーも包含する。
【0307】
本明細書に記載の化合物、複合材、キット、物品、デバイス、組成物、および方法に、様々な変更および変形を行うことができる。本明細書に記載の化合物、複合材、キット、物品、デバイス、組成物、および方法の他の態様は、明細書の考察ならびに本明細書に開示される化合物、複合材、キット、物品、デバイス、組成物、および方法の実践から明らかとなる。明細書および実施例は、例示的であるとみなされることが意図される。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それぞれ2008年12月23日に出願された先の米国特許仮出願第61/140,417号、第61/140,449号、第61/140,468号、第61/140,476号、第61/140,486号、第61/140,492号に基づき、その優先権の利益を主張し、当該仮出願それぞれの全体の内容は、それぞれ参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
従来より、医学分野において、ある特定の障害および状態は、医療移植片を必要とする。医療移植片は、多くの場合、損傷した生物組織または流体を置換する、生物学的プロセスを増強または向上させる、手術部位の治癒を向上させる、対象内の局所的部位に薬物を送達する、または別の生物学的もしくは構造的役割を行うために使用される。移植片はさらに、患者の生存を維持するために必要となり得る。残念ながら、移植手術の間、または患者が医療移植片を埋め込まれた後に問題が生じ得る。いくつかの場合において、移植片は、手術部位の治癒を弱める。例えば、移植片の表面は、細菌、真菌、または他の感染物質に感染し得る細胞残屑および他の生体物質を集める可能性がある。また、対象の免疫系は、移植片を異物として認識し、自然の防御を用いて移植片と戦おうとし得る。これは、多くの場合、対象の免疫系の強さを低下させ、人工装具周囲の感染、または外科的移植部位もしくはその近くのその他の感染等、さらなる深刻な問題をもたらし得る。
【0003】
したがって、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を送達することも望ましくなり得る。そのような生物活性薬剤は、移植片に関連した上述の問題の少なくともいくつかを防止する、または移植片自体の機能を向上させるのに役立つことができる。残念ながら、各移植片を、生物活性薬剤を局所的に送達し得るように構成することは、常に可能である、または実用的であるとは限らない。例えば、製剤の製造のための規制は、医療デバイスの製造のための規制とは大きく異なる。
【0004】
したがって、移植片に適用することができる、または対象に移植することができる、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を効果的に提供する複合材および組成物が必要とされている。これらの必要性およびその他の必要性は、本発明により満足される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において、移植用複合材および組成物、移植用複合材および組成物を備えるキット、ならびに移植用複合材および組成物を備える移植デバイスが開示される。一態様において、使用場所での適用が開示され、生物活性薬剤は、使用時点に近い時点で医療デバイスに適用され、これにより、最終移植デバイスの品質または有効性が過度に影響を受けないように、生物活性薬剤および移植デバイスの個別でより迅速な開発が可能となる。
【0006】
本明細書において、移植用フィルムベース複合材、移植用弾性バンド複合材、移植用可撓性本体複合材、移植用吸引カップ複合材、ターポリマー組成物、スプレーコーティング組成物、複合材および組成物を使用するための方法、ならびに複合材および組成物を備える移植デバイスが、それぞれ開示され説明される。
【0007】
本発明の利点の一部は以下の説明において記載され、一部は説明から明らかであるか、または以下に記載の態様の実践により学ぶことができる。以下に記載の利点は、添付の特許請求の範囲において具体的に指摘された要素および組合せを用いて実現および達成される。上記概要および以下の詳細な説明の両方は、例示および説明のみを目的としており、制限するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】例示的な移植用フィルムベース複合材の図である。
【図1B】別の例示的な移植用フィルムベース複合材の図である。
【図2】複数の移植用フィルムベース複合材を備える例示的なキットの図である。
【図3】移植用フィルムベース複合材を備える例示的な移植デバイスの図である。
【図4】例示的移植用弾性バンド複合材の図である。
【図5】移植用弾性バンド複合材を備える例示的移植デバイスの図である。
【図6A】第1の部分および第2の部分が接続されていない、例示的移植用可撓性本体複合材の図である。
【図6B】第1の部分および第2の部分が接続されている、例示的移植用可撓性本体複合材の図である。
【図7】それに固定された移植用可撓性本体複合材を備える、例示的な移植デバイスの図である。
【図8】例示的な移植用吸引カップ複合材の図である。
【図9】デバイスに接着された移植用吸引カップ複合材を備える、例示的な移植デバイスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本化合物、組成物、複合材、物品、デバイスおよび/または方法を開示および説明する前に、以下に記載される態様は、特定の化合物、組成物、複合材、物品、デバイス、方法、または使用に限定されず、当然ながらそれに従い変動することを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様のみを説明することを目的としており、限定は意図してないことも理解されるべきである。
【0010】
本明細書および続く特許請求の範囲において、複数の用語が参照されるが、これらの用語は以下の意味を有することが定義されるものとする。
【0011】
本明細書全体を通して、文脈により異なる意味が求められない限り、「備える」という用語、または「備える(三人称)」もしくは「備えている」等の変化形は、述べられた整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を包含することを暗示するが、任意の他の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を除外することを暗示しないことを理解されたい。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈上異なる定義が明示されていない限り、単数形は複数形の支持対象を含むことを理解されたい。したがって、例えば、「生物活性薬剤」という呼称は、2つ以上のそのような薬剤の混合物等を含む。
【0013】
「任意選択の」または「任意選択で」は、次いで説明される事象または状況が生じても生じなくてもよいことを意味し、またその説明が、事象または状況が生じる場合および生じない場合を含有することを意味する。
【0014】
本明細書では、範囲は、「約」1つの具体的値から、および/または「約」別の具体的値までというように表現され得る。そのような範囲が表現されている場合、別の態様は、当該1つの具体的値から、および/または他の具体的値までを含む。同様に、値が近似値として表現されている場合、「約」という先行詞を使用することにより、具体的値が別の態様を形成することが理解される。さらに、範囲のそれぞれの端点は、他の端点と関連して、および他の端点とは独立して有効である。
【0015】
「生体適合性」という用語は、対象に対し実質的に「非毒性」である物質を指す。
【0016】
「生体分解性」は、一般に、可溶性種まで破壊されるか、または生理学的条件下で、それ自体は対象にとって非毒性(生体適合性)であり、対象により代謝、排除、または排泄され得るより小さい単位または化学種まで分解する材料を指す。
【0017】
「生物活性薬剤」は、生物学的活性を有する薬剤を指す。生物学的薬剤は、疾患、障害、感染等を処置、診断、治療、軽減、防止(すなわち予防的に)、改善、またはそれに対して有益な効果を与えるために使用され得る。「放出可能な生物活性薬剤」は、開示される複合材または組成物から放出され得る生物活性薬剤である。生物活性薬剤はまた、対象の構造もしくは機能に影響するそれらの物質、または、所定の生理学的環境内に置かれると生物活性となる、もしくはより生物活性となるプロドラッグを含む。
【0018】
「粘着性ポリマー」という用語は、室温で粘着性である少なくとも1つの表面を有するポリマーを指す。一態様において、「粘着性ポリマー」は、接着剤のように機能し得る。「粘着性ポリマー」は、移植デバイス、リリースライナ、または対象の組織もしくは流体等の材料または物品に接着可能となるように設計され得る。
【0019】
「弾性」という用語は、変形可能(例えば、伸縮または伸長可能)であり、変形から実質的に回復し得る、すなわち、変形前の初期の状態に実質的に復帰し得る弾力性材料を指す。
【0020】
「バンド」という用語は、ループを形成する少なくとも1つの連続的な細長い表面を有する材料を指す。
【0021】
「接着ターポリマー」という用語は、接触表面に接着し得るターポリマーを指す。「接着ターポリマー」は、所望の期間表面に張り付くことができる任意のターポリマーであってもよい。一態様において、「接着ターポリマー」は、接着剤、ゲル、ワックスもしくはワックス状ポリマー、Vaseline(登録商標)様材料、粘性ターポリマー、または粘着性ターポリマーのように機能し得るか、またはそれらであってもよい。
【0022】
開示される方法の生成物および組成物のために使用され得る、それらと併せて使用され得る、それらの調製において使用され得る、またはそれらである化合物、組成物、および成分が開示される。これらのまたは他の材料が本明細書において開示され、これらの材料の組合せ、部分集合、相互作用、群等が開示される場合、これらの化合物のそれぞれの様々な個々のおよび集合的組合せおよび順列が明示的に開示されていない可能性があるが、それぞれが本明細書において具体的に企図および記載されることを理解されたい。例えば、複数の異なるポリマーおよび薬剤が開示および考察される場合、それとは反対に具体的に示されない限り、ポリマーおよび薬剤のありとあらゆる組合せおよび順列が具体的に企図される。したがって、分子A、BおよびCのクラスが、分子D、EおよびFのクラスと同様に開示され、組合せ分子A−Dの例が開示される場合、それぞれが個々に列挙されなくても、それぞれが個々におよび集合的に企図される。したがって、この例において、A、BおよびC;D、EおよびF;ならびに例示的組合せA−Dの開示から、組合せA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC−Fのそれぞれが具体的に企図され、開示されるとみなされるべきである。同様に、任意の部分集合またはそれらの組合せもまた、具体的に企図され開示される。したがって、例えば、A、BおよびC;D、EおよびF;ならびに例示的組合せA−Dの開示から、A−E、B−F、およびC−Eの部分集合が具体的に企図され、開示されるとみなされるべきである。この概念は、開示される組成物の作製方法および使用方法におけるステップを含むがこれらに限定されない、本開示の全ての態様に適用される。したがって、実行され得る様々な追加的ステップが存在する場合、これらの追加的ステップのそれぞれが、開示される方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組合せに関して実行され得ること、またそれぞれのそのような組合せが具体的に企図され、開示されるとみなされるべきであることが理解される。
【0023】
本明細書に記載の移植用複合材および組成物は、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体に適用され得る。移植用複合材または組成物は、生物活性薬剤を対象内に放出することができる。本明細書に記載の複合材および組成物は、生物活性薬剤の制御放出、持続放出、調節放出、徐放、パルス放出、遅延放出、またはプログラム放出を可能とする。移植用フィルムベース複合材、移植用弾性バンド複合材、移植用可撓性本体複合材、移植用吸引カップ複合材、ターポリマー組成物、およびスプレーコーティング組成物が、それぞれ以下に開示され説明される。
【0024】
i)移植用フィルムベース複合材
一態様において、移植用複合材は、移植用フィルムベース複合材である。この態様において、移植用複合材は、生体適合性ポリマーフィルムと、放出可能な生物活性薬剤と;生体適合性ポリマーフィルムに貼付されるリリースライナとを備える。さらなる態様において、移植用複合材は、少なくともその一部上に接着剤を備える少なくとも第1の表面を有する生体適合性ポリマーフィルムを備え、接着剤にリリースライナが貼付され、放出可能な生物活性薬剤がフィルム内またはフィルム上にある。さらなる態様において、移植用複合材は、少なくとも第1の表面および放出可能な生物活性薬剤を有する、生体適合性ポリマーフィルムと、第1の表面の少なくとも一部上の接着剤と、を備え、移植用複合材は、長さ寸法および幅寸法を有し、長さ寸法は、幅寸法と実質的に同じである。さらなる態様において、移植用複合材は、少なくとも第1の表面および放出可能な生物活性薬剤を備える、生体適合性ポリマーフィルムと、第1の表面の少なくとも一部上の接着剤と、を備え、移植用複合材は、長方形ではない形状を有する。
【0025】
一態様において、移植デバイスは、少なくともその一部上に開示される移植用フィルムベース複合材を備える、少なくとも第1の移植デバイス表面を備え、移植用フィルムベース複合材は、長さ寸法および幅寸法を有し、長さ寸法は、幅寸法と実質的に同じである。さらなる態様において、移植デバイスは、少なくともその一部上に開示される移植用フィルムベース複合材を備える、少なくとも第1の移植デバイス表面を備え、移植用フィルムベース複合材は、長方形ではない形状を有する。
【0026】
また、移植用フィルムベース複合材を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、移植用フィルムベース複合材を移植デバイスの表面上に固定することを含む、方法が開示される。
【0027】
一態様において、移植用フィルムベース複合材は、少なくとも第1の表面および複合材のその中に放出可能な生物活性薬剤を有する、生体適合性ポリマーフィルムと、第1の表面の少なくとも一部上の接着剤と、を備え、リリースライナが接着剤に貼付される。
【0028】
移植用フィルムベース複合材は、任意の所望の形状を有し得る。例えば、移植用フィルムベース複合材は、実質的に球形、円筒形、平面、または立方体であってもよい。平面移植用フィルムベース複合材は、他の形状の中でも、実質的に正方形、長方形、円形、三角形であってもよい。一態様において、移植用フィルムベース複合材は、正方形または長方形であってもよい。さらなる態様において、移植用フィルムベース複合材は、非長方形である形状を有する。図1Aに示されるように、例えば、移植用フィルムベース複合材100は、実質的に正方形の形状を有し、複合材の長さが複合材の幅とほぼ等しくてもよい。図1Aに示されるように、移植用フィルムベース複合材100は、少なくとも第1の表面120を有するポリマーフィルム110を備える。ポリマーフィルム110は、放出可能な生物活性薬剤(図示せず)を備える。接着剤(図示せず)は、任意選択で、ポリマーフィルムの第1の表面120の少なくとも一部上、または第1の表面120全体の上に存在してもよい。接着剤により、ポリマーフィルムは、移植デバイスに、または対象の内部組織もしくは流体に接着することができる。移植用フィルムベース複合材が対象に移植される前に、接着剤は、少なくとも部分的に、または完全に、リリースライナで被覆されてもよい。図1Aに示されるように、リリースライナ130は、ポリマーフィルムの第1の表面120上に存在する接着剤に貼付される。他の代替の実施形態において、リリースライナは存在しない。
【0029】
移植用フィルムベース複合材は、任意の所望のサイズを有し得る。一般に、移植用フィルムベース複合材のサイズ選択は、生物活性薬剤の所望の投入量により影響され得る。一般的に、所望の生物活性薬剤が多いほど、移植用フィルムベース複合材は大きくなる。また、サイズは、ポリマーフィルムの所望の放出特性を提供するように選択され得る。さらに、移植用フィルムベース複合材が移植デバイスに適用される場合、移植デバイスのサイズは、移植用フィルムベース複合材のサイズを選択する際に重要となり得る。例えば、移植デバイス表面の一部が露出したままであることが望ましくなり得る。これらの場合において、移植片のサイズは、移植デバイス表面を完全には被覆しないように選択され得る。
【0030】
移植用フィルムベース複合材は、任意の所望の体積、例えば、1、2、3、4、5、6、7、10、12、14、15、18、20、22、25、28、および29cm3等を含む、約0.1cm3から約30cm3までの体積を占めることができる。例えば、より小さい移植用フィルムベース複合材は、0.5、1、3、5、7、9、10、12、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、85、または90mm3等を含む、約0.1mm3から約100mm3までの体積を占めることができる。他の態様において、移植用フィルムベース複合材は、長さおよび幅を有するように整形され得る。長さは、移植用フィルムベース複合材の幅より大きい、それより小さい、またはそれと同じであってもよい。好適な長さおよび幅は、例えば、制限することなく1、2、3、4、5、6、7、10、12、14、15、18、20、22、25、28、および29cmを含む、0.1cm以下から約30cm以上までを含む。例えば、移植用フィルムベース複合材は、0.1cm×0.5cm、1cm×1cm、1cm×1.5cm、2cm×2cm、2cm×0.5cm、5cm×5cm、5cm×2cm、10cm×10cm、10cm×5cm、15cm×10cm、15cm×15cm、20cm×20cm、20cm×15cm、25cm×25cm、または30cm×20cm等を含む、約0.1cm×0.1cmから約30cm×30cmまでの面積を有し得る。より小さい移植用フィルムベース複合材は、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、または0.9mm等を含む、約0.1mm以下から約1mm以上の長さまたは幅を有し得る。そのような移植片は、約0.1mm×0.1mm、0.2mm×0.1mm、0.3mm×0.3mm、0.3mm×0.2mm、0.5mm×0.5mm、0.5mm×0.2mm、0.8mm×0.8mm、または0.9mm×0.9mmからの面積を有し得る。
【0031】
一態様において、移植用フィルムベース複合材が、幅寸法より実質的に大きい長さ寸法および厚さ寸法より実質的に大きい幅寸法を有する場合、幅寸法は約2mm未満である。さらなる態様において、移植用フィルムベース複合材が、幅寸法より実質的に大きい長さ寸法および厚さ寸法より実質的に大きい幅寸法を有する場合、幅寸法は約2mm未満である。さらなる態様において、移植用フィルムベース複合材は、幅寸法と実質的に同じ長さ寸法を有し得る。さらなる態様において、移植用フィルムベース複合材は、幅寸法より実質的に大きい長さ寸法および厚さ寸法より実質的に大きい幅寸法を有さない。
【0032】
さらに他の態様において、移植用フィルムベース複合材は、非正方形または非長方形の形状であってもよく、したがって、制限されることなく1、2、3、4、5、6、7、10、12、14、15、18、20、22、25、28、および29cmを含む、約0.1cmから約30cmまでの1つ以上の寸法を有する。例えば、三角形は、上述のサイズ範囲内の1つ以上の寸法を有し得る。さらなる態様において、移植用フィルムベース複合材は、実質的に円形(例えば、図1Bに示されるように)であってもよく、1、2、3、4、5、6、7、10、12、14、15、18、20、22、25、28、および29cm等を含む、約0.1cmから約30cmの直径を有する。
【0033】
ポリマーフィルムは、任意の所望の厚さを有し得る。一態様において、ポリマーフィルムは、制限されることなく約5nm、20nm、50nm、150nm、200nm、300nm、500nm、800nm、または900nmの厚さを有するそれらのフィルムを含む、約1nm以下から約1000nmまでの厚さを有する薄いフィルムである。さらなる態様において、フィルムは、制限されることなく約1000nmから約50cm以上までの厚さを有するそれらのフィルムを含む、約1000nmを超える厚さを有する。例えば、フィルムは、約2000nm、0.1cm、0.5cm、1cm、5cm、20cm、30cm、40cm、または50cmの厚さを有し得る。フィルムは平面である必要はないが、平面であってもよいことを理解されたい。したがって、様々な態様において、フィルムは、フィルムの異なる領域で様々な高さを有してもよい。したがって、フィルムは、移植用フィルムベース複合材の所望の形状に依存して、上述のような任意の形状を有し得る。
【0034】
移植用複合材とともに使用されるポリマーは、任意の好適な生体適合性および生体分解性または非生体分解性ポリマーであってもよい。本明細書に記載のポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。ポリマーは、ブロックもしくはブロック状コポリマーもしくはターポリマー、ランダムコポリマーもしくはターポリマー、星型ポリマー、またはデンドリマーであってもよい。移植用フィルムベース複合材の所望の特性に依存して、任意の所望の分子量のポリマーを使用することができる。ある特定の態様において、高強度の移植用フィルムベース複合材が望ましい場合、例えば強度要件を満たすために高分子量のポリマーを使用することができる。他の態様において、例えば材料強度よりもポリマーの吸収時間が望ましい場合は、低分子量または中間分子量のポリマーを使用することができる。
【0035】
ポリマーの分子量は、移植用フィルムベース複合材の所望の特性を提供するように選択され得る。ある特定の態様において、ポリマーフィルムは、ポリマーのフィルムを形成することにより提供され得る。そのような態様において、分子量は、満足のいくフィルムを形成するように十分高い分子量であるべきである。通常、10,000ダルトンを超える分子量がこれを達成し得る。しかしながら、フィルムの特性はまた、使用されている特定のポリマー材料に部分的に依存するため、全てのポリマーに対して適切な分子量範囲を特定することは困難である。ポリマーの分子量はまた、分子量がポリマーの生体分解速度に影響するという点からも重要である。生物活性薬剤放出の拡散機構においては、ポリマーは、薬剤の全てがポリマーから放出されるまでは無傷のままであり、その後に分解するべきである。薬剤はまた、ポリマーが生体分解する際にポリマーから放出され得る。ポリマー材料の適切な選択により、ポリマー調合物は、得られる生体適合性ポリマーが拡散放出特性および生体分解放出特性の両方を示すように作製され得る。分子量は、他の方法の中でも、ゲル濾過クロマトグラフィー、粘度、光散乱を含む、当技術分野において知られた方法により測定することができる。
【0036】
生体分解性ポリマーフィルムは、対象内に入ったら、所望の時間間隔以内で分解するように調合され得る。いくつかの態様において、時間間隔は、約1日未満から約1ヶ月までとなり得る。より長い時間間隔は、例えば約0ヶ月以上から約6ヶ月まで、または約1ヶ月から約6ヶ月まで分解するポリマーマトリックスを含め、6ヶ月まで延長され得る。他の態様において、ポリマーは、例えば、約0ヶ月以上から約2年まで、または約1ヶ月から約2年までを含む、最長2年以上までのより長い時間間隔で分解し得る。
【0037】
所望の生物活性薬剤放出機構は、ポリマーの選択に影響し得る。生体適合性ポリマーは、移植用フィルムベース複合材が対象内に移植された後所望の経過時間で、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。例えば、ポリマーは、生物活性薬剤がその活性を消失し始める前、生物活性薬剤が活性を消失し始める際、生物活性薬剤が部分的に活性を消失した時、例えば少なくとも25%、少なくとも50%または少なくとも75%が消失した時、生物活性薬剤が活性を実質的に消失した時、または、生物活性薬剤が完全になくなったかもしくはもはや活性を有さなくなったときに、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。
【0038】
一態様において、ポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシバレレート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホスフェート、ポリホスホエステル、ポリジオキサノン、ポリホスホエステル、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンのうちの1つ以上であってもよい。他の非生体分解性であるが耐久性であるポリマーには、制限されることなく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の好適な非生体分解性ポリマーには、制限されることなく、シリコーンおよびポリウレタンが含まれる。
【0039】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、またはポリ(ヒドロキシブチレート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生体分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレート、またはポリヒドロキシバレレートを含有するコポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、およびそれらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、またはブレンドであってもよい。
【0040】
さらなる態様において、有用な生体適合性ポリマーは、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体適合性ポリマーである。さらなる態様において、有用な生体適合性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体適合性ポリマーである。
【0041】
一態様において、有用な生体分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せを含む別の生体適合性または生体分解性ポリマーの1つ以上のブロックと組み合わせた、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むがこれらに限定されない、親水性または水溶解性ポリマーの1つ以上のブロックを有する生体分解性ポリマーである。
【0042】
特定の態様において、生体分解性ポリマーは、1つ以上のラクチド残基を有してもよい。ポリマーは、L−ラクチド、D−ラクチド、およびD,L−ラクチド、またはそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、ラクチドの全てのラセミ体および立体特異的形態を含む、任意の残基を有してもよい。ラクチドを含む有用なポリマーは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、およびポリ(DL−ラクチド);ならびに、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)、およびポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド);または、それらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、もしくはブレンドを含むが、これらに限定されない。ラクチド/グリコリドポリマーは、ラクチドおよびグリコリドモノマーの開環を介した溶融重合により便利に作製され得る。さらに、ラセミDL−ラクチド、L−ラクチドおよびD−ラクチドポリマーは、市販されている。L−ポリマーはより結晶性であり、DL−ポリマーより吸収が遅い。グリコリドおよびDL−ラクチド又はL−ラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーは市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーもまた、市販されている。
【0043】
生体分解性ポリマーがポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)である場合、ポリマー中のラクチドおよびグリコリドの量は変動し得る。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、0から100モル%、40から100モル%、50から100モル%、60から100モル%、70から100モル%、または80から100モル%までのラクチド、および0から100モル%、0から60モル%、10から40モル%、20から40モル%、または30から40モル%までのグリコリドを含有し、ラクチドおよびグリコリドの量は100モル%である。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、50:50ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であり、比はモル比である。
【0044】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよい。一態様において、ポリマーは、様々な態様において95:5ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、または50:50ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよいポリ(ラクチド−カプロラクトン)であってもよく、比はモル比である。
【0045】
一態様において、ポリマーフィルムは、ターポリマーを含んでもよい。一態様において、ターポリマーは、2008年11月12日出願の米国特許出願公開第12/269135号(米国特許公開第2009/0124535号)に開示されるターポリマーであり、この参照によりそのターポリマーおよび本開示の考慮される部分の教示の全てが本明細書に組み込まれる。
【0046】
そのコポリマー、その混合物、またはそのブレンドを含むがそれらに限定されない、上述の生体分解性ポリマーの任意の組合せを使用することができることが理解される。同様に、生体分解性ポリマーの残基が開示される場合、開示される残基を有する任意の好適なポリマー、コポリマー、混合物、またはブレンドもまた開示されるとみなされることが理解される。この目的のために、複数の残基が個々に開示される場合(すなわち、別のものとの組合せではない)、個々の残基の任意の組合せが使用され得ることが理解される。
【0047】
また、移植用フィルムベース複合材を備える物品およびキットも開示される。例示的な物品200を図2に示すが、これは、複数の移植用フィルムベース複合材を備える平面状リリースライナ230を示している。図示されるように、各移植用フィルムベース複合材は、任意選択で接着剤(図示せず)を備える少なくとも第1の表面220を有するポリマーフィルム210を備える。接着剤は、リリースライナ230に貼付され得る。この実施例において、物品は、全てがリリースライナ230を共有する複数の移植用フィルムベース複合材を備える。しかしながら、代替の実施形態は、パッケージ内の図1Aおよび図1Bに描写されるもの等の、複数の移植用フィルムベース複合材のパッケージであるキットを含む。また、同じまたは異なる移植用フィルムベース複合材の混合物を備えるキットが開示される。例えば、キットは、それぞれ異なるサイズを有する移植用フィルムベース複合材のいくつかの組を備えてもよい。そのようなキットは、移植用フィルムベース複合材の使用場所での適用に有用となり得、例えば1つのキットが、複数の異なる移植デバイスとサイズが適合する移植用フィルムベース複合材を提供し得る。
【0048】
一態様において、接着剤は、開示される移植用フィルムベース複合材の表面上に存在し得る。ある特定の態様において、ポリマーフィルム自体が、リリースライナ、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体が直接接着する接着剤として機能する、粘着性ポリマーフィルムであってもよい。上に開示される粘着性ポリマーを作製する方法は、当技術分野において知られている。例えば、添加剤を添加して、接着可能な粘着性ポリマーを提供することができる。一態様において、粘着性ポリマーは、約室温未満のガラス転移温度を有する上に開示されるポリマーを含む、約室温未満のTgを有する粘着性ポリマーであってもよい。
【0049】
移植用フィルムベース複合材の様々な態様において、ポリマーフィルムは、粘着性ポリマーフィルムを含む必要はないが、それを含み得る。したがって、さらなる態様において、ポリマーフィルムとは別個の接着剤が、ポリマーフィルム上にあってもよい。接着剤は、任意の所望の接着剤であってよい。好適な接着剤は、熱可塑性樹脂、糖タンパク質、ムコ多糖類、生体接着剤、炭水化物、デンプン、デキストリン、糖類、ゼラチン、エポキシ、アクリル系、ゴム、シリコーン、ポリウレタン、粘着剤、ポリエステル、ポリエーテル、ポリクロロプレン、天然ゴム、過酸化物、シラン、イソシアネート、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを含むが、それらに限定されない。
【0050】
一態様において、接着剤は、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを制限なく含む、生体適合性または生体分解性接着剤であってもよい。
【0051】
接着剤は、当技術分野において知られた方法により、ポリマーフィルムの第1の表面に適用することができる。接着剤は、例えば、ポリマーフィルムの第1の表面上への接着剤組成物のスピンコーティング、ドロップキャスティング、はけ塗り、または噴霧により適用することができる。
【0052】
上述のように、一態様において、移植用フィルムベース複合材は、リリースライナを備える。リリースライナは、任意の好適なリリースライナであってよい。リリースライナは、典型的には、移植用フィルムベース複合材が対象内に移植される前に移植用フィルムベース複合材のポリマーフィルムから取り外される、一時的リリースライナである。したがって、一時的リリースライナは、対象に有害となり得る量の任意の材料を後に残さないのが好ましい。
【0053】
好適なリリースライナは、リリースライナが隣接する接着剤から容易に剥脱または剥離されるようにする材料で作製される。例示的なリリースライナは、紙および/またはプラスチック材料を含むリリースライナである。典型的には、そのようなリリースライナは、リリースライナと隣接する接着剤との間の接着性を低減するシリコーンまたはフッ素化炭化水素等の材料でコーティングされた、ポリエステルまたはポリエチレン等のポリマーから作製される。他の好適なリリースライナは、接着剤からのライナの容易な分離を可能とするシリコーン材料で被覆されたクラフト紙等の紙を含む。リリースライナ材料は市販されており、例えば、ポリエチレンは、3M(登録商標)から市販されている。
【0054】
一態様において、リリースライナは、ポリマーフィルムである。すなわち、ポリマーフィルムの第1の表面は、接着剤により、ポリマーフィルムの対置する第2の表面に接着される。例えば、移植用フィルムベース複合材は、1巻きのテープとして構成され得、ポリマーフィルムの第2の対置する表面は、リリースライナとして機能する。他の態様において、リリースライナは、ポリマーフィルムではない。すなわち、ポリマーフィルムの第1の表面は、ポリマーフィルムの対置する第2の表面に接着されない。したがって、いくつかの態様において、移植用フィルムベース複合材は、1巻きのテープではなく、ポリマーフィルムの第2の対置する表面は、リリースライナとして機能する。
【0055】
一態様において、移植デバイスは、少なくともその一部上に移植用フィルムベース複合材を備える、少なくとも第1の移植デバイス表面を備え、移植用フィルムベース複合材が、幅寸法より実質的に大きい長さ寸法および厚さ寸法より実質的に大きい幅寸法を有する場合、幅寸法は約2mm未満である。
【0056】
移植デバイスは、棒、繊維、円筒、ビーズ、リボン、ディスク、ウエハ、自由形状整形固体、または様々な他の整形固体等、任意の形状を有し得る。デバイスは、任意の規則的または不規則的形状を有し得、円形、長方形、三角形、楕円等の任意の断面を有し得る。さらなる態様において、デバイスは、移植用ポンプの典型的な形状等、円筒形状を有する。
【0057】
移植片は、金属(例えば、チタン)、金属複合材、有機材料、ポリマー、またはさらにセラミック材料等の任意の好適な材料を含み得る。移植片の表面は、任意の整形表面であってもよく、ある特定の移植片に存在するような、多孔性、ビーズ状またはメッシュ状の内部成長表面を有してもよい。
【0058】
移植デバイスは、任意の種類の医療移植片であってもよい。移植デバイスは、例えば、薬物送達ポンプを含む薬物送達用移植片;脊椎移植片、骨融合もしくは骨修復用移植片を含む整形外科用移植片;固有の薬物送達能力を有するステントを含む医療用ステント;乳房用移植片、筋肉用移植片等を含む人工装具移植片;歯科用移植片;人工内耳および補聴器を含む耳用移植片;ペースメーカー、カテーテル等を含む心臓用移植片;空間充填用移植片;生体電気移植片;神経用移植片;透析グラフトを含む内臓用移植片;除細動器;監視デバイス;記録デバイス;脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器;移植型識別デバイスおよび情報チップ;人工器官;薬物投与デバイス;移植型センサ/バイオセンサ;ネジ;管;ロッド;プレート;または人工関節を含み得る。
【0059】
さらなる態様において、移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または、脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0060】
図3を参照すると、移植デバイス300は、ポリマーフィルム320の第1の表面330により第1の移植デバイス表面に接着されるポリマーフィルム320を備える移植用複合材を備える、第1の移植デバイス表面310を備える。図3に示されるデバイスは、移植用ポンプである。移植デバイスが対象内に置かれると、ポリマーフィルムは分解して、生物活性薬剤を、移植部位に隣接する組織内またはその近くで放出させることができる。望ましい場合、複数の移植用フィルムベース複合材は、移植デバイスに適用され得る。
【0061】
開示される移植用フィルムベース複合材とともに使用されると有益となり得る他の移植デバイスは、1つ以上の活性表面、例えば、組織もしくは流体と移植デバイスとの間の接続を向上させる表面、または創傷治癒を可能にする、もしくは向上させる表面を有する移植デバイスを含む。開示される移植用フィルムベース複合材は、移植デバイスの一部のみに適用されると効果的となり得、移植デバイスが対象内に移植された際に任意の活性表面の露出を維持して機能的とすることができる。
【0062】
上述のように、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を送達することが望ましくなり得る。生物活性薬剤は、感染などの移植片に関連した問題のいくつかを防止する、または移植片自体の機能を向上させるのに役立つことができる。また、上述のように、生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造することを回避するのも望ましくなり得る。本明細書に開示される複合材、方法、およびキットは、移植デバイスの表面上への移植用フィルムベース複合材の使用場所での適用を可能とし、それにより生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造する必要性を排除することができる。
【0063】
一態様において、移植用フィルムベース複合材は、使用時点に近い時点で、または使用している間に移植デバイス表面に適用され得る。例えば、移植用フィルムベース複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、移植用フィルムベース複合材を移植デバイスの表面上に固定することにより、移植デバイスに適用され得る。一態様において、移植用フィルムベース複合材は、例えば医師または看護婦により、手術室内で移植デバイスに適用され得る。
【0064】
移植用フィルムベース複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点の前または後に、移植デバイスの表面に固定され得る。一態様において、移植用フィルムベース複合材を備える移植デバイスが、対象内に移植され得る。さらなる態様において、移植デバイスが対象内に移植され得、次いで移植用フィルムベース複合材が移植デバイスの表面に適用され得る。より小さい移植片を移植する場合、まず移植用フィルムベース複合材を移植デバイス表面に適用することが有益となり得る。
【0065】
一態様において、移植用フィルムベース複合材は、例えば23時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、5時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、2分以内、30秒以内、または移植手術中を含む、移植手術の同日(すなわち、24時間以内)に移植デバイスの表面に固定され得る。
【0066】
所望の場合は、移植デバイスを含むまたは含まない、移植用フィルムベース複合材自体が、対象の組織または流体の上または中に移植され得る。一態様において、移植用フィルムベース複合材は、移植部位の近くまたはそれに隣接する組織または流体の上または中、すなわち、移植デバイスが移植された部位、または所望の移植部位の近くまたはそれに隣接した部位に移植され得る。
【0067】
一態様において、開示される方法は、放出可能な生物活性薬剤を備える移植用フィルムベース複合材とともに使用することができる。さらなる態様において、方法は、少なくとも第1の表面と、放出可能な生物活性薬剤とを有するポリマーフィルムと;第1の表面の少なくとも一部または全体の上の接着剤と、を備える移植用フィルムベース複合材とともに使用することができる。さらなる態様において、方法は、少なくとも第1の表面と、放出可能な生物活性薬剤とを有する、ポリマーフィルムと、第1の表面の少なくとも一部または全体の上の接着剤と、接着剤に貼付されるリリースライナと、を備える、移植用フィルムベース複合材とともに使用することができ、リリースライナは、移植用フィルムベース複合材が移植デバイスの表面上に固定される前に、接着剤から取り外される。リリースライナは、ポリマーフィルムおよび/もしくは接着剤からリリースライナを剥離することにより、または、リリースライナからポリマーフィルムを剥離することにより取り外すことができる。次いで、移植用フィルムベース複合材は、移植片の表面を、移植用フィルムベース複合材の接触側と接触させることにより、および任意選択で、良好な接着を促進するために圧力を印加することにより、移植片の表面または対象の組織もしくは流体に適用することができる。粘着剤が使用される場合、移植デバイス表面上への複合材の良好な接着を促進するために、移植用フィルムベース複合材に圧力を印加することが望ましくなり得る。
【0068】
また、移植用フィルムベース複合材を備える移植デバイスも開示される。「デバイス」という用語は、デバイスの少なくとも1つの寸法において、長さが1mmを超える任意の調合物または物品である。デバイスは、開示される移植用複合材を備えることができる。さらなる態様において、デバイスは、1mmから50mmまで、1.2mmから45mmまで、1.4mmから42mmまで、1.6mmから40mmまで、1.8mmから38mmまで、または2.0mmから36mmまで、5.0mmから33mmまで、または10mmから30mmまでの1つの寸法を有する。さらなる態様において、デバイスは、3cmを超え、さらに10cm、20cm、またはさらに30cm以上までの1つの寸法を有する。
【0069】
移植デバイスは、任意の所望の対象内に移植することができる。対象は、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類等の脊椎動物であってもよい。本明細書に開示される方法の対象は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類であってもよい。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成獣および新生動物対象、ならびに胎児が、雄または雌を問わず含まれることが意図される。
【0070】
典型的には、移植用フィルムベース複合材を移植デバイスに適用する前に、いかなる表面汚染物質も除去しポリマーフィルムの良好な接着を促進するために、移植デバイス表面を清浄化または処理することができる。例えば、移植用複合材および/または移植デバイスは、例えば水蒸気下での高圧蒸気殺菌法により滅菌することができる。次いで、移植用フィルムベース複合材、または移植用フィルムベース複合材を備える移植デバイスは、既知の手術手技を用いて対象内に移植することができる。ある特定の態様において、滅菌された容器またはパッケージ内に、移植用複合材または複合材を備えるキットを保存することが望ましくなり得る。一態様において、キットは、移植用複合材の滅菌されたパッケージを備えることができる。
【0071】
ii)移植用弾性バンド複合材
別の態様において、移植用複合材は、少なくとも1つの連続的な細長い表面を有し、生体適合性ポリマーと生物活性薬剤とを備える、弾性バンドを含む弾性バンド複合材である。さらなる態様において、移植デバイスは、移植デバイスの少なくとも一部と接触する、開示される移植用弾性バンド複合材を備える。また、移植用弾性バンド複合材を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、移植用弾性バンド複合材を移植デバイスの表面上に固定することを含む、方法が開示される。
【0072】
一態様において、移植用弾性バンド複合材は、少なくとも1つの連続的な細長い表面を有し、生体適合性ポリマーと、マトリックス内に配置される生物活性薬剤とを備える、弾性バンドを備える。一態様において、生物活性薬剤は、バンドおよび/またはポリマー内に配置される。一態様において、弾性バンドは、生体適合性または生体分解性であってもよい。本明細書に開示される移植用弾性バンド複合材は、ゴムバンドとして機能することができ、またゴムバンドのような特性を有し得る。したがって、移植用弾性バンド複合材は、典型的には、移植デバイスまたは対象の組織もしくは流体の周りに取り付けることができる、閉じたループである。
【0073】
図4を参照すると、移植用弾性バンド複合材400は、それを貫通する少なくとも1つの開口430を画定する、少なくとも1つの連続的な細長い表面420を有する弾性バンド410を備えることができる。バンド410は、バンド内またはバンドの表面上に配置される、放出可能な生物活性薬剤(図示せず)を備える。弾性バンドは、伸長されて移植デバイスまたは対象の内部組織もしくは流体に適用され得る(例えば、伸長されてその周りに設置され得る)。一態様において、少なくとも1つの連続的な細長い表面は、対置する第2の連続的な細長い表面を有してもよい。さらなる態様において、弾性バンドは、単層の弾性バンドであってもよい。
【0074】
移植用弾性バンド複合材は、任意の所望のサイズを有し得る。一般に、移植用弾性バンド複合材のサイズ選択は、生物活性薬剤の所望の投入量により影響され得る。一般的に、所望の生物活性薬剤が多いほど、移植用弾性バンド複合材は大きくなる。また、サイズは、ポリマーの所望の放出特性を提供するように選択され得る。さらに、移植用弾性バンド複合材が移植デバイスに適用される場合、移植デバイスのサイズは、移植用弾性バンド複合材のサイズを選択する際に重要となり得る。例えば、移植デバイス表面の一部が露出したままであることが望ましくなり得る。これらの場合において、移植片のサイズは、移植デバイス表面を完全には被覆しないように選択され得る。
【0075】
一態様において、移植用弾性バンド複合材の開口は、伸長されていない場合、約1cmから約50cm以上まで、約5cmから約25cm以上まで、または約7cmから約15cm以上までの直径を制限なく含む、任意の所望のサイズを有してもよく、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、または45cm以上の直径を有する1つ以上の開口を備える移植用弾性バンド複合材を含む。さらに、移植用弾性バンド複合材は、例えば約0.1cmから約1cmまでを含む、約1cm未満の直径を有する1つ以上の開口を備えてもよい。さらなる態様において、移植用弾性バンド複合材は、以下で考察される弾性バンドの弾性率に依存して、任意の所望のサイズに伸縮され得る。
【0076】
一態様において、弾性バンドは、弾性ポリマーを含んでもよい。弾性ポリマーは、比較的低い応力または歪みで可逆的に延長し得るポリマーである。そのようなポリマーは、非晶質ポリマー、低いガラス転移温度(Tg)を有するポリマー、高いポリマー鎖移動性を有するポリマー、架橋ポリマー、またはそれらの組合せを制限なく含む。一態様において、好適なポリマーは、実質的に非晶質であり、低いTgを有するポリマーである。好適なガラス転移温度は、約25℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約0℃以下、約−10℃以下、約−20℃以下、約−30℃以下、約−40℃以下、約−50℃以下、約−60℃以下、約−70℃以下、または約−70℃未満を制限なく含む。さらなる態様において、好適なポリマーは、架橋したポリマーである。弾性ポリマーのための架橋度は、典型的には、ポリマーの所望の弾性に基づき選択され得る。一般に、比較的急速な変形およびほぼ完全な可逆性を達成するには、少なくともある程度の架橋度が有用となり得る。
【0077】
好適な弾性ポリマーは、不都合な量の力がなくてもポリマーが伸長し得るように、比較的低い初期の力係数(例えば100N/cm未満)を有し得る。しかしながら、典型的には、力係数は、ポリマーが伸長されると初期の力係数を超えて増加するべきである。ある特定の態様において、高い伸長力で高い強度を維持するために、上述のようにポリマーは架橋していてもよく、および/または、マトリックスに強度を追加する生体適合性充填材料を備えてもよい。さらに、ポリマーは、大きな延長で少量の結晶化が生じるように設計することができ、これにより強制的な伸長の間、ポリマーに強度を追加することができる。バンドの弾性的効果を補助するために、例えば、鉱物油、ポリエチレングリコール(PEG)、脂肪酸、カーボンブラック、シリカ、カオリン、炭酸カルシウム、可塑剤、溶媒、またはそれらの組合せもしくは混合物等の他の添加剤をポリマーに添加することができる。
【0078】
移植用弾性バンド複合材とともに使用されるポリマーは、任意の生体適合性および生体分解性または非生体分解性ポリマーを含み得る。本明細書に記載のポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。ポリマーは、ブロックもしくはブロック状コポリマーもしくはターポリマー、ランダムコポリマーもしくはターポリマー、星型ポリマー、またはデンドリマーであってもよい。移植用弾性バンド複合材の所望の特性に依存して、任意の所望の分子量のポリマーを使用することができる。ある特定の態様において、高強度の弾性バンド複合材が望ましい場合、例えば強度要件を満たすために高分子量のポリマーを使用することができる。他の態様において、例えば材料強度よりもポリマーの吸収時間が望ましい場合は、低分子量または中間分子量のポリマーを使用することができる。一態様において、ポリマーは弾性バンドを形成する。
【0079】
ポリマーの分子量は、弾性バンド複合材の所望の特性を提供するように選択され得る。ある特定の態様において、ポリマーは、ポリマーの成形複合材を形成することにより提供され得る。そのような態様において、分子量は、十分な成形複合材を形成させるような分子量であるべきである。分子量はまた、ポリマーを弾力的に伸長させるのに好適であるべきである。ポリマーの分子量はまた、分子量がポリマーの生体分解に影響するという点からも重要である。生物活性薬剤放出の拡散機構においては、ポリマーは、薬剤の全てがポリマーから放出されるまでは無傷のままであり、その後に分解するべきである。薬剤はまた、ポリマーが生体分解する際にポリマーから放出され得る。ポリマー材料の適切な選択により、ポリマー調合物は、得られる生体分解性ポリマーが拡散放出特性および生体分解放出特性の両方を示すように作製され得る。分子量は、他の方法の中でも、ゲル濾過クロマトグラフィー、粘度、光散乱を含む、当技術分野において知られた方法により測定することができる。
【0080】
生体分解性ポリマーは、対象内に入ったら、所望の時間間隔以内で分解するように調合され得る。いくつかの態様において、時間間隔は、約1日未満から約1ヶ月までとなり得る。より長い時間間隔は、例えば約0ヶ月以上から約6ヶ月まで、または約1ヶ月から約6ヶ月まで分解するポリマーマトリックスを含め、6ヶ月まで延長され得る。他の態様において、ポリマーは、例えば、約0ヶ月以上から約2年まで、または約1ヶ月から約2年までを含む、最長2年以上までのより長い時間間隔で分解し得る。
【0081】
所望の生物活性薬剤放出機構は、弾性バンド用のポリマーの選択に影響し得る。生体分解性ポリマーは、弾性バンド複合材が対象内に移植された後所望の経過時間で、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。例えば、ポリマーは、生物活性薬剤がその活性を消失し始める前、生物活性薬剤が活性を消失し始める際、生物活性薬剤が部分的に活性を消失した時、例えば少なくとも25%、少なくとも50%または少なくとも75%が消失した時、生物活性薬剤が活性を実質的に消失した時、または、生物活性薬剤が完全になくなったかもしくはもはや活性を有さなくなったときに、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。
【0082】
弾性バンド複合材の一態様において、ポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシバレレート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホスフェート、ポリホスホエステル、ポリジオキサノン、ポリホスホエステル、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンのうちの1つ以上であってもよい。他の非生体分解性であるが耐久性であるポリマーには、制限されることなく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の好適な非生体分解性ポリマーには、制限されることなく、シリコーンおよびポリウレタンが含まれる。
【0083】
弾性バンド複合材のさらなる態様において、ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、またはポリ(ヒドロキシブチレート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生体分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレート、またはポリヒドロキシバレレートを含有するコポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、およびそれらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、またはブレンドであってもよい。他の非生体分解性であるが耐久性であるポリマーには、制限されることなく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の好適な非生体分解性ポリマーには、制限されることなく、シリコーンおよびポリウレタンが含まれる。
【0084】
弾性バンド複合材のさらなる態様において、有用な生体分解性ポリマーは、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体分解性ポリマーである。さらなる態様において、有用な生体分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体分解性ポリマーである。
【0085】
一態様において、有用な生体分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せを含む別の生体適合性または生体分解性ポリマーの1つ以上のブロックと組み合わせた、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むがこれらに限定されない、親水性または水溶解性ポリマーの1つ以上のブロックを有する生体分解性ポリマーである。
【0086】
弾性バンド複合材の特定の態様において、生体分解性ポリマーは、1つ以上のラクチド残基を有してもよい。ポリマーは、L−ラクチド、D−ラクチド、およびD,L−ラクチド、またはそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、ラクチドの全てのラセミ体および立体特異的形態を含む、任意のラクチド残基を有してもよい。ラクチドを含む有用なポリマーは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、およびポリ(DL−ラクチド);ならびに、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)、およびポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド);または、それらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、もしくはブレンドを含むが、これらに限定されない。ラクチド/グリコリドポリマーは、ラクチドおよびグリコリドモノマーの開環を介した溶融重合により便利に作製され得る。さらに、ラセミDL−ラクチド、L−ラクチドおよびD−ラクチドポリマーは、市販されている。L−ポリマーはより結晶性であり、DL−ポリマーより吸収が遅い。グリコリドおよびDL−ラクチド又はLラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーは市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーもまた、市販されている。
【0087】
生体分解性ポリマーがポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)である場合、ポリマー中のラクチドおよびグリコリドの量は変動し得る。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、0から100モル%、40から100モル%、50から100モル%、60から100モル%、70から100モル%、または80から100モル%までのラクチド、および0から100モル%、0から60モル%、10から40モル%、20から40モル%、または30から40モル%までのグリコリドを含有し、ラクチドおよびグリコリドの量は100モル%である。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、50:50ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であり、比はモル比である。
【0088】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよい。一態様において、ポリマーは、様々な態様において95:5ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、または50:50ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよく、比はモル比である。
【0089】
一態様において、弾性バンド複合材は、ターポリマーを含んでもよい。一態様において、ターポリマーは、2008年11月12日出願の米国特許出願公開第12/269135号(米国特許公開第2009/0124535号)に開示されるターポリマーであり、この参照によりそのターポリマーおよび本開示の考慮される部分の教示の全てが本明細書に組み込まれる。
【0090】
そのコポリマー、その混合物、またはそのブレンドを含むがそれらに限定されない、上述の生体分解性ポリマーの任意の組合せを使用することができることが理解される。同様に、生体分解性ポリマーの残基が開示される場合、開示される残基を有する任意の好適なポリマー、コポリマー、混合物、またはブレンドもまた開示されるとみなされることが理解される。この目的のために、複数の残基が個々に開示される場合(すなわち、別のものとの組合せではない)、個々の残基の任意の組合せが使用され得ることが理解される。さらに、上記ポリマーのいずれも、弾力的に伸長可能なポリマーを達成するために、所望のレベルまで加工(例えば、架橋)されてもよい。追加的な架橋剤が使用されてもよく、および/または既存のポリマーのラジカル、カチオン、またはアニオン架橋が使用されてもよい。
【0091】
一態様において、接着剤は、移植デバイス表面、または対象の組織もしくは流体に接触する、開示される弾性バンド複合材の外側表面上、例えば図4に示される表面420上に存在してもよく、ある特定の態様において、ポリマー自体が、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体が接着し得る接着剤として機能する、粘着性ポリマーであってもよい。上に開示される粘着性ポリマーを作製する方法は、当技術分野において知られている。例えば、添加剤を添加して、接着可能な粘着性ポリマーを提供することができる。一態様において、粘着性ポリマーは、約室温未満のガラス転移温度を有する上に開示されるポリマーを含む、約室温未満のTgを有する粘着性ポリマーであってもよい。したがって、ある特定の態様において、弾力的に伸長可能なポリマーは、粘着性ポリマーの使用により、開示される移植デバイス、対象の組織もしくは流体に、共に弾性的および接着により接触し得る。
【0092】
さらなる態様において、ポリマーとは別個の接着剤が、弾力的に伸長可能なポリマー上にあってもよい。接着剤は、任意の所望の接着剤であってよい。好適な接着剤は、熱可塑性樹脂、糖タンパク質、ムコ多糖類、生体接着剤、炭水化物、デンプン、デキストリン、糖類、ゼラチン、エポキシ、アクリル系、ゴム、シリコーン、ポリウレタン、粘着剤、ポリエステル、ポリエーテル、ポリクロロプレン、天然ゴム、過酸化物、シラン、イソシアネート、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを含むが、それらに限定されない。
【0093】
一態様において、接着剤は、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを制限なく含む、生体分解性接着剤であってもよい。
【0094】
接着剤は、当技術分野において知られた方法により、ポリマーの第1の表面に適用することができる。接着剤は、例えば、ポリマーの第1の表面上への接着剤組成物のスピンコーティング、ドロップキャスティング、はけ塗り、または噴霧により適用することができる。
【0095】
また、移植用弾性バンド複合材を備えるキットも開示される。キットは、1つ以上の開示される移植用複合材をパッケージとして備えることができる。一態様において、キットは、同じ移植用複合材を備えることができる。別の態様において、キットは、異なる移植用複合材の混合物を備えることができる。例えば、キットは、それぞれ異なるサイズを有する移植用複合材のいくつかの組を備えてもよい。そのようなキットは、移植用複合材の使用場所での適用に有用となり得、例えば1つのキットが、複数の異なる移植デバイスとサイズが適合する移植用複合材を提供し得る。
【0096】
また、移植用弾性バンド複合材を備える移植デバイスも開示される。デバイスは、デバイスの少なくとも1つの寸法において、長さが1mmを超える任意の調合物または物品であってもよい。デバイスは、開示される移植用複合材を備えることができる。さらなる態様において、デバイスは、1mmから50mmまで、1.2mmから45mmまで、1.4mmから42mmまで、1.6mmから40mmまで、1.8mmから38mmまで、または2.0mmから36mmまで、5.0mmから33mmまで、または10mmから30mmまでの1つの寸法を有する。さらなる態様において、デバイスは、3cmを超え、さらに10cm、20cm、またはさらに30cm以上までの1つの寸法を有する。
【0097】
一態様において、移植デバイスは、移植デバイスの少なくとも一部と弾性的に接触する、開示される移植用複合材を備える。
【0098】
移植デバイスは、棒、繊維、円筒、ビーズ、リボン、ディスク、ウエハ、自由形状整形固体、または様々な他の整形固体等、任意の形状を有し得る。デバイスは、任意の規則的または不規則的形状を有し得、円形、長方形、三角形、楕円等の任意の断面を有し得る。さらなる態様において、デバイスは、移植用ポンプの典型的な形状等、円筒形状を有する。
【0099】
移植片は、金属(例えば、チタン)、金属複合材、有機材料、ポリマー、またはさらにセラミック材料等の任意の好適な材料を含み得る。移植片の表面は、任意の整形表面であってもよく、ある特定の移植片に存在するような、多孔性、ビーズ状またはメッシュ状の内部成長表面を有してもよい。
【0100】
移植デバイスは、任意の種類の医療移植片であってもよい。移植デバイスは、例えば、薬物送達ポンプを含む薬物送達用移植片;脊椎移植片、骨融合もしくは骨修復用移植片を含む整形外科用移植片;固有の薬物送達能力を有するステントを含む医療用ステント;乳房用移植片、筋肉用移植片等を含む人工装具移植片;歯科用移植片;人工内耳および補聴器を含む耳用移植片;ペースメーカー、カテーテル等を含む心臓用移植片;空間充填用移植片;生体電気移植片;神経用移植片;透析グラフトを含む内臓用移植片;除細動器;監視デバイス;記録デバイス;脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器;移植型識別デバイスおよび情報チップ;人工器官;薬物投与デバイス;移植型センサ/バイオセンサ;ネジ;管;ロッド;プレート;または人工関節を含み得る。
【0101】
さらなる態様において、移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または、脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、または隔膜刺激器を含む刺激器のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0102】
図5を参照すると、移植デバイス500は、デバイス500の少なくとも一部、または全体と接触している弾性バンド520を備える移植用弾性バンド複合材を備える、第1の移植デバイス表面510を備えることができる。図5に示されるデバイスは、移植用ポンプである。
【0103】
移植デバイスが対象内に置かれると、ポリマーは分解して、生物活性薬剤を、移植部位に隣接する組織内またはその近くで放出させることができる。望ましい場合、複数の移植用複合材が、移植デバイスに適用され得る。さらに、移植用複合材がその意図される目的を果たしたら、移植用複合材は、移植デバイスから隣接する組織または流体中に脱落し得る。
【0104】
開示される移植用複合材とともに使用されると有益となり得る他の移植デバイスは、1つ以上の活性表面、例えば、組織もしくは流体と移植デバイスとの間の接続を向上させる表面、または創傷治癒を可能にする、もしくは向上させる表面を有する移植デバイスを含む。開示される移植用複合材は、移植デバイスの一部のみに適用されると効果的となり得、移植デバイスが対象内に移植された際に任意の活性表面の露出を維持して機能的とすることができる。
【0105】
上述のように、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を送達することが望ましくなり得る。生物活性薬剤は、感染などの移植片に関連した問題のいくつかを防止する、または移植片自体の機能を向上させるのに役立つことができる。また、上述のように、生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造することを回避するのも望ましくなり得る。本明細書に開示される複合材、方法、およびキットは、移植デバイスの表面上への移植用複合材の使用場所での適用を可能とし、それにより生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造する必要性を排除することができる。
【0106】
一態様において、移植用弾性バンド複合材は、使用時点に近い時点で、または使用している間に移植デバイス表面に適用され得る。例えば、移植用複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、移植用複合材を移植デバイスの表面上に固定することにより、移植デバイスに適用され得る。一態様において、移植用複合材は、例えば医師または看護婦により、手術室内で移植デバイスに適用され得る。
【0107】
移植用弾性バンド複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点の前、その時点または後に、移植デバイスの表面に固定され得る。一態様において、弾性バンド複合材を備える移植デバイスが、対象内に移植され得る。さらなる態様において、移植デバイスが対象内に移植され得、次いで弾性バンド複合材が移植デバイスの表面に適用され得る。より小さい移植片を移植する場合、まず弾性バンド複合材を移植デバイス表面に適用することが有益となり得る。
【0108】
一態様において、弾性バンド複合材は、例えば23時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、5時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、2分以内、30秒以内、または移植手術中を含む、移植手術の同日(すなわち、24時間以内)に移植デバイスの表面に固定され得る。
【0109】
所望の場合は、移植デバイスを含むまたは含まない、弾性バンド複合材自体が、対象の組織または流体の上または中に移植され得る。一態様において、弾性バンド複合材は、移植部位の近くまたはそれに隣接する組織または流体の上または中、すなわち、移植デバイスが移植された部位、または所望の移植部位の近くまたはそれに隣接した部位に移植され得る。
【0110】
典型的には、弾性バンド複合材を移植デバイスに適用する前に、いかなる表面汚染物質も除去しポリマーの良好な接着を促進するために、移植デバイス表面を清浄化または処理することができる。例えば、弾性バンド複合材および/または移植デバイスは、例えば水蒸気下での高圧蒸気殺菌法により滅菌することができる。しかしながら、いくつかの態様において、弾力的に伸長可能なポリマーを変形する不可逆性を回避するように注意が必要となり得る。次いで、弾性バンド複合材、または弾性バンド複合材を備える移植デバイスは、既知の手術手技を用いて対象内に移植することができる。ある特定の態様において、滅菌された容器またはパッケージ内に、弾性バンド複合材または複合材を備えるキットを保存することが望ましくなり得る。一態様において、キットは、弾性バンド複合材の滅菌されたパッケージを備えることができる。
【0111】
開示される方法は、放出可能な生物活性薬剤を備える、開示される全ての弾性バンド複合材とともに使用することができる。一態様において、方法は、弾力的に伸長可能なポリマーを伸長させ、それにより少なくとも1つのポリマー表面により画定される開口の直径を増加させることを含む。伸長の程度は、典型的には、移植用デバイスまたは弾性バンド複合材を受容する組織のサイズに影響される。ポリマーが伸長されたら、移植片、組織または流体の周囲に弾性バンド複合材を設置し、続いて伸長力を低減させて、弾性バンド複合材を弛緩させ、移植デバイスの少なくとも一部または全表面に弾性的に接触させることができる。任意選択で、弾性バンド複合材の移植デバイスへの固定を補助するために、ポリマーの第1の表面の一部もしくは全体に、または、移植デバイス表面の一部もしくは全体に接着剤を適用することができる。
【0112】
移植デバイスは、任意の所望の対象内に移植することができる。対象は、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類等の脊椎動物であってもよい。本明細書に開示される方法の対象は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類であってもよい。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成獣および新生動物対象、ならびに胎児が、雄または雌を問わず含まれることが意図される。
【0113】
iii)移植用可撓性本体複合材
一態様において、移植用複合材は、移植用可撓性本体複合材である。可撓性本体複合材は、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体に適用され得る。可撓性本体複合材は、生物活性薬剤を対象内に放出することができる。本明細書に記載の複合材は、生物活性薬剤の制御放出、持続放出、調節放出、徐放、パルス放出、遅延放出、またはプログラム放出を可能とする。
【0114】
一態様において、可撓性本体複合材は、第1の端部と第2の端部とを有し、放出可能な生物活性薬剤を有する生体適合性ポリマーを備える、実質的に可撓性の細長い本体を備え、実質的に可撓性の細長い本体の第1の部分は、実質的に可撓性の細長い本体の第2の部分に接続されて実質的に連続的なループを形成し得る。
【0115】
さらなる態様において、可撓性本体複合材は、第1の端部と第2の端部とを有する、実質的に可撓性の細長い本体と、実質的に可撓性の細長い本体の第1の部分を、実質的に可撓性の細長い本体の第2の部分に接続し、それにより実質的に連続的なループを形成するための手段と、を備え、実質的に可撓性の細長い本体は、生体適合性ポリマーと、放出可能な生物活性薬剤とを備える。
【0116】
可撓性本体複合材は、任意の所望のサイズを有し得る。一般に、可撓性本体複合材のサイズ選択は、生物活性薬剤の所望の投入量により影響され得る。一般的に、所望の生物活性薬剤が多いほど、可撓性本体複合材は大きくなる。また、サイズは、実質的に可撓性の細長い本体の所望の放出特性を提供するように選択され得る。さらに、可撓性本体複合材が移植デバイスに適用される場合、移植デバイスのサイズは、可撓性本体複合材のサイズを選択する際に重要となり得る。例えば、移植デバイス表面の一部が露出したままであることが望ましくなり得る。これらの場合において、移植片のサイズは、移植デバイス表面を完全には被覆しないように選択され得る。
【0117】
可撓性本体複合材は、任意の所望のサイズを有し得る。例えば、第1の端部が第2の部分に接続された可撓性本体複合材は、約1cmから約50cm以上まで、約5cmから約25cmまで、または約7cmから約15cmまでを制限なく含む直径を有してもよく、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、または45cm以上の直径を有する1つ以上の開口を備える可撓性本体複合材を含む。さらに、可撓性本体複合材は、例えば約0.1cmから約1cmまでを含む、約1cm未満の直径を有してもよい。同様に、第1の部分が第2の部分に接続されていない可撓性本体複合材は、任意の所望の長さを有し得る。一態様において、可撓性本体複合材は、約1cmから約500cm以上まで、約5cmから約400cmまで、約20cmから約200cmまで、または約50cmから約100cmまでの長さ(すなわち、第1の端部から第2の端部までの距離)を有してもよく、約2、3、4、5、8、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、または500cm以上の長さを有する可撓性本体複合材を含む。
【0118】
一態様において、実質的に可撓性の細長い本体の第1の部分を、実質的に可撓性の細長い本体の第2の部分に接続して、実質的に連続的なループを形成することができる。さらなる態様において、実質的に可撓性の細長い本体は、本体の第1の部分を本体の第2の部分に接続するための手段を備える。機械的接続、または機械的接続手段は、任意の所望の接続を含み得る。一態様において、機械的接続、または機械的接続手段は、ジップタイ接続、ケーブルタイ接続、例えば、ツイストタイ接続と同様の、第1の部分が第2の部分の周囲でねじられるものを含む係止接続、スナップ接続、ジッパーもしくはジッパー様接続、または当技術分野において知られた任意の他の接続を含み得る。
【0119】
一態様において、機械的接続、または機械的接続手段は、ジップタイ接続を含む。図6Aおよび6Bを参照すると、可撓性本体複合材600は、第1の部分620の少なくとも一部または全体に沿って一連の隆線640を備える第1の部分620を備えてもよく、第2の部分630は、第1の部分620が第2の部分630の受容開口650に挿入された時に一連の隆線640の少なくとも一部または全てにしっかりと係合する隆線状係合歯660(複数を含む)を備える受容開口650を備える。図6Bに示されるように、第1の部分620は、第2の部分630の受容開口650に挿入され、第2の部分の1つ以上の隆線状係合歯660により係合される。
【0120】
一態様において、実質的に可撓性の細長い本体は、半剛性ポリマー、またはエラストマーではないが硬質繊維ほど剛性でもないポリマーを含んでもよい。いくつかの態様において、実質的に可撓性の細長い本体は、可撓性本体複合材を移植デバイス、対象の組織または流体に機械的に固定させるのに十分可撓性であるべきである。一態様において、実質的に可撓性の細長い本体は、可撓性プラスチック等のプラスチックであってもよい。好適な可撓性プラスチックは、中程度から高程度の結晶性の範囲を示す可撓性プラスチックである。典型的には、可撓性プラスチックは、約10,000N/cm2から約400,000N/cm2までの力係数、および約1000N/cm2から約10,000N/cm2までの引張強度を有する。一態様において、可撓性プラスチックは、約10%から約1000%までの最終伸長率を有し得る。例えば、ポリエチレンは、約2500N/cm2の引張強度、約20,000N/cm2の力係数、約500%の最終伸長率を有する典型的な可撓性プラスチックである。他の典型的な可撓性プラスチックは、ポリプロペンおよびポリ(ヘキサメチレンアジパミド)を制限なく含む。さらに、以下で考察されるようなポリマーは、可撓性本体複合材の所望の機械的特性、例えば可撓性および剛性を提供するように設計(例えば、架橋または添加剤により加工)され得る。
【0121】
可撓性本体複合材とともに使用される実質的に可撓性の細長い本体は、任意の生体適合性、生体分解性、または非生体分解性ポリマーを含んでもよい。本明細書に記載のポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。ポリマーは、ブロックもしくはブロック状コポリマーもしくはターポリマー、ランダムコポリマーもしくはターポリマー、星型ポリマー、またはデンドリマーであってもよい。可撓性本体複合材の所望の特性に依存して、任意の所望の分子量のポリマーを使用することができる。ある特定の態様において、高強度の可撓性本体複合材が望ましい場合、例えば強度要件を満たすために高分子量のポリマーを使用することができる。他の態様において、例えば材料強度よりもポリマーの吸収時間が望ましい場合は、低分子量または中間分子量のポリマーを使用することができる。
【0122】
ポリマーの分子量は、可撓性本体複合材の所望の特性を提供するように選択され得る。ある特定の態様において、実質的に可撓性の細長い本体は、ポリマーの成形複合材を形成することにより提供され得る。そのような態様において、分子量は、十分な成形複合材を形成させるような分子量であるべきである。分子量はまた、実質的に可撓性の細長い本体を弾力的に伸長させるのに好適であるべきである。ポリマーの分子量はまた、分子量がポリマーの生体分解速度に影響するという点からも重要である。生物活性薬剤放出の拡散機構においては、ポリマーは、薬剤の全てがポリマーから放出されるまでは無傷のままであり、その後に分解するべきである。薬剤はまた、ポリマーが生体分解する際にポリマーから放出され得る。ポリマー材料の適切な選択により、ポリマー調合物は、得られる生体分解性ポリマーが拡散放出特性および生体分解放出特性の両方を示すように作製され得る。分子量は、他の方法の中でも、ゲル濾過クロマトグラフィー、粘度、光散乱を含む、当技術分野において知られた方法により測定することができる。
【0123】
実質的に可撓性の細長い本体は、対象内に入ったら、所望の時間間隔以内で分解するように調合され得る。いくつかの態様において、時間間隔は、約1日未満から約1ヶ月までとなり得る。より長い時間間隔は、例えば約0ヶ月以上から約6ヶ月まで、または約1ヶ月から約6ヶ月まで分解するポリマーマトリックスを含め、6ヶ月まで延長され得る。他の態様において、ポリマーは、例えば、約0ヶ月以上から約2年まで、または約1ヶ月から約2年までを含む、最長2年以上までのより長い時間間隔で分解し得る。
【0124】
所望の生物活性薬剤放出機構は、ポリマーの選択に影響し得る。生体分解性ポリマーは、可撓性本体複合材が対象内に移植された後所望の経過時間で、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。例えば、ポリマーは、生物活性薬剤がその活性を消失し始める前、生物活性薬剤が活性を消失し始める際、生物活性薬剤が部分的に活性を消失した時、例えば少なくとも25%、少なくとも50%または少なくとも75%が消失した時、生物活性薬剤が活性を実質的に消失した時、または、生物活性薬剤が完全になくなったかもしくはもはや活性を有さなくなったときに、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。
【0125】
一態様において、ポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシバレレート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホスフェート、ポリホスホエステル、ポリジオキサノン、ポリホスホエステル、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンのうちの1つ以上であってもよい。他の非生体分解性であるが耐久性であるポリマーには、制限されることなく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の好適な非生体分解性ポリマーには、制限されることなく、シリコーンおよびポリウレタンが含まれる。
【0126】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、またはポリ(ヒドロキシブチレート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生体分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレート、またはポリヒドロキシバレレートを含有するコポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、およびそれらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、またはブレンドであってもよい。
【0127】
さらなる態様において、有用な生体適合性ポリマーは、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体適合性ポリマーである。さらなる態様において、有用な生体適合性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体適合性ポリマーである。
【0128】
一態様において、有用な生体適合性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せを含む別の生体適合性または生体分解性ポリマーの1つ以上のブロックと組み合わせた、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むがこれらに限定されない、親水性または水溶解性ポリマーの1つ以上のブロックを有する生体適合性ポリマーである。
【0129】
特定の態様において、生体適合性ポリマーは、1つ以上のラクチド残基を有してもよい。ポリマーは、L−ラクチド、D−ラクチド、およびD,L−ラクチド、またはそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、ラクチドの全てのラセミ体および立体特異的形態を含む、任意のラクチド残基を有してもよい。ラクチドを含む有用なポリマーは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、およびポリ(DL−ラクチド);ならびに、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)、およびポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド);または、それらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、もしくはブレンドを含むが、これらに限定されない。ラクチド/グリコリドポリマーは、ラクチドおよびグリコリドモノマーの開環を介した溶融重合により便利に作製され得る。さらに、ラセミDL−ラクチド、L−ラクチドおよびD−ラクチドポリマーは、市販されている。L−ポリマーはより結晶性であり、DL−ポリマーより吸収が遅い。グリコリドおよびDL−ラクチド又はL−ラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーは市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーもまた、市販されている。
【0130】
生体適合性ポリマーがポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)である場合、ポリマー中のラクチドおよびグリコリドの量は変動し得る。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、0から100モル%、40から100モル%、50から100モル%、60から100モル%、70から100モル%、または80から100モル%までのラクチド、および0から100モル%、0から60モル%、10から40モル%、20から40モル%、または30から40モル%までのグリコリドを含有し、ラクチドおよびグリコリドの量は100モル%である。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、50:50ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であり、比はモル比である。
【0131】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよい。一態様において、ポリマーは、様々な態様において95:5ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、または50:50ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよいポリ(ラクチド−カプロラクトン)であってもよく、比はモル比である。
【0132】
一態様において、可撓性本体複合材は、ターポリマーを含んでもよい。一態様において、ターポリマーは、2008年11月12日出願の米国特許出願公開第12/269135号(米国特許公開第2009/0124535号)に開示されるターポリマーであり、この参照によりそのターポリマーおよび本開示の考慮される部分の教示の全てが本明細書に組み込まれる。
【0133】
そのコポリマー、その混合物、またはそのブレンドを含むがそれらに限定されない、上述の生体適合性ポリマーの任意の組合せを使用することができることが理解される。同様に、生体適合性ポリマーの残基が開示される場合、開示される残基を有する任意の好適なポリマー、コポリマー、混合物、またはブレンドもまた開示されるとみなされることが理解される。この目的のために、複数の残基が個々に開示される場合(すなわち、別のものとの組合せではない)、個々の残基の任意の組合せが使用され得ることが理解される。さらに、上記ポリマーのいずれも、実質的に可撓性の細長い本体を達成するために、所望のレベルまで加工(例えば、架橋)されてもよい。追加的な架橋剤が使用されてもよく、および/または既存のポリマーのラジカル、カチオン、またはアニオン架橋が使用されてもよい。
【0134】
所望により、様々な態様において、実質的に可撓性の細長い本体とは別個であってもよい、または実質的に可撓性の細長い本体自体の一部であってもよい接着剤が、移植デバイス表面、または対象の組織もしくは流体に接触する、開示される可撓性本体複合材の1つ以上の表面上に存在してもよい。接着剤は、任意の所望の接着剤であってよい。ある特定の態様において、実質的に可撓性の細長い本体自体が、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体が接着し得る接着剤として機能する、粘着性ポリマーであってもよい。上に開示される粘着性ポリマーを作製する方法は、当技術分野において知られている。例えば、添加剤を添加して、接着可能な粘着性ポリマーを提供することができる。一態様において、粘着性ポリマーは、約室温未満のガラス転移温度を有する上に開示されるポリマーを含む、約室温未満のTgを有する粘着性ポリマーであってもよい。したがって、ある特定の態様において、弾力的に伸長可能なポリマーは、粘着性ポリマーの使用により、開示される移植デバイス、対象の組織もしくは流体に、共に弾性的および接着により接触し得る。ポリマー自体以外の他の好適な接着剤は、熱可塑性樹脂、糖タンパク質、ムコ多糖類、生体接着剤、炭水化物、デンプン、デキストリン、糖類、ゼラチン、エポキシ、アクリル系、ゴム、シリコーン、ポリウレタン、粘着剤、ポリエステル、ポリエーテル、ポリクロロプレン、天然ゴム、過酸化物、シラン、イソシアネート、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを含むが、それらに限定されない。
【0135】
一態様において、接着剤は、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを制限なく含む、生体分解性接着剤であってもよい。
【0136】
接着剤は、当技術分野において知られた方法により、ポリマーの第1の表面に適用することができる。接着剤は、例えば、ポリマーの第1の表面上への接着剤組成物のスピンコーティング、ドロップキャスティング、はけ塗り、または噴霧により適用することができる。
【0137】
上述のように、可撓性本体複合材は、生物活性薬剤を備える。生物活性薬剤は、放出可能な生物活性薬剤、すなわち、実質的に可撓性の細長い本体から放出され得る生物活性薬剤であってもよい。ある特定の態様において、生物活性薬剤は、実質的に可撓性の細長い本体内または本体上にあってもよい。
【0138】
また、可撓性本体複合材を備えるキットも開示される。キットは、1つ以上の開示される可撓性本体複合材をパッケージとして備えることができる。一態様において、キットは、同じまたは異なる可撓性本体複合材の混合物を備えることができる。例えば、キットは、それぞれ異なるまたは同じサイズを有する可撓性本体複合材のいくつかの組を備えてもよい。そのようなキットは、可撓性本体複合材の使用場所での適用に有用となり得、例えば1つのキットが、複数の異なる移植デバイスとサイズが適合する可撓性本体複合材を提供し得る。
【0139】
また、可撓性本体複合材を備える移植デバイスも開示される。「デバイス」という用語は、デバイスの少なくとも1つの寸法において、長さが1mmを超える任意の調合物または物品である。デバイスは、開示される可撓性本体複合材を備えることができる。さらなる態様において、デバイスは、1mmから50mmまで、1.2mmから45mmまで、1.4mmから42mmまで、1.6mmから40mmまで、1.8mmから38mmまで、または2.0mmから36mmまで、5.0mmから33mmまで、または10mmから30mmまでの1つの寸法を有する。さらなる態様において、デバイスは、3cmを超え、さらに10cm、20cm、またはさらに30cm以上までの1つの寸法を有する。
【0140】
一態様において、移植デバイスは、移植デバイスの少なくとも一部と接触する、開示される可撓性本体複合材を備える。
【0141】
移植デバイスは、棒、繊維、円筒、ビーズ、リボン、ディスク、ウエハ、自由形状整形固体、または様々な他の整形固体等、任意の形状を有し得る。デバイスは、任意の規則的または不規則的形状を有し得、円形、長方形、三角形、楕円等の任意の断面を有し得る。さらなる態様において、デバイスは、移植用ポンプの典型的な形状等、円筒形状を有する。
【0142】
移植片は、金属(例えば、チタン)、金属複合材、有機材料、ポリマー、またはさらにセラミック材料等の任意の好適な材料を含み得る。移植片の表面は、任意の整形表面であってもよく、ある特定の移植片に存在するような、多孔性、ビーズ状またはメッシュ状の内部成長表面を有してもよい。
【0143】
移植デバイスは、任意の種類の医療移植片であってもよい。移植デバイスは、例えば、薬物送達ポンプを含む薬物送達用移植片;脊椎移植片、骨融合もしくは骨修復用移植片を含む整形外科用移植片;固有の薬物送達能力を有するステントを含む医療用ステント;乳房用移植片、筋肉用移植片等を含む人工装具移植片;歯科用移植片;人工内耳および補聴器を含む耳用移植片;ペースメーカー、カテーテル等を含む心臓用移植片;空間充填用移植片;生体電気移植片;神経用移植片;透析グラフトを含む内臓用移植片;除細動器;監視デバイス;記録デバイス;脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器;移植型識別デバイスおよび情報チップ;人工器官;薬物投与デバイス;移植型センサ/バイオセンサ;ネジ、管、ロッド、プレート、または人工関節を含み得る。
【0144】
さらなる態様において、移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または、脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0145】
図7を参照すると、移植デバイス700は、デバイス700の少なくとも一部、または全体と接触している実質的に可撓性の細長い本体720を備える可撓性本体複合材を備える、第1の移植デバイス表面710を備えることができる。図7に示されるデバイスは、移植用ポンプである。
【0146】
移植デバイスが対象内に置かれると、実質的に可撓性の細長い本体は分解して、生物活性薬剤を、移植部位に隣接する組織内またはその近くで放出させることができる。望ましい場合、複数の可撓性本体複合材が、移植デバイスに適用され得る。
【0147】
開示される可撓性本体複合材とともに使用されると有益となり得る他の移植デバイスは、1つ以上の活性表面、例えば、組織もしくは流体と移植デバイスとの間の接続を向上させる表面、または創傷治癒を可能にする、もしくは向上させる表面を有する移植デバイスを含む。開示される可撓性本体複合材は、移植デバイスの一部のみに適用されると効果的となり得、移植デバイスが対象内に移植された際に任意の活性表面の露出を維持して機能的とすることができる。
【0148】
上述のように、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を送達することが望ましくなり得る。生物活性薬剤は、感染などの移植片に関連した問題のいくつかを防止する、または移植片自体の機能を向上させるのに役立つことができる。また、上述のように、生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造することを回避するのも望ましくなり得る。本明細書に開示される複合材、方法、およびキットは、移植デバイスの表面上への可撓性本体複合材の使用場所での適用を可能とし、それにより生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造する必要性を排除することができる。
【0149】
一態様において、可撓性本体複合材は、使用時点に近い時点で、または使用している間に移植デバイス表面に適用され得る。例えば、可撓性本体複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、可撓性本体複合材を移植デバイスの表面上に固定することにより、移植デバイスに適用され得る。一態様において、可撓性本体複合材は、例えば医師または看護婦により、手術室内で移植デバイスに適用され得る。
【0150】
可撓性本体複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点の前または後に、移植デバイスの表面に固定され得る。一態様において、可撓性本体複合材を備える移植デバイスが、対象内に移植され得る。さらなる態様において、移植デバイスが対象内に移植され得、次いで可撓性本体複合材が移植デバイスの表面に適用され得る。より小さい移植片を移植する場合、デバイスを対象に移植する前に、まず可撓性本体複合材を移植デバイス表面に固定することが有益となり得る。
【0151】
一態様において、可撓性本体複合材は、例えば23時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、5時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、2分以内、30秒以内、または移植手術中を含む、移植手術の同日(すなわち、24時間以内)に移植デバイスの表面に固定され得る。
【0152】
所望の場合は、移植デバイスを含むまたは含まない、可撓性本体複合材自体が、対象の組織または流体の上または中に移植され得る。一態様において、可撓性本体複合材は、移植部位の近くまたはそれに隣接する組織または流体の上または中、すなわち、移植デバイスが移植された部位、または所望の移植部位の近くまたはそれに隣接した部位に移植され得る。
【0153】
典型的には、可撓性本体複合材を移植デバイスに適用する前に、いかなる表面汚染物質も除去し実質的に可撓性の細長い本体の良好な接着を促進するために、移植デバイス表面を清浄化または処理することができる。例えば、可撓性本体複合材および/または移植デバイスは、例えば水蒸気下での高圧蒸気殺菌法により滅菌することができる。しかしながら、いくつかの態様において、実質的に可撓性の細長い本体を変形する、または実質的に可撓性の細長い本体を溶融する不可逆性を回避するように注意が必要となり得る。次いで、可撓性本体複合材、または可撓性本体複合材を備える移植デバイスは、既知の手術手技を用いて対象内に移植することができる。ある特定の態様において、滅菌された容器またはパッケージ内に、可撓性本体複合材または複合材を備えるキットを保存することが望ましくなり得る。一態様において、キットは、可撓性本体複合材の滅菌されたパッケージを備えることができる。
【0154】
開示される方法は、放出可能な生物活性薬剤を備える、開示される全ての可撓性本体複合材とともに使用することができる。一態様において、方法は、可撓性本体複合材を、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体の少なくとも第1の表面の周囲に固定することを含む。例えば、可撓性本体複合材は、移植デバイスの周囲に巻かれてもよく、可撓性本体複合材の第1の部分は、上述のように、機械的接続、または機械的接続手段を介して可撓性本体複合材の第2の部分に接続されてもよい。任意選択で、可撓性本体複合材の移植デバイスへの固定を補助するために、実質的に可撓性の細長い本体の第1の表面の一部もしくは全体に、または、移植デバイス表面の一部もしくは全体に接着剤を適用することができる。
【0155】
移植デバイスは、任意の所望の対象内に移植することができる。対象は、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類等の脊椎動物であってもよい。本明細書に開示される方法の対象は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類であってもよい。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成獣および新生動物対象、ならびに胎児が、雄または雌を問わず含まれることが意図される。
【0156】
iv)接着性生体適合性ターポリマー組成物
別の態様において、接着性生体適合性ターポリマー組成物が開示される。一態様において、組成物は、接着生体適合性ターポリマーと放出可能な生物活性薬剤とを含む生物活性薬剤送達組成物である。また、開示される組成物を備えるキットも開示される。また、キットであって、1)接着生体適合性ターポリマーと、2)生物活性薬剤と、を備え、ターポリマーおよび生物活性薬剤は分離されているキットも開示される。また、第1の移植デバイス表面を有する移植デバイスであって、開示される組成物を、第1の移植デバイス表面の少なくとも一部上に備える、移植デバイスも開示される。また、生物活性組成物を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、開示される組成物を移植デバイスの表面上に適用することを含む方法も開示される。また、コーティングを移植デバイスに適用する方法であって、1)接着生体適合性ターポリマーと、2)開示されるキットの生物活性薬剤とを含むコーティングを、移植デバイスの表面上に適用することを含む方法も開示される。また、生物活性組成物を調合するための方法であって、接着生体適合性ターポリマーと生物活性薬剤とを混合し、それにより生物活性組成物を形成することを含む方法も開示される。
【0157】
組成物とともに使用されるターポリマーは、任意の好適な生体適合性ターポリマーであってよい。一態様において、ターポリマーは、生体分解性または非生体分解性ターポリマーである。ポリマーは、ブロックもしくはブロック状ターポリマー、ランダムターポリマー、または星型ターポリマーであってもよい。組成物の所望の特性に依存して、任意の所望の分子量のターポリマーを使用することができる。ある特定の態様において、高強度の組成物が望ましい場合、例えば強度要件を満たすために高分子量のターポリマーを使用することができる。他の態様において、例えば材料強度よりもターポリマーの吸収時間が望ましい場合は、低分子量または中間分子量のターポリマーを使用することができる。
【0158】
ターポリマーの分子量は、組成物の所望の特性を提供するように選択され得る。ある特定の態様において、ターポリマーは、ターポリマーの接着調合物を形成することにより提供され得る。そのような態様において、分子量は、満足のいく調合物を形成するように十分高いまたは低い分子量であるべきである。ターポリマーの分子量はまた、分子量がターポリマーの生体分解速度に影響するという点からも重要である。生物活性薬剤放出の拡散機構においては、ターポリマーは、薬剤の全てがターポリマーから放出されるまでは無傷のままであり、その後に分解するべきである。薬剤はまた、ターポリマーが生体分解する際にターポリマーから放出され得る。ポリマー材料の適切な選択により、ターポリマー調合物は、得られる生体分解性ターポリマーが拡散放出特性および生体分解放出特性の両方を示すように作製され得る。分子量は、他の方法の中でも、ゲル濾過クロマトグラフィー、粘度、光散乱を含む、当技術分野において知られた方法により測定することができる。
【0159】
生体分解性ターポリマーは、対象内に入ったら、所望の時間間隔以内で分解するように調合され得る。いくつかの態様において、時間間隔は、約1日未満から約1ヶ月までとなり得る。より長い時間間隔は、例えば約0ヶ月以上から約6ヶ月まで、または約1ヶ月から約6ヶ月まで分解するターポリマーマトリックスを含め、6ヶ月まで延長され得る。他の態様において、ターポリマーは、例えば、約0ヶ月以上から約2年まで、または約1ヶ月から約2年までを含む、最長2年以上までのより長い時間間隔で分解し得る。
【0160】
所望の生物活性薬剤放出機構は、ターポリマーの選択に影響し得る。組成物は、組成物が対象内に移植された後所望の経過時間で、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。一態様において、組成物またはターポリマーは、生物活性薬剤がその活性を消失し始める前、生物活性薬剤が活性を消失し始める際、生物活性薬剤が部分的に活性を消失した時、例えば少なくとも25%、少なくとも50%または少なくとも75%が消失した時、生物活性薬剤が活性を実質的に消失した時、または、生物活性薬剤が完全になくなったかもしくはもはや活性を有さなくなったときに、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。
【0161】
一態様において、ターポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシバレレート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホスフェート、ポリホスホエステル、ポリジオキサノン、ポリホスホエステル、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンのうちの1つ以上を含むターポリマーであってもよい。他の非生体分解性であるが耐久性であるポリマーには、制限されることなく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の好適な非生体分解性ターポリマーには、制限されることなく、シリコーンおよびポリウレタンを含む非生体分解性ターポリマーが含まれる。
【0162】
さらなる態様において、ターポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、またはポリ(ヒドロキシブチレート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生体分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレート、またはポリヒドロキシバレレートを含有するコポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、および組合せ、またはブレンドを含むターポリマーであってもよい。
【0163】
さらなる態様において、有用な生体分解性ターポリマーは、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体分解性ターポリマーである。さらなる態様において、有用な生体分解性ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体分解性ポリマーである。
【0164】
一態様において、有用な生体分解性ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せを含む別の生体適合性または生体分解性ターポリマーの1つ以上のブロックと組み合わせた、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むがこれらに限定されない、親水性または水溶解性ポリマーの1つ以上のブロックを有する生体分解性ターポリマーである。
【0165】
特定の態様において、生体分解性ターポリマーは、1つ以上のラクチド残基を有してもよい。ターポリマーは、L−ラクチド、D−ラクチド、およびD,L−ラクチド、またはそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、ラクチドの全てのラセミ体および立体特異的形態を含む、任意のラクチド残基を有してもよい。ラクチドを含む有用なターポリマーは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、およびポリ(DL−ラクチド);ならびに、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)、およびポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド);または、それらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、もしくはブレンドを含むターポリマーを含むが、これらに限定されない。ラクチド/グリコリドターポリマーは、ラクチドおよびグリコリドモノマーの開環を介した溶融重合により便利に作製され得る。さらに、ラセミDL−ラクチド、L−ラクチドおよびD−ラクチドポリマーは、市販されている。L−ポリマーはより結晶性であり、DL−ポリマーより吸収が遅い。グリコリドおよびDL−ラクチド又はL−ラクチドを含むターポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーは市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーもまた、市販されている。これらのポリマーを組み合わせてターポリマーを形成することができる。
【0166】
生体分解性ターポリマーがポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)を含むターポリマーである場合、ターポリマー中のラクチドおよびグリコリドの量は変動し得る。さらなる態様において、生体分解性ターポリマーは、0から100モル%、40から100モル%、50から100モル%、60から100モル%、70から100モル%、または80から100モル%までのラクチド、および0から100モル%、0から60モル%、10から40モル%、20から40モル%、または30から40モル%までのグリコリドを含有し、ラクチドおよびグリコリドの量は100モル%である。さらなる態様において、生体分解性ターポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、50:50ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を含むターポリマーであり、比はモル比である。
【0167】
さらなる態様において、ターポリマーは、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)を含むターポリマーであってもよい。一態様において、ターポリマーは、様々な態様において95:5ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、または50:50ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよいポリ(ラクチド−カプロラクトン)を含むターポリマーであってもよく、比はモル比である。
【0168】
さらなる態様において、ターポリマーは、ラクチド(DもしくはL)、グリコリド、またはカプロラクトンのうちの少なくとも1つ、または全てを含み得る。ラクチド(DもしくはL)、グリコリド、またはカプロラクトンのうちの任意の2つは、存在する場合、他方に対して任意の所望の比率で存在し得る。一態様において、ターポリマーは、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン)であってもよい。さらなる態様において、ターポリマーは、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン)であってもよい。ラクチド対グリコリド対カプロラクトンの比率は、任意の所望の比率であってもよい。一態様において、ラクチド体グリコリド対カプロラクトンの比率は、20:30:50である。一態様において、ターポリマーは、少なくとも1つのエステルエンドキャップを有するポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン)であり、ラクチド対グリコリド対カプロラクトンの比率は、20:30:50であり、約0.1dL/gの粘度を有する(20:30:50 DLGCL 1Eと略される)。
【0169】
さらなる態様において、ターポリマーは、任意選択でエンドキャップされたポリエチレングリコールを含むターポリマーであってもよい。任意選択でエンドキャップされたポリエチレングリコールの例には、制限されることなく、とりわけ、ポリエチレングリコール(エンドキャップされていない)、およびmPEG(メトキシポリ(エチレングリコール)が含まれる。一態様において、ターポリマーは、例えばポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)等の粘着性ターポリマーである。さらなる態様において、ターポリマーは、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド−コ−mPEG)であり、ラクチド対グリコリドの比率は50:50であり、mPEGの分子量は約2000ダルトンである。そのようなターポリマーは、エステルエンドキャップおよび約0.2dL/gの粘度を有する(50:50 DLG mPEG 2000 2Eと略される)。
【0170】
一態様において、ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、任意選択でエンドキャップされたポリエチレングリコール(PEG)、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む。さらなる態様において、ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、およびカプロラクトン残基のターポリマーを含み、ターポリマーは、開始剤の残基である末端基を有し、開始剤は、非結晶性の第一級または第二級アルコールである。さらなる態様において、ターポリマーは、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド−コ−任意選択でエンドキャップされたPEG)、またはポリ(ラクチド−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む。
【0171】
一態様において、ターポリマーは、2008年11月12日出願の米国特許出願公開第12/269135号(米国特許公開第2009/0124535号)に開示されるターポリマーであり、この参照によりそのターポリマーおよび本開示の考慮される部分の教示の全てが本明細書に組み込まれる。
【0172】
その混合物、またはそのブレンドを含むがそれらに限定されない、上述の生体分解性ターポリマーの任意の組合せを使用することができることが理解される。同様に、生体分解性ターポリマーの残基が開示される場合、開示される残基を有する任意の好適なターポリマー、混合物、またはブレンドもまた開示されるとみなされることが理解される。この目的のために、複数の残基が個々に開示される場合(すなわち、別のものとの組合せではない)、個々の残基の任意の組合せが使用され得ることが理解される。
【0173】
一態様において、ターポリマーは、接触表面に粘着することができる接着ターポリマーであってもよい。ある特定の態様において、表面が直接接着し得る接着剤として機能するターポリマー自体が粘着性ターポリマーであってもよい。上に開示される粘着性ポリマーを作製する方法は、当技術分野において知られている。例えば、添加剤を添加して、接着可能な粘着性ターポリマーを提供することができる。一態様において、粘着性ポリマーは、約室温未満のガラス転移温度を有する上に開示されるポリマーを含む、約室温未満のTgを有する粘着性ポリマーであってもよい。他の態様において、ターポリマーは、ゲルまたはゲル様、ワックスまたはワックス様、VASELINE(登録商標)様、粘性、粘着性、またはそれらの組合せであってもよい。
【0174】
上述のように、組成物は、生物活性薬剤を備える。生物活性薬剤は、放出可能な生物活性薬剤、すなわち、ターポリマーから放出され得る生物活性薬剤であってもよい。ある特定の態様において、生物活性薬剤は、ターポリマー内またはターポリマー上にあってもよい。
【0175】
一態様において、ターポリマーは、生物活性薬剤とは別個に保存されてもよく、組成物は、使用時点に近い時点または使用時点に調合されてもよい。そのような態様は、薬物安定性を独立した状態に維持し、および/またはターポリマーの存在に起因する汚染もしくは改変がない状態に維持することを可能にする。また、それらの生体分解性の粘着性ターポリマーの多くは十分に特性決定され、非経口的使用に関して一般にFDAにより認められていることを理解されたい。
【0176】
また、組成物を備えるキットも開示される。キットは、全て1つのユニットとして一緒に封入された、その使用目的に依存して同じまたは異なっていてもよい様々な組成物を有してもよい。
【0177】
さらなる態様において、キットは、1)接着生体適合性ターポリマーと、2)生物活性薬剤と、を備え、ターポリマーおよび生物活性薬剤は分離されている。一態様において、ターポリマーは、第1の容器内に存在し、生物活性薬剤は、第2の容器内に存在する。さらなる態様において、ターポリマーは、第1の分配システム内に存在し、生物活性薬剤は、第2の分配システム内に存在する。ターポリマーおよび生物活性薬剤を含む混合物が形成されるように、第1の分配システムは、ターポリマーを分配することができ、一方第2の分配システムは、活性薬剤を分配することができる。そのようなプロセスは、様々な態様において、第1および/第2の分配システムとしてシリンジを使用して、都合よく行うことができる。
【0178】
様々な態様において上述されるような組成物は、接着生体適合性ターポリマーと生物活性薬剤とを混合して組成物を形成することにより提供され得る。一態様において、ターポリマーおよび生物活性薬剤は、使用時点に近い時点または使用時点まで別個に保存されてもよい。例えば、ターポリマーおよび生物活性薬剤は、開示されるキット内で別個に保存されてもよい。
【0179】
一態様において、生物活性組成物を調合するための方法は、接着生体適合性ターポリマーと生物活性薬剤とを混合し、それにより生物活性組成物を形成することを含む。混合ステップは、任意の時点で行うことができる。一態様において、混合ステップは、使用時点に近い時点もしくは使用時点、または例えば23時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、5時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、2分以内、30秒以内、または移植手術中を含む、移植手術の同日(すなわち、24時間以内)を制限なく含む、移植手術に近い時点もしくは移植手術の時点で行われる。
【0180】
また、組成物を備える移植デバイスも開示される。デバイスは、デバイスの少なくとも1つの寸法において、長さが1mmを超える任意の調合物または物品であってもよい。デバイスは、開示される組成物を備えることができる。さらなる態様において、デバイスは、1mmから50mmまで、1.2mmから45mmまで、1.4mmから42mmまで、1.6mmから40mmまで、1.8mmから38mmまで、または2.0mmから36mmまで、5.0mmから33mmまで、または10mmから30mmまでの1つの寸法を有する。さらなる態様において、デバイスは、3cmを超え、さらに10cm、20cm、またはさらに30cm以上までの1つの寸法を有する。
【0181】
一態様において、移植デバイスは、少なくともその一部上に組成物を備える、少なくとも第1の移植デバイス表面を備え、組成物が、幅寸法より実質的に大きい長さ寸法および厚さ寸法より実質的に大きい幅寸法を有する場合、幅寸法は約2mm未満である。
【0182】
移植デバイスは、棒、繊維、円筒、ビーズ、リボン、ディスク、ウエハ、自由形状整形固体、または様々な他の整形固体等、任意の形状を有し得る。デバイスは、任意の規則的または不規則的形状を有し得、円形、長方形、三角形、楕円等の任意の断面を有し得る。さらなる態様において、デバイスは、移植用ポンプの典型的な形状等、円筒形状を有する。
【0183】
移植片は、金属(例えば、チタン)、金属複合材、有機材料、ポリマー、またはさらにセラミック材料等の任意の好適な材料を含み得る。移植片の表面は、任意の整形表面であってもよく、ある特定の移植片に存在するような、多孔性、ビーズ状またはメッシュ状の内部成長表面を有してもよい。
【0184】
移植デバイスは、任意の種類の医療移植片であってもよい。移植デバイスは、例えば、薬物送達ポンプを含む薬物送達用移植片;脊椎移植片、骨融合もしくは骨修復用移植片を含む整形外科用移植片;固有の薬物送達能力を有するステントを含む医療用ステント;乳房用移植片、筋肉用移植片等を含む人工装具移植片;歯科用移植片;人工内耳および補聴器を含む耳用移植片;ペースメーカー、カテーテル等を含む心臓用移植片;空間充填用移植片;生体電気移植片;神経用移植片;透析グラフトを含む内臓用移植片;除細動器;監視デバイス;記録デバイス;脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器;移植型識別デバイスおよび情報チップ;人工器官;薬物投与デバイス;移植型センサ/バイオセンサ;ネジ;管;ロッド;プレート;または人工関節を含み得る。
【0185】
さらなる態様において、移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または、脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0186】
開示される組成物とともに使用されると有益となり得る他の移植デバイスは、1つ以上の活性表面、例えば、組織もしくは流体と移植デバイスとの間の接続を向上させる表面、または創傷治癒を可能にする、もしくは向上させる表面を有する移植デバイスを含む。開示される組成物は、移植デバイスの一部のみに適用されると効果的となり得、移植デバイスが対象内に移植された際に任意の活性表面の露出を維持して機能的とすることができる。
【0187】
上述のように、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を送達することが望ましくなり得る。生物活性薬剤は、感染などの移植片に関連した問題のいくつかを防止する、または移植片自体の機能を向上させるのに役立つことができる。また、上述のように、生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造することを回避するのも望ましくなり得る。本明細書に開示される組成物、方法、およびキットは、移植デバイスの表面上への組成物の使用場所での適用を可能とし、それにより生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造する必要性を排除することができる。
【0188】
一態様において、組成物またはコーティング(例えば、ターポリマーおよび生物活性薬剤が分離されているコーティング)は、使用時点に近い時点で、または使用している間に移植デバイス表面に適用され得る。例えば、組成物は、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、組成物またはコーティングを移植デバイスの表面上に適用すること(例えば、ラビング、はけ塗り、塗り付け、分配システムまたはキットからの分配等)により、移植デバイスに適用され得る。一態様において、組成物またはコーティングは、例えば医師または看護婦により、手術室内で移植デバイスに適用され得る。
【0189】
さらなる態様において、移植デバイスは、1)接着生体適合性ターポリマーと、2)開示されるキットの生物活性薬剤とを含むコーティングで、移植デバイスの表面上にコーティングされ得る。一態様において、移植デバイスの表面にコーティングが適用される前、その時点、またはその後に、1)接着生体適合性ターポリマーと、2)生物活性薬剤とが混合される。「コーティング」という用語は、デバイス表面上の少なくとも2つのコーティングを制限なく含み、少なくとも2つのコーティングは互いから分離されている。例えば、デバイス表面の第1の領域は、ターポリマーを備えてもよく、デバイス表面の第2の領域は、ターポリマーから分離されている生物活性薬剤を備えてもよい。そのようなコーティングは、デバイス表面上に存在する場合、ターポリマーと生物活性薬剤とを混合することにより、開示される組成物中に形成することができる。デバイス表面上で別個に存在する場合、ターポリマーおよび生物活性薬剤は、既知の方法を使用して、例えば、アプリケータまたはq−チップで2つのコーティングを一緒に塗り付けることにより、混合することができる。さらなる態様において、ターポリマーおよび生物活性薬剤は、混合される。さらなる態様において、ターポリマーおよび生物活性薬剤はまず混合され、次いで組成物として移植デバイス表面に適用される。
【0190】
ターポリマーおよび生物活性薬剤が、使用時点まで互いに別個に保存または保持される場合、ターポリマーおよび生物活性薬剤は、任意の所望の時点で混合され得る。一態様において、接着生体適合性ターポリマーおよび生物活性薬剤は、コーティングをデバイス表面に適用する前に混合される。したがって、この態様において、まずターポリマーおよび生物活性薬剤を含む組成物が、コーティングをデバイス表面に適用する前に形成される。さらなる態様において、上述のように、ターポリマーおよび生物活性薬剤は、それぞれが個々におよび別個にデバイス表面上に存在した後に混合される。さらなる態様において、ターポリマーおよび生物活性薬剤は、それぞれが個々にデバイス表面に適用される時点と同時に、またはそれに近い時点で混合される。
【0191】
組成物およびコーティングは、移植デバイスが対象内に移植される時点の前または後に、移植デバイスの表面に適用され得る。一態様において、組成物および/またはコーティングを備える移植デバイスが、対象内に移植され得る。さらなる態様において、移植デバイスが対象内に移植され得、次いで組成物および/またはコーティングが移植デバイスの表面に適用され得る。より小さい移植片を移植する場合、まず組成物および/またはコーティングを移植デバイス表面に適用することが有益となり得る。
【0192】
一態様において、組成物および/またはコーティングは、例えば23時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、5時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、2分以内、30秒以内、または移植手術中を含む、移植手術の同日(すなわち、24時間以内)に移植デバイスの表面に適用され得る。
【0193】
所望の場合は、移植デバイスを含むまたは含まない、組成物および/またはコーティング自体が、対象の組織または流体の上または中に移植され得る。一態様において、組成物および/またはコーティングは、移植部位の近くまたはそれに隣接する組織または流体の上または中、すなわち、移植デバイスが移植された部位、または所望の移植部位の近くまたはそれに隣接した部位に移植され得る。
【0194】
典型的には、組成物および/またはコーティングを移植デバイスに適用する前に、いかなる表面汚染物質も除去しターポリマーの良好な接着を促進するために、移植デバイス表面を清浄化または処理することができる。例えば、組成物、コーティングおよび/または移植デバイスは、滅菌することができる。次いで、組成物および/もしくはコーティング、または組成物および/もしくはコーティングを備える移植デバイスは、既知の手術手技を用いて対象内に移植することができる。ある特定の態様において、滅菌された容器またはパッケージ内に、組成物、その成分、または組成物もしくはその成分を備えるキットを保存することが望ましくなり得る。一態様において、キットは、上述のように、組成物またはその成分の滅菌されたパッケージを備えることができる。
【0195】
一態様において、開示される方法は、放出可能な生物活性薬剤を含む組成物とともに使用することができる。さらなる態様において、方法は、接着生体適合性ターポリマーと生物活性薬剤とを含む組成物とともに使用することができる。組成物は、移植片の表面を、ターポリマー組成物またはその成分と接触させることにより、移植片の表面、または対象の組織もしくは流体に適用することができる。
【0196】
移植デバイスは、任意の所望の対象内に移植することができる。対象は、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類等の脊椎動物であってもよい。本明細書に開示される方法の対象は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類であってもよい。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成獣および新生動物対象、ならびに胎児が、雄または雌を問わず含まれることが意図される。
【0197】
実施例iv.1(予測)
第1の実施例においては、ターポリマー組成物が提供される。第1のシリンジは、20:30:50 DLGCL 1E等の粘性ターポリマーを含有する。第2のシリンジは、生物活性薬剤を含有し、これはこの場合ポリマー適合性溶媒(DMSO、NMP等)中に溶解または懸濁した溶媒抗生物質である。組成物を移植デバイス表面に適用する前に、2つのシリンジを接続することができ、シリンジプランジャを押して前後させることにより成分を混合することができる。生物活性薬剤含量は、所望の用量に依存して、0.1wt%から約60wt%以上までの範囲となり得る。得られる粘性溶液/懸濁液は、シリンジで直接移植デバイス表面に適用することができる。活性薬剤の制御放出は、上述のように、数時間から数日までの範囲の期間で達成され得る。
【0198】
実施例iv.2(予測)
第2の実施例においては、別のターポリマー組成物が提供される。第1のシリンジは、20:30:50 DLGCL 1E等の粘性ターポリマーを含有する。第2のシリンジは、乾燥粉末の形態の生物活性薬剤を含有する。2つのシリンジを接続し、シリンジプランジャを押して前後させることにより活性薬剤をターポリマーに懸濁させる。得られる粘性懸濁液は、シリンジで直接移植デバイス表面に適用することができる。同様に、薬物含量は、用量および放出速度を制御するために、必要に応じて0.1wt%から約60wt%以上までの範囲となり得る。
【0199】
実施例iv.3(予測)
第3の実施例においては、ターポリマー組成物を提供するための単一シリンジ法が開示される。ターポリマー、活性薬剤、および共溶媒(所望の場合、または必要に応じて)を一緒に組み合わせ、単一シリンジ内に封入することができる。薬物含量は、所望の用量に依存して、0.1wt%から約60wt%以上までの範囲となり得る。得られる粘性溶液/懸濁液は、シリンジで直接移植デバイスの表面に適用することができる。活性薬剤の制御放出は、数時間から数日までの範囲の期間で達成され得る。
【0200】
実施例iv.4(予測)
第4の実施例においては、ターポリマー組成物を備える単一包装システムが提供される。単一シリンジまたは他の好適な包装デバイスは、50:50 DLG mPEG 2000 2E等の粘着性ターポリマーを含有する。第2のシリンジまたは包装デバイスは、乾燥粉末またはフィルムの形態の生物活性薬剤を含有する。粘着性ターポリマーは、移植デバイスの表面上に適用および展着して、それにより、生物活性薬剤調合物を適用することができる接着表面を提供することができる。次いで、生物活性薬剤調合物を、粘着性ターポリマー表面に適用することができる。生物活性薬剤の制御放出は、数時間から数日までの範囲の期間で達成され得る。
【0201】
実施例iv.5(予測)
第5の実施例においては、別のターポリマー組成物が提供される。単一シリンジシステムまたは他の好適な包装デバイスは、50:50 DLG mPEG 2K等のターポリマー、生物活性薬剤、および共溶媒(所望の場合または必要に応じて)を備える。生物活性薬剤含量は、所望の用量に依存して、0.1wt%から約60wt%以上までの範囲となり得る。得られる粘性溶液/懸濁液は、シリンジで直接移植デバイス表面に適用し、デバイスの表面上に展着することができる。活性薬剤の制御放出は、数時間から数日までの範囲の期間で達成され得る。
【0202】
v)移植用吸引カップ複合材
また、本明細書において、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体に適用され得る吸引カップ複合材も記載される。吸引カップ複合材は、生物活性薬剤を対象内に放出することができる。本明細書に記載の複合材は、生物活性薬剤の制御放出、持続放出、調節放出、徐放、パルス放出、遅延放出、またはプログラム放出を可能とする。
【0203】
一態様において、吸引カップ複合材は、空洞を画定し、実質的に平面の縁部を有するカップ部材を備え、カップ部材は、弾力性生体適合性ポリマーを備え、弾力性生体適合性ポリマーは、ポリマー内に配置される生物活性薬剤を備える。一態様において、縁部は、実質的に平面である。さらなる態様において、縁部は、表面に接触する際に実質的に平面となる。したがって、ある特定の態様において、縁部は、実質的に非平面であるが、表面に接触する際に平面となることができる。
【0204】
図8を参照すると、例示的吸引カップ複合材800のカップ部材810は、カップ部材が、凸面と対置する空洞820を画定するように、図示されるように少なくとも1つの凸面を備える。カップ部材が接触表面に接着するのを可能とするために、カップ部材の縁部830は、実質的に平面である。一態様において、開示される吸引カップ複合材は、吸引カップとして機能する。一態様において、凸面は、若干凸型となるだけでもよく、または若干の曲面を有するだけでもよい。
【0205】
吸引カップ複合材は、任意の所望のサイズを有し得る。一般に、吸引カップ複合材のサイズ選択は、生物活性薬剤の所望の投入量により影響され得る。一般的に、所望の生物活性薬剤が多いほど、吸引カップ複合材は大きくなる。また、サイズは、吸引カップ複合材の所望の放出特性を提供するように選択され得る。さらに、吸引カップ複合材が移植デバイスに適用される場合、移植デバイスのサイズは、吸引カップ複合材のサイズを選択する際に重要となり得る。例えば、移植デバイス表面の一部が露出したままであることが望ましくなり得る。これらの場合において、移植片のサイズは、移植デバイス表面を完全には被覆しないように選択され得る。
【0206】
例えば、吸引カップ複合材は、約1cmから約50cm以上まで、約5cmから約25cm以上まで、または約7cmから約15cm以上までのを制限なく含む直径(カップ部材により画定される空洞を横断する最大距離)を有してもよく、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、または45cm以上の直径を有する空洞を備える吸引カップ複合材を含む。さらに、吸引カップ複合材は、例えば約0.1ミクロンから約10mmまで、または約0.1ミクロンから約1cmまでを含む、約1cm未満の直径を有してもよい。同様に、吸引カップ複合材は、様々な態様において、接触表面に適用された吸引カップ複合材の所望の接着強度に依存し得る、任意の所望の空洞深さを有してもよい。一態様において、吸引カップ複合材は、約0.1ミクロンから約500cm以上まで、約5ミクロンから約400cmまで、約20ミクロンから約200cmまで、または約50ミクロンから約100cmまでの空洞深さ(すなわち、最大空洞深さ)を有してもよく、約0.1ミクロン、1ミクロン、50ミクロン、100ミクロン、200ミクロン、1mm、5mm、10mm、20mm、50mm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、8cm、10cm、20cm、30cm、40cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cm、100cm、150cm、200cm、250cm、300cm、350cm、400cm、450cm、または500cm以上の空洞深さを有する吸引カップ複合材を含む。
【0207】
カップ部材はまた、任意の所望の厚さを有し得る。一態様において、カップ部材は、例えば約50nm(以下)から約1000nm以上までの厚さを有する薄膜と同じ程度薄くてもよい。一態様において、カップ部材は、約1000nmから約500cm、または約5cmから約100cm、または約10cmから約80cm、または約20cmから約50cm以上の厚さを制限なく含む、より大きな厚さを有してもよい。
【0208】
カップ部材は、任意の所望の形状を有し得る。一態様において、平面の縁部は、実質的に円形、実質的に長方形、または実質的に楕円形(長円状)である形状を有する。
【0209】
一態様において、カップ部材は、カップ部材が接触表面に接触した際に変形するのを可能にする機械的特性を有するポリマーを含んでもよい。ポリマーは、変形から回復して吸引カップ複合材を接触表面に接着させるシールを形成することができるように、少なくとも部分的に弾力性であるべきである。
【0210】
一態様において、ポリマーはエラストマーであってもよい。弾性ポリマーは、比較的低い応力で可逆的に延長し得るポリマーである。そのようなポリマーは、非晶質ポリマー、低いガラス転移温度(Tg)を有するポリマー、高いポリマー鎖移動性を有するポリマー、架橋ポリマー、またはそれらの組合せを制限なく含む。一態様において、好適なポリマーは、実質的に非晶質であり、低いTgを有するポリマーである。好適なガラス転移温度は、約25℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約0℃以下、約−10℃以下、約−20℃以下、約−30℃以下、約−40℃以下、約−50℃以下、約−60℃以下、約−70℃以下、または約−70℃未満を制限なく含む。さらなる態様において、好適なポリマーは、架橋したポリマーである。弾性ポリマーのための架橋度は、典型的には、カップ部材の所望の弾力性に基づき選択され得る。一般に、接触表面上のシールを形成する上で効果的な比較的急速な変形およびほぼ完全な可逆性を達成するには、少なくともある程度の架橋度が有用となり得る。
【0211】
好適な弾性ポリマーは、不都合な量の力がなくてもポリマーが伸長し得るように、比較的低い初期の力係数(例えば100N/cm未満)を有し得る。しかしながら、典型的には、力係数は、ポリマーが伸長されると初期の力係数を超えて増加するべきである。ある特定の態様において、高い伸長力で高い強度を維持するために、上述のようにポリマーは架橋していてもよく、および/または、マトリックスに強度を追加する生体適合性充填材料を備えてもよい。さらに、ポリマーは、大きな延長で少量の結晶化が生じるように設計することができ、これにより強制的な伸長の間、ポリマーに強度を追加することができる。
【0212】
さらなる態様において、カップ部材は、より弾力性の低いポリマー、例えば半剛性ポリマー、またはエラストマーではないが硬質繊維ほど剛性でもないポリマーを含んでもよい。そのために、いくつかの態様において、カップ部材は、吸引カップ複合材が変形して接触表面に固定されるのを可能にするのに十分可撓性であるべきである。一態様において、カップ部材は、弾力性の可撓性プラスチック等のプラスチックであってもよい。好適な可撓性プラスチックは、中程度から高程度の結晶性の範囲を示す可撓性プラスチックである。典型的には、可撓性プラスチックは、約10,000N/cm2から約400,000N/cm2までの力係数、および約1000N/cm2から約10,000N/cm2までの引張強度を有する。一態様において、可撓性プラスチックは、約10%から約1000%までの最終伸長率を有し得る。例えば、ポリエチレンは、約2500N/cm2の引張強度、約20,000N/cm2の力係数、約500%の最終伸長率を有する典型的な可撓性プラスチックである。他の典型的な可撓性プラスチックは、ポリプロペンおよびポリ(ヘキサメチレンアジパミド)を制限なく含む。さらに、以下で考察されるようなポリマーは、吸引カップ複合材の所望の機械的特性、例えば可撓性および剛性を提供するように設計(例えば、架橋または添加剤により加工)され得る。
【0213】
吸引カップ複合材とともに使用されるカップ部材は、任意の生体適合性、生体分解性または非生体分解性ポリマーを含み得る。本明細書に記載のポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。ポリマーは、ブロックもしくはブロック状コポリマーもしくはターポリマー、ランダムコポリマーもしくはターポリマー、星型ポリマー、またはデンドリマーであってもよい。吸引カップ複合材の所望の特性に依存して、任意の所望の分子量のポリマーを使用することができる。ある特定の態様において、高強度の吸引カップ複合材が望ましい場合、例えば強度要件を満たすために高分子量のポリマーを使用することができる。他の態様において、例えば材料強度よりもポリマーの吸収時間が望ましい場合は、低分子量または中間分子量のポリマーを使用することができる。一態様において、ポリマーは、2つ以上のポリマーのブレンドとして存在し得る。
【0214】
ポリマーの分子量は、吸引カップ複合材の所望の特性を提供するように選択され得る。ある特定の態様において、吸引カップ複合材は、ポリマーの成形複合材を形成することにより提供され得る。そのような態様において、分子量は、十分な成形複合材を形成させるような分子量であるべきである。分子量はまた、吸引カップ複合材を弾力的に伸長させるのに好適であるべきである。ポリマーの分子量はまた、分子量がポリマーの生体分解に影響するという点からも重要である。生物活性薬剤放出の拡散機構においては、ポリマーは、薬剤の全てがポリマーから放出されるまでは無傷のままであり、その後に分解するべきである。薬剤はまた、ポリマーが生体分解する際にポリマーから放出され得る。ポリマー材料の適切な選択により、ポリマー調合物は、得られる生体分解性ポリマーが拡散放出特性および生体分解放出特性の両方を示すように作製され得る。分子量は、他の方法の中でも、ゲル濾過クロマトグラフィー、粘度、光散乱を含む、当技術分野において知られた方法により測定することができる。
【0215】
吸引カップ複合材は、対象内に入ったら、所望の時間間隔以内で分解するように調合され得る。いくつかの態様において、時間間隔は、約1日未満から約1ヶ月までとなり得る。より長い時間間隔は、例えば約0ヶ月以上から約6ヶ月まで、または約1ヶ月から約6ヶ月まで分解するポリマーマトリックスを含め、6ヶ月まで延長され得る。他の態様において、ポリマーは、例えば、約0ヶ月以上から約2年まで、または約1ヶ月から約2年までを含む、最長2年以上までのより長い時間間隔で分解し得る。
【0216】
所望の生物活性薬剤放出機構は、ポリマーの選択に影響し得る。生体分解性ポリマーは、吸引カップ複合材が対象内に移植された後所望の経過時間で、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。例えば、ポリマーは、生物活性薬剤がその活性を消失し始める前、生物活性薬剤が活性を消失し始める際、生物活性薬剤が部分的に活性を消失した時、例えば少なくとも25%、少なくとも50%または少なくとも75%が消失した時、生物活性薬剤が活性を実質的に消失した時、または、生物活性薬剤が完全になくなったかもしくはもはや活性を有さなくなったときに、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。
【0217】
一態様において、ポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシバレレート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホスフェート、ポリホスホエステル、ポリジオキサノン、ポリホスホエステル、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンのうちの1つ以上であってもよい。他の非生体分解性であるが耐久性であるポリマーには、制限されることなく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の好適な非生体分解性ポリマーには、制限されることなく、シリコーンおよびポリウレタンが含まれる。
【0218】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、またはポリ(ヒドロキシブチレート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生体分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレート、またはポリヒドロキシバレレートを含有するコポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、およびそれらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、またはブレンドであってもよい。
【0219】
さらなる態様において、有用な生体分解性ポリマーは、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体適合性ポリマーである。さらなる態様において、有用な生体分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体分解性ポリマーである。
【0220】
一態様において、有用な生体分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せを含む別の生体適合性または生体分解性ポリマーの1つ以上のブロックと組み合わせた、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むがこれらに限定されない、親水性または水溶解性ポリマーの1つ以上のブロックを有する生体分解性ポリマーである。
【0221】
特定の態様において、生体分解性ポリマーは、1つ以上のラクチド残基を有してもよい。ポリマーは、L−ラクチド、D−ラクチド、およびD,L−ラクチド、またはそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、ラクチドの全てのラセミ体および立体特異的形態を含む、任意のラクチド残基を有してもよい。ラクチドを含む有用なポリマーは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、およびポリ(DL−ラクチド);ならびに、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)、およびポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド);または、それらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、もしくはブレンドを含むが、これらに限定されない。ラクチド/グリコリドポリマーは、ラクチドおよびグリコリドモノマーの開環を介した溶融重合により便利に作製され得る。さらに、ラセミDL−ラクチド、L−ラクチドおよびD−ラクチドポリマーは、市販されている。L−ポリマーはより結晶性であり、DL−ポリマーより吸収が遅い。グリコリドおよびDL−ラクチド又はLラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーは市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーもまた、市販されている。
【0222】
生体分解性ポリマーがポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)である場合、ポリマー中のラクチドおよびグリコリドの量は変動し得る。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、0から100モル%、40から100モル%、50から100モル%、60から100モル%、70から100モル%、または80から100モル%までのラクチド、および0から100モル%、0から60モル%、10から40モル%、20から40モル%、または30から40モル%までのグリコリドを含有し、ラクチドおよびグリコリドの量は100モル%である。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、50:50ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であり、比はモル比である。
【0223】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよい。一態様において、ポリマーは、様々な態様において95:5ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、または50:50ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよいポリ(ラクチド−カプロラクトン)であってもよく、比はモル比である。
【0224】
一態様において、吸引カップ複合材は、ターポリマーを含んでもよい。一態様において、ターポリマーは、2008年11月12日出願の米国特許出願公開第12/269135号(米国特許公開第2009/0124535号)に開示されるターポリマーであり、この参照によりそのターポリマーおよび本開示の考慮される部分の教示の全てが本明細書に組み込まれる。
【0225】
そのコポリマー、その混合物、またはそのブレンドを含むがそれらに限定されない、上述の生体分解性ポリマーの任意の組合せを使用することができることが理解される。同様に、生体分解性ポリマーの残基が開示される場合、開示される残基を有する任意の好適なポリマー、コポリマー、混合物、またはブレンドもまた開示されるとみなされることが理解される。この目的のために、複数の残基が個々に開示される場合(すなわち、別のものとの組合せではない)、個々の残基の任意の組合せが使用され得ることが理解される。さらに、上記ポリマーのいずれも、弾力性カップ部材を達成するために、所望のレベルまで加工(例えば、架橋)されてもよい。追加的な架橋剤が使用されてもよく、および/または既存のポリマーのラジカル、カチオン、またはアニオン架橋が使用されてもよい。
【0226】
所望により、様々な態様において、カップ部材とは別個であってもよい、またはカップ部材自体の一部であってもよい接着剤が、移植デバイス表面、または対象の組織もしくは流体に接触する、開示される吸引カップ複合材の接触縁部上に存在してもよい。接着剤は、任意の所望の接着剤であってよい。ある特定の態様において、カップ部材自体が、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体が接着し得る接着剤として機能する、粘着性ポリマーであってもよい。上に開示される粘着性ポリマーを作製する方法は、当技術分野において知られている。例えば、添加剤を添加して、接着可能な粘着性ポリマーを提供することができる。一態様において、粘着性ポリマーは、約室温未満のガラス転移温度を有する上に開示されるポリマーを含む、約室温未満のTgを有する粘着性ポリマーであってもよい。したがって、ある特定の態様において、弾力的に伸長可能なポリマーは、粘着性ポリマーの使用により、開示される移植デバイス、対象の組織もしくは流体に、共に弾性的および接着により接触し得る。ポリマー自体以外の他の好適な接着剤は、熱可塑性樹脂、糖タンパク質、ムコ多糖類、生体接着剤、炭水化物、デンプン、デキストリン、糖類、ゼラチン、エポキシ、アクリル系、ゴム、シリコーン、ポリウレタン、粘着剤、ポリエステル、ポリエーテル、ポリクロロプレン、天然ゴム、過酸化物、シラン、イソシアネート、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを含むが、それらに限定されない。
【0227】
一態様において、接着剤は、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、またはそれらの組合せ、混合物およびブレンドを制限なく含む、生体分解性接着剤であってもよい。
【0228】
接着剤は、当技術分野において知られた方法により、カップ部材の縁部に適用することができる。接着剤は、例えば、ポリマーの第1の表面上への接着剤組成物のスピンコーティング、ドロップキャスティング、はけ塗り、または噴霧により適用することができる。
【0229】
他の態様において、吸引カップ複合材は、接着剤を含まない。さらなる態様において、吸引カップ複合材の縁部は、接着剤を含まない。開示される吸引カップ複合材は、接着剤を使用することなく接触表面にシールすることができることが理解される。
【0230】
一態様において、吸引カップ部材の縁部を湿らせて、または濡らして、接触表面へのカップ部材の接着を向上させることができる。したがって、一態様において、吸引カップ複合材は、湿らせた縁部を備える。
【0231】
さらなる態様において、カップ部材は、乳白剤を備えてもよい。この態様のために、任意の所望の乳白剤を使用することができる。乳白剤は、蛍光等の乳白剤信号により、または例えば他の診断技術の中でもX線により、対象内の吸引カップ複合材または吸引カップ複合材を備えるデバイスを視認するのに有用となり得る。一態様において、乳白剤は、様々な態様において、例えばとりわけX線等の画像化技術により移植デバイスを可視化する、またはより可視化することができる硫酸バリウムであってもよいが、これに制限されない。
【0232】
上述のように、吸引カップ複合材は、生物活性薬剤を備える。生物活性薬剤は、放出可能な生物活性薬剤、すなわち、吸引カップ複合材から放出され得る生物活性薬剤であってもよい。ある特定の態様において、生物活性薬剤は、カップ部材内またはカップ部材上にあってもよい。さらなる態様において、生物活性薬剤は、ポリマー内に分散されてもよい。
【0233】
また、吸引カップ複合材を備えるキットも開示される。キットは、1つ以上の開示される吸引カップ複合材をパッケージとして備えることができる。一態様において、キットは、同じまたは異なる吸引カップ複合材の混合物を備えることができる。例えば、キットは、それぞれ異なるまたは同じサイズを有する吸引カップ複合材のいくつかの組を備えてもよい。そのようなキットは、吸引カップ複合材の使用場所での適用に有用となり得、例えば1つのキットが、複数の異なる移植デバイスとサイズが適合する吸引カップ複合材を提供し得る。
【0234】
また、吸引カップ複合材を備える移植デバイスも開示される。「デバイス」という用語は、デバイスの少なくとも1つの寸法において、長さが1mmを超える任意の調合物または物品である。デバイスは、開示される吸引カップ複合材を備えることができる。さらなる態様において、デバイスは、1mmから50mmまで、1.2mmから45mmまで、1.4mmから42mmまで、1.6mmから40mmまで、1.8mmから38mmまで、または2.0mmから36mmまで、5.0mmから33mmまで、または10mmから30mmまでの1つの寸法を有する。さらなる態様において、デバイスは、3cmを超え、さらに10cm、20cm、またはさらに30cm以上までの1つの寸法を有する。
【0235】
一態様において、移植デバイスは、移植デバイスの少なくとも一部と接触する、開示される吸引カップ複合材を備える。
【0236】
移植デバイスは、棒、繊維、円筒、ビーズ、リボン、ディスク、ウエハ、自由形状整形固体、または様々な他の整形固体等、任意の形状を有し得る。デバイスは、任意の規則的または不規則的形状を有し得、円形、長方形、三角形、楕円等の任意の断面を有し得る。さらなる態様において、デバイスは、移植用ポンプの典型的な形状等、円筒形状を有する。
【0237】
移植片は、金属(例えば、チタン)、金属複合材、有機材料、ポリマー、またはさらにセラミック材料等の任意の好適な材料を含み得る。移植片の表面は、任意の整形表面であってもよく、ある特定の移植片に存在するような、多孔性、ビーズ状またはメッシュ状の内部成長表面を有してもよい。
【0238】
移植デバイスは、任意の種類の医療移植片であってもよい。移植デバイスは、例えば、薬物送達ポンプを含む薬物送達用移植片;脊椎移植片、骨融合もしくは骨修復用移植片を含む整形外科用移植片;固有の薬物送達能力を有するステントを含む医療用ステント;乳房用移植片、筋肉用移植片等を含む人工装具移植片;歯科用移植片;人工内耳および補聴器を含む耳用移植片;ペースメーカー、カテーテル等を含む心臓用移植片;空間充填用移植片;生体電気移植片;神経用移植片;透析グラフトを含む内臓用移植片;除細動器;監視デバイス;記録デバイス;脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器;移植型識別デバイスおよび情報チップ;人工器官;薬物投与デバイス;移植型センサ/バイオセンサ;ネジ、管、ロッド、プレート、または人工関節を含み得る。
【0239】
さらなる態様において、移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または、脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器のうちの少なくとも1つであってもよい。図9を参照すると、移植デバイス900は、吸引カップ複合材920を備える第1の移植デバイス表面910を備えることができる。
【0240】
移植デバイスが対象内に置かれると、吸引カップ複合材は分解して、生物活性薬剤を、移植部位に隣接する組織内またはその近くで放出させることができる。望ましい場合、複数の吸引カップ複合材が、移植デバイスに適用され得る。任意選択で、吸引カップ複合材は、対象内に入ったら、接触表面から脱落し得る。一態様において、吸引カップ複合材は、吸引カップ複合材の機能、例えば対象の隣接する組織または流体への生物活性薬剤の送達が完了したら、接触表面から脱落し得る。
【0241】
開示される吸引カップ複合材とともに使用されると有益となり得る他の移植デバイスは、1つ以上の活性表面、例えば、組織もしくは流体と移植デバイスとの間の接続を向上させる表面、または創傷治癒を可能にする、もしくは向上させる表面を有する移植デバイスを含む。開示される吸引カップ複合材は、移植デバイスの一部のみに適用されると効果的となり得、移植デバイスが対象内に移植された際に任意の活性表面の露出を維持して機能的とすることができる。
【0242】
上述のように、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を送達することが望ましくなり得る。生物活性薬剤は、感染などの移植片に関連した問題のいくつかを防止する、または移植片自体の機能を向上させるのに役立つことができる。また、上述のように、生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造することを回避するのも望ましくなり得る。本明細書に開示される複合材、方法、およびキットは、移植デバイスの表面上への吸引カップ複合材の使用場所での適用を可能とし、それにより生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造する必要性を排除することができる。
【0243】
一態様において、吸引カップ複合材は、使用時点に近い時点で、または使用している間に移植デバイス表面に適用され得る。例えば、吸引カップ複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、吸引カップ複合材を移植デバイスの表面上に固定することにより、移植デバイスに適用され得る。一態様において、吸引カップ複合材は、例えば医師または看護婦により、手術室内で移植デバイスに適用され得る。
【0244】
吸引カップ複合材は、移植デバイスが対象内に移植される時点の前または後に、移植デバイスの表面に固定され得る。一態様において、吸引カップ複合材を備える移植デバイスが、対象内に移植され得る。さらなる態様において、移植デバイスが対象内に移植され得、次いで吸引カップ複合材が移植デバイスの表面に適用され得る。より小さい移植片を移植する場合、デバイスを対象に移植する前に、まず吸引カップ複合材を移植デバイス表面に固定することが有益となり得る。
【0245】
一態様において、吸引カップ複合材は、例えば23時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、5時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、2分以内、30秒以内、または移植手術中を含む、移植手術の同日(すなわち、24時間以内)に移植デバイスの表面に固定され得る。ある特定の態様において、上述のように、吸引カップ複合材は、数日、数週間、またはそれ以上を制限なく含む、任意の所望の時間間隔の間デバイスに固定された状態を維持することができる。
【0246】
所望の場合は、移植デバイスを含むまたは含まない、吸引カップ複合材自体が、対象の組織または流体の上または中に移植され得る。一態様において、吸引カップ複合材は、移植部位の近くまたはそれに隣接する組織または流体の上または中、すなわち、移植デバイスが移植された部位、または所望の移植部位の近くまたはそれに隣接した部位に移植され得る。
【0247】
典型的には、吸引カップ複合材を移植デバイスに適用する前に、いかなる表面汚染物質も除去し吸引カップ複合材の良好な接着を促進するために、移植デバイス表面を清浄化または処理することができる。例えば、吸引カップ複合材および/または移植デバイスは、例えば水蒸気下での高圧蒸気殺菌法により滅菌することができる。しかしながら、いくつかの態様において、吸引カップ複合材を変形する、または吸引カップ複合材を溶融する不可逆性を回避するように注意が必要となり得る。次いで、吸引カップ複合材、または吸引カップ複合材を備える移植デバイスは、既知の手術手技を用いて対象内に移植することができる。ある特定の態様において、滅菌された容器またはパッケージ内に、吸引カップ複合材または複合材を備えるキットを保存することが望ましくなり得る。一態様において、キットは、吸引カップ複合材の滅菌されたパッケージを備えることができる。
【0248】
開示される方法は、放出可能な生物活性薬剤を備える、開示される全ての吸引カップ複合材とともに使用することができる。一態様において、方法は、吸引カップ複合材を、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体の接触表面上に固定することを含む。一態様において、実質的に平面の縁部を、移植デバイスの接触表面(例えば、実質的に平面の接触表面)に適用することができる。接触表面への吸引カップ複合材の適用は、様々な態様において、カップ部材により画定される空洞内から空気を押出す、カップ部材の手による変形を制限なく含む、既知の手段を使用して行うことができる。空気が押出されると、カップ部材の縁部は接触表面との密着したシールを形成し、形成されたシールの密着度に依存して、カップ部材が接触表面に長期間を含む所望の期間接着した状態を維持するのを可能にする。そのようなシールは、吸引カップのような様式で達成される。任意選択で、吸引カップ複合材の移植デバイスへの固定を補助するために、吸引カップ複合材の第1の表面の一部もしくは全体に、または、移植デバイス表面の一部もしくは全体に接着剤を適用することができる。さらに、上述のように、接着剤とともに、または接着剤なしで使用することができるカップ部材の縁部を湿らせて、接触表面へのシールの形成を補助することができる。
【0249】
移植デバイスは、任意の所望の対象内に移植することができる。対象は、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類等の脊椎動物であってもよい。本明細書に開示される方法の対象は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類であってもよい。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成獣および新生動物対象、ならびに胎児が、雄または雌を問わず含まれることが意図される。
【0250】
実施例v.1(予測)
第1の実施例においては、好適なサイズ、例えば平均約500ミクロンのトブラマイシン(抗生物質)の粒子およびポリラクチド(生体適合性、生体吸収性ポリマー)の粒子を調製し、ブレンドする。薬物およびポリマー粒子のブレンドされた混合物を、二軸溶融押出機内に導入する。トブラマイシンおよびポリラクチドを含む溶融混合物がダイを通過して溶融フィルムとして押出機から出て、次いでこれが冷却されて連続フィルムとして固化するように、溶融押出機は長方形ダイを備える。硬化されたフィルムは、ポリマーマトリックス全体に分散したトブラマイシンを含有する。次いで、得られたフィルムを、円形凸状金型に対し熱圧縮し、フラッシング付きのカップ部材を形成する。次いで、フラッシングまたは余分なフィルムを切断により除去し、円形カップ部材を作製する。カップ部材を包装して最後に加熱殺菌する。投与直前に、カップ部材を無菌パッケージから取り出し、医療デバイス、例えば脳深部刺激器に押し付ける。接着を補助するために、カップ部材を滅菌水またはリン酸緩衝生理食塩水で湿らせてもよい。吸引によりカップ部材が医療デバイスの適所に保持されたら、デバイスを患者内に設置する。続いて、感染を防止するのに所望の期間、カップ部材(薬物溶出フィルム)からのトブラマイシンの持続放出が生じる。
【0251】
vi)スプレーコーティング組成物
また、本明細書において、移植デバイス、または対象の組織もしくは流体に適用され得るスプレーコーティング組成物も記載される。本明細書に記載の組成物は、生物活性薬剤の制御放出、持続放出、調節放出、徐放、パルス放出、遅延放出、またはプログラム放出を可能とする。
【0252】
スプレーコーティング組成物とともに使用されるポリマーは、任意の生体適合性および生体分解性または非生体分解性ポリマーを含み得る。本明細書に記載のポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。ポリマーは、ブロックもしくはブロック状コポリマーもしくはターポリマー、ランダムコポリマーもしくはターポリマー、星型ポリマー、またはデンドリマーであってもよい。スプレーコーティング組成物の所望の特性に依存して、任意の所望の分子量のポリマーを使用することができる。ある特定の態様において、高強度のスプレーコーティング組成物が望ましい場合、例えば強度要件を満たすために高分子量のポリマーを使用することができる。他の態様において、例えば材料強度よりもポリマーの吸収時間が望ましい場合は、低分子量または中間分子量のポリマーを使用することができる。
【0253】
ポリマーの分子量は、スプレーコーティング組成物の所望の特性を提供するように選択され得る。ある特定の態様において、スプレーコーティング組成物は、揮発性溶媒中のポリマーの溶液または分散液を形成することにより提供され得る。そのような態様において、分子量は、十分な溶液または分散液を形成させるような分子量であるべきである。ある特定の態様において、分子量はまた、加圧された噴射剤によりポリマーをエアロゾル容器から噴射させるのに好適であるべきである。いくつかの態様において、ポリマーは、生物学的に関連した溶媒系に対する十分な溶解度を有するために、低分子量ポリマーであってもよい。他の態様において、ポリマーは、事実上オリゴマーであってもよい。ポリマーの分子量はまた、分子量がポリマーの生体分解速度に影響するという点からも重要である。生物活性薬剤放出の拡散機構においては、ポリマーは、薬剤の全てがポリマーから放出されるまでは無傷のままであり、その後に分解するべきである。薬剤はまた、ポリマーが生体分解する際にポリマーから放出され得る。ポリマー材料の適切な選択により、ポリマー調合物は、得られる生体分解性ポリマーが拡散放出特性および生体分解放出特性の両方を示すように作製され得る。分子量は、他の方法の中でも、ゲル濾過クロマトグラフィー、粘度、光散乱を含む、当技術分野において知られた方法により測定することができる。
【0254】
スプレーコーティング組成物は、対象内に入ったら、溶媒が揮発すると所望の時間間隔以内で分解するように調合され得る。いくつかの態様において、時間間隔は、約1日未満から約1ヶ月までとなり得る。より長い時間間隔は、例えば約0ヶ月以上から約6ヶ月まで、または約1ヶ月から約6ヶ月まで分解するポリマーマトリックスを含め、6ヶ月まで延長され得る。他の態様において、ポリマーは、例えば、約0ヶ月以上から約2年まで、または約1ヶ月から約2年までを含む、最長2年以上までのより長い時間間隔で分解し得る。
【0255】
所望の生物活性薬剤放出機構は、ポリマーの選択に影響し得る。生体分解性ポリマーは、スプレーコーティング組成物が表面に適用された後所望の経過時間で、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。例えば、ポリマーは、生物活性薬剤がその活性を消失し始める前、生物活性薬剤が活性を消失し始める際、生物活性薬剤が部分的に活性を消失した時、例えば少なくとも25%、少なくとも50%または少なくとも75%が消失した時、生物活性薬剤が活性を実質的に消失した時、または、生物活性薬剤が完全になくなったかもしくはもはや活性を有さなくなったときに、生物活性薬剤を放出する、またはその放出を可能にするように選択され得る。
【0256】
一態様において、ポリマーは、ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシバレレート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホスフェート、ポリホスホエステル、ポリジオキサノン、ポリホスホエステル、ポリホスフェート、ポリホスホネート、ポリホスフェート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリアミン、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリアルキレンアルキレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリヒドロキシ脂肪酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリケタール、ポリエーテルエステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリペプチド、多糖類、またはポリビニルピロリドンのうちの1つ以上であってもよい。他の非生体分解性であるが耐久性であるポリマーには、制限されることなく、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が含まれる。同様に、他の好適な非生体分解性ポリマーには、制限されることなく、シリコーンおよびポリウレタンが含まれる。
【0257】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、またはポリ(ヒドロキシブチレート)を含有するコポリマー、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生体分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリアセタール、ポリケタール、ポリホスホエステル、ポリヒドロキシバレレート、またはポリヒドロキシバレレートを含有するコポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、およびそれらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、またはブレンドであってもよい。
【0258】
一態様において、ポリマーは、ラクチド(L)、グリコリド(G)、カプロラクトン(CPL)(それらのコポリマーを含む)を含むポリエステル;ポリエチレングリコール(PEG)とL、G、もしくはCPLを含むポリエステルとのブロックコポリマー;PVPとL、G、CPLを含むポリエステルとのブロックコポリマー;ならびに他のポリエステルを含む同様のポリマーおよびコポリマー(例えばジオキサノン、ヒドロキシバレレート、オルトエステル、ヒドロキシブチレート、改質ポリエステル、例えばヘキシル改質ポリラクチド等)、さらに他の生体分解性ポリマーを含むポリマーおよびコポリマー(例えばポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスフェート、ポリカーボネート、ポリアルキルカーボネート、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリエーテルエステル、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、改質多糖類、デンプン、キトサン、改質キトサン、アルブミン、ヒアルロン酸等)であってもよい。
【0259】
一態様において、ポリマー材料は、好適なレベル(例えば、1%、5%、10%、20%、40%)で溶媒系に溶解される粘性ターポリマーであってもよい。同様に、ポリマー材料は、ヘキシル改質ポリ(ラクチド)であってもよい。
【0260】
一態様において、有用な生体分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せを含む別の生体適合性または生体分解性ポリマーの1つ以上のブロックと組み合わせた、ポリエチレングリコール(PEG)、またはポリビニルピロリドン(PVP)を含むがこれらに限定されない、親水性または水溶解性ポリマーの1つ以上のブロックを有する生体分解性ポリマーである。
【0261】
さらなる態様において、有用な生体分解性ポリマーは、乳酸、グリコール酸、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、ジオキサノン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体適合性ポリマーである。さらなる態様において、有用な生体分解性ポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、またはそれらの組合せの1つ以上の残基を含む生体分解性ポリマーである。
【0262】
特定の態様において、生体分解性ポリマーは、1つ以上のラクチド残基を有してもよい。ポリマーは、L−ラクチド、D−ラクチド、およびD,L−ラクチド、またはそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、ラクチドの全てのラセミ体および立体特異的形態を含む、任意のラクチド残基を有してもよい。ラクチドを含む有用なポリマーは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D−ラクチド)、およびポリ(DL−ラクチド);ならびに、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)、およびポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を含むポリ(ラクチド−コ−グリコリド);または、それらのコポリマー、ターポリマー、組合せ、もしくはブレンドを含むが、これらに限定されない。ラクチド/グリコリドポリマーは、ラクチドおよびグリコリドモノマーの開環を介した溶融重合により便利に作製され得る。さらに、ラセミDL−ラクチド、L−ラクチドおよびD−ラクチドポリマーは、市販されている。L−ポリマーはより結晶性であり、DL−ポリマーより吸収が遅い。グリコリドおよびDL−ラクチド又はLラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーは市販されている。ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーもまた、市販されている。
【0263】
生体分解性ポリマーがポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)である場合、ポリマー中のラクチドおよびグリコリドの量は変動し得る。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、0から100モル%、40から100モル%、50から100モル%、60から100モル%、70から100モル%、または80から100モル%までのラクチド、および0から100モル%、0から60モル%、10から40モル%、20から40モル%、または30から40モル%までのグリコリドを含有し、ラクチドおよびグリコリドの量は100モル%である。さらなる態様において、生体分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、85:15ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、75:25ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、65:35ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、50:50ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であり、比はモル比である。
【0264】
さらなる態様において、ポリマーは、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよい。一態様において、ポリマーは、様々な態様において95:5ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、85:15ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、75:25ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、65:35ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、または50:50ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよいポリ(ラクチド−カプロラクトン)であってもよく、比はモル比である。
【0265】
一態様において、ポリマーは、適切な溶媒系に好適な濃度で溶解され得る低分子量ポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)またはポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)であってもよく(例えば、エタノールまたはエタノール溶媒中2〜5%ポリマー)、これは次いで好適な生物活性薬剤の投与および送達のためのシステムとしてのエアロゾル容器またはポンプ噴霧器内で使用される。
【0266】
さらなる態様において、スプレーコーティング組成物は、ターポリマーを含んでもよい。一態様において、ターポリマーは、2008年11月12日出願の米国特許出願公開第12/269135号(米国特許公開第2009/0124535号)に開示されるターポリマーであり、この参照によりそのターポリマーおよび本開示の考慮される部分の教示の全てが本明細書に組み込まれる。
【0267】
そのコポリマー、その混合物、またはそのブレンドを含むがそれらに限定されない、上述の生体分解性ポリマーの任意の組合せを使用することができることが理解される。同様に、生体分解性ポリマーの残基が開示される場合、開示される残基を有する任意の好適なポリマー、コポリマー、混合物、またはブレンドもまた開示されるとみなされることが理解される。この目的のために、複数の残基が個々に開示される場合(すなわち、別のものとの組合せではない)、個々の残基の任意の組合せが使用され得ることが理解される。さらに、上記ポリマーのいずれも、所望の特性を達成するために、所望のレベルまで加工(例えば、架橋)されてもよい。追加的な架橋剤が使用されてもよく、および/または既存のポリマーのラジカル、カチオン、またはアニオン架橋が使用されてもよい。
【0268】
ポリマーは、好適な溶媒または溶媒系に溶解または分散されてもよい。一態様において、溶媒は、生体適合性溶媒であってもよい。そのような態様において、組成物が移植デバイス表面上に噴霧されてから、溶媒のほとんどが揮発した後に残留溶媒が残る場合であっても、残留溶媒が対象に対し有害とならないことが好ましくなり得る。好適な溶媒の例には、エタノール、乳酸エチル、プロピレンカーボネート、グリコフロール、Nメチルピロリドン、2ピロリドン、プロピレングリコール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ベンジルアルコール、トリアセチン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ポリエチレングリコール、CFC噴射剤、非CFC噴射剤、またはそれらの組合せもしくは混合物が含まれるが、これらに限定されない。そのような溶媒は、許容されるレベルの水を含んでもよい。
【0269】
上述のように、スプレーコーティング組成物は、生物活性薬剤を備える。生物活性薬剤は、放出可能な生物活性薬剤、すなわち、表面上に被覆されると組成物から放出され得る生物活性薬剤であってもよい。一態様において、生物活性薬剤は、少なくとも1つの溶媒および/またはポリマーに溶解または分散されてもよい。
【0270】
また、スプレーコーティング組成物を備えるキットも開示される。キットは、1つ以上の開示されるスプレーコーティング組成物をパッケージとして備えることができる。そのようなキットは、スプレーコーティング組成物の使用場所での適用に有用となり得る。
【0271】
また、スプレーコーティング組成物を表面上に適用するために使用され得る、スプレーコーティング組成物を含む容器も開示される。一態様において、容器は、エアロゾル容器である。エアロゾル容器は、液体粒子のエアロゾルミストを形成する分配システムの一種である。そのような容器は、圧力下でスプレーコーティング組成物を液体として含み得る。容器は、開放されるとスプレーコーティング組成物がエアロゾルまたはミストとして容器から押出されるようにする弁を有してもよい。典型的には、エアロゾル容器は、通常は膨張してスプレーコーティング組成物を噴出させることができる気体である噴射剤を含んでもよく、一方いくつかの噴射剤は、容器内で蒸発して均一な圧力を維持することができる。容器から出ると、噴射剤の液滴は、好ましくは急速に蒸発し、スプレーコーティング組成物を微細な粒子または液滴として維持する。
【0272】
噴射剤は、存在する場合、任意の好適な噴射剤であってもよい。一態様において、噴射剤は、揮発性炭化水素、例えば、プロパン、n−ブタンおよびイソブタン等のうちの1つ以上であってもよい。一態様において、噴射剤は、CFCまたは非CFC噴射剤を含んでもよい。一態様において、噴射剤は、ジメチルエーテル(DME)またはメチルエチルエーテルであってもよい。さらなる態様において、噴射剤は、気体であってもよい。例えば、好適な気体には、亜酸化窒素および二酸化炭素が含まれるが、それらに限定されない。一態様において、噴射剤は、医療用途に典型的に使用される噴射剤であってもよい。そのような噴射剤の例には、ヒドロフルオロアルカン(HFA)、例えばHFA134a(1,1,1,2,−テトラフルオロエタン)もしくはHFA227(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)、またはそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されない。本明細書における分散系およびエアロゾル容器の作製方法は、当技術分野において知られた方法により行うことができる。
【0273】
一態様において、溶媒系はまず、2成分系において、生物活性薬剤/ポリマー混合物とは別個に提供されてもよい。一態様において、溶媒系は、使用時点で生物活性薬剤/ポリマー混合物に添加されてもよい。好適な混合後、溶解/分散系を、上述のように表面上に噴霧することができる。
【0274】
また、コーティング組成物を備える移植デバイスも開示される。「デバイス」という用語は、デバイスの少なくとも1つの寸法において、長さが1mmを超える任意の調合物または物品である。デバイスは、溶媒を含む、または含まない開示されるコーティング組成物を備えることができる。さらなる態様において、デバイスは、1mmから50mmまで、1.2mmから45mmまで、1.4mmから42mmまで、1.6mmから40mmまで、1.8mmから38mmまで、または2.0mmから36mmまで、5.0mmから33mmまで、または10mmから30mmまでの1つの寸法を有する。さらなる態様において、デバイスは、3cmを超え、さらに10cm、20cm、またはさらに30cm以上までの1つの寸法を有する。
【0275】
一態様において、移植デバイスは、移植デバイス表面の少なくとも一部と接触する、溶媒を含む、または含まない開示されるスプレーコーティング組成物を備える。
【0276】
移植デバイスは、棒、繊維、円筒、ビーズ、リボン、ディスク、ウエハ、自由形状整形固体、または様々な他の整形固体等、任意の形状を有し得る。デバイスは、任意の規則的または不規則的形状を有し得、円形、長方形、三角形、楕円等の任意の断面を有し得る。さらなる態様において、デバイスは、移植用ポンプの典型的な形状等、円筒形状を有する。
【0277】
移植片は、金属(例えば、チタン)、金属複合材、有機材料、ポリマー、またはさらにセラミック材料等の任意の好適な材料を含み得る。移植片の表面は、任意の整形表面であってもよく、ある特定の移植片に存在するような、多孔性、ビーズ状またはメッシュ状の内部成長表面を有してもよい。
【0278】
移植デバイスは、任意の種類の医療移植片であってもよい。移植デバイスは、例えば、薬物送達ポンプを含む薬物送達用移植片;脊椎移植片、骨融合もしくは骨修復用移植片を含む整形外科用移植片;固有の薬物送達能力を有するステントを含む医療用ステント;乳房用移植片、筋肉用移植片等を含む人工装具移植片;歯科用移植片;人工内耳および補聴器を含む耳用移植片;ペースメーカー、カテーテル等を含む心臓用移植片;空間充填用移植片;生体電気移植片;神経用移植片;透析グラフトを含む内臓用移植片;除細動器;監視デバイス;記録デバイス;脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器;移植型識別デバイスおよび情報チップ;人工器官;薬物投与デバイス;移植型センサ/バイオセンサ;ネジ、管、ロッド、プレート、または人工関節を含み得る。
【0279】
さらなる態様において、移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または、脳深部刺激器、神経刺激器、膀胱刺激器、および隔膜刺激器を含む刺激器のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0280】
移植デバイスが対象内に置かれると、スプレーコーティング組成物は分解して、生物活性薬剤を、移植部位に隣接する組織内またはその近くで放出させることができる。望ましい場合、複数のスプレーコーティング組成物が、移植デバイスに適用され得る。任意選択で、スプレーコーティング組成物は、対象内に入ったら、接触表面から脱落し得る。一態様において、スプレーコーティング組成物は、スプレーコーティング組成物の機能、例えば対象の隣接する組織または流体への生物活性薬剤の送達が完了したら、接触表面から脱落し得る。
【0281】
開示されるスプレーコーティング組成物とともに使用されると有益となり得る他の移植デバイスは、1つ以上の活性表面、例えば、組織もしくは流体と移植デバイスとの間の接続を向上させる表面、または創傷治癒を可能にする、もしくは向上させる表面を有する移植デバイスを含む。開示されるスプレーコーティング組成物は、移植デバイスの一部のみに適用されると効果的となり得、移植デバイスが対象内に移植された際に任意の活性表面の露出を維持して機能的とすることができる。
【0282】
上述のように、移植部位に隣接した組織またはその近くに生物活性薬剤を送達することが望ましくなり得る。生物活性薬剤は、感染などの移植片に関連した問題のいくつかを防止する、または移植片自体の機能を向上させるのに役立つことができる。また、上述のように、生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造することを回避するのも望ましくなり得る。本明細書に開示される組成物、方法、システムおよびキットは、移植デバイスの表面上へのスプレーコーティング組成物の使用場所での適用を可能とし、それにより生物活性薬剤放出能力を有する移植デバイスを事前に製造する必要性を排除することができる。
【0283】
一態様において、スプレーコーティング組成物は、使用時点に近い時点で、または使用している間に移植デバイス表面に適用され得る。例えば、スプレーコーティング組成物は、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、スプレーコーティング組成物を移植デバイスの表面上に噴霧することにより、移植デバイスに適用され得る。一態様において、スプレーコーティング組成物は、例えば医師または看護婦により、手術室内で移植デバイスに適用され得る。
【0284】
スプレーコーティング組成物は、移植デバイスが対象内に移植される時点の前または後に、移植デバイスの表面上に噴霧され得る。一態様において、スプレーコーティング組成物を備える移植デバイスが、対象内に移植され得る。さらなる態様において、移植デバイスが対象内に移植され得、次いでスプレーコーティング組成物が移植デバイスの表面上に噴霧され得る。より小さい移植片を移植する場合、デバイスを対象に移植する前に、まずスプレーコーティング組成物を移植デバイス表面上に噴霧することが有益となり得る。
【0285】
一態様において、スプレーコーティング組成物は、例えば23時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、5時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、2分以内、30秒以内、または移植手術中を含む、移植手術の同日(すなわち、24時間以内)に移植デバイスの表面上に噴霧され得る。
【0286】
所望の場合は、移植デバイスを含むまたは含まない、スプレーコーティング組成物自体が、対象の組織または流体の上または中に噴霧され得る。一態様において、スプレーコーティング組成物は、移植部位の近くまたはそれに隣接する組織または流体の上または中、すなわち、移植デバイスが移植された部位、または所望の移植部位の近くまたはそれに隣接した部位に噴霧され得る。そのような態様において、生体適合性溶媒が好ましい。
【0287】
典型的には、スプレーコーティング組成物を移植デバイス上に噴霧する前に、いかなる表面汚染物質も除去しスプレーコーティング組成物の良好な接着を促進するために、移植デバイス表面を清浄化または処理することができる。例えば、スプレー分配システム(例えば、エアロゾル容器)および/またはインプラントデバイスは、滅菌することができる。ある特定の態様において、滅菌された容器またはパッケージ内に、スプレーコーティング組成物または組成物を備えるキットを保存することが望ましくなり得る。一態様において、キットは、好適な分配システム内に存在する、スプレーコーティング組成物の滅菌されたパッケージを備えることができる。
【0288】
開示される方法は、放出可能な生物活性薬剤を備える、開示される全てのスプレーコーティング組成物とともに使用することができる。
【0289】
移植デバイスは、任意の所望の対象内に移植することができる。対象は、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類等の脊椎動物であってもよい。本明細書に開示される方法の対象は、例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたはげっ歯類であってもよい。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成獣および新生動物対象、ならびに胎児が、雄または雌を問わず含まれることが意図される。
【0290】
生物活性薬剤
上述のように、開示される移植用複合材および組成物はそれぞれ、生物活性薬剤を備える。生物活性薬剤は、放出可能な生物活性薬剤、すなわち、ポリマーフィルムから放出され得る生物活性薬剤であってもよい。ある特定の態様において、生物活性薬剤は、ポリマーフィルム内またはポリマーフィルム上にあってもよい。
【0291】
隣接する組織または流体中に放出され得る様々な形態の生物活性薬剤を使用することができる。液体または固体の生物活性薬剤を、本明細書に記載の複合材および組成物中に組み込むことができる。生物活性薬剤は、少なくとも非常に僅かに水溶性であり、好ましくは中程度に水溶性である。生物活性薬剤は、活性成分の塩を含み得る。したがって、生物活性薬剤は、酸性、塩基性、または両性塩であってもよい。それらは、非イオン性分子、極性分子、または水素結合可能な分子錯体であってもよい。生物活性薬剤は、効果的な生物学的または生理学的活性を提供するように、例えば、非荷電性分子、分子錯体、塩、エーテル、エステル、アミド、ポリマー薬物複合体の形態、または他の形態で組成物中に含まれてもよい。
【0292】
本明細書におけるシステム中に組み込まれる生物活性薬剤の例には、ペプチド、タンパク質、例えばホルモン、酵素、抗体等、核酸、例えばアプタマー、iRNA、DNA、RNA、アンチセンス核酸等、アンチセンス核酸類似体等、低分子量化合物、または高分子量化合物が含まれるが、それらに制限されない。開示される移植用フィルムベース複合体における使用に企図される生物活性薬剤には、同化剤、制酸剤、抗喘息薬、抗コレステロールおよび抗高脂血薬、抗凝固剤、抗痙攣薬、止瀉薬、制吐薬、抗菌薬および抗菌剤を含む抗感染症薬、抗炎症薬、抗躁病薬、代謝拮抗薬、制嘔吐剤、抗腫瘍薬、抗肥満薬、解熱剤および鎮痛薬、鎮痙薬、抗血栓剤、鎮咳薬、抗尿酸血薬、、抗狭心症薬、抗ヒスタミン剤、食欲抑制剤、生物製剤、脳血管拡張薬、冠動脈拡張薬、気管支拡張薬、細胞毒性薬、充血除去剤、利尿薬、診断用薬、赤血球生成剤、去痰薬、胃腸鎮静剤、血糖上昇剤、睡眠薬、血糖降下薬、免疫抑制薬、イオン交換樹脂、下剤、ミネラルサプリメント、粘液溶解薬、神経筋薬、末梢血管拡張薬、向精神薬、鎮静剤、興奮剤、甲状腺および抗甲状腺薬、組織成長薬、子宮弛緩薬、ビタミン、または抗原性物質が含まれる。
【0293】
他の生物活性薬剤には、アンドロゲン阻害薬、多糖類、成長因子、ホルモン、抗血管新生因子、デキストロメトルファン、臭化水素酸デキストロメトルファン、ノスカピン、クエン酸カルベタペンタン、塩酸クロフェジアノール、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸フェニンダミン、マレイン酸ピリラミン、コハク酸ドキシラミン、クエン酸フェニルトロキサミン、塩酸フェニレフリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸プソイドエフェドリン、エフェドリン、リン酸コデイン、硫酸コデインモルヒネ、ミネラルサプリメント、コレスチラミン、N−アセチルプロカインアミド、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、カフェイン、グアイフェネシン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ペプチド、ポリペプチド、プロテイン、アミノ酸、ホルモン、インターフェロン、サイトカイン、およびワクチンが含まれる。
【0294】
本明細書におけるシステムにおいて生物活性薬剤として使用され得る代表的薬物には、ペプチド薬、タンパク質薬、減感剤、抗原、抗感染症薬、例えば抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス薬、抗菌薬、駆虫薬、抗真菌物質およびそれらの組合せ、抗アレルギー薬、アンドロゲン性ステロイド、充血除去剤、催眠剤、ステロイド性抗炎症薬、抗コリン作用薬、交感神経興奮剤、鎮静剤、縮瞳薬、精神賦活剤、精神安定剤、ワクチン、エストロゲン、黄体ホルモン薬、体液性物質、プロスタグランジン、鎮痛剤、鎮痙薬、抗マラリア薬、抗ヒスタミン剤、心臓作用薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗パーキンソン病薬、血圧降下薬、βアドレナリン遮断薬、栄養薬剤、およびベンゾフェナントリジンアルカロイドが含まれるが、それらに限定されない。薬剤は、さらに、興奮剤、鎮静剤、催眠剤、鎮痛剤、抗痙攣薬等として作用し得る物質であってもよい。
【0295】
本明細書におけるシステムは、より多数の生物活性薬剤を、単一でまたは組み合わせて備えることができる。他の生物活性薬剤には、鎮痛剤、例えばアセトアミノフェン、アセチルサリチル酸等;麻酔薬、例えばリドカイン、キシロカイン等;食欲抑制薬、例えばデキセドリン、酒石酸フェンジメトラジン等;抗関節炎薬、例えばメチルプレドニゾロン、イブプロフェン等;抗喘息薬、例えば硫酸テルブタリン、テオフィリン、エフェドリン等;抗生物質、例えばスルフイソキサゾール、ペニシリンG、アンピシリン、セファロスポリン、アミカシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、イソニアジド、リファンピン等;抗真菌剤、例えばアンフォテリシンB、ナイスタチン、ケトコナゾール等;抗ウイルス剤、例えばアシクロビル、アマンタジン等;抗癌剤、例えばシクロホスファミド、メトトレキサート、エトレチネート等;抗凝固剤、例えばヘパリン、ワルファリン等;抗痙攣薬、例えばフェニトインナトリウム、ジアゼパム等;抗鬱剤、例えばイソカルボキサジド、アモキサピン等;抗ヒスタミン剤、例えばジフェンヒドラミンHCl、マレイン酸クロルフェニラミン等;ホルモン、例えばインスリン、プロゲスチン、エストロゲン、コルチコイド、グルココルチコイド、アンドロゲン等;精神安定剤、例えばソラジン、ジアゼパム、クロルプロマジンHCl、レセルピン、クロルジアゼポキシドHCl等;鎮痙薬、例えばベラドンナアルカロイド、塩酸ジシクロミン等;ビタミンおよびミネラル、例えば必須アミノ酸、カルシウム、鉄、カリウム、亜鉛、ビタミンB12等;心血管作動薬、例えばプラゾシンHCl、ニトログリセリン、プロプラノロールHCl、ヒドララジンHCl、パンクレリパーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ等;ペプチドおよびタンパク質、例えばLHRH、ソマトスタチン、カルシトニン、成長ホルモン、グルカゴン様ペプチド、成長ホルモン放出因子、アンジオテンシン、FSH、EGF、骨形態形成タンパク質(BMP)、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロン、インターロイキン、コラーゲン、フィブリノゲン、インスリン、第VIII因子、第IX因子、Enbrel(登録商標)、Rituxam(登録商標)、Herceptin(登録商標)、α−グルコシダーゼ、Cerazyme/Ceredose(登録商標)、バソプレッシン、ACTH、ヒト血清アルブミン、ガンマグロブリン、構造タンパク質、血液製剤タンパク質、複合タンパク質、酵素、抗体、モノクローナル抗体等;プロスタグランジン;核酸;炭水化物;脂肪;麻酔薬、例えばモルヒネ、コデイン等、精神治療薬;抗マラリア薬、L−ドーパ、利尿薬、例えばフロセミド、スピロノラクトン等;抗潰瘍薬、例えばラニチジンHCl、シメチジンHCl等が含まれるが、それらに限定されない。
【0296】
生物活性薬剤はまた、例えばサイトカイン、インターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子を含む免疫調節剤;アレルゲン、例えばネコのふけ、樺花粉、家ダニ、牧草花粉等;肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyrogenes)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphteriae)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、ミュータンス連鎖球菌(Streptococcus mutans)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、腸チフス菌(Salmonella typhi)、パラインフルエンザ菌(Haemophilus parainfluenzae)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、野兎病菌(Francisella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、らい菌(Mycobacterium leprae)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、レプトスピラ・インテロガンス(Leptspirosis interrogans)、ライム病ボレリア(Borrelia burgddorferi)、カンピロバクター‐ジェジュニ(Campylobacter jejuni)等の細菌性生物の抗原;天然痘、インフルエンザAおよびB、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザ、はしか、HIV、SARS、水痘帯状疱疹、単純ヘルペス1型および2型、サイトメガロウイルス、エプスタイン−バー、ロタウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、ポリオウイルス、おたふく風邪、狂犬病、風疹、コクサッキーウイルス、馬脳炎、日本脳炎、黄熱病、リフトバレー熱、リンパ球性脈絡髄膜炎、B型肝炎等のウイルスの抗原;クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcuc neoformans)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、ノカルジア・アステロイド(Nocardia asteroids)、斑点熱リケッチア(Rickettsia ricketsii)、発疹熱リケッチア(Rickettsia typhi)、マイコプラズマ肺炎(Mycoplasma pneumoniae)、オウム病クラミジア(Chlamyda psittaci)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、マラリヤ原虫(Plasmodium falciparum)、トリパノソーマ・ブルーセイ(Trypanasoma brucei)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、トキソプラズマ・ゴンヂ(Toxoplasma gondii)、膣トリコモナス (Trichomonas vaginalis)、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)等の真菌、原生動物、および寄生生物の抗原であってもよい。これらの抗原は、不活化全生物体、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、炭水化物、またはそれらの組合せの形態であってもよい。
【0297】
特定の態様において、生物活性薬剤は、上で開示されるもののうちのいずれかを制限なく含む、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む。
【0298】
さらなる特定の態様において、生物活性薬剤は、抗生物質を含む。抗生物質は、例えば、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルミシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、アンサマイシン、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、カルバセフェム、ロラカルベフ、カルバペネム、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、メロペネム、セファロスポリン(第一世代)、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチンまたはセファロシン、セファレキシン、セファロスポリン(第二世代)、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セファロスポリン(第三世代)、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジディム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロスポリン(第四世代)、セフェピム、セファロスポリン(第五世代)、セフトビプロール、グリコペプチド、テイコプラニン、バンコマイシン、マクロライド、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシン、モノバクタム、アズトレオナム、ペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、ピペラシリン、チカルシリン、ポリペプチド、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、キノロン、シプロキサン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、スルホンアミド、マフェナイド、プロントジル(旧)、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルイミド(旧)、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(コ−トリモキサゾール)(TMP−SMX)、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリンその他を含むテトラサイクリン;アルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジナミド、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、リファンピシン(米国ではリファンピン)、チニダゾール、またはそれらの組合せのうちの1つ以上であってもよい。一態様において、生物活性薬剤は、リファンピシン(米国ではリファンピン)およびミノサイクリンの組合せであってもよい。
【0299】
他の成分、例えば、賦形剤、薬学的担体またはアジュバント、微小粒子等を、複合材、組成物、または生物活性薬剤と組み合わせることができることが企図される。したがって、ある特定の態様において、生物活性薬剤は、薬学的組成物中の成分として存在し得る。薬学的組成物は、所望の投薬形態、例えば単一投薬形態または制御放出投薬形態で便利に調製することができ、薬学分野において周知の方法のいずれかにより調製することができる。一般に、薬学的組成物は、生物活性薬剤を液体担体もしくは微粉化固体担体、またはその両方と均一および密に関連させることにより、調製される。使用される薬学的担体は、例えば、固体、液体、または気体であってもよい。固体担体の例には、ラクトース、白土、ショ糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が含まれる。液体担体の例は、シュガーシロップ、落花生油、オリーブ油、および水である。ガス状担体の例には、二酸化炭素および窒素が含まれる。生物活性薬剤と混合され得る他の薬学的に許容される担体または成分には、例えば、脂肪酸、糖、塩、水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、タンパク質、多糖類、もしくはカルボキシメチルセルロース、界面活性剤、可塑剤、高分子量もしくは低分子量ポロシゲン、例えばポリマーもしくは塩もしくは糖、または疎水性低分子量化合物、例えばコレステロールもしくはワックスが含まれる。
【0300】
ある特定の態様において、ポリマーおよび生物活性薬剤は、組み合わされるかまたは混合されて、ブレンドまたは混合物を形成する。混合方法は、当技術分野において知られた技術を使用して行うことができる。例えば、ポリマーおよび生物活性薬剤は、例えばPatterson−Kelley V−blenderを使用して乾式混合(すなわち、ポリマーおよび薬剤の粒子を混合)するか、または加工前に粒状化することができる。
【0301】
一態様において、混合物の加工は、薬剤が密に混合されるかまたはポリマーフィルム全体に分散されるような条件下で行うことができる。あるいは、混合物の加工は、薬剤がポリマーフィルムの一部(複数を含む)のみの上または中に局在するような条件下で行うことができる。ポリマーフィルムは、生物活性薬剤が豊富な領域、およびそれほど豊富でない領域を含み得る。混合物は、例えば、混合物の所望の形状または構造への溶融押出、射出成形、圧縮成形、またはローラー転圧等の様々な技術により加工され得る。
【0302】
他の好適な薬学的担体には、制限されることなく、微小粒子が含まれる。「微小粒子」という用語は、本明細書のにおいて、一般に、実質的に約10nmから2000ミクロン(2ミリメートル)までのサイズを有する様々な構造を指すように使用され、マイクロカプセル、ミクロスフェア、ナノ粒子、ナノカプセル、ナノスフェア、および、一般に約2000ミクロン(2ミリメートル)未満の粒子を含む。微小粒子は、ポリマーフィルムからの生物活性薬剤を含有し、その放出を達成することができる。
【0303】
微小粒子は、上述のポリマーのいずれか、または微小粒子の分野において使用される任意のポリマーを含み得る。一般に、上述のポリマーは、ある特定のレベルまで架橋されてもよく、それにより当技術分野で知られるようなポリマーの微小粒子を形成し得る。ポリマーフィルム内に微小粒子が存在する場合、微小粒子は、ポリマーフィルムのバルクを含むポリマーと同じかまたは異なってもよい。ポリマーフィルムは、例えば、全ポリマーフィルムの重量に対して5、10、20、30、40、50、60、70、80、および90重量%を含む、約1重量%から約95重量%までを含む任意の所望の量の微小粒子を含んでもよい。微小粒子は、既知の方法によりポリマーフィルムと組み合わされてもよい。
【0304】
一態様において、開示される微小粒子は、約20ミクロンから約125ミクロンまでの平均的または平均粒径を有し得る。一実施形態において、平均粒径の範囲は、約40ミクロンから約90ミクロンまでである。別の実施形態において、平均粒径の範囲は、約50ミクロンから約80ミクロンまでである。粒径分布は、当業者に知られるレーザ回折技術により測定される。
【0305】
さらなる態様において、生物活性薬剤は、カプセル化、マイクロカプセル化、またはその他の様式で微小粒子内に封入され得る。微小粒子は、生物活性薬剤の放出を調節し得る。微小粒子は、任意の所望の量の生物活性薬剤を含み得る。例えば、微小粒子は、微小粒子の重量に対して、1重量%、5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量の生物活性薬剤を含んでもよく、開示されるパーセンテージの間の任意の範囲を含む。
【0306】
微小粒子は、当技術分野において知られる方法、例えば、2007年8月16日公開の米国特許公開第2007/0190154号、およびTiceらに対する米国特許第5,407,609号(両方とも、微小粒子調製方法の教示に関してこの参照により全内容が本明細書に組み入れられる)に開示される方法を使用して作製することができる。明らかなように、加工条件に依存して、混合ステップにおいて出発材料として使用されるポリマーは、最終的な移植用複合材中に存在するポリマーと同じであっても同じでなくてもよい。例えば、加工中のポリマーは、重合または解重合してもよく、最終的に加工前に使用されたポリマーと異なるポリマーを生成してもよい。したがって、「ポリマー」という用語は、出発材料として使用されるポリマーだけでなく、本明細書に記載の方法により製造されたデバイス中に存在する最終ポリマーも包含する。
【0307】
本明細書に記載の化合物、複合材、キット、物品、デバイス、組成物、および方法に、様々な変更および変形を行うことができる。本明細書に記載の化合物、複合材、キット、物品、デバイス、組成物、および方法の他の態様は、明細書の考察ならびに本明細書に開示される化合物、複合材、キット、物品、デバイス、組成物、および方法の実践から明らかとなる。明細書および実施例は、例示的であるとみなされることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植用複合材であって、放出可能な生物活性薬剤を備える粘着性生体適合性ポリマーフィルムと、前記粘着性生体適合性ポリマーフィルムに貼付されるリリースライナと、を備える、移植用複合材。
【請求項2】
移植用複合材であって、少なくともその一部上に接着剤を備える少なくとも第1の表面を有する生体適合性ポリマーフィルムを備え、前記接着剤にリリースライナが貼付され、放出可能な生物活性薬剤が前記フィルム内または前記フィルム上にある、移植用複合材。
【請求項3】
移植用複合材であって、少なくとも第1の表面を有し、放出可能な生物活性薬剤を備える、生体適合性ポリマーフィルムと、前記第1の表面の少なくとも一部上の接着剤と、を備え、前記移植用複合材は、長さ寸法および幅寸法を有し、前記長さ寸法は、前記幅寸法と実質的に同じである、移植用複合材。
【請求項4】
移植用複合材であって、少なくとも第1の表面を有し、放出可能な生物活性薬剤を備える、生体適合性ポリマーフィルムと、前記第1の表面の少なくとも一部上の接着剤と、を備え、前記移植用複合材は、長方形ではない形状を有する、移植用複合材。
【請求項5】
前記移植用複合材は、前記接着剤に貼付されるリリースライナを備える、請求項3または4に記載の移植用複合材。
【請求項6】
前記移植用複合材は、長さ寸法および幅寸法を有し、前記長さ寸法は、前記幅寸法と実質的に同じである、請求項1、2、4、または5に記載の移植用複合材。
【請求項7】
前記移植用複合材は、長方形ではない形状を有する、請求項1、2、3、または5に記載の移植用複合材。
【請求項8】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内に含有される、前記請求項のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項9】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、前記請求項のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項10】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、前記請求項のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項11】
放出可能な生物活性薬剤を備える生体適合性ポリマーフィルムをそれぞれが備える複数の移植用複合材と、各移植用複合材に貼付または接着される1つ以上のリリースライナとを備える、物品。
【請求項12】
第1の移植デバイス表面を有する移植デバイスであって、請求項1、3、4、または6〜10のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を、前記第1の移植デバイス表面の少なくとも一部上に備える、移植デバイス。
【請求項13】
移植デバイスであって、少なくともその一部上に移植用複合材を備える、少なくとも第1の移植デバイス表面を備え、前記移植用複合材は、長さ寸法および幅寸法を有し、前記長さ寸法は、前記幅寸法と実質的に同じである、移植デバイス。
【請求項14】
移植デバイスであって、少なくともその一部上に移植用複合材を備える、少なくとも第1の移植デバイス表面を備え、前記移植用複合材は、長方形ではない形状を有する、移植デバイス。
【請求項15】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内に含有される、請求項12または14に記載の移植デバイス。
【請求項16】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、請求項12〜15のうちのいずれか一項に記載の移植デバイス。
【請求項17】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項12〜16のうちのいずれか一項に記載の移植デバイス。
【請求項18】
前記移植デバイスは、対象内に移植される、請求項12〜17のうちのいずれか一項に記載の移植デバイス。
【請求項19】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項12〜18のうちのいずれか一項に記載の移植デバイス。
【請求項20】
移植用複合材を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、移植用複合材を前記移植デバイスの表面上に固定することを含む、方法。
【請求項21】
前記移植デバイスを対象内に埋め込むことをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点の前に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点、またはその後に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項24】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項20〜23のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記移植用複合材は、放出可能な生物活性薬剤を備える、請求項20〜24のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記移植用複合材は、少なくとも第1の表面を有し、放出可能な生物活性薬剤を備える、生体適合性ポリマーフィルムと、前記第1の表面の少なくとも一部上の接着剤と、を備える、請求項20〜24のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記移植用複合材は、少なくとも第1の表面を有し、放出可能な生物活性薬剤を備える、生体適合性ポリマーフィルムと、前記第1の表面の少なくとも一部上の接着剤と、前記接着剤に貼付されるリリースライナと、を備え、前記リリースライナは、前記移植用複合材が前記移植デバイスの前記表面上に固定される前に、前記接着剤から取り外される、請求項20〜24のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記移植用複合材は、請求項1、または3−10のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材である、請求項20〜24のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの連続的な細長い表面を有し、生体適合性ポリマーと生物活性薬剤とを備える、弾性バンドを備える、移植用複合材。
【請求項30】
前記弾性バンドは、単層弾性バンドである、請求項29に記載の移植用複合材。
【請求項31】
前記弾性バンドは、前記弾性バンドが伸長していない時に約1cmから約50cmの直径を有する、請求項29または30に記載の移植用複合材。
【請求項32】
前記弾性バンドは、前記弾性バンドが伸長していない時に約5cmから約25cmの直径を有する、請求項29または30に記載の移植用複合材。
【請求項33】
前記弾性バンドは、前記弾性バンドが伸長していない時に約7cmから約15cmの直径を有する、請求項29または30に記載の移植用複合材。
【請求項34】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子と会合している、請求項29〜33のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項35】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、請求項29〜34のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項36】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項29〜35のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項37】
前記移植用複合材は、移植デバイスと接触している、請求項29〜36のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項38】
前記移植用複合材は、対象内に移植される、請求項29〜37のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項39】
複数の請求項29〜38のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を備える、キット。
【請求項40】
移植デバイスであって、前記移植デバイスの少なくとも一部と接触している、請求項29〜36のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を備える、移植デバイス。
【請求項41】
前記移植デバイスは、対象内に移植される、請求項40に記載の移植デバイス。
【請求項42】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項40または41に記載の移植デバイス。
【請求項43】
移植用複合材を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、請求項29〜36のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を前記移植デバイスの表面上に固定することを含む、方法。
【請求項44】
前記移植デバイスを対象内に埋め込むことをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点の前に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点、またはその後に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項43または44に記載の方法。
【請求項47】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項43〜46のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
移植用複合材であって、第1の端部と第2の端部とを有し、生体適合性ポリマーと放出可能な生物活性薬剤とを備える、実質的に可撓性の細長い本体を備え、前記実質的に可撓性の細長い本体の第1の部分は、前記実質的に可撓性の細長い本体の第2の部分に接続されて実質的に連続的なループを形成し得る、移植用複合材。
【請求項49】
前記実質的に可撓性の細長い本体の前記第1の部分は、少なくともその一部に沿って一連の隆線を備え、前記実質的に可撓性の細長い本体の前記第2の部分は、前記第1の部分が前記第2の部分の受容開口に挿入された時に前記一連の隆線の少なくとも一部にしっかりと係合する隆線状係合歯を備える前記受容開口を備える、請求項48に記載の移植用複合材。
【請求項50】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子と会合している、請求項48〜49のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項51】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、請求項48〜50のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項52】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項48〜51のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項53】
移植用複合材であって、第1の端部と第2の端部とを有する、実質的に可撓性の細長い本体と、前記実質的に可撓性の細長い本体の第1の部分を、前記実質的に可撓性の細長い本体の第2の部分に接続し、それにより実質的に連続的なループを形成するための手段と、を備え、前記実質的に可撓性の細長い本体は、生体適合性ポリマーと、放出可能な生物活性薬剤とを備える、移植用複合材。
【請求項54】
前記移植用複合材は、移植デバイスと接触している、請求項48〜53のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項55】
前記移植用複合材は、対象内に移植される、請求項48〜54のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項56】
請求項48〜53のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を備える、キット。
【請求項57】
移植デバイスであって、前記移植デバイスの少なくとも一部と接触している請求項48〜53のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を備える、移植デバイス。
【請求項58】
前記移植デバイスは、対象内に移植される、請求項57に記載の移植デバイス。
【請求項59】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項57または58に記載の移植デバイス。
【請求項60】
移植用複合材を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、請求項48〜53のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を前記移植デバイスの表面上に機械的に固定することを含む、方法。
【請求項61】
前記移植デバイスを対象内に埋め込むことをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点の前に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項60または61に記載の方法。
【請求項63】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点、またはその後に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項60または61に記載の方法。
【請求項64】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項60〜63のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
生物活性薬剤送達組成物であって、接着生体適合性ターポリマーと、放出可能な生物活性薬剤とを備える、生物活性薬剤送達組成物。
【請求項66】
前記ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、任意選択でエンドキャップされたポリエチレングリコール(PEG)、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
前記ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、およびカプロラクトン残基のターポリマーを含み、前記ターポリマーは、開始剤の残基である末端基を有し、前記開始剤は、非結晶性の第一級または第二級アルコールである、請求項65または66に記載の組成物。
【請求項68】
前記ターポリマーは、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド−コ−任意選択でエンドキャップされたPEG)、またはポリ(ラクチド−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項65または66に記載の組成物。
【請求項69】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子と会合している、請求項65〜68のうちのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、請求項65〜69のうちのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項71】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項65〜70のうちのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項72】
前記組成物は、移植デバイスと接触している、請求項65〜71のうちのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項73】
容器内の請求項65〜72のいずれか一項に記載の組成物を備える、キット。
【請求項74】
キットであって、1)接着生体適合性ターポリマーと、2)生物活性薬剤と、を備え、前記ターポリマーおよび生物活性薬剤は分離されている、キット。
【請求項75】
前記ターポリマーは、第1の容器内に存在し、前記生物活性薬剤は、第2の容器内に存在する、請求項74に記載のキット。
【請求項76】
前記ターポリマーは、第1の分配システム内に存在し、前記生物活性薬剤は、第2の分配システム内に存在する、請求項74または75に記載のキット。
【請求項77】
前記第1の分配システムまたは前記第2の分配システムのうちの少なくとも1つは、シリンジを備える、請求項76に記載のキット。
【請求項78】
前記ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、任意選択でエンドキャップされたポリエチレングリコール(PEG)、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項74〜77のうちのいずれか一項に記載のキット。
【請求項79】
前記ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、およびカプロラクトン残基のターポリマーであり、前記ターポリマーは、開始剤の残基である末端基を有し、前記開始剤は、非結晶性の第一級または第二級アルコールである、請求項74〜78のうちのいずれか一項に記載のキット。
【請求項80】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子と会合している、請求項74〜79のうちのいずれか一項に記載のキット。
【請求項81】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、請求項74〜80のうちのいずれか一項に記載のキット。
【請求項82】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、成長因子、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項74〜81のうちのいずれか一項に記載のキット。
【請求項83】
第1の移植デバイス表面を有する移植デバイスであって、請求項65〜71のうちのいずれか一項に記載の組成物を、前記第1の移植デバイス表面の少なくとも一部上に備える、移植デバイス。
【請求項84】
前記移植デバイスは、対象内に移植される、請求項83に記載の移植デバイス。
【請求項85】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項83または84に記載の移植デバイス。
【請求項86】
生物活性組成物を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、請求項65〜71のうちのいずれか一項に記載の組成物を前記移植デバイスの表面上に適用することを含む、方法。
【請求項87】
コーティングを移植デバイスに適用する方法であって、前記1)接着生体適合性ターポリマーと、2)請求項73〜82のうちのいずれか一項に記載のキットの生物活性薬剤とを含むコーティングを、前記移植デバイスの表面上に適用することを含む、方法。
【請求項88】
前記移植デバイスの前記表面に前記コーティングが適用される前、その時点、またはその後に、前記1)接着生体適合性ターポリマーと、2)前記生物活性薬剤とが混合される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記移植デバイスを対象内に埋め込むことをさらに含む、請求項86〜88のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記組成物またはコーティングは、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点の前に、前記移植デバイスの前記表面上に適用される、請求項86〜89のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記組成物またはコーティングは、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点、またはその後に、前記移植デバイスの前記表面上に適用される、請求項86〜90のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項86〜91のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
生物活性組成物を調合するための方法であって、接着生体適合性ターポリマーと生物活性薬剤とを混合し、それにより前記生物活性組成物を形成することを含む、方法。
【請求項94】
前記ターポリマーおよび生物活性薬剤は、混合前にまず移植デバイスの表面に適用される、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
形成直後の前記生物活性組成物を、移植デバイスの表面に適用することをさらに含む、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
前記移植デバイスを対象内に埋め込むことをさらに含む、請求項93〜95のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記生物活性組成物は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点の前に、前記移植デバイスの前記表面上に適用される、請求項93〜96のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記生物活性組成物は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点、またはその後に、前記移植デバイスの前記表面上に適用される、請求項93〜97のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
弾力性生体適合性ポリマーと生物活性薬剤とを備えるカップ部材を備える、移植用複合材であって、前記カップ部材は、空洞を確定し、実質的に平面の縁部を有する、移植用複合材。
【請求項100】
前記縁部は、実質的に円形、実質的に長方形、または実質的に楕円形の形状を有する、請求項99に記載の移植用複合材。
【請求項101】
前記カップ部材は、乳白剤をさらに備える、請求項99に記載の移植用複合材。
【請求項102】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子と会合している、請求項99または100に記載の移植用複合材。
【請求項103】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、請求項99〜102のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項104】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項99〜103のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項105】
前記移植用複合材は、移植デバイスと接触している、請求項99〜104のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項106】
前記移植用複合材は、対象内に移植される、請求項99〜105のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項107】
請求項99〜105のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を備える、キット。
【請求項108】
移植デバイスであって、前記移植デバイスの少なくとも一部に接着される、請求項99〜105のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を備える、移植デバイス。
【請求項109】
前記移植デバイスは、対象内に移植される、請求項108に記載の移植デバイス。
【請求項110】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項108に記載の移植デバイス。
【請求項111】
移植用複合材を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、請求項99〜105のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を前記移植デバイスの表面上に固定することを含む、方法。
【請求項112】
前記移植デバイスを対象内に埋め込むことをさらに含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点の前に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項111または112に記載の方法。
【請求項114】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点、またはその後に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項111または112に記載の方法。
【請求項115】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項111〜114のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
少なくとも1つの揮発性溶媒と、生物活性薬剤と、溶媒中に溶解または分散された生体適合性ポリマーとを含む、スプレーコーティング組成物。
【請求項117】
前記ポリマーは、前記組成物の全重量に対して、約1重量%から約50重量%を占める、請求項116に記載のスプレーコーティング組成物。
【請求項118】
前記生物活性薬剤は、前記ポリマー内に溶解または分散されている、請求項116または117に記載のスプレーコーティング組成物。
【請求項119】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子と会合している、請求項116〜118のうちのいずれか一項に記載のスプレーコーティング組成物。
【請求項120】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、請求項116〜119のうちのいずれか一項に記載のスプレーコーティング組成物。
【請求項121】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項116〜120のうちのいずれか一項に記載のスプレーコーティング組成物。
【請求項122】
前記スプレーコーティング組成物は、移植デバイスと接触している、請求項116〜121のうちのいずれか一項に記載のスプレーコーティング組成物。
【請求項123】
請求項116〜122のうちのいずれか一項に記載のスプレーコーティング組成物と、エアロゾル噴射剤とを備える加圧エアロゾル容器。
【請求項124】
請求項116〜121のうちのいずれか一項に記載のスプレーコーティング組成物を備える、キット。
【請求項125】
移植デバイスであって、生体適合性ポリマーを含む組成物を有する少なくとも第1の移植デバイス表面と、前記第1の移植デバイス表面上の生物活性薬剤とを備える、移植デバイス。
【請求項126】
前記移植デバイスは、対象内に移植される、請求項125に記載の移植デバイス。
【請求項127】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項125または126に記載の移植デバイス。
【請求項128】
スプレーコーティング組成物を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、請求項116〜121のうちのいずれか一項に記載のスプレーコーティング組成物を前記移植デバイスの表面上に噴霧することを含む、方法。
【請求項129】
前記移植デバイスを対象内に埋め込むことをさらに含む、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記スプレーコーティング組成物は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点の前に、前記移植デバイスの前記表面上に噴霧される、請求項128または129に記載の方法。
【請求項131】
前記スプレーコーティング組成物は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点、またはその後に、前記移植デバイスの前記表面上に噴霧される、請求項128または129に記載の方法。
【請求項132】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項128〜131のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
移植用複合材であって、放出可能な生物活性薬剤を備える粘着性生体適合性ポリマーフィルムと、前記粘着性生体適合性ポリマーフィルムに貼付されるリリースライナと、を備える、移植用複合材。
【請求項2】
移植用複合材であって、少なくともその一部上に接着剤を備える少なくとも第1の表面を有する生体適合性ポリマーフィルムを備え、前記接着剤にリリースライナが貼付され、放出可能な生物活性薬剤が前記フィルム内または前記フィルム上にある、移植用複合材。
【請求項3】
移植用複合材であって、少なくとも第1の表面を有し、放出可能な生物活性薬剤を備える、生体適合性ポリマーフィルムと、前記第1の表面の少なくとも一部上の接着剤と、を備え、前記移植用複合材は、長さ寸法および幅寸法を有し、前記長さ寸法は、前記幅寸法と実質的に同じである、移植用複合材。
【請求項4】
移植用複合材であって、少なくとも第1の表面を有し、放出可能な生物活性薬剤を備える、生体適合性ポリマーフィルムと、前記第1の表面の少なくとも一部上の接着剤と、を備え、前記移植用複合材は、長方形ではない形状を有する、移植用複合材。
【請求項5】
前記移植用複合材は、前記接着剤に貼付されるリリースライナを備える、請求項3または4に記載の移植用複合材。
【請求項6】
前記移植用複合材は、長さ寸法および幅寸法を有し、前記長さ寸法は、前記幅寸法と実質的に同じである、請求項1、2、4、または5に記載の移植用複合材。
【請求項7】
前記移植用複合材は、長方形ではない形状を有する、請求項1、2、3、または5に記載の移植用複合材。
【請求項8】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内に含有される、前記請求項のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項9】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、前記請求項のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項10】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、前記請求項のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項11】
放出可能な生物活性薬剤を備える生体適合性ポリマーフィルムをそれぞれが備える複数の移植用複合材と、各移植用複合材に貼付または接着される1つ以上のリリースライナとを備える、物品。
【請求項12】
第1の移植デバイス表面を有する移植デバイスであって、請求項1、3、4、または6〜10のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を、前記第1の移植デバイス表面の少なくとも一部上に備える、移植デバイス。
【請求項13】
移植デバイスであって、少なくともその一部上に移植用複合材を備える、少なくとも第1の移植デバイス表面を備え、前記移植用複合材は、長さ寸法および幅寸法を有し、前記長さ寸法は、前記幅寸法と実質的に同じである、移植デバイス。
【請求項14】
移植デバイスであって、少なくともその一部上に移植用複合材を備える、少なくとも第1の移植デバイス表面を備え、前記移植用複合材は、長方形ではない形状を有する、移植デバイス。
【請求項15】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内に含有される、請求項12または14に記載の移植デバイス。
【請求項16】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、請求項12〜15のうちのいずれか一項に記載の移植デバイス。
【請求項17】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項12〜16のうちのいずれか一項に記載の移植デバイス。
【請求項18】
前記移植デバイスは、対象内に移植される、請求項12〜17のうちのいずれか一項に記載の移植デバイス。
【請求項19】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項12〜18のうちのいずれか一項に記載の移植デバイス。
【請求項20】
移植用複合材を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、移植用複合材を前記移植デバイスの表面上に固定することを含む、方法。
【請求項21】
前記移植デバイスを対象内に埋め込むことをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点の前に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点、またはその後に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項24】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項20〜23のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記移植用複合材は、放出可能な生物活性薬剤を備える、請求項20〜24のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記移植用複合材は、少なくとも第1の表面を有し、放出可能な生物活性薬剤を備える、生体適合性ポリマーフィルムと、前記第1の表面の少なくとも一部上の接着剤と、を備える、請求項20〜24のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記移植用複合材は、少なくとも第1の表面を有し、放出可能な生物活性薬剤を備える、生体適合性ポリマーフィルムと、前記第1の表面の少なくとも一部上の接着剤と、前記接着剤に貼付されるリリースライナと、を備え、前記リリースライナは、前記移植用複合材が前記移植デバイスの前記表面上に固定される前に、前記接着剤から取り外される、請求項20〜24のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記移植用複合材は、請求項1、または3−10のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材である、請求項20〜24のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの連続的な細長い表面を有し、生体適合性ポリマーと生物活性薬剤とを備える、弾性バンドを備える、移植用複合材。
【請求項30】
前記弾性バンドは、単層弾性バンドである、請求項29に記載の移植用複合材。
【請求項31】
前記弾性バンドは、前記弾性バンドが伸長していない時に約1cmから約50cmの直径を有する、請求項29または30に記載の移植用複合材。
【請求項32】
前記弾性バンドは、前記弾性バンドが伸長していない時に約5cmから約25cmの直径を有する、請求項29または30に記載の移植用複合材。
【請求項33】
前記弾性バンドは、前記弾性バンドが伸長していない時に約7cmから約15cmの直径を有する、請求項29または30に記載の移植用複合材。
【請求項34】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子と会合している、請求項29〜33のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項35】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、請求項29〜34のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項36】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項29〜35のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項37】
前記移植用複合材は、移植デバイスと接触している、請求項29〜36のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項38】
前記移植用複合材は、対象内に移植される、請求項29〜37のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項39】
複数の請求項29〜38のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を備える、キット。
【請求項40】
移植デバイスであって、前記移植デバイスの少なくとも一部と接触している、請求項29〜36のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を備える、移植デバイス。
【請求項41】
前記移植デバイスは、対象内に移植される、請求項40に記載の移植デバイス。
【請求項42】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項40または41に記載の移植デバイス。
【請求項43】
移植用複合材を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、請求項29〜36のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を前記移植デバイスの表面上に固定することを含む、方法。
【請求項44】
前記移植デバイスを対象内に埋め込むことをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点の前に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点、またはその後に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項43または44に記載の方法。
【請求項47】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項43〜46のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
移植用複合材であって、第1の端部と第2の端部とを有し、生体適合性ポリマーと放出可能な生物活性薬剤とを備える、実質的に可撓性の細長い本体を備え、前記実質的に可撓性の細長い本体の第1の部分は、前記実質的に可撓性の細長い本体の第2の部分に接続されて実質的に連続的なループを形成し得る、移植用複合材。
【請求項49】
前記実質的に可撓性の細長い本体の前記第1の部分は、少なくともその一部に沿って一連の隆線を備え、前記実質的に可撓性の細長い本体の前記第2の部分は、前記第1の部分が前記第2の部分の受容開口に挿入された時に前記一連の隆線の少なくとも一部にしっかりと係合する隆線状係合歯を備える前記受容開口を備える、請求項48に記載の移植用複合材。
【請求項50】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子と会合している、請求項48〜49のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項51】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、請求項48〜50のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項52】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項48〜51のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項53】
移植用複合材であって、第1の端部と第2の端部とを有する、実質的に可撓性の細長い本体と、前記実質的に可撓性の細長い本体の第1の部分を、前記実質的に可撓性の細長い本体の第2の部分に接続し、それにより実質的に連続的なループを形成するための手段と、を備え、前記実質的に可撓性の細長い本体は、生体適合性ポリマーと、放出可能な生物活性薬剤とを備える、移植用複合材。
【請求項54】
前記移植用複合材は、移植デバイスと接触している、請求項48〜53のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項55】
前記移植用複合材は、対象内に移植される、請求項48〜54のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項56】
請求項48〜53のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を備える、キット。
【請求項57】
移植デバイスであって、前記移植デバイスの少なくとも一部と接触している請求項48〜53のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を備える、移植デバイス。
【請求項58】
前記移植デバイスは、対象内に移植される、請求項57に記載の移植デバイス。
【請求項59】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項57または58に記載の移植デバイス。
【請求項60】
移植用複合材を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、請求項48〜53のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を前記移植デバイスの表面上に機械的に固定することを含む、方法。
【請求項61】
前記移植デバイスを対象内に埋め込むことをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点の前に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項60または61に記載の方法。
【請求項63】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点、またはその後に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項60または61に記載の方法。
【請求項64】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項60〜63のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
生物活性薬剤送達組成物であって、接着生体適合性ターポリマーと、放出可能な生物活性薬剤とを備える、生物活性薬剤送達組成物。
【請求項66】
前記ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、任意選択でエンドキャップされたポリエチレングリコール(PEG)、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
前記ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、およびカプロラクトン残基のターポリマーを含み、前記ターポリマーは、開始剤の残基である末端基を有し、前記開始剤は、非結晶性の第一級または第二級アルコールである、請求項65または66に記載の組成物。
【請求項68】
前記ターポリマーは、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド−コ−任意選択でエンドキャップされたPEG)、またはポリ(ラクチド−コ−グリコリド−コ−カプロラクトン、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項65または66に記載の組成物。
【請求項69】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子と会合している、請求項65〜68のうちのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、請求項65〜69のうちのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項71】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項65〜70のうちのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項72】
前記組成物は、移植デバイスと接触している、請求項65〜71のうちのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項73】
容器内の請求項65〜72のいずれか一項に記載の組成物を備える、キット。
【請求項74】
キットであって、1)接着生体適合性ターポリマーと、2)生物活性薬剤と、を備え、前記ターポリマーおよび生物活性薬剤は分離されている、キット。
【請求項75】
前記ターポリマーは、第1の容器内に存在し、前記生物活性薬剤は、第2の容器内に存在する、請求項74に記載のキット。
【請求項76】
前記ターポリマーは、第1の分配システム内に存在し、前記生物活性薬剤は、第2の分配システム内に存在する、請求項74または75に記載のキット。
【請求項77】
前記第1の分配システムまたは前記第2の分配システムのうちの少なくとも1つは、シリンジを備える、請求項76に記載のキット。
【請求項78】
前記ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、任意選択でエンドキャップされたポリエチレングリコール(PEG)、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項74〜77のうちのいずれか一項に記載のキット。
【請求項79】
前記ターポリマーは、ラクチド、グリコリド、およびカプロラクトン残基のターポリマーであり、前記ターポリマーは、開始剤の残基である末端基を有し、前記開始剤は、非結晶性の第一級または第二級アルコールである、請求項74〜78のうちのいずれか一項に記載のキット。
【請求項80】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子と会合している、請求項74〜79のうちのいずれか一項に記載のキット。
【請求項81】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、請求項74〜80のうちのいずれか一項に記載のキット。
【請求項82】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、成長因子、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項74〜81のうちのいずれか一項に記載のキット。
【請求項83】
第1の移植デバイス表面を有する移植デバイスであって、請求項65〜71のうちのいずれか一項に記載の組成物を、前記第1の移植デバイス表面の少なくとも一部上に備える、移植デバイス。
【請求項84】
前記移植デバイスは、対象内に移植される、請求項83に記載の移植デバイス。
【請求項85】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項83または84に記載の移植デバイス。
【請求項86】
生物活性組成物を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、請求項65〜71のうちのいずれか一項に記載の組成物を前記移植デバイスの表面上に適用することを含む、方法。
【請求項87】
コーティングを移植デバイスに適用する方法であって、前記1)接着生体適合性ターポリマーと、2)請求項73〜82のうちのいずれか一項に記載のキットの生物活性薬剤とを含むコーティングを、前記移植デバイスの表面上に適用することを含む、方法。
【請求項88】
前記移植デバイスの前記表面に前記コーティングが適用される前、その時点、またはその後に、前記1)接着生体適合性ターポリマーと、2)前記生物活性薬剤とが混合される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記移植デバイスを対象内に埋め込むことをさらに含む、請求項86〜88のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記組成物またはコーティングは、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点の前に、前記移植デバイスの前記表面上に適用される、請求項86〜89のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記組成物またはコーティングは、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点、またはその後に、前記移植デバイスの前記表面上に適用される、請求項86〜90のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項86〜91のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
生物活性組成物を調合するための方法であって、接着生体適合性ターポリマーと生物活性薬剤とを混合し、それにより前記生物活性組成物を形成することを含む、方法。
【請求項94】
前記ターポリマーおよび生物活性薬剤は、混合前にまず移植デバイスの表面に適用される、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
形成直後の前記生物活性組成物を、移植デバイスの表面に適用することをさらに含む、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
前記移植デバイスを対象内に埋め込むことをさらに含む、請求項93〜95のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記生物活性組成物は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点の前に、前記移植デバイスの前記表面上に適用される、請求項93〜96のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記生物活性組成物は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点、またはその後に、前記移植デバイスの前記表面上に適用される、請求項93〜97のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
弾力性生体適合性ポリマーと生物活性薬剤とを備えるカップ部材を備える、移植用複合材であって、前記カップ部材は、空洞を確定し、実質的に平面の縁部を有する、移植用複合材。
【請求項100】
前記縁部は、実質的に円形、実質的に長方形、または実質的に楕円形の形状を有する、請求項99に記載の移植用複合材。
【請求項101】
前記カップ部材は、乳白剤をさらに備える、請求項99に記載の移植用複合材。
【請求項102】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子と会合している、請求項99または100に記載の移植用複合材。
【請求項103】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、請求項99〜102のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項104】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項99〜103のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項105】
前記移植用複合材は、移植デバイスと接触している、請求項99〜104のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項106】
前記移植用複合材は、対象内に移植される、請求項99〜105のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材。
【請求項107】
請求項99〜105のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を備える、キット。
【請求項108】
移植デバイスであって、前記移植デバイスの少なくとも一部に接着される、請求項99〜105のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を備える、移植デバイス。
【請求項109】
前記移植デバイスは、対象内に移植される、請求項108に記載の移植デバイス。
【請求項110】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項108に記載の移植デバイス。
【請求項111】
移植用複合材を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、請求項99〜105のうちのいずれか一項に記載の移植用複合材を前記移植デバイスの表面上に固定することを含む、方法。
【請求項112】
前記移植デバイスを対象内に埋め込むことをさらに含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点の前に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項111または112に記載の方法。
【請求項114】
前記移植用複合材は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点、またはその後に、前記移植デバイスの前記表面に固定される、請求項111または112に記載の方法。
【請求項115】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項111〜114のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
少なくとも1つの揮発性溶媒と、生物活性薬剤と、溶媒中に溶解または分散された生体適合性ポリマーとを含む、スプレーコーティング組成物。
【請求項117】
前記ポリマーは、前記組成物の全重量に対して、約1重量%から約50重量%を占める、請求項116に記載のスプレーコーティング組成物。
【請求項118】
前記生物活性薬剤は、前記ポリマー内に溶解または分散されている、請求項116または117に記載のスプレーコーティング組成物。
【請求項119】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子と会合している、請求項116〜118のうちのいずれか一項に記載のスプレーコーティング組成物。
【請求項120】
前記生物活性薬剤は、マイクロ粒子内にカプセル化される、請求項116〜119のうちのいずれか一項に記載のスプレーコーティング組成物。
【請求項121】
前記生物活性薬剤は、抗生物質、抗菌剤、成長因子、成長阻害剤、免疫調節剤、ステロイド、または抗炎症剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項116〜120のうちのいずれか一項に記載のスプレーコーティング組成物。
【請求項122】
前記スプレーコーティング組成物は、移植デバイスと接触している、請求項116〜121のうちのいずれか一項に記載のスプレーコーティング組成物。
【請求項123】
請求項116〜122のうちのいずれか一項に記載のスプレーコーティング組成物と、エアロゾル噴射剤とを備える加圧エアロゾル容器。
【請求項124】
請求項116〜121のうちのいずれか一項に記載のスプレーコーティング組成物を備える、キット。
【請求項125】
移植デバイスであって、生体適合性ポリマーを含む組成物を有する少なくとも第1の移植デバイス表面と、前記第1の移植デバイス表面上の生物活性薬剤とを備える、移植デバイス。
【請求項126】
前記移植デバイスは、対象内に移植される、請求項125に記載の移植デバイス。
【請求項127】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項125または126に記載の移植デバイス。
【請求項128】
スプレーコーティング組成物を移植デバイスに適用する方法であって、移植デバイスが対象内に移植される時点に実質的に近い時点で、請求項116〜121のうちのいずれか一項に記載のスプレーコーティング組成物を前記移植デバイスの表面上に噴霧することを含む、方法。
【請求項129】
前記移植デバイスを対象内に埋め込むことをさらに含む、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記スプレーコーティング組成物は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点の前に、前記移植デバイスの前記表面上に噴霧される、請求項128または129に記載の方法。
【請求項131】
前記スプレーコーティング組成物は、前記移植デバイスが前記対象内に移植される時点、またはその後に、前記移植デバイスの前記表面上に噴霧される、請求項128または129に記載の方法。
【請求項132】
前記移植デバイスは、ポンプ、ペースメーカー、除細動器、または刺激器を備える、請求項128〜131のうちのいずれか一項に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2012−513473(P2012−513473A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543618(P2011−543618)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/069024
【国際公開番号】WO2010/075298
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(509121558)サーモディクス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/069024
【国際公開番号】WO2010/075298
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(509121558)サーモディクス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
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