説明

放射性免疫複合体を生成するための方法

モノクローナル抗体(mAb)(IgG)を含むAc−225放射性複合体を産生するための方法を開示する。Ac−225放射性免疫複合体は、[Ac−225]−p−SCN−Bn−DOT AIHuM195放射性免疫複合体である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この特許開示は、著作権保護を受ける資料を含む。著作権所有者は、米国特許商標局の特許出願または記録に現れるような特許文書または特許開示を、第三者がファクシミリで複製することに異存はないが、その他の場合には、著作権に関する全ての権利を保有するものである。
【0002】
本明細書に記載される全ての出版物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に参照される特許および科学文献は、当業者に利用可能である知識を確立するものである。交付済み特許、特許出願、および本明細書に引用される他の出版物は、あたかも参照により組み込まれたかのようにそれぞれが具体的かつ個別に示されているものと同程度に参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合は、本開示が優先される。
【背景技術】
【0003】
放射性免疫複合体は、診断的および治療的医療処置の際に使用することができる。放射性医薬品は、担体(例えば、標的化部分)に結合される少なくとも1つの放射性核種を搬送することができる。放射性核種は、放射線診断装置によって検出可能な信号を生成することができる。放射性核種によって放射される放射線は、組織への毒性作用を有する可能性があるので、1つ以上の治療効果を達成するために、放射性免疫複合体を利用することができる。治療剤として使用した時に、体内の特定の構造または部位における放射性免疫複合体の局在化を使用して、放射性免疫複合体の効果を治療すべき構造または部位に集中させることができ、かつ体内の他の構造または部位における悪影響を低減することができる。例えば、放射性免疫複合体は、癌組織を殺傷する化学療法薬として使用されてもよい。放射性免疫複合体を生成するための改善された方法の必要性がある。本発明は、この必要性に対処する。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、本明細書に記載される方法は、アクチニウム−225(Ac−225)放射性複合体を生成するための方法に関し、本方法は、(a)複合体化反応混合物中でキレート剤を生体分子に複合体化して複合体化された生体分子を産生するステップと、(b)反応混合物を精製して複合体化されていないキレート剤を除去するステップと、(c)キレート化反応混合物中で、1つ以上のAc−225放射性核種を複合体化された生体分子でキレート化してAc−225放射性複合体を産生するステップと、を含む。
【0005】
一実施形態において、ステップ(a)における複合体化は、複合体化反応混合物を約37℃で約1.5時間インキュベートするステップを含む。別の実施形態において、ステップ(a)における複合体化は、複合体化反応混合物を約16℃〜約20℃で約24時間インキュベートするステップを含む。
【0006】
さらなる実施形態において、精製するステップは、複合体化反応混合物をフィルタを通して濾過して複合体化された生体分子を精製するステップを含む。
【0007】
一実施形態において、複合体化反応混合物は、重炭酸塩緩衝液を含む。別の実施形態において、複合体化反応混合物は、リン酸緩衝液を含む。さらなる実施形態において、複合体化反応混合物は、約8.0〜約9.2のpHを有する。
【0008】
一実施形態において、濾過するステップは、HEPES緩衝液中で行われる。別の実施形態において、濾過するステップは、NaAc緩衝液中で行われる。さらなる実施形態において、濾過するステップは、少なくとも約10,000Da、少なくとも約20,000Da、または少なくとも約40,000Daの分画分子量を含む。
【0009】
一実施形態において、キレート化反応混合物は、ゲンチシン酸またはアスコルビン酸を含む。
【0010】
別の実施形態において、キレート化反応混合物は、約5.5〜約7.0のpHを有する。
【0011】
さらに別の実施形態において、ステップ(c)におけるキレート化は、1つ以上のAc−225放射性核種を、複合体化された生体分子とともに約37℃で約1.5時間インキュベートするステップを含む。
【0012】
別の実施形態において、本方法は、末端キレート化剤をキレート化反応混合物に加えるステップをさらに含む。一実施形態において、末端キレート化剤は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)である。さらに別の実施形態において、本方法は、末端キレート化剤を加えるステップの後に、キレート化反応混合物を約37℃で約30分間インキュベートするステップをさらに含む。
【0013】
一実施形態において、生体分子は、タンパク質、ペプチド、ポリヌクレオチド、それらの組み合わせ、またはそれらの誘導体を含む。
【0014】
一実施形態において、生体分子は、抗体、その抗原結合断片、抗体の抗原結合ポリペプチド配列を含む一本鎖タンパク質、単一ドメイン抗体、前述したもののうちのいずれかの類似体、または前述したもののうちのいずれかの誘導体である。別の実施形態において、抗原結合断片は、モノクローナル抗体可変領域である。さらに別の実施形態において、生体分子は、抗体の抗原結合配列を含むタンパク質である。さらに別の実施形態において、生体分子は、細胞表面上の抗原に結合する抗体の抗原結合配列を含む、天然に、合成的に、または、組み換え的に生成されたタンパク質である。さらに別の実施形態において、標的細胞表面上の抗原は、CD33である。さらに別の実施形態において、生体分子は、HuM195である。
【0015】
一実施形態において、放射性複合体は、放射性免疫複合体である。
【0016】
別の実施形態において、キレート剤は、二官能性キレート剤である。一実施形態において、二官能性キレート剤は、S−2−(4−イソチオシアナトベンジル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン四酢酸(p−SCN−Bn−DOTA)である。別の実施形態において、キレート剤は、ジエチレントリアミン五酢酸(「DTPA」)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N´,N´´,N´´´−四酢酸(「DOTA」)、p−イソチオシアナトベンジル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(「pSCN−Bz−DOTA」)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N´,N´´−三酢酸(「DO3A」)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラキス(2−プロピオン酸)(「DOTMA」)、3,6,9−トリアザ−12−オキサ−3,6,9−トリカルボキシメチレン−10−カルボキシ−13−フェニル−トリデカン酸(「B−19036」)、1,4,7−トリアザシクロノナン−N,N´,N´´−三酢酸(「NOTA」)、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−N,N´,N´´,N´´´−四酢酸(「TETA」)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(「TTHA」)、トランス−1,2−ジアミノヘキサン四酢酸(「CYDTA」)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−(2−ヒドロキシプロピル)4,7,10−三酢酸(「HP−DO3A」)、トランス−シクロヘキサン−ジアミン四酢酸(「CDTA」)、トランス(1,2)−シクロヘキサンジエチレントリアミン五酢酸(「CDTPA」)、1−オキサ−4,7,10−トリアザシクロドデカン−N,N´,N´´−三酢酸(「OTTA」)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラキス{3−(4−カルボキシル)−ブタン酸}、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラキス(酢酸−メチルアミド)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラキス(メチレンホスホン酸)、2,2´,2´´−(10−(2−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−2−オキソエチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリイル)三酢酸(DOTA−NHSエステル)、ならびにそれらの誘導体、類似体、および混合物から成る化合物の群より選択される。
【0017】
別の態様において、本明細書に記載される方法は、[Ac−225]−p−SCN−Bn−DOTA/HuM195放射性免疫複合体を生成するための方法に関し、本方法は、(a)p−SCN−Bn−DOTAを、約37℃で約1.5時間、重炭酸塩緩衝液を含み、かつ約8.0〜約9.2のpHを有する複合体化反応混合物中で、HuM195抗体に複合体化してp−SCN−Bn−DOTA/HuM195免疫複合体を産生するステップと、(b)少なくとも約10,000Da、少なくとも約20,000Da、または少なくとも約40,000Daの分画分子量を有するフィルタを通して、複合体化反応混合物を濾過してp p−SCN−Bn−DOTA/HuM195免疫複合体を精製するステップであって、該濾過するステップは、HEPES緩衝液またはNaAc緩衝液を用いて行われる、ステップと、(c)1つ以上のアクチニウム−225放射性核種を、約37℃で約1.5時間、ゲンチシン酸を含み、かつ約5.5〜約7.0のpHを有するキレート化反応混合物中で、p−SCN−Bn−DOTA/HuM195免疫複合体でキレート化して[Ac−225]−p−SCN−Bn−DOTA/HuM195放射性免疫複合体を産生するステップと、(d)DTPAをキレート化反応混合物に加えるステップと、(e)キレート化反応混合物を約37℃で約30分間インキュベートするステップと、を含む。
【0018】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、ステップ(b)の濾過の前に、サイズ排除樹脂を通してのサイズ排除クロマトグラフィのステップをさらに含む。一実施形態において、サイズ排除樹脂は、約5,000Daのサイズ排除制限を有する。
【0019】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、サイズ排除樹脂を通してのサイズ排除クロマトグラフィによって、放射性複合体(radionconjugate)または[Ac−225]−p−SCN−Bn−DOTA/HuM195放射性免疫複合体を精製するステップをさらに含む。一実施形態において、サイズ排除樹脂は、約6,000Daのサイズ排除制限を有する。別の実施形態において、サイズ排除樹脂は、約5,000Daのサイズ排除制限を有する。
【0020】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載される方法によって生成される、放射性免疫複合体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】天然のHuM195(ピンク色)およびHuM195/DOTA複合体(青色)のUVスペクトルである。どちらの溶液も約100μg/mLの濃度であり、吸光度は、1cmの光経路のキュベットを使用して測定した。
【図1B】HSA(0.1%、緑色)、天然HuM195(100μg/mL、ピンク色)、およびDTPA/NaAc(100μg/mL)のUVスペクトルである。
【図2】天然HuM195のSE−HPLC/UVクロマトグラムである。
【図3】HuM195の定量化のための、UV検出器によるHPLCの校正を示す図である。
【図4】複合体のSE−HPLC/UVクロマトグラムである。
【図5】典型的な校正曲線(HuM195の定量化の際のUV分光光度計の校正のための波長は、280nm)を示す図である。
【図6】Ac−225で標識された複合体(精製後の主要タンパク質画分)のSE−HPLC/RADクロマトグラムである。
【図7】遊離またはDTPA関連Ac−225を含有する画分のSE−HPLC/RADクロマトグラムである。
【図8】P−10カラムおよび反応バイアル+QC(総活性1.2mCiのAc−225)における、精製後の液体画分中のAc−225の典型的な活性分布である。
【図9】高分解能Ge検出器上のAc−225および娘の典型的なガンマスペクトルである。
【図10】マトリクス溶液としてCHCAを伴う天然HuM195の典型的なMALDIスペクトルである。
【図11】マトリクス溶液としてCHCAを伴う複合体の典型的なMALDIスペクトルである。
【図12】カウントの分析のために切断されたゲルの断面を示す、1ステップおよび2ステップ調製品のPAGEゲル電気泳動である。
【図13】ゲルの切断された各断面における活性を示す図である。結果は、HuM195と関連するAc−225のかなりの割合と一致する。結果は、1ステップおよび2ステップの製剤について同一であった。
【図14】1ステッププロセスを使用した調製品および対照を分析するために、PAGEゲル電気泳動を使用した。対照は、1ステップの手順と同じように調製したが、抗体は、Ac−225によるキレート化の前にDOTA二官能性キレート剤と復号化させなかった。対照調製は、1ステップ調製とは対照的に、極めて少量のHuM195と関連するAc−225を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、放射性免疫複合体を生成するための方法を提供する。一態様において、本発明は、モノクローナル抗体(mAb)(IgG)を標識するための改善された方法に関する。一実施形態において、本方法は、「後標識または1ステップ法」である。
【0023】
一態様において、本明細書に記載される方法は、放射性免疫複合体を製造するための1ステップキレート化、後複合体化プロセスに関する。一実施形態において、放射性免疫複合体は、[Ac−225]−p−SCN−Bn−DOTA/IgG(HuM195)構成体である。
【0024】
本明細書に記載される放射性免疫複合体は、最初に、複合体化された標的部分を形成し、次いで、複合体化された標的部分で放射性核種をキレート化して放射性免疫複合体を形成することによって調製することができる。複合体化された標的部分は、標的部分に対する複合体化の後に、任意の時に放射性標識されてもよい。
【0025】
一実施形態において、mAbは、最初に、DOTA二官能性キレート剤で複合体化され、次いで、精製された複合体は、Ac−225で標識される。本明細書に記載されるいくつかの実施形態によれば、生体分子を標識するためには、225Acが関与する単一のステップが1つだけあればよい。2ステップまたは再標識プロセスに勝る、本明細書に記載される方法の利点には、安定したより高い標識収率、簡潔さ、およびより短い標識時間が挙げられるが、これに限定されない。加えて、本明細書に記載される方法のスケールアップは、2ステップまたは再標識プロセスと比較して、より容易に行うことができる。また、本明細書に記載される方法は、最終的な放射能標識が臨床現場で起こる可能性がある、キット製剤の調製に有用である。
【0026】
一実施形態において、HuM195/p−SCN−Bn−DOTA複合体は、約8〜約9の間のpHで、重炭酸塩中またはリン酸緩衝液中で、HuM195をp−SCN−Bn−DOTAと反応させ、かつ約37℃または室温のいずれかでインキュベートすることによって調製される。別の実施形態において、生体複合体は、濾過または遠心分離を繰り返し、かつ重力サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によって、過度の二官能性キレート化剤から精製することができる。精製プロセス中に、重炭酸塩またはリン酸緩衝液は、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N−2−エタンスルホン酸(HEPES;遊離酸)または酢酸媒体に変化する。複合体は、サイズ排除高性能液体クロマトグラフィ(SE−HPLC)によって特徴付けることができる。
【0027】
標識については、約5.5〜約7.0のpHを有するアセテート緩衝液中のHuM195および225Acの混合物を、少量のフリーラジカルスカベンジャーの存在下で、約80〜約90分間インキュベートする。DTPAとの反応および対抗の後に、インスタント薄層クロマトグラフィ(ITLC)によって標識収率を定量することができる。次いで、重力サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)によって、試料混合物を精製することができる。精製されたタンパク質画分において、225Acおよびタンパク質の量は、それぞれ、非破壊高分解能ガンマ分光測定法および紫外分光光度法で測定することができる。精製された画分の放射化学的純度は、ITLCおよび/またはSE−HPLCで測定される。
【0028】
一態様において、本発明は、CD33標的部分を有する放射性免疫複合体を含む。本発明によれば、標的部分は、合成もしくは天然のタンパク質、またはタンパク質もしくはその変異体(種、対立遺伝子、および突然変異体を含む)とすることができる。いくつかの実施形態において、標的部分は、抗体部分を含む。
【0029】
本明細書に記載される方法を使用して生成される放射性免疫複合体は、診断的または治療的医療処置で使用されてもよい。例えば、放射性医薬品は、PETまたは他の放射線画像を生成するために、撮像造影剤として使用されてもよい。代替として、放射性医薬品は、体内の生理学的活性の特定の構造または部位に放射線の用量を送達する、治療剤として使用されてもよい。当業者は、放射性医薬品の他の薬理学的な用法を理解するであろう。
【0030】
別の態様において、本発明は、被験者の癌を治療するための方法を提供し、本方法は、放射性免疫複合体の薬学的に有効な量を被験者に投与することを含む。
【0031】
さらに別の態様において、本発明は、被験者の癌を治療するための方法を提供し、本方法は、薬学的組成物の薬学的に有効な量を被験者に投与することを含み、本組成物は、細胞表面上のCD33分子に特異的に結合する、放射性免疫複合体を含む。
【0032】
定義
【0033】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈に明示されていない限り、複数の参照先を含む。
【0034】
「約(about)」という用語は、本明細書で使用する場合、大体(approximately)、〜の辺り(in the region of)、大まかに(roughly)、または、およそ(around)を意味する。「約」という用語が数値範囲とともに使用された場合、それは、記載された数値範囲の上下に境界を拡大することによってその範囲を加減する。「約」という用語は、本明細書で使用する場合、言及された数値を20%の変動幅で上下に加減する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「純度」という用語は、実質的に単一の化学物質の実体が存在すること、または混合物中に実質的な汚染物質が存在しないことを指す。
【0036】
開示される方法によって生成される複合体化された分子の純度は、標準的な分析法(例えば、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)または濾過精製)を使用して測定されてもよい。複合体化された標的部分または放射性免疫複合体の量を定量することによって純度が測定される時、純度は、約70%よりも高く、約80%よりも高く、約90%よりも高く、約95%よりも高く、約96%よりも高く、約97%よりも高く、約98%よりも高く、または約99%よりも高くなり得る。汚染の量を定量することによって純度が測定される時、複合体化されていないキレート剤等の汚染物質は、約20%未満、約10%未満、または約1%未満であり得る。
【0037】
「生体分子」という用語は、本明細書で使用される場合、高分子を含む炭素を含有する分子を指し、アミノ酸、抗体、タンパク質、ペプチド、核酸(DNAおよびRNAを含む)、単糖類、多糖類等を含む、生体系に見出されることが分かっているあらゆる分子を含む。生体分子は、自然発生的であるもの、ならびにそのような分子の誘導体、類似体、および修飾体を含む。加えて、この用語は、薬剤に使用される医薬品、抗生物質等の、炭素を含有する分子を指す。自然界に見られない修飾された塩基を含有する核酸の類似体は、生体分子として含まれる。同様に、自然界に見られる分子のあらゆる類似体またはそのような分子のあらゆる化学物質修飾体も、生体分子の定義に含まれる。生体分子は、天然源から分離されてもよく、または、例えば合成タンパク質、ペプチド、またはオリゴヌクレオチドとして、研究室で合成されてもよい。
【0038】
本明細書で使用される場合、「標的部分」という用語は、あらゆるタンパク質、抗体、抗体断片、ホルモン、ペプチド、成長因子、抗原、ハプテン、または特定の生物学的標的部位を認識するように機能するあらゆる他の担体を指す。抗体および抗体断片は、あらゆるポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト、哺乳類、単一鎖、二量体、および四量体の、抗体または抗体断片を指す。そのような生物学的担体は、官能化された錯体に付着した時に、付着した放射性核種を特定の標的組織に搬送する役割を果たす。
【0039】
「抗体」という用語は、あらゆるポリクローナル、モノクローナル、キメラ抗体、または異種抗体を指す。本発明の放射性核種複合体で使用される抗体は、所望の癌細胞に対する高い特異性を有する、モノクローナル抗体である。本発明において使用される抗体は、例えば、癌、腫瘍、白血病、免疫系の細胞、骨髄および前立腺組織等の切除する必要がある正常な細胞、HIV、マイコプラズマ、分化および他の細胞膜抗原、病原体表面抗原、ならびにあらゆる生物活性分子を含む、ウイルス感染した細胞を伴う自己免疫疾患を対象としてもよい。
【0040】
本明細書に記載される方法とともに使用するのに適切な抗体のいくつかの例には、HuM195(抗CD33)、CC−11、CC−46、CC−49、CC−49F(ab´)2、CC−83、CC−83F(ab´)2、および72.3が挙げられるが、これに限定されない。抗体断片は、Fab断片およびF(ab´)2断片、ならびに所望の1つまたは複数のエピトープに対する特異性を有する抗体の任意の部分を含む。本発明の放射性核種複合体で使用されてもよい抗体は、当技術分野でよく知られている技術によって調製することができる。非常に特異なモノクローナル抗体は、当技術分野でよく知られているハイブリダイゼーション技術によって精製することができる。例えば、Kohler and Milstein、Nature,256,495−497(1975)、およびEur.J.Immunol.,511〜519(1976)を参照されたい。
【0041】
本明細書で使用される場合、「放射性複合体」という用語は、放射性核種で標識した生体分子複合体(例えば、タンパク質複合体のキレート剤部分が放射性核種との錯体を形成したもの)を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「放射性免疫複合体」という用語は、放射性核種で標識した標的部分複合体(例えば、タンパク質複合体のキレート剤部分が放射性核種との錯体を形成したもの)を指す。
【0043】
本明細書に記載される放射性免疫複合体を形成するにあたり、有利なことに、キレート化および複合体化の程度は高い。
【0044】
本明細書で使用される場合、「複合体化の程度」および「複合体化収率」という用語は、代替可能に使用され、標的部分によって成功裏に複合体化されたキレート剤を、複合体化反応で使用した総キレート剤で割った割合を意味するように定義される。本反応の複合体化された標的部分を作製する時の複合体化の割合は、50%よりも大きい、70%よりも大きい、90%よりも大きい、95%よりも大きい、約96%よりも大きい、約97%よりも大きい、約98%よりも大きい、または約99%よりも大きい。
【0045】
本明細書で使用される場合、「キレート化の程度」および「キレート化収率」という用語は、代替可能に使用され、複合体化された標的部分によって成功裏にキレート化された放射性核種を、キレート化反応で使用した総放射性核種で割った割合を意味するように定義される。本反応の放射性免疫複合体を作製する時のキレート化の割合は、50%よりも大きい、70%よりも大きい、90%よりも大きい、95%よりも大きい、約96%よりも大きい、約97%よりも大きい、約98%よりも大きい、または約99%よりも大きい。
【0046】
本明細書に記載されるように、複合体化およびキレート化の生成の程度は、放射性免疫複合体調製プロセスの1つ以上のパラメータに依存する。
【0047】
本明細書に記載される方法によれば、標的部分は、キレート剤を含む緩衝液中に溶解されてもよい。pHは、複合体化反応混合物中の標的部分によるキレート剤の複合体化の状態を最適化するように選択されてもよい。一実施形態において、複合体化反応混合物は、重炭酸塩緩衝液を含むことができる。別の実施形態において、複合体化反応混合物は、リン酸緩衝液を含むことができる。さらに別の実施形態において、複合体化反応混合物は、約8.0〜約9.2のpHを有することができる。例えば、複合体化反応混合物は、約8.0、約8.1、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、約9.0、約9.1、または約9.2のpHを有することができる。複合体化反応混合物の温度も、標的部分によるキレート剤の複合体化を促進するように調整されてもよい。一実施形態において、複合体化反応混合物は、約37℃の温度でインキュベートすることができる。さらなる実施形態において、複合体化反応混合物は、約1.5時間インキュベートすることができる。
【0048】
別の実施形態において、複合体化された標的部分は、放射性核種を含む緩衝液中に溶解されてもよい。pHは、キレート化反応混合物中の複合体化された標的部分との放射性核種のキレート化の状態を最適化するように選択されてもよい。一実施形態において、キレート化反応混合物は、ゲンチシン酸を含むことができる。別の実施形態において、キレート化反応混合物は、約5.5〜約7.0のpHを有することができる。例えば、キレート化反応混合物は、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、または約7.0のpHを有することができる。
【0049】
また、キレート化反応混合物の温度も、複合体化された標的部分による放射性核種のキレート化を促進するように調整されてもよい。一実施形態において、キレート化反応混合物は、約37℃の温度でインキュベートすることができる。さらなる実施形態において、キレート化反応混合物は、約1.5時間インキュベートすることができる。ある期間の後、溶液は、クエンチングキレート(例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA))を加えることによって急冷することができ、反応混合物を精製することができる。一実施形態において、キレート化反応混合物は、クエンチングキレートを加えた後、さらにインキュベートすることができる。一実施形態において、キレート化反応混合物は、クエンチングキレートを加えた後、さらに約30分間インキュベートすることができる。別の実施形態において、キレート化反応混合物は、クエンチングキレートを加えた後、さらに約37℃でインキュベートすることができる。
【0050】
キレート化剤
【0051】
二官能性キレート化剤は、金属イオンを封鎖する能力に加えて、腫瘍細胞エピトープまたは抗原に対する特異性を有する生物学的担体を共有結合的に結合する能力といった、二重の官能性を有する化合物である。そのような化合物は、例えば、それらを放射性金属イオンで錯体化して、特異的抗体に共有結合的に付着させる時の、治療および診断アプリケーションに有効である。この種の錯体は、付着した抗体の特異性によって標的とされる腫瘍細胞に放射性金属を搬送するために使用されている(例えば、Mears et al.,Anal.Biochem.142、68〜74(1984)、Kerjack et al.,Biochem.And Biophys.Res.Comm.77、581〜585(1977)を参照されたい)。
【0052】
数多くのキレート化剤が、当技術分野において知られている。例えば、Pitt et al.,INORGANIC CHEMISTRY IN BIOLOGY AND MEDICINEの「The Design of Chelating Agents for the Treatment of Iron Overload」、Martell,Ed.;American Chemical Society、Washington,D.C.,1980、pp.279〜312、Lindoy、THE CHEMISTRY OF MACROCYCLIC LIGAND COMPLEXES;Cambridge University Press、Cambridge、1989、Dugas、BIOORGANIC CHEMISTRY;Springer−Verlag、New York、1989、およびそれらに含まれる参考文献を参照されたい。
【0053】
本明細書に記載される放射性免疫複合体の調製に適切な例示的なキレート化剤には、S−2−(4−イソチオシアナトベンジル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン四酢酸(p−SCN−Bn−DOTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);エチレンジアミン四酢酸(EDTA);1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N´,N´´,N´´´−四酢酸(DOTA)、p−イソチオシアナトベンジル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(p−SCN−Bz−DOTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N´,N´´−三酢酸(DO3A)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラキス(2−プロピオン酸)(DOTMA)、3,6,9−トリアザ−12−オキサ−3,6,9−トリカルボキシメチレン−10−カルボキシ−13−フェニル−トリデカン酸(B−19036)、1,4,7−トリアザシクロノナン−N,N´,N´´−三酢酸(NOTA)、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−N,N´,N´´,N´´´−四酢酸(TETA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、トランス−1,2−ジアミノヘキサン四酢酸(CYDTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−(2−ヒドロキシプロピル)−4,7,10−三酢酸(HP−DO3A)、トランス−シクロヘキサン−ジアミン四酢酸(CDTA)、トランス(1,2)−シクロヘキサンジエチレントリアミン五酢酸(CDTPA)、1−オキサ−4,7,10−トリアザシクロドデカン−N,N´,N´´−三酢酸(OTTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラキス{3−(4−カルボキシル)−ブタン酸}、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラキス(酢酸−メチルアミド)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラキス(メチレンホスホン酸)、およびその誘導体、等のキレート剤が挙げられるが、これに限定されない。
【0054】
放射性核種
【0055】
複合体化された標的部分によって錯体化される放射性核種は、アクチニウム−225、アスタチン−211、ヨウ素−120、ヨウ素−123、ヨウ素−124、ヨウ素−125、ヨウ素−126、ヨウ素−131、ヨウ素−133、ビスマス−212、ヒ素−72、臭素−75、臭素−76、臭素−77、インジウム−110、インジウム−111、インジウム−113m、ガリウム−67、ガリウム−68、ストロンチウム−83、ジルコニウム−89、ルテニウム−95、ルテニウム−97、ルテニウム−103、ルテニウム−105、水銀−107、水銀−203、レニウム−186、レニウム−188、テルリウム−121m、テルリウム−122m、テルリウム−125m、ツリウム−165、ツリウム−167、ツリウム−168、テクネチウム−94m、テクネチウム−99m、フッ素−18、銀−111、白金−197、パラジウム−109、銅−62、銅−64、銅−67、リン−32、リン−33、イットリウム−86、イットリウム−90、スカンジウム−47、サマリウム−153、ルテチウム−177、ロジウム−105、プラセオジミウム−142、プラセオジミウム−143、テルビウム−161、ホルミウム−166、金−199、コバルト−57、コバルト−58、クロム−51、鉄−59、セレニウム−75、タリウム−201、およびイッテルビウム−169が挙げられるが、これに限定されず、あらゆる適切な金属放射性同位元素に由来するものであってもよい。
【0056】
225Ac放射性核種を得る方法は、本発明にはあまり重大ではない。例えば、225Acは、サイクロトロンにおいて調製することができる。225Acは、米国エネルギー省(DOE)、および超ウラン元素研究所(ITU)(Karlsruhe、Germany)から、純粋な形態で得ることができる。
【0057】
精製
【0058】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、反応混合物の他の成分から、複合体化された標的部分または放射性免疫複合体を分離する、1つ以上のステップを含む。一実施形態において、混合物は、濾過デバイスを通した反応混合物の濾過で、反応混合物の他の成分から、複合体化された標的部分または放射性免疫複合体を分離することが分離することができるように、特定の分画分子量を有する濾過デバイス(例えば、ミリポア社の遠心装置)にに移送することができる。一実施形態において、反応混合物の濾過は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の純度を有する、複合体化された標的部分または放射性免疫複合体を得るために使用することができる。
【0059】
種々の実施形態において、複合体化された標的部分または放射性免疫複合体の収率は、最終生成物の少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%である。
【0060】
標的化部分
【0061】
本明細書に記載される標的部分は、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的または部分的にコード化された、1つ以上のポリペプチドを含むことができる。認識された免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、およびミューの定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかに分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンに分類され、それぞれ、免疫グロブリンのクラス(IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgE)を定義する。
【0062】
基本的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含む。各四量体は、2対の同一のポリペプチド鎖から成り、各対は、1つの「軽」鎖(約25kD)と、1つの「重」鎖(約50〜70kD)とを有する。各鎖のN末端は、主に抗原認識に関与する約100〜110またはそれより以上のアミノ酸の可変領域を定義する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、それぞれ、これらの軽鎖および重鎖を指す。
【0063】
抗体は、無傷の免疫グロブリンとして、または種々のペプチダーゼによる消化によって生じた、多数の十分特徴付けられた断片として存在する。具体的には、ペプシンは、ヒンジ領域の中のジスルフィド結合より下側で抗体を消化して、F(ab´)2、すなわち、それ自体がジスルフィド結合によってVH−CH1に連結された軽鎖である、Fabの二量体を生成する。F(ab´)2を、穏やかな条件下で還元してヒンジ領域の中のジスルフィド結合を切断し、それによって、F(ab´)2二量体をFab´単量体に変換することができる。Fab´単量体は、本質的に、ヒンジ領域の一部を伴うFabである(さらなる抗体断片用語については、Fundamental Immunology,W.E.Paul,ed.,Raven Press,N.Y.(1993)を参照されたい)。Fab´領域は、無傷の抗体の消化に関して定義されるが、当業者は、そのようなFab´断片が、化学的に、または組み替えDNA法を利用することによって、新たに合成され得ることを理解されるであろう。
【0064】
Fab´領域は、動物(特に、マウスまたはラット)またはヒト起源の抗体から誘導することができ、またはキメラ化(Morrison et al.,Proc Natl.Acad.Sci.USA 81,6851〜6855(1984))、またはヒト化(Jones et al.,Nature 321,522〜525(1986)および英国特許出願公開第8707252号)されてもよい。
【0065】
本明細書に記載されるように、抗体は、これに限定されないが、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、齧歯類、霊長類、またはそれらの任意の組み合わせ等の、あらゆる哺乳類を含み、またはこれらから誘導することができ、単離されたヒト抗体、霊長類抗体、齧歯類抗体、哺乳類抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、および/または相補性決定領域(CDR)グラフト化抗体もしくはCDR適合化抗体、免疫グロブリン、切断性生物および他の部分、ならびにその変異体を含む。
【0066】
本発明の実施形態に有用な抗体は、当技術分野でよく知られている幾通りかの方法で誘導することができる。一態様において、抗体は、当技術分野でよく知られているハイブリドーマ技術のうちのいずれかを使用して得ることができる。例えば、Ausubel et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,Inc.,NY、N.Y.(1987〜2001)、Sambrook et al.,,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)、Harlow and Lane,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)、Collogan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons,Inc.,NY(1994〜2001)、Collogan,et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley&Sons,NY,N.Y.(1997〜2001)を参照されたい。
【0067】
抗体はまた、例えばファージライブラリといった、そのような領域または成分のライブラリから選択することによって得てもよい。ファージライブラリは、免疫化された動物またはヒトのB細胞等からの、ランダムオリゴヌクレオチドのライブラリ、または関心の配列を含むポリヌクレオチドのライブラリを挿入することによって作成することができる(Smith,G.P.1985,Science 228:1315〜1317)。抗体ファージライブラリは、一本鎖FvフラグメントまたはFabフラグメントの発現を可能にする、1つのファージの中に重(H)鎖および軽(L)鎖の可変領域対を含む(Hoogenboom、et al.,2000,Immunol Today 21(8)371〜8)。ファージミドライブラリの多様性は、ライブラリのモノクローナル抗体の免疫特異性を高め、および/または変化させて、付加的な所望のヒトモノクローナル抗体を生成し、その後に識別するように操作することができる。例えば、遺伝子を符合化する重(H)鎖および軽(L)鎖の免疫グロブリン分子は、組み立てられた免疫グロブリン分子の中に新しいHL対を作成するように、ランダムに混合(シャッフル)することができる。加えて、H鎖およびL鎖コード化遺伝子のいずれかまたは両方を、免疫グロブリンポリペプチドの可変領域のCDRの中で突然変異を起こさせ、その後に、所望の親和性および中和能力のためにスクリーニングすることができる。抗体ライブラリはまた、1つ以上のヒトフレームワーク配列を選択し、かつヒト抗体レパートリーから、または設計された変形を通して誘導された一群のCDRカセットを導入することによって、合成的に作成することもできる(Kretzschmar and von Ruden 2000,Current Opinion in Biotechnology,13:598〜602)。多様性の位置は、CDRに限定されず、可変領域のフレームワークセグメントを含むこともでき、またはペプチド等の、抗体可変領域以外を含んでもよい。
【0068】
抗体可変領域以外を含んでもよい他の標的結合成分は、リボソームディスプレイ、酵母ディスプレイ、および細菌ディスプレイである。リボソームディスプレイは、mRNAをそれらの同族タンパク質に翻訳し、一方でタンパク質をRNAに付着させたままにする方法である。核酸コード化配列は、RT−PCRによって復元される(Mattheakis,L.C.et al.,1994,Proc Natl Acid Sci USA 91,9022)。酵母ディスプレイは、交配型系の一部である、膜結合アルファ−アグルチニン酵母接着受容体、aga1およびaga2の融合タンパク質の構築に基づく(Broder,et al.,1997,Nature Biotechnology,15:553〜7)。細菌ディスプレイは、細胞膜または細胞壁と関連する、輸送細菌タンパク質への標的の融合に基づく(Chen and Georgiou 2002,Biotechnol Bioeng,79:496〜503)。
【0069】
ハイブリドーマ技術と比較して、ファージおよび他の抗体のディスプレイ法は、インビトロで、かつ抗原への宿主効果もしくはその逆の可能性を制限することなく、抗原標的に対する選択を操作する機会を与える。
【0070】
抗体サブ配列の具体的な例には、例えば、Fab、Fab´、F(ab´)2、Fv、または一本鎖抗体(SCA)フラグメント(例えば、scFv)が挙げられる。サブ配列は、全長配列 の機能または活性の少なくとも一部を維持する部分を含む。例えば、サブ配列の結合親和性が全長抗体の結合親和性よりも高い、または少ない場合があっても、抗体のサブ配列は、抗原に選択的に結合する能力を維持する。
【0071】
Fv断片は、2つの鎖として発現される、軽鎖VLの可変領域および重鎖VHの可変領域を含む断片である。この結合は、非共有結合であってもよく、または化学架橋剤もしくは分子間ジスルフィド結合等の共有結合であってもよい(Inbar et al.,(1972)Proc.Natl.Acad Sci.USA 69:2659、Sandhu(1992)Crit.Rev.Biotech.12:437)。
【0072】
一本鎖抗体(「SCA」)は、軽鎖VLの可変領域および重鎖の可変領域を含む、遺伝子操作された抗体または酵素的に消化された抗体であり、随意に、VL−リンカー−VH配向またはVH−リンカー−VL配向のいずれかで、ポリペプチド配列等の可撓性リンカーによって結合される。代替として、一本鎖Fv断片は、2つのシステイン残基間のジスルフィド結合を介して2つの可変領域を結合することによって生成することができる。scFv抗体を生成するための方法は、例えば、Whitlow et al.,(1991):Methods:A Companion to Methods in Enzymology 2:97、米国特許第4,946,778号、およびPack et al.,(1993)Bio/Technology 11:1271によって説明されている。
【0073】
サブ配列が、無傷の抗体が結合する抗原に結合するのであれば、一価の軽鎖−重鎖の断片を形成するための重鎖の分離、断片のさらなる開裂、または他の酵素的、化学的、もしくは遺伝子的な技術等の、抗体サブ配列を生成する他の方法が使用されてもよい。
【0074】
本発明で使用される抗体は、完全長抗体、サブ配列(例えば、単一鎖の形態)、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、または単量体の抗原結合活性の少なくとも一部を維持する任意の他の高次オリゴマーを含む。多量体は、本明細書に記載されているような、および従来技術において知られているような、完全長抗体、サブ配列、修飾されていない、または修飾されたヘテロマーもしくはホモマーの組み合わせを含むことができる。抗体の多量体は、複数の抗原結合部位を有する多量体のため、単量体と比較して、抗原の結合活性を高めるのに有用である。抗体の多量体はまた、異なる抗体のオリゴマー(例えば、二量体、三量体、四量体等)の組み合わせを生成し、それによって、多官能性(例えば、二官能性、三官能性、四官能性等)である抗体の組成を生成するのにも有用である。
【0075】
抗体は、(合成手段によって、またはポリペプチドをコード化する核酸の発現によって生成された)選択された分子の化学的架橋を通して、またはポリペプチドのインビトロもしくは細胞発現、およびその後のオリゴマー化と組み合わせた組み換えDNA技術を通して生成することができる。抗体は、組み換え技術および発現、異なるエピトープ特異性を伴う抗体を生成するハイブリドーマの融合、または単一の細胞の中に複数のエピトープ特異性を伴う複数の核酸コード化抗体可変鎖の発現を通して、同様に生成することができる。
【0076】
抗体は、多量体を生成するように、例えば多量体化領域を介して、共有結合または非共有結合を通して直接的または間接的に連結されてもよい。「多量体化領域」は、非共有結合タンパク質−タンパク質の相互作用を媒介する。具体的な例には、コイルドコイル(例えば、ロイシンジッパー構造)、およびアルファへリックスタンパク質配列が挙げられる。ファンデルワールス力、水素結合、または電荷−電荷結合を介してタンパク質−タンパク質結合を媒介する配列も、多量体化領域として考えられる。さらなる例には、基本的なヘリックス−ループ−ヘリックス領域および核酸結合タンパク質(例えば、TAF等のDNA結合翻訳因子)の中でヘテロマーまたはホモマーのタンパク質−タンパク質の相互作用を媒介する他のタンパク質配列が挙げられる。多量体化領域の1つの具体的な例は、四量体の形成を媒介する、p53の残基319〜360である。別の例は、四量体に自己組織化するヒト血小板因子4である。さらに別の例は、五量体を形成することができる、トロンボスポンジンファミリのメンバーである、細胞外タンパク質TSP4である。さらなる具体的な例は、jun、fos、および酵母タンパク質GCN4のロイシンジッパーである。
【0077】
抗体は、多量体を形成するように、化学架橋剤を介して互いに直接的に結合されてもよく、またはリンカー配列(例えば、ペプチド配列)を介して接続することができる。
【0078】
一実施形態において、本明細書に記載される方法は、特異的にCD33に結合し、かつヒト化V領域の少なくとも一部分を含む、標的部分に関する。例えば、抗体は、定義されているようなVL領域、および少なくとも1つのヒト化断片を有するVH領域を含むことができる。
【0079】
薬学的組成物
【0080】
本発明の実践において、放射性免疫複合体は、それ自体が、または薬学的に許容される製剤の成分として投与されてもよい。
【0081】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」とは、哺乳類の治療で有用であるように十分に無毒である、配合Iの化合物のあらゆる塩を意味する。有機源および無機源から標準的な反応によって形成される塩類の代表例には、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、フマ酸、パルミチン酸、コール酸、パルモ酸、粘液酸、グルタミン酸、d−樟脳酸、グルタル酸、グリコール酸、フタル酸、酒石酸、ギ酸、ラウリン酸、ステアリン酸、サリチル酸、メタン硫酸、ベンゼンスルホン酸、ソルビ酸、ピクリン酸、安息香酸、桂皮酸、および他の適切な酸が挙げられる。また、アンモニウム、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、および他の類似イオン等の、有機源および無機源から標準的な反応によって形成される塩類も挙げられる。塩が、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、またはその混合物である、配合Iの化合物の塩類が好適である。
【0082】
本明細書で使用される場合、「治療上有効量」という用語は、治療される疾患に治療効果を生成する、放射性免疫複合体の量を意味する。治療上有効量は、哺乳類、放射性免疫複合体、およびその投与の方法(例えば、経口、または非経口)に応じて変動する。当業者は、放射性免疫複合体の治療上有効量を定量することができる。
【0083】
薬学的組成物は、「薬学的に許容される」および「生理学的に許容される」担体、希釈剤、または賦形剤を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」および「生理学的に許容される」という用語は、薬学的投与と適合する、溶媒(水性または非水性)、溶液、乳濁液、分散媒体、被覆剤、等張および吸収促進剤、または遅延剤を含む。そのような製剤は、液体:乳濁液、懸濁液、シロップもしくはエリキシル中に、または固体形態:錠剤(被覆ありまたは被覆なし)、カプセル(硬質または軟質)、粉末、顆粒、結晶、またはミクロビーズ中に含有することができる。補充活性化合物(例えば、防腐剤、抗菌剤、抗ウイルス剤および抗真菌剤)を、組成物に組み込むこともできる。
【0084】
薬学的組成物は、特定の投与の局所経路または全身経路と適合するように製剤化することができる。したがって、薬学的組成物は、特定の経路による投与に適切な担体、希釈剤、または賦形剤を含む。
【0085】
本発明の組成物の投与経路の特定の限定的でない例は、吸入または鼻腔内送達である。付加的な経路には、経口、経鼻、非経口(例えば、静脈、皮内、皮下)、経口、経皮(局所)、および経粘膜投与が挙げられる。
【0086】
本明細書に記載される放射性免疫複合体を含む薬学的組成物は、標準的な技術に従って調製することができ、かつ薬学的に許容される担体をさらに含むことができる。一般に、薬学的に許容される担体として、生理食塩水を用いることができる。他の適切な担体には、例えば、水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンなどが挙げられ、アルブミン、リポタンパク質、グロブリン等の安定性を強化するための糖タンパク質を含む。これらの組成物は、従来の、よく知られている殺菌技術によって殺菌されてもよい。結果として生じる水溶液は、使用のためにパッケージ化されてもよく、または無菌状態の下で濾過されて凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥された調製品は、投与の前に無菌水溶液と組み合わせられる。組成物は、pH調整剤および緩衝液、張度調整剤等の、生理的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容される補助物質(例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等)を含有していてもよい。
【0087】
本明細書に記載される放射性免疫複合体の濃度は、薬学的製剤中で大きく異なる可能性があり、すなわち、約0.05重量%〜約1重量%、約1重量%〜約2重量%、約2重量%〜約5重量%、約5重量%〜約10重量%、約10重量%〜約30重量%、約30重量%〜約50重量%、約50重量%〜約75重量%、約75重量%〜約99重量%である。薬学的組成物は、液量、粘度、および選択された特定の投与方法に従う他のパラメータが挙げられるが、これに限定されない、薬学的組成物の物理的特性に従って選択することができる。例えば、濃度は、治療と関連する流体負荷を低減するように、増加させてもよい。投与される放射性免疫複合体の量は、使用される特定の標的部分、治療されている疾病状態、送達されている治療剤、および臨床医の判断に依存する。一般に、投与される放射性免疫複合体の量は、特定の薬理学的薬剤の治療上有効用量を送達するのに十分なものとなる。種々の薬理学的薬剤のための治療上有効な投与量は当業者によく知られており、代表的な範囲が前述したいくつかの医薬品に与えられる。典型的な放射性免疫複合体の投与量は、体重1キログラムあたり約0.001〜約50mgの間、または体重1キログラムあたり約0.1〜約10mgの間とすることができる。治療上有効な投与量はまた、医師の裁量で定量することもできる。
【0088】
放射性免疫複合体の薬学的組成物は、非経口的に、すなわち、関節内、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内に、経口で、または経鼻で投与することができる。この用途に適切である特定の製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Philadelphia,Pa.,17th ed.(1985)に見出される。製剤は、許容される担体または水性担体中に懸濁される放射性免疫複合体の溶液を含むことができる。種々の水性担体(例えば、水、緩衝水、0.9%生理食塩水等)を使用してもよい。これらの組成物は、従来のよく知られている滅菌技術によって滅菌するか、または滅菌濾過することができる。結果として生じる水溶液は、そのまま使用するためにパッケージ化されてもよく、または凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥された調製品は、投与の前に無菌水溶液と組み合わせられる。組成物は、pH調整剤および緩衝液、張度調整剤、湿潤剤等の、生理的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容される補助物質(例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールミンオレイン酸等)を含有していてもよい。
【0089】
非経口、皮内、皮下に適用するために使用される溶液または懸濁液には、次のようなものが挙げられる:注射のための水等の無菌希釈剤、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベン等の抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム等の抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩等の緩衝液;および、塩化ナトリウムまたはブドウ糖等の張度調整剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウム等の酸または塩基で調整することができる。
【0090】
経粘膜または経皮投与には、浸透する障壁に対する適切な浸透剤を製剤中に使用することができる。そのような浸透剤は、一般に当技術分野において知られており、例えば、経粘膜投与のためのもの、洗浄剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、点鼻薬、吸入デバイス(例えば、アスピレータ)、または坐薬の使用を通して達成することができる。経皮投与には、活性化合物を、一般に当技術分野において知られているような軟膏、塗剤、ゲル、またはクリームに製剤化することができる。
【0091】
本発明の方法で投与するための組成物に適切な付加的な薬学的製剤は、当技術分野において知られている(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)18th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.、Merck Index(1996)12th ed.,Merck Publishing Group,Whitehouse,N.J.、およびPharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms,Technonic Publishing Co.,Inc.,Lancaster,Pa.(1993)を参照されたい)。
【0092】
薬学的製剤は、投与の容易さおよび投与量の均一性のために、用量単位の形態でパッケージ化することができる。「用量単位の形態」とは、本明細書で使用される場合、治療される被験者に対する単位投与量として適している物理的に別個の単位を指し、各単位は、薬学的担体または賦形剤と関連して所望の治療効果を生成するように計算された、活性化合物の所定の量を含有する。
【0093】
キット
【0094】
本発明はまた、本明細書に記載される方法に従って産生される放射性免疫複合体を含むキットも提供する。キットの放射性免疫複合体の標的部分は、本質的にモノクローナルまたはポリクローナルであってもよい。キットの標的部分の一方または両方の腕は、キメラ、ヒト、ヒト化されたもの、または脱免疫化されたものであってもよい。
【0095】
本明細書によって提供されるキットはまた、組織から非結合放射性免疫複合体を取り除く、クリアリング組成物を含んでもよい。1つの適切なクリアリング剤は、放射性免疫複合体の標的部分の腕を標的とする疾患を標的とした、グリコシル化された抗イディオタイプのFab´である。この実施形態では、放射性免疫複合体が与えられ、その最大の範囲で標的に付着することが可能である。残存する放射性免疫複合体を取り除くために、グリコシル化されたFab´として、標的Abに対する抗イディオタイプAbが与えられる。クリアリング剤は、一価の様式で放射性免疫複合体に結合し、一方で、その添付のグリコシル残基は、急速な代謝が行われる肝臓に錯体全体を方向付ける。クリアリング剤は、米国特許出願第09/314,135号および第09/337,756号にさらに詳細に論じられている。
【0096】
以下の実施例は、本発明を例証するものであり、本発明を理解する際の補助となるように記載されており、いかなる形であれ、その後に続く特許請求の範囲に定義される本発明の範囲を制限するものと解釈するべきではない。
【実施例】
【0097】
実施例1:用語および定義
【0098】
P−SCN−Bn−DOTA:S−2−(4−イソチオシアナトベンジル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン四酢酸(Macrocyclics、Dallas、TX)
【0099】
BFC:二官能性キレート剤
【0100】
DOTA−BFC:DOTA二官能性キレート剤:例えば、NHS−DOTA;p−SCN−Bn−DOTA
【0101】
Na(NH4)Ac:酢酸ナトリウム(アンモニウム)
【0102】
mAb:モノクローナル抗体:HuM195
【0103】
HuM195:脊髄性白血病の治療のための抗CD33抗体構成体。HuM195は、ネズミのM195のCDR領域をヒトフレームワーク/定常領域と組み合わせた、組み換えIgG1 mAbである。
【0104】
SEC:サイズ排除クロマトグラフィ
【0105】
HPLC:高性能液体クロマトグラフィ
【0106】
SE−HPLC/UV:UV検出器と連結されたSE−HPLC
【0107】
SE−HPLC/rad.:放射線検出器と連結されたSE−HPLC
【0108】
ITLC:インスタント薄層クロマトグラフィ
【0109】
NH4CH3CO2:酢酸アンモニウム、NH4Ac
【0110】
NaCH3CO2:酢酸ナトリウム、NaAc
【0111】
f:希釈係数
【0112】
CHCA:アルファ−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸
【0113】
MALDI:マトリックス支援レーザ脱離イオン化質量分析法
【0114】
HDPE:高密度ポリエチレン
【0115】
HEPES:N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N−2−エタンスルホン酸
【0116】
実施例2:HuM195のp−SCN−Bn−DOTAとの複合体化
【0117】
2.3.1 材料および化学物質。仕様については表2を参照されたい。
【0118】
2.3.2 化学物質の調製および複合体化反応のための条件
【0119】
2.3.2.1 事前に以下の溶液を調製する。
【0120】
天然HuM195、5mg/mL、4〜8℃で貯蔵
【0121】
p−SCN−Bn−DOTA、−20℃で貯蔵
【0122】
NaCl、0.9%:0.45gのNaClを秤量し、それを無金属水中に溶解し、次いで容積を50mLにする。溶液を混合し、均質化の後に、それを0.45μmの酢酸セルロース薄膜フィルタを通して濾過する。溶液は、50mLのHDPE容器に保管する。
【0123】
0.2Mのリン酸一ナトリウム(溶液A):0.48gのNaH2PO4を秤量し、20mLの蒸留されたH2Oに加える。完全に溶解するまで溶液を混合する。
【0124】
0.2Mのリン酸二ナトリウム(溶液B):2.83gのNaHPO4を秤量し、100mLの蒸留されたH2Oに加える。
【0125】
0.1Mのリン酸塩緩衝液、pH=8:5.3mLの溶液Aを94.7mLの溶液Bと組み合わせて、混合する。pHの試験には、pH紙を使用する。等しい容積の蒸留されたH2O(100mL以下)を加えることによって、緩衝液を希釈する。溶液を0.45μmの酢酸セルロース薄膜フィルタを通して濾過する。溶液は、50mLのHDPE容器に保管する。
【0126】
2MのNaOH:約5mLの30%NaOHを取り出し、それを無金属水と混合し、溶液を冷まし、次いで容積を25mLにする。溶液は、50mLのFEP容器に保管する。
【0127】
4MのNaOH:50mLのHDPE容器に、50mLの無金属水および8.0gのNaOHを加えて、完全に溶解するまで撹拌する。
【0128】
3MのNH4Ac(またはNaAc):6.15gのNaAcを秤量し、無金属水中に溶解する。塩の溶解後に、容積を25mLにする。溶液を混合し、均質化の後に、それを0.45μmの酢酸セルロース薄膜フィルタを通して濾過する。溶液は、25mLのHDPE容器に保管する。
【0129】
0.25MのNH4Ac(またはNaAc):2.1mLの3MのNaAcを取り出し、無金属水と混合し、容積を25mLにする。溶液を混合し、均質化の後に、それを0.45μmの酢酸セルロース薄膜フィルタを通して濾過する。溶液は、25mLのHDPE容器に保管する。
【0130】
0.1MのNH4Ac(NaCH3CO2)、pH7:3.3mLの3MのNaAcを取り出し、無金属水と混合し、容積を100mLにする。溶液は、100mLのHDPE容器に保管する。
【0131】
0.1MのHCl:2.5mLの10MのHClを取り出し、それを25mLのPE容積測定フラスコ中で無金属水と混合する。溶液が冷めるまで待ち、容積を25mLにする。溶液を混合し、均質化の後に、それを0.45μmの酢酸セルロース薄膜フィルタを通して濾過する。溶液は、25mLのHDPE容器に保管する。
【0132】
0.05MのHCl:1.25mLの10MのHClを取り出し、それを25mLのPE容積測定フラスコ中で無金属水と混合する。溶液が冷めるまで待ち、容積を25mLにする。溶液を混合し、均質化の後に、それを0.45μmの酢酸セルロース薄膜フィルタを通して濾過する。溶液は、25mLのHDPE容器に保管する。
【0133】
NaN3 0.05%:0.5gのNaN3を秤量し、それをミリポア水中に溶解する。容積を1Lにする。
【0134】
1.0MのNaHCO3:50mLのHDPE容器に、50.0mLの無金属水および8.4gのNaHCO3を加えて、完全に溶解するまで撹拌する。(これは、2MのNaHCO3溶液を生じる)。17.8mLの4MのNaOH溶液および50mLの2MのNaHCO3溶液を、Corning Costar250mL貯蔵容器(または同等物)の中で混合する。十分に混合する。
【0135】
代替として:
【0136】
1.0MのNaHCO3:100mLのHDPE容器に、50.0mLの無金属水および8.4gのNaHCO3を加えて、17.8mLの4MのNaOH溶液と混合する。全体が溶解するまで撹拌し、容積を100mLにする。溶液は、Corning Costar250mL貯蔵容器(または同等物)に保管する。十分に混合する。
【0137】
0.1MのHEPES溶液:3.0mLの1MのHEPES緩衝液(Fisher BioReagents、製品番号BP299−500)を50mLのHDPE瓶の中に置いて、注射のための27mLの水を加える。
【0138】
2.3.2.2 材料
表2:化学物質および複合体化のための材料のリスト




【0139】
2.3.2.3 測定器:
【0140】
冷凍(4℃)付き超遠心分離機「Biofuge primo R(Heraeus社製)」またはThemo Scientific社製の同等物、または類似物(6500rpmで回転するもの)
【0141】
渦流または類似のシステム
【0142】
スペクトルの記憶および評価用のコンピュータを備える、UV可視分光光度計Varian Cary−Win5000または類似のシステム(または同等物)
【0143】
UV検出器、および固定相としてのWaters社製Protain Pack 300SW(または同等物)を伴い、スペクトルの記憶および評価用のコンピュータを備える、HPLC
【0144】
mAbおよび複合体化されたmAbを貯蔵する冷蔵庫(4〜8℃)
【0145】
BFC−DOTAを貯蔵する冷凍庫(−20℃)
【0146】
分析用天秤
【0147】
加熱ブロックまたはオーブン内部のNutator
【0148】
2.3.3 HuM195の定量化のためのHPLC−UV検出器の校正。HuM195の品質管理
【0149】
2.3.3.1 HuM195の5mg/mLの溶液から、SE−HPLCに連結された放射線検出器の感度および使用時の設定によって画定される、既知の濃度を含有する少なくとも3つの希釈された溶液を調製する。感度および直線性に関係があるので、通常は、125〜625μg/mLの濃度の範囲が妥当である。
【0150】
2.3.3.2 280nmでUV検出器を使用して測定するために、HPLCを準備する。
【0151】
2.3.3.3 0.5mL/分の速度を使用して、0.9%NaCl中でSE−HPLCカラムを整える。
【0152】
2.3.3.4 希釈されたHuM195溶液から(または複合体から)一定分量を取り出し、それらにSE−HPLC/UVを通過させる。例えば、100μLループの注射システムを用いて設定したHPLCの場合、Protain Pack 300SWカラムを通るタンパク質の量は、12.5μg〜62.5μgとなる。移動相として、0.9%NaClを使用する。典型的なクロマトグラムの具体例として、図2を参照されたい。
【0153】
2.3.3.5 信号Ic(ピークの下の領域)と濃度との間の関係を確立する。校正曲線(典型的なクロマトグラムを示す、図3を参照されたい)を作成して、分析者が、複合体試料*中のHuM195の濃度を計算することができるようにする。別の類似する手法は、標準的なHuM195試料のSE−HPLC/UVクロマトグラムから得られる濃度と信号との比率を見出すことに基づいている。直線性の条件が満たされていれば、濃度/信号の比率は、定数(K280nm)となる。したがって、複合体試料のHuM195の濃度は、次式に従って計算される。
C(HuM195、mg/mL) = K280nm×Is×Df
280nm 校正試料のUVのピーク(270nmに設定)の下の
面積(Ic)に対する、校正試料の中のHuM195の
濃度(mg/mL)の比率。
c 校正試料のSE−HPLC/UV(280nm)クロマ
トグラムのピークの下の面積(図2)。
s 試料のSE−HPLC/UV(280nm)クロマトグ
ラムのピークの下の面積(図4)。
f 希釈係数
C(HuM195、mg/mL) 希釈されていない試料中のHu
M195の濃度(mg/mL)。
* 複合体溶液は、280nmで吸収する遊離BFCまたは任意の他の物質を含有すべきではない(図1Bを参照されたい)
【0154】
2.3.4 任意選択:濾過−遠心分離によるmAbの濃縮
【0155】
このステップは、大量の複合体を調製する時に関連する。単一の実験/バイアルあたり約10mgのHuM195を取り扱うために、次の手順を適用する。
【0156】
2.3.4.1 10,000MWの分画分子量を伴う新しいミリポア遠心装置YM−10を取り(それに応じて回転時間を増加させた、より高い分画のYMデバイスを使用してもよい)、それを数mLの0.05MのHClおよび純粋なH2Oで洗浄する。
【0157】
2.3.4.2 事前に、遠心分離機のチューブの温度を4℃に調整する。
【0158】
2.3.4.3 2mLの天然の5mg/mLのHuM195溶液または精製されたHuM195を秤量し、それを遠心分離チューブに移す。
【0159】
2.3.4.4 溶液の容積が1mL以下になるまで、該溶液を6500rpmおよび4℃で遠心分離する。
【0160】
2.3.4.5 遠心分離後、遠心チューブおよび遠心分離機を再度500rpmで回転させて、濃縮されたmAb溶液を残留液バイアルに回収する。
【0161】
2.3.4.6 濃縮されたmAb(約10mg/mL)をエッペンドルフ型バイアルに移す。また、両方の溶液中の濾過水を回収して、SE−HPLCによってHuM195の含有量を分析する。溶液は、4〜8℃に保つ。
【0162】
2.3.5 重炭酸塩緩衝液の複合体化反応
【0163】
2.3.5.1 0.25mLの無金属水中で、2.5mgのDOTA/p−SCN−Bnを含有するエッペンドルフ型バイアルを解凍する。
【0164】
2.3.5.2 1mLの5mg/mLの(または0.5mLの10mg/mLの)HuM195の溶液を加え、溶液を混合する。
【0165】
2.3.5.3 0.05mLの1.0MのNaHCO3を加えて、溶液を混合する。
【0166】
2.3.5.4 混合した後、0.001mLの一定分量を除去し、それを適切なpH範囲を伴うpH紙上にスポッティングすることによって、pHを確認する。pHは8〜9にすべきであり、目標pHは9である。pHが8.0〜9.2の間になるまで、0.01mLの0.1MのNaHCO3の追加およびpHの測定を続ける。
【0167】
2.3.5.5 反応混合物を、Nutatorの中で、37℃で1時間30分間インキュベートする。
【0168】
2.3.6 任意選択:リン酸塩緩衝液の複合体化反応
【0169】
2.3.6.1 予め洗浄したエッペンドルフ型バイアルに5mgのp−SCN−Bn−DOTAを秤量し、それを0.4mLの0.1Mのリン酸塩緩衝液(pH=8)中に溶解する。
【0170】
2.3.6.2 約10mg/mLの濃縮されたmAb溶液を、400μLのリン酸塩緩衝液溶液と穏やかに混合する。
【0171】
2.3.6.3 混合した後、0.001mLの一定分量を除去し、それを適切なpH範囲を伴うpH紙上にスポッティングすることによって、pHを確認する。pHは、8.0〜9.2にすべきである。
【0172】
2.3.6.4 pHが低すぎる場合は、2MのNaOHの0.010mLの一定分量を溶液に加えて、溶液を緩やかに混合する。
【0173】
2.3.6.5 目標pHに到達するまで、ステップ2.3.6.3および2.3.6.4を繰り返す。目標pHに到達させるためには、約0.03mLの2MのNaOH溶液が必要である。
【0174】
2.3.6.6 エッペンドルフ型バイアルを閉じ、混合するために渦流システムを使用して、それを室温で24時間そのままにするか、または、以下のステップ2.3.6.7で説明されるように進行する。
【0175】
2.3.6.7 代替として、反応混合物を、加熱ブロックで、または保温シェーカーキャビネットで、37℃で1時間30分間インキュベートする。
【0176】
2.3.7 濾過−遠心分離による反応混合物の精製 SE−HPLC/UVのQC
【0177】
2.3.7.1 全ての構成体反応混合物(2.3.5.5節または2.3.6.7節)を、新しいミリポア遠心装置YM−10または同等物(10,000MW分画)に移す。20,000または40,000の分画分子量のフィルタも使用可能である。
【0178】
2.3.7.2 溶液の容積が約1mLになるまで、1mLの0.1MのHEPESまたは0.1MのNaAcを加え、6500*rpmおよび4℃で試料を遠心分離する。*必然的な分離時間の増加に伴って、より低い回転を使用することができる。他のフィルタを使用する時には、製造業者の指示を用いる。
【0179】
2.3.7.3 ステップ2.3.7.2をさらに3回繰り返す。
【0180】
2.3.7.4 最終的な精製された複合体化された画分から少量の一定分量を取り出し、それにProtein Pack 300SWカラムから成るSE−HPLCを通過させる(2.3.3を参照されたい)。移動相として、0.9%NaClを使用する。複合化されていないmAbと比較すると、複合体化されたmAbは、クロマトグラムの左側に移行したピークを示す(図4を参照されたい)。
【0181】
2.3.7.5 SE−HPLC/UVクロマトグラム(例えば、図4を参照されたい)を分析し、遊離BFCに対応するいかなる信号領域も観察されないことを確認する。
【0182】
2.3.7.6 遊離BFCがSE−HPLC/UVクロマトグラムで観察された場合は、ステップ2.3.7.2を繰り返し、それ以外の場合は、以下のステップを継続する。
【0183】
2.3.7.7 校正実験のために2.3.3.4〜2.3.3.5に説明されるように、または2.3.9節に示されるように、試料中の複合体化されたmAbの含有量を定量化する。
【0184】
2.3.7.8 精製された複合体化された画分は、4〜8℃で貯蔵する:試料は、放射能標識の準備ができている。
【0185】
2.3.8 任意選択:重力SE−クロマトグラフィおよび濾過−遠心分離による反応混合物の精製
【0186】
以下の手順は、2.3.7に記載される方法の代替案である。
【0187】
2.3.8.1 ステップ2.3.7.1を参照されたい。
【0188】
2.3.8.2 5mLの0.1MのNaAcにカラムを通過させることによって、0.1MのNaAc溶液中で、新しいPD−10樹脂を整える。洗浄液を廃棄する。
【0189】
2.3.8.3 全ての構成体反応混合物を(2.3.6.7節または2.3.5.5節の後に)カラムのリザーバに加え、溶離液をエッペンドルフ型チューブまたはPEバイアルに回収する(画分1)。
【0190】
2.3.8.4 0.5mLの0.1MのNaAc溶液で反応バイアルを洗浄し、洗浄液をPD−10カラムのリザーバに注入する。
【0191】
2.3.8.5 溶離液を、エッペンドルフ型チューブに別に回収する(画分2)。
【0192】
2.3.8.6 ステップ2.3.8.4〜2.3.8.5を2回繰り返す(画分3、4)。
【0193】
2.3.8.7 総溶出容積が6mLに到達するまで、0.5mLの0.1MのNaAcをPD−10カラムのリザーバに加え続け、この作業を繰り返す(画分5、6、7、8、9、10、11、12)
【0194】
2.3.8.8 それぞれ2mLの0.1MのNaAcでカラムを2回以上洗浄する(画分13および14)。溶出液を回収する。
【0195】
2.3.8.9 画分5〜12(4mL)は大部分の複合体化されたmAbを含有するので、これらを組み合わせる。画分13〜14は、大部分の結合していないまたは遊離BFCを含有する。
【0196】
2.3.8.10 ステップ2.3.7.2〜2.3.7.8に示されるように進行する。
【0197】
2.3.9 UV分光光度法による複合体中のタンパク質濃度の定量
【0198】
2.3.9.1 UV分光光度計を280nmに設定する(図1に関連する、天然および複合体化されたHuM195の典型的なUVスペクトルを見る)。
【0199】
2.3.9.2 1つの希釈標準試料を調製し、または随意に、校正曲線を作成するために、少なくとも3つの、既知の0.9%NaCl中のHuM195の濃度を伴う希釈された標準溶液を調製し、光学密度(一般的に0.1〜0.8)と濃度(一般的に60〜600 600μg/mL)との間の直線領域を見出す。校正曲線の例については図5を参照されたい。1cmの光経路キュベットにおける0.1%(0.9%NaCl中1mg/mL)のHuM195溶液の場合、吸光度は、約1.4である。
【0200】
2.3.9.3 グラフ「光学密度対濃度」(例えば、図5)からの校正曲線を使用することによって、またはあまり正確ではないが、次式に基づいて、資料中のタンパク質濃度を計算する。
C(HuM195、mg/mL) = A280nm×Df×fc/ε280nm.L
280nm 280nmでの吸光度
ε280nm 0.1%の場合の280nmでの減衰係数=1.4
L キュベットの光経路(1cm)
f 希釈係数
c 天然および複合体化されたIgGの減衰係数の差を修正
する係数。この係数は、280nmで約1である(図1を
参照されたい)
C(HuM195 conj、mg/mL) 希釈されていない試料中
のHuM195の濃度(mg/mL)
【0201】
実施例3:放射能標識手順の記述:1ステップ法
【0202】
3.1 目的
【0203】
予めDOTA二官能性キレート剤によって複合体化されたHuM195で225Acを標識する。
【0204】
3.2 用語および定義
【0205】
実施例1も参照されたい。
【0206】
DTPA:ジエチレントリアミン五酢酸
【0207】
ゲンチシン酸:2,5−ジヒドロキシ安息香酸
【0208】
AA:アスコルビン酸
【0209】
3.3 放射性標識プロトコル
【0210】
3.3.1 材料および化学物質
【0211】
表3を参照されたい。
表3:化学物質および標識のための材料のリスト



【0212】
3.3.2 化学物質の調製および反応のための条件
【0213】
反応バイアルおよび加熱ブロック
【0214】
3.3.2.1 新しい反応チューブ(例えば、容積2mLのエッペンドルフ型チューブ)を取り出し、それを数mLの0.1MのHCl、H2Oを注入するための水、そして最後に、0.5MのNaAc(0.5MのNH4Ac)緩衝液で洗浄する。
【0215】
3.3.2.2 標識のために、同じ種類の反応チューブを使用して加熱ブロックを校正する。チューブ内の液体(水)の温度は、37±2℃にすべきである。
【0216】
Ac−225の調製
【0217】
3.3.2.3 製造業者から入手したバイアルで225Acの活性を定量化する。
【0218】
3.3.2.4 バイアルの中の残留物(試料が乾燥している場合)を0.05mLの0.2MのHCl溶液中に溶解する。放射性標識について、取り出される一定分量は、0.3mL未満にすべきである。
【0219】
3.3.2.5 不溶性物質の存在を調査する。残留物は、完全に溶解すべきであり、結果として生じた溶液は、均一、透明であるべきで、かつ粒子および異物を含むべきではない。
【0220】
他の化学物質および材料
【0221】
3.3.2.6 標識のために、予め次の溶液を調製する。
【0222】
2節に記載されるような、0.9%NaCl中の5〜10mg/mLのタンパク質濃度のp−SCN−Bn−DOTA−mAb複合体溶液
【0223】
0.5MのNH4Ac(またはNaAc):4.2mLの3MのNaAcを取り出し、それを無金属水と混合して、容積を25mLにする。溶液を混合し、均質化の後に、それを0.45μmの酢酸セルロース薄膜フィルタを通して濾過する。溶液は、25mLのHDPE容器に保管する。
【0224】
3MのNaAc中のゲンチシン酸の溶液:0.033gのゲンチシン酸を秤量して、1mLの3MのNaAc中に溶解する。使用前に、溶液を0.45μmの酢酸セルロース薄膜フィルタを通して濾過する。溶液は、容積2mLのエッペンドルフ型バイアルで冷暗所に保管する。
【0225】
150g/Lのl−AA溶液:1.5gのAAを秤量し、10mLの無金属水中に溶解する。溶液を0.45μmの酢酸セルロース薄膜フィルタを通して濾過する。溶液は、25mLのHDPE容器で冷暗所に保管する。
【0226】
50mMのDTPA溶液:0.49gのDTPAを秤量し、25mLの無金属水中に溶解する。溶液を0.45μmの酢酸セルロース薄膜フィルタを通して濾過する。溶液は、25mLのHDPE容器に保管する。
【0227】
20mMのDTPA溶液:0.20gのDTPAを秤量し、25mLの無金属水中に溶解する。溶液を0.45μmの酢酸セルロース薄膜フィルタを通して濾過する。溶液は、25mLのHDPE容器に保管する。
【0228】
以下の材料を調製する。
【0229】
PD−10カラム
【0230】
pH紙:4〜10の範囲のpH紙の細帯
【0231】
エッペンドル型フバイアル
【0232】
PEバイアル
【0233】
0.45μm、直径25mmの酢酸セルロースフィルタおよび濾過用の無菌シリンジ
【0234】
ITLC SG 5×20cm
【0235】
3.3.2.7 標識の前に、非放射性溶液を、0.45μm、直径25mmの酢酸セルロースフィルタを通して濾過する。
【0236】
3.3.2.8 測定器:
【0237】
渦流または類似のシステム
【0238】
UV検出器、および固定相としてのProtain Pack 300SECカラムを伴うHPLC
【0239】
mAbおよび複合体化されたmAb試料を貯蔵する冷蔵庫(4〜8℃)
【0240】
BFCを貯蔵するための冷凍庫(−20℃)
【0241】
高純度ゲルマニウム検出器を伴うガンマ分光測定システム。随意に、および特に活性バランス評価について、例えばバイアル、カラム等のそれぞれの特定のカウンティングジオメトリの絶対測定を可能にするように、検出器は、Canberra Industries社によって特徴付けられるISOCSであるべきで、また、標準的なGENIE2000ソフトウェア構成の下で動作する、ISOCS/LABSOCSソフトウェアパッケージを伴うべきである。
【0242】
Squibb社製CRC−17放射性同位元素用量校正器(または同等モデル)
【0243】
3.3.3 放射性標識
【0244】
3.3.3.1 225Acの必要とされる活性を含む(例えば、標識日に約1mCi)、0.3mLの0.05MのHClの一定分量を取り出し、それを反応チューブの中にピペットで移す(3.3.7.3節の表を更新する)。
【0245】
3.3.3.2 随意に、反応チューブの中の225Acの活性を、高分解能ガンマ分光測定法で測定する。
【0246】
3.3.3.3 0.1mLの3MのNaAc(またはNH4Ac)を加えて、渦流システムを使用して緩やかに、かつ短く混合する。
【0247】
3.3.3.4 0.001mLの一定分量を除去し、それを適切なpH範囲を伴うpH紙上にスポッティングすることによって、pHを確認する。pHは、5〜8.5にすべきである。先端部およびpH紙は廃棄せず、それらは、放射能バランス評価のために、小さいPEバッグに回収する。
【0248】
3.3.3.5 複合体溶液中のHuM195の濃度に応じて、0.1mL(10mg/mLの時)の、または計算した容積の、約1mgのmAbを含有するp−SCN−Bn−DOTA−mAb複合体溶液を加える。容積は、0.2mLを超えるべきではない。
【0249】
注:対照実験では、このステップは省略される。
【0250】
3.3.3.6 0.020mLの新しく調製した飽和ゲンチシン酸溶液を加えて、渦流システムを使用して短く緩やかに混合する。
【0251】
3.3.3.7 3.3.3.4を繰り返す。標的pHは、5.5〜7.0の間にすべきである。
【0252】
3.3.3.8 pHが7.0を超えている場合は、0.010mLの0.1MのHClを加える。pHが5.5以下である場合は、0.025mLの3MのNaAcを加える。
【0253】
3.3.3.9 必要であれば、ステップ3.3.3.8を繰り返す。
【0254】
3.3.3.10 反応混合物を含む2mLの反応バイアル反応チューブを閉じ、それを37℃の加熱ブロック(3.3.2.2)の中に80〜90分間置く。
【0255】
3.3.4 DTPAの対抗およびITLCによる反応収率の定量
【0256】
3.3.4.1 90分後に、反応を停止させ、0.010mLの10mMのDTPA溶液を加え、渦流システムを使用して短く緩やかに混合する。
【0257】
3.3.4.2 反応チューブを加熱ブロックの中に戻して、30分間インキュベートする。
【0258】
3.3.4.3 20分後、加熱ブロックのスイッチを切り、反応混合物から0.002mLの一定分量を取り除き、それをITLCストライプ(一方から約15mmの所に記される線)の中央にスポッティングする。空の先端部は、廃棄物用のバックに回収する(3.3.3.4を参照されたい)。反応混合物を含有するチューブは、安全に保つ。
【0259】
3.3.4.4 ITLCを、移動相を含むガラス管の中に配置する:数mLの20mMのDTPA溶液(ITLCに使用される容器の寸法に依存する)。
【0260】
3.3.4.5 移動相の最前部が、ストライプの他端から約15mmの所に記された第2の基準線に到達するまで、7〜8分間待つ。
【0261】
3.3.4.6 ITLCチューブから帯を除去して、それを乾燥させる。次いで、帯を、それぞれ15mmの間隔で小さい切片に切断する。
【0262】
3.3.4.7 予め番号を付けたポリエチレンバイアル(例えば、液体シンチレーションカウンティングに通常使用される20mLのPEバイアル)の中に、各切片を置く。
【0263】
3.3.4.8 1時間待ち、最初の評価のために、高分解能ガンマ分光計上で各クロマトグラム切片の中の221Frを測定することによって、225Acの活性をカウントする(任意選択)。
【0264】
3.3.4.9 225Acと全ての娘との間の放射能平衡のために、6時間以上待ち、最終的な評価のために、221Frおよび213Biの両方を通して225Acの活性を測定する。
【0265】
3.3.4.10 次式を使用して放射性標識収率を計算する。
Y(%)=(A1+A2)×100%/At
式中、
Y= 放射性標識収率(%)
1= クロマトグラムの切片1(最後から数える)において測定される225
Acの活性(Bq(μCi))
2= クロマトグラムの切片2において測定される225Acの活性(Bq
(μCi))
t= クロマトグラムの全ての切片において測定される225Ac活性の合計
(Bq(μCi))
同じジオメトリ(線源〜検出器距離、同じバイアル、検出器等)を使用して試料を測定する場合、収率は、次式を使用して計算することができる。
Y(%)=(I1+I2)×100%/It
式中、
Y= 放射化学収率(%)
1= クロマトグラムの切片1(最後から数える)において測定される225Acのカウント率(cps)
2= クロマトグラムの切片2において測定される225Acのカウント率(cps)
t= クロマトグラムの全ての切片において測定される225Acのカウント率(cps)
【0266】
3.3.5 10DGカラムを使用したサイズ排除クロマトグラフィによる反応混合物の精製
【0267】
3.3.5.1 次の構成要素を入手する。10mLの10DGのSE樹脂、カラム構成要素、および以下に説明される精製ステップのための3方ストップコック。
【0268】
3.3.5.2 10mL容積の10DGの樹脂をプラスチック製の使い捨てカラムに注入し、安定させて、トップフリットを適用する。これらの全ての材料は、Biorad Inc.(Hercules、CA)から入手される。パッケージ化した樹脂を2つの容積10mLの0.9%NaClで洗浄する。洗浄液を廃棄する。
【0269】
3.3.5.3 樹脂を2つの容積10mLの1%HSAで平衡させる。洗浄液を廃棄する。
【0270】
3.3.5.4 薬物生成物の回収のために新しい50mL無菌コーニングチューブを取り出し、全ての構成体反応混合物(3.3.4を参照されたい)をカラムに適用して、溶出液を廃棄物チューブに回収する。
【0271】
3.3.5.5 構成体反応バイアルを0.20mLの1%HSAで洗浄し、この洗浄液をカラムに加えて、同じく溶出液を廃棄物チューブに回収する。移動相として2.0mLの1%HSAを加え、同じく溶出液を廃棄物チューブに回収する。2mLの1%HSAをサイズ排除カラムに加えて、最終生成物を回収する。
【0272】
3.3.5.5 回収された薬物生成物を秤量し、生成物を含有する溶液の質量を記録する。
【0273】
3.3.5.6 精製スキームを使用して1.0mgの抗体の80%が復元されたものと仮定する。活性を、復元されたHuM195の総量(0.8mg)で割ることによって、生成物の比活性を計算する。生成物の活性レベルは、精製に続いて、6時間後に定量することができる。今回は、Ac−225の永続平衡を確立することが必要とされ、生成物収率および活性レベルを定量するために、用量校正器または同等物で測定される。
【0274】
3.3.6 任意選択:PD−10カラムを使用したサイズ排除クロマトグラフィによる反応混合物の精製
【0275】
これは、3.3.5節に記載される手順の代替案である。
【0276】
3.3.6.1 カラム(5mL、0.9%NaCl)を通過させることによって、0.9%NaCl溶液中で、PD−10樹脂を整える。洗浄液を廃棄する。
【0277】
3.3.6.2 全ての構成体反応混合物(3.3.4.3節)をカラムのリザーバに適用し、溶離液(f1)をエッペンドルフ型チューブまたはPEバイアルに回収する。
【0278】
3.3.6.3 反応バイアルを0.5mLの0.9%NaCl溶液で反洗浄し、洗浄液をPD−10カラムのリザーバに注入する。活性バランス評価のために、空の反応バイアルを廃棄物用の小さいPEバッグの中に置く(3.3.3.4を参照されたい)。
【0279】
3.3.6.4 溶離液を、エッペンドルフ型チューブまたはPEバイアルに別に回収する。
【0280】
3.3.6.5 ステップ3.3.6.3〜3.3.6.4を2回繰り返し、これらの溶離液をまとめて回収する(fw)。
【0281】
3.3.6.6 総溶出容積が6mLに到達するまで、0.5mLの0.9%NaClをPD−10カラムのリザーバに加え続ける。4mLの溶離液をまとめて回収する。これらの画分は、大部分の標識された複合体(fp)を含有するはずである。
【0282】
3.3.6.7 付加的な8mLの0.9%NaClでカラムを洗浄する。溶離液を、新しい容器の中に別に回収する。これは、遊離または結合したDTPA Ac−225(ff)を含有する、画分である。
【0283】
3.3.6.8 1時間待ち、最初の評価のために、高分解能ガンマ分光計上で各バイアルの中の221Frを測定することによって、225Acの活性をカウントする(任意選択)。
【0284】
3.3.6.9 225Acと全ての娘との間の放射能平衡のために、6時間以上待ち、最終的な評価のために、221Frおよび213Biの両方を通して225Acの活性を測定する。
【0285】
3.3.6.10 濃縮が必要とされる場合は、画分fp(4mL)を、10,000MWの分画分子量を伴う新しいミリポア遠心装置YM−10に移す(それに応じて回転時間を増加させた、より高い分画の膜を伴うYMチューブを使用してもよい)。そうでない場合は、直接3.3.5.5に進む。
【0286】
3.3.6.11 複合体を組み合わせた溶液の容積が約1mLになるまで、該溶液を6500rpmおよび4℃で遠心分離する。
【0287】
3.3.6.12 1モルの0.9%NaClを加えて、ステップ3.3.6.11を繰り返す。
【0288】
3.3.6.13 生成物の回収のために、新しい50モルの無菌コーニングチューブを取り出す。
【0289】
3.3.6.14 生成物を、新しい50mL無菌コーニングチューブに移す。
【0290】
3.3.6.15 最高1mLの1%HSAで空のYM−10チューブを洗浄し、洗浄液を、生成物を含有するチューブに移す。
【0291】
3.3.6.16 3.3.5.5に示されるように進行する。
【0292】
3.3.7 任意選択:活性バランスの評価
【0293】
3.3.7.1 カラム上に残っている225Acの活性を定量化するために、高分解能ガンマ分光計上でPD−10カラムを測定する。
【0294】
3.3.7.2 標識実験中にQCのために使用される空の反応バイアル、先端部、およびpH紙を含むバッグを測定する。
【0295】
3.3.7.3 結果を下表(表4)に要約する。

【0296】
3.4 放射性標識複合体の品質管理
【0297】
3.4.1 外観/目視試験:
【0298】
3.4.1.1 白および黒の背景を使用して、生成物の透明性、色、および異物がないことを目視で検査する。
【0299】
3.4.2 放射性核種の識別
【0300】
3.4.2.1 校正されたガンマ分光計上のガンマスペクトルを回収する。例として図9を参照されたい。
【0301】
3.4.2.2 標準的な核種ライブラリ(表1を参照されたい)を使用して、Fr−221からの218keVおよびBi−213からの441keVでの主ピークの存在を探す。また、確認のためにAc−225およびTl−209のピークを探す。


【0302】
3.4.3 ITLCによる放射化学的純度
【0303】
3.4.3.1 前述の3.3.4に記載
【0304】
3.4.4 サイズ排除HPLCによる放射化学的純度
【0305】
3.4.4.1 ピークの中のカウント率が放射能検出器のバックグラウンドを大幅に上回るように、構成体から一定分量を取り出す。
【0306】
3.4.4.2 校正実験と同じ条件(0.9%NaCl、1mL/分の速度等)を使用して、試料をSE−HPLCに通す。
【0307】
3.4.4.3 検出器によって検出された全活性に対する、複合体と関連する活性を比較および計算する。具体例として、図6を参照されたい。
【0308】
3.4.4.4 次式を使用して複合体「Rc」の放射化学的純度を計算する。
c(%)=(Ic)×100%/It
式中、
c = 標識された複合体の放射化学的純度(%)
c = SE−HPLC/rad.クロマトグラム上の複合体ピークの下側で測定される面積(図6)。
t = SE−HPLC/rad.クロマトグラム上で測定される総面積(図6)。
次式を使用して、Ac−225が関連する高分子量凝集体の割合を計算する。
H(%)=(Ih)×100%/It
式中、
AH = 高分子量凝集体(%)と関連するAc−225の割合(%)。
h = SE−HPLC/放射能クロマトグラム上の複合体ピークの左側で測定される面積。
次式を使用して、Ac−225が関連する低分子量凝集体の割合を計算する。
L(%)=(Il)×100%/It
式中、
L = 低分子量凝集体の割合と関連するAc−225の割合(%)。
t = 遊離Ac−225に対応するピークが始まるまで、複合体ピークの右側で測定される面積(図6)。
【0309】
3.4.5 免疫反応性
【0310】
3.4.5.1 225Ac−HuM195の免疫反応性は、総容積0.030mLの2ngの放射性標識された抗体を、500〜1000倍過剰な抗原(約10×106個のCD33陽性AL67細胞)とともにインキュベートすることによって決定される。
【0311】
これらの細胞は、細胞1個当たり約400、000個のCD33陽性結合部位を発現し、加えられたHuM195に対して過剰な抗原の中にある。0℃で30分間インキュベートした後、遠心分離によって細胞を回収し、上澄み液を取り除き、細胞は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1度洗浄して、この洗浄液を取り除いた。細胞ペレット、上澄み液、および洗浄液は、シンチレーションカウンティングによって放射能を測定する。パーセント免疫反応性は、{(細胞に結合した225Ac−HuM195)/(結合活性+非結合活性の総量(上澄み液および洗浄液)}×100に等しいものとして計算される。
【0312】
3.4.6 バイアルの中のAc−225の活性
【0313】
3.4.6.1 225Acと全ての娘との間の放射能平衡のために、6時間以上待ち、最終的な評価のために、221Frおよび213Biの両方を通して225Acの活性を測定する。
【0314】
3.4.7 構成体の総数
【0315】
3.4.7.1 生成物の総容積は、重量的に測定される。
【0316】
3.4.8 Ac−225活性濃度の計算
【0317】
3.4.8.1 3.4.6.1で得られた活性を3.4.7.1で得られた容積で割ることによって、活性濃度(mCi/mL)を計算する。
【0318】
3.4.9 比活性の計算
【0319】
3.4.9.1 3.3.5.5節に従う。
【0320】
3.4.10 任意選択:UV分光光度法によるタンパク質の定量および比活性の計算
【0321】
この方法は、HSAが精製されたタンパク質画分の中に存在しない場合にだけ使用されるべきである(図1.2を参照されたい)。
【0322】
3.4.10.1 組み合わせたタンパク質画分「fp」(3.3.6.6節)から、0.02mLの一定分量を取り出し、0.9%NaClで容積を0.5mL(Df=25)にする。25という希釈係数Dfは、1mgの複合体が標識に使用される時に推奨される。
【0323】
3.4.10.2 2.3.7節または2.3.9節で説明されるように、組み合わせて濃縮された試料のタンパク質濃度(cpi)を測定する。
【0324】
実施例4
【0325】
表5:「1ステップ」プロセスと既存のプロセスとのリンツズマブ−Ac−225を生成するための製造手順の比較


【0326】
非特許文献
Meares C. F., McCall M. J., Rearan D. T., Goodwin D. A., Diamanti C. I., McTigue M. (1984) Conjugation of antibodies with bifunctional chelating agents: isothiocyanate and bromoacetamide reagents, methods of analysis and subsequent addition of metal ions. Anal Biochem; 142:68-78.

Shrikant V. D., Sally J. D., David L. K., Min K. M., Michael J. Mc., Gerald L.D. y Meares C. F. (1990) Yttrium-90-Labeled monoclonal antibody for therapy: Labeling by new macrocyclic bifunctional chelating agent. J Nucl Med. 31, 473-479.

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D. R. Beckford, A. Xiques, R. Leyva, M. Perez-Malo; E. Casanova, M. Barrabi (2007) Nuevo radioimmunoconjugado 90Y-DOTA-HR3 Sintesis y radiomarcaje. Nucleus 2007, 41, 3-8.

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Yasushi Ogawa, Joseph Traina, Eike Zimmermann, Tao Yu, Douglas W. Schneider, Erno Pungor Jr. (2007) Quantification of bifunctional diethyenetriaminepentaccetic acid derivative conjugation to monoclonal antibodies by matrix-assisted laser desorption/ionization time of flight mass spectrometry. Analytical Biochemistry 368 214-221.

Sharon X. Lu, Edward J. Takach, Marjorie Solomon, Qing Zhu, Say-Jong Law, Frank Y. Hsieh (2005) Mass Spectral Analyses of Labile DOTA-HNS and Heterogeneity Determination of DOTA or DM1 Conjugated Anti-PSMA Antibody for Prostate Cancer Therapy. Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 94, No 4, April 2005.

Instructions 52-1308-00 BB: PD-10 Desalting Column, GE Healthcare.
Amicon Centricon Centrifugal Filter Devices. Data sheet Millipore
[Ac-225]-DOTA-Hum195 Manufacturing Protocol (Two step labelling procedure), MSKCC

Labelling of Hum-195/DOTA conjugates with Ac - 225 using the one step method, TUM report, February 2009.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチニウム−225(Ac−225)放射性複合体を生成するための方法であって、
(a)複合体化反応混合物中でキレート剤を生体分子に複合体化して複合体化された生体分子を産生するステップと、
(b)前記反応混合物を精製して複合体化されていないキレート剤を除去するステップと、
(c)キレート化反応混合物中で、1つ以上のAc−225放射性核種を前記複合体化された生体分子でキレート化してAc−225放射性複合体を産生するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ステップ(a)における複合体化は、前記複合体化反応混合物を約37℃で約1.5時間インキュベートすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(a)における複合体化は、前記複合体化反応混合物を約16℃〜約20℃で約24時間インキュベートすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記精製は、前記複合体化反応混合物をフィルタを通して濾過して前記複合体化された生体分子を精製するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複合体化反応混合物は、重炭酸塩緩衝液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複合体化反応混合物は、リン酸緩衝液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複合体化反応混合物は、約8.0〜約9.2のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記濾過は、HEPES緩衝液中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記濾過は、NaAc緩衝液中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記濾過は、少なくとも約10,000Da、少なくとも約20,000Da、または少なくとも約40,000Daの分画分子量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記キレート化反応混合物は、ゲンチシン酸またはアスコルビン酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記キレート化反応混合物は、約5.5〜約7.0のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(c)におけるキレート化は、前記1つ以上のAc−225放射性核種を、前記複合体化された生体分子とともに約37℃で約1.5時間インキュベートすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
末端キレート化剤を前記キレート化反応混合物に加えるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記末端キレート化剤は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記末端キレート化剤を加える前記ステップの後に、前記キレート化反応混合物を約37℃で約30分間インキュベートするステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記生体分子は、タンパク質、ペプチド、ポリヌクレオチド、それらの組み合わせ、またはそれらの誘導体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記生体分子は、抗体、その抗原結合断片、抗体の抗原結合ポリペプチド配列を含む一本鎖タンパク質、単一ドメイン抗体、前述したもののうちのいずれかの類似体、または前述したもののうちのいずれかの誘導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記抗原結合断片は、モノクローナル抗体可変領域である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記生体分子は、抗体の抗原結合配列を含むタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記生体分子は、細胞表面上の抗原に結合する抗体の抗原結合配列を含む、天然に、合成的に、または、組み換え的に生成されたタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
標的細胞表面上の前記抗原は、CD33である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記生体分子は、HuM195である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記放射性複合体は、放射性免疫複合体である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記キレート剤は、二官能性キレート剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記二官能性キレート剤は、S−2−(4−イソチオシアナトベンジル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン四酢酸(p−SCN−Bn−DOTA)である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記キレート剤は、ジエチレントリアミン五酢酸(「DTPA」)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N´,N´´,N´´´−四酢酸(「DOTA」)、p−イソチオシアナトベンジル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(「pSCN−Bz−DOTA」)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N´,N´´−三酢酸(「DO3A」)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラキス(2−プロピオン酸)(「DOTMA」)、3,6,9−トリアザ−12−オキサ−3,6,9−トリカルボキシメチレン−10−カルボキシ−13−フェニル−トリデカン酸(「B−19036」)、1,4,7−トリアザシクロノナン−N,N´,N´´−三酢酸(「NOTA」)、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−N,N´,N´´,N´´´−四酢酸(「TETA」)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(「TTHA」)、トランス−1,2−ジアミノヘキサン四酢酸(「CYDTA」)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−(2−ヒドロキシプロピル)4,7,10−三酢酸(「HP−DO3A」)、トランス−シクロヘキサン−ジアミン四酢酸(「CDTA」)、トランス(1,2)−シクロヘキサンジエチレントリアミン五酢酸(「CDTPA」)、1−オキサ−4,7,10−トリアザシクロドデカン−N,N´,N´´−三酢酸(「OTTA」)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラキス{3−(4−カルボキシル)−ブタン酸}、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラキス(酢酸−メチルアミド)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラキス(メチレンホスホン酸)、2,2´,2´´−(10−(2−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イルオキシ)−2−オキソエチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリイル)三酢酸(DOTA−NHSエステル)、ならびにそれらの誘導体、類似体、および混合物から成る化合物の群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
[Ac−225]−p−SCN−Bn−DOTA/HuM195放射性免疫複合体を生成するための方法であって、
(a)p−SCN−Bn−DOTAを、約37℃で約1.5時間、重炭酸塩緩衝液を含み、かつ約8.0〜約9.2のpHを有する複合体化反応混合物中で、HuM195抗体に複合体化してp−SCN−Bn−DOTA/HuM195免疫複合体を産生するステップと、
(b)少なくとも約10,000Da、少なくとも約20,000Da、または少なくとも約40,000Daの分画分子量を有するフィルタを通して、前記複合体化反応混合物を濾過して前記p p−SCN−Bn−DOTA/HuM195免疫複合体を精製するステップであって、前記濾過するステップは、HEPES緩衝液またはNaAc緩衝液を用いて行われる、ステップと、
(c)1つ以上のアクチニウム−225放射性核種を、約37℃で約1.5時間、ゲンチシン酸を含み、かつ約5.5〜約7.0のpHを有するキレート化反応混合物中で、前記p−SCN−Bn−DOTA/HuM195免疫複合体でキレート化して[Ac−225]−p−SCN−Bn−DOTA/HuM195放射性免疫複合体を産生するステップと、
(d)DTPAを前記キレート化反応混合物に加えるステップと、
(e)前記キレート化反応混合物を約37℃で約30分間インキュベートするステップと、
を含む、方法。
【請求項29】
前記ステップ(b)の濾過の前に、サイズ排除樹脂を通してのサイズ排除クロマトグラフィのステップをさらに含む、請求項1または請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記サイズ排除樹脂は、約5,000Daのサイズ排除制限を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
サイズ排除樹脂を通してのサイズ排除クロマトグラフィによって、前記放射性複合体を精製することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
サイズ排除樹脂を通してのサイズ排除クロマトグラフィによって、前記[Ac−225]−p−SCN−Bn−DOTA/HuM195放射性免疫複合体を精製することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記サイズ排除樹脂は、約6,000Daのサイズ排除制限を有する、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記サイズ排除樹脂は、約5,000Daのサイズ排除制限を有する、請求項31または32に記載の方法。
【請求項35】
請求項1または請求項28に記載の方法によって生成される、Ac−225放射性免疫複合体。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2013−500258(P2013−500258A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521780(P2012−521780)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/042885
【国際公開番号】WO2011/011592
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(512016722)アクティニウム ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】