説明

放射線撮像装置

【課題】装置全体の重量を増加させることなく、且つ、筐体内部での発熱に起因する画像ムラの発生を抑制可能な放射線撮像装置を提供する。
【解決手段】電子カセッテ20Aの発熱源(電源部94、駆動用IC124、読出用IC128、又は電子部品132)と放射線変換パネル116との間を熱的に結合し、放射線変換パネル116に対する面接触により、前記発熱源からの発熱を伝達する第1熱伝達手段(反射層240、蒸着基板240、又は平板状部材262)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルを備える放射線撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野において、被写体を透過した放射線を検出することにより該被写体の放射線画像を撮像する放射線撮像装置(以下、「電子カセッテ」ともいう。)が用いられている。電子カセッテでは、可搬性を向上させるために、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルと、放射線変換パネルに電力を供給するバッテリ等の電源部とを筐体内に収容している。
【0003】
この放射線変換パネルは、例えば、放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換するシンチレータと、該シンチレータにより変換された電磁波を放射線画像に変換する光電変換層とから構成してもよい。さらに、装置の軽量化や分光感度特性のマッチング等を考慮すると、放射線変換パネルの一実装例としては、シンチレータとしてのヨウ化セシウム(CsI)と、光電変換層としてのa−Si(アモルファスシリコン)との組合せが考えられる。
【0004】
ところが、図19Aに示すように、シンチレータの温度上昇によって放射線に対する前記シンチレータの感度が低下するので、放射線画像の画質が低下する可能性がある。なお、シンチレータがガドリニウム・オキサイド・サルファ(GOS)からなる場合、図19Bに示すように、該シンチレータの温度上昇に対する感度変化は極めて小さい。また、光電変換層がa−Siからなる場合には、図19Cに示すように、該光電変換層の温度上昇に起因して、前記光電変換層を構成する光電変換素子(フォトダイオード)の電磁波に対する感度が増加することにより、放射線画像の画質が低下する可能性もある。そこで、上記した懸念を解消するため、電子カセッテの筐体内部における熱対策技術が種々提案されている。
【0005】
特許文献1及び2には、筐体とその内部に有するICとの間を熱的に結合するための熱伝導材を設けることで、光電変換素子やTFTへの熱伝達を抑制可能である旨が記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、CsIからなるシンチレータを加熱装置で加熱することで、放射線の照射に起因した前記シンチレータの感度変化を低減可能である旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3957803号公報
【特許文献2】特許第4018725号公報
【特許文献3】特開2003−107163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び2に開示された装置の構成では、放射線変換パネルの辺縁部(熱伝導材の配設位置に近い部位)の温度が低くなり、中央部(熱伝導材の配設位置に遠い部位)の温度が高くなる傾向がある。すなわち、放射線変換パネルの温度分布が不均一になることで、放射線変換パネルの感度分布が不均一となり、その結果、得られた放射線画像に画像ムラが生じる課題があった。
【0009】
また、特許文献3の加熱装置が筐体に収容されていれば、電子カセッテの重量が増加して該電子カセッテの可搬性が却って低下するという課題があった。
【0010】
本発明は、上記の課題を解消するためになされたものであり、装置全体の重量を増加させることなく、且つ、筐体内部での発熱に起因する画像ムラの発生を抑制可能な放射線撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る放射線撮像装置は、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルを備える装置であって、前記放射線撮像装置の発熱源と前記放射線変換パネルとの間を熱的に結合し、前記放射線変換パネルに対する面接触により、前記発熱源からの発熱を伝達する第1熱伝達手段を有することを特徴とする。
【0012】
このように、放射線撮像装置の発熱源と放射線変換パネルとの間を熱的に結合するようにしたので、装置の動作に起因する発熱を利用可能であり、別異の加熱装置が不要となる。また、放射線変換パネルに対する面接触により、発熱源からの発熱を伝達するようにしたので、放射線変換パネルの温度分布が略均一となるとともに、放射線変換パネルの感度分布が略均一となる。これにより、装置全体の重量を増加させることなく、且つ、筐体内部での発熱に起因する画像ムラの発生を抑制できる。
【0013】
また、前記発熱源には、前記放射線変換パネルを作動制御に供される電子部品、及び前記放射線変換パネルに電力を供給する電源部のうち少なくとも一方が含まれることが好ましい。これにより、装置の通常動作時において、特に発熱量が多い回路基板又は電源部から受熱するので効率的である。
【0014】
さらに、前記第1熱伝達手段は、前記放射線変換パネルの一面と面接触する平板状部材であることが好ましい。これにより、簡易な構成で、放射線変換パネルに対して熱を略均等に伝達できる。
【0015】
さらに、前記発熱源と前記放射線変換パネルとの間の熱的な短絡を可能にする第2熱伝達手段をさらに有することが好ましい。これにより、更に効率的に熱を伝達できる。
【0016】
さらに、前記第2熱伝達手段は、前記発熱源と前記放射線変換パネルとの間に介挿された介挿部材であることが好ましい。これにより、簡易な構成で、放射線変換パネルに熱を伝達できる。
【0017】
さらに、前記介挿部材を着脱自在に移動させる移動手段をさらに有することが好ましい。これにより、放射線変換パネルに熱を供給するタイミングを制御可能である。
【0018】
さらに、前記移動手段は、少なくとも前記放射線による撮像時間内において前記介挿部材を介挿することが好ましい。これにより、放射線画像の撮像時間において、放射線変換パネルの感度特性を安定させることができる。
【0019】
さらに、前記放射線変換パネルは、前記放射線を他の波長の電磁波に変換するシンチレーション層と、該シンチレーション層により変換された前記電磁波を前記放射線画像に変換する光電変換層とから構成され、前記放射線変換パネルは、前記放射線の照射側に対して、前記光電変換層及び前記シンチレーション層の順に配置されることが好ましい。
【0020】
さらに、前記シンチレーション層は、基板と、該基板上に形成されたシンチレータ結晶とを備えることが好ましい。
【0021】
さらに、前記シンチレータ結晶は、CsIからなることが好ましい。これにより、光電層の深いトラップに補足された電荷を吐き出させた状態下で、放射線画像を取得することができる。
【0022】
さらに、前記第1熱伝達手段は、前記基板であることが好ましい。これにより、別異の部材を設けることなく実現できるとともに、熱伝達の効率も良くなる。
【0023】
さらに、前記第1熱伝達手段は、前記放射線変換パネルに対し、前記放射線の照射側の反対の面で接触することで、前記発熱源からの発熱を伝達することが好ましい。これにより、シンチレーション層に対して直接的に熱を伝達できる。
【0024】
さらに、前記光電変換層は、a−Siの光電変換素子で構成されることが好ましい。これにより、光電層の浅いトラップに補足された電荷を吐き出させた状態下で、放射線画像を取得することができる。また、放射線撮像装置にいわゆる光リセット法を実現する機構を組み込んだ場合、光電変換層に対するリセット光の照射量を少なくできる。換言すれば、放射線変換パネルの温度分布を略均一化させることで局所的な温度上昇を抑制可能であり、シンチレーション層の発光によって光電変換層に通常形成されるトラップが形成され難くなるので、リセット光の照射量を過度に増やす必要がなく、最小限に留めることができる。
【0025】
さらに、前記筐体の外部への放熱を遮断する断熱手段をさらに有することが好ましい。これにより、筐体内部の発熱を更に多く利用可能であり、一層効率的である。
【0026】
さらに、前記断熱手段は、前記筐体の内壁に設けられた断熱部材であることが好ましい。これにより、簡易な構成で、放射線変換パネルに熱を伝達できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る放射線撮像装置によれば、該放射線撮像装置の発熱源と放射線変換パネルとの間を熱的に結合するようにしたので、装置の動作に起因する発熱を利用可能であり、別異の加熱装置が不要となる。また、放射線変換パネルに対する面接触により、発熱源からの発熱を伝達するようにしたので、放射線変換パネルの温度分布が略均一となるとともに、放射線変換パネルの感度分布が略均一となる。これにより、装置全体の重量を増加させることなく、且つ、筐体内部での発熱に起因する画像ムラの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係る電子カセッテが適用される放射線撮像システムの構成図である。
【図2】図1の電子カセッテの斜視図である。
【図3】図2の筐体の分解斜視図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図2のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図2のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】図7A及び図7Bは、CsIからなるシンチレータでの累積照射量と感度との関係を示すグラフである。図7Cは、CsIからなるシンチレータでの高温状態での保管時間と感度との関係を示すグラフである。
【図8】図8Aは、1回の照射量と感度との関係を示すグラフである。図8Bは、経過日数と感度変化との関係を示すグラフである。
【図9】図9A及び図9Bは、放射線変換パネル等の内部構成を示す拡大断面図である。
【図10】図1の電子カセッテのブロック図である。
【図11】図1の電子カセッテを用いた被写体の撮像を説明するためのフローチャートである。
【図12】第1変形例に係る電子カセッテのXII−XII線に沿った断面図である。
【図13】第2変形例に係る電子カセッテが備える放射線変換パネル等の内部構成を示す拡大断面図である。
【図14】図14A及び図14Bは、第3変形例に係る電子カセッテの介挿部材の移動機構の一例を表す概略説明図である。
【図15】第2実施形態に係る電子カセッテの斜視図である。
【図16】図15の電子カセッテの斜視図である。
【図17】第3実施形態に係る電子カセッテの斜視図である。
【図18】図17の筐体の分解斜視図である。
【図19】図19Aは、CsIからなるシンチレータでの温度と感度との関係を示すグラフである。図19Bは、GOSからなるシンチレータでの温度と感度との関係を示すグラフである。図19Cは、a−Siからなる光電変換素子での温度と感度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係る放射線撮像装置について、好適な実施形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0030】
[第1実施形態に係る放射線撮像装置の構成の説明]
先ず、第1実施形態に係る放射線撮像装置としての電子カセッテ20Aについて、図1〜図11を参照しながら説明する。
【0031】
図1は、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aが組み込まれた放射線撮像システム10の構成図である。
【0032】
放射線撮像システム10は、ベッド等の撮影台12に横臥した被写体14である患者に対して、放射線16を照射する放射線源18と、被写体14を透過した放射線16を検出して放射線画像に変換する電子カセッテ20Aと、放射線源18及び電子カセッテ20Aを制御するコンソール22と、放射線画像を表示する表示装置24とを備える。
【0033】
コンソール22と電子カセッテ20Aと表示装置24との間には、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、IEEE802.60.a/b/g/n等の無線LAN(Local Area Network)、又は、ミリ波等を用いた無線通信により信号の送受信が行われる。なお、ケーブルを用いた有線通信により信号の送受信を行ってもよい。
【0034】
コンソール22には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)26が接続され、RIS26には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)28が接続されている。
【0035】
図2は、図1に示す電子カセッテ20Aの斜視図である。
【0036】
電子カセッテ20Aは、撮影台12と被写体14との間に配置される略矩形状(六面体)の筐体29を有する。
【0037】
筐体29は、中空の角筒状のハウジング本体30と、ハウジング本体30の開口部分を両側から閉塞する2つの蓋部材32、34とを有するモノコック構造の筐体であり、外部からの応力(例えば、筐体29の落下、被写体14からの荷重、外部からの衝撃)を筐体29全体として受ける構造となっている。また、筐体29(のハウジング本体30及び蓋部材32、34)は、放射線16を透過可能なカーボンやプラスチック等の材料から形成されている。
【0038】
被写体14が横臥する筐体29の上面は、放射線16が照射される照射面36とされている。照射面36には、被写体14の撮像領域及び撮像位置を示すガイド線38が形成され、ガイド線38の外枠は、放射線16の最大照射範囲(照射野)を示す撮像可能領域40とされている。また、ガイド線38の中心位置(十字状に交差する2本のガイド線38の交点)は、該撮像可能領域40の中心位置である。
【0039】
図2及び図3に示すように、ハウジング本体30を構成する4つの側面42a〜42dのうち、側面42aと側面42bとの間にはx方向に沿って中空部41が形成され、中空部41に連通する側面42aの開口部44aを蓋部材32で閉塞すると共に、中空部41に連通する側面42bの開口部44bを蓋部材34で閉塞することにより、筐体29が構成される。従って、筐体29は、照射面36と、蓋部材32の側面52と、蓋部材34の側面81と、ハウジング本体30の2つの側面42c、42dを含む2つの側面43、45と、ハウジング本体30の底面47を含む底面46とを有する六面体として構成される。
【0040】
蓋部材32のx2方向側の側面52には、電子カセッテ20Aを起動するための電源スイッチ54、各種情報を表示するディスプレイ(残量通知部)56、外部から充電を行なうためのACアダプタの入力端子58、外部機器との間で情報の送受信が可能なインターフェース手段としてのUSB(Universal Serial Bus)端子60、PCカード等のメモリカード62を装填するためのカードスロット64、及び、電子カセッテ20Aの各種の状況等を表示するLED等のインジケータ(残量通知部)66が配設されている。
【0041】
なお、入力端子58は、図示しないクレードルに電子カセッテ20Aを充電する際に使用されるものであり、図1のような電子カセッテ20Aを用いた被写体14の撮像時には使用されない。また、後述するように、電子カセッテ20Aが電源部を交換することにより撮像に必要な電力量を確保するような場合には、上述の入力端子58は不要である。
【0042】
さらに、電子カセッテ20Aでは、インジケータ66とディスプレイ56とが配設されているが、インジケータ66の表示機能をディスプレイ56が代行することで、インジケータ66を不要にすることができる。また、ディスプレイ56での一部の表示機能をインジケータ66が代行することで、ディスプレイ56を不要にすることもできる。
【0043】
蓋部材32は、側面52を備え且つ電源スイッチ54、ディスプレイ56、入力端子58、USB端子60、カードスロット64及びインジケータ66が配設された蓋本体68と、該蓋本体68のx1方向側に形成され、開口部44aに嵌合可能な挿入部70と、挿入部70のy方向に沿った両端から開口部44aに向かって突出する係合片72とから構成されている。また、2つの係合片72の外側面(図3の左側の係合片72ではy1方向の側面、及び、右側の係合片72ではy2方向の側面)には係合凸部74が形成され、ハウジング本体30内壁の開口部44a側には、係合凸部74に係合可能な係合凹部76が形成されている。
【0044】
従って、蓋部材32をx1方向に進行させて、開口部44aと挿入部70とを嵌合させ、且つ、ハウジング本体30の中空部分に進入した2つの係合片72の係合凸部74と係合凹部76とをそれぞれ係合させると、蓋部材32とハウジング本体30とを一体化した状態で開口部44aを蓋部材32により閉塞することができる。
【0045】
一方、蓋部材34は、電源スイッチ54、ディスプレイ56、入力端子58、USB端子60、カードスロット64及びインジケータ66が配設されていない点を除いては、前述の蓋部材32と略同じ構成である。すなわち、蓋部材34は、蓋本体68と略同一形状であり且つ側面52と対向するx1方向の側面81を有する蓋本体80と、該蓋本体80のx2方向側に形成され、開口部44bに嵌合可能な挿入部82と、挿入部82のy方向に沿った両端から開口部44bに向かって突出する係合片84とから構成されている。また、2つの係合片84の外側面(図3の左側の係合片84ではy1方向の側面、及び、右側の係合片84ではy2方向の側面)にも係合凸部86が形成され、ハウジング本体30内壁の開口部44b側には、係合凸部86に係合可能な係合凹部88が形成されている。
【0046】
従って、蓋部材32の場合と同様に、蓋部材34をx2方向に進行させて、開口部44bと挿入部82とを嵌合させ、且つ、ハウジング本体30の中空部分に進入した2つの係合片84の係合凸部86と係合凹部88とをそれぞれ係合させると、蓋部材34とハウジング本体30とを一体化した状態で開口部44bを蓋部材34により閉塞することができる。
【0047】
図4〜図6は、筐体29内を図示した電子カセッテ20Aの断面図である。
【0048】
ハウジング本体30の開口部44a、44bを2つの蓋部材32、34でそれぞれ閉塞することにより、筐体29内には、中空部41である室110が形成される。
【0049】
照射面36は、カーボン等の材料からなる天板200と、天板200を保護するためのポリカーボネート等の材料からなる保護部材202とから構成される。筐体29の上方内壁204には、その全周にわたって二段状の凹部206が形成されている。二段状の凹部206は、天板200及び保護部材202を嵌合可能に設けられているので、筐体29は、z2方向に沿って天板200、保護部材202の順に積層した状態で、これらを保持できる。
【0050】
室110の中央部には基台112が配置されており、底面46側の内壁208からz2方向に延在する複数の支持部材210(図5では2本を表記する。)により固定支持されている。
【0051】
基台112の表面114(照射面36側の面)には、ハウジング本体30の照射面36側を透過して室110に入射した放射線16を放射線画像に変換する放射線変換パネル116が配置されている。
【0052】
放射線変換パネル116は、撮像可能領域40(図2及び図3参照)に対応する程度の大きさであることが望ましく、接着層212を介してハウジング本体30の照射面36側の内壁214に接着固定されている。接着層212には、例えば、熱可塑性の樹脂又はゴムを主成分とする不燃性の接着剤(いわゆるホットメルト接着剤)を用いてもよい。
【0053】
放射線変換パネル116は、放射線16を可視光等の他の波長の電磁波に変換するシンチレーション層118と、該シンチレーション層118により変換された電磁波を電気信号に変換する光電変換層120とから構成された、いわゆる間接変換型の放射線検出器である。
【0054】
また、シンチレーション層118と光電変換層120とは、熱による反りの発生を考慮して、分離可能な状態で積層してもよい。あるいは、シンチレーション層118に光電変換層120を直接形成するか、又は、光電変換層120にシンチレーション層118を直接形成してもよい。
【0055】
なお、図4〜図6では、放射線16の照射方向に沿って光電変換層120とシンチレーション層118との順に配置された表面読取方式としてのISS(Irradiation Side Sampling)方式の放射線検出器を図示しているが、放射線16の照射方向に沿ってシンチレーション層118と光電変換層120との順に配置された、裏面読取方式であるPSS(Penetration Side Sampling)方式の放射線検出器であってもよい。また、シンチレーション層118としては、例えば、ヨウ化セシウム(CsI)又はガドリニウム・オキサイド・サルファ(GOS)から構成されるシンチレータを用いればよい。さらに、本実施形態では、上述した間接変換型の放射線検出器に代えて、シンチレーション層118を用いずに放射線16を電気信号に直接変換する、いわゆる直接変換型の放射線検出器を使用することも可能である。以下の説明では、ISS方式の放射線変換パネル116を用いた場合について説明する。
【0056】
装置の軽量化や分光感度特性のマッチング等を考慮し、放射線変換パネル116の一実装例としては、シンチレーション層118としてのヨウ化セシウム(CsI)と、光電変換層120としてのa−Si(アモルファスシリコン)との組合せが考えられる。この場合での電子カセッテ20Aの使用環境の変化と、放射線画像の画質に与える影響との関係について、図19A〜図19C、及び図7A〜図8Bを参照しながら説明する。
【0057】
電子カセッテ20Aの軽量化を図る目的で、CsIからなるシンチレーション層118を用いた場合、図19Aに示すように、該シンチレーション層118の温度上昇によって放射線16に対するシンチレーション層118の感度が低下し、この結果、放射線画像の画質が低下する可能性がある。
【0058】
また、図7Aに示すように、放射線16の累積の曝射線量(累積照射量)の増加によって放射線16に対するシンチレーション層118の感度が低下する。
【0059】
これは、累積照射量の増加に伴って、CsIのシンチレーション層118に深いトラップ(欠陥)が多数発生する光劣化が惹起され、この結果、次の撮像では、放射線16から変換された電磁波(可視光)が深いトラップに捕捉されて、光電変換層120に到達できないからである。この場合、シンチレーション層118内のどの箇所に深いトラップが発生するかは分からないため、深いトラップへの可視光の捕捉に起因して、シンチレーション層118での意図しない局所的な感度変化(感度ムラ)が発生する。そのため、例えば、深いトラップが多数発生していれば、相対的に感度の大きい箇所(感度ムラの目立つ箇所)が局所的に発生する可能性がある。
【0060】
このような深いトラップの発生による感度低下に対しては、図7Bに示すように、使用温度Tを高くすれば(T1<T2)、累積照射量に対して感度を緩やかに低下させることができ(急激な感度低下を抑制することができる)、その一方で、図7Cに示すように、高温状態で保管すれば感度は回復する。
【0061】
なお、GOSからなるシンチレーション層118では、図19Bに示すように、温度変化に対する感度の変化は小さい。
【0062】
一方、光電変換層120についても、温度変化によって電磁波に対する該光電変換層120の感度が変化し、放射線画像の画質が低下する可能性がある。
【0063】
例えば、a−Siからなる光電変換層120では、光強度の大きな可視光が入射されるとSiのダングリングボンドが増加して導電率が劣化するステブラー・ロンスキー(Staebler−Wronski)効果が発生する。これにより、Siでの欠陥密度が増加して、光電変換層120内でのキャリアの移動が阻害されてしまう。但し、欠陥密度は、可視光の入射によって増加するが、該入射が続くと飽和する。また、欠陥密度は、Siに熱が加わることで時間経過と共に減少する。
【0064】
さらに詳しく説明すると、光電変換層120においては、該光電変換層120を構成するa−Siの光電変換素子(フォトダイオード)に発生した浅いトラップに電荷が一時的に捕捉される。該トラップは、フォトダイオードに入射される可視光の光量が大きい程(大線量の放射線16の照射である程)発生しやすい。そして、次の撮像時には、光電変換素子に入射された可視光によって電荷が励起され、浅いトラップから吐き出される。従って、光電変換素子は、可視光から変換された新たな電荷に加え、浅いトラップから吐き出された電荷も、放射線画像に応じた電気信号として出力する。この場合、光電変換層120内のどの光電変換素子に浅いトラップが発生するかは分からないため、浅いトラップからの電荷の吐き出しに起因して、光電変換層120での意図しない局所的な感度の増加(感度ムラ)が発生する。
【0065】
しかも、今回の撮像が大線量での放射線16の照射であれば、シンチレーション層118に深いトラップが多数発生すると共に、光電変換層120にも浅いトラップが多数発生し、これらの浅いトラップに電荷が一時的に捕捉される。そのため、図8Aに示すように、次の撮像では、深いトラップの発生に起因したシンチレーション層118での相対的に感度の大きな箇所の発生や、浅いトラップに捕捉された電荷の吐き出しにより、大きな感度変化Δとなって、見掛け上、放射線変換パネル116の感度を大幅に増加させてしまう。
【0066】
このように、CsIのシンチレーション層118とa−Siの光電変換層120とから構成される放射線変換パネル116においては、今回の撮像での放射線16の照射量が大きい場合、次の撮像では、局所的に感度が大きくなって、放射線画像の画像ムラが目立ってしまうおそれがある。また、CsIに深いトラップが発生すると共に、a−Siに浅いトラップが発生する場合、図8Bに示すように、大きな感度変化Δが解消されるまでに数日程度を要する。
【0067】
このように、放射線変換パネル116では、温度変化に起因した感度変化や、局所的な感度変化に起因した画像ムラによって放射線画像の画質が低下する場合があるため、加熱によって感度を回復できることが望ましい。しかしながら、放射線変換パネル116を加熱する加熱装置を筐体29内に内蔵させると、電子カセッテ20Aの重量が増加して可搬性が低下するおそれがある。
【0068】
そこで、第1実施形態では、電子カセッテ20Aの動作に起因する発熱を利用して、放射線変換パネル116の全面を略均一に加熱することで、感度変化の抑制を図る構成を採っている。以下、電子カセッテ20Aの内部構造を図5及び図6を参照しながら説明する。
【0069】
図6に示すように、放射線変換パネル116(の光電変換層120)のy1方向の側面には、光電変換層120を駆動するための制御信号を光電変換層120に供給するための複数のフレキシブル基板122が所定間隔毎に配置され、各フレキシブル基板122には、前記制御信号を生成する駆動用IC124がそれぞれ配置されている。各フレキシブル基板122と基台112との間には、熱伝導率が高い材料からなる介挿部材216がそれぞれ介挿されている。これにより、駆動用IC124の動作に起因する発熱は、フレキシブル基板122、介挿部材216及び基台112を介して、放射線変換パネル116側に伝達される。
【0070】
図5に示すように、放射線変換パネル116(の光電変換層120)のx1方向の側面には、複数のフレキシブル基板126が所定間隔毎に配置され、各フレキシブル基板126には読出用IC128がそれぞれ配置されている。各フレキシブル基板126と基台112との間には、熱伝導率が高い材料からなる介挿部材218がそれぞれ介挿されている。これにより、読出用IC128の動作に起因する発熱は、フレキシブル基板126、介挿部材218及び基台112を介して、放射線変換パネル116側に伝達される。
【0071】
基台112の裏面129(筐体29の底面46側の面)には、電源部94が配置されている。電源部94と基台112との間には、熱伝導率が高い材料からなる介挿部材220が介挿されている。これにより、電源部94の動作に起因する発熱は、介挿部材220及び基台112を介して、放射線変換パネル116側に伝達される。
【0072】
また、基台112の裏面129における電源部94の周囲には、該電源部94を取り囲むように(避けるように)、複数の回路基板130が取り付けられている。各回路基板130は、基台112の裏面129に対して所定間隔だけ離間した状態下で、複数のボルト131を介して固定されている。各回路基板130の一面(z1方向側)には電子部品132が配設されている。各回路基板130と基台112との間には、熱伝導率が高い材料からなる介挿部材222がそれぞれ介挿されている。これにより、電子部品132の動作に起因する発熱は、回路基板130、介挿部材222及び基台112を介して、放射線変換パネル116側に伝達される。
【0073】
ここで、介挿部材216、218、220、及び222は、発熱源(駆動用IC124、読出用IC128、電源部94、及び電子部品132)と放射線変換パネル116との熱的な短絡を可能にする第2熱伝達手段として機能する。介挿部材216等の材質は、熱伝導率が高い物質であれば種類を問わず、例えば、銅、アルミニウム、グラファイト、高熱伝導性樹脂等であってもよい。電子部品間でのショートや誤動作の発生を防止するため、介挿部材216等として、電気的な絶縁性をも兼ね備える材料を用いてもよい。
【0074】
上記した発熱源には、放射線変換パネル116を作動制御する電子部品(駆動用IC124、読出用IC128、及び電子部品132)、及び放射線変換パネル116に電力を供給する電源部94のうち少なくとも一方が含まれる。
【0075】
図5に示すように、一部の回路基板130には、フレキシブル基板126が接続され、一方で、図6に示すように、他の回路基板130には、フレキシブル基板122が接続されている。
【0076】
なお、放射線16の照射による電源部94と回路基板130及び電子部品132との劣化を防止するために、基台112は、放射線16を遮蔽可能な鉛板で構成されてもよいし、あるいは、鉛を含むように構成されてもよい。
【0077】
図9Aは、放射線変換パネル116等の内部構造を示す拡大断面図であって、光電変換層120にCsIのシンチレーション層118が直接蒸着されている場合を図示している。
【0078】
この場合、光電変換層120は、接着層212を介してハウジング本体30の照射面36側の内壁に接着された可撓性を有するプラスチック基板等の蒸着基板230と、蒸着基板230に形成されたa−Si等からなる薄膜トランジスタ(Thin Film Transitor;TFT)層232と、TFT層232上に形成されたa−Si等からなるフォトダイオードやフォトトランジスタ等の光電変換膜234とから構成されている。
【0079】
CsIのシンチレーション層118は、CsI(Tl)(タリウムが添加されたヨウ化セシウム)を真空蒸着法により短冊状の柱状結晶構造236として光電変換膜234上に形成したものである。なお、CsI(Tl)のシンチレーション層118は、柱状結晶構造236が湿度に弱いという特性を有するので、ポリパラキシリレン樹脂からなる光透過性の防湿保護材238で封止されている。また、防湿保護材238の基台112側には、アルミニウム等からなる金属の反射層(第1熱伝達手段)240が形成されている。反射層240は、柱状結晶構造236で放射線16から変換された可視光が基台112側に進行してきた場合に、該可視光を光電変換膜234側に反射させるために用いられる。
【0080】
ここで、熱伝導率が高い反射層240は、放射線変換パネル116に対する面接触により、電子部品132等の発熱源からの発熱を伝達する第1熱伝達手段として機能する。
【0081】
図9Bは、放射線変換パネル116等の内部構造を示す拡大断面図であって、CsIのシンチレーション層118に光電変換層120を形成した場合を図示している。
【0082】
この場合、CsIのシンチレーション層118は、熱伝導率の高い蒸着基板242上に真空蒸着法により柱状結晶構造236を形成し、該柱状結晶構造236を防湿保護材238で封止している。また、防湿保護材238の照射面36側には、接着層244を介して接着されたa−Si等からなる光電変換膜234と、a−Si等からなるTFT層232とが順に形成される。そして、TFT層232が接着層212を介してハウジング本体30の照射面36側の内壁に接着されている。
【0083】
ここで、蒸着基板242は、放射線変換パネル116に対する面接触により、発熱源からの発熱を伝達する第1熱伝達手段として機能する。蒸着基板242は、熱伝導率が高い樹脂からなる基板であってもよいし、熱伝導率が高い材料を混ぜたガラスからなる基板であってもよい。また、蒸着基板242が光透過率の低い金属等の材料からなる場合、蒸着基板242は、柱状結晶構造236で放射線16から変換された可視光が介挿部材222側に進行してきた場合に、該可視光を光電変換膜234側に反射可能である。
【0084】
ここで、光電変換層120の特性に応じて、光電変換層120側への熱の伝達を促進する構成を採ってもよいし、逆に断熱する構成を採ってもよい。光電変換層120側の温度上昇を抑制することで、暗電流の発生による放射線画像への影響を低減することができる。なお、いずれの場合であっても、光透過性が高く、且つ、放射線16の吸収が少ないことが好ましい。
【0085】
例えば、熱の伝達を促進する場合、接着層244及び/又は防湿保護材238に関し、熱伝導率が相対的に高い材料を用いてもよい。一方、断熱する場合は、接着層244及び/又は防湿保護材238に関し、熱導電率が相対的に低い材料を用いてもよい。熱伝導率が高い接着剤として、放熱シリコーン接着剤{例えば、Dow Corning TC−2030(東レ株式会社製、商品名、登録商標)}がある。また、フイルム接着剤として、薄いエポキシ樹脂フイルム内に高熱伝導性の炭素繊維を厚さ方向に配列した接着剤を用いてもよい。
【0086】
図10は、電子カセッテ20Aのブロック構成図である。
【0087】
光電変換層120は、放射線16(図1、図2、図5及び図6参照)を電荷に変換して蓄積可能なpin型のフォトダイオードやフォトトランジスタ等の光電変換素子140と、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(Thin Film Transitor;TFT)142とを有する。なお、図10では、光電変換素子140がpin型のフォトダイオードである場合を図示している。
【0088】
この場合、光電変換層120では、ガラス又は樹脂からなる基板の一面に複数の信号線144とゲート線146とを互いに交差させるように配設し、各ゲート線146と各信号線144とにより区画された小領域に光電変換素子140とTFT142とをそれぞれ設けることで、前記基板に複数の光電変換素子140及び複数のTFT142を二次元マトリクス状に配列させている。また、1つの光電変換素子140には1本のバイアス線148が接続され、各バイアス線148は、1本の結線150を介してバイアス電源172に接続されている。
【0089】
ここで、光電変換素子140のアノード電極は、バイアス線148に接続され、カソード電極は、TFT142のソース電極Sに接続されている。一方、TFT142のゲート電極Gは、ゲート線146を介してゲート駆動回路152に接続され、ドレイン電極Dは、信号線144を介して信号読出回路154に接続されている。この場合、ゲート駆動回路152は、複数の駆動用IC124に対応する放射線変換パネル116を駆動するための駆動回路部であり、一方で、信号読出回路154は、複数の読出用IC128に対応する放射線画像に応じた電気信号を読み出す読出回路部である。
【0090】
バイアス電源172は、結線150及び各バイアス線148を介して各光電変換素子140に逆方向にバイアス電圧(逆バイアス電圧)を印加する。なお、図10では、pin型の光電変換素子140のp層側にアノード電極を介してバイアス線148が接続されているので、バイアス電源172からは、光電変換素子140のアノード電極に結線150及びバイアス線148を介して逆バイアス電圧として負の電圧(カソード電極よりも所定電圧以上低い電圧であればよい。)が印加されるようになっている。なお、光電変換素子140のpin型の積層順を逆に形成して(光電変換素子140の極性が逆となるように形成して)カソード電極にバイアス線148を接続する場合には、バイアス電源172からはカソード電極に逆バイアス電圧として正の電圧(アノード電極よりも所定電圧以上高い電圧であればよい。)が印加される。その場合には、図10における光電変換素子140のバイアス電源172に対する接続の向きが逆向きになる。
【0091】
ゲート駆動回路152からゲート線146を介してTFT142のゲート電極Gに信号読み出し用の電圧(制御信号)が印加されると、TFT142のゲートが開き、光電変換素子140に蓄積された電荷、すなわち、電気信号(放射線画像信号)が、TFT142のソース電極Sを介してドレイン電極Dから信号線144に読み出される。
【0092】
信号読出回路154では、各信号線144に対して、増幅器160、サンプルホールド回路162、マルチプレクサ164及びAD変換器166が順に接続されている。従って、各信号線144を介して読み出された電気信号は、チャージアンプからなる増幅器160によって増幅され、サンプルホールド回路162によってサンプリングされた後、マルチプレクサ164を介してAD変換器166に順次供給され、デジタル信号(デジタル値)に変換される。AD変換器166は、デジタル値に変換された各光電変換素子140の電気信号を後述するカセッテ制御部174に順次出力する。
【0093】
また、電子カセッテ20Aは、装置全体を制御するための制御部170を有する。
【0094】
制御部170は、前述した電源スイッチ54、ディスプレイ56、入力端子58、USB端子60、カードスロット64、インジケータ66、電源部94及びバイアス電源172に加え、放射線変換パネル116、ゲート駆動回路152及び信号読出回路154等を制御するカセッテ制御部174と、コンソール22との間で無線通信により信号の送受信を行う通信部176とを有する。
【0095】
電源部94は、電源回路178と電源180とを有する。電源180は、バッテリ又はキャパシタ(例えば、電気二重層キャパシタ)等の蓄電手段である。また、電源回路178は、電源180の電圧を所望の電圧に変換して電子カセッテ20A内の各部に供給可能なDC/DCコンバータ等の電力変換回路である。
【0096】
カセッテ制御部174は、マイクロコンピュータを含む計算機であり、図示しないCPUがROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで各種機能を実現する。
【0097】
具体的に、カセッテ制御部174は、画像メモリ182及び記憶部186を有する。画像メモリ182は、放射線変換パネル116から信号読出回路154を介して取得した放射線画像を記憶する。記憶部186は、電子カセッテ20Aを特定するためのカセッテID情報を記憶する。
【0098】
なお、制御部170中、バイアス電源172、カセッテ制御部174及び通信部176は、前述した回路基板130に搭載される電子部品132によって実現される。
【0099】
[第1実施形態に係る放射線撮像装置の動作]
次に、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aを含む放射線撮像システム10の動作について、図11のフローチャートに従って説明する。なお、この動作説明では、必要に応じて、図1〜図10も参照しながら説明する。
【0100】
先ず、ステップS1において、ユーザは、病院内の放射線科等の所定の保管場所から撮影台12(図1参照)にまで電子カセッテ20Aを運搬する。この場合、電子カセッテ20Aは、電源部94(図5、図6及び図10参照)がカセッテ制御部174にのみ電力供給を行って、該カセッテ制御部174のみが動作しているスリープ状態である。
【0101】
次に、ユーザは、照射面36を上方に向けた状態で電子カセッテ20Aを撮影台12に配置した後に、電源スイッチ54を投入する。これにより、先ず、カセッテ制御部174は、該カセッテ制御部174に加え、ディスプレイ56、インジケータ66及び通信部176にも電力供給を行うように電源部94を制御する。この結果、ディスプレイ56は、電子カセッテ20Aの起動を画面表示する。また、インジケータ66は、LED等によって電子カセッテ20Aの起動を示す発光を行う。ユーザは、ディスプレイ56の画面表示又はインジケータ66の発光を視認することにより、電子カセッテ20Aが起動したことを把握することができる。さらに、通信部176は、コンソール22との間での無線による信号の送受信が可能となる。
【0102】
次に、ユーザは、コンソール22を操作することにより、撮像対象である被写体14に関わる被写体情報等の撮像条件(例えば、放射線源18の管電圧や管電流、放射線16の曝射時間)を含めた撮影オーダを登録する。なお、撮像枚数や撮像部位や撮像方法が予め決まっている場合に、ユーザは、これらの条件も撮影オーダに含めて登録しておく。前述のように、コンソール22と通信部176との間は、無線による信号の送受信が可能であるため、カセッテ制御部174は、通信部176を介して無線通信によりコンソール22に撮影オーダの送信を要求し、コンソール22は、電子カセッテ20Aからの送信要求に応じて、前記撮影オーダを無線通信により電子カセッテ20Aに送信する。通信部176で受信された前記撮影オーダは、記憶部186に記憶される。
【0103】
次のステップS2において、ユーザ及び電子カセッテ20Aは、撮影準備を行う。
【0104】
この場合、カセッテ制御部174は、ディスプレイ56、インジケータ66、カセッテ制御部174及び通信部176以外の電子カセッテ20A内の各部にも電力供給を行うように、電源部94を制御する。これにより、電源部94からの電力供給を受けたバイアス電源172は、逆バイアス電圧を各光電変換素子140に印加し、該各光電変換素子140は、電荷蓄積が可能な状態に至る。また、カセッテ制御部174は、ゲート駆動回路152を制御して、全てのTFT142をオフ状態とする。
【0105】
一方、ユーザは、放射線源18と放射線変換パネル116との間の距離をSID(線源受像画間距離)に調整すると共に、照射面36に被写体14を配置させて、該被写体14の撮像部位が撮像可能領域40に入り、且つ、該撮像部位の中心位置が撮像可能領域40の中心位置と略一致するように、該被写体14のポジショニングを行う。
【0106】
このようにして撮影準備が完了した後のステップS3において、ユーザがコンソール22又は放射線源18に備わる図示しない曝射スイッチを投入する。コンソール22に曝射スイッチが備わっている場合には、曝射スイッチの投入後、コンソール22から無線通信によって撮像条件が放射線源18に送信される。また、放射線源18に曝射スイッチが備わっている場合には、曝射スイッチの投入後、放射線源18から無線通信によりコンソール22に対して撮像条件の送信が要求され、該コンソール22は、放射線源18からの送信要求に応じて、前記撮像条件を無線通信により放射線源18に送信する。
【0107】
次のステップS4において、放射線源18は、撮像条件を受信すると、該撮像条件に従って、所定の線量からなる放射線16を所定の曝射時間だけ被写体14に照射する。放射線16は、被写体14を透過してハウジング本体30内の放射線変換パネル116に至る。この場合、シンチレーション層118は、放射線16の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層120を構成する各光電変換素子140は、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する。
【0108】
このとき、電子カセッテ20Aの放熱源からの放熱を利用した加熱効果により、放射線変換パネル116の面内の感度分布は略均一となっている。
【0109】
次のステップS5において、カセッテ制御部174は、ゲート駆動回路152を制御して、ゲート駆動回路152から1本のゲート線146に信号読み出し用の電圧(制御信号)を印加させる。これにより、該ゲート線146にゲート電極Gが接続されている全てのTFT142のゲートが開き、これらのTFT142が接続されている各光電変換素子140に蓄積された電荷(図10のpin型の光電変換素子140では電子)が、電気信号として各信号線144にそれぞれ読み出される。各増幅器160は、読み出された電気信号を増幅し、各サンプルホールド回路162は、増幅後の電気信号をサンプリングし、マルチプレクサ164を介してAD変換器166に順次供給する。AD変換器166は、順次供給された電気信号に対するAD変換を行い、デジタル信号に変換する。
【0110】
次のステップS6において、デジタル信号に変換された電気信号に応じた放射線画像は、カセッテ制御部174の画像メモリ182に一旦記憶される。
【0111】
このようにして、1本のゲート線146に接続された各光電変換素子140に対する電気信号(に応じた放射線画像)の読み出しの完了後、カセッテ制御部174は、ゲート駆動回路152を制御して、信号読み出し用の電圧を印加するゲート線146を順次切り替え、切り替えたゲート線146に接続された各光電変換素子140に対する電気信号の読み出しを順次行う。従って、電子カセッテ20Aでは、全てのゲート線146に接続された各光電変換素子140からの放射線画像の読み出しが完了するまで、ステップS5及びS6の処理を繰り返し行う。
【0112】
このようにして、全ての光電変換素子140からの放射線画像の読み出しが完了し、被写体14の放射線画像が画像メモリ182に記憶された後のステップS7において、カセッテ制御部174は、画像メモリ182に記憶された放射線画像をディスプレイ56に表示させると共に、当該放射線画像と、記憶部186に記憶されたカセッテID情報とを共に通信部176を介して無線通信によりコンソール22に送信する。コンソール22は、受信した放射線画像に対して所定の画像処理を行い、画像処理後の放射線画像を無線通信により表示装置24に送信する。表示装置24は、受信した放射線画像を表示する。従って、ユーザは、ディスプレイ56に表示された放射線画像、又は、表示装置24に表示された放射線画像を視認することにより、被写体14に対して撮影オーダに応じた適切な撮像が行われたか否かを容易に判断することができる。
【0113】
そして、ステップS8において、被写体14に対する撮像が完了した場合(ステップS8:YES)、ユーザは、被写体14を解放して撮像を終了させ(ステップS9)、次に、電源スイッチ54を押して、電子カセッテ20Aをスリープ状態に移行させる。その後、ユーザは、電子カセッテ20Aを所定の保管場所まで運搬する(ステップS10)。
【0114】
一方、被写体14に対して複数枚の撮像を行う場合であって、全ての撮像が完了していない場合には(ステップS8:NO)、ステップS2又はステップS3に戻り、次の撮像、又は、次の撮像のための撮影準備が行われる。
【0115】
[第1実施形態に係る放射線撮像装置の効果]
以上のように、電子カセッテ20Aの発熱源と放射線変換パネル116との間を熱的に結合するようにしたので、装置の動作に起因する発熱を利用可能であり、別異の加熱装置が不要となる。また、放射線変換パネル116に対する面接触により、発熱源からの発熱を伝達するようにしたので、放射線変換パネル116の温度分布が略均一となるとともに、放射線変換パネル116の感度分布が略均一となる。これにより、装置全体の重量を増加させることなく、且つ、筐体29内部での発熱に起因する画像ムラの発生を抑制できる。
【0116】
また、前記発熱源には、放射線変換パネル116を作動制御に供される電子部品(駆動用IC124、読出用IC128、及び電子部品132)、及び放射線変換パネル116に電力を供給する電源部94のうち少なくとも一方が含まれてもよい。これにより、装置の通常動作時において、特に発熱量が多い電子部品又は電源部94から受熱するので効率的である。
【0117】
さらに、前記発熱源と放射線変換パネル116との間の熱的な短絡を可能にする第2熱伝達手段をさらに有してもよい。これにより、更に効率的に熱を伝達できる。
【0118】
さらに、第2熱伝達手段は、前記発熱源と放射線変換パネル116との間に介挿された介挿部材216、218、220、及び222であってもよい。これにより、簡易な構成で、放射線変換パネル116に熱を伝達できる。
【0119】
さらに、放射線変換パネル116は、放射線16を他の波長の電磁波に変換するシンチレーション層118と、シンチレーション層118により変換された前記電磁波を放射線画像に変換する光電変換層120とから構成され、放射線変換パネル116は、放射線16の照射側に対して、光電変換層120及びシンチレーション層118の順に配置されてもよい。
【0120】
さらに、シンチレーション層118は、蒸着基板233、242と、蒸着基板233、242上に形成された柱状結晶構造236とを備えてもよい。
【0121】
さらに、柱状結晶構造236は、CsIであってもよい。これにより、光電層の深いトラップに補足された電荷を吐き出させた状態下で、放射線画像を取得することができる。
【0122】
さらに、第1熱伝達手段は、蒸着基板242であることが好ましい。これにより、別異の部材を設けることなく実現できるとともに、熱伝達の効率も良くなる。
【0123】
さらに、第1熱伝達手段は、放射線変換パネル116に対し、放射線16の照射側の反対の面で接触することで、前記発熱源からの発熱を伝達してもよい。これにより、シンチレーション層118に対して直接的に熱を伝達できる。
【0124】
さらに、光電変換層120は、a−Siの光電変換素子140で構成されることが好ましい。これにより、上記した理由により、光電層の浅いトラップに補足された電荷を吐き出させた状態下で、放射線画像を取得することができる。
【0125】
また、放射線変換パネル116の温度分布を略均一化することで、a−Siの光電変換素子140に起因するトラップの発生分布も略均一となる。この電子カセッテ20Aにいわゆる光リセット法を実現する機構を組み込んだ場合、光電変換層120に対するリセット光の照射量を少なくできる。換言すれば、放射線変換パネル116の温度分布を略均一化させることで局所的な温度上昇を抑制可能であり、シンチレーション層118の発光によって光電変換層120に通常形成されるトラップが形成され難くなるので、リセット光の照射量を過度に増やす必要がなく、最小限に留めることができる。特に、動画撮影の際、放射線変換パネル116の温度が高くなる傾向があるので、一層効果的である。
【0126】
なお、上記した光リセット法は、特表2010−525359号公報、特開2007−225598号公報、特願2010−258184号等に記載された方法である。具体的には、放射線16の非照射時(非撮影時)に、光電変換素子140にリセット光を照射して、不純物準位に電荷を予め埋めておき、その後、放射線16の照射時(撮影時)に可視光から変換された電荷が前記不純物準位に補足されないようにすることで、電気ノイズの一因である暗電流の発生量を低減する方法である。
【0127】
[第1実施形態の変形例に係る放射線撮像装置の説明]
続いて、第1実施形態に係る電子カセッテ20Aの変形例(第1〜第4変形例)について、図12〜図14を参照しながら説明する。なお、変形例において本実施形態と同一である構成要素には、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略し、以下同様とする。
【0128】
第1変形例において、電子カセッテ20Aaの発熱源からの熱供給方法が第1実施形態(図5の電子カセッテ20A)と異なる。
【0129】
図12に示すように、筐体29の内壁208(ハウジング本体30の底面46の内壁)には、略全面にわたってシート状の断熱部材250が貼付されている。また、筐体29の内壁252(蓋部材32の内壁)には、略全面にわたってシート状の断熱部材254が貼付されている。さらに、筐体29の内壁256(蓋部材34の内壁)には、略全面にわたってシート状の断熱部材(断熱手段)258が貼付されている。このように、筐体29の外部への放熱を遮断することで、筐体29内部の発熱を更に多く利用可能であり、一層効率的である。特に、筐体29の内壁208(又は、252、256)に断熱部材250(又は、254、258)を設けることで、簡易な構成で、放射線変換パネル116に熱を伝達できる。
【0130】
なお、筐体29の断熱手段はこの方法に限定されず、種々の手法を採ってもよい。また、図12例では、介挿部材218、220、222(図5参照)を省略している。断熱部材250等と併せて、これらの介挿部材218等を配置することで、発熱の利用効率が更に向上する。
【0131】
第2変形例において、放射線変換パネル260(シンチレーション層261)の構成が第1実施形態(図9Bの放射線パネル116)と異なる。
【0132】
図13に示すように、シンチレーション層261は、蒸着基板242、柱状結晶構造236及び防湿保護材238の他、蒸着基板242の基台112側に貼付された高熱伝導性の平板状部材(第1熱伝達手段)262を備える。すなわち、平板状部材262は、放射線変換パネル260(シンチレーション層261)の一面(基台112側の面)と面接触するように構成されている。これにより、簡単な構成で、放射線変換パネル116に対して熱を略均等に伝達できる。蒸着基板242の熱伝導率がそれほど高くない場合において、熱伝達の補助となるので特に効果的である。
【0133】
第3変形例において、発熱源と放射線変換パネル116との間に介挿された介挿部材278を着脱自在に移動させてもよい。
【0134】
図14A及び図14Bに示すように、基台112及び回路基板130の右方(x1方向)には、シリンダ等からなるアクチュエータ(移動手段)270が配置されている。概略円筒状の本体272には、x方向に進退自在に構成されたロッド274が収容されている。ロッド274の先端部276には、立方体状の介挿部材278が固着されている。
【0135】
例えば、図14Aに示す状態下、カセッテ制御部174からの指示に応じて、ロッド274をx2方向に進行させ、所定量以上を変位させると、基台112と回路基板130との間に介挿部材278が介挿される(図14B参照)。一方、図14Bに示す状態下、カセッテ制御部174からの指示に応じて、ロッド274をx1方向に後退させ、所定量以上を変位させると、介挿部材278は、基台112及び回路基板130から離間して取り外される(図14A参照)。
【0136】
このように、介挿部材278を着脱自在に移動させる移動手段(アクチュエータ270)を設けたので、放射線変換パネル116に熱を供給するタイミングを制御できる。特に、少なくとも放射線16による撮像時間内において介挿部材278を介挿することで、放射線変換パネル116の感度特性を安定させることができる。
【0137】
なお、介挿部材278を移動する手段はこれに限定されず、種々の方式を用いてもよい。また、介挿部材278を固定しつつ別の部位を移動することで、介挿部材278を介挿可能に構成しても同様の作用効果が得られる。
【0138】
第4変形例において、温度に依存して応答特性が変化する電子カセッテ20Aの各部位に対して、温度センサを配置し、その検出値に基づいてフィードフォワード制御及び/又はフィードバック制御を行うようにしてもよい。温度センサには、熱電対、サーミスタ等を含む種々の方式のセンサを用いてもよい。例えば、セラミック板上に白金を蒸着した超小型測温抵抗体からなる白金薄膜温度センサを用いてもよい。また、温度センサを配置する部位は、シンチレーション層118、光電変換層120のみならず、その近傍の部位(例えば、基台112、筐体29の内壁等)であってもよい。
【0139】
[第2実施形態に係る放射線撮像装置の説明]
次に、第2実施形態に係る電子カセッテ20Bについて、図15及び図16を参照しながら説明する。
【0140】
第2実施形態に係る電子カセッテ20Bでは、筐体29におけるx2方向側が薄板状の蓋部材32とされ、x1方向側がユーザにより把持可能な把持部300とされている。従って、ユーザは、把持部300の取っ手302を把持した状態で電子カセッテ20Bを運搬することが可能である。また、図16に示すように、図示しないヒンジ部材を中心として蓋部材32を回動させることにより、蓋部材32によって開口部44aを閉塞することができる一方で、開口部44aを開放状態とすることもできる。
【0141】
このように構成される第2実施形態でも、第1実施形態と同様の効果が得られることは勿論である。また、第2実施形態では、蓋部材32を下にした状態で取っ手302を把持して電子カセッテ20Bを運搬するので、運搬中に筐体29を落下させても、蓋部材32のみの損傷で済ませることができる。
【0142】
[第3実施形態に係る放射線撮像装置の説明]
次に、第3実施形態に係る電子カセッテ20Cについて、図17及び図18を参照しながら説明する。
【0143】
第3実施形態に係る電子カセッテ20Cは、筐体29の厚みが全体的に薄く、ハウジング本体30の側面42aが湾曲面となっていると共に、該湾曲面に合わせて、蓋部材32も湾曲形状となっている。この場合、側面42aの中央部は、x1方向に向かって凹み、蓋部材32の中央部は、側面42aの凹部に対応してx1方向に膨出した凸部となっている。この凸部に取っ手304が設けられている。
【0144】
一方、ハウジング本体30のx1方向の2つの角部306(側面42bと、側面42c、42dとを連結する2つの角部)は、ハウジング本体30の中心に向かって凹んでおり、この凹部にはL字状の緩衝部材308が嵌合している。
【0145】
なお、電子カセッテ20Cは、筐体29が薄厚であるため、ディスプレイ56は、照射面36における撮像可能領域40外に配置され、電源スイッチ54、入力端子58、USB端子60及びカードスロット64は、側面42dに配置されている。
【0146】
このように構成される第3実施形態に係る電子カセッテ20Cにおいても、第1及び第2実施形態と同様の効果が得られる。また、第3実施形態では、蓋部材32に取っ手304が設けられているので、蓋部材32を上にした状態で取っ手304を把持して電子カセッテ20Cを運搬することになるが、この場合でも、電子カセッテ20Cを容易に運搬することができる。
【0147】
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0148】
10…放射線撮像システム 16…放射線
20A、20Aa、20B、20C…電子カセッテ
29…筐体 30…ハウジング本体
32、34…蓋部材 94…電源部
110…室 116、260…放射線変換パネル
118、261…シンチレーション層 120…光電変換層
124…駆動用IC 128…読出用IC
130…回路基板 132…電子部品
216、218、220、222、278…介挿部材
230、242…蒸着基板 236…柱状結晶構造
250、254、258…断熱部材 262…平板状部材
270…アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルを備える放射線撮像装置であって、
前記放射線撮像装置の発熱源と前記放射線変換パネルとの間を熱的に結合し、前記放射線変換パネルに対する面接触により、前記発熱源からの発熱を伝達する第1熱伝達手段を有することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の放射線撮像装置において、
前記発熱源には、前記放射線変換パネルの作動制御に供される電子部品、及び前記放射線変換パネルに電力を供給する電源部のうち少なくとも一方が含まれることを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項3】
請求項2記載の放射線撮像装置において、
前記第1熱伝達手段は、前記放射線変換パネルの一面と面接触する平板状部材であることを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線撮像装置において、
前記発熱源と前記放射線変換パネルとの間の熱的な短絡を可能にする第2熱伝達手段をさらに有することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項5】
請求項4記載の放射線撮像装置において、
前記第2熱伝達手段は、前記発熱源と前記放射線変換パネルとの間に介挿された介挿部材であることを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項6】
請求項5記載の放射線撮像装置において、
前記介挿部材を着脱自在に移動させる移動手段をさらに有することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項7】
請求項6記載の放射線撮像装置において、
前記移動手段は、少なくとも前記放射線による撮像時間内において前記介挿部材を介挿することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射線撮像装置において、
前記放射線変換パネルは、前記放射線を他の波長の電磁波に変換するシンチレーション層と、該シンチレーション層により変換された前記電磁波を前記放射線画像に変換する光電変換層とから構成され、
前記放射線変換パネルは、前記放射線の照射側に対して、前記光電変換層及び前記シンチレーション層の順に配置されることを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項9】
請求項8記載の放射線撮像装置において、
前記シンチレーション層は、基板と、該基板上に形成されたシンチレータ結晶とを備えることを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項10】
請求項9記載の放射線撮像装置において、
前記シンチレータ結晶は、CsIからなることを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の放射線撮像装置において、
前記第1熱伝達手段は、前記基板であることを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか1項に記載の放射線撮像装置において、
前記第1熱伝達手段は、前記放射線変換パネルに対し、前記放射線の照射側の反対の面で接触することで、前記発熱源からの発熱を伝達することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の放射線撮像装置において、
前記光電変換層は、a−Siの光電変換素子で構成されることを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の放射線撮像装置において、
前記筐体の外部への放熱を遮断する断熱手段をさらに有することを特徴とする放射線撮像装置。
【請求項15】
請求項14記載の放射線撮像装置において、
前記断熱手段は、前記筐体の内壁に設けられた断熱部材であることを特徴とする放射線撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−202735(P2012−202735A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65293(P2011−65293)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】