説明

放射線撮影用カセッテ

【課題】曲げ剛性が高く、耐衝撃性に優れた放射線画像撮影用カセッテを提供する。
【解決手段】放射線画像記録媒体と、放射線画像記録媒体を支持する基台と、前記放射線画像記録媒体及び前記基台を収納する筐体と、を備え、前記筐体は、放射線が入射する天板部及び該天板部の縁部にその全周に亘って立設された側壁部を有し、これらの天板部及び側壁部が同一の材料によって一体に形成されたフロント部材と、前記フロント部材の底部開口に蓋をするバック部材と、を含み、前記基台は、前記フロント部材に固定されている放射線撮影用カセッテ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影用カセッテに関する。
【背景技術】
【0002】
X線を用いた撮影は、医療診断や非破壊検査等の分野において広く普及している。一般的なX線撮影においては、被写体にX線を照射し、被写体の各部において減衰を受けて該被写体を透過したX線を検出し、その強度分布に基づいて被写体のX線画像を得ている。
【0003】
X線画像記録媒体としては、例えば、X線に露光されることにより蛍光を発する増感紙とこの蛍光に感光するフイルムとを組み合わせたものや、X線に露光されることによってX線の強度分布を潜像として蓄積し、後にレーザー光等の励起光を照射されることによって潜像に応じた蛍光を発する輝尽性蛍光体(蓄積性蛍光体)パネルが用いられている。
【0004】
また、X線画像記録媒体として、近年では、X線を検出して電気信号に変換する半導体素子を用いてデジタル画像データを生成するフラットパネル検出器(FPD:Flat Panel Detector)も用いられている。
【0005】
そして、X線撮影には、上記のX線画像記録媒体が可搬型の筐体に収納されて構成された、いわゆるカセッが広く用いられている。
この種のカセッテは、その使用形態から荷重や衝撃に晒されることが多い。そして、精密電子機器である放射線変換パネル、電子部品及び回路基板が筐体内に収納されているので、外部から荷重を受けても、前記放射線変換パネル、前記電子部品及び前記回路基板に前記荷重の影響が及ばないような筐体の構造が求められている。また、外部からの荷重に対する剛性(耐衝撃性)の確保に加え、軽量化及び薄型化も求められている。
【0006】
荷重や衝撃からX線画像記録媒体を保護すべく、例えば、筐体とX線画像記録媒体との隙間に緩衝材が設けられる。
また、X線画像記録媒体を収納する筐体は、例えば、略矩形板状の天板部材及び底板部材、並びにこれら接合するフレーム部材によって構成されるが、特許文献1及び2に記載されたカセッテにおいては、堅牢性を高める筐体構造が採用されている。
【0007】
特許文献1に記載されたカセッテにおいて、筐体は、略矩形状の天板部及び天板部の四辺の縁部に立設されたフレーム部を有するフロント部材と、フロント部材の底部開口を塞ぐバック部材とで構成されている。そして、フロント部材を構成する天板部及びフレーム部が樹脂材料によって一体に形成されており、それによりフロント部材の強度が高められ、重量の増加を抑えながら変形を防止することが提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開2010−039267号公報
【特許文献2】特開2009−300757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されたカセッテにおいて、フロント部材の天板部及びフレーム部をは一体に形成されている。かかる構成によれば、フロント部材の全体としての曲げ剛性及びねじり剛性は高まるが、被写体の荷重が負荷される天板部の撓みの抑制は十分ではなく、天板部の撓みによって、天板部に対向して配置されるX線画像記録媒体に荷重や衝撃が負荷される虞があった。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、耐荷重性及び耐衝撃性に優れた放射線画像撮影用カセッテを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1) 放射線画像記録媒体と、
放射線画像記録媒体を支持する基台と、
前記放射線画像記録媒体及び前記基台を収納する筐体と、
を備え、
前記筐体は、放射線が入射する天板部及び該天板部の縁部にその全周に亘って立設された側壁部を有し、これらの天板部及び側壁部が同一の材料によって一体に形成されたフロント部材と、前記フロント部材の底部開口に蓋をするバック部材と、を含み、
前記基台は、前記フロント部材に固定されている放射線撮影用カセッテ。
(2) 放射線画像記録媒体と、
放射線画像記録媒体を支持する基台と、
前記放射線画像記録媒体及び前記基台を収納する筐体と、
を備え、
前記筐体は、放射線が入射する天板部及び該天板部の縁部にその全周に亘って立設された側壁部を有し、これらの天板部及び側壁部が同一の材料によって一体に形成されたフロント部材と、前記フロント部材の底部開口に蓋をするバック部材と、を含み、
前記基台は、前記天板部に固定されている放射線撮影用カセッテ。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、放射線画像撮影用カセッテのフロント部材は、天板部及び側壁部が同一の材料によって一体に形成され、さらに、放射線画像記録媒体を支持する基台がフロント部材に固定されている。それにより、フロント部材のねじり剛性及び曲げ剛性を向上すると共に、天板部の撓みも抑制され、筐体の耐荷重性及び耐衝撃性が高まる。よって、筐体に収納される放射線画像記録媒体を確実に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態を説明するための、放射線撮影用カセッテの一例の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】FPDの構成を示す図である。
【図3】放射線撮影用カセッテ1の構成を断面において示す図である。
【図4】図1の放射線撮影用カセッテ1を裏面から見た斜視図である。
【図5】図4のX−X’における断面図である。
【図6】天板部が荷重により撓む様子を模式的に示す図である。
【図7】図4のY−Y’における断面図である。
【図8】放射線撮影用カセッテ1における保持部材の変形例を示す図である。
【図9】放射線撮影用カセッテ1における保持部材の変形例を示す図である。
【図10】放射線撮影用カセッテ1における保持部材の変形例を示す図である。
【図11】放射線撮影用カセッテ1における保持部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、放射線撮影用カセッテの一例の構成を分解して示す。
【0016】
X線撮影用カセッテ1は、X線画像記録媒体としてのFPD2、FPD2を支持する基台3、FPD2に動作電力を供給するバッテリーパック(図示せず)、FPD2及び基台3を収納し、またバッテリーパックが装着される筐体4と、を備えている。
【0017】
筐体4は、略矩形状の天板部10及び天板部10の四辺の縁部に立設された枠状の側壁部11を有するフロント部材12と、フロント部材12の底部開口を塞ぐバック部材13とで構成されている。フロント部材12及びバック部材13が互いに組み合わされることにより、遮光された箱型の閉空間が形成され、FPD2及び基台3は、閉空間に収納されている。
【0018】
被写体を透過したX線は、フロント部材12の天板部10を透過して、筐体内部に収納されたFPD2に入射する。天板部10は、強度重量比などを考慮して、典型的にはアルミニウムやマグネシウムなどの軽金属材料が用いられるが、これらの軽金属材料よりもX線透過率に優れる炭素繊維強化樹脂(CFRP:carbon fiber reinforced plastics)などの樹脂材料が好適に用いられる。
【0019】
そして、本例の放射線撮影用カセッテ1においては、フロント部材12の側壁部11は、天板部10と同一の材料によって一体に形成されている。天板部10及び側壁部11が一体に形成されることによって、フロント部材12の強度が向上し、特に天板部10のねじれに対する耐性が向上する。
【0020】
天板部10及び側壁部11を形成する材料として、上記のアルミニウムやマグネシウムを用いる場合には、例えばダイカスト成形により、また、炭素繊維強化樹脂を用いる場合には、例えば圧縮成形、射出成形又は射出プレス成形により、天板部10及び側壁部11を一体に形成することができる。
【0021】
天板部10及び側壁部11が一体に形成されることにより、フロント部材12は、図示の例のように、その四隅の角部に面取りが施し易くなる。また、天板部10の面及び側壁部11の面により構成される角部の面取りも施し易くなる。カセッテが、寝台とその上に横臥した被写体(患者)との間に差し込まれる際に、上記の面取りが施されていることにより、被写体との引っ掛かりが防止される。
【0022】
なお、バック部材13についても、強度重量比などを考慮して、例えば、アルミニウムやマグネシウムなどの軽金属材料や、CFRPなどの樹脂材料を用いて形成することができ、フロント部材12と同一の材料によって形成されることが好ましい。フロント部材12及びバック部材13が、同一の材料によって形成されることにより、膨張率を同程度にすることができ、放射線撮影用カセッテ1の反りを防止することができる。
【0023】
図2は、FPD2の構成を示す。
【0024】
FPD2は、X線を電荷に変換して蓄積する複数の画素20が、アクティブマトリクス型の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)アレイ基板上に2次元状に配列されてなる受像部21と、受像部21からの電荷の読み出しタイミングを制御する走査回路22と、各画素20に蓄積された電荷を読み出し、読み出された電荷を画像データに変換して記憶する信号処理回路23と、画像データを外部機器に送信するデータ送信回路24とから構成されている。走査回路22と各画素20とは、行毎に走査線25によって接続されており、信号処理回路23と各画素20とは、列毎に信号線26によって接続されている。
【0025】
各画素20は、アモルファスセレン等の変換層(図示せず)でX線を電荷に直接変換し、変換された電荷を変換層の下部の電極に接続されたキャパシタに蓄積する直接変換型の素子として構成することができる。なお、各画素は、酸化ガドリニウム(Gd)やヨウ化セシウム(CsI)等からなるシンチレータ(図示せず)でX線を一旦可視光に変換し、変換された可視光をフォトダイオード(図示せず)で電荷に変換して蓄積する間接変換型のX線検出素子として構成することも可能である。
【0026】
各画素20には、TFTスイッチ素子(図示せず)が接続され、TFTスイッチのゲート電極が走査線25に、ソース電極がキャパシタに、ドレイン電極が信号線26にそれぞれ接続される。TFTスイッチが走査回路からの駆動パルスによってON状態になると、キャパシタに蓄積された電荷が信号線に読み出される。
【0027】
信号処理回路23は、積分アンプ回路、A/D変換器、補正回路、及び画像メモリ(いずれも図示せず)により構成されている。積分アンプ回路は、各画素から信号線を介して出力された電荷を積分して電圧信号(画像信号)に変換して、A/D変換器に入力する。A/D変換器は、入力された画像信号をデジタルの画像データに変換して補正回路に入力する。補正回路は、画像データに対して、オフセット補正やゲイン補正などの補正処理を行い、補正後の画像データを画像メモリに記憶させる。
【0028】
以上の各画素及び各回路には、前記バッテリーパックを含む電源部から動作電力が供給される。
【0029】
図3は、放射線撮影用カセッテ1の構成を断面において示す。
【0030】
FPD2は、天板部10に対向する基台3表面に受像部を、また、基台裏面に走査回路22や信号処理回路23などが実装された回路基板28(図1参照)を、それぞれ取り付けられて基台3に支持されている。受像部21と回路基板28とは、フレキシブル回路基板を用いて接続されている。
【0031】
基台3は、比較的剛性に優れる基材30を含んで構成され、図示の例においては、さらに基台裏面に取り付けられる回路基板をX線から遮蔽するためのX線遮蔽材31、及び緩衝材32が、基台の上にこの順に積層されて構成されている。なお、基台3の構成は、上記の積層材の積層構造に限られるものではなく、基材30のみによって構成されていてもよいし、あるいは回路基板に生じる熱を分散させる高熱伝導材等の他の積層材を含んで構成されていてもよい。
回路基板21とフロント部材12の間には緩衝材を設けることもできる。荷重による回路基板21の破損を防ぐためである。
【0032】
基材30としては、強度重量比を考慮して、例えば、アルミニウムやマグネシウムなどの軽金属材料や、CFRPなどの炭素繊維を含有する樹脂材料を用いることができ、炭素繊維を含有する樹脂によって形成されることが好ましい。
また、X線遮蔽材31としては、例えば、鉛やタングステンやモリブデンなどのX線吸収能に優れる重金属材料を用いることができる。
緩衝材32としては、例えば、シリコン系やウレタン系の発泡材などの衝撃吸収能に優れる樹脂材料が好ましい。
【0033】
放射線撮影用カセッテ1において、基台3は、フロント部材12に固定されている。以下、図4〜図6を参照して、基台3の固定構造を説明する。
【0034】
図4は放射線撮影用カセッテ1を裏側から見た分解斜視図である。図5は図4のX−X’における断面図である。図6は天板部10が荷重により撓む様子を示す模式図である。
【0035】
図4において、フロント部材12には、天板部10との間に隙間をおいて基台3を固定する、複数の基台固定用の台座5が設けられている。これらの台座5は、側壁部11に沿って適宜な間隔をおいて設けられている。各台座5は、天板部10に固着された保持部材52と、この保持部材52に保持されたナット53とで構成されている。
【0036】
図5において、保持部材52は、樹脂材料からなり、フロント部材12にインサート成形され、天板部10に固着されている。ナット53は、保持部材52の座面に埋め込まれて、保持部材52に保持されている。なお、フロント部材12に対するナット53の固定は、上記の保持部材52に限られず、例えば接着や溶着によって固定することもできる。
【0037】
基台3は、各台座5のナット53、及びこのナット53と対をなすネジ51を用いて、フロント部材12の天板部10に締結されている。
【0038】
このように、基台3がフロント部材12に固定されることにより、基台3とフロント部材12とで閉じられた箱型形状が構成される。それにより、フロント部材12の天板部10の撓みを抑制することができる。特に、基台3がフロント部材12の天板部10に固定されていることにより、天板部10の撓みを、より確実に抑制することができる。
【0039】
図示の例において、基台3の固定箇所は、四隅の角部、及び各辺に沿った縁部の中央部に設けられている。天板部10が撓む際に、その撓み量hは、典型的には、天板部10の対角を結ぶ線上が最も大きくなり、よって、基台3の四隅の角部を天板部10の四隅の角部に固定することによって、天板部10の撓みを効果的に抑制することができる。また、天板部10が撓む際に、側壁部11の倒れを伴って各辺の縁部が内側に変位し、その変位量lは、典型的には縁部の中央部が最も大きくなるため、基台3の各辺の縁部の中央部を天板部10の各辺の縁部の中央部に固定することにより、上記の変位を規制して天板部10の撓みを効果的に抑制することができる。ただし、基台3の固定箇所は、図示の例に限られるものではない。
【0040】
基台3は、天板部10に比べて剛性が高いことが好ましい。基台3の剛性が天板部10の剛性よりも高いことにより、天板部10の撓みをより確実に抑制することができる。例えば、基台3を構成する基材30及び天板部10は、いずれも炭素繊維を含有する樹脂によって形成することができる。基材30及び天板部10がこのように同一の材料で形成される場合に、基材30の厚みを天板部10の厚みよりも厚くすることで、基材30を含んで構成される基台3の剛性を、天板部10に比べて高くすることができる。
【0041】
一般に、カセッテは規格によって定められた外形サイズとされ、その制約下においてFPD2等を収容する筐体内部の容積をなるべく多く確保するため、フロント部材12は比較的薄く形成される。そのようにして容積を確保された筐体内部に収納される基台3は、フロント部材12に比較して、その厚みを大きく取り易い。
【0042】
本X線撮影用カセッテ1においては、バック部材13もまた、天板部10に形成されている。以下、図4及び図7を参照して、バック部材13の固定構造について説明する。
図7は図4のY−Y’における断面図である。
【0043】
フロント部材12には、天板部10との間に隙間をおいて基台3を固定する、複数のバック部材固定用の台座6が設けられている。これらのバック部材固定用台座6は、隣り合う基台固定用台座5の間に適宜設けられている。各台座6は、天板部10に固着された保持部材62と、この保持部材62に保持されたナット63とで構成されている。
保持部材62は、樹脂材料からなり、フロント部材12にインサート成形され、天板部10に固着されている。ナット63は、保持部材62の座面に埋め込まれて、保持部材62に保持されている。
【0044】
バック部材固定用台座6の座面の天板部10からの高さは、基台固定用台座5の座面の高さよりも高くなっており、基台3には、バック部材固定用台座6を通すための切り欠き部33が設けられている。
【0045】
バック部材13は、各台座6のナット63、及びこのナット63と対をなすネジ61を用いて、天板部10に締結されている。
【0046】
このように、バック部材13がフロント部材12の天板部10に固定されることにより、天板部10の撓みを、より確実に抑制することができる。
【0047】
また、図7に示す例では、バック部材13は、フロント部材12の底部開口に没入している。これにより、バック部材13の端面に対して平滑化処理などの端面処理を行う必要がなくなり、製造工程が簡素化される。
【0048】
図8及び図9は、放射線撮影用カセッテ1における保持部材52の変形例である。
【0049】
基台3をフロント部材12に固定するためのナット53を保持する保持部材52の各々は、上記の通りフロント部材12にインサート成形されており、これらの保持部材52と一体に、フロント部材12の側壁部11の全周に亘ってその縁部及び外面を覆う保護部55を設けることもできる。保護部55により、側壁部11の耐摩耗性や難燃性を向上させることができ、放射線撮影用カセッテ1の強度を増すことができる。
【0050】
保護部55を形成する樹脂材料としては、熱可塑性樹脂が挙げられ、加工性、耐熱性、及び弾性に優れることから熱可塑性ポリエステルエラストマーやガラス繊維入り樹脂が好ましい。
【0051】
図9に示す例においては、さらに、保護部55が、天板部10の面及び側壁部11の面により構成される角部を経て天板部10の一部を覆うように設けられている。これにより、放射線撮影用カセッテの角部が患者に直接当たることがなくなる。また、角部にかかる力を分散することができ、放射線撮影用カセッテの強度を増すことができる。
【0052】
なお、フロント部材12、バック部材13及び保護部55は、例えばクリア塗料等の塗料により塗装を施してもよい。耐摩耗性を向上させるためである。
【0053】
図10は、放射線撮影用カセッテ1における保持部材52の変形例を示す。尚、上述した放射線撮影用カセッテ1と共通する要素には、同一符号を付することによって、説明を省略ないし簡略する。
図10に示す例においては、フロント部材12における側壁部11に、その内面から外面に達する少なくとも一つの貫通孔56が設けられており、保護部55は、貫通孔56の各々を通して、側壁部11の内面に係合している。かかる構成により、強い衝撃やねじれに対しても保護部55及びこれと一体の保持部材52がフロント部材12より剥がれ落ちることが防止される。
【0054】
また、図11は、放射線撮影用カセッテ1の、フロント部材12における側壁部11の内面及び外面の少なくとも一方に切り欠きを有する態様を示す図である。尚、上述した放射線撮影用カセッテ1と共通する要素には、同一符号を付することによって、説明を省略ないし簡略する。
【0055】
図11に示す例においては、フロント部材12における側壁部11の内面及び外面の少なくとも一方に切り欠き57を設け、保護部55をフロント部材12に係合させている。切り欠き57は、側壁部11の内面及び外面の少なくとも一方の全周にわたって設けてもよく、一部に設けてもよい。かかる構成により、強い衝撃やねじれに対しても保護部55及びこれと一体の保持部材52がフロント部材12より剥がれ落ちることが防止される。
【0056】
また、放射線撮影用カセッテ1の他の態様として、保持部材52は、フロント部材12における側壁部11の内面及び外面の少なくとも一方側に接する面に爪を有していても良い。該爪及び前記切り欠き57により、フロント部材12と保持部材52とを係合させてもよい。
【0057】
以上の説明においては、X線画像記録媒体としてFPDを用いた場合について説明したが、X線画像記録媒体としては、X線に露光されることにより蛍光を発する増感紙とこの蛍光に感光するフイルムとを組み合わせたものや、X線に露光されることによってX線の強度分布を潜像として蓄積し、後にレーザー光等の励起光を照射されることによって潜像に応じた蛍光を発する輝尽性蛍光体(蓄積性蛍光体)パネルであってもよい。
【0058】
また、放射線として一般的なX線を用いる場合について説明したが、本発明はX線に限られるものではなく、α線、γ線等のX線以外の放射線を用いることも可能である。
【0059】
以上、説明したように、本明細書には、下記〔1〕から〔11〕の放射線撮影用カセッテが開示されている。
〔1〕
放射線画像記録媒体と、
放射線画像記録媒体を支持する基台と、
前記放射線画像記録媒体及び前記基台を収納する筐体と、
を備え、
前記筐体は、放射線が入射する天板部及び該天板部の縁部にその全周に亘って立設された側壁部を有し、これらの天板部及び側壁部が同一の材料によって一体に形成されたフロント部材と、前記フロント部材の底部開口に蓋をするバック部材と、を含み、
前記基台は、前記フロント部材に固定されている放射線撮影用カセッテ。
〔2〕
〔1〕に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記基台は、前記天板部に固定されている放射線撮影用カセッテ。
〔3〕
〔2〕に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記天板部及び前記基台は、略矩形状に形成されており、
前記基台は、少なくとも四隅の角部において前記天板部に固定されている放射線撮影用カセッテ。
〔4〕
〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記基台は、前記天板部に比べて剛性が高い放射線撮影用カセッテ。
〔5〕
〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記バック部材は、前記天板部に固定されている放射線撮影用カセッテ。
〔6〕
〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記フロント部材と前記基台との固定箇所の各々は、一対の締結部材によって締結されており、
前記一対の締結部材の一方は、前記フロント部材にインサート成形された樹脂材料からなる保持部材によって保持されている放射線撮影用カセッテ。
〔7〕
〔6〕に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記保持部材は、前記側壁部の全周に亘ってその縁部及び外面を覆う保護部を有している放射線撮影用カセッテ。
〔8〕
〔7〕に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記側壁部には、その内面から外面に達する少なくとも一つの貫通孔が設けられており、
前記保護部は、前記貫通孔の各々を通して、前記側壁部の内面に係合している放射線撮影用カセッテ。
〔9〕
〔1〕から〔8〕のいずれか一項に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記バック部材は、前記フロント部材の底部開口に没入している放射線撮影用カセッテ。
〔10〕
〔1〕から〔9〕のいずれか一項に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記フロント部材は、炭素繊維を含有する樹脂によって形成された放射線撮影用カセッテ。
〔11〕
〔1〕から〔10〕のいずれか一項に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記基台は、炭素繊維を含有する樹脂によって形成された放射線撮影用カセッテ。
【符号の説明】
【0060】
1 放射線撮影用カセッテ1
2 FPD
3 基台
4 筐体
5、6 台座
10 天板部
11 側壁部
12 フロント部材
13 バック部材
20 画素
21 受像部
22 走査回路
23 信号処理回路
24 データ送信回路
25 走査線
26 信号線
30 基材
31 X線遮蔽材
32 緩衝材
33 切り欠き部
51 ネジ
52、62 保持部材
53、63 ナット
55 保護部
56 貫通孔
57 切り欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像記録媒体と、
放射線画像記録媒体を支持する基台と、
前記放射線画像記録媒体及び前記基台を収納する筐体と、
を備え、
前記筐体は、放射線が入射する天板部及び該天板部の縁部にその全周に亘って立設された側壁部を有し、これらの天板部及び側壁部が同一の材料によって一体に形成されたフロント部材と、前記フロント部材の底部開口に蓋をするバック部材と、を含み、
前記基台は、前記フロント部材に固定されている放射線撮影用カセッテ。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記基台は、前記天板部に固定されている放射線撮影用カセッテ。
【請求項3】
請求項2に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記天板部及び前記基台は、略矩形状に形成されており、
前記基台は、少なくとも四隅の角部において前記天板部に固定されている放射線撮影用カセッテ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記基台は、前記天板部に比べて剛性が高い放射線撮影用カセッテ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記バック部材は、前記天板部に固定されている放射線撮影用カセッテ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記フロント部材と前記基台との固定箇所の各々は、一対の締結部材によって締結されており、
前記一対の締結部材の一方は、前記フロント部材にインサート成形された樹脂材料からなる保持部材によって保持されている放射線撮影用カセッテ。
【請求項7】
請求項6に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記保持部材は、前記側壁部の全周に亘ってその縁部及び外面を覆う保護部を有している放射線撮影用カセッテ。
【請求項8】
請求項7に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記側壁部には、その内面から外面に達する少なくとも一つの貫通孔が設けられており、
前記保護部は、前記貫通孔の各々を通して、前記側壁部の内面に係合している放射線撮影用カセッテ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記バック部材は、前記フロント部材の底部開口に没入している放射線撮影用カセッテ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記フロント部材は、炭素繊維を含有する樹脂によって形成された放射線撮影用カセッテ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の放射線撮影用カセッテであって、
前記基台は、炭素繊維を含有する樹脂によって形成された放射線撮影用カセッテ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−76783(P2013−76783A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215632(P2011−215632)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】