説明

放射線検出器およびその製造方法

【課題】光電子増倍管側と反対側にシンチレーションファイバ内を進行した光を効率よく光電子増倍管に集光し、また放射線入射位置と光電子増倍管との距離による検出感度のばらつきを少なくした放射線検出器を提供する。
【解決手段】放射線が入射すると蛍光を発する面状に配線したシンチレーションファイバ1を使用した放射線検出器であって、平行な2つの直線部、これらの直線部の一端同士を互いに結合するU字型の折り返し部を有するシンチレーションファイバからなるU字型帯状配線部分(2,3)と、前記U字型帯状配線部分の各直線部の他端に光学的に結合された光電子増倍管部(7)とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原子力炉施設、核燃料施設、核燃料再処理施設、放射性同位元素使用施設、放射線発生装置使用施設等において、放射性表面汚染モニタ等に使用される放射線検出器およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の放射線検出器として、複数のシンチレーションファイバを揃えて帯状とし、その片端を結束して光電子増倍管に光学的に接続し、前記帯状シンチレーションファイバの測定面と反対面に外部放射線を遮蔽する板状の遮蔽フレームを備え、測定面には遮光膜を備え、更に、遮蔽フレーム及び遮光膜の帯状シンチレーションファイバと対向する面には光反射層を備えた構成のものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3242756号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の放射線検出器においては、光電子増倍管側と反対側にシンチレーションファイバ内を進行した光を光電子増倍管側と反対側の端面で反射させて光電子増倍管側に戻しているが、戻らない光があるため集光効率が低いという問題があった。また、シンチレーションファイバ内部での光の減衰の影響から、放射線入射位置と光電子増倍管との距離により、検出感度がばらつくという問題があった。さらに、帯状に配列したシンチレーションファイバの各シンチレーションファイバ同士の隙間が不感部になるという問題もあった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、光電子増倍管側と反対側にシンチレーションファイバ内を進行した光を効率よく光電子増倍管に集光し、また放射線入射位置と光電子増倍管との距離による検出感度のばらつきを少なくし、さらには帯状に配列したシンチレーションファイバの各シンチレーションファイバ同士の隙間の不感部を解消できる帯状の可とう性を有する放射線検出器およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、放射線が入射すると蛍光を発する面状に配線したシンチレーションファイバを使用した放射線検出器であって、平行な2つの直線部、これらの直線部の一端同士を互いに結合するU字型の折り返し部を有するシンチレーションファイバからなるU字型帯状配線部分と、前記U字型帯状配線部分の各直線部の他端に光学的に結合された光電子増倍管部と、を備えたことを特徴とする放射線検出器にある。
【発明の効果】
【0007】
この発明では、光電子増倍管側と反対側にシンチレーションファイバ内を進行した光を効率よく光電子増倍管に集光し、また放射線入射位置と光電子増倍管との距離による検出感度のばらつきを少なくした放射線検出器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を各実施の形態について図に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の一実施の形態による放射線検出器である帯状可とう性放射線検出器の構成を示す図、図2、3は製造方法を説明するための図、また図4は図1のA−A線での概略断面図である。帯状可とう性放射線検出器10は、可とう性基板4に接着されたシンチレーションファイバ1からなる第1のU字型帯状配線部2と第2のU字型帯状配線部3が組み込まれて構成される。各U字型帯状配線部2、3は、横並びに揃えて並べられた柔軟性を有する複数のシンチレーションファイバ1が、平行な2つの長い直線部と、これらの直線部の一端同士を互いに結合する同一平面内で曲げられたU字型の折り返し部と、直線部の他端が束ねられた束線部5からなる。束線部5は、図2、3で後述するように、可とう性基板4から飛び出した(可とう性基板の端辺を超えた)シンチレーションファイバ1のU字型の折り返し部を切断、切除し束ねた部分であり、その端面を平面になるよう加工したものである。
【0009】
遮光膜6は、第1のU字型帯状配線部2、第2のU字型帯状配線部3、可とう性基板4および束線部5を内包するようにして周囲の光から遮光する。測定対象がβ線の場合、遮光膜6はβ線が透過するように特に薄い材質、例えば、マイラーシートにアルミを蒸着したシートを2枚重ねとした1mg/cm以下の薄い膜を用いる。放射線の入射によりシンチレーションファイバ1の内部で発した蛍光は、束線部5から光電子増倍管7に入射する。光電子増倍管7は入射した蛍光を電子に変換し、電子の数を増幅して電流パルスとして出力する。前置増幅器8は、その電流パルスを電圧パルスに変換し、増幅して出力する。光検出部ケース9は、光電子増倍管7と前置増幅器8を収納して外来の電磁ノイズ及び周囲の光を遮蔽する。帯状可とう性放射線検出器10は上記1〜9で構成され、放射線を検出すると電圧パルス信号を出力する。
【0010】
なお、第1のU字型帯状配線部2、第2のU字型帯状配線部3はU字型帯状配線部分、光電子増倍管7は光電子増倍管部を構成する。
【0011】
図2は、帯状可とう性放射線検出器の特にU字型帯状配線部の製造方法について説明するための図である。柔軟性を有するシンチレーションファイバ1は、断面が円形または正方形であり、直径または一辺が0.1〜0.5mmで、放射線が入射すると蛍光を発するプラスチックシンチレータで構成される。直径または一辺が小さい場合はβ線感度に対してγ線感度は無視できるために、β線検出器として効果的である。また、直径または一辺が小さいほうが最小曲げ半径を小さくすることが可能となる。
【0012】
一方、直径または一辺が大きい場合は、β線とγ線が測定できる。可とう性基板4は、例えば可とう性のプラスチックシートに粘着剤または接着剤を塗布して基板としたものである。この可とう性基板4の上にシンチレーションファイバ1を、2辺が平行で両端をU字型に折り返し、片側のU字型の折り返しが可とう性基板4の端辺を超えて延びるようにU字型の内側から外側に、または外側から内側に、密集して帯状に配線し、第1のU字型帯状配線部2を形成する。第1のU字型帯状配線部2の内側でシンチレーションファイバ1の許容曲げ半径以下の未配線の部分について、第1のU字型帯状配線部2の帯状面からずらして未配線の部分を埋めるように、第2のU字型帯状配線部3を、片側のU字型の折り返しが可とう性基板4の端辺を超えて延びるように形成して所望の面積とする。配線後、可とう性基板4から飛び出したシンチレーションファイバ1を束ねて端面が平面になるようにして切断する。
【0013】
ここで図2の第1のU字型帯状配線部2と第2のU字型帯状配線部3となる細長い丸形のシンチレーションファイバ1の部分の製造方法として、図2に示すように、粘着剤又は接着剤が塗布された可とう性基板4上に、平行な2つの長い直線部とこれらの両端のU字型の折り返し部からなりU字型の折り返し部の曲率半径が徐々に大きくなる細長い丸形の柔軟性を有する複数のシンチレーションファイバをトラック形状に、かつ一方のU字型の折り返し部とこれに続く両直線部の一部が可とう性基板4の端辺を超えた位置になるように配置する方法と、図3に示すように、粘着剤又は接着剤が塗布された可とう性基板4上に、柔軟性を有する1本のシンチレーションファイバを、平行な2つの長い直線部とこれらの両端のU字型の折り返し部からなる細長い丸形に、かつ一方の前記U字型の折り返し部とこれに続く両直線部の一部が可とう性基板4の端辺を超えた位置になるように巻回する方法がある。なお図3の場合、第1のU字型帯状配線部2と第2のU字型帯状配線部3の2つ分を1本のシンチレーションファイバ1を巻回することで形成している。
【0014】
図5は、シンチレーションファイバ1を可とう性基板4に配線する時において、U字型面内側のシンチレーションファイバ1の許容曲げ半径以下の未配線面を埋める他の配線方法について説明するもので、図1では第1のU字型帯状配線部2の直線部の一部の上に第2のU字型帯状配線部3のU字型の折り返し部の一部が重なるように配線するのに対して、図5は第1のU字型帯状配線部2のU字型の折り返し部の一部に第2のU字型帯状配線部3のU字型の折り返し部の一部が重なるように配線するものである。
【0015】
図6は、U字型に配線されたシンチレーションファイバ1における光の伝達を模式的に示す図で、シンチレーションファイバ1に放射線が入射して生じた蛍光は、U字型の折り返し部で全反射して伝達され、光電子増倍管7の光電面71に入射する。
【0016】
このように、U字型に折り返したシンチレーションファイバで、集光側と反対側に進行した蛍光を効率良く集光側に戻すことができる。集光率を向上することにより同じエネルギーの放射線に対するパルス信号の波高値が高くなるため、S/N比が改善される。さらに、シンチレーションファイバ両端に届いた光を両方とも検出するため、発光箇所から光電子増倍管までの合計移動距離が一定となり、シンチレーションファイバ内部での光の減衰の影響がほぼ一定となるため、放射線入射位置と光電子増倍管との距離による検出感度のばらつきを少なくすることが可能である。またシンチレーションファイバ内の光の減衰の影響、光電子増倍管から放射線入射箇所までの距離による、検出感度のばらつきを少なくすることが可能となる。
【0017】
また、上述のように配線することにより、従来手作業で行っていたシンチレーションファイバの配線を自動化できる。特に細径シンチレーションファイバを使用した場合、径に反比例して本数ひいては工数が増加するが、自動化することにより配線工数を大幅に削減でき、細径シンチレーションファイバを使用することによりバックグラウンドを低下させた帯状可とう性放射線検出器が、配線を自動化することにより低コストで実現できる。また、光電子増倍管7の反対側にシンチレーションファイバ内を進行した蛍光をU字型部で方向を変えて戻すことにより効率よく光電子増倍管に集光できるため、高感度の放射線モニタが実現できる。
【0018】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では束線部5を1つにして、1つの光電子増倍管7に光学接続させるようにしたが、図7はU字型に配線したシンチレーションファイバ1の往路と復路でそれぞれ束線部5aと5bを設ける。すなわち、直線部の光電子増倍管側の端が直線部毎に束ねられ、さらに2つのU字型帯状配線部2,3のそれぞれの一方の直線部からの束線部と、それぞれの他方の直線部からの束線部とが束ねられ、それぞれに光電子増倍管7aと7bを光学接続し、それぞれを前置増幅器8aと8bに接続し、光検出部ケース9aに光電子増倍管7aと前置増幅器8aを収納し、光検出部ケース9bに光電子増倍管7bと前置増幅器8bを収納し、それぞれの出力を受ける測定部側(図示せず)で同時計数できるように出力を備えた2チャンネル型帯状可とう性放射線検出器10aを示す。同時計数処理により、光電子増倍管の単一故障ノイズを除去することが可能となり、光電子増倍管のノイズレベルに近接したレベルまで、または、そのノイズレベル領域に入り込んで低エネルギー放射線を測定することが可能になり、検出感度を高めることができる。
【0019】
実施の形態3.
また、上記実施の形態1では、可とう性基板4の材質が一般的なプラスチックシートの場合について述べたが、図8に示すように、原子番号が大きくかつ密度の大きい金属、例えば原子番号74のタングステン、原子番号82の鉛などの金属粉を練りこんだプラスチックシートを使用することにより、面状に配線したシンチレーションファイバ1の各シンチレーションファイバ同士の隙間を通過した放射線β線を、金属粉含有可とう性基板41で後方散乱させ、シンチレーションファイバ1に後方から入射させることが可能となり、β線に対する検出感度を高めることができる。
【0020】
すなわち、シンチレーションファイバを貼り付ける可とう性基板として、原子番号が大きくかつ密度の大きい金属粉を練りこんだプラスチックから成るβ線散乱シートを使用することにより、β線散乱シートに貼り付けたシンチレーションファイバの谷間をすり抜けたβ線を、β線散乱シートで後方散乱させ、シンチレーションファイバに後方から入射させることが可能となり、β線を高感度で測定できる。
【0021】
実施の形態4.
前記実施の形態では帯状可とう性放射線検出器10の構造およびその製造方法について述べたが、実施の形態4では帯状可とう性放射線検出器10の使用実例について図9から図11を用いて説明する。図9に示すように、帯状可とう性放射線検出器10の端部に、ファスナー11を備えたものとする。実際には例えば、遮光膜6の両側の長辺端部や可とう性基板4の背面側(シンチレーションファイバ1がない側)の両側の長辺の縁側にファスナー11を設ける。ファスナー11は例えばジッパーやその他の凹部と凸部の勘合等により結合力を得るものからなる
【0022】
放射能汚染の程度を測定する測定対象物12がある程度の大きさである場合、あるいは測定対象物12の大きさがいつも同程度の寸法と定まらない場合は、図10に示すように帯状可とう性放射線検出器10を複数枚使用し、複数枚を使用する場合は帯状可とう性放射線検出器10の両端に設けられたファスナー11で、隣り合う帯状可とう性放射線検出器10同士を連結する。両端に位置する帯状可とう性放射線検出器10の2枚は片端を、その他は両側を他の帯状可とう性放射線検出器10で連結し、複数枚の帯状可とう性放射線検出器10で構成したシートが出来上がる。
【0023】
このように測定対象物12の大きさを完全に覆うことができるように帯状可とう性放射線検出器10の連結シートの大きさを複数枚連結することにより調整して使用する。汚染防止シート13を帯状可とう性放射線検出器10と測定対象物12の間に設けることにより、帯状可とう性放射線検出器10を測定対象物12が粉末や液体である場合の飛散や漏洩等による放射能汚染から保護することができ、さらに帯状可とう性放射線検出器10を介した放射能汚染拡大を防止することが可能である。なお、ファスナー11連結部にはシンチレーションファイバ1は存在しないが、ファスナー11の幅の不感帯は放射線測定に影響しない程度の面積とするか、後述する図12の面ファスナーのようにファスナー11を取り付けて、ファスナー11上にシンチレーションファイバ1が重なる部分を設けるようにして不感帯を無くすものとする。
【0024】
また、ファスナー11付きの帯状可とう性放射線検出器10は複数枚の場合だけに限り効果を奏する発揮するものではなく、例えば図11に示すように、放射性物質を含む流体が流れる配管のγ線測定のように測定対象物12が管状である場合に、帯状可とう性放射線検出器10のもつ自己の両端のファスナー11同士を結合することにより、ほぼ全方向測定が可能となる。この際も、必要に応じて汚染防止シート13により帯状可とう性放射線検出器10を放射能汚染から保護する。なお、測定対象物12が管状の場合には測定物の周囲長さに合わせた幅を持つ帯状可とう性放射線検出器10を準備できればよく、帯状可とう性放射線検出器10が管状の測定対象物12の大きさに合わない場合であっても、図10のように帯状可とう性放射線検出器10を複数枚連結したうえで、両端のファスナー11を結合すれば、管状の測定対象物12の径の大きさによらず放射能測定が可能となる。ファスナー11による結合は結合力が非常に強いため、測定対象物12の体積膨張がある場合等の連結強度が要求される環境でも使用でき、充分に放射能測定が可能である。
【0025】
実施の形態5.
前記実施の形態4では帯状可とう性放射線検出器10の両端にファスナー11を設けて連結してシート状にすると、測定対象物12の寸法に合わせた放射能測定を実現することができることについて述べたが、実施の形態5では図12を用いて、連結手段がファスナー11ではなく、一般にはマジックテープ(登録商標)等と呼ばれている面ファスナー14を適用した場合について述べる。
【0026】
図12の(b)に示すように、面ファスナー14には連結面にフックを有する面ファスナーフック面141と連結面にループを有する面ファスナーループ面142面があり、それを押し付けることにより連結される。図12の(a)に示すように帯状可とう性放射線検出器10の両端(実際には遮光膜6の両側の長辺端部や可とう性基板4の背面側(シンチレーションファイバ1がない側)の両側の長辺の縁側)に面ファスナーフック面141と面ファスナーループ面142を等間隔に複数箇所または帯状可とう性放射線検出器10の長さをもつ面ファスナーフック面141と面ファスナーループ面142面(図示省略)を設けて、ファスナー11と同等の連結効果を示し、放射能測定においても同等の効果を示す。
【0027】
このように、面ファスナー14の付いた帯状可とう性放射線検出器10を用いれば図10及び図11に示した形態と同様に配置することが可能となり、実施の形態4で述べた効果と同等の効果を奏する。面ファスナー14はこのように、面ファスナーフック面141と面ファスナーループ面142を押さえつけるだけで簡単に連結させることができ、また、簡単に剥がせるため、面ファスナー14付きの帯状可とう性放射線検出器10は実施の形態4に比べて迅速に測定対象物12に帯状可とう性放射線検出器10を設置して迅速な放射能測定が必要な場合に適している。また、ファスナー11が例えばプラスチックではなく金属である場合、測定対象物12が金属腐食性物質の場合、または金属腐食性物質を放出するものである場合、さらには金属腐食性物質が存在する環境にて放射能測定を実施する必要がある場合には不向きであるが、このような環境である場合でもプラスチック製の面ファスナー14付きの帯状可とう性放射線検出器10は適合する。
【0028】
実施の形態6.
上記実施の形態4と実施の形態5では、可とう性基板4の背面側等にファスナー11または面ファスナー14を備えて、帯状可とう性放射線検出器10を測定対象物の大きさや形状に合わせて、載せたり巻いたりして放射線を測定する場合等について述べたが、実施の形態6は、図13に示すように、帯状可とう性放射線検出器10をU字型に曲げて間に挿入された手の両面の放射能を測定できるようにしたものである。図13は内部の様子を示す断面図である。帯状可とう性放射線検出器10は例えば平行部がU曲部より長いU字形状に曲げられたU字形状になるようにフレーム15の内壁に面ファスナー14等により固定されている。これにより、簡素な構成で手の汚染を高感度で測定できる経済的に優れた装置を得ることができる。
【0029】
実施の形態7.
上記実施の形態6では、帯状可とう性放射線検出器10をU字型に曲げて手の両面の放射能を測定できるようにした場合について述べたが、実施の形態7は、図14に示すように、帯状可とう性放射線検出器10を、片面が長く、もう一方の面が短くなるようにJ字形状に曲げ、長い面を足の裏面側に、短い面を足の甲側として足の両面の放射能を同時に測定できるようにしたものである。
【0030】
帯状可とう性放射線検出器10は床17に置いて使用する。この時、足を載せた場合、体重が帯状可とう性放射線検出器10に直接かかるのを防ぐために足載せ台16を併用する。図14は内部の様子を示す断面図、図15はフレーム15を取り除いて帯状可とう性放射線検出器10の部分を上から見た上面図である(図15では足は省略されている)。帯状可とう性放射線検出器10は例えばJ字形状になるようにフレーム15の内壁に面ファスナー14等により固定されている。また足載せ台16は足の裏面側の放射能を効率良く検出するために、図15に示すように体重を受ける面をメッシュ状の構造にしている。このような簡単な構成で足の裏面および甲側の汚染を高感度で測定できる経済的に優れた装置を得ることができる。
【0031】
なお、上記各実施の形態では帯状の可とう性を有する放射線検出器として説明したが、必ずしも可とう性を有したり、帯状(直線部が長いこと)である必要はない。またこの発明は、上記各実施の形態の可能な組合せを含むことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の実施の形態1による放射線検出器である帯状可とう性放射線検出器の構成を示す図である。
【図2】この発明による放射線検出器の特にU字型帯状配線部の製造方法を説明するための図である。
【図3】この発明による放射線検出器の特にU字型帯状配線部の別の製造方法を説明するための図である。
【図4】図1の帯状可とう性放射線検出器の断面図である。
【図5】この発明による放射線検出器の特にU字型帯状配線部の別の製造方法を説明するための図である。
【図6】この発明による放射線検出器のU字型に配線されたシンチレーションファイバにおける光の伝達を模式的に示す図である。
【図7】この発明の実施の形態2による放射線検出器である帯状可とう性放射線検出器の構成を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態3による放射線検出器である帯状可とう性放射線検出器の可とう性基板の構成を説明するための図である。
【図9】この発明の実施の形態4による放射線検出器である帯状可とう性放射線検出器の構成を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態4による帯状可とう性放射線検出器の使用例を模式的に示した図である。
【図11】この発明の実施の形態4による帯状可とう性放射線検出器の別の使用例を模式的に示した図である。
【図12】この発明の実施の形態5による放射線検出器である帯状可とう性放射線検出器の構成を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態6による放射線検出器である帯状可とう性放射線検出器の構成を示す断面図である。
【図14】この発明の実施の形態7による放射線検出器である帯状可とう性放射線検出器の構成を示す断面図である。
【図15】図14の帯状可とう性放射線検出器の様子を示す上面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 シンチレーションファイバ、2 第1のU字型帯状配線部、3 第2のU字型帯状配線部、4 可とう性基板、5,5a,5b 束線部、6 遮光膜、7,7a,7b 光電子増倍管、8,8a,8b 前置増幅器、9,9a,9b 光検出部ケース、10,10a 帯状可とう性放射線検出器、11 ファスナー、12 測定対象物、13 汚染防止シート、14 面ファスナー、15 フレーム、16 足載せ台、17 床、41 金属粉含有可とう性基板、71 光電面、141 面ファスナーフック面、142 面ファスナーループ面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線が入射すると蛍光を発する面状に配線したシンチレーションファイバを使用した放射線検出器であって、平行な2つの直線部、これらの直線部の一端同士を互いに結合するU字型の折り返し部を有するシンチレーションファイバからなるU字型帯状配線部分と、前記U字型帯状配線部分の各直線部の他端に光学的に結合された光電子増倍管部と、
を備えたことを特徴とする放射線検出器。
【請求項2】
U字型帯状配線部分が、横並びに揃えて並べられた柔軟性を有する複数のシンチレーションファイバが、平行な2つの直線部、これらの直線部の一端同士を互いに結合する同一平面内で曲げられたU字型の折り返し部、および前記直線部の他端が束ねられた束線部を有するように構成された少なくとも1つのU字型帯状配線部からなり、前記U字型帯状配線部が放射線β線を散乱させる金属紛を含む可とう性基板上に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
U字型帯状配線部分と可とう性基板を内包する遮光膜を備えたことを特徴とする請求項2に記載の放射線検出器。
【請求項4】
2つのU字型帯状配線部が、一方のU字型帯状配線部の内側の未配線部分を他方のU字型帯状配線部の直線部で埋めるように配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の放射線検出器。
【請求項5】
U字型帯状配線部分が2つのU字型帯状配線部からなり、前記束線部では前記直線部の他端が直線部毎に束ねられ、光電子増倍管部が前記2つのU字型帯状配線部のそれぞれの一方の直線部からの束線部と、それぞれの他方の直線部からの束線部とがさらにそれぞれに束ねられて光学的に結合された2つの光電子増倍管からなることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項6】
可とう性基板の両側の長辺端部又は背面側の両側の長辺の縁に、互いに連結するため又は他の放射線検出器と連結するためのファスナー又は面ファスナーを設けたことを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項7】
平行部がU曲部より長いU字形状に曲げられ、間に挿入された手の放射線を検出することを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項8】
一方の面が他面より長いJ字形状に曲げられ、長い方が足の裏面に面するようにして間に挿入された足の放射線を検出することを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項9】
横並びに揃えて並べられた柔軟性を有する複数のシンチレーションファイバが、平行な2つの直線部、これらの直線部の一端同士を互いに結合する同一平面内で曲げられたU字型の折り返し部、および前記直線部の他端が束ねられた束線部を有するように面状に配線されたU字型帯状配線部を備えた放射線検出器の製造方法であって、
粘着剤又は接着剤が塗布された可とう性基板上に、柔軟性を有する1本のシンチレーションファイバを、平行な2つの直線部とこれらの両端のU字型の折り返し部からなる細長い丸形に、かつ一方の前記U字型の折り返し部とこれに続く両直線部の一部が前記可とう性基板の端辺を超えた位置になるように巻回する工程と、
前記可とう性基板の端辺を超えた位置にあるシンチレーションファイバを束ねて端面が平面になるようにして前記可とう性基板の端辺を超えた位置にある前記U字型の折り返し部を切除する工程と、
を備えたことを特徴とする放射線検出器の製造方法。
【請求項10】
横並びに揃えて並べられた柔軟性を有する複数のシンチレーションファイバが、平行な2つの直線部、これらの直線部の一端同士を互いに結合する同一平面内で曲げられたU字型の折り返し部、および前記直線部の他端が束ねられた束線部を有するように面状に配線されたU字型帯状配線部を備えた放射線検出器の製造方法であって、
粘着剤又は接着剤が塗布された可とう性基板上に、平行な2つの直線部とこれらの両端のU字型の折り返し部からなりU字型の折り返し部の曲率半径が徐々に大きくなる細長い丸形の柔軟性を有する複数のシンチレーションファイバをトラック形状に、かつ一方の前記U字型の折り返し部とこれに続く両直線部の一部が前記可とう性基板の端辺を超えた位置になるように配置する工程と、
前記可とう性基板の端辺を超えた位置にあるシンチレーションファイバを束ねて端面が平面になるようにして前記可とう性基板の端辺を超えた位置にある前記U字型の折り返し部を切除する工程と、
を備えたことを特徴とする放射線検出器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−343144(P2006−343144A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167169(P2005−167169)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】