説明

放射線治療システム

【課題】治療用放射線の線量をより高精度に制御すること。
【解決手段】高周波源5に対して移動可能に支持される支持体14、81と、支持体14、81に対して移動可能に支持される治療用放射線照射装置16と、高周波源5から治療用放射線照射装置16に高周波を伝送する導波管8とを備えている。治療用放射線照射装置16は、その高周波を用いて治療用放射線23を生成する。導波管8は、支持体14、81に固定される第1固定導波管73と、治療用放射線照射装置16に固定される第2固定導波管85と、第1固定導波管73と第2固定導波管85との間に介設されるフレキシブル導波管86、87とを備えている。フレキシブル導波管86、87は、ロータリージョイントに比較して、伝送損失と反射影響が十分に小さく、放射線治療システム1は、その高周波の伝送効率の変動を小さくし、治療用放射線23のエネルギーの変動を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療システムに関し、特に、患部に放射線を照射することにより患者を治療するときに利用される放射線治療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
患部(腫瘍)に治療用放射線を照射することにより患者を治療する放射線治療が知られている。その治療用放射線としては、制動放射により生成される放射線が例示される。その放射線治療は、治療効果が高いことが望まれ、その放射線は、患部の細胞に照射される線量に比較して、正常な細胞に照射される線量がより小さいことが望まれている。その患部の位置を追尾し、その位置に治療用放射線を照射する放射線治療装置が知られている。治療用放射線の線量をより高精度に制御し、治療用放射線が照射される部位をより高精度に制御することが望まれている。
【0003】
特開2005−033463号公報には、機械的精度が要求されるチョーク構造を不要とし、それにより、円形導波管内での電磁波の減衰を抑制するとともに、円形導波管からの放電の虞も低減できるようにした導波管ロータリージョイントが開示されている。その導波管ロータリージョイントは、回転結合部を有し両端部が軸心線周りに相対回転可能な円形導波管の各端部に方形導波管が接合された導波管ロータリージョイントにおいて、入力側方形導波管内をTE10モードで伝送される電磁波を上記入力側方形導波管と上記円形導波管との接合部でTE01モードに変換して上記円形導波管内を伝送し、上記円形導波管と出力側方形導波管との接合部で上記電磁波を再びTE01モードからTE10モードに変換して上記出力側方形導波管に出力することを特徴としている。
【0004】
特許3746744号公報には、優れた治療性能を有する放射線治療装置が開示されている。その放射線治療装置は、電子銃、線形加速器及びターゲットからなる治療用放射線発生部と同治療用放射線発生部を首振りさせるジンバル機構を有する照射ヘッドと、この照射ヘッドを予め定めた球面座標上で支持し且つ移動させる支持移動機構と、前記照射ヘッドに供給すべきマイクロ波を発生する、静止位置に配置されるマイクロ波発振器と、一端部が前記マイクロ波発振器に電磁気的に接続され、他端部が前記線形加速器に電磁気的に接続される導波管部とを具備する放射線治療装置において、前記ジンバル機構に搭載される前記導波管部の導波管と、前記マイクロ波発振器からの前記導波管部の導波管とを、フレキシブル導波管により連結したことを特徴としている。
【0005】
特開昭62−206798号公報には、加速器本体に超小型、軽量の加速管を搭載し、マイクロ波源とを自在導波管で接合する等ことにより、小型で安価な精度の高い線形加速装置が開示されている。その線形加速器は、線形加速器本体とそのマイクロ波源とを伸縮折曲げ自在な導波管で回転及び上下自由に接合したことを特徴としている。
【0006】
特公昭51−7389号公報には、接続器全体の構成を小型化し、軸心合せを容易ならしめると共に更に回転角度範囲の増大を可能ならしめる回転型導波管接続器が開示されている。その回転型導波管接続器は、固定側円板とこれに重なる回転側円板との互に対向する面に回転軸心と同心に互に対向する複数個の環状凹溝を設けて複数個の環状導波管路を形成し、両円板の各環状凹溝の一部に電磁波の出入する導波管接続口を設けると共に各環状凹溝の前記導波管接続口に隣接する壁面に当該導波管路を遮断する仕切りを突設して該管路内の電磁波進行方向を規制することを特徴としている。
【0007】
実開昭52−18073号公報には、コバルト60などのラジオアイソトープの線源容器を患者のまわりに回転させながら治療を行う回転形放射線治療装置が開示されている。その回転形放射線治療装置は、線源容器を患者のまわりに回転させる機構とこの回転中心軸と平行な軸上において前記容器を前後左右に回転させる機構ならびに照射野の回転機構を有する放射線治療装置において、前記容器の各運動に対する回転体とそれに対する静止体のいずれか一方に回転体が特定の定常位置にあるかどうかを感知するカムを、他方にこれにより作動される2個のスイッチを設け、このスイッチを前記各機構駆動用電動機Mの制御回路に付加すると共にこれら各制御回路は前記両スイッチの作動状態に応じて前記各回転体の復帰時の回転方向を規制すると共に各回転体がそれぞれの定常位置まで復帰回転したとき自動的にこの位置で停止するように構成してなる。
【0008】
【特許文献1】特開2005−033463号公報
【特許文献2】特許3746744号公報
【特許文献3】特開昭62−206798号公報
【特許文献4】特公昭51−7389号公報
【特許文献5】実開昭52−18073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、治療用放射線の線量をより高精度に制御する放射線治療システムを提供することにある。
本発明の他の課題は、治療用放射線のエネルギー(エネルギー分布)の変動を低減する放射線治療システムを提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、被検体の一部を追尾して治療用放射線を照射するときに、その治療用放射線の線量をより高精度に制御する放射線治療システムを提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、治療用放射線が照射される位置を補正するときに、その治療用放射線の線量をより高精度に制御する放射線治療システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0011】
本発明による放射線治療システム(1)は、高周波源(5)に対して移動可能に支持される支持体(14、81)(102)(133)(153)(184)と、支持体(14、81)(102)(133)(153)(184)に対して移動可能に支持される治療用放射線照射装置(16)(135)(155)(187)と、高周波源(5)から治療用放射線照射装置(16)(135)(155)(187)に高周波を伝送する導波路を形成する導波管(8)(141)(171)(191)とを備えている。治療用放射線照射装置(16)(135)(155)(187)は、その高周波を用いて治療用放射線(23)(139)(166)(189)を生成する。導波管(8)(141)(171)(191)は、支持体(14、81)(102)(133)(153)(184)に固定される第1固定導波管(73)(143)(173)(192)と、治療用放射線照射装置(16)(135)(155)(187)に固定される第2固定導波管(85)(105)(111)(144)(174)(195)と、第1固定導波管(73)(143)(173)(192)と第2固定導波管(85)(105)(111)(144)(174)(195)との間に介設されるフレキシブル導波管(86、87)(106、107)(112)(146)(176)(194)とを備えている。フレキシブル導波管(86、87)(106、107)(112)(146)(176)(194)は、一般に、他の変形可能な導波管(たとえば、ロータリージョイント)に比較して、伝送損失が十分に小さく、かつ、反射影響が十分に小さい。このため、このような放射線治療システム(1)は、導波管(8)(141)(171)(191)が高周波を伝送する伝送効率の変動を小さくすることができる。この結果、このような放射線治療システム(1)は、高周波源(5)に対する治療用放射線照射装置(16)(135)(155)(187)の移動による治療用放射線(23)(135)(155)(187)のエネルギー(エネルギー分布)の変動を低減することができ、治療用放射線(23)(135)(155)(187)の線量をより高精度に制御することができる。
【0012】
本発明による放射線治療システム(1)は、被検体(43)の運動を検出する運動検出装置(16、24、25、31、32、33)と、支持体(14、81)(102)(133)(153)(184)に対して治療用放射線照射装置(16)(135)(155)(187)を移動させる駆動装置(15)(136)(156)(188)と、被検体(43)の一部が移動しても治療用放射線(23)が一部に照射されるように、その運動に基づいて駆動装置(15)(136)(156)(188)を制御する放射線治療装置制御装置(2)とをさらに備えている。支持体(14、81)(102)(133)(153)(184)に対する治療用放射線照射装置(16)(135)(155)(187)の移動は、その一部を追尾して治療用放射線(23)(139)(166)(189)を照射するために、利用されることが好ましい。
【0013】
運動検出装置(16、24、25、31、32、33)は、被検体(43)を透過した放射線により透過画像を撮像するイメージャシステム(16、24、25、31、32、33)を含んでいる。このとき、放射線治療装置制御装置(2)は、被検体(43)の一部が移動しても治療用放射線(23)がその一部に照射されるように、その透過画像に被検体(43)の所定部位が映し出される位置に基づいて駆動装置(15)(136)(156)(188)を制御する。支持体(14、81)(102)は、イメージャシステム(16、24、25、31、32、33)をさらに支持する。すなわち、フレキシブル導波管(86、87)(106、107)(112)は、イメージャシステム(16、24、25、31、32、33)に対する治療用放射線照射装置(16)の移動のために利用されることが好ましい。
【0014】
本発明による放射線治療システム(1)は、支持体(14、81)(102)(133)(153)(184)の位置を検出する位置検出装置と、支持体(14、81)(102)(133)(153)(184)に対して治療用放射線照射装置(16)(135)(155)(187)を移動させる駆動装置(15)(136)(156)(188)と、支持体(14、81)(102)(133)(153)(184)が移動しても治療用放射線(23)(139)(166)(189)が1つの点に照射されるように、その位置に基づいて駆動装置(15)(136)(156)(188)を制御する放射線治療装置制御装置(2)をさらに備えている。支持体(14、81)(102)(133)(153)(184)に対する治療用放射線照射装置(16)(135)(155)(187)の移動は、高周波源(5)に対する支持体(14、81)(102)(133)(153)(184)の移動による治療用放射線(23)(139)(166)(189)の照射位置の変動を補正するために、利用されることが好ましい。
【0015】
治療用放射線照射装置(16)は、回転軸(21)(22)を中心に支持体(14、81)に対して回転可能に支持される。フレキシブル導波管(86)(87)は、回転軸(21)(22)上に配置される。このような配置は、フレキシブル導波管(86)(87)の撓み吸収性を活用する点で好ましい。フレキシブル導波管(86)(87)は、さらに、フレキシブル導波管(86)(87)が形成する導波路が回転軸(21)(22)に垂直になるように配置されることが好ましい。このような配置は、さらに、治療用放射線照射装置(16)の回転運動を滑らかにし、位置決めを容易にするために好ましい。
【0016】
フレキシブル導波管(86)(87)は、断面が矩形に形成されている。このとき、フレキシブル導波管(86)(87)は、その矩形の短い方の辺が回転軸(21)(22)に垂直になるように、その矩形の長い方の辺が回転軸(21)(22)に平行になるように配置されている。このような配置は、さらに、治療用放射線照射装置(16)の回転運動を滑らかにし、位置決めを容易にするために好ましい。
【0017】
本発明による放射線治療システム(1)は、支持体(14、81)に対して第1軸(22)を中心に回転可能に支持される中間体(82)をさらに備えている。治療用放射線照射装置(16)は、中間体(82)に対して第2軸(21)を中心に回転可能に支持される。フレキシブル導波管(86、87)は、中間体(82)に固定される第3固定導波管(84)と、第1固定導波管(73)と第3固定導波管(84)との間に介設される第1フレキシブル導波管(86)と、第3固定導波管(84)と第2固定導波管(85)との間に介設される第2フレキシブル導波管(87)とを備えている。第1フレキシブル導波管(86)は、第1軸(22)上に配置される。第2フレキシブル導波管(87)は、第2軸(21)上に配置される。このとき、フレキシブル導波管(86、87)の長さ中央付近に回転軸(22、21)が来るように配置することが望ましい。このような放射線治療システム(1)は、治療用放射線(23)の向きを3次元的に変換することができ、第1フレキシブル導波管(86)と第2フレキシブル導波管(87)との撓み吸収性を活用する点で好ましい。このような配置は、さらに、治療用放射線照射装置(16)の回転運動を滑らかにし、位置決めを容易にするために好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明による放射線治療システムは、高周波源に対して治療用放射線照射装置が移動するときに、導波管が高周波を伝送する伝送効率の変動を小さくすることができる。この結果、本発明による放射線治療システムは、治療用放射線照射装置の移動による治療用放射線のエネルギー(エネルギー分布)の変動を低減することができ、治療用放射線の線量をより高精度に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図面を参照して、本発明による放射線治療システムの実施の形態を記載する。その放射線治療システム1は、図1に示されているように、放射線治療装置制御装置2と放射線治療装置3とクライストロン5とを備えている。放射線治療装置制御装置2は、パーソナルコンピュータに例示されるコンピュータである。放射線治療装置制御装置2は、双方向に情報を伝送することができるように放射線治療装置3に接続されている。クライストロン5は、所定の電力の高周波を生成し、導波管8を介してその高周波を放射線治療装置3に出力する。なお、クライストロン5は、他の高周波源に置換することができる。その高周波源としては、マグネトロン、多極管が例示される。
【0020】
図2は、放射線治療装置3を示している。放射線治療装置3は、旋回駆動装置11とOリング12と走行ガントリ14と首振り機構15と治療用放射線照射装置16とを備えている。旋回駆動装置11は、回転軸17を中心に回転可能にOリング12を土台に支持し、放射線治療装置制御装置2により制御されて回転軸17を中心にOリング12を回転させ、土台に対するOリング12の旋回角を出力する。回転軸17は、鉛直方向に平行である。Oリング12は、回転軸18を中心とするリング状に形成され、回転軸18を中心に回転可能に走行ガントリ14を支持している。回転軸18は、鉛直方向に垂直であり、回転軸17に含まれるアイソセンタ19を通る。回転軸18は、さらに、Oリング12に対して固定され、すなわち、Oリング12とともに回転軸17を中心に回転する。走行ガントリ14は、回転軸18を中心とするリング状に形成され、Oリング12のリングと同心円になるように配置されている。放射線治療装置3は、さらに、図示されていない走行駆動装置を備えている。その走行駆動装置は、放射線治療装置制御装置2により制御されて回転軸18を中心に走行ガントリ14を回転させ、Oリング12に対する走行ガントリ14の走行角を出力する。
【0021】
首振り機構15は、走行ガントリ14のリングの内側に固定され、治療用放射線照射装置16が走行ガントリ14の内側に配置されるように、治療用放射線照射装置16を走行ガントリ14に支持している。首振り機構15は、パン軸21およびチルト軸22を有している。チルト軸22は、走行ガントリ14に対して固定され、回転軸18に交差しないで回転軸18に平行である。パン軸21は、チルト軸22に直交している。首振り機構15は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、パン軸21を中心に治療用放射線照射装置16を回転させ、チルト軸22を中心に治療用放射線照射装置16を回転させる。
【0022】
治療用放射線照射装置16は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、治療用放射線23を放射する。治療用放射線23は、パン軸21とチルト軸22とが交差する交点を通る直線に概ね沿って放射される。治療用放射線23は、一様強度分布を持つように形成されている。治療用放射線23は、さらに、一部が遮蔽されて治療用放射線23が患者に照射されるときの照射野の形状が制御されている。
【0023】
治療用放射線23は、このように治療用放射線照射装置16が走行ガントリ14に支持されることにより、首振り機構15で治療用放射線照射装置16がアイソセンタ19に向かうように一旦調整されると、旋回駆動装置11によりOリング12が回転し、または、その走行駆動装置により走行ガントリ14が回転しても、常に概ねアイソセンタ19を通る。即ち、走行・旋回を行うことで任意方向からアイソセンタ19に向けて治療用放射線23の照射が可能になる。
【0024】
放射線治療装置3は、さらに、複数のイメージャシステムを備えている。すなわち、放射線治療装置3は、診断用X線源24、25とセンサアレイ32、33とを備えている。診断用X線源24は、走行ガントリ14に支持されている。診断用X線源24は、走行ガントリ14のリングの内側に配置され、アイソセンタ19から診断用X線源24を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鋭角になるような位置に配置されている。診断用X線源24は、放射線治療装置制御装置2により制御されてアイソセンタ19に向けて診断用X線35を放射する。診断用X線35は、診断用X線源24が有する1点から放射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。診断用X線源25は、走行ガントリ14に支持されている。診断用X線源25は、走行ガントリ14のリングの内側に配置され、アイソセンタ19から診断用X線源25を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とがなす角が鋭角になるような位置に配置されている。診断用X線源25は、放射線治療装置制御装置2により制御されてアイソセンタ19に向けて診断用X線36を放射する。診断用X線36は、診断用X線源25が有する1点から放射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。
【0025】
センサアレイ32は、走行ガントリ14に支持されている。センサアレイ32は、診断用X線源24により放射されてアイソセンタ19の周辺の被写体を透過した診断用X線35を受光して、その被写体の透過画像を生成する。センサアレイ33は、走行ガントリ14に支持されている。センサアレイ33は、診断用X線源25により放射されてアイソセンタ19の周辺の被写体を透過した診断用X線36を受光して、その被写体の透過画像を生成する。センサアレイ32、33としては、FPD(Flat Panel Detector)、X線II(Image Intensifier)が例示される。
【0026】
このようなイメージャシステムによれば、センサアレイ32、33により得た画像信号に基づき、アイソセンタ19を中心とする透過画像を生成することができる。
【0027】
放射線治療装置3は、さらに、センサアレイ31を備えている。センサアレイ31は、センサアレイ31と治療用放射線照射装置16とを結ぶ線分がアイソセンタ19を通るように配置されて、走行ガントリ14のリングの内側に固定されている。センサアレイ31は、治療用放射線照射装置16により放射されてアイソセンタ19の周辺の被写体を透過した治療用放射線23を受光して、その被写体の透過画像を生成する。センサアレイ31としては、FPD(Flat Panel Detector)、X線II(Image Intensifier)が例示される。
【0028】
放射線治療装置3は、さらに、カウチ41とカウチ駆動装置42とを備えている。カウチ41は、放射線治療システム1により治療される患者43が横臥することに利用される。カウチ41は、図示されていない固定具を備えている。その固定具は、その患者が動かないように、その患者をカウチ41に固定する。カウチ駆動装置42は、カウチ41を土台に支持し、放射線治療装置制御装置2により制御されてカウチ41を移動させる。
【0029】
図3は、治療用放射線照射装置16を示している。治療用放射線照射装置16は、電子ビーム加速装置51とX線ターゲット52と1次コリメータ53とフラットニングフィルタ54と線量計61と2次コリメータ55とマルチリーフコリメータ56とを備えている。電子ビーム加速装置51は、電子を加速して生成される電子ビーム57をX線ターゲット52に照射する。X線ターゲット52は、高原子番号材(タングステン、タングステン合金等)から形成され、電子ビーム57が照射された際の制動放射により生成される放射線59を放出する。放射線59は、X線ターゲット52が内部に有する点である仮想的点線源58を通る直線に概ね沿って放射される。1次コリメータ53は、高原子番号材(鉛、タングステン等)から形成され、所望の部位以外に放射線59が照射されないように放射線59を遮蔽する。フラットニングフィルタ54は、アルミニウム等から形成され、概ね円錐形の突起が形成される板に形成されている。フラットニングフィルタ54は、その突起がX線ターゲット側に面するように配置される。フラットニングフィルタ形状は、本フラットニングフィルタを通過した後に、その放射方向に垂直である平面の所定領域における線量が概ね一様に分布するように形成される。2次コリメータ55は、高原子番号材(鉛、タングステン等)から形成され、放射線60が所望の部位以外に照射されないように放射線60を遮蔽する。このようにして形成された一様強度分布を持つ放射線60は、放射線治療装置制御装置2により制御を受けたマルチリーフコリメータ56により、一部が遮蔽されて、別途構築した治療計画に基づく性状である治療用放射線23を生成することになる。すなわち、マルチリーフコリメータ56は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、放射線60の一部を遮蔽して治療用放射線23が患者に照射されるときの照射野の形状を制御する。
【0030】
線量計61は、透過する放射線の強度を測定する透過型電離箱であり、放射線60が透過するように、1次コリメータ53と2次コリメータ55との間に配置されている。線量計61は、透過する放射線60の線量を測定し、その線量を放射線治療装置制御装置2に出力する。このような線量計61は、非破壊的検証可能である点で好ましい。なお、線量計61は、透過型電離箱と異なる他のX線強度検出器を適用することもできる。そのX線強度検出器としては、半導体検出器、シンチレーション検出器が例示される。半導体検出器またはシンチレーション検出器は、透過型電離箱のように放射線軌道上に代替設置することが困難であるためにその軌道外に配置することが好ましく、たとえば、アイソセンタ19を隔てて治療用放射線照射装置16に対向する位置に配置されるように走行ガントリ14に固定される。電離箱は、一般に、時定数が数秒程度であり、応答性が悪い。半導体検出器またはシンチレーション検出器は、軌道外に配置されるときに電離箱より信号強度が低いという欠点があるが、電離箱より応答性がよくなり、好ましい。
【0031】
電子ビーム加速装置51は、電子線発生部63と加速管64とを備えている。電子線発生部63は、カソード66とグリッド67とを備えている。加速管64は、円筒形に形成され、その円筒の内部に適切な間隔で並ぶ複数の電極68を備えている。放射線治療装置3は、さらに、カソード電源70とグリッド電源69とを備えている。カソード電源70は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、カソード66が加熱されてカソード66から所定の量の電子が放出されるように(すなわち、カソード66が所定の温度で維持されるように)、カソード66に電力を供給する。グリッド電源69は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、電子線発生部63から所定の量の電子だけが放出されるように、グリッド67とカソード66との間に所定の電圧を印加する。クライストロン5は、導波管8を介して加速管64に接続されている。クライストロン5は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、加速管64が電子線発生部63から放出される電子を所定のエネルギーを有するまで加速するように、導波管8を介して加速管64にマイクロ波を入射する。
【0032】
クライストロン5は、図4に示されているように、放射線治療装置3が支持される土台に支持されている。導波管8は、クライストロン5により生成される高周波が伝播する導波路を形成している。導波管8は、固定導波管71、72、73とフレキシブル導波管74とロータリージョイント75とを備えている。固定導波管71は、変形しない導波路を形成し、その土台に支持されている。固定導波管72は、変形しない導波路を形成し、回転台76に支持されている。回転台76は、旋回駆動装置11により、回転軸17を中心に回転可能に支持され、Oリング12と同体に回転軸17を中心に回転される。このため、固定導波管72は、Oリング12と同体に回転軸17を中心に回転する。固定導波管73は、変形しない導波路を形成し、走行ガントリ14に支持され、走行ガントリ14と同体に運動する。
【0033】
フレキシブル導波管74は、蛇腹構造(べローズ)に形成され、屈曲および伸縮が可能である導波路を形成している。フレキシブル導波管74は、一端が固定導波管71に接続され、他端が固定導波管72に接続されている。フレキシブル導波管74は、土台に対してOリング12が回転することにより変形し、フレキシブル導波管74の形状は、土台に対するOリング12の旋回角に概ね対応している。すなわち、土台に対して回転軸17を中心にOリング12が回転する旋回角は、フレキシブル導波管74の変形が可能な範囲により制限されている。
【0034】
ロータリージョイント75は、変形可能である導波路を形成し、回転軸18に重なるように配置されている。ロータリージョイント75は、一端が固定導波管72に接続され、他端が固定導波管73に接続されている。
【0035】
固定導波管73は、図5に示されているように、ロータリージョイント75に接続されている端の反対側の端が首振り機構15の近傍に配置されている。導波管8は、さらに、サーキュレータ77を備えている。サーキュレータ77は、固定導波管73の途中に配置されている。サーキュレータ77は、固定導波管73をクライストロン5から加速管64に向かって進行する高周波に比較して、加速管64からクライストロン5に向かって進行する反射波を減衰させる。
加速管64に入射したマイクロ波の一部は、反射する。この反射率は、加速管の共振度により一定である。また、ロータリージョイント75などの自由導波管では、マイクロ波の一部が反射する。このため、加速管64からの反射波の一部は、ロータリージョイント75で再度反射された後に加速管64に向かう。しかし、サーキュレータ77を配したことで、加速管64からの反射波を系外に配することが可能となるため、結果的にクライストロン5から供給したマイクロ波が、反射マイクロ波と重畳することによる打ち消し・歪みを抑制することが可能となる。
なお、サーキュレータ77は反射波を発生しやすい素子の間に設置することで効果を発揮するから、導波管8が複数のロータリージョイントを含むときに、そのロータリージョイントの間に介設することが、導波管8の電力伝送効率の変動を抑制する点で好ましい。また、ロータリージョイントよりも反射率は低いが、フレキシブル導波管を用いる箇所にも同様に対応することが望ましい。
【0036】
図6は、首振り機構15を示している。首振り機構15は、照射装置支持体81と中間体82とを備えている。照射装置支持体81は、走行ガントリ14に支持され、走行ガントリ14と同体に運動する。チルト軸22は、照射装置支持体81に対して固定されている。中間体82は、チルト軸22を中心に回転可能に照射装置支持体81に支持されている。中間体82は、さらに、チルト軸22を中心に回転するときに、照射装置支持体81の一部に接触して、回転することができる範囲が制限されている。パン軸21は、中間体82に対して固定されている。治療用放射線照射装置16は、パン軸21を中心に回転可能に中間体82に支持されている。治療用放射線照射装置16は、さらに、パン軸21を中心に回転するときに、中間体82の一部に接触して、回転することができる範囲が制限されている。なお、首振り機構15は、治療用放射線23がアイソセンタ19に向かうように調整するために用いることから、パン軸21とチルト軸22は両軸の交点が仮想的点線源58にほぼ一致するように、配することが望ましい。
【0037】
首振り機構15は、さらに、図示されていないパン軸駆動装置とチルト軸駆動装置とを備えている。そのパン軸駆動装置は、放射線治療装置制御装置2により制御されてパン軸21を中心に治療用放射線照射装置16を回転させる。そのチルト軸駆動装置は、放射線治療装置制御装置2により制御されてチルト軸22を中心に中間体82を回転させる。
【0038】
導波管8は、さらに、固定導波管84と固定導波管85とフレキシブル導波管86とフレキシブル導波管87とを備えている。固定導波管84は、変形しない導波路を形成し、その導波路の断面が矩形になるように形成されている。固定導波管84は、中間体82に支持され、中間体82と同体に運動する。固定導波管85は、変形しない導波路を形成し、その導波路の断面が矩形になるように形成されている。固定導波管85は、治療用放射線照射装置16に支持され、治療用放射線照射装置16と同体に運動する。固定導波管85は、一端が形成する導波路がの矩形断面の短い方の辺が電子ビーム57の加速方向に平行になるように、その一端が加速管64に接続されている。フレキシブル導波管86とフレキシブル導波管87とは、蛇腹構造(べローズ)に形成され、屈曲および伸縮が可能である導波路を形成している。フレキシブル導波管86とフレキシブル導波管87とは、概ね直線状に形成され、断面が矩形に形成されている。フレキシブル導波管86は、フレキシブル導波管86が形成する導波路の中央付近がチルト軸22に交差するように、かつ、その導波路がチルト軸22に垂直になるように、配置されている。さらに、フレキシブル導波管86は、その矩形断面の短手方向がチルト軸22に垂直になるように(すなわち、その矩形断面の長手方向がチルト軸22に平行になるように)配置されている。フレキシブル導波管86は、一端が固定導波管73に接続され、他端が固定導波管84に接続されている。フレキシブル導波管86は、中間体82に対して治療用放射線照射装置16が回転することにより変形し、フレキシブル導波管86の形状は、中間体82に対する治療用放射線照射装置16のチルト角に概ね対応している。フレキシブル導波管87は、フレキシブル導波管87が形成する導波路の中央付近がパン軸21に交差するように、かつ、その導波路がパン軸21に垂直になるように、配置されている。さらに、フレキシブル導波管87は、その断面の短手方向がパン軸21に垂直になるように(すなわち、その矩形断面の長手方向がチルト軸22に平行になるように)配置されている。フレキシブル導波管87は、一端が固定導波管84に接続され、他端が治療用放射線照射装置16の加速管64に接続されている。フレキシブル導波管87は、照射装置支持体81に対して中間体82が回転することにより変形し、フレキシブル導波管87の形状は、照射装置支持体81に対する中間体82のパン角に概ね対応している。このような配置は、各回転に対するフレキシブル導波管86とフレキシブル導波管87の各々の撓みが最小となり、且つ、捩れを生じないことから好ましい。また、この際、フレキシブル導波管87の長さ中央付近に回転軸22が来るように配置することが、当該フレキシブル導波管の各部に作用する応力の緩和の観点から更に望ましい。
【0039】
首振り機構15は、走行ガントリ14に対して治療用放射線照射装置16が移動する範囲を制限することにより、誤動作などで許容範囲以上にパン軸21またはチルト軸22を中心とした回転を行うことを抑止し、フレキシブル導波管86とフレキシブル導波管87に許容量以上の変位を生じて結果的に破損等の装置健全性を害することを抑止することを可能としている。なお、この回転に対する制限を行う部位は別途設けることでも構わない。この場合には、照射装置支持体81や中間体82の形状、相対位置による規定と異なる許容回転角度に設定可能となる。
【0040】
図7は、ロータリージョイント75を示している。ロータリージョイント75は、第1筒部分91と第2筒部分92とを備えている。第1筒部分91は、回転軸93を中心とする筒状に形成されている。第2筒部分92は、回転軸93を中心とする筒状に形成され、回転軸93を中心に回転可能に第1筒部分91に支持されている。第1筒部分91は、その筒の側面の一部が固定導波管72の一端に接続されている。第2筒部分92は、その筒の側面の一部が固定導波管73の一端に接続されている。ロータリージョイント75は、回転軸93が回転軸18に重なるように、放射線治療装置3に配置されている。すなわち、ロータリージョイント75は、Oリング12に対して走行ガントリ14が回転することにより、第1筒部分91に対して第2筒部分92が回転する。このとき、第1筒部分91に対する第2筒部分92の角度は、Oリング12に対する走行ガントリ14の走行角に対応している。
【0041】
ロータリージョイント75は、固定導波管72と固定導波管73とを回転可能に連結し、固定導波管72と固定導波管73との間を高周波が伝送可能に連結している。このようなロータリージョイント75は、周知であり、たとえば、特開2005−033463号公報に開示されている。
【0042】
放射線治療システム1を用いた放射線治療では、ユーザが、まず、放射線治療装置制御装置2を用いて治療計画を作成する。その治療計画は、患者43の患部に治療用放射線23を照射する照射角度と、その各照射角度から照射する治療用放射線23の線量および性状とを示している。ユーザは、放射線治療装置3のカウチ41に患者43を固定する。放射線治療装置制御装置2は、その治療計画により示される照射角度で治療用放射線23が患者43に照射されるように、旋回駆動装置11を用いてOリング12を回転し、走行駆動装置を用いて走行ガントリ14を回転する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、治療用放射線23が所定の位置(たとえば、アイソセンタ19)に照射されるように、Oリング12の旋回角と走行ガントリ14の走行角とに基づいて、首振り機構15を用いて治療用放射線照射装置16を移動する。
【0043】
Oリング12または走行ガントリ14は、治療用放射線照射装置16などの重量により撓み、治療用放射線23が照射される位置が所望の位置からずれることがある。また患部とアイソセンタ19の微少な位置ズレの調整は、カウチ41の機械精度限界及び患者負担軽減の観点からカウチ41の移動のみでの対応は適切でない場合がある。このような移動は、そのズレを補正し、所望の位置に治療用放射線23をより高精度に照射することを実現する。
【0044】
放射線治療装置制御装置2は、次いで、追尾動作と照射動作とを繰り返して実行する。その追尾動作では、放射線治療装置制御装置2は、放射線治療装置3のイメージャシステムにより撮像された画像に基づいて患部位置を算出する。その患部位置算出は、患部と異なるランドマークの位置に基づくものでもよい。そのランドマークとしては、その患部と連動して運動する臓器、物体が例示される。その臓器としては、骨(肋骨)、横隔膜、膀胱が例示される。その物体は、イメージャシステムにより検出される材料から形成され、その患部と連動して運動するようにその患者の体内に埋め込まれる。その物体としては、金から形成される球である金マーカが例示される。放射線治療装置制御装置2は、治療用放射線23がその患部位置を透過するように、首振り機構15を用いて治療用放射線照射装置16を移動させる。その照射動作では、放射線治療装置制御装置2は、その追尾動作により治療用放射線照射装置16が移動した直後に治療用放射線照射装置16を用いて治療用放射線23をその患部に照射する。
【0045】
このように、首振り機構15は、Oリング12と走行ガントリ14との撓みによる治療用放射線23の照射位置のズレを補正するために、または、患者43の運動(呼吸、心拍)により移動する患部を追尾して治療用放射線23を照射するために、利用され、このとき、Oリング12と走行ガントリ14とは、移動されない。フレキシブル導波管86、87は、一般に、他の変形可能な導波管(たとえば、ロータリージョイント75)に比較して、伝送損失が十分に小さく、かつ、反射影響が十分に小さい。このため、本発明による放射線治療システム1は、治療用放射線23をより高精度に所定の位置に照射しようとするときに、または、追尾動作と照射動作とを繰り返して実行するときに、電力の変動が小さい高周波を加速管64に供給することができ、加速管64により生成される電子ビーム57のエネルギーの変動を小さくすることができ、治療用放射線23のエネルギー(エネルギー分布)の変動を小さくすることができる。その結果、本発明による放射線治療システム1は、治療用放射線23の線量をより高精度に制御することができる。
なお、首振り機構15は、治療用放射線23がアイソセンタ19に向かうように調整するために用いることから、パン軸21とチルト軸22は両軸の交点が仮想的点線源58にほぼ一致するように、配することが望ましい。
【0046】
本発明による放射線治療システムの実施の他の形態は、既述の実施の形態における首振り機構15が他の首振り機構に置換されている。その首振り機構101は、図8に示されているように、照射装置支持体102と中間体103とを備えている。照射装置支持体102は、走行ガントリ14に支持され、走行ガントリ14と同体に運動する。中間体103は、第1方向108に平行に平行移動可能に照射装置支持体102に支持されている。中間体103は、さらに、第1方向108に平行に平行移動するときに、照射装置支持体102の一部に接触して、移動することができる範囲が制限されている。第1方向108は、回転軸18に垂直であり、治療用放射線23が照射される方向に垂直である。治療用放射線照射装置16は、第2方向109に平行に平行移動可能に中間体103に支持されている。治療用放射線照射装置16は、さらに、第2方向109に平行に平行移動するときに、中間体103の一部に接触して、移動することができる範囲が制限されている。第2方向109は、回転軸18に平行であり、第1方向108に垂直であり、治療用放射線23が照射される方向に垂直である。
【0047】
首振り機構101は、さらに、図示されていない第1方向駆動装置と第2方向駆動装置とを備えている。その第1方向駆動装置は、放射線治療装置制御装置2により制御されて第2方向109に平行に治療用放射線照射装置16を平行移動させる。その第2方向駆動装置は、放射線治療装置制御装置2により制御されて第1方向108に平行に中間体103を平行移動させる。
【0048】
このような放射線治療システムは、さらに、既述の実施の形態における導波管8が他の導波管に置換されている。その導波管は、既述の実施の形態における固定導波管71、72、73とフレキシブル導波管74とロータリージョイント75とを備え、さらに、固定導波管104と固定導波管105とフレキシブル導波管106とフレキシブル導波管107とを備えている。固定導波管104は、変形しない導波路を形成し、中間体103に支持され、中間体103と同体に運動する。固定導波管105は、変形しない導波路を形成し、治療用放射線照射装置16に支持され、治療用放射線照射装置16と同体に運動する。固定導波管105は、一端が加速管64に接続されている。フレキシブル導波管106とフレキシブル導波管107とは、蛇腹構造(べローズ)に形成され、屈曲および伸縮が可能である導波路を形成している。フレキシブル導波管106は、第1方向108に平行になるように配置され、一端が固定導波管73に接続され、他端が固定導波管104に接続されている。フレキシブル導波管106は、中間体103に対して治療用放射線照射装置16が平行移動することにより伸縮する。フレキシブル導波管107は、第2方向に平行なるように配置され、一端が固定導波管104に接続され、他端が治療用放射線照射装置16の加速管64に接続されている。フレキシブル導波管107は、照射装置支持体102に対して中間体103が平行移動することにより伸縮する。
【0049】
首振り機構101は、走行ガントリ14に対して治療用放射線照射装置16が移動する範囲を制限することにより、誤動作などで許容範囲以上に第1方向108または第2方向109に平行に治療用放射線照射装置16が運動を行うことを抑止し、フレキシブル導波管106とフレキシブル導波管107とに許容量以上の変位を生じて結果的に部破損等の装置健全性を害することを抑止することを可能としている。なお、この平行移動に対する制限を行う部位は、別途設けることでも構わない。この場合には、照射装置支持体81や中間体82の形状、相対位置による規定と異なる許容運動範囲に設定可能となる。
【0050】
このような放射線治療システムは、さらに、既述の実施の形態における放射線治療システム1と同様にして、利用される。すなわち、首振り機構101は、Oリング12と走行ガントリ14との撓みによる治療用放射線23の照射位置のズレを補正するために、または、患者43の運動(呼吸、心拍)により移動する患部を追尾して治療用放射線23を照射するために、利用され、このとき、Oリング12と走行ガントリ14とは、移動されない。このため、このような放射線治療システムは、治療用放射線23をより高精度に所定の位置に照射しようとするときに、または、追尾動作と照射動作とを繰り返して実行するときに、電力の変動が小さい高周波を加速管64に供給することができ、加速管64により生成される電子ビーム57のエネルギーの変動を小さくすることができ、治療用放射線23のエネルギー(エネルギー分布)の変動を小さくすることができる。その結果、本発明による放射線治療システム1は、治療用放射線23の線量をより高精度に制御することができる。
【0051】
本発明による放射線治療システムの実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態における導波管8が他の導波管に置換されている。その導波管は、既述の実施の形態における固定導波管71、72、73とフレキシブル導波管74とロータリージョイント75とを備え、さらに、図9に示されているように、固定導波管111とフレキシブル導波管112とを備えている。固定導波管111は、変形しない導波路を形成し、治療用放射線照射装置16に支持され、治療用放射線照射装置16と同体に運動する。固定導波管111は、一端が加速管64に接続されている。フレキシブル導波管112は、蛇腹構造(べローズ)に形成され、屈曲および伸縮が可能である導波路を形成している。フレキシブル導波管112は、一端が固定導波管73に接続され、他端が固定導波管111に接続されている。フレキシブル導波管112は、直線113に沿って配置されている。直線113は、パン軸21とチルト軸22との交点114を通り、パン軸21に概ね垂直であり、かつ、チルト軸22に概ね垂直である。フレキシブル導波管112は、走行ガントリ14(照射装置支持体102)に対して治療用放射線照射装置16が回転または平行移動することにより屈曲または伸縮する。フレキシブル導波管112は、このように配置されることにより、フレキシブル導波管112の各々撓みが最小となり、且つ、フレキシブル導波管112の各部に作用する応力を緩和できることから、望ましい。
【0052】
このような放射線治療システムは、さらに、既述の実施の形態における放射線治療システム1と同様にして、利用される。すなわち、このような放射線治療システムは、放射線治療システム1と同様にして、治療用放射線23をより高精度に所定の位置に照射しようとするときに、または、追尾動作と照射動作とを繰り返して実行するときに、電力の変動が小さい高周波を加速管64に供給することができ、加速管64により生成される電子ビーム57のエネルギーの変動を小さくすることができ、治療用放射線23のエネルギー(エネルギー分布)の変動を小さくすることができる。その結果、本発明による放射線治療システム1は、治療用放射線23の線量をより高精度に制御することができる。
【0053】
なお、診断用X線源24、25とセンサアレイ32、33とは、X線以外の電磁波を用いて患者を映像に撮像する撮像装置に置換することもできる。その電磁波としては、可視光、赤外線が例示される。このとき、放射線治療装置制御装置2は、追尾動作で、その撮像装置により撮像された画像に基づいて患部位置を算出する。すなわち、放射線治療装置制御装置2は、患者43の体表面のうちの一部がその映像に映し出される位置に基づいて、患者43の患部の位置を算出する。その一部は、患部と連動して運動する部位であり、患者43の体表面のうちの他の部分と識別可能に映像に撮像される部位である。その一部としては、患者43の体表面に付けられた印が例示される。放射線治療装置制御装置2は、このような撮像装置を用いた場合においても、診断用X線源24、25とセンサアレイ32、33とを用いる場合と同様にして、治療用放射線23がその患部位置を透過するように、首振り機構15を用いて治療用放射線照射装置16を移動させることができる。
【0054】
本発明による放射線治療システムの実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態における放射線治療装置3が他の放射線治療装置に置換されている。その放射線治療装置131は、図10に示されているように、支持体132、133とベアリング134と照射ヘッド135と首振り機構136とを備えている。支持体132は、クライストロン5を支持する土台に支持されている。ベアリング134は、支持体132に対して、回転軸137を中心に回転可能に支持体133を支持している。回転軸137は、水平方向に平行である。首振り機構136は、支持体133に対して照射ヘッド135が所定の範囲内で移動可能に、かつ、照射ヘッド135の1点が支持体133に対して移動しないように、照射ヘッド135を支持体133に支持している。首振り機構136は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、支持体133に対して照射ヘッド135を移動させる。
【0055】
照射ヘッド135は、既述の実施の形態における治療用放射線照射装置16と同様にして、治療用放射線139を放射する。すなわち、照射ヘッド135は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、治療用放射線139を放射する。治療用放射線139は、支持体133に対して移動しない1点を通る直線に概ね沿って放射される。治療用放射線139は、一様強度分布を持つように形成されている。治療用放射線139は、さらに、一部が遮蔽されて治療用放射線139が患者に照射されるときの照射野の形状が制御されている。
【0056】
放射線治療装置131は、さらに、導波管141を備えている。導波管141は、固定導波管142、143、144とロータリージョイント145とフレキシブル導波管146とを備えている。固定導波管142は、変形しない導波路を形成し、支持体132に支持され、一端がクライストロン5に接続されている。固定導波管143は、変形しない導波路を形成し、支持体133に支持されている。固定導波管144は、変形しない導波路を形成し、照射ヘッド135に支持され、一端が照射ヘッド135に接続されている。ロータリージョイント145は、回転軸137に重なるように配置されている。ロータリージョイント145は、一端が固定導波管142に接続され、他端が固定導波管143に接続されている。ロータリージョイント145は、ロータリージョイント75と同様にして、固定導波管142と固定導波管143とを回転軸137を中心に回転可能に連結し、固定導波管142と固定導波管143との間に高周波が伝送可能に連結している。
【0057】
フレキシブル導波管146は、蛇腹構造(べローズ)に形成され、屈曲および伸縮が可能である導波路を形成している。フレキシブル導波管146は、一端が固定導波管143に接続され、他端が固定導波管144に接続されている。フレキシブル導波管146は、支持体133に対して照射ヘッド135が移動することにより変形し、フレキシブル導波管146の形状は、支持体133に対する照射ヘッド135の位置に概ね対応している。
【0058】
首振り機構136は、支持体132、133とベアリング134との撓みによる治療用放射線139の照射位置のズレを補正するために、または、患者43の運動(呼吸、心拍)により移動する患部を追尾して治療用放射線139を照射するために、利用され、このとき、支持体133は、支持体132に対して移動されない。フレキシブル導波管146は、一般に、他の変形可能な導波管(たとえば、ロータリージョイント145)に比較して、伝送損失が十分に小さく、かつ、反射影響が十分に小さい。このため、放射線治療装置131は、治療用放射線139をより高精度に所定の位置に照射しようとするときに、または、追尾動作と照射動作とを繰り返して実行するときに、電力の変動が小さい高周波を照射ヘッド135に供給することができ、照射ヘッド135により生成される治療用放射線139のエネルギー(エネルギー分布)の変動を小さくすることができる。その結果、放射線治療装置131は、治療用放射線139の線量をより高精度に制御することができる。
【0059】
本発明による放射線治療システムの実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態における放射線治療装置3が他の放射線治療装置に置換されている。その放射線治療装置151は、図11に示されているように、支持体152、153とベアリング154と照射ヘッド155と首振り機構156とを備えている。支持体152は、クライストロン5を支持する土台に支持されている。ベアリング154は、支持体152に対して、回転軸157を中心に回転可能に支持体153を支持している。回転軸157は、水平方向に平行である。首振り機構156は、支持体153に対して照射ヘッド155が所定の範囲内で移動可能に、かつ、照射ヘッド155の1点が支持体153に対して移動しないように、照射ヘッド155を支持体153に支持している。首振り機構156は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、支持体153に対して照射ヘッド155を移動させる。
【0060】
照射ヘッド155は、加速部161と偏向磁石162とターゲット163とマルチリーフコリメータ164とを備えている。加速部161は、加速された電子線165を放出する。電子線165が放出される方向は、回転軸157に概ね平行である。偏向磁石162は、磁界を生成し、その電子線165の向きを偏向する。その向きは、回転軸157に概ね垂直である。ターゲット163は、高原子番号材(タングステン、タングステン合金等)から形成され、電子線165が照射された際の制動放射により生成される治療用放射線166を放出する。マルチリーフコリメータ164は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、治療用放射線166の一部を遮蔽して、治療用放射線166が患者に照射されるときの照射野の形状を制御する。
【0061】
放射線治療装置151は、さらに、導波管171を備えている。導波管171は、固定導波管172、173、174とロータリージョイント175とフレキシブル導波管176とを備えている。固定導波管172は、変形しない導波路を形成し、支持体152に支持され、一端がクライストロン5に接続されている。固定導波管173は、変形しない導波路を形成し、支持体153に支持されている。固定導波管174は、変形しない導波路を形成し、照射ヘッド155に支持され、一端が照射ヘッド155に接続されている。ロータリージョイント175は、回転軸157に重なるように配置されている。ロータリージョイント175は、一端が固定導波管172に接続され、他端が固定導波管173に接続されている。ロータリージョイント175は、ロータリージョイント75と同様にして、固定導波管172と固定導波管173とを回転軸157を中心に回転可能に連結し、固定導波管172と固定導波管173との間に高周波が伝送可能に連結している。
【0062】
フレキシブル導波管176は、蛇腹構造(べローズ)に形成され、屈曲および伸縮が可能である導波路を形成している。フレキシブル導波管176は、一端が固定導波管173に接続され、他端が固定導波管174に接続されている。フレキシブル導波管176は、支持体153に対して照射ヘッド155が移動することにより変形し、フレキシブル導波管176の形状は、支持体153に対する照射ヘッド155の位置に概ね対応している。
【0063】
首振り機構156は、支持体152、153とベアリング154との撓みによる治療用放射線166の照射位置のズレを補正するために、または、患者43の運動(呼吸、心拍)により移動する患部を追尾して治療用放射線166を照射するために、利用され、このとき、支持体153は、支持体152に対して移動されない。フレキシブル導波管176は、一般に、他の変形可能な導波管(たとえば、ロータリージョイント175)に比較して、伝送損失が十分に小さく、かつ、反射影響が十分に小さい。このため、放射線治療装置151は、治療用放射線166をより高精度に所定の位置に照射しようとするときに、または、追尾動作と照射動作とを繰り返して実行するときに、電力の変動が小さい高周波を照射ヘッド155に供給することができ、照射ヘッド155により生成される治療用放射線166のエネルギー(エネルギー分布)の変動を小さくすることができる。その結果、放射線治療装置151は、治療用放射線166の線量をより高精度に制御することができる。
【0064】
本発明による放射線治療システムの実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態における放射線治療装置3が他の放射線治療装置に置換されている。その放射線治療装置181は、図12に示されているように、支持体182、183、184とベアリング185、186と照射ヘッド187と首振り機構188とを備えている。支持体182は、クライストロン5を支持する土台に支持されている。ベアリング185は、支持体182に対して回転可能に支持体183を支持している。ベアリング186は、支持体183に対して回転可能に支持体184を支持している。首振り機構188は、支持体184に対して照射ヘッド187が所定の範囲内で移動可能に、かつ、照射ヘッド187の1点が支持体184に対して移動しないように、照射ヘッド187を支持体184に支持している。首振り機構188は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、支持体184に対して照射ヘッド187を移動させる。
【0065】
照射ヘッド187は、既述の実施の形態における治療用放射線照射装置16と同様にして、治療用放射線189を放射する。すなわち、照射ヘッド187は、放射線治療装置制御装置2により制御されて、治療用放射線189を放射する。治療用放射線189は、支持体184に対して移動しない1点を通る直線に概ね沿って放射される。治療用放射線189は、一様強度分布を持つように形成されている。治療用放射線189は、さらに、一部が遮蔽されて治療用放射線189が患者に照射されるときの照射野の形状が制御されている。
【0066】
放射線治療装置181は、さらに、導波管191を備えている。導波管191は、固定導波管192、195とフレキシブル導波管193、194とを備えている。固定導波管192は、変形しない導波路を形成し、支持体184に支持されている。固定導波管195は、変形しない導波路を形成し、照射ヘッド187に支持され、一端が照射ヘッド187に接続されている。フレキシブル導波管193とフレキシブル導波管194とは、蛇腹構造(べローズ)に形成され、屈曲および伸縮が可能である導波路を形成している。フレキシブル導波管193は、一端がクライストロン5に接続され、他端が固定導波管192に接続されている。フレキシブル導波管193は、一端が固定導波管192に接続され、他端が固定導波管195に接続されている。
【0067】
首振り機構188は、支持体182、183、184とベアリング185、186との撓みによる治療用放射線189の照射位置のズレを補正するために、または、患者43の運動(呼吸、心拍)により移動する患部を追尾して治療用放射線189を照射するために、利用され、このとき、支持体183は、支持体182に対して移動されないで、かつ、支持体184は、支持体183に対して移動されない。フレキシブル導波管194は、一般に、他の変形可能な導波管に比較して、変形による伝送損失が十分に小さく、かつ、変形による反射影響が十分に小さい。このため、放射線治療装置181は、治療用放射線189をより高精度に所定の位置に照射しようとするときに、または、追尾動作と照射動作とを繰り返して実行するときに、電力の変動が小さい高周波を照射ヘッド187に供給することができ、照射ヘッド187により生成される治療用放射線189のエネルギー(エネルギー分布)の変動を小さくすることができる。その結果、放射線治療装置181は、治療用放射線189の線量をより高精度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、本発明による放射線治療システムの実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図2は、放射線治療装置を示す斜視図である。
【図3】図3は、治療用放射線照射装置を示す断面図である。
【図4】図4は、導波管を示す側面図である。
【図5】図5は、導波管を示す正面図である。
【図6】図6は、首振り機構を示し、導波管を示す斜視図である。
【図7】図7は、ロータリージョイントを示す斜視図である。
【図8】図8は、他の首振り機構を示し、他の導波管を示す斜視図である。
【図9】図9は、さらに他の首振り機構を示し、さらに他の導波管を示す斜視図である。
【図10】図10は、他の放射線治療装置を示す側面図である。
【図11】図11は、さらに他の放射線治療装置を示す側面図である。
【図12】図12は、さらに他の放射線治療装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 :放射線治療システム
2 :放射線治療装置制御装置
3 :放射線治療装置
5 :クライストロン
8 :導波管
11:旋回駆動装置
12:Oリング
14:走行ガントリ
15:首振り機構
16:治療用放射線照射装置
17:回転軸
18:回転軸
19:アイソセンタ
21:パン軸
22:チルト軸
23:治療用放射線
24:診断用X線源
25:診断用X線源
31:センサアレイ
32:センサアレイ
33:センサアレイ
35:診断用X線
36:診断用X線
41:カウチ
42:カウチ駆動装置
43:患者
51:電子ビーム加速装置
52:X線ターゲット
53:1次コリメータ
54:フラットニングフィルタ
55:2次コリメータ
56:マルチリーフコリメータ
57:電子ビーム
58:仮想的点線源
59:放射線
60:放射線
61:線量計
63:電子線発生部
64:加速管
66:カソード
67:グリッド
68:複数の電極
69:グリッド電源
70:カソード電源
71:固定導波管
72:固定導波管
73:固定導波管
74:フレキシブル導波管
75:ロータリージョイント
76:回転台
77:サーキュレータ
81:照射装置支持体
82:中間体
84:固定導波管
85:固定導波管
86:フレキシブル導波管
87:フレキシブル導波管
91:第1筒部分
92:第2筒部分
93:回転軸
101:首振り機構
102:照射装置支持体
103:中間体
104:固定導波管
105:固定導波管
106:フレキシブル導波管
107:フレキシブル導波管
108:第1方向
109:第2方向
111:固定導波管
112:フレキシブル導波管
113:直線
114:交点
131:放射線治療装置
132:支持体
133:支持体
134:ベアリング
135:照射ヘッド
136:首振り機構
137:回転軸
139:治療用放射線
141:導波管
142:固定導波管
143:固定導波管
144:固定導波管
145:ロータリージョイント
146:フレキシブル導波管
151:放射線治療装置
152:支持体
153:支持体
154:ベアリング
155:照射ヘッド
156:首振り機構
157:回転軸
161:加速部
162:偏向磁石
163:ターゲット
164:マルチリーフコリメータ
165:電子線
166:治療用放射線
171:導波管
172:固定導波管
173:固定導波管
174:固定導波管
175:ロータリージョイント
176:フレキシブル導波管
181:放射線治療装置
182:支持体
183:支持体
184:支持体
185:ベアリング
186:ベアリング
187:照射ヘッド
188:首振り機構
189:治療用放射線
191:導波管
192:固定導波管
193:フレキシブル導波管
194:フレキシブル導波管
195:固定導波管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波源に対して移動可能に支持される支持体と、
前記支持体に対して移動可能に支持される治療用放射線照射装置と、
前記高周波源から前記治療用放射線照射装置に高周波を伝送する導波路を形成する導波管とを具備し、
前記治療用放射線照射装置は、前記高周波を用いて治療用放射線を生成し、
前記導波管は、
前記支持体に固定される第1固定導波管と、
前記治療用放射線照射装置に固定される第2固定導波管と、
前記第1固定導波管と前記第2固定導波管との間に介設されるフレキシブル導波管とを備える
放射線治療システム。
【請求項2】
請求項1において、
被検体の運動を検出する運動検出装置と、
前記支持体に対して前記治療用放射線照射装置を移動させる駆動装置と、
前記被検体の一部が移動しても前記治療用放射線が前記一部に照射されるように、前記運動に基づいて前記駆動装置を制御する放射線治療装置制御装置
とを更に具備する放射線治療システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記運動検出装置は、前記被検体を透過した放射線により透過画像を撮像するイメージャシステムを含み、
前記放射線治療装置制御装置は、前記被検体の一部が移動しても前記治療用放射線が前記一部に照射されるように、前記透過画像に前記被検体の所定部位が映し出される位置に基づいて前記駆動装置を制御し、
前記支持体は、前記イメージャシステムを更に支持する
放射線治療システム。
【請求項4】
請求項1において、
前記支持体の位置を検出する位置検出装置と、
前記支持体に対して前記治療用放射線照射装置を移動させる駆動装置と、
前記支持体が移動しても前記治療用放射線が1つの点に照射されるように、前記位置に基づいて前記駆動装置を制御する放射線治療装置制御装置
とを更に具備する放射線治療システム。
【請求項5】
請求項1において、
前記治療用放射線照射装置は、回転軸を中心に前記支持体に対して回転可能に支持され、
前記フレキシブル導波管は、前記回転軸上に配置される
放射線治療システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記フレキシブル導波管は、断面が矩形を形成し、
前記矩形の短い方の辺は、前記回転軸に垂直である
放射線治療システム。
【請求項7】
請求項1において、
前記支持体に対して第1軸を中心に回転可能に支持される中間体を更に具備し、
前記治療用放射線照射装置は、前記中間体に対して第2軸を中心に回転可能に支持され、
前記フレキシブル導波管は、
前記中間体に固定される第3固定導波管と、
前記第1固定導波管と前記第3固定導波管との間に介設される第1フレキシブル導波管と、
前記第3固定導波管と前記第2固定導波管との間に介設される第2フレキシブル導波管とを備え、
前記第1フレキシブル導波管は、前記第1軸上に配置され、
前記第2フレキシブル導波管は、前記第2軸上に配置される
放射線治療システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−173184(P2008−173184A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7342(P2007−7342)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】