説明

放射線照射システム、放射線照射制御装置、およびプログラム

【課題】撮影中の物体の接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影によって得られた画像の品質の低下を防止することのできる放射線照射システム、放射線照射制御装置、およびプログラムを得る。
【解決手段】CPU104は、距離センサ156によって得られた放射線発生装置34と他の物体との距離が予め定められた距離以内となった場合に放射線源130からの放射線の照射を防止するための制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線照射システム、放射線照射制御装置、およびプログラムに係り、特に、放射線画像を撮影するための放射線を撮影対象に照射する放射線照射システム、上記放射線の照射を制御する放射線照射制御装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、放射線を直接デジタルデータに変換できるFPD(Flat Panel Detector)等の放射線検出器が実用化されており、この放射線検出器を用いて照射された放射線により表わされる放射線画像を撮影する可搬型放射線画像撮影装置(以下、「電子カセッテ」ともいう。)が実用化されている。なお、上記電子カセッテに用いられる放射線検出器には、放射線を変換する方式として、放射線をシンチレータで光に変換した後にフォトダイオード等の半導体層で電荷に変換する間接変換方式や、放射線をアモルファスセレン等の半導体層で電荷に変換する直接変換方式等があり、各方式でも半導体層に使用可能な材料が種々存在する。
【0003】
ところで、以上のような電子カセッテを含めた放射線画像撮影装置により放射線撮影を行う際には撮影対象に対して放射線を照射する放射線源が用いられているが、この放射線源は、撮影対象とする部位や撮影対象の姿勢等に応じて、その位置や放射線の照射方向が可変とされているものが多い。
【0004】
しかしながら、放射線源の位置や放射線の照射方向が可変とされている場合、放射線源そのものや、放射線源を位置決めする機構部等に何らかの物体が接触した場合、放射線源の位置や放射線の射出方向が予め定められた条件から外れたものとなってしまう場合があり、この場合、撮影が失敗したり、撮影自体は失敗しないまでも、撮影によって得られた画像の品質が低下する、という問題があった。なお、放射線撮影が失敗した場合、撮影を再度行わなければならないため、被検者に対する放射線の被曝量や、手術時間が増加してしまうことになる。
【0005】
特に、あまり大掛かりでない移動式の放射線照射装置を用いて放射線画像を撮影しながら手術等を行う場合があるが、この場合に放射線照射装置に何らかの物体が接触や衝突した場合には、移動式であるが故に、知らないうちに放射線源の位置や放射線の照射方向が変わってしまうことが十分に有り得る。この場合、特に、透視撮影を行いながら手術を行う場合においては、再撮影による被曝量の増加や、手術時間の増加を招くばかりか、撮影によって得られた画像の品質の著しい低下を招きかねない。
【0006】
手術室においては、撮影を行わないときは放射線照射装置を邪魔にならない位置に退避させるべく移動して用いたいため、放射線照射装置として、できるだけ軽量のものを用いたい。そして、軽量の放射線照射装置を用いる場合、当該放射線照射装置に対する他の物体の接触や衝突によって放射線源の位置や放射線の照射方向がずれてしまうことは十分に起こり得ることである。特に、近年は、放射線照射装置の小型・軽量化技術が進歩しており、放射線技師等の負担を軽減するために、放射線照射装置を移動しながら用いることが一般的となってきている。
【0007】
従来、撮影の失敗や撮影画像の品質の低下を防止するために適用できる技術として、特許文献1には、放射線を出力する放射線源と、被写体を透過した前記放射線を検出して放射線画像情報に変換する放射線変換パネルを収容する放射線検出カセッテ(上記電子カセッテに相当。)と、前記放射線源と前記放射線検出カセッテとの間の距離を検出する距離検出手段と、前記距離と、前記被写体に対する放射線画像の撮影時での前記放射線源から前記放射線検出カセッテまでの予め定められた距離とが一致するか否かを判定する判定手段と、を有することを特徴とする放射線画像撮影システムが開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、移動可能な台車に、被検体にX線を照射するX線管を含むX線撮影用装備類と、台車の車輪を回転させて台車を走行させる走行用電動モータと、走行用電動モータの回転速度を制御するモータ回転速度制御手段と、台車走行およびX線撮影に必要なエネルギーを供給するバッテリが搭載されている移動式X線撮影装置において、走行中に台車の前方に現出する物体と台車との距離を測定する物体距離計測手段を備えていて、モータ回転速度制御手段が物体距離計測手段による測定結果に基づいて台車の前方に現出する物体と台車の衝突を回避するために走行用電動モータの回転速度を下げる減速制御を行うことを特徴とする移動式X線撮影装置が開示されている。
【0009】
また、特許文献3には、放射線発生部、および放射線受像部を有し、被検体の放射線画像を取得する放射線画像取得装置であって、前記放射線発生部および前記放射線受像部の移動と、前記被検体を載せる検診台との移動の少なくともいずれかにより、前記被検体に対する照射位置を移動する移動機構と、前記放射線発生部および前記放射線受像部から取得された放射線投影画像を表示する表示手段と、前記表示手段によって表示された放射線投影画像に対する、観察者の視線位置を検出する視線検出手段と、前記視線検出手段で検出された視線位置に基づいて前記移動機構を制御して、前記照射位置を移動する移動制御手段と、を備えることを特徴とする放射線画像取得装置が開示されている。なお、この文献には、放射線の照射位置の移動により、X線管、X線受像部、被検体等において接触が発生する場合に照射位置や照射方向の移動を禁止する技術が記載されている。
【0010】
また、特許文献4には、X線絞り形状を制御するX線絞り制御手段と、前記X線絞り形状に従って、X線を照射するX線照射手段と、前記X線照射手段により照射された前記X線を受光して、当該X線に基づきX線画像を取得するX線画像撮影手段と、前記X線絞り形状と、前記X線画像との比較に基づいて、前記X線照射手段のX線照射方向と、前記X線画像撮影手段が前記X線を受光する受光面と、が垂直であるか否かを判定する垂直性判定手段と、前記垂直性判定手段の判定結果に基づいて、前記X線照射手段による前記X線の照射を制御する照射制御手段と、を備えることを特徴とするX線撮影装置が開示されている。
【0011】
また、特許文献5には、可視光により視野領域の画像を撮影する可視光撮影手段と、X線を照射するX線照射手段と、前記X線照射手段により照射されたX線を受光して、当該X線に基づくX線画像を取得するX線画像撮影手段と、前記X線画像撮影手段により取得されたX線画像に基づいて、前記X線が照射された照射領域を検出する検出手段と、静止画の撮影モードにおいて、前記視野領域の画像における前記照射領域の位置情報を登録する登録手段と、前記登録手段により登録された位置情報と、被写体をX線撮影する動画の撮影中に取得されたX線画像の照射領域に基づく位置情報とを比較して、前記X線照射手段と前記X線画像撮影手段の相対的な位置ずれの有無を検出する位置ずれ検出手段と、前記位置ずれ検出手段の検出結果に基づいて、前記X線照射手段による前記X線の照射を制御する照射制御手段と、を備えることを特徴とするX線撮影装置が開示されている。
【0012】
さらに、特許文献6には、X線撮影による被検者の撮像を行う撮像装置を備えると共に、この撮像装置を被検者に対して進退駆動させる駆動装置を備え、かつ前記撮像装置には、駆動装置の進退駆動を指示するためのスイッチと、撮像装置が被検者に接近したことを検知する非接触型距離センサが互いに近接して付設されたX線診断装置において、前記非接触型距離センサの検知感度を調整する感度調整手段が設けられていることを特徴とするX線診断装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−50693号公報
【特許文献2】特開2005−323673号公報
【特許文献3】特開2009−22602号公報
【特許文献4】特開2009−100947号公報
【特許文献5】特開2009−100948号公報
【特許文献6】特開2007−229334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、撮影前に放射線源と放射線検出カセッテ(電子カセッテ)との距離を修正するものとされており、撮影中に何らかの物体が接触した場合については考慮されていないため、当該接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影画像の品質の低下を防止することはできない、という問題点があった。
【0015】
また、上記特許文献2に開示されている技術では、X線を照射するX線管が搭載された台車の走行中における物体との衝突を回避することはできるものの、撮影中における物体の接触については考慮されていないため、この技術についても当該接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影画像の品質の低下を防止することはできない、という問題点があった。
【0016】
また、上記特許文献3に開示されている技術では、放射線の照射位置の移動によるX線管、X線受像部、被検体等の接触を防止することはできるものの、この技術においても撮影中における物体の接触については考慮されていないため、当該接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影画像の品質の低下を防止することはできない、という問題点があった。
【0017】
また、上記特許文献4に開示されている技術では、X線とX線画像撮影手段の受光面とが垂直でなくなった場合の誤撮影を防止することはできるものの、X線とX線画像撮影手段の受光面とが垂直でなくなった場合以外の状態については考慮されていないため、この技術においても撮影中における物体の接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影画像の品質の低下を防止することはできない、という問題点があった。
【0018】
また、上記特許文献5に開示されている技術では、X線照射手段とX線画像撮影手段の相対的な位置ずれによる誤撮影を防止することはできるものの、当該位置ずれ以外の状態については考慮されていないため、この技術においても撮影中における物体の接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影画像の品質の低下を防止することはできない、という問題点があった。
【0019】
さらに、上記特許文献6に開示されている技術では、撮像装置の移動操作時における撮像装置と障害物との接触を防止することはできるものの、この技術においても撮影中における物体の接触については考慮されていないため、当該接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影画像の品質の低下を防止することはできない、という問題点があった。
【0020】
なお、以上のような問題点は、電子カセッテに限らず、放射線フイルムにより放射線画像を撮影する通常のカセッテ、イメージング・プレートにより放射線画像を撮影するIPカセッテ、さらには、産業用品質管理の分野や、旅客の手荷物,小荷物,大貨物の保安スクリーニング分野のような医用以外の応用分野等、放射線画像を撮影する他の分野でも生じ得る問題点である。
【0021】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、撮影中の物体の接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影によって得られた画像の品質の低下を防止することのできる放射線照射システム、放射線照射制御装置、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の放射線照射システムは、放射線画像の撮影を行う際に放射線を撮影対象に対して照射する放射線源を備えた放射線照射装置と、前記放射線照射装置と他の物体との距離を導出する導出手段と、前記導出手段によって導出された距離が予め定められた距離以内となった場合、前記放射線源からの前記放射線の照射を防止するための制御を実行する制御手段と、を有している。
【0023】
請求項1に記載の放射線照射システムによれば、放射線照射装置の放射線源により、放射線画像の撮影が行われる際に放射線が撮影対象に対して照射される。
【0024】
ここで、本発明では、導出手段により、前記放射線照射装置と他の物体との距離が導出され、制御手段により、前記導出手段によって導出された距離が予め定められた距離以内となった場合、前記放射線源からの前記放射線の照射を防止するための制御が実行される。
【0025】
このように、請求項1に記載の放射線照射システムによれば、放射線照射装置と他の物体との距離が予め定められた距離以内となった場合に放射線源からの放射線の照射を防止するための制御を実行するので、撮影中の物体の接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影によって得られた画像の品質の低下を防止することができる。
【0026】
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記導出手段が、少なくとも前記放射線画像の撮影の準備が完了した時点から当該撮影のための前記放射線源からの放射線の照射が終了するまでの期間に前記距離を導出してもよい。これにより、撮影中の物体の接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影によって得られた画像の品質の低下を、より確実に防止することができる。
【0027】
また、本発明は、請求項3に記載の発明のように、前記制御手段が、前記放射線の照射を防止するための制御として、前記放射線源からの前記放射線の照射を禁止する制御を実行してもよい。これにより、放射線源からの放射線の無駄な照射を、より確実に防止することができる。
【0028】
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記制御手段が、前記導出手段によって導出された距離が前記予め定められた距離より遠い予め定められた第2の距離以内となった場合、警告を発する制御をさらに実行してもよい。これにより、撮影中の物体の接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影によって得られた画像の品質の低下を、より確実に防止することができる。
【0029】
特に、請求項4に記載の発明は、請求項5に記載の発明のように、前記導出手段が、前記他の物体の移動速度をさらに導出し、前記制御手段が、前記導出手段によって導出された移動速度が速くなるほど、前記第2の距離を遠い距離として前記警告を発する制御を実行してもよい。これにより、放射線源からの放射線の無駄な照射を、より確実に防止することができる。
【0030】
また、請求項5に記載の発明は、請求項6に記載の発明のように、前記制御手段が、前記導出手段によって導出された移動速度に応じて前記警告の内容を変えて当該警告を発する制御を実行してもよい。これにより、放射線源からの放射線の無駄な照射を、より確実に防止することができる。
【0031】
そして、請求項4〜請求項6の何れか1項に記載の発明は、請求項7に記載の発明のように、前記制御手段が、前記導出手段によって導出された距離が前記第2の距離以内の距離となった場合、前記警告を開始する制御を実行し、前記導出手段によって導出された距離が前記第2の距離以内の距離から当該第2の距離より遠い距離に移行した場合、前記警告を停止するように制御してもよい。これにより、物体の放射線照射装置への接近を把握することができると共に、当該物体が接近した状態から離間した状態に復帰したことを把握することができる結果、利便性を向上させることができる。
【0032】
さらに、請求項7に記載の発明は、請求項8に記載の発明のように、前記制御手段が、
前記導出手段によって導出された距離が前記第2の距離以内の距離から当該第2の距離より遠い予め定められた第3の距離より遠い距離に移行した場合、前記警告を停止するように制御してもよい。これにより、上記第3の距離として上記第2の距離を適用した場合に比較して、物体が放射線照射装置に対して上記第2の距離以内に接近した時点に開始した警告を停止するまでの期間を長くすることができる結果、より確実に物体の接近による注意を喚起することができる。
【0033】
また、本発明は、請求項9に記載の発明のように、前記導出手段により前記距離の導出対象とされた物体が予め定められた人であるか否かを判定する判定手段をさらに有し、前記制御手段は、前記判定手段によって前記予め定められた人であると判定された場合、前記制御の実行を禁止してもよい。これにより、不要な制御の実行を回避することができる。
【0034】
さらに、本発明は、請求項10に記載の発明のように、前記導出手段が、前記距離として、前記放射線源と前記物体との距離を導出してもよい。これにより、放射線源に対する物体の接触を抑制することができる結果、より効果的に放射線撮影の失敗や撮影によって得られた画像の品質の低下を防止することができる。
【0035】
一方、上記目的を達成するために、請求項11に記載の放射線照射制御装置は、放射線画像の撮影を行う際に放射線を撮影対象に対して照射する放射線源を備えた放射線照射装置と他の物体との距離を導出する導出手段と、前記導出手段によって導出された距離が予め定められた距離以内となった場合、前記放射線源からの前記放射線の照射を防止するための制御を実行する制御手段と、を備えている。
【0036】
請求項11に記載の放射線照射制御装置によれば、導出手段により、放射線画像の撮影を行う際に放射線を撮影対象に対して照射する放射線源を備えた放射線照射装置と他の物体との距離が導出され、制御手段により、前記導出手段によって導出された距離が予め定められた距離以内となった場合、前記放射線源からの前記放射線の照射を防止するための制御が実行される。
【0037】
このように、請求項11に記載の放射線照射制御装置によれば、放射線照射装置と他の物体との距離が予め定められた距離以内となった場合に放射線源からの放射線の照射を防止するための制御を実行するので、撮影中の物体の接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影によって得られた画像の品質の低下を防止することができる。
【0038】
一方、上記目的を達成するために、請求項12に記載のプログラムは、コンピュータを、放射線画像の撮影を行う際に放射線を撮影対象に対して照射する放射線源を備えた放射線照射装置と他の物体との距離を導出する導出手段と、前記導出手段によって導出された距離が予め定められた距離以内となった場合、前記放射線源からの前記放射線の照射を防止するための制御を実行する制御手段と、として機能させるためのものである。
【0039】
従って、本発明によれば、コンピュータを請求項1に記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項1に記載の発明と同様に、撮影中の物体の接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影によって得られた画像の品質の低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の放射線照射システム、放射線照射制御装置、およびプログラムによれば、放射線照射装置と他の物体との距離が予め定められた距離以内となった場合に放射線源からの放射線の照射を防止するための制御を実行するので、撮影中の物体の接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影によって得られた画像の品質の低下を防止することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施の形態に係る放射線情報システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線撮影室における各装置の配置状態の一例および放射線発生装置の構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態に係る電子カセッテの内部構成を示す透過斜視図である。
【図4】実施の形態に係る撮影システムの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施の形態に係る放射線画像撮影処理プログラムの実行により表示される情報の一例を示す概略図である。
【図7】実施の形態に係る情報送信処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態に係る誤照射防止処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施の形態に係る誤照射防止処理プログラムの実行により表示される情報の一例を示す概略図である。
【図10】実施の形態に係る誤照射防止処理プログラムの実行により表示される情報の一例を示す概略図である。
【図11】第2の実施の形態に係る第2誤照射防止処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、病院における放射線科部門で取り扱われる情報を統括的に管理するシステムである放射線情報システムに適用した場合の形態例について説明する。
【0043】
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る放射線情報システム(以下、「RIS(Radiology Information System)」と称する。)10の構成について説明する。
【0044】
RIS10は、放射線科部門内における、診療予約、診断記録等の情報管理を行うためのシステムであり、病院情報システム(以下、「HIS(Hospital Information System)」と称する。)の一部を構成する。
【0045】
RIS10は、複数台の撮影依頼端末装置(以下、「端末装置」と称する。)12、RISサーバ14、および病院内の放射線撮影室(あるいは手術室)の個々に設置された放射線画像撮影システム(以下、「撮影システム」と称する。)18を有しており、これらが有線や無線のLAN(Local Area Network)等から成る病院内ネットワーク16に各々接続されて構成されている。なお、RIS10は、同じ病院内に設けられたHISの一部を構成しており、病院内ネットワーク16には、HIS全体を管理するHISサーバ(図示省略。)も接続されている。
【0046】
端末装置12は、医師や放射線技師が、診断情報や施設予約の入力、閲覧等を行うためのものであり、放射線画像の撮影依頼や撮影予約もこの端末装置12を介して行われる。各端末装置12は、表示装置を有するパーソナル・コンピュータを含んで構成され、RISサーバ14と病院内ネットワーク16を介して相互通信が可能とされている。
【0047】
一方、RISサーバ14は、各端末装置12からの撮影依頼を受け付け、撮影システム18における放射線画像の撮影スケジュールを管理するものであり、データベース14Aを含んで構成されている。
【0048】
データベース14Aは、患者の属性情報(氏名、性別、生年月日、年齢、血液型、体重、患者ID(Identification)等)、病歴、受診歴、過去に撮影した放射線画像等の患者に関する情報、撮影システム18で用いられる、後述する電子カセッテ32の識別番号、型式、サイズ、感度、使用可能な撮影部位(対応可能な撮影依頼の内容)、使用開始年月日、使用回数等の電子カセッテ32に関する情報、および電子カセッテ32を用いて放射線画像を撮影する環境、すなわち、電子カセッテ32を使用する環境(一例として、放射線撮影室や手術室等)を示す環境情報を含んで構成されている。
【0049】
ここで、データベース14Aは、患者の体における放射線画像の撮影対象とする部位、撮影条件、および患者に対する放射線の照射方向等の放射線撮影を行う際の条件を示す情報である撮影メニューが含まれている。
【0050】
撮影システム18は、RISサーバ14からの指示に応じて医師や放射線技師の操作により放射線画像の撮影を行う。撮影システム18は、放射線源130(図2も参照。)から曝射条件に従った線量とされた放射線X(図3も参照。)を被写体に照射する放射線発生装置34と、患者の撮影対象部位を透過した放射線Xを吸収して電荷を発生し、発生した電荷量に基づいて放射線画像を示す画像情報を生成する放射線検出器60(図3も参照。)を内蔵する電子カセッテ32と、電子カセッテ32に内蔵されているバッテリを充電するクレードル40と、電子カセッテ32,放射線発生装置34,およびクレードル40を制御するコンソール42と、を備えている。
【0051】
コンソール42は、RISサーバ14からデータベース14Aに含まれる各種情報を取得して後述するHDD110(図4参照。)に記憶し、当該情報に基づいて、電子カセッテ32,放射線発生装置34,およびクレードル40の制御を行う。
【0052】
図2には、本実施の形態に係る撮影システム18の放射線撮影室44における各装置の配置状態の一例および放射線発生装置34の構成が示されている。
【0053】
同図に示すように、本実施の形態に係る放射線発生装置34は、Cアーム140を備えており、Cアーム140の一端には放射線Xを射出する放射線源130が設けられる一方、他端には電子カセッテ32が着脱可能とされた着脱機構142が設けられている。なお、同図では、電子カセッテ32が着脱機構142から取り外されており、放射線撮影室44の略中央部に設けられたベッド46と当該ベッド46に仰臥している被検者(患者)48との間に設けられた状態が示されている。
【0054】
放射線源130は、支持軸136および一対の支持板138を介してCアーム140の一端に設けられており、支持軸136を回転中心として同図A方向およびB方向に回転可能とされると共に、支持板138と共にCアーム140の円弧の接線を軸として同図C方向およびD方向に回転可能とされている。
【0055】
Cアーム140の円筒面の外周に当接する位置には、Cアーム140を同図時計回り方向および反時計回り方向に回転可能に保持するCアーム保持部144が設けられる一方、Cアーム保持部144はCアーム保持部146を介して支柱148に上下移動自在に保持されている。また、Cアーム保持部144は、Cアーム保持部146に対して水平軸まわりに回転可能に支持されている。
【0056】
一方、放射線発生装置34は、後述する無線通信部132、線源制御部134等を内蔵した本体部150を備えており、支柱148は、下端が本体部150の筐体の下端部近傍から側方に突設された支柱支持部152に取り付けられている。
【0057】
また、本体部150の底部には車輪154が設けられており、放射線発生装置34は病院内を移動することができる。
【0058】
一方、本実施の形態に係る放射線撮影室44には、その壁面付近にクレードル40およびコンソール42が設置されている。本実施の形態に係る撮影システム18では、放射線発生装置34とコンソール42との間と、電子カセッテ32とコンソール42との間は、無線通信によって各種情報の送受信を行う。
【0059】
クレードル40は、電子カセッテ32を収納可能な収容部40Aが形成されている。
【0060】
電子カセッテ32は、待機時、クレードル40の収容部40Aに収納され、内蔵されるバッテリに充電が行われ、放射線画像の撮影時、クレードル40から取り出され、被検者48の撮影部位に対応する位置(同図に示される位置)に配置されるか、または放射線発生装置34のCアーム140における着脱機構142に取り付けられて用いられる。
【0061】
なお、電子カセッテ32は、放射線撮影室や手術室のみで使用されるものではなく、その可搬性から、例えば、検診や病院内での回診等にも使用することができる。
【0062】
図3には、本実施の形態に係る電子カセッテ32の内部構成が示されている。
【0063】
同図に示すように、電子カセッテ32は、放射線Xを透過させる材料からなる筐体54を備えており、防水性、密閉性を有する構造とされている。電子カセッテ32は、手術室等で使用されるとき、血液やその他の雑菌が付着するおそれがある。そこで、電子カセッテ32を防水性、密閉性を有する構造として、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの電子カセッテ32を繰り返し続けて使用することができる。
【0064】
筐体54の内部には、放射線Xが照射される筐体54の照射面56側から、患者による放射線Xの散乱線を除去するグリッド58、患者を透過した放射線Xを検出する放射線検出器60、および放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板62が順に配設されている。なお、筐体54の照射面56をグリッド58として構成してもよい。
【0065】
また、筐体54の内部の一端側には、マイクロコンピュータを含む電子回路および充電可能で、かつ着脱可能なバッテリ96Aを収容するケース31が配置されている。放射線検出器60および電子回路は、ケース31に配置されたバッテリ96Aから供給される電力によって作動する。ケース31内部に収容された各種回路が放射線Xの照射に伴って損傷することを回避するため、ケース31の照射面56側には鉛板等を配設しておくことが望ましい。なお、本実施の形態に係る電子カセッテ32は、照射面56の形状が長方形とされた直方体とされており、その長手方向一端部にケース31が配置されている。
【0066】
また、筐体54の外壁の所定位置には、不図示の電源スイッチのオン・オフの状態(投入状態)、‘レディ状態’,‘データ送信中’といった動作モード、バッテリ96Aの残容量の状態等の電子カセッテ32の動作状態を示す表示を行う表示部56Aが設けられている。なお、本実施の形態に係る電子カセッテ32では、表示部56Aとして、発光ダイオードを適用しているが、これに限らず、発光ダイオード以外の発光素子や、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の他の表示手段としてもよい。
【0067】
さらに、筐体54の外壁の所定位置には、電子カセッテ32を移動させる際に把持される把手54Aが設けられている。なお、本実施の形態に係る電子カセッテ32では、把手54Aが筐体54における照射面56の長手方向に延設された側壁の中央部に設けられているが、これに限らず、例えば、照射面56の短手方向に延設された側壁の中央部、これら側壁の中央部より電子カセッテ32の重心位置の偏りを考慮した距離だけ偏倚した位置等、他の位置に設けてもよいことは言うまでもない。
【0068】
次に、図4を参照して、本実施の形態に係る撮影システム18の電気系の要部構成について説明する。
【0069】
同図に示すように、電子カセッテ32に内蔵された放射線検出器60は、TFTアクティブマトリクス基板66上に、放射線Xを吸収し、電荷に変換する光電変換層が積層されて構成されている。光電変換層は例えばセレンを主成分(例えば含有率50%以上)とする非晶質のa−Se(アモルファスセレン)からなり、放射線Xが照射されると、照射された放射線量に応じた電荷量の電荷(電子−正孔の対)を内部で発生することで、照射された放射線Xを電荷へ変換する。なお、放射線検出器60は、アモルファスセレンのような放射線Xを直接的に電荷に変換する放射線-電荷変換材料の代わりに、蛍光体材料と光電変換素子(フォトダイオード)を用いて間接的に電荷に変換してもよい。蛍光体材料としては、ガドリニウム硫酸化物(GOS)やヨウ化セシウム(CsI)がよく知られている。この場合、蛍光体材料によって放射線X−光変換を行い、光電変換素子のフォトダイオードによって光−電荷変換を行う。
【0070】
また、TFTアクティブマトリクス基板66上には、光電変換層で発生された電荷を蓄積する蓄積容量68と、蓄積容量68に蓄積された電荷を読み出すためのTFT70を備えた画素部74(図4では個々の画素部74に対応する光電変換層を光電変換部72として模式的に示している。)がマトリクス状に多数個配置されており、電子カセッテ32への放射線Xの照射に伴って光電変換層で発生された電荷は、個々の画素部74の蓄積容量68に蓄積される。これにより、電子カセッテ32に照射された放射線Xに担持されていた画像情報は電荷情報へ変換されて放射線検出器60に保持される。
【0071】
また、TFTアクティブマトリクス基板66には、一定方向(行方向)に延設され、個々の画素部74のTFT70をオン・オフさせるための複数本のゲート配線76と、ゲート配線76と直交する方向(列方向)に延設され、オンされたTFT70を介して蓄積容量68から蓄積電荷を読み出すための複数本のデータ配線78が設けられている。個々のゲート配線76はゲート線ドライバ80に接続されており、個々のデータ配線78は信号処理部82に接続されている。個々の画素部74の蓄積容量68に電荷が蓄積されると、個々の画素部74のTFT70は、ゲート線ドライバ80からゲート配線76を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、TFT70がオンされた画素部74の蓄積容量68に蓄積されている電荷は、アナログの電気信号としてデータ配線78を伝送されて信号処理部82に入力される。従って、個々の画素部74の蓄積容量68に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。
【0072】
図示は省略するが、信号処理部82は、個々のデータ配線78毎に設けられた増幅器およびサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線78を伝送された電荷信号は増幅器で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D(アナログ/デジタル)変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電荷信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルの画像データへ変換される。
【0073】
信号処理部82には画像メモリ90が接続されており、信号処理部82のA/D変換器から出力された画像データは画像メモリ90に順に記憶される。画像メモリ90は複数フレーム分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ90に順次記憶される。
【0074】
画像メモリ90は電子カセッテ32全体の動作を制御するカセッテ制御部92と接続されている。カセッテ制御部92はマイクロコンピュータによって構成されており、CPU(中央処理装置)92A、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むメモリ92B、HDD(ハードディスク・ドライブ)やフラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部92Cを備えている。
【0075】
また、カセッテ制御部92には無線通信部94が接続されている。本実施の形態に係る無線通信部94は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信による外部機器との間での各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部92は、無線通信部94を介してコンソール42と無線通信が可能とされており、コンソール42との間で各種情報の送受信が可能とされている。カセッテ制御部92は、コンソール42から無線通信部94を介して受信される後述する曝射条件を記憶し、曝射条件に基づいて電荷の読み出しを開始する。
【0076】
また、電子カセッテ32には電源部96が設けられており、上述した各種回路や各素子(ゲート線ドライバ80、信号処理部82、画像メモリ90、無線通信部94、カセッテ制御部92として機能するマイクロコンピュータ等)は、電源部96から供給された電力によって作動する。電源部96は、電子カセッテ32の可搬性を損なわないように、前述したバッテリ(二次電池)96Aを内蔵しており、充電されたバッテリ96Aから各種回路や各素子へ電力を供給する。なお、図4では、電源部96と各種回路や各素子を接続する配線を省略している。
【0077】
一方、コンソール42は、サーバ・コンピュータとして構成されており、操作メニューや撮影された放射線画像等を表示するディスプレイ100と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作パネル102と、を備えている。
【0078】
また、本実施の形態に係るコンソール42は、装置全体の動作を司るCPU104と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM106と、各種データを一時的に記憶するRAM108と、各種データを記憶して保持するHDD110と、ディスプレイ100への各種情報の表示を制御するディスプレイドライバ112と、操作パネル102に対する操作状態を検出する操作入力検出部114と、を備えている。また、コンソール42は、無線通信により、放射線発生装置34との間で後述する曝射条件等の各種情報の送受信を行うと共に、電子カセッテ32との間で曝射条件や画像データ等の各種情報の送受信を行う無線通信部118を備えている。
【0079】
CPU104、ROM106、RAM108、HDD110、ディスプレイドライバ112、操作入力検出部114、および無線通信部118は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU104は、ROM106、RAM108、HDD110へのアクセスを行うことができると共に、ディスプレイドライバ112を介したディスプレイ100への各種情報の表示の制御、および無線通信部118を介した放射線発生装置34および電子カセッテ32との各種情報の送受信の制御を各々行うことができる。また、CPU104は、操作入力検出部114を介して操作パネル102に対するユーザの操作状態を把握することができる。
【0080】
一方、放射線発生装置34は、放射線源130と、コンソール42との間で曝射条件等の各種情報を送受信する無線通信部132と、受信した曝射条件に基づいて放射線源130を制御する線源制御部134と、を備えている。
【0081】
線源制御部134もマイクロコンピュータによって構成されており、受信した曝射条件等を記憶する。このコンソール42から受信する曝射条件には管電圧、管電流、照射期間等の情報が含まれている。線源制御部134は、受信した曝射条件に基づいて放射線源130から放射線Xを照射させる。
【0082】
ところで、本実施の形態に係る撮影システム18では、放射線発生装置34に対する何らかの物体の接触や衝突に起因する放射線画像の撮影の失敗や、撮影によって得られた画像の品質の低下を防止するために、放射線発生装置34と他の物体との距離が予め定められた距離以内となった場合に放射線発生装置34に対して放射線源130からの放射線Xの照射を防止するための制御(以下、「誤照射防止制御」と称する。)を行う。
【0083】
このため、本実施の形態に係る放射線発生装置34には、予め定められた箇所に当該放射線発生装置34と他の物体との距離を検出するための距離センサ156が設けられている。
【0084】
図2に示すように、本実施の形態に係る放射線発生装置34では、距離センサ156がCアーム140における放射線源130の設置位置の近傍の位置および本体部150の筐体の上面における略中央の位置の2箇所に設置されているが、距離センサ156の設置位置や設置数はこれに限定されるものではなく、要求される誤照射防止に関する仕様や放射線発生装置34の価格設定等に応じて適宜決定すればよい。
【0085】
また、距離センサ156は、必ずしも複数設置する必要はなく、1つで放射線発生装置34の下方向を除く全方位に対する放射線発生装置34から他の物体までの距離を検出することができる距離センサを適用する場合等には、当該距離センサを1つのみ設置する形態としてもよいことは言うまでもない。なお、本実施の形態に係る放射線発生装置34では、前述したように放射線源130がCアーム140に対して回転可能とされており、比較的弱い接触でも放射線源130の姿勢が変化してしまうため、距離センサ156を1つのみ設置する場合には、放射線源130そのもの、または放射線源130の近傍に設置することが好ましい。
【0086】
図4に示すように、複数(本実施の形態では、2つ)の距離センサ156は線源制御部134に接続されており、各距離センサ156から出力された物体との間の距離を示す信号は線源制御部134に入力される。線源制御部134では、各距離センサ156から入力された信号に基づいて、各距離センサ156と物体との距離を導出し、当該距離を示す情報(以下、「距離情報」と称する。)を、無線通信部132を介してコンソール42に送信する。
【0087】
本実施の形態に係る撮影システム18では、距離センサ156として、超音波を射出してから他の物体より反射してくるまでの期間を示す信号(以下、「期間信号」と称する。)を出力するものを適用している。従って、本実施の形態に係る線源制御部134では、距離センサ156から出力された期間信号により示される期間から上記距離情報を導出する。なお、本実施の形態に係る距離センサ156は、設置位置を中心として当該設置位置の前方の全方向に対する期間信号を予め定められた期間(本実施の形態では、0.1秒間)で出力するものとされている。
【0088】
なお、距離センサとしては、このような超音波型のものに限らず、光を用いて距離を検出するセンサ、赤外線を用いて距離を検出するセンサ等、他の測距可能なセンサを適用してもよいことは言うまでもない。
【0089】
また、距離センサとして可視光カメラ、赤外線カメラ等のカメラを用いてもよく、この場合は、必ずしも当該カメラを放射線発生装置34に設ける必要はなく、例えば、放射線撮影室44の天井面や壁面に設けてもよい。なお、この場合の放射線発生装置34と他の物体との距離の導出手法としては、上記カメラを本実施の形態に係る距離センサ156と同一の位置に設けておき、当該カメラを用いて放射線発生装置34の周囲を含む領域を連続的に撮影して、当該撮影によって得られた画像を複数の区分領域に分割し、各区分領域毎に、オートフォーカス機能の実行時に一般に用いられる被写体までの距離を検出する技術を適用する手法や、上記カメラを放射線撮影室44の天井面に設けておき、当該カメラを用いて放射線発生装置34の周囲を含む領域を連続的に撮影して、当該撮影によって得られた画像に基づいて、移動する物体と放射線発生装置34との距離を導出する手法等を例示することができる。
【0090】
なお、このように距離センサとしてカメラを用いる場合、設置位置の360度全周囲の撮影を行うことのできる所謂360度カメラを用いれば、一度の撮影により放射線発生装置34の全周囲に対する他の物体との距離を導出できるため好ましいが、撮影画角が前方の比較的狭い範囲とされた通常のカメラを用いても、当該カメラを回転させて撮影方向を移動させつつ撮影したり、複数のカメラを用いて放射線発生装置34の周囲を撮影したりすること等によって放射線発生装置34の全周囲に対する他の物体との距離を導出することができる。ここで、距離センサとして赤外線カメラを適用した場合、距離の検出対象とする物体を人に制限することができるため、誤照射防止制御を実行する際の放射線発生装置34への接触対象とする物体を人に制限する場合には好適である。
【0091】
ところで、放射線撮影を行う放射線技師または医師(以下、「撮影者」と称する。)は、放射線画像の撮影前後のみならず、撮影中においても放射線源130の姿勢を変えたり、放射線発生装置34を移動させたりすることがあるため、このような撮影者による放射線発生装置34の各部位への接触は許容する必要がある。
【0092】
このため、本実施の形態に係る撮影システム18では、一例として図2に示すように、撮影システム18による撮影を実施してもよい人として予め定められた撮影者50に対し、所持している人が当該撮影者であることが特定できる情報(以下、「撮影者特定情報」という。)を示す信号を発信するICタグ158を予め配布しておき、放射線画像の撮影を行う際には、当該ICタグ158の所持を義務付けるようにしている。なお、ICタグは、IDタグ、RFIDタグ、無線タグ等とも呼ばれるが、ここでは、「ICタグ」と称する。
【0093】
そして、本実施の形態に係る撮影システム18では、図2に示すように、放射線発生装置34における距離センサ156の設置位置と略同一の位置に、ICタグ158から送信された撮影者特定情報を受信することのできるアンテナ160が設けられている。
【0094】
図4に示すように、各アンテナ160は線源制御部134に接続されており、線源制御部134には各アンテナ160によって受信された信号が入力される。線源制御部134では、各アンテナ160から入力された信号により示される撮影者特定情報を、無線通信部132を介してコンソール42に送信する。
【0095】
本実施の形態に係る放射線発生装置34では、アンテナ160からの距離が予め定められた距離(本実施の形態では、50cm)以内である場合に、ICタグ158から送信された信号をアンテナ160により受信することができるようにICタグ158から送信される電波の強度が予め設定されている。これにより、アンテナ160によって撮影者特定情報を示す信号を受信しているか否かによって、当該アンテナ160の設置位置から上記予め定められた距離以内に上記撮影者が存在するか否かを把握することができる。
【0096】
このように、本実施の形態に係る撮影システム18では、撮影が許可された撮影者を特定するためにICタグ158を用いているが、これに限らず、例えば、ICタグ158に代えて、所定周波数の電波や赤外線等を発信する他の発信器等の近距離通信装置を適用してもよい。
【0097】
また、これらの近距離通信装置に代えて、カメラを用いて上記撮影者を特定する形態としてもよい。この場合の形態例としては、当該カメラを用いて放射線発生装置34の周囲を撮影し、これによって得られた画像に含まれる顔画像を用いたパターン・マッチングにより上記撮影者を特定する形態を例示することができる。なお、この場合も、前述した360度カメラを用いれば、一度の撮影により放射線発生装置34の全周囲に対する撮影者の特定ができるため好ましいが、撮影画角が前方の比較的狭い範囲とされた通常のカメラを用いても、当該カメラを回転させて撮影方向を移動させつつ撮影したり、複数のカメラを用いて放射線発生装置34の周囲を撮影したりすること等によって放射線発生装置34の全周囲に対する撮影者の特定ができる。また、この場合、前述したように上記距離センサとしてカメラを用いる場合には、当該カメラを上記撮影者の特定に供用することにより、装置の低コスト化および省スペース化を図ることができる。
【0098】
次に、本実施の形態に係る撮影システム18の作用を説明する。
【0099】
まず、撮影者は、コンソール42を操作してRISサーバ14から得られたデータベース14Aに含まれる、被検者に関する撮影メニューをディスプレイ100により表示させ、当該撮影メニューから把握される被検者の撮影部位や撮影条件に応じて、コンソール42の操作パネル102を介して放射線Xを照射する際の管電圧、管電流、および照射期間を指定する曝射条件指定操作を行う。
【0100】
コンソール42は、曝射条件指定操作が行われると、放射線画像撮影処理を実行する。
【0101】
次に、図5を参照して、放射線画像撮影処理の実行時におけるコンソール42の作用を説明する。なお、図5は、この際にコンソール42のCPU104によって実行される放射線画像撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM106の所定領域に予め記憶されている。また、ここでは、電子カセッテ32を放射線発生装置34のCアーム140における着脱機構142には取り付けずに、単独で用いる場合について説明する。
【0102】
同図のステップ200では、撮影準備を行うことを示す予め定められた情報をディスプレイ100により表示させるようにディスプレイドライバ112を制御し、次のステップ202にて所定情報の入力待ちを行う。
【0103】
図6には、上記ステップ200の処理によってディスプレイ100により表示される情報の一例が示されている。同図に示される例では、「所定の撮影準備をした後、撮影実行ボタンを指定して下さい。」とのメッセージが、撮影実行ボタンと共に表示される。
【0104】
同図に示されるような情報がディスプレイ100により表示されると、撮影者は、被検者をベッド46に仰臥させた後、上記撮影メニューから把握した撮影対象部位とベッド46との間に電子カセッテ32を配置する。
【0105】
次いで撮影者は、放射線発生装置34および放射線源130を、撮影対象部位が電子カセッテ32により撮影可能となるように位置決めし、その後にディスプレイ100により表示されている撮影実行ボタンを指定する。これに応じて上記ステップ202が肯定判定となってステップ204に移行する。
【0106】
ステップ204では、指定された曝射条件を放射線発生装置34および電子カセッテ32へ無線通信部118を介して送信することにより当該爆射条件を設定する。これに応じて線源制御部134は、受信した曝射条件での曝射準備を行う。
【0107】
次のステップ206では、曝射開始を指示する指示情報を放射線発生装置34および電子カセッテ32へ無線通信部118を介して送信する。
【0108】
これに応じて、放射線源130は、放射線発生装置34がコンソール42から受信した曝射条件に応じた管電圧、管電流、および照射期間で放射線を発生して射出する。
【0109】
放射線源130から照射された放射線Xは、被検者を透過した後に電子カセッテ32に到達する。これにより、電子カセッテ32に内蔵された放射線検出器60の各画素部74の蓄積容量68には電荷が蓄積される。
【0110】
電子カセッテ32のカセッテ制御部92は、曝射開始を指示する指示情報を受信してから曝射条件で指定された照射期間の経過後にゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から1ラインずつ順に各ゲート配線76にオン信号を出力させ、各ゲート配線76に接続された各TFT70を1ラインずつ順にオンさせる。
【0111】
放射線検出器60は、各ゲート配線76に接続された各TFT70を1ラインずつ順にオンされると、1ラインずつ順に各蓄積容量68に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線78に流れ出す。各データ配線78に流れ出した電気信号は信号処理部82でデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ90に記憶される。
【0112】
カセッテ制御部92は、撮影終了後、画像メモリ90に記憶された画像データを無線通信によりコンソール42へ送信する。
【0113】
そこで、次のステップ208では、当該画像データが電子カセッテ32から受信されるまで待機し、次のステップ210にて、受信した画像データに対してシェーディング補正等の各種の補正を行う画像処理を実行する。
【0114】
次のステップ212では、上記画像処理が行われた画像データ(以下、「補正画像データ」と称する。)をHDD110に記憶し、次のステップ214にて、補正画像データにより示される放射線画像を、確認等を行うためにディスプレイ100によって表示させるようにディスプレイドライバ112を制御し、次のステップ216にて、補正画像データをRISサーバ14へ病院内ネットワーク16を介して送信した後、本放射線画像撮影処理プログラムを終了する。なお、RISサーバ14へ送信された補正画像データはデータベース14Aに格納され、医師が撮影された放射線画像の読影や診断等を行うことが可能となる。
【0115】
ところで、本実施の形態に係る放射線発生装置34では、予め定められた期間内(本実施の形態では、コンソール42から曝射開始を指示する指示情報が受信された時点(放射線画像の撮影の準備が完了した時点)から、コンソール42から受信された曝射条件に含まれる放射線Xの照射期間によって特定される放射線源130からの放射線Xの照射が終了する時点までの期間内)における予め定められた期間毎(本実施の形態では、0.1秒毎)に、前述した距離情報や撮影者特定情報をコンソール42に送信する情報送信処理が割り込み処理として実行される。
【0116】
次に、図7を参照して、情報送信処理の実行時における放射線発生装置34の作用を説明する。なお、図7は、この際に放射線発生装置34の線源制御部134によって実行される情報送信処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは線源制御部134に内蔵された不図示のROMの所定領域に予め記憶されている。
【0117】
同図のステップ300では、各距離センサ156から前述した期間信号を取得し、次のステップ302では、取得した期間信号に基づいて前述した距離情報を導出する。
【0118】
なお、前述したように、各距離センサ156からは設置位置の前方の全方向に対する期間信号を予め定められた期間(本実施の形態では、0.1秒間)で出力しているため、本ステップ302では、各距離センサ156から出力された期間信号を当該予め定められた期間(0.1秒間)だけ不図示のRAMに記憶し、記憶した期間信号に基づいて得られる距離のうち、最も短い距離を上記距離情報として距離センサ156毎に導出する。
【0119】
次のステップ304では、各アンテナ160の少なくとも1つから前述した撮影者特定情報を示す信号が入力されているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ306に移行して、上記ステップ302の処理によって導出した距離情報、およびアンテナ160から受信した信号により示される撮影者特定情報をコンソール42に無線通信部132を介して送信した後、本情報送信処理プログラムを終了する。
【0120】
一方、上記ステップ304において否定判定となった場合にはステップ308に移行し、上記ステップ302の処理によって導出した距離情報のみをコンソール42に無線通信部132を介して送信した後、本情報送信処理プログラムを終了する。
【0121】
コンソール42は、放射線発生装置34から距離情報を受信すると、誤照射防止処理を実行する。
【0122】
次に、図8を参照して、誤照射防止処理を実行する際におけるコンソール42の作用を説明する。なお、図8は、この際にコンソール42のCPU104によって割り込み処理として実行される誤照射防止処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムもROM106の所定領域に予め記憶されている。
【0123】
同図のステップ400では、受信した距離情報と共に撮影者特定情報を受信したか否かを判定することにより、撮影システム18による撮影が許可された撮影者が放射線発生装置34に予め定められた距離(本実施の形態では、50cm)以内に接近しているか否かを判定し、肯定判定となった場合は本誤照射防止処理プログラムを終了する一方、否定判定となった場合にはステップ402に移行する。
【0124】
ステップ402では、受信した距離情報によって示される距離(以下、「受信距離」という。)に予め定められた距離T0(本実施の形態では、70cm)以下である距離が含まれるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ404に移行して、受信距離に距離T0より短い距離T1(本実施の形態では、50cm)以下である距離が含まれるか否かを判定し、否定判定となった場合は本誤照射防止処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ406に移行する。
【0125】
ステップ406では、受信距離に距離T1より短い距離T2(本実施の形態では、10cm)以下である距離が含まれるか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ408に移行して、予め定められた照射禁止処理を実行した後に、本誤照射防止処理プログラムを終了する。
【0126】
なお、本実施の形態に係る誤照射防止処理プログラムでは、上記照射禁止処理として、放射線発生装置34に対して放射線源130からの放射線Xの照射を停止させる処理を実行すると共に、一例として図9に示されるような放射線の照射を禁止することを示す提示画面をコンソール42のディスプレイ100によって表示させる処理を実行した後、前述した放射線画像撮影処理プログラムの実行を強制的に終了させる処理を適用している。また、本実施の形態に係る誤照射防止処理プログラムでは、上記放射線Xの照射を停止させる処理として、放射線発生装置34に対して放射線源130に対する駆動用の電力の供給経路を強制的に遮断させる指示情報を送信する処理を適用しているが、これに限らず、例えば、放射線発生装置34に対して放射線源130による放射線Xの照射を停止させる指示情報を送信する処理等、放射線源130による放射線Xの照射を停止させることができる他の処理を適用してもよいことは言うまでもない。
【0127】
一方、上記ステップ406において否定判定となった場合にはステップ410に移行し、予め定められた警告を開始した後に、本誤照射防止処理プログラムを終了する。
【0128】
なお、本実施の形態に係る誤照射防止処理プログラムでは、上記予め定められた警告として、一例として図10に示されるような注意を喚起する警告画面をコンソール42のディスプレイ100によって表示させる処理を適用しているが、これに限らず、例えば、このような注意を喚起する情報をディスプレイ100により表示する形態に加えて、コンソール42にブザーを設けておき、当該ブザーを鳴動させる処理、コンソール42にスピーカを設けておき、当該スピーカにより注意を喚起するメッセージを発声させる処理、コンソール42に警告ランプを設けておき、当該警告ランプを点灯させたり、点滅させたりする処理等の他の注意を喚起することのできる処理の単独、または複数の組み合わせを適用してもよい。
【0129】
一方、上記ステップ402において否定判定となった場合にはステップ412に移行し、この時点で上記ステップ410の処理により開始された警告が継続中であるか否かを判定して、否定判定となった場合は本誤照射防止処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ414に移行して、継続中の警告を停止させた後に本誤照射防止処理プログラムを終了する。
【0130】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、放射線照射装置(本実施の形態では、放射線発生装置34)と他の物体との距離が予め定められた距離(本実施の形態では、距離T2)以内となった場合に放射線源からの放射線の照射を防止するための制御を実行しているので、撮影中の物体の接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影によって得られた画像の品質の低下を防止することができる。
【0131】
また、本実施の形態によれば、放射線画像の撮影の準備が完了した時点から当該撮影のための放射線源からの放射線の照射が終了するまでの期間に前記距離を導出しているので、撮影中の物体の接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影によって得られた画像の品質の低下を、より確実に防止することができる。
【0132】
また、本実施の形態によれば、前記放射線の照射を防止するための制御として、前記放射線源からの前記放射線の照射を禁止する制御を実行しているので、放射線源からの放射線の無駄な照射を、より確実に防止することができる。
【0133】
また、本実施の形態によれば、導出した距離が前記予め定められた距離より遠い予め定められた第2の距離(本実施の形態では、距離T1)以内となった場合、警告を発する制御を実行しているので、撮影中の物体の接触に起因する放射線撮影の失敗や撮影によって得られた画像の品質の低下を、より確実に防止することができる。
【0134】
特に、本実施の形態によれば、導出した距離が前記第2の距離以内の距離となった場合、前記警告を開始する制御を実行し、導出した距離が前記第2の距離以内の距離から当該第2の距離より遠い距離に移行した場合、前記警告を停止するように制御しているので、物体の放射線照射装置への接近を把握することができると共に、当該物体が接近した状態から離間した状態に復帰したことを把握することができる結果、利便性を向上させることができる。
【0135】
さらに、本実施の形態によれば、導出した距離が前記第2の距離以内の距離から当該第2の距離より遠い予め定められた第3の距離(本実施の形態では、距離T0)より遠い距離に移行した場合、前記警告を停止するように制御しているので、上記第3の距離として上記第2の距離を適用した場合に比較して、物体が放射線照射装置に対して上記第2の距離以内に接近した時点に開始した警告を停止するまでの期間を長くすることができる結果、より確実に物体の接近による注意を喚起することができる。
【0136】
また、本実施の形態によれば、前記距離の導出対象とされた物体が予め定められた人(本実施の形態では、撮影者)であるか否かを判定し、予め定められた人であると判定された場合、前記制御の実行を禁止しているので、不要な制御の実行を回避することができる。
【0137】
さらに、本実施の形態によれば、前記距離として、前記放射線源近傍の位置と前記物体との距離を導出しているので、当該放射線源に対する物体の接触を抑制することができる結果、より効果的に放射線撮影の失敗や撮影によって得られた画像の品質の低下を防止することができる。
【0138】
[第2の実施の形態]
上記第1の実施の形態では、放射線発生装置34に接近する物体の移動速度については考慮せずに放射線の照射を防止するための制御を実行する場合の形態例について説明したが、本第2の実施の形態では、上記物体の移動速度に応じて上記制御を実行する場合の形態例について説明する。なお、本第2の実施の形態に係るRIS10、放射線撮影室44、放射線発生装置34、電子カセッテ32、および撮影システム18の構成は、上記第1の実施の形態に係るもの(図1〜図4参照。)と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0139】
次に、本第2の実施の形態に係る撮影システム18の作用を説明する。
【0140】
本第2の実施の形態に係る撮影システム18においても、上記第1の実施の形態と同様の放射線画像撮影処理プログラム(図5参照。)が上記第1の実施の形態と同様のタイミングでコンソール42のCPU104により実行される一方、上記第1の実施の形態と同様の情報送信処理プログラム(図7参照。)が上記第1の実施の形態と同様のタイミングで放射線発生装置34の線源制御部134により実行される。
【0141】
コンソール42は、上記情報送信処理プログラムの実行により放射線発生装置34から送信された距離情報(以下、「第1距離情報」という。)を受信すると、第2の誤照射防止処理を実行する。
【0142】
次に、図11を参照して、第2の誤照射防止処理を実行する際におけるコンソール42の作用を説明する。なお、図11は、この際にコンソール42のCPU104によって割り込み処理として実行される第2誤照射防止処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムもROM106の所定領域に予め記憶されている。
【0143】
同図のステップ450では、受信した第1距離情報と共に撮影者特定情報を受信したか否かを判定することにより、撮影システム18による撮影が許可された撮影者が放射線発生装置34に予め定められた距離(本実施の形態では、50cm)以内に接近しているか否かを判定し、肯定判定となった場合は本第2誤照射防止処理プログラムを終了する一方、否定判定となった場合にはステップ452に移行する。
【0144】
ステップ452では、放射線発生装置34からの次の距離情報(以下、「第2距離情報」という。)の受信待ちを行い、次のステップ454にて、受信した第1距離情報および第2距離情報に基づいて、次の(1)式により各距離センサ156に最も接近している物体(以下、「処理対象物体」という。)の移動速度Sを導出する。なお、(1)式におけるD1は第1距離情報により示される最も短い距離を表し、D2は第2距離情報により示される最も短い距離を表し、tは放射線発生装置34から距離情報が受信されるインターバル期間(本実施の形態では、0.1秒間)を表す。
【0145】
【数1】

次のステップ456では、上記ステップ454の処理によって導出された移動速度Sが正の値となっているか否かを判定することにより、処理対象物体が放射線発生装置34に近づいているか否かを判定し、否定判定となった場合は処理対象物体が放射線発生装置34から遠ざかっているか、または放射線発生装置34に対して平行移動しているものと見なしてステップ458に移行し、距離T0’、距離T1’、距離T2’を決定した後にステップ462に移行する。
【0146】
なお、本実施の形態に係る第2誤照射防止処理プログラムでは、上記ステップ458の処理により、距離T0’、距離T1’、距離T2’を、距離T0’、距離T1’、距離T2’の順に短くなるものとして予め定められた基準距離(本実施の形態では、距離T0’=70cm、距離T1’=50cm、距離T2’=10cm)とするように決定している。
【0147】
一方、上記ステップ456において肯定判定となった場合にはステップ460に移行し、距離T0’、距離T1’、距離T2’を、各々対応する上記基準距離より長くなるように決定した後にステップ462に移行する。
【0148】
なお、本実施の形態に係る第2誤照射防止処理プログラムでは、上記ステップ460の処理により、距離T0’、距離T1’、距離T2’を、距離T0’、距離T1’、距離T2’の順に短くなり、かつ各々対応する上記基準距離より長くなると共に、上記ステップ454の処理によって導出した移動速度Sが速くなるほど距離T1’が長くなるように決定している。
【0149】
ステップ462では、距離D2が距離T0’以下であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ464に移行して、距離D2が距離T1’以下であるか否かを判定し、否定判定となった場合は本第2誤照射防止処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ466に移行する。
【0150】
ステップ466では、距離D2が距離T2’以下であるか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ468に移行して、予め定められた照射禁止処理を実行した後に、本第2誤照射防止処理プログラムを終了する。
【0151】
なお、本実施の形態に係る第2誤照射防止処理プログラムにおいても、上記照射禁止処理として、放射線発生装置34に対して放射線源130からの放射線Xの照射を停止させる処理を実行すると共に、一例として図9に示されるような放射線の照射を禁止することを示す提示画面をコンソール42のディスプレイ100によって表示させる処理を実行した後、前述した放射線画像撮影処理プログラムの実行を強制的に終了させる処理を適用している。また、本実施の形態に係る第2誤照射防止処理プログラムにおいても、上記放射線Xの照射を停止させる処理として、放射線発生装置34に対して放射線源130に対する駆動用の電力の供給経路を強制的に遮断させる指示情報を送信する処理を適用しているが、これに限らず、例えば、放射線発生装置34に対して放射線源130による放射線Xの照射を停止させる指示情報を送信する処理等、放射線源130による放射線Xの照射を停止させることができる他の処理を適用してもよいことは言うまでもない。
【0152】
一方、上記ステップ466において否定判定となった場合にはステップ470に移行し、予め定められた警告を開始した後に、本第2誤照射防止処理プログラムを終了する。
【0153】
なお、本実施の形態に係る第2誤照射防止処理プログラムにおいても、上記予め定められた警告として、一例として図10に示されるような注意を喚起する警告画面をコンソール42のディスプレイ100によって表示させる処理を適用しているが、これに限らず、例えば、このような注意を喚起する情報をディスプレイ100により表示する形態に加えて、コンソール42にブザーを設けておき、当該ブザーを鳴動させる処理、コンソール42にスピーカを設けておき、当該スピーカにより注意を喚起するメッセージを発声させる処理、コンソール42に警告ランプを設けておき、当該警告ランプを点灯させたり、点滅させたりする処理等の他の注意を喚起することのできる処理の単独、または複数の組み合わせを適用してもよい。
【0154】
一方、上記ステップ462において否定判定となった場合にはステップ472に移行し、この時点で上記ステップ470の処理により開始された警告が継続中であるか否かを判定して、否定判定となった場合は本第2誤照射防止処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ474に移行して、継続中の警告を停止させた後に本第2誤照射防止処理プログラムを終了する。
【0155】
以上詳細に説明したように、本第2の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができると共に、前記他の物体の移動速度を導出し、導出した移動速度が速くなるほど、第2の距離(本実施の形態では、距離T1’)を遠い距離として前記警告を発する制御を実行しているので、放射線源からの放射線の無駄な照射を、より確実に防止することができる。
【0156】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0157】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0158】
例えば、上記各実施の形態では、放射線発生装置34と他の物体との距離を示す距離情報を放射線発生装置34において導出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、コンソール42において上記距離情報を導出する形態としてもよい。この場合の形態例としては、線源制御部134により、各距離センサ156から入力された期間信号を、無線通信部132を介してコンソール42に送信し、これに応じて無線通信部118を介して受信した期間信号に基づいて、コンソール42のCPU104により上記距離情報を導出する形態を例示することができる。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0159】
また、上記各実施の形態では、放射線源130に対する放射線Xの照射を禁止する処理をコンソール42によって実行する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、放射線発生装置34自身において実行する形態としてもよい。この場合の形態例としては、放射線発生装置34の線源制御部134により、情報送信処理プログラム(図7参照。)と、誤照射防止処理プログラム(図8参照。)または第2誤照射防止処理プログラム(図11参照。)の双方のプログラムを実行する形態を例示することができる。なお、この場合、距離情報および撮影者特定情報を送受信するための処理を行わないことは言うまでもない。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0160】
また、上記各実施の形態では、放射線発生装置34としてCアームを有するものを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一例として上記特許文献2(特開2005−323673号公報)に開示されているような、Cアームを有しない移動式の放射線発生装置を適用する形態としてもよい。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0161】
また、上記各実施の形態では、放射線発生装置34として移動式のものを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、放射線撮影室44において放射線源130のみが移動機構によって移動するものを放射線発生装置として適用する形態としてもよい。この場合、放射線源130および上記移動機構に対する他の物体との距離を導出して、上記各実施の形態と同様に適用することになる。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0162】
また、上記各実施の形態では、電子カセッテ32を放射線発生装置34に取り付けることなく単独で用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、電子カセッテ32を放射線発生装置34の着脱機構142に取り付けた状態で用いる形態としてもよい。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0163】
また、上記第1の実施の形態では、距離T0と距離T1を異なる距離とし、上記第2の実施の形態では、距離T0’と距離T1’を異なる距離とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、距離T0と距離T1、および距離T0’と距離T1’を各々同一の距離とする形態としてもよい。この場合、上記各実施の形態に比較して、警告を解除するための制御を簡易化することができる。
【0164】
また、上記各実施の形態では、放射線画像の撮影を1枚ずつ行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、放射線画像の撮影を複数枚、連続して行う形態としてもよい。この場合、上記情報送信処理プログラムを実行する期間を、放射線画像の撮影準備が完了した時点から、上記連続した撮影における全ての放射線の照射が終了するまでの期間とする。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0165】
また、上記第1の実施の形態では、警告の種類を1種類のみとした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、放射線発生装置34と他の物体との距離の閾値として複数の閾値を予め定めておくと共に、当該複数の閾値により区分される距離範囲毎に異なる警告を発する形態としてもよく、さらに、この場合、上記距離が短くなるに従って、より警告性の高い警告を発する形態としてもよい。この場合、放射線発生装置34と他の物体との接近/離間状態の変化をも把握することができる結果、上記第1の実施の形態に比較して、より利便性を向上させることができる。
【0166】
同様に、上記第2の実施の形態でも、警告の種類を1種類のみとした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、放射線発生装置34に接近する物体の移動速度Sの閾値として複数の閾値を予め定めておくと共に、当該複数の閾値により区分される移動速度範囲毎に異なる警告を発する形態としてもよく、さらに、この場合、上記移動速度Sが速くなるに従って、より警告性の高い警告を発する形態としてもよい。この場合、移動速度Sの状態をも把握することができる結果、上記第2の実施の形態に比較して、より利便性を向上させることができる。
【0167】
また、上記各実施の形態では、本発明を電子カセッテにより放射線画像の撮影を行う撮影システムに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、放射線フイルムにより放射線画像を撮影する通常のカセッテ、イメージング・プレートにより放射線画像を撮影するIPカセッテ等の電子カセッテ以外のカセッテにより放射線画像の撮影を行う撮影システムに適用してもよく、さらには産業用品質管理の分野や、旅客の手荷物,小荷物,大貨物の保安スクリーニング分野のような医用以外の応用分野等、放射線画像を撮影する他の分野に適用する形態とすることもできる。
【0168】
また、上記各実施の形態では、電子カセッテ32とコンソール42との間、および放射線発生装置34とコンソール42との間で無線にて通信を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、これらの少なくとも一方を有線にて通信を行う形態としてもよい。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0169】
また、上記各実施の形態では、放射線の照射を防止するための制御として放射線の照射を禁止する制御を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、放射線の照射の開始タイミングを遅らせる制御、放射線の照射量を削減する制御等を適用する形態としてもよい。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0170】
また、上記各実施の形態では、距離センサ156を放射線源130の近傍に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、距離センサ156を放射線源130そのものに設ける形態としてもよい。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0171】
その他、上記各実施の形態で説明したRIS10の構成(図1参照。)、放射線撮影室および放射線発生装置34の構成(図2参照。)、電子カセッテ32の構成(図3参照。)、撮影システム18の構成(図4参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したり、接続状態等を変更したりすることができることは言うまでもない。
【0172】
また、上記各実施の形態で説明した各種プログラムの処理の流れ(図5,図7,図8,図11参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ換えたりすることができることは言うまでもない。
【0173】
また、上記各実施の形態で説明した表示情報(図6,図9,図10参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、表示内容を変更することができることは言うまでもない。
【0174】
さらに、図6,図9,図10に示される各表示情報を表示する画面の色を各画面毎に異なるものとする形態としてもよく、この場合には、状況を一目で把握することができる結果、放射線源からの放射線の無駄な照射を、より確実に防止することができる。
【0175】
なお、上記各実施の形態では特に言及しなかったが、手術室において放射線画像の撮影を行うことを想定した場合、手術中に放射線画像の撮影を行った後に放射線発生装置34を手術室の隅等に一旦退避させ、再び放射線画像を撮影するために放射線発生装置34を前回の撮影時と同一の位置に位置決めしたい場合(放射線発生装置34の退避前後の撮影画像を比較したい場合等)がある。この場合、距離センサとしてカメラを用いる場合には、当該カメラを用いて上記位置決めを行うことも可能となる。
【0176】
この場合、カメラを手術室の天井面や壁面に設ける場合の形態例としては、当該カメラを用いて放射線発生装置34の退避前後で手術室内を定点撮影し、これによって得られた退避後の画像における放射線発生装置34の位置および姿勢が、退避前の画像と一致するように上記位置決めを行う形態を例示することができる。
【0177】
また、カメラを放射線発生装置34に設ける場合の形態例としては、当該カメラを用いて放射線発生装置34の退避前後で手術室内を撮影し、これによって得られた退避後の画像が、退避前の画像と一致するように上記位置決めを行う形態を例示することができる。
【0178】
なお、上記位置決めを行う場合の形態例として、このようにカメラを用いる形態に加え、放射線発生装置34の各可動部にエンコーダを内蔵しておき、当該エンコーダを用いて放射線発生装置34の位置および姿勢を退避前後で一致させる形態も例示することができる。
【符号の説明】
【0179】
18 放射線画像撮影システム
32 電子カセッテ
34 放射線発生装置
42 コンソール
100 ディスプレイ
102 操作パネル
104 CPU(導出手段,制御手段,判定手段)
110 HDD
130 放射線源
132 無線通信部
134 線源制御部
156 距離センサ
158 ICタグ
160 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像の撮影を行う際に放射線を撮影対象に対して照射する放射線源を備えた放射線照射装置と、
前記放射線照射装置と他の物体との距離を導出する導出手段と、
前記導出手段によって導出された距離が予め定められた距離以内となった場合、前記放射線源からの前記放射線の照射を防止するための制御を実行する制御手段と、
を有する放射線照射システム。
【請求項2】
前記導出手段は、少なくとも前記放射線画像の撮影の準備が完了した時点から当該撮影のための前記放射線源からの放射線の照射が終了するまでの期間に前記距離を導出する
請求項1記載の放射線照射システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記放射線の照射を防止するための制御として、前記放射線源からの前記放射線の照射を禁止する制御を実行する
請求項1または請求項2記載の放射線照射システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記導出手段によって導出された距離が前記予め定められた距離より遠い予め定められた第2の距離以内となった場合、警告を発する制御をさらに実行する
請求項1〜請求項3の何れか1項記載の放射線照射システム。
【請求項5】
前記導出手段は、前記他の物体の移動速度をさらに導出し、
前記制御手段は、前記導出手段によって導出された移動速度が速くなるほど、前記第2の距離を遠い距離として前記警告を発する制御を実行する
請求項4記載の放射線照射システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記導出手段によって導出された移動速度に応じて前記警告の内容を変えて当該警告を発する制御を実行する
請求項5記載の放射線照射システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記導出手段によって導出された距離が前記第2の距離以内の距離となった場合、前記警告を開始する制御を実行し、前記導出手段によって導出された距離が前記第2の距離以内の距離から当該第2の距離より遠い距離に移行した場合、前記警告を停止するように制御する
請求項4〜請求項6の何れか1項記載の放射線照射システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記導出手段によって導出された距離が前記第2の距離以内の距離から当該第2の距離より遠い予め定められた第3の距離より遠い距離に移行した場合、前記警告を停止するように制御する
請求項7記載の放射線照射システム。
【請求項9】
前記導出手段により前記距離の導出対象とされた物体が予め定められた人であるか否かを判定する判定手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記判定手段によって前記予め定められた人であると判定された場合、前記制御の実行を禁止する
請求項1〜請求項8の何れか1項記載の放射線照射システム。
【請求項10】
前記導出手段は、前記距離として、前記放射線源と前記物体との距離を導出する
請求項1〜請求項9の何れか1項記載の放射線照射システム。
【請求項11】
放射線画像の撮影を行う際に放射線を撮影対象に対して照射する放射線源を備えた放射線照射装置と他の物体との距離を導出する導出手段と、
前記導出手段によって導出された距離が予め定められた距離以内となった場合、前記放射線源からの前記放射線の照射を防止するための制御を実行する制御手段と、
を備えた放射線照射制御装置。
【請求項12】
コンピュータを、
放射線画像の撮影を行う際に放射線を撮影対象に対して照射する放射線源を備えた放射線照射装置と他の物体との距離を導出する導出手段と、
前記導出手段によって導出された距離が予め定められた距離以内となった場合、前記放射線源からの前記放射線の照射を防止するための制御を実行する制御手段と、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−101741(P2011−101741A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258081(P2009−258081)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】