説明

放射線環境下監視用カメラ装置

【課題】カメラの放射線劣化を抑えることが出来、これによりカメラとしてCCDイメージセンサ やCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子を使用したものを利用することが出来、さらにレンズとして視野角の広いレンズを使用して広範囲なエリアの撮影を可能とする。
【解決手段】
【0012】監視用カメラの光学部分は、レンズ15と、このレンズ15を通して画像を撮影するカメラ17と、このカメラ17、18の撮像素子にレンズ15を通して画像を結ぶようにレンズ15とカメラ17の撮像素子とを光学的に接続する長尺なリレーレンズ16とを有する。これを放射線遮蔽壁30を貫通するように設置した保護ケース1の中に収る。そして前記レンズ15のみを保護ケース1の中の遮蔽体7、8の前方に配置し、前記カメラ17は、保護ケース1の中の遮蔽体7、8の後方に配置し、前記リレーレンズ16を保護ケース1の中の遮蔽体7、8を貫通するよう設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性環境下の空間内の状況確認や警備の目的で画像撮影する監視カメラ装置に関し、特に放射線を遮断する壁に取り付けられて、その壁によって遮蔽された放射線環境下の室内を外部から監視するのに好適な放射線環境下監視用カメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力利用において、プルトニウムで燃料を作り、これを従来の熱中性子炉で燃料の一部として使ういわゆるプルサーマル化が進む状況において、使用済の高レベル放射性燃料集合体の安全の確認とその記録は各移送過程においても重要な課題である。現在、この確認記録システムは、IAEA(世界原子力機構)にて構築された光学監視システムにより遂行されている。専用の耐放射線カメラにより、その状態が刻時撮影され、映像信号に変換された後、監視記録装置に送り込まれ保管されている。
【0003】
この目的に使用されている従来の放射線環境下監視用カメラ装置の一例を図5に示す。
高レベル放射性廃棄物等が貯蔵された倉庫等の放射性環境下にある空間は、放射線遮蔽壁30で区画されている。この放射線遮蔽壁30を貫通するよう同遮蔽壁30に円筒形の保護ケース1が埋め込まれている。
【0004】
この保護ケース1の先端面は、取付ボルト6により取り付けられた耐放射線ガラス5で覆われている。この耐放射線ガラス5は、放射線を遮断し、光を透過する透明ガラス板である。この耐放射線ガラス5で覆われた保護ケース1の先端部に2つのカメラ2、3がカメラ支持台4に固定して設けられており、これらカメラ2、3により、耐放射線ガラス5を通して放射線遮蔽壁30に覆われたその内側空間に存在する撮影対象物が撮影される。
【0005】
保護ケース1の中のカメラ2、3の後方には、幾重にも放射線を遮蔽するための遮蔽体7、8が設けられている。遮蔽体7、8は、遮蔽する放射線に対する特性に応じて材料が異なるものが幾重にも設けられており、保護ケース1の先端部から後端部にいくに従って放射線が次第に減衰する。保護ケース1の中にはγ線検出器9と中性子線検出器10とが内蔵され、前記遮蔽体7、8で減衰される放射線の監視が行われる。
【0006】
前記カメラ2、3に接続されたリード線は、保護ケース1の内側をスパイラル状に配線されることにより、放射線のストリーミング現象を回避しながら保護ケース1の後方端部に設けられたコネクタ11に接続されている。さらにカメラ2、3は、コネクタ11と接続したコネクタ12を介してケーブル配線14に接続され、このケーブル配線14により、前記カメラ2、3で撮影された映像信号が図示してない監視記録装置に送信され、保管される。
【0007】
このような従来の放射線環境下監視用カメラ装置では、前記カメラ2、3として、放射線に対して耐性の高いアナログ式撮像管を使用したものが使用され、それに応じて視野角の狭いレンズが取り付けられている。そして視野角の狭いレンズにより、より広範囲の撮影をする目的から、現状では2台或いはそれ以上のカメラ2、3を異な方向に向けて設置し、撮影をしている。
【0008】
しかしながら、視野角の狭いレンズを使用した前記カメラ2、3を使用した前記従来のカメラ装置では、例えば図6に示すように、監視を必要とするエリアsに対し、向きが異なる複数台のカメラ2、3で撮影したとしても、カバー出来る視界に限度がある。また、アナログ式の撮像管のため、撮影した画像の解像度が低く、しかもカラー撮影が出来ないため、細かい画像の判別が困難であった。撮影された映像信号は装置の遮蔽体を介し、出力ケーブルにより画像が送信されるが、放射線のストリーミング現象により配管等の近傍で放射線漏れの現象が発生する可能性を有している。
【0009】
また、使用するカメラ2、3は、耐放射線を有した特殊な構造である為、高価なカメラを必要としている。にも拘わらず、カメラ2、3が常時高レベルの放射線環境下に常設されているため、放射性劣化が進み、カメラは年1回程の定期点検時に交換修理を実施する必要がある。しかし、カメラ2、3は保護ケース1内の遮蔽体7、8より先の部分に装着されているため、放射線の被曝無しに交換することが極めて困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−76370号公報
【特許文献2】特開2003−163941号公報
【特許文献3】特開2003−131136号公報
【特許文献4】特開平11−191855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記のような撮像管を使用したカメラを保護ケースの先端部に配置した従来の放射線環境下監視用カメラ装置における課題に鑑み、カメラの放射線劣化を抑えることが出来、これによりカメラとしてCCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor) やCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)等の固体撮像素子を使用したものを利用することが出来、さらにレンズとして視野角の広いレンズを使用して広範囲なエリアの撮影を可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、前記の目的を達成するため、放射線遮蔽壁30を貫通して埋め込まれた保護ケース1の中の遮蔽体7、8の前方にレンズ15のみを配置し、カメラ17は同保護ケース1の中の遮蔽体7、8より後方に配置した。そしてレンズ15とカメラ17とをリレーレンズ16を介して光学的に接続した。これにより、カメラ17の放射線劣化を抑え、カメラ17の撮像素子としてCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子を使用することを可能とし、さらにレンズ15として視野角の広いレンズの使用を可能とした。
【0013】
すなわち、本発明による放射線環境下監視用カメラ装置は、レンズ15と、このレンズ15を通して画像を撮影するカメラ17と、このカメラ17、18の撮像素子にレンズ15を通して画像を結ぶようにレンズ15とカメラ17の撮像素子とを光学的に接続する長尺なリレーレンズ16とを有する。
【0014】
さらにこのような放射線環境下監視用カメラ装置を使用し、これを放射線遮蔽壁30を貫通するように設置した保護ケース1の中に収め、そのレンズ15のみを保護ケース1の中の遮蔽体7、8の前方に配置し、カメラ17は、保護ケース1の中の遮蔽体7、8の後方に配置し、リレーレンズ16を保護ケース1の中の遮蔽体7、8を貫通するよう設けた。
【0015】
レンズ15としては、焦点距離が短いため、撮影最短距離が短く、視野角が広く、被写界深度が深い広角レンズ、具体的には魚眼レンズ等の超広角レンズを使用する。これにより、広い範囲を撮影することが可能である。そしてこの広角レンズであるレンズ15を通して入射した光は、リレーレンズ16を通して後方に屈折、誘導し、レンズ15の焦点距離より遙かに後方で焦点が結ぶように光学的に設計される。具体的には、カメラ17に内蔵した撮像素子で焦点が合うように光学的に設計される。
【0016】
レンズ15のみを保護ケース1の中の遮蔽体7、8の前方に配置し、リレーレンズ16を保護ケース1の中の遮蔽体7、8を貫通するよう設け、カメラ17は、保護ケース1の中の遮蔽体7、8の後方に配置するので、遮蔽体7、8で放射線が十分減衰されたエリアにカメラ17を配置することが出来る。それ故、カメラ17としては、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子を使用したものを使用することが出来る。
【0017】
カメラ17は、リレーレンズ16の後端側に直接光学的に接続するよう設けることが出来るが、望ましくはプリズムボックス19を介してリレーレンズ16の光軸からずれた位置に配置する。こうすることにより、カメラ17を遮蔽体7、8で保護ケース1の先端側より遮蔽された位置に配置することが出来、カメラ17に及び放射線の影響をより小さくすることが出来る。
【0018】
プリズムボックス19にカメラ17を直接取り付けるだけでなく、撮影倍率を変えることが出来るズームアダプタ20を介してカメラ17を取り付けることが出来る。これにより、カメラ17により倍率の異なる画像を撮影することが出来る。例えば広い範囲を全体的に、或いは狭い範囲を拡大して撮影出来る。
【0019】
加えて、プリズムボックス19にX−Y方向(二次元方向)に移動可能なスライド機構24を介してマウント26を設け、カメラ17の光軸がリレーレンズ16又はプリズムボックス19の光軸に対して移動出来るように設けることも出来る。これにより、狭い範囲を拡大して撮影する場合に、その撮影位置を変えることが出来る。
【0020】
カメラ17、18は、プリズムボックス19に1つだけ設けるだけでなく、プリズムボックス19に分光プリズムを内蔵させ、分光した光が複数のカメラ17、18に入射するようプリズムボックス19に複数取り付けることが出来る。これにより、例えばレンズ15で撮影可能な全体の画像と、その一部の拡大した画像とをそれぞれ別のカメラ17、18で同時に観ることも出来る。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した通り、本発明による放射線環境下監視用カメラ装置では、レンズ15は放射線環境下に置くが、遮蔽体7、8で放射線の影響が小さい環境下にカメラ17を置けることにより、カメラ17としてCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子を使用したものを利用することが出来、解像度に高いカラー映像が得られる。
【0022】
カメラ17側を放射線の影響の小さな環境下に置くことが出来るので、カメラ17の交換、カメラ17の数の追加、それに付随するズームアダプタ20やX−Y移動可能なマウント26等のアタッチメントの利用が可能になるため、様々な目的の撮影に対応することも可能となる。特にレンズ15として焦点距離が短いため、撮影最短距離が短く、視野角が広く、被写界深度が深い広角レンズを使用することにより、広い範囲を撮影することが可能である。しかも前述したアタッチメントの利用により、広い範囲の撮影エリアの中の一部の撮影部分の拡大やその撮影部分の移動等も任意に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】放射線環境下監視用カメラ装置の一実施例を示す縦断側面図である。
【図2】放射線環境下監視用カメラ装置の光学部分の一実施例をリレーレンズの一部を省略し、且つプリズムボックスの部分を一部断面して示した側面図である。
【図3】放射線環境下監視用カメラ装置の一実施例における撮影エリアを模式的に示す概略斜視図である。
【図4】放射線環境下監視用カメラ装置の光学部分の他の実施例をリレーレンズの一部省略して示した斜視図である。
【図5】放射線環境下監視用カメラ装置の従来例を示す縦断側面図である。
【図6】放射線環境下監視用カメラ装置の従来例における撮影エリアを模式的に示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明では、前記の目的を達成するため、保護ケース1の中の遮蔽体7、8の前方にレンズ15のみを配置し、カメラ17は保護ケース1の中の遮蔽体7、8より後方に配置し、レンズ15とカメラ17とをリレーレンズ16を介して光学的に接続した。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例をあげて詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の放射線環境下監視用カメラ装置の一実施例を示している。この放射線環境下監視用カメラ装置の光学部分は、図5により前述した従来の放射線環境下監視用カメラ装置と同様に、放射線環境下にある空間を仕切る放射線遮蔽壁30を貫通して設けた円筒形の保護ケース1の中に組み込まれている。図5により前述した従来の放射線環境下監視用カメラ装置と共通する部分は同じ符合で示している。
【0026】
図5により前述した従来の放射線環境下監視用カメラ装置と同様にして、高レベル放射性廃棄物等が貯蔵された倉庫等の放射性環境下にある空間は、放射線遮蔽壁30で区画され、この放射線遮蔽壁30を貫通するよう円筒形の保護ケース1が埋め込まれている。
この保護ケース1の先端面は、取付ボルト6により取り付けられた耐放射線ガラス5で覆われている。この耐放射線ガラス5は、放射線を遮断し、光を透過する透明ガラス板である。この耐放射線ガラス5で覆われた保護ケース1の先端部に広角レンズ、より具体的には超広角レンズである魚眼レンズとしてのレンズ15が配置されている。
【0027】
保護ケース1の中のレンズ15の後方には、幾重にも放射線を遮蔽するための遮蔽体7、8が設けられており、保護ケース1の後方部に放射線が達しないように遮断されている。遮蔽体7、8は、遮蔽する放射線に対する特性に応じて材料が異なるものが幾重にも設けられており、保護ケース1の先端部から後端部にいくに従って放射線が次第に減衰する。保護ケース1の中にはγ線検出器9と中性子線検出器10とが内蔵され、保護ケース1内の放射線の監視が行われる。このうち特に中性子線検出器10は、レンズ15が配置された放射線の影響の大きな環境下にある保護ケース1の遮蔽体7、8より先にあるエリアに配置され、レンズ15と同じ環境で中性子線レベルを測定出来るようにしている。
【0028】
前記レンズ15は、長尺な筒体の中に複数枚、複数群のレンズを収納したリレーレンズ16の先端に設けられている。この長尺なリレーレンズ16は、前記遮蔽体7、8を貫通し、同リレーレンズ16の後端が保護ケース1の後端側に配置されている。このリレーレンズ16の後端が配置された保護ケース1の後端部は、前記遮蔽体7、8で保護ケース1の先端側の放射線が遮蔽され、放射線の影響が小さなエリアである。
【0029】
この放射線の影響が小さなエリアに配置されたリレーレンズ16の後端にカメラ17が取り付けられる。広角レンズである前記レンズ15を通して入射した光は、リレーレンズ16を通して後方に屈折、誘導され、レンズ15の焦点距離より遙かに後方で焦点が結ぶように光学的に設計される。具体的には、カメラ17に内蔵した撮像素子で焦点が合うように光学的に設計される。
【0030】
カメラ17は、リレーレンズ16の後端側に直接光学的に接続するよう設けることも出来るが、プリズムボックス19等のアタッチメントを介してリレーレンズ16の光軸からずれた位置に配置する。こうすることにより、カメラ17を遮蔽体7、8で保護ケース1の先端側より遮蔽された位置に配置することが出来、カメラ17に及び放射線の影響をより小さくすることが出来る。
【0031】
カメラ17に接続されたリード線は、保護ケース1の後方端部に設けられたコネクタ11に接続されている。さらにカメラ17は、コネクタ11と接続したコネクタ12を介してケーブル配線14に接続され、このケーブル配線14により、前記カメラ17で撮影された映像信号が図示してない監視記録装置に送信され、保管される。
【0032】
図2は、図1に示したレンズ15からリレーレンズ16を経てカメラ17に至る光学系を示している。保護ケース1から取り出した状態の図である。この例では、リレーレンズ16の後端側にアタッチメントとしてのプリズムボックス19を介してカメラ17を取り付けた状態を示している。さらにプリズムボックス19とカメラ17との間にやはりアタッチメントとして撮影倍率を変えることが出来るズームアダプタ20も挿入している。これにより、カメラ17により倍率の異なる画像を撮影することが出来る。例えば広い範囲を全体的に、或いは狭い範囲を拡大して撮影出来る。
【0033】
図2に示したように、リレーレンズ16の筒体は多重筒となっており、その一つがレンズ15の固定リングに固定され、他の一つがレンズ15の焦点距離調整用の可動リングに固定されている。この可動リングに固定された筒体は、前記プリズムボックス19に内蔵した回転機構を介して同プリズムボックス19の背面に設けた焦点調節ねじ23に連結している。この焦点調整ねじ23を回転することにより、レンズ15の焦点距離調整用の可動リングが回転され、焦点合わせを行うことが出来る。
【0034】
さらにプリズムボックス19には、X−Y方向(二次元方向)に移動可能なスライド機構24を介してマウント26を設け、このマウント26にカメラ17又はアタッチメントとしてのズームアダプタ20が装着される。このスライド機構24は、そのX方向調整ねじ21を回転することにより、図2において紙面前後方向にマウント26を移動させ、カメラ17の光軸をリレーレンズ16又はプリズムボックス19の光軸に対してX方向、すなわち図2において紙面前後方向に移動出来る。また、スライド機構24のY方向調整ねじ22を回転することにより、図2において上下方向にマウント26を移動させ、カメラ17の光軸をリレーレンズ16又はプリズムボックス19の光軸に対してY方向、すなわち図2において上下方向に移動出来る。これにより、狭い範囲を拡大して撮影する場合に、その撮影位置を変えることが出来る。
【0035】
図3は、この放射線環境下監視用カメラ装置の撮影エリアを模式的に示している。エリアAはズームアダプタ20の倍率を最小としたときの最大の撮影エリアである。レンズ15として広角レンズ、特に超広角レンズである魚眼レンズを使用することにより、この撮影可能最大エリアAは相当の範囲を確保することが出来る。またエリアBはズームアダプタ20の倍率を最大としたときの最小の撮影エリアである。このように、ズームアダプタ20の倍率を大きくすることにより、撮影可能最大エリアAの中の特定の部分を拡大して撮影することが出来る。そして前記のX方向調整ねじ21とY方向調整ねじ22を回転することによりマウント26、すなわちそれに装着されたカメラ17の光軸を移動することにより、エリアBの位置をX−Y方向に移動することが出来る。すなわち、エリアAの中の特定の部分を拡大したエリアBの位置を移動しながら撮影することが出来る。
【0036】
カメラ17は、プリズムボックス19に1つだけ設けるだけでなく、図4に示すように、プリズムボックス19に分光プリズムを内蔵させ、分光した光が複数のカメラ17、18に入射するようプリズムボックス19に複数取り付けることが出来る。特に図4に示した実施例では、カメラ17、18はそれぞれ撮影倍率を変えることが出来る前述のズームアダプタ20、20を介してプリズムボックス19のマウント26(図2参照)に装着されている。さらにズームアダプタ20、20を搭載したマウント26は、X方向調整ねじ21とY方向調整ねじ22を備える前述のX−Y方向に移動可能なスライド機構24(図2参照)に搭載されている。
【0037】
これにより、例えば一方のカメラ17でレンズ15で撮影可能な広い範囲の画像を撮影し、他方のカメラ18でその任意の一部の範囲の拡大した画像を撮影するといったことが出来る。もちろん、後者の拡大画像の撮影位置は、前記スライド機構24によるカメラ17、18の光軸のX−Y方向への移動により、任意に変えることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、原子炉を設けた建屋内部や放射性廃棄物を貯えた倉庫内部等、防護服無しで人が立ち入ることが出来ない放射線環境下における運転状況の監視や貯蔵物の警備等の目的で監視するためのカメラ装置として利用することが出来る。
【符号の説明】
【0039】
1 保護ケース
7 遮蔽体
8 遮蔽体
15 レンズ
16 リレーレンズ
17 カメラ
18 カメラ
19 プリズムボックス
20 ズームアダプタ
24 スライド機構
30 放射線遮蔽壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線環境下にある空間をその外側から監視するのに使用するカメラ装置であって、監視物に対する対物レンズとなるレンズ15と、このレンズ15を通して監視物の画像を撮影するカメラ17と、このカメラ17の撮像素子にレンズ15を通して画像を結ぶようにレンズ15とカメラ17の撮像素子とを光学的に接続する長尺なリレーレンズ16とを有することを特徴とする放射線環境下監視用カメラ装置。
【請求項2】
放射線環境下にある空間をその外側から監視するのに使用するカメラ装置であって、監視物に対する対物レンズとなるレンズ15と、このレンズ15を通して画像を撮影するカメラ17、18と、このカメラ17、18の撮像素子にレンズ15を通して画像を結ぶようにレンズ15とカメラ17の撮像素子とを光学的に接続する長尺なリレーレンズ16とを、放射線環境下にある空間とその外側との間を遮蔽する放射線遮蔽壁30を貫通するように設置した保護ケース1の中に収め、そのレンズ15のみを保護ケース1の中の放射線に対する遮蔽体7、8の前方に配置し、カメラ17は、保護ケース1の中の前記遮蔽体7、8の後方に配置し、リレーレンズ16を保護ケース1の中の前記遮蔽体7、8を貫通するよう設けたことを特徴とする放射線環境下監視用カメラ装置。
【請求項3】
レンズ15が広角レンズであることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線環境下監視用カメラ装置。
【請求項4】
カメラ17、18が固体撮像素子を使用したもであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の放射線環境下監視用カメラ装置。
【請求項5】
カメラ17、18がプリズムボックス19を介してリレーレンズ16に装着されることにより、同リレーレンズ16の光軸からずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の放射線環境下監視用カメラ装置。
【請求項6】
カメラ17、18が撮影倍率を変えることが出来るズームアダプタ20を介してリレーレンズ16又はプリズムボックス19を介してリレーレンズ16に装着されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の放射線環境下監視用カメラ装置。
【請求項7】
プリズムボックス19にX−Y方向(二次元方向)に移動可能なスライド機構24を介してマウント26を設け、このマウントにカメラ17、18が搭載されることを特徴とする請求項5又は6に記載の放射線環境下監視用カメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−172976(P2012−172976A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31782(P2011−31782)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(596013224)株式会社関東技研 (2)
【出願人】(501352549)有限会社コスモテック (1)
【Fターム(参考)】