説明

放射線画像撮影システム

【課題】収容装置に放射線画像撮影装置と協働して駆動する駆動装置を設けた場合でも収容装置の取り扱いが煩雑になることを低減できる放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】電子カセッテ12に電力を外部へ供給可能な接続端子12Aを設け、カセッテホルダー14に電子カセッテ12を収容した際に、接続端子12Aからの電力を接続端子57で受け付け、受け付けた電力により超音波送信機56を駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムに係り、特に、放射線画像の撮影を行う可搬型の放射線画像撮影装置及び当該放射線画像撮影装置を収容する収容装置を有する放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、放射線を直接デジタルデータに変換できるFPD(Flat Panel Detector)等の放射線検出器が実用化され、この放射線検出器を用いて照射された放射線により表わされる放射線画像を撮影する可搬型の放射線画像撮影装置(以下、「電子カセッテ」ともいう。)が実用化されている。この放射線検出器を用いた放射線画像撮影装置は、従来のX線フィルムやイメージングプレートを用いた放射線画像撮影装置に比べて、即時に画像を確認でき、連続的に放射線画像の撮影を行う透視撮影(動画撮影)も行うことができるといったメリットがある。なお、放射線検出器には、放射線を変換する方式として、放射線をシンチレータで光に変換した後にフォトダイオード等の半導体層で電荷に変換する間接変換方式や、放射線をアモルファスセレン等の半導体層で電荷に変換する直接変換方式等があり、各方式でも半導体層に使用可能な材料が種々存在する。
【0003】
ところで、放射線画像の撮影では、一般的に線源と放射線画像撮影装置との垂直方向に対する距離(以下、「SID」(Source Image Distance)ともいう。)を撮影条件に応じた距離に調整して撮影が行われる。
【0004】
このSIDを精度良く調整して撮影を行うための技術として、特許文献1、2には、カセッテを収容するカセッテホルダー(収容装置)に複数の超音送信器を所定の位置関係で設けると共に、線源部分に超音波受信器を設け、各超音送信器から送信される超音波を線源部分の超音波受信器でそれぞれ受信し、超音波受信器で受信される各超音波の方向のからカセッテと線源との距離を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−62340号公報
【特許文献2】実開平2−61310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、超音送信器を駆動させるには電力を供給する必要がある。
【0007】
このため、カセッテホルダーに各超音送信器を駆動させる電力を供給するバッテリを設けた場合、定期的にカセッテホルダーのバッテリに充電を行う必要があり、カセッテホルダーの取り扱いが煩雑となる。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、収容装置に放射線画像撮影装置と協働して駆動する駆動装置を設けた場合でも収容装置の取り扱いが煩雑になることを低減できる放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の放射線画像撮影システムは、電力源、及び、電力源からの電力を外部へ供給可能な電力供給部を備えた可搬型の放射線画像撮影装置と、前記可搬型の放射線画像撮影装置を収容する収容領域、当該収容領域に可搬型の放射線画像撮影装置を収容した状態で前記電力供給部からの電力を受け付ける電力受付部、及び、前記電力受付部で受け付けた電力が供給されることによって前記放射線画像撮影装置と協働して駆動する駆動装置を備えた収容装置と、を有している。
【0010】
請求項1に記載の放射線画像撮影システムによれば、可搬型の放射線画像撮影装置は電力源、及び、電力源からの電力を外部へ供給可能な電力供給部を備えている。
【0011】
また、収容装置は、可搬型の放射線画像撮影装置を収容する収容領域を有し、当該収容領域に可搬型の放射線画像撮影装置を収容した状態で電力供給部からの電力を電力受付部により受け付け、電力受付部で受け付けた電力により駆動装置が放射線画像撮影装置と協働して駆動する。
【0012】
このように、請求項1に記載の放射線画像撮影システムによれば、可搬型の放射線画像撮影装置に電力を外部へ供給可能な電力供給部を設け、収容装置に可搬型の放射線画像撮影装置を収容した際に、電力供給部からの電力を電力受付部で受け付け、受け付けた電力により駆動装置を放射線画像撮影装置と協働して駆動させることにより、収容装置の取り扱いが煩雑になることを低減できる。
【0013】
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記収容装置が、電力を供給するバッテリ、及び、前記駆動装置への電力供給を前記電力受付部又は前記バッテリに切り替える切替手段をさらに備えてもよい。
【0014】
また、請求項2記載の発明は、請求項3に記載の発明のように、前記電力源に残る電力の残量が所定の許容残量よりも大きい場合は、前記電力源から前記駆動装置へ電力が供給され、前記電力源に蓄積された電力の残量が前記許容残量以下の場合は、前記バッテリから前記駆動装置へ電力が供給されるように前記切替手段を制御する制御手段をさらに有することが好ましい。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、請求項4に記載の発明のように、前記制御手段が、前記可搬型の放射線画像撮影装置が電源OFF又は省電力状態の場合、前記バッテリから電力が供給され、放射線画像の撮影を行う動作状態の場合、前記電力受付部から電力が供給されるように前記切替手段を制御してもよい。
【0016】
また、請求項2記載の発明は、請求項5に記載の発明のように、前記収容装置が、電力供給を前記電力受付部又は前記バッテリに切り替える切替指示情報を送信する制御装置と通信を行う通信手段と、前記通信手段により切替指示情報が受信された場合、当該切替指示情報に基づいて前記切替手段を制御する制御手段をさらに有してもよい。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、請求項6に記載の発明のように、前記可搬型の放射線画像撮影装置は、電力供給を前記電力受付部又は前記バッテリに切り替える切替指示情報を送信する制御装置と通信を行う第1通信手段、及び前記収容装置と通信可能とされ、前記第1通信手段による通信により得られた切替指示情報を収容装置へ送信する第2通信手段をさらに有し、前記収容装置が、前記第2通信手段と通信を行う第3通信手段、前記第3通信手段で切替指示情報を受信された場合、当該切替指示情報に基づいて切替手段を制御する制御手段をさらに有してもよい。
【0018】
また、本発明は、請求項7に記載の発明のように、前記駆動装置が、前記収容装置に保持された状態での前記放射線画像撮影装置の放射線源からの距離を測定する距離測定装置であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、収容装置に放射線画像撮影装置と協働して駆動する駆動装置を設けた場合でも収容装置の取り扱いが煩雑になることを低減できる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態に係る放射線撮影システムを病室に配置した状態を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る電子カセッテの内部構成を示す斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係るカセッテホルダーの構成を示す平面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る撮影システムの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施の形態に係る通電状態切替処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施の形態に係る計測結果表示画面の構成を示す概略図である。
【図7】第1の実施の形態に係る非通電状態切替処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態に係る電子カセッテの内部構成を示す斜視図である。
【図9】第2の実施の形態に係るカセッテホルダーの構成を示す平面図である。
【図10】第2の実施の形態に係る電子カセッテ及びカセッテホルダーの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図11】第2の実施の形態に係る切替指示処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態に係る切替処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】他の形態に係る電子カセッテ及びカセッテホルダーの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、電子カセッテを用いて放射線画像の撮影を行う放射線撮影システムに適用した場合の形態例について説明する。
[第1の実施の形態]
図1には、本実施の形態に係る放射線撮影システム10を病室に配置した状態の一例が示されている。
【0022】
本実施の形態に係る放射線撮影システム10は、可搬性を有し、照射された放射線により表わされる放射線画像を示す画像情報を生成する電子カセッテ12と、電子カセッテ12が保持されたカセッテホルダー14と、放射線を発生する放射線発生装置16と、放射線発生装置16を制御するコンソール18と、を備えている。
【0023】
カセッテホルダー14は、ベッド15と当該ベッド15に仰臥している患者17との間に配置されている。
【0024】
一方、本実施の形態に係る放射線発生装置16は、アーム20を備えており、アーム20の一端部には放射線射出部22が設けられている。また、放射線発生装置16は、本体部24の底部に車輪26が設けられており、病院内を移動可能とされている。
【0025】
本実施の形態に係るコンソール18は、ノートブック型等のパーソナルコンピュータにより構成されており、撮影者から曝射条件などの撮影に関する各種操作入力を受け付ける。
【0026】
また、放射線射出部22は、ベッド15に仰臥している患者17の上部に配置される。放射線発生装置16は、コンソール18を介して放射線画像の撮影が指示されると、上記曝射条件等に応じた放射線量の放射線を放射線射出部22から照射する。放射線発生装置16から射出された放射線は、患者17を透過することで画像情報を担持した後に電子カセッテ12に照射される。
【0027】
図2には、第1の実施の形態に係る電子カセッテ12の内部構成が示されている。
【0028】
同図に示すように、電子カセッテ12は、放射線Xを透過させる材料からなる筐体41を備えており、防水性、密閉性を有する構造とされている。電子カセッテ12は、手術室等で使用されるとき、血液やその他の雑菌が付着するおそれがある。そこで、電子カセッテ12を防水性、密閉性を有する構造として、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの電子カセッテ12を繰り返し続けて使用することができる。
【0029】
筐体41の内部には、放射線Xが照射される筐体41の照射面42側から、患者による放射線Xの散乱線を除去するグリッド43、患者を透過した放射線Xを検出する放射線検出器44、および放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板45が順に配設されている。なお、筐体41の照射面42をグリッド43として構成してもよい。この筐体41の1つの側面41Aには外部へ電力を供給するための接続端子12Aが設けられている。
【0030】
また、筐体41の内部の一端側には、マイクロコンピュータを含む電子回路及び充電可能な二次電池を収容するケース46が配置されている。放射線検出器44及び電子回路は、ケース46に配置された二次電池から供給される電力によって作動する。ケース46内部に収容された各種回路が放射線Xの照射に伴って損傷することを回避するため、ケース46の照射面42側には鉛板等を配設しておくことが望ましい。なお、本実施の形態に係る電子カセッテ12は、照射面42の形状が長方形とされた直方体とされており、その長手方向一端部にケース46が配置されている。
【0031】
図3には、本実施の形態に係るカセッテホルダー14の構成が示されている。
【0032】
同図に示すように、本実施の形態に係るカセッテホルダー14は、電子カセッテ12を内部に収容する筐体52が備えられている。筐体52は薄板状の直方体形状とされており、その側壁の一つには電子カセッテ12を挿入するカセッテ挿入口53が設けられている。
【0033】
一方、筐体52の内部には、当該内部をカセッテ挿入口53が設けられた側壁を除く3つの側壁の近傍の領域と、電子カセッテ12を収容する領域(以下、「カセッテ収容領域」という。)との4つの領域に仕切る断面視L字状の3つの隔壁52A,52B,52Cが設けられている。
【0034】
隔壁52Aおよび隔壁52Bは、カセッテ収容領域の同図左端側および右端側に各々設けられており、隔壁52Aの上面(放射線が入射される側の面)には1つの超音波送信機56Aが設けられる一方、隔壁52Bの上面には2つの超音波送信機56B,56Cが設けられている。なお、超音波送信機56A〜56Cは、電力が供給された状態で予め定められた周波数の超音波を射出するものとされており、各々超音波を射出する領域が筐体52の表面から露出するように設けられている。
【0035】
隔壁52Cのカセッテ収容領域側の側面には、電子カセッテ12を収容した際に当該電子カセッテ12をカセッテ挿入口53の方向に付勢する複数(同図に示す例では、2つ)のバネ58A,58Bが立設されている。また、隔壁52Cの電子カセッテ12がカセッテ収容領域に収納さ収納された場合の接続端子12Aに対応する位置には、接続端子57が設けられている。接続端子57は、電子カセッテ12がカセッテ収容領域に収納された際に接続端子12Aと接触して通電可能となる。
【0036】
また、隔壁52Aのカセッテ収容領域側の側面で、かつカセッテ挿入口53の近傍には、電子カセッテ12を収容した際に当該電子カセッテ12をカセッテ収容領域に保持する保持部60が先端部に設けられたバネ58Cが立設されている。
【0037】
バネ58Cは最も伸長した際に保持部60を同図の位置に位置させる一方、保持部60が、電子カセッテ12が挿入される側の端部から当該端部とは反対側の端部にかけて、カセッテ収容領域の中心側に向けて傾斜した形状とされている。これにより、電子カセッテ12がカセッテ挿入口53から挿入される際には、電子カセッテ12の壁面との当接によって保持部60が同図矢印B方向に移動された後、電子カセッテ12の全体がカセッテ収容領域に収容された状態でバネ58Aの付勢力によって同図の位置に戻される結果、保持部60により電子カセッテ12をカセッテ収容領域に保持することができる。また、電子カセッテ12をカセッテホルダー14から取り出す際には、保持部60を同図矢印B方向に移動させることにより、バネ58Aおよびバネ58Bの付勢力によって電子カセッテ12のカセッテ挿入口53側の端部を筐体52の外部に露出させることができるため、当該端部を把持して電子カセッテ12を外部に取り出すことができる。
【0038】
次に、図4を参照して、本実施の形態に係る放射線撮影システム10の電気系の要部構成について説明する。
【0039】
放射線発生装置16には、コンソール18と通信を行うための接続端子16Aが設けられている。コンソール18には、放射線発生装置16と通信を行うための接続端子18Aが設けられている。放射線発生装置16の接続端子16Aとコンソール18の接続端子18Aはケーブル35によって接続されている。
【0040】
電子カセッテ12に内蔵された放射線検出器44は、TFTアクティブマトリクス基板66上に、放射線Xを吸収し、電荷に変換する光電変換層が積層されて構成されている。光電変換層は例えばセレンを主成分(例えば含有率50%以上)とする非晶質のa−Se(アモルファスセレン)からなり、放射線Xが照射されると、照射された放射線量に応じた電荷量の電荷(電子−正孔の対)を内部で発生することで、照射された放射線Xを電荷へ変換する。なお、放射線検出器44は、アモルファスセレンのような放射線Xを直接的に電荷に変換する放射線-電荷変換材料の代わりに、蛍光体材料と光電変換素子(フォトダイオード)を用いて間接的に電荷に変換してもよい。蛍光体材料としては、ガドリニウム硫酸化物(GOS)やヨウ化セシウム(CsI)がよく知られている。この場合、蛍光体材料によって放射線X−光変換を行い、光電変換素子のフォトダイオードによって光−電荷変換を行う。
【0041】
また、TFTアクティブマトリクス基板66上には、光電変換層で発生された電荷を蓄積する蓄積容量68と、蓄積容量68に蓄積された電荷を読み出すためのTFT70を備えた画素部74(図4では個々の画素部74に対応する光電変換層をセンサ部72として模式的に示している。)がマトリクス状に多数個配置されており、電子カセッテ12への放射線Xの照射に伴って光電変換層で発生された電荷は、個々の画素部74の蓄積容量68に蓄積される。これにより、電子カセッテ12に照射された放射線Xに担持されていた画像情報は電荷情報へ変換されて放射線検出器44に保持される。
【0042】
また、TFTアクティブマトリクス基板66には、一定方向(行方向)に延設され、個々の画素部74のTFT70をオン・オフさせるための複数本のゲート配線76と、ゲート配線76と直交する方向(列方向)に延設され、オンされたTFT70を介して蓄積容量68から蓄積電荷を読み出すための複数本のデータ配線78が設けられている。個々のゲート配線76はゲート線ドライバ80に接続されており、個々のデータ配線78は信号処理部82に接続されている。個々の画素部74の蓄積容量68に電荷が蓄積されると、個々の画素部74のTFT70は、ゲート線ドライバ80からゲート配線76を介して供給される信号により行単位で順にオンされる。TFT70がオンされた画素部74の蓄積容量68に蓄積されている電荷は、アナログの電気信号としてデータ配線78を伝送されて信号処理部82に入力される。従って、個々の画素部74の蓄積容量68に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。
【0043】
図示は省略するが、信号処理部82は、個々のデータ配線78毎に設けられた増幅器及びサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線78を伝送された電気信号は増幅器で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D(アナログ/デジタル)変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルの画像データへ変換される。
【0044】
信号処理部82には画像メモリ90が接続されており、信号処理部82のA/D変換器から出力された画像データは画像メモリ90に順に記憶される。画像メモリ90は所定枚分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ90に順次記憶される。
【0045】
画像メモリ90は電子カセッテ12全体の動作を制御するカセッテ制御部92と接続されている。カセッテ制御部92はマイクロコンピュータによって構成されており、CPU(中央処理装置)92A、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むメモリ92B、HDD(ハードディスク・ドライブ)やフラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部92Cを備えている。
【0046】
このカセッテ制御部92には無線通信部94が接続されている。無線通信部94は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信による外部機器との間で各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部92は、無線通信部94を介してコンソール16と無線通信が可能とされており、コンソール16との間で各種情報の送受信を行う。カセッテ制御部92は、コンソール16から無線通信部94を介して受信される後述する曝射条件を記憶し、曝射条件に基づいて電荷の読み出しを開始する。
【0047】
また、電子カセッテ12には電源部96が設けられている。上述した各種回路や各素子(ゲート線ドライバ80、信号処理部82、画像メモリ90、無線通信部94、カセッテ制御部92として機能するマイクロコンピュータ等)は、電源部96から供給された電力によって作動する。電源部96は、電子カセッテ12の可搬性を損なわないように、前述したバッテリ(二次電池)を内蔵しており、充電されたバッテリから各種回路や各素子へ電力を供給する。なお、図4では、電源部96と各種回路や各素子を接続する配線を省略している。
【0048】
また、電源部96は、スイッチなどの通電の切り替えを行う通電切替部97を介して外部へ電力を供給するための接続端子12Aに接続されている。通電切替部97はカセッテ制御部92に接続されており、カセッテ制御部92からの制御に応じて電源部96からの電力の接続端子12Aへの通電、非通電の切り替えを行う。
【0049】
一方、カセッテホルダー14は、超音波送信機56A〜56Cが設けられている。超音波送信機56A〜56Cは配線59を介して接続端子12Aに接続されており、接続端子12A及び配線59を介して電力が供給されることにより駆動して超音波を発生する。
【0050】
一方、コンソール18は、操作メニューや撮影された放射線画像等を表示するディスプレイ100と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作パネル102と、を備えている。
【0051】
また、本実施の形態に係るコンソール18は、装置全体の動作を司るCPU104と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM106と、各種データを一時的に記憶するRAM108と、各種データを記憶して保持するHDD110と、ディスプレイ100への各種情報の表示を制御するディスプレイドライバ112と、操作パネル102に対する操作状態を検出する操作入力検出部114と、を備えている。また、コンソール18は、接続端子18Aに接続され、接続端子18A及びケーブル35を介して放射線発生装置16との間で後述する曝射条件等の各種情報の送受信を行う通信I/F部116と、電子カセッテ12との間で無線通信により曝射条件等の各種情報の送受信を行う無線通信部118と、を備えている。
【0052】
CPU104、ROM106、RAM108、HDD110、ディスプレイドライバ112、操作入力検出部114、通信I/F部116、及び無線通信部118は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU104は、ROM106、RAM108、HDD110へのアクセスを行うことができると共に、ディスプレイドライバ112を介したディスプレイ100への各種情報の表示の制御、通信I/F部116を介した放射線発生装置16との各種情報の送受信の制御、及び無線通信部118を介した電子カセッテ12との各種情報の送受信の制御、を行うことができる。また、CPU104は、操作入力検出部114を介して操作パネル102に対するユーザの操作状態を把握することができる。
【0053】
一方、放射線発生装置16は、放射線Xを射出する放射線源130と、コンソール18との間で曝射条件等の各種情報を送受信する通信I/F部132と、受信した曝射条件に基づいて放射線源130を制御する線源制御部134と、放射線源130から射出された放射線の照射領域を制限するコリメータ136と、各々超音波送信機56A〜56Cから送信された超音波を受信する複数(本実施の形態では、2つ)の超音波受信機138A,138Bと、が備えられている。
【0054】
線源制御部134は、もマイクロコンピュータによって実現されており、通信I/F部132、放射線源130およびコリメータ136が各々接続されている。線源制御部134は、放射線源130による放射線の射出動作に関する制御、およびコリメータ136による放射線の照射領域の制限に関する制御を各々行う。また、線源制御部134には、超音波受信機138Aおよび超音波受信機138Bが接続されており、超音波受信機138A,138Bによってカセッテホルダー14に設けられた超音波送信機56A〜56Cから送信された超音波を受信し、受信した超音波の信号レベルに基づき、三角測量の技術によって電子カセッテ12までの距離を導出する。
【0055】
本実施の形態に係る放射線撮影システム10では、超音波受信機138Aがコリメータ136の一端部に設けられる一方、超音波受信機138Bが当該一端部とは反対側の他端部に設けられており、線源制御部134は、超音波受信機138Aおよび超音波受信機138Bの各々を介して得られた超音波の信号レベルに基づいて、電子カセッテ12の配設位置における撮影面の中心を中心軸とした回転角度を把握することができる。
【0056】
次に、本実施の形態に係る放射線撮影システム10の作用を説明する。
【0057】
放射線画像の撮影を行う際に、放射線技師や医師等の撮影者は、電子カセッテ12をカセッテホルダー14に収容する。電子カセッテ12がカセッテホルダー14に収納されると、電子カセッテ12の接続端子12Aとカセッテホルダー14の接続端子57とが接触して通電可能となる。
【0058】
そして、撮影者は、コンソール18に対して操作パネル102を介して管電圧、管電流及び照射期間などの曝射条件を入力する。コンソール18は、曝射条件が入力されると、入力された曝射条件を無線通信部118を介して電子カセッテ12へ送信し、曝射条件を通信I/F部116を介して放射線発生装置16へ送信する。
【0059】
放射線発生装置16の線源制御部134は、コンソール18から曝射条件を受信すると、受信した曝射条件を記憶し、当該曝射条件での曝射準備を行う。
【0060】
電子カセッテ12のカセッテ制御部92は、コンソール18から曝射条件を受信すると、受信した曝射条件を記憶部92Cに記憶する。また、カセッテ制御部92は、曝射条件が受信されると通電切替部97を通電状態に切り替える通電状態切替処理を実行する
図5には、本実施の形態に係るカセッテ制御部92のCPU92Aにより実行される切替指示処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、当該プログラムはメモリ92B(ROM)の所定の領域に予め記憶されており、操作パネル102に対して曝射条件が入力された際に実行される。
【0061】
同図のステップS10では、通電切替部97を制御して通電切替部97を通電状態に切り替え、処理を終了する。
【0062】
これにより、電源部96の電力が接続端子12Aに流れ、接続端子57及び配線59を介して超音波送信機56A〜56Cの各々に対する駆動用の電力の供給が開始され、超音波送信機56A〜56Cからの超音波の送信が開始される。
【0063】
この状態で、撮影者は、一例として図1に示されるように、カセッテホルダー14を患者の撮影対象部位の下部に配置すると共に、放射線発生装置16における放射線射出部22を、カセッテホルダー14に保持されている電子カセッテ12によって放射線画像の撮影を行うことができる位置に位置決めする。
【0064】
一方、放射線発生装置16は、線源制御部134により、超音波受信機138A,138Bによって超音波送信機56A〜56Cから受信した超音波の各々の信号レベルに基づいて、カセッテホルダー14(具体的には、電子カセッテ12)とコリメータ136との距離と、電子カセッテ12の回転角度とをリアルタイムで導出し、導出した距離を示す情報(以下、「距離情報」という。)と、回転角度を示す情報(以下、「回転角度情報」という。)とをコンソール18にリアルタイムで送信する。
【0065】
コンソール18では、放射線発生装置16から受信した距離情報および回転角度情報により示される電子カセッテ12とコリメータ136との距離および回転角度を示す画面(以下、「計測結果表示画面」という。)を、ディスプレイ100に一例として図6に示すようにリアルタイムで表示する。
【0066】
一方、撮影者は、ディスプレイ100に表示された計測結果表示画面を参照して、当該画面に表示されている距離および回転角度が予定していたものとほぼ同一となるように、カセッテホルダー14および放射線射出部22の少なくとも一方の配設位置を調整する。
【0067】
そして、撮影者は、撮影準備完了すると、コンソール18の操作パネル102に対して撮影を指示する撮影指示操作を行う。
【0068】
コンソール18では、操作パネル102に対して撮影指示操作が行われると、曝射開始を指示する指示情報を放射線発生装置16および電子カセッテ12へ送信する。
【0069】
これに応じて、放射線源130は、放射線発生装置16がコンソール18から受信した曝射条件に応じた管電圧および管電流で放射線Xを照射期間だけ射出する。放射線源130から射出された放射線Xは、被検者を透過した後に電子カセッテ12に到達する。これにより、放射線検出器44の各画素32には、電荷が発生する。
【0070】
電子カセッテ12のカセッテ制御部92は、曝射開始を指示する指示情報を受信してから曝射条件で指定された照射期間の経過後にゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から1ラインずつ順に各ゲート配線76にオン信号を出力させ、各ゲート配線76に接続された各TFT70を1ラインずつ順にオンさせる。
【0071】
放射線検出器44は、各ゲート配線76に接続された各TFT70を1ラインずつ順にオンされると、1ラインずつ順に各蓄積容量68に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線78に流れ出す。各データ配線78に流れ出した電気信号は信号処理部82でデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ90に記憶される。
【0072】
カセッテ制御部92は、撮影終了後、画像メモリ90に記憶された画像情報をコンソール18へ送信する。
【0073】
コンソール18は、受信した画像情報に対してシェーディング補正などの各種の補正する画像処理を行ない、画像処理後の画像情報をHDD110に記憶する。HDD110に記憶された画像情報は、撮影した放射線画像の確認等のためにディスプレイ100に表示されると共に、不図示のネットワークを介してRIS(Radiology Information System)を構成するサーバ・コンピュータに転送されてデータベースにも格納される。これにより、医師が撮影された放射線画像の読影や診断等を行うことが可能となる。
【0074】
電子カセッテ12のカセッテ制御部92は、放射線画像の撮影が完了すると通電切替部97を非通電状態に切り替える非通電状態切替処理を実行する
図7には、本実施の形態に係るカセッテ制御部92のCPU92Aにより実行される非通電状態切替処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、当該プログラムはメモリ92B(ROM)の所定の領域に予め記憶されている。
【0075】
同図のステップS10では、通電切替部97を制御して通電切替部97を非通電状態に切り替え、処理を終了する。
【0076】
これにより、電源部96から接続端子12Aへの電力が遮断される結果、超音波送信機56A〜56Cからの超音波の送信が停止される。
【0077】
以上のように、本実施の形態によれば、電子カセッテ12に電力を外部へ供給可能な接続端子12Aを設け、カセッテホルダー14に電子カセッテ12を収容した際に、接続端子12Aからの電力を接続端子57で受け付け、受け付けた電力により超音波送信機56を駆動させることにより、カセッテホルダー14に設けられた超音波送信機56から超音波を発生させて電子カセッテ12と線源との距離の算出を行うものとした場合でもカセッテホルダー14の取り扱いが煩雑になることを低減できる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
図8には、第2の実施の形態に係る電子カセッテ12の内部構成が示されている。
【0079】
本実施の形態に係る電子カセッテ12は、側面41Aに赤外線通信を行うための赤外線送信部150が設けられている。
【0080】
一方、カセッテホルダー14は、図9に示すように、隔壁52Cの電子カセッテ12がカセッテ収容領域に収納さ収納された場合の赤外線送信部150に対応する位置に赤外線受信部152が設けられている。赤外線送信部150は、カセッテ収容領域に電子カセッテ12が収納された際に赤外線送信部150から出力された赤外線の受信が行える。
【0081】
図10には、第2の実施の形態に係る電子カセッテ12及びカセッテホルダー14の電気系の要部構成が示されている。
【0082】
電子カセッテ12は、上述の赤外線送信部150を備えている。赤外線送信部150はカセッテ制御部92に接続されている。カセッテ制御部92は、赤外線送信部150を介してカセッテホルダー14に対して、赤外線により情報の送信を行うことが可能とされている。
【0083】
また、電子カセッテ12は、通電切替部97が設けられておらず、電源部96からの電力が接続端子12Aに供給されている。
【0084】
また、電子カセッテ12は、カセッテ制御部92が電源部96から供給される電力状態に基づいて電源部96に内蔵されたバッテリの充電状態を把握することが可能とされている。
【0085】
一方、カセッテホルダー14は、カセッテホルダー14の動作を制御するホルダ制御部160と、上述の赤外線受信部152と、を備えている。赤外線受信部152は、カセッテホルダー14全体の動作を制御するホルダ制御部160と接続されている。ホルダ制御部160もマイクロコンピュータによって構成されており、CPU(中央処理装置)160A、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むメモリ160B、HDD(ハードディスク・ドライブ)やフラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部160Cを備えている。ホルダ制御部160は、赤外線受信部152で赤外線通信により受信された情報を把握することが可能とされている。
【0086】
また、カセッテホルダー14は、バッテリ162、及び通電制御部164を備えている。通電制御部164は、接続端子57、バッテリ162及びホルダ制御部160に接続されており、ホルダ制御部160の制御により、配線59を非通電状態、接続端子57への接続状態、バッテリ162への接続状態に選択的に切り替えることが可能とされている。
【0087】
次に、本実施の形態に係る放射線撮影システム10の作用を説明する。
【0088】
放射線画像の撮影を行う際に、放射線技師や医師等の撮影者は、電子カセッテ12をカセッテホルダー14に収容する。電子カセッテ12がカセッテホルダー14に収納されると、電子カセッテ12の接続端子12Aとカセッテホルダー14の接続端子57とが接触して通電可能となり、また、電子カセッテ12の赤外線送信部150からカセッテホルダー14の赤外線受信部152へ赤外線通信が可能となる。これにより、電源部96の電力が接続端子12Aを介して接続端子57に流れる。
【0089】
また、電子カセッテ12のカセッテ制御部92は、電源部96に内蔵されたバッテリの充電状態を把握しており、バッテリの充電状態に応じて通電制御部164の切り替えを指示する切替指示処理を実行する
図11には、本実施の形態に係るカセッテ制御部92のCPU92Aにより実行される切替指示処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、当該プログラムはメモリ92B(ROM)の所定の領域に予め記憶されており、操作パネル102に対して曝射条件が入力された際に実行される。
【0090】
同図のステップS50では、電源部96から供給される電力状態に基づいて電源部96に内蔵されたバッテリの充電状態を把握する。
【0091】
次のステップS52では、バッテリの残電力が所定の許容残量(例えば、20%)以下であるか否か判定し、肯定判定となった場合はステップS56へ移行し、否定判定となった場合はステップS54へ移行する。
【0092】
ステップS54では、配線59と接続端子57とを接続状態に切り替えることを指示する切替指示情報を赤外線受信部152から赤外線通信により送信し、処理を終了する。
【0093】
一方、ステップS56では、配線59とバッテリ162とを接続状態に切り替えることを指示する切替指示情報を赤外線受信部152から赤外線通信により送信し、処理を終了する。
【0094】
カセッテホルダー14のホルダ制御部160では、赤外線受信部152で切替指示情報が受信されると、切替処理を実行する。
【0095】
図12には、本実施の形態に係るホルダ制御部160のCPU160Aにより実行される切替処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、当該プログラムはメモリ160B(ROM)の所定の領域に予め記憶されている。
【0096】
同図のステップS60では、受信された切替指示情報が配線59と接続端子57とを接続状態に切り替えることを指示するものであるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS64へ移行し、否定判定となった場合はステップS62へ移行する。
【0097】
ステップS62では、受信された切替指示情報が配線59とバッテリ162とを接続状態に切り替えることを指示するものであるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS66へ移行し、否定判定となった場合はステップS68へ移行する。
【0098】
ステップS64では、通電制御部164を配線59と接続端子57とが接続するように切り替え、処理を終了する。
【0099】
一方、ステップS66では、通電制御部164を配線59とバッテリ162とが接続するように切り替え、処理を終了する。
【0100】
一方、ステップS68では、配線59を非通電状態へ切り替える切替指示情報であるものとして、通電制御部164を配線59が非通電状態となるように切り替え、処理を終了する。
【0101】
これにより、電子カセッテ12の電源部96に内蔵されたバッテリの残量が所定の許容残量よりも大きい場合は、電子カセッテ12の電源部96から接続端子12A、接続端子57及び配線59を介して超音波送信機56A〜56Cの各々に対する駆動用の電力の供給が開始され、超音波送信機56A〜56Cからの超音波の送信が開始される。
【0102】
一方、電子カセッテ12の電源部96に内蔵されたバッテリの残量が所定の許容残量以下の場合は、カセッテホルダー14に内蔵されたバッテリ162から配線59を介して超音波送信機56A〜56Cの各々に対する駆動用の電力の供給が開始され、超音波送信機56A〜56Cからの超音波の送信が開始される。
【0103】
これにより、放射線発生装置16は、超音波受信機138A,138Bによって超音波送信機56A〜56Cから受信した超音波の各々の信号レベルに基づいて、カセッテホルダー14とコリメータ136との距離と、電子カセッテ12の回転角度とをリアルタイムで導出し、導出した距離情報と回転角度情報とをコンソール18にリアルタイムで送信する。
【0104】
電子カセッテ12のカセッテ制御部92は、放射線画像の撮影が完了すると、配線59を非通電状態に切り替えることを指示する切替指示情報を赤外線受信部152から赤外線通信により送信する。
【0105】
これにより、通電制御部164により配線59を非通電状態に切り替えられる結果、超音波送信機56A〜56Cからの超音波の送信が停止される。
【0106】
以上のように、本実施の形態によれば、電子カセッテ12の電源部96に内蔵されたバッテリの残量が許容残量よりも多い場合、電子カセッテ12の電源部96により超音波送信機56を駆動させることにより、カセッテホルダー14に内蔵されたバッテリ162に充電を行う煩雑さを低減できる。また、電子カセッテ12の電源部96に内蔵されたバッテリの残量が許容残量以下の場合、カセッテホルダー14に内蔵されたバッテリ162により超音波送信機56を駆動させることにより、電子カセッテ12の電源部96の電力が超音波の発信で消費されることが防止される。これにより、撮影動作中に電子カセッテ12の電源部96の電力を無くなり、撮影が中断することを防止できる。
【0107】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0108】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0109】
例えば、上記第2の実施の形態では、電子カセッテ12のカセッテ制御部92が、電源部96から供給される電力状態に基づいて電源部96に内蔵されたバッテリの充電状態を把握し、バッテリの残電力が許容残量以下であるか否かにより、配線59を接続端子57又はバッテリ162に接続させる切替指示情報をカセッテホルダー14へ送信する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カセッテホルダー14のホルダ制御部160が接続端子12A及び接続端子57を介して電源部96から供給される電力状態に基づいて電源部96に内蔵されたバッテリの充電状態を把握し、バッテリの残電力が許容残量以下であるか否かにより、配線59を接続端子57又はバッテリ162に接続させる切替制御を行うものとしてもよい。
【0110】
また、電子カセッテ12のカセッテ制御部92が、電子カセッテ12が電源OFF状態となる際や省電力状態へ移行する場合に配線59をバッテリ162との接続状態に切り替えることを指示する切替指示情報をカセッテホルダー14へ送信し、電子カセッテ12が放射線画像の撮影を行う動作状態の場合、配線59を接続端子57との接続状態に切り替えることを指示する切替指示情報をカセッテホルダー14へ送信するようにし、カセッテホルダー14のホルダ制御部160が送信される電子カセッテ12から切替指示情報に従い、配線59を接続端子57又はバッテリ162に接続させる切替制御を行うものとしてもよい。
【0111】
また、電子カセッテ12のカセッテ制御部92が、カセッテホルダー14へ電源OFF状態や省電力状態、放射線画像の撮影を行う動作状態など電子カセッテ12の各種の動作状態を示す情報を送信するものとし、カセッテホルダー14のホルダ制御部160が電子カセッテ12から送信される動作状態に基づいて配線59を接続端子57又はバッテリ162に接続させる切替制御を行うものとしてもよい。
【0112】
また、上記第2の実施の形態では、電子カセッテ12のカセッテ制御部92が、電源部96から供給される電力状態に基づいて切替指示情報をカセッテホルダー14へ送信する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、撮影者がコンソール18の操作パネル102から配線59を接続端子57又はバッテリ162に接続させる切替指示情報を入力するものとし、コンソール18が操作パネル102に対して切替指示情報を入力された際に、当該切替指示情報を電子カセッテ12へ無線通信で送信し、電子カセッテ12がコンソール18から無線通信で受信された切替指示情報をカセッテホルダー14へ赤外線通信で送信し、カセッテホルダー14のホルダ制御部160が電子カセッテ12から送信される切替指示情報に基づいて配線59を接続端子57又はバッテリ162に接続させる切替制御を行うものとしてもよい。このように、コンソール18において生成された切替指示情報を電子カセッテ12を介してカセッテホルダー14へ赤外線通信で送信することにより、カセッテホルダー14にコンソール18と無線通信を行う手段を設けなくてもカセッテホルダー14で切替指示情報を受信できる。また、コンソール18において切替指示情報が生成される場合、例えば、図13に示すように、カセッテホルダー14にコンソール18と無線通信を行う無線通信部170を設け、コンソール18から無線通信で受信された切替指示情報をカセッテホルダー14で受信し、カセッテホルダー14のホルダ制御部160がコンソール18から送信される切替指示情報に基づいて配線59を接続端子57又はバッテリ162に接続させる切替制御を行うものとしてもよい。
【0113】
上記第2の実施の形態では、電子カセッテ12とカセッテホルダー14間の通信を赤外線通信とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ブルートゥース(Bluetooth)やRFID(Radio Frequency Identification)など他の省電力の近距離通信を用いるものとしてもよく、接触した接続端子部分で有線通信を行うものとしてもよい。
【0114】
上記各実施の形態では、カセッテホルダー14に設けられた超音波送信機56への電力供給元の切替制御を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電子カセッテ12と協働して駆動する駆動装置であればいずれであってもよい。
【0115】
また、上記実施の形態では、放射線としてX線を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、γ線等の他の放射線を適用する形態としてもよい。
【0116】
その他、上記実施の形態で説明した放射線撮影システム10の構成、電子カセッテ12の構成、カセッテホルダー14の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したり、接続状態等を変更したりすることができることは言うまでもない。
【0117】
また、上記実施の形態で説明した各種プログラムの処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ換えたりすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0118】
10 放射線撮影システム
12A 接続端子(電力供給部)
12 電子カセッテ(可搬型の放射線画像撮影装置)
14 カセッテホルダー(収容装置)
18 コンソール(制御装置)
44 放射線検出器
56 超音波送信機(駆動装置)
57 接続端子(電力受付部)
92 カセッテ制御部(制御手段)
94 無線通信部(第1通信手段)
96 電源部(電力源)
97 通電切替部
150 赤外線送信部(第2通信手段)
152 赤外線受信部(第3通信手段)
162 バッテリ
164 通電制御部(切替手段)
170 無線通信部(通信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力源、及び、電力源からの電力を外部へ供給可能な電力供給部を備えた可搬型の放射線画像撮影装置と、
前記可搬型の放射線画像撮影装置を収容する収容領域、当該収容領域に可搬型の放射線画像撮影装置を収容した状態で前記電力供給部からの電力を受け付ける電力受付部、及び、前記電力受付部で受け付けた電力が供給されることによって前記放射線画像撮影装置と協働して駆動する駆動装置を備えた収容装置と、
を有する放射線撮影システム。
【請求項2】
前記収容装置は、電力を供給するバッテリ、及び、前記駆動装置への電力供給を前記電力受付部又は前記バッテリに切り替える切替手段をさらに備えた
請求項1記載の放射線撮影システム。
【請求項3】
前記電力源に残る電力の残量が所定の許容残量よりも大きい場合は、前記電力源から前記駆動装置へ電力が供給され、前記電力源に蓄積された電力の残量が前記許容残量以下の場合は、前記バッテリから前記駆動装置へ電力が供給されるように前記切替手段を制御する制御手段をさらに有する
請求項2記載の放射線撮影システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記可搬型の放射線画像撮影装置が電源OFF又は省電力状態の場合、前記バッテリから電力が供給され、放射線画像の撮影を行う動作状態の場合、前記電力受付部から電力が供給されるように前記切替手段を制御する
請求項3記載の放射線撮影システム。
【請求項5】
前記収容装置は、電力供給を前記電力受付部又は前記バッテリに切り替える切替指示情報を送信する制御装置と通信を行う通信手段と、
前記通信手段により切替指示情報が受信された場合、当該切替指示情報に基づいて前記切替手段を制御する制御手段をさらに有する
請求項2記載の放射線撮影システム。
【請求項6】
前記可搬型の放射線画像撮影装置は、電力供給を前記電力受付部又は前記バッテリに切り替える切替指示情報を送信する制御装置と通信を行う第1通信手段、及び前記収容装置と通信可能とされ、前記第1通信手段による通信により得られた切替指示情報を収容装置へ送信する第2通信手段をさらに有し、
前記収容装置は、前記第2通信手段と通信を行う第3通信手段、前記第3通信手段で切替指示情報を受信された場合、当該切替指示情報に基づいて切替手段を制御する制御手段をさらに有する
請求項2記載の放射線撮影システム。
【請求項7】
前記駆動装置は、前記収容装置に保持された状態での前記放射線画像撮影装置の放射線源からの距離を測定する距離測定装置である
請求項1〜請求項6の何れか1項記載の放射線撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−159458(P2012−159458A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20797(P2011−20797)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】