説明

放射線画像撮影装置及び放射線画像形成方法

【課題】 位相コントラスト撮影して得られる放射線画像が、粒状性、鮮鋭性及び画像欠陥共、全てを満足する画質である放射線画像撮影装置及び放射線画像形成方法の提供。
【解決手段】 被写体3に放射線を照射する小焦点放射線源1と、該被写体を保持する保持部材2と、該被写体を透過した放射線に基づく放射線画像情報を読み取る読み取る放射線画像検出器4とを有し該被写体保持部材に保持される被写体の位相コントラスト撮影を行う放射線画像撮影装置において、該放射線検出器が多面体結晶構造を持つ輝尽性蛍光体粒子を含有する蛍光体プレートを有し、該蛍光体プレートの輝尽性蛍光体層中の輝尽性蛍光体の充填率が60〜80%であることを特徴とする放射線画像撮影装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線画像撮影装置及び放射線画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線の一つであるX線が物質を透過する作用を利用するX線画像は、医用画像診断や非破壊検査等に広く利用されている。X線画像は、X線が被写体を透過するときに、被写体を構成する物質の原子量の大きさによってX線透過量が異なることによる陰影画像である。すなわちX線源からX線が放射され、被写体透過後のX線量の2次元分布をX線検出器で検出し、被写体のX線吸収コントラストに基づくX線画像を形成するものである。
【0003】
最近、X線画像において、位相コントラスト画像と呼ばれる画像が提案されている。位相コントラスト画像とは、屈折コントラスト画像とも呼ばれるもので、SPring−8など放射光X線源から得る単色の平行X線による撮影や、10μm程度の焦点サイズをもつマイクロ焦点X線源による撮影によって得られるものである。通常の吸収コントラストのみの画像に比べ、被写体の境界のコントラストを高く描写でき、高精細X線画像を得ることが可能である。
【0004】
この位相コントラスト画像は、被写体と被写体を通過したX線を検出する放射線画像検知器との間隔を離して撮影することにより、X線が被写体を通過するときに屈折して、被写体の境界内側のX線密度が疎になるとともに、被写体の外側は被写体を通過しないX線と重なってX線密度が上昇し、被写体の境界部分であるエッジが強調されて得られるものである。
【0005】
ところで、被写体と放射線画像検知器との間隔を離した場合、被写体の大きさに対して放射線画像の大きさが拡大されて撮影されるが、例えば、医師が画像を医療診断に用いる場合、実寸大の画像で診断するのが便利である。そこで被写体を拡大して、位相コントラスト画像を撮影した後、拡大した倍率Mに対応する縮小率1/Mで出力することにより、実寸大の画像として記録装置を用いて記録媒体に記録させることが好ましい。
【0006】
このように、位相コントラスト画像を実寸大の画像として形成する放射線画像形成システムとしては、従来、被写体台と放射線画像検知器との間隔が自在に変更できるようになっている放射線画像撮影装置で撮影を行い、被写体台と放射線画像検知器との間隔から拡大率を求め、この拡大率に基づいて画像を縮小し画像出力装置に出力する放射線画像形成システムが有る(例えば、特許文献1を参照)
【特許文献1】2001−238871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の放射線画像形成システムでは、通常の被写体と放射線画像検知が隣接している撮影方法に比して、放射線源と検出器との距離が離れており、到達する放射線が小さいため、粒状性、鮮鋭性及び画像欠陥共、全てを満足する放射線画像を得ることができなかった。
【0008】
従って、本発明の目的は位相コントラスト撮影して得られる放射線画像が、粒状性、鮮鋭性及び画像欠陥共、全てを満足する画質である放射線画像撮影装置及び放射線画像形成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0010】
(請求項1)
被写体に放射線を照射する小焦点放射線源と、該被写体を保持する保持部材と、該被写体を透過した放射線に基づく放射線画像情報を読み取る読み取る放射線画像検出器とを有し該被写体保持部材に保持される被写体の位相コントラスト撮影を行う放射線画像撮影装置において、該放射線検出器が多面体結晶構造を持つ輝尽性蛍光体粒子を含有する蛍光体プレートを有し、該蛍光体プレートの輝尽性蛍光体層中の輝尽性蛍光体の充填率が60〜80%であることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【0011】
(請求項2)
前記輝尽性蛍光体粒子が平均粒径の異なる2種以上の輝尽性蛍光体粒子の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【0012】
(請求項3)
前記異なる2種以上の輝尽性蛍光体粒子の中で大きい輝尽性蛍光体粒子の平均粒径が6.0〜10.0μmであり、小さい輝尽性蛍光体粒子の平均粒径が3.0〜5.0μmであることを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【0013】
(請求項4)
前記異なる2種以上の輝尽性蛍光体粒子の中で大きい輝尽性蛍光体粒子と小さい輝尽性蛍光体粒子との混合比率が質量比で95:5〜50:50であることを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【0014】
(請求項5)
前記輝尽性蛍光体が下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【0015】
一般式(1)
Ba1−xM2xFBryI1−y:aM1,bLn,cO
〔式中、M1:Li、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属原子、M2:Be、Mg、Sr及びCaから選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属原子、Ln:Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm、Dy、Ho、Nd、Er及びYbから選ばれる少なくとも一種の希土類元素、x、y、a、b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3、0≦y≦1.0、0≦a≦0.05、0<b≦0.2、0<c≦0.1を表す。〕
(請求項6)
請求項1に記載の放射線画像撮影装置により撮影し、記録された拡大画像を被写体面積の大きさに縮小出力することを特徴とする放射線画像形成方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明による放射線画像撮影装置及び放射線画像形成方法は、位相コントラスト撮影して得られる放射線画像が粒状性、鮮鋭性及び画像欠陥共、全てに優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を更に詳細に述べる。
【0018】
本発明は、被写体に放射線(X線)を照射する小焦点放射線源と、該被写体を保持する保持部材と、該被写体を透過した放射線に基づく放射線画像情報を読み取る読み取る放射線画像検出器とを有し該被写体保持部材に保持される被写体の位相コントラスト撮影を行う放射線(X線)画像撮影装置において、該放射線(X線)検出器が多面体結晶構造を持つ輝尽性蛍光体粒子を含有する蛍光体プレートであり、該蛍光体プレートの輝尽性蛍光体層中の輝尽性蛍光体充填率が60〜80%であることを特徴とする放射線画像撮影装置であり、該放射線画像撮影装置を用いることにより初めて、本発明の目的である、位相コントラスト撮影して得られる放射線画像が粒状性。鮮鋭性及び画像欠陥共、全ての画質を満足することができたのである。
【0019】
また、本発明においては、前記蛍光体プレート(放射線(X線)検出器)中の輝尽性蛍光体粒子が平均粒径の異なる2種以上の輝尽性蛍光体粒子の混合物であることが本発明の効果をより奏する点で好ましく、更に、該異なる2種以上の輝尽性蛍光体粒子の中で大きい輝尽性蛍光体粒子の平均粒径が6.0〜10.0μmであり、小さい輝尽性蛍光体粒子の平均粒径が3.0〜5.0μmであること、該異なる2種以上の輝尽性蛍光体粒子の中で大きい輝尽性蛍光体粒子と小さい輝尽性蛍光体粒子との混合比率が質量比で95:5〜50:50であることが、更に、本発明の効果より奏する点で特に好ましい。
【0020】
請求項5の発明は、本願の請求項1〜4の何れかの1項に記載の放射線画像撮影装置を用いて、被写体を位相コントラスト撮影をすることを特徴とする放射線画像形成方法である。
【0021】
次に、図1を用いて放射線画像撮影装置について説明する。
【0022】
通常、放射線画像撮影装置の構成要素は、X線源1、被写体3の位置を決め、これを固定する被写体保持部材2、X線検出器4を有し、X線源1と固定された際の被写体3との距離をR1、被写体3とX線検出器4との距離をR2と表す。
【0023】
本発明においては、X線検出器4が多面体結晶構造を持つ輝尽性蛍光体粒子を含有する蛍光体プレートを有し、該蛍光体プレートの輝尽性蛍光体層中の輝尽性蛍光体充填率が60〜80%であることを特徴としており、本発明の目的を達成できたのである。
【0024】
また、本発明の放射線画像形成方法は、上述のような、放射線画像撮影装置を用いて、被写体の位相コントラスト撮影を行う画像形成方法である。
【0025】
本発明の多面体結晶構造を持つ輝尽性蛍光体粒子(以下、多面体粒子ともいう)とは、4つ以上の平面で囲まれた立体状の粒子をいい、例えば六面体,八面体、十四面体、四角錐等を意味し、特に限定するものではない。
【0026】
多面体粒子は、例えば以下の製造条件により得られる。すなわち、酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の液相における製造方法であって、ハロゲン化バリウム水溶液に無機弗化物水溶液を添加して、希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程と、反応母液中のバリウム濃度が3.3mol/L以上の溶液から溶媒を除去する工程を同時に行うことにより得ることができる。
【0027】
また、上記輝尽性蛍光体充填率は以下のようにして計算した値である。
【0028】
スクリーンの保護層を剥離除去し、メチルエチルケトンを用いて蛍光体層を溶出し、濾過、乾燥し電気炉を使って600℃1時間焼成して表面の樹脂を除去した蛍光体の質量をO1g、蛍光体層膜厚をP1cm、溶出に使用したスクリーン面積Q1cm2、蛍光体比重をR1g/cm3としたとき、
蛍光体充填率 (V1%)=〔O1÷(P1×Q1×R1)〕×100
本発明の充填率はたとえば以下のようにして調整できる。支持体あるいは下引層を設けた支持体上に輝尽性蛍光体層を塗設し、所望の条件で乾燥させて、輝尽性蛍光体層を形成して蛍光体シートとした後、例えば、通常直径1〜100cmの平滑性の高いニップローラーとそれに対面する加熱可能なローラーの間を温度と圧力をかけて処理する。この圧縮処理を施すことにより、輝尽性蛍光体層中における輝尽性蛍光体の充填率を向上することができる。
【0029】
カレンダーロールを用いた圧縮方法に関しては、特にその方法に制限はないが、例えば、「樹脂加工技術ハンドブック(高分子学会編):日刊工業新聞社編、1965年6月12日刊」に記載されている方法を参照して適用することができる。また、プレス機で圧縮する方法でもかまわない。
【0030】
図2は本発明に好ましく用いられる圧縮処理の一例を示す概略図である。
【0031】
図2において、まず、供給ロール6から搬送方向Dの方向に繰り出した支持体7に、コータ4により輝尽性蛍光体層塗布液を塗布した後、乾燥ゾーン8に導入し、上下に配したノズルから熱風を吹き付けて乾燥する。次に、乾燥した輝尽性蛍光体層塗布済みの支持体7(または、蛍光体シートとも云う)をカレンダーロール9−1〜9−3の組み合わせを用いて圧縮処理を行い、巻き取りロール10に巻き取る。カレンダーロールの構成として、カレンダーロール9−1及び9−3がヒートロールであり、カレンダーロール9−2が、樹脂製のコンプライアントロールであることが好ましい。
【0032】
上記カレンダーロールとしては、特にその構造あるいは樹脂の種類等に制限はないが、例えば、内芯として鉄材を用いた高剛性基体と、その外周面を、例えば、硬質樹脂製の外筒で被覆したローラを挙げることができ、具体的には、エラグラス(金陽金属社製)、ミラーテックスロール(山内ゴム社製)等を挙げることができる。
【0033】
本発明において、カレンダーロールによる圧縮処理は1.96MPa〜49.0MPaの条件で行うことが好ましく、特に好ましくは、3.92MPa〜24.5MPaの条件である。圧縮条件を、上記で規定した範囲で行うことにより、輝尽性蛍光体層の、充填率、平滑性が向上し、この結果、輝尽性蛍光体の画像ムラが低減し、良好な鮮鋭性を得ることができる。特に、上記条件においては、支持体近傍の蛍光体層圧縮率が高まる。
【0034】
上記条件において、1.96MPa未満、高分子樹脂のTg未満の温度では十分な圧縮率、平滑性が得られず、また、49.0MPaをこえ、支持体の軟化点以上の温度であると、輝尽性蛍光体粒子の破壊、支持体の変形を招き、再焼成で輝度がもどらなくなる恐れがあるため好ましくない。
【0035】
巨大施設のシンクロトロンや、X線量が微弱なマイクロフォーカスX線源を用いることなく、通常医療施設等で使用されるX線管を用いてコントラストの高い画像を得ることができる。ここで用いられるX線管は回転陽極X線管とすることが好ましい。この回転陽極X線管においては、陰極から放射される電子線が陽極に衝突することでX線が発生する。
【0036】
これは自然光のようにインコヒーレント(非干渉性)であり、また平行光X線でもなく発散光である。電子線が陽極の固定した場所に当り続けると、熱の発生で陽極が傷むので、通常用いられるX線管では陽極を回転して陽極の寿命の低下を防いでいる。電子線を陽極の一定の大きさの面に衝突させ、発生したX線はその一定の大きさ陽極の平面から被写体に向けて放射される。この平面をX線照射方向から見た部分のことを焦点(フォーカス)と呼ぶ。この焦点サイズをDとする。本発明の焦点サイズは、放射線源の強度分布の半値幅から測定することができる。焦点は、種々の形があるが正方形の場合、その一辺の長さ、長方形や多角形の場合、短辺の長さ、円形の場合はその直径を焦点サイズDとする。
【0037】
X線検出器は、X線エネルギーを他のエネルギーに変換して画像情報として取り出すものであり、例としては、スクリーン(増感紙)/フィルムを用いるもの、後述する輝尽光性蛍光体を用いたシステム、X線蛍光体とCCDあるいはCMOSとを組み合わせたシステム、X線蛍光体とあるいはX線光導電体とTFTを組み合わせたシステムなどがある。本発明において、焦点サイズが30μm以上のX線管を用いることが好ましい。
【0038】
次に、本発明の輝尽性蛍光体について説明する。
【0039】
本発明の輝尽性蛍光体は下記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体が好ましい。
【0040】
一般式(1)
Ba1−xM2xFBryI1−y:aM1,bLn,cO
〔式中、M1:Li、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属原子、M2:Be、Mg、Sr及びCaから選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属原子、Ln:Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm、Dy、Ho、Nd、Er及びYbから選ばれる少なくとも一種の希土類元素、x、y、a、b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3、0≦y≦1.0、0≦a≦0.05、0<b≦0.2、0<c≦0.1を表す。〕
液相法による輝尽性蛍光体前駆体製造については、特開平10−140148号に記載された前駆体製造方法、特開平10−147778号に記載された前駆体製造装置が好ましく利用できる。ここで輝尽性蛍光体前駆体とは、前記一般式(1)で示される物質が600℃以上の高温を経ていない状態を示し、輝尽性蛍光体前駆体は、輝尽発光性や瞬時発光性をほとんど示さない。本発明では以下の液相合成法により前駆体を得ることが好ましい。
【0041】
上記一般式(1)からなる酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体の製造は、粒子形状の制御が難しい固相法ではなく、粒径の制御が容易である液相法により行なうことが好ましい。特に、下記の液相合成法により輝尽性蛍光体を得ることが好ましい。
【0042】
製造法:BaI2とLnのハロゲン化物を含み、一般式(1)のxが0でない場合には更に、M2のハロゲン化物を、yが0でない場合はBaBr2を、そしてM1のハロゲン化物を含み、それらが溶解したのち、BaI2濃度が3.3mol/L以上、好ましくは3.5mol/L以上の溶液を調製する工程;上記の溶液を50℃以上、好ましくは80℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上、好ましくは8mol/L以上の無機弗化物(弗化アンモニウムもしくはアルカリ金属の弗化物)の溶液を添加して希土類賦活アルカリ土類金属弗化ヨウ化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;上記の無機弗化物を添加しつつ、反応液から溶媒を除去する工程上記の前駆体結晶沈澱物を反応液から分離する工程;そして、分離した前駆体結晶沈澱物を焼結を避けながら焼成する工程を含む製造方法である。
【0043】
尚、本発明に係る粒子(結晶)は平均粒径が1〜10μmで、かつ単分散性のものが好ましく、平均粒径が1〜5μm、平均粒径の分布(%)が20%以下のものが好ましく、特に平均粒径が1〜3μm、平均粒径の分布が15%以下のものが良い。
【0044】
本発明における平均粒径とは、粒子(結晶)の電子顕微鏡写真より無作為に粒子200個を選び、球換算の体積粒子径で平均を求めたものである。
【0045】
以下に輝尽性蛍光体の製造法の詳細について説明する。
【0046】
(前駆体結晶の沈澱物の作製、輝尽性蛍光体作製)
最初に、水系媒体中を用いて弗素化合物以外の原料化合物を溶解させる。すなわち、BaI2とLnのハロゲン化物、そして必要により更にM2のハロゲン化物、そして更にM1のハロゲン化物を水系媒体中に入れ充分に混合し、溶解させて、それらが溶解した水溶液を調製する。ただし、BaI2濃度が3.3mol/L以上好ましくは3.5mol/L以上となるように、BaI2濃度と水系溶媒との量比を調整しておく。
【0047】
このときバリウム濃度が低いと所望の組成の前駆体が得られないか、得られても粒子が肥大化する。よって、バリウム濃度は適切に選択する必要があり、本発明者らの検討の結果、3.3mol/L以上で微細な前駆体粒子を形成することができることが分かった。
【0048】
このとき、所望により、少量の酸、アンモニア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、水不溶性金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。BaI2の溶解度が著しく低下しない範囲で低級アルコール(メタノール、エタノール)を適当量添加しておくのも好ましい態様である。この水溶液(反応母液)は80℃に維持される。
【0049】
次に、この80℃に維持され、撹拌されている水溶液に、無機弗化物(弗化アンモニウム、アルカリ金属の弗化物など)の水溶液を注入する。この注入は、撹拌が特に激しく実施されている領域部分に行なうのが好ましい。この無機弗化物水溶液の反応母液への注入によって、前記一般式(1)に該当する酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体前駆体結晶が析出する。
【0050】
本発明においては、無機弗化物水溶液の添加時に反応液から溶媒を除去する。溶媒を除去する時期は添加中であれば、特に問わない。溶媒の除去後の全質量が除去前の質量(反応母液の質量と添加した水溶液の質量の和)に対する比率(以下、除去比率という)が0.97以下であることが好ましい。0.97を超えると結晶がBaFIになりきらない場合がある。そのため除去比率は0.97以下であることが好ましく、0.95以下がより好ましい。また、除去しすぎても反応溶液の粘度が過剰に上昇するなど、ハンドリングの面で不都合が生じる場合がある。
【0051】
そのため溶媒の除去比率は0.5までが好ましい。溶媒の除去に要する時間は生産性に大きく影響するばかりでなく、粒子の形状、粒径分布も溶媒の除去方法に影響されるので、除去方法は適切に選択する必要がある。一般的に溶媒の除去に際しては溶液を加熱し、溶媒を蒸発する方法が選択される。本発明においてもこの方法は有用である。溶媒の除去により、意図した組成の前駆体を得ることができる。更に、生産性を挙げるため、また、粒子形状を適切に保つため、他の溶媒除去方法を併用することが好ましい。併用する溶媒の除去方法は特に問わない。逆浸透膜などの分離膜を用いる方法を選択することも可能である。本発明では生産性の面から、以下の除去方法を選択することが好ましい。
【0052】
1.乾燥気体を通気する反応容器を密閉型とし、少なくとも2箇所以上の気体が通過できる孔を設け、そこから乾燥気体を通気する。気体の種類は任意に選ぶことができる。安全性の面から、空気、窒素が好ましい。通気する気体の飽和水蒸気量に依存し、溶媒が気体に同伴され、除去される。反応容器の空隙部分に通気する方法の他、液相中に気体を気泡として噴出させ、気泡中に溶媒を吸収させる方法もまた有効である。
【0053】
2.減圧よく知られるように減圧にすることにより、溶媒の蒸気圧は低下する。蒸気圧降下により効率的に溶媒を除去することができる。減圧度としては溶媒の種類により適宜選択することができる。溶媒が水の場合86kPa以下が好ましい。
【0054】
3.液膜蒸発面積を拡大することにより溶媒の除去を効率的に行うことができる。本発明のように、一定容積の反応容器を用いて加熱、攪拌し、反応を行わせる場合、加熱方法しては、加熱手段を液体中に浸漬するか、容器の外側に加熱手段を装着する方法が一般的である。該方法によると、伝熱面積は液体と加熱手段が接触する部分に限定され、溶媒除去に伴い、伝熱面積が減少し、よって、溶媒除去に要する時間が長くなる。これを防ぐため、ポンプ、あるいは攪拌機を用いて反応容器の壁面に散布し、伝熱面積を増大させる方法が有効である。このように反応容器壁面に液体を散布し、液膜を形成する方法は“濡れ壁”として知られている。濡れ壁の形成方法としては、ポンプを用いる方法のほか、特開平6−335627号、同11−235522号に記載の攪拌機を用いる方法が挙げられる。
【0055】
これらの方法は単独のみならず、組み合わせて用いてもかまわない。液膜を形成する方法と容器内を減圧にする方法の組み合わせ、液膜を形成する方法と乾燥気体を通気する方法の組み合わせなどが有効である。特に前者が好ましく、特開平6−335627号、特願2002−35202に記載の方法が好ましく用いられる。
【0056】
次に、上記の蛍光体前駆体結晶を、濾過、遠心分離などによって溶液から分離し、メタノールなどによって充分に洗浄し、乾燥する。この乾燥蛍光体前駆体結晶に、アルミナ微粉末、シリカ微粉末などの焼結防止剤を添加、混合し、結晶表面に焼結防止剤微粉末を均一に付着させる。なお、焼成条件を選ぶことによって焼結防止剤の添加を省略することも可能である。
【0057】
次に、蛍光体前駆体の結晶を、石英ポート、アルミナ坩堝、石英坩堝などの耐熱性容器に充填し、電気炉の炉心に入れて焼結を避けながら焼成を行う。焼成温度は400〜1,300℃の範囲が適当であり、500〜1,000℃の範囲が好ましい。焼成時間は、蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度及び炉からの取出し温度などによっても異なるが、一般には0.5〜12時間が適当である。
【0058】
焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、あるいは少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気、あるいは微量酸素導入雰囲気が利用される。焼成方法については、特開2000−8034号に記載の方法が好ましく用いられる。上記の焼成によって目的の酸素導入希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体が得られ、これを用いて形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルが作製される。
【0059】
本発明の放射線像変換パネルに用いられる支持体としては各種高分子材料が用いられる。特に情報記録材料としての取り扱い上可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムが好ましい。
【0060】
また、これら支持体の層厚は用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜1000μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは80μm〜500μmである。これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0061】
さらに、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0062】
本発明に係る下引き層では、架橋剤により架橋できる高分子樹脂と架橋剤とを含有していることが好ましい。
【0063】
下引き層で用いることのできる高分子樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニールブチラール、ニトロセルロース等を挙げることができ、請求項2に係る発明では、下引き層で用いる高分子樹脂の平均ガラス転移点温度(Tg)が25℃以上であることが好ましく、更に好ましくは25〜200℃のTgを有する高分子樹脂を用いることである。
【0064】
本発明に係る下引き層で用いることのできる架橋剤としては、特に制限はなく、例えば、多官能イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができるが、架橋剤として多官能イソシアネート化合物を用いることが好ましく、例えば、日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げられる。
【0065】
本発明に使用する下引き層は、例えば、以下に示す方法により支持体上に形成することができる。
【0066】
まず、上記記載の高分子樹脂と架橋剤を適当な溶剤、例えば後述の輝尽性蛍光層塗布液の調製で用いる溶剤に添加し、これを充分に混合して下引き層塗布液を調製する。
【0067】
架橋剤の使用量は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂の種類等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の維持を考慮すれば、高分子樹脂に対して、50質量%以下の比率で添加することが好ましく、特には、15〜50質量%であることが好ましい。
【0068】
下引き層の膜厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂及び架橋剤の種類等により異なるが、一般には3〜50μmであることが好ましく、特には、5〜40μmであることが好ましい。
【0069】
本発明において、蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができるが、結合剤が熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂であることが好ましく、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、上記にも記載のポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジェン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、天然ゴム系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエンゴム及びシリコンゴム系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのうち、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性エラストマーは、蛍光体との結合力が強いため分散性が良好であり、また延性にも富み、放射線増感スクリーンの対屈曲性が良好となるので好ましい。なお、これらの結合剤は、架橋剤により架橋されたものでも良い。
【0070】
塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比は、目的とする放射線像変換パネルのヘイズ率の設定値によって異なるが、蛍光体に対し1〜20質量部が好ましく、さらには2〜10質量部がより好ましい。
【0071】
塗布型の蛍光体層を有する放射線像変換パネルに設ける保護層としては、ASTMD−1003に記載の方法により測定したヘイズ率が、5%以上60%未満の励起光吸収層を備えたポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護層として好ましく、更には、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0072】
保護層で用いるフィルムのヘイズ率は、使用する樹脂フィルムのヘイズ率を選択することで容易に調整でき、また任意のヘイズ率を有する樹脂フィルムは工業的に容易に入手することができる。放射線像変換パネルの保護フィルムとしては、光学的に透明度の非常に高いものが想定されている。そのような透明度の高い保護フィルム材料として、ヘイズ値が2〜3%の範囲にある各種のプラスチックフィルムが市販されている。本発明の効果を得るために好ましいヘイズ率としては5%以上60%未満であり、さらに好ましくは10%以上50%未満である。ヘイズ率が5%未満では、画像ムラや線状ノイズを解消する効果が低く、また60%以上では鮮鋭性の向上効果が損なわれ、好ましくない。
【0073】
本発明に使用する保護層で用いるフィルムは、必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性とすることができ、輝尽性蛍光体の吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少なくとも5.0g/m2・day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層方法としては、特に制限はなく、公知のいずれの方法を用いても良い。
【0074】
また、積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能が長期間維持でき好ましい。また、励起光吸収層は複数箇所設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色材を含有して、励起光吸収層としても良い。
【0075】
保護フィルムは、輝尽性蛍光体層に接着層を介して密着していても良いが、蛍光体面を被覆するように設けられた構造(以下、封止または封止構造ともいう)であることがより好ましい。蛍光体プレートを封止するにあたっては、公知のいずれの方法でもよいが、防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層樹脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることは、防湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シートの封止作業が効率化される点で、好ましい形態の1つである。
【0076】
さらには、蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にある領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシーラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止でき好ましい。また、さらには、支持体面側の防湿性保護フィルムが1層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層防湿フィルムとすることで、より確実に水分の進入を低減でき、またこの封止方法は作業的にも容易であり好ましい。上記インパルスシーラーで加熱融着する方法においては、減圧環境下で加熱融着することが、蛍光体シートの防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味でより好ましい。
【0077】
防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着していても接着していなくてもかまわない。ここでいう接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的には殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。また、上記の熱融着性を有する樹脂フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
輝尽性蛍光体層塗布液の調製に用いられる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0079】
塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。
【0080】
そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。また、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0081】
また、輝尽性蛍光体層塗布液中に、輝尽性蛍光体粒子の分散性を向上させる目的で、ステアリン酸、フタル酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などの分散剤を混合してもよい。
【0082】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、あるいは超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。
【0083】
上記のようにして調製された塗布液を、後述する支持体表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。用いることのできる塗布方法としては、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることができる。
【0084】
上記の手段により形成された塗膜を、その後加熱、乾燥されて、支持体上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は10〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmである。
【実施例】
【0085】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0086】
(蛍光体粒子1の調製;14面体大粒子 特開2003−246980号に記載の方法に従って)
a)BaBr2水溶液(1.5モル/L)1200mlを4000mlの容積のSUS316製の反応槽に入れ、これにEuBr3水溶液(0.2モル/L)を37.5ml、KBr3を0.9g、CaBr2・2H2Oを3.54g及び水1762.5mlを添加した。この反応槽中の反応母液(BaBr2濃度:1.00モル/L)を60℃に保温し、直径60mmのスクリュー型撹拌羽根を500rpmで回転させて、反応母液を撹拌した。NH4F水溶液(5モル/L)300mlを撹拌下に保温している上記の反応母液中にローラーポンプを用いて5.0ml/分の送液速度で注入し、沈殿物を生成させた。注入の完了後も保温と撹拌を2時間続けて沈殿物の熟成を行った。次に沈殿物を濾別し、メタノール2Lで洗浄した。次いで、洗浄した沈殿物を取り出し、120℃で4時間真空乾燥して、ユーロピウム賦活弗化臭化バリウム蛍光体前駆体結晶(BaFBr結晶)を約350g得た。
【0087】
これに、焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成し、さらに上記蛍光体粒子を分級することによりユーロピウム賦活弗化臭化バリウム蛍光体結晶(BaFBr結晶)を得た。得られた結晶を走査型電子顕微鏡で観察したところ、その大部分が14面体型の結晶であった。次に、この結晶を光回折型粒子サイズ分布測定器(堀場製作所株式会社製:LA−500)で測定し、平均結晶サイズが8.0μmであることを確認した。
【0088】
(蛍光体粒子2の調製;14面体小粒子 特開2003−246980号に記載の方法に従って)
b)BaI2水溶液(4.0モル/L)2850mlを4000mlの容積のSUS316製の反応槽に入れ、これにEuI3水溶液(0.2モル/L)を90ml及び水を60ml添加した。この反応槽中の反応母液(BaI2濃度:3.80モル/L)を50℃に保温し、直径60mmのスクリュー型撹拌羽根を500rpmで回転させて、反応母液を撹拌した。HF水溶液(5モル/L)720mlを、撹拌下に保温している上記の反応母液中にローラーポンプを用いて12ml/分の送液速度で注入し、沈殿物を生成させた。注入の完了後も保温と撹拌とを2時間続けて沈殿物の熟成を行った。次に沈殿物を濾別し、イソプロパノール2Lで洗浄した。次いで、洗浄した沈殿物を取り出し、120℃で4時間真空乾燥して、ユーロピウム賦活沃化バリウム蛍光体前駆体結晶(BaFI結晶)を約1000g得た。
【0089】
これに、焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成し、さらに上記蛍光体粒子を分級することによりユーロピウム賦活沃化バリウム蛍光体結晶(BaFI結晶)を得た。得られた結晶を走査型電子顕微鏡で観察したところ、その大部分が14面体型の結晶であった。次に、この結晶を光回折型粒子サイズ分布測定器で測定し、平均結晶サイズが4.5μmであることを確認した。
【0090】
(蛍光体粒子3の調製;6面体小粒子 特開2003−268369号に記載の方法に従って)
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、2つの孔をもつ耐圧容器にBaI2水溶液(4mol/L)2500mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)26.5mlを反応器に入れた。更に、水溶液中にヨウ化カリウム992gを添加した。この反応器中の反応母液を撹拌しながら85℃で保温した。乾燥空気を10l/minの割合で通気しながら弗化アンモニウム水溶液(10mol/L)600mlを循環アスピレーターを用いて反応容器内の圧力を36.3kPaの状態にして溶媒の濃縮を行いながら反応母液中にローラーポンプを用いて1時間かけて注入し、沈澱物を生成させた。反応終了後通気前後の溶液の質量比は0.92であった。そのままの温度で60分間攪拌した。60分攪拌した後ろ過しエタノール2000mlで洗浄した後、80℃で乾燥して、ユーロピウム賦活沃化バリウム蛍光体前駆体結晶(BaFI結晶)を約1000g得た。
【0091】
これに、焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。
【0092】
得られた結晶を走査型電子顕微鏡で観察したところ、その大部分が6面体型の結晶であった。次に、この結晶を光回折型粒子サイズ分布測定器で測定し、平均結晶サイズが4.5μmであることを確認した。
【0093】
(蛍光体粒子4の調製;6面体大粒子 特開2003−268369号に記載の方法に従って)
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、2つの孔をもつ耐圧容器にBaI2水溶液(4mol/L)2500mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)26.5mlを反応器に入れた。更に、水溶液中にヨウ化カリウム992gを添加した。この反応器中の反応母液を撹拌しながら92℃で保温した。乾燥空気を10l/minの割合で通気しながら弗化アンモニウム水溶液(10mol/L)600mlを循環アスピレーターを用いて反応容器内の圧力を42.3kPaの状態にして溶媒の濃縮を行いながら反応母液中にローラーポンプを用いて3時間かけて注入し、沈澱物を生成させた。反応終了後通気前後の溶液の質量比は0.92であった。そのままの温度で60分間攪拌した。60分攪拌した後ろ過しエタノール2000mlで洗浄した後、80℃で乾燥して、ユーロピウム賦活沃化バリウム蛍光体前駆体結晶(BaFI結晶)を約1000g得た。
【0094】
これに、焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。
【0095】
得られた結晶を走査型電子顕微鏡で観察したところ、その大部分が6面体型の結晶であった。次に、この結晶を光回折型粒子サイズ分布測定器で測定したところ、平均結晶サイズは8μmであることが確認された。
【0096】
(蛍光体粒子5の作製;不定形大粒子 特開2004−138440号に記載の方法に従って)
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、3.6モル/LのBaI2水溶液2780mlと0.2モル/LのEuI3水溶液27mlを反応器に入れ、この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。ついで、8モル/Lの弗化アンモニウム水溶液322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。
【0097】
次に沈澱物を濾別した後、エタノールにより洗浄し、真空乾燥させてユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。これに、焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。次に上記蛍光体粒子を分級することにより、平均粒径7μmの粒子を得た。
【0098】
(蛍光体6の作製;特開2004−125398号に記載の方法に従って)
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(3.6mol/L)2780mlとEuI3水溶液(0.15mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。次いで、弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に、沈澱物をろ別後、エタノールにより洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気下で、850℃で2時間焼成してユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。次に上記蛍光体粒子を分級して平均粒径4μmの蛍光体を調製した。
【0099】
(蛍光体層塗布液の調製)
上記調製した蛍光体を表1記載の比率で総量480gとなるように混合し、Tgが30℃のポリウレタン樹脂(ニッポラン2304(固形分35%)、日本ポリウレタン社製)57.0gとともにメチルエチルケトン:トルエンの1:1混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散して、粘度25〜30mPa・sの蛍光体層塗布液を調製した。
【0100】
(下引き層塗布液の調製)ポリエステル樹脂(バイロン300、東洋紡績(株)製)100質量部とシランカップリング剤(γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)を5質量%を混合し、更に、架橋剤として多官能イソシアネート化合物であるコロネートHX(日本ポリウレタン社製)10質量部とを混合し、この混合物にメチルエチルケトン:トルエンの1:1混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散して、粘度500mPa・sの下引き層塗布液を調製した。
【0101】
〈下引き層の塗布〉
厚さ250μmのカーボン錬り込みをした黒色ポリエチレンテレフタレート支持体上に、上記調製した下引き層塗布液を、乾燥膜厚が15μmとなるようナイフコーターを用いて塗布した後、乾燥して下引き層塗設済試料を作製した。
【0102】
〈下引き層塗設済試料の熱処理〉
上記作製した下引き層塗設済試料を、60℃で、100時間の熱処理(エージング処理)を施した。
【0103】
〈蛍光体層の塗布〉
上記各熱処理済み試料及び未処理試料の下引き層上に、前記調製した蛍光体層塗布液を乾燥膜厚が380μmになるように塗布を行ったのち100℃で30分間乾燥させて輝尽性蛍光体シートを形成した。
【0104】
上記塗布乾燥済み輝尽性蛍光体シートを一部、図2に示す構成からなるロール群により、圧縮処理を行った。
【0105】
圧縮部は、直列3本型ロール構成で、2本のヒートロール9−1、9−3及び1本のコンプライアントロール9−2で2ニップを形成し、輝尽性蛍光体層形成面にコンプライアントロールが接するように調整した。符号6は供給ロール、符号10は巻き取りロール、符号8は乾燥ゾーン、符号7は支持体、符号4はコータをそれぞれ表す。また、符号Dは搬送方向を示す。ヒートロール9−1、9−3は、直径300mmφ、表面が0.2Sのものを用い、コンプライアントロール9−2は、直径250mmφ、硬さはショアーD75°で、クラウン量が0μm、JIS−B−0601で規定される中心線平均表面粗さRaが0.4μmのポリエステル製のミラーテックスロール(山内ゴム製)を用いた。また、圧縮処理は、ヒートロール温度を70℃に設定し、1kN/cmの線圧に調整して行った。
【0106】
得られた各蛍光体シートについて、前記の式に従って、蛍光体充填率を測定して算出した。蛍光体層膜厚を測定し、蛍光体シートの面積100cm2あたりの蛍光体質量から蛍光体比重を5.4g/cm3としてそれぞれ算出した。
【0107】
(防湿性保護フィルムの作製)
上記作製した蛍光体シート1〜8の蛍光体層塗設面側の保護フィルムとして下記構成(A)のものを使用した。
【0108】
構成(A)
NY15///VMPET12///VMPET12///PET12///CPP20
NY:ナイロン
PET:ポリエチレンテレフタレート
CPP:キャステングポリプロピレン
VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタライジング社製)
各樹脂フィルムの後ろに記載の数字は、樹脂層の膜厚(μm)を示す。
【0109】
上記「///」は、ドライラミネーション接着層で、接着剤層の厚みが3.0μmであることを意味する。使用したドライラミネーション用の接着剤は、2液反応型のウレタン系接着剤を用いた。
【0110】
また、蛍光体シートの支持体裏面側の保護フィルムは、CPP30μm/アルミフィルム9μm/ポリエチレンテレフタレート(PET)188μmの構成のドライラミネートフィルムとした。また、この場合の接着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン系接着剤を使用した。
【0111】
(蛍光体プレートの作製)
前記作製した蛍光体シートを、各々一辺が20cmの正方形に断裁した後、上記作製した防湿性保護フィルムを用いて、減圧下で周縁部をインパルスシーラーを用いて融着、封止して、蛍光体プレート1〜8を作製した。尚、融着部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとなるように融着した。融着に使用したインパルスシーラーのヒーターは3mm幅のものを使用した。
【0112】
(鮮鋭度の評価)
図1において、X線源から1mの位置に鉛製のMTFチャート装着し、X線源から1.7mの位置にMTFチャートの投影像が入るようにX線画像検出器4中に蛍光体プレート装着した状態で管電圧80kVpのX線を照射した後、プレートをHe−Neレーザー光で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を、受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して電気信号に変換し、これをアナログ/デジタル変換して磁気テープに記録し、磁気テープをコンピューターで分析して磁気テープに記録されているX線像の1サイクル/mmにおける変調伝達関数(MTF)を調べ、これを鮮鋭度と定義し、蛍光体プレート1の鮮鋭度を100とした、相対値で表示した。
【0113】
(粒状性;画面ザラツキ感の評価)
図1において、X線源から1mの位置に胸部ファントームを装着し、X線源から1.7mの位置に胸部ファントームの投影像が入るようにX線画像検出器4中に蛍光体プレート装着した状態で管電圧80kVpのX線を照射した後、プレートをHe−Neレーザー光で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を、上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像として再生し、出力装置より1/1.7に縮小してしてプリントアウトし、得られたプリント画像を、目視にて以下に示す基準に則り画像ザラツキ感の評価を行った。
【0114】
◎:画像のザラツキ感が全く認められない
○:画像のザラツキ感が僅かに認められるが、殆ど気にならない程度である
△:画像のザラツキ感が確認されるが、実用上許容できるレベル
×:全面に亘り、画像のザラツキ感の発生が認められ、実用上問題が発生するレベル
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0115】
(画像欠陥の評価)
図1において、X線源から1mの位置に厚さ5mmのアルミニウム板を装着し、X線源から1.7mの位置にアルミニウム板の投影像が入るようにX線画像検出器4中に蛍光体プレート装着した状態で管電圧80kVpのX線を照射した後、蛍光体プレートをHe−Neレーザー光で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を、上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換し、蛍光体層から放射される輝尽発光を上記記載の受光器で受光して電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像として再生し、出力装置より光学濃度が1.0となるように1/1.7に縮小プリントアウトし、得られたプリント画像を、目視にて以下に示す基準に則り画像欠陥の評価を行った。
【0116】
◎:画像欠陥が全く認められない
○:画像欠陥が僅かに認められるが、殆ど気にならない程度である
△:画像欠陥が確認されるが、実用上許容できるレベル
×:全面に亘り、画像欠陥の発生が認められ、実用上問題が発生するレベル
以上により得られた結果を表1に示す。
【0117】
【表1】

【0118】
以上の結果から明らかなように、本発明の蛍光体プレートが比較の蛍光体プレートと比して各特性が優れていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の放射線画像撮影装置の一部の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に好ましく用いられる圧縮処理の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0120】
2 被写体保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に放射線を照射する小焦点放射線源と、該被写体を保持する保持部材と、該被写体を透過した放射線に基づく放射線画像情報を読み取る読み取る放射線画像検出器とを有し該被写体保持部材に保持される被写体の位相コントラスト撮影を行う放射線画像撮影装置において、該放射線検出器が多面体結晶構造を持つ輝尽性蛍光体粒子を含有する蛍光体プレートを有し、該蛍光体プレートの輝尽性蛍光体層中の輝尽性蛍光体の充填率が60〜80%であることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記輝尽性蛍光体粒子が平均粒径の異なる2種以上の輝尽性蛍光体粒子の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記異なる2種以上の輝尽性蛍光体粒子の中で大きい輝尽性蛍光体粒子の平均粒径が6.0〜10.0μmであり、小さい輝尽性蛍光体粒子の平均粒径が3.0〜5.0μmであることを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記異なる2種以上の輝尽性蛍光体粒子の中で大きい輝尽性蛍光体粒子と小さい輝尽性蛍光体粒子との混合比率が質量比で95:5〜50:50であることを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記輝尽性蛍光体が下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
一般式(1)
Ba1−xM2xFBryI1−y:aM1,bLn,cO
〔式中、M1:Li、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属原子、M2:Be、Mg、Sr及びCaから選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属原子、Ln:Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm、Dy、Ho、Nd、Er及びYbから選ばれる少なくとも一種の希土類元素、x、y、a、b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3、0≦y≦1.0、0≦a≦0.05、0<b≦0.2、0<c≦0.1を表す。〕
【請求項6】
請求項1に記載の放射線画像撮影装置により撮影し、記録された拡大画像を被写体面積の大きさに縮小出力することを特徴とする放射線画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−113046(P2006−113046A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222695(P2005−222695)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】