説明

放熱板の構造

【課題】放熱板とプリント基板との間を密着させるために放熱板の上方より圧力機により圧力が加えられる。この圧力が放熱板より熱伝導シートを介してプリント基板にはんだ付けされたマイコン等のリード端子に加わり、リード端子の破損やはんだクラック等が起こることを防止する。
【解決手段】発熱体であるマイコン3に対して、密着されてなる放熱板10において、前記マイコン3の密着面に対し、丸型に突出した凸部6が設けられ、該凸部6の先端が前記マイコン3に当接してなる事を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気的動作時における電子部品の発熱を外部へ放出する放熱板の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図7は従来のプリント基板の実装構造を示す図である。
【0003】図8は図7におけるA−A断面図である。
【0004】プリント基板4上のランドにマイクロコンピュータ( 以下マイコンと称する)3等の発熱しうる電子部品のリード端子11がはんだによりはんだ付けされている。電気的動作時にはマイコン3等は高温の熱( 80〜90℃程度) を発生し、そのままではマイコン3等は熱によって壊れてしまう恐れがある。そこで放熱手段としてプリント基板4の面積に相当し且つ厚さ2ミリのシリコン製の熱伝導シート2がマイコン3等の上面に対して密着され、更にその熱伝導シート2の上面にプリント基板4の面積に相当し且つその厚さが熱伝導シート2よりも若干大きいアルミ製の放熱板1が密着されるように構成してある。このように、プリント基板4の上面全体に対し熱伝導シート2を介して放熱板1が密着されており、そして図7に示すように放熱板1はネジ9によってプリント基板4を介し、図示せぬシャーシ( 本体) に固定されている。
【0005】尚、放熱板1はプリント基板4を全面に覆っているため、マイコン3等から発生するノイズを外部へ漏れるのを防止する等電気シールドの役割も兼ねている。
【0006】このようにして実装を行うが、プリント基板4と放熱板1の間には隙間が生じる事が有り、そのままでは放熱板1に熱が伝わりにくく、マイコン3自体の発熱温度が上昇してしまう恐れがある。
【0007】その為、プリント基板4と放熱板1との間を埋めて、熱伝導率を上げる必要が有り、実装時において放熱板1の上方から機械により、圧力を加えプリント基板4と放熱板1との間を密着させるようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】放熱板1は平面である為、熱伝導シート2を介してマイコン3等の電子部品との密着面積が多いが、放熱板1の上方より機械により加えられる圧力が放熱板1の表面全体に与えられ、熱伝導シート2を介してマイコン3等の電子部品に加わってしまう。
【0009】この圧力によりマイコン3等のはんだ付けリード端子11にストレスが加わってしまい、はんだクラック、リード端子11の破損等の不具合が生じる可能性がある。
【0010】そこで本発明は上述の問題を解決する事を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解決するもので、発熱体である電子部品に対して密着されてなる放熱板において、前記電子部品の密着面に対し、丸型に突出した凸部が設けられ、該凸部の先端が該電子部品の密着面へ当接してなることを特徴とするものである。
【0012】また、該凸部が半球状で複数設けられていることを特徴とするものである。
【0013】また、該凸部が棒線状で複数設けられていることを特徴とするものである。
【0014】また、前記電子部品の端子配列方向に並行して前記凸部が配列されてなることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の第1実施の形態である放熱板の構造を説明する。
【0016】図1は、本発明の第1実施の形態における放熱板の構造を示す断面図である。
【0017】本構成は、放熱板10以外は従来の構成と同じであるため、同等の構成部分には同じ符号を符した。プリント基板4上のランドにマイコン3等の電子部品のリード端子11がはんだによりはんだ付けされている。電気的動作時にはマイコン3等は高温の熱( 80〜90℃程度) を発生し、そのままではマイコン3等は熱によって壊れてしまう恐れがある。そこで放熱手段としてプリント基板4の面積に相当し且つ厚さ2ミリのシリコン製の熱伝導シート2がマイコン3等の上面に対して密着され、更にその熱伝導シート2の上面にプリント基板4の面積に相当し且つその厚さが熱伝導シート2よりも若干大きい、アルミ製の放熱板10が密着するように構成してある。このように、プリント基板4の上面全体に対し熱伝導シート2を介して放熱板1が密着されており、従来技術のように放熱板10はネジ9によってプリント基板4を介し図示せぬシャーシ( 本体) に固定されている。
【0018】放熱板10はアルミ部材からなり、プレス加工によりマイコン3に相当する位置が凹まされ凹部5として形成されている。そして放熱板10の凹部5が熱伝導シート2を介してマイコン3の上面に、密着するように形成されている。そして凹部5のマイコン3上の密着面側には、マイコン3へ突出した丸型形状の凸部6がマイコン3の表面積内において一定間隔で複数形成されており、この凸部6の先端が熱伝導シート2を介してマイコン3の上面に密着されている。
【0019】本実施の形態では凸部6を丸ピンによりプレス加工して形成する。このような丸ピンによるプレス加工によれば、丸ピンを一方向にプレスするだけで凸部6が形成できるので、手間をかけることなく容易に形成することができる。
【0020】図2は図1の上面図である。放熱板10の凹部5内に設けられた凸部6のそれぞれは、上面から見ると円形状であり、これらが複数設けられるようになっている。更に詳細に説明すると図3で示すように、凸部6はマイコン3へ半球状に突出して形成されている。尚、本例では1つの凹部5につき8個の凸部を設けるようにしたが、これに限らず凹部の大きさに合わせて適度その数を設定すれば良い。
【0021】次に作用について説明する。まずプリント基板4上にマイコン3を搭載し、リード端子11をはんだ付けする。そしてそのマイコン3上面より熱伝導シート2を被せ、更にその上部に放熱板10を搭載する。この時、放熱板10の位置は、凹部5とマイコン3とが対応するように設置する。
【0022】次にマイコン3と放熱板10の間を密着させる為、実装時において放熱板10の上から圧力機で圧力を加える。この時、圧力を加えながら密着させつつも、過度の圧力が加わらないようにする。これと共に図7R>7に示すネジ9によりプリント基板4及び放熱板10を図示せぬシャーシに固定する。
【0023】以上説明したように第一実施の形態において、圧力機で放熱板10の上から圧力をかけるが、放熱板10の凹部5に設けられた凸部6が半球状であるため、放熱板10の熱伝導シート2を介してマイコン3に当接する面は点接触であり、上よりかけられた圧力は、凸部6の半球状に沿って各方向に分散し、マイコン3に直接真下に加わる圧力は小さくなる。これにより、マイコン3のはんだ付けリード端子11部にかかるストレスが少なくなり、はんだクラックやリード端子11の破損等の不具合の発生を回避できる。
【0024】しかも、凸部6先端は熱伝導シート2を介してマイコン3の上面に密接されたままであり、放熱性も損なわれない。
【0025】本実施の形態では放熱板10の該凸部6の形状を半球状にしているが、これだけにこだわらず、図4に示すように、該凸部7の形状を先端が丸みを帯びた長い棒線状を複数並列的に配列したり、図5に示すように、該凸部8の形状を先端が丸みを帯びた短い棒線状を千鳥状に配列するようにしても良い。
【0026】以上説明した実施の形態では、その四方向にそれぞれリード端子が配列されているマイコン3について説明したが、更に図6に示すように電子部品のリード端子が2方向のみに設けられている時は、凸部6、凸部7、凸部8をリード端子11の配列方向(α) に沿って並行に配列すれば良い(図6(a) 及至(c))。このようにすればリード端子11に対する圧力を効率よく分散させることができる。尚、本実施の形態においてはマイコン3に適用したが、これに限らずトランジスタIC等に適用しても良い。また仕様によっては熱伝導シート2を設けず、直接凸部と電子部品とを密着させても良い。
【0027】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、放熱板において、発熱体である電子部品に相当する位置に、丸型形状の凸部を形成する事で、電子部品に加わる圧力を減らすことができ、放熱性を損なうことなくリード端子等の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態の放熱板の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施の形態の放熱板を示す上面図である。
【図3】本発明の第1実施の形態の放熱板の凹部を示す構造図である。
【図4】本発明の第1実施の形態の放熱板の凹部の変形例を示す構造図である。
【図5】本発明の第1実施の形態の放熱板の凹部の更なる変形例を示す構造図である。
【図6】電子部品に対する放熱板の凸部の配置図である。
【図7】従来のプリント基板の実装構造図である。
【図8】図7におけるA−A断面図である。
【符号の説明】
1、10・・・・放熱板
2・・・・熱伝導シート
3・・・・マイコン
4・・・・プリント基板
5・・・・凹部
6・・・・凸部
7・・・第二形状の凸部
8・・・第三形状の凸部
9・・・ネジ
11・・・リード端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】 発熱体である電子部品に対して密着されてなる放熱板の構造において、前記電子部品の密着面に対し、丸型に突出した凸部が設けられ、該凸部の先端が該電子部品の密着面へ当接してなることを特徴とする放熱板の構造。
【請求項2】 該凸部が半球状で複数設けられていることを特徴とする請求項1記載の放熱板の構造。
【請求項3】 該凸部が棒線状で複数設けられていることを特徴とする請求項1記載の放熱板の構造。
【請求項4】 前記電子部品の端子配列方向に並行して前記凸部が配列されてなることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の放熱板の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2002−43476(P2002−43476A)
【公開日】平成14年2月8日(2002.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−222346(P2000−222346)
【出願日】平成12年7月24日(2000.7.24)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】