説明

放送再配信装置

【課題】 第1の放送規格と第2の放送規格とで、映像が放送されている環境下において、第2の放送規格で放送された映像を受信できなくても、第2の放送規格で放送された映像信号の受信が可能なテレビであれば、第1の放送規格で放送された映像を受信及び視聴できるようにすることで、視聴者を増やす。
【解決手段】 第1の放送規格で放送された映像を受信し、第2の放送規格に映像を画質変換してから再配信する放送再配信装置を提供することで達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送を再配信する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送は、異なる放送規格で複数の放送を行っている。
【0003】
その放送規格には、画質は高いがトラフィック耐性が低い放送(以下、「高画質放送」と表現)と、画質は低いがトラフィック耐性が高い放送(以下、「高耐性放送」と表現)を組み合わせて放送する規格がある。日本やブラジルを含む南米諸国が採用するISDB-T規格がその例である。ISDB-T規格の場合、「高画質放送」が12セグであり、「高耐性放送」が1セグである。現在の日本国内の設置型テレビは、デジタル放送の普及により、1セグの受信設備は備えずに、NTSC規格の放送か、12セグのデジタル放送を受信する構成となっている。設置型テレビが12セグの放送を受信するのは、良好な受信環境を整えることが容易であるからである。また、モバイル機器等のように、良好な受信環境を整えることが難しい場合においては、1セグのみを受信する構成となっている。
【0004】
近年、デジタル放送の普及に伴い、難視聴地域が生じる可能性があるため、ギャップフィラーシステムの試験導入が開始されている。このギャップフィラーシステムを構成する中継基地に設置された放送再配信装置は、第1の放送規格でなさられた放送信号を受信し、ノイズをフィルタリングして、発信元の第1の放送規格でなされた放送信号を再現して再配信するものである。つまり、このようなギャップフィラーシステムは、「高画質放送」を「高画質放送」のまま、「高耐性放送」を「高耐性放送」のまま、つまり、放送規格の変更を伴わなわずに再配信する放送再配信装置である。なお、このような放送再配信装置の一例が特許文献1や特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-060284
【特許文献2】特開2009-094958
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記再配信システムでは、第1の放送規格の放送が受信できない場合、第1の放送規格の放送を再配信できず、また、第2の放送規格の放送を受信し、再配信しても、第2の放送規格の放送が受信できない設置型テレビのユーザは視聴することはできない。
【0007】
また、第1の放送規格の放送がトラフィック耐性は低い場合、難視聴地域によっては従来技術での再配信は必ずしもできない。
【0008】
日本や南米で採用されているISDB-Tの地上波デジタル放送を例に、この問題をさらに説明する。ISDB-Tの地上波デジタル放送では、「高画質放送」の放送規格と「高耐性放送」の放送規格とがあるが、それらは全く異なっている。例えば、ISDB-Tでは画質が高い映像である12セグ(12セグメント)放送は、MPEG2と呼ばれる符号化方式が用いられているのに対して、受信が容易な映像であるワンセグ(1セグメント)放送はH.264と呼ばれる符号化方式が用いられている。また、それぞれ映像の解像度やフレームレートも異なっている。したがって、12セグ放送を受信するための設置型テレビでは、ワンセグ放送を見ることができない。
【0009】
そこで、本発明者らは、第2の放送規格の放送を受信できるようになれば、視聴者増加や視聴可能地域の拡大が容易にできると考えた。
【0010】
ISDB-Tの地上波デジタル放送の場合についていうならば、12セグの受信感度が悪い難視聴地域において、12セグ用テレビ(設置型テレビ)でワンセグ放送の視聴を可能にすることができれば、視聴者増加や視聴可能地域の拡大が容易にできると考えた。
【0011】
また、北米を中心とする放送規格でも、設置型テレビ向けの「ATSC」とモバイル端末向け「ATSC-M/H」、欧州を中心とする放送規格でも、設置型テレビ向けの「DVB-T」とモバイル端末向け「DVB-H」、「DVB-SH」が存在する。これらも、そのサービス可能な提供エリアが異なり、また、仕様も異なるため、特定の放送規格向けに製造されたテレビ(情報端末のテレビ機能を含む)では、他の放送規格で配信された放送を視聴することができない。
【0012】
本発明の目的は、放送の視聴者を増やせる再配信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願は上記課題を達成する手段を複数含むものであるが、その代表的な手段は、特許請求の範囲に記載されたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の放送再配信装置によれば、放送の視聴者を増やせる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施例を表す説明図である。
【図2】第1の実施例を表す説明図である。
【図3】第1の実施例を表す説明図である。
【図4】第1の実施例を表す説明図である。
【図5】第1の実施例を表す説明図である。
【図6】第2の実施例を表す説明図である。
【図7】第2の実施例を表す説明図である。
【図8】第2の実施例を表す説明図である。
【図9】第2の実施例を表す説明図である。
【図10】第3の実施例を表す説明図である。
【図11】第3の実施例を表す説明図である。
【図12】第4の実施例を表す説明図である。
【図13】第4の実施例を表す説明図である。
【図14】第5の実施例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態では、放送規格としてISDB-T規格の場合を主に述べるが、前述した他の放送規格にも適用可能である。
【0017】
ISDB-T規格では、「高耐性放送」である第1放送規格が「1(ワン)セグ放送」で、「高画質放送」である第2放送規格が「12セグ放送」である。
【実施例1】
【0018】
図1に実施例1に係る再配信装置を示す。入力信号(101)は、外部アンテナ等で受信されたワンセグ放送の信号である。信号受信部(102)は、そのワンセグ放送の信号を受信後、バッファで一時保持し、その後、画質変換部(103)に出力する。
【0019】
画質変換部(103)では、入力されたワンセグ放送の信号に対して信号処理を施して映像の画質を変換する。本実施例では、映像のフレームレート変換と、解像度変換がおこなわれる。本実施例では、フレームレート変換として、15[Hz]から30[Hz]にされ、解像度変換として、「1セグ」「12セグ」規格で規定されている複数の解像度のいずれかに変換される。
【0020】
つまり、ISDB-T規格で地上波デジタル放送している場合に、モバイルテレビ向け地上波デジタル放送である「1セグ」規格を、別の設置型テレビ向けの地上波デジタル放送である「12セグ」規格へ変換する。
【0021】
変換された映像信号は信号再配信部(104)に入力され、再配信する(出力信号)
このように、第1の放送規格の映像信号を受信する信号受信部と、前記第1の放送規格の映像信号の画質を変換して第2の放送規格に適合させた画質変換部と、変換された映像信号を再配信する信号再配信部とを備える再配信装置を中継局に設置すれば、設置型テレビでワンセグ放送が視聴できるので、ワンセグ放送の視聴者を増やすことができる。また、12セグ放送は受信できないが、ワンセグ放送を受信できる場合には、12セグ放送もワンセグ放送も受信できない難視聴地域を減らすことができる。
【0022】
図2は画質変換部(103)の具体的な一例を示した図である。
【0023】
入力信号(201)は映像信号デコード部(202)に入力される。映像信号デコード部(202)では符号化された映像のデコード処理を行う。ワンセグ放送はH.264形式で符号化された映像であるので、H.264データのデコード処理を行う。
【0024】
次に、デコードされた映像はフレームレート変換部(203)に入力される。前述の通り、ワンセグ放送の場合、フレームレートは15[Hz]となっているのに対し、12セグ放送は30[Hz]である。フレームレート変換部(203)ではこの様なフレームレートの差を埋めるように映像を変換する。この変換には、映像の動き情報を検出し、その情報を元にして、実際のフレーム間に新たに生成したフレームを補間することで、フレームレートを変換するFRC補間技術を用いる。また、ここではフレームレートの変換が出来れば、別の方法を用いても良い。この様にしてフレームレートが変換された映像が生成される。
解像度変換部(204)ではこの様な解像度の差を埋めるように映像を変換する。解像度を上げる変換には、従来から用いられている拡大フィルタを用いた映像拡大方法を用いればよい。また、ここでは解像度の変換が出来れば別の方法を用いてもよく、いわゆる「超解像技術」を用いることで画質改善した映像を生成することも可能である。この様にして解像度が変換された映像が生成される。
解像度変換部(204)で生成された映像は映像信号エンコード部(205)に入力される。映像信号エンコード部(205)では映像信号のエンコードを行う。例えばMPEG2形式にエンコードするには、所定の流れに従い、エンコード処理を行う。この際、設置用テレビに入力することが可能な帯域幅に合わせて、データサイズを調整する必要がある。この調整にはビットレート制御方法を用いれば良い。具体的には映像信号エンコード部(205)を図3の様に構成し、エンコード用ビットレート制御部(302)でビットレート制御用のビットレート情報を生成し、生成したビットレート情報を用いて映像信号エンコード部(303)で映像信号のエンコードを行うことで実現可能である。
【0025】
図4は本実施例における放送再配信処理について示している。まず、映像信号の受信処理(401)を行い、受信した映像信号のデコード処理(402)を行う。デコードされた映像信号をフレームレート変換処理(403)した後、解像度変換処理(404)する。次に、解像度変換処理(404)された映像信号に対してエンコード用のビットレート制御信号の生成処理(405)を行い、この制御信号を元に映像信号のエンコード処理(406)を行った
後に、映像信号再配信処理(407)を行うことで本実施例における放送再配信処理が終了する。
【0026】
図5に、実際に本実施例の放送再配信装置を用いた場合のシステム構成の例を示す。入力信号(501)は、一般的なテレビ放送同様に、電波で映像が配信された場合を想定している。この信号を信号受信部(502)で受信し、画質変換部(503)で高画質化した後、信号再配信部(504)で電波として再配信(505)される。この再配信された信号を、一般的な家庭環境におけるテレビ用アンテナ(506)で受信した後、 設置用テレビ(507)において映像として表示され、ユーザに視聴される。ここで、入力信号(501)は電波を想定したが、インターネットなど別の形態で入力された映像でも同様の装置を用いることで再配信可能である。また、再配信(505)は電波を想定したが、有線で直接映像表示装置(507)に入力することも可能である。
【0027】
ここでは、ISDB-T規格の例について説明したが、他の規格においても同様に、同様に上記方法及び装置を用いることができる。
【0028】
また、この例ではワンセグ放送を12セグ放送の信号に変換する場合について説明したが、ワンセグ放送をNTSC信号などのアナログ放送用の信号に変換する際にも同様の方法を用いることが可能である。この場合フレームレート変換部(203)では30[Hz]の信号に変換すれば良く、解像度変換部(204)では水平720画素、垂直480画素などの所定の解像度に変換すれば良く、また映像信号エンコード部(205)ではNTSC信号変換装置を用いて、NTSC信号に変換すれば良い。その他の信号に変換する場合においても同様の方法および装置を用いることができる。
【0029】
また、本実施例ではフレームレート変換部(203)の後に解像度変換部(204)があるが、この順番は逆でも良いし、一方のみでもよい。
【0030】
このように、第1の放送規格の映像信号を受信する信号受信部と、前記第1の放送規格の映像信号の画質を変換して第2の放送規格に適合させた画質変換部と、変換された映像信号を再配信する信号再配信部とを備える再配信装置を中継局に設置すれば、第2の放送規格に適合したテレビで視聴が可能になるので、第1の放送規格の放送の視聴者を増やすことができる。特に、第2の放送規格の受信ができない難視聴地域に対して、ワンセグ放送の視聴が可能になるので、難視聴地域を減らすことができる。
【実施例2】
【0031】
次に、本発明の実施例2に係る放送再配信装置について説明する。
【0032】
実施例2では、実施例1における放送再配信の際に、別の放送に利用されている等の理由で、ある一部の周波数帯域のみしか配信に用いることができない場合について述べる。
【0033】
図6に本発明の実施例2に係る放送再配信装置を示す。
【0034】
入力映像(601)は信号受信部(602)に入力される。信号受信部(602)では処理に必要な信号を受信する。
【0035】
次に受信した信号は画質変換部(603)に入力される。画質変換部(603)では入力された映像をフレームレート変換や解像度変換などの画質変換処理と、映像の符号化形式の変換を行い、一般的なテレビの入力端子に入力可能な形式に変換する。この際、再配信に利用可能な周波数帯域情報に従って画質変換方法を決定する。
【0036】
画質変換された映像信号は信号再配信部(604)に入力される。信号再配信部(604)では信号の再配信を行う。
【0037】
図7は画質変換部(603)の具体的な一例を示した図である。
【0038】
入力信号(701)は映像信号デコード部(702)に入力される。映像信号デコード部(702)では符号化された映像のデコード処理を行う。
【0039】
一方で、どれくらいの周波数帯域が利用可能かを示す情報である利用可能帯域情報(707)が変換方法決定部(708)に入力される。このとき利用可能帯域情報(707)は固定値を外部から設定しても良いし、帯域情報を調べることが可能な装置を用いて自動的に情報を得ても良い。変換方法決定部(708)では利用可能帯域情報(707)を元に、フレームレート変換部(703)及び解像度変換部(704)での画質変換方法を決定し、決定した画質変換方法の情報を出力する。
【0040】
画質変換方法の一例としては、利用可能帯域情報(707)から利用可能帯域幅を得た後、この利用可能帯域幅を元にフレームレート変換量と解像度変換量を決定する方法が考えられる。これには図8で示すような表を用いることで、フレームレート変換量と解像度変換量を決定することができ、これを画質変換方法の情報として出力する。
【0041】
次に映像信号デコード部(702)でデコードされた映像と、変換方法決定部(708)で決定した画質変換方法の情報がフレームレート変換部(703)に入力される。フレームレート変換部(703)では与えられた画質変換方法の情報を元にフレームレートを変換する。この変換には実施例1と同様の方法を用いれば良い。
【0042】
フレームレート変換部(703)で生成された映像は解像度変換部(704)に入力される。解像度変換部(704)では与えられた画質変換方法の情報を元に映像を変換する。この変換には実施例1と同様の方法を用いれば良い。
【0043】
解像度変換部(704)で生成された映像は映像信号エンコード部(705)に入力される。映像信号エンコード部(705)では実施例1と同様の方法で映像信号のエンコードを行う。この際利用可能な帯域幅に合わせて、データサイズを調整する。この調整には従来から用いられているビットレート制御方法を用いれば良い。
【0044】
ここで、図8の様に帯域幅が狭いほどフレームレートや解像度を少なくする理由としては、配信するデータ量が減り、そのため最終的に映像信号エンコード部(705)でエンコードされたデータ量が少なくなるため、狭い帯域で映像の配信が可能になるからである。
【0045】
この様にして再配信された映像は、利用可能帯域の状況によっては一般的なテレビの入力端子に入力可能な形式ではない場合がある。この場合には図9に示すように、テレビの入力端子の直前などの利用可能帯域幅が広い場所において新たに放送再配信装置(907)を追加し、追加した装置を用いて一般的なテレビの入力端子に入力可能な形式に変換し、再配信すれば良い。
【0046】
以上の様に構成することで、広い帯域幅が利用できる場合にはフレームレートが高くなり、また解像度が増えるため、画質の高い映像が配信できる。一方で狭い帯域幅しか利用できない場合には、画質向上量を抑えることで映像のデータ量を減らし、再配信することができる。これにより可能な範囲で画質変換し、再配信することが可能になる。
【0047】
ここでは、ISDB-T規格の例について説明したが、他の規格においても同様に、本発明の方法及び装置を用いることができる。
【0048】
また、この例ではワンセグ放送をフルセグ放送の信号に変換する場合について説明したが、利用可能帯域の状況によってはNTSC信号に変換し、再配信を行うことも可能である。
【0049】
また、本実施例ではフレームレート変換部(703)の後に解像度変換部(704)があるが、この順番は逆でも良い。
【0050】
以上説明した実施例2に係る放送再配信装置によれば、入力されたワンセグ放送などの映像を利用可能な帯域の状態に応じて画質変換処理を行い、フルセグ映像の様なテレビに入力することが出来る映像に変換することができる。
【実施例3】
【0051】
実施例3は、実施例1における放送再配信の際に、広い帯域が利用できる場合等において、再配信する信号を2種類以上出力する方法について述べる。
【0052】
図10に本発明の実施例3に係る放送再配信装置を示す。
【0053】
入力映像(1001)は信号受信部(1002)に入力される。信号受信部(1002)では処理に必要な信号を受信する。
【0054】
次に受信した信号は画質変換部(1003)に入力される。画質変換部(1003)では入力された映像をフレームレート変換や解像度変換などの画質変換処理と、映像の符号化形式の変換を行い、一般的なテレビの入力端子に入力可能な形式に変換する。この際再配信する信号が2種類の場合、フレームレート変換や解像度変換などの高画質化処理と、映像の符号化形式の変換はそれぞれの再配信する信号の種類に必要な高画質化処理および変換処理を行う。
【0055】
変換された映像信号は信号再配信部(1004)に入力される。信号再配信部(1004)では信号の再配信を行う。
【0056】
図11は画質変換部(1003)の具体的な一例を示した図である。ここでは2種類の映像を再配信する方法について述べる。
【0057】
入力信号(1101)は映像信号デコード部(1102)に入力される。映像信号デコード部(1102)では符号化された映像のデコード処理を行う。
【0058】
次に映像信号デコード部(1102)でデコードされた映像が、フレームレート変換部1(1103)とフレームレート変換部2(1107)の両方に入力される。フレームレート変換部1(1103)及びフレームレート変換部2(1107)ではそれぞれ必要なフレームレートに映像を変換する。この変換には実施例1と同様の方法を用いれば良い。
【0059】
フレームレート変換部1(1103)及びフレームレート変換部2(1107)で生成された映像は、それぞれ解像度変換部1(1104)及び解像度変換部2(1108)に入力される。解像度変換部1(1104)及び解像度変換部2(1108)ではそれぞれ必要な解像度に映像を変換する。この変換には実施例1と同様の方法を用いれば良い。
【0060】
解像度変換部1(1104)及び解像度変換部2(1108)で生成された映像は映像信号エンコード部1(1105)及び映像信号エンコード部2(1109)にそれぞれ入力される。映像信号エンコード部1(1105)及び映像信号エンコード部2(1109)では実施例1と同様の方法でそれぞれ映像信号のエンコードを行う。この際エンコード方法は映像信号エンコード部1(1105)及び映像信号エンコード部2(1109)で変更することができる。また、出力信号1(1106)及び出力信号2(1110)はそれぞれ形式が違っても良く、例えば出力信号1(1106)をデジタル放送のフルセグ放送の形式とし、出力信号2(1110)をアナログ放送のNTSC信号の方式とすることも可能である。
【0061】
本実施例では再送信する映像の種類が2種類の場合の例を示したが、同様にして3種類以上の映像を再配信することも可能である。
【0062】
ここでは、ISDB-T規格の例について説明したが、他の規格においても同様に、本発明の方法及び装置を用いることができる。
【0063】
また、本実施例ではフレームレート変換部の後に解像度変換部があるが、この順番は逆でも良い。
【0064】
以上説明した実施例3に係る放送再配信装置によれば、入力されたワンセグ放送などの映像を画質変換処理し、再配信する際に、広い帯域が利用できる場合において、再配信する信号を2種類以上出力することが可能となる。
【実施例4】
【0065】
実施例4は、実施例3における映像再配信時に、別の放送に利用されている等の理由で、ある一部の帯域のみしか配信に用いることができない場合に対して、本発明を適用する際の例について述べる。
【0066】
図12に本発明の実施例4に係る放送再配信装置を示す。
【0067】
入力映像(1201)は信号受信部(1202)に入力される。信号受信部(1202)では処理に必要な信号を受信する。
【0068】
次に受信した信号は画質変換部(1203)に入力される。画質変換部(1203)では入力された映像をフレームレート変換や解像度変換などの画質変換処理と、映像の符号化形式の変換を行い、一般的なテレビの入力端子に入力可能な形式に変換する。この際再配信する信号が2種類の場合、フレームレート変換や解像度変換などの高画質化処理と、映像の符号化形式の変換はそれぞれの再配信する信号の種類に必要な高画質化処理および変換処理を行う。また、再配信に利用可能な帯域情報に従ってそれぞれの高画質化処理方法を決定する。
【0069】
変換された映像信号は信号再配信部(1204)に入力される。信号再配信部(1204)では信号の再配信を行う。
【0070】
図13は画質変換部(1203)の具体的な一例を示した図である。ここでは2種類の映像を再配信する方法について述べる。
【0071】
変換方法決定部(1312)には利用可能帯域情報(1311)が入力される。変換方法決定部(1312)では利用可能帯域情報(1311)を元に、2種類の映像の画質変換方法を決定し、その情報を出力する。この際、2種類の映像のデータサイズの比率に応じて、利用可能帯域を分割し、分割した帯域に2種類の映像がそれぞれ収まる様に図8の例に示す表を用いて画質変換方法を決定する。例えばデータサイズの比率が2:1で、利用可能帯域幅が6M[Hz]であった場合、その帯域を4M[Hz]と2M[Hz]の領域にわけ、それぞれに対して図8の例に示す表を用いて画質変換方法を決定する。
【0072】
この様にして決定された画質変換方法の情報を、それぞれフレームレート変換部1(1303)及びフレームレート変換部2(1307)と、解像度変換部1(1104)及び解像度変換部2(1108)に入力され、それぞれにおいて処理が行われる。処理の実施方法については実施例2及び実施例3と同一の為、説明を省略する。
【0073】
本実施例では再送信する映像の種類が2種類の場合の例を示したが、同様にして3種類以上の映像を再配信することも可能である。
【0074】
ここでは、ISDB-T規格の例について説明したが、他の規格においても同様に、本発明の方法及び装置を用いることができる。
【0075】
また、本実施例ではフレームレート変換部の後に解像度変換部があるが、この順番は逆でも良い。
【0076】
以上説明した実施例4に係る放送再配信装置によれば、入力されたワンセグ放送などの映像を画質変換処理し、映像再配信する際に、狭い帯域しか利用できない場合等においても、再配信する信号を2種類以上出力することが可能となる。
【実施例5】
【0077】
実施例5では、本発明における放送再配信装置を中継器に利用した例について述べる。
【0078】
図14に本発明の実施例5に係る放送再配信装置の利用例を示す。電波塔(1401)などの信号配信装置から配信された映像信号が山などの影響で減衰された信号(1402)となり、本発明を用いた中継器(1403)で受信される。
【0079】
中継器(1403)の内部では、信号受信部(1404)において信号の受信処理を行い、画質変換部(1405)において映像信号の高画質化処理を行い、信号再配信部(1406)において映像信号の再配信を行う。
【0080】
再配信された信号(1407)は複数の一般民家(1408)のアンテナにて受信され、テレビ等の映像表示装置で表示される。
【0081】
以上説明した実施例5に係る放送再配信装置の利用例によれば、山などの影響で信号が減衰した場合などにおいても、映像を高画質化してから再配信することで、より好適な映像の配信が可能になる。
【符号の説明】
【0082】
101…入力信号、102…信号受信部、103…画質変換部、104…信号再配信部、105…出力信号、201…入力信号、202…映像信号デコード部、203…フレームレート変換部、204…解像度変換部、205…映像信号エンコード部、206…出力信号、301…入力信号、302…エンコード用ビットレート制御部、303…映像信号エンコード部、304…出力信号、401…映像信号受信処理、402…映像信号デコード処理、403…フレームレート変換処理、404…解像度変換処理、405…エンコード用ビットレート制御信号生成処理、406…映像信号エンコード処理、407…映像信号再配信処理、501…入力信号、502…信号受信部、503…画質変換部、504…信号再配信部、505…再配信映像、506…再配信映像受信部、507…映像表示装置、601…入力信号、602…信号受信部、603…画質変換部、604…信号再配信部、605…出力信号、701…入力信号、702…映像信号デコード部、703…フレームレート変換部、704…解像度変換部、705…映像信号エンコード部、706…出力信号、707…利用可能帯域情報、708…変換方法決定部、901…入力信号、902…信号受信部、903…画質変換部、904…信号再配信部、905…再配信信号、906…テレビ、907…放送再配信装置、1001…入力信号、1002…信号受信部、1003…画質変換部、1004…信号再配信部、1005…出力信号、1101…入力信号、1102…映像信号デコード部、1103…フレームレート変換部1、1104…解像度変換部1、1105…映像信号エンコード部1、1106…出力信号1、1107…フレームレート変換部2、1108…解像度変換部2、1109…映像信号エンコード部2、1110…出力信号2、1201…入力信号、1202…信号受信部、1203…画質変換部、1204…信号再配信部、1205…出力信号、1301…入力信号、1302…映像信号デコード部、1303…フレームレート変換部1、1304…解像度変換部1、1305…映像信号エンコード部1、1306…出力信号1、1307…フレームレート変換部2、1308…解像度変換部2、1309…映像信号エンコード部2、1310…出力信号2、1311…利用可能帯域情報、1312…変換方法決定部、1401…電波塔、1402…映像信号、1403…中継器、1404…信号受信部、1405…画質変換部、1406…信号再配信部、1407…再配信信号、1408…一般民家

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送再配信装置であって、
第1の放送規格の映像信号を受信する信号受信部と、
前記第1の放送規格の映像信号の画質を変換して第2の放送規格に適合させた画質変換部と、
変換された映像信号を再配信する信号再配信部とを備えることを特徴とする放送再配信装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記画質変換部は、
第1の放送規格の映像信号をデコードする映像信号デコード部と、
デコードされた前記第1の放送規格の映像信号のフレームレートを、前記第2の放送規格に適合するフレームレートに変換するフレームレート変換部と、
フレームレートが変換された映像信号を前記第2の放送規格に適合する符号化規格で符号化する映像信号エンコード部とを備えることを特徴とする放送再配信装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記画質変換部は、
第1の放送規格の映像信号をデコードする映像信号デコード部と、
デコードされた前記第1の放送規格の映像信号の解像度を、前記第2の放送規格に適合する解像度に変換する解像度変換部と、
解像度が変換された映像信号を前記第2の放送規格に適合する符号化規格で符号化する映像信号エンコード部とを備えることを特徴とする放送再配信装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記画質変換部は、前記第2の放送規格に適合した周波数帯域のうちで利用可能な周波数帯域に応じて映像信号を変換することを特徴とする放送再配信装置。
【請求項5】
請求項4において、
第1の放送規格の映像信号をデコードする映像信号デコード部と、
前記画質変換部は、前記第2の放送規格に適合した周波数帯域のうちで利用可能な周波数帯域に応じて、デコードされた前記第1の放送規格の映像信号のフレームレートを、前記第2の放送規格に適合するフレームレートに変換するフレームレート変換部と、
前記画質変換部は、前記第2の放送規格に適合した周波数帯域のうちで利用可能な周波数帯域に応じて、デコードされた前記第1の放送規格の映像信号の解像度を、前記第2の放送規格に適合する解像度に変換する解像度変化部と、
解像度及びフレームレートが変換された映像信号を前記第2の放送規格に適合する符号化規格で符号化する映像信号エンコード部とを備えることを特徴とする放送再配信装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記画質変換部は、受信した映像信号を2種類以上の画質の映像信号に変換し、
前記信号再配信部は、変換した2種類以上の映像信号を再配信することを特徴とする放送再配信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−147040(P2011−147040A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7694(P2010−7694)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】