説明

放送受信装置、その制御方法及びプログラム

【課題】限定受信方式の放送の受信予約がされた際に、より確実に予約された放送を視聴可能とする放送受信装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】暗号化された放送コンテンツの受信予約をユーザから受け付ける受付手段と、個別情報に含まれる当該個別情報の有効期限を示す期限情報を記憶する記憶手段と、受信予約された放送コンテンツの放送日時と前記有効期限とを比較し、前記放送コンテンツの放送日時が前記有効期限より後である場合には、前記受信予約を自装置へ設定するとともに、当該放送コンテンツを放送する放送チャンネルを受信可能な前記他の放送受信装置へも当該受信予約を設定する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号化された放送コンテンツを受信する放送受信装置、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有料放送等の限定受信方式の放送は、受信契約を結んだ契約者のみが受信して利用できるように放送データが暗号化されており、契約者が暗号を解くための情報を保持したICカードを放送受信装置に装着することで復号化して視聴可能となっている。具体的には、限定受信方式の放送データにはEMMが含まれており、EMMに記述されているICカードを放送受信装置に装着することで放送が視聴可能となる。
【0003】
ここで、EMM(Entitlement Management Message)は、有料放送の契約情報を含む契約者ごとに異なる個別情報であり、契約者が所有するICカードにより個別情報の抽出が可能となっている。このEMMは、契約の変動などに応じて変更する必要があるため、所定の期間内で更新されている。このため、受信契約が結ばれていない、又は何らかの理由によりEMMが更新されず、契約情報が更新されない等の諸事情により、限定受信方式の放送が視聴できないことがある。
【0004】
特許文献1には、デジタル放送の視聴時や録画予約の設定時に、予約された放送番組が放送受信装置に装着されているICカード、即ち視聴契約内容で視聴可能か否かを確認する。そして、装着されているICカードで視聴できない場合は、放送受信装置と通信インターフェイスで接続する他の機器に対して予約された放送番組が視聴可能か否かを確認する。他の機器で視聴が可能である場合は、放送受信装置の外部入力を他の機器からの出力に切り替え、他の機器で選局して出力された映像・音声により視聴することが記載されている。この特許文献1により、放送受信装置に装着されているICカードで有料放送が視聴できない場合であっても、他の機器で選局することで有料放送の視聴が可能となる。
【特許文献1】特開2007−228350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、録画等のための受信予約を設定した時点で放送受信装置が装着するICカードの契約情報で視聴可能か否かを判定しており、EMMの更新期限が考慮されていない。したがって、受信予約を行った時点では問題なく限定受信方式の放送が視聴可能であったとしても、受信予約を実行する時点がEMMの更新期限を越えている場合にはEMMの更新漏れ等の事情により視聴できないことある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題を解決することを目的としてなされたものである。本発明の目的は、限定受信方式の放送の受信予約がされた際に、より確実に予約された放送を視聴可能とする放送受信装置及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、放送チャンネルを選択して放送データを受信する受信手段と、当該放送チャンネルで受信した放送データから、暗号化された放送コンテンツを復号可能な放送受信装置を特定するための個別情報を分離し、放送受信装置が予め保持した鍵情報、または放送受信装置に装着された記録媒体から取得した鍵情報と前記個別情報とを用いて暗号化された放送コンテンツを復号する復号手段と、他の放送受信装置と互いに通信可能に接続するための通信手段と、を有する放送受信装置であって、前記暗号化された放送コンテンツの受信予約をユーザから受け付ける受付手段と、前記個別情報に含まれる、当該個別情報の有効期限を示す期限情報を記憶する記憶手段と、前記受信予約された放送コンテンツの放送日時と前記有効期限とを比較し、前記放送コンテンツの放送日時が前記有効期限より後である場合には、前記受信予約を自装置へ設定するとともに、当該放送コンテンツを放送する放送チャンネルを受信可能な前記他の放送受信装置へも当該受信予約を設定する制御手段と、を備えることを特徴とする本発明による放送受信装置によって達成される。
【0008】
また、上記目的は、放送チャンネルを選択して放送データを受信する受信手段と、当該放送チャンネルで受信した放送データから、暗号化された放送コンテンツを復号可能な放送受信装置を特定するための個別情報を分離し、放送受信装置が予め保持した鍵情報、または放送受信装置に装着された記録媒体から取得した鍵情報と前記個別情報とを用いて暗号化された放送コンテンツを復号する復号手段と、他の放送受信装置と互いに通信可能に接続するための通信手段と、を有する放送受信装置の制御方法であって、前記暗号化された放送コンテンツの受信予約をユーザから受け付ける受付工程と、前記個別情報に含まれる、当該個別情報の有効期限を示す期限情報を記憶部に記憶する記憶工程と、前記受信予約された放送コンテンツの放送日時と前記有効期限とを比較し、前記放送コンテンツの放送日時が前記有効期限より後である場合には、前記受信予約を自装置へ設定するとともに、当該放送コンテンツを放送する放送チャンネルを受信可能な前記他の放送受信装置へも当該受信予約を設定する制御工程と、を備えることを特徴とする本発明による放送受信装置の制御方法によっても達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、限定受信方式の放送の受信予約がされた際に、より確実に予約された放送を視聴可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図を参照して説明するが、この発明は以下の実施の形態に限定されない。また、この発明の実施の形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、発明の範囲を限定するものではない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る放送受信装置のシステム構成の一例を示す図である。図1に示すように、放送受信装置1、放送受信装置2及び放送受信装置3は、それぞれデジタル放送の放送信号(以下、放送データという)が受信可能なチューナを搭載し、受信した放送データの音声や映像が再生可能となっている。放送受信装置1、放送受信装置2及び放送受信装置3のチューナは、放送チャンネルを選択して放送データを受信可能となっている。また、それぞれの放送受信装置は、HDD(Hard Disk Drive)などを搭載し、チューナにより受信した放送データが記録可能となっている。
【0012】
また、それぞれの放送受信装置は、有線又は無線のLAN4(Local Area Network)により互いに通信可能に接続されている。すなわち、放送受信装置1は、放送受信装置2及び放送受信装置3(他の放送受信装置)とLAN4を介して互いに通信可能に接続されている。それぞれの放送受信装置は固有のIPアドレスを有しており、UPnP(Universal Plug and Play)仕様に準拠して動作するよう構成されている。そのため、各放送受信装置をLAN4に接続することで自動的に互いの機器を認識し、通信を行うことが可能となる。これにより、通信が可能となった機器間において、後述する機能を実行するのに必要な、要求や確認、応答といった各種コマンドを送受信することが可能となる。なお、それぞれの放送受信装置との間の通信は、相互に通信可能であればLAN4やUPnP仕様に限定することはない。例えば、インターネットなどの公衆の通信回線を介した通信、USBやHDMI等の通信、IrDA等の赤外線通信などであってよい。ここで、USBはUniversal Serial Busの略語、HDMIはHigh-Definition Multimedia Interfaceの略語、IrDAはInfrared Data Associationの略語である。なお、HDMIを用いる場合は、CEC(Consumer Electronics Control)ラインを用いて制御信号の送受信が可能となっているので、機器の連携が容易となる。
【0013】
また、それぞれの放送受信装置は、暗号化されて送信される限定受信方式のデジタル放送を視聴するための暗号を解くための情報(鍵情報)を保持した記録媒体であるICカードを装着している。このICカードは例えばB−CAS(登録商標)カードなどである。なお、以下の説明では単にICカードという。また、限定受信方式のデジタル放送は、例えばユーザが放送局を運営する放送事業者と個別に契約することで受信可能となる有料放送などがある。以下の説明では、この限定受信方式のデジタル放送を単に有料放送という。
【0014】
ICカードには、有料放送の暗号を解く鍵情報が記憶されている。有料放送を受信して視聴する際には、ICカードにデジタル放送の放送データに含まれるECM(Entitlement Control Message)とEMM(Entitlement Management Message)を入力する。これらの情報は共に暗号化されている。ECMは番組の情報の他、契約の有無による視聴可否に関する情報を含む情報である。この情報は放送受信装置には依存しない共通の情報であるので共通情報と称する。EMMは、ICカードから鍵情報を出力させるために放送局が配信する情報であって、暗号化された放送を復号可能な放送受信装置、即ち、放送受信装置が備えたICカードを特定するための個別情報である。EMMには有料放送などにおける個別契約情報と、ECMの暗号を解くための情報を含む。
【0015】
放送受信装置は、上記入力に対してICカードから出力される鍵情報でスクランブルを解除することで視聴が可能となる。すなわち、有料放送を視聴又は録画する場合には、EMMに記述されている個別契約情報に相当する固有情報を有するICカードを放送受信装置に装着する必要がある。従って、放送受信装置側では、ICカードの固有情報とEMMに記述された個別契約情報とを比較し、復号が許可されていることが判明した場合、ICカードに記憶された鍵情報を用いて暗号化された放送コンテンツの復号を実行する。
【0016】
図1の例では、放送受信装置1には有料放送の受信契約がA局、B局、C局と結ばれているICカード5が装着されている。また、放送受信装置2には有料放送の受信契約がA局、B局と結ばれているICカード6が装着されている。また、放送受信装置3には有料放送の受信契約がC局と結ばれているICカード7が装着されている。したがって、放送受信装置1はA局、B局、C局が放送する有料放送を、放送受信装置2はA局、B局が放送する有料放送を、放送受信装置3はC局が放送する有料放送を視聴又は録画することができる。
【0017】
図2は、システム構成の詳細を示すブロック図であり、図1に例示した放送受信装置1、2の2つについてのみ示している。なお、放送受信装置1は、図1、図2で示したシステム構成において、システムを構成する放送受信装置に関する情報を管理、制御するサーバとしての役割を持っているものとする。具体的には、放送受信装置1は、装着されているICカード5の有料放送の受信契約の内容及び接続されている放送受信装置2に装着されているICカード6の有料放送の受信契約の内容をシステム管理部101に保持する。放送受信装置2に装着されているICカード6の有料放送の受信契約の内容は、放送受信装置1から放送受信装置2に対して内容を要求するコマンドを送信することで放送受信装置2から取得する。
【0018】
このことにより、放送受信装置1は、接続されている放送受信装置2で視聴可能な有料放送を知ることができる。このように、互いに接続された放送受信装置の情報を統括して管理するのは、本実施形態に示すようにいずれかの放送受信装置が担ってもよいし、別にホームサーバのようなシステムを統括管理する機器が行ってもよい。なお、図2には図示していないが、放送受信装置2は、放送受信装置1と同様に放送受信部、分離部、予約情報管理部、リモコン受信部、表示部を有するものとする。
【0019】
ICカード5及び6には、予め個別のID番号が割り振られている。放送受信装置1及び2は、電源オン時又はICカード5及び6を放送受信装置1及び2に装着したときに、ICカード5及び6からID番号を読み出す。次いで、放送受信装置1及び2は、読み出したID番号を放送受信装置1及び2内のID番号メモリ部102及び103に記憶する。
【0020】
EMM更新のための情報は、通電制御情報としてEMMに含まれて放送チャンネルごと(例えば、A局、B局、…などの局ごと)に送信される。放送受信装置では、放送チャンネルごとの放送データを放送受信部104で受信し、受信した放送データを分離手段としての分離部105で分離してEMMを得る。得られたEMMからは、ID番号メモリ部102及び103に予め記憶されているID番号に基づいて、フィルタリング部106及び122でICカードに該当するEMMが抽出される。すなわち、フィルタリング部106及び122では、自装置に装着されたICカードに対応した個別情報が抽出される。
【0021】
フィルタリング部106で抽出されたEMMは、ICカード5に予め記憶されている鍵情報(Km)を用いて個別情報復号部107で復号される。また、個別情報復号部107で復号されたEMMの有料放送の契約情報(通電制御情報)はICカード5の契約情報メモリ部108に記憶される。同様に、フィルタリング部122で抽出されたEMMは、ICカード6の個別情報復号部119で復号されて契約情報メモリ部120に記憶される。通電制御情報には、EMMを新たに更新すべき更新期限、すなわち配信されたEMMの有効期限を示す期限情報が含まれている。なお、上述したEMMの受信による通電制御情報の取得は、電源オフ状態である時に行われる。
【0022】
放送受信装置1は、電源オン時にICカード5に通電制御情報の要求コマンドを送信する。要求コマンドを受け付けたICカード5は、通電制御情報が記憶されていればその通電制御情報を放送受信装置1に返信する。放送受信装置1は、ICカード5から返信された通電制御情報を設定する。この時、通電制御情報は通電制御管理部109に記憶されるとともに、通電制御情報に含まれるEMM更新期限情報は予約情報管理部110のEMM更新期限メモリ部111に記憶される。
【0023】
放送受信装置1は、ユーザなどによる外部からの指示を遠隔操作機器(リモートコントロール)であるリモコン112で受け付け、リモコン112で受け付けられた指示をリモコン受信部113を通じて受信する。リモコン112は、後述する受信予約の指示をユーザから受け付ける受付手段である。なお、ユーザなどによる外部からの指示は、放送受信装置1に設けられた操作ボタンなどの操作部(図示しない)を通じて受け付けてもよい。
【0024】
外部からリモコン112を通じて有料放送の録画又は視聴などのための受信予約が行われると、その受信予約の情報(放送チャンネル及び放送日時等)はリモコン受信部113を通じて予約情報管理部110の録画・視聴予約メモリ部114に記憶される。次いで、予約情報管理部110は、EMM更新期限メモリ部111に記憶されたEMM更新期限情報と録画・視聴予約メモリ部114に記憶された受信予約の情報とを比較する制御を行う。具体的には、受信予約が行われた放送番組(放送コンテンツ)の放送チャンネル及び放送日時と、その放送チャンネルのEMM更新期限とを比較する。比較の結果、受信予約の対象である放送番組の日時がEMM更新期限より後である場合には、録画や視聴のための受信予約は直ちには設定されず、予約情報管理部110でEMM更新期限情報と受信予約の情報とを関連付けて記憶部である録画・視聴予約メモリ部114に記憶する。
【0025】
なお、比較の結果、受信予約の対象である放送番組がEMM更新期限より前の日時である場合には、録画や視聴のための受信予約が直ちに設定される。具体的には、EMM更新期限情報との関連付けが行われることなく、受信予約の情報が録画・視聴予約メモリ部114に記憶される。
【0026】
その後、放送受信装置1は、EMM更新期限以前の所定のタイミングで、受信予約の情報と関連付けられたEMM更新期限情報の確認を再度実行する。この確認の結果、EMMの更新が確認できなかった場合、放送受信装置1の制御部115は、通信I/F部116と接続されている放送受信装置2に録画・視聴のための受信予約の設定を行う。すなわち、放送受信装置1は、自装置へ受信予約を設定した後の、EMM更新期限情報が示す更新期限(有効期限)が満了する所定時間前に、放送受信装置2へ受信予約を設定するためのコマンドを送信する。この時、予約情報管理部110の録画・視聴予約メモリ部114に記憶しているEMM更新期限情報と受信予約の情報とを関連付けた情報は、消去されることなくそのまま保持される。
【0027】
放送受信装置1は、放送受信装置2に録画・視聴のための受信予約の設定を行う場合、通信I/F部117を通して制御部118に、放送受信装置2で録画・視聴のための受信予約に該当する有料放送が受信可能であるか否かの確認要求を行う。放送受信装置2は、放送受信装置1からの確認要求があった場合、放送受信装置1に対する受信予約に該当する有料放送が受信可能であるか否かを確認するため、制御部118が自機に装着されたICカードの通電制御情報を確認する。この確認方法は、上述した放送受信装置1の内部で実行されるEMM更新期限情報に基づいた確認方法と同様である。
【0028】
すなわち、放送受信装置1は、ICカード6の個別情報復号部119から得た後に契約情報メモリ部120に記憶される情報に含まれ、通電制御管理部121に記憶される放送受信装置2の通電制御情報を、制御部118から確認する。放送受信装置1は、放送受信装置2の通電制御情報のEMM更新期限情報が受信予約が行われた放送番組の放送日時より後の日時である場合に、放送受信装置2に録画・視聴のための受信予約を設定する。
【0029】
また、放送受信装置1は、装着されているICカード5のEMM更新期限情報を確認するため、EMM更新期限メモリ部111に記憶されたEMM更新期限情報の更新期限の直前のタイミングで再び通電制御情報を要求し、EMMが更新されたか否かを確認する。すなわち、放送受信装置1は、他の放送受信装置へ受信予約を設定した後で、かつEMM更新期限情報が示す更新期限(有効期限)が満了する所定時間前に、自身のEMMの更新がなされたか否かを確認する。このタイミングで自身に装着されたICカード5のEMMの更新が確認でき、更新期限が延長された場合、放送受信装置1は、放送受信装置2へ設定した受信予約を取り消す処理を行う。これは放送受信装置2に受信予約を行ったことを示す情報を録画・視聴予約メモリ部114に記憶しておくことで、その情報から放送受信装置2と予約したチャンネルや番組を特定することができる。そして、放送受信装置2に対して受信予約したチャンネルや番組の受信予約を取り消すためのコマンドを送信する。EMMの更新が確認できず、更新期限が延長されていない場合、放送受信装置1は、放送受信装置2へ設定した受信予約を取り消すことなく保持させ、放送受信装置1で保持していた受信予約を取り消す処理を行う。これにより、受信予約された放送番組の受信が放送受信装置1、2で重複して行われることを防止することができる。
【0030】
また、リモコン112を通じて受信予約が行われると、予約情報管理部110は、EMM更新期限メモリ部111に記憶されたEMM更新期限情報と、録画・視聴予約メモリ部114に記憶された受信予約の情報とを比較する。この比較の結果、受信予約の対象である放送番組の放送日時がEMM更新期限より後の日時である場合には、表示部123を通じてユーザに対してその旨の警告表示を行う。具体的には、受信予約された放送番組がEMM更新期限の後であるため、正常に受信されない可能性があることなどの警告情報を表示する。
【0031】
図3は、放送受信装置1が行う上述した処理のフローチャートである。図3に示すように、電源オンなどにより処理が開始されると、放送受信装置1は、自機に装着されたICカード5から通電制御情報を取得し、取得した通電制御情報を設定するための通電制御要求処理を行う(S11)。
【0032】
図4は、通電制御要求処理を示すフローチャートである。図4に示すように、通電制御要求処理が開始されると、放送受信装置1は、ICカード5に通電制御情報の要求コマンドを送信する(S111)。次いで、放送受信装置1は、要求コマンドによりICカード5から返信された通電制御情報を通電制御管理部109に記憶する(S112)。この時、放送受信装置1は、通電制御情報に含まれるEMM更新期限情報をEMM更新期限メモリ部111に記憶する(S113)。
【0033】
図3に示すように、S11の通電制御要求処理の後、放送受信装置1は、制御部115が現在日時をRTC(Real Time Clock)などにより確認する(S12)。次いで、放送受信装置1は、リモコン112などを通じた受信予約の指示の有無を判定する(S13)。受信予約の指示がある場合、放送受信装置1では、EMM更新期限メモリ部111に記憶されたEMM更新期限と録画・視聴予約メモリ部114に記憶された受信予約の情報とを比較し、受信予約の番組がEMM更新期限より後か否かを判定する(S14)。
【0034】
受信予約の番組がEMM更新期限より後である場合(S14:YES)、放送受信装置1では、予約情報管理部110がEMM更新期限情報と受信予約の情報とを関連付けて録画・視聴予約メモリ部114に記憶する(S15)。次いで、放送受信装置1は、表示部123を通じた警告表示を行う(S16)。また、受信予約の番組がEMM更新期限より前である場合(S14:NO)、放送受信装置1では、EMM更新期限情報との関連付けが行われることなく受信予約の情報が録画・視聴予約メモリ部114に記憶される、通常の受信予約が行われる(S17)。
【0035】
また、放送受信装置1は、現在の日時がEMM更新期限より所定の時間前であるか否かを判定する(S18)。なお、本実施形態ではEMM更新期限より10日前であるか否かを判定するものとするが、特に判定の基準となる時間は限定しない。現在の日時が所定の時間前である場合、放送受信装置1は、EMM更新期限情報の確認を再度実行し(S19)、EMMの更新がなされたか否かを判定する(S20)。この確認の結果、EMMの更新が確認できなかった場合(S20:NO)、放送受信装置1は、他の機器である放送受信装置2へ受信予約の設定を行う(S21)。
【0036】
図5は、他の機器である放送受信装置2への受信予約の設定処理を示すラダーチャートである。図5に示すように、放送受信装置1は、設定処理が開始されると、受信予約が行われた放送番組が放送受信装置2で受信可能であるか否かを確認するため、EMM更新期限の確認要求を放送受信装置2に行う(S211)。放送受信装置2では、通電制御要求処理を行い(S212)、この要求処理で取得した通電制御情報を放送受信装置1へ返信する(S213)。
【0037】
次いで、放送受信装置1は、放送受信装置2の通電制御情報のEMM更新期限情報が受信予約が行われた放送番組の日時より後の日時であるか否かを判定する(S214)。受信予約が行われた放送番組の日時より後の日時である場合、放送受信装置1は、他の機器である放送受信装置2に受信予約を設定する(S215)。
【0038】
また、放送受信装置1は、図3に示すように、現在の日時がEMM更新期限の直前の所定のタイミングであるか否かを判定する(S22)。直前のタイミングである場合、放送受信装置1は、EMM更新期限情報の確認を再度実行し(S23)、EMMの更新がなされたか否かを確認する(S24)。この確認の結果、EMMの更新がなされた場合(S24:YES)、放送受信装置1は他の機器である放送受信装置2へ設定した受信予約を取り消すように指示する(S25)。EMMの更新がなされていない場合(S24:NO)、放送受信装置1は放送受信装置2へ設定した受信予約はそのままにして自機の受信予約を取り消す(S26)。
【0039】
次いで、放送受信装置1は、リモコン112などの電源オフの指示に基づいて、電源オン時における処理の終了の有無を判定し(S27)、処理を終了しない場合はS12へ処理を戻す。電源オフの指示がある場合、放送受信装置1は、電源をオフにしてEMMの受信状態とし、EMMの受信による通電制御情報の取得を行う(S28)。なお、電源オフの状態とは映像の表示は行わないが、内部の機能部は動作可能なスタンバイ状態を意味する。
【0040】
したがって、放送受信装置1では、電源オフ状態の時にICカードの通電制御情報は更新され、次の電源オン時にS11の処理が行われた際には更新後の通電制御情報が取得されることとなる。なお、電源オフ時におけるEMMの受信は、各放送チャンネルのEMM更新期限情報を参照し、更新期限が間近であると判定された放送チャンネルから順次行われる。
【0041】
ここで、放送受信装置1の動作の一例を図6を参照して説明する。図6は、通電制御情報を確認して有料放送の録画・視聴のための受信予約を設定する処理の流れを時間ベースで示した一例である。
【0042】
図6に示すように、放送受信装置1において、通電制御要求処理により取得された通電制御情報は、事業体識別ID:100、開始:1/10、終了:1/24、時間:2時間、受信TS:111であるものとする。よって、EMM更新期限情報は、EMM更新期限までの期間である2週間(開始:1/10から終了:1/24)となる(S1)。また、ICカードによる有料放送の受信契約は1/24で満了するものとする。したがって、1/24以後はEMMの更新が行われないこととなり、S1において1/24の契約期限までのEMMへ更新が行われた後はEMMの更新が行われることはなくなる。
【0043】
放送受信装置1では、ユーザによりEMM更新期限後の有料放送の受信予約の設定がEMM更新期限の10日前に行われたものとする(S2)。この時は、前述したS13〜S16の処理によりユーザーに対して有料放送の契約期限切れの警告表示が行われるとともに、受信予約の情報とEMM更新期限の情報とが関連づけて記憶されることとなる。
【0044】
次いで、EMM更新期限の前の所定のタイミングである1日前に、放送受信装置1は、再度EMMの更新の確認を行う(S3)。このS3では、EMM更新期限はS1において既に有料放送の契約期限である1/24までとなっているため、EMMの更新が確認されることはない(前述したS20:NOに該当)。したがって、放送受信装置1は、他の機器である放送受信装置2へ有料放送の録画・視聴のための受信予約の代行設定を行うこととなる(S4)。このとき、放送受信装置1の受信予約の設定はそのまま保持される。
【0045】
なお、放送受信装置1が放送受信装置2に代わりの受信予約を設定する際には、放送受信装置2の通電制御情報を確認する(S5)。このことで、放送受信装置2のEMM期限切れなどにより有料放送の録画・視聴のための受信が実行できないことを回避することができる。
【0046】
次いで、放送受信装置1は、有料放送のEMM更新期限が切れる直前のタイミングで、再度EMMの更新の確認を行う(S6)。EMMの更新の確認ができる場合は、放送受信装置2へ設定した受信予約は取り消される。また、EMMの更新の確認ができなければ、放送受信装置2へ設定した受信予約が取り消されることなく、放送受信装置1の受信予約が取り消されることとなる。このS6では、S3と同様にEMMの更新が確認されることがないため(S24:NOに該当)、S4で放送受信装置2に設定された受信予約はそのまま維持され、S2で放送受信装置1に設定された受信予約は取り消される。
【0047】
以上のように、本実施形態では、録画・視聴のための受信予約の設定時において、受信予約される放送番組が受信可能か否かを自機に装着されたICカードから得られるEMM更新期限情報で判定する。この判定において、受信予約される放送番組がEMM更新期限より後である場合は警告表示を行うことで、その放送番組が録画・視聴できない可能性があることをユーザへ通知できる。また、EMM更新期限より後である放送番組の受信予約を、他の機器へもその受信予約を設定することで、EMMの更新漏れなどによりその放送番組の録画・視聴ができなくなる事態を未然に防ぐことができる。
【0048】
また、本実施形態では、自機のEMM更新期限の直前にEMMの確認を行い、EMM更新期限が変更されている場合には他の機器へ設定した受信予約を取り消す。したがって、EMMの更新状況が変化して自機で録画・視聴のための受信が可能となった場合には自機と他の機器とで二重の受信が行われることを回避することができる。
【0049】
また、他の機器に受信予約を設定する際にも受信予約される放送番組が受信可能か否かを判定して確認することで、他の機器でも受信できない放送番組の受信予約が代行して設定されることを回避することができる。
【0050】
なお、上述した実施の形態における記述は、一例を示すものであり、これに限定するものではない。上述した実施の形態における構成及び動作に関しては、適宜変更が可能である。
【0051】
例えば、本実施形態では、デジタル放送が受信可能であり、その放送データを記録可能なHDDを内蔵するデジタルテレビジョンが放送受信機であり、各放送受信機がLANで接続されている構成で一連の動作及び制御を説明した。しかしながら、上記の構成に特に限定するものではなく、デジタルテレビジョンとHDDレコーダやホームサーバなどの組み合わせであってもよい。また、各放送受信機の接続もHDMIであってもよい。また、限定受信方式に対応するために、本実施形態では脱着可能なICカードを用いた例を示した。しかしながら、本発明は上記の構成に特に限定するものではなく、カード形状である必要はない。また、脱着不可能なICチップを内蔵するような放送受信装置を用いても良い。また、物理的なICカードやICチップを用いるのではなく、暗号化放送の復号を行うソフトウェアを動作させる方法を用いることも可能である。ICカードの場合は鍵情報は放送受信装置がICカードから取得することになるが、内蔵チップやソフトウェアの場合は、放送受信装置が鍵情報を保持するものといえる。
【0052】
(他の実施形態)
上述の実施形態は、システム或は装置のコンピュータ(或いはCPU、MPU等)によりソフトウェア的に実現することも可能である。従って、上述の実施形態をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給されるコンピュータプログラム自体も本発明を実現するものである。つまり、上述の実施形態の機能を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明の一つである。
【0053】
なお、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能であれば、どのような形態であってもよい。例えば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等で構成することができるが、これらに限るものではない。上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、記憶媒体又は有線/無線通信によりコンピュータに供給される。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記憶媒体、MO、CD、DVD等の光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリなどがある。
【0054】
有線/無線通信を用いたコンピュータプログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバを利用する方法がある。この場合、本発明を形成するコンピュータプログラムとなりうるデータファイル(プログラムファイル)をサーバに記憶しておく。プログラムファイルとしては、実行形式のものであっても、ソースコードであっても良い。そして、このサーバにアクセスしたクライアントコンピュータに、プログラムファイルをダウンロードすることによって供給する。この場合、プログラムファイルを複数のセグメントファイルに分割し、セグメントファイルを異なるサーバに分散して配置することも可能である。つまり、上述の実施形態を実現するためのプログラムファイルをクライアントコンピュータに提供するサーバ装置も本発明の一つである。
【0055】
また、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムを暗号化して格納した記憶媒体を配布し、所定の条件を満たしたユーザに、暗号化を解く鍵情報を供給し、ユーザの有するコンピュータへのインストールを許可してもよい。鍵情報は、例えばインターネットを介してホームページからダウンロードさせることによって供給することができる。また、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、すでにコンピュータ上で稼働するOSの機能を利用するものであってもよい。さらに、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、その一部をコンピュータに装着される拡張ボード等のファームウェアで構成してもよいし、拡張ボード等が備えるCPUで実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態に係る放送受信装置のシステム構成の一例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る放送受信装置の2つを接続したシステム構成の詳細を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る放送受信装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る通電制御要求処理を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る他の機器への受信予約の設定処理を示すラダーチャートである。
【図6】通電制御情報を確認して有料放送の録画・視聴のための受信予約を設定する本実施形態に係る処理の流れを時間ベースで示した一例である。
【符号の説明】
【0057】
1〜3 放送受信装置
4 LAN
5〜7 ICカード
101 システム管理部
102、103 ID番号メモリ部
104 放送受信部
105 分離部
106、122 フィルタリング部
107、119 個別情報復号部
108、120 契約情報メモリ部
109、121 通電制御管理部
110 予約情報管理部
111 EMM更新期限メモリ部
112 リモコン
113 リモコン受信部
114 録画・視聴予約メモリ部
115、118 制御部
116、117 通信I/F部
123 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送チャンネルを選択して放送データを受信する受信手段と、当該放送チャンネルで受信した放送データから、暗号化された放送コンテンツを復号可能な放送受信装置を特定するための個別情報を分離し、放送受信装置が予め保持した鍵情報、または放送受信装置に装着された記録媒体から取得した鍵情報と前記個別情報とを用いて暗号化された放送コンテンツを復号する復号手段と、他の放送受信装置と互いに通信可能に接続するための通信手段と、を有する放送受信装置であって、
前記暗号化された放送コンテンツの受信予約をユーザから受け付ける受付手段と、
前記個別情報に含まれる、当該個別情報の有効期限を示す期限情報を記憶する記憶手段と、
前記受信予約された放送コンテンツの放送日時と前記有効期限とを比較し、前記放送コンテンツの放送日時が前記有効期限より後である場合には、前記受信予約を自装置へ設定するとともに、当該放送コンテンツを放送する放送チャンネルを受信可能な前記他の放送受信装置へも当該受信予約を設定する制御手段と、
を備えることを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記他の放送受信装置が記憶する前記期限情報を取得し、前記受信予約された放送コンテンツの放送日時が前記取得した期限情報に基づいた有効期限より前である場合に、前記受信予約を設定することを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記他の放送受信装置へ前記受信予約を設定した後で、かつ自装置の前記有効期限が満了する前に、前記個別情報の更新によって有効期限が延長したか否かを確認し、前記有効期限が延長されていない場合には自装置へ設定した受信予約を取り消し、前記有効期限が前記受信予約された放送コンテンツの放送日時より後に延長された場合には前記他の放送受信装置へ設定した受信予約を取り消すことを特徴とする請求項1または2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記受信予約された放送コンテンツの放送日時が自装置の前記有効期限の後である場合に警告情報を表示する表示手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の放送受信装置。
【請求項5】
放送チャンネルを選択して放送データを受信する受信手段と、当該放送チャンネルで受信した放送データから、暗号化された放送コンテンツを復号可能な放送受信装置を特定するための個別情報を分離し、放送受信装置が予め保持した鍵情報、または放送受信装置に装着された記録媒体から取得した鍵情報と前記個別情報とを用いて暗号化された放送コンテンツを復号する復号手段と、他の放送受信装置と互いに通信可能に接続するための通信手段と、を有する放送受信装置の制御方法であって、
前記暗号化された放送コンテンツの受信予約をユーザから受け付ける受付工程と、
前記個別情報に含まれる、当該個別情報の有効期限を示す期限情報を記憶部に記憶する記憶工程と、
前記受信予約された放送コンテンツの放送日時と前記有効期限とを比較し、前記放送コンテンツの放送日時が前記有効期限より後である場合には、前記受信予約を自装置へ設定するとともに、当該放送コンテンツを放送する放送チャンネルを受信可能な前記他の放送受信装置へも当該受信予約を設定する制御工程と、
を備えることを特徴とする放送受信装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の放送受信装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−166262(P2010−166262A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6115(P2009−6115)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】