説明

放送受信装置、プログラム更新方法

【課題】ユーザがプログラムのダウンロードおよび更新について意識する必要を可及的に少なくした放送受信装置を提供する。また、プログラムの重要度に応じて、強制的な更新も含めてプログラム更新を制御できる放送受信装置を提供する。
【解決手段】放送受信装置は、プログラムの更新に先立って、放送信号から更新処理の必要性の指標であるプログラム優先度と、更新処理を完了するべき期限である更新期限を取得する。その後、更新期限(S101)、放送受信装置の状態(S102)、プログラム優先度(S104)に応じて、強制的な更新も含めてプログラム更新を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラムダウンロードとプログラムの更新処理を実行する放送受信装置、および放送受信装置のプログラム更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放送信号からダウンロードした更新用プログラムを用いてプログラムの更新処理を実行する放送受信装置の従来例を以下に説明する。
【0003】
図3は、放送受信装置の従来例を示すブロック図である。501は多重化されたデジタル放送信号であるトランスポートストリームを受信する放送信号受信部、502は放送信号受信部501が受信したトランスポートストリームを分離するデマックス部である。503は挿入されたB−CASカードのID情報や放送を視聴するための暗号鍵を取得するB−CASカード制御部である。504はデマックス部502が分離した放送信号のうち音声ストリームを前記暗号鍵を用いて復号する音声デコード部であり、505は音声ストリームを出力する音声出力部である。506はデマックス部502が分離した放送信号のうち映像ストリームを前記暗号鍵を用いて復号する映像デコード部であり、507は映像ストリームおよび後述するデータ放送を合成・出力する映像合成・表示部である。508はデマックス部502が分離した放送信号のうちデータ放送信号を意味解析するデータ放送解析部であり、509は当該データ放送信号に対応するグラフィックスを描画して映像合成・表示部507に出力するグラフィックス描画部である。
【0004】
510はデマックス部502が分離した放送信号のうち更新用プログラムの配信スケジュール情報を処理するダウンロード配信スケジュール解析部である。511は放送信号から更新用プログラムのダウンロードと、プログラムの更新処理と、ユーザへのダウンロードおよび更新処理する旨の通知を行うダウンロードプログラム蓄積・更新制御部である。512はダウンロードプログラム蓄積・更新制御部511が取得した更新用プログラムを格納するプログラム蓄積部である。513は現在時刻を取得する手段を有し、ダウンロードプログラム蓄積・更新制御部511に当該現在時刻を通知する時刻管理部である。514はダウンロードプログラム蓄積・更新制御部511からユーザへの通知内容をグラフィックス描画部509へ伝えるユーザ通知部である。
【0005】
放送信号受信部501はデジタル放送信号を受信・復調してトランスポートストリームに変換する。B−CASカード制御部503は暗号鍵を取得する。デマックス部502は暗号解除した上で前記トランスポートストリームをデマックス処理する。デマックスされた音声ストリームを音声デコード部504がデコードし、音声出力部505が音声出力する。デマックスされた映像ストリームを映像デコード部506がデコードし、映像合成・表示部507がグラフィックス画像と合成・映像出力する。デマックスされたデータ放送信号をデータ放送解析部508が意味解析し、グラフィックス描画部509が解析結果と対応する描画を施し、映像合成・表示部507が映像信号と合成・映像出力する。
【0006】
ダウンロード配信スケジュール解析部510は、ダウンロードに先立って配信されるダウンロード配信スケジュール情報を解析し、自機種のダウンロード配信スケジュールを取得する。ダウンロードプログラム蓄積・更新制御部511は、時刻管理部513から通知される現在時刻情報をチェックし、配信時刻になり次第ユーザ通知部514を通じてダウンロードおよびプログラム更新を開始する旨をユーザへ通知し、承認を促す。ユーザの承認が得られたら更新用プログラムをダウンロードし、その結果をプログラム蓄積部512に格納し、その後新しいプログラムで起動する。
【0007】
ここで、プログラムの更新処理に当たっては、ユーザにダウンロードや更新を意識させないこと、およびプログラムの重要度に応じて柔軟に更新を制御することが望ましいが、本従来例の場合は以下の二つの問題があった。
【0008】
第一の問題は、ダウンロードと更新に先立って常にユーザへ通知し、承認を促すため、ユーザがダウンロードと更新を意識しなければならない点である。
【0009】
第二の問題は、プログラムの重要度に応じた更新制御をすることが不可能であり、かつ強制的な更新ができない点である。
【0010】
前記従来例の課題に対応する例として、特許文献1を以下に説明する。
【0011】
図4に、特許文献1における放送受信装置のブロック図を示す。図4において、715はデマックス部502が分離した放送信号のうちプログラム優先度を処理するプログラム優先度取得部である。なお、図3の従来例と同じ処理を行う部分には、同一の符号が付されている。
【0012】
ダウンロード配信スケジュール解析部510は、ダウンロードに先立って配信されるダウンロード配信スケジュール情報を解析し、自機種のダウンロード配信スケジュールを取得する。プログラム優先度取得部715は、当該ダウンロード配信スケジュール情報からプログラム優先度を取得する。ダウンロードプログラム蓄積・更新制御部511は、取得したプログラム優先度に応じて、ユーザ通知部514を通じてダウンロードおよびプログラム更新を開始する旨をユーザへ通知し、承認を促す。ユーザの承認が得られれば、ダウンロードプログラム蓄積・更新制御部511は、時刻管理部513から通知される現在時刻情報をチェックし、配信時刻になり次第プログラムをダウンロードする。ダウンロードが完了するとプログラム蓄積部512に格納し、その後新しいプログラムで起動する。
【0013】
このように特許文献1では、ダウンロードとプログラム更新をユーザが常に意識しなければならないため、上述した第一の問題は解消されていない。また第二の問題については、プログラム優先度に応じた更新制御は可能となっているものの、強制的な更新ができないという問題が残る。
【特許文献1】特開2006−287406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ユーザがプログラムのダウンロードおよび更新について意識する必要を可及的に少なくした放送受信装置、およびプログラム更新方法を提供することにある。また、プログラムの重要度に応じて、強制的な更新も含めてプログラム更新を制御することが可能な放送受信装置およびプログラム更新方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために本発明の第1の発明は以下の構成を採用する。すなわち、
放送信号から取得した更新用プログラムを使用してプログラムの更新処理を行う放送受信装置であって、
前記更新処理に先立って前記放送信号から前記更新処理の必要性の指標であるプログラム優先度を取得するプログラム優先度取得部と、
前記更新処理に先立って前記放送信号から前記更新処理を完了するべき期限である更新期限を取得する更新期限取得部と、
前記更新処理に先立って前記放送信号から前記更新用プログラムを取得するダウンロードプログラム取得部と、
前記プログラム優先度が所定の基準よりも高い場合は前記更新期限までに自動的かつ強制的に前記更新処理を実行する更新制御部と、
を備えることを特徴とする放送受信装置である。
【0016】
また、本発明の第2の発明は以下の構成を採用する。すなわち、
放送信号から取得した更新用プログラムを使用して放送受信装置のプログラムの更新処理を行うプログラム更新方法であって、
前記更新処理に先立って前記放送信号から前記更新処理の必要性の指標であるプログラム優先度を取得するプログラム優先度取得工程と、
前記更新処理に先立って前記放送信号から前記更新処理を完了するべき期限である更新期限を取得する更新期限取得工程と、
前記更新処理に先立って前記放送信号から前記更新用プログラムを取得するダウンロードプログラム取得工程と、
前記プログラム優先度が所定の基準よりも高い場合は前記更新期限までに自動的かつ強制的に前記更新処理を実行する更新制御工程と、
を備えることを特徴とするプログラム更新方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、プログラム優先度および更新期限に応じたプログラム更新を行うことで、ユーザがプログラムのダウンロードおよび更新について意識する必要を可及的に少なくすることができる。また、更新用プログラムの重要度に応じて、強制的な更新も含めてプログラム更新を制御することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0019】
ここで、更新処理の対象となるプログラムとは、放送受信装置が作動する際に機器を制御するための、ファームウェアなどの組込みソフトウェアのことを指す。当該プログラムは装置内に組込まれており、バグ修正や機能拡張が必要な場合は、更新用プログラムをインストールして電子的に更新することが可能である。
【0020】
なお、実施例においては本発明をデジタルテレビに適用した例を示すが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、ハードディスクレコーダーやDVDレコーダー、およびSTB(Set Top Box)などにも好適に使用できる。
【0021】
(実施例1)
図1に、実施例1における放送受信装置のブロック図を示す。
【0022】
なお、デジタル放送信号を用いた放送受信装置の更新用プログラムの配信手法は予め規定されているものとする。すなわち、放送受信装置のメーカは対象機種に必要な更新用プログラムを作成した後、更新制御情報としてダウンロード配信スケジュール情報をデジタル放送信号により送信する。その後、スケジュールに従って更新用プログラムを送信する。
【0023】
本実施例では前記ダウンロード配信スケジュール情報中に、更新用プログラムがダウンロード可能となる配信時刻、プログラム更新処理の必要性の指標であるプログラム優先度、および更新処理を完了するべき期限である更新期限が記載されている。これらの配信時刻、プログラム優先度、更新期限は同時に送信しても、別個に送信しても良い。
【0024】
101は多重化されたデジタル放送信号であるトランスポートストリームを受信する放送信号受信部、102は放送信号受信部101が受信したトランスポートストリームを分離するデマックス部である。103は挿入されたB−CASカードのID情報や放送を視聴するための暗号鍵を取得するB−CASカード制御部である。104はデマックス部102が分離した放送信号のうち音声ストリームを前記暗号鍵を用いて復号する音声デコード部であり、105は音声ストリームを出力する音声出力部である。106はデマックス部102が分離した放送信号のうち映像ストリームを前記暗号鍵を用いて復号する映像デコード部であり、107は映像ストリームおよび後述するデータ放送を合成・出力する映像合成・表示部である。108はデマックス部102が分離した放送信号のうちデータ放送信号を意味解析するデータ放送解析部であり、109は当該データ放送信号に対応するグラフィックスを描画して映像合成・表示部107に出力するグラフィックス描画部である。
【0025】
110はデマックス部102が分離した放送信号のうち更新用プログラムの配信スケジュール情報を処理するダウンロード配信スケジュール解析部である。111は放送信号から更新用プログラムのダウンロードを行うダウンロードプログラム蓄積制御部である。112はダウンロードプログラム蓄積制御部111が取得した更新用プログラムを格納するプログラム蓄積部である。113は現在時刻を取得する手段を有し、ダウンロードプログラム蓄積制御部111と更新制御部117に当該現在時刻を通知する時刻管理部である。114は更新制御部117からユーザへの通知をグラフィックス描画する要求をグラフィックス描画部109へ伝えるユーザ通知部である。
【0026】
115はデマックス部102が分離した放送信号のうちプログラム優先度を処理するプログラム優先度取得部である。116はデマックス部102が分離した放送信号のうち更新期限を処理するプログラム更新時刻取得部である。117は放送受信装置の状態とプログラム優先度と更新期限を元に更新処理を制御する更新制御部である。118はプログラム更新時刻取得部116が取得した更新期限を格納する更新時刻管理部である。
【0027】
なお、本実施例中のプログラム更新時刻取得部116は本発明における更新期限取得部に、本実施例中のダウンロードプログラム蓄積制御部111は本発明におけるダウンロードプログラム取得部に、それぞれ相当する。
【0028】
放送信号受信部101はデジタル放送信号を受信・復調してトランスポートストリームに変換する。B−CASカード制御部103が暗号鍵を取得し、デマックス部102が暗号解除した上で前記トランスポートストリームをデマックス処理する。デマックスされた音声ストリームを音声デコード部104がデコードし、音声出力部105が音声出力する。デマックスされた映像ストリームを映像デコード部106がデコードし、映像合成・表示部107がグラフィックス画像と合成・映像出力する。デマックスされたデータ放送信号をデータ放送解析部108が意味解析し、グラフィックス描画部109が解析結果に対応する描画を施し、映像合成・表示部107が映像信号と合成・映像出力する。
【0029】
ダウンロード配信スケジュール解析部110は、ダウンロードに先立って配信されるダウンロード配信スケジュール情報を解析し、自機種のダウンロード配信スケジュールを取得する。ダウンロードプログラム蓄積制御部111は、時刻管理部113から通知される現在時刻情報をチェックし、配信時刻になり次第更新用プログラムをダウンロードし、その結果をプログラム蓄積部112に格納する。なお、この時点では、プログラムの更新処理(更新用プログラムのインストール)は実行されない。
【0030】
プログラム優先度取得部115が前記ダウンロード配信スケジュール情報からプログラ
ムの優先度を取得し、結果を更新制御部117に通知する。プログラム更新時刻取得部116が前記ダウンロード配信スケジュール情報から更新期限を取得し、結果を更新時刻制御部118へ通知する。
【0031】
以上のように、プログラムの更新処理に先立って、更新用プログラム、当該更新用プログラムのプログラム優先度、および、更新期限が取得される。
【0032】
更新制御部117は、プログラム優先度取得部115からのプログラム優先度情報と、時刻管理部113からの現在時刻情報と、更新時刻管理部118からの更新期限とを用いて、放送受信装置の状態に応じた更新処理を行う。
【0033】
続いて更新制御部117の動作について、図5のフローチャートを参照しながら詳しく述べる。なお、図5のフローが示す処理は、プログラム優先度を取得したことをトリガとして、または一定時間ごとに実行される。
【0034】
本フローが実行されると、更新制御部117は、まずS101において更新時刻管理部118に蓄積された更新期限と時刻管理部113からの現在時刻情報を比較し、更新期限の所定時間前となったかどうかを判断する。当該時刻になっていればS102に進む。S102において、放送受信装置の電源がオフであればS103に進み、プログラムの更新処理を行う。これにより、次回電源をオンにした時に新しいプログラムが起動する。一方、電源がオンであればS104に進み、プログラム優先度に従って以下の処理を行う。
プログラム優先度が1のとき、S106に進み、強制的に更新処理を行う。S107に進み、新しいプログラムを起動する。
プログラム優先度が2のとき、S105においてユーザに更新処理を通知し、承認を促す。承認が得られればS106において更新処理を行い、S107において新しいプログラムを起動する。
プログラム優先度が3のとき、特に何もしない。
【0035】
このように、更新制御部117は、プログラム優先度が所定の基準よりも高い場合は、必ず更新期限までに自動的かつ強制的に更新処理を実行する(S103、S106)。一方、プログラム優先度が所定の基準よりも低い場合は、電源の状態に応じて自動的かつ強制的に更新処理を実行するかどうかを決定する。具体的には、電源オフ状態であれば自動的かつ強制的に更新処理を実行し(S103)、電源オン状態であればユーザの承認を受けて更新処理を実行するか(S105)、更新処理を実行しない。
【0036】
なお、本フローにおいて、放送受信装置は主電源と電源を有し、主電源はオンであることを前提とする。すなわち本実施例における電源オフとは放送を視聴していないスタンバイ状態を言う。また、前記所定時間とは、更新処理後再起動をした際に更新期限に間に合う時間のことをいう。例えば数十秒〜数分に設定されている。さらに、プログラム優先度は、1のとき最も更新の必要性が高く、数字が大きくなるほど必要性が低くなっていく。
【0037】
このようにして実施例1では、プログラム優先度と使用状態(電源の状態)に応じて処理を切り分けることで、更新処理を柔軟に行うことができる。また、ユーザへの通知を行わない選択肢を持つことにより、ユーザがプログラム更新を常に意識しなければならないという問題を解決する。さらに、強制的に新しいプログラムで起動するという選択肢を持つことにより、強制的な更新制御ができないという問題を解決する。
【0038】
なお、本実施例では放送受信装置の使用状態として電源オフまたはオンの状態を示したが、放送受信装置の使用状態はこれに限定されるものではない。他の例として、ユーザが予め設定した録画予約が実行されているという状態が挙げられる。この場合、プログラム
優先度に応じて強制的に更新処理を行うかどうかを判断することとなる。
【0039】
また、プログラム優先度は三種類あるものとして説明したが、実際はこれに限定されるものではなく、二つあるいは四つ以上とすることも可能である。さらに、本実施例では、プログラム優先度1と2の間に、本発明における強制的に更新処理をするかどうかの所定の基準を設けたが、実際はこれに限定されるものではなく、プログラム優先度2と3の間に設けても良い。
【0040】
また、本フローにおいてプログラム優先度の判断(S104)を電源状態の判断(S102)の前に行っても良い。その場合、プログラム優先度が1なら更新期限の所定時間前に必ず自動的かつ強制的に更新処理を実行する。プログラム優先度が2なら電源状態に応じて、更新処理を実行するかユーザの承認を要求するかを選択し、プログラム優先度が3なら電源状態に応じて、更新処理を実行するか何も処理しないかを選択する。
【0041】
(実施例2)
図2に、実施例2における放送受信装置のブロック図を示す。図2において、319はプログラム優先度が放送受信装置自身のB−CASカードIDに向けられたものかどうかを判定するカードID判定部である。320はプログラムの更新処理が成功した場合に放送受信装置のプログラムのバージョンを送信するプログラムバージョン情報送信部である。なお、上記実施例1と同じ処理を行う部分には同一の符号を付し、説明を簡略化する。
【0042】
なお、本実施例では、ダウンロード配信スケジュール情報中に含まれるプログラム優先度については、個々のB−CASカードIDを指定して放送受信装置個別のプログラム優先度が記載されていることを前提とする。さらに、当該プログラム優先度は、後述するプログラムバージョン送信部320によって送信されたプログラムバージョン情報に基づいて設定されているものとする。
【0043】
ダウンロード配信スケジュール解析部110は、ダウンロードに先立って配信されるダウンロード配信スケジュール情報を解析し、自機種のダウンロード配信スケジュールを取得する。ダウンロードプログラム蓄積制御部111は、時刻管理部113から通知される現在時刻情報をチェックし、配信時刻になり次第更新用プログラムをダウンロードし、その結果をプログラム蓄積部112に格納する。
【0044】
プログラム優先度取得部115は、前記ダウンロード配信スケジュール情報からプログラムの優先度を取得し、結果を更新制御部117に通知する。プログラム更新時刻取得部116は、前記ダウンロード配信スケジュール情報から更新期限を取得し、結果を更新時刻管理部118へ通知する。
【0045】
カードID判定部319は、前記ダウンロード配信スケジュール情報からB−CASカードIDを取得する。B−CASカード制御部103は放送受信装置に接続(挿入)されたB−CASカードからB−CASカードIDを取得し、カードID判定部319に通知する。通知を受けたカードID判定部319は両者が一致するかどうかを判定し、結果を更新制御部117に通知する。本実施例では、B−CASカード制御部103が本発明のB−CASカードID取得部に対応する。
【0046】
更新制御部117は、プログラム優先度取得部115からのプログラム優先度と、時刻管理部113からの現在時刻情報と、更新時刻管理部118からの更新期限と、カードID判定部319からの判定結果を用いて、放送受信装置の状態に応じた更新処理を行う。
【0047】
続いてプログラムの更新制御時の動作について、図6のフローチャートを参照しながら
詳しく述べる。
【0048】
本フローが実行されると、まずS301において、カードID判定部319がB−CASカードIDが一致するかどうかを判定する。一致すると判定した場合、プログラム優先度取得部115から通知されたプログラム優先度は処理中の放送受信装置自身が対象であるので処理を続行する。一致しないと判定した場合は処理を終了する。
【0049】
続いて更新制御部117はS302において、プログラム優先度および更新期限および放送受信装置の状態に応じた更新制御を実行する。当該処理は図5に示した更新制御と同内容であるため記載を省略する。
【0050】
続いてS303において、更新制御部317は更新処理が成功したかどうかを判定する。成功した場合はS304に進み、プログラムバージョン情報送信部320によってプログラムバージョン情報を送信したのち処理を終了する。更新処理が成功しなかった場合はそのまま処理を終了する。
【0051】
このようにして、実施例2では、放送受信装置固有のプログラム優先度に応じて処理を切り分けることで、各放送受信装置に応じたプログラム更新処理を可能にする。さらに、ユーザへの通知を行わない選択肢をもつことにより、ユーザがプログラム更新を常に意識しなければならないという問題を解決する。さらに、強制的に新しいプログラムで起動するという選択肢を持つことにより、強制的な更新制御ができないという問題を解決する。
【0052】
さらに、放送受信装置から送信されるプログラムバージョン情報に基づいて放送受信装置固有のプログラム優先度を設定して送出することにより、放送受信装置の状態を把握した上で柔軟にプログラムの更新処理を実行できる。
【0053】
なお、本実施例ではプログラムの更新処理に成功した場合にプログラムバージョン情報を送信することとしたが、実際はこれに限定される必要はなく、更新処理が失敗した場合に送信することや、失敗と成功いずれの場合も送信することとしても良い。
【0054】
また、プログラムバージョン情報送信部320により送信されたバージョン情報に基づいてプログラム優先度を設定することに替えて、送信元の判断により各放送受信装置に適切なプログラム優先度を設定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施例1に係る放送受信装置の概略構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施例2に係る放送受信装置の概略構成を示すブロック図
【図3】従来例に係る放送受信装置の概略構成を示すブロック図
【図4】特許文献1に係る放送受信装置の概略構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施例1に係るプログラム更新処理の流れを示すフローチャート
【図6】本発明の実施例2に係るプログラム更新処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
【0056】
101, 501, 放送信号受信部
102, 502, デマックス部
103, 503, B−CASカード制御部
104, 504, 音声デコード部
105, 505, 音声出力部
106, 506, 映像デコード部
107, 507, 映像合成・表示部
108, 508, データ放送解析部
109, 509, グラフィックス描画部
110, 510, ダウンロード配信スケジュール解析部
111, 511, ダウンロードプログラム蓄積制御部
112, 512, プログラム蓄積部
113, 513, 時刻管理部
114, 514, ユーザ通知部
115, 715 プログラム優先度取得部
116, プログラム更新時刻取得部
117, 更新制御部
118, 更新時刻管理部
319 カードID判定部
320 プログラムバージョン送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送信号から取得した更新用プログラムを使用してプログラムの更新処理を行う放送受信装置であって、
前記更新処理に先立って前記放送信号から前記更新処理の必要性の指標であるプログラム優先度を取得するプログラム優先度取得部と、
前記更新処理に先立って前記放送信号から前記更新処理を完了するべき期限である更新期限を取得する更新期限取得部と、
前記更新処理に先立って前記放送信号から前記更新用プログラムを取得するダウンロードプログラム取得部と、
前記プログラム優先度が所定の基準よりも高い場合は前記更新期限までに自動的かつ強制的に前記更新処理を実行する更新制御部と、
を備えることを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記更新制御部は、前記プログラム優先度が前記所定の基準よりも低い場合は、前記放送受信装置の使用状態に応じて自動的かつ強制的に前記更新処理を実行するかどうかを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記使用状態は、前記放送受信装置が電源オフ状態または電源オン状態のいずれかであり、
前記プログラム優先度が前記所定の基準よりも低く、かつ、前記放送受信装置が電源オフ状態の場合は前記更新制御部は自動的かつ強制的に前記更新処理を実行し、
前記プログラム優先度が前記所定の基準よりも低く、かつ、前記放送受信装置が電源オン状態の場合は前記更新制御部はユーザの承認がある場合のみ前記更新処理を実行するか、または前記更新処理を実行しない
ことを特徴とする請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記放送受信装置に接続されたB−CASカードからB−CASカードIDを取得するB−CASカードID取得部をさらに具備しており、
前記放送信号は、B−CASカードIDごとに個別のプログラム優先度を含んでおり、
前記プログラム優先度取得部は、前記B−CASカードID取得部で取得されたB−CASカードIDに対応するプログラム優先度を前記放送信号から取得する
ことを特徴とする請求項1、2、または3に記載の放送受信装置。
【請求項5】
更新処理が成功した場合もしくは失敗した場合、前記放送受信装置のプログラムのバージョンを放送信号の送信元へ送信するプログラムバージョン送信部をさらに具備しており、
前記プログラム優先度は、前記プログラムバージョン送信部によって送信された前記放送受信装置のプログラムのバージョンに応じて指定されている
ことを特徴とする請求項4に記載の放送受信装置。
【請求項6】
放送信号から取得した更新用プログラムを使用して放送受信装置のプログラムの更新処理を行うプログラム更新方法であって、
前記更新処理に先立って前記放送信号から前記更新処理の必要性の指標であるプログラム優先度を取得するプログラム優先度取得工程と、
前記更新処理に先立って前記放送信号から前記更新処理を完了するべき期限である更新期限を取得する更新期限取得工程と、
前記更新処理に先立って前記放送信号から前記更新用プログラムを取得するダウンロードプログラム取得工程と、
前記プログラム優先度が所定の基準よりも高い場合は前記更新期限までに自動的かつ強制的に前記更新処理を実行する更新制御工程と、
を備えることを特徴とするプログラム更新方法。
【請求項7】
前記更新制御工程では、前記プログラム優先度が前記所定の基準よりも低い場合は、前記放送受信装置の使用状態に応じて自動的かつ強制的に前記更新処理を実行するかどうかが決定される
ことを特徴とする請求項6に記載のプログラム更新方法。
【請求項8】
前記使用状態は、前記放送受信装置が電源オフ状態または電源オン状態のいずれかであり、
前記プログラム優先度が前記所定の基準よりも低く、かつ、前記放送受信装置が電源オフ状態の場合は、自動的かつ強制的に前記更新処理が実行され、
前記プログラム優先度が前記所定の基準よりも低く、かつ、前記放送受信装置が電源オン状態の場合は、ユーザの承認がある場合のみ前記更新処理が実行されるか、または前記更新処理が実行されない
ことを特徴とする請求項7に記載のプログラム更新方法。
【請求項9】
前記放送受信装置に接続されたB−CASカードからB−CASカードIDを取得するB−CASカードID取得工程をさらに具備しており、
前記放送信号は、B−CASカードIDごとに個別のプログラム優先度を含んでおり、
前記プログラム優先度取得工程では、前記B−CASカードID取得工程で取得されたB−CASカードIDに対応するプログラム優先度が前記放送信号から取得される
ことを特徴とする請求項6、7、または8に記載のプログラム更新方法。
【請求項10】
更新処理が成功した場合もしくは失敗した場合、前記放送受信装置のプログラムのバージョンを放送信号の送信元へ送信するプログラムバージョン送信工程をさらに具備しており、
前記プログラム優先度は、前記プログラムバージョン送信工程によって送信された前記放送受信装置のプログラムのバージョンに応じて指定されている
ことを特徴とする請求項9に記載のプログラム更新方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−211269(P2009−211269A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51964(P2008−51964)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】