説明

放送受信装置

【課題】ユーザの利便性と消費電力の抑制をより効率的に満たすことができる放送受信装置を提供する。
【解決手段】リモコン制御部14のCPU141が、待機時間の経過毎に主制御部13におけるオペレーティングシステムを起動させる機能スタンバイ状態とオペレーティングシステムを停止させるリモコンスタンバイ状態とに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン放送を受信して処理を行う放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の放送受信装置には、例えば、テレビジョン放送信号を受信して表示を行うテレビジョン受像機にあっては、表示部に映像が表示される動作状態と、ユーザによるリモートコントローラの電源操作を受付可能な状態である待機状態とに制御されるものがある。そして、このような放送受信装置は、OS(Operating System)により制御されるため、電源操作が行われてから表示部に映像が表示されるまでは、OSを起動させる必要から数十秒程度と相当な時間がかかるものであった。このような問題を解決するために、OS等の主要部分については予め起動させておき、電源操作が行われてから表示部に映像が表示されるまでの時間の短縮を図るものもあったが、OS等の主要部分を常に動作させておくことは無駄に電力を消費することになり好ましいものではない。
【0003】
そこで、特許文献1に開示の技術では、ユーザにより設定された時間帯においては、OS等の主要部分を起動させておき、表示部に映像が表示されるまでの時間の短縮を図るとともに、それ以外の時間帯については、OS等の主要部分の動作を停止させるようにして、ユーザの利便性と消費電力の抑制とを同時に達成させるようにしている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−177883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、視聴パターンに規則性のあるユーザにとっては有効であるが、視聴パターンが不規則なユーザにとっては必ずしもユーザの利便性と消費電力の抑制とが同時に達成されるものではなかった。
【0006】
本発明の課題は、視聴パターンが不規則がユーザであっても一定の利便性と消費電力の抑制を満たすことができる放送受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、受信したデジタル放送信号に基づいて所定の処理を行う放送信号処理手段と、
所定の電源操作を検出する電源操作検出手段と、
所定のオペレーティングシステムが起動されることにより動作し、前記放送信号処理手段の制御を行う主制御部と、
前記主制御部における前記オペレーティングシステムを起動させる第1待機状態と、前記オペレーティングシステムを停止させる第2待機状態と、前記放送信号処理手段を機能させる稼働状態との何れかの動作状態に切り替える状態切替制御を行う副制御部と、を備え、
前記電源操作検出手段による電源操作の検出に応じて、前記稼働状態と前記第1待機状態又は第2待機状態とに切り替える放送受信装置において、
前記副制御部は、
前記第1待機状態及び前記第2待機状態において各々所定の待機時間が経過したことを検出する待機時間検出手段と、
前記第1待機状態又は前記第2待機状態のときに、前記待機時間検出手段による各々の待機時間経過の検出毎に前記第1待機状態と前記第2待機状態との間で動作状態を切り替える切替手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放送受信装置であって、前記第1待機状態及び前記第2待機状態における各々の前記待機時間の設定を行う待機時間設定手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の放送受信装置であって、前記第1待機状態と前記第2待機状態との何れの動作状態であるかを報知する状態報知手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の放送受信装置であって、前記第1待機状態における待機時間は少なくとも前記主制御部における前記オペレーティングシステムの起動が完了するまでの時間であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、受信したデジタル放送信号に基づいて所定の処理を行う放送信号処理手段と、
所定の電源操作を検出する電源操作検出手段と、
所定のオペレーティングシステムが起動されることにより動作し、前記放送信号処理手段の制御を行う主制御部と、
前記主制御部における前記オペレーティングシステムを起動させる第1待機状態と、前記オペレーティングシステムを停止させる第2待機状態と、前記放送信号処理手段を機能させる稼働状態との何れかの動作状態に切り替える状態切替制御を行う副制御部と、を備え、
前記電源操作検出手段による電源操作の検出に応じて、前記稼働状態と前記第1待機状態又は第2待機状態とに切り替える放送受信装置において、
前記副制御部は、
前記第1待機状態及び第2待機状態において各々所定の待機時間が経過したことを検出する待機時間検出手段と、
前記第1待機状態及び前記第2待機状態における各々の前記待機時間の設定を行う待機時間設定手段と、
前記第1待機状態と前記第2待機状態との何れの動作状態であるかを報知する状態報知手段と、
前記第1待機状態又は前記第2待機状態のときに、前記待機時間検出手段による各々の待機時間経過の検出毎に前記第1待機状態と前記第2待機状態との間で動作状態を切り替える切替手段と、を備え、
前記第1待機状態における待機時間は少なくとも前記主制御部における前記オペレーティングシステムの起動が完了するまでの時間であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、視聴パターンが不規則がユーザであっても一定の利便性と消費電力の抑制を満たすことができる放送受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態にかかるテレビジョン受像機の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるテレビジョン受像機のリモコン制御部にて実行される電源制御処理を表すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態にかかるテレビジョン受像機のリモコン制御部にて実行される電源制御処理を表すフローチャートである。
【図4】本発明に係るテレビジョン受像機の主制御部にて実行されるメイン処理を表すフローチャートである。
【図5】本発明に係るテレビジョン受像機の主制御部にて実行されるスタンバイ時間設定処理を表すフローチャートである。
【図6】待機時間を設定するためのテーブルを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
【0015】
本実施形態のテレビジョン受像機100は、図1に示すように、ユーザが各種指示を入力するリモコン1aと、このリモコン1aにより遠隔操作される本体部1と、を備えて構成されている。
【0016】
本体部1は、放送信号を受信するアンテナ2と、アンテナ2により受信された放送信号から所定のチャンネルの放送信号を選局するチューナ3と、チューナ3により選局された放送信号を復調する復調部4と、復調部4により復調された放送信号を複数のストリームに分離するTSデコーダ5と、TSデコーダ5により分離された放送信号を復号するビデオデコーダ6及びオーディオデコーダ7と、ビデオデコーダ6により復号された映像信号に対して所定の処理を行う映像処理部8と、オーディオデコーダ7により復号された音声信号に対して所定の処理を行う音声処理部9と、映像処理部8により処理された映像信号にOSDデータを付加するOSD回路10と、映像処理部8により処理された映像信号を出力する映像表示部11と、音声処理部9により処理された音声信号を出力する音声出力部12と、本体部1全体を統括制御する主制御部13と、リモコン1aと通信を行い、本体部1全体の電源の制御を行うリモコン制御部14と、を備えており、各部はバス15により接続されている。
【0017】
リモコン1aは、ユーザが本体部1に対して各種指示を入力するための複数のキーを備える。複数のキーには、例えば、本体部1の電源のON/OFFを指示する電源ボタンや、数字ボタンなどがある。
リモコン1aに備わるこれらのキーの各々には識別情報が割り当てられている。そして、ユーザによりキー操作が行われると、操作されたキーの識別情報に対応するリモコン信号が生成される。そして、生成されたリモコン信号が図示しない投光部から赤外線信号により送信され、本体部1の前面パネルに設けられたリモコン信号受光部144において受信される。
【0018】
アンテナ2は、例えば、屋外において所定の方向に向けて配置され、図示しないテレビジョン放送局等から発信される高周波(RF)のテレビジョン放送信号(RF信号)を受信する。
チューナ3は、例えば、図示は省略するが、高周波増幅回路と、局部発振回路及び混合回路から成る周波数変換回路と、を備えて構成されており、アンテナ2等により入力されたテレビジョン放送信号を、高周波増幅回路において増幅し、混合回路において局部発振回路から出力される局部発振信号と混合する。さらに、特定の周波数を選局するための主制御部13からの制御出力に応じて、特定周波数帯の中間周波信号(IF信号)を受信し、当該中間周波信号に所定の処理を行って復調部4に出力する。
【0019】
復調部4は、例えば、主制御部13からの制御に基づいて、チューナ3から出力された中間周波信号に対してデジタル復調や誤り訂正などの処理を実行し、トランスポートストリーム(TS)を生成して、TSデコーダ5に出力する。
TSデコーダ5は、復調部4から入力されたトランスポートストリームを、MPEG2(Moving Picture Experts Group 2)規格下のビデオストリーム、オーディオストリーム及びPSI/SI(Program Specific Information/Service Information)等のデータストリームに分離するとともに、当該ビデオストリームをビデオデコーダ6に、オーディオストリームをオーディオデコーダ7に出力し、さらに、PSI/SI等のデータストリームを主制御部13に供給する。
【0020】
ビデオデコーダ6は、TSデコーダ5から入力されたビデオストリームを復号し、逆DCT変換や動き補償制御等を行い、映像データを生成して映像処理部8に出力する。また、オーディオデコーダ7は、TSデコーダ5から入力されたオーディオストリームを復号し、音声データを生成して音声処理部9に出力する。
【0021】
映像処理部8は、ビデオデコーダ6から入力された映像データに対して、D/A変換等の各種処理を施し、映像信号を生成する。また、音声処理部9は、オーディオデコーダ7から入力された音声データに対して、D/A変換等の各種処理を施し、音声信号を生成する。生成された映像信号は映像表示部11に出力され、音声信号は音声出力部12に出力される。
OSD回路10は、主制御部13からの指示出力に応じて、ROM133に格納された図示しないOSDデータを、映像処理部8から出力された映像信号に合成する処理を行う。当該OSD回路10において、映像信号にOSDデータが合成されることにより、映像表示部11におけるOSD表示が実現されることとなる。
【0022】
映像表示部11は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)等のディスプレイ11aを備え、映像処理部8から入力された映像信号に基づく映像を当該ディスプレイ11aに表示させる。すなわち、映像表示部11は、受信したテレビジョン放送信号に基づき、ディスプレイ11aへ映像を表示する処理を行うものである。
音声出力部12は、例えば、スピーカ12a等を備え、音声処理部9から入力された音声信号に基づく音声を当該スピーカ12aにより出力させる。すなわち、音声出力部11は、受信したテレビジョン放送信号に基づき、スピーカ12aへ音声を出力する処理を行うものである。
このように、映像表示部11及び音声出力部12は、受信したデジタル放送信号に基づいて所定の処理を行う放送信号処理手段を構成する。
【0023】
主制御部13は、CPU(Central Processing Unit)131、RAM(Random Access Memory)132、ROM(Read Only Memory)133等を備えて構成されている。
【0024】
CPU131は、オペレーティングシステム(OS)が起動されることによって、本体部1に係る各部の制御が可能であって、本体部1の各部から入力された入力信号に応じて、ROM133に格納された各種プログラムを実行するとともに、実行にかかるプログラムに基づく出力信号を各部に出力することにより、本体部1の動作全般を統括制御する。すなわち、CPU131は、映像表示部11や音声出力部12などの制御を行う。
【0025】
RAM132は、CPU131のワークエリアとして用いられ、CPU131によって各種プログラムが実行される際に生じる処理結果や、入力されたデータ等を一時的に記憶する。
【0026】
ROM133は、例えば、CPU131によって実行される各種制御プログラムや、プログラムの実行にかかる初期設定値等のデータを記憶する。具体的には、ROM133は、メインプログラム133aやスタンバイ時間設定プログラム133b等の制御プログラムを格納している。
【0027】
メインプログラム133aは、例えば、CPU131に、リモコン制御部14からの信号に応じて、本体部1に設けられた各構成部に対する統括制御を行う機能を実現させるためのプログラムである。
【0028】
スタンバイ時間設定プログラム133bは、例えば、CPU131に、後述する機能スタンバイ状態とリモコンスタンバイ状態との間の切り替えを行うまでの時間を設定する機能を実現させるためのプログラムである。
このように、CPU131は、かかるスタンバイ時間設定プログラム133bを実行することにより、待機時間設定手段として機能する。
【0029】
リモコン制御部14は、CPU141、RAM142、ROM143、リモコン信号受光部144、電源報知LED145等を備えて構成されている。
【0030】
CPU141は、リモコン信号受光部144を介して受信したリモコン1aからの入力信号に応じて、ROM143に格納された各種プログラムを実行するとともに、実行にかかるプログラムに基づく出力信号を主制御部13に出力することにより、本体部1に対する制御を行う。
【0031】
RAM142は、CPU141のワークエリアとして用いられ、CPU141によって各種プログラムが実行される際に生じる処理結果や、入力されたデータ等を一時的に記憶する。
【0032】
ROM143は、例えば、CPU141によって実行される各種制御プログラムや、プログラムの実行にかかる初期設定値等のデータを記憶する。具体的には、ROM143は、電源制御プログラム143a等の制御プログラムを格納している。
【0033】
電源制御プログラム143aは、例えば、CPU141に、リモコン1aや本体部1に設けられた電源ボタン(図示しない)の操作の検出を行い、その検出結果に応じて、主制御部13の動作状態を稼働状態及び機能スタンバイ状態又はリモコンスタンバイ状態の何れかに切り替える機能を実現させるためのプログラムである。また、電源制御プログラム143aは、例えば、CPU141に、機能スタンバイ状態及びリモコンスタンバイ状態において所定の待機時間が経過したことを検出し、その検出結果に応じて、機能スタンバイ状態とリモコンスタンバイ状態との間で動作状態を切り替える機能を実現させるためのプログラムである。
このように、CPU141は、かかる電源制御プログラム143aを実行することにより、電源操作検出手段として機能する。
また、CPU141は、かかる電源制御プログラム143aを実行することにより、状態切替手段として機能する。
また、CPU141は、かかる電源制御プログラム143aを実行することにより、待機時間検出手段として機能する。
【0034】
リモコン信号受光部144は、リモコン1aに備わる各種キーが、ユーザの押下操作により出力された赤外線等の入力操作信号を受信し、その入力操作信号をCPU141に対して出力する。
【0035】
電源報知LED145は、赤と緑の発光素子が内蔵され、本体部1の動作状態に応じて赤、緑及び橙の何れかの色にて発光するものである。具体的には、電源報知LED145は、稼働状態では緑に、リモコンスタンバイ状態では赤に、機能スタンバイ状態では橙にそれぞれ発光する。ここで、橙は、赤と緑の発光素子を両方同時に発光させることにより実現される。
このように、電源報知LED145は、第1待機状態と第2待機状態との何れの動作状態であるかを報知する状態報知手段として機能するものである。
【0036】
次に、本体部1における電源制御処理について、図2及び図3のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
まず、CPU141は、図2に示すように、リモコン1aの電源ボタンが操作されたか否かを判定する。すなわち、CPU141は、リモコン信号受光部144に、リモコン1aからの電源ボタンの操作信号が受信されたか否かを判定する(ステップS100)。
CPU141は、電源ボタンが操作されたと判定したときは(ステップS100:Y)、ステップS101の処理を実行する。一方、CPU141は、電源ボタンが操作されたと判定しなかったときは(ステップS100:N)、図3のステップS109の処理を実行する。
CPU141は、ステップS101において、電源ONの状態であるか否かを判定する。CPU141は、電源ONの状態であると判定したときは(ステップS101:Y)、電源OFFコマンドを主制御部13に送信し(ステップS102)、電源報知LED145を機能スタンバイ状態を示す橙に点灯させた後(ステップS103)、この処理を終了する。一方、CPU141は、ステップS101において、電源ONの状態であると判定しないとき(ステップS101:N)、すなわち、スタンバイ状態であるときは、現在のスタンバイ状態がリモコンスタンバイ状態であるか否かを判定する(ステップS104)。
CPU141は、ステップS104において、リモコンスタンバイ状態であると判定したときは(ステップS104:Y)、主制御部13のCPU131を起動させるためのリセット信号を送信し(ステップS105)、所定時間待機するウェイト処理を実行した後(ステップS106)、ステップS107の処理を実行する。一方、CPU141は、ステップS104において、リモコンスタンバイ状態であると判定しない場合(ステップS104:N)、すなわち、機能スタンバイ状態であると判定した場合は、ステップS105、S106を実行することなくステップS107に移行する。
CPU141は、その後、電源ONコマンドを主制御部に送信する処理を行い(ステップS107)、電源報知LED145を、稼働状態を示す緑に点灯させた後(ステップS108)、この処理を終了する。
【0038】
一方、CPU141は、図3に示すように、ステップS109において、電源OFFの状態であるか否かを判定する。CPU141は、電源OFFの状態であると判定したときは(ステップS109:Y)、ステップS110の処理を実行し、電源OFFの状態であると判定しないときは(ステップS109:N)、この処理を終了する。
そして、CPU141は、ステップS110において、現在の動作状態がリモコンスタンバイ状態であるか否かを判定する。CPU141は、リモコンスタンバイ状態であると判定したときは(ステップS110:Y)、ステップS111の処理を実行し、リモコンスタンバイ状態であると判定しないとき(ステップS110:N)、すなわち、機能スタンバイ状態であると判定したときは、ステップS114の処理を実行する。
そして、CPU141は、リモコンスタンバイ状態となってから時間aが経過したか否かを判定する(ステップS111)。すなわち、CPU141は、後述するスタンバイ時間設定処理において設定された時間aが経過したか否かを判定する。CPU141は、ステップS111において、時間aが経過したと判定したときは(ステップS111:Y)、主制御部13のCPU131を起動させるためのリセット信号を送信し(ステップS112)、電源報知LED145を機能スタンバイ状態であることを示す橙に発光させた後(ステップS113)、この処理を終了する。一方、CPU141は、ステップS111において、時間aが経過したと判定しないときは(ステップS113:N)、ステップS112及びステップS113を実行することなく、この処理を終了する。
また、CPU141は、ステップS114において、機能スタンバイモードとなってから時間bを経過したか否かを判定する。CPU141は、ステップS114において、時間bが経過したと判定したときは(ステップS114:Y)、主制御部13のCPU131をシャットダウンさせるためのリモコンスタンバイコマンドを送信し(ステップS115)、電源報知LED145をリモコンスタンバイ状態であることを示す赤に発光させた後(ステップS116)、この処理を終了する。一方、CPU141は、ステップS114において、時間bが経過したと判定しないときは(ステップS114:N)、ステップS115及びステップS116の処理を実行することなく、この処理を終了する。
【0039】
次に、本体部1におけるメイン処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。メイン処理は、CPU131がメインプログラム133aを実行することにより実現される。また、この処理は、CPU131が、リモコン制御部14からのリセット信号がCPU131に入力されたときに実行される処理である。
【0040】
まず、CPU131は、オペレーティングシステムを起動した後(ステップS200)、チューナ3、復調部4、TSデコータ5、ビデオデコーダ6、オーディオデコーダ7、映像処理部8、音声処理部9、OSD回路10等を正常に機能させるための初期設定処理を実行する(ステップS201)。
【0041】
次に、CPU131は、リモコン制御部14から電源ONコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS202)。CPU131は、電源ONコマンドを受信したと判定したときは(ステップS202:Y)、映像表示部11及び音声出力部12を駆動する処理を実行する(ステップS203)。すなわち、CPU131は、ステップS203を実行することにより、映像処理部8から出力された映像信号が映像表示部11のディスプレイ11a上に表示されるようになり、音声処理部9から出力された音声信号が音声出力部12のスピーカ12aより出力されるようになる。そして、CPU131は、ステップS203の処理を実行した後、ステップS202の処理を実行する。
【0042】
一方、CPU131は、ステップS202において、電源ONコマンドを受信したと判定しないときは(ステップS202:N)、電源OFFコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS204)。CPU131は、電源OFFコマンドを受信したと判定したときは(ステップS204:Y)、映像表示部11及び音声出力部12の駆動を停止する処理を実行した後(ステップS205)、ステップS202の処理を実行する。
【0043】
一方、CPU131は、ステップS204において、電源OFFコマンドを受信したと判定しないときは(ステップS204:N)、リモコンスタンバイコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS206)。CPU131は、ステップS206において、リモコンスタンバイコマンドを受信したと判定したときは(ステップS206:Y)、主制御部13をシャットダウンさせるシャットダウン処理を行い(ステップS207)、その後、システムリセット状態となる。
一方、CPU131は、ステップS206において、リモコンスタンバイコマンドを受信したと判定しないときは(ステップS206:N)、ステップS202の処理を実行する。
【0044】
次に、本体部1におけるスタンバイ時間設定処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。スタンバイ時間設定処理は、CPU131がスタンバイ時間設定プログラム133bを実行することにより実現される。また、この処理は、ユーザがリモコン1aによって所定の設定操作を行い、その操作信号をリモコン信号受光部144が受け付けたことをCPU131が検出したときに実行される処理である。
【0045】
まず、CPU131は、所定のスタンバイ時間設定画面の表示を行い、ユーザが画面に沿ってスタンバイ時間の設定を行うことができるようにする(ステップS301)。
次に、CPU131は、ユーザのリモコン1aの操作に応じて図6に示すスタンバイ時間設定テーブルの中から1つのモードを選択する(ステップS302)。
【0046】
ここで、図6を参照してスタンバイ時間設定テーブルについて説明する。スタンバイ時間設定テーブルは、リモコンスタンバイ状態の待機時間である時間aと機能スタンバイ状態の待機時間である時間bとの組合せを選択するためのものである。このスタンバイ時間設定テーブルには3つの時間の組合せが格納されており、ユーザによりスタンバイ時間設定テーブルから1つの組合せ(モード)が選択できるようになっている。
【0047】
そして、CPU131は、選択されたモードに対応する時間a及び時間bの各データをリモコン制御部14に送信する(ステップS303)。
これにより、リモコン制御部14のCPU141は、リモコンスタンバイ状態と機能スタンバイ状態のそれぞれの待機時間の設定を行うこととなる。その後、設定された待機時間に基づいて、図3のステップS111及びステップS114においてリモコンスタンバイ状態及び機能スタンバイ状態の各待機時間の経過を判断することとなる。そして、図3のステップS111及びステップS114により待機時間の経過が判断されると、リモコンスタンバイ状態から機能スタンバイ状態に、あるいは、機能スタンバイ状態からリモコンスタンバイ状態に切り替わることとなる。
なお、ここで、機能スタンバイ状態の待機時間については、少なくともオペレーティングシステムが起動するまでの時間よりも長くするのが好ましい。本実施形態では、オペレーティングシステムが起動するまで約30秒かかるので、機能スタンバイ状態の待機時間については、これよりも長い時間(35秒、60秒)となっている。
【0048】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、リモコン制御部14のCPU141が、待機時間の経過毎に主制御部13におけるオペレーティングシステムを起動させる機能スタンバイ状態とオペレーティングシステムを停止させるリモコンスタンバイ状態とに切り替えるので、一定時間機能スタンバイ状態となることにより、ユーザがリモコン1a等によって電源操作を行ってから映像及び音声が出力されるまでの時間(起動時間)の平均が速くなるとともに、一定時間リモコンスタンバイ状態となることにより、消費電力の低下が図れ、視聴パターンが不規則がユーザであっても一定の利便性と消費電力の抑制を満たすことができるようになる。
【0049】
例えば、リモコンスタンバイ状態時における起動時間が30秒、消費電力0.1Wで、機能スタンバイ状態時における起動時間が5秒、消費電力20Wである放送受信装置において、リモコンスタンバイ状態時における待機時間を10秒、機能スタンバイ状態時における待機時間を35秒に設定すると、平均起動時間が9.55秒、平均消費電力が15.57Wとなり、リモコンスタンバイ状態又は機能スタンバイ状態の何れか一方のみ動作するものよりも、本実施形態のように、リモコンスタンバイ状態と機能スタンバイ状態とを所定時間が経過するごとに切り替えることにより、視聴パターンが不規則がユーザであっても一定の利便性と消費電力の抑制を満たすことができる。
【0050】
また、本発明の実施形態によれば、一定時間毎に機能スタンバイ状態となるので、例えば、待機状態において、地震予報などの緊急放送を受信することができる機会を高めつつ、消費電力を抑制することができる。
【0051】
また、本発明の実施形態によれば、リモコンスタンバイ状態における待機時間と機能スタンバイ状態における待機時間との設定を行うことができるので、ユーザの好みに応じた設定を行うことができ、利便性がさらに向上する。
【0052】
また、本発明の実施形態によれば、電源報知LED145によって、リモコンスタンバイ状態であるか、機能スタンバイ状態であるかを容易に認識することができ、利便性がさらに向上する。
【0053】
また、本発明の実施形態によれば、機能スタンバイ状態における待機時間を、少なくともオペレーティングシステムの起動が完了するまでの時間としているので、リモコンスタンバイ状態から機能スタンバイ状態へ切り替わってから、オペレーティングシステムの起動が完了するまでに再度リモコンスタンバイ状態へ移行することがないので、安定した動作を行わせることができる。また、機能スタンバイ状態における最短起動時間を維持することもできる。
【0054】
なお、本発明の実施形態では、待機時間の設定が可能に構成されているが、待機時間の設定ができないように構成されていてもよい。
また、待機時間をテーブルから何れかを選択するものとしたが、テーブルによらず、リモコンスタンバイ状態及び機能スタンバイ状態の各待機時間について、例えば、数値を直接入力するなど、他の方法により設定を行うようにしてもよい。
【0055】
また、本発明の実施形態では、リモコンスタンバイ状態と機能スタンバイ状態とを視覚により認識可能にする電源報知LED145を設けたが、音声にて報知を行うようにしてもよい。また、LCD等他の表示手段によって報知を行うようにしてもよい。また、このような機能を設けないようにしてもよい。
【0056】
また、本発明の実施形態では、機能スタンバイ状態における待機時間を、少なくともオペレーティングシステムの起動が完了するまでの時間としたが、オペレーティングシステムの起動が完了するまでの時間よりも短い時間に設定してもよい。
【0057】
また、本発明の実施形態では、本体部1の稼働状態において、電源操作がなされたときには、機能スタンバイ状態へ移行するように制御しているが、リモコンスタンバイ状態へ移行するように制御してもよい。
【0058】
また、本発明の実施形態では、放送受信装置の一例としてテレビジョン受像機100を挙げて説明したが、HDD(Hard Disk Drive)レコーダやDVD(Digital Versatile Disc)レコーダなどの録画再生装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 テレビジョン受像機(放送受信装置)
1 本体部
1a リモコン
11 映像表示部(放送信号処理手段)
12 音声出力部(放送信号処理手段)
13 主制御部
131 CPU(待機時間設定手段)
14 リモコン制御部
141 CPU(電源操作検出手段、状態切替手段、待機時間検出手段)
144 リモコン信号受光部
145 電源報知LED(状態報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信したデジタル放送信号に基づいて所定の処理を行う放送信号処理手段と、
所定の電源操作を検出する電源操作検出手段と、
所定のオペレーティングシステムが起動されることにより動作し、前記放送信号処理手段の制御を行う主制御部と、
前記主制御部における前記オペレーティングシステムを起動させる第1待機状態と、前記オペレーティングシステムを停止させる第2待機状態と、前記放送信号処理手段を機能させる稼働状態との何れかの動作状態に切り替える状態切替制御を行う副制御部と、を備え、
前記電源操作検出手段による電源操作の検出に応じて、前記稼働状態と前記第1待機状態又は第2待機状態とに切り替える放送受信装置において、
前記副制御部は、
前記第1待機状態及び前記第2待機状態において各々所定の待機時間が経過したことを検出する待機時間検出手段と、
前記第1待機状態又は前記第2待機状態のときに、前記待機時間検出手段による各々の待機時間経過の検出毎に前記第1待機状態と前記第2待機状態との間で動作状態を切り替える切替手段と、
を備えることを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記第1待機状態及び前記第2待機状態における各々の前記待機時間の設定を行う待機時間設定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記第1待機状態と前記第2待機状態との何れの動作状態であるかを報知する状態報知手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記第1待機状態における待機時間は少なくとも前記主制御部における前記オペレーティングシステムの起動が完了するまでの時間であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の放送受信装置。
【請求項5】
受信したデジタル放送信号に基づいて所定の処理を行う放送信号処理手段と、
所定の電源操作を検出する電源操作検出手段と、
所定のオペレーティングシステムが起動されることにより動作し、前記放送信号処理手段の制御を行う主制御部と、
前記主制御部における前記オペレーティングシステムを起動させる第1待機状態と、前記オペレーティングシステムを停止させる第2待機状態と、前記放送信号処理手段を機能させる稼働状態との何れかの動作状態に切り替える状態切替制御を行う副制御部と、を備え、
前記電源操作検出手段による電源操作の検出に応じて、前記稼働状態と前記第1待機状態又は第2待機状態とに切り替える放送受信装置において、
前記副制御部は、
前記第1待機状態及び第2待機状態において各々所定の待機時間が経過したことを検出する待機時間検出手段と、
前記第1待機状態及び前記第2待機状態における各々の前記待機時間の設定を行う待機時間設定手段と、
前記第1待機状態と前記第2待機状態との何れの動作状態であるかを報知する状態報知手段と、
前記第1待機状態又は前記第2待機状態のときに、前記待機時間検出手段による各々の待機時間経過の検出毎に前記第1待機状態と前記第2待機状態との間で動作状態を切り替える切替手段と、を備え、
前記第1待機状態における待機時間は少なくとも前記主制御部における前記オペレーティングシステムの起動が完了するまでの時間であることを特徴とする放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−19139(P2011−19139A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163228(P2009−163228)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】