説明

整形外科用副木

【課題】優れた伸縮性と復元力を維持しながらも水硬化性樹脂の遮断性が優れた整形外科用副木を提供する。
【解決手段】ダブルラッセル編機を用いて製織された伸縮織物に水硬化性樹脂が塗布された中間層素材3;及び中間層素材の上部及び下部の表面に形成され、横及び縦方向に伸縮性を有する不織布及び水硬化性樹脂の遮断膜よりなり、水硬化性樹脂の遮断膜が中間層素材3と前記伸縮性を有する不織布との間に形成上下部表皮層1、2からなる。伸縮織物は、対称に構成されたダブルラッセル編機で6本の整経ビームからなり、外側の整経ビームの第1、と第6のビームは太デニアのポリエステル糸、内側の整経ビームの第2、第5のビームは細デニアのポリエステル糸、及び中央部の整経ビームの第3、第4のビームはゴム糸で製織されたのであって、織物の厚さは2〜8mmの範囲であり、横方向の伸長率は40〜80%で、縦方向の伸長率は30〜60%である構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨折患者の骨折部位に用いられる整形外科用副木(またはスプリント(splint))に関する。より具体的に、本発明は、ひじやひざなどのような関節部位に適用する場合、折れ部に折り目が形成されなく、関節部位の曲面に沿って身体部位の形状とほとんど一致する形状に形成されることのできる、伸縮性と復元力に優れた副木に関する。
【背景技術】
【0002】
スプリントは、今まで骨折患者などに用いられてきた代表的な整形外科用副木である。スプリントは、骨折部位にギブスをする前に、骨折部位の腫れと熱を散らし、骨折部位を一定の状態に保持するために用いられる整形外科用医療用品である。
【0003】
スプリントは、水硬化性樹脂が塗布された織物形態の中間層素材を、その上部面と下部面でそれぞれ上部表皮層と下部表皮層に密封されるように接着させて製造する。スプリントは、骨折部位に施術しようとする場合、包装紙を分離除去して、水に浸した後、骨折部位に適用して骨折部位の形状に沿って硬化されるようにする。
【0004】
水硬化性樹脂は水と結合すると硬化されて堅固に固まるため、スプリントは水分が浸透できないように防湿包装をしなければならない。
スプリントの品質は2つの要因により左右されるが、一つは、伸縮性と復元力が優れて適用される骨折部位の身体の形状に沿って硬化されるべきであること、もう一つは、中間層素材に塗布された水硬化性樹脂が漏出されないべきであることである。
【0005】
優れた伸縮性と復元力を有するスプリントを開発するために特許や実用新案も多数出願されている。また、スプリントは保存期間が3年であるため、この期間中に中間層素材に塗布された水硬化性樹脂が漏出されることを防止するために様々な技術が適用されてきた。
【0006】
大韓民国実用新案登録出願第2002−8609号には、チューブ状の伸縮糸編織物を用いて伸縮性を改善しようとしたスプリントを開示している。大韓民国実用新案登録出願第2003−19356号にも、中間層素材を編織物とし、その上部と下部にそれぞれ親水性パッドを用いて水硬化性樹脂が漏出されることを防止することのできるスプリントを開示している。また、大韓民国特許出願第2007−52206号には、伸縮性と復元力を向上させるため、中間層素材としてポリエステルDTY糸を用いてラッセル織機で製織された単層構造の経編織物を用いた整形外科用副木について開示している。
【0007】
しかしながら、前記のような従来のスプリントは、伸縮性と復元力が優れる程度までには至らなくて、骨折部位に適用する場合、身体部位に密着するように硬化されなく、依然折り目が発生している。
【0008】
それで、本発明者はダブルラッセル編機を用いて横方向と縦方向に伸縮性が優れた伸縮織物を開発して、それを中間層素材として用い、上部表皮層(上紙)と下部表皮層(下紙)として用いるために縦方向だけでなく縦方向にも伸縮性を有する不織布を開発して、結果的に伸縮性と復元力が優れながらも水硬化性樹脂の遮断性が優れたスプリントを開発することに至る。また、本発明者は、前記伸縮織物を中間層素材として用い、上部表皮層(上紙)と下部表皮層(下紙)として施術の際に易く破れる紙材質や易く伸びる合成樹脂フィルムを用いることにより、優れる伸縮性と復元力を維持しながらも水硬化性樹脂の遮断性が優れたスプリントを開発することに至る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、伸縮性と復元力が優れた整形外科用副木を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、整形外科用副木を製造するための中間層素材(3)として横方向及び縦方向に伸縮性が優れ、ダブルラッセル編機を用いて製織した新たな伸縮織物を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、上部表皮層(上紙)(1)と下部表皮層(下紙)(2)として用いるために横方向だけでなく縦方向にも伸縮性を有する新たな不織布を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、中間層と伸縮性を有する不織布との間に中間層に塗布/含浸された水硬化性樹脂の遮断膜を形成することにより、優れた伸縮性と復元力を維持しながらも水硬化性樹脂の遮断性が優れたスプリントを提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、上部表皮層(上紙)(1)と下部表皮層(下紙)(2)として施術の際に易く破れる紙材質や易く伸びる合成樹脂フィルムを用いることにより、優れた伸縮性と復元力を維持しながらも水硬化性樹脂の遮断性が優れたスプリントを提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、伸縮性、復元力及び水硬化性樹脂の遮断性が優れたスプリントの製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明の前記およびその他の目的は、下記で説明される本発明によりすべて達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る整形外科用副木は、ダブルラッセル編機を用いて製織された伸縮織物に、水硬化性樹脂が塗布された中間層素材(3);及び該中間層素材の上部及び下部の表面に形成され、横方向だけでなく縦方向にも伸縮性を有する不織布及び水硬化性樹脂の遮断膜よりなり、前記水硬化性樹脂の遮断膜が前記中間層素材(3)と前記伸縮性を有する不織布との間に形成されることを特徴とする上下部表皮層(1、2)からなる。
【0017】
前記伸縮織物は、対称に構成されたダブルラッセル編機で6本の整経ビーム(beam)からなり、外側の整経ビームの第1のビームと第6のビームは太デニアのポリエステル糸、その内側の整経ビームの第2のビームと第5のビームは細デニアのポリエステル糸、及び中央部の整経ビームの第3のビームと第4のビームはゴム糸(または‘カバー糸’ともいう)で製織されたのであって、織物の厚さは2〜8mmの範囲であり、横方向の伸長率は40〜80%、縦方向の伸長率は30〜60%であるのが好ましい。第1のビームと第6のビームで細デニア糸を用いて、第2のビームと第5のビームで太デニア糸を用いることもできる。また、要求される織物の強度を考慮して、第1のビーム、第6のビーム、第2のビーム、及び第5のビームをみんな太デニア糸または細デニア糸で用いることもできる。
【0018】
前記ゴム糸としては、天然ゴム糸、合成ゴム糸、スパンデックスなどが使用可能であり、一例としてナイロン糸とカバー糸が50%ずつ混合された210デニアのスパン糸が好ましい。
【0019】
前記太デニアまたは細デニアのポリエステル糸の代わりに、ガラス繊維、アクリル糸、炭素繊維なども用いられることができる。前記太デニアは約500ないし1000デニア、細デニアは100ないし500デニア程度が好ましい。
【0020】
前記伸縮性を有する不織布は、ポリプロピレンまたはポリエステルが主原料であってナイロンや綿が追加されることができ、これらをニードルパンチング、スパンボンド(spunbond)、スパンレース(spunlace)などの方法で製造した不織布に、天然ゴム糸、合成ゴム糸、スパンデックスなどのカバー糸を接着して製造する。前記カバー糸を接着する代わりに、前記カバー糸を不織布の中間に挿入して不織布を製造することもできる。カバー糸を接着して製織された不織布はカバー糸が接着された面が中間層素材(3)と接着されるべきである。本発明の不織布は横方向だけでなく縦方向にも30〜80%の範囲の伸長率を有するのが好ましい。
【0021】
本発明に係る水硬化性樹脂の遮断膜は、施術の際に易く破れる紙材質又は易く伸びる合成樹脂フィルムを含むことができる。
【0022】
本発明のある具体例において、前記合成樹脂フィルムは、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、熱可塑性ポリウレタンフィルム又はレーヨンフィルムであり、厚さが20μm以下である。
【0023】
本発明に係る整形外科用副木は、前記伸縮性を有する不織布を上下で横方向、縦方向またはこれらすべての方向に伸ばした後、その間に中間層素材(3)を通過させてボンディング接合させることにより、製造される。
【0024】
本発明の他の具体例に係る整形外科用副木は、ダブルラッセル編機を用いて製織された伸縮織物に水硬化性樹脂が塗布された中間層素材(3)、及び該中間層素材の上部及び下部の表面に接着される、施術の際に易く破れる紙材質や易く伸びる合成樹脂フィルムよりなる上下部表皮層(1、2)からなることをその特徴とする。
【0025】
以下、添付された図面を参考として本発明の具体的な内容を下記で詳細に説明する。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、整形外科用副木を製造するための中間層素材(3)として横方向及び縦方向に伸縮性が優れ、ダブルラッセル編機を用いて製織した新たな伸縮織物を提供し、副木の上部表皮層(上紙)(1)と下部表皮層(下紙)(2)として用いるために横方向だけでなく縦方向にも伸縮性を有する新たな不織布を提供し、中間層と伸縮性を有する不織布の間に中間層に塗布/含浸された水硬化性樹脂の遮断膜を提供して、結局、伸縮性と復元力が優れながらも水硬化性樹脂の遮断性が優れた整形外科用副木を提供する発明の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、足部位に付着して硬化させた副木の一実施例を概略的に図示した斜視図である。
【図2】図2は、本発明に係る副木の内部層の構造を概略的に図示した部分分解斜視図である。
【図3】図3は、ダブルラッセル編機の中央部を基準として対称に構成された6本の整経ビームの位置を概略的に図示した図面である。
【図4】図4は、(A)は伸縮性を有する不織布を伸ばした状態で、その間に伸ばされない状態の中間層素材(3)を互いにボンディング(bonding)により接合する概略的な断面図であり、(B)はボンディング接合の後に伸縮性を有する不織布から伸長力を除去し、収縮して折り目が形成された状態の概略的な断面図である。
【図5】図5は、紙材質や合成樹脂フィルムからなる上下部表皮層(1、2)を伸ばされない状態の伸縮織物の中間層素材(3)の両表面にボンディング処理して接合する状態を図示する概略的な断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、骨折患者の骨折部位に用いられる整形外科用副木に関するのであって、ひじやひざなどのような関節部位に適用する場合、折り部に折り目が形成されなく、関節部位の曲面に沿って身体部位の形状とほとんど一致する形状に形成されることができる伸縮性と復元力とが優れた副木に関する。
【0029】
図1は、足部位に付着して硬化させた副木の一実施例を概略的に図示した斜視図であり、図2は本発明に係る副木の内部層の構造を概略的に図示した部分分解斜視図である。
【0030】
図2に図示したように、スプリントは、上下部表皮層(1、2)の間に水硬化性樹脂が塗布された中間層素材(3)を接着させた構造からなる。上下部表皮層(1、2)は同一な素材であって、骨折部位、即ち皮膚に接触されるため、不織布のような柔らかい素材で製造される。そして、中間層素材(3)は、水硬化性樹脂が塗布され、骨折部位に施術した後に堅固に固まれるべきであるため、伸縮性がよく、所定の厚さを有するべきである。通常、中間層素材(3)は5〜8mm程度の厚さを有する不織布、多層のポリエステル織物、ガラス繊維などで製造されてきた。
【0031】
本発明のスプリントは、中間層素材(3)は勿論、上下部表皮層(1、2)の素材を新たに開発したのである。
【0032】
本発明に係る整形外科用副木は、ダブルラッセル編機を用いて製織された伸縮織物に水硬化性樹脂が塗布された中間層素材(3);及び該中間層素材の上部及び下部の表面に形成され、横方向だけでなく縦方向にも伸縮性を有する不織布及び水硬化性樹脂の遮断膜からなり、前記水硬化性樹脂の遮断膜が前記中間層素材(3)と前記伸縮性を有する不織布との間に形成されることを特徴とする上下部表皮層(1、2)よりなる。
【0033】
まず、中間層素材(3)に対して説明すると、次のようである。
【0034】
本発明では、中間層素材として用いるためにダブルラッセル編機を用いて伸縮織物を製織した。この伸縮織物は6本の整経ビームが対称に構成されたダブルラッセル編機で製織する。図3は、ダブルラッセル編機の中央部を基準として対称に構成された6本の整経ビームの位置を概略的に図示した図面である。
【0035】
図3を参考として説明すると、外側の整経ビームの第1のビームと第6のビームは太デニアのポリエステル糸、その内側の整経ビームの第2のビームと第5のビームは細デニアのポリエステル糸、及び中央部の整経ビームの第3のビームと第4のビームはゴム糸(または‘カバー糸’ともいう)で製織される。ラッセル編機やダブルラッセル編機は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者により容易に理解されることができる。また、本発明における6本の整経ビームで製織する技術も当業者により容易に実施されることができる。
【0036】
前記第1のビームと第6のビームの太デニアは約500ないし1000デニア、好ましくは約600デニア、第2のビームと第5のビームの細デニアは約100ないし500デニア、好ましくは約300デニア程度が用いられることができる。前記ゴム糸としては、天然ゴム糸、合成ゴム糸、スパンデックスなどが用いられることができ、繊度は100ないし300デニアが使用可能であり、一例として、ナイロン糸とカバー糸が50%ずつ混合された210デニアのスパン糸が好ましい。第1のビームと第6のビームで細デニア糸を用い、第2のビームと第5のビームで太デニア糸を用いることもできる。また、要求される織物の強度を考慮して、第1のビーム、第6のビーム、第2のビーム、及び第5のビームをみんな太デニア糸または細デニア糸で用いることもできる。
【0037】
前記のような条件下で製織された伸縮織物の厚さは2〜8mmの範囲であり、横方向の伸長率は40〜80%、縦方向の伸長率は30〜60%の範囲であって、横方向及び縦方向に優れる伸縮性を有する。従って、骨折部位に施術するとき、望む患部の形状によって折り目やしわくちゃになる現象が生じなく、身体の曲面に沿って身体の部位と同一な形状に硬化されることができる。
【0038】
前記中間層素材(3)には水硬化性樹脂が塗布される。前記水硬化性樹脂の例としてはポリウレタン樹脂などがあり、強度が補強されたポリウレタン樹脂もある。前記中間層素材に前記水硬化性樹脂を塗布する方法の例としては、液状の水硬化性樹脂に前記中間層素材を浸漬させる方法、液状の水硬化性樹脂を前記中間層素材の表面に反復的に塗布する方法などがあり、この塗布方法は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者により容易に実施されることができる。
【0039】
次に、中間層素材(3)の上部及び下部の表面に形成されて横方向だけでなく縦方向にも伸縮性を有する不織布及び水硬化性樹脂の遮断膜からなる上下部表皮層(1、2)を見回すと、次のようである。
【0040】
本発明で開発された不織布は、横方向だけでなく縦方向にも伸縮性を有する不織布であって、横方向又は縦方向に引っ張ったとき、30〜80%の範囲の伸長率を有するのが好ましい。
【0041】
前記伸縮性を有する不織布は、ポリプロピレンまたはポリエステルが主原料であってナイロンや綿が追加されることができ、これらをニードルパンチング、スパンボンド(spunbond)、スパンレース(spunlace)などの方法で製造した不織布に、天然ゴム糸、合成ゴム糸、スパンデックスなどのカバー糸を接着して製造する。前記不織布を製造する技術は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者により容易に実施されることができる。但し、不織布がカバー糸のいずれか1面のみに接着されている場合、カバー糸が中間層素材(3)側に形成されるべきである。これは、施術時に皮膚に接触する面を考慮したのである。前記カバー糸を接着する代わりに、前記カバー糸を不織布の中間に挿入して不織布を製造することもできる。この場合、前記伸縮性を有する不織布のいずれか1面も前記中間層素材(3)側に形成されることができ、整形外科用副木の製造過程において不織布がカバー糸のいずれか1面のみに接着されている場合に前記伸縮性を有する不織布がカバー糸側に巻かれる問題点を未然に防止することができる。
【0042】
本発明に係る水硬化性樹脂の遮断膜は、前記中間層素材(3)と前記伸縮性を有する不織布との間に形成され、保管時には前記中間層素材(3)に塗布/含浸された水硬化性樹脂が整形外科用副木の外部に漏出されることを防止することができ、水が外部から前記中間層素材(3)の内部に流入されて中間層素材が施術の前に硬化されることを防止することができ、施術時には易く破壊されて整形外科用副木の伸縮性と復元力に影響を及ばないのが好ましい。
【0043】
本発明のある具体例において、前記水硬化性樹脂の遮断膜はボンディング処理により形成されることができ、前記ボンディング処理は、前記中間層素材(3)と前記伸縮性を有する不織布とを接着させることができ、前記水硬化性樹脂の流出及び水の流入を遮断することができ、施術の際に易く破壊されることができるものならば、何のものでも用いることができる。
【0044】
本発明のある具体例において、前記水硬化性樹脂の遮断膜は、施術の際に易く破れる紙材質または易く伸びる合成樹脂フィルムを含むことができる。
【0045】
前記紙材質は、前記中間層素材(3)に塗布/含浸された水硬化性樹脂の流出及び水の流入を遮断することができながらも施術の際に易く破れる紙ならばみんな用いることができる。前記紙材質は施術の前まで水硬化性樹脂が漏出されることを防止するために付着されたのであるため、施術の際に破れても製品の効果と効能とは何の関係がない。
【0046】
同様に、前記合成樹脂フィルムも前記中間層素材(3)に塗布/含浸された水硬化性樹脂の流出及び水の流入を遮断することができながらも施術の際に易く破れるとか伸びるフィルムならば、みんな用いることができる。本発明のある具体例において、前記合成樹脂フィルムは、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、熱可塑性ポリウレタンフィルムまたはレーヨンフィルムである。前記合成樹脂フィルムは、施術の際に伸縮性がよくなければならないので、その厚さが20μm以下、好ましくは10μm以下であるのが用いられることができる。例えば、前記合成樹脂フィルムの厚さは1ないし20μmまたは5ないし10μmである。前記合成樹脂フィルムは紙材質とは異なりに破れなく伸びることができるため、中間層素材の伸縮織物と少なくとも同一または大きい伸縮性を有するべきである。前記合成樹脂フィルムはよく破れない代わりに、よく伸びることができるため、やはり製品の効果と効能とは何の関係がない。レーヨンフィルムは紙とフィルムの中間的な性質を有するとみることができる。これは部分的に破れるとかまたは部分的に伸びるとかするため、製品の効果と効能とは何の関係がない。
【0047】
スプリントは、施術の際に伸縮性がよくて望む方向によく伸びられ、かつ復元力がよくて身体の形状と同一な形状に硬化されるべきである。本発明では、このような伸縮性と復元力を付与するためにスプリントの製造過程においても新たな方法を開発した。
【0048】
本発明に係る整形外科用副木は、前記伸縮性を有する不織布を上下で横方向、縦方向またはこれらすべての方向に伸ばした後、その間に中間層素材(3)を通過させてボンディング接合させることにより、製造される。図4(A)は伸縮性を有する不織布を伸ばした状態で、その間に伸長されない状態の中間層素材(3)を互いにボンディング(bonding)により接合する概略的な断面図であり、図4(B)はボンディング接合の後に不織布から伸長力を除去して、縮んで折り目が形成された状態の概略的な断面図である。
【0049】
勿論、伸縮性を有する不織布を横方向、縦方向またはこれらすべての方向に伸ばした後、その間に前記中間層素材(3)を通過させてボンディングで接着させる工程は、自動化された装置で連続的に行う。前記伸縮性を有する不織布を中間層素材にボンディング接合した後に前記伸縮性を有する不織布から伸長力を除去すると、図4(B)のように、伸縮性を有する不織布と中間層素材が縮んで、折り目が形成される。このように折り目が形成されると、施術時に伸縮性がよくなって望む方向に引っ張るとか伸ばすことができ、再び元状態に回復しようとする復元力もよくなって、折り目が生じなく、身体の形状に沿って硬化されることができるのである。
【0050】
また、前記整形外科用副木は、前記中間層素材(3)を横方向、縦方向またはこれらすべての方向に伸ばした後、その上下部に前記伸縮性を有する不織布をボンディング接合させることによって製造されることができ、前記中間層素材(3)及び前記伸縮性を有する不織布をみんな横方向、縦方向またはこれらすべての方向に伸ばした後、前記伸びられた伸縮性を有する不織布の間に前記伸びられた中間層素材(3)を通過させてボンディング接合させることにより、製造されることができる。
【0051】
前記伸縮性を有する不織布と前記中間層素材(3)をボンディング接合させることは、前記伸縮性を有する不織布と中間層素材(3)との間に水硬化性樹脂の遮断膜を形成して施術の前に伸縮織物に塗布されて含浸された水硬化性樹脂が不織布の外側に漏出されることを防止し、水が中間層素材(3)の内部に流入されて前記水硬化性樹脂が硬化されることを防止しようとするのである。
【0052】
本発明のある具体例において、前記水硬化性樹脂の遮断膜として前記紙材質または合成樹脂フィルムを用いる場合、前記整形外科用副木は、前記中間層素材(3)を伸張させたりまたは伸張させなく、そして前記紙材質または合成樹脂フィルムが内面に接着されて伸張されたりまたは伸長されない前記伸縮性を有する不織布を前記中間層素材(3)の上下部に接着させる段階により製造されることができる。
【0053】
本発明の他の具体例に係る整形外科用副木は、ダブルラッセル編機を用いて製織された伸縮織物に水硬化性樹脂が塗布された中間層素材(3)、及び該中間層素材の上部及び下部の表面に接着される、施術時に易く破れる紙材質や易く伸びる合成樹脂フィルムよりなる上下部表皮層(1、2)からなることをその特徴とする。
【0054】
前記紙材質は、前記中間層素材(3)に塗布/含浸された水硬化性樹脂の流出及び水の流入を遮断することができながらも施術時に易く破れる紙ならば、みんな用いることができる。前記紙材質は施術前まで水硬化性樹脂が漏出されることを防止するために付着されたのであるため、施術時に破れても製品の効果と効能とは何の関係がない。
【0055】
同様に、前記合成樹脂フィルムも前記中間層素材(3)に塗布/含浸された水硬化性樹脂の流出及び水の流入を遮断することができながらも施術時に易く破れるとか伸びるフィルムならば、みんな用いることができる。本発明のある具体例において、前記合成樹脂フィルムは、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、熱可塑性ポリウレタンフィルムまたはレーヨンフィルムである。前記合成樹脂フィルムは、施術の際に伸縮性がよくなければならないので、その厚さが20μm以下、好ましくは10μm以下であるのが用いられることができる。例えば、前記合成樹脂フィルムの厚さは1ないし20μmまたは5ないし10μmである。前記合成樹脂フィルムは紙材質とは異なりに破れなく伸びることができるため、中間層素材の伸縮織物と少なくとも同一または大きい伸縮性を有するべきである。前記合成樹脂フィルムはよく破れない代わりに、よく伸びることができるため、やはり製品の効果と効能とは何の関係がない。レーヨンフィルムは紙とフィルムの中間的な性質を有するとみることができる。これは部分的に破れるとかまたは部分的に伸びるとかするため、製品の効果と効能とは何の関係がない。
【0056】
本発明の他の具体例に係る整形外科用副木は、中間層素材(3)の伸縮織物の両表面に紙材質や合成樹脂フィルムの上下部表皮層(1、2)をボンディング処理して接着させることにより、製造される。
【0057】
図5は、紙材質や合成樹脂フィルムからなる上下部表皮層(1、2)を伸長されない状態の伸縮織物の中間層素材(3)の両表面にボンディング処理して接合する状態を図示する概略的な断面図である。
【0058】
本発明の他の具体例に係る前記整形外科用副木は、前記水硬化性樹脂が塗布された伸縮織物を伸張させたりまたは伸張させなく、そして前記伸縮織物の上下部に前記紙材質または合成樹脂フィルムを接着させる段階により製造されることができる。
【0059】
本発明の保護範囲は下記に添付される特許請求の範囲により具体化され、本発明の単純な変形や変更はみんな本発明の保護範囲に属するのと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0060】
1:上部表皮層
2:下部表皮層
3:中間層素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダブルラッセル編機を用いて製織された伸縮織物に水硬化性樹脂が塗布された中間層素材(3);及び
該中間層素材の上部及び下部の表面に形成され、横方向だけでなく縦方向にも伸縮性を有する不織布及び水硬化性樹脂の遮断膜よりなり、前記水硬化性樹脂の遮断膜が前記中間層素材(3)と前記伸縮性を有する不織布との間に形成されることを特徴とする上下部表皮層(1、2);
からなる、整形外科用副木。
【請求項2】
前記伸縮織物は、対称に構成されたダブルラッセル編機で6本の整経ビームからなり、外側の整経ビームの第1のビームと第6のビームは太デニアのポリエステル糸、その内側の整経ビームの第2のビームと第5のビームは細デニアのポリエステル糸、及び中央部の整経ビームの第3のビームと第4のビームはゴム糸(または‘カバー糸’ともいう)で製織されたのであって、織物の厚さは2〜8mmの範囲であり、横方向の伸長率は40〜80%で、縦方向の伸長率は30〜60%であることを特徴とする、請求項1に記載の整形外科用副木。
【請求項3】
前記ゴム糸は、天然ゴム糸、合成ゴム糸、またはスパンデックスであることを特徴とする、請求項2に記載の整形外科用副木。
【請求項4】
前記第1のビームと第6のビームの太デニアは500ないし1000デニアであり、第2のビームと第5のビームの細デニアは100ないし500デニアであり、前記ゴム糸は100ないし300デニアの繊度を有することを特徴とする、請求項2に記載の整形外科用副木。
【請求項5】
前記第1のビームと第6のビームは100ないし500デニアの細デニア糸であり、第2のビームと第5のビームは500ないし1000デニアの太デニア糸であり、前記ゴム糸は100ないし300デニアの繊度を有することを特徴とする、請求項2に記載の整形外科用副木。
【請求項6】
前記第1のビーム、第6のビーム、第2のビーム、及び第5のビームは、すべて100ないし500デニアの細デニア糸または500ないし1000デニアの太デニア糸であり、前記ゴム糸は100ないし300デニアの繊度を有することを特徴とする、請求項2に記載の整形外科用副木。
【請求項7】
前記伸縮性を有する不織布は、ポリプロピレンまたはポリエステルが主原料であってナイロンや綿が追加されることができ、これらをニードルパンチング、スパンボンド、スパンレースなどの方法で製造した不織布に、天然ゴム糸、合成ゴム糸、またはスパンデックスカバー糸を接着して製造されることを特徴とする、請求項1に記載の整形外科用副木。
【請求項8】
前記伸縮性を有する不織布は、天然ゴム糸、合成ゴム糸、またはスパンデックスカバー糸を不織布の中間に挿入して製造されることを特徴とする、請求項1に記載の整形外科用副木。
【請求項9】
前記水硬化性樹脂の遮断膜が、施術の際に易く破れる紙材質または易く伸びる合成樹脂フィルムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の整形外科用副木。
【請求項10】
前記合成樹脂フィルムは、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、熱可塑性ポリウレタンフィルムまたはレーヨンフィルムであり、厚さが20μm以下であることを特徴とする、請求項9に記載の整形外科用副木。
【請求項11】
ポリプロピレンまたはポリエステルが主原料であってナイロンや綿が追加されることができ、これらをニードルパンチング、スパンボンド、スパンレースなどの方法で製造した不織布に天然ゴム糸、合成ゴム糸、またはスパンデックスカバー糸を接着して製造される、伸縮性を有する不織布を上下で横方向、縦方向またはこれらすべての方向に伸ばして;及び
前記上下に伸ばした伸縮性を有する不織布の間にダブルラッセル編機を用いて製織された伸縮織物に水硬化性樹脂が塗布された中間層素材(3)を通過させてボンディング接合させる;
段階を含むことを特徴とする、整形外科用副木の製造方法。
【請求項12】
ダブルラッセル編機で6本の整経ビームからなり、外側の整経ビームの第1のビームと第6のビームは太デニアのポリエステル糸、その内側の整経ビームの第2のビームと第5のビームは細デニアのポリエステル糸、及び中央部の整経ビームの第3のビームと第4のビームはゴム糸(または‘カバー糸’ともいう)で製織されたのであって、織物の厚さは2〜8mmの範囲であり、横方向の伸長率は40〜80%で、縦方向の伸長率は30〜60%であることを特徴とする、整形外科用副木の中間層素材用伸縮織物。
【請求項13】
ダブルラッセル編機を用いて製織された伸縮織物に水硬化性樹脂が塗布された中間層素材(3);及び
該中間層素材の上部及び下部の表面に接着される、施術時に易く破れる紙材質や易く伸びる合成樹脂フィルムよりなる上下部表皮層(1、2);
からなることを特徴とする、整形外科用副木。
【請求項14】
前記伸縮織物は、対称に構成されたダブルラッセル編機で6本の整経ビームからなり、外側の整経ビームの第1のビームと第6のビームは太デニアのポリエステル糸、その内側の整経ビームの第2のビームと第5のビームは細デニアのポリエステル糸、及び中央部の整経ビームの第3のビームと第4のビームはゴム糸(または‘カバー糸’ともいう)で製織されたのであって、織物の厚さは2〜8mmの範囲であり、横方向の伸長率は40〜80%で、縦方向の伸長率は30〜60%であることを特徴とする、請求項13に記載の整形外科用副木。
【請求項15】
前記ゴム糸は、天然ゴム糸、合成ゴム糸、またはスパンデックスであることを特徴とする、請求項14に記載の整形外科用副木。
【請求項16】
前記第1のビームと第6のビームの太デニアは500ないし1000デニアであり、第2のビームと第5のビームの細デニアは100ないし500デニアであり、前記ゴム糸は100ないし300デニアの繊度を有することを特徴とする、請求項14に記載の整形外科用副木。
【請求項17】
前記第1のビームと第6のビームは100ないし500デニアの細デニア糸であり、第2のビームと第5のビームは500ないし1000デニアの太デニア糸であり、前記ゴム糸は100ないし300デニアの繊度を有することを特徴とする、請求項14に記載の整形外科用副木。
【請求項18】
前記第1のビーム、第6のビーム、第2のビーム、及び第5のビームがすべて500ないし1000デニアの太デニア糸または100ないし500デニアの細デニア糸であり、前記ゴム糸は100ないし300デニアの繊度を有することを特徴とする、請求項14に記載の整形外科用副木。
【請求項19】
前記紙材質は、前記中間層素材(3)に塗布/含浸された水硬化性樹脂の流出及び水の流入を遮断することができながらも施術時に易く破れることを特徴とする、請求項13に記載の整形外科用副木。
【請求項20】
前記合成樹脂フィルムは、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、熱可塑性ポリウレタンフィルムまたはレーヨンフィルムであり、厚さが20μm以下であることを特徴とする、請求項13に記載の整形外科用副木。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−170819(P2012−170819A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250904(P2011−250904)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(511278590)ジョイン エンタープライズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】