説明

文字入力システム、文字入力装置および文字入力方法

【課題】注視不適切環境下において手書入力認識装置の利用者が画面を注視せずとも手書きによる文字入力から決定までの処理を行うことができる「文字入力システム、文字入力装置および文字入力方法」を提供する。
【解決手段】本体10は、入力デバイス20上の手書入力受付領域22に入力された手書入力情報が文字または文字の一部であるときは、手書入力情報に基づいて抽出した候補文字を出力デバイス30に出力する一方、手書入力情報が候補文字を選択するための選択符号であるときは、選択符号に基づいて候補文字のなかから決定文字を決定し出力デバイス30に出力するようにしている。すなわち、入力デバイス20および出力デバイス30の注視を要しない手書入力受付領域22への手書き入力によって、文字の入力から文字の決定までを行うようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字入力システム、文字入力装置および文字入力方法に関し、特に、ユーザから手書き入力を受け付ける文字入力システム、文字入力装置および文字入力方法に適するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、利用者の手書きによる入力を認識する情報処理装置(以下、「手書入力認識装置」という)が知られている(例えば、特許文献1参照)。手書入力認識装置は、例えば、利用者による情報入力の利便性の向上、ハードボタン(部品)の削減または廃止による情報処理装置の部品数削減、小型化などの要請に応えたものである。
【0003】
特許文献1に記載の文字認識装置(手書入力認識装置)は、手書入力受付機能専用の画面(以下、「画面1」という)と手書入力受付機能と表示機能とを兼用する画面(以下、「画面2」という)とを別個に備える。特許文献1に記載の文字入力装置は、画面1に手書き文字が入力されると、画面2上に、入力された手書き文字の認識結果や利用者の指示を受け付ける様々なオブジェクトを表示する。利用者は、オブジェクトの操作を行うことによって漢字変換や確定などを指示する。
【特許文献1】特開2000−123114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の文字入力装置は、利用者に画面上のオブジェクトに対する注視を要求するので、画面を注視することが適切とされていない利用環境(以下、「注視不適切環境」という。例えば、走行時のカーナビゲーション装置の利用環境)には不向きである。すなわち、特許文献1に記載の文字入力装置では、画面1に対する手書き文字の入力によって画面2に表示された文字の選択時に、画面2に表示された各オブジェクトの表示位置、および、各オブジェクトが受け付ける指示の内容を確認(注視)し、かつ、所望の指示を受け付けるオブジェクトに対し操作(注視)しなければならない。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものである。すなわち、注視不適切環境下において手書入力認識装置の利用者が画面を注視せずとも手書きによる文字入力から決定までの処理を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、本発明では、入力デバイスと、本体と、出力デバイスとから構成される文字入力システムを提供するようにしている。本体は、入力デバイス上の手書入力受付領域に入力された手書入力情報が文字または文字の一部であるときは、手書入力情報に基づいて抽出した候補文字を出力デバイスに出力する一方、手書入力情報が候補文字を選択するための選択符号であるときは、選択符号に基づいて候補文字のなかから決定文字を決定し出力デバイスに出力するようにしている。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成した本発明によれば、利用者は、画面(入力デバイスおよび出力デバイス)を注視することなく、画面(入力デバイス)の手書入力受付領域の適当な位置に文字または文字の一部を手書き入力し、また、この手書き入力の結果、画面(出力デバイス)に表示される候補文字を、画面(入力デバイス)上の手書入力受付領域の適当な位置に選択符号を手書き入力することによって、選択することができるようになる。すなわち、利用者は、注視不適切環境下において画面(入力デバイスおよび出力デバイス)を注視することなく、手書きによる文字入力から文字の決定までを行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態である文字入力システム1の構成例を示す図である。図2は、出力デバイス30の候補文字出力領域34を説明するための図である。文字入力システム1は、図1に示すように、本体10、入力デバイス20および出力デバイス30から構成される。入力デバイス20および出力デバイス30はそれぞれ、ケーブル5によって本体10と接続する。ケーブル5の一例は、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394などの規格によるものである。なお、入力デバイス20および出力デバイス30は、有線でなく無線によって本体10と接続してもよい。
【0009】
入力デバイス20は、ユーザから手書き入力を受け付ける手書入力受付領域22(例えば、タッチセンサを組み込む領域)を備える。入力デバイス20は、手書入力受付領域22を介して手書入力情報を取得する。入力デバイス20は、手書入力受付領域22を介して取得した手書入力情報を本体10に供給する。
【0010】
本体10は、入力デバイス20から手書入力情報を取得する。本体10は、入力デバイス20から文字または文字の一部の手書入力情報を取得した場合に、取得した手書入力情報を出力デバイス30に供給するとともに、取得した手書入力情報に基づいて1以上の候補文字を抽出して出力デバイス30に供給する。また、本体10は、候補文字を出力デバイス30に供給した場合に、必要に応じて、候補文字を選択するための選択符号を出力デバイス30に供給する。また、本体10は、入力デバイス20から選択符号の手書入力情報を取得した場合に、1以上の候補文字のなかから一の決定文字を決定して出力デバイス30に供給する。なお、本体10の動作の詳細については後述する。
【0011】
出力デバイス30は、入力文字出力領域32、候補文字出力領域34および決定文字出力領域36を備える。候補文字出力領域34は、図2(a)に示すように、第1出力エリア〜第8出力エリアから構成される。各出力エリアには、候補文字と、各出力エリアに出力されている候補文字を選択するための選択符号とが1つずつ出力される。例えば、図2(b)に示す例において、第1出力エリアには、候補文字「口」と、第1出力エリアに出力されている候補文字「口」を選択するための選択符号901(略円状の矢印の中に算数字の1)とが1つずつ出力されている。第2出力エリアには、候補文字「回」と、第2出力エリアに出力されている候補文字「回」を選択するための選択符号902(略円状の矢印の中に算数字の2)とが1つずつ出力されている。なお、各出力エリアは、出力エリアを識別する出力エリアIDにより識別される。
【0012】
出力デバイス30は、本体10から手書入力情報、候補文字、選択符号および決定文字を取得する。出力デバイス30は、本体10から文字または文字の一部の手書入力情報を取得した場合、取得した手書入力情報を入力文字として入力文字出力領域32に出力する。出力デバイス30は、本体10から候補文字または選択符号を取得した場合、取得した候補文字または選択符号を候補文字出力領域34(第1出力エリア〜第8出力エリア)に出力する。出力デバイス30は、本体10から決定文字を取得した場合、取得した決定文字を決定文字出力領域36に出力する。
【0013】
図3は、図1に示す本体10の構成例を示す図である。図4は、文字情報記憶部100に記憶される情報の一例を示す図である。図5は、選択符号関連記憶部102に記憶される情報の一例を示す図である。図6は、抽出文字一時記憶部141に記憶される情報の一例を示す図である。
【0014】
本体10は、図3に示すように、文字情報記憶部100、選択符号関連記憶部102、手書入力受付部110、判定部120、入力文字出力部130、候補文字出力部140、選択符号出力部150、決定文字出力部160および計時部170を備えて構成される。入力文字出力部130は、手書入力情報取得部132および手書入力情報送信部138を備えて構成される。候補文字出力部140は、抽出文字一時記憶部141、手書入力情報取得部142、候補文字抽出部144および候補文字送信部148を備えて構成される。選択符号出力部150は、選択符号取得部152および選択符号送信部158を備えて構成される。決定文字出力部160は、選択符号取得部162、文字決定部166および決定文字送信部168を備えて構成される。
【0015】
文字情報記憶部100は、図4に示すように、文字(フォント)に対応付けて、文字を認識するための認識データ(文字の外形の特徴などを示す情報)を記憶する。図4に示す例によれば、文字情報記憶部100は、例えば、文字ID「M00001」により識別される文字「口」に対応付けて、認識データ(例示略)を記憶している。なお、文字情報記憶部100に記憶された文字および認識データは、読み込み専用の情報である。
【0016】
選択符号関連記憶部102は、図5に示すように、選択符号に対応付けて、選択符号を認識するための認識データ(選択符号の外形の特徴などを示す情報)、および、選択符号の出力先を識別する出力エリアIDを対応付けて記憶する。図5に示す例によれば、選択符号関連記憶部102は、例えば、選択符号ID「S01」により識別される選択符号901に対応付けて、認識データ、および、第1出力エリアを識別する出力先ID「A01」を記憶している。なお、選択符号関連記憶部102に記憶された選択符号および認識データは、読み込み専用の情報である。なお、選択符号は、図案化した文字(フォント)、または、画像(静止画または動画)データである。
【0017】
抽出文字一時記憶部141は、図6に示すように、選択符号IDに対応付けて、出力中の候補文字、および、選択符号が出力中であるか否かを示す選択符号出力中フラグを記憶している。図6に示す例によれば、抽出文字一時記憶部141は、例えば、選択符号901を識別する選択符号ID「S01」に対応付けて、候補文字「口」、および、選択符号が出力中である旨を示す選択符号出力中フラグ「オン」を記憶している(選択符号901によって候補文字「口」が選択される旨、および、選択符号901は出力中である旨を記憶している)。なお、抽出文字一時記憶部141に記憶された選択符号IDは読み込み専用の情報、候補文字(初期値は空欄またはnull)および選択符号出力中フラグ(初期値はオフ)は読み書きされる情報である。
【0018】
手書入力受付部110は、入力デバイス20から手書入力情報を取得する。手書入力受付部110は、入力デバイス20から手書入力情報を取得した場合、入力デバイス20から取得した手書入力情報を判定部120に供給する。また、手書入力受付部110は、入力デバイス20から手書入力情報を取得した場合、手書入力情報を取得した旨の通知(以下、「手書入力情報取得通知」という)を計時部170に供給する。
【0019】
計時部170は、手書入力受付部110から手書入力情報取得通知を取得する。計時部170は、手書入力情報取得通知の取得時から計時を開始する(再度、手書入力情報取得通知を取得した場合には最初から計時を開始する)。計時部170は、計時した時間が所定の時間(例えば、0.2〜2秒の何れか)を経過した場合、つまり、所定の時間内に次の手書入力情報取得通知を取得しなかった場合、所定の時間を経過したときに、所定の時間内に次の手書入力情報を取得しなかった旨の通知(以下、「次手書入力情報未取得通知」という)を選択符号出力部150(選択符号取得部152)に供給する。
【0020】
判定部120は、手書入力受付部110から手書入力情報を取得する。判定部120は、手書入力受付部110から手書入力情報を取得した場合、文字情報記憶部100および選択符号関連記憶部102を参照し、当該手書入力情報が何れかの文字またはその一部に該当するか、または、何れかの選択符号(選択符号901〜908)に該当するかを判定(認識)する。
【0021】
判定部120は、当該手書入力情報が何れかの文字またはその一部に該当すると判定した場合、当該手書入力情報を入力文字抽出部130(手書入力情報取得部132)および候補文字出力部140(手書入力情報取得部142)に供給する。一方、判定部120は、当該手書入力情報が何れかの選択符号(選択符号901〜908)に該当すると判定した場合、該当した選択符号(選択符号901〜908の何れか)を識別する選択符号ID(選択符号ID「S01」〜選択符号ID「S08」の何れか)を決定文字出力部160(選択符号取得部162)に供給する。
【0022】
入力文字出力部130の手書入力情報取得部132は、判定部120から手書入力情報を取得する。手書入力情報取得部132は、判定部120から手書入力情報を取得した場合、判定部120から取得した手書入力情報を手書入力情報送信部138に供給する。
【0023】
入力文字出力部130の手書入力情報送信部138は、手書入力情報取得部132から手書入力情報を取得する。手書入力情報送信部138は、手書入力情報取得部132から手書入力情報を取得した場合、手書入力情報取得部132から取得した手書入力情報を出力デバイス30に送信する。なお、出力デバイス30は、手書入力情報送信部138から手書入力情報を取得した場合、取得した手書入力情報を入力文字として入力文字出力領域32に出力する。
【0024】
候補文字出力部140の手書入力情報取得部142は、判定部120から手書入力情報を取得する。手書入力情報取得部142は、判定部120から手書入力情報を取得した場合、判定部120から取得した手書入力情報を候補文字抽出部144に供給する。
【0025】
候補文字出力部140の候補文字抽出部144は、手書入力情報取得部142から手書入力情報を取得する。候補文字抽出部144は、手書入力情報取得部142から手書入力情報を取得した場合、文字情報記憶部100を参照し、1以上の文字(候補文字)を抽出する。候補文字抽出部144は、抽出情報一時記憶部141を参照し、今回抽出した1以上の候補文字の組み合わせが前回抽出した1以上の候補文字の組み合わせと同一であるか否かを判断する。候補文字抽出部144は、今回抽出した1以上の候補文字の組み合わせが前回抽出した1以上の候補文字の組み合わせと同一でないと判断した場合、抽出した1以上の候補文字を候補文字送信部148に供給する。
【0026】
また、候補文字抽出部144は、1以上の候補文字を候補文字送信部148に供給した場合、当該候補文字の数(以下、「候補文字数」という)を候補文字出力部150(選択符号取得部152)に供給(通知)する。また、候補文字抽出部144は、1以上の候補文字を候補文字送信部148に供給した場合、選択符号IDの若い方から詰めるようにして、候補文字数分の選択符号IDに対応付けて当該1以上の候補文字を抽出情報一時記憶部141に記憶するとともに、全ての選択符号IDに対応付けられた選択符号出力中フラグをオフ(非出力)にする。つまり、候補文字の組み合わせが前回と異なるため、一旦、全ての選択符号出力中フラグをオフにする。なお、後述するが、今回の候補文字の組み合わせに基づいて選択符号出力中フラグをオン(出力中)とするのは、選択符号出力部150(選択符号取得部152)である。
【0027】
候補文字出力部140の候補文字送信部148は、候補文字抽出部144から1以上の候補文字を取得する。候補文字送信部148は、候補文字抽出部144から1以上の候補文字を取得した場合、候補文字抽出部144から取得した1以上の候補文字を出力デバイス30に送信する。また、候補文字送信部148は、候補文字抽出部144から1以上の候補文字を取得した場合、選択符号を消去すべき旨の命令(以下、「選択符号消去命令」という)を出力デバイス30に送信する。候補文字の組み合わせが前回と異なるため、一旦、選択符号を消去させるためである。なお、出力デバイス30は、候補文字送信部148から1以上の候補文字を取得した場合、出力エリアの若い方から詰めるようにして当該1以上の候補文字を候補文字出力領域34に出力する。また、出力デバイス30は、候補文字送信部148から選択符号消去命令を取得した場合、出力中の選択符号を消去する。
【0028】
選択符号出力部150の選択符号取得部152は、候補文字出力部140(候補文字抽出部144)から候補文字数を取得する。また、選択符号取得部152は、計時部170から次手書入力情報未取得通知を取得する。選択符号取得部152は、候補文字数を取得したときは、選択符号関連記憶部102を参照し、選択符号IDの若い方から当該候補文字数分の選択符号および出力エリアIDを取得して一時記憶(候補文字数の再取得によって選択符号および出力エリアIDを再取得した場合、最後に取得した選択符号および出力エリアIDのみ一時記憶)する。選択符号取得部152は、次手書入力情報未取得通知を取得したときは、一時記憶している選択符号に対応する抽出情報一時記憶部141の選択符号出力中フラグをオン(出力中)にするとともに、一時記憶している選択符号および出力エリアIDを選択符号送信部158に供給する。
【0029】
選択符号出力部150の選択符号送信部158は、選択符号取得部152から選択符号および出力エリアIDを取得する。選択符号送信部158は、選択符号取得部152から選択符号および出力エリアIDを取得した場合、選択符号取得部152から取得した選択符号および出力エリアIDを出力デバイス30に送信する。なお、出力デバイス30は、選択符号送信部158から選択符号および出力エリアIDを取得した場合、選択符号および出力エリアIDに基づいて、出力エリアの若い方から詰めるようにして取得した選択符号を候補文字出力領域34に出力する。
【0030】
決定文字出力部160の選択符号取得部162は、判定部120から選択符号IDを取得する。選択符号取得部162は、判定部120から選択符号IDを取得した場合、判定部120から取得した選択符号IDを文字決定部166に供給する。
【0031】
決定文字出力部160の文字決定部166は、選択符号取得部162から選択符号IDを取得する。文字決定部166は、選択符号取得部162から選択符号IDを取得した場合、抽出文字一時記憶部141を参照し、当該選択符号IDに対応付けられた文字(候補文字)があるときは、つまり、当該選択符号IDにより識別される選択符号によって出力中の一の候補文字が選択されるときは、抽出文字一時記憶部141から当該一の候補文字(つまり決定文字)を取得して決定文字送信部168に供給する。文字決定部166は、決定文字を決定文字送信部168に供給した場合、抽出文字一時記憶部141に記憶されている全ての文字(候補文字)を消去するとともに、全ての選択符号出力中フラグをオフ(非出力)にする。後述するように、出力デバイス30に決定文字が出力される時、候補文字および選択符号が消去されるため、整合性を図ったものである。
【0032】
決定文字出力部160の決定文字送信部168は、文字決定部166から決定文字を取得する。決定文字送信部168は、文字決定部166から決定文字を取得した場合、文字決定部166から取得した決定文字を出力デバイス30に送信する。また、決定文字送信部168は、文字決定部166から決定文字を取得した場合、入力文字を消去すべき旨の命令(以下、「入力文字消去命令」という)、候補文字を消去すべき旨の命令(以下、「候補文字消去命令」)、および、選択符号消去命令を出力デバイス30に送信する。なお、出力デバイス30は、決定文字送信部168から決定文字を取得した場合、取得した決定文字を決定文字出力領域36に出力する。また、出力デバイス30は、決定文字送信部168から入力文字消去命令、候補文字消去命令および選択符号消去命令を取得した場合、出力中の入力文字、候補文字および選択符号を消去する。
【0033】
以下、文字入力システム1の動作について説明する。図7は、図1に示す文字入力システム1の動作の一例を示すフローチャートである。図7に示すフローチャートは、本体10の手書入力受付部110が入力デバイス20から手書入力情報を取得することにより開始する。
【0034】
図7において、判定部120は、手書入力受付部110から手書入力情報を取得する(ステップS100)。計時部170は、手書入力受付部110から手書入力情報取得通知を取得する。計時部170は、手書入力情報取得通知の取得時から計時を開始する(ステップS102)。また、判定部120は、文字情報記憶部100を参照し、手書入力受付部110から取得した手書入力情報が何れかの文字またはその一部に該当するか否かを判定(認識)する(ステップS105)。
【0035】
当該手書入力情報が何れかの文字またはその一部に該当すると判定部120にて判定した場合(ステップS105:Yes)、判定部120は、当該手書入力情報を手書入力情報取得部132に供給する。手書入力情報取得部132は、判定部120から取得した手書入力情報を手書入力情報送信部138に供給する。手書入力情報送信部138は、手書入力情報取得部132から取得した手書入力情報を出力デバイス30に送信する。出力デバイス30は、手書入力情報送信部138から取得した手書入力情報を入力文字として入力文字出力領域32に出力する(ステップS110)。
【0036】
更に、当該手書入力情報が何れかの文字またはその一部であると判定部120にて判定した場合(ステップS105:Yes)、判定部120は、当該手書入力情報を手書入力情報取得部142に供給する。手書入力情報取得部142は、判定部120から取得した手書入力情報を候補文字抽出部144に供給する。手書入力情報取得部142から手書入力情報を取得した候補文字抽出部144は、文字情報記憶部100を参照し、1以上の文字(候補文字)を抽出する(ステップS115)。候補文字抽出部144は、抽出情報一時記憶部141を参照し、今回抽出した1以上の候補文字の組み合わせが前回抽出した1以上の候補文字の組み合わせと同一であるか否かを判断する(ステップS120)。
【0037】
今回抽出した1以上の候補文字の組み合わせが前回抽出した1以上の候補文字の組み合わせと同一でないと候補文字抽出部144にて判断した場合(ステップS120:No)、候補文字抽出部144は、抽出した1以上の候補文字を選択符号IDの若い方から詰めるようにして抽出情報一時記憶部141に記憶するとともに全ての選択符号出力中フラグをオフ(非出力)し、候補文字数を選択符号取得部152に供給する。
【0038】
また、候補文字抽出部144は、抽出した1以上の候補文字を候補文字送信部148に供給する。候補文字抽出部144から1以上の候補文字を取得した候補文字送信部148は、取得した1以上の候補文字とともに、選択符号消去命令を出力デバイス30に送信する。出力デバイス30は、候補文字送信部148から取得した1以上の候補文字を、出力エリアの若い方から詰めるようにして候補文字出力領域34に出力する(ステップS125)。また、出力デバイス30は、候補文字送信部148から取得した選択符号消去命令に従って、候補文字出力領域34に出力中の選択符号を消去する(ステップS127)。なお、選択符号が候補文字出力領域34に出力されていない場合は、ステップS127を省略してもよい。
【0039】
候補文字数を取得した選択符号取得部152は、選択符号関連記憶部102を参照し、新たに出力する選択符号として、選択符号IDの若い方から当該候補文字数分の選択符号および出力エリアIDを取得して一時記憶する(ステップS129)。
【0040】
一方、今回抽出した1以上の候補文字の組み合わせが前回抽出した1以上の候補文字の組み合わせと同一であると候補文字抽出部144にて判断した場合(ステップS120:Yes)、ステップS125、ステップS127およびステップS129を飛ばしてステップS130に進む。また、ステップS100にて取得した手書入力情報が何れかの文字またはその一部に該当しないと判定部120にて判定した場合(ステップS105:No)、ステップS110からステップS129を飛ばしてステップS130に進む。
【0041】
ステップS105(No)、ステップS120(Yes)またはステップS129に続いて、判定部120は、選択符号関連記憶部102を参照し、ステップS100において手書入力受付部110から取得した手書入力情報が何れかの選択符号(選択符号901〜908)に該当するか否かを判定(認識)する(ステップS130)。
【0042】
手書入力受付部110から取得した手書入力情報が何れかの選択符号に該当すると判定部120にて判定した場合(ステップS130:Yes)、判定部120は、該当した選択符号(選択符号901〜908の何れか)を識別する選択符号ID(選択符号ID「S01」〜選択符号ID「S08」の何れか)を選択符号取得部162に供給する。選択符号取得部162は、判定部120から取得した選択符号IDを文字決定部166に供給する。文字決定部166は、選択符号取得部162から選択符号IDを取得した場合、抽出文字一時記憶部141を参照し、当該選択符号IDに対応付けられた文字(候補文字)があるか否か、つまり、当該選択符号IDにより識別される選択符号によって出力中の一の候補文字が選択されるか否かを判断する(ステップS135)。
【0043】
選択符号取得部162から取得した選択符号IDにより識別される選択符号によって出力中の一の候補文字が選択されると文字決定部166にて判断した場合(ステップS135:Yes)、文字決定部166は、抽出文字一時記憶部141から当該一の候補文字(決定文字)を取得して決定文字送信部168に供給する。また、文字決定部166は、抽出文字一時記憶部141に記憶されている文字(候補文字)を消去するとともに、全ての選択符号出力中フラグをオフ(非出力)にする。
【0044】
決定文字送信部168は、文字決定部166から決定文字を取得した場合、当該決定文字、入力文字消去命令、候補文字消去命令および選択符号消去命令を出力デバイス30に送信する。出力デバイス30は、決定文字送信部168から取得した決定文字を決定文字出力領域36に出力する(ステップS140)。また、出力デバイス30は、決定文字送信部168から取得した入力文字消去命令に従って、入力文字出力領域32に出力中の入力文字を消去する(ステップS142)。また、出力デバイス30は、決定文字送信部168から取得した候補文字消去命令に従って、候補文字出力領域34に出力中の候補文字を消去する(ステップS144)。また、出力デバイス30は、決定文字送信部168から取得した選択符号消去命令に従って、候補文字出力領域34に出力中の選択符号を消去する(ステップS146)。
【0045】
一方、選択符号取得部162から取得した選択符号IDにより識別される選択符号によって出力中の一の候補文字が選択されないと文字決定部166にて判断した場合(ステップS135:No)、ステップS140からステップS146を飛ばしてステップS150に進む。また、手書入力受付部110から取得した手書入力情報が何れの選択符号にも該当しないと判定部120にて判定した場合(ステップS130:No)、ステップS135からステップS146を飛ばしてステップS150に進む。
【0046】
ステップS130(No)、ステップS135(No)またはステップS146に続いて、計時部170は、計時した時間が所定の時間を経過したか否かを判断する(ステップS150)。計時した時間が所定の時間を経過したと計時部170にて判断した場合(ステップS150:Yes)、つまり、所定の時間内に次の手書入力情報取得通知を取得しなかった場合、計時部170は、次手書入力情報未取得通知を選択符号取得部152に供給する。
【0047】
次手書入力情報未取得通知を取得した選択符号取得部152は、抽出情報一時記憶部141の選択符号出力中フラグを参照し、選択符号が出力中であるか否かを判断する(ステップS160)。選択符号が出力中でないと選択符号取得部152にて判断した場合(ステップS160:No)、ステップS129において一時記憶している選択符号に対応する抽出情報一時記憶部141の選択符号出力中フラグをオン(出力中)にするとともに、一時記憶している選択符号および出力エリアIDを選択符号送信158に供給する。
【0048】
選択符号および出力エリアIDを取得した選択符号送信部158は、選択符号取得部152から取得した選択符号および出力エリアIDを出力デバイス30に送信する。出力デバイス30は、選択符号送信部158から選択符号および出力エリアIDを取得した場合、選択符号および出力エリアIDに基づいて、出力エリアの若い方から詰めるようにして取得した選択符号を候補文字出力領域34に出力する(ステップS170)。
【0049】
一方、計時した時間が所定の時間を経過していないと計時部170にて判断した場合(ステップS150:No)、ステップS160およびステップS170を飛ばしてステップS180に進む。また、選択符号が出力中であると選択符号取得部152にて判断した場合(ステップS160:Yes)、ステップS170を飛ばしてステップS180に進む。
【0050】
ステップS150(No)、ステップS160(Yes)またはステップS170に続いて、手書入力受付部110は入力デバイス20から次の手書入力情報を取得したか否かを判断する(ステップS180)。入力デバイス20から次の手書入力情報を取得したと手書入力受付部110にて判断した場合(ステップS180:Yes)、ステップS100に戻る。
【0051】
一方、入力デバイス20から次の手書入力情報を取得していないと手書入力受付部110にて判断した場合(ステップS180:No)、終了指示受付部(非図示)は、文字入力システム1の動作の終了を指示する入力を受け付けたか否かを判断する(ステップS190)。文字入力システム1の動作の終了を指示する入力を受け付けていないと終了指示受付部にて判断した場合(ステップS190:No)、ステップS150に戻る。一方、文字入力システム1の動作の終了を指示する入力を受け付けたと終了指示受付部にて判断した場合(ステップS190:Yes)、本フローチャートは終了する。
【0052】
図7のフローチャートを補足する。図8、図9は、入力デバイス20への入力内容の一例を示す図である。図10〜図13は、出力デバイス30の出力内容の一例を示す図である。入力デバイス20に何ら書き込んでいない状態(出力デバイス30にも何ら出力されていない状態)から、利用者が、図8(a)のように手書き入力した場合(実際には点線部分は表示しない。図8(b)、図9でも同じ)、判定部120は、手書入力受付部110を介して、図8(a)の手書き入力に対応する手書入力情報(以下、「手書入力情報A」という)を取得する(ステップS100)。手書入力受付部110から手書入力情報取得通知を取得した計時部170は、手書入力情報取得通知の取得時から計時を開始する(ステップS102)。
【0053】
判定部120は、手書入力情報Aが文字「口」などの一部に該当すると判定し(ステップS105:Yes)、手書入力情報Aを手書入力情報取得部132に供給する。これにより、出力デバイス30は、図10(a)のように手書入力情報Aを入力文字として入力文字出力領域32に出力する(ステップS110)。
【0054】
また、判定部120は、手書入力情報Aを手書入力情報取得部142に供給する。これにより、候補文字抽出部144は、候補文字「口」「回」「国」「田」「図」「囲」を抽出する(ステップS115)。そして候補文字抽出部144は、今回抽出した候補文字「口」「回」「国」「田」「図」「囲」の組み合わせが前回抽出した1以上の候補文字の組み合わせと同一でない(今回が始めての抽出であるため同一でない)と判断し(ステップS120:No)、候補文字数「6」を選択符号取得部152に供給し、候補文字「口」「回」「国」「田」「図」「囲」を候補文字送信部148に供給し、図6のように選択符号IDの若い方から詰めるようにして候補文字「口」「回」「国」「田」「図」「囲」を抽出情報一時記憶部141に記憶するとともに、全ての選択符号出力中フラグをオフ(非出力)する。
【0055】
候補文字送信部148は、候補文字抽出部144から取得した候補文字「口」「回」「国」「田」「図」「囲」とともに、選択符号消去命令を出力デバイス30に送信する。これにより、出力デバイス30は、図10(b)のように、候補文字出力領域34に、出力エリアの若い方から詰めるようにして、候補文字「口」「回」「国」「田」「図」「囲」を出力する(ステップS125)。
【0056】
候補文字数「6」を取得した選択符号取得部152は、選択符号関連記憶部102を参照し、選択符号IDの若い方から候補文字数「6」分である、選択符号901〜906および出力エリアID「A01〜A06」を取得して一時記憶する(ステップS129)。
【0057】
計時部170は、計時した時間が所定の時間を経過したと判断した場合(ステップS150:Yes)、次手書入力情報未取得通知を選択符号取得部152に供給する。次手書入力情報未取得通知を取得した選択符号取得部152は、選択符号が出力中でないと判断し(ステップS160:No)、図6に示すように、一時記憶している選択符号901〜906に対応する抽出情報一時記憶部141の選択符号出力中フラグをオン(出力中)にするとともに、一時記憶している選択符号901〜906および出力エリアID「A01〜A06」を選択符号送信部158に供給する。これにより、出力デバイス30は、図11(a)のように、文字出力領域34に、出力エリアの若い方から詰めるようにして、選択符号901〜906を出力する(ステップS170)。
【0058】
続いて、利用者が、図8(b)のように手書き入力した場合(実際には図8(a)に続く横線一本の入力であるが、説明上、図8(a)の入力内容も合わせて示している)、判定部120は、手書入力受付部110を介して、図8(b)の手書き入力に対応する手書入力情報(以下、「手書入力情報B」という)を取得する(ステップS180:Yes、ステップS100)。手書入力受付部110から手書入力情報取得通知を取得した計時部170は、手書入力情報取得通知の取得時から計時を開始する(ステップS102)。
【0059】
判定部120は、手書入力情報Bが文字「回」などの一部に該当すると判定し(ステップS105:Yes)、手書入力情報Bを手書入力情報取得部132に供給する。これにより、出力デバイス30は、図11(b)のように手書入力情報Bを入力文字として入力文字出力領域32に出力する(ステップS110)。なお、図11(b)の出力内容は、本フローチャートの構造上、出力され得るものであるが、表示されたとしても極めて短いタイミングか、実際には表示されない(図11(a)から図11(b)を飛ばして図12(a)に切り替わる)。
【0060】
また、判定部120は、手書入力情報Bを手書入力情報取得部142に供給する。これにより、候補文字抽出部144は、候補文字「回」「国」「囲」を抽出する(ステップS115)。そして候補文字抽出部144は、今回抽出した候補文字「回」「国」「囲」の組み合わせが前回抽出した候補文字「口」「回」「国」「田」「図」「囲」の組み合わせと同一でないと判断し(ステップS120:No)、候補文字数「3」を選択符号取得部152に供給し、候補文字「回」「国」「囲」を候補文字送信部148に供給し、選択符号IDの若い方から詰めるようにして候補文字「回」「国」「囲」を抽出情報一時記憶部141に記憶するとともに、全ての選択符号出力中フラグをオフ(非出力)にする。
【0061】
候補文字送信部148は、候補文字抽出部144から取得した候補文字「回」「国」「囲」とともに、選択符号消去命令を出力デバイス30に送信する。これにより、出力デバイス30は、図12(a)のように、候補文字出力領域34に、出力エリアの若い方から詰めるようにして、候補文字「回」「国」「囲」を出力し(ステップS125)、候補文字出力領域34に出力中の選択符号901〜906を消去する(ステップS127)。
【0062】
候補文字数「3」を取得した選択符号取得部152は、選択符号関連記憶部102を参照し、選択符号IDの若い方から候補文字数「3」分である、選択符号901〜903および出力エリアID「A01〜A03」を取得して一時記憶する(ステップS129)。
【0063】
計時部170は、計時した時間が所定の時間を経過したと判断した場合(ステップS150:Yes)、次手書入力情報未取得通知を選択符号取得部152に供給する。次手書入力情報未取得通知を取得した選択符号取得部152は、選択符号が出力中でないと判断し(ステップS160:No)、一時記憶している選択符号901〜903に対応する抽出情報一時記憶部141の選択符号出力中フラグをオン(出力中)にするとともに、一時記憶している選択符号901〜903および出力エリアID「A01〜A03」を選択符号送信158に供給する。これにより、出力デバイス30は、図12(b)のように、文字出力領域34に、出力エリアの若い方から詰めるようにして、選択符号901〜903を出力する(ステップS170)。
【0064】
続いて、利用者が、図9のように手書き入力した場合、判定部120は、手書入力受付部110を介して、図9の手書き入力に対応する手書入力情報(以下、「手書入力情報C」という)を取得する(ステップS180:Yes、ステップS100)。
【0065】
判定部120は、手書入力情報Cが文字などの一部に該当しないと判定し(ステップS105:No)、選択符号903に該当すると判定する(ステップS130:Yes)。判定部120は、該当した選択符号903を識別する選択符号ID「S03」を選択符号取得部162に供給する。選択符号取得部162は、選択符号ID「S03」を文字決定部166に供給する。文字決定部166は、選択符号ID「S03」により識別される選択符号によって出力中の一の候補文字「囲」が選択されと判断し(ステップS135:Yes)、抽出文字一時記憶部141に記憶されている候補文字を消去するとともに全ての選択符号出力中フラグをオフ(非出力)にする。
【0066】
また、文字決定部166は、抽出文字一時記憶部141から候補文字(つまり決定文字)「囲」を取得して決定文字送信部168に供給する。文字決定部166から決定文字を取得した決定文字送信部168は、決定文字「囲」、入力文字消去命令、候補文字消去命令および選択符号消去命令を出力デバイス30に送信する。これにより、出力デバイス30は、図13のように、決定文字「囲」を決定文字出力領域36に出力し(ステップS140)、入力文字出力領域32に出力中の入力文字を消去し(ステップS142)、候補文字出力領域34に出力中の候補文字「回」「国」「囲」を消去し(ステップS144)、候補文字出力領域34に出力中の選択符号901〜903を消去する(ステップS146)。
【0067】
なお、図7のフローチャートが示すように、候補文字を出力してから所定の時間が経過する前、つまり、選択符号が出力される前であっても、選択符号を入力することによって、候補文字(決定文字)を選択することができる。選択符号の出力の有無は、抽出文字一時記憶部141の選択符号出力中フラグに反映されるが、候補文字の選択は、抽出文字一時記憶部141の文字(候補文字)を参照するからである。つまり、選択符号出力中フラグがオフ(非表示)であっても、候補文字の選択は可能となる。これにより、各出力エリアと入力すべき選択符号との対応関係について充分に把握している利用者の場合、選択符号の出力を待たずに候補文字を選択することができる。
【0068】
以下、選択符号に関して補足する。図14は、選択符号の動作を説明する図である。選択符号は、図案化した文字(フォント)、または、画像(静止画または動画)データであると説明したが、選択符号901(選択符号902〜908も同様)が動画である場合、図14(a)〜図14(e)に示すように、初めは選択符号の一部分を見せ、徐々に全体を見せるような動作をする動画データ(例えば、動画GIFファイル)であってもよい。また、全体を見せた後にまた初めから動作してもよい(図14(e)後、図14(a)に戻る)。これにより、選択符号を利用者により印象付けることができる。
【0069】
以上、文字入力システム1によれば、利用者は、画面(入力デバイス20および出力デバイス30)を注視することなく、画面(入力デバイス20)の手書入力受付領域22の適当な位置に文字または文字の一部を手書き入力し、また、この手書き入力の結果、画面(出力デバイス30)に表示される候補文字を、画面(入力デバイス20)上の手書入力受付領域22の適当な位置に選択符号を手書き入力することによって、選択することができるようになる。すなわち、利用者は、例えば、走行時のカーナビゲーション装置の利用環境などの注視不適切環境下において、画面(入力デバイス20および出力デバイス30)を注視することなく、手書きによる文字入力から文字の決定までを行うことができるようになる。
【0070】
また、文字入力システム1は、入力デバイス20と出力デバイス30とが別体であるから、利用者が文字や選択符号を入力し易い位置に入力デバイス20を配し、出力デバイス30を見や易い位置に配することができる。これにより、利用者は、画面(出力デバイス30)を見るときの通常の姿勢のまま入力操作を行うことが不便である利用環境(以下、「通常姿勢操作不便環境」という。例えば、走行時のカーナビゲーション装置の利用環境)において、手元に配した入力デバイス20により、通常の姿勢のまま手書き入力をすることができるようになる。
【0071】
なお、上記実施形態では、略円状の矢印の中に算数字を描いた選択符号を用いたが、選択符号の外形はこれに限定されない。文字またはその一部として使われている外形でなく、かつ、候補文字の選択において利用者が直感的に把握できるようなものであればよい。
【0072】
また、上記実施形態では、候補文字出力領域34の各出力エリアに、候補文字を出力してから所定の時間が経過した後に選択符号を出力する態様であったが、候補文字と選択符号とを同時に出力する態様であってもよい。但し、同時に出力するよりも時間差で出力する場合、利用者に候補文字を印象付けた後に選択符号を提示することができる点において有利である。
【0073】
また、上記実施形態では、候補文字出力領域34の各出力エリアに、候補文字と選択符号とを1つずつ出力する態様であったが、各出力エリアには候補文字のみを1つずつ出力する態様であってもよい。各出力エリアと入力すべき選択符号との対応関係について充分に把握している利用者の場合、選択符号の出力は無用だからである。
【0074】
また、上記実施形態では、文字入力システム1は、本体10、入力デバイス20および出力デバイス30がそれぞれ別体であったが、入力デバイス20のみを別体とし本体10と出力デバイス30をと同一筐体としてもよい。入力デバイス20のみを別体とする場合であっても、利用者は、注視不適切環境下において、画面を注視することなく、手書きによる文字入力から文字の決定までを行うことができるようになる。また、利用者は、通常姿勢操作不便環境下において、手元に配した入力デバイス20により、通常の姿勢のまま手書き入力をすることができるようになる。
【0075】
更に、上記実施形態では、文字入力システム1は、本体10と入力デバイス20および出力デバイス30がそれぞれ別体であったが、本体10と入力デバイス20と出力デバイス30とを同一筐体としてもよい。本体10と入力デバイス20と出力デバイス30とを同一筐体とする場合であっても、利用者は、注視不適切環境下において、画面を注視することなく、手書きによる文字入力から文字の決定までを行うことができるようになる。
【0076】
また、上記実施形態において、候補文字出力領域34は、8個の出力エリア(第1出力エリア〜第8出力エリア)から構成されているが、出力エリア数はこれに限定されない。なお、候補文字出力領域34がn個の出力エリアから構成されている場合、選択符号関連記憶部102はn個の選択符号を記憶する。
【0077】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施形態である文字入力システムの構成例を示す図である。
【図2】出力デバイスの候補文字出力領域を説明するための図である。
【図3】図1に示す本体の構成例を示す図である。
【図4】文字情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【図5】選択符号関連記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【図6】抽出文字一時記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【図7】図1に示す文字入力システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】入力デバイスへの入力内容の一例を示す図である。
【図9】入力デバイスへの入力内容の一例を示す図である。
【図10】出力デバイスの出力内容の一例を示す図である。
【図11】出力デバイスの出力内容の一例を示す図である。
【図12】出力デバイスの出力内容の一例を示す図である。
【図13】出力デバイスの出力内容の一例を示す図である。
【図14】選択符号の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0079】
1 文字入力システム
5 ケーブル
10 本体
20 入力デバイス
22 手書き入力受付領域
30 出力デバイス
32 入力文字出力領域
34 候補文字出力領域
36 決定文字出力領域
100 文字情報記憶部
102 選択符号関連記憶部
110 手書入力受付部
120 判定部
130 入力文字出力部
132 手書入力情報取得部
138 手書入力情報送信部
140 候補文字出力部
141 抽出文字一時記憶部
142 手書入力情報取得部
144 候補文字抽出部
148 候補文字送信部
150 選択符号出力部
152 選択符号取得部
158 選択符号送信部
160 決定文字出力部
162 選択符号取得部
166 文字決定部
168 決定文字送信部
170 計時部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから手書き入力を受け付ける手書入力受付領域を備え、上記手書入力受付領域を介して手書入力情報を取得する入力デバイスと、上記手書入力情報に基づいて、1以上の候補文字を抽出し、上記1以上の候補文字のなかから選択された一の上記候補文字を決定文字として決定する本体と、上記1以上の候補文字を出力する候補文字出力領域および上記決定文字を出力する決定文字出力領域を備える出力デバイスとから構成される文字入力システムであって、
上記本体は、上記入力デバイスによって取得された上記手書入力情報が文字または文字の一部であるか、上記一の候補文字を選択するための選択符号であるかを判定する判定部と、
上記判定部によって文字または文字の一部であると判定された上記手書入力情報に基づいて1以上の候補文字を抽出し、上記出力デバイスの上記候補文字出力領域に出力する候補文字出力部と、
上記判定部によって上記選択符号であると判定された上記手書入力情報に基づいて、上記出力デバイスの上記候補文字出力領域に出力されている上記1以上の候補文字のなかから上記一の候補文字を上記決定文字として決定し、上記出力デバイスの上記決定文字出力領域に出力する決定文字出力部とを備えることを特徴とする文字入力システム。
【請求項2】
上記本体は、上記候補文字出力部によって出力された上記1以上の候補文字のそれぞれを選択するための上記選択符号を上記出力デバイスの上記候補文字出力領域に出力する選択符号出力部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の文字入力システム。
【請求項3】
上記選択符号出力部は、上記選択符号をアニメーションにより出力することを特徴とする請求項2に記載の文字入力システム。
【請求項4】
上記選択符号出力部は、上記1以上の候補文字が上記候補文字出力部によって上記出力デバイスの上記候補文字出力領域に出力されてから所定の時間内に、次の上記手書入力情報が上記入力デバイスによって取得されなった場合に、上記1以上の候補文字のそれぞれを選択するための上記選択符号を上記出力デバイスの上記候補文字出力領域に出力することを特徴とする請求項2に記載の文字入力システム。
【請求項5】
ユーザから手書き入力を受け付ける手書入力受付領域と、手書き入力された手書入力情報に基づいて1以上の候補文字を出力する候補文字出力領域と、上記1以上の候補文字のなかからユーザによって選択された一の候補文字を決定文字として出力する決定文字出力領域とを備える文字入力装置であって、
上記手書入力受付領域を介して上記手書入力情報を取得する手書入力情報取得部と、
上記手書入力情報取得部によって取得された上記手書入力情報が文字または文字の一部であるか、上記一の候補文字を選択するための選択符号であるかを判定する判定部と、
上記判定部によって文字または文字の一部であると判定された上記手書入力情報に基づいて1以上の候補文字を抽出し、上記候補文字出力領域に出力する候補文字出力部と、
上記判定部によって上記選択符号であると判定された上記手書入力情報に基づいて、上記候補文字出力領域に出力されている上記1以上の候補文字のなかから上記一の候補文字を上記決定文字として決定し、上記決定文字出力領域に出力する決定文字出力部とを備えることを特徴とする文字入力装置。
【請求項6】
ユーザによって手書き入力された手書入力情報に基づいて1以上の候補文字を出力し、上記1以上の候補文字のなかからユーザによって選択された一の候補文字を決定文字として決定する文字入力方法であって、
上記手書入力情報を取得する手書入力情報取得ステップと、
上記手書入力情報取得ステップによって取得された上記手書入力情報が文字または文字の一部であるか、上記一の候補文字を選択するための選択符号であるかを判定する判定ステップと、
上記判定ステップによって文字または文字の一部であると判定された上記手書入力情報に基づいて1以上の候補文字を抽出する候補文字抽出ステップと、
上記候補文字抽出ステップによって抽出された上記1以上の候補文字を出力する候補文字出力ステップと、
上記判定ステップによって上記選択符号であると判定された上記手書入力情報に基づいて、上記候補文字出力ステップにより出力された上記1以上の候補文字のなかから上記一の候補文字を上記決定文字として決定する決定文字決定ステップとを有することを特徴とする文字入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−223727(P2009−223727A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68853(P2008−68853)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】