文字入力装置、及びそれを備えた印刷装置
【課題】 固定されたカーソル位置に選択ダイアルによって選択された文字列の入力を可能とする「文字入力モード」と、当該選択ダイアルの操作によって前記カーソルの位置を変更できる「カーソル移動モード」と、を備える文字入力装置において、誤操作を防止して操作感を向上させる。
【解決手段】 「文字入力モード」と「カーソル移動モード」とで、前記表示手段におけるカーソルの表示形態を異ならせる。特に、「文字入力モード」ではカーソルが常時表示される表示形態で、「カーソル移動モード」ではカーソルが時間間隔をおいて表示および非表示を交互に反復する表示形態で、それぞれ表示されるようにする。
【解決手段】 「文字入力モード」と「カーソル移動モード」とで、前記表示手段におけるカーソルの表示形態を異ならせる。特に、「文字入力モード」ではカーソルが常時表示される表示形態で、「カーソル移動モード」ではカーソルが時間間隔をおいて表示および非表示を交互に反復する表示形態で、それぞれ表示されるようにする。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、文字をカーソル位置に入力する「文字入力モード」と、カーソル位置を変更する「カーソル移動モード」と、を有する入力装置の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、文字をカーソル位置に入力する「文字入力モード」と、カーソル位置を変更する「カーソル移動モード」の二つのモードを有する文字入力装置の構成は公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の入力装置は、現在「文字入力モード」であるか「カーソル移動モード」であるかの判別がユーザにとって容易でなく、誤操作の元となっていた。特に、「文字入力モード」で入力する文字を選択するための操作手段と、「カーソル移動モード」でカーソルを移動させるための操作手段を兼用させた場合は、現在のモードが何れであるかをユーザが間違って認識した場合は、誤操作に直結することとなる。即ち、文字を選択しようとして操作手段を操作すると意図に反してカーソルが動いてしまうし、あるいは、カーソルを動かそうとして操作手段を動かしても全く反応しないことになり、操作性が良いものとはいえなかった。
【0004】本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、現在「文字入力モード」と「カーソル移動モード」のいずれのモードであるかをユーザが容易に視認できるようにし、誤操作を防止し得る文字入力装置、及びそれを備えた印刷装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】即ち、請求項1においては、文字列を入力する入力手段と、この入力手段により入力された文字列を視覚的に表示し、併せて、その文字列を編集するために使用するカーソルを視覚的に表示する表示手段と、を有する文字入力装置において、前記カーソルの前記文字列に対する相対位置を固定して文字の入力位置を示し、前記入力手段による文字列の入力を可能とする、「文字入力モード」と、前記カーソルの前記文字列に対する相対位置を変更できる「カーソル移動モード」と、を備え、前記「文字入力モード」と「カーソル移動モード」とで、前記表示手段におけるカーソルの表示形態を異ならせたものである。
【0007】この構成により、ユーザはカーソルの表示形態を確認することにより、現在「文字入力モード」と「カーソル移動モード」のいずれのモードであるかをユーザが容易に確認できるので、誤操作の少ない操作性の良い入力装置を提供できる。
【0008】請求項2においては、文字入力装置であって、前記「カーソル移動モード」においては、前記表示手段におけるカーソルの表示位置を変更できるようにしたものである。
【0009】この構成により、カーソルの表示位置を固定して文字列の表示全体を移動させる構成に比して、カーソルの移動処理が簡素化される。
【0010】請求項3においては、文字入力装置であって、前記入力手段は、ダイアル式の第一操作手段と、第二操作手段を備え、前記「文字入力モード」においては、前記第一操作手段を回転することによって文字を選択し、第二操作手段を操作することによって前記選択した文字を前記表示手段におけるカーソルが示す位置へ入力可能とし、前記「カーソル移動モード」においては、前記第一操作手段を回転することによって前記カーソルの前記文字列に対する相対位置を変更可能とし、前記「文字入力モード」と「前記カーソル移動モード」とで前記第一操作手段を兼用したものである。
【0011】この構成では、第一操作手段の機能が、「文字入力モード」と「前記カーソル移動モード」とで全く異なることになる。しかしながら、現在のいずれのモードにあるかを容易に確認できる本構成によれば、誤操作も少なく、操作感の良さを損なうことがない。結果として、優れた操作感を保ったまま、第一操作手段の兼用によって部品点数を削減できるのである。
【0012】請求項4においては、文字入力装置であって、前記表示手段は、前記「文字入力モード」においてはカーソルが常に表示される表示形態で、前記「カーソル移動モード」においてはカーソルが時間間隔をおいて表示および非表示を交互に反復する表示形態で、カーソルを表示するものである。
【0013】この構成により、カーソルの表示形態が点灯か点滅かを制御するのみでよいから、カーソル表示関係の処理が簡素化される。また一般に、カーソルが常時表示されている表示形態よりも、カーソルが時間間隔をおいて表示/非表示を繰り返す表示形態の方が目立つ(視覚に対する刺激が強い)から、いま「カーソル移動モード」であることをユーザは容易に気づくことができ、誤操作を少なくすることができる。
【0014】請求項5においては、文字入力装置であって、「文字入力モード」から「カーソル移動モード」への切換は、前記第一操作手段を所定の位置に合わせて第二操作手段を操作することにより行われ、「カーソル移動モード」から「文字入力モード」への切換は、前記第二操作手段を操作することにより行われるものである。
【0015】この構成では、第二操作手段の機能も、「文字入力モード」と「前記カーソル移動モード」とで全く異なることになる。しかしながら、現在のいずれのモードにあるかを容易に確認できる本構成によれば、誤操作も少なく、操作感の良さを損なうことがない。結果として、優れた操作感を保ったまま、第二操作手段の兼用によって部品点数を削減できるのである。
【0016】請求項6においては、更に、前記入力された文字列を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された文字列を印刷する印刷手段とを備えて、印刷装置としたものである。
【0017】この構成により、前述の優れた操作性を有する文字入力操作装置を備えた印刷装置となって、使い勝手が向上される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る印刷装置の全体的な構成を示した平面図、図2は液晶ディスプレイの拡大図、図3は「文字入力モード」の操作例を示した説明図である。図4は「カーソル移動モード」の操作例を示した説明図である。
【0019】図1にその平面図が示される印刷装置1は、片面に粘着層を有するラベルテープ(被印字媒体)7に、アルファベットや数字や記号等からなる文字列を印刷するためのものである。
【0020】印刷装置1は、その本体ケース2の上面一側に選択ダイアル(第一操作手段)11を、他側に液晶ディスプレイ(表示手段)3を、それぞれ備えた構成となっている。本体ケース2にはラベルテープ7に印字するためのサーマルヘッドが内蔵され(図略)、また、巻かれた状態のラベルテープ7とインクリボンとを一体的に備えたカートリッジを、本体ケース2にセットできるようになっている。印字後のラベルテープ7は図1のように排出され、切断ボタン6を押すことで、本体内蔵のカット機構によりラベルテープ7を切断できるようになっている。
【0021】選択ダイアル11は円状の文字盤を備えており、本体ケース2の上面に回転可能に設けられている。選択ダイアル11の中央部分には入力ボタン(第二操作手段)12が配置されている。選択ダイアル11の近傍には、電源キー13やファンクションキー14や印刷キー15が配置されている。
【0022】選択ダイアル11の文字盤の部分には、その内周側と外周側の二列で、アルファベット「ABC・・・」や数字「123・・・」や記号「#!&・・・」等の文字を、等間隔で全周にわたって並べて配置してある(C1・C2)。本体ケース2には透明な合成樹脂で構成した表示部材4が設けられ、該表示部材4は、選択ダイアル11の上方を一部覆うようにせり出した形状とされる。表示部材4にはレンズ部5が形成されて、前記選択ダイアル11の外周側に付された文字C1のうち該レンズ部5に重なるものを、拡大して表示できるようになっている(図1では文字「A」が拡大されている)。
【0023】前記液晶ディスプレイ3は、選択ダイアル11と入力ボタン12(これらで入力手段が構成される)によって入力された文字列を表示するためのものであり、横に長い長方形状に構成されている。該液晶ディスプレイ3の拡大図である図2に示すように、その縦方向中央部には、横5ドット×縦7ドットのドットマトリクス式のキャラクタ表示部が横方向に八つ並べて配置され、同時に8文字を表示可能な文字表示領域21とされている。文字表示領域21の下側はカーソル表示領域22とされ、前記キャラクタ表示部のそれぞれに対応させて、横5ドット×縦1ドットの横線状のカーソル表示部が八つ並べて配置されている。
【0024】また、文字表示領域21の上側には、いずれも三角形状の、「大文字入力モード」表示部23U、「小文字入力モード」表示部23L、「数字・記号入力モード」表示部23N、「カーソル移動モード」表示部23Mが配置される。更には、白抜きや斜体・太字、下線、囲み文字等の文字修飾がされている場合にその旨を表示するための、逆三角形状の表示部24I・24U・24Aが、文字表示領域21の下側に配置されている。
【0025】この印刷装置に適用される文字入力装置は、大きく分けて「文字入力モード」と「カーソル移動モード」の、二つのモードを有している。「文字入力モード」は、選択ダイアル11を回転させることにより文字を選択し、入力ボタン12を押すことで、その選択した文字をカーソルの位置に入力できるモードである。「カーソル移動モード」は、選択ダイアル11を回転させることで、カーソルの位置を変更できるモードである。即ち、前記「文字入力モード」の文字選択操作と「カーソル移動モード」のカーソル移動操作とで、選択ダイアル11が兼用とされているのである。
【0026】本実施形態の印刷装置において、前記「文字入力モード」は、「大文字入力モード」「小文字入力モード」「数字・記号入力モード」の三つのモードを含む。「大文字入力モード」は、選択ダイアル11の外周側に付されているアルファベットC1を、そのまま大文字で入力するモードである。「小文字入力モード」は、選択ダイアル11の外周側に付されているアルファベットC1を、小文字で入力するモードである。「数字・記号入力モード」は、選択ダイアル11の内周側に付されている数字や記号・絵文字C2を入力するモードである。これら「大文字入力モード」「小文字入力モード」「数字・記号入力モード」の切換は、選択ダイアル11の近傍に配設される前記ファンクションキー14を押した後、選択ダイアル11および入力ボタン12の操作により切り換えることができる。
【0027】これら「大文字入力モード」「小文字入力モード」「数字・記号入力モード」では、液晶ディスプレイ3において、対応する前述のモード表示部23U・23L・23Nが点灯するように構成されている。従って、このモード表示部23U・23L・23Nを確認することで、いま何れのモードにあるかを知ることができ、ひいては入力ボタン12を押したときに入力されるのがアルファベットの大文字なのか、小文字なのか、数字等なのかを判別することができる。また、これらの三つのモード(文字入力モード)においては、カーソルは常に点灯される表示形態で液晶ディスプレイ3のカーソル表示領域22に表示される。
【0028】この「文字入力モード」における具体的な操作方法を説明する。「文字入力モード」では、所望の文字が前記表示部材4の位置に重なるように選択ダイアル11を回転させた上で、前記入力ボタン12を押すと、その表示部材4で示されている文字を印刷装置へ入力することができ、その文字が文字列に挿入される。その挿入される位置は、前述の液晶ディスプレイ3に表示されているカーソルの位置によって決定される。
【0029】図3の例を参照して説明する。文字表示領域21には、予め入力されている文字列「BROHER」が表示され、併せて、その「H」の文字の位置に、横棒状のカーソル50が表示されている。選択ダイアル11は、「Q」の文字が表示部材4の位置に来るよう合わせられているものとする。この状態から選択ダイアル11を反時計回りに三文字分回転させると、「T」の文字が表示部材4に重なる。その上で入力ボタン12を押すと、カーソルの表示されている「H」の文字の直前に当該文字「T」が挿入される結果、液晶ディスプレイ3の表示は「BROTHER」となる。
【0030】なお、前記選択ダイアル11には「一文字削除」を意味するアイコンCDが付されてあり(図1R>1)、文字を誤って入力した等の際には、このアイコンCDが表示部材4の直下に来るように選択ダイアル11を合わせて入力ボタン12を押すことで、カーソル直前の文字を一文字削除することができる。
【0031】この「文字入力モード」においては、カーソル50の文字列に対する相対位置(即ち、カーソルが文字列の何文字目に位置しているか)は固定とされおり、カーソル位置を変更することはできない。カーソルの位置を変更するためのモードが、前述の「カーソル移動モード」である。「文字入力モード」から「カーソル移動モード」へ切り換えるには、選択ダイアル11に付されている「カーソル移動モード移行」アイコンCMが表示部材4に重なるように該ダイアル11を回転させ、その上で入力ボタン12を操作すればよい。
【0032】この「カーソル移動モード」においては、選択ダイアル11を時計回り方向にn文字分回転させるとカーソルが右へn文字分移動し、反時計回り方向にn文字分回転させるとカーソルが左へn文字分移動するように構成される。
【0033】このモードにおけるカーソル移動操作を、図4の例を参照して説明する。この例では、予め入力されている文字列「BROHER」が液晶ディスプレイ3に表示され、その「H」の文字の位置にカーソル50が表示されている。この状態から選択ダイアル11を反時計回りに三文字分回転させると、カーソルは左へ三文字分移動し、「B」の位置に表示される。この状態で入力ボタン12を押すことで、カーソルは「B」の位置で確定されるとともに、「カーソル移動モード」から「文字入力モード」に切り換わる。
【0034】なお、9文字以上の文字列が入力されている場合は、液晶ディスプレイ3の文字表示領域21にはその8文字分を抜き出して表示するとともに、カーソル50の位置が表示領域の端に至っても選択ダイアル11が尚も操作される場合は、文字表示領域21の表示を適宜スクロールさせるようになっている。ただし、液晶ディスプレイ3におけるカーソル50の表示位置は中央位置で固定とし、選択ダイアル11の回転操作に応じて液晶ディスプレイ3の表示文字列がスクロールすることによっても、カーソルの移動を実現できる。
【0035】この「カーソル移動モード」においては、「カーソル移動モード」表示部23Mが点灯するとともに、カーソル50は適宜の時間間隔をおいて点灯・消灯を交互に反復する表示形態で液晶ディスプレイ3に表示されるので、ユーザは現在「カーソル移動モード」であることを容易に知ることができる。なお、図4の例では、時間間隔をおいて点滅しているカーソル50を、斜線のハッチングで示してある。
【0036】前記選択ダイアル11の操作位置を検出するための構成を、図5を参照して説明する。図5は選択ダイアルの位置検出構成を示した平面図一部断面図である。
【0037】前記本体ケース2内には適宜の位置に五つのフォトインタラプタ30が配置され、このフォトインタラプタ30の位置に対応させて、選択ダイアル11の下面には円弧状の遮光リブ31のパターンが同心円状に形成されている。各同心円上に設けられるそれぞれの遮光リブ31は、選択ダイアル11の中心角を2等分、4等分、8等分、16等分、32等分し、その分割された領域の一つおきに配設され、この遮光リブ31の有無のパターンが一連のコードパターンとされている。この構成で、この選択ダイアル11が回転すると、その回転角度に応じて遮光リブ31が、前記五つのフォトインタラプタ30の光路を横切って遮断する。この結果、前記遮光リブ31のコードパターンを前記五つのフォトインタラプタ30で検出することができ、この検出結果から、選択ダイアル11の操作位置(角度位置)を2の5乗の分解能(360°/25=11.25°の分解能)で検出することができる。
【0038】選択ダイアル11上に付された文字や記号C1,C2は、この選択ダイアル11の位置検出の分解能(25)に応じて、選択ダイアル11の全周を25=32等分した位置に、等間隔で配置されている。従って、フォトインタラプタ30のコードパターンを検出することで、選択ダイアル11の上の文字のいずれが前記表示部材4に重なっているかを判別することができる。
【0039】また、本体ケース2内部では前記選択ダイアル11に円筒状部分が形成されて、その内周面に25=32個の凹部41及び凸部42が全周にわたって交互に等間隔で形成される一方、本体ケース2側には該凹部41に係合する係合爪体43が配設されている。この係合爪体43は弾性を有する金属あるいは合成樹脂等で形成されるとともに、前記凹部41に係合する爪部44を有している。この構成で、選択ダイアル11を11.25°回転させる毎に、一の凹部41に係合していた爪部44は、係合爪体43の弾性変形により凸部42を乗り越え、隣の凹部41へ係合する。従って、選択ダイアル11を一文字分回転させる毎に、「カチ」といった音とともに適宜の引っ掛かり感がユーザの手に伝わるので、ユーザは選択ダイアル11を何文字分回転したかを容易に知覚することができる。
【0040】次に、前記印刷装置1の電気的構成を、図6R>6のブロック図を参照して説明する。図6は印刷装置のブロック図である。
【0041】この印刷装置1は、CPU(中央処理装置)61と、ROM(読出専用メモリ)62と、RAM(書込/読出メモリ)63を備えている。ROM62は、各種のプログラムや固定値を記憶させておくものであり、具体的には、メイン処理のプログラムや、メイン処理の中で実行されるサブルーチンのプログラムが記憶されている(62a)。また、後述するサーマルヘッド67によりラベルテープ7に印刷する際のドットパターンデータが、文字コードに対応付けられたテーブル62bの形で記憶されている。更には、ROM62には、選択ダイアル11の操作位置と、その上面に付されている文字との対応が、変換テーブル62cとして記憶されている。具体的にはこの変換テーブルは、後述の絶対値エンコーダ40により変換された信号と、それに対応する文字コードが、前述の「大文字入力モード」「小文字入力モード」「数字・記号入力モード」毎に関連付けられて記憶されるものである。
【0042】RAM63においては、後述するフラグやカウンタのための記憶領域63aが確保され、プログラム処理の実行の際に適宜書き込まれあるいは参照されて、CPU61による演算に用いられる。更にはRAM63は、入力データバッファ63bと印刷データバッファ63cとを備えている。入力データバッファ63bには、入力された文字列の情報や、斜体や太字などの文字修飾がなされているかの情報が記憶される。従って、本発明にいう記憶手段には、本実施形態においては、このRAM63が相当する。印刷データバッファ63cは、印刷されるデータを一時的に記憶するためのものである。即ち、前記印刷キー15が入力されると、入力データバッファ63bに記憶される文字列のデータが前述のドットパターンデータに変換された形で印刷データバッファ63cに書き込まれ、このドットパターンデータに従って、サーマルヘッド67によるドット印刷が行われる。
【0043】上述のCPU61、ROM62、RAM63は、バスライン64を介して相互に接続されており、このバスライン64はまた、I/Oインタフェース65に接続されている。
【0044】このI/Oインタフェース65は、異なる装置間でのデータ通信における接点の規定であり、他のデバイスと前記CPU61とを繋ぐための電気的な規格である。このI/Oインタフェース65には、選択ダイアル11の遮光リブ31のコードパターンを読み取るためのフォトインタラプタ30が、絶対値エンコーダ40を介して接続される。更には該I/Oインタフェース65には、前記入力ボタン12や印刷キー15等の各種操作ボタンが接続されるとともに、表示機構DM、印字機構(印刷手段)PMが接続されている。
【0045】絶対値エンコーダ40は、フォトインタラプタ30によって検出された選択ダイアル11の遮光リブ31の有無のパターン(コードパターン)を、エンコーダ信号に変換するためのものである。CPU61はこのエンコーダ信号により、選択ダイアル11が今どの位置に操作されているかを判別し、更には、前述のROM62に格納されている変換テーブル62bに基づいて、これに対応する文字コードを取得することができる。
【0046】表示機構DMは、前述の液晶ディスプレイ3と、この液晶ディスプレイ3に表示データを出力するための表示用RAMを有するLCDコントローラ66を備えた、公知のものである。このLCDコントローラ66は図示しない読出専用メモリを備え、液晶ディスプレイ3の文字表示領域21に表示する前記横5ドット・縦7ドットのドットパターンデータが格納されている。
【0047】印字機構PMは、ラベルテープ7を送るテープ送りモータ69を駆動するための駆動回路70と、サーマルヘッド67を駆動するための駆動回路68とで構成されている。
【0048】次に、前記プログラムの処理を説明する。図7はメインフローのフローチャート図である。図8は「文字入力モード」のサブルーチンを示すフローチャート図である。図9は「カーソル移動モード」のサブルーチンを示すフローチャート図である。図10は選択ダイアルの回転方向判定処理ルーチンを示すフローチャート図である。図11は選択ダイアルの回転前操作位置、回転後操作位置、中間位置を示す図、図12はサブルーチンで記憶された三つの中間位置の例を示す図である。図1313は表示更新処理のサブルーチンを示すフローチャート図である。
【0049】〔メインルーチン〕図7に示されるのはメインフローである。このメインルーチンにおいては、電源キー13により電源が投入されると、各種初期化処理が行われた後(ステップ101)、メインループに入る。このメインループでは先ず、現在のモードが「文字入力モード」か「カーソル移動モード」かの判定が行われ(ステップ102)、その判定結果に応じて異なるサブルーチンが実行される(ステップ103,104)。その後、液晶ディスプレイ3の表示更新のためのサブルーチンが実行されるとともに(ステップ105)、各モードに共通のその他の処理(例えば、印刷キー15の操作に応じた印刷処理など)が行われる(ステップ106)。本実施形態では、このステップ102〜106の一連の処理が、0.05秒毎に反復して行われるようになっている(1ループ回あたり0.05秒)。
【0050】〔文字入力モードのサブルーチン〕ステップ103で実行される「文字入力モード」の処理のためのサブルーチンが図8に示される。このサブルーチンでは先ず入力ボタン12が押されたか否かが判定される(ステップ201)。入力ボタン12が押されていない場合は、何もせずサブルーチンを抜ける。
【0051】入力ボタン12が押された場合は、選択ダイアル11の操作位置(以下、「ダイアル位置」)を絶対値エンコーダ40からの信号に基づいて取得した上で(ステップ202)、当該ダイアル位置がいずれであったかで分岐する(ステップ203)。カーソル移動モード移行アイコンCMが表示部材4に位置している場合は、現在の「文字入力モード」から「カーソル移動モード」に切り換えて(ステップ204)、サブルーチンを抜ける。一文字削除アイコンCDが表示部材4に位置している場合は、いま現在表示されているカーソルの直前の位置にある文字を一文字削除して(ステップ205)、サブルーチンを抜ける。それ以外の場合は、前述の変換テーブル62cに基づいて文字コードを取得し(ステップ206)、その文字を文字列のカーソルの位置の直前に追加して(ステップ207)、サブルーチンを抜ける。以上が、「文字入力モード」において実行されるサブルーチンである。
【0052】以上のようにサブルーチンが構成される結果、「文字入力モード」では以下のような処理が行われる。即ち、「文字入力モード」においては、ユーザが文字選択のために選択ダイアル11を回転させている間は、入力ボタン12が押されない限りは特に処理は行われない(ステップ201)。選択ダイアル11を所望の位置に合わせた後に入力ボタン12を押すことで、初めて選択ダイアル11の位置が取得され、その位置の判定が行われる(ステップ202,203)。この結果により、「カーソル移動モード」への切換や(ステップ204)、文字の削除処理や(ステップ205)、文字のカーソル位置への追加処理が(ステップ206,207)、択一的に行われる。
【0053】〔カーソル移動モードのサブルーチン〕次に、図7のステップ104で実行される、「カーソル移動モード」の処理のためのサブルーチンが図9に示される。このサブルーチンでは先ず、現在の選択ダイアル11の位置を取得するとともに(ステップ301)、回転操作中フラグの内容を調べ、その内容が真偽いずれであるかによって分岐する(ステップ302)。この回転操作中フラグは、選択ダイアル11が現在回転操作されているか否かの状態を格納するためのものであり、前記RAM63に予めその記憶領域が割り当てられている。
【0054】回転操作中フラグが「偽」であるときは、ステップ303で、前記ステップ301で取得した現在の選択ダイアル11のダイアル位置が、前回のループで(具体的には、前回のループで実行されたステップ307において)記憶したダイアル位置と異なるか否かを判定する。これが異なっていれば、選択ダイアル11の回転操作がたった今開始されたことを意味するから、ステップ304以降へ進む。即ち、前回のループで記憶したダイアル位置を回転前操作位置として記憶するとともに(ステップ304)、回転操作中フラグの内容を「真」に書き換え(ステップ305)、更には、後述の中間位置記憶のために使用するカウンタnの内容をゼロにセットする(ステップ306)。その後、現在のダイアル位置を記憶した上で(ステップ307)、サブルーチンを抜ける。
【0055】ステップ303において、現在の選択ダイアル11のダイアル位置が前回のループ時に記憶したダイアル位置と一致しているときは、選択ダイアル11が操作されず静止を続けていることを意味する。このときはステップ308に進んで、入力ボタン12が押されたか否かを判定する。入力ボタン12が押されているときは、現在のカーソル位置のまま文字入力モードへ切り換えて(ステップ309)、サブルーチンを抜ける。入力ボタン12が押されていないときは、現在のダイアル位置を記憶して(ステップ307)、サブルーチンの処理を終了する。
【0056】ステップ302において回転操作中フラグが「真」であったときは、カウンタnに1を加算した上で(ステップ310)、カウンタnが3以下であるか否かで分岐する(ステップ311)。もしカウンタnが3以下であるときは、ステップ301で取得したダイアル位置を、第n中間位置として、前記RAM63に記憶する(ステップ312)。この結果、回転操作が開始された直後の0.05秒後、0.10秒後、0.15秒後の選択ダイアル11の位置が、第1中間位置、第2中間位置、第3中間位置としてそれぞれ記憶されることになる。この記憶された中間位置は、後述する回転方向判定処理で用いられる。
【0057】次に、前記ステップ301で取得した現在の選択ダイアル11のダイアル位置が、前回のループで記憶したダイアル位置と同じか否かを判定する(ステップ313)。これが異なるときは、選択ダイアル11の操作が未だ終了していない(つまり、回転中)であることを意味するから、回転操作終了を判定するための判定カウンタCをゼロにリセットして(ステップ314)、現在のダイアル位置を記憶し(ステップ307)、サブルーチンの処理を終了する。
【0058】一方、ダイアル位置が同じときは、選択ダイアル11が静止していることを意味するから、判定カウンタCを1加算した上で(ステップ315)、該カウンタCの値が3に到達したかを判定する(ステップ316)。判定カウンタCの値が2以下であるときは、現在のダイアル位置を記憶して(ステップ307)、サブルーチンを抜ける。判定カウンタCの値が3以上となったとき(つまり、選択ダイアル11が静止状態で0.15秒以上保持されたとき)は、回転操作が終了したと判定して、回転操作中フラグの内容を「偽」に書き換えるとともに(ステップ317)、後述するダイアル回転方向判定処理のサブルーチンを実行する(ステップ318)。
【0059】その後、ダイアル回転量を計算する(ステップ319)。この計算には、前記ステップ318で判定された回転方向と、ステップ304で記憶した回転前操作位置と、ステップ301で取得した現在のダイアル位置が用いられる。このダイアル回転量およびダイアル回転方向に基づいてカーソルを移動させた後(ステップ320)、現在の選択ダイアル11の位置を記憶した上で(ステップ307)、サブルーチンの処理を終了する。以上が、「カーソル移動モード」において実行されるサブルーチンである。
【0060】以上のようにサブルーチンが構成される結果、「カーソル移動モード」では、選択ダイアル11の操作に応じて以下のような処理が行われる。回転操作中フラグが「偽」となっており、かつ、選択ダイアル11が静止しているときは、処理はステップ301→302→303と進む。選択ダイアル11は静止していることから、ステップ303において選択ダイアル11の位置は前回ループ時と同じと判定されるので、処理はステップ308→307と進み、カーソル移動に関する処理は行われない。
【0061】選択ダイアル11を回転し始めた直後は、回転操作中フラグが「偽」となっているが、選択ダイアル11の位置が前回ループ時と異なることになる。この結果、処理は301→302→303→304と進み、前回ループ時(即ち、回転操作が行われる直前)での選択ダイアル11の位置が、回転前操作位置として記憶される。更には、回転操作中フラグが「真」とされ(ステップ305)、カウンタnが「0」とされる(ステップ306)。
【0062】次回のループでは回転操作中フラグが「真」となっているため、処理はステップ301→302→310と進む。ここでは、内容が「0」であったカウンタnが1加算される結果「1」となり、ステップ312において、現在のダイアル位置が第1中間位置として記憶される。その次の回のループではカウンタnは「2」となるので、ステップ312において現在のダイアル位置が第2中間位置として記憶される。更に次の回のループではカウンタnは「3」となるので、ステップ312において現在のダイアル位置が第3中間位置として記憶される。即ち、回転操作が行われた直後の三回のループにおける選択ダイアル11の位置が、第1,第2,第3中間位置として記憶されるのである。
【0063】回転操作中フラグが「真」のときは、ステップ313において、前回ループ時のダイアル位置と現在のダイアル位置とが毎回のループにおいて比較される。選択ダイアル11が回転中であるときは、前回ループ時のダイアル位置と現在のダイアル位置とが異なることになるから、判定カウンタCの内容は「0」のままである(ステップ314)。
【0064】選択ダイアル11の回転操作を終了して静止させた後は、現在のダイアル位置と前回ループ時のダイアル位置とが同じであることが検出され、ループ一回につき判定カウンタCが1加算される(ステップ315)。判定カウンタCの内容はステップ316で判定される。判定カウンタCの内容が「3」となっているときは、選択ダイアル11の静止状態が3ループ分の時間(0.05×3=0.15秒)だけ継続したことを意味するから、これをもって選択ダイアル11の回転操作が終了したと判定し、回転操作中フラグが「偽」に戻されるとともに(ステップ317)、ステップ318以降の処理により、選択ダイアル11の移動量の分だけカーソルが移動することになる。
【0065】その次の回のループでは回転操作中フラグが「偽」となっており、かつ、選択ダイアル11が静止しているので、処理はステップ301→302→303→308と進む。なお、入力ボタン12を押した場合はステップ308においてその旨が検出され、文字入力モードに切り換わる(ステップ309)。
【0066】〔回転方向判定サブルーチン〕次に、図9のステップ318で実行される回転方向判定のためのサブルーチンを、図10のフロー図を参照して説明する。
【0067】このサブルーチンでは、初期化処理として、カウンタnが「1」にセットされ(ステップ401)、正方向・逆方向判定カウンタP1・P2がいずれも「0」にセットされる(ステップ402・403)。そして、図9のステップ304においてRAM63に記憶させた回転前操作位置から、選択ダイアル11を正方向(本実施形態では、反時計回り方向をいう)へ回転させる場合に、ステップ312において記憶された第n中間位置へ位置させるために必要な回転量(図11に示す角度A1)を計算する(ステップ404)。一方で、前述の回転前操作位置から選択ダイアル11を逆方向(時計回り方向)へ回転させる場合に、第n中間位置へ位置させるために必要な回転量(図11の角度A2)を計算する(ステップ405)。なお、図11から明らかなようにA2=360°−A1の関係があるため、この関係に基づいてA2を計算しても差し支えない。また、A1・A2ともに厳密な角度量として計算する必要もなく、選択ダイアル11を何文字分回転させれば中間位置へ位置させることができるかを計算できれば充分である。
【0068】この上でA1とA2とを比較して(ステップ406)、A1の方が小さい場合は正方向判定カウンタP1を1加算し(ステップ407)、それ以外の場合は逆方向判定カウンタP2を1加算する(ステップ408)。
【0069】このステップ404〜408の一連の処理を、カウンタnを加算しながらn=1,2,3の各場合において行うことで(ステップ409・410)、図10R>0のステップ312において記憶された第1中間位置,第2中間位置,第3中間位置のそれぞれについてA1,A2が計算されて比較され、その比較の結果が正方向判定カウンタP1および逆方向判定カウンタP2に累積されることになる。
【0070】前記ループ処理の終了後は、正方向判定カウンタP1と逆方向判定カウンタP2とが比較される(ステップ411)。P1>P2のときは、前記選択ダイアル11の回転操作は正方向だったと判定され(ステップ412)、それ以外のときは、前記選択ダイアル11の回転操作は逆方向だったと判定される(ステップ413)。以上が、「回転方向判定処理」サブルーチンである。
【0071】前記「回転方向判定処理」サブルーチンの処理について、具体的に説明する。図11には、選択ダイアル11の回転前操作位置と回転後操作位置の二位置が示されているが、この回転前操作位置から回転後操作位置に至るには、正方向に回転して至る場合と、逆方向に回転して至る場合が考えられる。この点、本実施形態の印刷装置は、選択ダイアル11の操作位置自体は前述のフォトインタラプタ30により検出することができるが、選択ダイアル11の回転されている方向を直接検出することはできない。
【0072】そこで、回転方向の判定に供するために、前記「カーソル移動モード」のサブルーチンにおいて、選択ダイアル11の回転が開始してから終了するまでの中間状態の位置(中間位置)を記憶しておくのである(図9のステップ312)。この中間位置は、選択ダイアル11の回転が開始されてから0.05秒〜0.15秒の短時間後に取得されるものであるため、この短い時間内に選択ダイアル11が半周(180°)以上回転操作されるケースは、現実的に想定できない。従って、前述のA1とA2を演算して比較することで、回転前操作位置から正方向/逆方向のいずれへ回転させればより少ない回転量で中間位置へ到達できるかを判定し、回転量の少ない側の方向(図11においてはA1<A2であるから、正方向)を判定結果として採用することで、選択ダイアル11の回転方向を判定できることになる。
【0073】なお、本実施形態においては、遮光リブ31とフォトインタラプタ30の組み合わせによって、選択ダイアル11の操作位置を検出する構成になっている。これは非接触方式であるため耐久性に優れる一方で、遮光リブ31の寸法誤差やフォトインタラプタ30の取付位置の誤差に起因して、選択ダイアル11の位置検出誤差が発生してしまうことになる。この検出誤差が発生する典型的なケースは、選択ダイアル11が、ある文字に相当する位置(例えば「A」)と、その隣の文字に相当する位置(例えば「B」)との、ちょうど中間に位置しているようなケースである。
【0074】このケースでは、フォトインタラプタ30には、遮光リブ31の有無の境界部分が位置することとなる。五つ全てのフォトインタラプタ30について遮光リブ31の有無の切り換わりが完全に一致しているのが理想であるが、遮光リブ31の製造誤差やフォトインタラプタ30の取付位置の誤差等から、各リブ31の有無の切り換わりにズレが生じることは避けられない。従って、このズレが生じてくる微小角度の領域においては、意図するコードパターンが得られず、選択ダイアル11の位置を誤って検出してしまう場合がある。即ち、前述の例に照らしていえば、「A」から「B」へ選択ダイアル11を回転させる際、選択ダイアル11の位置が例えば「Q」等と誤検出されてしまう角度領域が、僅かながら存在するのである。特に、回転中の選択ダイアル11の位置を取得する「カーソル移動モード」においては、選択ダイアル11が瞬間的に前記角度領域に位置する場合も多く、誤検出の可能性が高くなる。
【0075】このような検出の誤りの可能性を考慮して、本実施形態においては前述の中間位置を0.05秒ずつ時間をずらせて第1,第2,第3の三個取得しておき、回転方向判定処理においては三個の中間位置のそれぞれについて前述の値A1・A2を演算し、両値A1・A2を比較するようにしている。そして、その比較の結果を判定カウンタP1・P2に累積し、最終的にはP1とP2とを比較することで、多数決的に判定することとしているのである。
【0076】即ち、今まさに回転している選択ダイアル11のその瞬間の位置を取得するのが前記中間位置であるため、この中間位置の検出の際にも前述の誤りが生じる可能性が(例えば数パーセント程度)あるが、取得した三個の中間位置のうち二個以上が誤検出となる確率は極めて低いといえる。これを利用して、三個の中間位置から総合的に回転方向を判定することで、判定の正確性を高めているのである。
【0077】図12の例を参照して説明する。この図では、選択ダイアル11の回転開始から終了までの操作について、回転前の位置・回転後の操作位置とともに、図9R>9の「カーソル移動モード」のサブルーチンにおいて取得され記憶された三つの中間位置が示されている。この図では、三つの中間位置のうち、第1・第3中間位置は回転前操作位置より正方向側に位置する一方、第2中間位置は回転前操作位置より逆方向側に位置している。
【0078】このときは前記のサブルーチンは、第1中間位置についてはA1<A2であるためP1を1加算し、第2中間位置についてはA2<A1であるためP2を1加算し、第3中間位置についてはA1<A2であるためP1を1加算する。その結果、P1の内容は「2」,P2の内容は「1」となり、P1>P2であるから、回転方向は正方向と判定することになる。このように判定するということは、『第1・第3の二つの中間位置は正常に検出されたものであり、第2中間位置は誤検出によるものである』とみなすことを意味する。前述のとおり、取得した三個の中間位置のうち二個以上が誤検出となる確率は極めて低いということができるから、このサブルーチンの判断は確率的に妥当な判断ということができ、回転方向の判定制度に優れることになる。
【0079】〔表示更新処理サブルーチン〕最後に、表示更新処理のサブルーチンを図13のフロー図を参照して説明する。このサブルーチンでは先ず、現在のモードが「文字入力モード」か「カーソル移動モード」かで分岐する(ステップ501)。「文字入力モード」であるときは、単にカーソルを現在の位置に表示して(ステップ502)、サブルーチンを抜ける。「カーソル移動モード」の場合は、点滅カウンタを1加算し(ステップ503)、点滅カウンタが20に到達した場合は、点滅カウンタをゼロにリセットする(ステップ504,505)。その上で、点滅カウンタの値が9以下か10以上かで分岐し(ステップ506)、9以下である場合はカーソルを現在の位置に表示して(ステップ502)、10以上である場合はカーソルを表示せず(ステップ507)、いずれの場合もサブルーチンを抜ける。以上が、表示更新処理サブルーチンの処理である。
【0080】以上のようにサブルーチンを構成することにより、モードに応じて以下のように表示更新が行われる。即ち、「文字入力モード」では、処理はステップ501→502と進み、常にカーソルが表示される。一方、「カーソル移動モード」では、1ループ回ごとに点滅カウンタを1ずつ加算して、その値に応じてカーソルの表示/非表示の処理を行っている。即ち、最初の10ループ回ではカーソルが表示され(ステップ506→502)、次の10ループ回ではカーソルが非表示とされることになる(ステップ506→507)。つまり本実施形態では、0.05×10=0.5秒の時間間隔をおいてカーソルの表示/非表示が交互に反復されることになる。
【0081】以上に本発明の実施形態を説明してきたが、本発明の技術的範囲は以上の実施形態の構成に限るものではなく、種々の変形が可能である。
【0082】例えば本実施形態においては、「文字入力モード」の際の文字選択のため、および、「カーソル移動モード」の際のカーソル移動のために、共通の選択ダイアル11を用いる構成となっている。しかしながら、「カーソル移動モード」においてカーソルを移動させるために、特別のキーを設ける構成としても構わない。ただし、本実施形態のように操作手段を一つの選択ダイアル11で兼用することで、部品点数を減らすことができ、製造コストを低減できることになる。
【0083】また、液晶ディスプレイ3に表示されるカーソル50の形状としては、本実施形態のように横棒状のものに限らず、例えば縦棒状や四角形状としても構わない。更には、カーソルの表示形態を異ならせる構成としては、本実施形態のように点灯と点滅とを切り換えるものに限らず、例えばカーソルの表示色を異ならせたり、表示される形を異ならせたりすることも可能である。
【0084】なお、本発明の文字入力装置はラベルテープ用の印刷装置に限らず、他の印刷装置のほか、文字列の入力を必要とするあらゆる装置に適用が可能である。例えば、文字列のメールをやり取りできる携帯電話や携帯情報端末が考えられる。
【0085】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、いま現在「文字入力モード」「カーソル移動モード」のいずれのモードにあるかの判別が容易であるから、誤操作が防止され、操作感に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置の全体的な構成を示した平面図。
【図2】液晶ディスプレイの拡大図。
【図3】「文字入力モード」の操作例を示した説明図。
【図4】「カーソル移動モード」の操作例を示した説明図。
【図5】選択ダイアルの位置検出構成を示した平面図一部断面図。
【図6】印刷装置のブロック図。
【図7】メインフローのフローチャート図。
【図8】「文字入力モード」のサブルーチンを示すフローチャート図。
【図9】「カーソル移動モード」のサブルーチンを示すフローチャート図。
【図10】選択ダイアルの回転方向判定処理ルーチンを示すフローチャート図。
【図11】選択ダイアルの回転前操作位置、回転後操作位置、中間位置を示す図。
【図12】サブルーチンで記憶された三つの中間位置の例を示す図。
【図13】表示更新処理のサブルーチンを示すフローチャート図。
【符号の説明】
1 文字入力装置を備える印刷装置
3 液晶ディスプレイ(表示手段)
11 選択ダイアル(第一操作手段)
12 入力ボタン(第二操作手段)
50 カーソル
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、文字をカーソル位置に入力する「文字入力モード」と、カーソル位置を変更する「カーソル移動モード」と、を有する入力装置の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、文字をカーソル位置に入力する「文字入力モード」と、カーソル位置を変更する「カーソル移動モード」の二つのモードを有する文字入力装置の構成は公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の入力装置は、現在「文字入力モード」であるか「カーソル移動モード」であるかの判別がユーザにとって容易でなく、誤操作の元となっていた。特に、「文字入力モード」で入力する文字を選択するための操作手段と、「カーソル移動モード」でカーソルを移動させるための操作手段を兼用させた場合は、現在のモードが何れであるかをユーザが間違って認識した場合は、誤操作に直結することとなる。即ち、文字を選択しようとして操作手段を操作すると意図に反してカーソルが動いてしまうし、あるいは、カーソルを動かそうとして操作手段を動かしても全く反応しないことになり、操作性が良いものとはいえなかった。
【0004】本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、現在「文字入力モード」と「カーソル移動モード」のいずれのモードであるかをユーザが容易に視認できるようにし、誤操作を防止し得る文字入力装置、及びそれを備えた印刷装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】即ち、請求項1においては、文字列を入力する入力手段と、この入力手段により入力された文字列を視覚的に表示し、併せて、その文字列を編集するために使用するカーソルを視覚的に表示する表示手段と、を有する文字入力装置において、前記カーソルの前記文字列に対する相対位置を固定して文字の入力位置を示し、前記入力手段による文字列の入力を可能とする、「文字入力モード」と、前記カーソルの前記文字列に対する相対位置を変更できる「カーソル移動モード」と、を備え、前記「文字入力モード」と「カーソル移動モード」とで、前記表示手段におけるカーソルの表示形態を異ならせたものである。
【0007】この構成により、ユーザはカーソルの表示形態を確認することにより、現在「文字入力モード」と「カーソル移動モード」のいずれのモードであるかをユーザが容易に確認できるので、誤操作の少ない操作性の良い入力装置を提供できる。
【0008】請求項2においては、文字入力装置であって、前記「カーソル移動モード」においては、前記表示手段におけるカーソルの表示位置を変更できるようにしたものである。
【0009】この構成により、カーソルの表示位置を固定して文字列の表示全体を移動させる構成に比して、カーソルの移動処理が簡素化される。
【0010】請求項3においては、文字入力装置であって、前記入力手段は、ダイアル式の第一操作手段と、第二操作手段を備え、前記「文字入力モード」においては、前記第一操作手段を回転することによって文字を選択し、第二操作手段を操作することによって前記選択した文字を前記表示手段におけるカーソルが示す位置へ入力可能とし、前記「カーソル移動モード」においては、前記第一操作手段を回転することによって前記カーソルの前記文字列に対する相対位置を変更可能とし、前記「文字入力モード」と「前記カーソル移動モード」とで前記第一操作手段を兼用したものである。
【0011】この構成では、第一操作手段の機能が、「文字入力モード」と「前記カーソル移動モード」とで全く異なることになる。しかしながら、現在のいずれのモードにあるかを容易に確認できる本構成によれば、誤操作も少なく、操作感の良さを損なうことがない。結果として、優れた操作感を保ったまま、第一操作手段の兼用によって部品点数を削減できるのである。
【0012】請求項4においては、文字入力装置であって、前記表示手段は、前記「文字入力モード」においてはカーソルが常に表示される表示形態で、前記「カーソル移動モード」においてはカーソルが時間間隔をおいて表示および非表示を交互に反復する表示形態で、カーソルを表示するものである。
【0013】この構成により、カーソルの表示形態が点灯か点滅かを制御するのみでよいから、カーソル表示関係の処理が簡素化される。また一般に、カーソルが常時表示されている表示形態よりも、カーソルが時間間隔をおいて表示/非表示を繰り返す表示形態の方が目立つ(視覚に対する刺激が強い)から、いま「カーソル移動モード」であることをユーザは容易に気づくことができ、誤操作を少なくすることができる。
【0014】請求項5においては、文字入力装置であって、「文字入力モード」から「カーソル移動モード」への切換は、前記第一操作手段を所定の位置に合わせて第二操作手段を操作することにより行われ、「カーソル移動モード」から「文字入力モード」への切換は、前記第二操作手段を操作することにより行われるものである。
【0015】この構成では、第二操作手段の機能も、「文字入力モード」と「前記カーソル移動モード」とで全く異なることになる。しかしながら、現在のいずれのモードにあるかを容易に確認できる本構成によれば、誤操作も少なく、操作感の良さを損なうことがない。結果として、優れた操作感を保ったまま、第二操作手段の兼用によって部品点数を削減できるのである。
【0016】請求項6においては、更に、前記入力された文字列を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された文字列を印刷する印刷手段とを備えて、印刷装置としたものである。
【0017】この構成により、前述の優れた操作性を有する文字入力操作装置を備えた印刷装置となって、使い勝手が向上される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る印刷装置の全体的な構成を示した平面図、図2は液晶ディスプレイの拡大図、図3は「文字入力モード」の操作例を示した説明図である。図4は「カーソル移動モード」の操作例を示した説明図である。
【0019】図1にその平面図が示される印刷装置1は、片面に粘着層を有するラベルテープ(被印字媒体)7に、アルファベットや数字や記号等からなる文字列を印刷するためのものである。
【0020】印刷装置1は、その本体ケース2の上面一側に選択ダイアル(第一操作手段)11を、他側に液晶ディスプレイ(表示手段)3を、それぞれ備えた構成となっている。本体ケース2にはラベルテープ7に印字するためのサーマルヘッドが内蔵され(図略)、また、巻かれた状態のラベルテープ7とインクリボンとを一体的に備えたカートリッジを、本体ケース2にセットできるようになっている。印字後のラベルテープ7は図1のように排出され、切断ボタン6を押すことで、本体内蔵のカット機構によりラベルテープ7を切断できるようになっている。
【0021】選択ダイアル11は円状の文字盤を備えており、本体ケース2の上面に回転可能に設けられている。選択ダイアル11の中央部分には入力ボタン(第二操作手段)12が配置されている。選択ダイアル11の近傍には、電源キー13やファンクションキー14や印刷キー15が配置されている。
【0022】選択ダイアル11の文字盤の部分には、その内周側と外周側の二列で、アルファベット「ABC・・・」や数字「123・・・」や記号「#!&・・・」等の文字を、等間隔で全周にわたって並べて配置してある(C1・C2)。本体ケース2には透明な合成樹脂で構成した表示部材4が設けられ、該表示部材4は、選択ダイアル11の上方を一部覆うようにせり出した形状とされる。表示部材4にはレンズ部5が形成されて、前記選択ダイアル11の外周側に付された文字C1のうち該レンズ部5に重なるものを、拡大して表示できるようになっている(図1では文字「A」が拡大されている)。
【0023】前記液晶ディスプレイ3は、選択ダイアル11と入力ボタン12(これらで入力手段が構成される)によって入力された文字列を表示するためのものであり、横に長い長方形状に構成されている。該液晶ディスプレイ3の拡大図である図2に示すように、その縦方向中央部には、横5ドット×縦7ドットのドットマトリクス式のキャラクタ表示部が横方向に八つ並べて配置され、同時に8文字を表示可能な文字表示領域21とされている。文字表示領域21の下側はカーソル表示領域22とされ、前記キャラクタ表示部のそれぞれに対応させて、横5ドット×縦1ドットの横線状のカーソル表示部が八つ並べて配置されている。
【0024】また、文字表示領域21の上側には、いずれも三角形状の、「大文字入力モード」表示部23U、「小文字入力モード」表示部23L、「数字・記号入力モード」表示部23N、「カーソル移動モード」表示部23Mが配置される。更には、白抜きや斜体・太字、下線、囲み文字等の文字修飾がされている場合にその旨を表示するための、逆三角形状の表示部24I・24U・24Aが、文字表示領域21の下側に配置されている。
【0025】この印刷装置に適用される文字入力装置は、大きく分けて「文字入力モード」と「カーソル移動モード」の、二つのモードを有している。「文字入力モード」は、選択ダイアル11を回転させることにより文字を選択し、入力ボタン12を押すことで、その選択した文字をカーソルの位置に入力できるモードである。「カーソル移動モード」は、選択ダイアル11を回転させることで、カーソルの位置を変更できるモードである。即ち、前記「文字入力モード」の文字選択操作と「カーソル移動モード」のカーソル移動操作とで、選択ダイアル11が兼用とされているのである。
【0026】本実施形態の印刷装置において、前記「文字入力モード」は、「大文字入力モード」「小文字入力モード」「数字・記号入力モード」の三つのモードを含む。「大文字入力モード」は、選択ダイアル11の外周側に付されているアルファベットC1を、そのまま大文字で入力するモードである。「小文字入力モード」は、選択ダイアル11の外周側に付されているアルファベットC1を、小文字で入力するモードである。「数字・記号入力モード」は、選択ダイアル11の内周側に付されている数字や記号・絵文字C2を入力するモードである。これら「大文字入力モード」「小文字入力モード」「数字・記号入力モード」の切換は、選択ダイアル11の近傍に配設される前記ファンクションキー14を押した後、選択ダイアル11および入力ボタン12の操作により切り換えることができる。
【0027】これら「大文字入力モード」「小文字入力モード」「数字・記号入力モード」では、液晶ディスプレイ3において、対応する前述のモード表示部23U・23L・23Nが点灯するように構成されている。従って、このモード表示部23U・23L・23Nを確認することで、いま何れのモードにあるかを知ることができ、ひいては入力ボタン12を押したときに入力されるのがアルファベットの大文字なのか、小文字なのか、数字等なのかを判別することができる。また、これらの三つのモード(文字入力モード)においては、カーソルは常に点灯される表示形態で液晶ディスプレイ3のカーソル表示領域22に表示される。
【0028】この「文字入力モード」における具体的な操作方法を説明する。「文字入力モード」では、所望の文字が前記表示部材4の位置に重なるように選択ダイアル11を回転させた上で、前記入力ボタン12を押すと、その表示部材4で示されている文字を印刷装置へ入力することができ、その文字が文字列に挿入される。その挿入される位置は、前述の液晶ディスプレイ3に表示されているカーソルの位置によって決定される。
【0029】図3の例を参照して説明する。文字表示領域21には、予め入力されている文字列「BROHER」が表示され、併せて、その「H」の文字の位置に、横棒状のカーソル50が表示されている。選択ダイアル11は、「Q」の文字が表示部材4の位置に来るよう合わせられているものとする。この状態から選択ダイアル11を反時計回りに三文字分回転させると、「T」の文字が表示部材4に重なる。その上で入力ボタン12を押すと、カーソルの表示されている「H」の文字の直前に当該文字「T」が挿入される結果、液晶ディスプレイ3の表示は「BROTHER」となる。
【0030】なお、前記選択ダイアル11には「一文字削除」を意味するアイコンCDが付されてあり(図1R>1)、文字を誤って入力した等の際には、このアイコンCDが表示部材4の直下に来るように選択ダイアル11を合わせて入力ボタン12を押すことで、カーソル直前の文字を一文字削除することができる。
【0031】この「文字入力モード」においては、カーソル50の文字列に対する相対位置(即ち、カーソルが文字列の何文字目に位置しているか)は固定とされおり、カーソル位置を変更することはできない。カーソルの位置を変更するためのモードが、前述の「カーソル移動モード」である。「文字入力モード」から「カーソル移動モード」へ切り換えるには、選択ダイアル11に付されている「カーソル移動モード移行」アイコンCMが表示部材4に重なるように該ダイアル11を回転させ、その上で入力ボタン12を操作すればよい。
【0032】この「カーソル移動モード」においては、選択ダイアル11を時計回り方向にn文字分回転させるとカーソルが右へn文字分移動し、反時計回り方向にn文字分回転させるとカーソルが左へn文字分移動するように構成される。
【0033】このモードにおけるカーソル移動操作を、図4の例を参照して説明する。この例では、予め入力されている文字列「BROHER」が液晶ディスプレイ3に表示され、その「H」の文字の位置にカーソル50が表示されている。この状態から選択ダイアル11を反時計回りに三文字分回転させると、カーソルは左へ三文字分移動し、「B」の位置に表示される。この状態で入力ボタン12を押すことで、カーソルは「B」の位置で確定されるとともに、「カーソル移動モード」から「文字入力モード」に切り換わる。
【0034】なお、9文字以上の文字列が入力されている場合は、液晶ディスプレイ3の文字表示領域21にはその8文字分を抜き出して表示するとともに、カーソル50の位置が表示領域の端に至っても選択ダイアル11が尚も操作される場合は、文字表示領域21の表示を適宜スクロールさせるようになっている。ただし、液晶ディスプレイ3におけるカーソル50の表示位置は中央位置で固定とし、選択ダイアル11の回転操作に応じて液晶ディスプレイ3の表示文字列がスクロールすることによっても、カーソルの移動を実現できる。
【0035】この「カーソル移動モード」においては、「カーソル移動モード」表示部23Mが点灯するとともに、カーソル50は適宜の時間間隔をおいて点灯・消灯を交互に反復する表示形態で液晶ディスプレイ3に表示されるので、ユーザは現在「カーソル移動モード」であることを容易に知ることができる。なお、図4の例では、時間間隔をおいて点滅しているカーソル50を、斜線のハッチングで示してある。
【0036】前記選択ダイアル11の操作位置を検出するための構成を、図5を参照して説明する。図5は選択ダイアルの位置検出構成を示した平面図一部断面図である。
【0037】前記本体ケース2内には適宜の位置に五つのフォトインタラプタ30が配置され、このフォトインタラプタ30の位置に対応させて、選択ダイアル11の下面には円弧状の遮光リブ31のパターンが同心円状に形成されている。各同心円上に設けられるそれぞれの遮光リブ31は、選択ダイアル11の中心角を2等分、4等分、8等分、16等分、32等分し、その分割された領域の一つおきに配設され、この遮光リブ31の有無のパターンが一連のコードパターンとされている。この構成で、この選択ダイアル11が回転すると、その回転角度に応じて遮光リブ31が、前記五つのフォトインタラプタ30の光路を横切って遮断する。この結果、前記遮光リブ31のコードパターンを前記五つのフォトインタラプタ30で検出することができ、この検出結果から、選択ダイアル11の操作位置(角度位置)を2の5乗の分解能(360°/25=11.25°の分解能)で検出することができる。
【0038】選択ダイアル11上に付された文字や記号C1,C2は、この選択ダイアル11の位置検出の分解能(25)に応じて、選択ダイアル11の全周を25=32等分した位置に、等間隔で配置されている。従って、フォトインタラプタ30のコードパターンを検出することで、選択ダイアル11の上の文字のいずれが前記表示部材4に重なっているかを判別することができる。
【0039】また、本体ケース2内部では前記選択ダイアル11に円筒状部分が形成されて、その内周面に25=32個の凹部41及び凸部42が全周にわたって交互に等間隔で形成される一方、本体ケース2側には該凹部41に係合する係合爪体43が配設されている。この係合爪体43は弾性を有する金属あるいは合成樹脂等で形成されるとともに、前記凹部41に係合する爪部44を有している。この構成で、選択ダイアル11を11.25°回転させる毎に、一の凹部41に係合していた爪部44は、係合爪体43の弾性変形により凸部42を乗り越え、隣の凹部41へ係合する。従って、選択ダイアル11を一文字分回転させる毎に、「カチ」といった音とともに適宜の引っ掛かり感がユーザの手に伝わるので、ユーザは選択ダイアル11を何文字分回転したかを容易に知覚することができる。
【0040】次に、前記印刷装置1の電気的構成を、図6R>6のブロック図を参照して説明する。図6は印刷装置のブロック図である。
【0041】この印刷装置1は、CPU(中央処理装置)61と、ROM(読出専用メモリ)62と、RAM(書込/読出メモリ)63を備えている。ROM62は、各種のプログラムや固定値を記憶させておくものであり、具体的には、メイン処理のプログラムや、メイン処理の中で実行されるサブルーチンのプログラムが記憶されている(62a)。また、後述するサーマルヘッド67によりラベルテープ7に印刷する際のドットパターンデータが、文字コードに対応付けられたテーブル62bの形で記憶されている。更には、ROM62には、選択ダイアル11の操作位置と、その上面に付されている文字との対応が、変換テーブル62cとして記憶されている。具体的にはこの変換テーブルは、後述の絶対値エンコーダ40により変換された信号と、それに対応する文字コードが、前述の「大文字入力モード」「小文字入力モード」「数字・記号入力モード」毎に関連付けられて記憶されるものである。
【0042】RAM63においては、後述するフラグやカウンタのための記憶領域63aが確保され、プログラム処理の実行の際に適宜書き込まれあるいは参照されて、CPU61による演算に用いられる。更にはRAM63は、入力データバッファ63bと印刷データバッファ63cとを備えている。入力データバッファ63bには、入力された文字列の情報や、斜体や太字などの文字修飾がなされているかの情報が記憶される。従って、本発明にいう記憶手段には、本実施形態においては、このRAM63が相当する。印刷データバッファ63cは、印刷されるデータを一時的に記憶するためのものである。即ち、前記印刷キー15が入力されると、入力データバッファ63bに記憶される文字列のデータが前述のドットパターンデータに変換された形で印刷データバッファ63cに書き込まれ、このドットパターンデータに従って、サーマルヘッド67によるドット印刷が行われる。
【0043】上述のCPU61、ROM62、RAM63は、バスライン64を介して相互に接続されており、このバスライン64はまた、I/Oインタフェース65に接続されている。
【0044】このI/Oインタフェース65は、異なる装置間でのデータ通信における接点の規定であり、他のデバイスと前記CPU61とを繋ぐための電気的な規格である。このI/Oインタフェース65には、選択ダイアル11の遮光リブ31のコードパターンを読み取るためのフォトインタラプタ30が、絶対値エンコーダ40を介して接続される。更には該I/Oインタフェース65には、前記入力ボタン12や印刷キー15等の各種操作ボタンが接続されるとともに、表示機構DM、印字機構(印刷手段)PMが接続されている。
【0045】絶対値エンコーダ40は、フォトインタラプタ30によって検出された選択ダイアル11の遮光リブ31の有無のパターン(コードパターン)を、エンコーダ信号に変換するためのものである。CPU61はこのエンコーダ信号により、選択ダイアル11が今どの位置に操作されているかを判別し、更には、前述のROM62に格納されている変換テーブル62bに基づいて、これに対応する文字コードを取得することができる。
【0046】表示機構DMは、前述の液晶ディスプレイ3と、この液晶ディスプレイ3に表示データを出力するための表示用RAMを有するLCDコントローラ66を備えた、公知のものである。このLCDコントローラ66は図示しない読出専用メモリを備え、液晶ディスプレイ3の文字表示領域21に表示する前記横5ドット・縦7ドットのドットパターンデータが格納されている。
【0047】印字機構PMは、ラベルテープ7を送るテープ送りモータ69を駆動するための駆動回路70と、サーマルヘッド67を駆動するための駆動回路68とで構成されている。
【0048】次に、前記プログラムの処理を説明する。図7はメインフローのフローチャート図である。図8は「文字入力モード」のサブルーチンを示すフローチャート図である。図9は「カーソル移動モード」のサブルーチンを示すフローチャート図である。図10は選択ダイアルの回転方向判定処理ルーチンを示すフローチャート図である。図11は選択ダイアルの回転前操作位置、回転後操作位置、中間位置を示す図、図12はサブルーチンで記憶された三つの中間位置の例を示す図である。図1313は表示更新処理のサブルーチンを示すフローチャート図である。
【0049】〔メインルーチン〕図7に示されるのはメインフローである。このメインルーチンにおいては、電源キー13により電源が投入されると、各種初期化処理が行われた後(ステップ101)、メインループに入る。このメインループでは先ず、現在のモードが「文字入力モード」か「カーソル移動モード」かの判定が行われ(ステップ102)、その判定結果に応じて異なるサブルーチンが実行される(ステップ103,104)。その後、液晶ディスプレイ3の表示更新のためのサブルーチンが実行されるとともに(ステップ105)、各モードに共通のその他の処理(例えば、印刷キー15の操作に応じた印刷処理など)が行われる(ステップ106)。本実施形態では、このステップ102〜106の一連の処理が、0.05秒毎に反復して行われるようになっている(1ループ回あたり0.05秒)。
【0050】〔文字入力モードのサブルーチン〕ステップ103で実行される「文字入力モード」の処理のためのサブルーチンが図8に示される。このサブルーチンでは先ず入力ボタン12が押されたか否かが判定される(ステップ201)。入力ボタン12が押されていない場合は、何もせずサブルーチンを抜ける。
【0051】入力ボタン12が押された場合は、選択ダイアル11の操作位置(以下、「ダイアル位置」)を絶対値エンコーダ40からの信号に基づいて取得した上で(ステップ202)、当該ダイアル位置がいずれであったかで分岐する(ステップ203)。カーソル移動モード移行アイコンCMが表示部材4に位置している場合は、現在の「文字入力モード」から「カーソル移動モード」に切り換えて(ステップ204)、サブルーチンを抜ける。一文字削除アイコンCDが表示部材4に位置している場合は、いま現在表示されているカーソルの直前の位置にある文字を一文字削除して(ステップ205)、サブルーチンを抜ける。それ以外の場合は、前述の変換テーブル62cに基づいて文字コードを取得し(ステップ206)、その文字を文字列のカーソルの位置の直前に追加して(ステップ207)、サブルーチンを抜ける。以上が、「文字入力モード」において実行されるサブルーチンである。
【0052】以上のようにサブルーチンが構成される結果、「文字入力モード」では以下のような処理が行われる。即ち、「文字入力モード」においては、ユーザが文字選択のために選択ダイアル11を回転させている間は、入力ボタン12が押されない限りは特に処理は行われない(ステップ201)。選択ダイアル11を所望の位置に合わせた後に入力ボタン12を押すことで、初めて選択ダイアル11の位置が取得され、その位置の判定が行われる(ステップ202,203)。この結果により、「カーソル移動モード」への切換や(ステップ204)、文字の削除処理や(ステップ205)、文字のカーソル位置への追加処理が(ステップ206,207)、択一的に行われる。
【0053】〔カーソル移動モードのサブルーチン〕次に、図7のステップ104で実行される、「カーソル移動モード」の処理のためのサブルーチンが図9に示される。このサブルーチンでは先ず、現在の選択ダイアル11の位置を取得するとともに(ステップ301)、回転操作中フラグの内容を調べ、その内容が真偽いずれであるかによって分岐する(ステップ302)。この回転操作中フラグは、選択ダイアル11が現在回転操作されているか否かの状態を格納するためのものであり、前記RAM63に予めその記憶領域が割り当てられている。
【0054】回転操作中フラグが「偽」であるときは、ステップ303で、前記ステップ301で取得した現在の選択ダイアル11のダイアル位置が、前回のループで(具体的には、前回のループで実行されたステップ307において)記憶したダイアル位置と異なるか否かを判定する。これが異なっていれば、選択ダイアル11の回転操作がたった今開始されたことを意味するから、ステップ304以降へ進む。即ち、前回のループで記憶したダイアル位置を回転前操作位置として記憶するとともに(ステップ304)、回転操作中フラグの内容を「真」に書き換え(ステップ305)、更には、後述の中間位置記憶のために使用するカウンタnの内容をゼロにセットする(ステップ306)。その後、現在のダイアル位置を記憶した上で(ステップ307)、サブルーチンを抜ける。
【0055】ステップ303において、現在の選択ダイアル11のダイアル位置が前回のループ時に記憶したダイアル位置と一致しているときは、選択ダイアル11が操作されず静止を続けていることを意味する。このときはステップ308に進んで、入力ボタン12が押されたか否かを判定する。入力ボタン12が押されているときは、現在のカーソル位置のまま文字入力モードへ切り換えて(ステップ309)、サブルーチンを抜ける。入力ボタン12が押されていないときは、現在のダイアル位置を記憶して(ステップ307)、サブルーチンの処理を終了する。
【0056】ステップ302において回転操作中フラグが「真」であったときは、カウンタnに1を加算した上で(ステップ310)、カウンタnが3以下であるか否かで分岐する(ステップ311)。もしカウンタnが3以下であるときは、ステップ301で取得したダイアル位置を、第n中間位置として、前記RAM63に記憶する(ステップ312)。この結果、回転操作が開始された直後の0.05秒後、0.10秒後、0.15秒後の選択ダイアル11の位置が、第1中間位置、第2中間位置、第3中間位置としてそれぞれ記憶されることになる。この記憶された中間位置は、後述する回転方向判定処理で用いられる。
【0057】次に、前記ステップ301で取得した現在の選択ダイアル11のダイアル位置が、前回のループで記憶したダイアル位置と同じか否かを判定する(ステップ313)。これが異なるときは、選択ダイアル11の操作が未だ終了していない(つまり、回転中)であることを意味するから、回転操作終了を判定するための判定カウンタCをゼロにリセットして(ステップ314)、現在のダイアル位置を記憶し(ステップ307)、サブルーチンの処理を終了する。
【0058】一方、ダイアル位置が同じときは、選択ダイアル11が静止していることを意味するから、判定カウンタCを1加算した上で(ステップ315)、該カウンタCの値が3に到達したかを判定する(ステップ316)。判定カウンタCの値が2以下であるときは、現在のダイアル位置を記憶して(ステップ307)、サブルーチンを抜ける。判定カウンタCの値が3以上となったとき(つまり、選択ダイアル11が静止状態で0.15秒以上保持されたとき)は、回転操作が終了したと判定して、回転操作中フラグの内容を「偽」に書き換えるとともに(ステップ317)、後述するダイアル回転方向判定処理のサブルーチンを実行する(ステップ318)。
【0059】その後、ダイアル回転量を計算する(ステップ319)。この計算には、前記ステップ318で判定された回転方向と、ステップ304で記憶した回転前操作位置と、ステップ301で取得した現在のダイアル位置が用いられる。このダイアル回転量およびダイアル回転方向に基づいてカーソルを移動させた後(ステップ320)、現在の選択ダイアル11の位置を記憶した上で(ステップ307)、サブルーチンの処理を終了する。以上が、「カーソル移動モード」において実行されるサブルーチンである。
【0060】以上のようにサブルーチンが構成される結果、「カーソル移動モード」では、選択ダイアル11の操作に応じて以下のような処理が行われる。回転操作中フラグが「偽」となっており、かつ、選択ダイアル11が静止しているときは、処理はステップ301→302→303と進む。選択ダイアル11は静止していることから、ステップ303において選択ダイアル11の位置は前回ループ時と同じと判定されるので、処理はステップ308→307と進み、カーソル移動に関する処理は行われない。
【0061】選択ダイアル11を回転し始めた直後は、回転操作中フラグが「偽」となっているが、選択ダイアル11の位置が前回ループ時と異なることになる。この結果、処理は301→302→303→304と進み、前回ループ時(即ち、回転操作が行われる直前)での選択ダイアル11の位置が、回転前操作位置として記憶される。更には、回転操作中フラグが「真」とされ(ステップ305)、カウンタnが「0」とされる(ステップ306)。
【0062】次回のループでは回転操作中フラグが「真」となっているため、処理はステップ301→302→310と進む。ここでは、内容が「0」であったカウンタnが1加算される結果「1」となり、ステップ312において、現在のダイアル位置が第1中間位置として記憶される。その次の回のループではカウンタnは「2」となるので、ステップ312において現在のダイアル位置が第2中間位置として記憶される。更に次の回のループではカウンタnは「3」となるので、ステップ312において現在のダイアル位置が第3中間位置として記憶される。即ち、回転操作が行われた直後の三回のループにおける選択ダイアル11の位置が、第1,第2,第3中間位置として記憶されるのである。
【0063】回転操作中フラグが「真」のときは、ステップ313において、前回ループ時のダイアル位置と現在のダイアル位置とが毎回のループにおいて比較される。選択ダイアル11が回転中であるときは、前回ループ時のダイアル位置と現在のダイアル位置とが異なることになるから、判定カウンタCの内容は「0」のままである(ステップ314)。
【0064】選択ダイアル11の回転操作を終了して静止させた後は、現在のダイアル位置と前回ループ時のダイアル位置とが同じであることが検出され、ループ一回につき判定カウンタCが1加算される(ステップ315)。判定カウンタCの内容はステップ316で判定される。判定カウンタCの内容が「3」となっているときは、選択ダイアル11の静止状態が3ループ分の時間(0.05×3=0.15秒)だけ継続したことを意味するから、これをもって選択ダイアル11の回転操作が終了したと判定し、回転操作中フラグが「偽」に戻されるとともに(ステップ317)、ステップ318以降の処理により、選択ダイアル11の移動量の分だけカーソルが移動することになる。
【0065】その次の回のループでは回転操作中フラグが「偽」となっており、かつ、選択ダイアル11が静止しているので、処理はステップ301→302→303→308と進む。なお、入力ボタン12を押した場合はステップ308においてその旨が検出され、文字入力モードに切り換わる(ステップ309)。
【0066】〔回転方向判定サブルーチン〕次に、図9のステップ318で実行される回転方向判定のためのサブルーチンを、図10のフロー図を参照して説明する。
【0067】このサブルーチンでは、初期化処理として、カウンタnが「1」にセットされ(ステップ401)、正方向・逆方向判定カウンタP1・P2がいずれも「0」にセットされる(ステップ402・403)。そして、図9のステップ304においてRAM63に記憶させた回転前操作位置から、選択ダイアル11を正方向(本実施形態では、反時計回り方向をいう)へ回転させる場合に、ステップ312において記憶された第n中間位置へ位置させるために必要な回転量(図11に示す角度A1)を計算する(ステップ404)。一方で、前述の回転前操作位置から選択ダイアル11を逆方向(時計回り方向)へ回転させる場合に、第n中間位置へ位置させるために必要な回転量(図11の角度A2)を計算する(ステップ405)。なお、図11から明らかなようにA2=360°−A1の関係があるため、この関係に基づいてA2を計算しても差し支えない。また、A1・A2ともに厳密な角度量として計算する必要もなく、選択ダイアル11を何文字分回転させれば中間位置へ位置させることができるかを計算できれば充分である。
【0068】この上でA1とA2とを比較して(ステップ406)、A1の方が小さい場合は正方向判定カウンタP1を1加算し(ステップ407)、それ以外の場合は逆方向判定カウンタP2を1加算する(ステップ408)。
【0069】このステップ404〜408の一連の処理を、カウンタnを加算しながらn=1,2,3の各場合において行うことで(ステップ409・410)、図10R>0のステップ312において記憶された第1中間位置,第2中間位置,第3中間位置のそれぞれについてA1,A2が計算されて比較され、その比較の結果が正方向判定カウンタP1および逆方向判定カウンタP2に累積されることになる。
【0070】前記ループ処理の終了後は、正方向判定カウンタP1と逆方向判定カウンタP2とが比較される(ステップ411)。P1>P2のときは、前記選択ダイアル11の回転操作は正方向だったと判定され(ステップ412)、それ以外のときは、前記選択ダイアル11の回転操作は逆方向だったと判定される(ステップ413)。以上が、「回転方向判定処理」サブルーチンである。
【0071】前記「回転方向判定処理」サブルーチンの処理について、具体的に説明する。図11には、選択ダイアル11の回転前操作位置と回転後操作位置の二位置が示されているが、この回転前操作位置から回転後操作位置に至るには、正方向に回転して至る場合と、逆方向に回転して至る場合が考えられる。この点、本実施形態の印刷装置は、選択ダイアル11の操作位置自体は前述のフォトインタラプタ30により検出することができるが、選択ダイアル11の回転されている方向を直接検出することはできない。
【0072】そこで、回転方向の判定に供するために、前記「カーソル移動モード」のサブルーチンにおいて、選択ダイアル11の回転が開始してから終了するまでの中間状態の位置(中間位置)を記憶しておくのである(図9のステップ312)。この中間位置は、選択ダイアル11の回転が開始されてから0.05秒〜0.15秒の短時間後に取得されるものであるため、この短い時間内に選択ダイアル11が半周(180°)以上回転操作されるケースは、現実的に想定できない。従って、前述のA1とA2を演算して比較することで、回転前操作位置から正方向/逆方向のいずれへ回転させればより少ない回転量で中間位置へ到達できるかを判定し、回転量の少ない側の方向(図11においてはA1<A2であるから、正方向)を判定結果として採用することで、選択ダイアル11の回転方向を判定できることになる。
【0073】なお、本実施形態においては、遮光リブ31とフォトインタラプタ30の組み合わせによって、選択ダイアル11の操作位置を検出する構成になっている。これは非接触方式であるため耐久性に優れる一方で、遮光リブ31の寸法誤差やフォトインタラプタ30の取付位置の誤差に起因して、選択ダイアル11の位置検出誤差が発生してしまうことになる。この検出誤差が発生する典型的なケースは、選択ダイアル11が、ある文字に相当する位置(例えば「A」)と、その隣の文字に相当する位置(例えば「B」)との、ちょうど中間に位置しているようなケースである。
【0074】このケースでは、フォトインタラプタ30には、遮光リブ31の有無の境界部分が位置することとなる。五つ全てのフォトインタラプタ30について遮光リブ31の有無の切り換わりが完全に一致しているのが理想であるが、遮光リブ31の製造誤差やフォトインタラプタ30の取付位置の誤差等から、各リブ31の有無の切り換わりにズレが生じることは避けられない。従って、このズレが生じてくる微小角度の領域においては、意図するコードパターンが得られず、選択ダイアル11の位置を誤って検出してしまう場合がある。即ち、前述の例に照らしていえば、「A」から「B」へ選択ダイアル11を回転させる際、選択ダイアル11の位置が例えば「Q」等と誤検出されてしまう角度領域が、僅かながら存在するのである。特に、回転中の選択ダイアル11の位置を取得する「カーソル移動モード」においては、選択ダイアル11が瞬間的に前記角度領域に位置する場合も多く、誤検出の可能性が高くなる。
【0075】このような検出の誤りの可能性を考慮して、本実施形態においては前述の中間位置を0.05秒ずつ時間をずらせて第1,第2,第3の三個取得しておき、回転方向判定処理においては三個の中間位置のそれぞれについて前述の値A1・A2を演算し、両値A1・A2を比較するようにしている。そして、その比較の結果を判定カウンタP1・P2に累積し、最終的にはP1とP2とを比較することで、多数決的に判定することとしているのである。
【0076】即ち、今まさに回転している選択ダイアル11のその瞬間の位置を取得するのが前記中間位置であるため、この中間位置の検出の際にも前述の誤りが生じる可能性が(例えば数パーセント程度)あるが、取得した三個の中間位置のうち二個以上が誤検出となる確率は極めて低いといえる。これを利用して、三個の中間位置から総合的に回転方向を判定することで、判定の正確性を高めているのである。
【0077】図12の例を参照して説明する。この図では、選択ダイアル11の回転開始から終了までの操作について、回転前の位置・回転後の操作位置とともに、図9R>9の「カーソル移動モード」のサブルーチンにおいて取得され記憶された三つの中間位置が示されている。この図では、三つの中間位置のうち、第1・第3中間位置は回転前操作位置より正方向側に位置する一方、第2中間位置は回転前操作位置より逆方向側に位置している。
【0078】このときは前記のサブルーチンは、第1中間位置についてはA1<A2であるためP1を1加算し、第2中間位置についてはA2<A1であるためP2を1加算し、第3中間位置についてはA1<A2であるためP1を1加算する。その結果、P1の内容は「2」,P2の内容は「1」となり、P1>P2であるから、回転方向は正方向と判定することになる。このように判定するということは、『第1・第3の二つの中間位置は正常に検出されたものであり、第2中間位置は誤検出によるものである』とみなすことを意味する。前述のとおり、取得した三個の中間位置のうち二個以上が誤検出となる確率は極めて低いということができるから、このサブルーチンの判断は確率的に妥当な判断ということができ、回転方向の判定制度に優れることになる。
【0079】〔表示更新処理サブルーチン〕最後に、表示更新処理のサブルーチンを図13のフロー図を参照して説明する。このサブルーチンでは先ず、現在のモードが「文字入力モード」か「カーソル移動モード」かで分岐する(ステップ501)。「文字入力モード」であるときは、単にカーソルを現在の位置に表示して(ステップ502)、サブルーチンを抜ける。「カーソル移動モード」の場合は、点滅カウンタを1加算し(ステップ503)、点滅カウンタが20に到達した場合は、点滅カウンタをゼロにリセットする(ステップ504,505)。その上で、点滅カウンタの値が9以下か10以上かで分岐し(ステップ506)、9以下である場合はカーソルを現在の位置に表示して(ステップ502)、10以上である場合はカーソルを表示せず(ステップ507)、いずれの場合もサブルーチンを抜ける。以上が、表示更新処理サブルーチンの処理である。
【0080】以上のようにサブルーチンを構成することにより、モードに応じて以下のように表示更新が行われる。即ち、「文字入力モード」では、処理はステップ501→502と進み、常にカーソルが表示される。一方、「カーソル移動モード」では、1ループ回ごとに点滅カウンタを1ずつ加算して、その値に応じてカーソルの表示/非表示の処理を行っている。即ち、最初の10ループ回ではカーソルが表示され(ステップ506→502)、次の10ループ回ではカーソルが非表示とされることになる(ステップ506→507)。つまり本実施形態では、0.05×10=0.5秒の時間間隔をおいてカーソルの表示/非表示が交互に反復されることになる。
【0081】以上に本発明の実施形態を説明してきたが、本発明の技術的範囲は以上の実施形態の構成に限るものではなく、種々の変形が可能である。
【0082】例えば本実施形態においては、「文字入力モード」の際の文字選択のため、および、「カーソル移動モード」の際のカーソル移動のために、共通の選択ダイアル11を用いる構成となっている。しかしながら、「カーソル移動モード」においてカーソルを移動させるために、特別のキーを設ける構成としても構わない。ただし、本実施形態のように操作手段を一つの選択ダイアル11で兼用することで、部品点数を減らすことができ、製造コストを低減できることになる。
【0083】また、液晶ディスプレイ3に表示されるカーソル50の形状としては、本実施形態のように横棒状のものに限らず、例えば縦棒状や四角形状としても構わない。更には、カーソルの表示形態を異ならせる構成としては、本実施形態のように点灯と点滅とを切り換えるものに限らず、例えばカーソルの表示色を異ならせたり、表示される形を異ならせたりすることも可能である。
【0084】なお、本発明の文字入力装置はラベルテープ用の印刷装置に限らず、他の印刷装置のほか、文字列の入力を必要とするあらゆる装置に適用が可能である。例えば、文字列のメールをやり取りできる携帯電話や携帯情報端末が考えられる。
【0085】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、いま現在「文字入力モード」「カーソル移動モード」のいずれのモードにあるかの判別が容易であるから、誤操作が防止され、操作感に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置の全体的な構成を示した平面図。
【図2】液晶ディスプレイの拡大図。
【図3】「文字入力モード」の操作例を示した説明図。
【図4】「カーソル移動モード」の操作例を示した説明図。
【図5】選択ダイアルの位置検出構成を示した平面図一部断面図。
【図6】印刷装置のブロック図。
【図7】メインフローのフローチャート図。
【図8】「文字入力モード」のサブルーチンを示すフローチャート図。
【図9】「カーソル移動モード」のサブルーチンを示すフローチャート図。
【図10】選択ダイアルの回転方向判定処理ルーチンを示すフローチャート図。
【図11】選択ダイアルの回転前操作位置、回転後操作位置、中間位置を示す図。
【図12】サブルーチンで記憶された三つの中間位置の例を示す図。
【図13】表示更新処理のサブルーチンを示すフローチャート図。
【符号の説明】
1 文字入力装置を備える印刷装置
3 液晶ディスプレイ(表示手段)
11 選択ダイアル(第一操作手段)
12 入力ボタン(第二操作手段)
50 カーソル
【特許請求の範囲】
【請求項1】 文字列を入力するための入力手段と、この入力手段により入力された文字列を視覚的に表示し、併せて、その文字列を編集するために使用するカーソルを視覚的に表示する表示手段と、を有する文字入力装置において、前記カーソルの前記文字列に対する相対位置を固定して文字の入力位置を示し、前記入力手段による文字列の入力を可能とする、「文字入力モード」と、前記カーソルの前記文字列に対する相対位置を変更できる「カーソル移動モード」と、を備え、前記「文字入力モード」と「カーソル移動モード」とで、前記表示手段におけるカーソルの表示形態を異ならせたことを特徴とする、文字入力装置。
【請求項2】 請求項1に記載の文字入力装置であって、前記「カーソル移動モード」においては、前記表示手段におけるカーソルの表示位置を変更できるようにしたことを特徴とする、文字入力装置。
【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の文字入力装置であって、前記入力手段は、ダイアル式の第一操作手段と、第二操作手段を備え、前記「文字入力モード」においては、前記第一操作手段を回転することによって文字を選択し、第二操作手段を操作することによって前記選択した文字を前記表示手段におけるカーソルが示す位置へ入力可能とし、前記「カーソル移動モード」においては、前記第一操作手段を回転することによって前記カーソルの前記文字列に対する相対位置を変更可能とし、前記「文字入力モード」と「前記カーソル移動モード」とで前記第一操作手段を兼用したことを特徴とする、文字入力装置。
【請求項4】 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の文字入力装置であって、前記表示手段は、前記「文字入力モード」においてはカーソルが常に表示される表示形態で、前記「カーソル移動モード」においてはカーソルが時間間隔をおいて表示および非表示を交互に反復する表示形態で、カーソルを表示することを特徴とする、文字入力装置。
【請求項5】 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の文字入力装置であって、「文字入力モード」から「カーソル移動モード」への切換は、前記第一操作手段を所定の位置に合わせて第二操作手段を操作することにより行われ、「カーソル移動モード」から「文字入力モード」への切換は、前記第二操作手段を操作することにより行われることを特徴とする、文字入力装置。
【請求項6】 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の文字入力装置を備えるとともに、前記入力された文字列を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された文字列を印刷する印刷手段と、を備えたことを特徴とする、印刷装置。
【請求項1】 文字列を入力するための入力手段と、この入力手段により入力された文字列を視覚的に表示し、併せて、その文字列を編集するために使用するカーソルを視覚的に表示する表示手段と、を有する文字入力装置において、前記カーソルの前記文字列に対する相対位置を固定して文字の入力位置を示し、前記入力手段による文字列の入力を可能とする、「文字入力モード」と、前記カーソルの前記文字列に対する相対位置を変更できる「カーソル移動モード」と、を備え、前記「文字入力モード」と「カーソル移動モード」とで、前記表示手段におけるカーソルの表示形態を異ならせたことを特徴とする、文字入力装置。
【請求項2】 請求項1に記載の文字入力装置であって、前記「カーソル移動モード」においては、前記表示手段におけるカーソルの表示位置を変更できるようにしたことを特徴とする、文字入力装置。
【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の文字入力装置であって、前記入力手段は、ダイアル式の第一操作手段と、第二操作手段を備え、前記「文字入力モード」においては、前記第一操作手段を回転することによって文字を選択し、第二操作手段を操作することによって前記選択した文字を前記表示手段におけるカーソルが示す位置へ入力可能とし、前記「カーソル移動モード」においては、前記第一操作手段を回転することによって前記カーソルの前記文字列に対する相対位置を変更可能とし、前記「文字入力モード」と「前記カーソル移動モード」とで前記第一操作手段を兼用したことを特徴とする、文字入力装置。
【請求項4】 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の文字入力装置であって、前記表示手段は、前記「文字入力モード」においてはカーソルが常に表示される表示形態で、前記「カーソル移動モード」においてはカーソルが時間間隔をおいて表示および非表示を交互に反復する表示形態で、カーソルを表示することを特徴とする、文字入力装置。
【請求項5】 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の文字入力装置であって、「文字入力モード」から「カーソル移動モード」への切換は、前記第一操作手段を所定の位置に合わせて第二操作手段を操作することにより行われ、「カーソル移動モード」から「文字入力モード」への切換は、前記第二操作手段を操作することにより行われることを特徴とする、文字入力装置。
【請求項6】 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の文字入力装置を備えるとともに、前記入力された文字列を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された文字列を印刷する印刷手段と、を備えたことを特徴とする、印刷装置。
【図2】
【図7】
【図1】
【図3】
【図6】
【図4】
【図5】
【図8】
【図11】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図7】
【図1】
【図3】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2003−276250(P2003−276250A)
【公開日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−83893(P2002−83893)
【出願日】平成14年3月25日(2002.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年3月25日(2002.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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