説明

文字入力装置及び文字入力方法

【課題】ソフトキーボードを利用するユーザに、文字の入力を円滑、且つ適切に実行させることが可能な操作部103を提供する。
【解決手段】特定の文字列を入力候補文字列として少なくとも1つ記憶する入力候補記憶手段506と、前記入力確定キーが押下されることなく、所定の文字キーが押下されると、前記入力候補文字列のうち、当該押下文字を先頭文字とする入力候補文字列を次入力候補文字列として検索する次入力候補検索手段505と、検索された次入力候補文字列について、前記先頭文字の次の文字を次入力候補文字として決定する次入力候補決定手段507と、決定された次入力候補文字の文字キーを、直近に押下された文字キーの近傍に配置される文字キーと交換して表示する交換表示手段509とを備えることを特徴とする操作部103を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字入力装置及び文字入力方法に関し、詳しくは、ソフトキーボードを利用するユーザに、文字の入力を円滑、且つ適切に実行させることが可能な文字入力装置及び文字入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、ファクシミリ送受信装置、複合機等の画像形成装置には、タッチパネル上に、複数の文字キーが所定の配列で配置されたソフトキーボードを表示する文字入力装置が備えられている。ユーザは、文字入力装置を利用して、例えば、自己の氏名、ユーザID、パスワード、電子メールアドレス、保存対象の画像の名称、ファイル名、タイトル名等を入力することが出来る。
【0003】
しかしながら、タッチパネル上に表示されるソフトキーボードでは、タッチパネルの表示面積が限られていることから、ソフトキーボードを構成する文字キーの大きさ(ボタンのサイズ)が、通常のハードキーボードを構成する文字キーの大きさと比較して小さくなったり、ソフトキーボードの文字キーの配列が、ハードキーボードの文字キーの配列と比較して大きく変更されたりする傾向があり、ハードキーボードに慣れたユーザであっても、ソフトキーボードを利用する場合、文字入力が円滑に進まず、文字入力が困難であるという問題がある。
【0004】
当該問題を解決するために、例えば、特開平5−88804号公報(特許文献1)には、タッチパネルにおいて、ローマ字入力を行う場合、子音キー入力後にその子音に続きうる母音・装飾音キーのみを強調表示するローマ字入力装置が開示されている。当該構成により、ローマ字として無効な文字シーケンスの入力を未然に防ぐことが可能となるとしている。
【0005】
又、特開2004−199356号公報(特許文献2)には、キーボードと表示画面とを備えた電子機器におけるキーボードを用いた文字予測付きアルファベット入力システムが開示されている。当該システムでは、キーボードに複数の選択用制御キーが別に設けられていて、これまでのアルファベット入力に対応して表示画面の第2の領域に指定数値とともに複数の次の入力候補が表示される。更に、当該次の入力候補の中から所望の候補が選択されて入力可能となる構成を採用している。当該構成により、通常のアルファベット入力に、文字予測付きアルファベット入力システムを併用して、平均入力打鍵数を少なくすることが可能となるとしている。
【0006】
更に、特開2005−92521号公報(特許文献3)には、表示手段上に表示される仮想キーに対して複数の文字を割り当て、ユーザにより操作手段が操作されて、仮想キーの選択とその仮想キーに割り当てられている文字の選択とが行われると、その選択された文字に関連する複数の候補単語が表示される文字入力装置が開示されている。当該構成により、ユーザは迅速且つストレス無く文字入力を行なうことが可能となり、又、表示画面上の表示領域を効率的に使用することが可能となるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−88804号公報
【特許文献2】特開2004−199356号公報
【特許文献3】特開2005−92521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ローマ字入力を対象とした文字入力装置であり、通常、アルファベットや平仮名、片仮名も入力されるため、全ての文字について当該文字入力装置を適用することが出来ないという問題がある。
【0009】
又、特許文献2、特許文献3に記載の技術では、通常のキーボードが表示される表示領域の他に、複数の次の入力候補、又はユーザの入力操作に対応する仮想キーが表示される第2の表示領域が必要であり、タッチパネルの表示面積を拡張しなければならないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ソフトキーボードを利用するユーザに、文字の入力を円滑、且つ適切に実行させることが可能な文字入力装置及び文字入力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る文字入力装置は、予め決定された所定の配列で複数の文字キーと当該文字キーの入力を確定する入力確定キーとをユーザに押下可能に表示する文字入力装置を前提とする。
【0012】
当該文字入力装置において、特定の文字列を入力候補文字列として少なくとも1つ記憶する入力候補記憶手段と、前記入力確定キーが押下されることなく、所定の文字キーが押下されると、前記入力候補文字列のうち、当該押下文字を先頭文字とする入力候補文字列を次入力候補文字列として検索する次入力候補検索手段と、検索された次入力候補文字列について、前記先頭文字の次の文字を次入力候補文字として決定する次入力候補決定手段と、決定された次入力候補文字の文字キーを、直近に押下された文字キーの近傍に配置される文字キーと交換して表示する交換表示手段とを備える。
【0013】
当該構成により、ユーザが所定の文字キーを押下すると、ユーザにより当該文字キーの次に押下されると予測される次入力候補文字キーが、当該文字キーの近傍に表示(出現)する。そのため、次入力候補文字キーを押下する場合は、ユーザが、押下対象の文字キーを探すことなく、即時に次の文字キーを押下することが可能となり、文字入力を円滑、且つ適切に進めることが可能となる。特に、ハードキーボードで円滑に文字入力出来るが、ソフトキーボード画面では円滑に文字入力出来ないユーザであっても、ハードキーボード、ソフトキーボードの種類の差異を気にすることなく、円滑に文字キーの押下を行うことが可能となる。
【0014】
又、前記入力候補文字列は、ある事象が生じる確率がそれ以前の事象に影響される情報源であるマルコフ情報源に基づいて決定された文字列、辞書に掲載されている文字列、画像形成時にユーザが入力する頻度が高いと経験的に知られる文字列、画像形成に関連する文字列、ユーザIDに関連する文字列を含む群から選択された構成とすることが出来る。
【0015】
当該構成により、ユーザが次入力候補文字キーを次に押下する可能性が高くなり、更に、ユーザによる文字入力の促進を図ることが可能となる。
【0016】
又、前記交換表示手段は、交換表示後の次入力候補文字の文字キーを、他の文字キーと異なる表示形式で表示する構成とすることが出来る。
【0017】
当該構成により、次入力候補文字の文字キーが、他の文字キーと比較して、ユーザに視認され易くなるため、ユーザが当該次入力候補文字の文字キーを押下し易くなり、円滑な文字入力を促進することが可能となる。
【0018】
更に、直近に押下された文字キーの近傍に配置される文字キーの数をカウントするカウント手段を備え、前記次入力候補決定手段は、検索された全ての次入力候補文字列について前記次の文字を抽出して、抽出した次の文字の種類の数を算出し、算出した種類の数が前記カウント数以下である場合、全ての種類の次の文字を次入力候補文字として決定し、算出した種類の数が前記カウント数を超える場合、当該種類毎に次の文字の出現頻度を算出し、算出した出現頻度の高い順に、当該カウント数に対応する数の次の文字を次入力候補文字として決定する構成とすることが出来る。
【0019】
当該構成により、次の文字が複数抽出された場合であっても、ユーザが最も押下する可能性の高い次の文字を次入力候補文字として決定することが出来、ユーザに対する文字入力の操作を一層円滑にする。
【0020】
又、当該文字入力装置は、画像形成装置に適用することが出来る。
【0021】
当該構成により、画像形成装置を利用するユーザは、ソフトキーボードを用いて快適に文字入力を行なうことが可能となる。
【0022】
尚、本発明は、予め決定された所定の配列で複数の文字キーと当該文字キーの入力を確定する入力確定キーとをユーザに押下可能に表示する文字入力方法として提供することが出来る。即ち、当該文字入力方法において、前記入力確定キーが押下されることなく、所定の文字キーが押下されると、入力候補記憶手段に少なくとも1つ記憶された、特定の入力候補文字列のうち、当該押下文字を先頭文字とする入力候補文字列を次入力候補文字列として検索する次入力候補検索ステップと、検索された次入力候補文字列について、前記先頭文字の次の文字を次入力候補文字として決定する次入力候補決定ステップと、決定された次入力候補文字の文字キーを、直近に押下された文字キーの近傍に配置される文字キーと交換して表示する交換表示ステップとを含むことを特徴とする文字入力方法を提供出来る。当該構成としても、上述と同様の効果を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の文字入力装置及び文字入力方法によれば、ソフトキーボードを利用するユーザに、文字の入力を円滑、且つ適切に実行させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る複合機の内部の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明に係る画像読取部の拡大図である。
【図3】本発明に係る操作部の全体構成を示す概念図である。
【図4】本発明に係る複合機及び操作部の制御系ハードウェアの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態における複合機及び操作部の機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施形態の実行手順を示すためのフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示されたユーザ認証画面の一例を示す図(図7(a))と、本発明の実施形態に係るキーボードテーブルの一例を示す図(図7(b))である。
【図8】本発明の実施形態に係るキーボード画面と、キーボードテーブルの配置情報との関係を示す図(図8(a))と、本発明の実施形態に係る、複数の文字キーが所定の配列で配置されたキーボード画面の一例を示す図(図8(b))である。
【図9】本発明の実施形態に係る入力候補テーブルの一例を示す図(図9(a))と、本発明の実施形態に係る、次入力候補文字列から次入力候補文字を決定するための説明図(図9(b))である。
【図10】本発明の実施形態に係る交換途中のキーボード画面の一例を示す図(図10(a))と、本発明の実施形態に係る交換表示後のキーボード画面の一例を示す図(図10(b))である。
【図11】本発明の実施形態に係る交換途中のキーボード画面の一例を示す図(図11(a))と、本発明の実施形態に係る交換表示後のキーボード画面の一例を示す図(図11(b))である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、添付図面を参照して、本発明の文字入力装置を備えた画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
【0026】
<画像形成装置及び文字入力装置>
以下に、本発明に係る文字入力装置(例えば、操作部)を備えた画像形成装置(例えば、複合機)について説明する。
【0027】
図1は、本発明に係る複合機の内部の全体構成を示す概念図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0028】
本発明の複合機100は、例えばプリンタやスキャナ単体、あるいはプリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機等が該当する。尚、一例として複合機を利用して原稿のコピー機能を提供する際の複合機100の動作を簡単に説明する。
【0029】
ユーザが複合機100を利用して例えば原稿Pの印刷を行う場合、原稿Pを図1に示す原稿台101、或いは載置台102に配置し、原稿台101近傍に供えられた操作部103に対してコピー条件を入力し、印刷の指示を行う。操作部103の構成については後述する。当該印刷の指示があると、以下に示す各部(駆動部)が動作することで、印刷が行われる。
【0030】
即ち、図1に示すように、本発明の複合機100は、本体104と、本体104の上方に取り付けられたプラテンカバー105を備える。本体104の上面は原稿台101が設けられており、原稿台101は、プラテンカバー105によって開閉されるようになっている。プラテンカバー105は、自動原稿給紙装置106と載置台102と排紙台107が設けられている。
【0031】
自動原稿給紙装置106は、プラテンカバー105の内部に形成された原稿搬送路108と、プラテンカバー105の内部に備えられたピックアップローラ109や搬送ローラ110A、110B等で構成される。原稿搬送路108は、載置台102から、本体104に設けられた画像読取部111にて読み取りが行なわれる読取位置Xを経由して、排紙台107に通じる原稿の搬送路である。
【0032】
自動原稿給紙装置106は、載置台102に載置された複数の原稿から1枚ずつ原稿をピックアップローラ109で搬送路内108に引き出し、搬送ローラ等によって引き出した原稿を、読取位置Xを通過させて、搬送ローラ110Bにより排紙台107に排紙する。読取位置Xを通過する時に原稿は画像読取部111にて読み取られる。
【0033】
上記画像読取部111は、原稿台101の下方に設けられており、図2にその詳細が示されている。画像読取部111は、原稿台102を照射する走査方向に長い光源112と、原稿台からの光を選択的に通過させるスリット113と、原稿台からの光を導くミラー114とを備える第一の移動キャリッジ115や、第一の移動キャリッジ115からの反射光を再度反射するミラー116A、116Bを備える第二の移動キャリッジ117、更にミラーで導かれた光を光学的に補正するレンズ群118、当該レンズ群118より補正された光を受光する撮像素子119、撮像素子119にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正処理・画質処理・圧縮処理などを行う画像データ生成部120とで構成されている。
【0034】
自動原稿給紙装置106上の原稿を読み取る場合には、光源112は、読取位置Xを照射できる位置に移動して発光する。光源112からの光は、原稿台101を透過して読取位置Xを通過する原稿にて反射し、スリット113、ミラー114、116A、116B、レンズ群118によって撮像素子119に導かれる。撮像素子119は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部120に送信する。画像データ生成部120には、上記撮像素子119にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、即ちデジタル化される。さらに、画像データ生成部120では、順次変換されたデジタル信号を単位データとし、これら単位データを補正処理、画質処理、圧縮処理等することで複数の単位データからなる画像データを生成する。
【0035】
又、画像読取部111は、自動原稿給紙装置106で搬送される原稿だけでなく、原稿台101に載置された原稿も読み取ることが可能となっている。原稿台101に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ114は、光源112を発光しながら副走査方向に移動し、光源112から撮像素子119までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ117は第一の移動キャリッジ115の1/2の速度で撮像素子119方向に移動する。
【0036】
撮像素子119は、自動原稿給紙装置106に搬送された原稿のときと同様に、ミラー114、116A、116Bに導かれた光に基づいて原稿台101に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部120が画像データを生成し、記憶部120Bに記憶する。
【0037】
本体104の画像読取部111の下方には、画像データを印刷する画像形成部121を備えている。画像形成部121が印刷できる画像データは、上記のように画像データ生成部120にて生成されたものや、その他複合機100とLAN等のネットワークに接続されたパーソナルコンピューター等の端末から、ネットワークインターフェイスを介して受信したものである。
【0038】
画像形成部121が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光ドラム122を帯電器123で一様に帯電させ、その後レーザ124で感光ドラム122を照射して感光ドラム122に潜像を形成し、現像器125で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を転写媒体に転写する方式である。
【0039】
尚、フルカラー画像に対応した複合機では、上記現像器(ロータリー現像器)125が、図1の紙面に対して垂直方向に構成される回転軸を中心として周方向に回転させられ、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム122の対向位置に配置される。この状態で、感光ドラム122上の潜像が、現像器125が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト126Aに転写される。なお、現像器125は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット125(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。上記中間転写ベルト126Aへの転写を上記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト126A上にフルカラー画像が形成される。
【0040】
可視像が印刷される転写媒体、即ち用紙は、給紙カセット132、133、134などの給紙トレイに載置されたものである。
【0041】
画像形成部121が印刷を行う際には、何れか1つの給紙トレイから転写媒体1枚を、ピックアップローラ135を用いて引き出し、引き出した転写媒体を搬送ローラ136やレジストローラ137で中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bの間に送り込む。
【0042】
画像形成部121は、中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bの間に送り込んだ転写媒体に、上記中間転写ベルト126A上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために、搬送ベルト127で定着部128(定着装置)に転写媒体を送る。定着部128は、ヒータが内蔵された加熱ローラ129と、所定の圧力で加熱ローラ129に押し当てられた加圧ローラ130とで構成されている。加熱ローラ129と加圧ローラ130の間を転写媒体が通過すると、熱と転写媒体への押圧力によって可視像が転写媒体に定着する。定着が行われた転写媒体は排紙トレイ131に排紙される。
【0043】
上記手順により、複合機100はコピー機能の処理をユーザに提供する。
【0044】
図3は、本発明に係る操作部の全体構成を示す概念図である。ユーザは、上記操作部103を用いて、上述のような画像形成についての設定条件、文字等を入力したり、入力された設定条件、文字を確認したりする。前記設定条件、文字等が入力される場合、前記操作部103に備えられたタッチパネル301(操作パネル)、タッチペン302、操作キー303が用いられる。
【0045】
前記タッチパネル301には、アナログ抵抗膜方式が採用され、透光性を有する上部フィルムと下部ガラス基板とがスペーサを介して重ね合わされた構成となっており、上部フィルムと下部ガラス基板との各々の対向面には、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明電極層が設けられている。更に、上部フィルムがユーザにより押下されると、当該押下位置に対応する上部フィルム側の透明電極層と下部ガラス基板側の透明電極層とが接触するよう構成されている。上部フィルム又は下部ガラス基板に電圧を印加し、下部ガラス基板又は上部フィルムから押下位置に対応する電圧値を取り出すことにより、当該電圧値に対応する座標値(押下位置)を検出する。検出された押下位置が、タッチパネル上に表示されたキーボード画面内の文字キー等の表示領域内に含まれると、当該文字が入力される。尚、文字キーの他に、例えば、キーボードキー、設定条件キー等であっても同様である。
【0046】
又、下部ガラス基板の下方には、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部が設けられており、当該表示部が、例えば、キーボード画面、初期画面等の画面を表示することにより、タッチパネル上に特定の画面が表示される。これにより、タッチパネル301には、設定条件等を入力する機能と当該設定条件等を表示する機能が兼ね備えられる。
【0047】
又、タッチパネル301の近傍には、タッチペン302が備えられており、ユーザがそのタッチペン302の先をタッチパネル301に接触させると、当該接触位置(押下位置)に対応する座標値が、上記と同様に出力され、ユーザはタッチペン302により、表示された文字キー等を押下・選択することが可能となる。
【0048】
更に、タッチパネル301近傍には、所定数の操作キー303が設けられ、例えば、テンキー304、スタートキー305、クリアキー306、ストップキー307、リセットキー308、電源キー309が備えられている。尚、上記テンキー304は、部数や倍率を設定する際に具体的な数字の入力に用いられる。
【0049】
次に、図4を用いて、複合機100及び操作部103の制御系ハードウェアの構成を説明する。図4は、本発明に係る複合機100及び操作部103の制御系ハードウェアの構成を示す図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0050】
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、HDD(Hard Disk Drive)404、各駆動部に対応するドライバ405を内部バス406によって接続している。上記CPU401は、例えば、RAM403を作業領域として利用し、上記ROM402、HDD404等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ405と図示しない操作部103からのデータや指示を授受し、上記図1に示した各駆動部の動作を制御する。また、上記駆動部以外の後述する各手段(図5に示す)についても、上記CPU401がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。
【0051】
又、制御回路の内部バス406には、内部インターフェイス407も接続されており、当該内部インターフェイス407は、操作部103の制御回路等と複合機100の制御回路とを接続する。CPU401は、内部インターフェイス407を介して操作部103等の制御回路からの命令信号を受信したり、操作部103等の制御回路へ命令信号、データ等を送信したりする。
【0052】
又、操作部103の制御回路には、内部バス415に、CPU409、ROM410、RAM411、LCD412、操作キー413(303)、タッチパネル414(301)、内部インターフェイス408を備える。操作キー413やタッチパネル414をユーザが操作すると、CPU409は、内部インターフェイス408を介して、当該操作に基づく命令信号を複合機100の制御回路に送信する。又、CPU409、ROM410、RAM411の機能も上記と同様であり、後述する各手段(図5に示す)についても、上記CPU409がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。上記ROM410には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
【0053】
<本発明の実施形態>
次に図5、図6を参照しながら、本発明の実施形態に係る操作部103が、ソフトキーボードを利用するユーザに、文字の入力を円滑、且つ適切に実行させる手順について説明する。図5は、本発明の実施形態に係る操作部及び複合機の機能ブロック図である。図6は、本発明の実施形態に係る実行手順を示すためのフローチャートである。
【0054】
まず、ユーザが、複合機100の電源を投入すると、複合機100とともに操作部103が起動し、操作部103の画面表示手段501が、ユーザ認証に関する画面(ここでは、図7(a)に示すユーザ認証画面)をタッチパネル301上に表示する(図6:S101)。
【0055】
図7(a)は、本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示されたユーザ認証画面の一例を示す図である。
【0056】
ユーザ認証画面700には、図7(a)に示すように、入力されたユーザIDを表示するユーザID表示欄701と、入力されたパスワードを表示するパスワード表示欄702と、当該ユーザID表示欄及び当該パスワード表示欄に対応付けて用意された、文字を入力するための(ソフト)キーボードキー703と、ログインキー704とが表示される。
【0057】
ユーザ認証画面700を見ながら、ユーザが、所定の文字を入力するために、表示されたキーボードキー703を押下すると、操作部103の押下検知手段502が、当該キーボードキー703の押下を検知して、その旨をキーボード表示手段503に通知する。当該通知を受けたキーボード表示手段503は、キーボード記憶手段504に予め記憶されているキーボードテーブルを参照し、予め決定された所定の配列で複数の文字キーと、当該文字キーの入力を確定する入力確定キー(例えば、OKキー等)とが配置されたキーボード画面を表示する。
【0058】
図7(b)は、本発明の実施形態に係るキーボードテーブルの一例を示す図である。
【0059】
キーボードテーブル705には、図7(b)に示すように、キーボード画面において所定の文字キーの文字が配置される位置を示す配置情報706と、当該配置情報706に対応した文字キーの文字707とが関連付けて記憶されている。前記配置情報706は、キーボード画面に配置された特定の文字キーを基準として、所定の文字707の文字キーの順番が記憶される。
【0060】
図8(a)は、本発明の実施形態に係るキーボード画面と、キーボードテーブル705の配置情報との関係を示す図である。
【0061】
例えば、図8(a)に示すように、上下方向に所定の間隔で3個の文字キー801が一の列802として配列され、当該列802が、左右方向に所定の間隔で10個配列されているキーボード画面800において、最左列で、最上位に配置された文字キー803に対して配置情報として「1」が割り付けられている。当該最左列、最上位の特定の文字キー803から最上位行の左方向に向かって順次低い順位の配置情報(例えば、「1」の直右には「2」)が割り付けられ、前記最左列、最上位の特定の文字キー803から最左列下方に向かって当該「1」よりも更に低い順位の配置情報(例えば、「1」の直下には「11」)が割り付けられる。
【0062】
図8(b)は、本発明の実施形態に係る文字キーが所定の配列で配置されたキーボード画面の一例を示す図である。
【0063】
キーボード画面804には、図8(b)に示すように、現時点で入力された文字列を表示する文字表示欄805と、所定の配列(QWERTY配列)に従って配置された複数の文字キー806と、OKキー807と、キャンセルキー808とが表示される。尚、前記文字表示欄805には、未だ文字キー806の押下がなされていないため、何の表示もされない。
【0064】
ここで、ユーザが、例えば上述した入力確定キー(OKキー807)を押下することなく(図6:S102NO)、所定の文字(例えば、「a」)に対応する文字キー(文字「a」キー809)を押下すると(図6:S103YES)、押下検知手段502が、当該文字キーの押下を検知し、その旨をキーボード表示手段503に通知する。当該通知を受けたキーボード表示手段503は、検知された文字キーの背景色を白色からグレー色に変更し、当該文字キーに対応する文字を文字表示欄に表示する。
【0065】
更に、押下検知手段502は、文字キーが押下された旨を次入力候補検索手段505に通知する。当該通知を受けた次入力候補検索手段505は、入力候補記憶手段506に予め記憶されている入力候補テーブル900を参照し、当該入力候補テーブル900の入力候補文字列のうち、今まで押下された文字キーの文字である押下文字(現時点では、「a」)を先頭文字とする入力候補文字列を次入力候補文字列として検索する(図6:S104)。
【0066】
図9(a)は、本発明の実施形態に係る入力候補テーブルの一例を示す図である。
【0067】
入力候補テーブル900には、図9(a)に示すように、複数の特定の文字列901が入力候補文字列として記憶されている。当該入力候補文字列901(特定の文字列)は、例えば、ある事象が生じる確率がそれ以前の事象に影響される情報源であるマルコフ情報源に基づいて決定された文字列、辞書に掲載されている文字列、画像形成時にユーザが入力する頻度が高いと経験的に知られる文字列、画像形成に関連する文字列、ユーザIDに関連する文字列等が該当する。
【0068】
次入力候補検索手段505が前記検索する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下の方法によりなされる。
【0069】
先ず、次入力候補検索手段505は、図9(a)に示すように、入力候補テーブル900の所定の入力候補文字列901を参照し、参照した入力候補文字列901のうち、押下文字902と同数の文字だけを、当該入力候補文字列901の先頭から順番に取り出し、取り出した文字を先頭文字とする。図9(a)に示すように、入力候補文字列901が「abampere」901aであれば、押下文字902が「a」と1文字であるため、当該「abampere」901aの先頭から1文字取り出した「a」が先頭文字903aとなる。更に、次入力候補検索手段505は、取り出した先頭文字903aと押下文字902とを比較して、両者が一致するか否かを判定する。
【0070】
前記判定の結果、入力候補文字列901の先頭文字903と押下文字902とが一致する場合、次入力候補検索手段505は、一致した入力候補文字列901を次入力候補文字列904として所定のメモリに一時記憶させる。そして、次入力候補検索手段505は、入力候補テーブル900から、新たに入力候補文字列901を参照し、当該入力候補文字列901に対して、上述した判定を実行する。
【0071】
一方、前記判定の結果、入力候補文字列901の先頭文字903と押下文字902とが一致しない場合、次入力候補検索手段505は、入力候補テーブル900から入力候補文字列901を新たに参照し、上述した判定を実行する。
【0072】
全ての入力候補文字列901の先頭文字903と押下文字902とが一致しない場合(例えば、押下文字902が「@」である場合等)、次入力候補文字列が検索されなかったため、次入力候補検索手段505は、処理を完了する(図6:S104NO)。この場合は、前記入力確定キーが押下されるまで(図6:S102NO)、現時点で表示されているキーボード画面を介して、押下検知手段502が、ユーザから新たな文字キーの押下を受け付ける(図6:S103)。
【0073】
一方、次入力候補検索手段505が、所定数の次入力候補文字列904を所定のメモリに一時記憶させた状態で、全ての入力候補文字列901について、上述した判定の実行を完了すると、次入力候補文字列904が検索されたとして、その旨を次入力候補決定手段に通知する(図6:S104YES)。当該通知を受けた次入力候補決定手段507は、カウント手段508を起動し、起動したカウント手段508が、直近押下の文字キーの文字と、キーボードテーブル705とに基づいて、直近押下の文字キーの近傍に配置された文字キー(近傍配置文字キー)の数をカウントする(図6:S105)。
【0074】
具体的には、カウント手段508が、直近押下の文字キーの文字(「a」)の配置情報を中心として、当該文字から直上、直下、直右、直左に配置される文字キーの文字(配置情報に対応)の数をカウントする。
【0075】
例えば、直近押下の文字キーの文字「a」の配置情報が「11」であれば、図8(a)に示すように、当該「11」810から直上に配置される文字キーの配置情報は「1」811、直右に配置される文字キーの配置情報は「12」812、直下に配置される文字キーの配置情報は「21」813となり、直左に配置される文字キーの配置情報は存在しないため、前記カウント手段508は、近傍配置文字キーの数を「3」とカウントする。
【0076】
前記カウント手段508が、近傍配置文字キーの数のカウントを完了すると、その旨を次入力候補決定手段507に通知する。当該通知を受けた次入力候補決定手段507は、前記次入力候補検索手段505により次入力候補文字列が一時記憶された所定のメモリを参照し、全ての次入力候補文字列904について、前記押下文字902に対応する先頭文字903の次の文字を抽出し、抽出した次の文字の種類の数を算出する(図6:S106)。
【0077】
例えば、図9(b)に示すように、入力候補文字列904が「abampere」904aであれば、前記押下文字902に対応する先頭文字903が「a」であるため、次の文字905として「b」905aを抽出する。このような抽出を、次入力候補決定手段507は、全ての次入力候補文字列904について実行する。次の文字905の抽出が完了すると、次入力候補決定手段507は、当該次の文字905の種類の数を算出する。例えば、図9(b)に示すように、抽出された次の文字905が、「b」、「c」、「c」、「d」、「q」、「r」であれば、次入力候補決定手段507が、次の文字905の種類の数を、「b」、「c」、「d」、「q」、「r」の5種類と算出する。
【0078】
次入力候補決定手段507が、次の文字の種類の数の算出を完了すると、算出した種類の数と、前記カウント手段508がカウントしたカウント数とを比較して、当該種類数と当該カウント数との大小関係を判定する(図6:S107)。
【0079】
前記判定の結果、前記種類数が前記カウント数以下である場合(図6:S107YES)、全ての種類の次の文字は、前記近傍配置文字キーの文字として配置することが出来るため、次入力候補決定手段507は、全ての種類の次の文字を次入力候補文字として決定する(図6:S108)。
【0080】
一方、判定の結果、前記種類の数が前記カウント数を越える場合(図6:S107NO)、全ての種類の次の文字を、前記近傍配置文字キーの文字として配置することが出来ないため、次に、次入力候補決定手段507は、当該種類毎に次の文字の出現頻度を算出する(図6:S109)。
【0081】
特定の種類の次の文字の出現頻度を算出する場合、例えば、次入力候補決定手段507は、抽出した次の文字の総数に対する所定の種類についての次の文字の個数の割合を出現頻度として算出する。具体的には、図9(b)に示すように、種類毎の次の文字905の出現頻度は、「b」、「c」、「d」、「q」、「r」の順に、「1/6=17%」、「2/6=33%」、「1/6=17%」、「1/6=17%」、「1/6=17%」となる。
【0082】
次入力候補決定手段507が、種類毎の次の文字の出現頻度の算出を完了すると、算出した出現頻度の高い順に、当該カウント数に対応する数の次の文字を次入力候補文字として決定する(図6:S108)。ここで、出現頻度が同一である次の文字が複数存在する場合、次入力候補決定手段507は、出現頻度と異なる所定の優先順位(例えば、アルファベット順等)に基づいて、次の文字を次入力候補文字として決定する。
【0083】
例えば、図9(b)に示すように、次の文字905のうち、「c」が最初に次入力候補文字906として決定され、次に、出現頻度が同一である「b」、「d」、「q」、「r」のうち、アルファベット順に「b」、「d」が次入力候補文字906として決定される。これにより、次の文字905が複数抽出された場合であっても、ユーザが最も押下する可能性の高い次の文字を次入力候補文字として決定することが出来、ユーザに対する文字入力の操作を一層円滑にする。
【0084】
次入力候補決定手段507が、次入力候補文字905の決定を完了すると、その旨を交換表示手段509に通知する。当該通知を受けた交換表示手段509は、従前に押下された文字キーにより未だに交換表示をしていない場合(図6:S110NO)、キーボード表示手段503からの直近押下の文字キーの文字と、次入力候補決定手段507からの次入力候補文字906と、キーボードテーブル705とに基づいて、キーボード画面に表示された、直近押下の文字キーの近傍配置文字キーの配置情報と、次入力候補文字906の文字キーの配置情報とを特定する(図6:S111)。更に、交換表示手段509は、キーボードテーブル705内の特定した配置情報を交換して、次入力候補文字の文字キーと、近傍配置文字の文字キーとを交換してキーボード画面に表示する(図6:S112)。
【0085】
ここで、複数の次入力候補文字の文字キーを、対応する数の近傍配置文字キーに交換表示する場合、交換表示手段509は、予め決定された所定の優先順位(例えば、上述した出現頻度、アルファベット順等)の高い次入力候補文字の文字キーを、予め決定された所定の配置順位(例えば、直近押下の文字キーの直上に配置された文字キーから時計回りの順等)の高い近傍配置文字キーに対応させて交換表示する。
【0086】
例えば、図9(b)、図10(a)に示す例では、次入力候補文字906が、出現頻度(及び優先順位)の高い順に、「c」1001、「b」1002、「d」1003であり、近傍配置文字が、前記配置順位の高い順に、「q」1004(直近押下の文字キーに対して直上配置)、「s」1005(直右配置)、「@」1005(直下配置)である場合、交換表示手段509は、「c」1001を「q」1004に、「b」1002を「s」1005に、「d」1003を「@」1006にそれぞれ交換表示する。尚、次入力候補文字906と近傍配置文字とが同一の場合は、表示としてはそのままである。
【0087】
交換表示手段509が、交換表示を完了すると、交換後の次入力候補文字の文字キーの背景色を白色から、直近押下の文字キーの背景色と同一であるグレー色に変更して表示する。更に、交換表示手段509は、交換後の次入力候補文字の文字キーと、直近押下の文字キーとを連結して表示する。
【0088】
図10(b)は、本発明の実施形態に係る交換表示後のキーボード画面の一例を示す図である。
【0089】
交換表示後のキーボード画面1009では、図10(b)に示すように、直近押下の文字キー1007の近傍に、次入力候補文字の文字キー1008が出現するとともに、出現した次入力候補文字の文字キー1008の背景色が、直近押下の文字キー1007の背景色と同一となり、更に、両者が連結して表示される。
【0090】
これにより、ユーザが、次入力候補文字キー1008を押下する場合は、キーボード画面1009内で、押下対象の文字キーを探すことなく、即時に次の文字キーを押下することが可能となり、文字入力を円滑に進めることが可能となる。又、交換表示後の次入力候補文字の文字キーが、他の文字キーと異なる表示形式で表示されるため、ユーザが容易に次入力候補文字の文字キーを認識することが可能となり、更に、ユーザによる文字入力を更に円滑にさせる。
【0091】
さて、ユーザが、例えば、前記入力確定キーを押下することなく(図6:S102NO)、続けて、新たな文字キー(例えば、更に、文字「b」の文字キー)を押下した場合(図6:S103YES)、以下のようになる。
【0092】
即ち、押下検知手段502が、新たな文字キーが押下された旨をキーボード表示手段503に通知し、当該キーボード表示手段503は、新たに押下された文字キーの背景色を変更し、当該文字キーに対応する文字「b」を文字表示欄の「a」の次に表示する。次に、押下検知手段502が、新たな文字キーが押下された旨を次入力候補検索手段505に通知し、当該次入力候補検索手段505は、先ほど先頭文字とした文字(「a」)と、現時点で直近押下の文字(「b」)とを合わせた文字を、今まで押下された押下文字(「ab」)とし、当該押下文字を先頭文字とする入力候補文字列を検索する(図6:S104)。
【0093】
例えば、図9(a)に示す入力候補テーブル900では、先頭文字「ab」とする入力候補文字列901が「abampere」901aのみとなるため、次入力候補検索手段505は、当該「abampere」901aを次入力候補文字列904として検索する(図6:S104YES)。
【0094】
次に、次入力候補決定手段507は、カウント手段508によるカウント数(「b」であれば、4個)と、前記「abampere」901aとに基づいて、先頭文字「ab」の次の文字「a」を次入力候補文字906として決定し、その旨を交換表示手段509に通知する(図6:S105→S106→S107YES→S108)。
【0095】
当該通知を受けた交換表示手段509は、従前になされた文字キー(文字「a」の文字キー)の押下検知により、既に所定の文字キーを交換表示しているため(図6:S110YES)、直近押下の文字キーが、従前に交換表示された文字キーであるか否かを判定する(図6:S113)。
【0096】
前記判定の結果、直近押下の文字キー(文字「b」の文字キー)が、従前に交換表示された文字キーである場合(図6:113YES)、交換表示手段509は、直近押下の文字キーである、従前に表示交換された文字キー(例えば、次入力候補文字「b」の文字キー)と、当該文字キーに対応して交換表示された文字キー(例えば、次入力候補文字「b」に対応して交換表示された近傍配置文字「s」の文字キー)とを表示したままの状態(表示維持)とする(図6:S114)。更に、交換表示手段509は、表示したままの状態の文字キー以外の、従前に交換表示された文字キーを元の配置位置に戻す(図6:S115)。
【0097】
例えば、図11(a)に示す例では、直近押下の文字キーが、従前に交換表示された次入力候補文字「b」1101の文字キーであるため、交換表示手段509は、当該文字「b」1101の文字キーと、当該文字「b」1101に対して交換表示された文字「s」1102の文字キーとを表示したままの状態とする。そして、交換表示手段509は、表示を維持した「b」1101の文字キー、「s」1102の文字キー以外の、従前に交換表示した次入力候補文字「c」1103、「d」1104の文字キーと、これらに対応する近傍配置文字「q」1105、「@」1106の文字キーとを元の位置に戻す。
【0098】
一方、前記判定の結果、直近押下の文字キーが、従前に交換表示された文字キーである場合(図6:113NO)交換表示手段509は、従前に交換表示された文字キーを全て元の配置位置に戻す(図6:S115)。
【0099】
これにより、ユーザが、従前に交換表示された文字キーを押下することで、当該交換表示された文字キーが直近押下の文字キーとなった場合であっても、交換表示手段509が、直近押下の文字キーを元に戻すことなく、当該直近押下の文字キーを基準に、新たに決定された次入力候補文字の文字キーを、当該直近押下の文字キーの近傍配置文字の文字キーに交換表示することが出来る。
【0100】
従前に交換表示された文字キーを元の配置位置に戻した後は(図6:S115)、交換表示手段509は、図11(a)に示すように、直近押下の文字キー(文字「b」1101の文字キー)の近傍配置文字キー(直近押下の文字キーに対して直上配置された文字「w」1108の文字キー)と、次入力候補文字の文字キー(「a」1107の文字キー)とを特定し(図6:S111)、特定した次入力候補文字「a」1107の文字キーと、近傍配置文字「w」1108の文字キーとを交換してキーボード画面に表示する(図6:S112)。
【0101】
更に、交換表示手段509は、図11(b)に示すように、交換後の次入力候補文字「a」1107の文字キーの背景色を、直近押下の文字「b」1101の文字キーの背景色と同一とし、両者を連結して表示する。これにより、ユーザが、連続して文字キーを押下したとしても、直近押下の文字キーを基準として、順次、次入力候補文字の文字キーが当該直近押下の文字キーの近傍に出現するから、ユーザは迅速、且つ適切に文字入力をすることが出来る。
【0102】
さて、ユーザが、次の文字キーを押下することなく(図6:S103NO)、前記入力確定キー(例えば、OKキー807)を押下すると(図6:S102YES)、押下検知手段502が、今まで押下(入力)された文字(押下文字)の入力確定を受け付けて、その旨をキーボード表示手段503に通知する。当該通知を受けたキーボード表示手段503は、前記押下文字を入力文字として確定する。これにより、ユーザによる文字入力は完了する。
【0103】
又、押下検知手段502は、前記入力確定キーの押下を検知した旨を交換表示手段509に通知する。当該通知を受けた交換表示手段509は、キーボードテーブル705において、現時点で交換表示している次入力候補文字の文字キーの配置情報と、近傍配置文字の文字キーの配置情報とをそれぞれ元の配置に戻し、交換表示を終了する(図6:S116)。
【0104】
入力文字が確定した後に、例えば、キーボード表示手段503が、確定後の入力文字を画面表示手段501に通知し、キーボード画面804を消去する。この場合、画面表示手段501は、ユーザ認証画面700において、確定した入力文字を、ユーザが押下したキーボードキーに対応する表示欄に表示する。この後、この後、確定後の入力文字を利用して、ユーザが、ユーザ認証画面700を介し、ユーザログインを完了すると、画面表示手段501が、画像形成に関する初期画面をタッチパネル301上に表示し、その旨を画像形成手段510に通知する。当該通知を受けた画像形成手段510は、画面表示手段501を介して、ユーザから画像形成に関する設定条件を受け付けて、画像形成を実行することになる。
【0105】
尚、前記入力確定キーとして、OKキー807が押下された場合を説明しているが、例えば、文字間に空白を入れるスペースキー、押下文字の入力を一時的に確定するエンターキーが押下された場合でも、交換表示手段509が、交換表示した次入力候補文字の文字キーと、近傍配置文字の文字キーとをそれぞれ元の配置に戻し、交換表示を終了するよう構成してもよい。
【0106】
<本発明の実施形態の実施例、比較例について>
上述した効果を示す一例を挙げるとすると、キーボード画面の表示面積の大きさ、キーボードの文字キーの大きさ、文字キーの総数等に応じて、結果が多少変動するとは考えられるが、本発明の実施形態の構成(次入力候補検索手段505、次入力候補決定手段507、交換表示手段509)を備えた操作部(実施例操作部)と、本発明の実施形態の構成を備えていないこと以外は、実施例操作部と構成を同等とする操作部(比較例操作部)とにおいて、ユーザが、例えば、入力候補文字列に対応する「abampere」904aを入力する場合、ユーザが実施例操作部を使用すると、次入力候補文字の文字キーが押下直後の文字キーの近傍に次々と出現するために、入力に要した時間は数秒にも満たない傾向があるのに対し、ユーザが比較例操作部を使用すると、押下直後の文字キーの次の文字キーを探すのに手間取るため、入力に要した時間は数十秒−数分と長時間掛かる傾向があり、これらの傾向は、正に、実施例操作部では、ソフトキーボードを利用するユーザに、文字の入力を円滑、且つ適切に実行させることが可能であることを意味する。
【0107】
このように、本発明の操作部103では、特定の文字列を入力候補文字列として少なくとも1つ記憶する入力候補記憶手段506と、前記入力確定キーが押下されることなく、所定の文字キーが押下されると、前記入力候補文字列のうち、当該押下文字を先頭文字とする入力候補文字列を次入力候補文字列として検索する次入力候補検索手段505と、検索された次入力候補文字列について、前記先頭文字の次の文字を次入力候補文字として決定する次入力候補決定手段507と、決定された次入力候補文字の文字キーを、直近に押下された文字キーの近傍に配置される文字キーと交換して表示する交換表示手段509とを備える。
【0108】
これにより、ユーザが所定の文字キーを押下すると、ユーザにより当該文字キーの次に押下されると予測される次入力候補文字キーが、当該文字キーの近傍に表示(出現)する。そのため、次入力候補文字キーを押下する場合は、ユーザが、押下対象の文字キーを探すことなく、即時に次の文字キーを押下することが可能となり、文字入力を円滑、且つ適切に進めることが可能となる。特に、ソフトキーボードの文字キーの配置がハートキーボードの文字キーの配置と異なることにより、ハードキーボードで円滑に文字入力出来るが、ソフトキーボード画面では円滑に文字入力出来ないユーザであっても、当該文字キーの配置の差異を気にすることなく、円滑に文字キーの押下を行うことが可能となる。
【0109】
尚、本発明の実施形態では、入力候補文字列として、アルファベットからなる文字列とし、キーボード画面に選択可能に表示された文字キーの文字として、アルファベットとしたが、他の構成でも構わない。例えば、前記アルファベットに代えて、又は、当該アルファベットとともに、平仮名、片仮名、日本語、漢字等の言語を採用して、当該言語の文字を用いた入力候補文字列、キーボード画面に選択可能に表示された文字キーの文字としても構わない。
【0110】
又、本発明の実施形態では、交換表示手段509が、キーボード画面において、次入力候補文字の文字キーの背景色を、直近押下の文字キーの背景色と同一とし(他の文字キーの背景色と異なる)、両者を連結して表示するよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、前記交換表示手段509が、交換表示後の次入力候補文字の文字キーを、他の文字キーと異なる表示形式で表示する際に、単に背景色のみを、他の文字キーの背景色と異なる色として表示してもよい。
【0111】
又、本発明の実施形態では、前記交換表示手段509が、次入力候補文字の文字キーを、直近押下の文字キーの近傍配置文字キーと単に交換表示するよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、前記交換表示手段509が、次入力候補文字の文字キーと近傍配置文字キーとを、キーボード画面内の他の文字キーよりも前面に表示して、次入力候補文字の文字キーを近傍配置文字キーに向かって視覚的に確認出来るように動かし、当該近傍配置文字キーの配置位置へ移動させる。又、交換表示手段509が、近傍配置文字キーを次入力候補文字の文字キーに向かって視覚的に確認出来るように動かし、当該次入力候補文字キーの配置位置へ移動させる。このように、交換表示手段509が、次入力候補文字の文字キーと近傍配置文字キーとを動的に動かして交換表示するよう構成しても構わない。
【0112】
又、本発明の実施形態に係る操作部103では、複合機100のコピーサービスの処理に関して採用したが、例えば、ファクシミリ送受信サービス、プリントサービス等に対しても採用できる。更に、本発明の実施形態では、操作部103を複合機に適用した場合について説明したが、タッチパネル301を有する操作部103(文字入力装置)を備えた各種画像形成装置、各種電子装置、各種測定装置等に適用しても、同一の作用効果を奏する。
【0113】
又、本発明の実施形態では、操作部103が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、上記プログラムを操作部103或いは複合機100に読み出させ、その操作部103或いは複合機100が上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0114】
以上のように、本発明に係る文字入力装置及び文字入力方法は、複合機はもちろん、複写機、プリンタ等に有用であり、ソフトキーボードを利用するユーザに、文字の入力を円滑、且つ適切に実行させることが可能な文字入力装置及び文字入力方法として有効である。
【符号の説明】
【0115】
100 複合機
103 操作部
501 画面表示手段
502 押下検知手段
503 キーボード表示手段
504 キーボード記憶手段
505 次入力候補検索手段
506 入力候補記憶手段
507 次入力候補決定手段
508 カウント手段
509 交換表示手段
510 画像形成手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め決定された所定の配列で複数の文字キーと当該文字キーの入力を確定する入力確定キーとをユーザに押下可能に表示する文字入力装置において、
特定の文字列を入力候補文字列として少なくとも1つ記憶する入力候補記憶手段と、
前記入力確定キーが押下されることなく、所定の文字キーが押下されると、前記入力候補文字列のうち、当該押下文字を先頭文字とする入力候補文字列を次入力候補文字列として検索する次入力候補検索手段と、
検索された次入力候補文字列について、前記先頭文字の次の文字を次入力候補文字として決定する次入力候補決定手段と、
決定された次入力候補文字の文字キーを、直近に押下された文字キーの近傍に配置される文字キーと交換して表示する交換表示手段と、
を備えることを特徴とする文字入力装置。
【請求項2】
前記入力候補文字列は、ある事象が生じる確率がそれ以前の事象に影響される情報源であるマルコフ情報源に基づいて決定された文字列、辞書に掲載されている文字列、画像形成時にユーザが入力する頻度が高いと経験的に知られる文字列、画像形成に関連する文字列、ユーザIDに関連する文字列を含む群から選択された
請求項1に記載の文字入力装置。
【請求項3】
前記交換表示手段は、交換表示後の次入力候補文字の文字キーを、他の文字キーと異なる表示形式で表示する
請求項1又は2に記載の文字入力装置。
【請求項4】
更に、直近に押下された文字キーの近傍に配置される文字キーの数をカウントするカウント手段を備え、
前記次入力候補決定手段は、検索された全ての次入力候補文字列について前記次の文字を抽出して、抽出した次の文字の種類の数を算出し、算出した種類の数が前記カウント数以下である場合、全ての種類の次の文字を次入力候補文字として決定し、
算出した種類の数が前記カウント数を超える場合、当該種類毎に次の文字の出現頻度を算出し、算出した出現頻度の高い順に、当該カウント数に対応する数の次の文字を次入力候補文字として決定する
請求項1−3のいずれか一項に記載の文字入力装置。
【請求項5】
請求項1−4のいずれか一項に記載の文字入力装置を備えた画像形成装置。
【請求項6】
予め決定された所定の配列で複数の文字キーと当該文字キーの入力を確定する入力確定キーとをユーザに押下可能に表示する文字入力方法において、
前記入力確定キーが押下されることなく、所定の文字キーが押下されると、入力候補記憶手段に少なくとも1つ記憶された、特定の入力候補文字列のうち、当該押下文字を先頭文字とする入力候補文字列を次入力候補文字列として検索する次入力候補検索ステップと、
検索された次入力候補文字列について、前記先頭文字の次の文字を次入力候補文字として決定する次入力候補決定ステップと、
決定された次入力候補文字の文字キーを、直近に押下された文字キーの近傍に配置される文字キーと交換して表示する交換表示ステップと、
を含むことを特徴とする文字入力方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−8834(P2012−8834A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144699(P2010−144699)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】