説明

文書廃棄装置、文書管理システム及び文書廃棄制御プログラム

【課題】紙文書の廃棄の可否を厳重に管理して、重要な紙文書を誤って廃棄することを未然に防止できるようにする。
【解決手段】文書トレイ48にセットした紙文書に表示されたバーコードを読み取って、当該紙文書を廃棄してよいかどうか判断する。また、金属センサ33で紙文書に漉き込まれているワイヤを検出し、ワイヤの有無により当該紙文書を廃棄してよいかどうか判断する。さらに、認証装置により廃棄装置4のユーザが紙文書を廃棄する権限を有しているか否かを判断する。バーコード、ワイヤに基づく判断により何れも紙文書を廃棄しても良いと判断し、かつ、ユーザが紙文書を廃棄する権限を有していると判断したことを条件に、紙文書をシュレッダー42で廃棄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書廃棄装置、文書管理システム及び文書廃棄制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、廃棄すべき文書を文書廃棄装置に投入するだけで、当該文書の廃棄及び当該文書の画像のファイリングを行うことができるようにした技術について開示されている。特許文献1では、かかる技術によれば、文書の廃棄処理及び保存・管理を容易かつ効率的に行うことが可能であり、かつ、廃棄文書は裁断され判読不可能となるので、秘密文書の廃棄及びファイリングが可能であるとしている。
【特許文献1】特開平11‐339024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、個人情報保護法、e文書法の施行など情報セキュリティを求める法規制が強化されており、文書に対するセキュリティの要求がますます高まっている。企業、官庁などの組織内の秘密情報の漏洩の主たる原因は盗難、紛失、置き忘れなどによるものであり、組織内部の不正や犯罪によるものも増加傾向にある。
【0004】
こうした情報セキュリティの要請の高まりの中、電子化された文書に関しては様々な対策がなされている。そのため、近年においては、Web経由で情報が漏洩したり、あるいは、パソコン本体から情報が盗み出されたりなど、電子化された文書が情報漏えいの経路となるケースよりも、むしろ紙文書から情報が漏えいするケースの方が目立つようになっている。
【0005】
そのため、紙などの印字媒体に印刷、手書きなどにより記録された文書である紙文書(必ずしも印字媒体が紙とは限らない)について、その作成から最終的に廃棄されるまでのドキュメントライフサイクルの全体を厳重に管理するための方策が必要となる。すなわち、秘密性の高い紙文書は、組織内の特定のエリア内でのみ使用するようにし、当該エリア内からの持ち出しを禁止し、保存しておく必要がなくなったときは当該エリア内においてシュレッダーで判読不能に粉砕することで廃棄して、当該紙文書から情報が漏洩しないようにする必要がある。このように、ドキュメントライフサイクルの最終段階では秘密の紙文書は確実に廃棄することが必須である。
【0006】
しかしながら、紙文書の廃棄に際しては、どの紙文書を廃棄してよいか、いつの時点で紙文書を廃棄してよいか、誰が廃棄してよいかについての管理が重要となる。すなわち、これらを厳重に管理しないと廃棄すべきでない重要な秘密文書を誤って廃棄してしまう事故が発生してしまう恐れがある。
【0007】
本発明の目的は、紙文書の廃棄の可否を厳重に管理して、重要な紙文書を誤って廃棄することを未然に防止できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、印字媒体(紙、樹脂その他の様々な材料で形成されたものを含む)に記録された文書に設けられている金属の有無を検出する金属検出器と、情報を符号化した記号であって前記文書に表示されているものを読み取る記号読取器と、前記文書の廃棄の指示を受け付ける指示受付部と、前記文書を廃棄する文書廃棄部と、前記金属検出器による金属の検出の有無により前記文書廃棄部での前記文書を廃棄の可否を判定する第1の判定手段と、前記記号読取器により読み取った記号に基づいて前記文書廃棄部での前記文書を廃棄の可否を判定する第2の判定手段と、前記指示受付部で前記文書の廃棄の指示を受け付けたときは、前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段でいずれも前記文書廃棄部での前記文書を廃棄可能と判定したことを条件に、前記文書廃棄部に前記文書を廃棄させる制御を行う文書廃棄制御手段と、を備えている文書廃棄装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有しているか否かの認証を行う認証手段をさらに備え、前記文書廃棄制御手段は、記指示受付部で前記文書の廃棄の指示を受け付けたときは、前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段でそれぞれ前記文書廃棄部での前記文書を廃棄可能と判定したこと、及び前記認証手段で前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有していると認証したことを条件に前記文書を前記文書廃棄部で廃棄する、ようにしている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第2の判定手段は、前記記号読取器により読み取った記号に基づいて前記文書の持ち出しの可否及び当該持ち出しの可否で持ち出し禁止のときの当該文書の廃棄可能期限を判断し、当該文書が持ち出し禁止でかつ廃棄可能期限を過ぎていることを条件に前記文書廃棄部での前記文書の廃棄を可能と判定する、ようにしている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかの一項に記載の発明において、前記第1の判定手段と前記第2の判定手段のいずれかで前記文書廃棄部での前記文書を廃棄してはいけないと判定し、又は前記認証手段で前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有していないと判定したときは、当該文書は廃棄できない旨を報知する報知手段をさらに備えている。
【0012】
請求項5に記載の発明は、情報を符号化した記号を含む画像の形成を印字媒体(紙、樹脂その他の様々な材料で形成されたものを含む)に対して行なって文書を作成する文書生成装置と、前記記号に基づいて前記文書の廃棄の可否を判断し廃棄可能な前記文書を廃棄する文書廃棄装置と、前記文書生成装置及び前記文書廃棄装置と通信手段を介して接続され前記記号に基づいて前記文書の管理を行う文書管理装置と、を備え、前記文書廃棄装置は、廃棄しようとする前記文書に設けられている金属の有無を検出する金属検出器と、前記文書に表示されている前記記号を読み取る記号読取器と、前記文書の廃棄の指示を受け付ける指示受付部と、前記文書を廃棄する文書廃棄部と、前記金属検出器による金属の検出の有無により前記文書廃棄部での前記文書を廃棄の可否を判定する第1の判定手段と、前記記号読取器により読み取った記号に基づいて前記文書廃棄部での前記文書を廃棄の可否を判定する第2の判定手段と、前記指示受付部で前記文書の廃棄の指示を受け付けたときは、前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段でいずれも前記文書廃棄部での前記文書を廃棄可能と判定したことを条件に、前記文書廃棄部に前記文書を廃棄させる制御を行う文書廃棄制御手段と、を備えている、文書管理システムである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の文書管理システムにおいて、前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有しているか否かの認証を行う認証手段をさらに備え、前記文書廃棄制御手段は、記指示受付部で前記文書の廃棄の指示を受け付けたときは、前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段でそれぞれ前記文書廃棄部での前記文書を廃棄可能と判定したこと、及び前記認証手段で前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有していると認証したことを条件に前記文書を前記文書廃棄部で廃棄する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の文書管理システムにおいて、前記第2の判定手段は、前記記号読取器により読み取った記号に基づいて前記文書の持ち出しの可否及び当該持ち出しの可否で持ち出し禁止のときの当該文書の廃棄可能期限を判断し、当該文書が持ち出し禁止でかつ廃棄可能期限を過ぎていることを条件に前記文書廃棄部での前記文書の廃棄を可能と判定する。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれかの一項に記載の文書管理システムにおいて、前記第1の判定手段と前記第2の判定手段のいずれかで前記文書廃棄部での前記文書を廃棄してはいけないと判定し、又は前記認証手段で前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有していないと判定したときは、当該文書は廃棄できない旨を報知する報知手段をさらに備えている。
【0016】
請求項9に記載の発明は、印字媒体(紙、樹脂その他の様々な材料で形成されたものを含む)に記録された文書に設けられている金属の有無を検出する金属検出器による金属の検出の有無により前記文書を廃棄する文書廃棄部での前記文書を廃棄の可否を判定する第1の判定手段と、情報を符号化した記号であって前記文書に表示されているものを読み取る記号読取器により読み取った記号に基づいて前記文書廃棄部での前記文書を廃棄の可否を判定する第2の判定手段と、前記文書の廃棄の指示を受け付ける指示受付部で前記文書の廃棄の指示を受け付けたときは、前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段でいずれも前記文書廃棄部での前記文書を廃棄可能と判定したことを条件に、前記文書廃棄部に前記文書を廃棄させる制御を行う文書廃棄制御手段と、をコンピュータに実行させるコンピュータに読み取り可能な文書廃棄制御プログラムである。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の文書廃棄制御プログラムにおいて、前記文書廃棄制御手段は、記指示受付部で前記文書の廃棄の指示を受け付けたときは、前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段でそれぞれ前記文書廃棄部での前記文書を廃棄可能と判定したこと、及び、前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が前記文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有しているか否かの認証を行う認証手段で前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有していると認証したことを条件に前記文書を前記文書廃棄部で廃棄する。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の文書廃棄制御プログラムにおいて、前記第2の判定手段は、前記記号読取器により読み取った記号に基づいて前記文書の持ち出しの可否及び当該持ち出しの可否で持ち出し禁止のときの当該文書の廃棄可能期限を判断し、当該文書が持ち出し禁止でかつ廃棄可能期限を過ぎていることを条件に前記文書廃棄部での前記文書の廃棄を可能と判定する。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項9〜11のいずれかの一項に記載の文書廃棄制御プログラムにおいて、前記第1の判定手段と前記第2の判定手段のいずれかで前記文書廃棄部での前記文書を廃棄してはいけないと判定し、又は前記認証手段で前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有していないと判定したときは、当該文書は廃棄できない旨を報知する報知手段をさらに備えている。
【発明の効果】
【0020】
(1)(5)(9)の発明によれば、文書の記号に符号化された当該文書を識別する識別情報などの情報から当該文書が廃棄してよい文書か否かを判断することができる。また、当該文書に金属が含まれているか否かにより当該文書が廃棄してよい文書か否かを判断することができる。文書の記号は当該記号部分のみを当該文書から切除してしまえば容易に除外することができるので、この点では当該文書の廃棄に関する管理について万全を欠くことになるが、文書に含める金属は例えば極細のワイヤにして文書の用紙中の全体にはじめから漉き込んでおくことが可能であり、文書の一部が削除されても当該文書の廃棄の有無を的確に判断でき、文書の廃棄に関する管理について万全となる。また、文書に金属を含めておけば、当該文書を管理する部屋の出口に金属探知機を設けておけば、文書の不正な持ち出しをチェックすることもできる。一方、金属の有無のみでは文書を廃棄してよいか否かのみの判断しかできないのに対し、文書の記号には当該文書を識別する識別情報その他の様々な情報を含めることが可能となり、記号に符号化された多様な情報から文書の廃棄の有無をきめ細かに判断することが可能となる。このように、文書に表示されている記号と、含まれている金属との両方から文書の廃棄の可否を判断することにより、両者の欠点が互いに補完されて、文書の廃棄の可否を厳重に管理することが可能となり、重要な文書を誤って廃棄することを未然に防止できる。
【0021】
(2)(6)(10)の発明によれば、さらに文書を廃棄しようとしている人物が文書の廃棄を許可されている管理者などであるか否かを認証することが可能となるので、文書の廃棄の権限のない者が文書の廃棄を行うことを防止し、文書の廃棄の可否を厳重に管理して、重要な文書を権限のない者が誤って廃棄することを未然に防止できる。
【0022】
(3)(7)(11)の発明によれば、文書の持ち出しの可否及び当該持ち出しの可否で持ち出し禁止のときの当該文書の廃棄可能期限を判断することができるので、単に文書を廃棄してよいか否かのみならず、廃棄してよいとしてもいつになったら廃棄してよいかまで判断するので、文書の廃棄の可否をきめ細かに設定することが可能となり、文書の廃棄の可否を厳重に管理して、重要な文書を誤って廃棄することを未然に防止できる。
【0023】
(4)(8)(12)の発明によれば、廃棄不可の文書を廃棄しようとしたときに当該事実を報知することにより、誤って文書を廃棄しようとしている人物に注意を喚起したり、あるいは、所定の管理者に廃棄不可の文書を廃棄しようとの試みがなされたことを知らせたりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の一実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態に係る文書管理システムの全体構成を示すブロック図である。図示した文書管理システム1は、文書生成装置2と、文書管理装置3と、文書廃棄装置4とがLAN(Local Area Network)などのネットワーク5を介して接続されている。
【0026】
文書生成装置2は、紙などの印字媒体に画像形成することにより紙文書を生成する装置である。ここで、紙文書とは、印字媒体が紙とは限らず、樹脂などの他の材料であっても良い。この画像の中には当該紙文書を識別する識別情報となる文書IDを符号化した記号であるバーコードなどのコードシンボルも含まれている。文書管理装置3は、文書生成装置2によって生成された紙文書に関して種々の管理処理を行う装置である。文書廃棄装置4は、文書生成装置2によって生成された紙文書や他の紙文書の廃棄処理を行う装置である。
【0027】
図2は、文書生成装置2の構成を示すブロック図である。文書生成装置2は、例えばデジタル複写機やデジタル複合機(多機能型複写機)などにより実現されるものである。この文書生成装置2は、操作パネル11と、画像読取装置12と、画像処理装置13と、画像形成装置14と、制御装置15と、通信インターフェース16とを備えている。
【0028】
操作パネル11は、文書生成装置2を使用するユーザが各種の情報を入力したり、ユーザに対して各種の情報を表示したりするためのユーザインターフェースとなる。操作パネル5は、例えば、各種のボタン、スイッチ、キー等を有する入力部と、タッチパネル付きの液晶ディスプレイからなる表示部とによって構成される。
【0029】
画像読取装置12は、読み取り対象となる原稿の画像を光学的に読み取る。この画像読取装置12は、フラットベット・スキャナであり、透明な原稿台(プラテンガラス)にセットされた原稿面に光を照射して、当該原稿面からの反射光をミラー、レンズ等の結像光学系を介して読み取りセンサ(CCDセンサ等)の受光面で結像させることにより、原稿画像に対応した画像データを生成する。その際、原稿面は、結像光学系の移動によって読み取り走査される。
【0030】
画像処理装置13は、画像読取装置12で読み取られた原稿の画像データに所定の画像処理(例えば、色変換、色補正、階調補正、拡大縮小、画像回転、スクリーン生成などの処理)を施す。
【0031】
画像形成装置14は、画像読取装置12で読み取られかつ画像処理装置13で画像処理された画像データを用紙等の印字媒体に印刷出力するものである。この画像形成装置14は、例えば、電子写真方式に基づいて画像データの印刷を行う。
【0032】
制御装置15は、文書生成に係る種々の処理動作を制御する。この文書生成制御部9は、マイクロコンピュータを備え、各種制御プログラムにしたがって、操作パネル11、画像読取装置12、画像処理装置13及び画像形成装置14の各種処理動作を制御する。
【0033】
通信インターフェース16は、文書生成装置2がネットワーク5上で他の装置(文書管理装置3、文書廃棄装置4を含む)とデータの送受信を行う。通信インターフェース16を用いたデータの送受信は、制御装置15によって制御される。
【0034】
図3は、文書管理装置3の構成を示す機能ブロック図である。文書管理装置3は、例えばパーソナルコンピュータを用いて構成され、当該パーソナルコンピュータが各種プログラムに基づいて動作することにより、次のような各種処理を実行する。この文書管理装置3は、ユーザインターフェース部21と、バーコード解析部22と、検索部23と、データベース部24と、文書管理制御部25と、通信インターフェース26とを備えている。
【0035】
ユーザインターフェース部21は、文書管理装置3を使用するユーザが各種の情報を入力し、また、ユーザに対して各種の情報を表示するためのユーザインターフェースである。このユーザインターフェース部21は、例えば、キーボード、マウス等の入力装置と、液晶ディスプレイ等の表示装置とによって構成される。
【0036】
バーコード解析部22は、画像データに含まれるコードシンボルを解析して復号処理するものである。バーコード解析部22が解析するコードシンボルは、文書生成装置2で作成した紙文書に含まれるコードシンボルである。このコードシンボル、例えばバーコードは、少なくとも前述の文書IDが符号化されている。一般に、バーコードは、一次元方向にのみ情報をもつ一次元バーコードと、二次元方向に情報をもつ二次元バーコードに大別されるが、どちらのバーコードも利用可能である。ただし、文書IDの他に、種々の情報を1つのバーコードに符号化したい場合は、より多くのデータを符号化できる二次元バーコードを用いることが望ましい。以下では、コードシンボルの例としてバーコードの例で説明する。
【0037】
検索部23は、データベース部24に蓄積されたデータの検索を行う。データベース部24は、各種紙文書を管理するためのデータベースを構築している。このデータベース部24は、種々のデータを蓄積するものである。データベース部24は、例えば、ハードディスク装置内等に構築される。
【0038】
文書管理制御部25は、紙文書の文書管理に係る種々の処理動作を制御するものである。この文書管理制御部25は、マイクロコンピュータを備え、各種制御プログラムにしたがって、ユーザインターフェース部21、バーコード解析部22、検索部23及びデータベース部24の各種処理動作を制御する。
【0039】
通信インターフェース26は、文書管理装置3がネットワーク5上で他の装置(文書生成装置2、文書廃棄装置4を含む)とデータの送受信を行う。通信インターフェース26を用いたデータの送受信は、文書管理制御部25によって制御される。
【0040】
図4は、手差し送りタイプの文書廃棄装置4の機構を説明する概略図である。この文書廃棄装置4は、例えばシュレッダー装置である。
【0041】
文書トレイ48は、廃棄の対象となる紙文書が載置されるトレイである。文書トレイ48は、ストッパー34に向かって漸次位置が低くなるように、水平面に対して斜めに傾斜した状態で形成されている。文書トレイ48の奥側(低位側)は、インサートセンサ31、バーコードリーダー32、金属センサ33、ストッパー35、搬送ローラ36とともに、カバー部材42(図5参照)によって覆い隠されている。
【0042】
インサートセンサ31は、文書トレイ48の所定の読み取り位置まで紙文書が差し込まれたことを検知する。インサートセンサ31は、例えば発光素子と受光素子を有する反射型の光学センサによって構成され、当該インサートセンサ31のセンシング位置に文書が存在するときにオン状態、存在しないときにオフ状態となる。
【0043】
バーコードリーダー32は、廃棄対象となる紙文書のバーコード記録部分に対して、光源から照射された光の反射光を、レンズを介してエリアセンサで受光することにより、紙文書のバーコードの画像をエリアセンサ16に取り込む構成となっている。バーコード記録部分とは、文書の面内でバーコードが記録される部分をいい、その位置(領域)は紙文書の所定位置に予め規定されている。
【0044】
金属センサ33は、廃棄対象となる紙文書に含まれている金属を検出するセンサである。金属センサ33は、例えば、コイルに電流を流して磁力線が発生させ、コイルに金属が近づくと発生した磁力線が影響を受けるため、コイルに流れる電流が変化するので、その変化をとらえることにより金属を探知することができる。金属センサ33は、文書トレイ48で紙文書が差し込まれる方向の左右の紙文書の端から端までのどの位置にある金属でも検出できるようにするのが望ましい。
【0045】
ストッパー35は、例えば長尺状の板状構造をなすもので、インサートセンサ31と搬送ローラ35との間に設けられている。ストッパー35は、搬送ローラ35,36によって紙文書を搬送する文書搬送路37の入口部分で、当該文書搬送路37を開閉する。ストッパー35はソレノイドその他の所定のアクチュエータにより上下に駆動され、ストッパー35を閉じた状態では、文書トレイ48から搬送ローラ35に至る文書の通路を遮断するように、ストッパー35が通路上に突出した状態で配置される。したがって、文書トレイ48に載置した紙文書を奥側に差し込むようにすると、当該紙文書の先端がストッパー35に突き当たる。これに対して、ストッパー35を開いた状態では、文書トレイ48から搬送ローラ35に至る紙文書の通路から退避するように、ストッパー20が通路上から引っ込んだ状態で配置される。したがって、文書トレイ48に載置した文書を奥側に差し込むようにすると、当該紙文書の先端が搬送ローラ35のニップ部分に突き当たる。
【0046】
図5は文書トレイ48を上方から見た図である。文書トレイ48には、紙文書101を手差しで差し込むときの差し込み方向(矢印方向)に対して、その両側に挿入ガイド38,39が設けられている。挿入ガイド38は固定状態で設けられるものであるが、挿入ガイド39は必要に応じて文書の幅方向(図5の上下方向)に移動可能である。この例では、廃棄の対象となる紙文書101は、その先端側コーナー部分にバーコード記録部分102を配置する向きで文書トレイ48の矢印方向に差し込まれる。このとき、差し込み方向と直交する方向で紙文書101の位置を決めるために、紙文書101の一方の側端を挿入ガイド38のガイド面に当接させて沿わせる。
【0047】
これにより、ユーザの手差しによって紙文書101の先端をストッパー34に突き当てた状態では、バーコードリーダー32によるコード読み取りエリア40内にバーコード記録部分102が位置決め配置される。また、金属センサ33による金属読み取りエリア41内に紙文書101の上端から下端までが配置される。文書の差し込み方向において、インサートセンサ18はストッパー20の手前(直近)に配置されている。このため、ユーザによって手差しされた紙文書101の先端がストッパー34に突き当たるときには、その直前でインサートセンサ31がオフ状態からオン状態に切り替わる。このことから、インサートセンサ31がオンするタイミングは、紙文書101のバーコード記録部分102がコード読み取りエリア40内に配置されるタイミングを示すものとなる。
【0048】
図4に戻り、搬送ローラ35は、ストッパー34の開放によって差し込まれた文書をニップ(挟持)しつつ回転することにより、当該紙文書を文書搬送路37に沿って搬送する。文書搬送路37は、図示しない搬送案内部材(シュート等)を備えている。搬送ローラ36は、搬送ローラ35によって搬送された紙文書をニップしつつ回転することにより、当該紙文書を文書搬送路37に沿ってシュレッダー42へと搬送する。
【0049】
パスセンサ43は、搬送ローラ36からシュレッダー42に至る文書搬送路37の途中(ほぼ中間点)で紙文書の通過を検知するものである。パスセンサ43は、例えば発光素子と受光素子を有する反射型の光学センサによって構成されるもので、当該パスセンサ43のセンシング位置に紙文書が存在するときにオン状態、存在しないときにオフ状態となる。したがって、パスセンサ43のセンシング位置を紙文書の先端が通過すると、それと同時にパスセンサ43がオフ状態からオン状態に切り替わり、その後、パスセンサ43のセンシング位置を紙文書の後端が通過すると、それと同時にパスセンサ43がオン状態からオフ状態に切り替わる。
【0050】
シュレッダー42は、搬送ローラ36によって送り込まれた紙文書を一方向(矢印方向)に引き込みながら細断(シュレッド)する装置である。このシュレッダー42は、複数枚の紙文書(例えば、A4サイズの普通紙で20枚程度の束)を一括でシュレッド処理することが可能である。また、シュレッダー42は、ステープル針でステープル処理された文書であっても、そのままの状態(ステープル針を外さない状態)でシュレッド処理することが可能である。
【0051】
搬送ローラ35と搬送ローラ36の中間位置で、文書搬送路37から別の文書搬送路44が分岐している。所定のアクチュエータにより駆動される切替爪45を回転することにより、搬送ローラ35で搬送される紙文書は文書搬送路37に搬出するか、文書搬送路44に搬出するかを切り替えることができる。文書搬送路44に搬出された紙文書は搬送ローラ46により文書廃棄装置4の筐体の外部に設けられた排紙トレイ47に排出される。
【0052】
パスセンサ493は、搬送ローラ35から排紙トレイ47に至る文書搬送路37の途中(搬送ローラ49の手前)で紙文書の通過を検知する。パスセンサ49は、例えば発光素子と受光素子を有する反射型の光学センサによって構成されるもので、当該パスセンサ49のセンシング位置に紙文書が存在するときにオン状態、存在しないときにオフ状態となる。したがって、パスセンサ49のセンシング位置を紙文書の先端が通過すると、それと同時にパスセンサ49がオフ状態からオン状態に切り替わり、その後、パスセンサ49のセンシング位置を紙文書の後端が通過すると、それと同時にパスセンサ49がオン状態からオフ状態に切り替わる。
【0053】
図6は、文書廃棄装置4の電気的な接続のブロック図である。文書廃棄装置4は、各種演算を行い、各部を集中的に制御するCPU51と、CPU51が実行する制御プログラム52を格納したROM53と、CPU51の作業エリアとなるRAM54とがバス55により接続されている。バス55には、所定のインターフェースを介して、各種センサ56(ここでは、便宜上、文書廃棄装置4で使用しているインサートセンサ31、バーコードリーダー33、金属センサ33などのセンサを包括して各種センサ56としている)と、各種アクチュエータ57(ここでは、便宜上、ストッパー34、搬送ローラ35,36などを駆動する各種のソレノイドやモータを包括して各種アクチュエータ57としている)と、ネットワーク5を介して文書管理装置などと通信を行う通信インターフェース58と、ユーザを認証する認証装置59と、各種操作キーやメッセージを表示するディスプレイが設けられた操作パネル60と、が接続されている。
【0054】
CPU51は、制御プログラム52に基づいて後述するような処理を実行するが、この制御プログラム52は最初からROM53に格納されているものであっても良いし、後で、光ディスク、光磁気ディスクなどの記憶媒体に格納されている制御プログラム52を所定の読取装置で読み取り、文書廃棄装置4に設けた不揮発性メモリや磁気記憶装置にセットアップするようにしても良い。あるいは、制御プログラム52を搬送波の形態で所定のサーバ装置などからダウンロードし、不揮発性メモリや磁気記憶装置にセットアップするようにしても良い。
【0055】
認証装置59は、文書廃棄装置4のユーザが紙文書を廃棄する権限を有する管理者などであるか否かユーザ認証を行うための装置である。このようなユーザ認証としてパスワードの入力を要求するときには認証装置59は入力キーを備えた入力装置を備えている。ユーザ認証としてIDカードの読み取りを要求するときには認証装置59はカードリーダを備えている。さらに、ユーザ認証として指紋認証、手のひら静脈認証、虹彩認証などの生体認証を要求するときには認証装置59は指紋、手のひら、虹彩などの生体の一部を読み取る読取装置を備えている。なお、認証に必要なパスワードや生体情報などは文書管理装置3において登録しておき、文書廃棄装置4から問い合わせるようにしてもよいし、パスワードや生体情報などの照合自体も文書管理装置3で行うようにしてもよい。
【0056】
次に、文書管理システム1が実行する処理について説明する。
【0057】
図7は、文書生成装置2が実行する処理について説明するフローチャートである。操作パネル11の操作により、新たな紙文書の作成の指示がなされたときは(ステップS1のY)、文書管理装置3に新たな文書IDの付与を要求し、新たな文書IDの付与を受ける(ステップS2)。そして、画像読取装置12に配置されている原稿を読み取り(ステップS3)、画像処理装置13で色変換、色補正などの所定の画像処理を行なう(ステップS4)。このとき、画像処理装置13では、ステップS2で付与された文書IDを符号化したバーコードの画像を読み取り原稿の画像データの所定位置に付加する処理を行う。そして、画像形成装置14で画像形成を行なって(ステップS5)、紙文書の作成を行う。これにより、作成された紙文書の所定位置には文書IDを符号化したバーコードの画像が表示される。そして、文書管理装置3に新たな文書IDを送信する(ステップS6)。
【0058】
図8は、このようにして作成した紙文書101の例を示す平面図である。この例で、紙文書101の左上の欄外にはバーコード102が表示されている。これは、前述のとおりに付与されたものである。この紙文書101の用紙には、極細の金属製のワイヤ103が当該用紙全体にわたり漉き込んである。
【0059】
図9は、同じく紙文書101の例を示す平面図である。この紙文書101では、ワイヤ103が当該用紙に漉き込まれていない点で図8の紙文書101とは相違する。
【0060】
すなわち、文書管理装置3で印字媒体として使用する用紙は、ワイヤ103が当該用紙に漉き込まれているものといないものの2種類が用意され、この2種類を使い分けている。つまり、当該紙文書101がいずれは文書廃棄装置4により廃棄するべき秘密性の高い文書であるときは、ワイヤ103が漉き込まれている用紙を使用し、当該紙文書101が文書廃棄装置4により廃棄する必要のない秘密性の低い文書であるときはワイヤ103が漉き込まれていない用紙を使用する。2種類の用紙を使い分けるのは最終的に廃棄するか否かを識別するためであるため、当該紙文書101がいずれは文書廃棄装置4により廃棄する文書であるときは、ワイヤ103が漉き込まれていない用紙を使用し、当該紙文書101は文書廃棄装置4により廃棄ふる必要のない文書であるときはワイヤ103が漉き込まれている用紙を使用するようにしてもよい。
【0061】
図10は、文書管理装置3のデータベース部24に登録されている文書管理データベース61の説明図である。文書管理データベース61は紙文書の作成から最終的な廃棄までのドキュメントライフサイクルの全体を管理するためのデータベースである。文書管理データベース61は、紙文書の文書ID62、当該紙文書の作成年月日63、当該紙文書の持ち出しの可否64、当該紙文書の廃棄可能年月日65、当該紙文書の廃棄年月日66、当該紙文書の廃棄者67などの情報が互いに関連付けて登録されている。
【0062】
「持ち出しの可否64」に「否」とあるのは当該紙文書が秘密性の高い文書であり、文書管理システム1が設置されている部屋以外への持ち出しが禁止されていることを示す。この文書は秘密文書であるため、最終的には文書廃棄装置4で廃棄して情報の漏洩を防止する必要がある。「持ち出しの可否64」に「可」とあるのは当該紙文書の秘密性が低いため、文書管理システム1が設置されている部屋以外への持ち出してもよいものであることを示し、情報の漏洩を防止する必要性が低いため、文書廃棄装置4で廃棄しなくてもよい紙文書である。「廃棄可能年月日65」は「持ち出しの可否64」に「否」が登録されているときに当該紙文書が廃棄可能となる年月日が登録される。例えば、紙文書の中には法律により保管義務期間が決められているものがあり、この保管義務期間から何時以降は廃棄可能かということがわかるので、これにより廃棄可能年月日65を登録する。
【0063】
図11は、文書管理装置3が実行する処理のフローチャートである。文書管理装置3は、ユーザインターフェース21を介してのユーザからの要求や、文書生成装置2、文書排気装置4からの要求があったときは(ステップS11のY)、当該要求のあった情報を要求先に送信する(ステップS12)。また、文書管理データベース61その他への情報の登録要求があったときは(ステップS13のY)、要求のあった情報を文書管理データベース61その他に登録する(ステップS14)。
【0064】
図12は、文書廃棄装置4が実行する処理のフローチャートである。まず、操作パネル60の操作により紙文書の廃棄要求があったときは(ステップS21のY)、搬送ローラ35、36はオフにして(ステップS22)、インサートセンサ31がオンで、紙文書が文書トレイ48に差し込まれているか否かを判断する(ステップS23)。インサートセンサ31がオンで、紙文書が文書トレイ48に差し込まれているときは(ステップS23のY)、バーコードリーダー32でバーコード102の読み取りを行い、また、金属センサ33でワイヤ103の検出を行ない、さらには、認証装置59によりユーザが文書廃棄装置4で紙文書の廃棄を行う権限を有する管理者等か否かの認証を行う(ステップS24)。認証処理は、前述のとおり文書管理装置3に認証データを問合せて廃棄装置4で行っても良いし、認証データの照合自体を文書管理装置3で行っても良い。
【0065】
バーコードリーダー32でバーコード102の読み取りができなかったときは(ステップS25のN)、操作パネル60のディスプレイにバーコード102の読み取りができない旨のメッセージを表示して、ユーザに報知する(ステップS26)。
【0066】
バーコードリーダー32でバーコード102の読み取りができたときは(ステップS25のY)、バーコードリーダー32でバーコード102を復号した情報、金属センサ33によるワイヤ103の検出の有無、及び認証装置59によりユーザが文書廃棄装置4で紙文書の廃棄を行う権限を有する者であるとの認証がされたか否かの結果に基づいて、紙文書の廃棄を行うか否かを判断する(この判断の具体例は後述)(ステップS27)。
【0067】
紙文書の廃棄を行うと判断したときは(ステップS27のY)、切替爪45を駆動して文書搬送路37を選択し(ステップS28)、搬送ローラ35,36を駆動させて(ステップS29)、シュレッダー42を駆動させる(ステップS30)。文書トレイ48の紙文書をシュレッダー42に向けて搬送され、シュレッダー42で粉砕されて廃棄される。そして、パスセンサ43がオフ状態からオン状態に切り替わり、次にオン状態からオフ状態に切り替わったことにより、紙文書がシュレッダー42に搬送されたことを検出し(ステップS31のY)、紙文書の廃棄の実行を確認したときは、搬送ローラ35,36、シュレッダー42の駆動をオフする(ステップS32)。そして、ステップS24においてバーコードリーダー32でよみとったバーコード102や認証情報などの情報を文書管理装置3に送信する(ステップS33)。これにより、文書管理装置3では当該廃棄された文書の文書IDを特定し、文書管理データベース61を参照して当該文書ID61と関連付けて廃棄年月日66に当該紙文書が廃棄された年月日を登録し、廃棄者67に廃棄を行った管理者などの指名を登録する。
【0068】
一方、紙文書の廃棄を行なわないと判断したときは(ステップS27のN)、切替爪45を駆動して文書搬送路44を選択し(ステップS34)、搬送ローラ35,46を駆動させる(ステップS35)。これにより、紙文書が排紙トレイ47に排出される。パスセンサ49がオフ状態からオン状態に切り替わり、次にオン状態からオフ状態に切り替わったことにより、紙文書が排紙トレイ47に搬送されたことを検出したときは(ステップS36のY)、操作パネル60のディスプレイに当該紙文書の廃棄は許可されていないというメッセージを表示して、ユーザに報知する(ステップS37)。また、このような禁止されている紙文書廃棄の試みがなされたことを、ネットワーク4を介してシステム管理者などの端末装置(図示せず)に報知するようにしても良い。そして、搬送ローラ35,46の駆動をオフする(ステップS38)。
【0069】
次に、紙文書の廃棄を行うか否かの判断(ステップS27)について説明する。ここでは、次の(1)〜(4)の判断を行なう。
【0070】
(1)紙文書についてワイヤ103の有無の検知により、最終的には廃棄すべき秘密性の高い紙文書か(ワイヤ103を検知した場合)、廃棄する必要のない秘密性低い紙文書か(ワイヤ103を検知した場合)の判断を行なう。
【0071】
(2)読み取ったバーコード102を復号して文書ID62を特定し、文書管理装置3に問い合わせ、文書管理データベース61に登録されている当該文書ID62に対応する持ち出しの可否64、廃棄可能年月日65から紙文書の廃棄の可否を判断する。すなわち、持ち出しの可否64が可であるときは、当該紙文書は廃棄する必要のない秘密性の低い文書であり、持ち出してもよいものである。持ち出しの可否64が否であるときは、持ち出してはいけない秘密性の高いものであり、当該紙文書は最終的には廃棄する必要のあるものである。この持ち出しの可否64が否であるときは、廃棄可能年月日65に廃棄が許可されることになる年月日が記録されているので、この年月日に達しているときは、当該紙文書は廃棄してよいが、この年月日に達していないときは、当該紙文書はいまだ廃棄せずに保管しなければならない。この判断は、文書ID62を送信して文書管理装置3に行なわせて結果を返信させるようにしてもよいし、文書管理装置3に当該文書ID62に対応する持ち出しの可否64、廃棄可能年月日65のデータを送信させて、文書廃棄装置4で行なってもよい。
【0072】
(3)認証装置59により、当該紙文書を廃棄しようとしているユーザが紙文書を廃棄する権限を有している管理者などか否かを判断する。この判断も、文書廃棄装置4で行なってもよいし、認証装置59で入力されたパスワードや生体情報などを文書管理装置3に送信して、文書管理装置3で行なって結果を返信させるようにしてもよい。
【0073】
(4)そして、以上の(1)〜(3)の各判断のすべてで当該文書を廃棄しても良いと判断されたときは、紙文書の廃棄を行うと判断し(ステップS27のY)、(1)〜(3)の各判断のいずれかひとつで当該文書を廃棄してはいけないと判断されたときは、紙文書の廃棄を行なわないと判断する(ステップS27のN)。
【0074】
さらに具体的な例を挙げて説明する。
【0075】
(1)でワイヤ103の有無の検知により当該紙文書を廃棄してはいけないと判断したときは、(2)(3)における判断に関わらず、当該紙文書を廃棄しない。
【0076】
(1)でワイヤ103の有無の検知により当該紙文書を廃棄してよいと判断しても、(2)で持ち出しの可否64が可であったときは、当該紙文書を廃棄しない。
【0077】
(1)でワイヤ103の有無の検知により当該紙文書を廃棄してよいと判断しても、(2)で持ち出しの可否64が否で、廃棄可能年月日65に至っていないときは、当該紙文書を廃棄しない。
【0078】
(1)でワイヤ103の有無の検知により当該紙文書を廃棄してよいと判断し、(2)で持ち出しの可否64が否で、廃棄可能年月日65に至っているときでも、(3)で当該紙文書を廃棄してはいけないと判断したときは、当該紙文書を廃棄しない。
【0079】
(1)でワイヤ103の有無の検知により当該紙文書を廃棄してよいと判断し、(2)で持ち出しの可否64が否で、廃棄可能年月日65に至っており、かつ、(3)で当該紙文書を廃棄してよいと判断したときに限り、当該紙文書を廃棄する。
【0080】
このように、紙文書のバーコード102により、当該紙文書は廃棄してよい文書か否かを判断することができる。また、ワイヤ103の有無の検知により当該紙文書が廃棄してよい文書か否かを判断することができる。紙文書のバーコード102は当該バーコード102部分のみを当該紙文書から切除してしまえば容易に除外することができ、他のバーコード102を貼り付けるなどして偽装すれば、廃棄が禁止される紙文書も廃棄できるが、ワイヤ103は紙文書の用紙中の全体にはじめから漉き込んでおくことが可能であり、これにより紙文書の一部が削除されても当該紙文書の廃棄の有無を的確に判断でき、廃棄できない紙文書も廃棄できるかのように偽装することはできない。また、ワイヤ103を紙文書に含めているので、当該紙文書を管理する部屋の出口に金属探知機を設けておけば、紙文書の不正な持ち出しのチェックができる。
【0081】
一方、ワイヤ103のみでは紙文書を廃棄してよいか否かのみの判断しかできないのに対し、紙文書のバーコード102には前述した当該紙文書の文書ID62、その他の様々な情報を符号化することが可能となり、多様な情報から紙文書の廃棄の有無をきめ細かに判断することが可能となる。
【0082】
前述の例では、文書ID62に関連付けられた持ち出しの可否64、廃棄可能年月日65の各情報により文書廃棄の可否を判断しているが、これ以外にも様々な情報を文書ID62に関連付けて文書データベース61に登録し、あるいは、バーコード102に符号化することにより、多様な情報から紙文書の廃棄の有無をきめ細かに判断するようにしてもよい。
【0083】
さらに、紙文書を廃棄しようとしている人物が紙文書の廃棄を許可されている管理者などであるか否かを認証するようにしているので、紙文書の廃棄の権限のない者が紙文書の廃棄を行うことを防止することができる。
【0084】
なお、前述の例では文書廃棄装置4はネットワーク5に接続されているが、文書廃棄装置4はネットワーク5に接続されていなくともよい。この場合は、文書廃棄装置4に廃棄した紙文書から廃棄前に読み取った文書ID62と廃棄の年月日の情報を記憶する記憶装置と、当該記憶装置からデータを読み取る通信インターフェースを設けるようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施の形態である文書管理装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】文書生成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】文書管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】手差し送りタイプの文書廃棄装置の機構を説明する概略図である。
【図5】文書廃棄装置の上部の平面図である。
【図6】文書廃棄装置の電気的な接続を示すブロック図である。
【図7】文書生成装置が実行する処理について説明するフローチャートである。
【図8】紙文書の例を示す平面図である。
【図9】紙文書の例を示す平面図である。
【図10】文書管理テーブルの説明図である。
【図11】文書管理装置が実行する処理について説明するフローチャートである。
【図12】文書廃棄装置が実行する処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1 文書管理システム
2 文書生成装置
3 文書管理装置
4 文書廃棄装置
32 バーコードリーダー
33 金属センサ
34 ストッパー
42 シュレッダー
59 認証装置
101 紙文書
102 バーコード
103 ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字媒体に記録された文書に設けられている金属の有無を検出する金属検出器と、
情報を符号化した記号であって前記文書に表示されているものを読み取る記号読取器と、
前記文書の廃棄の指示を受け付ける指示受付部と、
前記文書を廃棄する文書廃棄部と、
前記金属検出器による金属の検出の有無により前記文書廃棄部での前記文書を廃棄の可否を判定する第1の判定手段と、
前記記号読取器により読み取った記号に基づいて前記文書廃棄部での前記文書を廃棄の可否を判定する第2の判定手段と、
前記指示受付部で前記文書の廃棄の指示を受け付けたときは、前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段でいずれも前記文書廃棄部での前記文書を廃棄可能と判定したことを条件に、前記文書廃棄部に前記文書を廃棄させる制御を行う文書廃棄制御手段と、
を備えている文書廃棄装置。
【請求項2】
前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有しているか否かの認証を行う認証手段をさらに備え、
前記文書廃棄制御手段は、記指示受付部で前記文書の廃棄の指示を受け付けたときは、前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段でそれぞれ前記文書廃棄部での前記文書を廃棄可能と判定したこと、及び前記認証手段で前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有していると認証したことを条件に前記文書を前記文書廃棄部で廃棄する、
請求項1に記載の文書廃棄装置。
【請求項3】
前記第2の判定手段は、前記記号読取器により読み取った記号に基づいて前記文書の持ち出しの可否及び当該持ち出しの可否で持ち出し禁止のときの当該文書の廃棄可能期限を判断し、当該文書が持ち出し禁止でかつ廃棄可能期限を過ぎていることを条件に前記文書廃棄部での前記文書の廃棄を可能と判定する、請求項1又は2に記載の文書廃棄装置。
【請求項4】
前記第1の判定手段と前記第2の判定手段のいずれかで前記文書廃棄部での前記文書を廃棄してはいけないと判定し、又は前記認証手段で前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有していないと判定したときは、当該文書は廃棄できない旨を報知する報知手段をさらに備えている請求項1〜3のいずれかの一項に記載の文書廃棄装置。
【請求項5】
情報を符号化した記号を含む画像の形成を印字媒体に対して行なって文書を作成する文書生成装置と、
前記記号に基づいて前記文書の廃棄の可否を判断し廃棄可能な前記文書を廃棄する文書廃棄装置と、
前記文書生成装置及び前記文書廃棄装置と通信手段を介して接続され前記記号に基づいて前記文書の管理を行う文書管理装置と、
を備え、
前記文書廃棄装置は、
廃棄しようとする前記文書に設けられている金属の有無を検出する金属検出器と、
前記文書に表示されている前記記号を読み取る記号読取器と、
前記文書の廃棄の指示を受け付ける指示受付部と、
前記文書を廃棄する文書廃棄部と、
前記金属検出器による金属の検出の有無により前記文書廃棄部での前記文書を廃棄の可否を判定する第1の判定手段と、
前記記号読取器により読み取った記号に基づいて前記文書廃棄部での前記文書を廃棄の可否を判定する第2の判定手段と、
前記指示受付部で前記文書の廃棄の指示を受け付けたときは、前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段でいずれも前記文書廃棄部での前記文書を廃棄可能と判定したことを条件に、前記文書廃棄部に前記文書を廃棄させる制御を行う文書廃棄制御手段と、
を備えている、
文書管理システム。
【請求項6】
前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有しているか否かの認証を行う認証手段をさらに備え、
前記文書廃棄制御手段は、記指示受付部で前記文書の廃棄の指示を受け付けたときは、前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段でそれぞれ前記文書廃棄部での前記文書を廃棄可能と判定したこと、及び前記認証手段で前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有していると認証したことを条件に前記文書を前記文書廃棄部で廃棄する、
請求項5に記載の文書管理システム。
【請求項7】
前記第2の判定手段は、前記記号読取器により読み取った記号に基づいて前記文書の持ち出しの可否及び当該持ち出しの可否で持ち出し禁止のときの当該文書の廃棄可能期限を判断し、当該文書が持ち出し禁止でかつ廃棄可能期限を過ぎていることを条件に前記文書廃棄部での前記文書の廃棄を可能と判定する、請求項5又は6に記載の文書管理システム。
【請求項8】
前記第1の判定手段と前記第2の判定手段のいずれかで前記文書廃棄部での前記文書を廃棄してはいけないと判定し、又は前記認証手段で前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有していないと判定したときは、当該文書は廃棄できない旨を報知する報知手段をさらに備えている請求項5〜7のいずれかの一項に記載の文書管理システム。
【請求項9】
印字媒体に記録された文書に設けられている金属の有無を検出する金属検出器による金属の検出の有無により前記文書を廃棄する文書廃棄部での前記文書を廃棄の可否を判定する第1の判定手段と、
情報を符号化した記号であって前記文書に表示されているものを読み取る記号読取器により読み取った記号に基づいて前記文書廃棄部での前記文書を廃棄の可否を判定する第2の判定手段と、
前記文書の廃棄の指示を受け付ける指示受付部で前記文書の廃棄の指示を受け付けたときは、前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段でいずれも前記文書廃棄部での前記文書を廃棄可能と判定したことを条件に、前記文書廃棄部に前記文書を廃棄させる制御を行う文書廃棄制御手段と、
をコンピュータに実行させるコンピュータに読み取り可能な文書廃棄制御プログラム。
【請求項10】
前記文書廃棄制御手段は、記指示受付部で前記文書の廃棄の指示を受け付けたときは、前記第1の判定手段及び前記第2の判定手段でそれぞれ前記文書廃棄部での前記文書を廃棄可能と判定したこと、及び、前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が前記文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有しているか否かの認証を行う認証手段で前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有していると認証したことを条件に前記文書を前記文書廃棄部で廃棄する、請求項9に記載の文書廃棄制御プログラム。
【請求項11】
前記第2の判定手段は、前記記号読取器により読み取った記号に基づいて前記文書の持ち出しの可否及び当該持ち出しの可否で持ち出し禁止のときの当該文書の廃棄可能期限を判断し、当該文書が持ち出し禁止でかつ廃棄可能期限を過ぎていることを条件に前記文書廃棄部での前記文書の廃棄を可能と判定する、請求項9又は10に記載の文書廃棄制御プログラム。
【請求項12】
前記第1の判定手段と前記第2の判定手段のいずれかで前記文書廃棄部での前記文書を廃棄してはいけないと判定し、又は前記認証手段で前記指示受付部により前記文書の廃棄の指示を行う者が文書廃棄部での文書の廃棄を行う権限を有していないと判定したときは、当該文書は廃棄できない旨を報知する報知手段をさらに備えている請求項9〜11のいずれかの一項に記載の文書廃棄制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−219976(P2009−219976A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65573(P2008−65573)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】