説明

文書管理システム

【課題】本発明は、フォルダ毎にアクセス権限の設定作業を行う必要がなく、文書管理システムに保管されているフォルダの数が多い場合であっても、設定作業に膨大な時間を必要とせず、アクセス制限の設定を可能とする。
【解決手段】本発明の文書管理システムは、文書管理システムのプログラムが格納されている文書管理サーバと、フォルダ権限データが格納されている文書管理データベースサーバと、文書管理システムで保管した電子ドキュメントファイルが格納されているファイルサーバと、勤務者情報及び職制データが格納されているマスターデータベースサーバとを有し、マスターデータベースサーバに格納されている勤務者情報又は/及び職制情報を変更することにより、文書管理データベースサーバに格納されているフォルダ権限データと関連付けられてファイルサーバに格納されている電子ドキュメントファイルのアクセス権限を変更することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書管理システムの、フォルダアクセス権限が存在する文書管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、文書管理をする場合、保存されている文書のセキュリティーを確保するため、文書が保存されているフォルダには、様々なアクセス制限が存在する。
【0003】
特許文献1では、文書管理システムとアクセス権の管理サーバとの連携について提案されている。
【0004】
特許文献1に記載の技術は、文書データのアクセスポリシーを取得し、アクセスポリシーとフォルダのアクセス権限との間に矛盾が無いかのチェックを行い、矛盾が生じる場合、警告,メール通知などでイベントを発生させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−109160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
文書管理システムに保管されているフォルダには、様々なアクセス権限(職制,部門,個人など)が設定されており、文書管理システムの管理者が、フォルダ毎に、それぞれの使用ユーザのアクセス範囲に適したアクセス権限を設定している。
【0007】
しかし、同一人物であっても、使用ユーザの職制や部門の変更により、文書管理システムにおけるフォルダに対するアクセス範囲が変更になる場合がある。
【0008】
こうした場合、文書管理システムの管理者が、フォルダ毎にアクセス権限の設定を見直し、再度、各フォルダに使用ユーザのアクセス範囲に適したアクセス権限の設定を行っている。
【0009】
しかしながら、従来は、フォルダ毎にアクセス権限の設定作業を行うため、文書管理システムに保管されているフォルダの数が多いほど、設定作業に膨大な時間を要している。
【0010】
そこで、本発明は、フォルダ毎にアクセス権限の設定作業を行う必要がなく、文書管理システムに保管されているフォルダの数が多い場合であっても、設定作業に膨大な時間を必要とせず、アクセス制限の設定を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の文書管理システムは、文書管理システムのプログラムが格納されている文書管理サーバと、フォルダ権限データが格納されている文書管理データベースサーバと、文書管理システムで保管した電子ドキュメントファイルが格納されているファイルサーバと、勤務者情報及び職制データが格納されているマスターデータベースサーバとを有し、前記マスターデータベースサーバに格納されている勤務者情報の職制情報を変更することにより、前記文書管理データベースサーバに格納されているフォルダ権限データと関連付けられて前記ファイルサーバに格納されている電子ドキュメントファイルのアクセス権限を変更することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の文書管理方法は、文書管理サーバにおける文書管理プログラムを起動し、マスターデータベースサーバに格納されている勤務者情報及び職制データに基づいて、使用ユーザの職制コードを取得し、マスターデータベースサーバにおける使用ユーザの職制コードが取得されると、文書管理データベースサーバにおけるフォルダの職制権限と職制コードとを比較し、電子文書フォルダのアクセス権限チェックを行い、使用ユーザに権限に応じたフォルダを表示することを特徴とする。
【0013】
つまり、課題を解決するために、マスターデータとして個人のIDと職制を管理する勤務者情報を使用する。
【0014】
本発明の文書管理システムでは、電子文書フォルダ作成時にアクセスできる職制の権限を設定させる。そして、マスターデータと文書管理システムとを連携させ、文書管理システム起動時にマスターデータの職制に適したフォルダのアクセス権限を自動的に設定させる。
【0015】
また、使用ユーザは、文書管理システムを起動すると、どこまでのフォルダの範囲がアクセスできるか、視覚確認(色・形状・ヘッダ部に用語の付加など(本例では色で示す))することができる。
【0016】
マスターデータの職制を変更するだけで、文書管理システムのフォルダのアクセス権限が自動設定される文書管理システムを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、フォルダ毎にアクセス権限の設定作業を行う必要がなくなり、文書管理システムに保管されているフォルダの数が多い場合であっても、設定作業に膨大な時間を必要とせず、アクセス制限の設定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を実施する文書管理システムの構成図。
【図2】文書管理システム起動から文書表示までのフロー図。
【図3】フォルダのアイコン色及び権限内容を示す図。
【図4】勤務者情報を示した構成図。
【図5】職制データを示した構成図。
【図6】フォルダ権限データを示した構成図。
【図7】文書管理システムのフォルダ構成例を示した構成図。
【図8】ユーザBのフォルダアクセス例(職制変更前)を示す図。
【図9】ユーザBのフォルダアクセス例(職制変更後)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明を実施する文書管理システムの構成図を示すものである。
【0021】
図1に示す10は、文書管理システムのプログラムが格納されている文書管理サーバ、同20は、フォルダ権限データが格納されている文書管理データベースサーバ、同30は、文書管理システムで保管した電子ドキュメントファイルが格納されているファイルサーバ、同40は、勤務者情報及び職制データが格納されているマスターデータベースサーバ、同50は、ユーザが文書管理システムを操作するクライアントPC(クライアント端末)である。これらはネットワーク60で接続されている。
【0022】
つまり、マスターデータベースサーバ40に格納されている勤務者情報又は/及び職制情報を変更することにより、文書管理データベースサーバ20に格納されているフォルダ権限データと関連付けられてファイルサーバ30に格納されている電子ドキュメントファイルのアクセス権限を変更することが可能となる。
【0023】
図2は、文書管理システム起動から文書表示までの流れを示すフロー図である。
【0024】
図2は、文書管理システムを起動させ、フォルダのアクセス権限の設定を行い、使用ユーザに応じた、ドキュメントフォルダを表示させるまでのフローを示すものである。
【0025】
クライアントPC50より文書管理システムを起動させる(ST01)。
【0026】
クライアントPC50により文書管理システムを起動させる(ST01)と、文書管理サーバ10の文書管理プログラムが起動する(ST02)。
【0027】
文書管理サーバ10において文書管理プログラムが起動する(ST02)と、マスターデータベースサーバ40に格納されている勤務者情報及び職制データに基づいて、使用ユーザの職制コードを取得する(ST03)。
【0028】
なお、勤務者情報及び職制データは、職制変更がある度に自動で更新される。
【0029】
マスターデータベースサーバ40において使用ユーザの職制コードが取得される(ST03)と、文書管理データベースサーバ20においてフォルダの職制権限と職制コードとを比較し、電子文書フォルダのアクセス権限チェック(ST04)を行う。
【0030】
使用ユーザに権限に応じたフォルダを表示し(ST05)、文書管理システムが使用できる状態になる。
【0031】
なお、フォルダ権限の職制権限の設定はフォルダ作成者(文書管理システムの管理者)が行う。
【0032】
文書管理システムが使用できる状態から、アクセスできるフォルダにアクセスし、ファイルサーバ30から電子文書を起動・表示し(ST06)、参照・編集作業を行う。
【0033】
つまり、本実施形態においては、マスターデータベースサーバ40において、職制情報を変更するだけで、フォルダのアクセス制限を変更することができる。
【0034】
以下、図2,図4,図5,図6を用いて、具体的に説明する。
【0035】
図4は、勤務者情報を示した構成図、図5は、職制データを示した構成図、図6は、フォルダ権限データを示した構成図を示すものである。
【0036】
図2において、文書管理サーバ10において文書管理プログラムが起動する(ST02)と、マスターデータベースサーバ40に格納されている勤務者情報(図4)及び職制データ(図5)に基づいて、使用ユーザの職制コードを取得する(ST03)ことになる。
【0037】
つまり、A氏の場合、図4を参照すると、ユーザID「1001」であり、職制コードは「1」となる。また、図5より、職制コード「1」は部長であることがわかる。
【0038】
一方、D氏の場合、図4を参照すると、ユーザID「1004」であり、職制コードは「4」となる。また、図5より、職制コード「4」は一般であることがわかる。
【0039】
また、B氏の場合、図4を参照すると、ユーザID「1002」であり、職制コードは「2」となる。また、図5より、職制コード「2」は課長であることがわかる。
【0040】
マスターデータベースサーバ40において使用ユーザの職制コード「1」が取得される(ST03)と、文書管理データベースサーバ20においてフォルダの職制権限と職制コードとを比較し、電子文書フォルダのアクセス権限チェック(ST04)を行う。
【0041】
つまり、図6に示されるように、例えば、aフォルダからfフォルダまでの6種類のフォルダが存在するとした場合、職制コード「1」の部長は、aフォルダからfフォルダまでの6種類のフォルダの全てを参照可能となる。
【0042】
また、マスターデータベースサーバ40において使用ユーザの職制コード「4」が取得される(ST03)と、文書管理データベースサーバ20においてフォルダの職制権限と職制コードとを比較し、電子文書フォルダのアクセス権限チェック(ST04)を行う。
【0043】
つまり、図6に示されるように、例えば、aフォルダからfフォルダまでの6種類のフォルダが存在するとした場合、職制コード「4」の一般は、fフォルダの1種類のフォルダのみが参照可能となる。
【0044】
また、マスターデータベースサーバ40において使用ユーザの職制コード「2」が取得される(ST03)と、文書管理データベースサーバ20においてフォルダの職制権限と職制コードとを比較し、電子文書フォルダのアクセス権限チェック(ST04)を行う。
【0045】
つまり、図6に示されるように、例えば、aフォルダからfフォルダまでの6種類のフォルダが存在するとした場合、職制コード「2」の課長は、cフォルダからfフォルダまでの4種類のフォルダが参照可能となる。
【0046】
このように、図4に示すような勤務者情報を変更することによって、例えば、一般のD氏が主任に昇格した場合には、ユーザID「1004」,氏名「D」の職制コードを「4」から「3」に変更することで、参照・編集作業が可能となるフォルダのアクセス制限が変更可能となり、フォルダ毎に設定されているフォルダ制限の見直し、再設定を行う必要がなくなる。
【0047】
また、本実施形態では、職制によりフォルダアイコンに色を付け、フォルダのアクセス範囲を視覚確認させている。
【0048】
文書管理システムのフォルダにアクセス権限が設定されている場合、フォルダアイコンに色を付け、使用ユーザがクリックなどの操作を行うことなく、フォルダのアクセス範囲を視覚確認できるようにする。
【0049】
図3は、フォルダのアイコン色及び権限内容を示す図である。
【0050】
文書管理システムのフォルダのアイコンが赤色に点灯しているフォルダは、部長職の権限が無ければアクセスすることができないものであり、文書管理システムのフォルダのアイコンが緑色に点灯しているフォルダは、課長職以上の権限が無ければアクセスすることができないものである。
【0051】
同様に、文書管理システムのフォルダのアイコンが青色に点灯しているフォルダは、主任職以上の権限が無ければアクセスすることができないものであり、文書管理システムのフォルダのアイコンが通常色(例えば黒色)で表示されているフォルダは、権限が設定されていないため、全ユーザがアクセスすることができるものである。
【0052】
このように、フォルダのアクセス権限を視覚的に表示することにより、使用ユーザの作業効率を向上させることができる。
【0053】
以下、図7,図8,図9を用いて、ユーザBの職制変更前と職制変更後とのフォルダアクセスに関する具体例を示す。
【0054】
図7は、文書管理システムのフォルダ構成例を示した構成図であり、図8は、ユーザBのフォルダアクセス例(職制変更前)を示す図であり、図9は、ユーザBのフォルダアクセス例(職制変更後)を示す図である。
【0055】
図7は、○○部フォルダに格納されているaフォルダからfフォルダまでの6種類のフォルダを示している。
【0056】
aフォルダ101は、図6に示すようにフォルダ権限データとして職制権限「1」が設定され、職制コード「1」が設定されているため、フォルダアイコン色は赤色が点灯され、フォルダにアクセスするには、部長職以上の権限が必要となる。
【0057】
bフォルダ102は、aフォルダと同様に、図6に示すようにフォルダ権限データとして「1」が設定され、職制コード「1」が設定されているため、フォルダアイコン色は赤色が点灯され、フォルダをアクセスするには、部長職以上の権限が必要となる。
【0058】
cフォルダ103は、図6に示すようにフォルダ権限データとして職制権限「2」が設定され、職制コード「2」が設定されているため、フォルダアイコン色は緑色が点灯され、フォルダにアクセスするには、課長職以上の権限が必要となる。
【0059】
dフォルダ104は、cフォルダと同様に、図6に示すようにフォルダ権限データとして「2」が設定され、職制コード「2」が設定されているため、フォルダアイコン色は緑色が点灯され、フォルダにアクセスするには、課長職以上の権限が必要となる。
【0060】
eフォルダ105は、図6に示すようにフォルダ権限データとして職制権限「3」が設定され、職制コード「3」が設定されているため、フォルダアイコン色は青色が点灯され、フォルダにアクセスするには、主任職以上の権限が必要となる。
【0061】
fフォルダ106は、図6に示すようにフォルダ権限データとして職制権限「4」が設定され、職制コード「4」が設定されているため、フォルダアイコン色は通常色(例えば黒色)が点灯され、全職制がフォルダをアクセスすることができる。
【0062】
図8を用いて、図4に示す勤務者情報のユーザBが、図7に示すフォルダ権限が設定されている状態で文書管理システムのアクセスできるフォルダ範囲を説明する。
【0063】
図4に示す勤務者情報のユーザBは、職制コード「2」が設定されているため、課長職以下のフォルダをアクセスすることができる。
【0064】
従って、アクセスできるフォルダは、cフォルダ203からfフォルダ206までとなる。
【0065】
図9を用いて、図4に示す勤務者情報のユーザBが、職制コード「2」から「1」に変更になった場合、図7に示すフォルダ権限が設定されている状態で文書管理システムのアクセスできるフォルダ範囲を説明する。
【0066】
図4に示す勤務者情報のユーザBは、職制コード「2」から「1」に変更になったため、部長職以下のフォルダをアクセスすることができる。
【0067】
従って、アクセスできるフォルダは、aフォルダ301からfフォルダ306までとなる。
【0068】
このように、従来では、管理者がaフォルダ301及びbフォルダ302をそれぞれについてユーザBのアクセス権限を設定し直す必要があったが、マスターデータベースサーバ40における図4に示すような勤務者情報の職制を変更するだけで、文書管理システムのフォルダアクセス権限を変更することができる。
【0069】
通常、こうしたフォルダは、数10から数1000にもなる場合があり、こうした設定作業の効率向上は、業務効率の向上に非常に貢献する。
【0070】
本実施形態によれば、マスターデータのみを更新するだけで、アクセスできるフォルダが自動で変化・更新するので、文書管理システムの管理者は、フォルダ数に応じたアクセス権限の設定および再設定の必要が全く無くなる利便性がある。
【0071】
このように、文書管理システムのフォルダ・ドキュメントの権限設定は、文書管理システムには必ず必要とされる機能であり、マスターデータと文書管理システムとを連携させ、職制マスターデータの動態で、文書管理システムのフォルダアクセス権限が自動的に変化・更新し、文書管理システムの管理者にとって有益な文書管理システムを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、文書管理システムには必ず必要とされる機能である文書管理システムのフォルダ・ドキュメントの権限を設定できる文書管理システムに利用の可能性がある。
【符号の説明】
【0073】
10 文書管理システムのプログラムが格納されている文書管理サーバ
20 フォルダ権限情報などのデータが格納されている文書管理データベースサーバ
30 電子文書ファイルが格納されているファイルサーバ
40 勤務者情報,職制情報などのデータが格納されているマスターデータベースサーバ
50 ユーザが文書管理システムを操作するクライアントPC
60 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書管理システムのプログラムが格納されている文書管理サーバと、フォルダ権限データが格納されている文書管理データベースサーバと、文書管理システムで保管した電子ドキュメントファイルが格納されているファイルサーバと、勤務者情報及び職制データが格納されているマスターデータベースサーバとを有し、
前記マスターデータベースサーバに格納されている勤務者情報又は/及び職制情報を変更することにより、前記文書管理データベースサーバに格納されているフォルダ権限データと関連付けられて前記ファイルサーバに格納されている電子ドキュメントファイルのアクセス権限を変更することを特徴とする文書管理システム。
【請求項2】
文書管理サーバにおける文書管理プログラムを起動し、
マスターデータベースサーバに格納されている勤務者情報及び職制データに基づいて、使用ユーザの職制コードを取得し、
マスターデータベースサーバにおける使用ユーザの職制コードが取得されると、文書管理データベースサーバにおけるフォルダの職制権限と職制コードとを比較し、電子文書フォルダのアクセス権限チェックを行い、
使用ユーザに権限に応じたフォルダを表示することを特徴とする文書管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−237894(P2010−237894A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83996(P2009−83996)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】