説明

料金収受システム

【課題】料金所を通過した車両の通行履歴情報は正確に取得することができ、しいては適正な運用を促進し、信頼性向上に寄与する料金収受システムを提供する。
【解決手段】有料道路の料金所において、当該有料道路を利用する車両に対し通行料金の収受処理を自動的に行なう料金収受システムにおいて、当該車両の通行履歴情報を作成する際、ETC車線を走行する、車番認識装置を搭載した車両からの先行/後続車両の車番認識結果を活用し、対象車両の車載器情報内の車番情報と料金所側の車番認識装置の車番認識結果とが不一致だった場合に、その前後を走行する車両からの車番認識結果を利用して、対象車両の車番認識結果を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、高速道路等の有料道路の料金所において、当該有料道路を利用する車両に対し通行料金の収受処理を自動的に行なうETC(ETC:登録商標)システム(ノンストップ自動料金収受システム)と称される料金収受システムに係り、特に当該車両の通行履歴情報の作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所における料金収受システムとして、ETCシステム(有料道路自動料金収受システム)が知られている。ETCシステムは、周知のように、移動体である車両(自動車)に移動局としての車載器を搭載して、地上(料金所)に設置された基地局としての路側無線装置との間でマイクロ波を用いた無線通信によりデータのやりとりを行なうことにより通行料金の収受処理を行なうものである。
【0003】
通常、このような料金収受システムにおいては、車載器から得られる車載器情報と、料金所側に設置されたカメラより撮影された当該車両の画像と、料金所側に設置されたカメラを用いた車番認識装置による車番(ナンバプレート番号)の認識結果とを用いて当該車両の通行履歴情報を作成し記録保存することで、不正通行時の検証等に用いるようにしている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
したがって、料金所を通過した車両の通行履歴情報は正確に取得する必要があるが、実問題としては、ナンバプレートが車両の車体の陰に隠れる、あるいは、ナンバプレートの取付け位置等の問題から、車番の認識性能を低下させてしまう場面が存在する。車載器情報内の車番情報と車番認識結果とが一致しない場合については、その原因を特定することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3502156号公報
【特許文献2】特許第4026645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車載器情報内の車番情報と車番認識結果とが一致しない場合について、車載器情報内の車番情報が間違っている場合は不正通行の疑いがあり、通行時の車両画像(車番認識結果付)と合わせて確認する必要がある。
【0007】
また、隣接するレーンの車両に搭載された車載器からの情報を受信してしまい、誤って通行履歴が残っているような場面においては、その経緯を追跡して誤りを訂正する必要が生じる。
【0008】
また、車番認識結果が間違っている場合については、車番認識装置の性能向上が望まれるが、中には料金所側のカメラからの撮影では車番の読取りが困難となる場面もあり、これを克服するために、新規のセンシングを考慮しなくてはならないといった問題を抱えている。
【0009】
したがって、ユーザへの負担を最小限にしつつ、性能確保のための効率的なデータ収集が必要となる。
【0010】
そこで、本発明は、料金所を通過した車両の通行履歴情報は正確に取得することができ、しいては適正な運用を促進し、信頼性向上に寄与する料金収受システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の料金収受システムは、有料道路の料金所において、当該料金所に進入してくる車両に搭載された車載器との間で無線通信を行なうことにより当該車両に対する通行料金の収受処理を行なうとともに、当該車両の通行履歴情報を取得する料金収受システムにおいて、各車両に搭載され、当該車両の前を走行する先行車両の車番および当該車両の後を走行する後続車両の車番をそれぞれ認識する第1の車番認識手段と、前記車載器に設けられ、前記第1の車番認識手段の認識結果を車載器情報とともに車外に無線送信する通信手段と、料金所に進入してくる車両に搭載された車載器との間で無線通信を行なうことにより車載器情報および先行車両、後続車両の各車番認識結果を取得する車載器情報取得手段と、料金所に進入してくる車両の車番を認識する第2の車番認識手段と、この第2の車番認識手段の車番認識結果と前記車載器情報取得手段により取得された車載器情報内の社版情報と比較する比較手段と、この比較手段による比較の結果、両者が一致した場合は前記第2の車番認識手段の車番認識結果を前記通行履歴情報内の車番情報とし、両者が不一致の場合は前記車載器情報取得手段により取得された先行車両の車番認識結果あるいは後続車両の車番認識結果を前記通行履歴情報内の車番情報とする通行履歴確定手段とを具備している。
【0012】
また、本発明の料金収受システムは、有料道路の料金所において、当該料金所に進入してくる車両に搭載された車載器との間で無線通信を行なうことにより当該車両に対する通行料金の収受処理を行なうとともに、当該車両の通行履歴情報を取得する料金収受システムにおいて、各車両に搭載され、当該車両の前を走行する先行車両の車番および当該車両の後を走行する後続車両の車番をそれぞれ認識する第1の車番認識手段と、前記車載器に設けられ、前記第1の車番認識手段の認識結果を車載器情報とともに車外に無線送信する通信手段と、料金所に進入してくる車両に搭載された車載器との間で無線通信を行なうことにより車載器情報および先行車両、後続車両の各車番認識結果を取得する車載器情報取得手段と、料金所に進入してくる車両の車番を認識する第2の車番認識手段と、この第2の車番認識手段の車番認識結果と前記車載器情報取得手段により取得された車載器情報内の車番情報と比較する比較手段と、この比較手段による比較の結果、両者が一致した場合は前記第2の車番認識手段の車番認識結果を前記通行履歴情報内の車番情報とする確定手段と、前記比較手段による比較の結果、両者が不一致の場合、前記車載器情報取得手段により取得された車載器情報内の車番情報と前記車載器情報取得手段により取得された先行車両の車番認識結果あるいは後続車両の車番認識結果とを比較し、両者が一致した場合、前記比較手段において不一致となった車番の車載器情報を棄却する車載器情報棄却手段とを具備している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、料金所を通過した車両の通行履歴情報は正確に取得することができ、しいては適正な運用を促進し、信頼性向上に寄与する料金収受システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両に搭載する機器を説明する模式図。
【図2】本発明の実施の形態に係るETCシステムと称される料金収受システムの構成を示す模式図。
【図3】第1の実施の形態に係る通行履歴情報の作成処理について説明するフローチャート。
【図4】第1の実施の形態に係る具体例について説明する図。
【図5】第2の実施の形態に係る通行履歴情報の作成処理について説明するフローチャート。
【図6】第2の実施の形態に係る具体例について説明する図。
【図7】第3の実施の形態に係る処理動作について説明するフローチャート。
【図8】第3の実施の形態に係る具体例について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る車両に搭載する機器を説明する模式図である。各車両11には、料金収受用の車載器12が搭載されているとともに、当該車両11の前方を走行する先行車両のナンバプレート部分の画像を撮像する前方カメラ13、当該車両11の後を走行する後続車両のナンバプレート部分の画像を撮像する後方カメラ14、これらカメラ13,14で撮像されたナンバプレート画像に対し所定の画像処理を施すことにより、先行車両のナンバプレート画像および後続車両のナンバプレート画像をそれぞれ抽出し、抽出した各ナンバプレート画像から先行車両のナンバプレート上の車番(車両番号)および後続車両のナンバプレート上の車番をそれぞれ認識する車番認識装置(第1の車番認識手段)15がそれぞれ搭載されている。
【0016】
車載器12は、外部の無線機器との間で通信を行なうためのアンテナ12aを備えていて、料金所に設置された路側無線装置との間で狭域無線通信(DSRC)を利用した無線通信によりデータの送受信を行なうもので、当該車載器の情報(車載器情報:入口料金所情報、車番情報、車種情報、車載器ID等)とともに車番認識装置15の車番認識結果(先行車両の車番情報、後続車両の車番情報)を路側無線装置へ送信するようになっている。
【0017】
また、車載器12は、必要に応じて先行車両の車載器との間で狭域無線通信(DSRC)を利用した無線通信によりデータの送受信を行なう機能をも有している。なお、車載器12にはETCカード(図示しない)が装着されているものとする。
【0018】
前方カメラ13は、たとえば、車両11の前側ナンバプレート16の近傍に設置され、後方カメラ14は、たとえば、車両11の後側ナンバプレート17の近傍に設置されている。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態に係るETCシステム(ノンストップ自動料金収受システム)と称される料金収受システムの構成を模式的に示すものである。なお、図2の例では、説明を簡単にするため1つのETC出口車線を示しているが、車線の種類および数はこれに限定されるものではなく、一般に複数の車線が設けられている場合が多い。
【0020】
図2において、たとえば、有料道路の料金所におけるETC出口車線21の側部には、その入口側から順次、進入してくる車両11を検知するとともに車種判別を行なう車両検知・車種判別装置22、路側無線装置23、車両11の運転者に対し課金情報や発進/停止などの案内を行なう路側表示器24、車両11に対し発進/停止制御を行なう発進制御装置(ゲート)25、および、車番認識装置(第2の車番認識手段)26がそれぞれ設置されていて、これらは車線制御装置27にそれぞれ接続されている。車線制御装置27は、通信回線を介して上位装置(ホストコンピュータ)28に接続されている。
【0021】
路側無線装置23は、外部の無線機器との間で通信を行なうための路側アンテナ29を備えていて、車両11に搭載された車載器12との間で狭域無線通信(DSRC)を利用した無線通信によりデータの送受信を行なうもので、車載器12から送信される車載器情報および車番認識結果(先行車両の車番情報、後続車両の車番情報)を取得し、車線制御装置27に送る。
【0022】
車線制御装置27は、全体的な制御を行なうとともに、路側無線装置23から送られる車載器情報に基づき料金収受処理を行なったり、後述するような車両11の通行履歴情報の作成処理を行なったりする。
【0023】
車番認識装置26は、たとえば、ETC出口車線21を走行する車両11の少なくとも前側のナンバプレート部分を含む画像を撮像するカメラ30を備えていて、このカメラ30で撮像された画像に対し所定の画像処理を施すことによりナンバプレート画像を抽出し、抽出したナンバプレート画像からナンバプレート上の車番(車両番号)を認識するもので、その認識結果は車線制御装置27に送られる。
【0024】
次に、このような構成において、第1の実施の形態に係る通行履歴情報の作成処理について図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0025】
第1の実施の形態は、ETC車線を走行する、車番認識装置を搭載した車両からの先行/後続車両の車番認識結果を活用し、対象車両の車載器情報内の車番情報と料金所側の車番認識装置の車番認識結果とが不一致だった場合に、その前後を走行する車両からの車番認識結果を利用して、対象車両の車番認識結果を更新するものである。
【0026】
車両検知・車種判別装置22がETC出口車線21に進入してくる車両11を検知すると(ステップS1)、路側無線装置23は、当該車両11に搭載された車載器12との間で無線通信を行なうことにより、車載器12から送信される車載器情報および車番認識結果(先行車両の車番情報、後続車両の車番情報)を取得し、車線制御装置27に送る(ステップS2)。
車線制御装置27は、路側無線装置23から送られる車番認識結果(先行車両の車番情報、後続車両の車番情報)を図示しない車番参照テーブルに保存する(ステップS3)。
【0027】
また、車番認識装置26は、このときカメラ30で撮像された当該車両11のナンバプレート部分を含む画像に対し所定の画像処理を施すことによりナンバプレート画像を抽出し、抽出したナンバプレート画像からナンバプレート上の車番を認識し、その車番認識結果を車線制御装置27に送る(ステップS4)。
【0028】
車線制御装置27は、路側無線装置23から送られる車載器情報内の車番情報と車番認識装置26の車番認識結果とを比較し(ステップS5)、両者が一致の場合、車番認識装置26の車番認識結果は正しいものと判断して、このときの通行履歴情報を確定する(ステップS6)。
【0029】
上記通行履歴情報は、たとえば、日時情報、料金所コード、車載器ID、車番認識装置26の認識結果(車番情報)、カメラ30で撮像された当該車両11の画像等からなり、確定された通行履歴情報は上位装置28へ送られ、記録保存される。
【0030】
ステップS5における比較の結果、両者が不一致の場合、車線制御装置27は、車番参照テーブルを参照することにより、当該車両11の前を走行する先行車両の車番認識結果が存在するか否かをチェックし(ステップS7)、先行車両の車番認識結果が存在すれば、車番認識装置26の車番認識結果は誤認識であると判断して、当該先行車両の車番認識結果で車番認識装置26の車番認識結果を更新し、このときの通行履歴情報を確定する(ステップS6)。
【0031】
ステップS7におけるチェックの結果、先行車両の車番認識結果が存在しない場合、車線制御装置27は、車番参照テーブルを参照することにより、当該車両11の後を走行する後続車両の車番認識結果が存在するか否かをチェックし(ステップS8)、後続車両の車番認識結果が存在すれば、車番認識装置26の車番認識結果は誤認識であると判断して、当該後続車両の車番認識結果で車番認識装置26の車番認識結果を更新し、このときの通行履歴情報を確定する(ステップS6)。
【0032】
ステップS8におけるチェックの結果、後続車両の車番認識結果が存在しない場合、対象車両の車番認識結果の更新処理は中止して当該車両に対する通行履歴情報を破棄し(ステップS9)、たとえば、係員による確認処理が行なわれる(ステップS10)。
【0033】
以下、図4を参照して第1の実施の形態に係る具体例について説明する。たとえば、料金所ゲートエリア内にA車、B車、C車の3台がその順番に進入したとする。A車、C車の車載器情報内の車番情報がそれぞれ「1234」、「1048」で、A車、C車に対する車番認識装置26の認識結果がそれぞれ「1234」、「1048」となった場合、それぞれ両車番情報は一致するため、通行履歴情報は確定される。
【0034】
一方で、B車については車載器情報内の車番情報が「5678」となっているにも関わらず、B車に対する車番認識装置26の認識結果が「56??」となった場合、両車番情報は一致しない。ただし、A車およびC車から取得した先行車両の車番認識結果および後続車両の車番認識結果はそれぞれ「5678」となっているため、当該B車に対する車番認識装置26の車番認識結果を「5678」と補完することが可能となる。
【0035】
以上説明したように第1の実施の形態によれば、料金収受ゲート(発進制御装置25)を通過する車両11の車番認識結果の不一致の要因を当該車両11の前後を通行する車両に搭載された車番認識装置15の車番認識結果を活用し、車番の誤認識および棄却率を低減させることが可能となる。
【0036】
次に、第2の実施の形態に係る通行履歴情報の作成処理について図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0037】
第2の実施の形態は、ETC車線を走行する、車番認識装置を搭載した車両からの先行/後続車両の車番認識結果を活用し、対象車両の車載器情報内の車番情報と料金所側の車番認識装置の車番認識結果とが不一致だった場合に、その前後を走行する車両からの車番認識結果を参照し、誤って受信された車載器の情報を棄却するものである。
【0038】
車両検知・車種判別装置22がETC出口車線21に進入してくる車両11を検知すると(ステップS11)、路側無線装置23は、当該車両11に搭載された車載器12との間で無線通信を行なうことにより、車載器12から送信される車載器情報および車番認識結果(先行車両の車番情報、後続車両の車番情報)を取得し、車線制御装置27に送る(ステップS12)。
車線制御装置27は、路側無線装置23から送られる車番認識結果(先行車両の車番情報、後続車両の車番情報)を図示しない車番参照テーブルに保存する(ステップS13)。
【0039】
また、車番認識装置26は、このときカメラ30で撮像された当該車両11のナンバプレート部分を含む画像に対し所定の画像処理を施すことによりナンバプレート画像を抽出し、抽出したナンバプレート画像からナンバプレート上の車番を認識し、その車番認識結果を車線制御装置27に送る(ステップS14)。
【0040】
車線制御装置27は、路側無線装置23から送られる車載器情報内の車番情報と車番認識装置26の車番認識結果とを比較し(ステップS15)、両者が一致の場合、車番認識装置26の車番認識結果は正しいものと判断して、このときの通行履歴情報を確定する(ステップS16)。
【0041】
上記通行履歴情報は、たとえば、日時情報、料金所コード、車載器ID、車番認識装置26の認識結果(車番情報)、カメラ30で撮像された当該車両11の画像等からなり、確定された通行履歴情報は上位装置28へ送られ、記録保存される。
【0042】
ステップS15における比較の結果、両者が不一致の場合、車線制御装置27は、車番参照テーブルを参照することにより、当該車両11の前を走行する先行車両の車番認識結果が存在するか否かをチェックし(ステップS17)、先行車両の車番認識結果が存在する場合、当該先行車両の車番認識結果と車番認識装置26の認識結果とを比較し(ステップS18)、両者が一致の場合、当該先行車両の車番認識結果で車番認識装置26の車番認識結果を更新し、このときの通行履歴情報を確定する(ステップS16)。
【0043】
ステップS18における比較の結果、両者が不一致の場合、車線制御装置27は、このとき受信した車両の車載器情報は誤受信であると判断して、当該車両に対する通行履歴情報を削除するよう更新する(ステップS16)。
【0044】
ステップS17におけるチェックの結果、先行車両の車番認識結果が存在しない場合、車線制御装置27は、車番参照テーブルを参照することにより、当該車両11の後を走行する後続車両の車番認識結果が存在するか否かをチェックし(ステップS19)、後続車両の車番認識結果が存在する場合、当該後続車両の車番認識結果と車番認識装置26の車番認識結果とを比較し(ステップS18)、両者が一致の場合、当該後続車両の車番認識結果で車番認識装置26の車番認識結果を更新し、このときの通行履歴情報を確定する(ステップS16)。
【0045】
ステップS19におけるチェックの結果、後続車両の車番認識結果が存在しない場合、対象車両の車番認識結果の更新処理は中止して当該車両に対する通行履歴情報を破棄し(ステップS20)、たとえば、係員による確認処理が行なわれる(ステップS21)。
【0046】
以下、図6を参照して第2の実施の形態に係る具体例について説明する。たとえば、料金所ゲート(発進制御装置25)が2つあり、ゲート1に向かうのはD車、E車で、ゲート2に向かうのはA車、B車、C車であるとする。
【0047】
ゲート1を通行する際、時刻t2,t4にそれぞれの通行履歴情報が保存される。ゲート2の通行履歴情報は、時刻t1,t2,t3,t5となっているが、実際には時刻t2の車載器情報は誤受信であり、対応する車番認識装置26の車番認識結果が存在しない。この時点では何をもって誤受信かわからないため、ゲート2を通過する車両の車番認識結果を活用する。
【0048】
図6の例では、時刻t1にA車が進入した時点で、後続車両がB車と判定しているにも関わらず、時刻t2にD車の車載器情報(後続車両はE車)を受信する。しかし、時刻t3にB車が進入した時点で前方の選考車両はA車と判定しているので、時刻t2のD車の存在は誤りと判定できる。
【0049】
以上説明したように第2の実施の形態によれば、料金収受ゲート(発進制御装置25)を通過しようとする車両11の前後を通行する車両に搭載された車番認識装置15の車番認識結果を通行履歴情報の一部として活用することにより、仮に隣接する他の車線を走行する車両の車載器情報を受信してしまった場合においても、通行車両間の前後関係が前記通行履歴情報より推定できるため、誤受信か否かを自動的に判定することを可能となる。
【0050】
次に、第3の実施の形態に係る処理動作について図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0051】
料金所ゲート(発進制御装置25)の手前に設定された順列待ちエリア内に車両11が進入してくると、路側無線装置23は、当該車両11に搭載された車載器12との間で無線通信を行なうことにより、車載器12から送信される車載器情報を取得し、車線制御装置27に送る(ステップS31)。
【0052】
車線制御装置27は、路側無線装置23から送られる車載器情報内の車番情報をキーとして、順列待ちエリアに入ってくる車両11が車載器12を搭載した車両であるか否かを照会用データベース31に照会し(ステップS32)、エリア内参照テーブルを作成する(ステップS33)。
【0053】
すなわち、照会用データベース31には、あらかじめ各車両11の車番ごとに車載器12を搭載した車両であるか否か(つまり、ETC車か非ETC車か)が登録されている。車線制御装置27は、路側無線装置23から送られる車載器情報内の車番情報をキーとして照会用データベース31を参照することにより、順列待ちエリアに順次入ってくる車両11がETC車か非ETC車かを示すエリア内参照テーブルを作成する。これにより、エリア内参照テーブルには、順列待ちエリア内に存在する複数(この例では例えば3台)の車両11の車番情報ごとにETC車か非ETC車かを示す情報が格納される。
【0054】
順列待ちエリア内の車両11の運転者は、当該車両11の前を走行する先行車両がETC車か非ETC車かの問合わせを行なう場合、たとえば、車載器12に設けられた第1の問合せ釦(図示しない)を押下することにより、車載器12は、車番認識装置15で認識された先行車両の車番認識結果を付加した第1の問合せ情報を路側無線装置23に対して送信する。
【0055】
また、当該車両11の前を走行する先行車両、および、当該先行車両のさらに前を走行する先行車両がそれぞれETC車か非ETC車かの問合わせを行なうことも可能である。その場合、たとえば、車載器12に設けられた第2の問合せ釦(図示しない)を押下することにより、車載器12は、車番認識装置15で認識された先行車両の車番認識結果を付加した第2の問合せ情報を路側無線装置23に対して送信する。
【0056】
順列待ちエリア内のある車両11の車載器12から、路側無線装置23を介して第1の問合せ情報を受信した場合(ステップS34)、車線制御装置27は、当該第1の問合せ情報に付加された先行車両の車番認識結果をキーとして、先に作成されたエリア内参照テーブルを参照することにより、問合わせのあった先行車両がETC車か非ETC車かの情報を取得し、路側無線装置23を介して問合わせのあった車両11の車載器12に対しその回答情報を送信する(ステップS35)。
【0057】
また、順列待ちエリア内のある車両11の車載器12から、路側無線装置23を介して第2の問合せ情報を受信した場合(ステップS34)、車線制御装置27は、当該第2の問合せ情報に付加された先行車両の車番認識結果をキーとして、先に作成されたエリア内参照テーブルを参照することにより、問合わせのあった先行車両とさらにその前を走行する先行車両がETC車か非ETC車かの情報を取得し、路側無線装置23を介して問合わせのあった車両11の車載器12に対しその回答情報を送信する(ステップS35)。
【0058】
回答情報を受信した車載器12は、図示しない表示画面に当該回答情報を表示するか、あるいは、音声により当該回答情報を出力することにより、当該車両11の運転者に対し先行車両がETC車か非ETC車かの情報を提供する。
【0059】
順列待ちエリア内の車両11が料金所ゲート(発進制御装置25)を通過すると(ステップS36)、車線制御装置27は、その検知信号を発進制御装置25から取得することにより、当該車両11の情報をエリア内参照テーブルから削除する(ステップS37)。
【0060】
以下、図8を参照して第3の実施の形態に係る具体例について説明する。たとえば、料金所ゲートの手前に設定された順列待ちエリア内にA車、B車、C車の3台がその順番に進入したとする。前述したように、車載器情報内の車番情報により、自車がETC車か非ETC車かは照会用データベース31に照会することで参照可能であり、C車の前方を走行するB車については、C車に搭載された車番認識装置15のB車の車番認識結果に基づき車線制御装置27に問合わせすることにより、B車はETC車か非ETC車かを照会可能である。この際、B車の前方を走行するA車の情報についても、C車に搭載された車番認識装置15のB車の車番認識結果に基づき車線制御装置27に問合わせすることにより、B車の前方を走行するA車はETC車か非ETC車かを照会可能である。
【0061】
なお、車線制御装置27に問合わせするのではなく、前方を走行する先行車両に対し直線問合わせすることも可能である。すなわち、たとえば、C車の前方を走行するB車については、C車に搭載された車載器12は、車番認識装置15のB車の車番認識結果に基づきB車の車載器12に対し直接にETC車か非ETC車かを照会することで、B車の車載器12はその回答をC車の車載器12に対し送信する。
【0062】
この際、B車の前方を走行するA車の情報についても、C車の車載器12からの照会によって、B車の車載器12は、車番認識装置15のA車の車番認識結果に基づきA車の車載器12に対し直接にETC車か非ETC車かを照会することで、A車の車載器12はその回答をB車の車載器12に対し送信し、これを受けたB車の車載器12はその回答をC車の車載器12に対し送信する。
【0063】
したがって、料金所ゲート付近で非常に混雑し、前方が不鮮明である場合についても自車がどのゲートに向かって進行すべきかについて、前方の車両情報を頼りにすることが可能となる。
【0064】
以上説明したように第3の実施の形態によれば、料金所ゲートを通過しようとする車両間において、あらかじめ車番情報からETC車か非ETC車かを素早く紹介するエリア内参照テーブルを作成し、前方(前前方)を走行する車両がETC車か非ETC車かを走行中に随時チェックすることにより、自車の通過すべきゲートへの順列を早く形成させ、料金所付近での渋滞を軽減させることが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
11…車両、12…車載器、13…前方カメラ、14…後方カメラ、15…車番認識装置(第1の車番認識手段)、21…ETC出口車線、22…車両検知・車種判別装置、23…路側無線装置、25…発進制御装置(ゲート)、26…車番認識装置(第2の車番認識手段)、27…車線制御装置、28…上位装置(ホストコンピュータ)、31…照会用データベース31。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路の料金所において、当該料金所に進入してくる車両に搭載された車載器との間で無線通信を行なうことにより当該車両に対する通行料金の収受処理を行なうとともに、当該車両の通行履歴情報を取得する料金収受システムにおいて、
各車両に搭載され、当該車両の前を走行する先行車両の車番および当該車両の後を走行する後続車両の車番をそれぞれ認識する第1の車番認識手段と、
前記車載器に設けられ、前記第1の車番認識手段の認識結果を車載器情報とともに車外に無線送信する通信手段と、
料金所に進入してくる車両に搭載された車載器との間で無線通信を行なうことにより車載器情報および先行車両、後続車両の各車番認識結果を取得する車載器情報取得手段と、
料金所に進入してくる車両の車番を認識する第2の車番認識手段と、
この第2の車番認識手段の車番認識結果と前記車載器情報取得手段により取得された車載器情報内の社版情報と比較する比較手段と、
この比較手段による比較の結果、両者が一致した場合は前記第2の車番認識手段の車番認識結果を前記通行履歴情報内の車番情報とし、両者が不一致の場合は前記車載器情報取得手段により取得された先行車両の車番認識結果あるいは後続車両の車番認識結果を前記通行履歴情報内の車番情報とする通行履歴確定手段と、
を具備したことを特徴とする料金収受システム。
【請求項2】
有料道路の料金所において、当該料金所に進入してくる車両に搭載された車載器との間で無線通信を行なうことにより当該車両に対する通行料金の収受処理を行なうとともに、当該車両の通行履歴情報を取得する料金収受システムにおいて、
各車両に搭載され、当該車両の前を走行する先行車両の車番および当該車両の後を走行する後続車両の車番をそれぞれ認識する第1の車番認識手段と、
前記車載器に設けられ、前記第1の車番認識手段の認識結果を車載器情報とともに車外に無線送信する通信手段と、
料金所に進入してくる車両に搭載された車載器との間で無線通信を行なうことにより車載器情報および先行車両、後続車両の各車番認識結果を取得する車載器情報取得手段と、
料金所に進入してくる車両の車番を認識する第2の車番認識手段と、
この第2の車番認識手段の車番認識結果と前記車載器情報取得手段により取得された車載器情報内の車番情報と比較する比較手段と、
この比較手段による比較の結果、両者が一致した場合は前記第2の車番認識手段の車番認識結果を前記通行履歴情報内の車番情報とする確定手段と、
前記比較手段による比較の結果、両者が不一致の場合、前記車載器情報取得手段により取得された車載器情報内の車番情報と前記車載器情報取得手段により取得された先行車両の車番認識結果あるいは後続車両の車番認識結果とを比較し、両者が一致した場合、前記比較手段において不一致となった車番の車載器情報を棄却する車載器情報棄却手段と、
を具備したことを特徴とする料金収受システム。
【請求項3】
有料道路の料金所において、当該料金所に進入してくる車両に搭載された車載器との間で無線通信を行なうことにより当該車両に対する通行料金の収受処理を行なう料金収受システムにおいて、
各車両に搭載され、少なくとも当該車両の前を走行する先行車両の車番を認識する車番認識手段と、
前記車載器に設けられ、前記車番認識手段の認識結果を車載器情報とともに車外に無線送信する通信手段と、
料金所に進入してくる車両に搭載された車載器との間で無線通信を行なうことにより車載器情報および先行車両の車番認識結果を取得する車載器情報取得手段と、
あらかじめ各車両の車番ごとに料金収受用の車載器を搭載した車両であるか否かが登録されている照会用データベースと、
前記載器情報取得手段により取得された車載器情報内の車番情報に基づき、料金所ゲート手前に設定された順列待ちエリアに入ってくる車両が料金収受用の車載器を搭載した車両であるか否かを前記照会用データベースに照会し、その参照テーブルを作成する参照テーブル作成手段と、
前記順列待ちエリア内の車両に搭載された車載器から前記車番認識手段の認識結果に基づく先行車両の問合わせがあると、前記参照テーブルを参照することにより先行車両さらにその前を走行する先行車両が料金収受用の車載器を搭載した車両であるか否かを回答する回答手段と、
この回答手段の回答結果を問合わせのあった車両の車載器に対し無線送信し、運転者に対し画像および音声のうち少なくともいずれか一方により提供する情報提供手段と、
を具備したことを特徴とする料金収受システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−224630(P2010−224630A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68176(P2009−68176)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】