説明

斜軸式液圧回転機

【課題】シリンダブロックの各シリンダ穴とテーパピストンとの接触箇所での摩耗を抑え、かじり・焼付き等の発生を防ぐことができるようにする。
【解決手段】シリンダブロック6の表面側には、センタ穴7および複数のシリンダ穴8を含んで全体を覆うように表面処理層15を形成する。表面処理層15は、鋳鉄または鋳鋼等の鉄系材料を用いて形成されたシリンダブロック6の母材に対し窒化系の熱処理を施すことにより形成された窒化処理層とりん酸マンガンの化成皮膜とにより構成される。化成皮膜は、窒化処理層の表面側にりん酸マンガンの化成皮膜を形成するものである。この化成皮膜は、テーパピストン等の摺動部材に対する初期なじみ性に優れ、その膜厚は、例えば10〜20μm以上の厚みに設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば土木・建築機械、その他の一般機械に油圧ポンプ、モータ等として用いられる斜軸式液圧回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械や一般機械において油圧ポンプまたは油圧モータとして用いられる液圧回転機として、例えば固定容量型または可変容量型の斜軸式液圧回転機が知られている。
【0003】
この種の従来技術による斜軸式液圧回転機は、ケーシングと、該ケーシング内に回転可能に設けられた回転軸と、該回転軸と共に回転するように前記ケーシング内に回転可能に設けられ周方向に離間して軸方向に延びる複数のシリンダ穴が形成されたシリンダブロックと、該シリンダブロックの各シリンダ穴内に摺動可能に挿嵌され該シリンダブロックの回転に伴って各シリンダ穴内を往復動する複数のピストンとを含んで構成されている。
【0004】
また、前記斜軸式液圧回転機は、前記シリンダブロックの回転軸中心に沿って形成されたセンタ穴と、前記シリンダブロックのセンタ穴に嵌合され該シリンダブロックのセンタリングを行うセンタシャフトと、前記ケーシングとシリンダブロックとの間に設けられ前記各シリンダ穴と連通する給排ポート(低圧ポート、高圧ポート)が形成された弁板と、前記センタシャフトとシリンダブロックとの間に設けられ前記シリンダブロックを前記弁板に向けて付勢するばねとを備えている。
【0005】
さらに、前記ケーシング内に位置する回転軸の基端側端部にはドライブディスクが一体的に設けられ、このドライブディスクには、前記シリンダブロックから突出した各ピストンの突出側端部とセンタシャフトの突出側端部とが揺動可能に連結されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
そして、この種の斜軸式液圧回転機は、例えば油圧モータとして用いる場合に、高圧ポートを通じて外部からの圧油を各シリンダ穴内に順次供給すると、前記各ピストンの突出側端部がドライブディスクに順次押付けられる。これにより、前記ドライブディスクの回転軸を中心とした回転力が発生し、この回転力をモータ出力として取出すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−101581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した従来技術では、シリンダブロックの母材を鋳物、鋼材料等を用いて形成し、母材の表面側には、例えば窒化系の熱処理を施している。しかし、シリンダブロックの回転時には、各シリンダ穴の入口部周縁(開口部周縁)とピストンとが接触するに伴ってシリンダブロックの接触箇所には摩耗痕が生じる。そして、このような摩耗が進行すると、例えば化合物層と拡散層とからなる窒化系の処理層から化合物層が剥離されることもあり、かじり・焼付き等の発生が懸念されるという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、シリンダブロックの各シリンダ穴とピストンとの接触箇所での摩耗を抑え、かじり・焼付き等の発生を防ぐことができるようにした斜軸式液圧回転機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、筒状のケーシングと、該ケーシングの一側に位置し軸受を介して回転自在に設けられた回転軸と、該回転軸と一体に回転するように前記ケーシング内に設けられ周方向に離間して軸方向に延びる複数のシリンダ穴を有したシリンダブロックと、軸方向の一側が前記回転軸に揺動自在に支持され他側が前記シリンダブロックの各シリンダ穴に往復動可能に挿嵌された複数のテーパピストンとを備えてなる斜軸式液圧回転機に適用される。
【0011】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記シリンダブロックには、前記各シリンダ穴を含んで窒化系の処理を施した処理層を形成し、該処理層の表面側にはりん酸マンガン皮膜からなる化成皮膜を形成する構成としたことにある。
【0012】
また、請求項2の発明によると、前記シリンダブロックのシリンダ穴には、前記処理層のうち表面側に位置する化合物層を研磨手段で除去した状態で、前記りん酸マンガン皮膜からなる前記化成皮膜を形成する構成としている。
【0013】
さらに、請求項3の発明によると、前記テーパピストンには、窒化系の処理を施して形成した処理層と、該処理層の表面側に形成した酸化皮膜とを設ける構成としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、シリンダ穴の周壁(表面)側に窒化系の処理層を覆うようにりん酸マンガン皮膜からなる化成皮膜を形成している。このため、りん酸マンガンの化成皮膜は、シリンダ穴内を摺動変位するテーパピストンの形状に早期になじむようになり、シリンダ穴とピストンとの接触部位における面圧を低下することができ、摩耗の低減化を図ることができる。また、りん酸マンガンの化成皮膜を摩耗量と同程度以上の膜厚に形成しておくことにより、窒化系の処理層のうち化合物層と拡散層との境界面付近まで摩耗が到達するのを防ぐことができ、シリンダブロックに形成した窒化系の処理層が摩耗によってダメージを受けるのを抑制することができる。しかも、窒化系の処理後の表面状態にりん酸マンガン処理を行うことにより、表面積が増えた状態で化成皮膜を形成できるため、化成皮膜がより付き易くなる。
【0015】
さらに、シリンダ穴内を摺動変位するピストンの形状にりん酸マンガンの化成皮膜が早期になじむことによって、シリンダ穴の開口部周縁とテーパピストンとの接触領域に偏りが生じるのを抑えることができる。このため、シリンダ穴の開口部周縁とテーパピストンとの接触領域が広がるのを抑制でき、接触領域の拡大に伴う発熱量の増大を抑えることができる。従って、シリンダ穴の開口部周縁とテーパピストンとのかじり・焼付き等のリスクを低減することができ、斜軸式液圧回転機としての信頼性を高めることができる。
【0016】
また、請求項2の発明は、処理層のうち表面側に位置する化合物層を研磨手段で除去することにより、例えばシリンダブロックが正方向の回転と逆方向の回転とを繰返すような場合に、シリンダ穴の開口部周縁とテーパピストンとの接触部位に衝撃荷重が発生したとしても、これに伴う前記化合物層の剥離をなくすことができ、かじり・焼付き等のリスクを低減できると共に、シリンダ穴の開口部周縁にはりん酸マンガンの化成皮膜を安定した状態で確保し、残しておくことができる。さらに、前記化合物層を研磨手段で除去した後に、開口部周縁の摩耗量と同程度以上の化成皮膜を形成しておくことにより、シリンダブロックに形成した窒化系の処理層が摩耗によってダメージを受けるのを抑制することができる。このため、シリンダ穴の開口部周縁で摺動面の粗さが悪くなるのを抑えることができ、テーパピストンの摺動特性を良好に保つことができる。
【0017】
また、請求項3の発明によれば、テーパピストンの表面側には、窒化系の処理層に加えて酸化皮膜を形成するため、この酸化皮膜により耐かじり性の良い表面処理がなされたテーパピストンを製作することができ、シリンダブロックに対しても各シリンダ穴の開口部周縁での摩耗を効果的に低減することができる。これにより、シリンダブロックに形成した窒化系の処理層が摩耗によってダメージを受けるのを抑制でき、かじり・焼付き等のリスクを低減することができる。さらに、シリンダ穴の開口部周縁とテーパピストンとの接触部位における面圧が過大になったり、油膜切れ等が発生したりする条件下でも、テーパピストンの表面のうち最表面側に酸化皮膜の層を形成することによって、かじり・焼付き等が発生するリスクの低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態による斜軸式の油圧モータを示す縦断面図である。
【図2】図1中のシリンダブロックを単体として示す拡大断面図である。
【図3】図1中のテーパピストンを単体として拡大して示す一部破断の正面図である。
【図4】シリンダブロックの各シリンダ穴内に複数のピストンを挿嵌した状態を図1中の矢示IV−IV方向から拡大してみた断面図である。
【図5】図4中のシリンダ穴に形成される開口部周縁の摩耗形状を拡大して示すシリンダブロックの部分拡大図である。
【図6】比較例によるシリンダ穴に形成される開口部周縁の摩耗形状を拡大して示すシリンダブロックの部分拡大図である。
【図7】シリンダブロックに対する表面処理の各工程を示す流れ図である。
【図8】テーパピストンに対する表面処理の各工程を示す流れ図である。
【図9】シリンダ穴の周壁面に形成した化成皮膜を含む表面処理層等を示す図2中の矢示IXにおける拡大断面図である。
【図10】表面処理層を形成する前の状態でシリンダ穴の周壁面等を示す図9と同様位置での拡大断面図である。
【図11】シリンダ穴の周壁面に窒化系の処理層を形成した状態を示す図9と同様位置での拡大断面図である。
【図12】テーパピストンの外周面側に形成した酸化皮膜を含む表面処理層等を示す図3中の矢示XII部における拡大断面図である。
【図13】表面処理層を形成する前の状態でテーパピストンの外周面等を示す図12と同様位置での拡大断面図である。
【図14】テーパピストンの外周面側に窒化系の処理層を形成した状態を示す図12と同様位置での拡大断面図である。
【図15】シリンダ穴の開口部周縁における表面粗さの変化を試験時間との関係で示す特性線図である。
【図16】シリンダ穴の開口部周縁における摩耗量を試験時間との関係で示す特性線図である。
【図17】第2の実施の形態によるシリンダブロックの表面処理工程を示す流れ図である。
【図18】シリンダ穴の周壁面に窒化系の処理層を形成した状態を示す図9と同様位置での拡大断面図である。
【図19】図18中の処理層から化合物層を除去した状態を示す拡大断面図である。
【図20】化合物層が除去された処理層の上に化成皮膜を形成した状態を示す図18と同様位置での拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態による斜軸式液圧回転機を、固定容量型斜軸式の油圧モータに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
ここで、図1ないし図16は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は斜軸式液圧回転機からなる油圧モータのケーシングである。このケーシング1は、略「く」字状に屈曲した筒形状をなすケーシング本体2と、後述のヘッドケーシング3とにより構成されている。
【0021】
ケーシング本体2は、図1中に示すように軸方向の一側に位置する一側筒部2Aと、軸方向他側の他側筒部2Bとにより構成され、一側筒部2Aと他側筒部2Bとの中間部位が略「く」字状に屈曲されている。また、ケーシング本体2の一側筒部2Aには、その軸方一側の端部に軸挿通孔2Cが形成されている。
【0022】
3はケーシング本体2の他側筒部2B側に位置するヘッド側端面に固着されたヘッドケーシングで、該ヘッドケーシング3には、一対の給排通路(いずれも図示せず)が形成されている。これらの給排通路のうち高圧側の給排通路は、油圧ポンプ(図示せず)から吐出された圧油を後述する弁板13の給排ポート13Bを介して各シリンダ穴8内に供給する。また、低圧側の給排通路は、後述する弁板13の給排ポート13C側からタンク(図示せず)側に向けて戻り油を排出するものである。
【0023】
4はケーシング本体2の一側筒部2A内に設けられた回転軸を示し、該回転軸4は、当該油圧モータの出力軸を構成し、ケーシング本体2の一側筒部2A内に軸受等を介して回転自在に支持されている。そして、回転軸4の一端側は、軸挿通孔2Cを通じてケーシング本体2の外部に突出し、例えば遊星歯車減速装置等の油圧モータによって駆動される機器類(図示せず)に連結される。
【0024】
一方、ケーシング本体2の一側筒部2A内を他側筒部2Bに向けて延びる回転軸4の基端側(他端側)には、該回転軸4と一体に回転するドライブディスク5が一体的に設けられている。該ドライブディスク5は、ケーシング本体2の一側筒部2Aと他側筒部2Bとの境界部近傍となる位置に配置されている。そして、ドライブディスク5には、後述のシリンダブロック6と対向する他側端面の中心側に位置し後述するセンタシャフト9の球形部9Aが摺動可能に連結される中心側の凹球面部5Aと、該凹球面部5Aの径方向外側に位置して周方向に互いに離間し後述する各テーパピストン10の球形部10Bがそれぞれ揺動可能に連結される回転伝達用の複数の凹球面部5Bとが設けられている。
【0025】
6はケーシング1内に回転可能に設けられたシリンダブロックを示し、該シリンダブロック6は、後述のセンタシャフト9、各テーパピストン10等を介してドライブディスク5に連結され回転軸4と一体に回転するものである。ここで、シリンダブロック6は、肉厚な円筒状に形成され、その中心部には、後述のセンタシャフト9が摺動可能に挿嵌されるセンタ穴7が回転中心軸αに沿って穿設されている。また、シリンダブロック6には、センタ穴7を中心として周方向に一定の間隔をもって離間し軸方向に延びた複数本(通常5本、7本または9本等の奇数本)のシリンダ穴8が穿設されている。
【0026】
ここで、シリンダブロック6は、例えば鋳鉄または鋳鋼等の鉄系材料を用いて形成された後述の母材16に対し、表面処理として後述の如く窒化処理とりん酸マンガンの化成皮膜処理とを施すことにより構成されている。シリンダブロック6のうちヘッドケーシング3側の端面は、後述の弁板13に摺接する凹湾曲面状の摺動面6Aとなっている。
【0027】
シリンダブロック6の摺動面6Aと各シリンダ穴8との間には、摺動面6A側で弁板13に連通、遮断される複数のシリンダポート8A(1本のみ図示)が形成されている。また、各シリンダ穴8は、図2に示すように開口部周縁8Bを有し、この開口部周縁8Bは、後述のテーパピストン10をシリンダ穴8内に挿入するための入口部周縁でもある。
【0028】
9はシリンダブロック6のセンタリングを行うためにセンタ穴7に挿嵌して設けられたセンタシャフトである。このセンタシャフト9は、図1に示す如く一端側が球形部9Aとなり、他端側には有底状のばね収容穴9Bが形成されている。そして、センタシャフト9の球形部9Aは、ドライブディスク5の中心側に形成された凹球面部5Aに摺動可能に嵌合されている。また、センタシャフト9のばね収容穴9B内には後述のばね14が配設されている。
【0029】
10はシリンダブロック6の各シリンダ穴8内に往復動可能に挿嵌された複数のテーパピストンである。これらのテーパピストン10は、図3に示すように一端側から他端側に向けテーパ状に拡径して形成されたテーパ軸部10Aと、該テーパ軸部10Aの一端(小径部)側に一体に形成された球形部10Bと、テーパ軸部10Aの他端(大径部)側に形成されたピストン部10Cと、該ピストン部10C側の端面から球形部10B側に向けてテーパピストン10内を軸方向に延びた油孔10D等とを含んで構成されている。
【0030】
テーパピストン10は、ピストン部10C側がシリンダ穴8内に摺動可能に挿嵌されている。ピストン部10Cの外周側には、シリンダ穴8との間のシール性を確保するためにピストンリング等からなるシール部材11,12等が装着されている。テーパピストン10の球形部10Bは、ドライブディスク5の凹球面部5B内に揺動(摺動)可能に連結され、両者の摺動面には、シリンダ穴8内に供給された油液の一部が潤滑油となって油孔10D側から補給される。
【0031】
13はケーシング1のヘッドケーシング3とシリンダブロック6との間に設けられた弁板で、該弁板13は、シリンダブロック6に対面する一側面が凸湾曲状の切換面13Aとなり、他側面は平坦面となってヘッドケーシング3に固着されている。シリンダブロック6は、その摺動面6Aが弁板13の切換面13Aに対して摺接しつつ回転することにより、各シリンダ穴8に対する圧油の供給,排出が下記のように行われる。
【0032】
即ち、弁板13には、図4に示す如く眉形状をなす一対の給排ポート13B,13Cが周方向に延びて形成され、これらの給排ポート13B,13Cは、ヘッドケーシング3に形成した前記一対の給排通路に連通している。そして、給排ポート13B,13Cは、シリンダブロック6の回転に伴って各シリンダ穴8のシリンダポート8Aと間欠的に連通する。
【0033】
この場合、高圧側となる一方の給排ポート13Bは、前記一対の給排通路のうち高圧側の給排通路に接続され、油圧ポンプ(図示せず)から吐出された圧油を各シリンダ穴8内に供給する。また、低圧側となる他方の給排ポート13Cは、前記一対の給排通路のうち低圧側の給排通路に接続され、各シリンダ穴8から排出される戻り油をタンク(図示せず)側に向けて排出するものである。
【0034】
14はセンタシャフト9とシリンダブロック6との間に設けられたばねで、該ばね14は、センタシャフト9のばね収容穴9B内に配置され、シリンダブロック6を弁板13の切換面13Aに向けて常時付勢している。これにより、シリンダブロック6は、その摺動面6Aを弁板13の切換面13Aに密着させた状態で弁板13に対して正方向または逆方向に相対回転するものである。
【0035】
15はシリンダブロック6に形成された表面処理層で、該表面処理層15は、図2に示すように、センタ穴7および複数のシリンダ穴8を含んでシリンダブロック6の表面側を全体的に覆うように形成されている。そして、表面処理層15は、図9に示すように、例えば鋳鉄または鋳鋼等の鉄系材料を用いて形成されたシリンダブロック6の母材16に対し後述の如く窒化系の熱処理を施すことにより形成された窒化処理層17と後述の化成皮膜18とにより構成されている。
【0036】
ここで、窒化処理層17は、図9、図11に示すように母材16の表面側に形成される拡散層17Aと、該拡散層17Aの表面側を覆うように形成された化合物層17Bとにより構成されている。このうち化合物層17Bは、拡散層17Aよりも硬い層として形成され、化合物層17Bの厚さは、10〜20μm程度となっている。
【0037】
18は窒化処理層17の化合物層17Bを覆うように形成された化成皮膜で、該化成皮膜18は、例えば浸漬(ディピング)等の処理手段により化合物層17Bの表面側にりん酸マンガン皮膜を形成するものである。りん酸マンガンの化成皮膜18は、テーパピストン10等の摺動部材に対する初期なじみ性に優れ、その膜厚は、例えば10〜20μm以上の厚みに設定される。そして、りん酸マンガンの化成皮膜18は、シリンダ穴8内を摺動変位するテーパピストン10の表面形状に早期になじむようになり、シリンダ穴8とテーパピストン10との接触部位における面圧を低下して摩耗を低減させるものである。
【0038】
次に、20はテーパピストン10に形成された表面処理層で、該表面処理層20は、図3に示すようにテーパピストン10のテーパ軸部10A、球形部10Bおよびピストン部10Cの表面側を全体的に覆うように形成されている。そして、表面処理層20は、図12に示すように、テーパピストン10の母材10′に対し後述の如く窒化系の熱処理を施すことにより形成された窒化処理層21と後述の酸化皮膜22とにより構成されている。ここで、テーパピストン10の窒化処理層21も、シリンダブロック6の窒化処理層17と同様に、拡散層21Aと化合物層21Bとにより構成されている。
【0039】
22は窒化処理層21の化合物層21Bを覆うように形成された酸化皮膜で、該酸化皮膜22は、例えば500℃以上の過熱水蒸気を化合物層21Bの表面側に付着させることにより、酸化鉄(Fe)の表面層を形成するものである。酸化皮膜22は、テーパピストン10の最表面側に緻密で安定した層を形成し、テーパピストン10の耐酸化性、耐食性および耐摩耗性等を高めるものである。
【0040】
本実施の形態による斜軸式の油圧モータは上述の如き構成を有するもので、以下、その作動について説明する。
【0041】
まず、油圧モータの回転軸4を駆動するときには、油圧ポンプ(図示せず)から吐出された圧油をヘッドケーシング3に形成した高圧側の給排通路、弁板13の給排ポート13Bを介して各シリンダ穴8内へ順次供給し、このときの油圧力で各テーパピストン10をシリンダ穴8からドライブディスク5側に向けて順次伸長(突出)させる。また、各シリンダ穴8からの戻り油は、各テーパピストン10がシリンダ穴8内へと縮小する方向に変位するに伴って低圧側の給排ポート13C、給排通路からタンク側に向けて排出される。
【0042】
このとき、前記圧油が順次供給される各シリンダ穴8内では、内部に挿嵌されたテーパピストン10の突出側端部となる球形部10Bがドライブディスク5の凹球面部5B側に順次押付けられる。これにより、ドライブディスク5には回転軸4を中心とした回転力が発生し、この回転力は回転軸4の先端側からモータ出力として取出される。
【0043】
ここで、油圧モータの回転駆動時には、各テーパピストン10がシリンダ穴8の内周壁と開口部周縁8Bとに接触することにより、シリンダブロック6に回転力が伝達され、シリンダブロック6とドライブディスク5とが同期して回転するようになる。この場合、各テーパピストン10のうちの1本のピストン10がシリンダ穴8の内周壁と開口部周縁8Bとに接触する領域としては、当該テーパピストン10が挿通されたシリンダ穴8が低圧側の給排ポート13Cに連通するときの一定区間(図4中に示す低圧側の接触領域A)と、高圧側の給排ポート13Bに連通するときの一定区間(高圧側の接触領域B)とが挙げられる。
【0044】
即ち、シリンダブロック6の各シリンダ穴8内に挿嵌して設けられた複数のテーパピストン10は、シリンダブロック6が1回転する間に、図4中に示す低圧側の接触領域Aと高圧側の接触領域Bとにおいてシリンダ穴8の内周壁と開口部周縁8Bとに接触する。これにより、テーパピストン10からシリンダブロック6への回転力の伝達が行われ、シリンダブロック6とドライブディスク5とが同期して回転する。
【0045】
このため、従来技術では、図6中に比較例として示すように、シリンダブロック6′の各シリンダ穴8′の開口部周縁8B′に摩耗痕23′が形成される。そして、このような摩耗が進行すると、化成皮膜を形成していない比較例の場合、シリンダ穴8′に形成した化合物層と拡散層とからなる窒化処理層のうち、前記化合物層が剥離されることがあり、シリンダ穴8′の開口部周縁8B′側ではかじり・焼付き等が発生する虞れがある。
【0046】
また、従来技術にあっては、前記窒化処理層から予め化合物層を、例えばホーニング加工等の手段で除去し、耐かじり性、耐焼付きのよいホーニング面を形成する場合がある。しかし、この場合でも前記摩耗痕23′が10μm程度の深さに達すると、前記ホーニング面が摩耗により無くなることがあり、さらに摩耗が進行すると開口部周縁8B′の表面粗さが悪くなり、テーパピストンの摺動性が低下してかじり・焼付き等のリスクが高くなる。
【0047】
さらに、従来技術の場合、シリンダ穴8′とテーパピストンとの形状のバラツキにより、シリンダ穴8′の開口部周縁8B′とテーパピストンとの接触領域に偏りが生じ、これによって両者の摺動接触に伴う発熱量が増加し、かじり・焼付き等のリスクが高くなる虞れもある。
【0048】
そこで、本実施の形態では、図7に示す手順に従ってシリンダブロック6の表面処理を行う構成としている。この場合、図10に示すように鉄系材料を用いて形成されたシリンダブロック6の母材16を用意する。次に、シリンダブロック6の母材16に対し窒化系の熱処理を施すことにより、図11に示すように拡散層17Aと化合物層17Bとからなる窒化処理層17を形成する(図7中のステップ1)。
【0049】
次に、ステップ2の化成皮膜処理では、例えばりん酸マンガンが加熱溶融された浴槽(図示せず)中に、シリンダブロック6の母材16を所定時間にわたって浸漬させる。そして、このような浸漬(ディピング)処理によって、りん酸マンガンの化成皮膜18を化合物層17Bの表面側に形成し、この化成皮膜18により図9に示す如く、窒化処理層17の化合物層17Bを外側から全面にわたって被覆するように覆う。
【0050】
また、本実施の形態では、テーパピストン10に対しても図8に示す手順に従って表面処理を行う。この場合、図13に示すように鉄系材料等を用いて形成されたテーパピストン10の母材10′を用意しておく。次に、テーパピストン10の母材10′に対して窒化系の熱処理を施すことにより、図14に示すように拡散層21Aと化合物層21Bとからなる窒化処理層21を形成する(図8中のステップ11)。
【0051】
次に、ステップ12の酸化皮膜処理では、例えば500℃以上の過熱水蒸気を化合物層21Bの表面側に付着させることにより、酸化鉄(Fe)の表面層からなる酸化皮膜22を形成する。そして、この酸化皮膜22により図12に示す如く、窒化処理層21の化合物層21Bを外側から全面にわたって被覆するように覆う。
【0052】
かくして、本実施の形態によれば、シリンダブロック6の表面側、特にシリンダ穴8の周壁(表面)側に窒化処理層17を覆うように、りん酸マンガン皮膜からなる化成皮膜18を形成する構成としているため、表面処理層15のうち最も外側に位置するりん酸マンガンの化成皮膜18は、シリンダ穴8内を摺動変位するテーパピストン10の外形状に早期になじむようになり、初期なじみ効果を発揮することができる。
【0053】
この結果、シリンダ穴8とテーパピストン10との接触部位における面圧を低下することができ、摩耗の低減化を図ることができる。また、りん酸マンガンの化成皮膜18を摩耗量と同程度以上の膜厚に形成しておくことにより、窒化処理層17のうち化合物層17Bと拡散層17Aとの境界面付近まで摩耗が到達するのを防ぐことができ、シリンダブロック6に形成した窒化処理層17が摩耗によってダメージを受けるのを抑制することができる。
【0054】
このため、例えば図5に示すようにシリンダブロック6の各シリンダ穴8において、その開口部周縁8Bに摩耗痕23が形成される場合でも、これらの摩耗痕23が窒化処理層17の化合物層17Bと拡散層17Aとの境界面付近に達するまで深くなるのを防ぐことができ、シリンダブロック6に形成した窒化処理層17が摩耗によってダメージを受けるのを抑制することができる。しかも、窒化系の処理後の表面状態にりん酸マンガン処理を行うことにより、表面積が増えた状態で化成皮膜18を形成できるため、化成皮膜18がより付き易くなる。
【0055】
また、本発明者等は、シリンダブロック6のシリンダ穴8内にテーパピストン10を挿嵌して摺動試験を繰返すようにし、シリンダ穴8の開口部周縁8Bにおける表面粗さ、即ち平均表面粗さ(Ra)を計測する試験を行った。この結果、図15中に示す特性線24のように、本実施の形態によるシリンダブロック6のシリンダ穴8にあっては、開口部周縁8Bの平均表面粗さ(Ra)が摺動試験の経過時間に伴って低下し、安定した面粗さを得ることができる。
【0056】
即ち、シリンダブロック6のシリンダ穴8に形成した表面処理層15のうち最も外側に位置するりん酸マンガンの化成皮膜18が、シリンダ穴8内を摺動変位するテーパピストン10の外形状になじむことにより、開口部周縁8Bの平均表面粗さ(Ra)は摺動試験を続ける従って低下し、りん酸マンガンの化成皮膜18がなじんだ後には良好な面粗さで安定することを確認できた。
【0057】
一方、例えば図6に示す比較例の場合、りん酸マンガンの化成皮膜等を有していないため、シリンダ穴8′の開口部周縁8B′では表面粗さ、即ち平均表面粗さ(Ra)が、図15中の特性線25のように時間の経過と共に悪くなり、摩耗が漸次進行することを確認している。
【0058】
また、図16中に特性線26で示すように、シリンダ穴8の開口部周縁8Bにおける摩耗量を計測して調べた結果、開口部周縁8Bの摩耗量は深さ寸法hよりも少ない量に抑えられることが確認できた。即ち、りん酸マンガンの化成皮膜18を寸法hと同等な膜厚で形成することにより、シリンダブロック6に形成した窒化処理層17が摩耗により悪影響を受けるのを抑えることができ、りん酸マンガンの化成皮膜18により窒化処理層17を保護することができる。
【0059】
これに対し、図6に示す比較例の場合、りん酸マンガンの化成皮膜等を有していないため、シリンダ穴8′の開口部周縁8B′では、図16中に示す特性線27のように摩耗量が時間の経過と共に増加し、摩耗が深さ寸法hを大きく越えて進行することを確認している。
【0060】
また、本実施の形態では、テーパピストン10の表面側に窒化処理層21に加えて酸化皮膜22を形成する構成としている。このため、酸化皮膜22により耐かじり性の良い表面処理がなされたテーパピストン10を製作することができ、シリンダブロック6に対しても各シリンダ穴8の開口部周縁8Bでの摩耗を効果的に低減することができる。
【0061】
即ち、酸化皮膜22の表面処理を行ったテーパピストン10を、シリンダブロック6のシリンダ穴8に挿嵌して摺動試験を行った場合、図16中に示す特性線28のように開口部周縁8Bでの摩耗を、酸化皮膜22の表面処理を行っていない場合(特性線26)に比較して、さらに低減できることが確認された。
【0062】
これにより、シリンダブロック6に形成した窒化処理層17が摩耗によってダメージを受けるのを抑制でき、かじり・焼付き等のリスクを低減することができる。しかも、シリンダ穴8の開口部周縁8Bとテーパピストン10との接触部位における面圧が過大になったり、油膜切れ等が発生したりする条件下でも、テーパピストン10の表面のうち最表面側に酸化皮膜22の層を形成することによって、かじり・焼付き等が発生するリスクの低減化を図ることができる。
【0063】
従って、本実施の形態によれば、シリンダブロック6の各シリンダ穴8とテーパピストン10との接触箇所での摩耗を抑えることができ、かじり・焼付き等の発生を防ぐことができる。また、シリンダ穴8内を摺動変位するテーパピストン10の外形状にりん酸マンガンの化成皮膜18が早期になじむことによって、シリンダ穴8の開口部周縁8Bとテーパピストン10との接触領域に偏りが生じるのを抑えることができる。
【0064】
このため、シリンダ穴8の開口部周縁8Bとテーパピストン10との接触領域が広がるのを抑制でき、接触領域の拡大に伴う発熱量の増大を抑えることができる。従って、シリンダ穴8の開口部周縁8Bとテーパピストン10とのかじり・焼付き等のリスクを低減することができ、斜軸式油圧モータ(液圧回転機)としての信頼性を高めることができる。
【0065】
次に、図17〜図20は本発明の第2の実施の形態を示し、第2の実施の形態の特徴は、窒化処理層のうち表面側に位置する化合物層を研磨手段で除去し、この状態で表面側に化成皮膜を形成する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0066】
第2の実施の形態では、図17に示す手順に従ってシリンダブロック6の表面処理を行う構成としている。この場合、図20に示すように、シリンダブロック6の表面側に形成された表面処理層31は、第1の実施の形態と同様に窒化処理層17と後述の化成皮膜32とにより構成されている。即ち、図17に示すようにシリンダブロック6の母材16に対し窒化系の熱処理を施すことにより、第1の実施の形態と同様に拡散層17Aと化合物層17Bとからなる窒化処理層17を形成する(図17中のステップ31)。
【0067】
しかし、第2の実施の形態にあっては、ステップ32の除去処理を追加して行うことにより、窒化処理層17のうち表面側に位置する化合物層17Bをホーニング加工等の研磨手段を用いて除去する。これによって、図19に示すように母材16の表面側には、窒化処理層17の拡散層17Aが外側に露出されるようになる。
【0068】
次に、この状態でステップ33の化成皮膜処理では、例えばりん酸マンガンが加熱溶融された浴槽(図示せず)中に、シリンダブロック6の母材16を所定時間にわたって浸漬させる。そして、このような浸漬(ディピング)処理によって、図20に示す如くりん酸マンガンの化成皮膜32を拡散層17Aの表面側に形成し、この化成皮膜32により窒化処理層17の拡散層17Aを外側から全面にわたって被覆するように覆う。
【0069】
かくして、このように構成される第2の実施の形態にあっても、シリンダブロック6の表面側に窒化処理層17とりん酸マンガンの化成皮膜32とからなる表面処理層31を形成することにより、前述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、窒化処理層17のうち表面側に位置する化合物層17Bを研磨手段で除去することにより、下記のような効果を奏する。
【0070】
即ち、油圧モータの場合には、回転軸4の回転方向が頻繁に切換えられる。そして、シリンダブロック6が正方向の回転と逆方向の回転とを繰返すような場合に、シリンダ穴8の開口部周縁8Bとテーパピストン10との接触部位に衝撃荷重が発生したとしても、これに伴う前記化合物層17Bの剥離をなくすことができる。これにより、両者の接触部位におけるかじり・焼付き等のリスクを低減できると共に、シリンダ穴8の開口部周縁8Bにはりん酸マンガンの化成皮膜32を安定した状態で確保し、残しておくことができる。
【0071】
さらに、前記化合物層17Bを研磨手段で除去した後に、開口部周縁8Bの摩耗量と同程度以上の化成皮膜32を形成しておくことにより、シリンダブロック6に形成した窒化処理層17の拡散層17Aが摩耗によってダメージを受けるのを抑制することができる。このため、シリンダ穴8の開口部周縁8Bで摺動面の粗さが悪くなるのを抑えることができ、テーパピストン10の摺動特性を良好に保つことができる。
【0072】
なお、前記各実施の形態では、斜軸式液圧回転機として斜軸式で固定容量型の油圧モータを例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば斜軸式で可変容量型の油圧モータに適用してもよい。さらには、斜軸式で固定容量型または可変容量型の油圧ポンプに適用してもよい。この場合には、一対の給排ポートのうち低圧側のポートを吸入ポートとし、高圧側のポートを吐出ポートとして用いるものである。
【0073】
また、第1の実施の形態では、テーパピストン10に形成する表面処理層20を、窒化処理層21と酸化皮膜22とによって構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばテーパピストン10の表面処理層を窒化処理層のみにより構成してもよい。また、テーパピストンについては、表面の硬度を高めるために、窒化系の処理以外の熱処理を施す構成としてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 ケーシング
2 ケーシング本体
2A 一側筒部
2B 他側筒部
3 ヘッドケーシング
4 回転軸
5 ドライブディスク
6 シリンダブロック
7 センタ穴
8 シリンダ穴
8B 開口部周縁
9 センタシャフト
10 テーパピストン
13 弁板
13B,13C 給排ポート
15,20,31 表面処理層
17,21 窒化処理層
17A,21A 拡散層
17B,21B 化合物層
18,32 化成皮膜(りん酸マンガン皮膜)
22 酸化皮膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のケーシングと、該ケーシングの一側に位置し軸受を介して回転自在に設けられた回転軸と、該回転軸と一体に回転するように前記ケーシング内に設けられ周方向に離間して軸方向に延びる複数のシリンダ穴を有したシリンダブロックと、軸方向の一側が前記回転軸に揺動自在に支持され他側が前記シリンダブロックの各シリンダ穴に往復動可能に挿嵌された複数のテーパピストンとを備えてなる斜軸式液圧回転機において、
前記シリンダブロックには、前記各シリンダ穴を含んで窒化系の処理を施した処理層を形成し、
該処理層の表面側にはりん酸マンガン皮膜からなる化成皮膜を形成する構成としたことを特徴とする斜軸式液圧回転機。
【請求項2】
前記シリンダブロックのシリンダ穴には、前記処理層のうち表面側に位置する化合物層を研磨手段で除去した状態で、前記りん酸マンガン皮膜からなる前記化成皮膜を形成する構成としてなる請求項1に記載の斜軸式液圧回転機。
【請求項3】
前記テーパピストンには、窒化系の処理を施して形成した処理層と、該処理層の表面側に形成した酸化皮膜とを設けてなる請求項1または2に記載の斜軸式液圧回転機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−7509(P2012−7509A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142347(P2010−142347)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】