説明

断熱保温材

【課題】 断熱性及び保温性に優れた断熱保温材を提供する。
【解決手段】 この断熱保温材は、第一布帛、高発泡層及び第二布帛の順で積層貼合されてなる。または、第一布帛、第一高発泡層、合成樹脂製フィルム層、第二高発泡層及び第二布帛の順で積層貼合されてなる。高発泡層は、接着剤、熱膨張したマイクロカプセル及び親水性かつ微多孔性シリカ微粉末を含有する。接着剤はマイクロカプセル及びシリカ微粉末を保持しながら、高発泡層と第一布帛及び高発泡層と第二布帛を貼合している。第一布帛としては、その内面に合成樹脂層が設けられているものを使用してもよい。また、第二布帛に代えて、合成樹脂製フィルム層を使用してもよい。高発泡層は、全面に設けられていてもよいし、図柄状に設けられていてもよい。また、接着剤としては、架橋型接着剤を用いるのがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布帛と熱膨張したマイクロカプセルを具備した断熱材又は保温材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、断熱材又は保温材としては、ウレタン系発泡体のような合成樹脂製発泡体がシート状で用いられている。そして、補強のため、シート状の合成樹脂製発泡体の両面に、布帛を貼合したものも知られている(特許文献1)。
【0003】
ところで、本発明者等は、以下のような布帛を発明した。すなわち、布帛の片面に高発泡層が積層貼合されており、この高発泡層は、熱膨張したマイクロカプセルと、このマイクロカプセルを布帛の片面に保持するための合成樹脂と、このマイクロカプセルの表面又は合成樹脂中に存在する親水性かつ微多孔性シリカ微粉末とで形成されている高発泡層を備えた布帛を発明した(特許文献2)。かかる高発泡層を備えた布帛は、立体感を有し意匠性に優れたものである。
【0004】
【特許文献1】特表2009−540159号公報(特許請求の範囲の項)
【特許文献2】WO2007/83641パンフレット(特許請求の範囲の項)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は、かかる高発泡層を備えた布帛が、断熱性能又は保温性能に優れていることを見出した。そこで、本発明は、かかる高発泡層の両面に布帛等を貼合して、断熱材又は保温材としての用途に展開しうると想い至った。すなわち、本発明は、特許文献2記載の物品についての用途発明に相当するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第一布帛、高発泡層及び第二布帛の順で構成されて成り、該高発泡層は、接着剤、熱膨張したマイクロカプセル及び親水性かつ微多孔性シリカ微粉末を含有し、該接着剤は該マイクロカプセル及び該シリカ微粉末を保持しながら、該高発泡層と該第一布帛及び該高発泡層と該第二布帛を貼合していることを特徴とする断熱保温材に関するものである。
【0007】
第一布帛及び第二布帛として用いられる布帛は、一般的に、織物、編物、不織布又は合成皮革等が用いられる。布帛を構成する繊維は、任意であるが、例えば、ナイロン6やナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊維、ポリエチレンテレフタレートで代表されるポリエステル系合成繊維、ポリアクリルニトリル系合成繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維、トリアセテート等の半合成繊維、絹、木綿等の天然繊維を単独でまたは混合して用いられる。第一布帛及び第二布帛は、同一のものを採用してもよいし、異別のものを採用してもよい。
【0008】
布帛には撥水処理が施されていてもよい。撥水処理を施しておくと、断熱材又は保温材として用いたとき、水が内部に浸入しにくくなるため、好ましい。撥水処理に用いる撥水剤としては、パラフィン系撥水剤、ポリシロキサン系撥水剤、フッ素系撥水剤等の公知のものを使用できる。撥水処理の方法もスプレー法、パディング法、コーティング法等の公知の方法で行なえばよい。特に良好な撥水性を必要とする場合には、例えば、NUVA N2114 LIQ( クラリアントジャパン株式会社製、フッ素系撥水剤エマルジョン) を5%の水分散液でパディング(ピックアップ率40%)した後、150〜180℃で20秒〜2分間の熱処理を行う方法を採用すればよい。
【0009】
本発明に係る断熱材又は保温材は、水性接着剤等で基材に貼り合わせて使用される場合もあることから、布帛内部へ水性接着剤等が浸入するのをさらに防止するため、布帛に目潰し加工を行なってもよい。目潰し加工の方法は、特に限定されるわけではないが、一般的に、温度コントロール機能を持つ鏡面ロールとコットンロールあるいはプラスチックロール間に布帛を走行させて、鏡面ロール側を目潰しすればよい。
【0010】
第一布帛と第二布帛の間に存在する高発泡層は、接着剤、熱膨張したマイクロカプセル及び親水性かつ微多孔性シリカ微粉末を含有するものである。高発泡層は、第一布帛と第二布帛間全面に存在していてもよいし、部分的に図柄状に存在していてもよい。接着剤としては、従来公知のものを用いればよく、例えば、天然ゴム、ニトリルゴム系、クロロプレンゴム系等の合成ゴム、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン- 酢酸ビニル共重合樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられ、これらは適宜エマルジョン系、溶剤型或いはホットメルト型として用いることができるが、本発明においては、高発泡層の耐久性の観点から、また布帛と高発泡層との接着性の観点から、硬化型接着剤すなわち架橋型接着剤を用いるのが好ましい。具体的には、架橋型のポリウレタン系樹脂接着剤を主体とするものを用いるのが、より好ましい。
【0011】
熱膨張したマイクロカプセルとは、熱膨張性マイクロカプセルを加熱して膨張させたものである。熱膨張性マイクロカプセルとしては、従来公知のものであれば、どのようなものでも用いることができる。具体的には、その粒子径が5〜50μm程度のものであり、外殻が塩化ビニリデンやアクリロニトリル等の重合物からなる熱可塑性樹脂で形成され、この外殻内に、イソブタン,イソペンタン,n−ペンタン等の低沸点炭化水素が内包されている熱膨張性マイクロカプセルを用いることができる。このような、熱膨張性マイクロカプセルは80〜200℃程度の加熱下で20〜70倍に体積膨張し、熱膨張したマイクロカプセルとなるのである。
【0012】
親水性かつ微多孔性シリカ微粉末としても、従来公知のものであれば、どのようなものでも用いることができる。例えば、湿式法(沈降法、ゲル法)または乾式法で製造されるもので、表面に親水基であるOH基を持つ、多数の細孔を持つ親水性かつ微多孔性シリカ微粉末を使用することができる。シリカ微粉末の粒子径は、0. 01〜200μm程度のものが用いられ、1〜150μm程度のものが好ましく、熱膨張性マイクロカプセルの粒子径と近似しているか、或いはそれ以上でかつ150μm以下が特に好ましい。
【0013】
接着剤に対する熱膨張したマイクロカプセル及びシリカ微粉末の含有量は、各々、固形分比で1〜25質量%が好ましく、3〜15質量%が特に好ましい。また、両者の合計の含有量としては、固形分比で2〜40質量%が好ましく、4〜30質量%が特に好ましい。本発明で用いる高発泡層は、接着剤、熱膨張性マイクロカプセル及びシリカ微粉末を含有する層を形成した後、熱膨張性マイクロカプセルを加熱して膨張させて得られるのであるが、シリカ微粉末の含有量が少ないと、熱膨張性マイクロカプセルの体積膨張の程度が小さくなり、好ましくない。また、熱膨張したマイクロカプセルの含有量が少ないと、断熱性能又は保温性能が低下するので、好ましくない。なお、熱膨張したマイクロカプセルやシリカ微粉末の含有量が多すぎると、接着剤の含有量が相対的に少なくなり、高発泡層と各布帛との接着性が悪くなるので、好ましくない。
【0014】
また、熱膨張したマイクロカプセルとシリカ微粉末の使用割合は、同程度或いはシリカ微粉末が多い方が好ましく、具体的には熱膨張したマイクロカプセル:シリカ微粉末=1:0.8〜3. 0程度でよい。シリカ微粉末の使用割合が相対的に多い方が、加熱下で熱膨張性マイクロカプセルの体積膨張が大きくなり、熱膨張したマイクロカプセルが大きくなる。
【0015】
また、本発明において、第一布帛として、その内面に合成樹脂層が設けられているものを使用してもよい。すなわち、布帛と合成樹脂層の積層物が第一布帛として使用され、合成樹脂層が高発泡層と貼合され、外面に布帛が露出しているものであってもよい。合成樹脂としては、任意のものが使用できるが、例えば、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂、L−乳酸、D−乳酸を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン- 酢酸ビニル系樹脂等の公知の合成樹脂が単独で又は混合して用いられる。本発明においては、特に、柔軟性及び強伸度の観点から、ポリウレタン系樹脂が好ましく用いられる。かかるポリウレタン系樹脂としては、イソシアネート成分とポリオール成分の反応で得られる重合体が挙げられ、イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどを使用することができ、ポリオール成分としては、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオールなどを使用することができる。
【0016】
合成樹脂中には、二酸化チタンや炭酸カルシウム等の充填剤、無機系或いは有機系の顔料、ゼオライト系消臭剤や光触媒機能を有する酸化チタン系抗菌剤等を含有させてもよい。布帛と合成樹脂層の積層物を得る方法としては、合成樹脂製フィルムと布帛とを接着剤を介して貼合する方法、又は、合成樹脂を溶解又は分散させた樹脂溶液を塗工して、乾式製膜或いは湿式製膜する方法が挙げられる。なお、合成樹脂層の厚みとしては2〜100μmでよく、5〜50μmであるのが好ましい。
【0017】
また、本発明において、第二布帛として、合成樹脂製フィルム層を採用してもよい。合成樹脂製フィルム層としては、前記した合成樹脂層と同様のものを採用すればよい。
【0018】
また、本発明において、第一布帛、第一高発泡層、合成樹脂製フィルム層、第二高発泡層及び第二布帛の順で構成されて成る断熱保温材であってもよい。第一布帛及び第二布帛としては、前記したものを採用すればよい。また、第一高発泡層及び第二高発泡層も、前記した高発泡層を採用すればよく、合成樹脂製フィルム層も前記した合成樹脂層と同様のものを採用すればよい。そして、各層間はいずれも、第一高発泡層及び第二高発泡層中の接着剤によって貼合されている。
【0019】
本発明に係る断熱保温材は、たとえば、以下の方法により得ることができる。まず、熱膨張性マイクロカプセルと親水性かつ微多孔性シリカ微粉末を含有する接着剤溶液を調製する。そして、この接着剤溶液を第一布帛の片面に、コンマコーティング法又はロールオンナイフコーティング法等の公知の方法によって塗布する。塗布後、乾燥して接着剤溶液を固化させる前又は後に、接着剤層上に第二布帛を積層する。接着剤溶液を固化させた後、加熱処理を行い、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させることで、接着剤層の厚みが増し、高発泡樹脂層が得られる。この際、ピンテンター等を用いて行なえば、第一布帛及び第二布帛のセット加工を兼ねながら発泡することができる。但し、この際の熱膨張性マイクロカプセルの最適膨張温度帯は、第一布帛及び第二布帛のセット温度より高く設定した方が好ましい。熱膨張性マイクロカプセルの特性として、熱履歴を踏めば踏むほど膨張温度帯は低下する傾向にあるからである。
【0020】
第一布帛として、その内面に合成樹脂層が設けられているものを使用した場合も、前記と同様の方法で断熱保温材を得ることができる。たとえば、布帛と合成樹脂層の積層物を準備して、この合成樹脂層面に接着剤溶液を塗布して、前記と同一の方法を採用すればよい。
【0021】
第二布帛に代えて、合成樹脂製フィルム層を採用する場合は、前記方法の第二布帛を合成樹脂製フィルム層に変更すればよい。
【0022】
第一布帛、第一高発泡層、合成樹脂製フィルム層、第二高発泡層及び第二布帛の順で構成されて成る断熱保温材の場合は、まず、第一布帛、第一高発泡層及び合成樹脂製フィルム層の三層積層物を前記した方法で得た後、この合成樹脂製フィルム層に接着剤溶液を塗布すると共に第二布帛を積層するという方法が採用される。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る断熱保温材は、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルが気体を含んだ状態で存在しているので、断熱性能又は保温性能に優れている。そして、高発泡層中には親水性かつ微多孔性シリカ微粉末が存在しているので、熱膨張したマイクロカプセルの体積は大きくなっている。したがって、断熱性能又は保温性能をより高めうるという効果を奏する。また、高発泡層の両面には、布帛又は合成樹脂製フィルムが存在しているので、強度等の物性にも優れている。
【実施例】
【0024】
実施例1
[第一布帛の準備]
経糸、緯糸の双方にナイロンフィラメント78デシテックス68フィラメントを用いて、経糸密度120本/2.5cm、緯糸密度95本/2.5cmのタフタを製織し、通常の方法により精練及び染色(日本化薬株式会社製,Kayanol Blue NR 1%omf)を行った後、エマルジョンタイプのフッ素系撥水剤のNUVA N2114 LIQ(クラリアントジャパン株式会社製)6%水分散液でパディング(ピックアップ率40%)し、乾燥後、170℃で45秒間の熱処理を行った。続いて、鏡面ロールを持つカレンダー加工機を用いて、温度170℃、圧力300kPa、速度20m/分の条件で目潰し加工を行い、第一布帛を準備した。
【0025】
[第二布帛の準備]
ナイロンフィラメント44デシテックス48フィラメントを用いて、経糸密度150本/2.5cm、緯糸密度110本/2.5cmのタフタを製織し、通常の方法により、精練を行い、第二布帛を準備した。
【0026】
[接着剤溶液の準備]
下記<処方1>のポリウレタン系接着剤溶液(樹脂固形分57質量%、粘度8000mPa・s/ 25℃)を準備した。
<処方1>
クリスボンTA175 100質量部
(DIC株式会社製、固形分60質量%の透湿性のあるポリウレタン接着剤)
レザミンNE架橋剤 8質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分70%のイソシアネート架橋剤)
クリスボンアクセルT−81 1質量部
(DIC株式会社製、架橋促進剤)
マツモトマイクロスフェアー FN−100D 2質量部
(松本油脂製薬株式会社製、平均粒子径が約30μm、発泡開始温度が約130℃、 最大膨張温度が約185℃の熱膨張性マイクロカプセル)
シリカパウダーRA70 4質量部
(富士シリシア化学株式会社製、平均粒径が約70μmの親水性微多孔性シリカ微粉 末)
メチルエチルケトン 8質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 4質量部
【0027】
[断熱保温材の製造]
第一布帛の撥水目潰し面に、<処方1>のポリウレタン系接着剤溶液をコンマコータにて塗布量100g/ m2で塗布し、120℃で3分間の乾燥により、熱膨張性マイクロカプセルを2.8質量%、シリカ微粉末を5.6質量%含有する、厚みが約60μmの接着剤層を形成後、この接着剤層面に第二布帛を積層し、圧力200kPa、温度100℃の条件にて、第一布帛、接着剤層及び第二布帛の順で積層された三層積層物を得た。その後40℃で3日間のエージング後、ピンテンターにて170℃で2分間の熱処理を行い、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させて、第一布帛、高発泡層及び第二布帛の順で積層貼合された断熱保温材を得た。なお、光学写真にて断面形態を調べたところ、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルは、100〜140μm径となっていた。また、断熱保温材の厚みは、約340μmであった。
【0028】
実施例2
[第一布帛の準備]
実施例1で用いた第一布帛の撥水目潰し面に、下記<処方2>の樹脂溶液(樹脂固形分20質量%、粘度;10000mPa・s/ 25℃)をコンマコータにて塗布量80g/m2で塗布後、濃度10%のN,N ジメチルホルムアミド水溶液(20℃)の凝固浴に2分間浸漬することで樹脂分を凝固後、50℃で5分間の湯洗を行い、マングルで絞り、続いて、130℃で2分間の乾燥を行い、実施例1で用いた第一布帛の撥水目潰し面に厚み約30μmの微多孔質膜を形成して、第一布帛を準備した。実施例2で用いる第一布帛は、実施例1で用いた第一布帛の内面に、ポリウレタン系微多孔質膜よりなる合成樹脂層が設けられたものである。
<処方2>
レザミンCU4555 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分27質量%の微多孔質膜形成用ポリウレタン樹脂 )
レザミンX架橋剤 2質量部
(大日精化工業株式会社製、イソシアネート化合物)
N,N−ジメチルホルムアミド 40質量部
【0029】
[第二布帛の準備]
実施例1で用いた第二布帛を、そのまま、実施例2で用いる第二布帛とした。
【0030】
[接着剤溶液の準備]
下記<処方3>のポリウレタン系接着剤溶液(樹脂固形分46質量%、粘度2000mPa・s/ 25℃)を準備した。
<処方3>
クリスボンTA175 100質量部
レザミンNE架橋剤 8質量部
クリスボンアクセルT−81 1質量部
マツモトマイクロスフェアー FN−100D 2質量部
シリカパウダーRA70 4質量部
メチルエチルケトン 20質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 20質量部
【0031】
[断熱保温材の製造]
第一布帛の微多孔質膜面に、<処方3>のポリウレタン系接着剤溶液をコンマコータにて塗布量130g/ m2で塗布し、120℃で3分間の乾燥により、熱膨張性マイクロカプセルを2.8質量%、シリカ微粉末を5.6質量%含有する、厚みが約60μmの接着剤層を形成後、この接着剤層面に第二布帛を積層し、圧力200kPa、温度100℃の条件にて、第一布帛(微多孔質膜付設)、接着剤層及び第二布帛の順で積層された積層物を得た。その後40℃で3日間のエージング後、ピンテンターにて170℃で2分間の熱処理を行い、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させて、第一布帛(微多孔質膜付設)、高発泡層及び第二布帛の順で積層貼合された断熱保温材を得た。なお、光学写真にて断面形態を調べたところ、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルは、100〜140μm径となっていた。また、断熱保温材の厚みは、約370μmであった。
【0032】
実施例3
[第一布帛の準備]
離型材として、リンテック株式会社製の離型紙EV130TPDを用い、その離型面に、コンマコータを用いて、下記<処方4>のポリウレタン樹脂溶液(樹脂固形分19質量%、粘度2000mPa・s/ 25℃)を塗布量50g/ m2にて塗布し、100℃で2分間の乾燥にて厚みが約10μmの合成樹脂層を形成した。
<処方4>
ハイムレン Y−274FM 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分21質量%の透湿性のあるポリウレタン樹脂)
セイカセブン DUT4093 ホワイト 8質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分60質量%の白顔料)
メチルエチルケトン 15質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 15質量部
そして、合成樹脂層面に、下記<処方5>のポリウレタン系接着溶液(樹脂固形分43質量%、粘度1500mPa・s/ 25℃)を塗布量100g/ m2にて塗布し、100℃で2分間の乾燥により、厚みが約40μmの接着層を形成後、圧力200kPa、温度120℃の条件にて、実施例1で用いた第一布帛の目潰し面と貼合し、40℃で3日間のエージングを行なった。そして、離型材を剥離して、実施例3で用いる第一布帛とした。実施例3で用いる第一布帛は、実施例1で用いた第一布帛の内面に、ポリウレタン系合成樹脂層が設けられたものである。
<処方5>
クリスボンTA175 100質量部
レザミンNE架橋剤 8質量部
クリスボンアクセルT−81 1質量部
メチルエチルケトン 30質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 15質量部
【0033】
[第二布帛の準備]
実施例1で用いた第二布帛を、そのまま、実施例3で用いる第二布帛とした。
【0034】
[接着剤溶液の準備]
下記<処方6>のポリウレタン系接着剤溶液(樹脂固形分47質量%、粘度2000mPa・s/ 25℃)を準備した。
<処方6>
クリスボンTA175 100質量部
レザミンNE架橋剤 8質量部
クリスボンアクセルT−81 1質量部
マツモトマイクロスフェアー FN−100D 4質量部
シリカパウダーRA70 4質量部
メチルエチルケトン 20質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 20質量部
【0035】
[断熱保温材の製造]
第一布帛のポリウレタン系合成樹脂層面に、<処方6>のポリウレタン系接着剤溶液をコンマコータにて塗布量130g/ m2で塗布し、120℃で3分間の乾燥により、熱膨張性マイクロカプセルを5.4質量%、シリカ微粉末を5.4質量%含有する、厚みが約50μmの接着剤層を形成後、この接着剤層面に第二布帛を積層し、圧力200kPa、温度100℃の条件にて、第一布帛(合成樹脂層付設)、接着剤層及び第二布帛の順で積層された積層物を得た。その後40℃で3日間のエージング後、ピンテンターにて170℃で2分間の熱処理を行い、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させて、第一布帛(合成樹脂層付設)、高発泡層及び第二布帛の順で積層貼合された断熱保温材を得た。なお、光学写真にて断面形態を調べたところ、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルは、100〜140μm径となっていた。また、断熱保温材の厚みは、約380μmであった。
【0036】
実施例4
[第一布帛の準備]
実施例1で用いた第一布帛を、そのまま、実施例4で用いる第一布帛とした。
[第二布帛の準備]
実施例1で用いた第二布帛を、そのまま、実施例4で用いる第二布帛とした。
【0037】
[合成樹脂製フィルム層の準備]
離型材として、リンテック株式会社製の離型紙EV130TPDを用い、その離型面に、コンマコータを用いて、上記<処方4>のポリウレタン樹脂溶液(樹脂固形分19質量%、粘度2000mPa・s/ 25℃)を塗布量50g/ m2にて塗布し、100℃で2分間の乾燥にて厚みが約10μmのポリウレタン系合成樹脂製フィルム層を得た。
【0038】
[第一接着剤溶液及び第二接着剤溶液の準備]
実施例3で用いた<処方6>の接着剤溶液を、そのまま、実施例4で用いる第一及び第二接着剤溶液とした。
【0039】
[断熱保温材の製造]
離型材付きポリウレタン系合成樹脂製フィルム層面に、第一接着剤溶液をコンマコータにて塗布量130g/ m2で塗布し、120℃で3分間の乾燥により、熱膨張性マイクロカプセルを5.4質量%、シリカ微粉末を5.4質量%含有する、厚みが約50μmの接着剤層を形成後、圧力200kPa、温度100℃の条件にて、第一布帛の目潰し面と貼合した。続いて、離型材を剥離したポリウレタン系合成樹脂製フィルム層面に、第二接着剤溶液をコンマコータにて塗布量130g/ m2で塗布し、120℃で3分間の乾燥により、熱膨張性マイクロカプセルを5.4質量%、シリカ微粉末を5.4質量%含有する、厚みが約50μmの接着剤層を形成後、この接着剤層面に第二布帛を積層し、圧力200kPa、温度100℃の条件にて、第一布帛、第一接着剤層、ポリウレタン系合成樹脂製フィルム層、第二接着剤層及び第二布帛の順で積層された積層物を得た。その後40℃で3日間のエージング後、ピンテンターにて170℃で2分間の熱処理を行い、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させて、第一布帛、第一高発泡層、合成樹脂製フィルム層、第二高発泡層及び第二布帛の順で積層貼合された断熱保温材を得た。なお、光学写真にて断面形態を調べたところ、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルは、100〜140μm径となっていた。また、断熱保温材の厚みは、約470μmであった。
【0040】
実施例5
[第一布帛の準備]
経糸、緯糸の双方にナイロンフィラメント78デシテックス68フィラメントを用いて、経糸密度110本/2.5cm、緯糸密度90本/2.5cmのタフタを製織し、通常の方法により精練及び染色(日本化薬株式会社製,Kayanol Blue NR 1%omf)を行った後、エマルジョンタイプのフッ素系撥水剤のNUVA N2114 LIQ(クラリアントジャパン株式会社製)6%水分散液でパディング(ピックアップ率35%)し、乾燥後、170℃で45秒間の熱処理を行った。続いて、鏡面ロールを持つカレンダー加工機を用いて、温度150℃、圧力300kPa、速度30m/分の条件で目潰し加工を行い、第一布帛を準備した。
【0041】
[第二布帛に代える合成樹脂製フィルム層の準備]
離型材として、リンテック株式会社製の離型紙EV130TPDを用い、その離型面上に、コンマコータを用いて、下記<処方7>のポリウレタン樹脂溶液(樹脂固形分23質量%、粘度3000mPa・s/ 25℃)を塗布量20g/ m2にて塗布し、100℃で2分間の乾燥にて厚みが約5μmのポリウレタン系合成樹脂製フィルム層を形成し、離型材付き合成樹脂製フィルム層を準備した。
<処方7>
レザミンNE−302HV 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分35質量%の表皮用ポリウレタン樹脂)
トルエン 25質量部
イソプロピルアルコール 25質量部
【0042】
[接着剤溶液の準備]
下記<処方8>のポリウレタン系接着剤溶液(樹脂固形分47質量%、粘度2000mPa・s/ 25℃)を準備した。
<処方8>
クリスボン4365T 100質量部
(DIC株式会社製、固形分65%の無透湿性タイプのポリウレタン接着剤)
レザミンNE架橋剤 8質量部
クリスボンアクセルT−81 1質量部
マツモトマイクロスフェアー FN−100D 2質量部
シリカパウダーRA70 4質量部
メチルエチルケトン 30質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 20質量部
【0043】
[断熱保温材の製造]
第二布帛に代える離型材付き合成樹脂製フィルム層のフィルム層面に、接着剤溶液をコンマコータにて塗布量130g/ m2で塗布し、100℃で2分間の乾燥により、熱膨張性マイクロカプセルを2.8質量%、シリカ微粉末を5.6質量%含有する、厚みが約60μmの接着剤層を形成後、圧力200kPa、温度100℃の条件にて、第一布帛の目潰し面と貼合した。その後、合成樹脂製フィルム層に付加されている離型材を剥離し、40℃で3日間のエージング後、ピンテンターにて170℃で1分間の熱処理を行い、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させて、第一布帛、高発泡層及び合成樹脂製フィルム層の順に積層貼合された断熱保温材を得た。なお、光学写真にて断面形態を調べたところ、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルは、100〜140μm径となっていた。また、断熱保温材の厚みは、約280μmであった。
【0044】
実施例6
[第一布帛の準備]
実施例5で用いた第一布帛を、そのまま、実施例6で用いる第一布帛とした。
[第二布帛に代える合成樹脂製フィルム層の準備]
実施例4で用いた合成樹脂製フィルム層を、そのまま、実施例6で用いる合成樹脂製フィルム層とした。この合成樹脂製フィルム層は、離型材付き合成樹脂製フィルム層である。
[接着剤溶液の準備]
実施例2で用いた接着剤溶液を、そのまま、実施例6で用いる接着剤溶液とした。
【0045】
[断熱保温材の製造]
第二布帛に代える離型材付き合成樹脂製フィルム層のフィルム層面に、接着剤溶液をコンマコータにて塗布量130g/ m2で塗布し、100℃で2分間の乾燥により、熱膨張性マイクロカプセルを2.8質量%、シリカ微粉末を5.6質量%含有する、厚みが約60μmの接着剤層を形成後、圧力200kPa、温度100℃の条件にて、第一布帛の目潰し面と貼合した。その後、合成樹脂製フィルム層に付加されている離型材を剥離し、40℃で3日間のエージング後、ピンテンターにて170℃で1分間の熱処理を行い、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させて、第一布帛、高発泡層及び合成樹脂製フィルム層の順に積層貼合された断熱保温材を得た。なお、光学写真にて断面形態を調べたところ、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルは、100〜140μm径となっていた。また、断熱保温材の厚みは、約290μmであった。
【0046】
実施例7
[第一布帛の準備]
実施例5で用いた第一布帛を、そのまま、実施例7で用いる第一布帛とした。
[第二布帛に代える合成樹脂製フィルム層の準備]
実施例4で用いた合成樹脂製フィルム層を、そのまま、実施例7で用いる合成樹脂製フィルム層とした。この合成樹脂製フィルム層は、離型材付き合成樹脂製フィルム層である。
[接着剤溶液の準備]
実施例3で用いた接着剤溶液を、そのまま、実施例7で用いる接着剤溶液とした。
【0047】
[断熱保温材の製造]
第二布帛に代える離型材付き合成樹脂製フィルム層のフィルム層面に、接着剤溶液をコンマコータにて塗布量130g/ m2で塗布し、100℃で2分間の乾燥により、熱膨張性マイクロカプセルを5.4質量%、シリカ微粉末を5.4質量%含有する、厚みが約60μmの接着剤層を形成後、圧力200kPa、温度100℃の条件にて、第一布帛の目潰し面と貼合した。その後、合成樹脂製フィルム層に付加されている離型材を剥離し、40℃で3日間のエージング後、ピンテンターにて170℃で1分間の熱処理を行い、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させて、第一布帛、高発泡層及び合成樹脂製フィルム層の順に積層貼合された断熱保温材を得た。なお、光学写真にて断面形態を調べたところ、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルは、100〜150μm径となっていた。また、断熱保温材の厚みは、約385μmであった。
【0048】
実施例8
実施例7の[断熱保温材の製造]過程において、ピンテンターによる熱処理構成の前に、下記処方<処方9>のポリウレタン樹脂溶液(樹脂固形分24質量%、粘度3500mPa・s/ 25℃)を、ナイフコータで合成樹脂製フィルム層面に塗布量20g/ m2で塗布し、100℃で1分間の乾燥により、5μm厚の滑性のある透湿防水膜を形成した他は、実施例7と同一の方法で、第一布帛、高発泡層、合成樹脂製フィルム層及び透湿防水膜の順に積層貼合された断熱保温材を得た。なお、光学写真にて断面形態を調べたところ、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルは、100〜150μm径となっていた。また、断熱保温材の厚みは、約390μmであった。
<処方9>
ハイムレン C−61 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分25質量%の透湿性のあるポリウレタン樹脂)
NPファイバー W10−MG2 5質量部
(日本製紙ケミカル株式会社製、セルロース系滑性向上剤)
メチルエチルケトン 15質量部
N,N−ジメチルホルムアミド 5質量部
【0049】
実施例9
[第一布帛の準備]
実施例5で用いた第一布帛を、そのまま、実施例9で用いる第一布帛とした。
[第二布帛に代える合成樹脂製フィルム層の準備]
実施例4で用いた合成樹脂製フィルム層を、そのまま、実施例9で用いる合成樹脂製フィルム層とした。この合成樹脂製フィルム層は、離型材付き合成樹脂製フィルム層である。
[接着剤溶液の準備]
実施例3で用いた接着剤溶液を、そのまま、実施例9で用いる接着剤溶液とした。
【0050】
[断熱保温材の製造]
第二布帛に代える離型材付き合成樹脂製フィルム層のフィルム層面に、接着剤溶液を12メッシュのグラビアロールにて塗布量80g/ m2でドット状に塗布した。なお、グラビアロールは、ドット径が1.85mmφ、深度200μm及び塗布面積比率が約60%となっているものを使用した。塗布後、100℃で2分間の乾燥により、熱膨張性マイクロカプセルを5.4質量%、シリカ微粉末を5.4質量%含有する、厚みが約60μmの接着剤層を形成後、圧力200kPa、温度100℃の条件にて、第一布帛の目潰し面と貼合した。その後、合成樹脂製フィルム層に付加されている離型材を剥離し、40℃で3日間のエージング後、上記処方<処方9>のポリウレタン樹脂溶液(樹脂固形分24質量%、粘度3500mPa・s/ 25℃)を、ナイフコータで合成樹脂製フィルム層面に塗布量20g/ m2で塗布し、100℃で1分間の乾燥により、5μm厚の滑性のある透湿防水膜を形成した。続いて、ピンテンターにて170℃で1分間の熱処理を行い、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させて、第一布帛、ドット状の高発泡層、合成樹脂製フィルム層及び透湿防水膜の順に積層貼合された断熱保温材を得た。なお、光学写真にて断面形態を調べたところ、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルは、100〜150μm径となっていた。また、断熱保温材の厚みは、ドット状の高発泡層が存在する箇所では約380μmであり、高発泡層の存在しない箇所では約200〜250μmであった。
【0051】
比較例1
実施例1で用いた接着剤溶液から、マツモトマイクロスフェアー FN−100D及びシリカパウダーRA70を共に省く他は、実施例1と全く同一の方法により断熱保温材を得た。得られた断熱保温材の厚みは、約240μmであった。
【0052】
比較例2
実施例1で用いた接着剤溶液から、シリカパウダーRA70を省く他は、実施例1と全く同一の方法により断熱保温材を得た。なお、光学写真にて断面形態を調べたところ、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルは、70〜100μm径となっていた。また、断熱保温材の厚みは、約280μmであった。
【0053】
比較例3
実施例2で用いた接着剤溶液から、マツモトマイクロスフェアー FN−100D及びシリカパウダーRA70を共に省く他は、実施例2と全く同一の方法により断熱保温材を得た。得られた断熱保温材の厚みは、約270μmであった。
【0054】
比較例4
実施例2で用いた接着剤溶液から、シリカパウダーRA70を省く他は、実施例2と全く同一の方法により断熱保温材を得た。なお、光学写真にて断面形態を調べたところ、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルは、70〜100μm径となっていた。また、断熱保温材の厚みは、約310μmであった。
【0055】
比較例5
実施例3で用いた接着剤溶液から、マツモトマイクロスフェアー FN−100D及びシリカパウダーRA70を共に省く他は、実施例3と全く同一の方法により断熱保温材を得た。得られた断熱保温材の厚みは、約280μmであった。
【0056】
比較例6
実施例3で用いた接着剤溶液から、シリカパウダーRA70を省く他は、実施例3と全く同一の方法により断熱保温材を得た。なお、光学写真にて断面形態を調べたところ、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルは、70〜100μm径となっていた。また、断熱保温材の厚みは、約330μmであった。
【0057】
比較例7
実施例5で用いた接着剤溶液から、マツモトマイクロスフェアー FN−100D及びシリカパウダーRA70を共に省く他は、実施例5と全く同一の方法により断熱保温材を得た。得られた断熱保温材の厚みは、約170μmであった。
【0058】
比較例8
実施例6で用いた接着剤溶液から、マツモトマイクロスフェアー FN−100D及びシリカパウダーRA70を共に省く他は、実施例6と全く同一の方法により断熱保温材を得た。得られた断熱保温材の厚みは、約175μmであった。
【0059】
比較例9
実施例6で用いた接着剤溶液から、シリカパウダーRA70を省く他は、実施例6と全く同一の方法により断熱保温材を得た。なお、光学写真にて断面形態を調べたところ、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルは、70〜100μm径となっていた。また、断熱保温材の厚みは、約250μmであった。
【0060】
比較例10
実施例8で用いた接着剤溶液から、シリカパウダーRA70を省く他は、実施例8と全く同一の方法により断熱保温材を得た。なお、光学写真にて断面形態を調べたところ、高発泡層中の熱膨張したマイクロカプセルは、70〜100μm径となっていた。また、断熱保温材の厚みは、約270μmであった。
【0061】
実施例1〜9及び比較例1〜10で得られた断熱保温材の断熱性及び保温性を、以下の方法で測定した。その結果を表1に示した。
[断熱性]
クーリング板(表面積5cm×5cm、水を循環させ環境温度の20℃の保持)の上に、サイズ5cm×5cmの試料を置き、30℃(環境温度+10℃)にコントロールされた熱板(表面積5cm×5cm)を試料表面と重ねたときの消費熱量(W/m2・℃)を測定し、その消費熱量が安定したときの数値を断熱性の目安とした。消費熱量(W/m2・℃)が少ない方が、断熱性に優れている。
[保温性]
表面積10cm×10cmの熱板の温度を30℃(環境温度+10℃)に設定し、平衡状態時の消費熱量をブランクとし、表面積10cm×10cmの試料で覆ったときの平衡状態時の消費熱量との差から保温率(%)を算出{[(ブランク消費熱量−試料の消費熱量)/ブランク消費熱量]×100}し、保温性の目安とした。保温率(%)の値が大きいほど、保温性に優れている。
【0062】
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
消費熱量(W/m2・℃) 保温率(%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 117 7.3
実施例2 110 8.2
実施例3 104 9.5
実施例4 72 14.8
実施例5 178 4.8
実施例6 177 5.0
実施例7 132 7.5
実施例8 128 7.8
実施例9 146 6.6
比較例1 305 1.2
比較例2 192 4.4
比較例3 291 1.4
比較例4 188 4.9
比較例5 285 1.7
比較例6 164 4.8
比較例7 462 0.5
比較例8 431 0.7
比較例9 225 3.3
比較例10 205 5.0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0063】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜9に係る断熱保温材は、比較例1〜10に係る断熱保温材に比べて、相対的に消費熱量が概ね少なく、かつ、保温率も概ね大きいものであった。したがって、実施例1〜9に係る方法で得られたものは、断熱保温材として使用しうるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一布帛、高発泡層及び第二布帛の順で構成されて成り、該高発泡層は、接着剤、熱膨張したマイクロカプセル及び親水性かつ微多孔性シリカ微粉末を含有し、該接着剤は該マイクロカプセル及び該シリカ微粉末を保持しながら、該高発泡層と該第一布帛及び該高発泡層と該第二布帛を貼合していることを特徴とする断熱保温材。
【請求項2】
第一布帛として、その内面に合成樹脂層が設けられているものを用いる請求項1記載の脱熱保温材。
【請求項3】
第二布帛に代えて、合成樹脂製フィルム層を採用した請求項1記載の断熱保温材。
【請求項4】
第一布帛、第一高発泡層、合成樹脂製フィルム層、第二高発泡層及び第二布帛の順で構成されて成り、該第一高発泡層は、第一接着剤、熱膨張した第一マイクロカプセル及び親水性かつ微多孔性第一シリカ微粉末を含有し、かつ、該第二高発泡層は、第二接着剤、熱膨張した第二マイクロカプセル及び親水性かつ微多孔性第二シリカ微粉末を含有し、該第一接着剤は該第一マイクロカプセル及び該第一シリカ微粉末を保持しながら、該第一高発泡層と該第一布帛及び該第一高発泡層と該合成樹脂製フィルム層を貼合しており、該第二接着剤は該第二マイクロカプセル及び該第二シリカ微粉末を保持しながら、該第二高発泡層と該合成樹脂製フィルム層及び該第二高発泡層と該第二布帛を貼合していることを特徴とする断熱保温材。
【請求項5】
接着剤は、架橋型接着剤である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の断熱保温材。
【請求項6】
高発泡層は、図柄状で存在している請求項1乃至5のいずれか一項に記載の断熱保温材。

【公開番号】特開2012−166399(P2012−166399A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27897(P2011−27897)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(592197315)ユニチカトレーディング株式会社 (84)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】