説明

断片ライゲーションによる再構成

本発明は、ポリヌクレオチド変異体を調製する方法を提供する。本発明の一態様において、本方法は、a)少なくとも一部が部分的および/または完全に2本鎖である、2種以上の関連するポリヌクレオチドのプールを少なくとも1種の切断酵素に暴露する段階と、b)前記少なくとも1種の切断酵素を除去する、および/またはその活性を阻害する段階と、c)前記ポリヌクレオチドを変性させる段階と、d)変性したポリヌクレオチドに少なくとも部分的に2本鎖のポリヌクレオチドを形成させる段階と、e)段階d)において形成された2本鎖ポリヌクレオチドをリガーゼに暴露する段階とを含む。所望の特性を有するポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを製造する方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリヌクレオチド変異体を調製する方法を提供する。また、所望の特性を有するポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを製造する方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子およびそれにコードされるタンパク質の自然進化は、組換えまたは突然変異と選択の間の均衡によって起こる。自然界における進化は数百万年かかるが、改良された新規な機能を有するタンパク質をはるかに迅速に進化させるためのin vitro法および組成物が開発されている。
【0003】
定方向進化とは、選択されたそれぞれの遺伝子に導入される変化による、タンパク質活性の最適化のためになされる生物工学的プロセスを指す。定方向進化は、突然変異した遺伝子の集合体の作製と、それに続く所望の特徴を有するタンパク質をコードする突然変異体の選択を含む。こうしたプロセスは、所望の特性が改良されている遺伝子産物を突然変異、選択およびスクリーニングのさらなるサイクルに供する場合、反復することができる。突然変異体または突然変異の概念は、本明細書において広義の「変化」という意味で使用される。定方向進化は、新たな化学的または生物学的環境中で働くように、および/または新たな機能を引き出すように天然タンパク質を適合させる方法を提供する。
【0004】
タンパク質は本来、新たな環境や所望の新たなまたは変更された活性などの新たな課題に挑戦することができる、非常に大きな潜在的適応性を有している。この適応性を利用して、活性の変更された新たなタンパク質を作製することが可能である。修飾された突然変異タンパク質の十分に大きなプールにおいて、所望の活性を有する適切に修飾されたタンパク質を発見する可能性がある。
【0005】
しかしながら、所望の活性を有する修飾タンパク質を作製および特定する際に問題が生じる。こうした問題に取り組むことを目的とした実践的アプローチにおいて、2つのタイプを区別することができる。1つは、最適なタンパク質は予測可能な形で合理的に設計可能であるという想定に基づく、純粋に予測的なアプローチである。しかしながら、このアプローチは、タンパク質フォールディング、分子間相互作用、分子内力およびタンパク質活性の他の動態を支配する個々のアミノ酸およびアミノ酸配列の生理化学的特性に関する十分な情報を必要とする。予測的アプローチは、タンパク質の二次および/または三次構造が利用可能であっても、多くの未知の変数およびパラメーターに極度に依存する。
【0006】
相同組換えは、2個のDNA分子間での相同なまたは類似したDNA配列の交換と定義される。相同組換えの本質的特徴は、組換え事象に関与する酵素が基質として任意の相同配列と対になり得ることである。相同組換えのDNA分子間で遺伝情報を伝達する能力により、標的相同組換えは遺伝子工学および遺伝子操作において非常に有力な方法となる。既知部位に微小突然変異を付加する、野生型遺伝子または遺伝子セグメントを置換する、または細胞に完全な外来遺伝子を導入するために、相同組換えを使用することができる。しかしながら、相同組換え効率は生細胞において非常に低く、DNA送達方法、どのようにパッケージされているか、そのサイズおよびコンフォメーション、標的に相同な配列のDNA長および位置、ならびに染色体部位におけるハイブリダイゼーションおよび組換えの効率を含むいくつかのパラメーターに依存する。これらの変数は、細胞をベースとした系における遺伝子進化のための従来の相同組換え法の使用を大幅に限定する。
【0007】
予測的アプローチに対して、ランダムまたは確率的アプローチもまた利用されている。1つのランダムアプローチは、可能性のある全てのタンパク質配列または統計学的に十分多数のタンパク質の合成と、それに続いて、所望の活性または特性を有するタンパク質を特定するためのスクリーニングを必要とする。別のランダムアプローチは、例えば、2個以上の配列関連遺伝子間でランダムな再編成を起こして元の遺伝子の突然変異体をランダムに作製するPCRをベースとした方法などの遺伝子シャッフリング法に基づいている。
【0008】
一般的なin vitro遺伝子進化法は、ランダムな突然変異、またはランダムな非特異的切断、および、PCRをベースとしたランダムな組換えにおいて突然変異を含有する関連遺伝子の混合というサイクルを繰り返すことを利用する。これらの方法では、複数回のin vitro突然変異誘発に、所望の突然変異体または組換え体を生成および特定するためのスクリーニング系を合わせる(Stemmer、1994年;Arnold、1996年;US6579678)。
【0009】
Maxygen Inc.社のDNAシャッフリング法(例えば、US5605793、US6117679およびUS6132970参照)は、少なくとも1種のシャッフルしようとする2本鎖DNAを断片化する段階と、混合した断片を用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR、polymerase chain reaction)を実施する段階であって、異なる親DNA由来の相同な断片が互いにアニールして部分的にオーバーラップしたDNAセグメントを形成し、それぞれのDNA断片を鋳型として、かつ同時にプライマーとして互いに利用することによってDNA合成が起こることによりランダムな組換えDNAライブラリーを生成する段階とを含む。しかしながら、断片化プロセスにおいて使用されるDNaseIは、その後の重合プロセスを妨害しないように、得られるDNA断片から除去しなければならない。さらに、この方法の適用はDNaseIの特性により限定される。例えば、この目的のために広く使用されるDNaseIは、末端のプリン塩基よりもピリミジン塩基を有する3'-ホスホジエステル結合を切断する傾向があり、これは完全にランダム化されたDNA断片のプールを得るためには深刻な障害である。この手順の1つの問題は、DNase断片化のレベルを「適切に」するために相当な努力が必要とされることである。過少な断片化では、あってもほんのわずかなシャッフリングしか起こらないはずであり、過剰であれば遺伝子は再アセンブリしないはずであり、よってシャッフリングを繰り返すたびにこのプロセスを繰り返さなければならない。また、適当に行われた場合でさえ、通常、遺伝子当たり数箇所の組換え事象しか起こらないため、可能な組合せを徹底的に検討し、最も有益な組換え体を得るために、このプロセスはシャッフリングサイクルの繰り返しを必要とする。加えて、シャッフリングされる遺伝子の大きさは、PCRにより合理的かつ効率的に得ることができる産物の大きさに限定される。
【0010】
Diversa Corporation社のGene Reassembly法(US5965408)は、少なくとも1種のシャッフルしようとする2本鎖DNAを鋳型として使用する重合プロセスによりDNA断片を合成する段階と、組合わされた断片を用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施してランダムな組換えDNAライブラリーを生成する段階とを含む。この方法は、鋳型DNAに対してUV処理または付加物形成を行い、それにより鋳型DNAに対する完全な重合が妨げられることによって生成された、部分的に合成された断片を利用する。構築されたDNAライブラリーのランダム性にもかかわらず、使用される試薬の突然変異誘発能、および重合停止試薬処理のための反応条件を最適化して所望の大きさの断片を得る冗長さの点から、Diversa Corporation社の方法にはなお問題がある。加えて、DNA鎖上でピリミジン塩基が近接して存在する場合、UV処理はチミジンダイマーなどのピリミジンダイマーを誘発し、これが鋳型DNAを歪め、DNA鎖に沿ったポリメラーゼの前進を妨害する。結果として、重合はピリミジンダイマーの部位で終了すると考えられ、したがって得られるDNA断片のランダム性は不十分である。
【0011】
DNAシャッフリングおよびGene Reassembly法は、予め必要な段階として部分的にオーバーラップしたDNAセグメントを形成することにより特徴付けられ、シャッフルしようとする出発DNA由来の各DNA断片は鋳型としてだけでなく、プライマーとしても働く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US6579678
【特許文献2】US5605793
【特許文献3】US6117679
【特許文献4】US6132970
【特許文献5】US5965408
【特許文献6】欧州公開EP-A-415731
【特許文献7】国際公開第90/07936号パンフレット
【特許文献8】国際公開第95/019440号パンフレット
【特許文献9】US60/838098
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】J. Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning、John Wiley and Sons(1984)
【非特許文献2】J. Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989)
【非特許文献3】T.A. Brown(編集)、Essential Molecular Biology: A Practical Approach、第1および第2巻、IRL Press(1991)
【非特許文献4】D.M. GloverおよびB.D. Hames(編集)、DNA Cloning: A Practical Approach、第1〜4巻、IRL Press(1995および1996)
【非特許文献5】F.M. Ausubelら(編集)、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience(1988、現在までの全ての最新版を含む)
【非特許文献6】Ed HarlowおよびDavid Lane(編集)Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbour Laboratory、(1988)
【非特許文献7】J.E. Coliganら(編集)Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons(現在までの全ての最新版を含む)
【非特許文献8】rebaseデータベース(rebase.neb.com)(Robertsら、2005)
【非特許文献9】「PCR A practical approach」IRL Press、(1991)
【非特許文献10】Remington's Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol, A.(編)、1980
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
所望の特性の獲得に向けてポリヌクレオチドを進化させる代替方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ポリヌクレオチド変異体を作製するための新たな手段を提供する。
【0016】
第1の態様において、本発明は、
a)少なくとも一部が部分的および/または完全に2本鎖である、2種以上の関連するポリヌクレオチドのプールを少なくとも1種の切断酵素に暴露する段階と、
b)前記少なくとも1種の切断酵素を除去する、および/またはその活性を阻害する段階と、
c)前記ポリヌクレオチドを変性させる段階と、
d)変性したポリヌクレオチドに少なくとも部分的に2本鎖のポリヌクレオチドを形成させる段階と、
e)段階d)において形成された2本鎖ポリヌクレオチドをリガーゼに暴露する段階と
を含む、ポリヌクレオチド変異体を調製する方法を提供する。
【0017】
特に好ましい実施形態において、段階c)、d)およびe)は同時に実施される。本実施形態において、リガーゼは熱安定性リガーゼであることが好ましい。
【0018】
さらなる態様において、本発明は、
a)2種以上の関連する1本鎖ポリヌクレオチドのプールを少なくとも1種の切断酵素に暴露する段階と、
b)前記少なくとも1種の切断酵素を除去する、またはその活性を阻害する段階と、
c)前記ポリヌクレオチドに少なくとも部分的に2本鎖のポリヌクレオチドを形成させる段階と、
d)段階c)において形成された2本鎖ポリヌクレオチドをリガーゼに暴露する段階と
を含む、ポリヌクレオチド変異体を調製する方法を提供する。
【0019】
特に好ましい実施形態において、段階c)およびd)は同時に実施される。本実施形態において、リガーゼは熱安定性リガーゼであることが好ましい。
【0020】
別の態様において、本発明は、
a)少なくとも第1の2本鎖ポリヌクレオチド、または関連する2本鎖ポリヌクレオチドの第1のプールを第1の制限酵素(複数可)に暴露し、第2の2本鎖ポリヌクレオチド、または関連する2本鎖ポリヌクレオチドの第2のプールを第2の制限酵素(複数可)に暴露する段階であって、前記第1および第2の制限酵素が異なる認識配列を切断し、前記ポリヌクレオチドが関連している段階と、
b)前記制限酵素を除去する、および/またはその活性を阻害する段階と、
c)段階b)の産物を混合する段階と、
d)前記ポリヌクレオチドを変性させる段階と、
e)変性したポリヌクレオチドに2本鎖ポリヌクレオチドを形成させる段階と、
f)段階d)において形成された2本鎖ポリヌクレオチドをリガーゼに暴露する段階と
を含む、ポリヌクレオチド変異体を調製する方法を提供する。
【0021】
特に好ましい実施形態において、段階c)、d)、e)およびf)は同時に実施される。本実施形態において、リガーゼは熱安定性リガーゼであることが好ましい。
【0022】
別の態様において本発明は、本発明の方法により生成される変異体ポリヌクレオチドライブラリーを提供する。
【0023】
なお別の態様において、本発明は、
a)本発明の方法を使用してポリヌクレオチド変異体を作製する段階と、
b)段階a)において生成された変異体ポリヌクレオチドを発現させて変異体ポリペプチドを生成する段階と、
c)前記変異体ポリペプチドを所望の活性についてスクリーニングする段階と、
d)前記変異体ポリペプチドから所望の特性を有するポリペプチドを選択する段階と
を含む、所望の特性を有するポリペプチドを製造する方法を提供する。
【0024】
本発明の方法を使用して生成されるポリペプチドもまた提供される。
【0025】
本発明はまた、
a)本発明の方法を使用してポリヌクレオチド変異体を作製する段階と、
b)前記変異体ポリヌクレオチドを所望の活性についてスクリーニングする段階と、
c)前記変異体ポリヌクレオチドから所望の特性を有するポリヌクレオチドを選択する段階と
を含む、所望の特性を有するポリヌクレオチドを製造する方法も提供する。
【0026】
本発明の方法を使用して生成されるポリヌクレオチドもまた提供される。
【0027】
明らかなように、本発明の一態様の好ましい特徴および特質は、本発明の多くの他の態様にも適用可能である。
【0028】
本明細書全体を通して、「含む(comprise)」という語、または「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)」などの変化形は、記述された要素、整数もしくは段階、または要素、整数もしくは段階の群を包含することを意味するが、任意の他の要素、整数もしくは段階、または要素、整数もしくは段階の群を除外することを意味しないものと理解されよう。
【0029】
本発明を、以下の非限定的な実施例として添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】オーバーラップしたニック入り断片ライゲーションによる再構成を示す概略図である。
【図2】オーバーラップした制限断片ライゲーションによる再構成を示す概略図である。
【図3】親遺伝子変異体および断片ライゲーションによる再構成の結果得られる子孫の地図を示す図である(原寸に比例)。完全な遺伝子を2本の平行線で表し、8箇所のコドンの異なる位置を縦棒で表し、ここで黒色は1型の親および灰色は2型の親に特徴的な部位である(配列決定が不完全であった箇所は棒を省略した)。上および下の鎖上のNt.AlwI切断(ニッキング)部位の位置を、それぞれ遺伝子の上または下に短い線で表す。
【図4】実施例1において得られたヘテロ2本鎖のPCR分析を示す図である。Taqリガーゼ(番号1)、T4リガーゼ(番号2)またはリガーゼなし(番号3)のいずれかを含有する各再アニールされたニック入りDNAサンプル1μLからネスト化ベクタープライマーを使用して、20または25サイクル増幅して、サンプル遺伝子を再増幅した。M=Invitrogen 1kbラダー。
【発明を実施するための形態】
【0031】
切断酵素(複数可)を使用した断片ライゲーションによる再構成
本発明の第1の態様は、
a)少なくとも一部が部分的および/または完全に2本鎖である、2種以上の関連するポリヌクレオチドのプールを少なくとも1種の切断酵素に暴露する段階と、
b)前記少なくとも1種の切断酵素を除去する、および/またはその活性を阻害する段階と、
c)前記ポリヌクレオチドを変性させる段階と、
d)変性したポリヌクレオチドに少なくとも部分的に2本鎖のポリヌクレオチドを形成させる段階と、
e)段階d)において形成された2本鎖ポリヌクレオチドをリガーゼに暴露する段階と
を含む、ポリヌクレオチド変異体を調製する方法に関する。
【0032】
この手順の実施形態を図1に概略的に示す。対象とする2種以上の関連する2本鎖ポリヌクレオチドを、エラープローンPCRなどの方法により、および/または大腸菌(E.coli)の突然変異株を使用してランダムに作製する。別法として、2種以上の関連するポリヌクレオチドを、部位特異的突然変異誘発技術などの合理的設計により生成することができる。ベクター配列などの外来ポリヌクレオチドを排除する、または最小限にするために、ポリヌクレオチドはPCRアンプリコンまたは制限断片の状態にすることが好ましい。
【0033】
2種以上の関連するポリヌクレオチドを、等モル量でまたは再構成された産物中の特定の突然変異の発現を偏らせるように意図された比率で、プールする。反応物中のポリヌクレオチドの少なくとも一部の1本鎖にニックを導入する切断酵素で、このプールを消化する。切断酵素は各鎖上で少なくとも1回であるが、理想的には多数回、ポリヌクレオチドにニックを入れるべきである。必要であれば、2種以上の切断酵素を使用することができる。
【0034】
熱安定性リガーゼを加え、反応混合物を95℃で30秒間加熱してポリヌクレオチドを変性させる。この加熱段階はまた、切断酵素(複数可)も不活性化する。1本鎖を70℃で再アニールさせ、温度をゆっくりと数時間かけて40℃まで下降させ、その間にホモおよびヘテロ2本鎖の両方が形成し、リガーゼによってニックは修復される。
【0035】
次いで、ヘテロ2本鎖(すなわち、異なる親突然変異体由来の反対側の鎖のためのミスマッチを含有するライゲーション産物)を分解するために、完全長ポリヌクレオチドのPCR増幅をライゲーションした反応物に対して行う。変異体にまだ組み込まれていなければ、PCR増幅はまた、再構成された変異体産物のその後のクローニングを可能にするためにプライマーに制限部位を挿入する機会も与える。
【0036】
段階c)からe)は少なくとも1回繰り返すことができる。より具体的には、一連のこれらの段階の後に、少なくとも一部の部分的に2本鎖のポリヌクレオチドが反応物中に存在し得ることが可能である。したがって、段階c)からe)を少なくとも1回繰り返すことにより、通常、生成される完全長2本鎖変異体の量は増加する。
【0037】
別の実施形態において、段階a)からe)は少なくとも1回繰り返される。この手順は通常、異なる種類の変異体の数の増加をもたらす。本実施形態において、段階a)における少なくとも1種の切断酵素はこの段階を繰り返す場合には異なることが好ましい。
【0038】
好ましい実施形態において、段階a)において使用される全ての関連するポリヌクレオチドは完全に2本鎖である。
【0039】
段階b)は、当技術分野で知られている任意の技術を使用して行うことができる。通常、切断酵素は、酵素を十分な高温に暴露することにより不活性化される。例えば、多くの切断酵素は、反応混合物を約90℃から約105℃の温度に加熱することにより不活性化されることになろう。
【0040】
さらに、段階c)は、当技術分野で知られている任意の技術を使用して行うことができる。通常、この段階は適した温度までポリヌクレオチドを加熱して1本鎖ポリヌクレオチドを形成する段階を含む。好ましい実施形態において、段階c)はポリヌクレオチドを約90℃から約105℃の温度に暴露する段階を含む。段階a)において作製されたニック入りポリヌクレオチドを変性するために使用できる他の方法は、圧力およびpHを含む。
【0041】
好ましい実施形態において、段階b)およびc)は、少なくとも1種の切断酵素およびポリヌクレオチドを約90℃から約105℃の温度に暴露することにより同時に実施される。
【0042】
段階d)もまた、当技術分野で知られている任意の技術を使用して行うことができる。通常、この段階は、(加熱によるポリヌクレオチドの変性に続いて)変性したポリヌクレオチドを冷却してヘテロ2本鎖を形成させる段階を含む。好ましい実施形態において、段階d)は変性したポリヌクレオチドを約75℃の温度に暴露する段階と、温度を約40℃まで降下させる段階とを含む。
【0043】
本発明は、ハイブリダイズした断片の隣接する末端をライゲーションすることによるヘテロ2本鎖の形成に依存する。適当な断片再アセンブリを確実にするために、アニーリング段階(段階d))を十分な温度で、例えば、約40℃から約75℃の間で行うべきである。こうした条件下では、小断片は完全長2本鎖変異体の形成を可能にするためにハイブリダイズできない可能性がある。したがって、好ましい実施形態において、段階c)の後に生成された1本鎖断片はいずれも長さが約40ヌクレオチド未満ではない。
【0044】
好ましい実施形態において、段階d)およびe)は同時に実施される。本実施形態において、リガーゼは熱安定性リガーゼであることが好ましい。
【0045】
完全長突然変異体ヘテロ2本鎖は、多くの技術を使用して分解することができる。好ましい実施形態において、ポリヌクレオチド増幅手順を段階e)により生成された2本鎖ポリヌクレオチドに対して行う。増幅は、2種以上のポリヌクレオチドの末端にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを使用して行うことが好ましい。
【0046】
本発明の本態様に関して、この手順は段階a)で使用した親ポリヌクレオチドの再形成をもたらし得る。前述のように段階a)からe)を繰り返すと、そのような分子の数を減少させる、または排除することになろう。それでもなお、本明細書中に記載の所望の活性についてスクリーニングされ得る変異体ポリヌクレオチドはなおも生成される。
【0047】
場合によって、切断酵素の認識配列をもたらす突然変異を組み込むために、少なくとも一部の関連するポリヌクレオチドを合成することが必要なことがある。したがって、一実施形態において、プール中の少なくとも1種のポリヌクレオチドを、少なくとも1種の切断酵素の認識配列を第1のポリヌクレオチドに導入して第2の(関連する)ポリヌクレオチドを生成することによって生成した。第1のポリヌクレオチドはポリペプチドをコードし、導入された認識配列はコードされたポリペプチドのアミノ酸配列を変更しないことが好ましい。
【0048】
任意の既知の切断酵素を、本発明の方法において使用できる。例は、これらに限定されるものではないが、Nt.AlwI、Nb.BbvCI、Nt.BbvCI、Nb.Bpu10I、Nb.BsmI、Nt.Bst9I、Nt.BstNBI、Nb.BsrDI、およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される切断酵素を含む。
【0049】
好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドはDNAまたはRNAである。ポリヌクレオチドはDNAであることがより好ましい。
【0050】
さらなる実施形態において、本方法は得られた変異体ポリヌクレオチド(複数可)を所望の活性(特性)についてスクリーニングする段階をさらに含む。例として、本方法は変異体ポリヌクレオチド(複数可)によりコードされるポリペプチド(複数可)を生成する段階と、前記ポリペプチド(複数可)を所望の活性(特性)についてスクリーニングする段階とを含む。
【0051】
さらに好ましい実施形態において、変異体ポリヌクレオチド(複数可)は発現ベクター(複数可)にクローニングされる。発現ベクターは、宿主細胞または無細胞発現系においてポリヌクレオチドを発現させるために使用することができる。
【0052】
さらなる実施形態において、発現ベクター(複数可)は宿主細胞(複数可)に導入される。
【0053】
本方法はin vitroで行うことが好ましい。
【0054】
非常に多くのDNAシャッフリング技術が、例えば、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズした2個の断片間のギャップを「埋める」ためにポリメラーゼの使用を必要とする。本発明の利点は、本発明の働きにこのような重合段階が必須でないことである。実際、特に好ましい実施形態において、本方法は本方法を使用して生成したポリヌクレオチドの任意の1本鎖ギャップを埋めるためのポリメラーゼの使用を含まない。
【0055】
他のDNAシャッフリング技術は、任意の部分的にハイブリダイズした断片のオーバーハングしたフラップを切り取るためのFlapエンドヌクレアーゼなどの酵素を使用する必要がある。本発明のさらなる利点は、本発明の働きにこのような切り取り段階が必須でないことである。実際、特に好ましい実施形態において、本方法は任意の部分的にハイブリダイズした断片の任意のオーバーハングしたフラップを切り取る段階を含まない。
【0056】
さらに、一部のDNAシャッフリング技術は、「鋳型」または「足場」核酸、通常は完全長野生型核酸の添加を必要とする。本発明のさらなる利点は、段階a)の産物が、構築しようとする完全長分子を与えるために適した長さであるため、本発明においてこのような鋳型および/または足場が必要ないことである。したがって、特に好ましい実施形態において、本方法は段階a)における切断の基質として使用されるポリヌクレオチド以外に鋳型および/または足場核酸の添加を含まない。
【0057】
加えて、一部のDNAシャッフリング技術は、完全長変異体ポリヌクレオチドの形成を助けるために外因性オリゴヌクレオチドの添加を必要とする。本発明のさらなる利点は、段階a)の産物が、構築しようとする完全長分子を与えるために十分であるため、本発明においてこのような外因性オリゴヌクレオチドが必要ないことである。したがって、特に好ましい実施形態において、本方法は外因性ポリヌクレオチド/オリゴヌクレオチドの添加を含まない。
【0058】
なおさらなるDNAシャッフリング技術は、鋳型DNAの少なくとも1本の鎖を消化するためのエキソヌクレアーゼを必要とする。本発明のさらなる利点は、このようなエキソヌクレアーゼが必要ないことである。したがって、特に好ましい実施形態において、本方法はエキソヌクレアーゼの添加を含まない。
【0059】
一部の切断酵素は1本鎖ポリヌクレオチドにニックを入れることができる。したがって、前述の手順の変形形態は、
a)2種以上の関連する1本鎖ポリヌクレオチドを、1本鎖ポリヌクレオチドを切断できる少なくとも1種の切断酵素に暴露する段階と、
b)前記少なくとも1種の切断酵素を除去する、またはその活性を阻害する段階と、
c)前記ポリヌクレオチドに少なくとも部分的に2本鎖のポリヌクレオチドを形成させる段階と、
d)段階c)において形成された2本鎖ポリヌクレオチドをリガーゼに暴露する段階と
を含む、ポリヌクレオチド変異体を調製する方法である。
【0060】
この場合、段階a)からd)を初めて実施するときにポリヌクレオチドを変性する必要はない。
【0061】
一実施形態において、段階a)は、少なくとも第1の1本鎖ポリヌクレオチド、または関連する1本鎖ポリヌクレオチドの第1のプールを切断酵素(複数可)に暴露する段階と、第2の1本鎖ポリヌクレオチド、または関連する1本鎖ポリヌクレオチドの第2のプールを切断酵素(複数可)に暴露する段階と、段階b)の前、後または間にこの2種のポリヌクレオチド、プールまたはこれらの組合せを混合する段階とを含む。各ポリヌクレオチドおよび/またはプールを切断するために使用される切断酵素(複数可)は、同じでも異なっていてもよい。本実施形態に関して、第1の1本鎖ポリヌクレオチドまたは関連する1本鎖ポリヌクレオチドの第1のプールは「センス」鎖を含み、第2の1本鎖ポリヌクレオチド、または関連する1本鎖ポリヌクレオチドの第2のプールはアンチセンス鎖を含み、これによりニッキング反応を行いながら2本鎖ポリヌクレオチドの形成を妨害することが好ましい。
【0062】
別の実施形態において、2種以上の関連する1本鎖ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのセンスおよびアンチセンス鎖を含む単一プール中にある。本実施形態において、切断酵素がポリヌクレオチドを切断する前に2本の鎖がアニールしないように、段階a)は95℃などの条件下で実施する。
【0063】
第1の態様の実施形態に従って、前述の態様における実施形態は段階a)からd)を少なくとも1回繰り返すものである。さらに、一実施形態において、段階a)における少なくとも1種の切断酵素はこの段階を繰り返す場合には異なる。別の実施形態において、本方法は、e)段階d)において形成されたポリヌクレオチドを変性させる段階と、段階c)およびd)を繰り返す段階とをさらに含む。本実施形態において、段階e)はポリヌクレオチドを約90℃から約105℃の温度に暴露する段階を含むことが好ましい。別の実施形態において、段階c)は変性したポリヌクレオチドを約75℃の温度に暴露する段階と、温度を約40℃まで降下させる段階とを含む。なお別の実施形態において、段階a)の後に生成された1本鎖断片はいずれも長さが約15未満、より好ましくは約30未満、よりいっそう好ましくは約40ヌクレオチド未満ではない。さらなる実施形態において、段階c)およびd)は同時に実施される。なおさらなる実施形態において、本方法は、段階d)により生成された2本鎖ポリヌクレオチドに対してポリヌクレオチド増幅手順を実施する段階をさらに含む。
【0064】
いずれのポリヌクレオチドも別のポリヌクレオチドまたは自身に(例えば、ヘアピン構造を形成するなど)アニールしていないことを確実にするために、段階b)に続いて、または組み合わせて、ポリヌクレオチドを変性段階に暴露してもよい。
【0065】
少なくとも一部の他のシャッフリング手順と比較した場合、本方法の利点は、切断酵素による鋳型の完全消化により断片化が達成されるため、条件の最適化が実質的に必要なく、シャッフルを行うたびに最適化を全く繰り返さなくて済むことである。
【0066】
少なくとも一部の他のシャッフリング手順と比較した場合、本方法の利点は、本方法はポリメラーゼよりもリガーゼに基づいているため、遺伝子当たりより多くの組換え事象の可能性があり(各ライゲーション事象または複製フォークは組換え事象の可能性であり、全遺伝子を元通りにライゲーションするには数回のライゲーション事象を必要とするが、全遺伝子はたった1個の複製フォークにより再生することができる)、そのため本発明者らの方法を使用すると全ての組合せの余地を探索するために必要なシャッフルがより少ないことである。
【0067】
少なくとも一部の他のシャッフリング手順と比較した場合、本方法の別の利点は、異なる切断酵素またはその組合せを選択することにより、所望であれば1回のシャッフリング当たりの組換え率を容易に制御できることである。
【0068】
少なくとも一部の他のシャッフリング手順と比較した場合、本方法の別の利点は、遺伝子の特定領域における組換え率を、その領域を標的とする切断酵素を選択することにより制御できることである。
【0069】
少なくとも一部の他のシャッフリング手順と比較した場合、本方法の別の利点は、本プロセスの不可欠な段階がポリメラーゼに依存していないため、理論的にはるかに多くの遺伝子を効率的にシャッフルできることである。
【0070】
少なくとも一部の他のシャッフリング手順と比較した場合、本方法の別の利点は、本方法はPCRをほとんど必要としないため(理論上、1サイクルの複製によりヘテロ2本鎖を分解できる)、外来の突然変異が、プロセスに入り込む機会がはるかに少なく、これは時に望ましい場合があることである。
【0071】
少なくとも一部の他のシャッフリング手順と比較した場合、本方法の別の利点は、本プロセスが、各段階自体がほとんど最適化を必要としないほんの数個の不可欠な段階しか必要としないことである。したがって、本方法は実行しやすく、繰り返しやすい。対照的に、多かれ少なかれ他の方法では全て、いくつかの段階が必要であり、これらの段階の一部は1回またはプロセスを繰り返すたびに最適化を必要とする。例えば、PCRをベースとした方法は機械的、酵素的、化学的または光化学的手段による突然変異体プールの断片化を必要とし、これは毎回毎回最適化を必要とする。次いで、混合プールの標的を再増幅するための最適なPCR条件を決定する必要がある。最後に、このプロセスは一般に数回の繰り返しを必要とする。さらに、他のライゲーションをベースとする方法と比較した場合、まず足場を調製する必要があり、足場が最終産物に大きく寄与しないことを確実にする段階がとられ(例えば、dTUPを含有する足場の合成)、その後、足場除去を補完するプロセスを行う必要がある。アセンブリプロセスはエキソヌクレアーゼ、ポリメラーゼおよびリガーゼの3つの別個の酵素的段階を必要とすると同時に、機能させるためには、3種の異なる酵素を使用してそれぞれを適切な順序で実行する必要がある。
【0072】
制限酵素を使用した断片ライゲーションによる再構成
さらなる態様において、本発明は、
a)少なくとも第1の2本鎖ポリヌクレオチド、または関連する2本鎖ポリヌクレオチドの第1のプールを第1の制限酵素(複数可)に暴露し、第2の2本鎖ポリヌクレオチド、または関連する2本鎖ポリヌクレオチドの第2のプールを第2の制限酵素(複数可)に暴露する段階であって、前記第1および第2の制限酵素が異なる認識配列を切断し、前記ポリヌクレオチドが関連している段階と、
b)前記制限酵素を除去する、および/またはその活性を阻害する段階と、
c)段階b)の産物を混合する段階と、
d)前記ポリヌクレオチドを変性させる段階と、
e)変性したポリヌクレオチドに2本鎖ポリヌクレオチドを形成させる段階と、
f)段階d)において形成された2本鎖ポリヌクレオチドをリガーゼに暴露する段階と
を含む、ポリヌクレオチド変異体を調製する方法を提供する。
【0073】
本発明の本態様の実施形態を図2に概略的に示す。対象とする2種以上の関連するポリヌクレオチドを、エラープローンPCRなどの方法により、または大腸菌のミューテーター株を使用してランダムに作製する。別法として、2種以上の関連するポリヌクレオチドを、部位特異的突然変異誘発技術などの合理的設計により生成することができる。ベクター配列などの外来ポリヌクレオチドを排除する、または最小限にするために、ポリヌクレオチドはPCRアンプリコンまたは制限断片の状態にすることが好ましい。
【0074】
2種以上の関連するポリヌクレオチドを、等モル量でまたは再構成された産物中の特定の突然変異の発現を偏らせるように意図された比率で、プールする。プールしたポリヌクレオチドを2つのサブプールに分け、異なる制限酵素で消化する。各制限酵素は少なくとも1回であるが、理想的には多数回、ポリヌクレオチドを切断するべきである。必要であれば、2種以上の制限酵素を各プールにおいて使用してもよい。
【0075】
次いで制限酵素(複数可)を除去および/または不活性化し、全プールを単一プールに戻す。熱安定性リガーゼを加え、反応混合物を95℃で30秒間加熱してポリヌクレオチドを変性させる。1本鎖を70℃で再アニールさせ、温度をゆっくりと数時間かけて40℃まで下降させ、その間にホモおよびヘテロ2本鎖の両方が形成し、リガーゼによってニックは修復される。
【0076】
制限酵素切断により作製されたオーバーハングは、このような高温において安定な複合体を形成させないようにする。加熱/冷却段階を数回繰繰り返し、アニーリング温度を40℃まで徐々に低下させて、アニールした完全な相補断片(すなわち、同じ制限酵素消化産物)(生産性のない結合)が前述の生産性のある結合へと再生利用されるようにする。この筋書きにおいて、ライゲーションした制限産物自体がその後のサイクルにおけるさらなる生産的結合のための鋳型になる。
【0077】
次いで、ヘテロ2本鎖(すなわち、異なる親突然変異体由来の反対側の鎖のためのミスマッチを含有するライゲーション産物)を分解するために、完全長ポリヌクレオチドのPCR増幅をライゲーションした反応物に対して行う。変異体にまだ組み込まれていなければ、PCR増幅はまた、再構成された変異体産物のその後のクローニングを可能にするためにプライマーに制限部位を挿入する機会も与える。
【0078】
段階a)はさらに異なる制限酵素(複数可)で切断した関連するポリヌクレオチドのさらなるプールを含んでもよい。一実施形態において、関連するポリヌクレオチドのプールは同一である。別の実施形態において、プール中のポリヌクレオチドは関連しているが、異なるプールは関連するポリヌクレオチドの異なる集団を有する。集団は、実際のポリヌクレオチド一次配列が異なっていてもよく、かつ/または各異なる構成要素の相対的比率が異なってもよい。
【0079】
一実施形態において、ポリヌクレオチドの第1のプールおよび第2のプールは同一である。
【0080】
リガーゼは熱安定性リガーゼであることが好ましい。
【0081】
段階d)からf)は少なくとも1回繰り返すことができる。より具体的には、一連のこれらの段階に続いて、少なくとも一部の部分的に2本鎖のポリヌクレオチドが反応物中に存在し得ることが可能である。したがって、段階d)からf)を少なくとも1回繰り返すことにより、通常、生成される完全長2本鎖変異体の量は増加する。
【0082】
別の実施形態において、段階a)からf)は少なくとも1回繰り返される。この手順は通常、異なる種類の変異体の数の増加をもたらす。本実施形態において、段階a)において、この段階を繰り返す場合には異なる制限酵素または制限酵素の異なる混合物を使用することが好ましい。
【0083】
段階b)は、当技術分野で知られている任意の技術を使用して行うことができる。通常、制限酵素は、酵素を十分な高温に暴露することにより不活性化される。例えば、多くの制限酵素は、反応混合物を約90℃から約105℃の温度に加熱することにより不活性化されることになろう。
【0084】
段階b)およびc)、または段階b)およびd)は同時に行うことができる。
【0085】
さらに、段階d)は、当技術分野で知られている任意の技術を使用して行うことができる。通常、この段階は、ポリヌクレオチドを適した温度まで加熱して1本鎖ポリヌクレオチドを形成する段階を含む。好ましい実施形態において、段階d)はポリヌクレオチドを約90℃から約105℃の温度に暴露する段階を含む。ポリヌクレオチド断片を変性させるために使用できる他の方法は、圧力およびpHを含む。
【0086】
段階e)は、当技術分野で知られている任意の技術を使用して行うことができる。通常、この段階は、変性したポリヌクレオチドを冷却してヘテロ2本鎖を形成させる段階を含む。好ましい実施形態において、段階e)は変性したポリヌクレオチドを約75℃の温度に暴露する段階と、温度を約40℃まで降下させる段階とを含む。
【0087】
本発明の本態様もまた、ハイブリダイズした断片の隣接する末端をライゲーションすることによるヘテロ2本鎖の形成に依存する。適当な断片再アセンブリを確実にするために、アニーリング段階(段階e))を十分な温度で、例えば、約40℃から約75℃の間で行うべきである。こうした条件下では、小断片は完全長2本鎖突然変異体の形成を可能にするためにハイブリダイズできない可能性がある。さらに前述の概説のように、これらの条件は、既に切断された制限酵素認識部位を再構築するために任意の再形成された付着性オーバーハングが基質となるのに適さない。したがって、好ましい実施形態において、段階d)の後に生成された1本鎖断片は長さがいずれも約15未満、より好ましくは約30未満、およびよりいっそう好ましくは約40ヌクレオチド未満でない。
【0088】
好ましい実施形態において、段階e)およびf)は同時に実施される。本実施形態において、リガーゼは熱安定性リガーゼであることが好ましい。
【0089】
完全長変異体ヘテロ2本鎖は、多くの技術を使用して分解できる。好ましい実施形態において、ポリヌクレオチド増幅手順を段階f)により生成された2本鎖ポリヌクレオチドに対して行う。増幅は、段階a)において使用される2種以上のポリヌクレオチドの末端にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを使用して行うことが好ましい。
【0090】
好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドはDNAまたはRNAである。ポリヌクレオチドはDNAであることがより好ましい。
【0091】
さらなる実施形態において、本方法は得られた変異体ポリヌクレオチド(複数可)を所望の活性(特性)についてスクリーニングする段階をさらに含む。例として、本方法は変異体ポリヌクレオチド(複数可)によりコードされるポリペプチドを(複数可)生成する段階と、ポリペプチド(複数可)を所望の活性(特性)についてスクリーニングする段階とを含む。
【0092】
さらに好ましい実施形態において、変異体ポリヌクレオチド(複数可)は発現ベクター(複数可)にクローニングされる。発現ベクターは、宿主細胞または無細胞発現系においてポリヌクレオチドを発現させるために使用することができる。
【0093】
さらなる実施形態において、発現ベクター(複数可)は宿主細胞(複数可)に導入される。
【0094】
本方法はin vitroで行うことが好ましい。
【0095】
前述の概説のように、非常に多くのDNAシャッフリング技術が、例えば、鋳型ポリヌクレオチドにハイブリダイズした2個の断片間のギャップを「埋める」ためにポリメラーゼの使用を必要とする。本発明の本態様の利点は、本発明の働きにこのような重合段階が必須でないことである。実際、特に好ましい実施形態において、本方法は本方法を使用して生成したポリヌクレオチドの任意の1本鎖ギャップを埋めるためのポリメラーゼの使用を含まない。
【0096】
他のDNAシャッフリング技術は、任意の部分的にハイブリダイズした断片のオーバーハングしたフラップを切り取るためのFlapエンドヌクレアーゼなどの酵素を使用する必要がある。本発明の本態様のさらなる利点は、本発明の働きにこのような切り取り段階が必須でないことである。実際、特に好ましい実施形態において、本方法は任意の部分的にハイブリダイズした断片の任意のオーバーハングしたフラップを切り取る段階を含まない。
【0097】
さらに、一部のDNAシャッフリング技術は、「鋳型」または「足場」核酸、通常は完全長野生型核酸の添加を必要とする。本発明の本態様のさらなる利点は、段階a)の産物が、構築しようとする完全長分子を与えるために適した長さであるため、本発明においてこのような鋳型および/または足場が必要ないことである。したがって、特に好ましい実施形態において、本方法は段階a)における切断の基質としてのポリヌクレオチド以外に鋳型および/または足場核酸の添加を含まない。
【0098】
加えて、一部のDNAシャッフリング技術は、完全長変異体ポリヌクレオチドの形成を助けるために外因性オリゴヌクレオチドの添加を必要とする。本発明の本態様のさらなる利点は、段階a)の産物が、構築しようとする完全長分子を与えるために十分であるため、本発明においてこのような外因性オリゴヌクレオチドが必要ないことである。したがって、特に好ましい実施形態において、本方法は外因性ポリヌクレオチド/オリゴヌクレオチドの添加を含まない。
【0099】
なおさらなるDNAシャッフリング技術は、鋳型DNAの1本の鎖を消化するためのエキソヌクレアーゼを必要とする。本発明の本態様のさらなる利点は、このようなエキソヌクレアーゼが必要ないことである。したがって、特に好ましい実施形態において、本方法はエキソヌクレアーゼの添加を含まない。
【0100】
少なくとも一部の他のシャッフリング手順と比較した場合、本方法の利点は、制限酵素による鋳型の完全消化により断片化が達成されるため、条件の最適化が実質的に必要なく、シャッフルを行うたびに最適化を全く繰り返さなくて済むことである。
【0101】
少なくとも一部の他のシャッフリング手順と比較した場合、本方法の別の利点は、本方法はポリメラーゼよりもリガーゼに基づいているため、遺伝子当たりより多くの組換え事象の可能性があり(各ライゲーション事象または複製フォークは組換え事象の可能性であり、全遺伝子を元通りにライゲーションするには数回のライゲーション事象を必要とするが、全遺伝子はたった1個の複製フォークにより再生することができる)、そのため本発明者らの方法を使用すると全ての組合せの余地を探索するために必要なシャッフルがより少ないことである。
【0102】
少なくとも一部の他のシャッフリング手順と比較した場合、本方法の別の利点は、異なる制限酵素またはその組合せを選択することにより、所望であれば1回のシャッフリング当たりの組換え率を容易に制御できることである。
【0103】
少なくとも一部の他のシャッフリング手順と比較した場合、本方法の別の利点は、遺伝子の特定領域における組換え率を、その領域を標的とする制限酵素を選択することにより制御できることである。
【0104】
少なくとも一部の他のシャッフリング手順と比較した場合、本方法の別の利点は、本プロセスの不可欠な段階がポリメラーゼに依存していないため、理論的にはるかに多くの遺伝子を効率的にシャッフルできることである。
【0105】
少なくとも一部の他のシャッフリング手順と比較した場合、本方法の別の利点は、本方法はPCRをほとんど必要としないため(理論上、1サイクルの複製によりヘテロ2本鎖を分解できる)、外来の突然変異が、プロセスに入り込む機会がはるかに少なく、これは時に望ましい場合があることである。
【0106】
少なくとも一部の他のシャッフリング手順と比較した場合、本方法の別の利点は、本プロセスが、各段階自体がほとんど最適化を必要としないほんの数個の不可欠な段階しか必要としないことである。したがって、本方法は実行しやすく、繰り返しやすい。対照的に、多かれ少なかれ他の方法では全て、いくつかの段階が必要であり、これらの段階の一部は1回またはプロセスを繰り返すたびに最適化を必要とする。例えば、PCRをベースとした方法は機械的、酵素的、化学的または光化学的手段による突然変異体プールの断片化を必要とし、これは毎回毎回最適化を必要とする。次いで、混合プールの標的を再増幅するための最適なPCR条件を決定する必要がある。最後に、このプロセスは一般に数回の繰り返しを必要とする。さらに、他のライゲーションをベースとする方法と比較した場合、まず足場を調製する必要があり、足場が最終産物に大きく寄与しないことを確実にする段階がとられ(例えば、dTUPを含有する足場の合成)、その後、足場除去を補完するプロセスを行う必要がある。アセンブリプロセスはエキソヌクレアーゼ、ポリメラーゼおよびリガーゼの3つの別個の酵素的段階を必要とすると同時に、機能させるためには、3種の異なる酵素を使用してそれぞれを適切な順序で実行する必要がある。
【0107】
一般的技術および定義
別途特に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門および科学用語は、当業者(例えば、細胞培養、分子遺伝学、免疫学、免疫組織化学、タンパク質化学、および生化学の)によって一般に理解されるものと同じ意味を有すると理解されよう。
【0108】
別途示されない限り、本発明において利用される組換えタンパク質、細胞培養、および免疫学的技術は標準的な手順であり、当業者によく知られている。このような技術は、J. Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning、John Wiley and Sons(1984)、J. Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989)、T.A. Brown(編集)、Essential Molecular Biology: A Practical Approach、第1および第2巻、IRL Press(1991)、D.M. GloverおよびB.D. Hames(編集)、DNA Cloning: A Practical Approach、第1〜4巻、IRL Press(1995および1996)、ならびにF.M. Ausubelら(編集)、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience(1988、現在までの全ての最新版を含む)、Ed HarlowおよびDavid Lane(編集)Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbour Laboratory、(1988)、およびJ.E. Coliganら(編集)Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons(現在までの全ての最新版を含む)などの情報源の文献全体にわたって記載および説明されている。
【0109】
本明細書において使用される場合、「切断酵素」は1本鎖ポリヌクレオチドを規定された認識部位(配列)で切断する。これらの酵素はまた、1本鎖切断制限酵素(SSCREase)またはニッカーゼとも呼ばれることがある。2本鎖ポリヌクレオチドにおける「ニック」という用語は、1本の鎖上の2つの隣接するヌクレオチド間のホスホジエステル結合がないことを指す。切断酵素は非回文認識配列を有し、2本鎖ポリヌクレオチドのどちらの鎖にも存在することができる。2本鎖DNAを切断する切断酵素の例は、これらに限定されるものではないが、Nt.AlwI、Nb.BbvCI、Nt.BbvCI、Nb.Bpu10I、Nb.BsmI、Nt.Bst9I、Nt.BstNBIおよびNb.BsrDIを含む。1本鎖DNAを切断する切断酵素の例は、これらに限定されるものではないが、AccI、AccII、AvaIl、BspRI、CfoI、DdeI、HaeII、HapII、HhaI、HinfI、MboI、MboII、MspI、Sau3AI、SfaIおよびTthHB8Iを含む。切断酵素、およびその認識部位のさらなる例は、rebaseデータベース(rebase.neb.com)(Robertsら、2005)上で見ることができる。
【0110】
本明細書において使用される場合、「制限酵素」という用語は、分子内部の特異的配列を認識し、続いてポリヌクレオチドの両方の鎖を認識部位(配列)の内側または外側の部位で切断することにより2本鎖ポリヌクレオチド(または部分的2本鎖ポリヌクレオチドの2本鎖部分)を切断する酵素を指す。制限酵素について当技術分野において使用される別名は制限エンドヌクレアーゼを含む。制限酵素は細菌中に天然に存在する。制限酵素を他の夾雑細菌成分から精製すると、制限酵素はポリヌクレオチド分子を正確な断片に分割するために使用できる。制限酵素は、ポリヌクレオチド分子に沿って、特定のヌクレオチド配列(「認識配列」、「認識部位」または「制限部位」)を認識し、それに結合することにより作用する。いったん結合すると、分子をその配列の内側、または片側で切断する。異なる制限酵素は異なる認識配列に親和性を有する。対称な認識配列を有する制限酵素は一般に、認識部位の内側またはすぐ近傍を対称に切断するが、非対称な配列を認識する制限酵素は認識部位から1〜18ヌクレオチド離れて切断する傾向がある。これまで調べられた数千の細菌種から、200を超える固有の制限エンドヌクレアーゼが同定されている(例えば、Aggarwal(1995);Robertsら(2005)、ならびにrebaseデータベース(rebase.neb.com)を参照)。「制限部位」という用語は、制限酵素の作用発現に必要な認識配列を指し、触媒的切断部位を含む。切断部位は多義性の低い配列(すなわち、制限部位の出現頻度の主要な決定因子を含有する配列)を含む制限部位部分内に含有されてもよく、またされなくてもよいことが理解されよう。したがって、多くの場合、関連制限部位は内側の切断部位(例えば、EcoRI部位のG/AATTC)、または直接隣接する切断部位(例えば、EcoRII部位の/CCWGG)を有する多義性の低い配列のみを含有する。別の場合には、関連制限酵素は外側の切断部位(例えば、Eco57I部位のN16部分における)を有する多義性の低い配列(例えば、Eco57I部位のCTGAAG配列)を含有する。
【0111】
制限酵素または切断酵素がポリヌクレオチドを「切断」するといわれる場合、これは酵素がポリヌクレオチドの切断を触媒または促進することを意味すると理解される。
【0112】
本明細書において使用される場合、「ライゲーションしている」または「ライゲーション」は、ポリヌクレオチド配列に一緒に共有結合して1つの連続したポリヌクレオチドを形成することを指す。これは、本発明の方法において、一方の配列の5'末端と他方の3'末端の間のホスホジエステル結合の形成を触媒する「リガーゼ」を用いた処理により行う。リガーゼは、2本鎖ポリヌクレオチドにおいて1本鎖の切れ目部位でホスホジエステル結合形成を触媒する。本明細書において使用される場合、「熱安定性リガーゼ」は少なくとも40℃以上、少なくとも75℃以上、および/または少なくとも90℃以上の高温で酵素活性を維持するリガーゼを指す。本発明に有用な熱安定性リガーゼは、これらに限定されるものではないが、Tth DNAリガーゼ、Pfu DNAリガーゼ(Stratagene社、カタログ番号600191)、Taq DNAリガーゼ(New England Biolabs社、カタログ番号M02085)サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformis)リガーゼ、マリナスDNAリガーゼ、サーマス・スコトダクタス(Thermus scotoductus)DNAリガーゼおよびバチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)DNAリガーゼを含む。
【0113】
本明細書において使用される場合、「隣接する末端」または「隣接する断片」という用語は、その末端が互いに直に接触し、ギャップではなくニックのみによって分離しており、したがってリガーゼ活性の標的となる、ハイブリダイズした断片を指す。
【0114】
本明細書において使用される場合、「関連するポリヌクレオチド」という用語は、一次配列が同一な領域を共有する2種以上のポリヌクレオチドを指す。特に、安定なヘテロ2本鎖を形成できるように、同一領域はポリヌクレオチドのアニーリングを支持するのに十分であるべきである。再構成によって出発材料に存在するよりも多様な産物を作製できるように、少なくとも十分な関連するポリヌクレオチド間の相違があるべきである。したがって、少なくとも2箇所が異なる少なくとも2種のポリヌクレオチドが存在しなければならない。相違の程度は再構成されるポリヌクレオチドの長さ、および進化させようとする機能変化の程度に依存する。配列の0.1〜25%の相違が典型的である。非常に密接に関連した遺伝子の突然変異、またはより遠い関連のある遺伝子もしくは遺伝子の組の配列の実に全部分、の再構成によって、進化率を向上させ、望ましい新たな特性の獲得が可能である。キメラまたはモザイク遺伝子を作出するための再構成は、2種以上の親の望ましい特徴を1つの遺伝子または遺伝子の組に合わせるために、または親において発見されていない新規な機能的特徴を作出するために、有用であり得る。一実施形態において、再構成しようとするポリヌクレオチドは互いに、少なくとも80%同一、より好ましくは90%同一、より好ましくは95%同一、およびよりいっそう好ましくは少なくとも99%同一である。別の実施形態において、第1の関連するポリヌクレオチドの1本の鎖は、ストリンジェントな条件下で、第2の関連するポリヌクレオチドの反対側の鎖にハイブリダイズできる。
【0115】
本発明は、「ポリヌクレオチド変異体」を調製する方法を提供する。この文脈においてこの用語は、手順の開始時に使用した任意の「関連するポリヌクレオチド」と比較した場合、本発明のポリヌクレオチド産物の少なくとも一部の一次ヌクレオチド配列が異なっていることを指す。
【0116】
本明細書において使用される場合、「ハイブリダイズする」という用語は、少なくとも部分的に2本鎖の核酸を水素結合によって形成可能な2個の1本鎖核酸分子の能力を指す。
【0117】
「野生型」という用語は、ポリヌクレオチドが、自然界で見られるものと比較した場合にいかなる突然変異も含まないこと、またはcDNAなどのそれに由来するポリヌクレオチドを意味する。本発明の方法を使用して再構成しようとするプールまたは集団は、野生型ポリヌクレオチドに加えてそれらの突然変異体/変異体/誘導体を含んでもよい。突然変異体または変異体ポリヌクレオチドは、野生型または参照配列とは1箇所または複数箇所が異なる配列を有する。
【0118】
本明細書において使用される場合、「ヘテロ2本鎖」という用語は、異なる親分子由来の相補的な1本鎖の間で塩基対形成により作製されたハイブリッド(またはキメラ)ポリヌクレオチドを指す。
【0119】
本明細書において使用される場合、「ポリヌクレオチド増幅」という用語は、ポリメラーゼを用いて核酸分子のコピー数を増加させる任意のin vitro法を指す。核酸増幅は、ヌクレオチドのポリヌクレオチド分子またはプライマーへの組み込みをもたらし、それによりポリヌクレオチド鋳型に相補的な新しいポリヌクレオチド分子を形成する。新たに形成されたポリヌクレオチド分子は、さらなるポリヌクレオチド分子を合成するための鋳型として使用できる。
【0120】
本明細書において使用される場合の「作動可能に連結された」は、2種以上の核酸(例えば、DNA)セグメント間の機能的関係を指す。通常、転写調節要素(プロモーター)の転写された配列に対する機能的関係を指す。例えば、プロモーターは、適切な宿主細胞においてコード配列の転写を活性化または調節するならば、本発明の方法を使用して生成した変異体ポリヌクレオチドなどのコード配列に作動可能に連結されている。一般に、転写された配列に作動可能に連結されたプロモーター転写調節要素は転写された配列に物理的に近接しており、すなわち、これらはシス作用性である。しかしながら、一部の転写調節要素、エンハンサーなどは、これらの要素が転写を増強するコード配列に物理的に近接、またはごく接近して位置する必要はない。
【0121】
本明細書において使用される場合、「遺伝子」という用語は、その最も広い文脈で理解されるべきであり、構造遺伝子のタンパク質コード領域を含み、各末端において少なくとも約2kbの5'および3'末端両方におけるコード領域に隣接して位置する配列を含むデオキシリボ核酸配列を含む。コード領域の5'末端に位置し、mRNA上に存在する配列は、5'非翻訳配列と称する。3'またはコード領域下流に位置し、mRNA上に存在する配列は、3'非翻訳配列と称する。「遺伝子」という用語は遺伝子のcDNAおよびゲノム形態をともに包含する。遺伝子のゲノム形態またはクローンは、「イントロン」または「介在領域」または「介在配列」と呼ばれる非コード配列により遮られる場合があるコード領域を含有する。イントロンは、核RNAに転写される遺伝子セグメントであるが、イントロンはエンハンサーなどの調節要素を含有する場合もある。イントロンは核または一次転写産物から除去または「スプライスアウト」され、そのためイントロンはメッセンジャーRNA(mRNA)転写産物中には存在しない。mRNAは新生ポリペプチドにおいて、配列またはアミノ酸の順序を指定するために翻訳中に機能する。
【0122】
本明細書において使用される場合、「in vitro」は生体外の任意の場所を指す。
【0123】
「タンパク質」および「ポリペプチド」という用語は本明細書において交換して使用可能である。
【0124】
ポリヌクレオチド
「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は本明細書において交換して使用可能であり、ヌクレオチドのポリマーを指す。このポリマーは天然のヌクレオシド(すなわち、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン)、ヌクレオシドアナログ(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニルウリジン、C5-プロピニルシチジン、C5-メチルシチジン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および2-チオシチジン)、化学修飾された塩基、生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基)、挿入された塩基、修飾糖(例えば、2'-フルオロリボース、リボース、2'-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)、または修飾リン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5'-N-ホスホロアミダイト結合)を含んでもよい。好ましい実施形態において、関連するポリヌクレオチドはDNAまたはRNAまたはそれらの組合せである。特に好ましい実施形態において、関連するポリヌクレオチドはDNAである。
【0125】
オリゴヌクレオチドは通常、当技術分野において、例えば長さが約40ヌクレオチド未満のポリヌクレオチドなどの比較的短いポリヌクレオチドとして知られている。
【0126】
ポリヌクレオチドの同一性%は、ギャップ生成ペナルティ=5、およびギャップ伸長ペナルティ=0.3としてGAP(NeedlemanおよびWunsch、1970)分析(GCGプログラム)によって決定する。別途記述されない限り、クエリー配列は長さが少なくとも45ヌクレオチドであり、GAP分析は2個の配列を少なくとも45ヌクレオチドの領域にわたってアラインする。クエリー配列は長さが少なくとも150ヌクレオチドであり、GAP分析は2個の配列を少なくとも150ヌクレオチドの領域にわたってアラインすることが好ましい。クエリー配列は長さが少なくとも300ヌクレオチドであり、GAP分析は2個の配列を少なくとも300ヌクレオチドの領域にわたってアラインすることがより好ましい。GAP分析は2個の配列を全長にわたってアラインすることがよりいっそう好ましい。本発明に関して、2つの配列は関連するポリヌクレオチドである。
【0127】
本発明において使用されるポリヌクレオチドは、長さが約50、250、1000、10000、100000、106またはそれ以上の塩基まで異なることができる。
【0128】
本明細書において使用される場合、「ストリンジェントな条件」という語句は、関連するポリヌクレオチドがハイブリダイズすることになる条件を指す。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、異なる環境において異なる。長い配列は、短い配列よりも高温で特異的にハイブリダイズする。一般に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度およびpHで特定の関連する配列の熱融点(Tm)よりも約5℃低くなるように選択する。Tmは、(規定のイオン強度、pHおよび核酸濃度下で)関連するポリヌクレオチドの50%が互いに平衡状態でハイブリダイズすることになる温度である。通常、ストリンジェントな条件は、長さが40残基より長いポリヌクレオチドについて、塩濃度が約1.0M未満のナトリウムイオン、通常約0.01〜1.0Mナトリウムイオン(または他の塩)、pH7.0〜8.3、および温度が少なくとも約60℃である条件である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によって達成してもよい。
【0129】
ストリンジェントな条件は当業者に知られており、Ausubelら(上記)、Current Protocols In Molecular Biology、John Wiley & Sons、N.Y.(1989)、6.3.1〜6.3.6に加えて本明細書に記載の実施例において見ることができる。条件は、互いに少なくとも約80%、90%、95%、98%、または99%同一な関連するポリヌクレオチドが通常互いにハイブリダイズしたままであるような条件が好ましい。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の非限定的例は、6×SSC、50mM Tris-HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.02%BSA、および500mg/mlサケ精子DNAを含む高塩濃度緩衝液における65℃でのハイブリダイゼーションと、それに続く0.2×SSC、0.01%BSA中、50℃で1回または複数回の洗浄である。
【0130】
2本鎖ポリヌクレオチドの変性および復元の例示的条件は以下の通りである。等モル濃度(1.0〜5.0nM)のポリヌクレオチドを1×SSPE緩衝液(180mM NaCl 1.0mM EDTA、10mM NaH2PO4、pH7.4)中に混合する。次いで混合物を68℃で2〜6時間インキュベートする。変性および再アニーリングはまた、NaOHなどの変性剤の添加および除去によって行うこともできる。このプロセスは、1本鎖DNA基質について、変性段階を省略してよい以外は同じである。
【0131】
ポリヌクレオチド鎖のアニーリングは、ポリエチレングリコール(PEG)または塩の添加など当技術分野で知られている技術によって促進することができる。塩濃度は好ましくは0mM〜200mM、より好ましくは塩濃度は10mM〜100mMである。塩はKClまたはNaClであってよい。PEG濃度は、好ましくは0%〜20%、より好ましくは5%〜10%である。
【0132】
関連するポリヌクレオチドのプールは、天然(野生型)分子と比較した場合、ヌクレオチド残基の欠失、挿入、または置換である1個または複数個の突然変異を有してもよい。突然変異体は、天然(すなわち、天然起源から単離し、1つの生物種の同じ遺伝子の対立遺伝子であり、および/または異なる種由来のオーソロガス遺伝子など)または合成(例えば、核酸の部位特異的突然変異誘発を行うことにより得る)のいずれであってもよい。
【0133】
突然変異を出発ポリヌクレオチド(例えば野生型分子など)に導入して2種以上の関連するポリヌクレオチドを生成することができる。このような突然変異体は、限定するものではないが、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発、エラープローンPCR、ランダム化学的突然変異誘発、in vivoランダム突然変異誘発によって、または同じもしくは異なる種内の遺伝子ファミリーの遺伝子を組み合わせることによって生成できる。エラープローンPCRは正確性の低い重合条件を使用して、低いレベルで点突然変異を長い配列にわたってランダムに導入する。オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発において、短い配列のポリヌクレオチドはポリヌクレオチドから制限酵素消化を使用して除去し、元の配列から様々な塩基を変更した合成ポリヌクレオチドと置換する。化学的突然変異誘発は、例えば、重硫酸ナトリウム、亜硝酸、ヒドロキシルアミン、ヒドラジンまたはギ酸を含む。ヌクレオチド前駆体アナログである他の作用物質は、ニトロソグアニジン、5-ブロモウラシル、2-アミノプリンまたはアクリジンを含む。一般に、これらの作用物質はヌクレオチド前駆体の代わりにPCR反応に添加され、それにより配列を突然変異させる。例えばプロフラビン、アクリフラビン、キナクリンなどのインターカレート剤もまた使用することができる。ポリヌクレオチド配列のランダム突然変異誘発はまた、X線または紫外線の照射によっても達成できる。
【0134】
場合によって、本発明の方法を行って本方法で使用されるニッキングまたは制限酵素の認識部位を組み込む前に少なくとも一部の関連するポリヌクレオチド中に突然変異を導入することが望ましいことがある。このような突然変異は、部位特異的突然変異誘発など当技術分野において知られている任意の技術を使用して導入することができる。
【0135】
再構成しようとする異なる関連するポリヌクレオチドの数は、2〜10、100、1000、から105を超える要素まで大きさが広範に異なっていてもよい。
【0136】
発現ベクターおよび宿主細胞
通常は、本発明の方法を使用して生成した変異体ポリヌクレオチドを、所望の活性についてスクリーニングすることになろう。この目的を達成するために、好ましい実施形態において、個々の変異体を別々に発現ベクターにクローニングする。本発明で使用する発現ベクターは、適した発現調節要素(複数可)に作動可能に連結された変異体ポリヌクレオチドを含む。作動可能に連結されたという語句は、ポリヌクレオチド分子が宿主細胞に形質転換された場合に発現可能であるような、発現ベクター中へのポリヌクレオチド分子の挿入を指す。発現ベクターはまた宿主細胞内で複製可能であることが好ましい。発現ベクターは原核生物または真核生物のいずれでもよく、通常はウイルスまたはプラスミドである。本発明の発現ベクターは、細菌、真菌、内部寄生生物、節足動物、動物、および植物細胞を含む組換え細胞において機能する(すなわち、遺伝子発現を方向づける)任意のベクターを含む。本発明のベクターはまた、無細胞発現系において変異体ポリヌクレオチドを発現させるためにも使用でき、このような系は当技術分野においてよく知られている。
【0137】
特に、発現ベクターは、転写調節配列、翻訳調節配列、複製開始点、および組換え(宿主)細胞に適合し、ポリヌクレオチド分子の発現を調節する他の調節配列などの調節配列を含有する。特に、発現ベクターは転写調節配列を含む。転写調節配列は、転写の開始、伸長、および終結を調節する配列である。特に重要な転写調節配列は、プロモーター、エンハンサー、オペレーターおよびリプレッサー配列などの転写開始を調節するものである。適した転写調節配列は、少なくとも1種の宿主細胞または無細胞発現系において機能できる任意の転写調節配列を含む。種々のこのような転写調節配列が当業者に知られている。好ましい転写調節配列は、これらに限定するものではないが、例えば、tac、lac、trp、trc、oxy-pro、omp/lpp、rrnB、バクテリオファージλ、バクテリオファージT7、T7lac、バクテリオファージT3、バクテリオファージSP6、バクテリオファージSP01、メタロチオネイン、α-接合因子、Pichiaアルコールオキシダーゼ、アルファウイルスサブゲノミックプロモーター(例えば、Sindbisウイルスサブゲノミックプロモーターなど)、抗生物質耐性遺伝子、バキュロウイルス、ヘリオチス・ゼア(Heliothis zea)昆虫ウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、アライグマポックスウイルス、他のポックスウイルス、アデノウイルス、サイトメガロウイルス(例えば、中間初期プロモーターなど)、シミアンウイルス40、レトロウイルス、アクチン、レトロウイルス長末端反復、Rous肉腫ウイルス、熱ショック、リン酸および硝酸転写調節配列ならびに原核生物または真核生物細胞において遺伝子発現を調節可能な他の配列などの、細菌、酵母、節足動物および哺乳動物細胞において機能するものを含む。
【0138】
ベクターは、変異体ポリヌクレオチドにコードされたタンパク質が、宿主細胞において生成されるタンパク質が細胞から分泌されるように分泌シグナルをコードする融合物および/または核酸として生成されるように、さらなるポリヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0139】
本明細書において使用される場合、「宿主細胞」という用語は、組換えポリヌクレオチド分子、通常は組換えプラスミドまたは他の発現ベクターを含む細胞を指す。したがって、例えば、宿主細胞は、細胞のネイティブな(非組換え)形態では見られない遺伝子を発現させることができる。宿主細胞は、細菌、哺乳動物、酵母、アスペルギルス、および昆虫細胞を含む原核生物または真核生物であってもよい。
【0140】
本発明の変異体ポリヌクレオチドを含有するベクターは、細胞宿主の種類に応じて、標準的な方法により宿主細胞に移すことができる。例えば、塩化カルシウム形質転換は原核細胞に一般的に利用される。リポフェクション、またはエレクトロポレーションは、他の細胞宿主に使用できる。哺乳動物細胞を形質転換するために使用される他の方法は、Polybrene、プロトプラスト融合、リポソーム、エレクトロポレーション、およびマイクロインジェクション、ならびにバイオリスティックス(一般に、Sambrookら、上記を参照)の使用を含む。ウイルスベクターはまたin vitroでパッケージし、感染により導入することもできる。ベクターの選択は宿主細胞次第である。一般に、適したベクターは所望の宿主細胞において認識される複製開始点、予定された宿主細胞において発現可能な選択マーカーを有する。
【0141】
変異体ポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドは、当技術分野においてよく知られている方法により発現することができる。好都合には、ポリペプチドの発現を引き起こすまたは可能にする適切な条件下で、このようなベクターを含有する宿主細胞を培養物中で増殖させることにより、発現を達成することができる。
【0142】
ポリヌクレオチド増幅
前述のように、「増幅」は、ポリメラーゼを用いてポリヌクレオチド鋳型配列(例えば、標的DNA分子)の一方または両方の鎖を合成する任意のin vitro法を指す。ポリヌクレオチド増幅はヌクレオチドのポリヌクレオチド(例えば、DNA)分子またはプライマーへの組み込みをもたらし、それによりポリヌクレオチド鋳型に相補的な新しいポリヌクレオチド分子を形成する。形成されたポリヌクレオチド分子およびその鋳型は、さらなるポリヌクレオチド分子を合成するための鋳型として使用できる。
【0143】
増幅反応は、これらに限定するものではないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR、ligase chain reaction)、ポリヌクレオチド配列ベース増幅(NASBA、polynucleotide sequence based amplification)、Q-Beta Replicase反応、転写ベース増幅系(TAS、transcription-based amplification system)、および鎖置換増幅を含む。
【0144】
本明細書において使用される場合、「増幅された産物」または「増幅されたポリヌクレオチド産物」は、増幅反応の間、または終了時に作製された2本鎖および/または1本鎖ポリヌクレオチド集団を指す。増幅された産物は、元のポリヌクレオチド鋳型および増幅反応中にDNAポリメラーゼによりポリヌクレオチド鋳型を使用して合成されたポリヌクレオチドを含有する。
【0145】
エラープローンポリメラーゼを用いた増幅反応を行うことにより、本発明の方法を使用して生成された変異体ポリヌクレオチドになおさらなる突然変異を導入することができる。
【0146】
本明細書において特にPCR反応に関して使用される場合の用語「プライマー」は、当技術分野において知られている一般基準仕様(「PCR A practical approach」IRL Press、(1991))に従って定義および構築したオリゴヌクレオチド(特に、「PCRプライマー」)である。
【0147】
本発明の方法において利用される増幅反応は、所望量の変異体ポリヌクレオチドを生成するために必要な広範な回数の増幅サイクルによって行うことができる。増幅反応段階におけるサイクル数は、10〜60サイクルが好ましく、より好ましくは20〜40サイクル行い、よりいっそう好ましくはサイクル数は25〜35回である。
【0148】
組成物
本発明の方法により作製され、かつ望ましい特質を有すると特定されたポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、組成物に処方することができる。こうした組成物は前述の物質に加えて、許容される賦形剤、担体、緩衝液、安定剤、または当業者によく知られている他の材料を含むことができる。
【0149】
一実施形態において、組成物は医薬/獣医用組成物である。医薬または獣医用組成物に関して、そのような材料は非毒性であるべきであり、活性成分の有効性を阻害すべきではない。担体または他の材料の正確な性質は、投与経路、例えば、経口、静脈内、皮膚または皮下、経鼻、筋肉内、腹腔内経路などに依存し得る。
【0150】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉末剤または液剤の形態であってもよい。錠剤は、ゼラチンやアジュバントなどの固体担体を含んでよい。液体医薬組成物は一般に、例えば、水、石油、動物性もしくは植物性油、鉱物油または合成油などの液体担体を含む。生理食塩溶液、デキストロースもしくは他の糖類溶液またはエチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコールなどのグリコールが含まれてもよい。
【0151】
静脈内、皮膚もしくは皮下注射、または患部への注射のために、活性成分は、発熱物質を含まない、適したpH、等張性および安定性を有する非経口的に許容される水性溶液の形態である。当業者であれば、例えば、Sodium Chloride Injection、Ringer's Injection、Lactated Ringer's Injectionなどの等張性ビヒクルを使用して、適した溶液をうまく調製することができる。防腐剤、安定剤、緩衝液、抗酸化剤および/または他の添加剤が必要に応じて含まれてもよい。
【0152】
個体に与えようとするものが、本発明により作製された後に特定されたポリペプチド、例えば、抗体またはその断片、またはポリヌクレオチドのいずれであっても、投与は、個体にとっての利益を示すために十分である「予防的に有効な量」または「治療的に有効な量」(場合によっては、たとえ予防が考慮され得る療法でも)であることが好ましい。実際に投与される量、ならびに投与の速度および経時変化は、治療されているものの性質および重症度に依存することになろう。治療の指示、例えば、用量の決定などは、一般開業医および他の医師の責任の範囲内であり、通常、治療しようとする障害、個々の患者の状態、送達部位、投与方法および実践者に知られている他の因子を考慮する。前述の技術およびプロトコルの例は、Remington's Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol, A.(編)、1980において見ることができる。
【0153】
別法として、特定種の細胞により特異的に活性薬剤を送達するために、抗体または細胞特異的リガンドなどの標的系を用いて標的療法を使用してもよい。標的化は、例えば、薬剤が許容し難いほど毒性である場合、またはそうでなければあまりに高用量を必要とする場合、またはそうでなければ標的細胞に入り込めない場合など、様々な理由で望ましい場合がある。
【0154】
これらの薬剤を直接投与する代わりに、細胞中に例えば、ウイルスベクター中に導入されたコード遺伝子の発現により、これらの薬剤を標的細胞内で生成することができる(VDEPT技術の変形)。ベクターは、治療しようとする特定の細胞を標的とすることができ、または、標的細胞によって程度の差はあるが選択的にスイッチが入れられる調節要素を含有することができる。
【0155】
別法として、治療しようとする細胞内で生成された、またはその細胞を標的とする薬剤を活性化することにより活性形態に変換するため、薬剤を前駆体の形態で投与することができる。この種のアプローチはADEPTまたはVDEPTとして知られることもあり、前者は細胞特異的抗体への結合により細胞を標的として活性化剤を送り込むことを含むが、後者はウイルスベクター中のコードDNAの発現によりベクター中で活性化剤、例えば、酵素を生成することを含む(例えば、欧州公開EP-A-415731および国際公開第90/07936号パンフレット参照)。
【0156】
医薬/獣医用組成物は、治療しようとする状態に応じて単独でまたは他の治療と組み合わせて、同時にまたは逐次的に投与することができる。
【0157】
用途
本発明は、変異体ポリヌクレオチドがそれ自体有用な分子(例えば、プロモーター、アプタマー、触媒、エンハンサー、リボザイム、DNAザイム、またはRNA干渉のためのdsRNA)である、または変異体ポリヌクレオチドが有用な産物をコードしている、産業的または医学的に有用な分子または生化学経路を進化させるために特に有用である。
【0158】
産業的または医学的に有用なポリペプチドまたはポリヌクレオチドの例は、当技術分野においてよく知られている。医学的に有用なポリペプチドの具体例は、これらに限定するものではないが、インスリン、エリスロポエチン、インターフェロン、コロニー刺激因子、例えば、顆粒状コロニー刺激因子など、成長ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモンなど、アナログ、LHRHアンタゴニスト、組織プラスミノーゲン活性化因子、ソマトスタチンアナログ、FactorIX、カルシトニン、アルファ、ポリサッカライド、AG337、骨誘導タンパク質、骨形成タンパク質、脳由来成長因子、ガストリン17免疫原、インターロイキン、例えば、PEFスーパーオキシドなど、透過性亢進タンパク質-21、血小板由来成長因子、幹細胞因子、サイロトロピンα、およびソマトメジンCを含む。
【0159】
産業的に有用な分子は、ポリケチド、形質転換小分子、バイオセンサーに使用する嗅覚受容体を合成する、基質を加水分解する、有機合成反応の段階を置換する、または芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、キシレン、トルエンおよびナフタレン)、ポリ塩化ビフェニルならびに残留除草剤(グリホサートなど)および殺虫剤(有機リン、ピレスロイド、アトラジンおよびカルバメートなど)などの汚染物質を分解する酵素を含む。本発明を使用して、分解されなければ野生型生物によって異化されない、またはごくゆっくりとしか異化されない人工汚染物質を分解する酵素経路が生成するように異化経路を進化させることができる。
【0160】
本発明により変更しようとする特質は、これらに限定するものではないが、構造モチーフ、安定性、半減期、酵素活性、酵素特異性、結合親和性、結合特異性、毒性、抗原性、生物との相互作用および前記ポリヌクレオチドまたは前記コードされたポリペプチドの生物の成分との相互作用を含む。タンパク質/ポリペプチドの構造モチーフは、例えば、αへリックス、βシート、溶媒露出ループ、ロイシンジッパー、足場などを含む。核酸/ポリヌクレオチドの構造モチーフは、例えば、4本鎖、bDNA、トリプルヘリックス、ステムループ、ヘアピン、タンパク質結合部位などを含む。前記機能的特質の活性を参照分子と比較して高いまたは低い温度で増強するように、本発明によって機能的特質を変更することができる。さらに、前記機能的活性は前述の様々な物理的または化学的環境において増強可能である。
【0161】
所望の条件下で活性を決定する方法は、当技術分野においてよく知られている標準的な方法を含む。スクリーニングまたは選択の種類は、獲得しようとする所望の特性に依存する。前述のように、酵素の望ましい特性は、高い触媒活性、薬剤への耐性を与える能力、高い安定性、より広範な(またはより狭い)範囲の基質を受容する能力、または有機溶媒などの非自然的環境において機能する能力を含む。タンパク質の他の望ましい特性は、選択した標的へ結合する能力、分泌能、所定の標的に対する免疫応答を起こす能力、免疫原性の欠損、および病原性微生物への毒性を含む。DNAまたはRNAポリヌクレオチドの望ましい特性は、所定のタンパク質標的に特異的に結合する能力、および作動可能に連結されたコード配列の発現を調節する能力を含む。薬剤耐性などの前述の特性の一部は、その薬剤上で細胞を平板培養することによって選択することができる。発現に対する調節配列の影響などの他の特性は、調節配列に連結されたレポーター遺伝子の発現産物の出現を検出することによってスクリーニングすることができる。発現されたタンパク質の分泌される能力などの他の特性は、そのタンパク質に対する標識化抗体を使用してFACS(商標)によってスクリーニングすることができる。免疫原性またはその欠損などの他の特性は、個々の細胞または細胞のプールからタンパク質を単離して、そのタンパク質をin vitroでまたは実験動物で分析することによってスクリーニングすることができる。当業者であれば、容易に、本発明の方法により生成された変異体ポリヌクレオチドにコードされる酵素の活性を決定でき、所望の特質を有するものを選択できる。酵素は、これらに限定するものではないが、発酵酵素、プロテアーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、ホスホトリエステラーゼ、オキシドレダクターゼ、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼなど、ポリメラーゼ、ヒドロラーゼおよびルシフェラーゼを含む。
【実施例】
【0162】
(実施例1)
切断酵素を使用したDNAシャッフリング
同じサンプル遺伝子の2個の突然変異体、カルボキシルエステラーゼE3(1.7kb)(国際公開第95/019440号パンフレット)を設計し、遺伝子の長さに沿って分布する8個のコドンの違いを含有するように合成した(図3)。加えて、以下の基準を満たすようにNt.AlwI部位を遺伝子配列中に組み込んだ:i)この部位の導入は翻訳される配列を変えない、およびii)任意の2個のNt.AlwI部位により導入されたニックは20bp以上離れている。これにより結果として、遺伝子の長さに沿って比較的均等に分布した8個のNt.AlwI部位が上の鎖に位置し、2個のNt.AlwI部位のみが下の鎖に互いに近くに位置した(図3)。これら2個の構築体を標準的なプラスミドベクターにクローニングし、次いで2個の遺伝子突然変異体をベクター特異的プライマーを使用してPCR増幅し、近傍のベクター配列中の任意のNt.AlwI部位も前述の基準ii)を満たすことを確認した。市販のPCRクリーンアップキットを使用してPCRアンプリコンを精製し、得られたDNAを分光光度法で定量した。
【0163】
再構成に備えて遺伝子突然変異体にニックを入れるため、各アンプリコン約220ngを10UのNt.AlwI(NEB)で15μLの反応量、37℃で、2時間消化した。消化が良好に行われたことを試験するために、2.5μLの消化したDNAおよび未消化DNAの等量希釈物を、10μLのホルムアミドの添加および85℃まで15分間加熱することによりそれぞれ変性させた後、1%アガロース/TAEゲルで分離した。
【0164】
次いで、3個の反応チューブを同時に開始することにより再構成を達成した;各チューブには2μLの両ニック入り遺伝子突然変異体を加え、サンプルを80℃まで20分間加熱して残存するNt.AlwIを不活性化させた。各チューブに、13μLの精製水を加え、サンプルを95℃まで加熱してDNAを変性させた。サンプルを直ちに80℃まで冷却し、次いで0.5℃/分の速度で30分かけてゆっくりと65℃の温度まで冷却し、オーバーラップしたニック入り断片を再アニーリングさせた。この時点で、2μLの10×Taqリガーゼバッファーおよび1μL(40U)のTaqリガーゼ(NEB)を反応チューブ番号1に加え、次いでこれら全てのチューブを0.2℃/分の低速で100分かけて45℃の温度までさらに冷却した。反応チューブを45℃でさらに2時間維持した。残りの2個の反応チューブに2μLの10×T4リガーゼバッファーを、ならびに1μL(400U)のT4リガーゼ(NEB)を反応チューブ番号2に、1μLの精製水を反応チューブ番号3に加えた。次いで反応チューブ番号2および番号3をともに37℃で2時間インキュベートした。
【0165】
次いで、3つ全ての反応チューブの内容物を0.7%アガロース/TAEゲルで分離し、約2kbの弱いバンド(構築体の全体のサイズに一致)を3つ全ての反応物から切り取り、市販のゲル精製カラムで精製し、DNAを20μLの溶出バッファーに溶出した。
【0166】
次いで再構成プロセス中に形成されたヘテロ2本鎖を、第2のネスト化ベクター特異的プライマー対およびサイクル数を減少させたPCRを使用することにより分解した:50μLの反応物は1×PCRバッファー(Invitrogen)、50mMのMgCl2、10mMの各dNTP、10μMの各フォワードおよびリバースプライマー、および1μLの鋳型を含有していた。反応物を95℃まで1分間加熱し、次いで80℃まで冷却した後、2.5UのTaqポリメラーゼ(Invitrogen)を加えた。次いで反応物を20または25回の95℃で30秒間、53℃で30秒間および72℃で30秒間のサイクルにかけた。PCR反応の効率を確認するため、2μLのサンプルを1%アガロース/TAEゲル上で分離した。得られたゲル(図4)は、リガーゼ(TaqまたはT4)を再アニールしたニック入りDNAに加えた場合(反応チューブ番号1および番号2)、正確な大きさ(約2kb)のアンプリコンをはっきりと示し、熱サイクルの追加によって収率が増加したが、再アニールしたニック入りDNAにリガーゼを入れなかった場合(反応チューブ番号3)は示さなかった。
【0167】
次いで、反応物番号1および反応物番号2からの残りのPCR分解されたDNAを、サンプルを0.7%アガロースゲルに流し、所望のバンドを切り取り、市販のゲルクリーンアップキットを使用してDNAを精製することによりゲル精製し、20μLのバッファー中にDNAを溶出した。次いで4μlの精製DNAを、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を使用して製造業者の説明書通りにpCR(登録商標)2.1-TOPOにクローニングした。
【0168】
6個のプラスミドDNAを、得られたTaqリガーゼおよびT4リガーゼ再構成クローンからそれぞれ精製した;次いでこれらを、ヘテロ2本鎖を分解するために使用した同じプライマーを使用して各末端から配列決定した。得られた再構成された子孫を図3にまとめている。これらの子孫は再構成の明らかな証拠を示し、5個のクローン(42%)のみが親の組合せの変異部位を有していた。残りの7個のクローンのうち6個は、4番目および5番目の変異部位の間に起こった組換えの証拠を示した。高度に優勢なこの組換え事象および親型構築体は、Nt.AlwIが下の鎖に2回だけ、そして2回とも4番目および5番目の変異部位の間にニックを入れたという事実により説明できる。組換え体の半分は再構成された下の鎖に由来すると考えられ、高い比率のこの単純な組換えおよび再形成された親分子は子孫に入ると考えられる。実際、上および下の鎖間のニッキング部位の大きな相違(8対2)は、上の鎖よりも下の鎖の完全なライゲーションに有利に働くと考えられ、これはつまり下の鎖に有利になるように子孫にバイアスをかける。
【0169】
(実施例2)
切断酵素を使用したDNAシャッフリング(予想的)
対象とする遺伝子の変異をランダムに(例えば、エラープローンPCRによってまたは大腸菌のミューテーター株を使用して)、または合理的設計/部位特異的突然変異誘発技術によって作製する。ベクター配列などの外来DNAを排除する、または最小限にするために、突然変異体構築体をPCRアンプリコンまたは制限断片の状態にする。突然変異体構築体を、等モル量でまたは再構成された産物中の特定の突然変異の発現を偏らせるように意図された比率で、プールする。
【0170】
突然変異体プール(例えば、1μgのDNA)を、Nt.AlwI(New England Biolabs)を用いて20μlの反応量で、酵素製造業者の条件に従って消化する。切断酵素の認識配列をもたらすサイレント突然変異を組み込むために、遺伝子を合成する必要もあり得る。少なくとも1個の適した認識配列がdsDNAのプール中に存在するならば、Nt.AlwIはDNAにニックを入れる。
【0171】
次いでNt.AlwIを(製造業者の推奨通りに)熱不活性化し、TaqDNAリガーゼ(New England Biolabs)を加え、反応混合物を95℃で30秒間加熱してDNAを変性させる。1本鎖を70℃で再アニールさせ、温度を数時間かけてゆっくりと40℃まで下降させ、その間にホモおよびヘテロ2本鎖の両方が形成し、リガーゼによってニックは修復される。
【0172】
次いで、ヘテロ2本鎖(すなわち、異なる親突然変異体由来の反対側の鎖のためのミスマッチを含有するライゲーション産物)を分解するために、完全長遺伝子のPCR増幅をライゲーションした反応物に対して行う。遺伝子にまだ組み込まれていなければ、PCR増幅はまた、再構成された遺伝子産物のその後のクローニングを可能にするためにプライマーに制限部位を挿入する機会も与える。
【0173】
(実施例3)
オーバーラップした制限断片ライゲーションによる再構成(予想的)
対象とする遺伝子の変異をランダムに(例えば、エラープローンPCRによってまたは大腸菌のミューテーター株を使用して)、または合理的設計/部位特異的突然変異誘発技術によって作製する。ベクター配列などの外来DNAを排除する、または最小限にするために、突然変異体構築体をPCRアンプリコンまたは制限断片の状態にする。突然変異体構築体を、等モル量でまたは再構成された産物中の特定の突然変異の発現を偏らせるように意図された比率で、プールする。
【0174】
20μlの反応量で、酵素製造業者の条件に従って、得られた突然変異体プールの1つのアリコート(1μg)をBamHI(Promega)で消化し、得られた突然変異体プールの別のアリコート(1μg)をEcoRI(Promega)で消化する。各制限酵素が少なくとも1回であるが、理想的には多数回、DNAを切断するように手順を設計する。
【0175】
次いで制限酵素を(製造業者の推奨通りに)熱不活性化し、プールを合わせた。TaqDNAリガーゼ(New England Biolabs)を加え、反応混合物を95℃で30秒間加熱してDNAを変性させる。1本鎖を70℃で5分間再アニールさせ、その間にホモおよびヘテロ2本鎖の両方が形成し、オーバーラップした相補鎖にアニールした隣接する断片(生産物の結合)間のニックはリガーゼによって修復される。
【0176】
加熱/冷却段階を数回繰り返し、アニーリング温度を40℃まで徐々に低下させて、アニールした完全な相補断片(すなわち、同じ制限酵素消化産物)(非生産物の結合)が前述の生産性物の結合へと再生利用させるようにする(ライゲーションした制限産物自体がその後のサイクルにおけるさらなる生産物の結合のための鋳型になることに留意されたい)。
【0177】
次いで、ヘテロ2本鎖(すなわち、異なる親突然変異体由来の反対側の鎖のためのミスマッチを含有するライゲーション産物)を分解するために、完全長遺伝子のPCR増幅をライゲーションした反応物に対して行う。遺伝子にまだ組み込まれていなければ、PCR増幅はまた、再構成された遺伝子産物のその後のクローニングを可能にするためにプライマーに制限部位を挿入する機会も与える。
【0178】
具体的な実施形態において示したように多くの変形形態および/または修正形態が、広範に記述した本発明の精神または範囲を逸脱することなく本発明になされてもよいことが、当業者によって理解されよう。本実施形態は、したがって、全ての点において説明としてであって限定的ではないと見なされるべきである。
【0179】
前述で論じられた全ての出版物はその全体が本明細書中に組み込まれる。
【0180】
本出願は、その内容全体が参照により本明細書中に組み込まれるUS60/838098の優先権を主張する。
【0181】
本明細書中に含まれている文書、行為、材料、装置、物品などの任意の考察は、本発明の文脈を提供することのみを目的としている。任意のまたは全てのこれらの物質が先行技術の基礎部をなす、または本発明に関する分野において本出願の各請求項の優先日前に存在していた共通一般知識であったという承認として解釈されるべきではない。
[参考文献]


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも一部が部分的および/または完全に2本鎖である、2種以上の関連するポリヌクレオチドのプールを少なくとも1種の切断酵素に暴露する段階と、
b)前記少なくとも1種の切断酵素を除去する、および/またはその活性を阻害する段階と、
c)前記ポリヌクレオチドを変性させる段階と、
d)変性したポリヌクレオチドに少なくとも部分的に2本鎖のポリヌクレオチドを形成させる段階と、
e)段階d)において形成された2本鎖ポリヌクレオチドをリガーゼに暴露する段階と
を含む、ポリヌクレオチド変異体を調製する方法。
【請求項2】
段階a)からe)が少なくとも1回繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階a)における少なくとも1種の切断酵素が、この段階が繰り返される場合に異なる、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
段階c)からe)が少なくとも1回繰り返される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
段階d)が変性したポリヌクレオチドを約75℃の温度に暴露する段階と、前記温度を約40℃まで降下させる段階とを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
段階c)の後に生成された1本鎖断片がいずれも長さが約40ヌクレオチド未満ではない、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
段階c)が前記ポリヌクレオチドを約90℃から約105℃の温度に暴露する段階を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種の切断酵素およびポリヌクレオチドを約90℃から約105℃の温度に暴露することにより、段階b)およびc)が同時に実施される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
段階d)およびe)が同時に実施される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
段階e)により生成された2本鎖ポリヌクレオチドに対してポリヌクレオチド増幅手順を実施する段階をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
a)2種以上の関連する1本鎖ポリヌクレオチドのプールを少なくとも1種の切断酵素に暴露する段階と、
b)前記少なくとも1種の切断酵素を除去する、またはその活性を阻害する段階と、
c)前記ポリヌクレオチドに少なくとも部分的に2本鎖のポリヌクレオチドを形成させる段階と、
d)段階c)において形成された2本鎖ポリヌクレオチドをリガーゼに暴露する段階と
を含む、ポリヌクレオチド変異体を調製する方法。
【請求項12】
段階a)からd)が少なくとも1回繰り返される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
段階a)における少なくとも1種の切断酵素が、この段階が繰り返される場合に異なる、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
e)段階d)において生成されたポリヌクレオチドを変性させ、段階c)およびd)を繰り返す段階
をさらに含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
段階e)が前記ポリヌクレオチドを約90℃から約105℃の温度に暴露する段階を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
段階c)が変性したポリヌクレオチドを約75℃の温度に暴露する段階と、前記温度を約40℃まで降下させる段階とを含む、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
段階a)の後に生成された1本鎖断片がいずれも長さが約40ヌクレオチド未満ではない、請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
段階c)およびd)が同時に実施される、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
段階d)により生成された2本鎖ポリヌクレオチドに対してポリヌクレオチド増幅手順を実施する段階をさらに含む、請求項11から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
リガーゼが熱安定性リガーゼである、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記プール中の少なくとも1種のポリヌクレオチドが、前記切断酵素の少なくとも1種の認識配列を第1のポリヌクレオチドに導入して第2のポリヌクレオチドを生成することにより生成された、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のポリヌクレオチドがポリペプチドをコードし、前記導入された認識配列が前記コードされたポリペプチドのアミノ酸配列を変更しない、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
切断酵素が、Nt.AlwI、Nb.BbvCI、Nt.BbvCI、Nb.Bpu10I、Nb.BsmI、Nt.Bst9I、Nt.BstNBI、Nb.BsrDI、およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ポリヌクレオチドがDNAまたはRNAである、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
得られた変異体ポリヌクレオチド(複数可)を所望の活性についてスクリーニングする段階をさらに含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記変異体ポリヌクレオチド(複数可)によりコードされるポリペプチド(複数可)を生成する段階と、前記ポリペプチド(複数可)を所望の活性についてスクリーニングする段階とを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記変異体ポリヌクレオチド(複数可)が発現ベクター(複数可)にクローニングされる、請求項25または請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記発現ベクター(複数可)が宿主細胞(複数可)に導入される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
段階b)が前記制限酵素を約90℃から約105℃の温度に暴露する段階を含む、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記増幅が、前記2種以上のポリヌクレオチドの末端にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを使用して行われる、請求項10または請求項19に記載の方法。
【請求項31】
a)少なくとも第1の2本鎖ポリヌクレオチド、または関連する2本鎖ポリヌクレオチドの第1のプールを第1の制限酵素(複数可)に暴露し、第2の2本鎖ポリヌクレオチド、または関連する2本鎖ポリヌクレオチドの第2のプールを第2の制限酵素(複数可)に暴露する段階であって、前記第1および第2の制限酵素が異なる認識配列を切断し、前記ポリヌクレオチドが関連している段階と、
b)前記制限酵素を除去する、および/またはその活性を阻害する段階と、
c)段階b)の産物を混合する段階と、
d)前記ポリヌクレオチドを変性させる段階と、
e)変性したポリヌクレオチドに2本鎖ポリヌクレオチドを形成させる段階と、
f)段階d)において形成された2本鎖ポリヌクレオチドをリガーゼに暴露する段階と
を含む、ポリヌクレオチド変異体を調製する方法。
【請求項32】
前記ポリヌクレオチドの第1のプールおよび第2のプールが同一である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
リガーゼが熱安定性リガーゼである、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項34】
段階d)からf)が少なくとも1回繰り返される、請求項31から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
段階e)が、前記変性したポリヌクレオチドを約75℃の温度に暴露する段階と、前記温度を約40℃まで降下させる段階とを含む、請求項31から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
段階d)の後に生成された1本鎖断片がいずれも長さが約40ヌクレオチド未満でない、請求項31から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
ポリヌクレオチドがDNAまたはRNAである、請求項31から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
段階f)より得られた変異体ポリヌクレオチド(複数可)を所望の活性についてスクリーニングする段階をさらに含む、請求項31から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記変異体ポリヌクレオチド(複数可)によりコードされるポリペプチド(複数可)を生成する段階と、前記ポリペプチド(複数可)を所望の活性についてスクリーニングする段階とを含む、請求項31から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記変異体ポリヌクレオチド(複数可)が発現ベクター(複数可)にクローニングされる、請求項38または請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記発現ベクター(複数可)が宿主細胞(複数可)に導入される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
段階b)および/または段階d)が前記制限酵素を約90℃から約105℃の温度に暴露する段階を含む、請求項31から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
段階e)およびf)が同時に実施される、請求項31から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
段階f)により生成された2本鎖ポリヌクレオチドに対してポリヌクレオチド増幅手順を実施する段階をさらに含む、請求項31から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記増幅が、段階a)において使用された2本鎖ポリヌクレオチドの末端にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを使用して行われる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記方法を使用して生成されたポリヌクレオチドの任意の1本鎖ギャップを埋めるためのポリメラーゼの使用を含まない、請求項1から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
in vitroで行われる、請求項1から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
請求項1から47のいずれか一項に記載の方法を使用して生成されるポリヌクレオチド。
【請求項49】
請求項1から48のいずれか一項に記載の方法により生成される変異体ポリヌクレオチドライブラリー。
【請求項50】
a)請求項1から48のいずれか一項に記載の方法を使用してポリヌクレオチド変異体を作製する段階と、
b)段階a)において生成された変異体ポリヌクレオチドを発現させて変異体ポリペプチドを生成する段階と、
c)前記変異体ポリペプチドを所望の活性についてスクリーニングする段階と、
d)前記変異体ポリペプチドから所望の特性を有するポリペプチドを選択する段階と
を含む、所望の特性を有するポリペプチドを製造する方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法を使用して生成されるポリペプチド。
【請求項52】
a)請求項1から47のいずれか一項に記載の方法を使用してポリヌクレオチド変異体を作製する段階と、
b)前記変異体ポリヌクレオチドを所望の活性についてスクリーニングする段階と、
c)前記変異体ポリヌクレオチドから所望の特性を有するポリヌクレオチドを選択する段階と
を含む、所望の特性を有するポリヌクレオチドを製造する方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法を使用して生成されるポリヌクレオチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−500040(P2010−500040A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524047(P2009−524047)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【国際出願番号】PCT/AU2007/001156
【国際公開番号】WO2008/019439
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(305039998)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼイション (92)
【Fターム(参考)】