説明

新生物を治療するためのErbB3に基づく方法および組成物

【課題】哺乳動物、特にヒトの新生物を治療するための組成物および方法を提供する。
【解決手段】ErbB-3タンパク質、ErbB-3タンパク質をコードする核酸、またはその機能的断片を使用した哺乳動物の新生物の予防、治療、または遅延の方法。また、ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインもしくはその機能的断片または実質的に精製されたErbB-3タンパク質の細胞外ドメインもしくはその機能的断片をコードする単離核酸およびErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片中のエピトープに結合する抗体。さらに、ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片もしくはコードする核酸およびこのような細胞外ドメインまたはその機能的断片に結合する抗体を含む薬学的組成物および/またはワクチン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物、特にヒトの新生物を治療するための組成物および方法に関する。より詳細には、本発明は、ErbB-3タンパク質、ErbB-3タンパク質をコードする核酸、またはその機能的断片を使用した哺乳動物の新生物の予防、治療、または遅延の方法を提供する。本発明はまた、ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインもしくはその機能的断片または実質的に精製されたErbB-3タンパク質の細胞外ドメインもしくはその機能的断片をコードする単離核酸およびErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片中のエピトープに結合する抗体を提供する。本発明は、さらに、ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片もしくはコードする核酸およびこのような細胞外ドメインまたはその機能的断片に結合する抗体を含む薬学的組成物および/またはワクチンを提供する。
【背景技術】
【0002】
癌は、ヒトの致命的疾患であり、重篤な病理学的反応を起こし、しばしば死に至る、人体の正常な生理学的条件に影響を与える生理学的に非制御の細胞増殖に起因する。癌の研究および治療において非常に努力してきたにもかかわらず、現在、癌は依然としてヒトの死の主な原因である。手術、放射線療法、および化学療法を含む、癌患者を治療するための多数のアプローチが存在する。最初の2つの方法は患者の癌細胞を完全に消滅させることができないので、一般に他の治療を用いるか用いずに後者のアプローチを使用して癌細胞の成長を制御する。患者に使用する抗癌化合物は、しばしば癌細胞の増殖の予防または分裂細胞の死滅を標的化する。
【0003】
化合物が癌細胞に有毒である場合、これらは人命に必要である正常な分裂細胞にも重篤な影響を与え得る。したがって、癌研究の主な問題の1つは、正常な細胞増殖に影響を与えることなく癌細胞を特異的に遮断または死滅させる方法を見出すことである。現在、癌患者に対してこのような治療が要求されている。
【0004】
ErbBは、受容体タンパク質であるチロシンキナーゼクラスの1つである。ErbB媒介細胞シグナル伝達は、胚の発生および成体の器官機能で重要な役割を果たす。細胞レベルでは、ErbB受容体は、細胞増殖、分化、遊走、および細胞構造の認識のためのシグナルを媒介することが示されている。4つの構造的に類似したErbBメンバー(ErbB-1、ErbB-2、ErbB-3、およびErbB-4)が存在する。上皮成長因子(EGF)は、ErbB-1に結合するいくつかのリガンドの1つである。ErbB-3またはErbB-4はまた、ニューレグリン1(NRG-1)を含むいくつかのリガンドに結合する。現在、ErbB-2のリガンドは同定されていない。しかし、ErbB-2は、ErbB-3、ErbB-4、またはErbB-1のヘテロ二量体パートナーとして作用し、NRG-1活性化細胞シグナル伝達に非常に関与する。
【0005】
遺伝子標的化実験を使用したインビボ研究は、ErbB-2の不活化に起因する発達欠損はNRG-1不活化動物で見出される発達欠損に類似することを示す。両動物は、神経頭蓋神経節および心臓小柱の発達欠損を示す。さらに、ErbB-3遺伝子またはErbB-4遺伝子の不活化マウスは、NRG-1ノックアウトマウスまたはErbB-2ノックアウトマウスに類似または重複する表現型を有する。
【0006】
発達におけるその役割に加えて、ヒトErbB-2遺伝子が頻繁に増幅され、そのコードされるタンパク質は種々のヒト癌で過剰発現される。ErbB-2の初期の研究により、発癌性点変異によりErbB-2ホモ二量体が形成され、細胞内ドメイン上のチロシン残基が有意にリン酸化されることが発見された。対応する点変異がヒト癌が過剰発現したErbB-2で見出されない一方で、ErbB-2の上方制御によりホモ二量体が形成され、その細胞内ドメインのチロシンリン酸化が増加する。このプロセスは、細胞形質転換および/または成長を誘発し、それにより腫瘍形成が開始されるシグナルカスケードの出発であると仮定される。しかし、以下のようなErbB-2ホモ二量体が腫瘍形成の開始を担うという仮説に矛盾する証拠が存在する。
i)二量体形成を増大させて自己リン酸化するように遺伝子操作したいくつかのErbB-2変異体が細胞形質転換に影響を与えないこと、
ii)ErbB-2の細胞外ドメインに結合し、おそらく二量体形成を促進する抗体によりErbB-2発現癌細胞成長が促進されるが、他の抗体は癌細胞成長を阻害すること。
これらのデータは、ErbB-2のホモ二量体形成が細胞成長の促進または細胞の形質転換に不十分であり、おそらく二量体の特異的配向または高次構造を含む他の条件が必要であることを示す。
【0007】
ErbB-2は、リガンド結合のErbB-3受容体またはErbB-4受容体のヘテロ二量体パートナーとして作用する。リガンドNRG-1は、2つの独立した受容体結合部位(一方は、ErbB-3またはErbB-4に高い親和性を有し、他方は全てのErbBメンバーに対する特異的親和性が低いか無い)を有することが同定されている。したがって、ErbB-3/4およびErbB-2を発現する細胞へのNRG-1の曝露により、ErbB-2およびErbB-3 /4のヘテロ二量体が得られる。しかし、リガンドの非存在下では、ErbB-2が他のErbB受容体に親和性を示すかどうかは不明確であり、このような相互作用が癌の開始に関与する可能性がある。全てのErbB受容体のうち、ErbB-3は以下の理由で特有である。
i)ErbB-2は優先的にErbB-3とヘテロ二量体を形成すること、
ii)NIH3T3細胞のErbB-2およびErbB-3との同時トランスフェクションによりErbB-2のみでのトランスフェクションよりも細胞形質転換レベルがはるかに高くなること、
iii)ErbB-2過剰発現関連乳癌細胞では、ErbB-3もまた高度に発現すること、および
iv)ErbB-3もまたErbB-2トランスジェニックマウス由来のErbB-2過剰発現腫瘍細胞で過剰発現されること。
【0008】
多数の特許および特許出願は、ErbB-2および/またはErbB-3関連新生物または癌治療を開示している。例えば、国際公開公報第00/78347号は、ErbB-2/ErbB-3ヘテロ二量体形成を予防または減少させる工程または細胞におけるErbB-2/ErbB-3ヘテロ二量体高次構造を妨害する工程を含む、細胞成長、特に癌細胞成長の停止または阻害方法ならびにErbB-2/ErbB-3ヘテロ二量体形成を防止または減少させるか細胞における ErbB-2/ErbB-3ヘテロ二量体高次構造を妨害し、それにより細胞成長を停止または阻害する薬剤を開示する。米国特許第5,578,482号は、 erbB-2癌遺伝子産物に結合することができるerbB-2リガンドおよびその機能的誘導体に関する。米国特許第5,820,859号は、erbB-3 受容体を発現する細胞への治療薬の標的化方法に関する。米国特許第5,968,511号は、ErbB3抗体に関する。
【0009】
より有効および/または費用効果のあるErbB-3関連新生物治療が当技術分野において必要である。本発明は、当技術分野のこの必要性および他の関連する必要性に取り組む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
<発明の開示>
1つの局面では、哺乳動物の新生物の予防、治療、または遅延の方法であって、このような予防、治療、または遅延が必要または望ましい哺乳動物に有効量の ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片または前記ErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を投与し、それにより前記新生物に対する免疫応答が得られ、前記新生物が予防、治療、または遅延する工程を含む方法に関する。
【0011】
別の局面では、本発明は、配列番号:2(図5)または配列番号:3(図11)に記載のアミノ酸配列を含む前記ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸配列、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、単離核酸断片に関する。
【0012】
さらに別の局面では、本発明は、配列番号:2または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を含む前記ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸配列、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列を含む、実質的に精製されたタンパク質またはペプチドに関する。
【0013】
さらに別の局面では、本発明は、
a)配列番号:2または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を含む前記ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸配列、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドと、
b)i)結合体の親和性単離または親和性精製、
ii)結合体の表面への付着、または
iii)結合体の検出を促進する、直接またはリンカーを介してErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片に連結した促進薬と
を含む結合体に関する。
【0014】
さらに別の局面では、本発明は、配列番号:2または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を含む前記ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片中のエピトープ、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸配列を含むアミノ酸、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列に結合する抗体に関する。
【0015】
ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片もしくはコードする核酸およびこのような細胞外ドメインまたはその機能的断片に結合する抗体を含む薬学的組成物および/またはワクチンも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】B3 cDNA配列(配列番号:4)を示す図である。
【図2】B3プラスミドの制限酵素消化を示す図である。レーン1:1KBラダー(NEB)。レーン 2-9:BamHI/XbaIでの診断的消化のためのDNA。レーン5のコロニー以外は全て正しいクローンである。レーン10:BamHI/XbaIで消化したpCDNA3ベクターのみ。
【図3】B3プラスミド構築物を示す図である。
【図4】B3タンパク質の単離および/または精製ならびにSDS-PAGE分析を示す図である。レーン1-4:それぞれBSA対照、10 ug、5 ug、3 ug、1 ug/レーン。レーン5:タンパク質マーカー、7708S NEB。レーン6-7:COS7を発現したB3タンパク質。
【図5】B3アミノ酸配列(配列番号:2)を示す図である。
【図6】DE3-1 cDNA配列(配列番号:5)を示す図である。
【図7】DE3-1プラスミド構築物を示す図である。
【図8】DE3-1プラスミドの制限酵素消化を示す図である。レーン1:BamHI/XhoIで切断したpGEX4T-1中のDE3-1。レーン2: BamHI/XhoIで切断したpET32a中のDE3-1。レーン3:1Kdのラダー(NEB)。
【図9】DE3-1発現のSDS-PAGE分析を示す図である。レーン1:誘導前。レーン2:誘導後。レーン3:封入体。レーン4:超音波処理後の上清。
【図10】DE3-1タンパク質の単離および/または精製ならびにSDS-PAGE分析を示す図である。レーン1:素通り画分、レーン2-8:NTA Hisタグアフィニティカラム由来の溶出画分。
【図11】DE3-1アミノ酸配列(配列番号:3)を示す図である。
【図12】FVB/Nトランスジェニックマウスの発生率に対する種々のワクチンの効果を示す図である。
【図13】マウスの腫瘍成長(5週間)に対する種々の薬物の効果を示す図である。
【図14】腫瘍成長(5週間)に対する種々の薬物の腫瘍阻害効果を示す図である。
【図15】マウスの乳癌の成長(5週間)に対するDE3-1の効果を示す図である。
【図16】腫瘍成長(5週間)に対するDE3-1の腫瘍阻害率を示す図である。
【図17】B2抗原とB3抗原との間の交差免疫実験を示す図である(B3タンパク質被覆)。
【図18】B2抗原とB3抗原との間の交差免疫実験を示す図である(B2タンパク質被覆)。
【図19】PCR増幅の結果を示す図である。レーン2,3:RT-PCRによって得られた192bp のErbB3-f12遺伝子。レーン1:DNAマーカー。
【図20】発現操作株のスクリーニングを示す図である。
【図21】rhErbB3-f12の抗腫瘍効果の実験結果を示す図である。
【図22】rhErbB3-f78の抗腫瘍効果の実験結果を示す図である。
【図23】ErbB3-f12アミノ酸配列(配列番号:14)を示す図である。
【図24】ErbB3-f78 cDNA配列(配列番号:15)を示す図である。
【図25】ErbB3-f78アミノ酸配列(配列番号:16)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
開示を明確にするために、決して制限されないが、本発明の詳細な説明を以下の節に分けて示す。
【0018】
A.定義
他で定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明の属する技術分野の当業者に一般に理解されている意味を有する。本明細書中で言及されている全ての特許、出願、公開された出願、および他の刊行物は、その全体が参照として組み入れられる。本節に記載の定義が、参照として本明細書に組み入れられる特許、出願、公開された出願、および他の刊行物中に記載の定義と対照的であるか一致しない場合、参照として組み入れられる定義よりも本節に記載の定義を優先する。
【0019】
本明細書中で使用される、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」または「一つまたは複数」を意味する。
【0020】
本明細書中で使用される、「新生物(新形成)」は、異常な新規の成長をいい、腫瘍を意味し、良性または悪性のいずれでもよい。過形成と異なり、新生物増殖は、元の刺激が無い場合でさえも持続する。
【0021】
本明細書中で使用される、「癌」は、任意の悪性腫瘍型に起因する疾患の一般用語をいう。
【0022】
本明細書中で使用される、「悪性」は、腫瘍に適用する場合、成長および位置の制御ができない転移能を有する原発性腫瘍をいう。
【0023】
本明細書中で使用される、「erb」は、赤芽球症ウイルス(急性形質転換レトロウイルス)に関連する2つの癌遺伝子erbAおよびerbBをいう。
【0024】
本明細書中で使用される、「免疫応答」は、抗原に反応した生物の免疫系の応答の変化をいい、脊椎動物では、これは、抗体産生、細胞媒介免疫の誘導、補体活性化、または免疫寛容の発達を含み得る。
【0025】
本明細書中で使用される、「免疫応答増強薬」は、免疫応答の誘発に対する抗原の効果を強化する物質をいう。
【0026】
本明細書中で使用される、「ワクチン」は、有効な免疫学的予防を意図する任意の組成物をいう。ワクチンを、疾患の治療、疾患の発症の予防、または予防的にもしくは感染後に疾患の重症度の減少のために治療的に使用することができる。ワクチンの例には、死滅させた毒性の強い株の微生物または弱毒化(変異型または変異体)株の生きた微生物、または微生物、真菌、植物、原生動物、または後生動物亜界の誘導体もしくは産物の調製物が含まれるが、これらに限定されない。「ワクチン」はまた、タンパク質/ペプチドおよび核酸/オリゴヌクレオチドを用いたワクチンを含む。
【0027】
本明細書中で使用される、「抗新生物薬(抗新生物剤、抗腫瘍薬、または抗癌薬と交換可能に使用される)」は、抗新生物治療で使用する任意の薬剤をいう。これらには、単独または他の化合物と組み合わせて使用した場合、臨床症状を緩和、軽減、改善、予防、または臨床状態を鎮静状態にするか維持することができる任意の薬剤または新生物、腫瘍、または癌に関連する診断マーカーが含まれ、本明細書中に提供した方法、組み合わせ、および組成物で使用することができる。抗新生物薬には、抗血管新生剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、ある一定の天然産物、白金配位複合体、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制薬、ある一定のホルモンとアンタゴニスト、抗癌多糖、および漢方エキスなどのある一定のハーブエキスが含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書中で使用される、「抗新生物治療」は、その症状の低減または改善によって新生物、腫瘍、または癌を治療するためにデザインした任意の治療をいう。新生物、腫瘍、または癌の発症を予防するかその重症度を低下させる治療も意図される。
【0029】
本明細書中で使用される、「抗新生物薬(または抗腫瘍薬または抗癌薬)または抗新生物治療」は、ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片または ErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片、または治療での使用は含まれないが、当業者に公知の新生物、腫瘍、または癌のいくつかの様式で症状を改善するための全ての薬剤および治療方法を含む。
【0030】
本明細書中で使用される、「特定の疾患を治療するための化合物の有効量」は、疾患に関連する症状を改善するかいくつかの様式では軽減させるのに十分な量である。このような量を、有効となる単回投与量として投与するか、治療計画にしたがって投与することができる。量は疾患を治癒することができるが、典型的には、疾患の症状を改善するために投与することができる。所望の症状の改善を達成するために、反復投与を必要とし得る。
【0031】
本明細書中で使用される、「治療」は、病態、障害、または疾患の症状が改善されるか有利に変化する任意の様式を意味する。治療はまた、本明細書中に記載の組成物の任意の薬学的使用を含む。
【0032】
本明細書中で使用される、特定の薬学的組成物の投与による特定の障害の症状の「改善」は、組成物の投与に寄与するか関連し得る恒久的または一過性、永続的または一時的な任意の低減をいう。
【0033】
本明細書中で使用される、「抗体」は、最も広い意味で使用され、特に、完全なモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、少なくとも 2つの完全な抗体から形成される二重特異性抗体)、および抗体断片(これらが所望の生物活性を示す限り)を対象として含む。抗体は、例えば、IgM、 IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)、 IgD、IgA、またはIgEであり得る。
【0034】
本明細書中で使用される、「抗体断片」は、完全な抗体の一部、一般に、完全な抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、 Fab'、F(ab')2、およびFv断片;ダイアボディ(diabody);単鎖抗体分子;および抗体断片から形成された多特異性抗体が含まれる。
【0035】
本明細書中で使用される、「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体(すなわち、集団を含む各抗体は少量存在し得る天然に存在し得る変異以外は同一である)をいう。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、1つの抗原部位に対するものである。さらに、典型的には異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物と対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の1つの決定基に対するものである。その特異的に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンによって汚染されていないハイブリドーマ培養物によって合成されるという点で有利である。
【0036】
本明細書中で使用される、「ポリクローナル抗体」は、動物全体と同様に、Bリンパ球のいくつかのクローンによって産生される抗体をいう。通常、免疫化動物で惹起された抗体をいうが、通常インビトロで保持されているモノクローナル抗体はBリンパ球の1つのクローンの産物である。
【0037】
本明細書中で使用される、「ハイブリドーマ」は、腫瘍細胞が元の起源細胞の1つを形成する細胞ハイブリッドをいう。ハイブリドーマの例は、Tリンパ球またはBリンパ球とモノクローナル抗体を産生する適切な骨髄腫細胞株との間のハイブリッドである。
【0038】
本明細書中で使用される、「ヒト化抗体」は、ヒトへの投与により免疫応答を誘発しないアミノ酸の「ヒト」配列を含むように改変された抗体をいう。このような抗体の調製方法は公知である。例えば、モノクローナル抗体を発現するハイブリドーマを、組換えDNA技術によって非可変領域のアミノ酸組成がヒト抗体に基づく抗体を発現するように変化させる。このような領域を同定するようなコンピュータプログラムがデザインされている。
【0039】
本明細書中で使用される、「組換え手段による産生」は、クローニングされた核酸によってコードされるタンパク質の発現について周知の分子生物学的方法に依存する組換え核酸方法を使用する産生方法をいう。
【0040】
本明細書中で使用される、「相補的」は、2つの核酸分子に関する場合、2つのヌクレオチド配列が、好ましくは25%未満のミスマッチ、より好ましくは 15%未満のミスマッチ、さらにより好ましくは5%未満のミスマッチ、最も好ましくは対立したヌクレオチド間のミスマッチがなくハイブリッド形成することができることを意味する。好ましくは、2つの分子は、高ストリンジェンシー条件下でハイブリッド形成する。
【0041】
本明細書中で使用される、ミスマッチ率の決定における「ハイブリッド形成のストリンジェンシー」を以下に示す。
1)高ストリンジェンシー:0.1×SSPE、0.1%SDS、65℃;
2)中間のストリンジェンシー:0.2×SSPE、0.1%SDS、50℃(中程度のストリンジェンシーともいう);および
3)低ストリンジェンシー:1.0×SSPE、0.1%SDS、50℃。
別の緩衝液、塩類、および温度を使用して等価なストリンジェンシーを達成することができると理解される。
【0042】
本明細書中で使用される、「ベクター(またはプラスミド)」は、その発現または複製のために異種DNAを細胞に導入するために使用される個別のエレメントをいう。このような送達体の選択および使用は、当業者に周知である。発現ベクターには、このようなDNA断片を発現させることができるプロモーター領域などの調節配列に作動可能に連結されたDNAを発現することができるベクターが含まれる。したがって、発現ベクターは、適切な宿主細胞へ移入されるとクローニングされたDNAを発現するプラスミド、ファージミド、組換えウイルス、または他のベクターなどの組換えDNAまたはRNA構築物をいう。適切な発現ベクターは当業者に周知であり、真核細胞および/または原核細胞で複製可能なベクターならびにエピソームを維持するベクターもしくは宿主細胞ゲノムに組み込まれるベクターが含まれる。
【0043】
本明細書中で使用される、「プロモーター領域またはプロモーターエレメント」は、作動可能に連結されたDNAまたはRNAの転写を調節するDNAまたは RNAのセグメントをいう。プロモーター領域には、RNAポリメラーゼの認識、結合、および転写阻害に十分な特異的配列が含まれる。プロモーター領域のこの部分を、プロモーターという。さらに、プロモーター領域には、RNAポリメラーゼの認識、結合、および転写開始活性を調整する配列が含まれる。これらの配列は、シスで作用するか、トランス作用因子に応答することができる。調節の性質に依存して、プロモーターは、構成的であるか調節することができる。原核生物での使用を意図するプロモーターの例には、バクテリオファージのT7およびT3プロモーターなどが含まれる。
【0044】
本明細書中で使用される、「作動可能に連結されたまたは作動可能に結合した」は、DNAとヌクレオチドの調節配列およびエフェクター配列(プロモーター、エンハンサー、転写および翻訳終始部位ならびに他のシグナル配列など)との機能的関係をいう。例えば、DNAのプロモーターとの作動可能な連結は、このようなDNAの転写がDNAを特異的に認識し、結合し、転写するRNAポリメラーゼによってプロモーターから開始されるようなDNAとプロモーターとの間の物理的および機能的関係をいう。発現および/またはインビトロ転写を最適にするために、余剰且つ潜在的に不適切な別の翻訳開始(すなわち、開始)コドンまたは転写または翻訳のレベルで発現を妨害するか減少させ得る他の配列を排除するためにクローンの5'非翻訳部分を除去、付加、または改変させる必要があり得る。または、コンセンサスリボゾーム結合部位(例えば、Kozak, J.Biol.Chem., 266: 19867-19870 (1991)を参照のこと)を、開始コドンの5'のすぐ近くに挿入し、発現を増大させることができる。このような修飾の望ましさ(または必要性)を実験的に決定することができる。
【0045】
本明細書中で使用される、「タンパク質結合配列」は、他のタンパク質配列またはペプチド配列、一般に、一組のタンパク質配列またはペプチド配列または特定のタンパク質配列またはペプチド配列に特異的に結合することができるタンパク質配列またはペプチド配列をいう。
【0046】
本明細書中で使用される、「エピトープタグ」は、「エピトープタグ化」タンパク質またはペプチドのその後の生化学的および免疫学的分析を促進するためのエピトープに対応するアミノ酸残基の短い配列をいう。適切な発現ベクター中のタンパク質コード配列への「エピトープタグ」配列の付加によって「エピトープタグ化」を行う。「エピトープタグ化」タンパク質を、タグに対して惹起した特異性の高い抗体を使用してアフィニティ精製を行うことができる。
【0047】
本明細書中で使用される、「プロテインAまたはプロテインG」は、ほとんどのIgGイソ型のFc領域に結合することができるタンパク質をいう。プロテイン AまたはプロテインGは、典型的には、いくつかのブドウ球菌(Staphylococci)株の細胞壁で見出される。実質的にその活性が変化しない保存的アミノ酸置換されたプロテインAまたはプロテインGを含むことが意図される。
【0048】
本明細書中で使用される、「ヌクレオチド結合配列」は、ヌクレオチド配列(一般に、一組のヌクレオチド配列)または特定のヌクレオチド配列に特異的に結合することができるタンパク質配列またはペプチド配列をいう。
【0049】
本明細書中で使用される、「脂質結合配列」は、脂質(一般的に、一組の脂質)または特定の脂質に特異的に結合することができるタンパク質配列またはペプチド配列をいう。
【0050】
本明細書中で使用される、「多糖結合配列」は、多糖(一般的に、一組の多糖)または特定の多糖に特異的に結合することができるタンパク質配列またはペプチド配列をいう。
【0051】
本明細書中で使用される、「金属結合配列」は、金属イオン(一般的に、一組の金属イオン)または特定の金属イオンに特異的に結合することができるタンパク質配列またはペプチド配列をいう。
【0052】
B.ErbB-3を使用した新生物の予防、治療、または遅延の方法
1つの局面では、本発明は、哺乳動物の新生物の予防、治療、または遅延の方法であって、このような予防、治療、または遅延が必要または望ましい哺乳動物に有効量のErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を投与し、それにより前記新生物に対する免疫応答が得られ、前記新生物が予防、治療、または遅延する工程を含む方法に関する。
【0053】
本方法を、任意の哺乳動物(マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、雌牛、雄牛、ヒツジ、ヤギ、ウマ、サル、および他の非ヒト霊長類など)の新生物の予防、治療、または遅延に使用することができる。好ましくは、本方法を、ヒトの新生物の予防、治療、または遅延に使用することができる。
【0054】
治療、予防、または遅延すべき新生物に対して免疫応答を誘発することができる任意の適切なErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB- 3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を、本方法で使用することができる。ErbB-3誘発免疫応答は、細胞性、体液性、またはその両方であり得る。例えば、米国特許第5,820,859号に開示のErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を、本方法で使用することができる。他の例では、ラットErbB-3(GenBankアクセッション番号U29339および Hellyerら、Gene,165(2):279-284(1995)、フグ・ラブライペス(Fugu rubripes)ErbB-3(GenBankアクセッション番号AF056116およびGellnerとBrenner, Genome Res., 9(3): 251-258 (1999))、およびヒトErbB-3(GenBankアクセッション番号M29366およびKrausら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A., 86: 9193-9197 (1989))由来のErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を、本方法で使用することができる。好ましくは、ヒトErbB-3由来のErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を、本方法で使用する。その活性が実質的に変化しない保存的アミノ酸置換を含む任意のErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片を、本方法で使用することができる。
【0055】
好ましい態様では、有効量のErbB-3タンパク質の細胞外ドメインもしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質の細胞外ドメインをコードする核酸もしくはその機能的断片を投与する。別の好ましい態様では、配列番号:1に記載のアミノ酸配列、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含む有効量のErbB-3タンパク質を投与する。さらに別の好ましい態様では、配列番号:2または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を含む有効量のErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片を投与する。
【0056】
本方法は、さらに、哺乳動物に免疫応答増強薬を投与する工程を含み得る。免疫応答増強薬を、ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片または ErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片の投与前、投与時、または投与後に投与することができる。免疫応答増強薬の例には、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)(Ratliff, Eur.Urol., 2: 17-21 (1992))、コリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium Parvum)(Lillehojら、Avian Dis., 37(3): 731-40 (1993))、ウシ流産菌(Brucella abortus)抽出物、グルカン、レバミゾール、チロロン、酵素、無毒性ウイルス、多糖、およびハーブ抽出物(漢方エキスなど)が含まれる。
【0057】
好ましくは薬学的組成物の形態でのErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片の製剤、投薬量、および投与経路を、当技術分野において公知の方法にしたがって決定することができる(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmnacy, Alfonso R. Gennaro(編) Mack Publishing Company, April 1997; Therapeutic Peptides and Proteins:Formulation, Processing, and Delivery Systems, Banga, 1999;およびPharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins, HovgaardとFrkjr(編), Taylor & Francis, Inc. , 2000; Medical Applications of Liposomes, LasicとPapahadjopoulos(編), Elsevier Science, 1998; Textbookof Gene Therapy, Jain, Hogrefe & Huber Publishers, 1998;Adenoviruses:Basic Biology to Gene Therapy, Vol. 15, Seth, Landes Bioscience, 1999;Biopharmaceutical Drug Design and Development, Wu-PongとRojanasakul(編), Humana Press, 1999;Therapeutic Angiogenesis:From Basic Science to the Clinic, Vol. 28, Doleら(編), Springer-Verlag New York, 1999を参照のこと)。ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を、経口、直腸、局所、吸入、口内(例えば、舌下)、非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、または静脈内)、経皮投与または任意の他の適切な投与経路用に製剤化することができる。任意の所与の症例における最も適切な経路は、治療される病態の性質および重症度ならびに使用される特定のErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片の性質に依存する。
【0058】
ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を、哺乳動物の任意の適切な位置に投与することができる。好ましくは、ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を、インサイチューで新生物に投与する(すなわち、新生物が存在する位置またはその周辺に投与する)。また、好ましくは、本方法は、免疫応答増強薬をインサイチューで新生物に投与する工程をさらに含むことができる。
【0059】
ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を単独で投与することができる。またはおよび好ましくは、ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を、薬学的に許容される担体または賦形剤と同時投与する。任意の適切な薬学的に許容される担体または賦形剤を、本方法で使用することができる(例えば、 Remington:The Science and Practice of Pharmacy, Alfonso R. Gennaro(Editor)Mack Publishing Company, April 1997を参照のこと)。
【0060】
本発明の方法を単独で使用することができる。または、本発明の方法を、他の抗新生物治療(例えば、放射線療法、化学療法、または手術)と組み合わせて使用することができる。本発明の方法を、他の抗新生物薬と組み合わせて使用することもできる。このような他の抗新生物治療または抗新生物薬を、ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片の投与前、投与時、または投与後に使用することができる。例えば、ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を、抗新生物薬と同時投与することができる。
【0061】
任意の適切な抗新生物薬を、本発明の方法で使用することができる。抗新生物薬の例には、抗血管新生剤(例えば、Auerbachと Auerbach,Pharmacol. Ther., 63(3):265-311(1994))、アルキル化剤、代謝拮抗薬、天然産物、白金配位複合体、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制薬、ホルモン、アンタゴニスト、癌遺伝子インヒビター、腫瘍抑制遺伝子またはタンパク質、抗癌遺伝子抗体、および抗癌遺伝子アンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0062】
ErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片または任意の腫瘍抑制遺伝子を、遺伝子送達系の成分として裸のDNA、複合体化DNA、 cDNA、プラスミドDNA、RNA、または他のその混合物の形態で使用することができる。別の態様では、ErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片または腫瘍抑制遺伝子は、ウイルスベクター中に含まれる。遺伝子治療に適切な任意のウイルスベクターを、組み合わせ中で使用することができる。例えば、アデノウイルスベクター(米国特許第5,869,305号)、サルウイルスベクター(米国特許第5,962,274号)、条件付き複製ヒト免疫不全ウイルスベクター(米国特許第5,888,767号)、レトロウイルスベクター、SV40ベクター、単純ヘルペスウイルスアンプリコンベクター、およびワクシニアウイルスベクターを使用することができる。さらに、脂質が凝固時の酸化からDNAまたは他の生体物質を保護するリポソームなどの非ウイルスベクター系で遺伝子を送達することができる。
【0063】
本発明の方法を使用して、任意の適切な新生物または癌を治療、予防、または遅延することができる。好ましくは、本発明の方法を使用して、ErbB-2と ErbB-3との間の相互作用が新生物または癌の発症または維持に重要である任意の適切な新生物または癌を治療、予防、または遅延する。例えば、本発明の方法を使用して、副腎、肛門、聴覚神経、胆管、膀胱、骨、脳、乳房、口内、中枢神経系、頸部、結腸、耳、子宮内膜、食道、眼、眼陰部、卵管、胃腸管、頭頸部、心臓、腎臓、咽頭、肝臓、肺、下顎、下顎関節頭、上顎、口、鼻咽頭、鼻、口腔、卵巣、膵臓、耳下腺、陰茎、耳介、下垂体、前立腺、直腸、網膜、唾液腺、皮膚、小腸、脊髄、胃、精巣、甲状腺、扁桃腺、尿道、子宮、膣、内耳神経、および外陰の新生物を治療、予防、または遅延することができる。好ましくは、本発明方法を使用して、乳癌、卵巣癌、胃癌、前立腺癌、結腸癌および肺癌を治療、予防、または遅延する。より好ましくは、本発明方法を使用して、乳癌を治療、予防、または遅延する。
【0064】
本発明によれば、ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を単独または他の薬剤、担体、または賦形剤と組み合わせて、体腔内注射、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、皮内注射、経口または局所投与などの任意の適切な投与経路のために製剤化することができる。本方法は、防腐剤を添加した単位投与形態、アンプル、または複数回投与容器での注射可能な投与のための製剤を使用することができる。製剤は、懸濁液、溶液、または油性または水性送達体中の乳濁液などの形態をとることができ、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤などの製剤を含み得る。または、有効成分は、使用前に適切な送達体、滅菌無発熱物質水、または他の溶媒で構築するための粉末形態であり得る。本発明の局所投与は、泡沫、ゲル、クリーム、軟膏、経皮パッチ、またはペーストを使用することができる。
【0065】
本発明で使用することができる薬学的に許容される組成物およびその投与方法には、米国特許第5,736,154号;同第6,197,801 B1号;同第5,741, 511号;同第5,886,039号;同第5,941,868号;同第6,258,374 B1号;および同第5,686,102号に記載のものが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
治療または予防の治療用量の程度は、治療すべき病態の重症度および投与経路によって変化する。用量、おそらく投与頻度も年齢、体重、各患者の健康状態および応答によって変化する。
【0067】
毒性または副作用に起因する投薬量を低減するために主治医はどのようにして且ついつ治療を終了、中断、または調整するかを理解していることに留意すべきである。逆に、医師は、臨床的応答が適切でない(副作用を排除する)場合にどのようにして且ついつより高いレベルでの治療を調整するかどうかも理解している。
【0068】
任意の適切な投与経路を使用することができる。剤形には、錠剤、トローチ、カシェ、分散物、懸濁液、溶液、カプセル、およびパッチなどが含まれる。 Remington's Pharmaceutical Sciencesを参照のこと。
【0069】
特定の使用では、従来の薬学的混合技術にしたがって、薬学的担体または賦形剤(β−シクロデキストリンおよび2-ヒドロキシ-プロピル-β-シクロデキストリンなど)との入念な混合で活性であるので、ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を単独または他の剤と組み合わせることができる。担体は、局所または非経口投与に望ましい広範な調製物形態をとることができる。非経口剤形(静脈内注射または注入など)のための組成物の調製では、類似の薬学的媒質(当業者に公知の水、グリコール、油、緩衝液、糖、防腐剤、およびリポソームなど)を使用することができる。このような非経口組成物の例には、5%w/vデキストロース、通常の生理食塩水、または他の溶液が含まれるが、これらに限定されない。単独または投与すべき他の薬剤と組み合わせた総投与用量のErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を、約1mlから2000mlまでの範囲の静脈内輸液のバイアルで投与することができる。希釈液の体積は、総投与用量にしたがって変化する。
【0070】
本発明はまた、本発明の治療計画を実施するためのキットを提供する。このようなキットは、治療有効量のErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を単独または他の薬剤と組み合わせて薬学的に許容される形態で一つまたは複数の容器中に含む。好ましい薬学的形態は、滅菌生理食塩水、デキストロース溶液、もしくは緩衝液、または他の薬学的に許容される滅菌流動物との組み合わせである。または、組成物を、滅菌または乾燥させることができる。この例では、キットは、任意で容器中に複合体を再構築して注射用溶液を形成するための薬学的に許容される溶液(好ましくは無菌)をさらに含む。薬学的に許容される溶液の例は、生理食塩水およびデキストロース溶液である。
【0071】
別の態様では、本発明のキットは、好ましくは組成物注射用の滅菌形態で密封された針またはシリンジおよび/または密封されたアルコールパッドをさらに含む。任意で、医師または患者による組成物の投与のための説明書が含まれる。
【0072】
C. ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインおよびErbB-3タンパク質の細胞外ドメインをコードする核酸ならびにその使用
別の局面では、本発明は、配列番号:2または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を含むErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸配列、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列またはその相補鎖と低、中、または高ストリンジェンシーでハイブリッド形成する単離核酸断片に関する。
【0073】
好ましい態様では、単離核酸断片が、配列番号:2または配列番号:3に記載のアミノ酸配列、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基 24〜81を含むアミノ酸配列、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列を含むErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片をコードするヌクレオチド配列またはその相補鎖と高ストリンジェンシーでハイブリッド形成する。別の好ましい態様では、単離核酸断片は、配列番号:2または配列番号:3に記載のアミノ酸配列、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基 24〜81を含むアミノ酸配列、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列を含むErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片をコードするヌクレオチド配列またはその相補鎖を含む。さらに別の好ましい態様では、単離核酸断片は、配列番号:4(図1)または配列番号:5(図6)に記載のヌクレオチド配列もしくはその相補鎖、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸配列、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列を含む。
【0074】
単離核酸断片は、任意の適切な形態であり得る。例えば、単離核酸断片は、DNA、RNA、PNA、またはその誘導体を含み得る。または、単離核酸断片は、 DNAおよびRNAまたはその誘導体の両方を含み得る。単離核酸断片は、一本鎖であり、ハイブリッド形成分析で使用する状態にあり得る。または、単離核酸断片は、二本鎖であり、ハイブリッド形成分析前に一本鎖に変性させることができる。
【0075】
単離核酸断片は、遺伝子コードされた構造および/または天然に存在する構造を含む任意の種類のオリゴヌクレオチドまたは核酸鎖を含み得る。単離核酸断片は、非天然エレメント(非天然塩基(例えば、イノシンおよびキサンチン)、非天然糖(例えば、2'-メトキシリボース)、または非天然ホスホジエステル結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホチオエート)、およびペプチドなど)を含み得る。
【0076】
単離核酸断片を、任意の適切な方法によって産生することができる。例えば、単離核酸断片を化学合成するか(一般に、Ausubel(編)Current Protocols in Molecular Biology, 2.ll. Synthesis and purification of oligonucleotides, John Wiley & Sons, Inc.(2000)を参照のこと)、天然の供給源から単離するか、組換え法またはその組み合わせによって産生することができる。好ましくは、単離核酸断片を、組換え法によって産生する。
【0077】
単離核酸断片を、種々の目的(例えば、検出、精製、および/または表面への付着の促進)のために標識することができる。標識は、化学標識、酵素標識、免疫標識、放射性標識、蛍光標識、発光標識、またはFRET標識であり得る。
【0078】
上記の核酸断片を含むプラスミドも提供する。上記プラスミドを含む細胞をさらに提供する。任意の適切な細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物細胞、およびヒト細胞)を使用することができる。
【0079】
さらに別の局面では、本発明は、ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片の産生方法であって、ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片が細胞によって発現される条件下で上記細胞を成長させる工程と、発現したErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片を回収する工程とを含む方法に関する。
【0080】
さらに別の局面では、本発明は、配列番号:2または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を含むErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸配列、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列を含む実質的に精製されたタンパク質またはペプチドに関する。ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片を、任意の適切な方法によって産生することができる。例えば、ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片を、化学合成するか、天然の供給源から単離するか、組換え法またはその組み合わせによって産生することができる。好ましくは、ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片を、組換え法によって産生する。
【0081】
さらに別の局面では、本発明は、
a)配列番号:2または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を含む前記ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸配列、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドと、
b)i)結合体の親和性単離または親和性精製、
ii)結合体の表面への付着、または
iii)結合体の検出を促進する、直接またはリンカーを介してErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片に連結した促進薬と
を含む結合体に関する。結合体が融合タンパク質であり得る。または、ErbB-3タンパク質またはその機能的断片および促進薬を、他の手段によって連結することができる。結合体が融合タンパク質である場合、結合体をコードする核酸も提供する。
【0082】
結合体を、チオール結合などを介した化学的結合によって産生することができるが、融合タンパク質などの組換え手段によって産生することが好ましい。融合タンパク質では、ペプチドまたはその断片を、ErbB-3タンパク質またはその機能的断片のN末端またはC末端のいずれかに連結する。化学的結合体では、ペプチドまたはその断片を、結合することができる任意の場所で連結することができ、1つのErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片または複数のこれらに連結した複数のこのようなペプチドまたは断片が存在し得る。
【0083】
当業者に公知の任意の方法によって結合することができる。下記のように、共有結合、イオン結合、または任意の他の適切な結合を介した化学的手段によって結合することができる。例えば、国際公開公報第01/02600号に開示の結合のための試薬および方法を使用することができる。
【0084】
いくつかの態様では、結合体は、融合タンパク質のタンパク質またはペプチド断片と親和性結合部分との間の親和性結合によって単離または精製することができる融合タンパク質である。融合タンパク質の単離または精製のために任意の種類の親和性相互作用を使用することができる。親和性相互作用(本明細書中に記載のものなどが含まれるが、これらに限定されない)は、タンパク質/タンパク質、タンパク質/ヌクレオチド、タンパク質/脂質、タンパク質/多糖、またはタンパク質/金属相互作用である。
【0085】
他の1つの態様では、結合体を表面に結合することができる。より好ましくは、結合体を、表面上の結合体の増強剤と親和性結合部分との間の親和性結合によって表面に結合することができる。結合体結合のために任意の種類の親和性相互作用(タンパク質/タンパク質、タンパク質/ヌクレオチド、タンパク質/脂質、タンパク質/多糖、またはタンパク質/金属の相互作用が含まれる)を使用することができる。
【0086】
さらに別の局面では、本発明は、配列番号:2または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を含むErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸配列、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列またはその相補鎖と低、中、または高ストリンジェンシーでハイブリッド形成する単離核酸断片および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物に関する。好ましくは、単離核酸は、配列番号:2または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を含むErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸配列、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列またはその相補鎖を含む。薬学的組成物は、免疫応答増強薬および/または抗新生物薬をさらに含み得る。上記の単離核酸断片を単独または免疫応答増強薬と組み合わせて含むワクチンも提供する。
【0087】
さらに別の局面では、本発明は、配列番号:2または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を含むErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸配列、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列を含む実質的に精製されたタンパク質またはペプチドおよび薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物に関する。薬学的組成物は、免疫応答増強薬および/または抗新生物薬をさらに含み得る。上記の実質的に精製されたタンパク質またはペプチドを単独または免疫応答増強薬と組み合わせて含むワクチンも提供する。
【0088】
さらに別の局面では、本発明は、配列番号:2または配列番号:3に記載のアミノ酸配列、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基 24〜81、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片中のエピトープに結合する抗体に関する。好ましくは、抗体は、配列番号:2または配列番号:3に記載のアミノ酸配列、配列番号:14に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81、または配列番号:16に記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片中のエピトープに特異的に結合する。
【0089】
抗体は、任意の適切な形態で存在し得る。例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、ヒト抗体、またはヒト化抗体であり得る(例えば、米国特許第5,968,511号を参照のこと)。当技術分野において公知の任意の方法にしたがって種々の形態の抗体を作製することができる(例えば、Coliganら(編), Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, Inc.(2000)を参照のこと)。上記抗体を単独または抗新生物薬および薬学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせて含む薬学的組成物も提供する。
【0090】
D.実施例
以下は、例示のみを目的として提供した態様の例である。
【0091】
本発明者らは、乳癌などのヒト癌の治療における抗腫瘍ワクチンとしてのB3、DE3-1、rhErbB3-f12、およびrhErbB3-f78の効果および方法を発見した。
【0092】
本発明者らは、B3、DE3-1、rhErbB3-f12、およびrhErbB3-f78が抗腫瘍ワクチンとして高リスク集団の乳癌などのヒト癌の発症率を有意に低下させることができることを発見した。
【0093】
本発明者らは、B3、DE3-1、rhErbB3-f12、およびrhErbB3-f78の抗腫瘍ワクチンとしての高リスク集団の乳癌などのヒト癌の発症率を有意に低下させる方法を提供した。
【0094】
本発明者らは、B3、DE3-1、DE3-1、rhErbB3-f12、およびrhErbB3-f78が抗腫瘍ワクチンとしてヒト乳癌などの腫瘍発達の遅延に有意な効果を示すことを発見した。
【0095】
本発明者らは、B3、DE3-1、rhErbB3-f12、およびrhErbB3-f78が抗腫瘍ワクチンとしてヒト乳癌などの腫瘍発達に有意な阻害効果を示すことを発見した。
【0096】
本発明者らは、乳癌などの癌の成長を阻害し、免疫応答の誘導を介して達成される方法を発見した。
【0097】
上記の細胞は腫瘍細胞であり得るが、おそらくこれらはヒト乳癌細胞およびErb2/ErbB3を過剰発現する他の癌細胞である。
【0098】
これは上記方法を実現する遺伝子操作を介して発現するErbE3タンパク質抗原である。De3-1、rhErbB3-f12、およびrhErbB3- f78は、大腸菌によって発現されるタンパク質であり、B3は真核細胞によって発現されるタンパク質の抗原または他の方法によって産生されるErbB3抗原であり、ErbB3抗原は、ErbB3分子またはこの分子のセグメントの一部であり得る。
【0099】
乳癌などの癌の典型的な治療条件下で、異なる方法によって産生されるErbB3ワクチンは、ある一定の投薬量レベルで腫瘍成長を阻害することができる。
【0100】
上記癌は、乳癌、卵巣癌、胃癌、前立腺癌、および肺癌を含んでいた。
【0101】
以下の説明は、上記発明をより明確にする。
【0102】
1. 実験材料および方法
B3、De3-1、rhErbB3-f12、およびrhErbB3-f78の調製
本実験に関与するワクチンは、ErbB3の細胞外膜領域中のタンパク質分子および細胞外膜のタンパク質セグメントの一部(B2およびSD32と命名する)を含んでいた。ErbB3の細胞外膜領域中のタンパク質分子および細胞外膜タンパク質の一部(本明細書中で、B3、De3-1、rhErbB3-f12、およびrhErbB3-f78と命名する)を実験試料として使用し、上記ワクチンは、Zensun(Shanghai) Science and Technology Development Co Ltd.によって製造されている。B3およびDE3-1、rhErbB3-f12、およびrhErbB3-f78の調製を以下に示す。
【0103】
<B3 の調製>
B3遺伝子は、PCRによって増幅されたErbB3細胞外膜領域タンパク質をコードするcDNA配列であり(図1)、プライマー配列は以下であった。
【0104】
【化1】

【0105】
イタリック体はフラッグ配列である。
【0106】
PCR増幅後、標的化遺伝子を、pMD-18Tベクターにクローニングし、酵素消化後にトランスフォーマをBamHI/SalIで切断し、この配列が正確であることを同定し、pCDNA3BamHI/xhoIに連結する。
【0107】
高性能の遺伝子操作細菌の確立およびスクリーニング:
PCRによる同定および酵素消化後、遺伝子操作細菌を、15%SDS-PAGE電気泳動、薄層スキャニング分析、アフィニティクロマトグラフィ、ウェスタンブロッティング同定、および安定な高発現標的化タンパク質遺伝子操作細菌の反復スクリーニングに供した。図4は、B3タンパク質精製(アフィニティクロマトグラフィ精製)を示した。図5は、アミノ酸配列決定後のB3精製タンパク質の標的化タンパク質およびアミノ酸配列を示した。
【0108】
<DE3-1 調製>
図6は、PCR増幅標的化遺伝子のコードされた細胞外膜ErbB3タンパク質セグメントのcDNA 配列を示した。発現プラスミドの構造:標的化遺伝子セグメントを、BamHI/XhoIを用いてpGEX4T-1ベクター(Pharmacia company)からから切断し、pET32aベクター(Novagen company)BabHI/XhoIに連結し、T7プロモーターによってタンパク質を発現させ、N末端をTrxタグ、Hisタグ、およびSタグに融合した。図7は、略図を示す。図8は、プラスミド組成の同定を示す。
【0109】
DE3-1タンパク質発現:
プラスミドをBL21株に導入し、株を5mlのLB+APに一晩かけて接種した。100倍希釈物を予め加温しておいたLB+APに37℃で2.5〜3時間接種した(OD=0.6)。37℃で3時間または30℃で8時間IPTGで誘導した。4℃、6Kで10分間遠心分離し、上清を取り出し、沈殿物を氷上に置いた。冷1/20細菌溶液を使用してPBS懸濁液を作製し、超音波処理で破壊した。4℃、12Kで10分間遠心分離し、大量の34KD標的化遺伝子を採取した(図9)。DE3-1タンパク質を精製した。封入体中にDE3-1が出現し、6M塩酸グアニジンに溶解し、NTA-O緩衝液(Hisタグ精製溶液)で透析し(良好な複製条件)、Hisタグアフィニティクロマトグラフィ(Bo-Cai Companyから購入)で精製し(図10)、アミノ酸配列決定後、精製DE3-1タンパク質は標的化タンパク質配列と一致し、図11はアミノ酸配列を示す。
【0110】
<rhErbB3-f12および rhErbB3-f78(配列番号:16)の調製>
rhErbB3-f12(配列番号:14)遺伝子は、PCRで増幅したErbB3細胞外膜領域のタンパク質をコードするcDNA配列であり、プライマー配列は以下であった。
【化2】

【0111】
B3、DE3-1の抗腫瘍効果についての実験
<腫瘍発達に対するB3、DE3-1の予防効果>
8〜10週齢のFVB/Nトランスジェニックマウス(Jackson Lab USAから購入)を実験動物として選択し、マウスを40頭ずつ5つの群に分け、これらを対照群、B2群、B3群、およびDE3-1群とした。BSA、 B2、SD32、B3、DE3-1を、フロイントアジュバント(CFA、フロイント完全アジュバント、Sigma companyから購入)と混合し、各群に20日毎に7回腹部に注射した。BSA、B2、SD32、B3、およびDE3-1ワクチンの投薬量は、 10μg/マウス/注射、5μg/マウス/注射、10μg/マウス/注射、1μg/マウス/注射、および10μg/マウス/注射であった。毎週腫瘍成長をモニターした。腫瘍発達を、統計的に評価および分析した。
【0112】
<腫瘍に対するB3、DE3-1の治療効果>
免疫組織学的スクリーニング試験後の移植腫瘍マウス(腫瘍塊約1000mm3)を、neuタンパク質過剰発現FVB/Nトランスジェニックマウスの自発的腫瘍から切り出した。ナイロンネットを用いて腫瘍塊を1細胞に薄く切り、各FVB/Nトランスジェニックマウスの胸部の下への注射量は、5×106細胞であった。接種から約10〜14日後、対照群で腫瘍が明白であり(5mm超)、動物モデルの確立に成功したことが証明された。
【0113】
対照群には何も投与しなかった。接種から24時間後、SD32およびB3実験群でSD32およびB3ワクチン注射を開始した。上記ワクチンをそれぞれ 0.1mg/mlのAl(OH)3に吸収させ、2週間毎に合計3回複数の場所に注射した。第3の注射から14日後に実験を完了した。罹患率を毎週モニターし、腫瘍サイズをバーニアで毎週測定した。腫瘍体積(長直径×短い直径2/2)を使用してそのサイズを示し、腫瘍成長曲線を作成した。
【0114】
実験完了後に腫瘍重量を測定し、腫瘍阻害率を計算した(阻害率=[(対照群の腫瘍重量−実験群の腫瘍重量)/対照群の腫瘍重量]×100)。
【0115】
腫瘍に対する免疫療法における種々の投薬量のDE3-1、rhErbB3-f12およびrhErbB3-f78の治療効果についての実験
動物および移植動物腫瘍モデルの準備:
(腫瘍に対する免疫療法におけるB3ならびにDE3-1 rhErbB3-f12およびrhErbB3-f78ワクチンの治療効果についての実験)と同じ。対照群には治療を施さず、負の対照群にhisタグタンパク質を注射し、正の対照群にアドリアマイシン(Santou MingZhi Pharmaceuticals)を投与し、DE3-1群に5μg、20μg、および80μgをそれぞれ投与した。
【0116】
接種から1日後、アドリアマイシン2.2mg/kgを正の対照群のマウス腹部に7日間連続して注射した。hisタグタンパク質+AI(OH)3を負の対照群のマウスの腹部に注射した。DE3-1群では、ワクチンを0.1mgのAI(OH)3に吸収させ、2週間毎にマウスの皮下の複数の位置に全部で3回注射した。第3の注射から14日後に実験を完了した。腫瘍発達を毎週モニターし、腫瘍サイズをバーニアで測定し、サイズを(長直径×短い直径2/2)として示し、腫瘍成長曲線を作成し、統計的に分析した。
【0117】
実験完了後に腫瘍重量を測定し、腫瘍阻害率を計算した(腫瘍阻害率=[(対照群の腫瘍重量−実験群の腫瘍重量)/対照群の腫瘍重量]×100)。
【0118】
<B2 およびB3抗原の交差免疫実験>
FVBトランスジェニックマウスをB2タンパク質およびB3タンパク質でそれぞれ免疫化し、10日後、採血し、ELISAを用いて抗体力価を試験し、 0.3μg/穴のB2およびB3を包み、各プレート上の1000倍希釈のB2およびB3を標準的な血清を使用してそれぞれ滴定し、37℃で30分間培養し、1%BSAでシールし、二重抗体を添加し、DADで15分間発色させ、Bio-Rad 450nm酵素標識装置を使用して試験した。
【0119】
2. 実験結果および考察
表1および図12は、B3およびDE3-1の腫瘍阻害効果の実験結果を示す。
【0120】
(表1)B3およびDE3-1ワクチンの腫瘍阻害効果の実験結果
【表1】

【0121】
本実験の目的は、腫瘍発達に対してB3またはDE3-1ワクチンが予防効果を示すかどうかを調査することである。実験動物モデルとしてこのトランスジェニックマウス型を選択した理由は、マウス乳房ウイルスプロモーターによって調節されたラット野生型neu cDNAをマウスの体内に導入し、neuタンパク質を過剰発現させ、半分のマウスにおいて5〜8ヶ月以内に自発的に乳癌を発症するからである。トランスジェニックマウスにおける天然の腫瘍過程およびその病理学的パターンは、ヒト乳癌と類似している。したがって、臨床的に使用する場合、より良好な治療効果を得ることができる。試料は、各群に40頭の動物を含み、このような巨大試料の選択目的は、障害を有する症例数が確実に10頭を超え、それにより統計的により良好に示唆されることである。投薬量の選択は、予備実験の結果に基づく。
【0122】
トランスジェニックマウスを、それぞれBSA、B2、B3、SD32、およびDE3-1で免疫化し、表および図から認められるように、負の対照群において第19週目から37.5%の腫瘍発生率で発症し始める。それに対して、SD32、B3、およびB2群の腫瘍発達器官は21週、22週、および20週であり、その発症率はそれぞれ10%、12.5%、および12.5%であり、腫瘍発達に対してSD32、B3、およびB2ワクチンは有意な腫瘍阻害効果を示すことが証明された(P<0.025;重複実験)。同時に、これらのワクチンは、腫瘍発達時間を延長することができる。DE3-1群における腫瘍存在期間は対照群よりも長いが、腫瘍発生率35%は対照群と有意差があるとはいえない(P<0.05;重複実験)。
【0123】
<B3およびDE3-1ワクチンの抗腫瘍効果の実験結果>
表2および図13〜14は、B3ワクチンの抗腫瘍効果の実験結果を示す。
【0124】
(表2)B3およびDE3-1の抗腫瘍効果の実験結果
【表2】

【0125】
B3の抗腫瘍治療効果を同定するために、本発明者らは、移植腫瘍モデルにおいてB3を使用した免疫療法実験を行った。
【0126】
表2および図13〜14は、マウスの腫瘍成長に対する種々のワクチンの結果を示し、SD32およびB3の腫瘍阻害率がそれぞれ46%および33%であり、これら両方が有意な腫瘍阻害効果を示した(P<0.01;t検定)ことを証明している。
【0127】
<DE3-1、 rhErbB3-f12、およびrhErbB3-f78の抗腫瘍効果の実験結果>
実験群の免疫化マウスに5μg/動物、20μg/動物、および80μg/動物の投薬量を使用し、表3および図15〜16は実験結果を示した。
【0128】
(表3)DE3-1の抗腫瘍効果の実験結果
【表3】

【0129】
腫瘍阻害率および測定された腫瘍サイズは、種々の投薬量のDE3-1を使用した群で一致し、20μgレベルのDE3-1で最良の腫瘍阻害効果が認められ、約28.9%に達した。実験終了後、マウスを屠殺し、腫瘍を取り出し、その重量を測定した。正の対照群、種々の投薬量レベルの群、負の対照群、およびプラシーボ対照群との間で有意差が認められた(P<0.001、t検定)。5μg、20μg、および80μgの投薬量レベルの群の腫瘍阻害率は、それぞれ26.3%、22.4%、および28.9%であった。
【0130】
(表4)rhErbB3-f12の抗腫瘍効果の実験結果
【表4】

【0131】
(表5)rhErbB3-f78の抗腫瘍効果の実験結果
【表5】

【0132】
<B2抗原とB3抗原との間の交差免疫実験>
B2抗原とB3抗原との間の交差免疫実験の目的は、B2抗原とB3抗原との間で交差免疫が存在するかどうかを調査することである。図17〜18は、B2抗原とB3抗原との間にいかなる交差免疫も存在しないことを証明する実験結果を示した。
【0133】
3.まとめ
本研究では、新規の抗腫瘍標的化ErbB3に基づいてデザインされ、且つ腫瘍発達に対する予防効果および腫瘍に対する免疫治療効果を有するB3および DE3-1の新規の有望なワクチンを発見した。
【0134】
以前の研究で発見された腺癌の一部で示されたErbB2受容体の過剰発現を、同種二量体の形成後の癌発生に関連すると見なした。ErbB2の過剰発現を、腺癌発生の主な原因と見なし、これは以下に起因する。
1)乳癌および卵巣癌などの腫瘍細胞中に存在するErbB2遺伝子の増幅がErbB2の過剰発現の原因であること、
2) ErbB2の過剰発現によりその細胞機能領域がリン酸化し、細胞内シグナル分子であるShcとErbB2との間の相互作用に影響を与えること、
3)線維芽細胞への野生型ErbB2のトランスフェクションにより細胞を形質転換することができること、
4) ErbB2同種二量体由来のErbB2変異型形成の増強によりその細胞形質転換活性も増強することができること。
【0135】
この発見の前に、本発明者らは、ErbB2に加えて別の新規の抗腫瘍標的としてErbB3を発見していた。本発明者らは、ErbB2受容体の過剰発現により、ErbB2およびErbB3の異種二量体を形成し、これが癌発生の原因であることを明らかにしている。この新規の標的の発見により、本発明者らは、抗癌治療法の新規の概念(癌を予防および治療するため、乳癌発症を低下させるため、および腫瘍成長に対する効果を得るためのErbB3細胞の細胞外膜タンパク質の使用)を得た。
【0136】
ErbB2を標的化したヒト化モノクローナル抗体−ハーセプチンの多くが成功したのは、ErbB2の過剰発現と種々の腫瘍の発生との間の関連性に基づく。しかし、心筋細胞におけるErbB2受容体およびErbB4受容体の共発現により、ErbB2受容体およびErbB4受容体由来の異種二量体が形成される。この二量体は正常な心筋細胞構造の維持に非常に重要であったので、ErbB2受容体を標的化する抗癌薬は心筋細胞に損傷を与え、心不全を引き起こす。しかし、ErbB3受容体で標的化する抗癌薬はこの副作用を示さない。したがって、乳癌、卵巣癌、胃癌、前立腺癌、直腸癌、および肺癌に対する特異的抗腫瘍ワクチンとしてのErbB3の使用は、これらの癌の予防および治療において非常に重要な役割を果たす。
【0137】
上記実施例は例示目的のみのために含まれ、本発明の範囲の制限を意図しない。上記実施例に対する多数の変形形態が可能である。上記実施例の改変形態および変形形態は当業者に明らかであり、本発明が添付の特許請求の範囲の範囲のみによって制限されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の新生物の予防、治療、または遅延の方法であって、このような予防、治療、または遅延が必要または望ましい哺乳動物に有効量のErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を投与し、それにより新生物に対する免疫応答が得られ、該新生物が予防、治療、または遅延する工程を含む、方法。
【請求項2】
哺乳動物がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
有効量のErbB-3タンパク質の細胞外ドメインもしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質の細胞外ドメインをコードする核酸もしくはその機能的断片を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ErbB-3タンパク質が、配列番号:1記載のアミノ酸配列、または配列番号:14記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81、または配列番号:16記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片が配列番号:2または配列番号:3記載のアミノ酸配列を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
哺乳動物に免疫応答増強薬を投与する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片をインサイチューで新生物に投与する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
免疫応答増強薬をインサイチューで新生物に投与する工程をさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を薬学的に許容される担体または賦形剤と同時投与する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
ErbB-3タンパク質もしくはその機能的断片またはErbB-3タンパク質をコードする核酸もしくはその機能的断片を抗新生物薬と同時投与する、請求項 1記載の方法。
【請求項11】
抗新生物薬が、抗血管新生剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、天然産物、白金配位複合体、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制薬、ホルモン、アンタゴニスト、癌遺伝子インヒビター、腫瘍抑制遺伝子またはタンパク質、抗癌遺伝子抗体、および抗癌遺伝子アンチセンスオリゴヌクレオチドからなる群より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
予防、治療、または遅延すべき新生物が、副腎、肛門、聴覚神経、胆管、膀胱、骨、脳、乳房、口内、中枢神経系、頸部、結腸、耳、子宮内膜、食道、眼、眼陰部、卵管、胃腸管、頭頸部、心臓、腎臓、咽頭、肝臓、肺、下顎、下顎関節頭、上顎、口、鼻咽頭、鼻、口腔、卵巣、膵臓、耳下腺、陰茎、耳介、下垂体、前立腺、直腸、網膜、唾液腺、皮膚、小腸、脊髄、胃、精巣、甲状腺、扁桃腺、尿道、子宮、膣、内耳神経、および外陰の新生物からなる群より選択される、請求項 1記載の方法。
【請求項13】
予防、治療、または遅延すべき新生物が、乳癌、卵巣癌、胃癌、前立腺癌、結腸癌および肺癌からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
予防、治療、または遅延すべき新生物が乳癌である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
a)配列番号:2または配列番号:3記載のアミノ酸配列を含むErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片、
b)配列番号:14記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸配列、または
c)配列番号:16記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、単離核酸断片。
【請求項16】
核酸がDNAである、請求項15記載の単離核酸断片。
【請求項17】
核酸がRNAである、請求項15記載の単離核酸断片。
【請求項18】
請求項16記載の核酸断片を含むプラスミド。
【請求項19】
請求項18記載のプラスミドを含む細胞。
【請求項20】
細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物細胞、およびヒト細胞からなる群より選択される、請求項19記載の細胞。
【請求項21】
ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片の産生方法であって、ErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片が細胞によって発現される条件下で請求項19記載の細胞を成長させる工程と、発現したErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片を回収する工程とを含む、方法。
【請求項22】
a)配列番号:2または配列番号:3記載のアミノ酸配列を含むErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片、
b)配列番号:14記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸配列、または
c)配列番号:16記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列を含む、実質的に精製されたタンパク質またはペプチド。
【請求項23】
a)i)配列番号:2または配列番号:3記載のアミノ酸配列を含むErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片、
ii)配列番号:14記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸配列、または
iii)配列番号:16記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列
を含むタンパク質またはペプチドと、
b)i)結合体の親和性単離または親和性精製、
ii)結合体の表面への付着、または
iii)結合体の検出
を促進する、直接またはリンカーを介してErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片に連結した促進薬と
を含む、結合体。
【請求項24】
融合タンパク質である、請求項23記載の結合体。
【請求項25】
請求項15記載の単離核酸断片および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項26】
免疫応答増強薬および/または抗新生物薬をさらに含む、請求項25記載の薬学的組成物。
【請求項27】
請求項22記載の実質的に精製されたタンパク質および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項28】
免疫応答増強薬および/または抗新生物薬をさらに含む、請求項27記載の薬学的組成物。
【請求項29】
a)配列番号:2または配列番号:3記載のアミノ酸配列を含むErbB-3タンパク質の細胞外ドメインまたはその機能的断片中のエピトープ、
b)配列番号:14記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基24〜81を含むアミノ酸のエピトープ、または
c)配列番号:16記載のアミノ酸配列の少なくともアミノ酸残基2〜139を含むアミノ酸配列のエピトープに結合する、抗体。
【請求項30】
ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である、請求項29記載の抗体。
【請求項31】
ヒト抗体またはヒト化抗体である、請求項29記載の抗体。
【請求項32】
請求項29記載の抗体および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項33】
抗新生物薬をさらに含む、請求項32記載の薬学的組成物。
【請求項34】
請求項15記載の単離核酸断片を含む、ワクチン。
【請求項35】
免疫応答増強薬をさらに含む、請求項34記載のワクチン。
【請求項36】
請求項22記載の実質的に精製されたタンパク質またはペプチドを含む、ワクチン。
【請求項37】
免疫応答増強薬をさらに含む、請求項36記載のワクチン。
【請求項38】
新生物の予防、治療、または遅延において単離核酸断片を使用するための容器および説明書中に請求項15記載の単離核酸断片を含む、キット。
【請求項39】
新生物の予防、治療、または遅延において実質的に精製されたタンパク質またはペプチドを使用するための容器および説明書中に請求項22記載の実質的に精製されたタンパク質またはペプチドを含む、キット。
【請求項40】
請求項15記載の単離核酸断片および抗新生物薬を含む、組み合わせ。
【請求項41】
薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む、請求項40記載の組み合わせ。
【請求項42】
請求項22記載の実質的に精製されたタンパク質またはペプチドおよび抗新生物薬を含む、組み合わせ。
【請求項43】
薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む、請求項42記載の組み合わせ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−213710(P2010−213710A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101148(P2010−101148)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【分割の表示】特願2003−578561(P2003−578561)の分割
【原出願日】平成15年3月26日(2003.3.26)
【出願人】(504361296)ゼンサン (シャンハイ) サイ−テク. リミテッド (1)
【Fターム(参考)】