説明

新規なアセチレン誘導体

【課題】 HSP90阻害活性を有する新規なアセチレン誘導体の提供。
【解決手段】 下記一般式(1A)、一般式(1B)、または、一般式(1C)


[式中、Aは、酸素原子、硫黄原子、または、NRを示し、Xは置換基を有しても良いメチレン基を示し、nは0−3を示し、Y及びYは各々独立して水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基等を示し、Zは、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、置換基を有していてもよい炭素環等を示す。]で表されるアセチレン誘導体、そのプロドラッグ、またはそれらの薬理学的に許容される塩、および、それらを有効成分とする、HSP90阻害剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアセチレン誘導体及びアセチレン誘導体を有効成分とするHSP90阻害剤に関する。これは、HSP90のATP結合部位に結合することで、その機能を阻害し、HSP90と標的蛋白質の結合を阻害し、最終的に細胞増殖を抑制する。
【背景技術】
【0002】
分子シャペロンとは、蛋白質の機能的高次構造形成を促進するため標的蛋白質と一時的に複合体を形成する蛋白質の総称である。蛋白質の折り畳みや会合を助け、凝集を抑止する活性を持つ蛋白質を幅広く指して分子シャペロンと呼んでおり、その分子量によって幾つかのファミリーに分類される(HSP90、 HSP70、 HSP60、 HSP40、 small HSPsなど)。特にHSP90は細胞内のシグナル伝達系に関わる多数の分子と相互作用することが知られており、HSP90が細胞周期制御および癌化・増殖・生存シグナルに深く関与していることが明らかになりつつある。
【0003】
HSP90は細胞内に豊富に存在する(全可溶性蛋白質の1〜2%を占めている)分子シャペロンであり、細胞質に一様に分布しており、おもに2量体として存在する。蛋白質の折り畳みにおけるHSP90単独の活性は弱く、折り畳み活性を持つ他の分子シャペロン(以下co−シャペロンという。HSP70、 p23など)と共同で機能している。HSP90は複合体を形成した標的蛋白質の機能発現に必要な場合が多く、HSP90が不安定な折り畳み状態にある蛋白質を特異的に認識して結合するという生化学的特性に基づいている。HSP90はATPに依存して変性または折り畳み状態にない蛋白質の(再)折り畳みを行う。特に、癌関連のシグナル伝達に関わる多様なkey蛋白質(steroid receptor、 Raf serine kinase、 tyrosine kinases)の構造構築に必要とされる。最近の知見によると、ヒト腫瘍では多くのkeyシグナル分子の調節が失われており、これらは機能を維持するためにHSP90を必要としている。(非特許文献1)
【0004】
Geldanamycin(GM)は当初チロシンキナーゼ阻害剤として微生物から見出されたアンサマイシン系天然物であるが、チロシンキナーゼに対する直接の阻害活性は弱く、その後この薬剤がHSP90に特異的に作用することが見出された。GMとは構造の異なるマクロライド系天然物であるRadicicol(RD)もやはりHSP90に作用しその機能を阻害する。GMやRDはin vitroで癌関連のシグナル伝達にかかわる多様なkey蛋白質(steroid receptorや Raf、Her2など)の分解を引き起こすこと、各種癌細胞の増殖抑制を引き起こすことが知られている。HSP90はN末端にシャペロン機能の調節に重要な役割を果たすATP/ADP結合部位を含んでいる。この部位はHSP90 family に特異的でよく保存されており、他の分子シャペロンには存在しない。GMやRDなどはこのATP/ADP結合部位に直接結合することが結晶構造解析において明らかにされている。(非特許文献2、3)また、上記アンタゴニストがATP/ADP結合領域へ結合することにより、p23などのco−シャペロンとの会合が阻害されることが知られている。その結果、標的蛋白質とHSP90を含むシャペロン複合体の構成が変化し、最終的に標的蛋白質は複合体から離脱して、主にユビキチン・プロテアソ−ム系で分解される。したがって、HSP90アンタゴニストによる癌細胞の増殖抑制作用は、HSP90の標的蛋白質量の減少とそれに伴う下流へのシグナル伝達の遮断によるものと考えられる。
【0005】
HSP90アンタゴニストはHSP90に折り畳まれ、機能を発現する標的蛋白質に対して選択的に作用し、それ以外の蛋白質の機能および発現量には全く影響を及ぼさない。癌化する過程では複数の遺伝子異常が蓄積されており、腫瘍細胞では変異蛋白質は正常蛋白質よりもシャペロン活性を必要としているという報告、HSP90の発現量が種々の癌で増加しているという報告、GM誘導体である17−AAGの動物モデルにおける薬物動態の解析からは、正常組織と比較して癌部により17−AAGの蓄積性が高いという報告がなされている。これらのことから、HSP90アンタゴニストは正常細胞ではなく癌細胞に特異的に作用することが期待できる。また、異常な蛋白質発現や低酸素、栄養飢餓といった一種ストレス状態下にある癌細胞がHSP90に依存している度合いが高いため、癌細胞の感受性がより高いと考えられる。
【0006】
HSP90アンタゴニストのうち、17−AAGは第I/II層臨床試験進行中であり、RD誘導体研究も行われているが(非特許文献4)、医薬品として使用するには、何れも分子量、安定性、水溶性等の物性面で問題がある。医薬品として有用な水溶性低分子HSP90阻害剤が求められている。低分子のHSP90阻害剤として、アデノシン誘導体であるPU3およびその誘導体(特許文献1、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7)が報告されている。また、5員環が結合した1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体がHSP90阻害剤として報告されている(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7)が、in vitroにおける癌細胞増殖抑制活性も弱い。一方、本発明のアセチレン誘導体がHSP90阻害活性を有することは文献上知られていない。
【0007】
【特許文献1】国際公開第02/036075号公報
【特許文献2】国際公開第03/055860号公報
【特許文献3】国際公開第04/050087号公報
【特許文献4】国際公開第04/056782号公報
【特許文献5】国際公開第04/096212号公報
【特許文献6】国際公開第04/072051号公報
【特許文献7】国際公開第05/000300号公報
【0008】
【非特許文献1】Hsp90 inhibitors as novel cancer chemotherapeutic agents.Trends Mol Med.2002; 8(4 Suppl.): p.S55−61.
【非特許文献2】Inhibition of heat shock protein HSP90−pp60v−src heteroprotein complex formation by benzoquinone ansamycins: essential role for stress proteins in oncogenic transformation.Proc Natl Acad Sci U.S.A.1994; 91(18): p.8324−8328.
【非特許文献3】Crystal structure of an Hsp90−geldanamycin complex: targeting of a protein chaperone by an antitumor agent.Cell 1997 Apr 18; 89(2): p.239−250.
【非特許文献4】The clinical applications of heat shock protein inhibitors in cancer − present and future. Curr.Cancer Drug Targets.2003 Oct;.3(5): p.385−390.
【非特許文献5】A small molecule designed to bind to the adenine nucleotide pocket of Hsp90 causes Her2 degradation and the growth arrest and differentiation of breast cancer cells.G.Chiosis et al.,Chem.Biol.2001 Mar;8(3):p.289−299.
【非特許文献6】Targeting Wide−Range Oncogenic Transformation via PU24FCl,a Specific Inhibitor of Tumor Hsp90.M.Vilenchik et al.,Chem.Biol.,11,p.787−797(2004).
【非特許文献7】Adenine derived inhibitors of the molecular chaperone HSP90−SAR explained through multiple X−ray structures.D.Dymock et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,14(02),p.325−328(2004).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
細胞増殖に関与しているHSP90の阻害剤は上述のように癌細胞選択的に効果を表すことが期待されており、開発が進められているものもあるが、医薬として求められる安定性や効果を十分に発揮するものは得られておらず、医薬として使用可能なHSP90阻害剤が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1A)、一般式(1B)、または、一般式(1C)
【化1】

で表されるアセチレン誘導体、そのプロドラッグ、または、その薬理学的に許容されうる塩が、HSP90を阻害することを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)下記一般式(1A)、一般式(1B)、または、一般式(1C)
【0012】
【化2】

【0013】
[式中、Aは、酸素原子、硫黄原子、または、NRを示し、Xは置換基を有しても良いメチレン基を示し、nは0−3を示し、Yは、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、メルカプト基、水酸基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、スルファモイル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、置換もしくは無置換アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフォニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、またはシリル基を示し、Yは、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、またはカルバモイル基を示す。Zは、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素環若しくは複素環アリール基、ハロゲン原子、スルファモイル基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、カルバモイル基、またはシリル基を示し、Rは、置換基を有していてもよい炭素環若しくは複素環アリール基、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、スルファモイル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、置換もしくは無置換アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフォニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、またはシリル基を示す。ただし、AがNRの時、Rは、置換基を有していてもよい炭素環若しくは複素環アリール基、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、スルファモイル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、またはシリル基を示す。Rは水素原子、もしくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6の、アルケニル基、もしくはアルキニル基を示す。]
で表されるアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(2)下記一般式(1A−O)
【0014】
【化3】

【0015】
[式中、X、Y、Z、R、およびnは、一般式(1A)のX、Y、Z、R、およびnと同じ意味を表す。]
で表される(1)に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(3)下記一般式(1B−O)
【0016】
【化4】

【0017】
[式中、X、Y、Z、R、およびnは、一般式(1B)のX、Y、Z、R、およびnと同じ意味を表す。]
で表される(1)に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(4)下記一般式(1C)
【0018】
【化5】

【0019】
[式中、X、Z、R、Yおよびnは、一般式(1C)のX、Z、R、Yおよびnと同じ意味を表す。]
で表される(1)に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(5)一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、Xで表される置換基を有しても良いメチレン基の置換基が、水素原子、または、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6の、アルケニル基若しくはアルキニル基である、(1)ないし(4)のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(6)一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、Xが無置換メチレン基である、(1)ないし(5)のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(7)一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、nが1である、(1)ないし(6)のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(8)一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、nが0である、(1)ないし(6)のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(9)一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、Zが、水素原子、置換基を有していてもよい、炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素環若しくは複素環アリール基、またはシリル基である、(1)ないし(8)のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(10)一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、Zが水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基である、(1)ないし(9)のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(11)一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、YまたはYが、水素原子もしくは炭素数1〜6の非環状アルキル基である、(1)ないし(10)のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(12)一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、YまたはYがカルバモイル基である、(1)ないし(10)のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(13)一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、Rが置換基を有していてもよい炭素環若しくは複素環アリール基である、(1)ないし(12)のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(14)一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、Rが下記一般式(2)
【0020】
【化6】

【0021】
[式中、n’は0〜3を表す。Rは、環状でも非環状でも良く置換基を有しても良い、アルコキシル基、アミノ基、アシルアミノ基、または、スルフォニルアミノ基示す。]
で表される、(1)ないし(13)のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(15)一般式(2)において、n’が0または1であり、Rが環状アミノ基である、(14)に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(16)一般式(2)において、n’ が0であり、Rがアルコキシル基である、(14)に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(17)一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)で表される化合物が、下記一般式(1A−O1)、一般式(1B−O1)、又は、一般式(1C−1)
【0022】
【化7】

【0023】
[上記式中、Y、Y、Yc1は、各々独立して、水素原子、メチル基またはN−エチルカルバモイル基を示し、Z、Z、Zは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はトリメチルシリル基を示し、R、R、Rは、各々独立して、メトキシ基、モルフォリン−4−イルメチル基、または、モルフォリノ基を示す。]で表される(1)ないし(15)のいずれか一項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、
(18)4−(ブチン−2−イル)−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−29)、
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−6−(プロピン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−30)、
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−6−(3−トリメチルシラニル−プロピン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−33)、
4−(4,4−ジメチルペンチン−2−イル)−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−34)、
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−6−(3−フェニル−プロピン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−35)、
(19)4−(ブチン−2−イル)−6−[5−メチル−4−(4−モルフォリン−4−イルメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール、
4−(ブチン−2−イル)−6−[5−メチル−4−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール、
(20)5−[5−(ブチン−2−イル)−2,4−ジヒドロキシ−フェニル]−4−(4−モルフォリン−4−イルメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−カルボン酸 エチルアミド、
(21)(1)ないし(20)記載のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体のプロドラッグ、またはそのプロドラッグの薬理学的に許容される塩、
(22)(1)ないし(21)のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体、そのプロドラッグまたはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分とする、HSP90阻害剤、
(23)(1)ないし(21)のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体、そのプロドラッグまたはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分とする、抗癌剤、
に関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、優れたHSP90阻害活性を有する本発明記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する薬剤組成物、特に癌治療剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の詳細を述べる。
【0026】
本発明において、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を示す。
【0027】
本発明において、アルキル基とは、特に記載しない場合は炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜8の鎖状、分岐状、または、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜8の環状アルキル基を示す。鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、tert−ブチル基、2,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0028】
本発明において、アルケニル基とは、いずれか1カ所以上に炭素―炭素二重結合を有する、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜8の鎖状、分岐状、または炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜8の環状アルケニル基を示す。鎖状アルケニル基としては、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、または、1−ブテニル基等の1−アルケニル基、2−ブテニル基、または、2−ペンテニル基等の2−アルケニル基等が挙げられる。分岐状アルケニル基としては、例えば、イソプロペニル基、3−メチル−1−ブテニル基、または、ゲラニル基等が挙げられる。
【0029】
本発明において、アルキニル基とは、いずれか1カ所以上に炭素―炭素三重結合を有する、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基を示す。例えば、エチニル基、1−プロピニル基、3,3−ジメチル−1−ブチニル基等の1−アルキニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−フェニル−2−プロピニル基、4,4−ジメチル−2−ペンチニル基、3−トリメチルシリル−2−プロピニル基等の2−アルキニル基等が挙げられる。
【0030】
本発明において、炭素環アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。複素環アリール基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、キノリル基、キナゾリル基、ナフチリジニル基、フリル基、ピロリル基、インドリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、トリアゾリル基等が挙げられる。
【0031】
本発明において、置換基を有しても良い、と記載した場合の置換基としては、例えば、メルカプト基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭素環若しくは複素環アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、スルファモイル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、置換もしくは無置換アミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、スルフォニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、またはシリル基等が挙げられる。芳香環上の置換位置は、オルト位でも、メタ位でも、パラ位でも良い。
【0032】
本発明において、アルキルチオ基としては炭素数1〜8のアルキルチオ基を示し、例えば、メチルチオ基、イソプロピルチオ基、ベンジルチオ基等が挙げられる。アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等が挙げられる。アルキルスルフィニル基としては炭素数1〜8のアルキルスルフィニル基を示し、例えば、メチルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ベンジルスルフィニル基等が挙げられる。アリールスルフィニル基としては、例えば、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、ピリジルスルフィニル基等が挙げられる。アルキルスルフォニル基としては炭素数1〜8のアルキルスルフォニル基を示し、例えば、メチルスルフォニル基、イソプロピルスルフォニル基、ベンジルスルフォニル基等が挙げられる。アリールスルフォニル基としては、例えば、フェニルスルフォニル基、ナフチルスルフォニル基、ピリジルスルフォニル基等が挙げられる。スルファモイル基としては、例えば、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等が挙げられる。
【0033】
本発明において、アルコキシル基としては炭素数1〜8のアルコキシル基を示し、例えば、メトキシ基、イソプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、ピリジルオキシ基等が挙げられる。アシルオキシ基としては炭素数1〜8のアシルオキシ基を示し、例えば、アセトキシル基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。アルコキシカルボニルオキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシカルボニルオキシ基を示し、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、トリフルオロメトキシカルボニル基等が挙げられる。カルバモイルオキシ基としては、例えば、ジメチルカルバモイルオキシ基、フェニルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
【0034】
本発明において、アミノ基としては、例えば、無置換アミノ基、ジメチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジニル基、フェニルアミノ基等が挙げられる。アシルアミノ基としては、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。アルコキシカルボニルアミノ基としては炭素数1〜8のアルコキシカルボニルアミノ基を示し、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、ベンジルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。ウレイド基としては、例えば、トリメチルウレイド基、1−メチル−3−フェニル−ウレイド基等が挙げられる。スルフォニルアミノ基としては、例えば、メタンスルフォニルアミノ基、ベンゼンスルフォニルアミノ基等が挙げられる。スルファモイルアミノ基としては、例えば、ジメチルスルファモイルアミノ基等が挙げられる。
【0035】
本発明において、アシル基としては、例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ピリジンカルボニル基等が挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。カルバモイル基としては、例えば、ジメチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基等が挙げられる。
【0036】
本発明において、シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチル−ジフェニル−シリル基等が挙げられる。
【0037】
本発明において、Aで表される置換基としては、酸素原子、硫黄原子、または置換基を有しても良い窒素原子が挙げられる。Aで表される置換基としては、なかでも、酸素原子が好ましい。
【0038】
本発明においてAで表される置換基がNRである場合、Rで表される置換基としては、水素原子、または、置換基を有していてもよい、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6の、アルケニル基もしくはアルキニル基が挙げられる。Rで表される置換基としては、なかでも、水素原子が好ましい。
【0039】
本発明においてRとしては、置換基を有していてもよい炭素環若しくは複素環アリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、スルファモイル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、置換もしくは無置換アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフォニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、及びシリル基が挙げられ、この中では置換基を有しても良い炭素環および複素環アリール基が好ましい。Rで表される置換基を有しても良い炭素環アリ−ル基としては、例えば、フェニル基、メトキシフェニル基、ブロモフェニル基、アミノフェニル基、メチルフェニル基、ジメトキシフェニル基、一般式(2)
【化8】

【0040】
[式中、n’は0〜3を表す。Rは、環状でも非環状でも良く置換基を有しても良い、アルコキシル基、アミノ基、アシルアミノ基、または、スルフォニルアミノ基示す。]で表される置換基等が好ましく、なかでも、一般式(2)で表される置換基が特に好ましい。
【0041】
一般式(2)で表される置換基中、n’としては、0または1が特に好ましい。Rとしては、アルコキシル基、アミノ基、アシルアミノ基、及びスルフォニルアミノ基を挙げることができ、アルコキシル基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基等が、アミノ基としては環状アミノ基、非環状アミノ基、又は芳香族アミノ基が挙げられ、環状アミノ基としては例えばモルフォリノ基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ピロリジニル基等が、非環状アミノ基としては例えばジメチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、2−メトキシエチルアミノ基等が、芳香族アミノ基としては例えばフェニルアミノ基等がそれぞれ挙げられる。また、アシルアミノ基としては例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が、スルフォニルアミノ基としてはメタンスルフォニルアミノ基、ベンゼンスルフォニルアミノ基等がそれぞれ挙げられる。Rとしては中でも、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシル基、モルフォリノ基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ピロリジニル基等の環状アミノ基が特に好ましい。
【0042】
一般式(2)で表される置換基としては、4−メトキシフェニル基、4−(モルフォリン−4−イル)−フェニル基、および、4−(モルフォリン−4−イルメチル)−フェニル基が特に好ましい。
【0043】
一般式(1A)、一般式(1B)、及び、一般式(1C)で表される化合物において、Zで表される置換基としては、水素原子、置換基を有していてもよい、若しくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基若しくはアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素環若しくは複素環アリール基、ハロゲン原子、スルファモイル基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、カルバモイル基、及びシリル基を挙げることができ、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素環アリール基、カルバモイル基およびシリル基が好ましく、なかでも、水素原子、メチル基、tert−ブチル基、フェニル基、トリメチルシリル基が特に好ましい。
【0044】
一般式(1A)、及び、一般式(1B)で表される化合物において、Yで表される置換基としては、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、メルカプト基、水酸基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、スルファモイル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、置換もしくは無置換アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフォニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、またはシリル基を挙げることができる。一般式(1A)及び一般式(1B)で表される化合物において、Yで表される置換基としては、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、および、カルバモイル基が好ましい。
【0045】
一般式(1C)で表される化合物において、Yで表される置換基としては、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、またはカルバモイル基を挙げることができる。一般式(1C)で表される化合物において、Yで表される置換基としては、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜6のアルキル基、および、カルバモイル基が好ましい。
【0046】
本発明においてXで表される置換基としては、置換基を有しても良いメチレン基をあげることができるが、この置換基としては、例えば、水素原子、または、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6の、アルケニル基若しくはアルキニル基が挙げられる。なかでも水素原子が好ましい。
【0047】
一般式(1A)、一般式(1B)、及び、一般式(1C)で表される化合物において、nは0ないし3のいずれかの整数を表し、0および1が好ましい。
【0048】
本発明の化合物としては、なかでも、下記一般式(1A−O1)、一般式(1B−O1)、及び、一般式(1C−1)
【0049】
【化9】

【0050】
[上記式中、Y、Y、Yc1は、各々独立して、水素原子、メチル基またはN−エチルカルバモイル基を示し、Z、Z、Zは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はトリメチルシリル基を示し、R、R、Rは、各々独立して、メトキシ基、モルフォリン−4−イルメチル基、または、モルフォリノ基を示す。]で表される化合物が好ましい。
【0051】
一般式(1A−O1)、一般式(1B−O1)、及び、一般式(1C−1)で表される化合物中、Z、Z、Zで表される置換基としては、水素原子、メチル基が特に好ましい。一般式(1A−O1)、一般式(1B−O1)、及び、一般式(1C−1)で表される化合物中、R、R、Rで表される置換基としては、メトキシ基、モルフォリン−4−イルメチル基が特に好ましい。
【0052】
一般式(1)もしくは一般式(1A−O1)、一般式(1B−O1)、及び、一般式(1C−1)で示される化合物の具体例は以下の通りである。
【0053】
4−(ブチン−2−イル)−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−29)、
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−6−(プロピン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−30)、
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−6−(3−トリメチルシラニル−プロピン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−33)、
4−(4,4−ジメチルペンチン−2−イル)−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−34)、
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−6−(3−フェニル−プロピン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−35)、
4−(ブチン−2−イル)−6−[5−メチル−4−(4−モルフォリン−4−イルメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール、
4−(ブチン−2−イル)−6−[5−メチル−4−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール、
5−[5−(ブチン−2−イル)−2,4−ジヒドロキシ−フェニル]−4−(4−モルフォリン−4−イルメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−カルボン酸 エチルアミド。
【0054】
本発明のプロドラッグとしては、例えば一般式(1A−L)、一般式(1B−L)、及び、一般式(1C−L)
【0055】
【化10】

【0056】
[上記式中、L、Lは、生体内でO−L結合若しくはO−L結合が解離して水酸基を遊離し易い置換基を示す。L、Lの何れか一方は水素原子でも良い。X、Y、Y、Z、R及びnは前記した通り。]で表される化合物が挙げられる。L、Lで表される置換基としては、アシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、フォスフォリル基、及びアルコキシメチル基等が挙げられる。アシル基としては例えば、アセチル基、トリフロロアセチル基等が、カルバモイル基としては例えばジメチルカルバモイル基等が、アルコキシカルボニル基としては例えばメトキシカルボニル基等が、フォスフォリル基としては(MeO)P(=O)−等が、アルコキシメチル基としてはメトキシメチル基等が挙げられる。
【0057】
本発明におけるアセチレン誘導体は、酸、または塩基と塩を形成する場合もあり、本発明は一般式(1A)、一般式(1B)、または、一般式(1C)で表される化合物の塩を有効成分とするHSP90阻害剤および癌治療薬も含有する。酸との塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩等の無機酸塩や、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩を挙げることができる。塩基との塩としては、例えばナトリウム塩等を挙げることができる。これらの塩は、定法によって製造することができる。
【0058】
本発明の化合物は、例えば、スキーム(1)のようにして製造することができる。
【0059】
【化11】

【0060】
スキーム(1)中、R、Y、およびZは、一般式(1A−O1)のR、Y、およびZと同じ意味を表す。Proは、水酸基の保護基を表す。以下に各工程を説明する。
【0061】
工程A:一般式(IM−1)で表されるホルミル置換レゾルシノール誘導体のホルミル基にアルキニル金属を付加させることにより、一般式(IM−2)で表されるアルコール誘導体を合成する工程である。アルキニル金属としては、例えば、3,3−ジメチル−1−ブチニルリチウム、リチウムフェニルアセチリド、リチウム(トリメチルシリル)アセチリド等のアルキニルリチウム、1−プロピニルマグネシウムブロマイド、エチニルマグネシウムブロマイド等のアルキニルマグネシウムハライド等を用いることができる。本工程は、好ましくは、アルキニル金属として、例えばリチウム(トリメチルシリル)アセチリド、1−プロピニルマグネシウムブロマイド等を用い、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒中、−20度から50度、好ましくは−10度から20度で15分〜24時間反応させることにより実施できる。
【0062】
工程B:一般式(IM−2)で表されるベンジルアルコール誘導体のベンジル位の水酸基を還元的に除去する工程である。本工程は、例えば還元剤としてトリエチルシラン等のハイドロシランを用い酸触媒の存在下還元反応を行うか、または、パラジウム触媒存在下塩化第一錫を用いる還元反応等により実施できる。本工程は、好ましくは、アセトニトリル溶媒中、還元剤としてトリエチルシランを用い、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体存在下、−10度から20度で30分〜3時間反応させることにより実施できる。
【0063】
工程C:一般式(IM−3)で表される水酸基が保護されたレゾルシノール誘導体の、水酸基の保護基を脱保護し、一般式(1A−O1)で表されるアセチレン誘導体を製造する工程である。水酸基の保護基がメトキシメチル基の場合、酸性条件下実施することができる。酸触媒としては、塩酸、硫酸等の無機酸、トルエンスルホン酸、メタンスルフォン酸、トリフロロスルフォン酸等のスルフォン酸、酢酸、トリフロロ酢酸等のカルボン酸、ピリジニウムパラトルエンスルフォネート等の強酸―弱塩基塩等、その他、メトキシメチル基を脱保護できることが知られている触媒で保護基以外の部分に影響を与えない触媒であれば、何でも使用できる。保護基がメトキシメチル基の場合、例えば、酸触媒として3.0―8.0規定塩酸を用い、メタノール中、10度から40度で、5時間から3日間の反応時間で実施するのが好ましい。
【0064】
スキーム(1)の原料化合物である、一般式(IM−1)で表されるホルミルレゾルシノール誘導体は、例えば、スキーム(2)のようにして製造することができる。スキーム(2)中、RおよびYは、一般式(1A−O1)のRおよびYと同じ意味を表す。ProおよびProは、水酸基の保護基を表す。Halはハロゲン原子を示す。以下に各工程を説明する。
【0065】
【化12】

【0066】
工程D:一般式(IM−4)で表されるレゾルシノール誘導体の水酸基を保護する工程である。本工程で使用できる保護基Proとしては、例えば、メトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基等のアルコキシメチル基、置換または無置換ベンジル基、シリル基等が挙げられる。Proがベンジル基の場合、例えば、ジメチルホルムアミド等の極性非プロトン溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、または、エーテル系溶媒等の溶媒中、炭酸カリウム等の塩基共存下、20度から100度で30分〜24時間反応させることにより実施できる。
【0067】
工程E:一般式(IM−5)で表されるレゾルシノール誘導体のホルミル基をオキシムに変換する工程である。本工程は、例えば、エタノール、メタノール等のアルコール系溶媒、水、またはこれらの混合溶媒中、トリエチルアミン、ピリジン、炭酸カリウム等の塩基存在下、ヒドロキシルアミン塩酸塩と、0度から100度で2時間〜48時間反応させることにより実施できる。
【0068】
工程F:一般式(IM−6)で表されるオキシム誘導体を、一般式(IM−7)で表されるニトリルオキシドに変換する工程である。本工程は、例えば、クロロフォルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒中、ピリジン等の塩基共存下、N−クロロスクシンイミドと0度から50度で30分〜10時間反応させることにより実施できる。
【0069】
工程G:一般式(IM−8)で表されるベンジルケトン誘導体を塩基処理することにより一般式(IM−8’)で表されるエノールエーテルとし(工程G−1)、次いで一般式(IM−7)で表されるニトリルオキシドと反応させる(工程G−2)ことにより、一般式(IM−9)で表されるジヒドロイソキサゾール誘導体を合成する工程である。エノールエーテルの生成に用いられる塩基としては、例えば、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ソジウムビス(トリメチルシリル)アミド、ポタシウムビス(トリメチルシリル)アミド、ポタシウムtert−ブトキシド等が挙げられる。なかでも、リチウムジイソプロピルアミドが好ましい。反応溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性高極性溶媒等が使用できる。本工程は、例えば、一般式(IM−8)で表されるベンジルケトン誘導体を、テトラヒドロフラン中、リチウムジイソプロピルアミドを用いて−10度から15度で、30分〜3時間反応させてエノールエーテルとし、次いで、一般式(IM−7)で表されるニトリルオキシドを加えて、0度から40度で、5時間〜48時間反応させて実施することができる。
【0070】
工程H:一般式(IM−9)で表されるジヒドロイソキサゾール誘導体の脱水反応により、一般式(IM−10)で表される芳香族イソキサゾール誘導体へ変換する反応である。本工程は、例えば、硫酸、トルエンスルフォン酸、メタンスルフォン酸等の酸触媒を用い、実施できる。本工程は、好ましくは、トルエンスルフォン酸水和物を1当量用い、メタノール、エタノール等の極性溶媒中、30度〜溶媒沸点で、15分〜5時間処理することにより実施できる。
【0071】
工程I:一般式(IM−10)で表される水酸基が保護されたレゾルシノール誘導体の、水酸基の保護基を除去する工程である。例えば保護基がベンジル基の場合、水素雰囲気中、パラジウム−炭素等の触媒の存在下、メタノール、エタノール等のアルコール性溶媒中撹拌すること等により、実施できる。
【0072】
工程J:一般式(IM−11)で表されるレゾルシノール誘導体をハロゲン化する工程である。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられ、中でも、臭素原子が好ましい。ハロゲン原子が臭素原子の場合、臭素化剤としては、N−ブロモスクシンイミド、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロマイド、臭素等が挙げられ、中でも、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロマイドが好ましい。本工程は、ハロゲン化剤としてベンジルトリメチルアンモニウムトリブロマイドを用い、ハロゲン系溶媒中、0度から50度で実施するのが好ましい。
【0073】
工程K:一般式(IM−12)で表されるレゾルシノール誘導体の水酸基を保護する工程である。本工程で使用できる保護基Proとしては、例えば、アルコキシメチル基、置換または無置換ベンジル基、シリル基等が挙げられる。なかでも、メトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基等のアルコキシメチル基が好ましく、メトキシメチル基が特に好ましい。Proがメトキシメチル基の場合、例えば、メトキシメチル化剤としてメトキシメチルクロライドを用い、ハロゲン系溶媒、ジメチルホルムアミド等の極性非プロトン溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、または、エーテル系溶媒等の溶媒中、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、または、炭酸カリウム等の塩基共存下、−10度から30度で30分〜24時間反応させることにより実施できる。
【0074】
工程L:一般式(IM−13)で表されるハロゲン置換レゾルシノール誘導体のハロゲン原子をリチウム等の金属原子と交換し、次いでホルミル基に変換する工程である。例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒中、n−ブチルリチウムを用い、−100度から0度、好ましくは−80度から−30度ででハロゲンーリチウム交換反応を行い、次いでジメチルホルムアミドを加え、−50度から50度で反応させることにより実施できる。
【0075】
一般式(1B−O1)で表される化合物は、例えば、スキーム(3)のようにして製造することができる。
【0076】
【化13】

【0077】
スキーム(3)中、R、Y、およびZは、一般式(1B−O1)のR、Y、およびZと同じ意味を表す。Proは、水酸基の保護基を表す。
【0078】
工程A、工程B、工程Cは、スキーム(1)の工程A、工程B、工程Cに準じて実施できる。工程Lは、スキーム(2)の工程Lに準じて実施できる。原料化合物1B−O1−IM1は、WO 2004/072051に記載の方法に準じて合成できる。
【0079】
一般式(1C−1)で表される化合物、例えばYc1が水素原子である1C−1Hは、例えば、スキーム(4)のようにして製造することができる。
【0080】
【化14】

【0081】
スキーム(4)中、RおよびZは、一般式(1C)のRおよびZと同じ意味を表す。スキーム(4)中、Proは、水酸基の保護基を表す。
【0082】
工程A、工程B、工程Cは、スキーム(1)の工程A、工程B、工程Cに準じて実施できる。工程Lcは、スキーム(2)の工程Lに準じて実施できる。
【0083】
本発明のアセチレン誘導体、そのプロドラッグ、またはその製薬上許容し得る塩を制癌剤として使用する場合は、単独または担体、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、流動化剤、コーティング剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、矯味剤、着香剤、希釈剤、溶解補助剤等の製薬上許容し得る添加剤と混合して粉剤、顆粒剤、錠剤、カブレット剤、カプセル剤、注射剤、座剤、軟膏剤等の製剤形態で、経口または非経口的(全身投与、局所投与等)に安全に投与される。製剤中の本発明のアセチレン誘導体、そのプロドラッグ、または製薬上許容し得る塩の含量は、製剤により種々異なるが、通常0.1〜100重量%であることが好ましい。投与量は投与経路、患者の年齢並びに予防または治療すべき実際の症状等により異なるが、例えば成人に経口投与する場合、有効成分として1日0.01mg〜2000mg、好ましくは0.1mg〜1000mgとすることができ、1日1回又は数回に分けて投与できる。
【0084】
本発明のアセチレン誘導体、そのプロドラッグ、およびその薬理学的に許容される塩は、HSP90阻害作用を有し、癌治療剤として有用である。
【実施例】
【0085】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。また、本発明の化合物の有効性を示す本発明の代表的な化合物の薬理試験結果を、表1に示す。
実施例化合物のLC/MS測定条件は次のとおりである。
1)
機種:島津 LCMS−QP8000アルファ
カラム:Inertsil ODS−III、2.1mm i.d.x100mm、
移動相A:アセトニトリル/ギ酸 (99.9/0.1)
移動相B:水/ギ酸 (99.9/0.1)
グラジェント:時間(分) 0.0 5.5 5.51 10.0
A濃度 a 100 a a
流速:0.3mL/分
測定条件1)a=20; 測定条件2)a=60
2)
機種:島津 LCMS−2010A
カラム:Inertsil ODS−III、2.1mm i.d.x100mm、
移動相A:アセトニトリル/ギ酸 (99.9/0.1)
移動相B:水/ギ酸 (99.9/0.1)
グラジェント:時間(分) 0.0 5.5 6.5 6.51 10.0
A濃度 a 90 90 a a
流速:0.3mL/分
測定条件3)a=20; 測定条件4)a=60
【0086】
(1A−O1−29)および(1A−O1−30)の製造
(1A−O1−29)および(1A−O1−30)を以下のスキーム(5)に従って合成した。
【0087】
【化15】

【0088】
実施例1
4−(ブチン−2−イル)−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−29)の製造
【0089】
第一工程
1−{2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−フェニル}−2−ブチン−1−オール(IM−2−29)
アルゴン雰囲気中、氷冷撹拌下、1−プロピニルマグネシウムブロマイド(0.5Mテトラヒドロフラン溶液0.6mL)に、2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンズアルデヒド(IM−1a、49.6mg、0.12mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を加え、1時間15分攪拌した。氷冷攪拌下、反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去、減圧下溶媒を留去し、1−{2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−フェニル}−2−ブチン−1−オール(IM−2−29)を含む黄色油状物質(57.1mg)を得た。
【0090】
第二工程
3−{5−(ブチン−2−イル)−2,4−ビス−メトキシメトキシ−フェニル}−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール(IM−3−29)
アルゴン雰囲気中、室温攪拌下、前工程で得られた1−{2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−フェニル}−2−ブチン−1−オール(IM−2−29)を含む粗生成物(34.4mg)のアセトニトリル(1mL)溶液中にトリエチルシラン(0.0133mL、0.0834mmol)を加えた。氷冷下とした後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(0.0106mL、0.0834mmol)を加え、1時間攪拌した。反応溶液に炭酸カリウムを加え5分ほど攪拌後、水を加え攪拌した。酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去、減圧下溶媒を留去し、3−{5−(ブチン−2−イル)−2,4−ビス−メトキシメトキシ−フェニル}−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール(IM−3−29)を含む褐色油状物質(32.8mg)を得た。
【0091】
第三工程
4−(ブチン−2−イル)−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−29)
室温攪拌下、前工程で得られた3−{5−(ブチン−2−イル)−2,4−ビス−メトキシメトキシ−フェニル}−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール(IM−3−29)を含む粗生成物(32.8mg)のメタノール(2.5mL)溶液中に、5N塩酸(0.5mL、2.5mmol)を加え、3日間攪拌した。反応溶液を氷冷下とした後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えしばらく攪拌した。酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去、減圧下溶媒を留去し、黒褐色油状物質を得た。分取用薄相クロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、4−(ブチン−2−イル)6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−29、白色固体、13.2mg、0.038mmol)を得た。
LC/MS(測定条件 3):m/z(ESI、POS):350[M+H]。;保持時間:6.77分。
H−NMR(400MHz,CDCl、TMS)ppm:0.97(t,J=2.5Hz,3H),2.36(s,3H),3.18(q,J=2.5Hz,2H),3.88(s,3H),5.79(s,1H),6.53(s,1H),6.91(s,1H),6.99(d,J=8.8Hz,2H),7.19(d,J=8.8Hz,2H),9.76(S,1H).
【0092】
実施例2
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−6−(プロピン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−30)の製造
実施例1と同様にして、標題化合物を合成した。
収率44.7%(3工程)
LC/MS(測定条件 3):m/z(ESI,POS):336[M+H];保持時間:6.50分。
H−NMR(400MHz,CDCl、TMS)ppm:1.87(t,J=2.8Hz,1H),2.35(s,3H),3.27(d,J=2.8Hz,2H),3.86(s,3H),5.31(s,1H),6.47(s,1H),6.98(d,J=8.6Hz,2H),7.10(s,1H),7.19(d,J=8.6Hz,2H),9.86(s,1H).
【0093】
(1A−O1−33)、(1A−O1−34)、および、(1A−O1−35)の製造
1A−O1−33)、(1A−O1−34)、および、(1A−O1−35)を以下のスキーム(6)に従って合成した。
【0094】
【化16】

【0095】
実施例3
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−6−(3−フェニル−プロピン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−35)の製造
【0096】
第一工程
1−{2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−フェニル}−3−フェニル−2−プロピン−1−オール(IM−2−35)
アルゴン雰囲気中、−78度で撹拌下、エチニルベンゼン(0.026mL、0.24mmol)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液中に、ノルマルブチルリチウム(1.59Mノルマルヘキサン溶液0.15mL、0.24mmol)をゆっくり加えた。20分攪拌後、反応溶液に2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンズアルデヒド(IM−1a、39.5mg、0.096mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を加えた。氷冷下とした後、1時間攪拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去、減圧下溶媒を留去し、1−{2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−フェニル}−3−フェニル−2−プロピン−1−オール(IM−2−35)を含む淡黄色油状物質(57.1mg)を得た。
【0097】
第二工程
3−[2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−(3−フェニル−プロピン−2−イル)−フェニル]−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール(IM−3−35)
アルゴン雰囲気中、室温攪拌下、前工程で得られた1−{2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−フェニル}−3−フェニル−2−プロピン−1−オール(IM−2−35)を含む粗生成物(54.4mg)のアセトニトリル(1mL)溶液中にトリエチルシラン(0.0185mL、0.116mmol)を加えた。氷冷下とした後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(0.0147mL、0.116mmol)を加え、1時間半攪拌した。反応溶液に炭酸カリウムを加え5分ほど攪拌後、水を加え攪拌した。酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去、減圧下溶媒を留去し、3−[2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−(3−フェニル−プロピン−2−イル)−フェニル]−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール(IM−3−35)を含む褐色油状物質(51.2mg)を得た。
【0098】
第三工程
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−6−(3−フェニル−プロピン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−35)
室温攪拌下、前工程で得られた3−[2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−(3−フェニル−プロピン−2−イル)−フェニル]−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール(IM−3−35)を含む粗生成物(51.2mg)のメタノール(2.0mL)溶液中に、8N塩酸(0.3mL、2.4mmol)を加え、3日間攪拌した。反応溶液を氷冷下とした後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えしばらく攪拌した。酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去、減圧下溶媒を留去し、赤褐色油状物質を得た。分取用薄相クロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−6−(3−フェニル−プロピン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−35、赤色固体、23.4mg、0.057mmol、3工程59.4%)を得た。
LC/MS(測定条件 3):m/z(ESI,POS):412[M+H];保持時間:7.44分。
H−NMR(400MHz,CDCl、TMS)ppm:2.35(s,3H),3.47(s,2H),3.73(s,3H),5.63(s,1H),6.54(s,1H),6.85(d,J=8.8Hz,2H),7.02(s,1H),7.16(d,J=8.8Hz,2H),7.27−7.33(m,5H),9.72(s,1H).
【0099】
実施例4
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−6−(3−トリメチルシラニル−プロピン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−33)の製造
実施例3と同様にして、標題化合物を合成した。
収率58.6%(3工程)
LC/MS(測定条件 3):m/z(ESI、POS):408[M+H];保持時間:7.61分。
H−NMR(400MHz,CDCl、TMS)ppm:0.14(s,9H),2.36(s,3H),3.22(s,2H),3.88(s,3H),6.14(s,1H),6.57(s,1H),6.76(s,1H),6.97(d,J=8.3Hz,2H),7.17(d,J=8.3Hz,2H),9.69(s,1H).
【0100】
実施例5
4−(4,4−ジメチルペンチン−2−イル)−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−34)の製造
実施例3と同様にして、標題化合物を合成した。
収率46.3%(3工程)
LC/MS(測定条件 3):m/z(ESI,POS):392[M+H];保持時間:7.47分。
H−NMR(400MHz,CDCl、TMS)ppm:1.17(s,9H),2.36(s,3H),3.15(s,2H),3.88(s,3H),6.41(s,1H),6,57(s,1H),6,74(s,1H),6.97(d,J=8.3Hz,2H),7.17(d,J=8.3Hz,2H),9.68(s,1H).
【0101】
実施例6
2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンズアルデヒド(IM−1a)の製造
2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンズアルデヒド(IM−1a)を以下のスキーム(7)に従って合成した。
【0102】
【化17】

【0103】
第一工程 2,4−ビス−ベンジルオキシ−ベンズアルデヒド(IM−5a)の製造
500mLのナス型フラスコに、2,4−ジヒドロキシ−ベンズアルデヒド(IM−4、24g、181mmol)、炭酸カリウム(100.1g、724mol)、アセトニトリル(250mL)を入れ、反応液を0度まで冷却し、そこにベンジルブロマイド(47.4mL)をゆっくり加えた。滴下終了後、1.5時間加熱還流した。反応終了後、炭酸カリウムをろ別し、酢酸エチル(350mL)を加え、有機層を飽和食塩水で2回洗浄した。水層を再度、酢酸エチルで抽出し、先ほどの有機層と合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣にヘキサン(500mL)を加えることで固化させ、懸濁精製した。得られた固体をろ取、減圧乾燥することで標題化合物(54.21g、94.1%)を得た。
LC/MS(測定条件 2):m/z(ESI,POS):319[M+H];保持時間:5.53分;H−NMR(200MHz,CDCl,TMS)ppm:10.4(1H,s),7.84(1H,d,J=8.5Hz),7.36−7.45(10H,m)、6.58−6.68(2H,m),5.14(2H,s),5.11(2H,s)。
【0104】
第二工程 2,4−ビス−ベンジルオキシ−ベンズアルデヒドオキシム(IM−6a)の製造
500mLのナス型フラスコに、2,4−ビス−ベンジルオキシ−ベンズアルデヒド(IM−5a、54.21g、170mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(23.7g、340mmol)、エタノール(300mL)を加え、反応液を0度に冷却し、トリエチルアミン(47.7mL)をゆっくり加えた。滴下終了後、液温を75度にし、3.5時間撹拌した。
反応終了後、酢酸エチルを用い抽出操作を行い、有機層を減圧濃縮し、得られた固体をヘキサンで懸濁精製した。得られた固体をろ取、減圧乾燥することで標題化合物(56.5g、99.5%)を得た。
LC/MS(測定条件4):m/z(ESI,POS):334[M+H];保持時間:4.23分;H−NMR(200MHz,CDCl,TMS)ppm:8.50(1H,s),7.69(1H,d,J=9.3Hz),7.28−7.47(10H,m),7.34−7.43(2H,m),5.06(4H,s)。
【0105】
第三工程
2,4−ビス−ベンジルオキシ−ベンゾニトリル N−オキシド(IM−7a)
アルゴン雰囲気中、氷冷撹拌下、2,4−ビス−ベンジルオキシ−ベンズアルデヒドオキシム(IM−6a、25g、75.0mmol)のクロロホルム(250mL)溶液中に、ピリジン(3.62mL、45.0mmol)を加えしばらく攪拌した。N−クロロスクシンイミド(10.0g、74.9mmol)を少量ずつ加え、その後、室温で4時間撹拌した。反応液に水を加え反応をとめた後、塩化メチレンで抽出し、抽出液を水で4回洗浄後、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、硫酸ナトリウムを濾去、減圧下溶媒を留去し、褐色シロップを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し得られた淡黄色シロップにヘキサンを加え結晶化し、濾別後、ヘキサンで洗浄した。得られた固体を減圧乾燥し、2,4−ビス−ベンジルオキシベンゾニトリル N−オキシド(IM−7a、淡黄色固体、20.7g、83%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl、TMS)ppm:5.04(s,2H),5.11(s,2H),6.55−6.58(m,2H),7.34−7.41(m,11H).
【0106】
第四工程
3−(2,4−ビス−ベンジルオキシフェニル)−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−イソキサゾール−5−オール(IM−9a)
アルゴン雰囲気中、氷冷撹拌下、リチウムジイソプロピルアミド(1.8Mヘプタン/テトラヒドロフラン/エチルベンゼン溶液、44.3mL、79.7mmol)のテトラヒドロフラン(240mL)溶液中に、4−メトキシフェニルアセトン(11.1mL、72.3mmol)のテトラヒドロフラン(240mL)溶液をゆっくり加え、1時間攪拌した。2,4−ビス−ベンジルオキシベンゾニトリル N−オキシド(IM−7a、24.0g、72.4mmol)のテトラヒドロフラン(200mL)溶液を加えた後、室温にて終夜攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液で反応を停止後、減圧下溶媒を留去し濃縮した。酢酸エチルで抽出し、抽出液を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去、減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物をジエチルエーテルで懸濁精製した。得られた固体をジエチルエーテルで洗浄し、3−(2,4−ビス−ベンジルオキシフェニル)−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−イソキサゾール−5−オール(IM−9a、白色固体、17.9g、36.1mmol、49.9%)を得た。
LC/MS(測定条件 4):m/z(ESI,POS):496[M+H],518[M+Na];保持時間:4.76分。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)ppm:1.18,1.65(s,total 3H),2.40,2.82(s,total 1H),3.74,3.75(s,total 3H),4.66−4.77(m,1H),4.90−5.06(m,2H),6.40,6.46(d,J=2.4Hz,total 1H),6.54,6.61(dd,J=2.4,8.8Hz,total 1H),6.74,6.75(d,J=8.8Hz,total 2H),6.79,6.81(d,J=8.8Hz,total 2H),7.16−7.20(m,1H),7.28−7.38(m,9H),7.69,7.78(d,J=8.8Hz,total 1H).
【0107】
第五工程
3−(2,4−ビス−ベンジルオキシフェニル)−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール(IM−10a)
3−(2,4−ビス−ベンジルオキシフェニル)−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−イソキサゾール−5−オール(IM−9a、17.5g、35.3mmol)のメタノール(400mL)溶液にパラトルエンスルホン酸一水和物(6.72g、35.3mmol)を加え、60度で50分攪拌した。室温下、反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去、減圧下溶媒を留去し、白色固体を得た。得られた白色固体を懸濁精製(ヘキサン、ジエチルエーテル)し、3−(2,4−ビス−ベンジルオキシフェニル)−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール(IM−10a、白色固体、16.1g、33.7mmol、95.5%)を得た。
LC/MS(測定条件 4):m/z(ESI,POS):478[M+H],500[M+Na]。;保持時間:6.67分。
H−NMR(200MHz,CDCl,TMS)ppm:2.47(s,3H),3.80(s,3H),4.68(s,2H),5.01(s,2H),6.45(d,J=2.3Hz,1H),6.63(dd,J=2.3,8.4Hz,1H),6.77(d,J=9.0Hz,2H),6.90−6.97(m,2H),6.95(d,J=9.0Hz,2H),7.21−7.24(m,3H),7.32−7.41(m,6H).
【0108】
第六工程
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(IM−11a)
室温下、反応容器に3−(2,4−ビス−ベンジルオキシフェニル)−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール(IM−10a、8.02g、16.8mmol)とメタノール(400mL)を加えた。窒素置換後、パラジウムカーボン(10%パラジウム、0.8g)を加えた。水素置換後、室温で6時間攪拌した。再び窒素置換した後、パラジウムカーボンを濾去した。減圧下溶媒を留去し、暗緑色油状物質を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン、酢酸エチル)で精製し、4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(IM−11a、淡黄色固体、4.52g、15.2mmol、90.5%)を得た。
LC/MS(測定条件 4):m/z(ESI,POS):298[M+H];保持時間:2.42分。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)ppm:2.35(s,3H),3.88(s,3H),4.89(s,1H),6.14(dd,J=2.5,8.6Hz,1H),6.51(d,J=2.5Hz,1H),6.90(d,J=8.6Hz,1H),6.98(d,J=8.8Hz,2H),7.17(d,J=8.8Hz,2H),9.88(s,1H).
【0109】
第七工程
4−ブロモ−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(IM−12a)
アルゴン雰囲気中、氷冷撹拌下、4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(IM−11a、3.81g、12.8mmol)の塩化メチレン(150mL)溶液にベンジルトリメチルアンモニウムトリブロマイド(5.0g、12.8mmol)を加え、室温で1時間15分攪拌した。反応溶液に水を加えてしばらく攪拌後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去、減圧下溶媒を留去し、赤色タール状物質を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム、ジエチルエーテル)で精製し、4−ブロモ−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(IM−12a、淡紅色固体、4.73g、12.6mmol、98.1%)を得た。
LC/MS(測定条件 3):m/z(ESI,POS):376,378[M+H];保持時間:6.48分。
H−NMR(400MHz,CDCl、TMS)ppm:2.37(s,3H),3.89(s,3H),5.52(s,1H),6.71(s,1H),7.01(d,J=8.8Hz,2H),7.09(s,1H),7.17(d,J=8.8Hz,2H),9.87(s,1H).
【0110】
第八工程
3−(5−ブロモ−2,4−ビス−メトキシメトキシ−フェニル)−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール(IM−13a)
アルゴン雰囲気中、氷冷撹拌下、4−ブロモ−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(IM−12a、4.66g、12.4mmol)のジメチルホルムアミド(25mL)溶液中にジイソプロピルエチルアミン(10.6mL、60.9mmol)を加え5分攪拌後、メトキシメチルクロライド(4.7mL、61.9mmol)を加え氷冷下1時間20分攪拌した。氷冷撹拌下、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去、減圧下溶媒を留去し、淡黄色油状物質を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で精製し、3−(5−ブロモ−2,4−ビス−メトキシメトキシ−フェニル)−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール(IM−13a、白色固体、5.58g、12.0mmol、96.8%)を得た。
LC/MS(測定条件 1):m/z(ESI,POS):464,466[M+H];保持時間:7.73分。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS)ppm:2.49(s,3H),3.08(s,3H),3.52(s,3H),3.79(s,3H),4.57(s,2H),5.24(s,2H),6.84(d,J=9.0Hz,2H),6.98(s,1H),7.03(d,J=9.0Hz,2H),7.64(s,1H).
【0111】
第九工程
2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンズアルデヒド(IM−1a)
アルゴン雰囲気中、−78度で撹拌下、3−(5−ブロモ−2,4−ビス−メトキシメトキシ−フェニル)−4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール(IM−13a、1.00g、2.15mmol)のジエチルエーテル(20mL)溶液中に、ノルマルブチルリチウム(1.59Mノルマルヘキサン溶液1.75mL、2.78mmol)をゆっくり加えた。2時間攪拌後、ジメチルホルムアミド(0.5mL、6.50mmol)を加え30分攪拌した。さらに室温下、2時間攪拌した。氷冷攪拌下、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去、減圧下溶媒を留去し、粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン、酢酸エチル)で精製し、2,4−ビス−メトキシメトキシ−5−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンズアルデヒド(IM−1a、黄色固体、0.75g、1.81mmol、84.4%)を得た。
LC/MS(測定条件 3):m/z(ESI,POS):414[M+H];保持時間:6.57分。
H−NMR(200MHz,CDCl,TMS)ppm:2.50(s,3H),3.08(s,3H),3.54(s,3H),3.78(s,3H),4.75(s,2H),5.30(s,2H),6.83(d,J=8.9Hz,2H),6.95(s,1H),7.02(d,J=8.9Hz,2H),7.99(s,1H),10.37(s,1H).
【0112】
参考例1
4−クロロ−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(18E970)の合成
アルゴン雰囲気中、氷冷撹拌下、4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(スキーム7:IM−11a、1.50g、5.05mmol)の四塩化炭素(200mL)溶液にN−クロロスクシンイミド(674mg、5.05mmol)を加え、その後4日間加熱還流した。室温に戻した後、ろ過を行った。ろ液をクロロホルムで抽出し、抽出液を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾去後、減圧下溶媒を留去し、淡黄色油状物質を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム、ジエチルエーテル)で精製し、4−クロロ−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(18E970、白色固体、806.4mg、2.43mmol、48.1%)を得た。
LC/MS(測定条件 3):m/z(ESI、POS):332[M+H]。;保持時間:6.38分。
H−NMR(200MHz,CDCl、TMS)ppm:2.37(s,3H),3.89(s,3H),5.58(s,1H),6.71(s,1H),6.97(s,1H),7.01(d,J=8.9Hz,2H),7.18(d,J=8.9Hz,2H),9.87(s,1H).
【0113】
参考例2
4−エチル−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(18E490)の合成
4−エチル−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(18E490)を以下のスキーム(8)に従って合成した。
【0114】
【化18】

【0115】
LC/MS(測定条件 1):m/z(ESI、POS):326[M+H]。;保持時間:7.16分。
【0116】
合成例1
蛍光標識した17−(6−アミノヘキシルアミノ)ハービマイシンAの製造
蛍光標識した17−(6−アミノヘキシルアミノ)ハービマイシンA(17(A))を以下のスキーム(9)に従って合成した。
【0117】
【化19】

【0118】
ハービマイシンA(472mg、0.82mmol)をクロロホルム(42mL)に溶かし、これにヘキサメチレンジアミン(691mg、11.9mmol)を加え室温にて18時間、撹拌した。反応液に水(50mL)とクロロホルム(50mL)を加え分液し、クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(150mL、クロロホルム:メタノール:酢酸=30:6:1)を行い粗化合物(80mg)を得た。さらに、NH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(40mL、クロロホルム、富士シリシア化学株式会社)を行い17−(6−アミノヘキシルアミノ)ハービマイシンA(17(A))(48mg、収率8.5%)を得た。
【0119】
LC/MS(ESI,POS):689[M+H]
H−NMR(200MHz,CDCl)ppm:9.52(1H,br),7.70(1H,br),7.00(1H,s,H−19),7.00(1H,d,J=11.3Hz),651(1H,t、J=10.9Hz,H−4),5.84(1H,dd、J=10.9and7.3Hz,H−5),5.4−5.6(2H,br,H−7andH9),4.75(2H,br,CONH),4.71(1H,s,H−15),4.48(1H,d、J=7.3Hz,H−6),3.68(2H,m),3.52(3H,OMe),3.35(3H,OMe),3.33(3H,OMe),3.32(3H,OMe),2.00(3H,s),1.95−1.22(11H,m),1.68(3H,s,Me),1.07(3H,d,J=6.8Hz),0.96(3H,d,J=6.5Hz)
【0120】
実施例7
本発明の化合物がHSP90に結合することを確認するため、BIACORE(表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance=SPR)を応用して、生体分子の結合をセンサーチップ上で再現し、リアルタイムに測定する生体分子結合活性測定装置)を用いたHSP90 binding assay系を構築した(Adamczyk,M.,Moore,J.A.,Yu,Z.(2000)Methods, 20, 319−328参照)。
【0121】
HSP90 binding assay系はカルボキシメチルデキストランが導入してあるセンサーチップ(CM5,BIACORE)上のカルボキシル基を介して、17−(6-アミノへキシルアミノ)ハービマイシンAを固定化し、BIACORE−Xにより、センサーチップ表面に固定されたハービマイシンAとrHSP90の結合により生じる質量変化をSPRシグナルとして検出する系であり、方法はBIACOREのプロトコールに従った。
【0122】
ハービマイシンAを固定化したセンサーチップ表面に50μg/mLのrHSP90(Stressgen Biotechnologies Corp.,Victoria, BC Canada)を、10秒間添加し、SPRシグナル(相互作用を数値化した値を検出した。その結果、SPRシグナル上昇が認められ、rHSP90とセンサーチップ上の固定化ハービマイシンAとの結合が確認できた。
【0123】
rHSP90蛋白質(5×10−7M (50μg/mL))を、本発明のアセチレン誘導体と混合後、ハービマイシンAを固定化したセンサーチップ表面に10秒間添加し、BIACORE−XによりSPRシグナルを測定した。
【0124】
次いで下記の式(1)を用いて、本発明のアセチレン誘導体のrHSP90と固定化ハービマイシンAとの結合に対する阻害活性(結合阻害率(%))を求めた。
【0125】
式(1):結合阻害率(%)=((b−s)/s)×100
(上記式において、b:本発明化合物非添加サンプルのSPRシグナル;s:本発明化合物添加サンプルのSPRシグナル。)
【0126】
本発明のアセチレン誘導体の濃度と阻害活性から、HSP90蛋白質と固定化ハービマイシンAとの結合を50%阻害する濃度を求め、IC50値とした。
【0127】
本発明のアセチレン誘導体は濃度依存的にSPRシグナルを低下させ、本発明の化合物がHSP90と固定化ハービマイシンAとの結合を阻害することが示された。表1に結合阻害のIC50値を示す。
【0128】
比較例1
比較例として以下に示す18E540、18E490、18E970、18F210についても本発明のアセチレン誘導体と同様にrHSP90と固定化ハービマイシンAとの結合に対する阻害活性(結合阻害率(%))を求めた。表2に結合阻害のIC50値を示す。なお、18E970,18E490の合成は、各々、参考例1、参考例2に示した。18E540(IM−11a)、18F210(IM−12a)の合成は、実施例6に示した。
【0129】
【化20】

【0130】
実施例8
本実施例は、本発明の化合物が細胞増殖に与える影響を確認するため、ヒト乳癌細胞(MCF7)に本発明化合物および比較例の化合物の各濃度サンプルを72時間処理した。薬剤処理後の細胞の割合はメチレンブルー法による染色を行い、660nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(BioRad)にて測定した。
【0131】
96well plateに細胞を2千個/well散布し、24時間後に薬剤処理した。さらに72時間後、培地を除去し、50μLのメタノールを添加して室温で2分間放置し、細胞を固定した。メタノールを除去後、100μLの染色液を添加し、30分間染色した。200μLの蒸留水で3回洗浄を行い3%HCl溶液を添加し、メチレンブルーの660nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(BioRad)にて測定した。
【0132】
次いで下記の式(2)を用いて細胞増殖阻害率(%)を求めた。
式(2):細胞増殖阻害率(%)=((B−A)/B)×100
(上記式において、B:本発明化合物非添加サンプルの660nmの吸光度;A:本発明化合物添加サンプルの660nmの吸光度。)
【0133】
本発明のアセチレン誘導体の濃度と細胞増殖阻害率から、コントロールと比較して細胞増殖を50%阻害する濃度を上記の式を用いて求め、IC50値とした。
【0134】
本発明のアセチレン誘導体の細胞増殖阻害作用のIC50値を表1に示す。
【0135】
比較例2
上記18E540、18E490、18E970、18F210についても本発明のアセチレン誘導体と同様に細胞増殖阻害率(%)を求めた。表2に細胞増殖阻害のIC50値を示す。
【0136】
【表1】

【0137】
【表2】

【0138】
以上の結果より、本発明のアセチレン誘導体はMCF7細胞に対する増殖抑制効果を有し、その増殖抑制効果は比較例の化合物に比べて優れていることが明らかとなった。
【0139】
以上の結果より、本発明のアセチレン誘導体はHSP90阻害活性を有して癌細胞の増殖抑制効果を有し、癌の治療薬として有用であることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1A)、一般式(1B)、または、一般式(1C)
【化1】

[式中、Aは、酸素原子、硫黄原子、または、NRを示し、Xは置換基を有しても良いメチレン基を示し、nは0−3を示し、Yは、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、メルカプト基、水酸基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、スルファモイル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、置換もしくは無置換アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフォニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、またはシリル基を示し、Yは、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、またはカルバモイル基を示す。Zは、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素環若しくは複素環アリール基、ハロゲン原子、スルファモイル基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、カルバモイル基、またはシリル基を示し、Rは、置換基を有していてもよい炭素環若しくは複素環アリール基、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、スルファモイル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、置換もしくは無置換アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフォニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、またはシリル基を示す。ただし、AがNRの時、Rは、置換基を有していてもよい炭素環若しくは複素環アリール基、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、アルキルスルフォニル基、アリールスルフォニル基、スルファモイル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、またはシリル基を示す。Rは水素原子、もしくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6の、アルケニル基、もしくはアルキニル基を示す。]
で表されるアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項2】
下記一般式(1A−O)
【化2】

[式中、X、Y、Z、R、およびnは、一般式(1A)のX、Y、Z、R、およびnと同じ意味を表す。]
で表される請求項1に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項3】
下記一般式(1B−O)
【化3】

[式中、X、Y、Z、R、およびnは、一般式(1B)のX、Y、Z、R、およびnと同じ意味を表す。]
で表される請求項1に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項4】
下記一般式(1C)
【化4】

[式中、X、Z、R、Yおよびnは、一般式(1C)のX、Z、R、Yおよびnと同じ意味を表す。]
で表される請求項1に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項5】
一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、Xで表される置換基を有しても良いメチレン基の置換基が、水素原子、または、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6の、アルケニル基若しくはアルキニル基である、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項6】
一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、Xが無置換メチレン基である、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項7】
一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、nが1である、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項8】
一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、nが0である、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項9】
一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、Zが、水素原子、置換基を有していてもよい、炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素環若しくは複素環アリール基、またはシリル基である、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項10】
一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、Zが水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基である、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項11】
一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、YまたはYが、水素原子もしくは炭素数1〜6の非環状アルキル基である、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項12】
一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、YまたはYがカルバモイル基である、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項13】
一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、Rが置換基を有していてもよい炭素環若しくは複素環アリール基である、請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項14】
一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)において、Rが下記一般式(2)
【化5】

[式中、n’は0〜3を表す。Rは、環状でも非環状でも良く置換基を有しても良い、アルコキシル基、アミノ基、アシルアミノ基、または、スルフォニルアミノ基示す。]
で表される、請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項15】
一般式(2)において、n’が0または1であり、Rが環状アミノ基である、請求項14に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項16】
一般式(2)において、n’ が0であり、Rがアルコキシル基である、請求項14に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項17】
一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1A−O)、または(1B−O)で表される化合物が、下記一般式(1A−O1)、一般式(1B−O1)、又は、一般式(1C−1)
【化8】

[上記式中、Y、Y、Yc1は、各々独立して、水素原子、メチル基またはN−エチルカルバモイル基を示し、Z、Z、Zは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はトリメチルシリル基を示し、R、R、Rは、各々独立して、メトキシ基、モルフォリン−4−イルメチル基、または、モルフォリノ基を示す。]で表される請求項1ないし請求項15のいずれか一項に記載のアセチレン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項18】
4−(ブチン−2−イル)−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−29)、
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−6−(プロピン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−30)、
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−6−(3−トリメチルシラニル−プロピン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−33)、
4−(4,4−ジメチルペンチン−2−イル)−6−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−34)、
4−[4−(4−メトキシ−フェニル)−5−メチル−イソキサゾール−3−イル]−6−(3−フェニル−プロピン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール(1A−O1−35)。
【請求項19】
4−(ブチン−2−イル)−6−[5−メチル−4−(4−モルフォリン−4−イルメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール、
4−(ブチン−2−イル)−6−[5−メチル−4−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−ベンゼン−1,3−ジオール。
【請求項20】
5−[5−(ブチン−2−イル)−2,4−ジヒドロキシ−フェニル]−4−(4−モルフォリン−4−イルメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−カルボン酸 エチルアミド。
【請求項21】
請求項1ないし請求項20記載のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体のプロドラッグ、またはそのプロドラッグの薬理学的に許容される塩。
【請求項22】
請求項1ないし請求項21のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体、そのプロドラッグまたはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分とする、HSP90阻害剤。
【請求項23】
請求項1ないし請求項21のいずれか1項に記載のアセチレン誘導体、そのプロドラッグまたはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分とする、抗癌剤。

【公開番号】特開2008−137894(P2008−137894A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−81820(P2005−81820)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】