説明

新規なフロピリジン誘導体、それを含有する医薬組成物およびそれらの用途

【課題】 アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する新規な化合物を提供する。
【解決手段】 一般式(I):
【化1】


〔式中、Rは水素または低級アルキルであり、Rは低級アルキル、ハロ低級アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール等であり、−A=A−A=A−は、−C(R30)=C(R31)−C(R32)=N−、−C(R30)=C(R31)−N=C(R33)−、−C(R30)=N−C(R32)=C(R33)−、−N=C(R31)−C(R32)=C(R33)−等である〕で表される化合物またはそのプロドラッグ、あるいは薬理学的に許容される塩。本発明の化合物(I)は、優れたアデノシンA2A受容体拮抗作用を有するので、アデノシンA2A受容体関連疾患、特に運動機能障害、うつ病、不安症、認知機能障害、脳虚血性障害、レストレスレッグス症候群などの治療または予防剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する新規なフロピリジン誘導体、それを含有する医薬組成物およびそれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
アデノシンは、プリンヌクレオシドの一つであり、生体内において種々の調節機能、生理活性を有している。アデノシン受容体として、4つのサブタイプ(A、A2A、A2BおよびA受容体)が知られている。アデノシンが示す作用は、G蛋白共役型受容体ファミリーに属するこれらの膜受容体とアデノシンとの相互作用により媒介されることが知られている。
【0003】
中枢神経系におけるアデノシンA2A受容体の分布および機能についてはよく認識されており、アデノシンA2A受容体はコリン作動性、GABA作動性、グルタミン酸作動性ニューロンの調整に関与していることが明らかとされている。また、アデノシンA2A受容体はドパミンD受容体とも機能的に関連しており、アデノシンA2A受容体を拮抗することによりドパミンD受容体に対するドパミンの結合能が増加することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。ドパミンニューロンの異常に起因する疾患としてパーキンソン病が知られている。パーキンソン病は中高年齢者に好発する進行性の神経変性疾患であり、安静時振戦、固縮、無動、姿勢反射障害などの協調性運動機能障害を主症状とする。その病因は中脳黒質ドパミン性神経細胞の変性による線条体ドパミンの欠乏に起因すると考えられている。アデノシンA2A受容体は、協調性運動機能の調節に重要な役割を果たしている線条体に豊富に存在し、上述のようにアデノシンA2A受容体とドパミンD受容体とは相反性の関係にあることから、アデノシンA2A受容体を選択的に拮抗する薬剤はパーキンソン病、ハンチントン病、ウィルソン病などの運動機能障害の治療薬として有用であると考えられている(例えば、非特許文献2〜4参照)。また、アデノシンA2A受容体の拮抗により、抗うつ作用、抗不安作用および神経保護作用が認められることから、アデノシンA2A受容体拮抗剤はうつ病、不安症、認知機能障害(例えば、アルツハイマー病など)の治療薬として有用であると期待されている(例えば、非特許文献5および6、特許文献1参照)。またアデノシンA2A受容体の拮抗は脳虚血後の障害を軽減し、脳梗塞量を低下させることが知られており、アデノシンA2A受容体拮抗剤は脳虚血性障害(例えば、脳卒中、脳血管攣縮後の脳障害など)の治療薬として有用であると期待されている(例えば、非特許文献7参照)。またアデノシンA2A受容体拮抗剤はレストレスレッグス症候群、周期性四肢運動の治療薬として有用であると期待されている(例えば、特許文献2および3参照)。また、アデノシンA2A受容体拮抗剤は睡眠障害(例えば、ナルコレプシー、概日リズム睡眠障害など)の治療薬として有用であると期待されている(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
WO2001/83456には、フォスファチジルイノシトール3キナーゼ阻害作用を有し、制癌剤として有用である三環式縮合ヘテロ環誘導体を合成するための製造中間体として、3−(ベンゾイルアミノ)フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド、3−(ベンゾイルアミノ)−4,6−ジメチルフロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド、3−[(2−クロロ−4−ピリジニル)カルボニルアミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド、3−[(2−メトキシベンゾイル)アミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド、3−[(3−メトキシベンゾイル)アミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミドおよび3−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミドが開示されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、これらの化合物の生物活性については何ら記載されていない。
【0005】
WO2004/12671は、カンナビノイド−1受容体のアンタゴニストまたはインバースアゴニストであり、カンナビノイド−1受容体によって媒介される疾患(例えば、記憶障害、認知障害、片頭痛、不安症、てんかん、パーキンソン病、統合失調症、肥満、喘息、肝硬変など)の治療薬として有用である、下記一般式:
【化2】

(式中、ArおよびArは、それぞれ置換されてもよいアリールまたは置換されてもよいヘテロアリールであり;RはC1−10アルキル、アリール、CN、−CONRなどであり;Rは水素、NRなどであり;RおよびRは、それぞれ水素、C1−10アルキルなどであり;RおよびRは、それぞれ水素、−C(O)Rなどである)で表される化合物を開示している(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、これらの化合物のアデノシンA2A受容体拮抗作用については何ら記載されていない。
【0006】
WO2004/63202は、活性化血液凝固第X因子阻害剤として有用である下記一般式:
【化3】

(式中、Arは置換されてもよいアリール基または置換されてもよいヘテロアリール基であり;Rは水素またはアルキルであり;Rは置換されてもよいアミノ、置換されてもよいシクロアルキルなどである)で表される化合物を開示している(例えば、特許文献7参照)。しかしながらこれらの化合物のアデノシンA2A受容体拮抗作用については何ら記載されていない。
【0007】
WO2004/89939には、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有し、フロピリジン骨格を有する下記一般式:
【化4】

で表される化合物が開示されている(例えば、特許文献8参照)。しかしながら、これらの化合物と本発明の化合物とはフラン環上の2つの置換基が明らかに異なるものである。
【非特許文献1】Ferre S.ら, 「Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.」, 1991年, 88巻, p.7238-7241
【非特許文献2】Ferre S.ら, 「Neurosci. Lett.」, 1991年, 130巻, p.162-164
【非特許文献3】Mandhane S.N.ら, 「Eur. J. Pharmacol.」, 1997年, 328巻, p.135-141
【非特許文献4】Varani K.ら, 「The FASEB Journal」, 2003年, 17巻, p.2148-2150
【非特許文献5】EL.Yacoubi M.ら, 「British J. Pharmacol.」, 2001年, 134巻, p.68-77
【非特許文献6】Dall’lgna O.ら, 「British J. Pharmacol.」, 2003年, 138巻, p.1207-1209
【非特許文献7】Phillis J.W.ら, 「Brain Res.」, 1995年, 705巻, p.79-84
【特許文献1】国際公開第2004/108137号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/019949号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0138235号明細書
【特許文献4】国際公開第99/30715号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2001/83456号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2004/12671号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2004/63202号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2004/89939号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、アデノシンA2A受容体拮抗作用を有する新規な化合物およびそれらの用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、驚くべきことに、一般式(I)で表されるフロピリジン誘導体が極めて強力なアデノシンA2A受容体拮抗作用を有し、さらにはアデノシンA2A受容体関連疾患の治療または予防剤として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、一般式(I):
【化5】

〔式中、
は、水素原子または低級アルキル基であり;
は、以下のa)〜r):
a)低級アルキル基、
b)ハロ低級アルキル基、
c)ヒドロキシ低級アルキル基、
d)シクロアルキル基、
e)アリールシクロアルキル基、
f)ヘテロシクロアルキル基、
g)−(低級アルキレン)−NR1011
h)−C(O)NR1011
i)−C(O)OR12
j)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で置換されるアリール基、
k)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキル基、
l)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアリールアルケニル基、
m)低級アルコキシ基または低級アシルオキシ基から選択される基で置換される低級アルキル基、
n)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアリールオキシ低級アルキル基、
o)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキルオキシ低級アルキル基、
p)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアリールスルファニル低級アルキル基、
q)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基、または
r)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール低級アルキル基であり;
10およびR11は、それぞれ独立して、以下のa)〜l):
a)水素原子、
b)低級アルキル基、
c)ハロ低級アルキル基、
d)シクロアルキル基、
e)ヘテロシクロアルキル基、
f)−(低級アルキレン)−NR2021
g)−(低級アルキレン)−OR22
h)−(低級アルキレン)−C(O)NR2021
i)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で置換されるアリール基、
j)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキル基、
k)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基、または
l)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール低級アルキル基を表すか、
あるいはR10およびR11が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、環状アミノ基を形成し;
12は、低級アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し;
20およびR21は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、低級アシル基、ハロ低級アシル基、シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基を表すか、あるいはR20およびR21が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換または以下のa)〜d):
a)低級アルキル基、
b)シクロアルキル基、
c)オキソ基、および
d)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基およびハロ低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるフェニル基
からなる群から独立して選択される1〜2個の基で置換される環状アミノ基を形成し;
22は、水素原子、低級アルキル基、アリール基、シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基を表し;
、X、X、XおよびXは、それぞれ独立して、以下のa)〜x):
a)ハロゲン原子、
b)低級アルキル基、
c)ハロ低級アルキル基、
d)シクロアルキル基、
e)低級アルコキシ基、
f)ハロ低級アルコキシ基、
g)シクロアルキルオキシ基、
h)ヘテロシクロアルキルオキシ基、
i)低級アルコキシ低級アルコキシ基、
j)ヒドロキシ低級アルキル基、
k)水酸基、
l)カルボキシ基、
m)低級アルコキシカルボニル基、
n)アラルキルオキシカルボニル基、
o)低級アシル基、
p)シアノ基、
q)−Y−NR2526
r)−Y−SR27
s)−SONR2829
t)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるフェニル基、
u)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるフェノキシ基、
v)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるヘテロアリール基、
w)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリールオキシ基、または
x)アリール基もしくはヘテロアリール基から選択される基で置換される低級アルコキシ基を表すか、
あるいはX、X、X、XおよびXのうち2つが隣接する場合、それらが一緒になって−O(CHO−、−O(CH−、または−(CH−で表される基を形成し;
25およびR26は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、橋かけ環状炭化水素基、ヘテロアリール低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、低級アルコキシ低級アルキル基、低級アシル基、低級アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基またはジ低級アルキルアミノ低級アルキル基を表すか、あるいはR25およびR26が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換あるいは以下のa)〜p)からなる群:
a)低級アルキル基、
b)シクロアルキル基、
c)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基およびハロ低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるフェニル基、
d)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基およびハロ低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるアラルキル基、または環の隣接する炭素原子が、−O−(CH−O−で置換されるアラルキル基、
e)ヘテロアリール基、
f)ヘテロアリール低級アルキル基、
g)水酸基、低級アルコキシ基、カルボキシ基、アラルキルオキシカルボニル基、環状アミノカルボニル基またはジ低級アルキルアミノ基から選択される基で置換される低級アルキル基、
h)水酸基、
i)オキソ基、
j)低級アルコキシカルボニル基、
k)アラルキルオキシカルボニル基、
l)カルバモイル基、
m)低級アシル基、
n)ベンゾイル基、
o)ジ低級アルキルアミノ基、および
p)ジフェニルメチレン基
から独立して選択される1〜2個の基で置換される環状アミノ基を形成し;
は、結合、C1−3アルキレン基またはカルボニル基を表し;
は、結合またはC1−3アルキレン基を表し;
27は、以下のa)〜d):
a)低級アルキル基、
b)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基およびハロ低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるフェニル基、
c)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基およびハロ低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるヘテロアリール基、または
d)ジ低級アルキルアミノ低級アルキル基であり;
28およびR29は、それぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表すか、あるいはR28およびR29が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換または以下からなる群:低級アルキル基もしくはアラルキル基から選択される基で置換される環状アミノ基を形成し;
mは、1または2であり;
nは、2または3であり;
pは、3または4であり;
、XおよびXは、それぞれ独立して、以下のa)〜s):
a)ハロゲン原子、
b)低級アルキル基、
c)ハロ低級アルキル基、
d)ヒドロキシ低級アルキル基、
e)シクロアルキル基、
f)ヘテロシクロアルキル低級アルキル基、
g)低級アルコキシ基、
h)ハロ低級アルコキシ基、
i)低級アシル基、
j)カルボキシ基、
k)−Y−NR2526
l)−Y−SR27
m)−SONR2829
n)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるフェニル基、
o)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるフェノキシ基、
p)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるアラルキル基、
q)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基、
r)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるヘテロアリールオキシ基、または
s)アラルキルオキシ基であり;
−A=A−A=A−は、以下のa)〜h):
a)−C(R30)=C(R31)−C(R32)=N−、
b)−C(R30)=C(R31)−N=C(R33)−、
c)−C(R30)=N−C(R32)=C(R33)−、
d)−N=C(R31)−C(R32)=C(R33)−、
e)−C(R30)=C(R31)−C(R32)=N(O)−、
f)−C(R30)=C(R31)−N(O)=C(R33)−、
g)−C(R30)=N(O)−C(R32)=C(R33)−、または
h)−N(O)=C(R31)−C(R32)=C(R33)−であり;
30、R31、R32およびR33は、それぞれ独立して、以下のa)〜k):
a)水素原子、
b)ハロゲン原子、
c)低級アルキル基、
d)ハロ低級アルキル基、
e)低級アルコキシ基、
f)水酸基、
g)シアノ基、
h)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基およびハロ低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるアラルキルオキシ基、
i)ジ低級アルキルアミノ基、
j)低級アルキルスルファニル基、または
k)ニトロ基を表す;
但し、3−(ベンゾイルアミノ)フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド、3−(ベンゾイルアミノ)−4,6−ジメチルフロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド、3−[(2−クロロ−4−ピリジニル)カルボニルアミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド、3−[(2−メトキシベンゾイル)アミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド、3−[(3−メトキシベンゾイル)アミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミドおよび3−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミドを除く〕で表される化合物またはそのプロドラッグ、あるいはそれらの薬理学的に許容される塩に関する。
【0011】
また、本発明は、一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、アデノシンA2A受容体関連疾患の治療または予防剤に関する。
【0013】
さらに本発明は、一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩と、アデノシンA2A受容体拮抗剤以外のパーキンソン病治療薬、抗うつ剤、抗不安薬、認知機能障害治療薬および脳虚血性障害治療薬から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬に関する。
【0014】
一般式(I)で表される化合物において、下記の用語は、特に断らない限り、以下の意味を有する。
【0015】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。X、X、X、XおよびXにおいては、フッ素原子、塩素原子または臭素原子が好適であり、さらに好適にはフッ素原子または塩素原子であり、最も好適にはフッ素原子であり;X、XおよびXにおいては、フッ素原子、塩素原子または臭素原子が好適であり、最も好適には塩素原子であり;R30においては、フッ素原子が好適であり;R31においては、塩素原子またはフッ素原子が好適であり、さらに好適にはフッ素原子であり;R32およびR33においては、塩素原子またはフッ素原子が好適である。
【0016】
「低級アルキル基」とは、直鎖または分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基などが挙げられる。R、R30、R31、R32およびR33においては、C1−4低級アルキル基が好適であり、メチル基、エチル基またはイソプロピル基がさらに好適であり、メチル基が最も好適である。Rにおいては、C2−4低級アルキル基が好適であり、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基がさらに好適である。
【0017】
「ハロ低級アルキル基」とは、1〜3個の同種または異種のハロゲン原子で置換された低級アルキル基を意味し、例えば、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、3−ブロモプロピル基、4−ブロモブチル基、5−ブロモペンチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基などが挙げられる。R31、R32およびR33においては、トリフルオロメチル基が好適であり;X、X、X、X、X、X、XおよびXにおいては、クロロメチル基またはトリフルオロメチル基が好適である。
【0018】
「ヒドロキシ低級アルキル基」とは、水酸基で置換された低級アルキル基を意味し、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。
【0019】
「シクロアルキル基」とは、3〜7員の飽和環状炭化水素を意味し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロヘプチル基が挙げられる。Rにおいては、シクロプロピル基またはシクロブチル基が好適であり、シクロプロピル基がさらに好適である。
【0020】
「橋かけ環状炭化水素基」とは、炭素数7〜10個を有し、5〜7員環を有する橋かけ状の飽和環状炭化水素を意味し、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、アダマンタン−1−イル基などが挙げられる。
【0021】
「シクロアルキルオキシ基」とは、(シクロアルキル)−O−で表される基を意味し、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。
【0022】
「アリールシクロアルキル基」とは、アリール基で置換されたシクロアルキル基を意味し、例えば、2−フェニルシクロプロピル基、2−フェニルシクロペンチル基、3−フェニルシクロペンチル基などが挙げられる。
【0023】
「ヘテロシクロアルキル基」とは、環内に−NH−、−O−または−S−を含有し、炭素原子を介して結合する4〜7員の飽和複素環基を意味し、例えば、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロピラニル基、ピロリジン−2−イル基、ピロリジン−3−イル基、ピペリジン−2−イル基、ピペリジン−3−イル基、ピペリジン−4−イル基などが挙げられる。また当該ヘテロシクロアルキル基は、必要に応じて1〜2個の低級アルキル基またはアラルキル基で置換されてもよく、このような置換ヘテロシクロアルキル基としては、例えば、N−メチルピペリジン−4−イル基、N−ベンジルピペリジン−4−イル基、N−フェネチルピペリジン−4−イル基などが挙げられる。
【0024】
「ヘテロシクロアルキルオキシ基」とは、(ヘテロシクロアルキル)−O−で表される基を意味し、例えば、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ基、ピペリジン−4−イルオキシ基、N−メチルピペリジン−4−イルオキシ基、N−ベンジルピペリジン−4−イルオキシ基、N−フェネチルピペリジン−4−イルオキシ基などが挙げられる。
【0025】
「ヘテロシクロアルキル低級アルキル基」とは、ヘテロシクロアルキル基で置換された低級アルキル基を意味し、例えば、N−メチルピペリジン−4−イルメチル基、N−イソプロピルピペリジン−4−イルメチル基、N−ベンジルピペリジン−4−イルメチル基、N−フェネチルピペリジン−4−イルメチル基などが挙げられる。
【0026】
「アルケニル基」とは、少なくとも1個の二重結合を有する、直鎖または分岐鎖状の炭素数2〜6個の不飽和炭化水素を意味し、例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
【0027】
「アリール基」とは、炭素数6〜10個の芳香族炭化水素を意味し、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が挙げられ、好適にはフェニル基である。
【0028】
「アラルキル基」とは、アリール基で置換された低級アルキル基を意味し、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、ナフチルメチル基などが挙げられ、好適にはベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基または4−フェニルブチル基である。
【0029】
「アリールアルケニル基」とは、アリール基で置換されたアルケニル基を意味し、例えば、スチリル基、シンナミル基などが挙げられる。
【0030】
「アリールオキシ基」とは、(アリール)−O−で表される基を意味し、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられ、好適にはフェノキシ基である。
【0031】
「アラルキルオキシ基」とは、(アラルキル)−O−で表される基を意味し、例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、1−フェニルエトキシ基、3−フェニルプロポキシ基などが挙げられ、好適にはベンジルオキシ基である。
【0032】
「アラルキルオキシカルボニル基」とは、(アラルキルオキシ)−CO−で表される基を意味し、ベンジルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0033】
「アリールオキシ低級アルキル基」とは、アリールオキシ基で置換された低級アルキル基を意味し、例えば、フェノキシメチル基、1−フェノキシエチル基、2−フェノキシエチル基、1−メチル−1−フェノキシエチル基、3−フェノキシプロピル基、ナフチルオキシメチル基などが挙げられ、好適にはフェノキシメチル基、1−フェノキシエチル基、2−フェノキシエチル基または3−フェノキシプロピル基である。
【0034】
「アラルキルオキシ低級アルキル基」とは、アラルキルオキシ基で置換された低級アルキル基を意味し、例えば、ベンジルオキシメチル基、2−ベンジルオキシエチル基、フェネチルオキシメチル基、ナフチルメチルオキシメチル基などが挙げられ、好適にはベンジルオキシメチル基である。
【0035】
「低級アルキルスルファニル基」とは、(低級アルキル)−S−で表される基を意味し、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、ブチルスルファニル基などが挙げられる。
【0036】
「アリールスルファニル基」とは、(アリール)−S−で表される基を意味し、例えば、フェニルスルファニル基、1−ナフチルスルファニル基、2−ナフチルスルファニル基などが挙げられ、好適にはフェニルスルファニル基である。
【0037】
「アリールスルファニル低級アルキル基」とは、アリールスルファニル基で置換された低級アルキル基を意味し、例えば、フェニルスルファニルメチル基、1−フェニルスルファニルエチル基、2−フェニルスルファニルエチル基、1−メチル−1−フェニルスルファニルエチル基、3−フェニルスルファニルプロピル基、ナフチルスルファニルメチル基などが挙げられ、好適にはフェニルスルファニルメチル基である。
【0038】
「低級アルコキシ基」とは、直鎖または分岐鎖状の炭素数1〜6のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。R30、R31、R32、R33、X、XおよびXにおいては、C1−3アルコキシ基が好適であり、メトキシ基またはエトキシ基がさらに好適であり、メトキシ基が最も好適である。X、X、X、XおよびXにおいては、C1−4アルコキシ基が好適であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはイソプロピル基がさらに好適である。
【0039】
「ハロ低級アルコキシ基」とは、1〜3個の同種または異種のハロゲン原子で置換された低級アルコキシ基を意味し、例えば、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基などが挙げられる。
【0040】
「低級アルコキシ低級アルキル基」とは、低級アルコキシ基で置換された低級アルキル基を意味し、例えば、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、エトキシメチル基などが挙げられ、好適にはメトキシメチル基である。
【0041】
「低級アルコキシ低級アルコキシ基」とは、低級アルコキシ基で置換された低級アルコキシ基を意味し、例えば、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、3−メトキシプロポキシ基、4−メトキシブトキシ基などが挙げられる。
【0042】
「低級アシル基」とは、H−CO−もしくは(低級アルキル)−CO−で表される基を意味し、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基などが挙げられ、好適にはアセチル基である。
【0043】
「ハロ低級アシル基」とは、(ハロ低級アルキル)−CO−で表される基を意味し、例えば、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基などが挙げられる。
【0044】
「低級アシルオキシ基」とは、(低級アシル)−O−で表される基を意味し、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基などが挙げられ、好適にはアセチルオキシ基である。
【0045】
「低級アルコキシカルボニル基」とは、(低級アルコキシ)−CO−で表される基を意味し、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0046】
「アラルキルオキシカルボニル基」とは、(アラルキルオキシ)−CO−で表される基を意味し、ベンジルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0047】
「ジ低級アルキルアミノ基」とは、低級アルキル基で二置換されたアミノ基を意味し、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基などが挙げられ、好適にはジメチルアミノ基またはジエチルアミノ基である。
【0048】
「ジ低級アルキルアミノ低級アルキル基」とは、ジ低級アルキルアミノ基で置換された低級アルキル基を意味し、例えば、ジメチルアミノメチル基、2−ジメチルアミノエチル基、3−ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノメチル基、2−ジエチルアミノエチル基などが挙げられ、好適には2−ジメチルアミノエチル基である。
【0049】
「環状アミノ基」とは、環内に−NH−、−O−もしくは−S−から選択されるヘテロ原子または1つの二重結合を含んでもよい、4〜8員の環状アミンを意味する。環状アミンの具体例としては、例えば、1−ピロリジル基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、アゼパン−1−イル基、2,5−ジヒドロピロール−1−イル基などが挙げられ、好適には1−ピロリジル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、アゼパン−1−イル基または2,5−ジヒドロピロール−1−イル基である。また当該環状アミノ基は、必要に応じて隣接する環の炭素原子がベンゼン環またはシクロアルキル環と縮合されてもよく、このような縮合環状アミノ基として、例えば、インドリン−1−イル基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−イル基、オクタヒドロイソインドール−2−イル基、3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル基などが挙げられる。
【0050】
「環状アミノカルボニル基」とは、(環状アミノ)-CO−で表される基を意味し、例えば、ピロリジノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、モルホリノカルボニル基、ピペラジノカルボニル基などが挙げられる。
【0051】
「ヘテロアリール基」とは、1〜5個の炭素原子ならびにO、NおよびS原子からなる群から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員の単環式芳香族複素環、あるいは1〜9個の炭素原子ならびにO、NおよびS原子からなる群から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する8〜10員の二環式芳香族複素環を意味し、但し、これらの環は、隣接する酸素原子および/または硫黄原子を含まない。単環式芳香族複素環としては、例えば、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジルおよびピリダジニルなどが挙げられ、好適にはフリル、チエニル、イソキサゾリルまたはピリジルであり、さらに好適にはフリルである。二環式芳香族複素環としては、例えば、インドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリルなどが挙げられ、好適にはベンゾフラニルである。これらの複素環の全ての位置異性体が考えられる(例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジルなど)。
【0052】
「ヘテロアリールオキシ基」とは、(ヘテロアリール)−O−で表される基を意味し、例えば、ピリジルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、ベンゾフラニルオキシ基などが挙げられる。
【0053】
「ヘテロアリール低級アルキル基」とは、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基を意味し、例えば、2−フリルメチル基、3−フリルメチル基、2−チエニルメチル基、3−チエニルメチル基、2−ピリジルメチル基、3−ピリジルメチル基、4−ピリジルメチル基、3−ピリジルエチル基、3−ベンゾフリルメチル基、3−ベンゾチエニルメチル基などが挙げられる。
【0054】
「低級アルキレン基」とは、炭素数1〜6の2価の直鎖もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素鎖を意味する。当該低級アルキレン基の具体例として、例えば、−CH−、−CHCH−、−CH(CH)−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−C(CH−、−C(CHCH−、−CHC(CH−、−CHCHCH−、−C(CHCHCH−、−C(CHCHCH(CH)−、−CHCHCHCH−、−CHCHCHCHCH−、−CHCHCHCHCHCH−などが挙げられ、好適には−CH−または−CHCH−である。
【0055】
「C1−3アルキレン基」とは、炭素数1〜3の2価の直鎖飽和炭化水素鎖を意味し、当該炭化水素鎖は必要に応じて1〜3個のメチル基で置換されてもよい。当該C1−3アルキレン基の具体例として、例えば、−CH−、−CHCH−、−CH(CH)−、−CH(CH)CH−、−CHCH(CH)−、−C(CH−、−C(CHCH−、−CHC(CH−、−CHCHCH−、−C(CHCHCH−、−C(CHCHCH(CH)−などの基が挙げられ、好適には−CH−、−CHCH−または−CHCHCH−であり、さらに好適には−CH−である。
【0056】
一般式(I)で表される化合物において1つまたはそれ以上の不斉炭素原子が存在する場合、本発明は各々の不斉炭素原子がR配置の化合物、S配置の化合物、およびそれらの任意の組み合せの化合物のいずれも包含する。またそれらのラセミ化合物、ラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物が本発明の範囲に含まれる。本発明の前記一般式(I)で表される化合物において幾何学異性が存在する場合、本発明はcis異性体、trans異性体、およびそれらの混合物のいずれも包含する。さらに一般式(I)で表される化合物には、水和物やエタノール等の医薬品として許容される溶媒との溶媒和物も含まれる。
【0057】
一般式(I)で表される化合物は、塩の形態で存在することができる。このような塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸との付加塩、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、プロピオン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、炭酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の有機酸との付加塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等の無機塩基との塩、トリエチルアミン、ピペリジン、モルホリン、リジン、エチレンジアミン等の有機塩基との塩を挙げることができる。
【0058】
本発明において「プロドラッグ」とは生体内において前記一般式(I)に変換される化合物を意味し、このようなプロドラッグはまた本発明の範囲内である。プロドラッグの様々な形態が当該分野で周知である。
【0059】
例えば、前記一般式(I)で表される化合物がカルボン酸官能基を有する場合、プロドラッグとして、当該カルボン酸基の水素原子と、以下のような基:低級アルキル基、低級アルカノイルオキシメチル、1−(低級アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−(低級アルカノイルオキシ)エチル、低級アルコキシカルボニルオキシメチル、1−(低級アルコキシカルボニルオキシ)エチル、1−メチル−1−(低級アルコキシカルボニルオキシ)エチル、N−(低級アルコキシカルボニル)アミノメチル、1−(N−(低級アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、ガンマ−ブチロラクトン−4−イル、N,N−ジ低級アルキルアミノ−低級アルキル(例えばβ−ジメチルアミノエチル)、カルバモイル−低級アルキル、N,N−ジ低級アルキルカルバモイル−低級アルキル、あるいはピペリジノ−、ピロリジノ−またはモルホリノ低級アルキルとの置換により形成されるエステルが挙げられる。また前記一般式(I)で表される化合物が、水酸基を有する場合、プロドラッグとして、当該水酸基の水素原子と、以下のような基:低級アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基など);低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基など);またはスクシノイル基との置換により形成される化合物が挙げられる。また前記一般式(I)で表される化合物が、−NHまたは−NHのようなアミノ基を有する場合、プロドラッグとして、当該アミノ基の水素原子と、以下のような基:低級アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基など);または低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基など)との置換により形成される化合物が挙げられる。これらのプロドラッグ化合物は、公知の方法、例えば、T.W.GreenおよびP.G.H.Wuts,「Protective Groups in Organic Synthesis」第3版、およびそこに記載された参考文献に従って化合物(I)から製造することができる。
【0060】
本発明の一般式(I)で表される化合物のひとつの実施態様において、
は、好ましくは水素原子であり;
は、好ましくは、以下のa)〜f):
a)低級アルキル基、
b)シクロアルキル基、
c)−(低級アルキレン)−NR1011
d)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で置換されるアリール基、
e)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなるからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキル基、または
f)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基であり、
さらに好ましくは、Rは、以下のa)〜c):
a)シクロアルキル基;
b)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で置換されるアリール基、または
c)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基であり;
、X、X、XおよびXは、好ましくは、それぞれ独立して、以下のa)〜j):
a)ハロゲン原子、
b)低級アルキル基、
c)低級アルコキシ基、
d)ハロ低級アルコキシ基、
e)ヘテロシクロアルキルオキシ基、
f)水酸基、
g)−Y−NR2526
h)−Y−SR27
i)−SONR2829
j)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるヘテロアリール基であるか、
あるいはX、X、X、XおよびXのうち2つが隣接する場合、それらが一緒になって−OCHO−を形成し;
、XおよびXは、好ましくは、それぞれ独立して、以下のa)〜i):
a)ハロゲン原子、
b)低級アルキル基、
c)ヒドロキシ低級アルキル基、
d)シクロアルキル基、
e)ヘテロシクロアルキル低級アルキル基、
f)−Y−NR2526
g)−SONR2829
h)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるフェニル基、または
i)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるフェノキシ基であり;
−A=A−A=A−は、好ましくは−C(R30)=C(R31)−C(R32)=N−であり;
30、R31、R32およびR33は、それぞれ独立して、好ましくは以下のa)〜e):
a)水素原子、
b)ハロゲン原子、
c)低級アルキル基、
d)ハロ低級アルキル基、または
e)低級アルコキシ基である。
【0061】
本発明の好ましい実施態様では、Rは、水素原子である。
【0062】
本発明のさらに好ましい実施態様では、
は水素原子であり;
−A=A−A=A−は、−C(R30)=C(R31)−C(R32)=N−である。
【0063】
本発明のなおさらに好ましい実施態様では、
は水素原子であり;
は、以下のa)〜f):
a)低級アルキル基、
b)シクロアルキル基、
c)−(低級アルキレン)−NR1011
d)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で置換されるアリール基、
e)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなるからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキル基、または
f)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基であり;
−A=A−A=A−は、−C(R30)=C(R31)−C(R32)=N−である。
【0064】
本発明のなおさらに好ましい実施態様では、
は水素原子であり;
は、以下のa)〜c):
a)シクロアルキル基、
b)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で置換されるアリール基、または
c)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基であり;
−A=A−A=A−は、−C(R30)=C(R31)−C(R32)=N−である。
【0065】
本発明のなおさらに好ましい実施態様では、
は水素原子であり;
は、以下のa)〜c):
a)シクロアルキル基、
b)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で置換されるアリール基、または
c)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基であり;
−A=A−A=A−は、−C(R30)=C(R31)−C(R32)=N−であり;
30、R31およびR32は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基である。
【0066】
本発明の好ましい化合物の具体例は、以下からなる群から選択される化合物またはその薬理学的に許容される塩である:
3−[2−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)アセチルアミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド;
3−[(5−エチルフラン−2−カルボニル)アミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド;
3−{[5−(4−ベンジルピペラジン−1−イルメチル)フラン−2−カルボニル]アミノ}フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド;
3−(4−フルオロベンゾイルアミノ)フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド;
3−(シクロプロパンカルボニルアミノ)−5−フルオロフロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド;および
5−フルオロ−3−(4−フルオロベンゾイルアミノ)フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド。
【0067】
一般式(I)で表される化合物は、スキーム1、5、6、7および8に示す方法に従って製造することができる。
【0068】
【化6】

(式中、R、R、A、A、AおよびAは上記と同義である。)
【0069】
工程1−1
カルボン酸(XI)を、常法に従って、その反応性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、混合酸無水物、4−ニトロフェニルエステル、2,5−ジオキサピロリジンエステルなど)に変換後、塩基の存在下または非存在下に化合物(X)と縮合させることにより、化合物(I)が得られる。この縮合反応に用いられる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、およびそれらの混合溶媒等が挙げられる。塩基としては、例えば、炭酸カリウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリンなどが挙げられる。その反応温度は通常−20℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分〜24時間である。
また、化合物(I)は、化合物(X)を、不活性溶媒中、塩基の存在下または非存在下、縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、シアノリン酸ジエチル、アジ化ジフェニルホスホリルなど)の存在下にカルボン酸(XI)と縮合させることによっても得ることができる。この縮合反応に用いられる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、およびそれらの混合溶媒等が挙げられる。塩基としては、例えば、炭酸カリウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン等が挙げられる。その反応温度は通常0℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分〜24時間である。
【0070】
スキーム1で用いられる出発原料(X)は、スキーム2、3または4に示す方法に従って合成することができる。
【0071】
【化7】

(式中、R、A、A、AおよびAは上記と同義であり、Lは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基などの脱離基を表し、Lは塩素原子、フッ素原子などの脱離基を表す。)
【0072】
工程2−1
ヒドロキシニトリル誘導体(XII)を、不活性溶媒中、塩基の存在下に化合物(XIII)と縮合させることにより、化合物(XIV)が得られる。この縮合反応に用いられる溶媒としては、例えば、エタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1−メチル−2−ピロリドンおよびそれらの混合溶媒等が挙げられる。塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸銀、酸化銀、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。その反応温度は通常、0℃〜室温であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1時間〜24時間である。
【0073】
工程2−2
また、この化合物(XIV)は、化合物(XV)とヒドロキシアセトアミド誘導体(XVI)とを、不活性溶媒中、塩基の存在下に縮合させることによっても得ることができる。この縮合反応に用いられる溶媒としては、例えば、エタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1−メチル−2−ピロリドンおよびそれらの混合溶媒等が挙げられる。塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。その反応温度は通常、0℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1時間〜24時間である。
【0074】
工程2−3
続いて化合物(XIV)を不活性溶媒中、塩基の存在下に閉環させることにより、化合物(X)が得られる。当該反応に用いられる溶媒としては、例えば、エタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1−メチル−2−ピロリドンおよびそれらの混合溶媒等が挙げられる。塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。その反応温度は通常、室温〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1時間〜72時間である。
また、化合物(X)は、工程2−1または2−2で得られる化合物(XIV)を単離することなく、工程2−3を行うことによっても製造することが出来る。
【0075】
【化8】

(式中、A、A、A、AおよびLは上記と同義である。)
【0076】
工程3−1
2−ヒドロキシニトリル誘導体(XII)を、不活性溶媒中、塩基の存在下に化合物(XVII)と縮合させることにより、化合物(XVIII)が得られる。この縮合反応に用いられる溶媒としては、例えば、エタノール、アセトニトリル、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸銀、酸化銀、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。その反応温度は通常、0℃〜80℃であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1時間〜24時間である。
【0077】
工程3−2
続いて化合物(XVIII)を不活性溶媒中、塩基の存在下に閉環させることにより、化合物(XIX)が得られる。当該反応に用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、およびこれらアルコール類と水との混合溶媒が挙げられる。塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。その反応温度は通常、室温〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1時間〜24時間である。
【0078】
【化9】

(式中、R、A、A、A、A、LおよびLは上記と同義であり、R40は、低級アルキル基を表す。)
【0079】
工程4−1
ヒドロキシニトリル誘導体(XII)を、不活性溶媒中、塩基の存在下に化合物(XX)と縮合させることにより、化合物(XXI)が得られる。この縮合反応に用いられる溶媒としては、例えば、エタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1−メチル−2−ピロリドンおよびそれらの混合溶媒等が挙げられる。塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸銀、酸化銀、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。その反応温度は通常、0℃〜室温であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1時間〜24時間である。
【0080】
工程4−2
また、この化合物(XXI)は、化合物(XV)とヒドロキシ酢酸エステル誘導体(XXII)とを、不活性溶媒中、塩基の存在下に縮合させることによっても得ることができる。この縮合反応に用いられる溶媒としては、例えば、エタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1−メチル−2−ピロリドンおよびそれらの混合溶媒等が挙げられる。塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。その反応温度は通常、0℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1時間〜24時間である。
【0081】
工程4−3
続いて化合物(XXI)を不活性溶媒中、塩基の存在下に閉環させることにより、化合物(XXIII)が得られる。当該反応に用いられる溶媒としては、例えば、エタノール、tert-ブタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1−メチル−2−ピロリドンおよびそれらの混合溶媒等が挙げられる。塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。その反応温度は通常、室温〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1時間〜72時間である。
また、化合物(XXIII)は、工程4−1または4−2で得られる化合物(XXI)を単離することなく、工程4−3を行うことによっても製造することが出来る。
【0082】
工程4−4
化合物(XXIII)は、不活性溶媒中、オートクレーブなどの耐圧反応容器を用いてアミン(XXIV)と反応させることにより、化合物(X)に変換することができる。本反応に用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリドン、水およびそれらの混合溶媒等が挙げられる。その反応温度は通常室温〜200℃であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1時間〜24時間である。
【0083】
また、一般式(I)で表される化合物のうち、一般式(Ib)で表される化合物は、一般式(Ia)で表される化合物からスキーム5に示す方法に従って製造することができる。
【0084】
【化10】

(式中、RおよびRは上記と同義であり、−A11=A12−A13=A14−は、−C(R30)=C(R31)−C(R32)=N−、−C(R30)=C(R31)−N=C(R33)−、−C(R30)=N−C(R32)=C(R33)−、または−N=C(R31)−C(R32)=C(R33)−を表し、−A21=A22−A23=A24−は、−C(R30)=C(R31)−C(R32)=N(O)−、−C(R30)=C(R31)−N(O)=C(R33)−、−C(R30)=N(O)−C(R32)=C(R33)−、または−N(O)=C(R31)−C(R32)=C(R33)−を表し、R30、R31、R32およびR33は上記と同義である。)
【0085】
工程5−1
化合物(Ia)を、適切な溶媒中、酸化剤により酸化することにより、化合物(Ib)が得られる。この酸化反応に用いられる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、エタノール、メタノール、アセトニトリル、水、酢酸、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、トリフルオロ酢酸、およびそれらの混合溶媒等が挙げられる。酸化剤としては、例えば、m−クロロ過安息香酸、過安息香酸、過酢酸、過酸化水素、ジメチルジオキシラン、オキソン、酸素/イソブチルアルデヒドなどが挙げられる。その反応温度は通常、0℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1時間〜96時間である。
【0086】
一般式(I)で表される化合物のうち、一般式(Ic)および(Id)で表される化合物は、スキーム6に示す方法に従って製造することができる。
【0087】
【化11】

(式中、R、A、A、A、AおよびLは上記と同義であり、A10はC1−3アルキレン基を表し、Arはアリール基またはヘテロアリール基を表し、Y10は−N(R25)−または−S−であり、Y10が−N(R25)−である場合、R41はR26と同義であり、Y10が−S−である場合、R41はR27と同義である。)
【0088】
工程6−1
化合物(X)と化合物(XXV)とを、工程1−1と同様にして縮合させることにより、化合物(Ic)が得られる。
【0089】
工程6−2
続いて、化合物(Ic)を、不活性溶媒中、塩基の存在下または非存在下に化合物(XXVI)と反応させることにより、化合物(Id)が得られる。この反応に用いられる溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、1−メチル−2−ピロリドンおよびそれらの混合溶媒等が挙げられる。塩基としては、例えば、炭酸カリウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)等などが挙げられる。その反応温度は通常−20℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分〜24時間である。
【0090】
一般式(I)で表される化合物のうち、一般式(Ie)および(If)で表される化合物は、スキーム7に示す方法に従って製造することができる。
【0091】
【化12】

(式中、R、A、A、A、AおよびLは上記と同義であり、A20はC1−6アルキレン基を表し、Y11は−N(R10)−、−O−または−S−であり、Y11が−N(R10)−である場合、R42はR11と同義であり、Y11が−O−または−S−である場合、R42は非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で置換されるアリール基を表し、X、X、X、XおよびXは上記と同義である。)
【0092】
工程7−1
化合物(X)と化合物(XXVII)とを、工程1−1と同様にして縮合させることにより、化合物(Ie)が得られる。
【0093】
工程7−2
続いて、化合物(Ie)を、不活性溶媒中、塩基の存在下に化合物(XXVIII)と反応させることにより、化合物(If)が得られる。また、本反応は、必要に応じて耐圧反応容器を用いて行ってもよい。これらの反応に用いられる溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、1−メチル−2−ピロリドンおよびそれらの混合溶媒等が挙げられる。塩基としては、例えば、炭酸カリウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)等などが挙げられる。その反応温度は通常−20℃〜250℃であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、5分〜24時間である。
【0094】
一般式(I)で表される化合物のうち、一般式(Ig)および(Ih)で表される化合物は、スキーム8に示す方法に従って製造することができる。
【0095】
【化13】

(式中、R、A、A、A、A、R10、R11およびR12は上記と同義である。)
【0096】
工程8−1
化合物(X)と化合物(XXIX)とを、工程1−1と同様にして縮合させることにより、化合物(Ig)が得られる。
【0097】
工程8−2
続いて、化合物(Ig)を、溶媒中、塩基の存在下または非存在下に化合物(XXX)と反応させることにより、化合物(Ih)が得られる。また、本反応は、必要に応じて耐圧反応容器を用いて行ってもよい。これらの反応に用いられる溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1−メチル−2−ピロリドンおよびそれらの混合溶媒等が挙げられる。塩基としては、例えば、炭酸カリウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)等などが挙げられる。その反応温度は通常室温〜250℃であり、反応時間は使用する原料物質や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、5分〜24時間である。
【0098】
上記に示したスキームは、一般式(I)で表される化合物またはその製造中間体を製造するための方法のいくつかの例示であり、当業者には容易に理解され得るようにこれらのスキームの様々な改変が可能である。
【0099】
一般式(I)で表される化合物、および当該化合物を製造するために使用される中間体は、必要に応じて、当該分野の当業者には周知の単離・精製手段である溶媒抽出、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー、分取高速液体クロマトグラフィーなどの操作を行うことにより、単離・精製することができる。
【0100】
このようにして製造される一般式(I)で表される化合物は、優れたアデノシンA2A受容体拮抗作用を有するのでアデノシンA2A受容体関連疾患、例えば、運動機能障害(例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、ウィルソン病など)、うつ病、不安症、認知機能障害(例えば、アルツハイマー病など)、脳虚血性障害(脳卒中、脳血管攣縮後の脳障害など)、レストレスレッグス症候群などの治療または予防薬として有用である。
【0101】
また、一般式(I)で表される化合物は、必要に応じて、アデノシンA2A受容体拮抗剤以外のパーキンソン病治療薬、抗うつ剤、抗不安薬、認知機能障害治療薬または脳虚血性障害治療薬と組み合わせて使用することができる。このような一般式(I)で表される化合物と組み合わせて使用できるパーキンソン病治療薬として、例えば、レボドパ、レボドパ/カルビドパ合剤、レボドパ/ベンセラジド合剤、ドロキシドパ、メレボドパ、スレオドプス;ドパミンD受容体アゴニスト(例えば、カベルゴリン、メシル酸ブロモクリプチン、テルグリド、塩酸タリペキソール、塩酸ロピニロール、メシル酸ペルゴリド、塩酸プラミペキソール、ロチゴチンなど);抗コリン剤(例えば、プロフェナミン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸マザチコール、ピペリデン、塩酸ピロヘプチン、塩酸メチキセンなど);COMT(catechol O-methyltransferase)阻害剤(例えば、トルカポン、エンタカポンなど);NMDA拮抗剤(例えば、ブジピンなど);モノアミンオキシダーゼB阻害剤(例えば、塩酸セレギリン、メシル酸ラサギリン、メシル酸サフィナミドなど);ゾニサミド;塩酸アマンタジンなどが挙げられる。一般式(I)で表される化合物と組み合わせて使用できる抗うつ剤として、例えば、三環系抗うつ薬(例えば、塩酸イミプラミン、塩酸クロミプラミン、塩酸アミトリプチリン、塩酸ノルトリプチリン、アモキサピン、マレイン酸トリミプラミン、塩酸デシプラミンなど)、四環系抗うつ薬(塩酸マプロチリン、塩酸ミアンセリン、マレイン酸セチプチリンなど)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、塩酸フルオキセチン、塩酸セルトラリン、塩酸パロキセチン、臭化水素酸シタロプラム、マレイン酸フルボキサミンなど);選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(例えば、メシル酸レボキセチン、ミルタザピン、塩酸ブプロピオンなど);セロトニン/ノルアドレナリン混合型再取り込み阻害剤(例えば、塩酸ベンラファキシン、塩酸ミルナシプラン、塩酸デュロキセチンなど)、モノアミンオキダーゼ阻害剤(例えば、塩酸セレギリン、メシル酸サフィナミド、モクロべミドなど)、5−HT拮抗剤(例えば、ミルタザピン、塩酸トラゾドン、塩酸ネファゾドンなど)などが挙げられる。一般式(I)で表される化合物と組み合わせて使用できる抗不安薬として、例えば、ベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(例えば、ジアゼパム、クロルジアゼポキシド、フルジアゼパム、エチゾラム、フルトプラゼパムなど)、5−HT1Aアゴニスト(例えば、塩酸ブスピロンなど)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、塩酸フルオキセチン、塩酸セルトラリン、塩酸パロキセチンなど)、CRF(corticotropin releasing factor)受容体拮抗剤(TS-041、DPC-368など)などが挙げられる。一般式(I)で表される化合物と組み合わせて使用できる認知機能障害治療薬として、例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、タクリン、塩酸ドネペジル、酒石酸リバスチグミン、メトリフォネート、臭化水素酸ガランタミンなど);塩酸メマンチン;アリピプラゾール;S−8510;AC−3933などが挙げられる。一般式(I)で表される化合物と組み合わせて使用できる脳虚血性障害治療薬として、血栓溶解剤(例えば、t−PA(tissue plasminogen activator)、ウロキナーゼなど);トロンビン阻害剤(例えば、アルガトロバンなど);TXA合成酵素阻害剤(例えば、オザグレルナトリウムなど);ラジカル消去剤(例えば、エブセレン、エダラボン、ニカラベンなど);5−HT1Aアゴニスト(例えば、SUN−N4057、BAYx3702など);NMDA拮抗剤(例えば、塩酸アプチガネルなど);AMPA拮抗剤(例えば、S−1746など);Rho kinase阻害剤(例えば、ファスジルなど);src阻害剤などが挙げられる。
【0102】
一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物は、用法に応じ種々の剤型のものが使用される。このような剤型としては例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、注射剤、液剤、軟膏剤、坐剤、貼付剤などを挙げることができ、経口または非経口的に投与される。
【0103】
これらの医薬組成物は、その剤型に応じ製剤学的に公知の手法により、適切な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤などの医薬品添加物と適宜混合または希釈・溶解することにより製剤化することができる。
【0104】
一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩の投与量は患者の年齢、性別、体重、疾患および治療の程度等により適宜決定されるが、経口投与の場合成人1日当たり約1mg〜約5000mgの範囲で、非経口投与の場合は、成人1日当たり約0.1mg〜約500mgの範囲で、一回または数回に分けて適宜投与することができる。
【0105】
一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩と、アデノシンA2A受容体拮抗剤以外のパーキンソン病治療薬、抗うつ剤、抗不安薬、および認知機能障害治療薬から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬は、これらの有効成分を一緒に含有する製剤、またはこれらの有効成分の各々を別々に製剤化した製剤として投与することができる。別々に製剤化した場合、それらの製剤を別々にまたは同時に投与することができる。また、別々に製剤化した場合、それらの製剤を使用時に希釈剤などを用いて混合し、同時に投与することができる。
【0106】
一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩と、アデノシンA2A受容体拮抗剤以外のパーキンソン病治療薬、抗うつ剤、抗不安薬、および認知機能障害治療薬から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬において、薬剤の投与量は、患者の年齢、性別、および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、薬剤の組み合わせなどにより、適宜選択することができる。
【発明の効果】
【0107】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、アデノシンA2A受容体に対して強力な阻害作用を有する。さらに本発明の好ましい化合物は、アデノシンA2A受容体に対して選択的な阻害作用を有する。従って、本発明の化合物は、アデノシンA2A受容体関連疾患、例えば、運動機能障害、うつ病、不安症、認知機能障害、脳虚血性障害、レストレスレッグス症候群などの治療または予防剤として有用であり、特にパーキンソン病の治療または予防剤として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0108】
本発明の内容を以下の参考例、実施例および試験例でさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【実施例】
【0109】
参考例1−1
3−アミノフロ[2,3-c]ピリジン−2−カルボキサミド
3−ヒドロキシイソニコチノニトリル(0.4g)のエタノール(40mL)溶液に、2−クロロアセトアミド(0.374g)、炭酸カリウム(0.692g)およびヨウ化カリウム(0.11g)を室温にて加え、アルゴン下で3時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、水酸化カリウム(0.374g)を加え、5時間加熱還流した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルとメタノールの混合溶媒にて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、表題化合物(28.8mg)を得た。
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:6.11 (2H, brs), 7.00-8.00 (3H, m), 8.40 (1H, d, J=5.5Hz), 8.82 (1H, s)
【0110】
3−ヒドロキシイソニコチノニトリルの代わりに3−ヒドロキシピリジン−2−カルボニトリルを用い、参考例1−1と同様の方法により、参考例1−2を合成した。これを表1に示した。
【0111】
【表1】

【0112】
参考例1−2の物性値を以下に示した。
【0113】
参考例1−2
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:5.83 (2H, brs), 7.20-7.65 (3H, m), 7.85-7.95 (1H, m), 8.50-8.60 (1H, m)
【0114】
参考例2−1
3−アミノフロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボン酸tert-ブチルアミド
2−クロロニコチノニトリル(0.5g)およびN-tert-ブチル−2−ヒドロキシアセトアミド(0.473g)のN,N−ジメチルホルムアミド(6mL)溶液に、室温にて水素化ナトリウム(純度55%, 0.165g)を加えた。反応混合物を140℃にて3時間撹拌後、室温にて水素化ナトリウム(純度55%, 0.165g)を加え、室温にて10分間撹拌した。反応混合物に1mol/L塩酸を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を1mol/L塩酸、飽和食塩水にて順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウム乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物(0.254g)を得た。
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.41 (9H, s), 6.13 (2H, brs), 7.09 (1H, brs), 7.25-7.45 (1H, m), 8.20-8.46 (2H, m)
【0115】
2−クロロニコチノニトリルの代わりに対応するクロロピリジンカルボニトリルを用い、N-tert-ブチル−2−ヒドロキシアセトアミドの代わりに2−ヒドロキシ酢酸エチルを用い、参考例2−1と同様の方法により、参考例2−2〜2−5を合成した。これらを表2に示した。
【0116】
【表2】

【0117】
参考例2−2〜2−5の物性値を以下に示した。
【0118】
参考例2−2
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.33 (3H, t, J=7.1Hz), 4.31 (2H, q, J=7.1Hz), 6.52 (2H, brs), 7.33-7.41 (1H, m), 8.39-8.50 (2H, m)
【0119】
参考例2−3
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.44 (3H, t, J=7.3Hz), 4.44 (2H, q, J=7.3Hz), 4.98 (2H, brs), 7.60-7.70 (1H, m), 8.30-8.40 (1H, m)
【0120】
参考例2−4
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.32 (3H, t, J=7.1Hz), 2.55 (3H, s), 4.29 (2H, q, J=7.1Hz), 6.44 (2H, brs), 7.23 (1H, d, J=8.0Hz), 8.27 (1H, d, J=8.0Hz)
【0121】
参考例2−5
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.32 (3H, t, J=7.3Hz), 4.31 (2H, q, J=7.3Hz), 6.60 (2H, brs), 7.56 (1H, dd, J=5.7, 0.9Hz), 8.56 (1H, d, J=5.7Hz), 9.22 (1H, d, J=0.9Hz)
【0122】
参考例3−1
3−アミノフロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド
(方法1)
3−アミノフロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボン酸エチル(参考例2-2, 14g)のN,N−ジメチルアセトアミド(15mL)溶液に濃アンモニア水(28%, 45mL)を加え、封管した耐圧反応容器を用いて120℃にて一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、粗結晶を得た。粗結晶をジエチルエーテルにて洗浄後,エタノールから再結晶して表題化合物(2.03g)を得た。
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:6.16 (2H, s), 7.05-7.80 (3H, m), 8.20-8.50 (2H, m)
【0123】
(方法2)
3−アミノフロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボン酸tert-ブチルアミド(参考例2-1, 0.1g)のジクロロメタン(1mL)溶液に、濃硫酸(98%, 0.5mL)を加え、室温にて10分間撹拌した。反応混合物に水を加え、さらに炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和食塩水にて順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、表題化合物(0.06g)を得た。
【0124】
3−アミノフロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボン酸エチルの代わりに対応する3−アミノフロピリジン−2−カルボン酸エチルを用い、参考例3−1(方法1)と同様の方法により、参考例3−2〜3−4を合成した。これらを表3に示した。
【0125】
【表3】

【0126】
参考例3−2〜3−4の物性値を以下に示した。
【0127】
参考例3−2
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:6.14 (2H, brs), 7.32 (1H, brs), 7.62 (1H, brs), 8.15-8.25 (1H, m), 8.40-8.45 (1H, m)
【0128】
参考例3−3
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.54 (3H, s), 6.11 (2H, s), 7.05-7.50 (3H, m), 8.17 (1H, d, J=7.8Hz)
【0129】
参考例3−4
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:6.26 (2H, brs), 7.10-7.70 (3H, m), 8.53 (1H, d, J=6.0Hz), 9.13 (1H, d, J=0.9Hz)
【0130】
実施例1
3−アセチルアミノフロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド(化合物1)
3−アミノフロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド(参考例3-1, 177mg)のテトラヒドロフラン(4mL)溶液に室温にてN,N−ジメチルアニリン(0.254mL)を加え、次いでアセチルブロミド(0.148mL)を加え、60℃にて4時間撹拌した。反応混合物に水を加え、1mol/L塩酸にて中和し、1時間攪拌した。析出物を濾取し、得られた粗結晶をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物(59mg)を得た。
H-NMR (DMSO-d)δ ppm: 2.19 (3H, s), 7.39-7.46 (1H, m), 7.89 (1H, brs), 8.22 (1H, brs), 8.44-8.55 (2H, m), 10.20 (1H, s)
【0131】
3−アミノフロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミドの代わりに対応する3−アミノフロピリジン−2−カルボキサミドを用い、アセチルブロミドの代わりに対応する酸ハライドを用い、実施例1と同様の方法により、化合物2〜27を合成した。これらを表4に示した。
【0132】
【表4】


【0133】
化合物2〜27の物性値を以下に示した。
【0134】
化合物2
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:4.35 (2H, s), 7.43-7.49 (1H, m), 8.01 (1H, brs), 8.36 (1H, brs), 8.47-8.54 (2H, m), 10.81 (1H, s)
【0135】
化合物3
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.82-0.96 (4H, m), 1.94-2.06 (1H, m), 7.36-7.44 (1H, m), 7.93 (1H, brs), 8.26 (1H, brs), 8.43-8.51 (2H, m), 10.48 (1H, s)
【0136】
化合物4
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.70-1.00 (4H, m), 1.96-2.11 (1H, m), 7.66 (1H, d, J=5.8Hz), 7.99 (1H, brs), 8.23 (1H, brs), 8.58 (1H, d, J=5.8Hz), 9.28 (1H, s), 10.49 (1H, s)
【0137】
化合物5
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.75-0.90 (4H, m), 1.90-2.05 (1H, m), 7.40-7.60 (1H, m), 7.82 (1H, brs), 7.96 (1H, brs), 8.05-8.20 (1H, m), 8.55-8.65 (1H, m), 10.12 (1H, brs)
【0138】
化合物6
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.85-0.95 (4H, m), 1.95-2.05 (1H, m), 7.99 (1H, brs), 8.20-8.35 (2H, m), 8.45-8.55(1H, m), 10.48 (1H, brs)
【0139】
化合物7
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.82-0.96 (4H, m), 1.92-2.03 (1H, m), 2.57 (3H, s), 7.27 (1H, d, J=8.1Hz), 7.87 (1H, brs), 8.16 (1H, brs), 8.38 (1H, d, J=8.1Hz), 10.47 (1H, s)
【0140】
化合物8
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.34 (3H, t, J=7.1Hz), 4.35 (2H, q, J=7.1Hz), 7.45-7.55 (1H, m), 8.13 (1H, brs), 8.49 (1H, brs), 8.50-8.60 (1H, m), 8.75-8.85 (1H, m), 11.66 (1H, brs)
【0141】
化合物9
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.45-7.60 (2H, m), 7.60-7.75 (1H, m), 7.75-7.85 (1H, m), 7.80-7.90 (1H, m), 8.07 (1H, brs), 8.44 (1H, brs), 8.50-8.60 (1H, m), 8.70-8.80 (1H, m), 11.22 (1H, s)
【0142】
化合物10
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.40-7.57 (3H, m), 8.03-8.16 (3H, m), 8.40-8.60 (2H, m), 8.70-8.82 (1H, m), 11.20 (1H, s)
【0143】
化合物11
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.50-7.60 (1H, m), 7.60-7.75 (1H, m), 7.75-7.90 (2H, m), 8.05-8.25 (2H, m), 8.40-8.55 (2H, m), 9.04 (1H, s), 10.99 (1H, s)
MS (ESI, m/z) : 300 (M+H)+
【0144】
化合物12
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.50-7.60 (1H, m), 7.65-7.75 (2H, m), 7.75-7.85 (1H, m), 7.85-7.90 (1H, m), 8.10 (1H, brs), 8.39 (1H, brs), 8.64 (1H, d, J=6.0Hz), 9.53 (1H, d, J=0.9Hz), 11.19 (1H, brs)
【0145】
化合物13
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.45-7.70 (3H, m), 7.80-7.95 (3H, m), 8.09 (1H, brs), 8.10-8.20 (1H, m), 8.60-8.70 (1H, m), 10.39 (1H, brs)
【0146】
化合物14
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.45-7.55 (1H, m), 7.61-7.82 (2H, m), 7.91-8.18 (3H, m), 8.39-8.59 (2H, m), 8.65-8.75 (1H, m), 11.21 (1H, s)
【0147】
化合物15
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.46-7.54 (1H, m), 7.71 (2H, d, J=8.5Hz), 7.97-8.16 (3H, m), 8.40-8.60 (2H, m), 8.70-8.80 (1H, m), 11.24 (1H, s)
【0148】
化合物16
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.61 (3H, s), 7.32-7.88 (5H, m), 8.04 (1H, brs), 8.37 (1H, brs), 8.62 (1H, d, J=8.2Hz), 11.25 (1H, s)
【0149】
化合物17
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.61 (3H, s), 7.30-7.54 (3H, m), 7.97-8.13 (3H, m), 8.36 (1H, brs), 8.65 (1H, d, J=8.1Hz), 11.22 (1H, s)
【0150】
化合物18
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.40-7.50 (2H, m), 8.00-8.20 (3H, m), 8.40-8.60 (3H, m), 11.16 (1H, brs)
【0151】
化合物19
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.85 (2H, s), 7.25-7.35 (1H, m), 7.30-7.45 (5H, m), 7.93 (1H, brs), 8.27 (1H, brs), 8.40-8.50 (1H, m), 8.50-8.60 (1H, m), 10.39 (1H, s)
MS (ESI, m/z): 296 (M+H)+
【0152】
化合物20
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.87 (2H, s), 7.20-7.35 (1H, m), 7.30-7.45 (4H, m), 7.60-7.70 (1H, m), 7.96 (1H, brs), 8.22 (1H, brs), 8.57 (1H, d, J=6.1Hz), 9.32 (1H, s), 10.39(1H, brs)
MS (ESI, m/z): 296 (M+H)+
【0153】
化合物21
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.11-2.55 (7H, m), 3.20-3.80 (4H, m), 7.45-7.55 (1H, m), 7.64-7.74 (2H, m), 7.94-8.15 (3H, m), 8.37-8.57 (2H, m), 8.71-8.80 (1H, m), 11.26 (1H, s)
MS (ESI, m/z): 408 (M+H)+
【0154】
化合物22
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.47-1.56 (4H, m), 1.60-1.70 (4H, m), 3.22-3.34 (4H, m), 7.47-7.54 (1H, m), 8.01 (2H, d, J=8.4Hz) , 8.07 (1H, brs), 8.19 (2H, d, J=8.4Hz), 8.45 (1H, brs), 8.51-8.57 (1H, m), 8.68-8.76 (1H, m), 11.29 (1H, s)
MS (ESI, m/z): 443 (M+H)+
【0155】
化合物23
MS (ESI, m/z): 460 (M+H)+
【0156】
化合物24
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.90-3.00 (2H, m), 4.25-4.35 (2H, m), 6.90-7.05 (3H, m), 7.25-7.50 (3H, m), 7.98 (1H, brs), 8.30 (1H, brs), 8.45-8.55 (2H, m), 10.45 (1H, brs)
【0157】
化合物25
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:6.74-6.84 (1H, m), 7.30-7.60 (2H, m), 7.95-8.15 (2H, m), 8.30-8.60 (2H, m), 8.80-8.90 (1H, m), 11.21 (1H, s)
【0158】
化合物26
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.27 (3H, t, J=7.5Hz), 2.76 (2H, q, J=7.5Hz), 6.38-6.48 (1H, m), 7.25-7.32 (1H, m), 7.42-7.53 (1H, m), 8.05 (1H, brs), 8.42 (1H, brs), 8.48-8.56 (1H, m), 8.84-8.91 (1H, m), 11.25 (1H, s)
【0159】
化合物27
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.15-7.35 (4H, m), 7.40-7.55 (3H, m), 8.09 (1H, brs), 8.35-8.45 (1H, m), 8.44 (1H, brs), 8.50-8.60 (1H, m), 8.65-8.80 (2H, m), 11.14 (1H, brs)
【0160】
実施例2
3−[2−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)アセチルアミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド(化合物28)
3−(2−ブロモアセチルアミノ)フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド(化合物2, 45mg)にイソプロパノール(2mL)を加え、ベンジルアミン(49mg)を加え、マイクロ波合成装置(Initiator,バイオタージ社製)中160℃にて10分間加熱した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣に少量の酢酸エチルとヘキサンを加え、析出物を濾取し、表題化合物(28mg)を得た。
H-NMR (DMSO-d)δ ppm: 3.25-3.40 (2H, m), 3.78 (2H, brs), 7.20-7.55 (6H, m), 7.96 (1H, brs), 8.29 (1H, brs), 8.45-8.55 (1H, m), 8.80-8.90 (1H, m)
【0161】
ベンジルアミンの代わりに対応するアミンを用い、実施例2と同様の方法により、化合物29〜32を合成した。これらを表5に示した。
【0162】
【表5】

【0163】
化合物29〜32の物性値を以下に示した。
【0164】
化合物29
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.27 (3H, s), 3.24 (2H, s), 3.69 (2H, s), 7.20-7.55 (6H, m), 8.00 (1H, brs), 8.34 (1H, brs), 8.45-8.55 (1H, m), 8.80-8.90 (1H, m), 11.40 (1H, brs)
【0165】
化合物30
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.13 (3H, t, J=7.1Hz), 2.59 (2H, q, J=7.1Hz), 3.23 (2H, s), 3.72 (2H, s), 7.15-7.50 (6H, m), 8.01 (1H, brs), 8.33 (1H, brs), 8.45-8.50 (1H, m), 8.80-8.90 (1H, m), 11.47 (1H, brs)
【0166】
化合物31
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.33-1.49 (2H, m), 1.57-1.74 (4H, m), 3.15 (2H, s), 3.27-3.38 (4H, m), 7.39-7.49 (1H, m), 7.96 (1H, brs), 8.28 (1H, brs), 8.45-8.54 (1H, m), 8.86-8.97 (1H, m), 11.51 (1H, s)
【0167】
化合物32
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.75-2.85 (2H, m), 2.95-3.05 (2H, m), 3.41 (2H, s), 3.80 (2H, s), 7.00-7.20 (4H, m), 7.40-7.50 (1H, m), 7.93 (1H, brs), 8.28 (1H, brs), 8.45-8.55 (1H, m), 8.85-8.95 (1H, m), 11.38 (1H, brs)
【0168】
実施例3
3−[(2−ピペリジン−1−イルエチルアミノオキサリル)アミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド(化合物33)
3−(エトキシオキサリルアミノ)フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド(化合物8, 65mg)の1−メチル−2−ピロリドン(1mL)溶液に、2−ピペリジン−1−イルエチルアミン(60mg)を加え、マイクロ波合成装置(Initiator,バイオタージ社製)中200℃にて10分間加熱した。反応混合物に水を加え、析出物を濾取し、表題化合物(56mg)を得た。
H-NMR (DMSO-d)δ ppm: 1.40-1.65 (6H, m), 2.55-2.70 (4H, m), 3.20-3.45 (4H, m), 7.40-7.55 (1H, m), 8.11 (1H, brs), 8.46 (1H, brs), 8.50-8.60 (1H, m), 8.80-9.05 (2H, m), 11.70 (1H, brs)
【0169】
2−ピペリジン−1−イルエチルアミンの代わりに対応するアミンを用い、実施例3と同様の方法により、化合物34〜36を合成した。これらを表6に示した。
【0170】
【表6】

【0171】
化合物34〜36の物性値を以下に示した。
【0172】
化合物34
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:4.35-4.45 (2H, m), 7.20-7.40 (5H, m), 7.45-7.55 (1H, m), 8.09 (1H, brs), 8.45 (1H, brs), 8.45-8.55 (1H, m), 8.80-8.90 (1H, m), 9.70-9.80 (1H, m), 11.68 (1H, brs)
【0173】
化合物35
MS (ESI, m/z): 353 (M+H)+
【0174】
化合物36
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.45-1.75 (6H, m), 3.50-3.60 (2H, m), 3.70-3.80 (2H, m), 7.45-7.55 (1H, m), 8.04 (1H, brs), 8.39 (1H, brs), 8.45-8.70 (2H, m), 11.24 (1H, brs)
【0175】
試験例1
ヒトアデノシンA2A受容体拮抗作用試験
1)ヒトアデノシンA2A受容体発現細胞の作製
CHO−K1細胞をサブコンフルエントまで増殖させた後、トリプシン処理し、10%ウシ胎仔血清(三光純薬)を含むD−MEM/F−12培地(インビトロジェン)で浮遊状態にした。これにOPTI−MEM I(インビトロジェン)で調製したヒトアデノシンA2A受容体発現用のプラスミドとトランスフェクション試薬Lipofectamine 2000(インビトロジェン)の混合液を加えた。この細胞懸濁液をポリ−D−リジンコートの96ウェルプレートへ5x10個/wellの細胞数で播種し、37℃、5%COの条件下で24〜30時間培養後、以下の実験に使用した。
【0176】
2)ヒトアデノシンA2A受容体拮抗作用の測定
被験化合物をジメチルスルホキシドで溶解し、これに細胞由来のリガンドであるアデノシンを不活化する2.5ユニット/mlアデノシンデアミナーゼ(カルビオケム)およびホスホジエステラーゼ阻害剤である30μMのRolipram(シグマ)を含むD−MEM/F−12培地を添加して被験化合物の溶液を調製した。
細胞をD−MEM/F−12培地150μl/wellで2回洗浄後、被験化合物を各50μl加えた。37℃、5%CO下で10分間培養後、2.5ユニット/mlアデノシンデアミナーゼおよび30μMのRolipramを含むD−MEM/F−12培地で調製した1.2nMの5’−N−エチルカルボキシアミドアデノシン(NECA;シグマ)の溶液を各50μl加え、37℃、5%CO下で25分間培養した。この反応の停止およびそれ以降のcAMPの測定は、cAMPエンザイムイムノアッセイキット(アプライドバイオシステムズ)を用いて行った。化学発光の検出はMicroplate Luminometer TR717(アプライドバイオシステムズ)を使用した。試験はデュプリケイトウェルで実施した。
NECA刺激cAMP産生に対する被験化合物の阻害定数Kiは以下の式により算出した。
Ki= IC50/{1+([S]/EC50)}
IC50:50%阻害率を示す被験化合物の濃度
[S]:NECAの終濃度
EC50:被験化合物と同一プレート上で測定・算出したNECA単独刺激における最大反応の50%の効果を引き起こすNECAの濃度
ただし阻害率は以下のとおり算出した。
阻害率(%)=[1−{(被験化合物−Base)/(Control−Base)}]x100
被験化合物 :NECAと被験化合物共存下でのcAMP量
Control:NECA単独刺激のcAMP量
Base: 被験化合物およびNECA非共存下でのcAMP量
その結果を下記の表7に示した。
【0177】
【表7】

【0178】
試験例2
ハロペリドール誘発カタレプシーに対する作用
薬物誘発パーキンソンモデルを用いて化合物のパーキンソン病治療薬としての有用性を評価した。パーキンソン病は、黒質から線条体に投射するドパミン神経細胞の変性・脱落を伴い、線条体のドパミン量が著明に減少することによって引き起こされる運動機能障害である。ラットにドパミンD2受容体遮断作用のあるハロペリドールを投与すると、ドパミン性神経伝達を遮断するためパーキンソン様症状の一つであるカタレプシーを起こす。
雄性ラット(Crj: CD(SD)IGS、体重210-260g、日本チャールズ・リバー株式会社)、1群3-5匹に、ドパミンD2拮抗薬ハロペリドール(セレネース注射液、大日本製薬株式会社)1mg/kgを腹腔内投与し、その5時間後にカタレプシー症状を水平棒試験 (Morelli and Chiara, Eur. J. Pharmacol. 117: 179-185 (1985))を用いて測定した。被験化合物 (10mg/kg) は、PEG400に溶解しカタレプシー症状観察の2時間前に経口投与した。また対照群として、PEG400を同様に経口投与した。ラットの両前肢を高さ10-12cmに設定した棒(直径3mm)に懸け静止したときから両前肢が棒から落ちるまでの時間を測定し、カタレプシー持続時間とした。最大180秒まで測定し、化合物のカタレプシー持続時間を対照群に対する割合(%)として示した。結果を表8に示した。
【0179】
【表8】

本発明の化合物は、優れたカタレプシー改善作用を示し、パーキンソン病治療薬としての有用性が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0180】
一般式(I)で表される化合物は、優れたアデノシンA2A受容体拮抗作用を有するのでアデノシンA2A受容体が媒介する疾患、例えば、運動機能障害、うつ病、不安症、認知機能障害、脳虚血性障害、レストレスレッグス症候群などの治療または予防剤として有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

〔式中、
は、水素原子または低級アルキル基であり;
は、以下のa)〜r):
a)低級アルキル基、
b)ハロ低級アルキル基、
c)ヒドロキシ低級アルキル基、
d)シクロアルキル基、
e)アリールシクロアルキル基、
f)ヘテロシクロアルキル基、
g)−(低級アルキレン)−NR1011
h)−C(O)NR1011
i)−C(O)OR12
j)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で置換されるアリール基、
k)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキル基、
l)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアリールアルケニル基、
m)低級アルコキシ基または低級アシルオキシ基から選択される基で置換される低級アルキル基、
n)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアリールオキシ低級アルキル基、
o)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキルオキシ低級アルキル基、
p)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアリールスルファニル低級アルキル基、
q)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基、または
r)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール低級アルキル基であり;
10およびR11は、それぞれ独立して、以下のa)〜l):
a)水素原子、
b)低級アルキル基、
c)ハロ低級アルキル基、
d)シクロアルキル基、
e)ヘテロシクロアルキル基、
f)−(低級アルキレン)−NR2021
g)−(低級アルキレン)−OR22
h)−(低級アルキレン)−C(O)NR2021
i)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で置換されるアリール基、
j)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキル基、
k)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基、または
l)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール低級アルキル基を表すか、
あるいはR10およびR11が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、環状アミノ基を形成し;
12は、低級アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し;
20およびR21は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、低級アシル基、ハロ低級アシル基、シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基を表すか、あるいはR20およびR21が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換または以下のa)〜d):
a)低級アルキル基、
b)シクロアルキル基、
c)オキソ基、および
d)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基およびハロ低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるフェニル基
からなる群から独立して選択される1〜2個の基で置換される環状アミノ基を形成し;
22は、水素原子、低級アルキル基、アリール基、シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基を表し;
、X、X、XおよびXは、それぞれ独立して、以下のa)〜x):
a)ハロゲン原子、
b)低級アルキル基、
c)ハロ低級アルキル基、
d)シクロアルキル基、
e)低級アルコキシ基、
f)ハロ低級アルコキシ基、
g)シクロアルキルオキシ基、
h)ヘテロシクロアルキルオキシ基、
i)低級アルコキシ低級アルコキシ基、
j)ヒドロキシ低級アルキル基、
k)水酸基、
l)カルボキシ基、
m)低級アルコキシカルボニル基、
n)アラルキルオキシカルボニル基、
o)低級アシル基、
p)シアノ基、
q)−Y−NR2526
r)−Y−SR27
s)−SONR2829
t)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるフェニル基、
u)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるフェノキシ基、
v)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるヘテロアリール基、
w)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリールオキシ基、または
x)アリール基もしくはヘテロアリール基から選択される基で置換される低級アルコキシ基を表すか、
あるいはX、X、X、XおよびXのうち2つが隣接する場合、それらが一緒になって−O(CHO−、−O(CH−、または−(CH−で表される基を形成し;
25およびR26は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、橋かけ環状炭化水素基、ヘテロアリール低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、低級アルコキシ低級アルキル基、低級アシル基、低級アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基またはジ低級アルキルアミノ低級アルキル基を表すか、あるいはR25およびR26が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換あるいは以下のa)〜p)からなる群:
a)低級アルキル基、
b)シクロアルキル基、
c)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基およびハロ低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるフェニル基、
d)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基およびハロ低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるアラルキル基、または環の隣接する炭素原子が、−O−(CH−O−で置換されるアラルキル基、
e)ヘテロアリール基、
f)ヘテロアリール低級アルキル基、
g)水酸基、低級アルコキシ基、カルボキシ基、アラルキルオキシカルボニル基、環状アミノカルボニル基またはジ低級アルキルアミノ基から選択される基で置換される低級アルキル基、
h)水酸基、
i)オキソ基、
j)低級アルコキシカルボニル基、
k)アラルキルオキシカルボニル基、
l)カルバモイル基、
m)低級アシル基、
n)ベンゾイル基、
o)ジ低級アルキルアミノ基、および
p)ジフェニルメチレン基
から独立して選択される1〜2個の基で置換される環状アミノ基を形成し;
は、結合、C1−3アルキレン基またはカルボニル基を表し;
は、結合またはC1−3アルキレン基を表し;
27は、以下のa)〜d):
a)低級アルキル基、
b)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基およびハロ低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるフェニル基、
c)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基およびハロ低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるヘテロアリール基、または
d)ジ低級アルキルアミノ低級アルキル基であり;
28およびR29は、それぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を表すか、あるいはR28およびR29が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換または以下からなる群:低級アルキル基もしくはアラルキル基から選択される基で置換される環状アミノ基を形成し;
mは、1または2であり;
nは、2または3であり;
pは、3または4であり;
、XおよびXは、それぞれ独立して、以下のa)〜s):
a)ハロゲン原子、
b)低級アルキル基、
c)ハロ低級アルキル基、
d)ヒドロキシ低級アルキル基、
e)シクロアルキル基、
f)ヘテロシクロアルキル低級アルキル基、
g)低級アルコキシ基、
h)ハロ低級アルコキシ基、
i)低級アシル基、
j)カルボキシ基、
k)−Y−NR2526
l)−Y−SR27
m)−SONR2829
n)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるフェニル基、
o)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるフェノキシ基、
p)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるアラルキル基、
q)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基、
r)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基およびジ低級アルキルアミノ低級アルキル基から独立して選択される1〜3個の基で置換されるヘテロアリールオキシ基、または
s)アラルキルオキシ基であり;
−A=A−A=A−は、以下のa)〜h):
a)−C(R30)=C(R31)−C(R32)=N−、
b)−C(R30)=C(R31)−N=C(R33)−、
c)−C(R30)=N−C(R32)=C(R33)−、
d)−N=C(R31)−C(R32)=C(R33)−、
e)−C(R30)=C(R31)−C(R32)=N(O)−、
f)−C(R30)=C(R31)−N(O)=C(R33)−、
g)−C(R30)=N(O)−C(R32)=C(R33)−、または
h)−N(O)=C(R31)−C(R32)=C(R33)−であり;
30、R31、R32およびR33は、それぞれ独立して、以下のa)〜k):
a)水素原子、
b)ハロゲン原子、
c)低級アルキル基、
d)ハロ低級アルキル基、
e)低級アルコキシ基、
f)水酸基、
g)シアノ基、
h)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基およびハロ低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるアラルキルオキシ基、
i)ジ低級アルキルアミノ基、
j)低級アルキルスルファニル基、または
k)ニトロ基を表す;
但し、3−(ベンゾイルアミノ)フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド、3−(ベンゾイルアミノ)−4,6−ジメチルフロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド、3−[(2−クロロ−4−ピリジニル)カルボニルアミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド、3−[(2−メトキシベンゾイル)アミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド、3−[(3−メトキシベンゾイル)アミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミドおよび3−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミドを除く〕で表される化合物またはそのプロドラッグ、あるいはそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項2】
が、水素原子である、請求項1記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項3】
−A=A−A=A−が、−C(R30)=C(R31)−C(R32)=N−であり、R30、R31およびR32が、請求項1に記載の通りである、請求項2記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項4】
が、以下のa)〜f):
a)低級アルキル基、
b)シクロアルキル基、
c)−(低級アルキレン)−NR1011
d)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で置換されるアリール基、
e)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキル基、または
f)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基であり、
10、R11、X、X、X、X、X、X、XおよびXが、請求項1に記載の通りである、請求項3記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項5】
が、以下のa)〜c):
a)シクロアルキル基、
b)非置換もしくはX、X、X、XおよびXからなる群から選択される1〜5個の基で置換されるアリール基、または
c)非置換もしくはX、XおよびXからなる群から選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基である、請求項4記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項6】
30、R31およびR32が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基である、請求項5記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項7】
以下からなる群:
3−[2−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)アセチルアミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド;
3−[(5−エチルフラン−2−カルボニル)アミノ]フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド;
3−{[5−(4−ベンジルピペラジン−1−イルメチル)フラン−2−カルボニル]アミノ}フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド;
3−(4−フルオロベンゾイルアミノ)フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド;
3−(シクロプロパンカルボニルアミノ)−5−フルオロフロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド;および
5−フルオロ−3−(4−フルオロベンゾイルアミノ)フロ[2,3-b]ピリジン−2−カルボキサミド、
またはその薬理学的に許容される塩から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、医薬組成物。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、アデノシンA2A受容体関連疾患の治療または予防剤。
【請求項10】
前記アデノシンA2A受容体関連疾患が、運動機能障害である、請求項9に記載の治療または予防剤。
【請求項11】
前記運動機能障害が、パーキンソン病、ハンチントン病またはウィルソン病である、請求項10に記載の治療または予防剤。
【請求項12】
前記アデノシンA2A受容体関連疾患が、うつ病または不安症である、請求項9に記載の治療または予防剤。
【請求項13】
前記アデノシンA2A受容体関連疾患が、認知機能障害である、請求項9に記載の治療または予防剤。
【請求項14】
前記アデノシンA2A受容体関連疾患が、脳虚血性障害である、請求項9に記載の治療または予防剤。
【請求項15】
前記アデノシンA2A受容体関連疾患が、レストレスレッグス症候群である、請求項9に記載の治療または予防剤。
【請求項16】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩と、アデノシンA2A受容体拮抗剤以外のパーキンソン病治療薬、抗うつ剤、抗不安薬、認知機能障害治療薬および脳虚血性障害治療薬から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬。


【公開番号】特開2007−56004(P2007−56004A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200153(P2006−200153)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000104560)キッセイ薬品工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】