説明

新規なベンゾイル尿素誘導体

本発明は、式(I):


の新規なベンゾイル尿素誘導体、およびその光学的鏡像異性体、ラセミ体および塩が、NMDA受容体の非常に有効で且つ選択的なアンタゴニストであり、そしてその上、該化合物のほとんどがNMDA受容体のNR2Bサブタイプの選択的アンタゴニストであることを提供する。本発明は更に、有効成分として式(I)の新規なベンゾイル尿素誘導体、またはその光学的鏡像異性体、ラセミ体、もしくは塩を含有する医薬組成物、並びに該化合物および医薬組成物の製造方法をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NMDA受容体のアンタゴニストである新規なベンゾイル尿素誘導体、またはその製造のための中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)受容体は、神経細胞の細胞膜中に包埋されたリガンド開口型カチオン−チャンネルである。それらの天然リガンドであるグルタミン酸によるNMDA受容体の過剰活性化は、細胞のカルシウム過負荷を生じ得る。これは、細胞機能を改変する細胞内事象のカスケードを引き起こし、最終的には神経細胞の死滅を生じ得る[TINS, 10, 299-302 (1987)]。該NMDA受容体のアンタゴニストは、グルタミン酸(中枢神経系の主要な興奮性神経伝達物質)の過剰な放出を伴う多くの疾患を処置するのに使用することができる。
【0003】
該NMDA受容体は、少なくとも7個の公知のサブユニット遺伝子から構築されるヘテロマーの集合体である。該NR1サブユニットは、機能性NMDA受容体チャンネルの必要な成分である。4個の遺伝子コード化NR2サブユニット(NR2A−D)が存在する。CNS中の空間分布および様々なNR2サブユニットから構築されるNMDA受容体の薬理学的な感受性の両方は異なる。近年、NR3AおよびNR3Bが報告されている。これらのうち特に関心あることは、その制限された分布(脊髄の前脳および膠様質中の最大密度)によるNR2Bサブユニットである。このサブタイプに対して選択的である化合物を入手することができ、そしてこのものは、脳卒中[Stroke, 28, 2244-2251 (1997)]、外傷性脳障害[Brain Res., 792, 291-298 (1998)]、パーキンソン病[Exp. Neurol., 163, 239-243 (2000)]、神経障害性および炎症性の疼痛[Neuropharmacology, 38, 611-623 (1999)]の動物モデルにおいて有効であると証明されている。その上、NMDA受容体のNR2Bサブタイプ選択的アンタゴニストは、典型的にはNMDA受容体の非選択的アンタゴニストによって生じる有害な副作用(すなわち、例えば眩暈、頭痛、幻覚、不快、並びに認識および運動機能の障害)をほとんどまたは全く有しないと予想される。
【0004】
NR2Bサブタイプ選択的NMDA拮抗作用は、NR2Bサブユニット含有受容体のアロステリックな修飾部位と特異的に結合し、そして該部位で特異的に作用する化合物を用いて達成することができる。この結合部位は、特異的な放射性リガンド(例えば、[125I]−イフェンプロジル[J.Neurochem., 61, 120-126 (1993)]または[H]−Ro 25,6981[J. Neurochem., 70, 2147-2155 (1998)]を用いる置換(結合)研究によって確認することができる。イフェンプロジルはこの受容体の最初の公知のリガンド(十分に特異的ではないが)であるという理由で、そのものはイフェンプロジル結合部位とも呼ばれる。
【0005】
式(I)のベンゾイル尿素誘導体の近似する構造アナログは、該文献からは知られていない。
【発明の開示】
【0006】
(発明の概要)
驚くべきことに、本発明の式(I)の新規なベンゾイル尿素誘導体はNR2Bサブユニット含有NMDA受容体の機能性アンタゴニストであるが、一方で、それらはNR2Aサブユニット含有NMDA受容体において無効であることを見出した。従って、それらは、NR2Bサブタイプ特異的NMDAアンタゴニストであると考えられる。ある化合物は、経口投与後に、マウス疼痛モデルにおいてインビボで有効であることが証明された。
【0007】
(詳細な記載)
従って、本発明は第1に、式(I):
【化1】

[式中、
XおよびYは独立して、水素原子、ヒドロキシ、ベンジルオキシ、アミノ、ニトロ、場合により1個以上のハロゲン原子によって置換されたC〜Cアルキルスルホンアミド、場合により1個以上のハロゲン原子によって置換されたC〜Cアルカノイルアミド、C〜Cアルコキシ、場合によりハロゲン原子もしくはC〜Cアルキルによって置換されたアロイル−カルバモイル、またはC〜Cアルコキシカルボニル基であるか;あるいは、
近接するX基およびY基は場合により、1個以上の同一もしくは異なる更なるヘテロ原子、−CH=基、および/または−CH−基と一緒になって場合により、置換された4〜7員の単素環またはヘテロ環(モルホリン、ピロール、ピロリジン、オキソ−もしくはチオキソ−ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリジン、オキソ−もしくはチオキソ−イミダゾールもしくはイミダゾリジン、1,4−オキサジン、オキサゾール、オキサゾリジン、トリアゾール、オキソ−もしくはチオキソ−オキサゾリジン、または3−オキソ−1,4−オキサジン環が好ましい)を形成し;
VおよびZは独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、または場合によりエステル化したカルボキシル基であり;
Wは、酸素原子、並びにC〜Cアルキレン、C〜Cアルケニレン、アミノカルボニル、−NH−、−N(アルキル)−、−CHO−、−CHS−、−CH(OH)−、−OCH−基であり、ここで、該アルキルの意味はC〜Cアルキル基であり;
点線結合:
【化2】

が単純なC−C結合である場合には、Uはヒドロキシ基または水素原子であるか、あるいは、
WがC〜CアルキレンまたはC〜Cアルケニレン基である場合には、該点線結合:
【化3】

の1つは更なる二重C−C結合であり、そしてこの場合には、Uは該二重結合に関与する電子対を意味する]
で示される新規なベンゾイル尿素誘導体、並びにその光学的鏡像異性体、ラセミ体、および塩に関する。
【0008】
その上、本発明の目的は、有効成分として、式(I)の新規なベンゾイル尿素誘導体、またはその光学的鏡像異性体、ラセミ体、もしくは塩を含有する医薬組成物である。
【0009】
本発明の更なる目的は、式(I)の新規なベンゾイル尿素誘導体の製造方法、およびこれらの化合物を含有する医薬品の製薬、並びに、これらの化合物を用いる処置方法(これは、処置する哺乳動物(ヒトを含む)に、本発明の式(I)の新規なベンゾイル尿素誘導体の有効量をそのまままたは医薬品として投与することを意味する)である。
【0010】
本発明の新規な式(I)の新規なベンゾイル尿素誘導体は、非常に有効であり且つNMDA受容体の選択的アンタゴニストであり、その上、該化合物のほとんどはNMDA受容体のNR2Bサブタイプの選択的アンタゴニストである。
【0011】
本発明によれば、式(I)の新規なベンゾイル尿素誘導体は、以下の通り製造することができる。
a)式(II):
【化4】

(式中、XおよびYの意味は式(I)について上記する通りである)
の置換ベンゾイルイソシアナート(これは、インシチュで製造することが好ましい)を、式(III):
【化5】

(式中、V、W、Z、点線結合:
【化6】

、およびUの意味は式(I)について上記する通りである)
と溶媒中で反応させるか、あるいは、
b)式(V):
【化7】

(式中、Xの意味はヒドロキシ基であり、そしてYは式(I)について上記する通りである)
の置換ベンズアミドを、トリフェニルホスフィンおよびアゾ二炭酸ジエチルを用いて樹脂上にカップリングさせ、次いで
該得られる樹脂とカップリングしたベンズアミドを塩化オキサリルと、および該得られるベンゾイルイソシアナートを式(III):
【化8】

(式中、V、W、Z、点線結合:
【化9】

、およびUの意味は式(I)について上記する通りである)
のアミンとトリアルキルアミンの存在下でカップリングし、
そして、最後に該得られる式(I)(式中、X、Y、V、W、Z、点線結合:
【化10】

、およびUの意味は式(I)について上記する通りである)
のベンゾイル尿素誘導体を樹脂から開裂させる、ことによる。
【0012】
製法a)またはb)で得られる、式(I)(式中、X、Y、V、W、Z、点線結合:
【化11】

、およびUの意味は式(I)について上記する通りである)で示される該ベンゾイル尿素誘導体は場合により、公知の方法によって、新規な置換基を導入するか、および/または存在する置換基を修飾しもしくは除去するか、および/または塩を形成するか、および/または塩から該化合物を遊離させるか、および/または該得られたラセミ体を光学的に活性な酸もしくは塩基を用いて分割することによって、式(I)の別の化合物に変換する。
【0013】
本発明の化合物は、適当なベンゾイルイソシアナートを適当なアミンと、反応不活性な溶媒中、約0℃〜約20℃の温度で反応させることによる、製法a)で容易に製造する。これらの反応について代表的な溶媒は、塩化メチレン、塩化エチレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールのジメチルエーテル、ベンゼン、トルエン、およびキシレンを挙げられる。
【0014】
必須のイソシアナートは、該対応するアミドを塩化オキサリルと反応させることによって(米国特許第4,163,784号)、またはアロイルクロリドをシアン酸ナトリウムとの縮合によって[Tetrahedron, 44, 6079-6086, (1988)]、容易に製造する。該イソシアナート反応体を製造するのに使用するアミド反応体は、よく知られる方法に従って対応する酸クロリドのアミド化によって製造する。該酸クロリドは、適当なカルボン酸を塩化チオニルと反応させることによって製造し、後者(塩化チオニル)は通常、反応体および溶媒として機能する。該イソシアナートは、該反応混合物から単離する必要はない。該イソシアナートおよびアミンは通常、等モル比で使用する。式(III)の適当なアミンを、塩基としてまたは無機酸と形成する塩として、その結果得られる溶液または懸濁液に塩基(これは、アミンの遊離のために必要とされる)(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、加える。必要な反応時間は0〜1時間である。該反応混合物のワークアップは、異なる方法によって実施することができる。
【0015】
該イソシアナート反応体は対応するアミドから製造し、該アミンの添加の最後に、該反応混合物を水洗しそして濃縮する。該残渣を結晶化し、またはカラムクロマトグラフィーによって精製する。該反応混合物が懸濁液である場合には、該沈降物をろ取し、水洗し、そして適当な溶媒から再結晶して純粋な生成物を得る。該イソシアナート反応体をアロイルクロリドおよびシアン酸ナトリウムとの縮合によって製造する場合に、該添加の最後に、該反応混合物を濃縮し、そして該残渣を適当な溶媒から結晶化して、純粋な生成物を得る。該結晶化により純粋な生成物を得られない場合には、次いで、カラムクロマトグラフィー精製を、そのものの精製のために使用することができる。該カラムクロマトグラフィーを、吸収剤としてキセルゲル60、および溶出液として異なる溶媒系(例えば、トルエン/メタノール、クロロホルム/メタノール、またはトルエン/アセトンを使用する)を用いて順相で実施する。該生成物の構造は、IR、NMR、およびマス分光学によって測定する。
【0016】
製法b)に記載する固相合成の場合には、活性分子としてヒドロキシ−メチル(−CH−OH)を有する樹脂を使用することができることが好ましい。該最も好ましく使用する樹脂は、いわゆるワング(Wang)樹脂(ノババイオケム社製)である。
【0017】
該得られる式(I)のベンゾイル尿素誘導体は、製造の方法から独立して、場合により、更なる置換基を導入するか、および/または存在する置換基を修飾するかおよび/または除去するか、および/または酸との塩の形成によるか、および/または塩基を用いる処理によって、該得られた酸付加塩から式(I)のカルボン酸アミド誘導体を遊離させることによって、式(I)の別の化合物に変換することができ;および/または、式(I)の遊離カルボン酸アミド誘導体を塩基を用いる処理によって塩に変換することができる。
【0018】
例えば、メトキシ基およびベンジルオキシ基からのメチル基およびベンジル基の切断(U、VおよびZについて示す)により、フェノール誘導体を得る。該ベンジル基の除去は、例えば接触水素化または酢酸溶液中での臭化水素を用いて実施することができ、該メチル基の切断は、ジクロロメタン溶液中の三臭化ホウ素を用いて実施することができる。
【0019】
遊離なヒドロキシ基は、塩基の存在下で酸無水物または酸ハロゲン化物によってエステル化することができる。
【0020】
式(II)のベンゾイルイソシアナートは、対応するアミドまたはアロイルクロリドから異なる公知の方法によって製造することができる。いくつかの商業的に入手不可能なアミドまたはアロイルクロリドの製造を、実施例に記載する。
【0021】
(実験プロトコール)
組み換えNMDA受容体の発現
本発明の化合物のNR2B選択性を証明するため、本発明者は、NR1/NR2AまたはNR1/NR2Bのサブユニット組成物を用いて、組み換えNMDA受容体を安定に発現するセルラインについて、それらを調べた。誘導性哺乳類発現ベクター中にサブクローニングするヒトNR1−3およびNR2Aのサブユニット、またはラットNR1aおよびNR2BのサブユニットのcDNAを、カチオン性脂質媒介性の形質移入法を用いて、NMDAがないHEK293細胞中に導入した[Biotechniques, 22, 982-987, (1997); Neurochemistry International, 43, 19-29, (2003)]。ネオマイシンおよびハイグロマイシンに対する耐性を使用して、両方のベクターを有するクローンについてスクリーニングし、そしてモノクローナルセルラインをNMDA曝露に対して最大応答を生じるクローンから確立した。化合物を、蛍光カルシウム測定における、NMDA誘起性の細胞質ゾルカルシウムの増大についてのそれらの阻害作用を試験した。誘発剤の添加後に、研究を48〜72時間行なった。ケタミン(500μM)もまた、細胞毒性を防止するために、該誘発の間に存在させた。
【0022】
蛍光光度計プレートリーダーを用いる細胞内カルシウム濃度の測定に基づく、組み換えNMDA受容体を発現するHEK293細胞に及ぼす、化合物の機能性NMDAアンタゴニスト力価の評価
NMDA受容体は興奮時にカルシウムイオンに透過性であることが知られるているので、NMDA受容体活性化の大きさ、および機能性アンタゴニストによるその阻害は、アゴニスト(NMDA)の細胞中への適用後に、細胞内カルシウム濃度の増大を測定することによって確認することができる。ラットおよびヒトNMDA受容体の間には非常に高い配列相同性(NR1、NR2A、およびNR2Bサブユニットについてそれぞれ、99、95、97%)が存在するので、たとえあっても、それらの薬理学的な感受性においてほとんど差違はないと考えられる。従って、ラットNMDA受容体(クローンまたは天然)を用いて得る結果は、ヒトの結果に十分に外挿することができる。
【0023】
細胞内カルシウム測定は、NR1aおよびNR2BまたはNR2A NMDA受容体サブユニットを発現するHEK293細胞上で実施する。細胞を標準的な96ウェルマイクロプレート上にプレートし、そして該培養物を、試験まで95%空気−5%COの雰囲気下、37℃で保つ。
【0024】
該測定の前に、該細胞を蛍光Ca2+−感受性色素、フルオ−4/AM(2−2.5μM)と一緒にロードする。ロードを、測定の間にも使用する溶液(140mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl、5mM HEPES[4−(2−ヒドロキシメチル)−1−ピペラジンエタン−スルホン酸]、5mM HEPES−Na、20mM グルコース、10μM グリシン、pH=7.4)を用いて2回洗浄することによって停止する。次いで、上記溶液中に溶解する被験化合物(90μL/ウェル)を加える。細胞内カルシウム速度は、プレートリーダー蛍光光度計を用いて実施する。細胞内カルシウム濃度を反映するフルオ−4−蛍光の増大は、200μM NMDAを適用することによって誘発する。該被験化合物の阻害力価は、異なる濃度の該化合物の存在下でのカルシウム増大の低下を測定することによって評価する。
【0025】
1濃度点での化合物の阻害力価は、コントロールNMDA応答の阻害パーセントとして表す。NR1a/NR2B発現細胞について、濃度−阻害曲線を得る。S字型の濃度−阻害曲線をデータ上にフィットさせ、そしてIC50値を、該化合物を用いて達成することができる最大阻害の半分を与える濃度として定義する。平均的なIC50値は、少なくとも3個の独立した実験から導く。NR1−3/NR2A発現細胞について、本発明の化合物および基準化合物による細胞内カルシウム濃度の増大を誘発するNMDAの拮抗作用は、それぞれ10および15マイクロMの濃度で試験した。
【0026】
化合物の生物学的活性
NR1a/NR2Bトランスフェクト細胞中で測定されるIC50値、およびNR1−3/NR2Aトランスフェクト細胞中の15μM濃度での阻害パーセントを、本発明の化合物の選別した例について表1に例示する。比較のために、最も強力な公知の基準化合物についてのデータをも測定し、そして表2に示す。
【0027】
本発明の化合物は、NR1/NR2Bトランスフェクト細胞中での機能性NMDA拮抗作用において15μM以下のIC50値を示し、そしてNR1−3/NR2Aトランスフェクト細胞においてはこの濃度では不活性である。従って、本発明の化合物および医薬組成物は、NR2Bサブタイプ特異的NMDAアンタゴニストである。該化合物のいくつかは、公知の基準化合物と比較して優れた力価を有する(表1を参照)。
【表1】

【表2】

【0028】
基準化合物は以下の通りである:
CI-1041:6-{2-[4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-イル]-エタンスルフィニル}-3H-ベンゾオキサゾール-2-オン;
Co 101244:1-[2-(4-ヒドロキシフェノキシ)エチル]-4-ヒドロキシ-4-(4-メチルベンジル)ピペリジン;
EMD 95885:6-[3-(4-フルオロベンジル)ピペリジン-1-イル]プロピオニル]-2,3-ジヒドロ-ベンゾオキサゾール-2-オン;
CP-101,606:(1S,2S)-1-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシ-4-フェニルピペリジン-1-イル)-1-プロパノール;
Ro 256981:R-(R*,S*)-1-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-3-[4-(フェニルメチル)ピペリジン-1-イル]-1-プロパノール;
イフェンプロジル:エリスロ-2-(4-ベンジルピペリジノ)-1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-プロパノール;
MK-801:(+)-5-メチル-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5,10-イミン。
【0029】
インビボ効力の測定のためのマウスホルマリン試験
ラットまたはマウスの後肢中への希釈ホルマリンの注射は、該損傷した肢を舐める/噛むによって費やされる時間として測定される、二相性の疼痛関連行動を誘起することが知られる。該第二相は一般的に、ホルマリン注射後の15〜60分の時間間隔で検出される、疼痛関連事象として定義される。NMDA受容体は、ホルマリン注射に対する応答の第二相に関与し、そしてこの行動上の応答はNMDA受容体の遮断に対して感受性であることが知られる[Dickenson, A.およびBesson J.-M.(編): 第1章, 頁6-7: 鎮痛の動物モデル(Animal models of Analgesia);および8章, 頁180-183: 中枢過敏性の機構(Mechanism of Central Hypersensitivity): 興奮性アミノ酸機構およびそれらのコントロール(Excitatory Amino Acid Mechanisms and Their Control)-疼痛の薬理学(In Pharmacology of Pain.), Springer-Verlag (Berlin) 1997]。従って、本発明者は、ホルマリン試験の第二相を使用して、インビボでの化合物の有効性を確認した。応答の該二相の阻害は、化学的誘発性の持続性疼痛に対する鎮痛性効果を示すと考えられる[Hunker, S.らによる: マウスにおけるホルマリン試験、弱鎮痛薬を評価するための有用な技術(Formalin Test in Mice, a Useful Technique for Evaluating Mild Analgesics), Journal of Neuroscience Methods, 14 (1985) 69-76]。
【0030】
雄性アルビノ・チャールズ・リバーNMRIマウス(20〜25g)を使用した。該実験前には、いずれの固形食物をも約16時間取り下げるが、しかし、該動物は20%グルコース溶液を自由に摂取させた。該動物を、ガラスシリンダー(直径15cm)中で1時間の順化時間を許容し、次いで、観察を容易にするために鏡を背後に置いた同一のシリンダーに移動させた。該被験物質を5%トゥイーン−80(体重kg当たり10mL)中に懸濁し、そしてホルマリン注射(0.9%生理食塩水中の1%ホルマリン(20μL)を、右後肢の背側の表面中に皮下注射した)の15分前に、胃管栄養法によって経口投与した。ホルマリン注射後の該注射した肢の舐めるおよび噛むによって費やされた時間は、20〜25分と測定された。ED50値の測定のために、該被験物質の多様な投与(少なくとも5回)を5マウスの群に与え、そして該結果を、同日に観察されるビヒクルコントロール群と対比して、舐めることによって費やされる阻害時間%として表した。ED50値(すなわち、50%阻害を与える用量)を、ボルツマンS字型曲線フィッティングによって算出した。本発明の化合物の選別した例および基準化合物についてのED50値を、表3に例示する。
【表3】

【0031】
NR2B部位で作用するNMDAアンタゴニストを用いて有利に処置することができる疾患(Loftisによる[Pharmacology & Therapeutics, 97, 55-85 (2003)]によって、最近、概説されている)としては、総合失調症、パーキンソン病、ハンチントン病、低酸素症および虚血によって誘起される興奮毒性、発作性疾患、薬物乱用、および疼痛(特に、いずれかの原因の神経障害性の炎症性の内臓疼痛)を含む[Eur. J. Pharmacol., 429, 71-78 (2001)]。
【0032】
非選択的NMDAアンタゴニストと比較したそれらの副作用の傾向の低下に起因して、NR2B選択的アンタゴニストは、NMDAアンタゴニストが有効であり得る疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症)[Neurol. Res., 21, 309-12 (1999)]、例えばアルコール、オピオイドもしくはコカインの禁断症状[Drug and Alcohol Depend., 59, 1-15 (2000)]、筋肉攣縮[Neurosci. Lett., 73, 143-148 (1987)]、様々な原因の痴呆[Expert Opin. Investig. Drugs, 9, 1397-406 (2000)]、不安症、うつ病、偏頭痛、低血糖症、網膜の変性疾患(例えば、CMV網膜炎)、緑内障、喘息、耳鳴り、聴覚損失[Drug News Perspect 11, 523-569 (1998)、および国際特許出願WO 00/00197]における有効性を有し得る。
【0033】
従って、本発明の化合物の有効量は、脳または脊髄の外傷性傷害、疼痛のオピオイド処置に対する耐性および/または依存、耐性の発生、乱用の可能性の低下、例えばアルコール、オピオイドもしくはコカインなどの薬物の乱用の禁断症状、虚血性CNS障害、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病などの慢性神経変性障害、例えば神経障害性疼痛などの疼痛および慢性疼痛状態、の処置のために有利に使用し得る。
【0034】
本発明の化合物、並びにその医薬的に許容し得る塩は、そのまま、または医薬組成物の形態で適当に使用することができる。これらの組成物(薬物)は、固体、液体または半液体の形態であり得て、そして実際に通常使用される医薬的なアジュバントおよび補助物質(例えば、担体、賦形剤、希釈剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、pH−および浸透圧−調整剤、香味剤、芳香剤、並びに製剤化−促進または製剤化−付与添加物)を加えることができる。
【0035】
該治療効果を発揮するのに必要な投与量は広範囲な限度内で変えることができ、そして、これは、該疾患の重篤度、処置する患者の症状および体重、並びに有効成分に対する患者の感受性、投与経路、および1日の処置の回数に応じて、各症例における個々の要件に適合するであろう。使用する該有効成分の実際の用量は、処置される患者を知っている熟練した担当の医師によって安全に決定することができる。
【0036】
本発明に記載する有効成分を含有する医薬組成物は通常、1投与単位中に有効成分(0.01〜100mg)を含む。当然に、ある組成物中の活性成分の量が上で定義する上限または下限を超えることはあり得る。
【0037】
該医薬組成物の固体形態は、例えば錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤、または注射剤の調製に有用な凍結乾燥粉末状アンプルであり得る。液体組成物は、注射用組成物および注入用組成物、液剤、封入液剤、または滴剤である。半液体組成物は、軟膏、バルサム、クリーム剤、振とう混合物、および坐剤であり得る。
【0038】
単純な投与のために、医薬組成物が投与されるべき有効成分の量を含有する投与量単位を含むとき、1回もしくは複数回、またはその半分、3分の1、4分の1の部が適当である。このような投与量単位は、例えば錠剤であり、このものは、有効成分の必要量を正確に投与するために、錠剤の二分割または四分割を促進する溝を有するように粉末化することができる。
【0039】
錠剤は、胃を通過した後に有効成分の内容物の放出を確実とするために、酸可溶性層でコーティングすることができる。該錠剤は、腸溶コーティングである。同様な効果はまた、有効成分をカプセル封入することによっても達成し得る。
【0040】
経口投与のための医薬組成物は、例えば賦形剤として乳糖またはデンプン、結合剤または造粒剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリジンまたはデンプンのりを含み得る。馬鈴薯でんぷんまたは微結晶性セルロースを崩壊剤として加えるが、しかし、ウルトラアミノペクチンまたはホルムアルデヒドカゼインをも使用し得る。タルカム、コロイド状ケイ酸、ステアリン、ステアリン酸カルシウムまたはマグネシウムを、抗接着剤および滑沢剤として使用し得る。
【0041】
錠剤は、例えば湿式造粒、続く圧縮によって製造することができる。該混合した有効成分および賦形剤、並びにある場合には崩壊剤の一部を、適当な装置中で結合剤の水性、アルコール性、またはアルコール性水溶液と一緒にに造粒し、次いで該顆粒物を乾燥する。他の崩壊剤、滑沢剤および抗接着剤を該乾燥顆粒物に加え、そして該混合物を圧縮して錠剤とする。ある場合には、該錠剤は投与を容易にするために、二分割の溝を有するように製造する。
【0042】
該錠剤は、有効成分および適当な助剤の混合物から直接圧縮打錠によって製造することができる。ある場合に、錠剤は、薬務において通常使用される添加物(例えば、安定化剤、香味剤、着色剤(例えば、糖類、セルロース誘導体(メチル−またはエチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、ポリビニルピロリドン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、食品用着色料、食品用嬌味剤(food laces)、芳香剤、酸化鉄系顔料など)を用いることによってコーティングし得る。カプセル剤の場合には、有効成分および助剤の混合物をカプセルに充填する。
【0043】
液体経口組成物(例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤)は、水、グリコール、油、アルコール、着色剤、および香味剤を用いて製造することができる。
【0044】
直腸投与の場合には、該組成物は坐剤または浣腸剤に製剤化する。坐剤は、有効成分の他に、担体、いわゆるエイデップス・プロ・サポジトリー(adeps pro suppository)を含み得る。担体は、植物油(例えば、水素添加植物油、C12〜C18脂肪酸のトリグリセリド)であり得る(商品名:ウイテップゾール(Witepsol)の担体が好ましい)。該有効成分を、融解したエイデップス・プロ・サポジトリーと一緒に均一に混合し、そして該坐剤を成型する。
【0045】
非経口投与の場合には、該組成物は注射液剤として製剤化する。該注射液剤を製造する場合には、該有効成分を、蒸留水/または異なる有機溶媒(例えば、グリコールエーテル)中に、ある場合には可溶化剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタン−モノラウレート、−モノオレエート、または−モノステアレート(ツウィーン20、ツウィーン60、ツウィーン80))の存在下で、溶解する。該注射溶液はまた、異なる助剤(例えば、保存剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸)、並びにpH調節剤および緩衝化剤、およびある場合には局所麻酔剤(例えば、リドカイン))をも含み得る。本発明の有効成分を含有する注射溶液は、そのものをアンプル中に充填する前にろ過し、そして充填後に滅菌する。
【0046】
有効成分が吸湿性である場合には、そのものを凍結乾燥によって安定化し得る。
【0047】
(固相合成の場合におけるキャラクタリゼーションの方法)
本発明の化合物は、HP 1100バイナリー勾配クロマトグラフィーシステム(マイクロプレートサンプラー(Agilent, Waldbronn)を有し、ケムステーション(ChemStation)ソフトウェアによって制御する)を用いる、マス選択検出器(LC/MS)と連結した高速液体クロマトグラフィーによって確認した。HPダイオードアレイ検出器を用いて、225nmおよび240nmでのUVスペクトルを得た。全ての実験は、エレクトロスプレーイオン化源を備えたHP MSD(Agilent, Waldbronn)のシングル四重極型分光計を用いて行なって、該構造を測定した。
【0048】
該合成物をDMSO(Aldrich社製、独国)(1mL)中に溶解した。各溶液(100μL)をDMSOを用いて、1000μLの容量にまで希釈した。分析用クロマトグラフィー実験は、ディスカバリーRP C−16アミドのカラム(5cm×4.6mm×5μm)(Supelco社製(ベレフォンテ(Bellefonte)、ペンシルベニア州(Pennsylvania))、定性(qualification)の場合に流速は1mL/分とする)を用いて行なった。該得られた化合物は、それらのk’値(純度、容量因子)によって特徴付けた。k’因子は、以下の式:
【数1】

(ここで、k’=容量因子、t=保持時間、t=溶出保持時間)
によって評価する。
【0049】
A溶出液は0.1%水を含有するトリフルオロ酢酸(TFA)(シグマ社製、独国)とし、B溶出液は0.1%TFAおよび5%A溶出液を含有する95%アセトニトリル(メルク社製、独国)とした。100%A溶出液で開始し、5分間の時間をかけて100%B溶出液にまでの工程とする、勾配溶出を使用した。
【実施例】
【0050】
以下の実施例は、如何なる様式でも限定することを意図することなく、本発明を例示する。
【0051】
方法A
(実施例1)
4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
1a)4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミド
アルゴン下、アセトニトリル(10mL)およびベンゼン(10mL)中の4−ベンジルオキシ−ベンゾイルクロリド[Liebigs Ann. 10, 2169-2176, (1997)](1.62g、6.57mmol)およびシアン酸ナトリウム(0.57g、8.7mmol)の撹拌溶液に、塩化スズ(IV)(36μL、0.3mmol)を加える。該反応混合物を3時間還流し、20℃まで冷却し、次いで4−ベンジル−ピペリジン(アルドリッチ社製)(1.17g、6.57mmol)を20℃で滴下する。該反応混合物を20℃で1時間撹拌し、濃縮し、該残渣をメタノールを用いて処理し、そして該結晶をろ過して標題化合物(1.07g、38%)を得た。Mp:155−156℃。
【0052】
1b)4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミド(1.07g、2.5mmol)、テトラヒドロフラン(20mL)、メタノール(20mL)、および10%Pd/C触媒(0.5g)の混合物を2時間水素添加する。該触媒をろ過して除き、テトラヒドロフランを用いて洗浄し、そして該ろ液を濃縮する。該残渣を、カラムクロマトグラフィー(吸収剤としてキセルゲル60、および溶出液としてトルエン:メタノール=4:1を使用する)によって精製して、標題化合物(0.48g、56.7%)を得た。Mp:95℃(ジイソプロピルエーテル)。
【0053】
(実施例2)
4−(4−メトキシ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
2a)4−(4−メトキシ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例1aに記載する方法に従って、4−ベンジルオキシ−ベンゾイルクロリドおよび(4−メトキシ−ベンジル)−ピペリジン[米国特許第3632727号 (1972)]から製造する。
【0054】
2b)4−(4−メトキシ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例1bに記載する方法に従って、4−(4−メトキシ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミドから製造する。Mp:190℃。
【0055】
(実施例3)
4−(4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
3a)4−(4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例1aに記載する方法に従って、4−ベンジルオキシ−ベンゾイルクロリドおよび(4−メチル−ベンジル)−ピペリジン[J Org. Chem., 64, 3763, (1999)]から製造する。Mp:142℃(イソプロパノール)。
【0056】
3a)4−(4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例1bに記載する方法に従って、4−(4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミドから製造する。Mp:204℃。
【0057】
(実施例4)
4−(4−クロロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
4a)4−(4−クロロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例1aに記載する方法に従って、4−ベンジルオキシ−ベンゾイルクロリドおよび(4−クロロ−ベンジル)−ピペリジン[C. A. 77, 34266 w]から製造する。Mp:油状物。
【0058】
4b)4−(4−クロロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
4−(4−クロロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミド(2.0g、4.38mmol)、および酢酸中の33%臭化水素(フルカ社製)(15mL)の混合物を、室温で1時間撹拌する。該反応混合物を濃縮する。次いで、水(50mL)およびクロロホルム(50mL)を該混合物に加える。該有機相を分離し、そして水相をクロロホルム(25mL)を用いて3回抽出する。該有機相を合わせて硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濃縮し、そして該残渣をカラムクロマトグラフィー(吸収剤としてキセルゲル60(メルク社製)、および溶出液としてトルエン:アセトン=2:1を使用する)によって精製して、標題化合物(0.1g、6%)を得る。Mp:201℃。
【0059】
(実施例5)
4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
5a)4−(フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例1aに記載する方法に従って、4−ベンジルオキシ−ベンゾイルクロリドおよび(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン塩酸塩[J. Med. Chem., 35, 4903, (1992)]から製造する。
【0060】
5b)4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例4bに記載する方法に従って、4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミドから製造する。Mp:168℃。
【0061】
(実施例6)
4−(4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−メタンスルホニルアミノベンゾイルアミド
4−メタンスルホニルアミノ−ベンズアミド[J. Org. Chem., 66, 8299, (2001)](2.1g、10mmol)、塩化オキサリル(アルドリッチ社製)(1.3mL、15mmol)、および1,2−ジクロロエタン(10mL)の混合物を3時間還流し、次いで5℃まで冷却する。1,2−ジクロロエタン(5mL)中の4−(4−メチル−ベンジル)−ピペリジン[J. Org. Chem. 64, 3763, (1999)](2.3mL、12mmol)の混合物を10℃以下で滴下し、そして該反応混合物を室温で5時間撹拌する。次いで、そのものを水(25mL)中にそそぎ、得られた結晶をろ過によって集め、そして水洗して標題化合物(2.36g、55%)を得る。Mp:204−208℃(1,2−ジクロロエタン−水)。
【0062】
(実施例7)
4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−カルボニル)−アミド
7a)2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−カルボン酸アミド
2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−カルボン酸[Eur. J. Med. Chem. Chim. Ther., 9, 491-492, (1974)](0.37g、2.06mmol)、1,4−ジオキサン(13mL)、およびジメチルホルムアミド(0.1mL)の撹拌溶液に、塩化チオニル(1.35mL、18mmol)を10℃以下で滴下し、そして該反応混合物を室温で24時間撹拌する。次いで、25%水酸化アンモニウム溶液(10mL)を該混合物に滴下する。該反応混合物を濃縮し、そして該残渣をカラムクロマトグラフィー(吸収剤としてキセルゲル60(メルク社製)、および溶出液としてクロロホルム:メタノール=3:1を使用する)によって精製して、標題化合物(0.13g、35.3%)を得る。Mp:296℃(2−プロパノール)。
【0063】
7b)4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−カルボニル)−アミド
標題化合物は、実施例6に記載する方法に従って、2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキサゾール−6−カルボン酸アミドから製造する。Mp:174℃。
【0064】
(実施例8)
4−(4−tert−ブチル−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
8a)4−(4−tert−ブチル−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例1aに記載する方法に従って、4−ベンジルオキシ−ベンゾイルクロリドおよび4−(4−tert−ブチル−ベンジル)−ピペリジン[J. Org. Chem., 64, 3763, (1999)]から製造する。
【0065】
8b)4−(4−tert−ブチル−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例1bに記載する方法に従って、4−(4−tert−ブチル−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミドから製造する。Mp:101℃。
【0066】
(実施例9)
4−(4−クロロ−フェノキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
9a)4−(4−クロロ−フェノキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
アルゴン下、ジメチルホルムアミド(80mL)中の4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル[Bioorg. Med. Chem. Lett., 10, 2815, (2000)](10.0g、49.7mmol)の撹拌溶液に、水素化ナトリウム(60%、75mmol)(3.0g)を加える。該反応混合物を40℃で1時間撹拌し、次いでジメチルホルムアミド(20mL)中の1−クロロ−4−フルオロ−ベンゼン(アルドリッチ社製)(5.3mL、49.7mmol)を20℃で滴下する。該反応混合物を80℃で4時間撹拌し、20℃まで冷却し、エタノール(1mL)を滴下し、水(100mL)中にそそぎ、そして酢酸エチルを用いて抽出する。該有機層を硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、そして濃縮する。該残渣をカラムクロマトグラフィー(吸収剤としてキセルゲル60(メルク社製)、および溶出液として酢酸エチルを使用する)によって精製して、標題化合物(11.07g、75.5%)を得る。Mp:油状物。
【0067】
9b)4−(4−クロロ−フェノキシ)−ピペリジン塩酸塩
酢酸エチル中の2.5M 塩酸の溶液(150mL)に、4−(4−クロロ−フェノキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11.07g、37.5mmol)を加える。該反応混合物を20℃で3時間撹拌し、次いで50mLまで濃縮する。該沈降する結晶をろ取し、酢酸エチルを用いて洗浄して、標題化合物(7.0g、75.2%)を得る。Mp:194−196℃。
【0068】
9c)4−(4−クロロ−フェノキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例1aに記載する方法に従って、4−ベンジルオキシ−ベンゾイルクロリドおよび4−(4−クロロ−フェノキシ)−ピペリジンから製造する。
【0069】
9d)4−(4−クロロ−フェノキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例4bに記載する方法に従って、4−(4−クロロ−フェノキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミドから製造する。Mp:189℃。
【0070】
(実施例10)
4−フェノキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
10a)4−フェノキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例1aに記載する方法に従って、4−ベンジルオキシ−ベンゾイルクロリドおよび4−フェノキシ−メチル−ピペリジン[独国特許第254 999号 (1977)]から製造する。
【0071】
10b)4−フェノキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例1bに記載する方法に従って、4−フェノキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミドから製造する。Mp:207℃。
【0072】
(実施例11)
4−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
11a)4−(2,4−ジフルオロ−ベンジリデン)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
アルゴン下、ジメチルホルムアミド(50mL)中のN−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリドン(4.1g、20.6mmol)、および(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−リン酸ジエチルエステル[Eur. J. Med. Chim. Ther., 27, 845, (1992)](5.42g、20.5mmol)の撹拌溶液に、水素化ナトリウム(60%、32.5mmol)(1.3g)を0℃で加える。該反応混合物を20℃で4時間撹拌し、エタノール(1mL)を滴下し、水(100mL)中にそそぎ、そしてジエチルエーテルを用いて抽出する。該有機相を硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、そして濃縮する。該粗生成物を次の工程に使用する。収量:5.1g(80.7%)。Mp:油状物。
【0073】
11b)4−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−(2,4−ジフルオロ−ベンジリデン−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル)(5.1g、14.69mmol)、エタノール(200mL)、および10%Pd/C触媒(0.5g)の混合物を水素添加する。該反応の完結後に、該触媒をろ取し、テトラヒドロフランを用いて洗浄し、そして該ろ液を濃縮する。該粗生成物は次の工程に使用する。収量:5.2g(100%)。Mp:油状物。
【0074】
11c)4−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン
標題化合物は、実施例9bに記載する方法に従って、4−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルから製造する。Mp:191℃(酢酸エチル−ジエチルエーテル)。
【0075】
11d)4−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例1aに記載する方法に従って、4−ベンジルオキシ−ベンゾイルクロリドおよび4−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジンから製造する。
【0076】
11e)4−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例4bに記載する方法に従って、4−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンジルオキシ−ベンゾイルアミドから製造する。Mp:168℃。
【0077】
(実施例12)
4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−メタンスルホニルアミノ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例6に記載する方法に従って、4−メタンスルホニルアミノ−ベンズアミドおよび4−ベンジル−ピペリジンから製造する。Mp:225−228℃。
【0078】
(実施例13)
4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−アミノ−ベンゾイルアミド
13a)4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−ニトロ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例6に記載する方法に従って、4−ニトロ−ベンズアミドおよび4−ベンジル−ピペリジンから製造する。Mp:176−179℃。
【0079】
13b)4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−アミノ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例1bに記載する方法に従って、4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−ニトロ−ベンゾイルアミドから製造する。Mp:180−182℃。
【0080】
(実施例14)
4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−アセチルアミノ−ベンゾイルアミド
ジクロロメタン(10mL)中の4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−アミノ−ベンゾイルアミド(1.7g、5mmol)の撹拌溶液に、ジクロロメタン(1.3mL)中の無水酢酸(0.52mL、5.5mmol)を10℃で滴下する。該反応混合物を20℃で2時間撹拌し、次いで濃縮し、そして該残渣をカラムクロマトグラフィー(吸収剤としてキセルゲル60(メルク社製)、および溶出液としてクロロホルム:メタノール=95:5を使用する)によって精製して、標題化合物(0.6g、31.6%)を得る。Mp:144−146℃(ジエチルエーテル)。
【0081】
(実施例15)
4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−(4−クロロベンゾイルアミノ)−ベンゾイルアミド
ジクロロメタン(5.5mL)中の4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−アミノ−ベンゾイルアミド(0.506g、1.5mmol)およびトリエチルアミン(0.25mL、1.8mmol)の撹拌溶液に、ジクロロメタン(1.1mL)中の4−クロロ−ベンゾイルクロリド(0.23mL,1.8mmol)を10℃で滴下する。該反応混合物を20℃で2時間撹拌する。次いで、水(50mL)およびクロロホルム(50mL)を該混合物に加える。該沈降する結晶をろ取して、標題化合物(0.418g、58.5%)を得る。Mp:201−203℃。
【0082】
(実施例16)
4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−ベンゾイルアミノ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例15に記載する方法に従って、塩化ベンゾイルおよび4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−アミノ−ベンゾイルアミドから製造する。Mp:201−203℃。
【0083】
(実施例17)
4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−(トルエン−4−スルホニルアミノ)−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例15に記載する方法に従って、p−トルエンスルホニルクロリドおよび4−ベンジル−ピペリジン−1−カルボン酸4−アミノ−ベンゾイルアミドから製造する。Mp:218−220℃。
【0084】
(実施例18)
4−ベンジルピペリジン−1−カルボン酸(1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニル)−アミド[該化合物の他の互変異性体は、4−ベンジルピペリジン−1−カルボン酸(3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニル)−アミドである]
1,2−ジクロロエタン(50mL)中の1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸アミド[Bull. Chem. Soc. Jpn., 31, 252 (1958)](0.947g、3.08mmol)の懸濁液に、塩化オキサリル(0.5mL、5.7mmol)を加え、そして該混合物を90℃で5.5時間撹拌する。該反応混合物を室温まで冷却し、そして4−ベンジルピペリジン(2.65mL、15mmol)を加える。その結果得られる混合物を室温で終夜撹拌し、次いで濃縮し、そして該残渣をカラムクロマトグラフィー(吸収剤としてキセルゲル60(メルク社製)、および溶出液としてクロロホルム:メタノール=9:1を使用する)によって精製して、標題化合物(145mg、13%)を得る。Mp:168−175℃。
【0085】
(実施例19)
4−ベンジルピペリジン−1−カルボン酸(1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボニル)−アミド[該化合物の他の互変異性体は、4−ベンジルピペリジン−1−カルボン酸(3H−ベンゾトリアゾール−5−カルボニル)−アミドである]
19a)1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸アミド(該化合物の他の互変異性体は、3H−ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸アミドである)
ジオキサン(200mL)中のベンゾトリアゾール−5−カルボン酸[アルドリッチ社製](5.5g、33.7mmol)の懸濁液に、塩化チオニル(10mL、137mmol)およびジメチルホルムアミド(0.5mL)を加える。該反応混合物を室温で終夜撹拌し、次いで濃縮する。該残渣を徐々に、0℃で水酸化アンモニウム(50mL)に加え、次いで該反応混合物を室温で1時間撹拌し、そして濃縮する。該残渣を、カラムクロマトグラフィー(吸収剤としてキセルゲル60(メルク社製)、および溶出液としてクロロホルム:メタノール=4:1を使用する)によって精製して、標題化合物(5.36g、98%)を得る。Mp:298−305℃。
【0086】
19b)4−ベンジルピペリジン−1−カルボン酸(1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボニル)−アミド[該化合物の他の互変異性体は、4−ベンジルピペリジン−1−カルボン酸(3H−ベンゾトリアゾール−5−カルボニル)−アミドである]
標題化合物は、実施例18に記載する方法に従って、1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸アミドおよび4−ベンジルピペリジンから製造する。Mp:97.5−100℃。
【0087】
(実施例20)
4−(4−フルオロベンジル)ピペリジン−1−カルボン酸(1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボニル)−アミド[該化合物の他の互変異性体は、4−4−フルオロベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸(3H−ベンゾトリアゾール−5−カルボニル)−アミドである]
標題化合物は、実施例18に記載する方法に従って、1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸アミドおよび4−(4−フルオロベンジル)ピペリジン[J. Med. Chem., 35, 4903, (1992)]から製造する。Mp:125−129℃。
【0088】
(実施例21)
4−ベンジルピペリジン−1−カルボン酸(1H−インドール−5−カルボニル)−アミド
標題化合物は、実施例18に記載する方法に従って、1H−インドール−5−カルボン酸アミド[Heterocycles, 34, 1169, (1992)]および4−ベンジルピペリジンから製造する。Mp:110−112℃。
【0089】
(実施例22)
4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−アセチルアミノ−ベンゾイルアミド
4−アセチルアミノ−ベンズアミド[J. Amer. Chem. Soc., 34, 694, (1912)](1.4g、8mmol)、塩化オキサリル(1.05mL、12mmol)、および1,2−ジクロロエタン(8mL)の混合物を3時間還流し、次いで5℃まで冷却する。1,2−ジクロロエタン(8mL)中の4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン塩酸塩(2.8g、12mmol)およびトリエチルアミン(2.5mL、18mmol)の溶液を10℃以下で滴下し、そして該反応混合物を室温で10時間撹拌する。次いで、水(25mL)を該混合物に加え、該有機相を分離し、そして該水相をクロロホルム(20mL)を用いて3回抽出する。該有機層を合わせて硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、濃縮し、そして該残渣をカラムクロマトグラフィー(吸収剤としてキセルゲル60(メルク社製)、および溶出液としてクロロホルム:メタノール=99:1を使用する)によって精製して、標題化合物(収量0.65g(20%))を得る。Mp:156−171℃(分解、ジエチルエーテル)。
【0090】
(実施例23)
4−(4−クロロ−フェノキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸4−アセチルアミノ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例22に記載する方法に従って、4−(4−クロロ−フェノキシ)−ピペリジンおよび4−アセチルアミノ−ベンズアミドから製造する。Mp:79℃(分解、ジエチルエーテル)。
【0091】
(実施例24)
4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−メタンスルホニルアミノベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例22に記載する方法に従って、4−(4−フルオロ−ベンジル)−ピペリジンおよび4−メタンスルホニルアミノ−ベンズアミドから製造する。Mp:221−222℃(エタノール)。
【0092】
(実施例25)
4−(4−クロロ−フェノキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸4−メタンスルホニルアミノベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例22に記載する方法に従って、4−(4−クロロ−フェノキシ)−ピペリジンおよび4−アセチルアミノベンズアミドから製造する。Mp:79℃(分解、ジエチルエーテル)。
【0093】
方法B(固相合成)
(実施例26)
4−(3−メトキシ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
26a)(3−メトキシ−ベンジル)−ピペリジン
標題化合物は、実施例11a−11cに記載する方法に従って、N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリドンおよび(3−メトキシ−ベンジル)−リン酸ジエチルエステル[J. Amer. Chem. Soc., 98, 5574-5581, (1976)]から製造する。
【0094】
26b)樹脂にアンカーした4−ヒドロキシベンズアミド
ワング樹脂(ノババイオケム社製;容量 0.8mM/g:サイズ 100〜200メッシュ)(7.86g、6.288mmol)、テトラヒドロフラン(200mL)、4−ヒドロキシベンズアミド(アルドリッチ社製)(2.9g、21.1mmol)、トリフェニルホスフィン(6.3g、24.0mmol)の混合物を0℃で20分間撹拌し、次いでアゾ二炭酸ジエチル(3.8mL、24.1mmol)を加える。該反応混合物を20℃で24時間撹拌し、次いで該生成物をろ取し、ジメチルホルムアミド(300mL)を用いて2回、テトラヒドロフラン(200mL)を用いて2回、メタノール(300mL)を用いて2回、およびテトラヒドロフラン(200mL)を用いて2回洗浄する。該生成物を室温で乾燥して、標題化合物(8.8g)を得る。
【0095】
26c)樹脂にアンカーした4−(3−メトキシ−べンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
1,2−ジクロロエタン(4mL)中の上記の工程において得られる4−ヒドロキシベンズアミド(0.2g、0.14mmol)の混合物に、塩化オキサリル(40μL、0.46mmol)を加える。該反応混合物を75℃で0.5時間振り混ぜ、20℃まで冷却し、そしてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(150μL、0.86mmol)、および(3−メトキシ−ベンジル)−ピペリジン(85mg、0.41mmol)を加える。該反応混合物を1時間振り混ぜる。次いで、該樹脂をろ取し、そしてジクロロメタン(4mL)を用いて5回、メタノール(4mL)を用いて3回、最後に再びジクロロメタン(4mL)を用いて2回洗浄する。
【0096】
26d)4−(3−メトキシ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
樹脂にアンカーした4−(3−メトキシ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド、およびトリフルオロ酢酸:ジクロロメタン(1:10)混合物(3mL)の混合物を2時間振り混ぜる。次いで、該樹脂をろ取し、そしてジクロロメタン(1.5mL)を用いて2回洗浄する。該合わせたろ液を濃縮する。該残渣を、カラムクロマトグラフィー(吸収剤としてキセルゲル60(メルク社製)、および溶出液としてトルエン:メタノール=4:1を使用する)によって精製して、標題化合物(1.4mg)を得る。k’=4.163。
【0097】
(実施例27)
4−[2−(p−トリル)−エチル]−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物を、実施例26に記載する方法に従って、4−(2−p−トリル−エチル)−ピペリジン[Chem. Ber., 38, 161, (1905)]から製造する。k’=4.631。
【0098】
(実施例28)
4−(フェニルチオ−メチル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
28a)4−(フェニルチオ−メチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
アルゴン下、ジメチルホルムアミド(20mL)中のベンゼンチオール(1.1mL、10.7mmol)の撹拌溶液に、水素化ナトリウム(60%、12.5mmol)(0.5g)を加える。該反応混合物を20℃で0.5時間撹拌し、次いでジメチルホルムアミド(10mL)中の4−メタンスルホニルオキシメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル[Bioorg. Med. Chem. Lett., 11, 3161-3164, (2001)](3.0g、10.2mmol)を20℃で滴下する。該反応混合物を20℃で3時間撹拌し、エタノール(1mL)を滴下し、水(100mL)中にそそぎ、そしてクロロホルムを用いて抽出する。該有機相を硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、そして濃縮して油状物の標題化合物(3.2g)を得る。
【0099】
28b)4−(フェニルチオ−メチル)−ピペリジン塩酸塩
酢酸エチル中の2.5M 塩酸の溶液(50mL)に、4−(フェニルチオ−メチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(3.2g、〜10mmol)を加える。該反応混合物を20℃で3時間撹拌する。該沈降する結晶をろ取し、酢酸エチルを用いて洗浄して、標題化合物(2.18g、89%)を得る。Mp:183−184℃。
【0100】
28d)4−(フェニルチオ−メチル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例26に記載する方法に従って、4−(フェニルチオ−メチル)−ピペリジンから製造する。k’=4.204.
【0101】
(実施例29)
4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例26に記載する方法に従って、4−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−ピペリジン[J. Org. Chem., 64, 3763, (1999)]から製造する。k’=4.421。
【0102】
(実施例30)
4−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例26に記載する方法に従って、4−(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−ピペリジン[J. Org. Chem., 64, 3763, (1999)]から製造する。k’=4.342。
【0103】
(実施例31)
4−p−トリルオキシ−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例26に記載する方法に従って、4−p−トリルオキシ−ピペリジン[J. Med. Chem., 21, 309, (1978)]から製造する。k’=4.15。
【0104】
(実施例32)
4−(3−メチル−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
32a)4−(3−メチル−ベンジル)−ピペリジン
標題化合物は、実施例11a−11cに記載する方法に従って、N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリドンおよび(3−メチル−ベンジル)−リン酸ジエチルエステル[Tetrahedron, 55, 2671-2686, (1999)]から製造する。
【0105】
32b)4−(3−メチル−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例26に記載する方法に従って、4−(3−メチル−ベンジル)−ピペリジンから製造する。k’=4.384。
【0106】
(実施例33)
4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
33a)(4−フルオロ−フェノキシ)−ピペリジン
標題化合物は、実施例9a−9bに記載する方法に従って、1,4−ジフルオロ−ベンゼンから製造する。
【0107】
33b)4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例26に記載する方法に従って、(4−フルオロ−フェノキシ)−ピペリジンから製造する。k’=3.997。
【0108】
(実施例34)
4−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例26に記載する方法に従って、4−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−ピペリジンから製造する。k’=4.398。
【0109】
(実施例35)
4−(3−シアノ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
35a)4−(3−シアノ−ベンジル)−ピペリジン
標題化合物は、実施例11a−11cに記載する方法に従って、N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリドンおよび(3−シアノ−ベンジル)−リン酸ジエチルエステル[Eur. J. Med. Chem., 15, 2927-2938, (2001)]から製造する。
【0110】
35b)4−(3−シアノ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例26に記載する方法に従って、4−(3−シアノ−ベンジル)−ピペリジンから製造する。k’=4.048。
【0111】
(実施例36)
4−(2−エトキシ−フェノキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
36a)4−(2−エトキシ−フェノキシ)−ピペリジン
標題化合物は、実施例9a−9bに記載する方法に従って、1−エトキシ−2−フルオロ−ベンゼン[Chem. Zentralbl., 84, 760, (1913)]から製造する。
【0112】
36b)4−(2−エトキシ−フェノキシ)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例26に記載する方法に従って、4−(2−エトキシ−フェノキシ)−ピペリジンから製造する。k’=3.956。
【0113】
(実施例37)
4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
37a)4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン
標題化合物は、実施例11a−11cに記載する方法に従って、N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリドンおよび(3−フルオロ−ベンジル)−リン酸ジエチルエステル[Org. Magn. Reson., 9, 35 (1977)]から製造する。
【0114】
37b)4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例26に記載する方法に従って、4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピペリジンから製造する。k’=4.256。
【0115】
(実施例38)
4−フェノキシ−ピペリジン−1−カルボン酸4−ヒドロキシ−ベンゾイルアミド
標題化合物は、実施例26に記載する方法に従って、4−フェノキシ−ピペリジン[J. Med. Chem., 17, 1000, (1974)]から製造する。k’=3.786。
【0116】
(実施例39)
4−[1−(4−ヒドロキシ−ベンゾイルカルバモイル)−ピペリジン−4−イル−メチル]−安息香酸メチルエステル
39a)4−(4−メトキシカルボニル−ベンジル)−ピペリジン
標題化合物は、実施例11a−11cに記載する方法に従って、N−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリドンおよび(4−メトキシカルボニル−ベンジル)−リン酸ジエチルエステル[独国特許第1112072号]から製造する。
【0117】
39b)4−[1−(4−ヒドロキシ−ベンゾイルカルバモイル)−ピペリジン−4−イル−メチル]−安息香酸メチルエステル
標題化合物は、実施例26に記載する方法に従って、4−(4−メトキシカルボニル−ベンジル)−ピペリジンから製造する。k’=3.935。
【0118】
(実施例40)
(医薬組成物の製造)
a)錠剤:
式(I)の有効成分の0.01〜50%、乳糖の15〜50%、馬鈴薯でんぷんの15〜50%、ポリビニルピロリドンの5〜15%、タルクの1〜5%、ステアリン酸マグネシウムの0.01〜3%、コロイド状二酸化ケイ素の1〜3%、およびウルトラアミロペクチンの2〜7%を混合し、次いで、湿式造粒により造粒し、錠剤に圧縮打錠する。
【0119】
b)糖剤(dragee)、糖衣錠:
上記の方法によって製造された錠剤を腸−または胃溶解フィルムまたは糖およびタルクからなる層でコーティングする。糖剤は、蜜蝋またはカルヌバワックスの混合物で磨く。
【0120】
c)カプセル剤:
式(I)の有効成分の0.01〜50%、ラウリル硫酸ナトリウムの1〜5%、でんぷんの15〜50%、乳糖の15〜50%、コロイド状二酸化ケイ素の1〜3%、およびステアリン酸マグネシウムの0.01〜3%を十分に混合し、該混合物をふるいにかけ、硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0121】
d)懸濁剤:
成分:式(I)の有効成分の0.01〜15%、水酸化ナトリウムの0.1〜2%、クエン酸の0.1〜3%、ニパジン(nipagin)(4−ヒドロキシ安息香酸メチルナトリウム)の0.05〜0.2%、ニパゾール(nipasol)の0.005〜0.02%、カルボポール(ポリアクリル酸)の0.01〜0.5%、96%エタノールの0.1〜5%、香味剤の0.1〜1%、ソルビトール(70%水溶液)の20〜70%、および蒸留水の30〜50%。
【0122】
蒸留水(20mL)中のニパジンおよびクエン酸の溶液に、カルボポールを激しく撹拌しながら少しずつ分けて添加し、溶液を10〜12時間放置する。次いで、蒸留水(1mL)中の水酸化ナトリウム、ソルビトールの水溶液、および最後にエタノール性ラズベリー香味剤を、撹拌しながら添加する。この担体に、有効成分を少しずつ分けて添加し、投げ込み(immersing)ホモジナイザーで懸濁する。最後に、該懸濁液を所望の最終容量にまで蒸留水で満たし、そして該懸濁シロップをコロイドミル装置に通過させる。
【0123】
e)坐剤:
各坐剤につき、式(I)の有効成分の0.01〜15%、および乳糖の1〜20%を十分に混合し、次いで、アデップス・プロ・サポジトリー(例えば、ウイテップゾール(Witepsol)4)の50〜95%を融解し、35℃に冷却し、そして有効成分および乳糖の混合物をその中でホモジナイザーを用いて混合する。得られた混合物を冷却した型で成型する。
【0124】
f)凍結乾燥粉末アンプル組成物:
マンニトールまたは乳糖の5%溶液を注射用の再蒸留水で調製し、この溶液を充填して滅菌溶液とする。式(I)の有効成分の0.01〜5%溶液もまた注射用の再蒸留水で調製し、この溶液をろ過して滅菌溶液とする。これらの2つの溶液を無菌条件下で混合し、1mLずつアンプル中に充填し、該アンプルの内容物を凍結乾燥し、そしてアンプルを窒素下で封する。投与前に、該アンプルの内容物を滅菌水または0.9%(生理学的な)滅菌食塩水溶液中に溶解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
XおよびYは独立して、水素原子、ヒドロキシ、ベンジルオキシ、アミノ、ニトロ、場合により1個以上のハロゲン原子によって置換されたC〜Cアルキルスルホンアミド、場合により1個以上のハロゲン原子によって置換されたC〜Cアルカノイルアミド、C〜Cアルコキシ、場合によりハロゲン原子もしくはC〜Cアルキルによって置換されたアロイル−カルバモイル、またはC〜Cアルコキシカルボニル基であるか;あるいは、
近接するX基およびY基は場合により、1個以上の同一もしくは異なる更なるヘテロ原子、−CH=基、および/または−CH−基と一緒になって場合により、置換された4〜7員の単素環またはヘテロ環(モルホリン、ピロール、ピロリジン、オキソ−もしくはチオキソ−ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリジン、オキソ−もしくはチオキソ−イミダゾールもしくはイミダゾリジン、1,4−オキサジン、オキサゾール、オキサゾリジン、トリアゾール、オキソ−もしくはチオキソ−オキサゾリジン、または3−オキソ−1,4−オキサジン環が好ましい)を形成し;
VおよびZは独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、または場合によりエステル化したカルボキシル基であり;
Wは、酸素原子、並びにC〜Cアルキレン、C〜Cアルケニレン、アミノカルボニル、−NH−、−N(アルキル)−、−CHO−、−CHS−、−CH(OH)−、−OCH−基であり、ここで、該アルキルの意味はC〜Cアルキル基であり;
点線結合:
【化2】

が単純なC−C結合である場合には、Uはヒドロキシ基または水素原子であるか、あるいは、
WがC〜CアルキレンまたはC〜Cアルケニレン基である場合には、該点線結合:
【化3】

の1つは更なる二重C−C結合であり、そしてこの場合には、Uは該二重結合に関与する電子対を意味する]
で示される新規なベンゾイル尿素誘導体、並びにその光学的鏡像異性体、ラセミ体および塩。
【請求項2】
Xは、水素原子であり;
Yは、ヒドロキシ、ベンジルオキシ−、アミノ、ニトロ、C〜Cアルキルスルホンアミド、C〜Cアルカノイルアミド、場合によりハロゲン原子もしくはC〜Cアルキルによって置換されたベンゾイル−カルバモイル、C〜Cアルコキシカルボニル基であるか、あるいは、
近接するX基およびY基は場合により、1個以上の同一もしくは異なる更なるヘテロ原子、−CH=基、および/または−CH基と一緒になって、オキサゾール環、イミダゾール環、またはトリアゾール環を形成し;
VおよびZは独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、またはメトキシカルボニル基であり;
Wは、酸素原子、並びにC〜Cアルキレン、−CHO−、−OCH−基であり;
点線結合:
【化4】

が単純なC−C結合である場合には、Uの意味はヒドロキシ基または水素原子であるか;あるいは、
Wが、C〜Cアルキレン基またはC〜Cアルキニレン基である場合には、該点線結合:
【化5】

の1つは、更なる二重C−C結合であり、そしてこの場合には、Uは該二重結合に関与する電子対を意味する、
請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
4-ベンジル-ピペリジン-1-カルボン酸4-ヒドロキシ-ベンゾイルアミド、
4-(4-メトキシ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボン酸4-ヒドロキシ-ベンゾイルアミド、
4-(4-メチル-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボン酸4-ヒドロキシ-ベンゾイルアミド、
4-(4-クロロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボン酸4-ヒドロキシ-ベンゾイルアミド、
4-(4-フルオロ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボン酸4-ヒドロキシ-ベンゾイルアミド、
4-(4-メチル-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボン酸4-メタンスルホニルアミノベンゾイルアミド、
4-ベンジル-ピペリジン-1-カルボン酸(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-ベンゾオキサゾール-6-カルボニル)-アミド、
4-(3-メトキシ-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボン酸4-ヒドロキシ-ベンゾイルアミド、
4-(2-p-トリル-エチル)-ピペリジン-1-カルボン酸4-ヒドロキシ-ベンゾイルアミド、
4-(フェニルチオ-メチル)-ピペリジン-1-カルボン酸4-ヒドロキシ-ベンゾイルアミド、
4-(4-トリフルオロメチル-ベンジル)-ピペリジン-1-カルボン酸4-ヒドロキシ-ベンゾイルアミド、
からなる群から選ばれる請求項1の範囲内に属する、ベンゾイル尿素誘導体の化合物。
【請求項4】
有効成分としての式(I)(式中、X、Y、V、W、Z、および点線結合:
【化6】

、およびUの意味は、請求項1に示す通りである)で示されるベンゾイル尿素誘導体、またはその光学的鏡像異性体、ラセミ体もしくは塩の有効量、および実際に通常使用される補助物質(例えば、担体、賦形剤、希釈剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、pH−および浸透圧−調整剤、香味剤、芳香剤、並びに製剤化−促進または製剤化−付与添加物)を含有する、医薬組成物。
【請求項5】
式(I):
【化7】

[式中、X、Y、V、W、Z、点線結合:
【化8】

、およびUの意味は、請求項1に示す通りである]
で示されるベンゾイル尿素誘導体の製造方法であって、ここで、
a)式(II):
【化9】

(式中、XおよびYの意味は請求項1に示す通りである)
の置換ベンゾイルイソシアナート(これは、インシチュで製造することが好ましい)を、式(III):
【化10】

(式中、V、W、Z、点線結合:
【化11】

、およびUの意味は請求項1に示す通りである)
と反応させるか、あるいは、
b)式(V):
【化12】

(式中、Xはヒドロキシであり、そしてYは請求項1に示す通りである)
の置換ベンズアミドを、トリフェニルホスフィンおよびアゾ二炭酸ジエチルを用いて樹脂上にカップリングさせ、次いで
該得られる樹脂とカップリングしたベンズアミドを塩化オキサリルと、および該得られるベンゾイルイソシアナートを式(III):
【化13】

(式中、V、W、Z、点線結合:
【化14】

、およびUの意味は請求項1に示す通りである)
のアミンとトリアルキルアミンの存在下でカップリングし、
そして、該得られる式(I)(式中、X、Y、V、W、Z、点線結合:
【化15】

、およびUの意味は請求項1に示す通りである)
のベンゾイル尿素誘導体を樹脂から開裂させ、
次いで場合により、その結果得られる式(I)(式中、X、Y、V、W、Z、点線結合:
【化16】

、およびUの意味は請求項1に示す通りである)
のベンゾイル尿素誘導体を、公知の方法によって、新規な置換基を導入するか、および/または存在する置換基を修飾しもしくは除去するか、および/または塩を形成するか、および/または塩から該化合物を遊離させるか、および/または該得られるラセミ体を光学活性な酸もしくは塩基を用いて分割することによって、式(I)の別のベンゾイル尿素誘導体に変換することを特徴とする、該製造方法。
【請求項6】
式(IV):
【化17】

(式中、XおよびYの意味は請求項1に示す通りであり、そしてHalはハロゲン原子である)
の置換ベンゾイルハロゲン化物を、塩化スズ(IV)の存在下でアルカリ金属シアナートと反応することによって製造される、式(II)(式中、XおよびYの意味は請求項1に示す通りである)の置換ベンゾイルイソシアナートから出発することを特徴とする、請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
式(V):
【化18】

(式中、XおよびYの意味は請求項1に示す通りである)の置換ベンズアミドを塩化オキサリルと反応させることによって製造される、式(II)(式中、XおよびYの意味は請求項1に示す通りである)の置換ベンゾイルイソシアナートから出発することを特徴とする、請求項5記載の製造方法。
【請求項8】
NR2B選択的NMDA受容体アンタゴニスト効果を有する医薬組成物の製造方法であって、有効成分としての式(I)(式中、X、Y、V、W、Z、点線結合:
【化19】

、およびUの意味は請求項1に示す通りである)のベンゾイル尿素誘導体、またはその光学的鏡像異性体、ラセミ体もしくは医薬的に許容し得る塩の有効量を、実際に通常使用する補助物質(例えば、担体、賦形剤、希釈剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、pH−および浸透圧−調整剤、香味剤、芳香剤、並びに製剤化−促進または製剤化−付与添加物)と混合することを特徴とする、該製造方法。
【請求項9】
哺乳動物(ヒトを含む)の下記:脳または脊髄の外傷性傷害、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連神経性傷害、筋萎縮性側索硬化症、疼痛のオピオイド処置に対する耐性および/または依存、例えばアルコール、オピオイドもしくはコカインの禁断症状、虚血性CNS障害、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病などの慢性神経変性障害、例えば神経因性疼痛、癌関連疼痛などの疼痛および慢性疼痛状態、癲癇、不安症、うつ病、片頭痛、精神病、筋肉攣縮、様々な原因の痴呆、低血糖症、網膜の変性疾患、緑内障、喘息、耳鳴り、アミノグリコシド抗生物質誘発性聴覚損失、の疾患の処置および症状の軽減の方法であって、式(I)(式中、X、Y、V、W、Z、点線結合:
【化20】

、およびUの意味は請求項1に示す通りである)で示されるベンゾイル尿素誘導体、またはその光学的鏡像異性体、ラセミ体もしくは医薬的に許容し得る塩の有効な量をそのままで、または担体、充填物質および医薬品に通常使用されるその他と組み合わせて、処置する哺乳動物に投与することを特徴とする、該方法。
【請求項10】
哺乳動物(ヒトを含む)の下記:脳または脊髄の外傷性傷害、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連神経性傷害、筋萎縮性側索硬化症、疼痛のオピオイド処置に対する耐性および/または依存、例えばアルコール、オピオイドもしくはコカインの禁断症状、虚血性CNS障害、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病などの慢性神経変性障害、例えば神経因性疼痛、癌関連疼痛などの疼痛および慢性疼痛状態、癲癇、不安症、うつ病、片頭痛、精神病、筋肉攣縮、様々な原因の痴呆、低血糖症、網膜の変性疾患、緑内障、喘息、耳鳴り、アミノグリコシド抗生物質誘発性聴覚損失、の疾患の処置および症状の軽減のための医薬品の製造における、式(I)(式中、X、Y、V、W、Z、点線結合:
【化21】

、およびUの意味は請求項1に示す通りである)で示されるベンゾイル尿素誘導体、および/またはその光学的鏡像異性体、ラセミ体、および/または医薬的に許容し得る塩の使用。

【公表番号】特表2008−508249(P2008−508249A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523162(P2007−523162)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【国際出願番号】PCT/HU2005/000079
【国際公開番号】WO2006/010966
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(596035695)
【Fターム(参考)】