説明

新規な気管支拡張性α,β−不飽和イソキノリンアミド

本発明は一般式(I)を有する新規な化合物に関する。当該化合物は、気管支収縮に特徴付けられる障害または疾患、例えばCOPDおよび喘息、ならびに血管収縮、例えば高血圧を治療するための医薬を製造するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な気管支弛緩化合物、かかる化合物を含む医薬組成物、およびかかる化合物の使用によって、気道の気管支収縮および/もしくは炎症、ならびに/または血管収縮を伴う状態を治療または緩和する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、呼吸器系に影響を及ぼす疾患であり、これを数百万もの人々が罹っている。これらの疾患は、今日、炎症性疾患と考えられており、その症状は気道の収縮を含む。関連する気管支収縮の一般的な治療には、β作動薬(テルブタリンおよびホルモテロールなど)、および抗コリン作動薬(臭化イプラトロピウムおよび臭化チオトロピウムなど)の使用を伴う。
【0003】
高血圧、すなわち高血圧症は、卒中、心臓発作、心不全および腎疾患のリスクを高める。高血圧の治療に現在使用される医薬としては、β遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、利尿剤、アンギオテンシン変換酵素阻害剤およびアンギオテンシンII受容体拮抗薬の投与が挙げられる。血管収縮は、血圧の上昇を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
気管支収縮、炎症(気道の炎症など)、および血管収縮の予防または減少のための処置は、多くの点で不十分であり、代替の治療法に対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明の種々の実施形態は、上で特定した、本願明細書中で特定される不十分さの1以上を軽減、緩和、回避または排除しようとする。
【0006】
本発明の1つの態様によれば、遊離塩基、電荷を帯びていないプロトン化された形態の酸または薬学的に許容できる塩、溶媒和物またはその塩の溶媒和物として、および純粋な立体異性体、ラセミ混合物、ジアステレオマー混合物または非ラセミ(scalemic)混合物としての一般式(I)の化合物、
【化1】

(式中、R1はHおよびメチルから選択され;R2はHおよびメチルから選択され;R3はH、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−3 アルキルおよびCH2 フェニルから選択され;R4はH、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−3 アルキルおよびCH2 フェニルから選択され;GはG1およびG2から選択され;G1において、置換基R5およびR6が結合しているG1の二重結合の立体化学は、R5およびR6が互いに対してcis様式、またはtrans様式で配置するようになっており;R5はH、C1−5 アルキル、CH2 フェニルおよびC1−5 フルオロアルキルから選択され;R6はH、C1−5 アルキル、CH2 フェニルおよびC1−5 フルオロアルキルから選択され;X1、X2、X3、X4およびX5は、互いに独立にNおよびCから選択され;X1、X2、X3、X4およびX5のうちの0(ゼロ)、1つまたは2つはNであり;Qは、任意の置換可能な環炭素原子で最大「n」個の独立に選択される置換基R7で任意に置換され、ここで「n」は整数を表し;整数「n」は0〜2であり;R7は、C1−5 アルキル、C1−5 フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、C0−3 アルキレンOC0−5 アルキル、C0−3 アルキレンOC1−5 フルオロアルキル、C0−3 アルキレンNH2、C0−3 アルキレンNHC1−3 アルキル、C0−3 アルキレンN(C1−5 アルキル)2(式中、このC1−5 アルキルは同じであってもよくまたは異なっていてもよい)、N(C4−5 アルキレン)、C1−5 アルキルチオ、S(O)C1−5 アルキル、SO2C1−5 アルキル、C1−5 フルオロアルキルチオ、NH(CO)C1−5 アルキル、NH(CO)C1−5 アルコキシ、NHSO2C1−5 アルキル、(CO)C1−5 アルキル、COOH、(CO)C1−5 アルコキシ、(CO)NH2、(CO)NHC1−5 アルキル、(CO)N(C1−5 アルキル)2(式中このC1−5 アルキルは同じであってもよくまたは異なっていてもよい)、シアノ、SO2NHC0−5 アルキル、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、アジド(N3)、およびモルホリニルから選択され;G2において、置換基R8およびR9が結合しているG2の二重結合の立体化学は、R8およびR9が互いに対してcis様式、またはtrans様式で配置するようになっており;R8はH、C1−5 アルキル、CH2 フェニルおよびC1−5 フルオロアルキルから選択され;R9はH、C1−5 アルキル、CH2 フェニルおよびC1−5 フルオロアルキルから選択され;縮合環W1およびW2は一緒に二環式芳香族系を表し、式中X6、X7およびX8は、互いに独立に、NおよびCから選択され;X6、X7およびX8のいずれもNではないかまたはX6、X7およびX8のうちの1つはNであり;この二環式芳香族系は、環W1およびW2のいずれかの任意の置換可能な環炭素原子で最大「p」個の独立に選択される置換基R10で任意に置換され、ここで「p」は整数を表し;整数「p」は0〜2であり;R10は、C1−5 アルキル、C1−5 フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、C0−3 アルキレンOC1−5 アルキル、C0−3 アルキレンOC0−5 フルオロアルキル、C0−3 アルキレンNH2、C0−3 アルキレンNHC1−3 アルキル、C0−3 アルキレンN(C1−5 アルキル)2(式中、このC1−5 アルキルは同じであってもよくまたは異なっていてもよい)、N(C4−5 アルキレン)、C1−5 アルキルチオ、S(O)C1−5 アルキル、SO2C1−5 アルキル、C1−5 フルオロアルキルチオ、NH(CO)C1−5 アルキル、NH(CO)C1−5 アルコキシ、NHSO2C1−5 アルキル、(CO)C1−5 アルキル、COOH、(CO)C1−5 アルコキシ、(CO)NH2、(CO)NHC1−5 アルキル、(CO)N(C1−5 アルキル)2(式中、このC1−5 アルキルは同じであってもよくまたは異なっていてもよい)、シアノ、SO2NHC0−5 アルキル、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、アジド(N3)、およびモルホリニルから選択されるが、ただしR1およびR2の両方がメチルということはない)
が提供される。
【0007】
別の態様によれば、かかる化合物またはかかる化合物を含む組成物は、医学において使用することができる。かかる化合物または組成物は、医薬を製造するために使用することもできる。
【0008】
別の態様によれば、式Iに係る化合物を含む医薬は、気管支収縮によって特徴付けられる呼吸器の疾患または障害を治療または予防するために使用することができる。さらに、式Iに係る化合物を含む医薬は、炎症または血管収縮によって特徴付けられる疾患または障害を治療または予防するために使用することができる。式Iに係る化合物が治療のために使用され得る疾患および障害は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎および肺気腫を含む)、気管支拡張症、嚢胞性線維症、細気管支炎または気管支肺異形成を含む。
【0009】
別の態様によれば、式Iに係る化合物またはかかる化合物を含む医薬は、気管支収縮によって特徴付けられる肺疾患を治療または予防するための方法で使用することもできる。かかる方法は、気管支収縮の弛緩させる用量の式Iに係る化合物を必要とするヒトに投与することを含む。
【0010】
本発明のさらなる特徴は、独立請求項、および本願明細書に開示される実施形態で定められる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(定義)
本願および本発明に関しては、以下の定義が適用される。
【0012】
用語「付加塩」は、薬学的に許容できる酸(有機酸または無機酸など)、または薬学的に許容できる塩基の付加によって形成される塩を意味することが意図されている。この有機酸は、酢酸、プロパン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸またはマレイン酸であってよいが、これらに限定されない。無機酸は塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸であってよいが、これらに限定されない。上記塩基はアンモニアおよびアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物であってよいが、これらに限定されない。用語「付加塩」は水和物および溶媒付加形態(水和物およびアルコール和物など)をも含む。
【0013】
本願明細書で使用する場合、「ハロ」または「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。
【0014】
本願明細書で使用する場合、単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「アルキル」は、1〜12個の炭素原子(または特定の数の炭素原子が提示されている場合はその特定の数が意図されている)を有する分枝鎖および直鎖の飽和脂肪族炭化水素基の両方を包含することが意図されている。例えば「C1−6 アルキル」は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキルを表す。このアルキル基を表す特定の数が整数0(ゼロ)である場合、そのアルキル基の位置の置換基として水素が意図されている。例えば、「N(C0 アルキル)2」は「NH2」(アミノ)と等価である。アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、およびヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本願明細書で使用する場合、単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「アルキレニル」または「アルキレン」は、1〜12個の炭素原子(または特定の数の炭素原子が提示されている場合はその特定の数が意図されている)を有する直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味することが意図されている。例えば「C1−6 アルキレン」または「C1−6 アルキレニル」は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する「アルキレン」または「アルキレニル」を表す。このアルキレニルまたはアルキレン基を表す特定の数が整数0(ゼロ)である場合、そのアルキレニルまたはアルキレン基が置換している基を連結するための結合が意図されている。例えば、「NH(C0 アルキレン)NH2」は「NHNH2」(ヒドラジノ)と等価である。本願明細書で使用する場合、アルキレンまたはアルキレニル基によって連結される基は、当該アルキレンまたはアルキレニル基の最初および最後の炭素に結合されていることが意図される。メチレンの場合には、この最初および最後の炭素は同一である。例えば、「H2N(C2 アルキレン)NH2」、「H2N(C3 アルキレン)NH2」、「N(C4 アルキレン)」、「N(C5 アルキレン)」および「N(C2 アルキレン)2NH」は、それぞれ1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、ピロリジニル、ピペリジニルおよびピペラジニルと等価である。
【0016】
アルキレンまたはアルキレニルの例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、およびブチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
本願明細書で使用する場合、「アルコキシ」または「アルキルオキシ」は、酸素の橋渡しを介して結合する示された数の炭素原子を有する上記のアルキル基を意味することが意図されている。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、シクロプロピルメトキシ、アリルオキシおよびプロパルギルオキシが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、「アルキルチオ」または「チオアルコキシ」は、硫黄の橋渡しを介して結合する示された数の炭素原子を有する上記のアルキル基を表す。
【0018】
本願明細書で使用する場合、単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される「フルオロアルキル、フルオロアルキレン」および「フルオロアルコキシ」は、対応するアルキル、アルキレンおよびアルコキシ基の炭素のいずれかに結合した水素のうちの1つ、2つ、または3つがフルオロによって置き換えられている基を指す。フルオロアルキルの例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−フルオロエチルおよび3−フルオロプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
フルオロアルキレンの例としては、ジフルオロメチレン、フルオロメチレン、2,2−ジフルオロブチレンおよび2,2,3−トリフルオロブチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
フルオロアルコキシの例としては、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、3,3,3−トリフルオロプロポキシおよび2,2−ジフルオロプロポキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
本願明細書で使用する場合、用語「置換可能な」は、水素が共有結合されており、かつその水素の代わりに別の置換基が合成によって直接または間接的に結合されてもよい原子を指す。置換可能な原子の限定を意図しない例は、ピリジンの炭素原子が挙げられる。ピリジンの窒素原子は、この定義に従えば置換可能ではない。
【0022】
本願明細書で使用する場合、用語「アリール」は、5〜14個の炭素原子から構成される少なくとも1つの芳香族環を含む環構造を指す。5、6、7および8個の炭素原子を含む環構造ならば、単環芳香族基、例えばフェニルとなろう。8、9、10、11、12、13、または14個を含む環構造ならば、多環式、例えばナフチルとなろう。この芳香族環は1以上の環位置で置換されていてもよい。用語「アリール」はまた、2以上の炭素が2つの結合する環に共通である2以上の環状環(それらの環は「縮合環」である)を有し、かつその複数の環のうちの少なくとも1つは芳香族である多環式環系をも包含し、例えば、この他方の環式環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリルであってよい。用語オルト、メタおよびパラは、それぞれ1,2−、1,3−および1,4−二置換ベンゼンに対して用いる。例えば、名称1,2−ジメチルベンゼンおよびオルト−ジメチルベンゼンは同義である。
【0023】
本願明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」は、芳香族性(例えば6つの非局在化した電子)を有する少なくとも1つの環、または芳香族性(例えば4n+2個の非局在化した電子。この「n」は整数である)を有する少なくとも2つの結合した環を有し、かつ約14個までの炭素原子を含み、かつ少なくとも1つのヘテロ原子環メンバー(硫黄、酸素、または窒素など)を有する複素芳香族複素環を指す。ヘテロアリール基は、単環式および二環式(例えば、2つの縮合環を有する)系を含む。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル(すなわち、ピリジニル)、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル(すなわちフラニル)、キノリル、テトラヒドロキノリル、イソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、インドリニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本願明細書で使用する場合、用語「置換可能な」は、水素が共有結合されていてもよく、かつその水素原子の代わりに別の置換基が存在していてもよい原子を指す。置換可能な原子の限定を意図しない例としては、ピリジンの炭素原子が挙げられる。ピリジンの窒素原子は、この定義に従えば置換可能ではない。さらに、同じ定義に従うと、イミダゾールの3位のイミン窒素は置換可能ではないが、1位のアミン窒素は置換可能である。
【0025】
本発明の1つの実施形態によれば、式(I)に係る化合物が提供される。
【化2】

式中、R1およびR2は、互いに独立に、Hおよびメチルから選択され、そのうちの少なくとも1つはHであり;R3およびR4は、互いに独立に、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−3 アルキルおよびCH2 フェニルから選択され;GはG1〜G2から選択され;置換基R5およびR6が結合しているG1の二重結合の立体化学は、R5およびR6が互いに対してcis様式、またはtrans様式で配置するようになっており;R5およびR6は、互いに独立に、H、C1−5 アルキル、CH2 フェニルおよびC1−5 フルオロアルキルから選択され;Qは、フェニル(すなわちX1、X2、X3、X4およびX5のすべてがCである)、および窒素含有ヘテロアリール(ピリジルおよびピリミジニルなど、すなわちX1、X2、X3、X4およびX5が互いに独立にNおよびCから選択されかつX1、X2、X3、X4およびX5のうちの多くとも2つがNであり、残りがCである)から選択され;Qは、任意の置換可能な環炭素原子で、最大「n」個の独立に選択される置換基R7で任意に置換され;「n」は0、1または2の整数を表し、すなわち「n」が0である場合、Qは非置換であり;R7は、C1−5 アルキル、C1−5 フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、C0−3 アルキレンOC0−5 アルキル、C0−3 アルキレンOC1−5 フルオロアルキル、C0−3 アルキレンNH2、C0−3 アルキレンNHC1−3 アルキル、C0−3 アルキレンN(C1−5 アルキル)2、N(C4−5 アルキレン)、C1−5 アルキルチオ、S(O)C1−5 アルキル、SO2C1−5 アルキル、C1−5 フルオロアルキルチオ、NH(CO)C1−5 アルキル、NH(CO)C1−5 アルコキシ、NHSO2C1−5 アルキル、(CO)C1−5 アルキル、COOH、(CO)C1−5 アルコキシ、(CO)NH2、(CO)NHC1−5 アルキル、(CO)N(C1−5 アルキル)2、シアノ、SO2NHC0−5 アルキル、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、アジド(N3)、およびモルホリニルから選択され;置換基R8およびR9が結合するG2の二重結合の立体化学は、R8およびR9が互いに対してcis様式、またはtrans様式で配置するようになっており;R8およびR9は、互いに独立に、H、C1−5 アルキル、CH2 フェニルおよびC1−5 フルオロアルキルから選択され;縮合環W1およびW2は一緒に二環式芳香族系を表し、式中、X6、X7およびX8は、互いに独立に、NおよびCから選択され、かつX6、X7およびX8の多くとも1つはNであり、残りはCであり;この二環式芳香族系は、環W1およびW2のいずれかの任意の置換可能な環炭素原子で、最大「p」個の独立に選択される置換基R10で任意に置換され;「p」は0、1または2の整数を表し、すなわち「p」が0である場合、W1およびW2は非置換であり;R10はC1−5 アルキル、C1−5 フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、C0−3 アルキレンOC0−5 アルキル、C0−3 アルキレンOC1−5 フルオロアルキル、C0−3 アルキレンNH2、C0−3 アルキレンNHC1−3 アルキル、C0−3 アルキレンN(C1−5 アルキル)2、N(C4−5 アルキレン)、C1−5 アルキルチオ、S(O)C1−5 アルキル、SO2C1−5 アルキル、C1−5 フルオロアルキルチオ、NH(CO)C1−5 アルキル、NH(CO)C1−5 アルコキシ、NHSO2C1−5 アルキル、(CO)C1−5 アルキル、COOH、(CO)C1−5 アルコキシ、(CO)NH2、(CO)NHC1−5 アルキル、(CO)N(C1−5 アルキル)2、シアノ、SO2NHC0−5 アルキル、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、アジド(N3)、およびモルホリニル(N−モルホリニルなど)から選択される。
【0026】
上に開示された式(I)に係る化合物は、遊離塩基、電荷を帯びていないプロトン化された形態の酸または薬学的に許容できる付加塩、溶媒和物またはその塩の溶媒和物として存在してよい。
【0027】
さらに、本願明細書に開示される式(I)に係る化合物は、純粋な立体異性体、ラセミ混合物、ジアステレオマー混合物または非ラセミ混合物として存在してよい。
【0028】
後述するように、本発明の種々の実施形態は上に開示する一般式(I)に係る化合物にまとめられ、その種々の一般基(R1〜R10、X1〜X8、Q、W1およびW2)ならびに整数「n」および「p」は詳細に開示される。
【0029】
上で開示したように、式(I)では、R1およびR2のうちの少なくとも1つは水素であるべきである。R1およびR2のうちの少なくとも1つが水素である化合物は、本願明細書に記載されるインビトロでの方法のうちの少なくとも1つにおいて、対応するジメトキシ誘導体よりも強力であることが示された。1つの実施形態では、R1およびR2はともに水素である。
【0030】
1つの実施形態では、R3およびR4は、互いに独立に、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびメチルから選択される。別の実施形態では、それらは、互いに独立に、H、クロロおよびブロモから、より好ましくはクロロおよびブロモから、特に好ましくはクロロから選択される。1つの実施形態では、R3およびR4はともにHであってもよい。
【0031】
別の実施形態では、R3およびR4は両方とも同じであり、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびメチルから選択される。別の実施形態では、それらはH、クロロおよびブロモから、より好ましくはクロロおよびブロモから選択される。R3がR4と同一である化合物の1つの利点は、とりわけ、かかる化合物を生成するための合成中間体の精製がより容易であることである。
【0032】
別の実施形態では、GはG1であり、置換基R5およびR6が結合しているG1の二重結合の立体化学は、R5およびR6が互いに対してtrans様式で配置するようになっている。GがG1である実施形態では、R5およびR6は、互いに独立に、H、C1−5 アルキル(メチルなど)、CH2 フェニルおよびC1−5 フルオロアルキル(CF3など)から選択されてよい。R5およびR6は、互いに独立に、Hおよびメチルから選択されてもよい。さらに、R5は、HまたはMeであってよく、例えばHである。またR6も、HまたはMeであってよく、例えばHである。
【0033】
別の実施形態では、GはG1であり、Qはフェニルであり、すなわちX1〜X5はCである。
【0034】
別の実施形態では、GはG1であり、X1〜X5のうちの少なくとも1つはNである。さらにX1〜X5のうちの2つ(X1およびX3、またはX1およびX5など)は、Nであってよく、残りはCであってよい。
【0035】
別の実施形態では、GはG1であり、Qはピリジルであり、すなわちX1〜X5のうちの1つはNであり、残りはCである。Qがピリジルである実施形態では、X1またはX2がNである場合が好ましい。
【0036】
別の実施形態では、GはG1であり、「n」は1または2であり、R7は、「n」が2である場合には互いに独立に、C1−C3 アルキル(メチルなど)、トリフルオロメチル、ハロ(フルオロおよびクロロなど)、ヒドロキシ、N(C4−5 アルキレン)、メトキシ、SO2Me、シアノ、チエニル、ニトロ、フェニル、モルホリニル(N−モルホリニルなど)、およびN(C1−3 アルキル)2(式中、このC1−3 アルキルは同じであってもよくまたは異なっていてもよい)(N(Me)2など)から選択される。別の実施形態では、GはG1であり、「n」は1または2であり、R7は、「n」が2である場合には互いに独立に、メチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロおよびN(C5 アルキレン)から選択されてよい。GがG1である別の実施形態では、「n」は1または2であってよく、R7は、「n」が2である場合には互いに独立に、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロ、NMe2およびメチルから選択されてよい。
【0037】
1つの実施形態では、少なくとも1つのR7はヘテロアリール(5員または6員のヘテロアリールなど)である。別の実施形態では、少なくとも1つのR7は5員のヘテロアリール(チエニルなど)である。
【0038】
GがG1でありかつ「n」が1または2である実施形態では、1つの置換基R7はX3に位置していてよい。
【0039】
GがG1でありかつ「n」が2である実施形態では、1つの置換基R7はX3に位置していてよく、かつ他方の置換基はX1またはX5に位置していてよい。
【0040】
別の実施形態では、GはG1であり、「n」は0(ゼロ)であり、すなわちQは非置換である。
【0041】
別の実施形態では、GはG2であり、置換基R8およびR9が結合しているG1の二重結合の立体化学は、R8およびR9が互いに対してtrans様式で配置するようになっている。GがG2である実施形態では、R8およびR9は、互いに独立に、Hおよびメチルから選択されてよい。
【0042】
別の実施形態では、GはG2であり、X6、X7およびX8のうちの少なくとも1つはNであり、残りはCである。GがG2である実施形態では、X6、X7およびX8のうちの1つはNであってよい。X6、X7およびX8のうちの少なくとも1つがNである場合、X8がNである場合が好ましい。同様に、X6、X7およびX8のうちの1つがNである場合には、X8がNである場合が好ましい。
【0043】
別の実施形態では、GはG2であり、「n」は1または2であり、R10は、「n」が2である場合には互いに独立に、C1−C3 アルキル(メチルなど)、トリフルオロメチル、ハロ(フルオロおよびクロロなど)、ヒドロキシ、N(C4−5 アルキレン)、メトキシ、SO2Me、シアノ、チエニル、ニトロ、フェニル、モルホリニル(N−モルホリニルなど)およびN(C1−3 アルキル)2(式中、このC1−3 アルキルは同じであってもよくまたは異なっていてもよい)(N(Me)2など)から選択される。別の実施形態ではGはG2であり、「n」は1または2であり、R10は、「n」が2である場合には互いに独立に、メチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、フルオロ、クロロおよびN(C5 アルキレン)から選択されてよい。別の実施形態では、GはG2であり、「n」は1または2であり、R10は、「n」が2である場合には互いに独立に、メチル、トリフルオロメチル、NMe2、フルオロおよびクロロから選択される。
【0044】
別の実施形態では、GはG2であり、「n」は0(ゼロ)であり、すなわちW1およびW2は非置換である。
【0045】
別の実施形態では、本発明に係る化合物は、
【化3−1】

【化3−2】

からなる群から選択される
【0046】
別の実施形態では、本発明に係る化合物は、
【化4】

からなる群から選択される。
【0047】
式(I)に係る化合物は治療で使用してもよい。それは、哺乳動物(例えばヒト)の呼吸器の気管支収縮によって特徴付けられる疾患または状態を治療、解消(revoke)、軽減、緩和または予防するために使用してもよい。さらに、哺乳動物(例えばヒト)の呼吸器、または他の臓器または身体の一部の炎症または血管収縮によって特徴付けられる疾患または状態を治療、解消、軽減、緩和または予防するために使用されてもよい。気管支収縮を治療、解消、軽減、緩和または予防することを必要とする哺乳動物(例えばヒト)において気管支収縮を治療、解消、軽減、緩和または予防するための方法もまた、開示される。さらに、呼吸器、または他の臓器または身体の一部の炎症または血管収縮を治療、解消、軽減、緩和または予防することを必要とする哺乳動物(例えばヒト)の呼吸器、または他の臓器または身体の一部の炎症または血管収縮を治療、解消、軽減、緩和または予防するための方法もまた開示される。かかる方法は、治療上有効量の式(I)に係る化合物の投与を含む。さらに、式(I)に係る化合物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、嚢胞性線維症、細気管支炎および気管支肺異形成からなる群から選択される疾患または状態の予防および/または治療のために使用してもよい。
【0048】
加えて、式(I)に係る化合物は、医薬組成物などの医薬を製造するために使用されてもよい。かかる医薬は、哺乳動物(例えばヒト)の呼吸器の気管支収縮によって特徴付けられる疾患または状態を治療、解消、軽減、緩和または予防するために有用であり得る。かかる医薬は、哺乳動物(例えばヒト)の呼吸器または他の臓器または身体の一部の炎症または血管収縮によって特徴付けられる疾患または状態を治療、解消、軽減、緩和または予防するためにも有用であり得る。さらに、式(I)にかかる分子は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、嚢胞性線維症、細気管支炎および気管支肺異形成の予防および/または治療のための医薬を製造するために使用してもよい。
【0049】
本願明細書で使用される場合、「予防する/予防すること」は、本願明細書に開示される実施形態にかかる化合物または医薬を使用して予防を成し遂げた後には決して状態および/または疾患が再発することはないであろう、ということを意味すると解釈されるべきではない。さらに、この用語は、ある状態を予防するためのかかる使用の後は、少なくともいくらかは、その状態は発生しないであろう、ということを意味すると解釈されるべきでもない。むしろ、「予防する/予防すること」は、かかる使用にもかかわらず、予防しようとする状態が発生した場合には、その予防しようとする状態は、かかる使用をしなかった場合ほどには重篤ではないであろうということを意味するように意図されている。
【0050】
気管支収縮によって特徴づけられる呼吸器の状態を治療、前処置、解消、軽減、緩和および/または予防する上での、上記の実施形態に定義される化合物の有用性は、複合的かつ関連するインビトロモデルで評価された。このインビトロモデルは、米国特許出願公開第2006−0040254 A1号およびSkogvall,S.、Berglund,M.、Dalence−Guzma’n,M.F.、Svensson,K.、Joensson,P.、Persson,C.G.AおよびSterner,O.によるPulmonary Pharmacology and Therapeutics、2007年、第20巻、第3号、273−280頁に開示されるインビトロモデルに従ったものであった。本願明細書に開示されるすべての参考文献は、参照によりその全体を本願明細書に援用したものとする。
【0051】
手短に言うと、肺癌のために肺葉切除または肺切除(pulmectomia)を受けている患者から肺組織を得た。この組織の気管支から、矩形の長方形の調製物を得た。評価しようとする化合物の存在および不存在下で炎症メディエーター(ロイコトリエンD4、ヒスタミン、プロスタグランジンD2またはアセチルコリンなど)によって誘導される収縮を比較した。
【0052】
最初に報告されたTRPV1拮抗薬のうちの1つであるカプサゼピンはヒトの気道に対して効果があることが示されている(Skogvall,S.、Berglund,M.、Dalence−Guzma’n,M.F.、Svensson,K.、Joensson,P.、Persson,C.G.AおよびSterner,O.、Pulmonary Pharmacology and Therapeutics、2007年、第20巻、第3号、273−280頁)が、ある範囲の他の生物学的効果をも有することが知られている。その結果、カプサゼピンは1つの標的に対して選択的ではなく、従って分子ツールとしてのその有用性には疑問が持たれている(Gunthorpe,M.J.、Neurpharmacology、2004、46、133)。
【0053】
1つの実施形態によれば、本願明細書に開示される実施形態のいずれかに係る好ましい化合物は、本願明細書で言及されるインビトロモデルにおいてカプサゼピンと少なくとも同等に活性のある化合物である。
【0054】
別の実施形態によれば、本願明細書に開示される実施形態のいずれかに係る好ましい化合物は、本願明細書で言及されるインビトロモデルにおいて、Pulmonary Pharmacology & Therapeutics、2007、21(1)、125−133にカプサゼピンの強力な類似体として開示されているRes−4−95と少なくとも同等に活性である化合物である。
【0055】
炎症はCOPDと密接に関連している。炎症メディエーター(ロイコトリエンB4(LTB4)および単球走化性タンパク質−1(MCP−1)など)が関与する炎症経路の調節により肺の炎症を減少させる新しい薬物は、有効かつ疾患修飾的な治療法を提供すると考えられ、それゆえ非常に所望されている(Friedmanら、Clinical Cornerstone、2003、5、45−51)。
【0056】
MCP−1はマクロファージへと分化することができる単球を引き付ける。マクロファージは一般に、COPD患者の肺における継続的なタンパク質分解活性を担い、加えて好中球の動員によってCOPD患者の肺における炎症プロセスを促進させることを担うと考えられる。種々の炎症メディエーター、または関連する受容体のレベルの高まりはCOPDの診断と相関があるという事実は、疾患の重症度および進行にそれらが関連していることを示している。COPD患者と非COPD被験者との間の比較研究から、例えば、COPD患者の群で痰の中のMCP−1のレベルが高まったこと(Traves,L.S.ら、Thorax、2002、57、590−595)、肺組織におけるMCP−1のmRNA発現の増加(Tomaki,M.ら、Pulmonary Pharmacology & Therapeutics、2007、20、596−605)、およびリポ多糖(LPS)によって刺激される単離された血中単球からのMCP−1の放出の増加(Aldonyte,R.ら、Respiratory Research、2003、http://respiratory−research.com/content/4/1/11)が示された。
【0057】
LTB4は、白血球動員に関与するアラキドン酸代謝産物である。LTB4は好中球にとっての強力な化学誘引物質および活性化因子である。LTB4受容体であるBLT1およびPPARは、COPD患者の肺末梢部において上方制御される(Marian,E.ら、2006、129、1523−1530)。健康な対照と比較した場合のLTB4のより高い痰中濃度(Profita,M.ら、Allergy、2005、60、1361−1369)および血清中濃度(Segger,J.S.ら、Chest、1991、99、289−291)はCOPD患者で見出されている。ω−3多価不飽和脂肪酸を含有する栄養補助食品による、LTB4レベルを含めた血清炎症メディエーターレベルの低下は、COPD患者における臨床効果と有意に相関する(Matsuyama,W.ら、Chest、2005、128、3817−3827)。
【0058】
従って、本願明細書中の実施形態で画定される化合物の抗炎症性効果、すなわち炎症(気道の炎症など)を治療、前処置、解消、軽減、緩和および/または予防する上での有用性は、インビトロヒト末梢血単核球(PBMC)モデルで評価してもよい。さらに、この抗炎症性効果は、公知の強力な抗炎症性グルココルチコイドであるデキサメサゾンの効果と比較されてもよい。
【0059】
1つの実施形態によれば、上記の実施形態のいずれかに係る好ましい化合物は、かかる抗炎症性インビトロモデルにおいてデキサメサゾンと少なくとも同等の活性を有する化合物である。
【0060】
本願明細書中に上記された医薬、例えば医薬組成物はさらに、薬学的に許容できる担体、希釈剤、安定剤および/または賦形剤を含んでいてもよい。
【0061】
「薬学的に許容できる」は、用いられる投薬量および濃度で、投与される患者において求められていない効果を何ら引き起こすことがない担体、安定剤、希釈剤、賦形剤または他の構成成分を意味する。かかる薬学的に許容できる担体、安定剤、希釈剤または賦形剤は当該技術分野で周知であり、このようなものの例は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A.R Gennaro編、Mack Publishing Company(1990)およびhandbook of Pharmaceutical Excipients、第3版、A.Kibbe編、Pharmaceutical Press(2000)に開示されている。
【0062】
本願明細書中の実施形態に係る医薬は、薬理学的有効用量で患者に投与されてもよい。「薬理学的有効用量」は、投与の対象である状態に関連する所望の効果をもたらすのに十分である用量を意味する。正確な用量は、当該化合物の活性、投与様式、障害および/または疾患の性質および重症度、ならびに全身の状態(患者の年齢および体重など)に応じて変わってもよい。
【0063】
1つの実施形態によれば、本願明細書中の実施形態に係る医薬は、単独で、または抗喘息薬などの他の治療薬と組合せて投与されてもよい。これらの薬剤は同じ医薬の一部として組み込まれていてもよいし、または別々に投与されてもよい。例えば、M.F.FitzgeraldおよびJ.C.Fox、Drug Discovery Today、2007、12(11/12)、472−478頁に記載されているように、同じ医薬の中で機構上は関連しない治療薬を組み合わせると、気管支収縮によって特徴づけられる状態または疾患の治療において有益な効果がもたらされることがあることは、当該技術分野で周知である。
【0064】
本発明の1つの実施形態では、本発明の実施形態に係る医薬と組み合わせて投与されるべきかかる他の治療薬は、気管支収縮を予防するために、または何らかの存在する気管支収縮を完全にもしくは部分的に解消するための当業者に公知の治療薬から選択される。かかる薬剤の例は、β2作動薬、抗コリン作動薬、カルシウム拮抗薬、ならびに喘息および/またはCOPDならびに関連する疾患および/または障害の治療に適した他の薬剤であるが、これらに限定されない。この態様における好ましい薬剤は、β2作動薬および抗コリン作動薬である。さらに、本発明の医薬と組み合わせて投与されるべきかかる他の治療薬は、気道の疾患および障害と関連する炎症を治療、解消、軽減、緩和または予防するために有用であることが当業者に公知である治療薬をも含み得る。かかる薬剤の例は、コルチコステロイドである。
【0065】
本願明細書に開示される実施形態に係る化合物が、医薬組成物のような医薬の中で少なくとももう1つの治療薬(抗喘息薬など)と組合される場合、当該医薬の治療上有効な用量は、各々の同じ疾患または状態の予防または治療のために単独で投与された場合の、成分すなわち本願明細書に開示される実施形態に係る化合物および当該治療薬のそれぞれの確立された治療上有効な用量よりも1〜10倍少ない量を含んでいてよい。従って、本発明に係る化合物と別の治療薬(抗喘息薬など)を組み合わせることによって、本発明にかかる化合物のみ、または当該他の治療薬のみが単独で投与される場合と比べて、相乗効果を成し遂げることが可能である場合がある。さらに、根本原因(例えば炎症)および臨床症状(例えば気道閉塞および憎悪(exacerbations))の両方を改善することが可能である場合がある。
【0066】
本願明細書に開示される実施形態にかかる化合物または医薬(医薬組成物など)の投与によって、気管支収縮および/または炎症状態を治療、解消、軽減、緩和または予防する必要がある哺乳動物(ヒトなど)において気管支収縮および/または炎症状態を治療、解消、軽減、緩和または予防するための方法は、抗喘息薬などの治療薬の同時投与または連続投与を含んでいてもよい。かかる方法では、当該化合物、医薬または医薬組成物および当該治療薬の治療上有効な用量は、同じ疾患または状態の予防または治療のために単独で投与される場合のそれぞれの確立された治療上有効な用量よりも1〜10倍少ない量を含んでいてもよい。かかる同時投与の利点は、上で論じられている。
【0067】
本願明細書に開示される実施形態に係る医薬は様々な経路を介して投与してよく、この経路としては、静脈内、腹腔内、筋肉内、鼻腔内(intranasaleously)、皮下、舌下、直腸、経口、または吸入もしくはガス注入による経路が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
本発明の医薬の具体的な適切な製剤は、経口摂取されるかまたは吸入またはガス注入を介して投与されるのに適した製剤である。
【0069】
吸入またはガス注入による投与によって、送達される用量の高い割合が作用部位、すなわち気管支および肺全般に到達することが可能になるであろう。さらに、この医薬が吸入またはガス注入を介して投与される場合には、他の投与経路に比べて、全身的効果はより低いものとなろう。
【0070】
吸入は経口経路または鼻内経路によってもよい。エアロゾル用の適切な噴霧剤を含む加圧されたスプレー容器および微粉末の形態の調剤用の粉末スプレー装置などの従来の肺用アプリケーターを用いてもよい。吸入またはガス注入経路による投与に適した医薬組成物は当該技術分野で公知である。化合物は、適切な溶媒に溶解されてもよいし、または約2μm〜約20μmの粒径の微粉化された粉末のような微粉末として用いられてもよい。吸入による投与について示された1日の用量は、対応する経口による用量よりも10倍以上少なくてもよい。好ましくは計量できる装置を使用することによって計量されるかまたは所定のサイズの1回用量による十分な用量は、実験によって容易に決定することができる。
【0071】
本発明の実施形態に係る化合物は、高血圧の治療または予防にも有用であり得る。本発明の化合物を用いることによる、高血圧によって特徴づけられる状態または疾患の治療においては、経口投与は好ましい投与経路である。
【0072】
治療用の医薬で使用することに加えて、式Iに係る化合物は、類似の活性を有する他の化合物の評価のためのインビトロおよびインビボ試験システムの開発および標準化の薬理学的ツールとしても有用であり得る。さらに式Iの化合物は、その作用の標的(気道内の標的など)を同定しおよび/または見つけるための分子プローブとして使用されてもよく、また疾患または状態をインビボ、エキソビボまたはインビトロで診断するための診断用ツールとして、またはかかるプローブへの合成前駆体として用いられてもよい。式Iの分子プローブは、反応性の分子プローブ、標識された分子プローブ、すなわち構成する原子の1つまたはいくつかが放射活性同位体または他の手段で検出可能な同位体に関して濃縮されている式Iの化合物、および当業者に周知の蛍光化合物を含み得る。
【0073】
(調製方法)
本発明の他の実施形態は、遊離塩基、酸、またはその塩としての式Iに係る化合物を調製するためのプロセスに関する。さらに、さらなる実施形態は、遊離塩基、酸、またはその塩としての式Iの化合物の合成に有用な合成中間体に関する。かかる中間体の具体的かつ一般的な例は以下に提示される。さらに、かかる中間体は別の式Iに係る化合物を生成するために使用することができる式Iに係る化合物を含み得る。
【0074】
かかるプロセスの以下の説明を通して、適切な場合には、有機合成の技術分野の当業者が容易に理解するであろう様式で、適切な保護基が種々の反応物質および中間体に取り付けられ、後でそれから除去されてもよいことを理解されたい。かかる保護基を使用するための慣用的な手順、および適切な保護基の例は、当該技術分野で周知である。さらなるかかる手順および基は、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、T.W.Green,P.G.M.Wuts、Wiley−Interscience、New York(1999)などの文献に記載されている。
【0075】
化学操作による基または置換基の別の基または置換基への変換は最終生成物に向かう合成経路上で任意の中間体または最終生成物に対して行うことができ、可能な種類の変換は、その分子がその段階で保有する他の官能性の、その変換で採用される条件または試薬に対する本質的な不適合性によってのみ制限されることも理解されたい。かかる本質的な不適合性、および適切な変換および合成工程を適切な順序で実施することによってそれらを回避する方法は、有機合成の技術分野の当業者なら容易に理解するであろう。
【0076】
変換の例は以下に示され、そして記載される変換は、変換が例示されている属性群または置換基に限定されないことを理解されたい。
【0077】
他の適切な変換についての参考文献および記載は、例えば「Comprehensive Organic Transformations−A Guide to Functional Group Preparations」、第2版、R.C.Larock、Wiley−VCH、New York(1999)に与えられる。他の適切な反応についての参考文献および記載は、当業者に周知の有機化学の教科書、例えば「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版、M.B.Smith、J.March、John Wiley & Sons(2001)または、「Organic Synthesis」、第2版、M.B.Smith、McGraw−Hill、(2002)などに記載されている。
【0078】
中間体および最終生成物の精製のための技法としては、例えば、カラムまたは回転プレート上での順相(straight phase)および逆相クロマトグラフィ、再結晶、蒸留および液体−液体または固体−液体抽出が挙げられ、当業者ならこれらを容易に理解するであろう。
【0079】
用語「室温」および「常温」は、別様に特定しない限り、16〜25℃の温度を意味するものとする。用語「還流」は、別様に明記されない限り、用いられた溶媒について言う場合は、指定された溶媒の沸点またはそのわずかに上の温度を使用することを意味するものとする。反応混合物を加熱するためにマイクロ波を使用することができるということを理解されたい。
【0080】
用語「フラッシュクロマトグラフィ」または「フラッシュカラムクロマトグラフィ」は、有機溶媒、またはこの混合物を移動相として使用する、シリカ上での分取クロマトグラフィを意味するものとする。
【0081】
(略号)
aq. 水系;
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール;
CHCl ジクロロメタン;
DABCO 1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン;
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン;
DMF N,N−ジメチルホルムアミド;
DMSO ジメチルスルホキシド;
EDC・HCl N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチル−カルボジイミド;
EtN トリエチルアミン;
EtOAc 酢酸エチル;
EtOH エタノール;
Et2O ジエチルエーテル;
h 時間;
HBr 臭化水素;
HCl 塩化水素;
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物;
CO 炭酸カリウム;
ma 主要な;
MeOH メタノール;
MgSO 硫酸マグネシウム;
mi 少量の;
NaHCO 炭酸水素ナトリウム;
NaOH 水酸化ナトリウム;
Pet.Ether 石油エーテル;
r.t.またはrt 室温;
rot.mix. 回転異性体の混合物
sat. 飽和;
THF テトラヒドロフラン;
TLC 薄層クロマトグラフィ;
TMS テトラメチルシラン。
【0082】
(中間体IIおよびIIIのカップリングによる最終の式Iの化合物の調製方法(スキーム 1))
【化5】

式Iの化合物の形成は、標準的なアミドカップリング条件下(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチル−カルボジイミド塩酸塩、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物、4−ジメチルアミノピリジンおよび炭酸セシウム(caesium carboante)の存在下で(例えばTofteredら、SYNLETT、2004、2517−2520を参照)、または例えば酸IIIを最初に対応する酸塩化物に変換し、次いで標準的な手順に従ってIIとカップリングすることを経由する、など)でIIおよびIIIをカップリングすることによって成し遂げることができる(式中、記載された「(het)Ar」はアリールまたはヘテロアリールを表し、Rは式IのR5およびR8に対応し、R’は式IのR6およびR9に対応する)。置換基R1およびR2の一方または両方が水素である場合には、IIのN−アシル化は、競合するO−アシル化を伴うことがある。従って、IIのN−アシル化の前に対応するフェノール部分を適切な保護基(メチルなど)で保護することが好ましい。メチル保護基は、標準的な手順に従って塩基の存在下で、ハロゲン化メチルで処理することによって導入されてよく、そして例えば、臭化水素または三臭化ホウ素で処理することによって(Hallら、Bioorg.Med.Chem、2005、13、1409−1413)N−アシル化後に除去されてよい。当該分子に任意に存在する他の芳香族メチルエーテルは、そのとき同時に切断される。
【0083】
(式IIの中間体の調製方法(スキーム2))
【化6】

テトラヒドロイソキノリン環を構築することによる式IIの中間体の調製のための2つの限定を意図しない方法の例としては、経路Aおよび経路Bが挙げられる。
【0084】
経路Aに係る合成には、容易に入手できるフェニルエチルアミンIVがホルムアルデヒドとの反応に供されてVを与えるPictet−Spengler反応、次いで酸性条件下での環化(Yokoyamaら、J Org Chem、1999、64、611−617;電子に乏しい芳香族化合物上での環化を可能にする変更手順について、例えばStokkerら、Tetrahedron Lett、1996、37、5453−5456を参照)が関与する。
【0085】
経路Bに対応する合成には、容易に入手できるベンズアルデヒドVIがアミノアセタールVII(示された「アルキル」は好ましくはエチルなどの短いアルキルである)との反応に供されVIIIを与える還元条件下でのPomerantz−Fritsch反応、次いでIIを与える酸性条件下および還元条件下での環化(例えば:Bobbitら、J Org Chem、1965、30、2247−2250;Bobbitら、J Org Chem、1968、33、856−858を参照)が関与する。
【0086】
中間体IIの調製のためのさらなる方法としては、例えば、求電子的芳香族置換(酢酸中での塩化スルフリルによる処理による塩素化、またはOkanoら、Tetrahedron、2006、128、7136−7137に記載されるもののような臭素化など)による置換基R3およびR4の直接導入が挙げられる。
【0087】
(式IIIの中間体の調製方法(スキーム3))
【化7】

式IIIの中間体は、例えば、標準的なパラジウム触媒によるハロゲン化アリールおよびハロゲン化ヘテロアリールXとのHeckカップリング(示されたXはヨード、ブロモまたはクロロである)、続くTHFおよびエタノールの混合物中での例えば水酸化ナトリウムを用いた加水分解によって容易に入手できるエステルIX(示された「アルキル」は好ましくはメチルなどの短いアルキルである)から調製してよい。適切な反応条件、およびこのHeckカップリングで用いられるパラジウム触媒の種類は、当業者には周知のとおり、IXの置換基R’の性質およびX中のハロゲン化物の種類に大きく依存する。例えば、電子が豊富なハロゲン化アリールおよびハロゲン化ヘテロアリールXに対しては、比較的高活性のパラジウム触媒を用いない限りハロゲン化物としてはクロロよりもヨードまたはブロモが好ましい。
【0088】
式IIIの中間体の調製のためのさらなる方法としては、マロン酸XIIとアリールアルデヒドまたはヘテロアリールアルデヒドXIIIとの間の標準的なKnoevenagel縮合、その後の脱炭酸が挙げられる(スキーム3の下方部分)。さらに、R’≠Hである式XIの中間体(および上記のとおりの加水分解後のIII)を目的とする場合、Heck反応は、IXなどの構造の二重結合の末端位置での立体的な立体障害のために低収率に終わる場合がある。代わりに、一般式XIVのホスフィンオキシドが一般式XVのヘテロアリールケトンと反応するHomerWadsworth Emmons(HWE)反応を用いてもよい(スキーム4)。
【化8】

【実施例】
【0089】
(化合物の実施例)
一般的方法
すべての物質は、特に記載しない限り、市販品から得て、特に注記しない限りさらに精製することなく使用した。DMFはモレキュラーシーブ(4Å)で乾燥した。THFはナトリウムおよびベンゾフェノンから蒸留した。HRMS(ESI)スペクトルは、マイクロマス(micromass)Q−TOF Micro分光計を用いて記録した。NMRスペクトル(CDC13、CD3ODまたはDMSO−d6中)は、ブルカー(Bruker) DRX 400またはブルカー(Bruker) Ultrashield 400分光計によって400MHzで記録した。すべての化学シフトは、CDCl3中の残留するCHCl3のピーク、またはCD3OD中の残留するCD2HODのピーク、または(CD3)2SO中の残留するCD3SOCD2Hのピークを内部標準(それぞれTMSに対して7.26、3.31または2.50ppm)として使用してTMSに対するデルタスケール(δ)でppm単位でのものであり、シグナルの微細分裂も記載の中に表している(s:一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、m:多重線、br:ブロードなシグナル)。フラッシュクロマトグラフィは、60Å 35−70μm Davisilシリカゲルを用いて実施した。TLC分析はシリカゲル60 F254(メルク(Merck))プレートで行い、254/365nm UVランプの下で可視化した。
【0090】
中間体の調製
式Iの化合物の調製に有用な中間体の合成に関する、限定を意図しない実施例を以下に示す。
【0091】
5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン塩酸塩
【化9】

6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン塩酸塩(200mg、0.870mmol)を氷酢酸(5mL)に懸濁させ、塩化スルフリル(154μL、1.92mmol)をゆっくり加えた。得られた混合物を室温で3時間撹拌し、次いでエバポレーションし、標記の化合物(定量的)を黄色がかった塊として得た。
【0092】
H NMR(400MHz、CDOD) δ 4.35(br s,2H),3.90(br d,6H),3.50(br,2H),3.05(br,2H)。
【0093】
5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン臭化水素酸塩
【化10】

5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン塩酸塩(1.0g、3.35mmol)をHBr水溶液(48%、10mL)に懸濁させ、5時間還流させてからエバポレーションした。残留する残渣をトルエンから2回エバポレーションし、1.05g(定量的)の標記の化合物を淡い色の固体として得た。
【0094】
H NMR(400MHz、CDOD) δ 6.60(s,1H)6.57(s,1H)4.26(s,2H)3.50(t,2H,J=6Hz)3.01(t,2H,J=6Hz)。
【0095】
5,8−ビス(クロロメチル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンアセトアミド
【化11】

6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン塩酸塩(2.0g、8.71mmol)を水(20ml)およびNaOH(10ml、2M 水溶液)に溶解した。水層をジクロロメタン(4×20ml)で抽出し、合わせた有機物を乾燥し(MgSO)、濾過した。濾過した液体を0℃まで冷却した後、塩化アセチル(620μl、8.71mmol)をゆっくり加え、次いでEtN(1.22ml、8.71mmol)をゆっくり加えた。得られた混合物を室温で30分間撹拌し、HCl(2×80ml、1M 水溶液)およびNaHCO(80ml、飽和水溶液)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、淡い色の塊へとエバポレーションした。
【0096】
この塊をニトロメタン(40ml)に溶解し、0℃まで冷却した。塩化スズ(IV)(8.15ml、70.0mmol)をゆっくり加え、次いでメトキシアセチルクロリド(3.18ml、34.8mmol)をゆっくり加え、得られた混合物を室温で24時間撹拌した。次いで、この反応液をHCl(30ml、濃厚水溶液)で希釈し、ジクロロメタン(3×40ml)で抽出した。合わせた有機物を水(20ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、淡い色の固体のフォーム状物へとエバポレーションした。石油エーテル/EtOAc(1/2)を溶離液として使用するフラッシュクロマトグラフィによってこの生成物を精製し、420mg(14%)の5,8−ビス(クロロメチル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンアセトアミドを淡い色の、粘着性のある塊として得た。
【0097】
H NMR(CDCl) 回転異性体の混合物 δ 4.77−4.55(br,2H)4.20−4.05(br,2H)3.82(s,6H)4.81−4.70(br,2H)3.96−3.85(br,2H)3.85−3.75(br,1H)3.75−3.63(br,2H)2.94−2.83(br,2H)2.80−2.62(br,2H)1.46(s,9H)。TLC(石油エーテル/EtOAc 1/1) R 0.23。
【0098】
6,7−ジメトキシ−5,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンアセトアミド
【化12】

5,8−ビス(クロロメチル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−ジヒドロイソキノリンアセトアミド(420mg、1.26mmol)を、室温でDMF(6ml)に溶解した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(199mg、3.16mmol)を加え、この反応液を100℃で20時間撹拌した。この反応液を冷却し、HCl(60ml、1M 水溶液)で希釈し、EtOAc(3×20ml)で抽出した。合わせた有機物をNaHCO(30ml、飽和水溶液)で洗浄し、次いでブライン(30ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、エバポレーションし、396mgの粗製6,7−ジメトキシ−5,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンアセトアミドを淡い色の油状物として得た。この物質を、さらに精製することなく後に続く反応で使用した。
【0099】
H NMR(CDCl) 回転異性体の混合物 δ 4.55(ma)(s,2H)4.43(mi)(s,2H)3.79(mi)(br t,2H)3.78(s,6H)3.65(ma)(br t,2H)2.73(ma)(br t,2H)2.66(mi)(br t,2H)2.18(br d,3H)2.13(br d,3H)2.02(s,3H)。
【0100】
6,7−ジメトキシ−5,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン
【化13】

6,7−ジメトキシ−5,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンアセトアミド(396mg)を1,4−ジオキサン(10ml)に溶解した。NaOH(10ml、2M 水溶液)を加え、この混合物を21時間還流させた。有機溶媒をエバポレーションし、水性残渣をジクロロメタン(4×20ml)で抽出した。合わせた有機物を乾燥し(MgSO)、濾過し、エバポレーションした。EtOAc/MeOH/EtN(20/2/1→16/4/1)を溶離液として使用するフラッシュクロマトグラフィによってこの生成物を精製し、116mg(42%)の6,7−ジメトキシ−5,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを透明な油状残渣として得た。
【0101】
H NMR(CDCl) δ 3.87(s,2H)3.80(s,6H)3.13(t,J=6Hz,2H)2.60(t,J=6Hz,2H)2.14(s,3H)2.09(s,3H)。
【0102】
TLC(EtOAc/MeOH/EtN 16/4/1) R 0.35。
【0103】
3−ヨード−2−(ピペリジン−1−イル)−6−(トリフルオロメチル)ピリジン
【化14】

i−PrOH(2mL)中の2−クロロ−3−ヨード−6−(トリフルオロメチル)ピリジン(Tet.Lett.、1998、39(13)、1749−1752)(350mg、1.14mmol)、ピペリジン(135μl、1.37mmol)およびEtN(640μl、4.56mmol)の溶液を、マイクロ波反応器の中で140℃で1時間加熱した。この反応混合物を乾固するまで濃縮し、粗製物をフラッシュクロマトグラフィ(SiO、ヘプタン)によって精製し、237mg(58%)の標記の化合物を得た。
【0104】
H NMR(CDCl) δ 8.17(dd,J=7.6Hz,J=0.8Hz,1H)6.91(d,J=7.6Hz,1H)3.29(m,4H)1.75(m,4H)1.63(m,2H)。
【0105】
(化合物Xを得るためのHeck反応についての一般的手順(スキーム3))
臭化アリールX(1.0当量)、Pd(OAc)(2mol%)、DABCO(4mol%)およびKCO(1.0当量)を、不飽和エステルIX(1.5当量)と一緒にDMF(5.2mL/mmol 臭化アリールX)に懸濁した。この混合物にアルゴンを流して(flushed)から、このチューブを密封し、125℃で12時間加熱した。次いで、この混合物をセライトに通して濾過し、CHClでリンスし、エバポレーションした。次いで、残りの残渣をカラムクロマトグラフィによって精製し、化合物XIを得た。
【0106】
以下の化合物を、上記の一般的手順に従って調製した。
【0107】
(E)−メチル 3−(キノリン−3−イル)アクリレート
【化15】

標記の化合物を、白色固体として85%収率で得た(SiO、石油エーテル/酢酸エチル 85/15→50/50)。
【0108】
H NMR(400MHz、CDCl) δ 9.10(d,1H,J=2.0Hz)8.25(d,1H,J=2.0Hz)8.12(d,1H,J=8.4Hz)7.86(d,1H,J=16.0Hz)7.87−7.85(m,1H)7.78−7.74(m,1H)7.62−7.58(m,1H)6.68(d,1H,J=16.0Hz)3.86(s,3H)。
【0109】
(E/Z)−メチル 3−(キノリン−3−イル)ブタ−2−エノエート
【化16】

標記の化合物を、ジアステレオマー混合物(E−およびZ−異性体)の白色固体として、52%収率で得た。R 0.21(SiO、石油エーテル/酢酸エチル 80/20)。
【0110】
H NMR(400MHz、CDCl) δ 9.05(d,1H,J=2.4Hz)8.22(d,1H,J=2.4Hz)8.13−8.11(m,1H)7.87−7.85(m,1H)7.77−7.73(m,1H)7.61−7.57(m,1H)6.34−6.33(m,1H)3.81(s,3H)2.71(s,3H)。
【0111】
(E)−エチル3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリレート
【化17】

この物質を、さらに何ら精製することなく直接次の工程で使用した。
【0112】
収率:97%。
【0113】
H NMR(CDCl) δ 8.85(d,J=1.6Hz,1H)8.00(dd,J=2.0,8.0Hz,1H)7.72(d,J=8.4Hz,1H)7.71(d,J=16.0Hz,1H)6.60(d,J=16.0Hz,1H)4.31(q,J=7.2Hz,2H)1.36(t,J=7.2Hz,3H)。
【0114】
(E)−メチル 3−(2−(ピペリジン−1−イル)−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリレート
【化18】

70μl(1.0mmol)のメチルアクリレートを、3mlのDMF中の237mg(0.66mmol)の3−ヨード−2−(ピペリジン−1−イル)−6−(トリフルオロメチル)ピリジン、3mg(0.01mmol)のPd(OAc)、2.2mg(0.02mmol)のDABCOおよび91mg(0.66mmol)のKCOの混合物に窒素雰囲気下で加えた。この反応混合物を密封チューブの中で80℃で24時間撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、EtOAc溶出を用いてセライトに通して濾過した。この有機層を水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO、石油エーテル/EtOAc 8/1)によって、196mg(94%)の標記の化合物を得た。
【0115】
H NMR(CDCl) δ 7.74(d,1H),7.69(d,1H),7.15(d,1H),6.42(d,1H),3.82(s,3H),3.28(m,4H),1.72(m,4H),1.65(m,2H)。
【0116】
1−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)エタノン
【化19】

EtO(50mL)中の2−トリフルオロメチル−5−ブロモピリジン(5.0g、22mmol)の溶液に、−78℃でsec−BuLi(0.91Mのシクロヘキサン溶液、24mL、22mmol)を加えた。10分間撹拌したのち、EtO(10mL)に溶解したN,N−ジメチルアミノアセトアミド(2.3mL、24mmol)を滴下した。−78℃で1時間撹拌を続け、次いで室温で一晩撹拌した。この反応混合物を水(100mL)に注ぎ込み、水相をEtO(3×100mL)で抽出した。合わせた有機物を水およびブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。溶媒を慎重にエバポレーションした後、この粗製物をカラムクロマトグラフィ(SiO、ペンタン/エーテル 9/1)によって精製し、標記の化合物(2.3g、12mmol、54%)を薄黄色固体として得た。
【0117】
H NMR(CDCl) δ 9.26(br s,1H)8.43(br d,J=5.6Hz,1H)7.83(br d,J=7.2Hz,1H)2.71(s,3H)。
【0118】
エチル 3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)ブタ−2−エノエート
【化20】

トリエチルホスホノアセテート(6.2mL、31mmol)を、乾燥THF(10mL)中のNaH(95%、760mg、30mmol)の懸濁液に0℃で滴下した。0℃で30分間撹拌した後、THF(8mL)中の1−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)エタノン(2.3g、12mmol)を滴下した。得られた混合物を還流状態に12時間加熱し、次いで室温まで冷却した。この反応混合物を飽和NHCl(水溶液)(15mL)に注ぎ込み、EtO(3×15mL)で抽出した。合わせた有機物を水およびブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。エバポレーション後、この粗製物をカラムクロマトグラフィによって精製し(SiO、石油エーテル/EtOAc 95/5)、標記の化合物(2.9g、11mmol、94%)を、E−およびZ−異性体の混合物の薄黄色油状物として得た。
【0119】
H NMR(CDCl) δ 8.81(br s,1H)7.92(br d,J=8.4Hz,1H)7.71(br d,J=8.0Hz,1H)6.19(br s,1H)4.26(q,J=7.2Hz,2H)2.60(br s,3H)1.34(t,J=7.2Hz,3H)。
【0120】
1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エタノン
【化21】

sec−BuLi(1.9mL、1.4M ヘキサン溶液)を、乾燥EtO(6mL)中の2−ブロモ−5−フルオロピリジン(500mg、2.8mmol)の溶液に−78℃で滴下した。この温度で10分間撹拌を続け、その後、乾燥EtO(1mL)中のN,N−ジメチルアセトアミドの溶液(290μL、3.1mmol)を滴下した。撹拌を−78℃で1時間続けた後、この反応混合物をゆっくりと室温に到達させた。この反応混合物を再び−78℃まで冷却し、1M HCl水溶液(6mL)を加えることによってクエンチし、その後放置して一晩かけて室温まで加温した。水層および有機層を分離させ、水相をEtO(2×10mL)で抽出した。合わせた有機物を水およびブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。濾過および慎重なエバポレーション(標記の化合物は揮発性である)の後、赤色/褐色の油状の粗製物をCHClに溶解し、少量のSiOを加えた。この懸濁液をセライトのパッドに通して濾過し、溶媒をエバポレーションによって除去し、標記の化合物(203mg、1.5mmol、52%)を橙色油状物として得た。この生成物は、予めの精製なしに直接次の工程で使用するのに十分純粋であると思われた。
【0121】
H NMR(CDOD) δ 8.51(d,J=2.8Hz,1H)8.11(ddd、J=0.4,4.8,8.8Hz,1H)7.52(ddt,0.8,2.8,8.8Hz,1H)2.71(s,3H)。
【0122】
(エステル加水分解についての一般的手順(スキーム3))
水(1.1mL)中のNaOH(固体)(500mg)の溶液をエステルXI(2.5mmol)のメタノール溶液に加えた。室温で2時間撹拌を続けた。その後、この反応混合物を、1M HCl(水溶液)を加えることによって中和した。白色沈殿物が生成し、これを濾過によって単離し、水およびメタノールで洗浄した。この白色結晶性生成物を、真空オーブン中、45℃で乾燥した。
【0123】
以下の化合物を、上記の一般的手順に従って調製した。
【0124】
(E)−3−(キノリン−3−イル)アクリル酸
【化22】

標記の化合物を白色固体として71%収率で得て、これをさらに精製することなく直接次の工程で使用した。
【0125】
(E)−3−(キノリン−3−イル)ブタ−2−エン酸
【化23】

標記の化合物を白色固体として94%収率で得て、これをさらに精製することなく直接次の工程で使用した。
【0126】
以下の式IIIの化合物も、示したようにして調製した。
【0127】
(E)−3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリル酸
【化24】

THF/EtOH(1/1、20mL)中の(E)−エチル−3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリレート(2.65g、10.8mmol)の溶液に、室温で2.28M NaOH(水溶液)(14.2mL)を加えた。この反応混合物を室温で4時間撹拌し、次いで1M HCl(水溶液)を加えることによって中和した。水相をCHCl/MeOH 9/1(5×20mL)で抽出し、合わせた有機物を乾燥し(MgSO)、濾過し、エバポレーションし、標記の化合物(2.15g、9.90mmol、91%)をオフホワイトの固体として得た。この物質を、さらに精製することなく直接次の工程で使用した。
【0128】
H NMR(CDOD) δ 8.91(d,J=1.6Hz,1H)8.29(dd,J=2.0,8.4Hz,1H)7.85(d,J=8.4Hz,1H)7.75(d,J=16.0Hz,1H)6.758d、J=16.0Hz,1H)。
【0129】
3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)ブタ−2−エン酸
【化25】

EtOH/THF 1/1(34mL)中のエチル 3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)ブタ−2−エノエート(2.9g、11mmol)の溶液に1M NaOH(水溶液)(34mL)を加えた。得られた混合物を60℃で1時間加熱し、その後、反応混合物を室温まで冷却した。揮発物をエバポレーションし、残りの水相を1M HCl(水溶液)で中和した。白色固体として沈殿した標記の化合物(2.4g、10mmol、91%)を濾別し、真空下で55℃で一晩乾燥した。この物質を、さらに精製することなく直接次の工程で使用した。
【0130】
(E)−3−(2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリル酸
【化26】

MeOH(2.0mL)中の(E)−メチル 3−(2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリレート(Gray,M.;Andrews,I.P.;Hook,D.F.;Kitteringham,J.;Voyle,M. Tet.Lett.2001、41、6237−6240)(150mg、0.61mmol)の溶液に、1M NaOH(水溶液)(1.8mL)を加えた。この反応混合物を40℃で2時間撹拌した。次いで、揮発分をエバポレーションし、残りの水相を1M HCl(水溶液)で中和した。白色固体として沈殿した標記の化合物(141mg、0.61mmol、定量的)を濾別し、真空下、45℃で乾燥した。この物質を、さらに精製することなく直接次の工程で使用した。
【0131】
(E,Z)−3−(5−フルオロピリジン−2−イル)ブタ−2−エン酸
【化27】

トリエチルホスホノアセテート(740μL、3.7mmol)を、乾燥THF(1.0mL)中のNaH(95%、86mg、3.6mmol)の懸濁液に0℃で滴下した。この温度で30分間撹拌を続け、その後、乾燥THF(1mL)中の1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エタノン(200mg、1.4mmol)の溶液をこの反応混合物に滴下した。得られた混合物を還流状態で6時間加熱し、室温まで一晩放冷した。NHCl飽和水溶液(1.5mL)を慎重に加えることによってこの反応液をクエンチし、次いでEtO(2×10mL)で抽出した。合わせた有機物を水およびブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。濾過およびエバポレーション後、粗製(E,Z)−エチル 3−(5−フルオロピリジン−2−イル)ブタ−2−エノエートを、直接次の工程で使用するのに十分純粋なものとして得た。
【0132】
1M NaOH水溶液(4.2mL)を、EtOH/THF(4mL、1/1)中の(E,Z)−エチル 3−(5−フルオロピリジン−2−イル)ブタ−2−エノエート(293mg、1.4mmol)の溶液に加えた。得られた混合物を40℃で12時間加熱した後、室温まで放冷した。揮発物をエバポレーションし、残りの水相を、1M HCl水溶液を使用してpH 6−7まで酸性にした。この水相をCHCl(5×10mL)で抽出し、合わせた有機物をブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。濾過およびエバポレーション後、標記の化合物(190mg、1.0mmol、75%)を、E−およびZ−異性体の混合物として得た。この混合物は、直接次の工程で使用するのに十分純粋であると判断した。これらの異性体は、この段階では分離しなかった。
【0133】
H NMR(CDOD) δ 8.48(d,J=3.2Hz,1H)7.78−7.73(m,1H)7.66−7.60(m,1H)6.63(d,J=1.2Hz,1H)2.56(d,J=1.6Hz,3H)。
【0134】
(式Iのメチルエーテル(R1=R2=メチル、スキーム1)を得るためのアミドカップリングについての一般的手順)
5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン塩酸塩(1.0mmol)、一般式IIIのカルボン酸(1.1mmol)、EDC・ΗCl(1.5mmol)、HOBt(1.0mmol)、DMAP(2.0mmol)および炭酸セシウム(2.0mmol)をDMF(30mL)に懸濁し、室温で48時間撹拌した。次いで、この反応混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機物をNaHCO(2×30mL、飽和水溶液)、水(3×30mL)およびブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。エバポレーション後、得られた式Iのメチルエーテルをカラムクロマトグラフィによって精製した。
【0135】
以下の化合物を、上記の一般的手順に従って調製した。
【0136】
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H−イル)−3−(ピリジン−3−イル)プロパ−2−エン−1−オン
【化28】

標記の化合物を黄色がかった油状物として52%収率で得た。R 0.26(SiO、石油エーテル/酢酸エチル 3/7)。
【0137】
H NMR(400MHz、CDCl) 回転異性体の混合物 δ 8.79(d,1H,J=2.0Hz)8.59(dd,1H,J=1.6,4.8Hz)7.85(td,1H,J=1.8,8.0Hz)7.71(d,1H,J=15.6Hz)7.35−7.32(m,1H)7.04(d,1H,J=15.6Hz)4.82−4.75(ma+mi,m,2H)3.99−3.84(m,2H)3.91(br s,6H)2.99−2.88(m,2H)。
【0138】
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2−(1H)−イル)−3−(5−フルオロピリジン−2−イル)プロパ−2−エン−1−オン
【化29】

標記の化合物を無色の油状物として47%収率得た。R 0.28(SiO、石油エーテル/酢酸エチル 1/1)。
【0139】
H NMR(400MHz、MeOD) 回転異性体の混合物 δ 8.53(d,1H,J=2.8Hz)7.74−7.62(m,4H)4.82(br s,2H)4.01−3.98(m,2H)3.89(br s,6H)2.99−2.90(ma+mi,m,2H)。
【0140】
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(キノリン−3−イル)プロパ−2−エン−1−オン
【化30】

標記の化合物を白色固体として39%収率で得た(SiO、石油エーテル/酢酸エチル)。
【0141】
H NMR(400MHz、CDCl) 回転異性体の混合物 δ 9.15(d,1H,J=2.4Hz)8.26(d,1H,J=2.0Hz)8.13(d,1H,J=8.4Hz)7.90(d,1H,J=15.6Hz)7.88(br d,1H,J=7.2Hz)7.78−7.74(m,1H)7.62−7.58(m,1H)7.21(d,1H,J=15.2Hz)4.87−4.82(ma+mi)(m,2H)3.99−3.91(m,2H)3.93(s,3H)3.92(s,3H)3.00−2.94(ma+mi,m,2H)。
【0142】
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(キノリン−3−イル)ブタ−2−エン−1−オン
【化31】

標記の化合物を無色の油状物として40%収率で得た(SiO、石油エーテル/酢酸エチル 6/4)。
【0143】
H NMR(400MHz、CDCl) 回転異性体の混合物 δ 9.10(d,1H,J=2.0Hz)8.20(br s,1H)8.13(br d,1H,J=8.4Hz)7.87(br d,1H,J=8.0Hz)7.75(br t,1H,J=7.8Hz)7.60(br t,1H,J=7.4Hz)6.57(br s,1H)4.84(ma,br s,2H)4.71(mi,br s,2H)3.98−3.81(ma+mi,m,2H)3.93(s,6H)2.97−2.89(m,2H)2.45(ma,br s,2H)2.41(mi,br s,2H)。
【0144】
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【化32】

標記の化合物を白色固体として43%収率で得た(SiO、石油エーテル/酢酸エチル 75/25)。
【0145】
H NMR(400MHz、DMSO−d) 回転異性体の混合物 δ 7.76−7.64(m,2H)7.50(br d,1H,J=15.2Hz)7.23(br d,1H,J=15.2Hz)6.99−6.96(m,2H)4.78(mi,br s,2H)4.70(ma,br s,2H)4.02−3.91(m,2H)3.84(s,3H)3.83(s,3H)3.80(s,3H)2.87−2.72(m,2H)。
【0146】
(Z)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【化33】

標記の化合物を無色の油状物として46%収率で得た(SiO、石油エーテル/酢酸エチル 8/2)。
【0147】
H NMR(400MHz、MeOD) 回転異性体の混合物 δ 7.06−7.00(m,2H)7.00(d,1H,J=12.4Hz)6.95−6.91(m,1H)6.63−6.61(m,1H)6.56−6.52(m,1H)6.08(d,1H,J=12.4Hz)4.66(mi,br s,2H)4.39(ma,br s,2H)3.86(s,3H)3.83(s,3H)3.79(ma,t,2H,J=6.0Hz)3.76(s,3H)3.61(mi,t,2H,J=6.0Hz)2.66(ma,t,2H,J=6.0Hz)2.35(mi,t,2H,J=6.0Hz)。
【0148】
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(5−フルオロピリジン−2−イル)ブタ−2−エン−1−オン
【化34】

標記の化合物を黄色固体として32%収率で得た(SiO、石油エーテル/EtOAc 75/25)。Z−異性体は単離しなかった。
【0149】
H NMR(CDCl) 回転異性体の混合物 δ 8.47(d,J=2.8Hz,1H)7.54−7.50(m,1H)7.45−7.39(m,1H)7.05(ma)(s,1H)7.00(mi)(s,1H)4.82(ma)(s,2H)4.66(mi)(s,2H)3.91(s,6H)3.86−3.76(m,2H)2.94−2.86(m,2H)2.33(br s,3H)。
【0150】
以下の式Iのメチルエーテル(スキーム1、R1〜R4=メチル)もまた、示したようにして調製した。
【0151】
(E)−6,7−ジメトキシ−5,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン 3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリルアミド
【化35】

6,7−ジメトキシ−5,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(116mg、0.52mmol)、(E)−3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリル酸(114mg、0.52mg)、PyBroP(269mg、0.58mmol)およびDMAP(128mg、1.05mmol)をTHF(12ml)に懸濁し、室温で2.5時間撹拌したのちエバポレーションした。石油エーテル/EtOAc(2/1→1/1)を溶離液として使用するフラッシュクロマトグラフィによって生成物を精製し、190mg(87%)の(E)−6,7−ジメトキシ−5,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン 3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリルアミドを淡い色の固体として得た。
【0152】
H NMR(CDCl) 回転異性体の混合物 δ 8.87(s,1H)8.00(br d,1H)7.72(br d,1H)7.70(d,J=8Hz,1H)7.14(d,J=16Hz)4.71(ma)(br s,2H)4.64(mi)(br s,2H)3.93(mi)(br,2H)3.88(ma)(br,2H)3.81(s,6H)2.82(ma)(br,2H)2.76(mi)(br,2H)2.18(s,3H)2.16(s,3H)。TLC(石油エーテル/EtOAc 1/1) R 0.66。
【0153】
(最終化合物の調製)
式Iの化合物の以下の限定を意図しない実施例はすべて、10μMの濃度で、本願明細書に記載する方法によって、LTD4によって誘導される収縮後のヒトの気管支において、80%未満の残留収縮を示した。
【0154】
(実施例1)
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−フェニルプロパ−2−エン−1−オン
【化36】

trans−シンナモイルクロリド(79mg、0.476mmol)を、5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン臭化水素酸塩(150mg、0.476mmol)と一緒にDMF(7mL)に懸濁させ、次いでトリエチルアミン(133μL、0.952mmol)を加えた。得られた混合物を室温で16時間撹拌し、次いで酢酸エチル(50mL)で希釈した。得られた混合物を飽和炭酸水素ナトリウム(2×40mL)で2回洗浄し、乾燥し(MgSO)、黄色がかった塊にまでエバポレーションした。カラムクロマトグラフィ(石油エーテル/酢酸エチル 1/1→1/2)を用いて精製し、69mg(40%)の標記の化合物を黄色がかった固体として得た。
【0155】
H NMR(400MHz、CDOD) 回転異性体の混合物 δ 7.70−7.56(m,3H)7.44−7.33(m,3H)7.21(br d,1H)4.78(mi,s,2H)4.71(ma,s,2H)4.00−3.93(ma,br t,2H)3.92−3.86(mi,br t,2H)2.92−2.86(ma,br t,2H)2.85−2.69(mi,br t,2H)。TLC(石油エーテル/酢酸エチル 1/1) R 0.33。HRMS(ESI) C1816NOClに対する計算値[M+H] 364.0507、実測値 364.0539。
【0156】
式Iのメチルエーテルの脱メチル化についての一般的手順
式Iのメチルエーテル(R1、R2=Me)(1.0当量)をCHCl(20mL)に溶解し、0℃まで冷却した。次いで三臭化ホウ素(CHCl中の1M、3.0当量)をゆっくり加え、得られた混合物を0℃で5分間、次いで室温で12時間撹拌した。この反応液をメタノール(5mL)でクエンチし、乾固するまでエバポレーションした。得られた残渣をメタノール(20mL)に溶解し、炭酸水素ナトリウム(6.16mmol)を加え、得られた懸濁液を室温で30分間撹拌したのちエバポレーションした。次いで得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィによって精製した。
【0157】
(実施例2)
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(ピリジン−3−イル)プロパ−2−エン−1−オン
【化37】

標記の化合物を、(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(ピリジン−3−イル)プロパ−2−エン−1−オンから橙色固体として19%収率で得た。R 0.08(SiO、酢酸エチル)。
【0158】
H NMR(400MHz、DMSO−d) 回転異性体の混合物 δ 9.59(br s,1H(OH))8.91(br s,1H)8.56(dd,1H,J=1.6,4.8Hz)8.23(br d,1H,J=8.0Hz)7.59−7.43(m,3H)4.74(mi,br s,2H)4.63(ma,br s,2H)3.97−3.94(ma,m,2H)3.83−3.76(mi,m,2H)2.83−2.73(ma,m,2H)2.73−2.65(mi,m,2H)。
【0159】
HRMS(ESI) C1715Clに対する計算値[M+H] 365.0460、実測値 365.0425。
【0160】
(実施例3)
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2−(1H)−イル)−3−(5−フルオロピリジン−2−イル)プロパ−2−エン−1−オン
【化38】

標記の化合物を、(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2−(1H)−イル)−3−(5−フルオロピリジン−2−イル)プロパ−2−エン−1−オンから黄色固体として86%収率で得た。R 0.13(SiO、クロロホルム/メタノール 9/1)。
【0161】
H NMR(400MHz、DMSO−d) 回転異性体の混合物 δ 9.60(s,1H)9.57(s,1H(OH))8.63(s,1H)7.94−7.90(m,1H)7.83−7.80(m,1H)7.56(s,2H)4.70(mi,br s,2H)4.63(ma,br s,2H)3.90−3.80(ma+mi,m,2H)2.78−2.67(ma+mi,m,2H)。
【0162】
HRMS(ESI) C1713ClFNに対する計算値[M+H] 383.0366、実測値 383.0354。
【0163】
(実施例4)
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(キノリン−3−イル)プロパ−2−エン−1−オン
【化39】

粗製の標記の化合物を(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(キノリン−3−イル)プロパ−2−エン−1−オンから得て、以下の手順によって精製した。この粗製物をメタノールに溶解した。少量のSiOを加えた後、この混合物をセライトに通して濾過し、溶媒をエバポレーションした。油状残渣を少量のメタノールに溶解し、石油エーテルを加えることによって生成物を沈殿させた。溶媒をデカンテーションした。緑がかった色の固体として61%収率で標記の化合物を得た。
【0164】
H NMR(400MHz、MeOD) 回転異性体の混合物 δ 9.60(br d,1H,J=9.2Hz)9.40(br s,1H)8.35(br d,1H,J=8.4Hz)8.23(br d,1H,J=8.4Hz)8.17(br t,1H,J=7.6Hz)7.99(br t,1H,J=7.6Hz)7.90−7.71(m,2H)4.79(br s,2H)4.09−4.03(ma,m,2H)3.98−3.92(mi,m,2H)3.00−2.92(ma,m,2H)2.89−2.81(mi,m,2H)。HRMS(ESI) C2117Clに対する計算値[M+H] 415.0616、実測値 415.0598。
【0165】
(実施例5)
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(キノリン−3−イル)ブタ−2−エン−1−オン
【化40】

標記の化合物を、(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(キノリン−3−イル)ブタ−2−エン−1−オンから、黄色固体として14%収率で得た(SiO、酢酸エチル/メタノール 95/5)。
【0166】
H NMR(400MHz、) 回転異性体の混合物 δ 9.62−9.57(m,1H)9.23−9.18(m,1H)8.54−8.49(m,1H)8.06−8.01(m,2H)7.80−7.76(m,1H)7.66−7.63(m,1H)6.91(s,1H)4.63(br s,2H)3.82−3.79(m,2H)2.79−2.73(ma+mi,m,2H)2.33(ma,br s,3H)2.23(mi,br s,3H)。
【0167】
HRMS(ESI) C2219Clに対する計算値[M+H] 429.0773、実測値 429.0836。
【0168】
(実施例6)
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【化41】

標記の化合物を、(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オンから橙色固体として97%収率で得た。R 0.34(SiO、石油エーテル/酢酸エチル 1/1+15% EtOH)。
【0169】
H NMR(400MHz、MeOD) 回転異性体の混合物 δ 7.60−7.51(m,3H)7.07−6.95(m,1H)6.82−6.80(m,2H)4.80−4.69(mi+ma)(m,2H)4.00−3.84(ma+mi,m,2H)2.94−2.77(ma+mi,m,2H)。
【0170】
HRMS(ESI) C1816ClNOに対する計算値[M+H] 380.0456、実測値 380.0393。
【0171】
(実施例7)
(Z)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(2−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【化42】

標記の化合物を、(Z)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロパ−2−エン−1−オンから黄色固体として29%収率で得た。R 0.38(SiO、石油エーテル/酢酸エチル 1/1+5% EtOH)。
【0172】
H NMR(400MHz、MeOD) 回転異性体の混合物 δ 7.96−7.83(m,1H)7.61−7.47(m,1H)7.38−7.27(m,1H)7.22−7.17(m,1H)6.88−6.84(m,2H)4.78−4.75(mi+ma)(m,2H)4.00−3.87(m,2H)2.97−2.79(ma+mi,m,2H)。
【0173】
HRMS(ESI) C1816ClNOに対する計算値[M+H] 380.0456、実測値 380.0422。
【0174】
(実施例8)
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(5−フルオロピリジン−2−イル)ブタ−2−エン−1−オン
【化43】

標記の化合物を、(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(5−フルオロピリジン−2−イル)ブタ−2−エン−1−オンからオフホワイトの固体として40%収率で得た(SiO、石油エーテル/EtOAc 4/6→4/6+10% EtOH)。
【0175】
H NMR(CDCl) 回転異性体の混合物 δ 8.48(d,J=3.2Hz,1H)7.56−7.49(m,1H)7.47−7.38(m,1H)7.05(ma)(s,1H)7.01(mi)(s,1H)4.79(ma)(s,2H)4.64(mi)(s,2H)3.95(mi)(t,J=6.0Hz,2H)3.80(ma)(t,J=6.0Hz,2H)2.91−2.82(m,2H)2.33(ma)(s,3H)2.28(mi)(s,3H)。
【0176】
(実施例9)
(E)−6,7−ジヒドロキシ−5,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン 3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリルアミド
【化44】

(E)−6,7−ジメトキシ−5,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン 3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリルアミド(190mg、0.45mmol)をジクロロメタン(13mL)に溶解し、0℃まで冷却した。三臭化ホウ素(1.49ml、1.49mmol、1M ジクロロメタン溶液)をゆっくり加えた。得られた懸濁液を0℃で15分間、次いで室温で3.5時間撹拌し、最後に1.5時間還流させた。この反応液を冷却し、MeOH(5mL)でクエンチし、エバポレーションした。残渣をMeOH(15mL)に溶解し、NaHCO(57mg、0.68mmol)で中和し、エバポレーションした。石油エーテル/EtOAc/MeOH(4/6/1)を溶離液として使用するフラッシュクロマトグラフィによって、生成物を精製し、165mg(93%)の(E)−6,7−ジヒドロキシ−5,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン 3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリルアミドを赤みがかった塊として得た。H NMR(CDOD) 回転異性体の混合物 δ 8.93(s,1H)8.31(d,J=8Hz,1H)7.82(d,J=8Hz,1H)7.63(m,1H)7.51(d,J=16Hz)4.70(mi)(s,2H)4.63(ma)(s,2H)3.93(ma)(br t,2H)3.85(mi)(br t,2H)2.77(ma)(br t,2H)2.69(mi)(br t,2H)2.12(s,3H)2.08(s,3H)。TLC(石油エーテル/EtOAc/MeOH 5/5/1) R 0.58。
【0177】
(実施例10)
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(2−(ピペリジン−1−イル)−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)プロパ−2−エン−1−オン
【化45】

NaOH(1.0M 水溶液、2.9ml、2.9mmol)を、TΗF/EtOΗ 1/1(6mL)中の(E)−メチル 3−(2−(ピペリジン−1−イル)−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリレート(181mg、0.58mmol)の溶液に加えた。この混合物を、室温で24時間撹拌した。この溶液を水で希釈し、1M HClで酸性にした。沈殿物を濾過によって集め、真空下で乾燥し、直接次の工程で使用した。
【0178】
(E)−3−(2−(ピペリジン−1−イル)−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリル酸(150.0mg、0.50mmol)を乾燥TΗF(7.0mL)中に懸濁させた。DMAP(111.4mg、0.91mmol)および炭酸セシウム(296.0mg、0.91mmol)を加え、この混合物を室温で15分間撹拌した。次いで5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン臭化水素酸塩(143.0mg、0.45mmol)、EDC・ΗCl(130.6mg、0.68mmol)、ΗOBt(69.8mg、0.45mmol)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。水(100mL)を加え、生成物をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮した。まずフラッシュカラムクロマトグラフィ(CHCl/MeOH 98/2→95/5)を使用し、次いでサイズ排除(Sephadex LH20;CHCl/MeOH 1/1)を使用して精製を行い、55.0mg(24%)の標記の化合物を得た。
【0179】
H NMR(CDOD) 回転異性体の混合物 δ 8.11(ma)(d,J=7.2Hz,1H)8.05(mi)(d,J=7.2Hz、1H)7.66(m,1H)7.30(bs,1H),7.26(d,J=7.6Hz,1H)4.79(mi)(s,2H)4.74(ma)(s,2H)3.97(ma)(br t,2H)3.90(mi)(br t,2H)3.26(m,4H)2.88(ma)(br t,2H)2.81(mi)(br t,2H)1.68(m,6H)。
【0180】
HRMS(ESI) C2323Clに対する計算値[M+H] 516.1069、実測値 516.1116。
【0181】
(実施例11)
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)プロパ−2−エン−1−オン
【化46】

5,8−ジクロロ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6,7−ジオール臭化水素酸塩(183mg、0.58mmol)、(E)−3−(2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリル酸(140mg、0.64mmol)、EDC・HCl(167mg、0.87mmol)、HOBt(89mg、0.58mmol)、DMAP(147mg、1.2mmol)およびCsCO(391mg、1.2mmol)をDMF(15mL)に懸濁し、室温で12時間撹拌した。次いでこの反応混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機物をNaHCO(2×30mL、飽和水溶液)、水(3×30mL)およびブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。濾過およびエバポレーション後、残渣をカラムクロマトグラフィによって精製し(SiO、CHCl:MeOH 95:5)、次いでサイズ排除クロマトグラフィ(sephadex、CHCl:MeOH 1:1)によってさらに精製し、標記の化合物(28mg、63μmol、11%)を黄色固体として得た。
【0182】
H NMR(CDOD) 回転異性体の混合物 δ 8.33(ma)(d,J=8.0Hz,1H)8.28(mi)(d,J=8.0Hz,1H)7.88(ma)(d,J=15.6Hz,1H)7.84(mi)(d,J=15.6Hz,1H)7.67(d,J=8.0Hz,1H)7.35(ma)(d,J=15.6Hz,1H)7.29(mi)(d,J=15.6Hz,1H)4.81(mi)(s,2H)4.76(ma)(s,2H)3.98(ma)(t,J=6.0Hz,2H)3.92(mi)(t,J=6.0Hz,2H)2.91(ma)(t,J=5.6Hz,2H)2.84(mi)(t,J=5.6Hz,2H)2.70(s,3H)。
【0183】
HRMS(ESI) C1916Clに対する計算値[M+H] 447.0490、実測値 447.0550。
【0184】
(実施例12)
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)プロパ−2−エン−1−オン
【化47】

EtOAc(2mL)中のCDI(83mg、0.51mmol)の溶液に、(E)−3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)アクリル酸(100mg、0.46mmol)を加えた。得られた混合物を還流状態で1時間撹拌し、その後、HOBt(35mg、0.23mmol)および5,8−ジクロロ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6,7−ジオール臭化水素酸塩(145mg、0.46mmol)を加えた。還流状態での加熱を3時間継続した後、この反応混合物を室温まで冷却した。次いでそれを水(15mL)の中へと注ぎ込み、水相をEtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機物を水(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、乾燥した(MgSO)。濾過およびエバポレーション後、その粗製物をカラムクロマトグラフィによって精製し(SiO、EtOAc:石油エーテル 50:50)、明黄色の固体を得て、これを、EtOAc中の生成物に石油エーテルを加えて沈殿させることによって、さらに精製した。溶媒のデカンテーションおよび乾燥ののち、標記の化合物(110mg、0.25mmol、55%)を、薄く赤色がかった固体として得た。
【0185】
H NMR(CDOD) 回転異性体の混合物 δ 8.98(ma)(s,1H)8.94(mi)(s,1H)8.36−8.33(m,1H)7.87−7.83(m,1H)7.71−7.63(m,1H)7.57−7.52(m,1H)4.82(mi)(s,2H)4.76(ma)(s,2H)3.99(ma)(t,J=6.0Hz,2H)3.91(mi)(t,J=6.0Hz,2H)2.92(ma)(t,J=6.0Hz,2H)2.83(mi)(t,J=6.0Hz,2H)。
【0186】
HRMS(ESI) C1814Clに対する計算値[M+H] 433.0334、実測値 433.0338。
【0187】
(実施例13)
(E)−1−(5,8−ジクロロ−6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−3−(6−トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)ブタ−2−エン−1−オン
【化48】

EtOAc(24mL)中の3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)ブタ−2−エン酸(2.4g、10mmol)の溶液に、CDI(1.7g、11mmol)を加えた。還流状態で1時間加熱した後、TLC(CHCl:MeOH 9:1)で、3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)ブタ−2−エン酸が消費されたことを確認した。次いで5,8−ジクロロ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6,7−ジオール臭化水素酸塩(3.1g、9.7mmol)を加え、この混合物を還流状態で一晩加熱した。室温まで冷却した後、この混合物をEtOAc(24mL)で希釈し、残留している固体を少量の1M HCl(水溶液)で溶解させた。水相および有機相を分離し、1M NaOH(水溶液)を加えることによって水相を中和した。生成物が粘着性のある固体として沈殿し、これをEtOAc(5×24mL、抽出は困難であった)で抽出した。合わせた有機物を飽和NaHCO(水溶液)、水およびブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。粗製の標記の化合物(3.6g)をカラムクロマトグラフィ(SiO、CHCl:MeOH 98:2)によって2回精製した(2回目のクロマトグラフィ後の標記の化合物の量:1.95g)。次いで、この生成物をMeOHで繰り返し洗浄し、純粋な標記の化合物(1.0g、2.3mmol、23%(純粋なE−異性体、Z−異性体は単離できなかった))を薄黄色固体として得た。
【0188】
H NMR(CDOD) 回転異性体の混合物 δ 8.92(ma)(d,J=2.0Hz,1H)8.88(mi)(d,J=1.6Hz,1H)8.21(ma)(dd,J=2.0,8.4Hz,1H)8.17(mi)(dd,J=2.0,8.4Hz,1H)7.84(d,J=8.4Hz,1H)6.72(ma)(br s,1H)6.70(mi)(br s,1H)4.72(ma)(s,2H)4.66(mi)(s,2H)3.91(mi)(t,J=6.0Hz,2H)3.82(ma)(t,J=6.0Hz,2H)2.87−2.82(m,2H)2.29(ma)(d,J=1.2Hz,3H)2.19(mi)(d,J=1.0Hz,3H)。
【0189】
HRMS(ESI) C1916Clに対する計算値[M+H] 447.0490、実測値 447.0374。
【0190】
(生物学的実施例)
(生物学的実施例1)
本願明細書中に上記したインビトロ方法に従ってロイコトリエンD4(10nM)で誘導した収縮後に、10μMの濃度での種々の化合物実施例で前処置した後の、ヒトの細気管支(bronchiols)の残留収縮を下記の表にまとめる。
【0191】
【表1−1】

【表1−2】

【0192】
(生物学的実施例2)
本願明細書中に上記したインビトロ方法に従って収縮剤アセチルコリン(100μM)、カルバコール(10μM)、ヒスタミン(100μM)、メタコリン(100μM)、またはアセチルコリン(100μM)、ロイコトリエンD4(LTD4)(0.01μM)およびヒスタミン(100μM)混合物を用いた処置による収縮の誘導後に、10μMの濃度での種々の化合物実施例で前処置した後の、ヒトの細気管支(bronchiols)またはラットの気管支の残留収縮を下記の表にまとめる。
【0193】
【表2】

【0194】
(生物学的実施例3;ヒトの末梢血単核球(PBMC)のインビトロモデル)
凍結保存したPBMC(セラケア(SeraCare)、番号72001)を解凍し、培地(インビトロジェン(Invitrogen)から入手したRPMI−1640、番号61870−036 + 10%の、インビトロジェンから入手した熱失活したウシ胎仔血清、番号10082−147 + 100U/ml ペニシリン + 100μg/ml ストレプトマイシン)で洗浄し、トリパンブルー(Trypan blue)(PBMC生存率=96%)を用いて生存率について試験した。次いで細胞を培地中で1×106細胞/mlまで再懸濁し、0.5mlを24ウェルの培養プレートに蒔き(5×105細胞/ウェル)、その後、5% CO2の下で37℃で30分間インキュベーションし、その後、本発明の化合物(10μM)またはデキサメサゾン(1μM)を加えた。それから1時間後、LPS(0.1μg/ml、サルモネラ・アボルタス・エクイ(Salmonella abortus equi)、シグマ(Sigma)、番号L1887)を加え、この細胞をさらに24時間インキュベーションし、その後、この細胞培養液の上清を採取し、これをMCP−1およびLTB4の存在についてアッセイした。
【0195】
MCP−1レベルは、製造業者の使用説明書に従ってルミネックス(Luminex)に基づくアッセイを用いて定量した。データは、ルミネックス(Luminex) 100(ルミネックス社(Luminex Corporation)、テキサス州、オースチン)を使用して集めた。標準曲線は、1/yによって重み付けされた5パラメータのロジスティックカーブフィッティングの式(スターステーション(StarStation) V 2.0;アプライド・サイトメトリー・システムズ(Applied Cytometry Systems)、カリフォルニア州、サクラメント)を使用して生成した。各試料の読取りは、適切な標準曲線から補間した。算出した濃度は、必要な場合には、適切な希釈倍率を掛け算した。
【0196】
LTB4レベルは、製造業者の使用説明書に従ってELISAによって定量化した。吸光度の読取りは、サーモマックス(ThermoMax)マイクロプレートリーダー(モレキュラーデバイス(Molecular Devices))を使用して検出した。標準曲線は、4パラメータのロジスティックカーブフィッティングの式(ソフトマックス・プロ(SoftMax Pro) 4.7.1;モレキュラーデバイス)を使用して生成した。各試料の読取りは、適切な標準曲線から補間した。二重の補間した試料値を平均し、標準偏差を算出した。算出した濃度は、適切な希釈倍率を掛け算した。
【0197】
本願明細書中に上記したPBMCモデルにおける、LPSに誘導されるメディエーター生成がある場合(+LPS)またはない場合(−LPS)の、MCP−1およびLTB4の生成に対する本発明の化合物、デキサメサゾン、および溶媒の阻害効果を下記の表にまとめる。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離塩基、電荷を帯びていないプロトン化された形態の酸または薬学的に許容できる塩、溶媒和物またはその塩の溶媒和物として、および純粋な立体異性体、ラセミ混合物、ジアステレオマー混合物または非ラセミ混合物としての式Iの化合物
【化1】

(式中、
R1はHおよびメチルから選択され;
R2はHおよびメチルから選択され;
R3はH、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−3 アルキルおよびCH2 フェニルから選択され;
R4はH、フルオロ、クロロ、ブロモ、C1−3 アルキルおよびCH2 フェニルから選択され;
GはG1およびG2から選択され;
G1において、前記置換基R5およびR6が結合しているG1の二重結合の立体化学は、R5およびR6が互いに対してcis様式,またはtrans様式で配置するようになっており;
R5はH、C1−5 アルキル、CH2 フェニルおよびC1−5 フルオロアルキルから選択され;
R6はH、C1−5 アルキル、CH2 フェニルおよびC1−5 フルオロアルキルから選択され;
X1、X2、X3、X4およびX5は、互いに独立にNおよびCから選択され;X1、X2、X3、X4およびX5のうちの0(ゼロ)、1つまたは2つはNであり;Qは、任意の置換可能な環炭素原子で最大「n」個の独立に選択される置換基R7で任意に置換され、ここで「n」は整数を表し;
前記整数「n」は0〜2であり;
R7は、C1−5 アルキル、C1−5 フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、C0−3 アルキレンOC0−5 アルキル、C0−3 アルキレンOC1−5 フルオロアルキル、C0−3 アルキレンNH2、C0−3 アルキレンNHC1−3 アルキル、C0−3 アルキレンN(C1−5 アルキル)2(式中、前記C1−5 アルキルは同じであってもよくまたは異なっていてもよい)、N(C4−5 アルキレン)、C1−5 アルキルチオ、S(O)C1−5 アルキル、SO2C1−5 アルキル、C1−5 フルオロアルキルチオ、NH(CO)C1−5 アルキル、NH(CO)C1−5 アルコキシ、NHSO2C1−5 アルキル、(CO)C1−5 アルキル、COOH、(CO)C1−5 アルコキシ、(CO)NH2、(CO)NHC1−5 アルキル、(CO)N(C1−5 アルキル)2(式中、前記C1−5 アルキルは同じであってもよくまたは異なっていてもよい)、シアノ、SO2NHC0−5 アルキル、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、アジド(N3)、およびモルホリニルから選択され;
G2において、前記置換基R8およびR9が結合しているG2の二重結合の立体化学は、R8およびR9が互いに対してcis様式,またはtrans様式で配置するようになっており;
R8はH、C1−5 アルキル、CH2 フェニルおよびC1−5 フルオロアルキルから選択され;
R9はH、C1−5 アルキル、CH2 フェニルおよびC1−5 フルオロアルキルから選択され;
縮合環W1およびW2は一緒に二環式芳香族系を表し、式中X6、X7およびX8は、互いに独立に、NおよびCから選択され;X6、X7およびX8のいずれもNではないかまたはX6、X7およびX8のうちの1つはNであり;前記二環式芳香族系は、前記環W1およびW2のいずれかの任意の置換可能な環炭素原子で最大「p」個の独立に選択される置換基R10で任意に置換され、ここで「p」は整数を表し;
前記整数「p」は0〜2であり;
R10は、C1−5 アルキル、C1−5 フルオロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、C0−3 アルキレンOC0−5 アルキル、C0−3 アルキレンOC1−5 フルオロアルキル、C0−3 アルキレンNH2、C0−3 アルキレンNHC1−3 アルキル、C0−3 アルキレンN(C1−5 アルキル)2(式中、前記C1−5 アルキルは同じであってもよくまたは異なっていてもよい)、N(C4−5 アルキレン)、C1−5 アルキルチオ、S(O)C1−5 アルキル、SO2C1−5 アルキル、C1−5 フルオロアルキルチオ、NH(CO)C1−5 アルキル、NH(CO)C1−5 アルコキシ、NHSO2C1−5 アルキル、(CO)C1−5 アルキル、COOH、(CO)C1−5 アルコキシ、(CO)NH2、(CO)NHC1−5 アルキル、(CO)N(C1−5 アルキル)2(式中、前記C1−5 アルキルは同じであってもよくまたは異なっていてもよい)、シアノ、SO2NHC0−5 アルキル、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、アジド(N3)、およびモルホリニルから選択されるが、
ただしR1およびR2の両方がメチルということはない)。
【請求項2】
R1およびR2がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R3およびR4が、互いに独立に、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびメチルから選択される、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R3およびR4がクロロである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
GがG1であり、前記置換基R5およびR6が結合しているG1の前記二重結合の立体化学は、R5およびR6が互いに対してtrans様式で配置するようになっている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
GがG1であり、X1〜X5のうちの少なくとも1つがNである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
GがG1であり、X1またはX2がNであり、X1〜X5のうちの1つのみがNである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
GがG1であり、「n」が1または2であり、R7が、C1−C3 アルキル、トリフルオロメチル、ハロ、ヒドロキシ、N(C4−5 アルキレン)、メトキシ、SO2Me、シアノ、チエニル、ニトロ、フェニル、モルホリニルおよびNMe2から選択される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
R7がメチル、トリフルオロメチル、フルオロ、クロロおよびNMe2から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
GがG1であり、R5がHである、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
GがG1であり、R6がHまたはメチルである、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
GがG2であり、前記置換基R8およびR9が結合しているG2の前記二重結合の立体化学は、R8およびR9が互いに対してtrans様式で配置するようになっている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
GがG2であり、X6〜X8のうちの少なくとも1つがNである、請求項1から請求項4または請求項12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
GがG2であり、R8およびR9が、独立にまたは互いに、Hおよびメチルから選択される、請求項1から請求項4または請求項12から請求項13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
前記化合物が、
【化2】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
前記化合物が、
【化3】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容できる担体とを含む、医薬組成物。
【請求項18】
抗喘息薬を含む、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記抗喘息薬の主たる作用機序が、β2作動薬、抗コリン作用薬、およびカルシウム拮抗薬からなる群から選択されるか、または前記抗喘息薬が副腎皮質ステロイド薬である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
治療で使用するための、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の化合物、または請求項17から請求項19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
呼吸器の気管支収縮によって特徴付けられる疾患または状態の予防および/または治療で使用するための、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の化合物、または請求項17から請求項19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
呼吸器の炎症によって特徴付けられる疾患または状態の予防および/または治療で使用するための、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の化合物、または請求項17から請求項19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記疾患または状態が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、嚢胞性線維症、細気管支炎および気管支肺異形成からなる群から選択される、請求項21または請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
呼吸器の気管支収縮および/または炎症状態、例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、嚢胞性線維症、細気管支炎および/または気管支肺異形成によって特徴付けられる疾患または状態の予防方法および/または治療方法であって、かかる予防および/または治療を必要とする哺乳動物(ヒトを含む)に、治療上有効量の、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の化合物、または治療上有効量の請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の化合物を含む請求項17から請求項19のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項25】
治療上有効量の抗喘息薬の同時投与または連続投与をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記抗喘息薬の投与される用量が、同じ疾患または状態の予防または治療のために単独で投与される場合の確立された治療上有効な用量よりも1〜10倍少ない、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の化合物の投与される用量が、同じ疾患または状態の予防または治療のために単独で投与される場合の確立された治療上有効な用量よりも1〜10倍少ない、請求項25または請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記抗喘息薬の主たる作用機序が、β2作動薬、抗コリン作用薬、およびカルシウム拮抗薬からなる群から選択されるか、または前記抗喘息薬が副腎皮質ステロイド薬である、請求項25から請求項27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
全身の血管収縮または呼吸器の血管収縮によって特徴付けられる疾患または状態の予防および/または治療で使用するための、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の化合物、または請求項17に記載の組成物。
【請求項30】
全身の血管収縮または呼吸器の血管収縮によって特徴付けられる疾患または状態の予防方法および/または治療方法であって、かかる予防および/または治療を必要とする哺乳動物(ヒトを含む)に、治療上有効量の、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の化合物、または治療上有効量の請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の化合物を含む請求項17に記載の組成物を投与することを含む、方法。

【公表番号】特表2010−533145(P2010−533145A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515510(P2010−515510)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059001
【国際公開番号】WO2009/007420
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(510007562)レスピラトリウス アーベー (1)
【Fターム(参考)】