説明

新規な生物活性ペプチドおよびその新規な用途

新規なペプチド類が、医薬組成物としてのその使用と共に開示されている。医薬組成物の作製および個体の治療に対する方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短鎖ペプチドおよびその用途に関する。特に、本発明は、生物活性を有する短鎖ペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
ペプチドは、疾患の治療用に、および医薬組成物として公知である。例えば、米国特許第6191113号は、平滑筋細胞の増殖に対する阻害活性を有し、そのため動脈硬化、血管形成術後の再狭窄、血管移植後の内腔狭窄、および平滑筋肉腫などの、平滑筋細胞の増殖に関連する病理状態の予防および治療に有用であるペプチドを開示している。米国特許第6184208号は、上皮増殖帯の重量増加活性および毛髪成長などの生理過程を調節することが判明している別のペプチドを開示している。更に、PCT公開第WO03/006492号および米国特許出願第10/237405号は、ある種のペプチドおよびその医薬組成物は、生物活性であり、免疫応答を調節することができると示唆した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、短鎖ペプチドまたは生物活性を有するペプチドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によるペプチドは、標準的な化学法によって個別に合成された。公知の動物法およびインビトロ法を用いて、こうしたペプチドの多様な機能を、以下に述べる次の各参考文献に記載の方法を用いて分析した。ペプチド名には、コード「CMS」と、それに続く番号が与えられる。ペプチド配列および対応するID番号が、表1に示されている。合計7個の新規ペプチドが、インビボで生物活性を有すると特定し、配列番号の隣に星印で示した。その他残りのペプチドは、WIPO公開第WO03/006492号で以前に報告されたが、新規で発明性のある新たな指示が、本発明において見出された。参照を容易にするために、第WO03/006492号に見出される配列に、同じ配列番号を与えた。
【0005】
【表1】

【0006】
したがって、本発明の一態様は、配列番号4、5、8〜11と特定される配列を有する実質的に純粋なペプチドに関する。即ち、本発明は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、実質的に純粋なペプチドにも関する。本発明は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列から本質的になる、実質的に純粋なペプチドにも関する。本発明は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列からなる、実質的に純粋なペプチドにも関する。特定の実施形態では、該ペプチドは、以下のもの、即ち疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲の1種または複数を調節できるが、調節対象はそれだけに限らない。
【0007】
より好ましい実施形態では、該ペプチドは、以下の状態、即ち肝グリコーゲン貯蔵、血中乳酸量、放射線療法誘発免疫不全症、B型肝炎感染症、皮膚移植拒絶、肝癌、胃癌、炎症、血中脂質、トリグリセリドおよび総コレステロール、免疫過敏症、Tリンパ球増殖、混合リンパ球増殖、肥満、ならびに体重過多の1種または複数を調節できるが、調節対象はそれだけに限らない。
【0008】
本発明の別の態様は、配列番号4、5、8〜11と特定される配列を有するペプチドの機能的誘導体である、実質的に純粋なペプチドに関する。即ち、本発明は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドの機能的誘導体であるアミノ酸配列を含む、実質的に純粋なペプチドにも関する。本発明は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドの機能的誘導体であるアミノ酸配列から本質的になる、実質的に純粋なペプチドにも関する。本発明は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドの機能的誘導体であるアミノ酸配列からなる、実質的に純粋なペプチドにも関する。特定の実施形態では、機能的誘導体である該ペプチドは、以下のもの、即ち疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲の1種または複数を調節できるが、調節対象はそれだけに限らない。
【0009】
本発明の別の態様は、配列番号4、5、8〜11の1種を包含するペプチドからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクターに関する。前記態様は、配列番号4、5、8〜11を包含するペプチドからなる群から選択されるアミノ酸配列から本質的になるペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクターにも関する。本発明は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択された生物活性アミノ酸配列の機能的誘導体を含むペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクターにも関する。本発明は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択された生物活性アミノ酸配列の機能的誘導体である、アミノ酸配列から本質的になるペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクターにも関する。
【0010】
本発明の更に別の態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなるペプチドに隣接して、リーダーペプチドを含有するハイブリッドペプチドに関する。本発明は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなる生物活性ペプチドの機能的誘導体を含むペプチドに隣接して、リーダーペプチドを含有するハイブリッドペプチドにも関する。
【0011】
本発明は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択される生物活性アミノ酸配列の機能的誘導体である、アミノ酸配列を含むペプチドに隣接して、リーダーアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクターにも関する。本発明は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択される生物活性アミノ酸配列の機能的誘導体である、アミノ酸配列から本質的になるペプチドをコードするヌクレオチド配列に隣接して、リーダーアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクターにも関する。
【0012】
特定の実施形態では、前記遺伝子ベクターのいずれかにおいて産生される該ペプチドは、以下のもの、即ち疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲の1種または複数を調節できるが、調節対象はそれだけに限らない。
【0013】
本発明の更に別の態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含むゲノムを有する微生物に関する。前記態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されるアミノ酸配列から本質的になるペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含むゲノムを有する微生物にも関する。
【0014】
本発明の更に別の態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択される生物活性アミノ酸配列の機能的誘導体である、アミノ酸配列を含むペプチド、好ましくは外因性ペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含む遺伝物質を有する微生物に関する。前記態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択される生物活性アミノ酸配列の機能的誘導体である、アミノ酸配列から本質的になる外因性ペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含む遺伝組成物を有する微生物にも関する。本明細書で使用する場合の外因性ペプチドとは、非改変自然形態の当該微生物が通常発現する他の任意のペプチドとは異なる、アミノ酸配列を有するペプチドを指す。
【0015】
本発明の更に別の態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドに隣接して、リーダーアミノ酸配列を含むペプチド、好ましくは外因性ハイブリッドペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含む遺伝組成物を有する微生物に関する。前記態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されるアミノ酸配列から本質的になる、またはそれからなるペプチドに隣接して、リーダーアミノ酸配列を含むハイブリッドペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含むゲノムを有する微生物にも関する。
【0016】
本発明の更に別の態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択される生物活性アミノ酸配列の機能的誘導体である、アミノ酸配列を含むペプチドに隣接して、リーダーアミノ酸配列を含む外因性ハイブリッドペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含む遺伝組成物を有する微生物に関する。前記態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択される生物活性アミノ酸配列の機能的誘導体である、アミノ酸配列から本質的になる、またはそれからなるペプチドに隣接して、リーダーアミノ酸配列を含む外因性ハイブリッドペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含む遺伝組成物を有する微生物にも関する。
【0017】
特定の実施形態では、前記微生物のいずれかにおいて産生される該ペプチドは、以下のもの、即ち疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲の1種または複数を調節できるが、調節対象はそれだけに限らない。
【0018】
本発明の更に別の態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を含んだ、実質的に純粋なペプチドを含む医薬組成物に関する。本発明は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されるアミノ酸配列から本質的になる、またはそれからなる、実質的に純粋なペプチドを含む医薬組成物にも関する。
【0019】
本発明は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む生物活性ペプチドの機能的誘導体を含んだ、実質的に純粋なペプチドを含む医薬組成物にも関する。本発明は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドの機能的誘導体から本質的になる、実質的に純粋なペプチドを含む医薬組成物にも関する。本発明は更に、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドの機能的誘導体からなる、実質的に純粋なペプチドを含む医薬組成物にも関する。
【0020】
特定の実施形態では、前記医薬組成物のいずれかに存在する該ペプチドは、以下のもの、即ち疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲の1種または複数を調節できるが、調節対象はそれだけに限らない。
【0021】
本発明のまた更なる態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチドを用意し、実質的に純粋な前記ペプチドを医薬として許容可能な担体と混合することを含む、医薬組成物を作製する方法に関する。前記態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列から本質的になる、またはそれからなる、実質的に純粋なペプチドを用意し、実質的に純粋な前記ペプチドを医薬として許容可能な担体と混合することを含む、医薬組成物を作製する方法にも関する。
【0022】
本発明の別の態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドの機能的誘導体である、アミノ酸配列を含む実質的に純粋なペプチドを用意し、実質的に純粋な前記ペプチドを医薬として許容可能な担体と混合することを含む、医薬組成物を作製する方法である。
【0023】
前記態様は更に、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドの機能的誘導体である、アミノ酸配列から本質的になる、またはそれからなる、実質的に純粋なペプチドを用意し、実質的に純粋な前記ペプチドを医薬として許容可能な担体と混合することを含む、医薬組成物を作製する方法に関する。
【0024】
前記方法のいずれかに関して、該ペプチドは、以下のもの、即ち免疫活性、疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲の1種または複数を調節できるが、調節対象はそれだけに限らない。
【0025】
本発明のまた更なる態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなる、実質的に純粋なペプチドの医薬有効量をヒトに投与することを含む、ヒトの治療方法に関する。前記態様は、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドの機能的誘導体である、アミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなる、実質的に純粋なペプチドの医薬有効量を投与することを含む、ヒトの治療方法にも関する。
【0026】
特定の実施形態では、ヒトの治療に使用される前記ペプチドは、以下のヒトの状態、即ち疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲の1種または複数を調節するために使用し得るが、調節対象はそれだけに限らない。
【0027】
前記核酸配列のいずれかに関して、こうした核酸配列から発現する該ペプチドおよび/またはハイブリッドペプチドは、以下のもの、即ち免疫活性、疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲を調節できるが、調節対象はそれだけに限らない。
【0028】
更に別の態様では、本発明は、以下の状態、即ち個人の肝炎、疲労、肝グリコーゲン貯蔵量、血中乳酸量および免疫反応の少なくとも1種を調節する医薬の製造において、配列番号1、2、15またはその機能的誘導体からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなる、アミノ酸配列を有する生物活性ペプチドを使用することに関する。本発明は、配列番号1、2、15またはその機能的誘導体からなる群から選択されたアミノ酸配列から本質的になる、アミノ酸配列を有する生物活性ペプチドの医薬有効量を投与することを含む、個人の肝炎、肝グリコーゲン貯蔵量、血中乳酸量または免疫反応を調節する方法にも関する。
【0029】
本発明は更に、以下の状態、即ち疲労、炎症、食欲、体重、体脂肪、血中脂質量、血中トリグリセリド量、血中コレステロール量、炎症および免疫の少なくとも1種を調節する医薬の製造において、配列番号3、7もしくは21またはその機能的誘導体からなる群から選択されたアミノ酸を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなる、アミノ酸配列を有する生物活性ペプチドを使用することにも関する。本発明は、配列番号3、7もしくは21またはその機能的誘導体からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなる、アミノ酸配列を有する生物活性ペプチドの医薬有効量を投与することを含む、個人における以下の状態、即ち疲労、炎症、食欲、体重、体脂肪、血中脂質量、血中トリグリセリド量、血中コレステロール量、炎症および免疫の少なくとも1種を調節する方法にも関する。
【0030】
本発明の更なる態様は、配列番号4、5、8〜11またはその機能的誘導体からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなるペプチドを含有する栄養組成物、および栄養補助食品を製造するための前記組成物の使用を対象とする。
【0031】
本発明の更なる態様では、配列番号4、5、8〜11およびその機能的誘導体のペプチドの強化誘導体が提供される。こうしたペプチドの強化誘導体は、該ペプチドの治療有効性を強化または増強するように、こうしたペプチドに作動可能に連結した強化分子を含む。その強化作用は、延長作用、短縮作用、作用開始の遅延、作用開始の早期化、作用強度の増加、作用強度の減少、副作用の低下、1種または複数の作用創生、作用鎮静の遅延、作用鎮静の早期化、および個人内の個別局所への該ペプチドのターゲティングである場合がある。このような強化分子および強化誘導体の例は、以下に説明する。本発明の幾つかの態様では、強化分子は、ウィルス感染症および免疫障害を治療または予防できるが、治療または予防に限るわけではない。本発明の追加の態様には、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたペプチドを含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなるペプチド、およびその誘導体の治療作用を強化する方法であって、治療作用を強化する分子に前記ペプチドを作動可能に連結することを含む方法が含まれる。本発明の幾つかの態様では、治療作用を強化する、作動可能に連結した前記分子は、天然のペプチドにおいて、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたペプチドおよびその誘導体に隣接したペプチドではない。
【0032】
本発明の更なる態様では、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなる、実質的に純粋なペプチドを含む組成物が提供される。
【0033】
本発明の追加の態様では、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなる、生物活性ペプチドの医薬有効量の投与によって、ヒト疾患の作用を低下させる方法が提供される。幾つかの実施形態では、前記のヒトは、以下の状態、即ち疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲の少なくとも1種に罹っている。
【0034】
本発明の更なる態様では、配列番号1またはその機能的誘導体を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなるアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドを投与することを含む、ある状態を調節または治療する方法であって、前記状態が、個人の疲労、肝グリコーゲン貯蔵量、血中乳酸量および免疫反応からなる群から選択される方法が提供される。
【0035】
本発明の追加の態様では、配列番号1またはその機能的誘導体を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなるアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなる生物活性ペプチドの医薬有効量を投与することによって、個人の肝グリコーゲン貯蔵量、血中乳酸量または免疫反応を調節する方法が提供される。
【0036】
本発明のまた更なる態様では、肝炎治療用の医薬の製造において、配列番号2もしくは15またはその機能的誘導体からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなるアミノ酸配列を有する、生物活性ペプチドが提供される。
【0037】
本発明のまた更なる態様では、配列番号2もしくは15またはその機能的誘導体からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなるアミノ酸配列を有する、生物活性ペプチドの医薬有効量を投与することによって、個人における肝炎を治療する方法が提供される。
【0038】
本発明の追加の態様では、疲労軽減用の医薬の製造において、配列番号3またはその機能的誘導体を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなるアミノ酸配列を有する、生物活性ペプチドが提供される。
【0039】
本発明の更なる態様では、配列番号3またはその機能的誘導体を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなるアミノ酸配列を有する、生物活性ペプチドの医薬有効量を投与することによって、個人における疲労を軽減する方法が提供される。
【0040】
本発明のまた更なる態様では、以下の状態、即ち炎症、食欲、体重、体脂肪、血中脂質量、血中トリグリセリド量、血中コレステロール量、炎症および免疫の少なくとも1種を調節する医薬の製造において、配列番号21またはその機能的誘導体を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなるアミノ酸配列を有する、生物活性ペプチドの使用が提供される。
【0041】
本発明のまた更なる態様では、配列番号21またはその機能的誘導体を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなるアミノ酸配列を有する、生物活性ペプチドの医薬有効量を投与することを含む、個人における以下の状態、即ち炎症、食欲、体重、体脂肪、血中脂質量、血中トリグリセリド量、血中コレステロール量、炎症および免疫の少なくとも1種を調節する方法が提供される。
【0042】
本発明の更なる態様では、個人の免疫系を調節する医薬の製造において、配列番号7またはその機能的誘導体を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなるアミノ酸配列を有する、生物活性ペプチドの使用が提供される。
【0043】
本発明のまた更なる態様では、配列番号7またはその機能的誘導体を含む、またはそれから本質的になる、またはそれからなるアミノ酸配列を有する、生物活性ペプチドの医薬有効量を投与することによって、個人の免疫系を調節する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本明細書に記載のように、本明細書に記載のペプチドは、重要な生物活性を有することが見出された。該ペプチドは、L−アミノ酸から標準的合成法により容易に合成できるが、個々のペプチドをコードする配列を有する核酸を用いる遺伝子操作によっても合成し得る。引用した文献は全て、その全体を本明細書に組み込んである。
【0045】
本明細書で使用する場合、「実質的に純粋なペプチド」とは、少なくとも40%、より好ましくは60%、より好ましくは90%超であるペプチドを指す。最も好ましい実施形態では、その純度は約99%〜100%である。実質的に純粋なペプチドは、以下に記載のように複雑な混合物となり得る医薬および栄養製剤の調製のために使用することができる。
【0046】
本明細書で使用する場合、用語「ハイブリッドペプチド」は、前記に特定した配列またはその機能的誘導体を有する本明細書に記載の元の生物活性ペプチド中に挿入された、追加のペプチドを含有するが、なお実質的に類似の活性を保持するペプチドを指すために使用される。追加の該ペプチドには、例えば、ハイブリッドタンパク質を細胞外部へ分泌するシグナルとして、1種または複数の原核または真核細胞により認識されるアミノ酸配列を含有するリーダーペプチドが含まれる。該分泌は、直接的分泌の場合も、分泌小胞を介した間接的な場合もある。
【0047】
上述のように、本発明の別の実施形態は、本発明のペプチドから本質的になるペプチドまたはポリペプチドである。本明細書で使用する場合、用語「から本質的になる」とは、カルボキシおよび/またはアミノ末端にある追加のアミノ酸と共に、本発明のペプチドのアミノ酸配列を含み、本明細書に示す本発明のペプチドの活性を維持している、ペプチドまたはポリペプチドを指す。したがって、非限定例として、本発明のペプチドの活性が免疫活性の調節である場合、本発明のペプチド「から本質的になる」ペプチドまたはポリペプチドは、そのペプチドに関して本明細書に示すような、免疫活性の調節活性を保有し、しかも、該ペプチドまたはポリペプチドの免疫活性の調節能を著しく低下させる、あるいは免疫活性調節剤としての該ペプチドの基本的新規特性にとって著しい変化となる如何なる特性も保有することはなかろう。したがって、前記の例において、免疫活性の調節以外の主要活性を有し、しかも、その内部のどこかに本発明のペプチドのアミノ酸配列を含む全長天然ポリペプチドが、本発明のペプチド「から本質的になる」ペプチドまたはポリペプチドを構成することはなかろう。同様に、前記の例において、免疫活性の調節以外の主要活性を有するが、その内部のどこかに本発明のペプチドのアミノ酸配列を含む、遺伝子操作したペプチドまたはポリペプチドが、本発明のペプチド「から本質的になる」ペプチドまたはポリペプチドを構成することはなかろう。
【0048】
好ましい実施形態では、用語「から本質的になる」とは、本発明のペプチドの1種以外に4個以下のアミノ酸を有するペプチドまたはポリペプチドを指す。より好ましい実施形態では、その同じ用語は、本発明のペプチドの1種以外に2個のアミノ酸を有するペプチドまたはポリペプチドを指す。最も好ましい実施形態では、その同じ用語は、本発明のペプチドの1種以外に1個のアミノ酸を有するペプチドまたはポリペプチドを指す。
【0049】
上記例示に使用した免疫活性の調節例の外に、前記定義は、このようなペプチドに与えられる活性に関して本発明の全てのペプチドにも適用される。特に、前記定義は、疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲の調節に活性を有する本発明のペプチドに適用される。
【0050】
当業者であれば、以下に記すようなアッセイを用いて、あるペプチドまたはポリペプチドの活性を測定することにより、該ペプチドまたはポリペプチドが、前記定義に従って本発明のペプチドから本質的になるか否かを、容易に判定することができる。
【0051】
当業者であれば、本発明の特定のペプチドに関して本明細書に示す、疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲などの障害の調節に対するアッセイを用いて、あるペプチドまたはポリペプチドの活性を測定することにより、該ペプチドまたはポリペプチドが、前記定義に従って本発明のペプチドから本質的になるか否かを、容易に判定することができる。
【0052】
本明細書および特許請求の範囲で使用する場合の用語「障害」とは、標準的方法で測定した際に正常範囲から外れる任意の体内の状態を指す。例えば、人間において、「脂質代謝障害」とは、標準的な医療診断試験で決定した場合、体内の脂質量のいずれかが、性別、身長および年齢に基づいてその特定者にとって正常範囲を超えている状態を指す。
【0053】
該ペプチドは、適切な任意の経路によって投与し得る。投与経路の例は、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、および皮下埋め込みを経由するものであり、リポソーム、持続放出用保護などのデリバリー促進具を用いる場合と用いない場合がある。したがって、本発明は、対象に該ペプチドを注射する用具を包含する。幾つかの実施形態では、該用具はシリンジの場合がある。該ペプチドは、任意の経口投与形態で投与してもよい。その例には、改変しない通常形態もしくは遅延放出形態とした、または胃腸保護の有無いずれの場合もある、錠剤、カプセル、懸濁液、溶液、ロゼンジなどが挙げられるが、それだけに限らない。更に、該ペプチドは、経皮促進具の有無いずれの場合もある、軟膏、クリーム、ゲルなどの任意の局所塗布形態で、または粉末吸入剤、溶解型もしくはリポソーム保護形態として適用してもよい。
【0054】
本発明を実施する別法として、本明細書に記載の開示ペプチドのアミノまたはカルボキシ末端に追加のアミノ酸を付加することが可能となり得ることは理解されている。例えば、開示ペプチドにその生物学的機能に影響せずに、1個または2個のアミノ酸を付加し得る。3個または4個のアミノ酸を付加し、該ペプチドの機能をなお維持することも可能となり得る。これらのものは全て、同じペプチドの変異体と呼称される。あるいは、該ペプチドからその生物活性に影響せずに、1個または2個のアミノ酸を除去し得る。更に、該ペプチドの生物学的機能に影響せずに、3個または4個のアミノ酸を除去することも可能となり得る。これらのものは、当該ペプチドの断片と呼称される。更に、同じ機能群に属するアミノ酸1個を別のものに保存的に代替するというようなペプチドの誘導体を、本発明の別の態様を実施するために使用してもよい。例えば、非極性または疎水性側鎖を有するペプチドの1側鎖基を、生物活性を低下させずに別のものに置換することは可能となり得る。更なる一例として、リンカー/スペーサーを該ペプチドに挿入して変異体を形成し得るが、該変異体は、この研究に使用する元のペプチド同様、活性部分をなお保持し得る。これらのものも、該ペプチドの変異体と見なされる。本明細書で使用する場合のペプチド類縁体は、天然アミノ酸の構造を模倣したアミノ酸分子、例えば、異なる骨格構造またはD−アミノ酸置換の類縁体を有するペプチドを包含する。更なる一例として、該ペプチドの合成に使用されるアミノ酸はL光学異性体であるが、配列中のアミノ酸の1個または複数がD体で置換されたペプチドは、類似の生物活性を有し得る。特許請求の範囲で使用する場合の用語「機能的誘導体」は、該ペプチドの断片、変異体、類縁体または化学誘導体を包含することを意図している。
【0055】
医薬製剤における前記ペプチドの使用は、免疫障害、癌、疲労、移植片拒絶などの本明細書に記載の障害に対する考え得る治療として採用し得る。該製剤は、他のペプチドを含めた、他の活性または不活性成分と混合される、特定した該ペプチドの1種を含有してもよい。あるいは、列挙した該ペプチドを使用して、列挙していないペプチドも有する製剤を調製してもよい。該製剤は、静脈内、筋肉内、皮内、皮下または皮内の形態で投与することができる。投与方式は、治療を要する器官に直接通じる動脈内注射でもよい。他の投与方式は、経皮、粉末または噴霧吸入、および当業者に公知の他のデリバリー形態である。該製剤は、経口投与をしてもよく、経口摂取後に該ペプチドの胃内消化を防止するために使用できる担体、または当技術分野で公知の他の任意の担体を含んでもよい。
【0056】
該医薬製剤は、既知の医薬担体のいずれでも含み得る。適当な担体の例には、当業者に公知の医薬として許容可能な標準的担体のいずれもが含まれる。こうしたものには、それだけに限らないが、生理食塩水、水、油水混合物を含む乳濁液またはトリグリセリド乳濁液、ならびに他種の作用剤、充填剤、コート錠およびカプセルが挙げられる。適切な担体は、医薬組成物の投与方式に基づいて選択し得る。
【0057】
本発明の更なる態様では、本明細書に記載のペプチドの強化誘導体およびその機能的誘導体が提供される。本発明の生物活性ペプチドは、生物学的に有効または有用な他の分子に結合することにより、追加の効果または用途をもたらし得る、あるいはその治療有効性を高め得る。多数の潜在的な結合用分子、その生物学的効果、および該分子のペプチドへの結合法が、当技術分野で公知である。例示的な結合用分子には、それだけに限らないが、有機化合物、炭水化物、糖類、多糖類、アミノ酸、アミノ酸ポリマー、ペプチド、ステロイド、タンパク質、タンパク質の単離ドメイン、脂質分子、脂肪酸、胆汁酸、ポリアミン、プロテアーゼ阻害剤などが挙げられる。結合用分子の組合せも使用することができる。
【0058】
本発明のペプチドの幾つかは、特定の細胞型または組織型に対して明確な治療効果を有する。分子をペプチド薬へ結合することの重要な一目的は、受療者の体内にある特定の部位または区画へのペプチドのターゲティングである。このようにして、ペプチド薬およびその効果を、所期の治療効果が及ぶ細胞型または組織型の部位に集中することができる。これによって、非結合型遊離ペプチドの同程度のモル量が示すと思われる効果を強化することができる。分子を結合することの他の目的には、例えば、ペプチド寿命の延長、ペプチド溶解度の変更、ペプチド活性の変更、およびペプチド生体利用度の変更を含めることができる。
【0059】
当該ペプチドを結合相手に結合する化学反応は、過度に実験をすることなく、当業者が推測することができる。多様な結合技法が、例えば、各々その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Haas et al., Kidney Intl.,52(6):1693, 1997; Fiume et al., Ital J Gastroenterol Hepatol, 29(3):275, 1997; Di Stefano et al., Biochem. Pharmacol., 61(4):459, 2001; Huang et al., Chem. Biol., 7(7):453, 2000; Leopold et al., J. Pharmacokinet. Biopharm., 23(4):397, 1995; Patel et al., Bioconjugate Chem., 8(3):434, 1997; Kramer et al. J. Biol. Chem., 269(14): 10621, 1994; Toth et al. (J.Med.Chem., 42(19):4010, 1999; Kim et al., (Biomaterials, 23:2311, 2002; Oldham et al. (Int. J. Oncology, 16:125, 2000およびFitzpatrick et al. Anticancer Drug Design, 10:1, 1995に記載されている。
【0060】
遺伝子治療および治療法
発見したペプチド配列に基づく遺伝子治療は、こうしたペプチドの1種をコードする核酸配列の設計によって行うことができる。該核酸は、化学的に合成し、プロモーターに作動可能に連結し、更に発現ベクター中にクローニングし得る。次いで、該発現ベクターは、遺伝子治療の形態として、人体細胞中に発現させるために人体中に投与される。本明細書で使用する場合の用語「遺伝子ベクター」には、こうした発現ベクターが含まれる。遺伝子治療に使用できるベクターは、アデノ随伴ウィルス(Mizuno, M. et al. (1998), Jpn J Cancer Res 89, 76-80)、LNSXベクター(Miller, A.D. et al. (1993) Methods Enzymol 217, 581-599) およびレンチウィルス(Goldman, M.J. et al. (1997) Hum Gene Ther 8, 2261-2268)を包含するが、各開示内容の全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0061】
ペプチドデリバリー用の他のビヒクルには、所望のペプチドをコードし、生物に移入することができ、該宿主生物の健康に目立った有害作用を及ぼさずに、該ペプチドの投与をすることが望ましい該宿主生物中で複製できる発現ベクターが含まれる。例えば、ペプチドの投与をすることが望ましい宿主生物に対して病原性のない発現ベクターを、その生物に移入し得る。幾つかの実施形態では、発現ベクターは、細菌または真菌生物中で所望のペプチドを産生し、該ペプチドを投与しようとする前記宿主生物の健康に目立った有害作用を及ぼさない。例えば、所望のペプチドをコードする発現ベクターは、乳酸菌、イー・コリまたは酵母などの生物中で所望のペプチドを産生する発現ベクターであってもよい。一実施形態では、該発現ベクターは、哺乳動物腸内に通常見出される微生物、または哺乳動物消化管が許容する微生物において、所望のペプチドを産生する。所望のペプチドが発現できる微生物種の一部には、それだけに限らないが、L.アシドフィルス、L.アミロボルス、L.カゼイ、L.クリスパトゥス、L.ガリナルム、L.ガッセリ、L.ジョンソニ、L.パラカゼイ、L.プランタルム、L.リューテリ、L.ラムノススなどのラクトバチルス種;B.アドレセンティス、B.アニマルス、B.ビフィドゥム、B.ブレーベ、B.インファンティス、B.ラクティス、B.ロングムなどのビフィドバクテリウム種;エンテロコッカス・フェーカリスまたはEnt.ファシウム;スポロラクトバチルス・イヌリヌス;バチルス・ズブチリスまたはバチルス・セレウス;エシェリチア・コリ;プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ;あるいはサッカロミセス・セレビシエまたはサッカロミセス・ブーラルディが含まれる。
【0062】
本発明のペプチドをコードし、化学的に合成されるか、または、それだけに限らないが、cDNA分子を産生するためのmRNAの逆転写を含む、他の手段により生成される核酸配列は、当業者に馴染みある遺伝子操作法によって、所望の生物に遺伝子移入するための発現ベクター中に組み込むことができる。該発現ベクターは、DNAベクター、RNAベクターのいずれでもよい。例えば、該発現ベクターは、プラスミド性またはウィルス性遺伝要素に基づくことができる。該発現ベクターは、染色体外で複製するベクター、染色体中に組み込まれるベクターのいずれでもよい。
【0063】
該発現ベクターは、本発明のペプチドをコードする核酸に作動可能に連結したプロモーターを含む。該プロモーターは、誘導プロモーターなどの調節可能なプロモーター、または構成プロモーターでもよい。幾つかの実施形態では、該プロモーターは、所望量のペプチド発現をもたらすように選択し得る。その上、所望であれば、該発現ベクターは、ペプチドの産生、提供および/または分泌を促進するために、他の配列を含んでもよい。幾つかの実施形態では、本発明のペプチドをコードする核酸は、該ペプチドの分泌を指示する核酸配列に作動可能に連結されている。例えば、本発明のペプチドをコードする該核酸は、シグナルペプチドをコードする核酸に作動可能に連結されていてもよい。
【0064】
幾つかの実施形態では、本発明のペプチドをコードするように操作される発現ベクターは、ラクトバチルス種およびバチルス・ズブチリスなどの哺乳動物の通常の腸内細菌相を構成する細菌種中に、本発明のペプチドを発現するように適合している発現ベクターであってもよい。このような発現ベクターの例は、それぞれCasasの米国特許第6100388号およびBelliniの同第5728571号に見出すことができる。これらの文書は、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれている。ある生物中で本発明のペプチドの発現を促進し、該ペプチドを投与しようとする前記宿主生物の健康に有害ではない任意の発現ベクターが、使用し得ることは理解されよう。
【0065】
幾つかの実施形態では、本発明のペプチドをコードするように操作される発現ベクターは、哺乳動物の腸管が十分に許容する酵母種、例えば、人体腸管にコロニーを形成し、ある種の下痢の治療に使用できるサッカロミセス・セレビシエ、または好ましくはサッカロミセス・ブーラルディ中に、本発明のペプチドを発現するように適合している発現ベクターであってもよい。異種のタンパク質およびペプチドを構成的に発現し、非常に安定であり、そのため有糸分裂および減数分裂中に子孫細胞に良好に継承され、更に、高度の組換えタンパク質分泌を指示する1種または複数のシグナルペプチドに対するコード配列を含み得る酵母発現ベクターは、使用することができる。このような酵母ベクターの例は、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれている、Jang他の米国特許第6391585号に示されている。
【0066】
本発明のペプチドをコードする発現ベクターは、当技術分野で公知の技法により、該ペプチドを発現させることを意図している生物中に導入してもよい。こうした技法には、例えば、化学的にコンピテントな細菌細胞、電気穿孔または酢酸リチウム形質転換(酵母に対して)の使用を介して細菌、酵母または他の微生物を形質転換する従来法、ならびにこうした手順が有効とは言えない細菌種の形質転換における最近の進歩が含まれる。幾つかの実施形態では、該発現ベクターは、その開示内容の全体が参照により本明細書に明確に組み込まれているLeer他(国際公開第95/35389号)により開示された方法を用いて、形質転換に抵抗性であることが知られている乳酸菌中に導入される。導入したその配列は、微生物の染色体DNAに組み込まれる場合も、染色体外DNA要素として留まる場合もある。
【0067】
次いで、該発現ベクターを含有するこの遺伝子操作微生物は、持続的免疫療法を実現するために、消化管、膣、気管などに接種することができる。幾つかの実施形態では、本発明のペプチドを発現する生物は、不活性型で、または好ましくは活性型で摂取される。腸内では、こうした微生物は、前記ペプチドを産生し、分泌または該微生物の溶解によって管腔中にそれを放出し、あるいは該ペプチドを宿主へ別法で提供し、それにより、該ペプチドは宿主生物に対して所期の効果を生じる。他の実施形態では、ペプチドは、宿主に対して鼻腔、膣または小腸の粘膜に提供される。
【0068】
別の治療法は、人体細胞に特定の核酸をデリバリーする手段として、リポソームを使用することである。本明細書に記載のペプチドをコードする核酸配列を含有する発現ベクターなどの核酸は、Gao, X and Huang, L. (1995) Gene Ther 2, 710-722、およびその開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6207456号に記載のように、細胞取込みおよび染色体組込みを促進する環境においてデリバリーすることができる。あるいは、その開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6245427号に記載の方法を用いて、該ペプチド自体をリポソーム中に封入し、直接デリバリーすることができる。示した科学刊行物および特許は全て、参照により本明細書に組み込まれている。
【0069】
前記の遺伝子治療および治療法に有用な核酸配列は、こうしたペプチドをコードする配列およびその機能的誘導体を包含する。縮重コドン系に基づいてこれらのペプチドおよびその誘導体をコードするために、夥しい核酸配列のうちいずれか1種を使用してもよい。
【実施例1】
【0070】
CMS−001およびCMS−008がマウスの運動誘発疲労に及ぼす効果
目的:CMS−001およびCMS−008がBALB/cマウスに及ぼす抗疲労効果の調査。
【0071】
方法:BALB/cマウスの消耗的水泳モデルを用いて、CMS−001およびCMS−008の抗疲労効果を観察した。CMS−001およびCMS−008の投与後、消耗的水泳時間、肝グリコーゲン、血清尿素性窒素(BUN)および血中乳酸量を観察した。CMS−001およびCMS−008の考え得る抗疲労機構を調査するために、血清マロンジアルデヒド(MDA)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の各量も観察した。
【0072】
結果:適切な濃度のCMS−001およびCMS−008は、食塩水対照と比較して統計的に有意に(P<0.05)、マウスの消耗的水泳時間を延長し、BUN量を低下させ、肝グリコーゲン量を増加させ、血中乳酸の蓄積を減少させることができることが判明した。CMS−001およびCMS−008は、食塩水対照と比較して統計的に有意に(P<0.05)、消耗的運動中に血中MDA量、ALT量およびAST量の上昇を抑え、SOD活性を増加させることができることも判明した。
【0073】
結論:CMS−001およびCMS−008は、抗疲労性を有することが判明したので、疲労関連障害の管理に使用し得る。
【0074】
1 材料および方法
1.1 薬物および試薬
CMS−001およびCMS−008は、Shenzhen Kangzhe Pharmaceutical Co. Ltd., Shenzhen, PR Chinaにより特注合成された。
尿素性窒素試薬キット:Beckman Coulter, Inc., Fullerton, California, USA
アントラセンケトン試薬キット:Shanghai Fifth Union Laboratory, Shanghai, China, PRC
MDAおよびSOD試薬キット:Nanjing Jiancheng Bio-engineering Corporation, Nanjing, China, PRC
ASTおよびALT試薬キット:Beijing Zhongsheng Bio-engineering High Technology Corporation, Beijing, PRC
【0075】
1.2 動物
特定病原体未感染(SPF)等級で、体重18〜22gの雄性BALB/cマウスをAcademy of Military Medicines and Sciences Experimental Animal Center, PR Chinaから入手した。
【0076】
マウスをCMS−001群(20μg/kg/日、5μg/kg/日)、CMS−008群(500μg/kg/日、125μg/kg/日)、および食塩水対照群に無作為に振り分けた。試験物質を腹腔内注射により1日1回、30日間連続して投与した。試験物質の投与開始から1週間後、マウスを水温25±1℃で10分間水泳するように訓練した。
【0077】
1.3 実験装置
水泳槽(50cm×50cm×40cm)
完全自動Biochemistry Analyser RA-1000
乳酸自動分析装置1500SPORT
【0078】
1.4 CMS−001およびCMS−008がマウスの消耗的水泳時間に及ぼす効果[1]
最後の注射から30分後、マウスの体重を測定し、体重の5%相当の鉛片を、体から約1cm離れたマウス尾部に巻きつけた。マウスを水深30cm、温度25±1℃の水泳槽に入れた。マウスの四肢は、その全過程で動かし続けられた。死亡するまでの水泳時間を記録した。
【0079】
1.5 CMS−001およびCMS−008が運動後の血清尿素性窒素量に及ぼす効果
最後の注射から30分後、マウスを、水深30cm、温度30±1℃の水泳槽中でおもりを付けずに90分間泳ぐように配置した。次いで、マウスを30分間休ませ、血液を眼窩洞から採取した。血清を分離し、そのBUN量を完全自動Biochemistry Analyzerにより決定した。
【0080】
1.6 CMS−001およびCMS−008がマウスの肝グリコーゲン量に及ぼす効果[2]
最後の注射から30分後、マウスを頚椎脱臼により屠殺した後、肝臓を切除し、食塩水で洗浄し、ろ紙で吸い取って乾燥した。肝臓約100mgを正確に秤量し、肝グリコーゲン量をアントラセンケトン試薬キットで決定した。
肝臓各100g中のグリコーゲン重量(mg)=DU/DS×0.5×均質液容量/肝臓重量(g)×100×0.9
DU=試料の吸光度
DS=標準物の吸光度
均質液容量=8ml
【0081】
1.7 CMS−001およびCMS−008が運動後のマウスの血中乳酸量に及ぼす効果[3]
最後の注射から30分後、眼窩洞から先ず血液20μlを採取した。次いで、マウスの体重を測定し、体重の4%相当の鉛片を、体から約1cm離れたマウス尾部に巻きつけた。マウスを水深30cm、温度30±1℃の水泳槽で10分間泳ぐように配置した。マウスの四肢は、その全過程で動かし続けられた。運動直後および20分の休息後に、眼窩洞から再び血液20μlを採取した。血液を低張緩衝液40μl中に添加し、その超音波処理をした。血液中の乳酸量を乳酸分析装置で決定した。
【0082】
運動後の乳酸増加量は、運動直後の乳酸量から運動前の乳酸量を差し引いた量に基づいて計算される。
【0083】
休息後の乳酸消失量は、運動直後の乳酸量から休息後の乳酸量を差し引いた量に基づいて計算された。
【0084】
1.8 CMS−001およびCMS−008が消耗的運動後の血清中SOD、MDA、ASTおよびALT量に及ぼす効果
最後の注射から30分後、マウスを水深30cm、温度25±1℃の水泳槽でおもりを付けずに泳ぐように配置した。マウスが沈む初回時までに、マウスを救出し、直ちに眼窩洞から血液を採取した。血清を分離し、MDA、SOD、ASTおよびALT量を決定した。
【0085】
1.9 統計的方法
群同士間の差異を分散分析ANOVAで分析した。
【0086】
2 結果
【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】
【表4】

【0090】
【表5】

【0091】
【表6】

【0092】
結論
この試験は、CMS−001およびCMS−008が以下の特性を有することを示した。
1.マウスの水泳時間を延長し、CMS−001およびCMS−008が動物の運動能力を増強できることを示すこと[5]
2.マウスのBUNを減少させ、CMS−001およびCMS−008が、運動中のエネルギー生成のためにタンパク質異化の必要性を減少させることができることを示すこと[6]
3.休息中の動物の肝グリコーゲン蓄積量を増加させ、動物の運動能力を増強すること[6]
4.運動後の血中乳酸量を減少させ、その後の乳酸消失速度を増加させて、CMS−001およびCMS−008が、運動中の乳酸生成または乳酸消失の速度を減少させることができることを示すこと[7]
5.MDA量を減少させ、CMS−001およびCMS−008が運動中のフリーラジカル生成を減少させることができることを示すこと[8]
6.SOD量を減少させ、CMS−001およびCMS−008が運動中のフリーラジカル消失を増加させることができることを示すこと[8]
7.ALTおよびAST量を減少させ、CMS−001およびCMS−008が、運動中の心臓および肝臓の細胞傷害を保護できることを示すこと。
8.CMS−001およびCMS−008は、運動関連の疲労障害の管理に有用となり得ること。
【0093】
参考資料
以下の参考資料を出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
1. Mizunoya W, Oyaizu S, Ishihara K, et al. Protocol for measuring the endurance capacity of mice in an adjustable-current swimming pool. Biosci Biotechnol Biochem. 2002 May; 66(5):1133-6.
2. HE Ling, WANG Ming, CHEN Run etc. The effect of blood lactic acid、blood serum carbamide nitrogen and liver hepatin affected by gen-seng. Prevent Medicine Literature Information, 2002, 8(3):293-294.
3. WANF Xiao-xue, QIU Juan, SONG Yu etc. Study on Effect of Theanine of Fatigue. China Commonality Sanitation Journal, 2002, 18(3):315-317.
4. Thomas D P,Marshall K I. Effects of repeated exhaustive exercise on myocardial subcellular membrane structure. Int J Sport Med,1988, (9):257-260.
5. JIN Zong-lian. Evaluation principle and method of function food. Beijing: Beijing University Publishing Company, 1995.
6. Sanitation ministry, Evaluation progress and test methods of health care food. Ministry of Public Health, PR China.
7. Westerblad, et al. Changes of intracellular pH due to repetitive stimulation of single fibers from mouse skeletal muscle. J Physiol; 1992 Apr; (499):49-71.
8. Groussard C, Rannou-Bekono F, Machefer G, et al. Changes in blood lipid peroxidation markers and antioxidants after a single sprint anaerobic exercise. Eur J Appl Physiol. 2003 Mar; 89(1):14-20.
【実施例2】
【0094】
放射線療法誘発免疫低下マウスに対するCMS−001の免疫調節効果
目的:放射線療法誘発免疫低下動物モデルに対するCMS−001の免疫調節効果の観察。
【0095】
方法:免疫低下動物モデルは、Cs137照射によって先ず準備した。次いで、CMS−001を適用した後、Tリンパ球増殖速度の変化をMTT法により分析した。
【0096】
結果:20μg/kg/日で、CMS−001は、統計的有意差(P<0.05)をもってTリンパ球の増殖速度を増加させることができることが判明した。
【0097】
1 材料および方法
1.1 薬物および試薬
CMS−001:Shenzhen Kangzhe Pharmaceutical Co. Ltd., Shenzhen, PR Chinaにより特注合成された。
ハンクス液、ウシ胎児血清およびRPMI−1640:Hyclone, Logan, Utah
ConAおよびMTT:Sigma Chemical Co., St. Louis, Missouri, USA
【0098】
1.2 実験条件
特定病原体未感染等級(SPF)で、体重18〜22gの雄性BALB/cマウスをAcademy of Military Medicines and Sciences experimental animal center, PR Chinaから入手した。
【0099】
1.3 動物モデルの調製、CMS−001の投与、およびTリンパ球増殖速度の定量[1]
マウスをCMS−001群(20μg/kg/日、5μg/kg/日)、食塩水対照群、および通常対照群に無作為に振り分けた。通常対照群を除く全てのマウスをCs137の600rad(82.83rad/分を7.2分間)に曝露した。試験物質を食塩水0.5mlに溶解し、照射後15日間連続して1日1回腹腔内に投与した。試験物質の最終投与の翌日、マウスの脾臓を無菌的に切除した。その脾臓を個々の細胞にばらし、洗浄し、細胞濃度をRPMI−1640で4×10個/mlに調節した。96穴培養プレートに、1穴当たり細胞100μlおよびConA100μl(最終濃度5μg/mlに)を添加した。ConAを含まない基準ブランク対照も調製した。その細胞を37℃、5%COで68時間インキュベートした。Tリンパ球の増殖量をMTT法により決定した[2]。刺激指数を以下の通り算出した。刺激指数(SI)=ConA入り穴の平均OD値/基準ブランク穴の平均OD値。
【0100】
2.結果
【0101】
【表7】

【0102】
3.結論
CMS−001は、統計的有意性をもって、放射線誘発免疫低下マウスにおけるTリンパ球増殖を刺激できることが判明し、CMS−001は、放射線療法後の免疫低下患者に対する免疫刺激剤として使用し得ることを示す。
【0103】
参考資料
以下の参考資料を出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
1. New drugs (Western medicine) research direction principle before clinic. Chinese Sanitation Ministry Drug Political Situation. 1993, 7:128-137.
2. Qiu Zhi-qiang. The influence of Fuzheng buxuegao to blood system and immunity function affected by radiotherapy. Lanzhou Medical Transaction, 2003, 3(28).
【実施例3】
【0104】
マウスにおける皮膚同種移植片の生存に対するCMS−014の効果
目的:皮膚同種移植片モデルによるCMS−014の免疫抑制効果の調査。
【0105】
方法:C57BL/6マウスの尾部皮膚片をBALB/cマウスに移植し、皮膚移植片の平均生存期間(MST)を観察した。
【0106】
結果:CMS−014は、食塩水対照と比較して統計的有意性(P<0.05)をもって、皮膚移植片の生存を延長できることが判明した。
【0107】
結論:CMS−014は、臓器移植後の拒絶反応を抑制するために、免疫抑制剤として使用し得る。
【0108】
1 材料
1.1 薬物および他の試薬
CMS−014:Shenzhen Kangzhe Pharmaceutical Co. Ltd., Shenzhen, PR Chinaによりにより特注合成された。
サイクロスポリンA(CsA):Novartis Pharmaceutical Co. Ltd., Basel, Switzerland
食塩水:China OTSUKA Pharmaceutical Co. Ltd., Tianjin, PR China
NaS:Tianjin Beilian Chemical Co. Ltd., Tianjin, PR China
【0109】
1.2 動物
受容動物:特定病原体未感染等級(SPF)の6週齢で、体重18〜22gのBALB/c(H−2)マウス:Military Medical Academy of Science, China
供与動物:SPFの6週齢で、体重18〜22gのC57BL/6(H−2)マウス:Military Medical Academy of Science, China
【0110】
2 群別および処理
2.1 群別および試験物質投与
BALB/cマウスをCMS−014群(500μg/kg/日、250μg/kg/日、125μg/kg/日)、サイクロスポリンA群(10mg/kg/日)、および食塩水対照群(0.5ml/日)に無作為に振り分けた。そのマウスの半数は雄性、半数は雌性であった。
【0111】
試験物質を食塩水0.5mlに溶解し、5日間腹腔内に注射した後、皮膚移植を行い、更に皮膚移植片の拒絶の終点まで毎日注射をした。
【0112】
2.2 皮膚移植
BALB/cマウス背部の毛1パッチを8%NaS溶液で除去した。翌日、その皮膚を外科的に除去することにより、約1cmの創傷床を生成し、次いでその創傷床上に、同性のC57BL/6J供与マウスの全厚尾部皮膚片1cmを載せた。その手術部位をパラフィンガーゼ層で被覆、保護した後、絆創膏を施した。移植から6日後に絆創膏を外し[1]、同種移植片の生存性について受容マウスを毎日監視した。拒絶の終点は、同種移植片の10%未満だけがなお生存しているときに設定した[2]
【0113】
2.3 統計分析
統計分析は、Kaplan−Meier生存検定で行った。
【0114】
3 結果
【0115】
【表8】

【0116】
4 結論
CMS−014は、食塩水対照と比較して統計的有意性(p<0.05)をもって、皮膚同種移植片の生存を延長できることが判明した。CMS−014は、臓器移植後の拒絶反応を抑制するために、免疫抑制剤として使用し得る。
【0117】
参考資料
以下の参考資料を出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
[1] Ming Jiankuo, Wang Xingbing, Huang Baojun, et al. Peptide Nucleic Acid Antisense Prolongs Skin Allograft Survival by Means of Blockade of CXCR3 Expression Directing T Cells into Graft. The Journal of Immunology, 2003, 170:1556?1565.
[2] Steven H. Borenstein, Jeremy Graham, et al. CD8+ T Cells Are Necessary for Recognition of Allelic, But Not Locus−Mismatched or Xeno−, HLA Class I Transplantation Antigens. The Journal of Immunology, 2000; 165:2341−2353.
【実施例4】
【0118】
B型肝炎ウィルスに対するインビトロでのCMS−017およびCMS−023の抑制効果
実施例4a ヒト肝炎
試験ペプチドを2.2.15細胞系の培地へ添加した。インキュベーション後、培地中のB型肝炎表面抗原(HBsAg)、B型肝炎e抗原(HBeAg)、およびB型肝炎ウィルスDNA(HBV−DNA)の各濃度を決定し、対照と比較した。適切な濃度のペプチドCMS−017およびCMS−023は、対照と比較して統計的有意性(p<0.05)をもって、インビトロで抗B型肝炎ウィルス活性を有することが判明した。これらのペプチドは、B型肝炎ウィルス感染の管理に使用し得ると結論される。
【0119】
1 材料
ペプチドcms−017およびcms−023は、American Peptide Company, Inc., Sunnyvale, California, USAにより(l−アミノ酸源で)特注合成された。
【0120】
ヒトB型肝炎ウィルス(HBV)DNAをトランスフェクトした2.2.2.15細胞系は、国立薬物スクリーニングセンター(上海、中国)(第1試験)および北京大学付属の第一病院感染症科(第2試験)により供給された。
【0121】
細胞培養培地MEMは、GIBCO(登録商標), Invitrogen, Carlsbad, California, USA製であった。
【0122】
HBsAgおよびHBeAgのアッセイ用Elisaキットは、Shanghai Shiye Kehua Biotech. Company, Shanghai, PR China製であった。
【0123】
HBV−DNA定量用の蛍光定量PCRキットは、Zhongshan Medical University, Guangzhou, PR ChinaのDA−AN遺伝子会社製であった。
【0124】
2 方法
第1試験:最大無毒濃度でのHBsAgおよびHBeAgに対するペプチドの抑制効果
対数増殖期の2.2.15細胞を採集し、MEM(10%ウシ胎児血清、ペニシリン100mg/mlおよびストレプトマイシン100U/mlを含有)で2×10個/mlに調節した。その懸濁液を24穴培養プレート上に1.5ml/穴で接種し、付着させるために37℃、5%COで48時間インキュベートした。1試料当たり並行穴3個を用いて、該ペプチドを最終濃度400μg/mlに添加した。ブランク対照1組(穴3個)も調製したが、その場合ペプチドを培地に置き換えた。プレートを37℃、4日間インキュベートし、次いで培地を調製直後の培地(元の培地と同じ組成)で交換し、プレートを更に4日間インキュベートした。インキュベーションの終了までに、培養物の上清を集め、HBsAgおよびHBeAgの力価を、検出キット製造業者の使用説明書に従ってELISA法で決定した。薬物の抑制率(%)は、以下のように算出した。
抑制率(%)=(対照の平均濃度−試料の平均濃度)/対照の平均濃度×100%
【0125】
第2試験:HBV−DNAに対するペプチドの抑制効果
細胞懸濁液の調製およびインキュベーションを前記第1試験同様に繰り返したが、ペプチド濃度は160μg/mlとした。インキュベーションの終了までに、上清を集め、HBV−DNA濃度を検出キット製造業者の使用説明書に従って蛍光定量PCRで決定した。
抑制率(%)=(対照の平均DNA濃度−試料の平均DNA濃度)/対照の平均DNA濃度×100%
【0126】
統計
統計分析のためにステューデントのt検定を用いた。P<0.05を統計的に有意と見なした。
【0127】
結果
【0128】
【表9】

【0129】
【表10】

【0130】
結論
適切な濃度では、CMS−017およびCMS−023は、対照と比較して統計的有意性(p<0.05)をもって、インビトロでB型肝炎ウィルスの発生を抑制できることが判明した。これは、CMS−017およびCMS−023が、B型肝炎関連ウィルス感染の管理に使用し得ることを示す。
【0131】
実施例4b インビボでのアヒルB型肝炎に対するCMS−017の抗ウィルス効果
目的:インビボでのアヒルB型肝炎ウィルス(DHBV)に対するCMS−017の抗ウィルス効果の調査。
【0132】
方法
食塩水に溶解したCMS−017を、筋肉内注射により28日間ChongqingアヒルB型肝炎動物モデルへ投与した。DHBV DNAおよびDHBsAg(アヒルB型肝炎表面抗原)の各血清量を、各々血清ドットブロットハイブリッド形成およびELISAにより観察し、ブランク対照と比較した。
【0133】
結果
CMS−017は、処置期間中にDHBV DNAおよびDHBsAgの各血清量を低下させることができることが判明した(P<0.01)。7日間処置を中断しても、リバウンドを認めなかった。
【0134】
材料および方法
1 動物モデル[2]
1日齢のChongqingアヒルの腹腔内にDHBV DNA陽性血清(5×10コピー/ml)0.1mlを接種することにより、肝炎動物モデルを樹立した。接種から10日後、血液試料を外頚静脈から採取し、ジゴキシ標識DHBV DNAプローブとのドットブロットハイブリッド形成[3]により、感染済みであることを確認した。アヒルを2週齢まで飼育して、試験に参加させた。
【0135】
2 群別および投与
DHBV感染を確認したアヒルを以下の群に無作為に振り分けた。
1)対照群(n=12):生理食塩水を1日1回、1ml/日で筋肉内注射で投与
2)CMS−017群(n=12):CMS−017(生理食塩水1mlに溶解)を1日1回、200μg/kg/日で筋肉内注射で投与
【0136】
処置を4週間続け、観察は、処置終了後更に1週間続けた。血液試料1mlを外頚静脈から、処置開始後0、7、14、21、28および35日に抜き取った。血清を分離し[4]、分析するまで−20℃に保存した。
【0137】
3 監視するパラメーター
1)DHBV DNA血清量
DHBV DNAプローブは、製造業者(Roche Co.)の標識キット手順に従って蛍光標識をした。アヒル血清は、ニトロセルロース膜上にドットブロットし(2点/試料)、DHBV DNAの定量のために蛍光標識プローブとハイブリッド形成させた[3]。DHBV DNA40μl+DHBsAg100μlを内部標準として使用した。CDP-Star蛍光測定試薬を蛍光増幅のために使用した。Vuego Scan (Brisa-620st)スキャナーを膜走査のために使用し、Discovery Series Quantity Oneソフトウェアをブロットの定量分析のために使用した。ブロット数値は「容量」(容量=強度×mm)として記述した。
【0138】
2)DHBsAg血清量
DHBsAg量は、ELISA法[5〜8]で決定し、OD値をELISAリーダー(Bio-TEK Co.)により490nmで得た。
【0139】
4 統計分析
各群に対してSPSSソフトウェアを用いて、対応のあるt−検定を行った。
【0140】
結果
1.血清DHBV DNA濃度の変化
【0141】
【表11】

【0142】
2.血清DHBsAg量の変化
【0143】
【表12】

【0144】
結論
適切な濃度では、CMS−017は、食塩水対照と比較して統計的有意性(p<0.05)をもって、インビボで抗肝炎性を有することが判明した。CMS−017は、ウィルス感染関連障害の管理に使用し得る。
【0145】
参考資料
以下の参考資料を出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
1. Chen Yaxi, Guo shuhua, Zhang Dingfeng, et al. Foundation and application of Chongqing duck hepatitis B model. Chinese Journal of Hepatology. 1993; 1(2):89-91.
2. Chen Yaxi, Guo shuhua, Chen Xuehua. Preparation and application of DHBV DNA probe labeled with digoxin. Journal of Chongqing University of Medical Sciences. 1994; 19(4):295-297.
3. Tang Ni, Huang Ailong, Guo shuhua, et al. Systemic foundation and application of serological parameters of humoral immunity to duck hepatitis B virus. Chinese Journal of Hepatology. 2001; 9(1):13-15.
4. Tang Ni, Huang Ailong, Guo shuhua, et al. Purification of Duck hepatitis B surface antigen and its applications. Journal of Chongqing University of Medical Sciences. 2001; 26(1):14-16.
5. Tang Ni, Huang Ailong, Guo shuhua, et al. A comparison of specifically immune response in DHBV-infected ducks. Chinese Journal of Hepatology. 2001; 9(3):166-168.
6. Tang Ni, Huang Ailong, Qi Zhenyuan, et al. Immune response of acutely infected ducks to duck hepatitis B virus. Chinese Journal of Microbiology and Immunology 2000; 2(4):24-29.
7. Chen Yaxi, Guo shuhua, Qi Zhenyuan, et al. An experimental study of lamivudine against duck hepatitis B virus in combination with famciclovir. Chinese Journal of Hepatology. 2001; 9(4):209-211.
8. Qiu Zhi-qiang. The influence of Fuzheng buxuegao to blood system and immunity function affected by radiotherapy. Lanzhou Medical Transaction, 2003,3 (28).
【実施例5】
【0146】
ヌードマウス移植ヒト胃癌BGC−823異種移植片に対するCMS024−16の抑制効果
1 材料
2 薬物および試薬
CMS024−16:Shenzhen Kangzhe Pharmaceutical Co. Ltd., Shenzhen, PR Chinaによる特注合成
5−Fu:Tianjin Jinyao Amino Acid Co., Tianjin, PR China
ウシ胎児血清:Hyclone, Logan, Utah
RPMI−1640細胞培養培地:GIBCO(登録商標), Invitrogen, Carlsbad, California, USA
【0147】
1.2 動物
特定病原体未感染等級(SPF)の4〜5週齢で、健常な雌性BALB/c(nu/nu)ヌードマウス:Academy of Military Medical Sciences, China
【0148】
1.3 細胞系
ヒト胃癌細胞系BGC−823:Cancer Research Department, China Medical Science Institute
【0149】
2 方法
2.1 動物モデルの調製および抗腫瘍効果の決定[1]
対数増殖期のヒト胃癌細胞系BGC−823を2×10個/mlの濃度に調節し、次いでヌードマウスの背部皮下に接種した(0.1ml/マウス)。接種済み動物を、CMS024−16(160μg/kg/日、320μg/kg/日、および640μg/kg/日、全て0.2ml/日)、陽性対照(5−Fuを0.2ml/日で20mg/kg/日)、ならびに陰性対照(生理食塩水、0.2ml/日)の各群に無作為に分けた。腹腔内注射による試験物質の投与は、腫瘍移植後の翌日に始めて毎日1回30日間継続して行った。最後の注射後の翌日、腫瘍塊を採集し、その重量を測定した。抑制率=(陰性対照の平均重量−試験群の平均重量)/(陰性対照の平均重量)×100%
【0150】
2.2 統計分析
データは平均値±SDで表わした。統計分析のためにSPSSソフトウェアのANOVAを使用した。P値<0.05を統計的に有意性ありと見なした。
【0151】
3.結果
【0152】
【表13】

【0153】
4.結論
160〜640μg/kg/日の投与量のCMS024−16は、生理食塩水群と比較して統計的有意性(P<0.05)をもって、ヌードマウス移植ヒト胃癌BGC−823異種移植片の増殖を抑制できることが判明した。
【0154】
参考資料
以下の参考資料を出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
1. Li XH, Zhang GY, Luo FJ, Xu MH, Li Q. The effect of Helicobacter pylori on the expression of metallo proteinases in gastric carcinoma cell lines. World J Chinese Digestion, 2003, 11(5):544-546.
【実施例6】
【0155】
インビボでの肝癌H22に対するペプチドの抑制効果
目的:マウスにおける肝癌H22の増殖に対するペプチドの効果の調査。
【0156】
方法:BALB/cマウスを食塩水対照、5−Fu、正常対照、ペプチドの各群に無作為に分けた。肝癌H22細胞を腹腔内注入により移植し、試験物質も毎日1回腹腔内注射により投与した。マウスの生存期間を記録し、各対照と比較した。
【0157】
結果:80μg/kg/日の投与量で、CMS024.04、CMS024.05、CMS024.14、CMS024.16は、食塩水対照群と比較して統計的有意性(P<0.05)をもって、H22腫瘍細胞の移植を受けたマウスの生存を延長できることが判明した。
【0158】
結論:CMS024.04、CMS024.05、CMS024.14、およびCMS024.16は、肝癌H22の移植を受けたマウスの生存を延長できることが判明し、これらのペプチドが癌の管理に使用し得ることを示した。
【0159】
1 材料および方法
1.1 薬物および試薬
CMS024.04、CMS024.05、CMS024.14、およびCMS024.16は、Shenzhen Kangzhe Pharmaceutical Co. Ltd., Shenzhen, PR Chinaにより特注合成された。
【0160】
5−FU(5−フルオロウラシル)は、Tianjin Jinyao Aminophenol Ltd., Tianjin, China製であった。
【0161】
食塩水は、China OTSUKA Pharmaceutical Co. Ltd., Tianjin, China製であった。
【0162】
RPMI−1640およびウシ胎児血清(FBS)は、GIBCO(登録商標), Invitrogen, Carlsbad, California, USA製であった。
【0163】
D−ハンクス液は、Sigma Chemical Co., St. Louis, Missouri, USA製であった。
【0164】
1.2 動物
健常BALB/cマウス(CLA等級、6〜8週、体重18〜22g)は、Animal Center of Military Medical Academy of Science, Beijing, Chinaから入手した。
【0165】
1.3 細胞系
肝癌H22細胞株を保持したマウスは、Tumor Department of Medical Institute of China Medical Academy of Science, Beijing, Chinaから入手した。
【0166】
1.4 動物の群別
健常BALB/cマウスは、CMS024.04、CMS024.05、CMS024.14、およびCMS024.16(80μg/kg/日)、5−Fu(20mg/kg/日、2日毎に1回)、食塩水(0.2ml/日)、および正常群(腫瘍細胞を接種していない)の各群に無作為に分けた。
【0167】
1.5 肝癌H22マウスモデルの投与
6〜8日間肝癌を接種したマウスを屠殺した。腹水を採集し、細胞濃度をD−ハンクス液で5×10個/mlに調整した。これを0.2ml、正常対照を除外して各BALB/cマウスの腹腔内に接種した。
【0168】
1.6 試験物質の投与
試験物質の投与は、細胞接種後の翌日に開始した。該ペプチドおよび食塩水を毎日、5−FUは2日毎に1回、60日間連続して、またはマウスが死ぬまで投与した。
【0169】
1.7 生存期間の記録
死亡時期を記録し、生存期間の延長を算出した。生存期間延長を以下のように算出した。
生存期間延長率(%)=(試験群の平均生存日数)−(食塩水対照群の平均生存日数)/(食塩水群の平均生存日数)×100%
60日間を超えて生存したマウスを長期間生存マウスと見なした。
【0170】
1.8 統計的方法
統計的比較のためにKaplan−Meier法を用い、0.05以下のP値を統計的に有意性ありと見なした。
【0171】
2 結果
実験は別々に2回行い、その結果は以下の通りである。
【0172】
【表14】

【0173】
【表15】

【0174】
3 結論
CMS024.04、CMS024.05、CMS024.14、およびCMS024.16は、食塩水対照群と比較して統計的有意性をもって、H22肝癌の移植を受けたマウスの生存を延長できることが判明し、これらのペプチドが癌の管理に使用し得ることを示した。
【0175】
参考資料
以下の参考資料を出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
[1] Y Zhai and ZJ Lu. Effect of thalidomide on tumor growth in mouse hepatoma H22 model. Ai Zheng, Dec 2003; 22(12):1301-6.
[2] YX Yang, L Zhu, X He, et al. Antitumor activity of mitoxantrone-nanosphere against murine liver tumor H22. Sichuan Da Xue Xue Bao Yi Xue Ban, Jan 2004; 35(1):68-70.
【実施例7】
【0176】
ラットにおけるカラゲニン誘発足部腫脹に対するCMS−030の効果
目的:CMS−030の抗炎症特性の調査。
【0177】
方法:カラゲニン誘発足部腫脹動物モデルを使用して、CMS−030の抗炎症特性を調べた。
【0178】
結果:2〜20μg/mlの投与量で、CMS−030は、統計的有意性(P<0.01)をもって、対照群と比較して処置群における足部腫脹を抑制できることが判明した。
【0179】
結論:CMS−030は、カラゲニン誘発足部腫脹ラット動物モデルに対して、統計的に有意な抗炎症効果を有することが示された。
【0180】
1 材料および方法
1.1 薬物および試薬
CMS−030:Shenzhen Kangzhe Pharmaceutical Co. Ltd., Shenzhen, PR Chinaによる特注合成
カラゲニン:Sigma Chemical Co., St. Louis, Missouri, USA
デキサメタゾン(DXM):Tianjin JinYao Co. Ltd., Tianjin, PR China
【0181】
1.2 動物
6〜8週齢で体重180〜220gのウィスターラット、Vitalriver Experiment Animal Co. Ltd., Beijing, PR China
【0182】
1.3 方法[1]
ウィスターラットをDXM群(0.2mg/kg/日)、食塩水対照群(1ml/日)、および3投与量のCMS−030群(2、10、20μg/ml/日)に無作為に振り分けた。薬物は全て、食塩水で0.5mlに希釈し、毎日腹腔内(i.p)に投与した。薬物投与から2週間後、1%カラゲニン食塩水0.15mlを皮下注射で右足に接種した。0.5時間後、右足の周囲長を精確に測定し、接種後の周囲長から接種前の周囲長を差し引くことにより、足部腫脹を算出した。抑制指数(%)=(食塩水対照群の足部腫脹−薬物群の足部腫脹)/食塩水対照群の足部腫脹×100%。
【0183】
1.4 統計分析
一元配置ANOVAの分析を用いて統計分析を行った。
【0184】
2 結果
【0185】
【表16】

【0186】
結論
ラットにおけるカラゲニン誘発足部腫脹は、インビボでの急性炎症の確立された動物モデルであり、薬物の抗炎症効果の評価に使用された[2]。カラゲニンは、炎症部位にプロスタグランジンの過剰合成を誘発することができる。他の血管作用物質と共同して、過剰生成プロスタグランジンは局所的腫脹を誘発することになろう。CMS−030は、統計的有意性(P<0.01)をもって、ラットにおいてカラゲニンが誘発した足部腫脹を抑制できることが判明した。したがって、CMS−030は、抗炎症性を有することが示された。
【0187】
参考資料
以下の参考資料を出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
[1] Li Jinhua, Zhang Huiqing, Zheng Kezhi, et al. Inhibitory effects of Orgotein on the swelling of hind paw in rats induced by carrageenin. Suzhou University Journal of Medical Science, 2002, Vol, 22(4):386-388.
[2] Huang Zhili, Kagoshima Masatoyo, Kagawa Eiichiro, Anti-inflammatory and ulcerogenic effects of 3-(N,N-diethylamino) propylindometacin HCl. Acta Pharmacologica Sinica, 1997, Vol, 18(4):306-308.
【実施例8】
【0188】
肥満に対するCMS−030の効果
目的:過食ラットを動物モデルとして用いたCMS−030の抗肥満効果の決定。
【0189】
方法:ラットに高栄養食事を6週間与えることにより、肥満モデルを開発した。次いで、そのラットを、CMS−030(皮下に、150、300および600μg/kg/日の投与量)または食塩水で4週間処置した。ラットを1週につき1回体重測定し、実験終了時に屠殺して腹部および精巣の脂肪体ならびに血中脂質を測定した。
【0190】
結果:CMS−030は、食塩水対照群と比較して統計的有意性(P<0.05)をもって、ラットにおける体重、脂肪体指数、血清トリグリセリド量、および血清総コレステロール量を減少させることができることが判明した。
【0191】
結論:CMS−030は、抗肥満性を有し、食事誘発肥満障害の管理に使用し得る。
【0192】
材料および方法
1 材料
1.1 試験物質および動物
CMS−030は、Shenzhen Kangzhe Pharmaceutical Co. Ltd., Shenzhen, PR Chinaにより特注合成された。
特定病原体未感染等級で、体重135±15gの雄性スプレイグ・ドーリー(SD)ラット:Experimental Animal Center of First Military Medical University
【0193】
1.2 試薬キット
トリグリセリドキット:Shanghai Rongcheng Biotechnology Laboratory
血清総コレステロールキット:Zhongsheng Beikong Biotechnology Holding Ltd.
【0194】
2 方法
高栄養および標準栄養食餌の処方は、State Food and Drug Administration, PR China (SFDA)刊行のGuideline for Pre-clinical Research of Anti-obesity Drug[1] に従って作成した。
【0195】
肥満モデル[2]は、ラットに高栄養食事を6週間与えることにより樹立した。標準食事を与えたラットは、正常対照として使用した。次いで、肥満ラットをCMS−030(150、300および600μg/kg/日を毎日1回、皮下に)または食塩水で4週間処置した。試験物質での処置中には、全てのラットが標準食事を取った。ラットを週毎に体重測定し、実験終了時に屠殺して腹部および精巣の脂肪体、ならびに脾臓、肝臓、腎臓および胸腺の重量を測定した。血中脂質を分析するために、ラット血液も抜き取った。
【0196】
脂肪体指数は、脂肪体重量(g)/体重(g)×1000として算出した。
【0197】
臓器指数は、臓器重量(g)/体重(g)×1000として算出した。
【0198】
3 統計分析
データは、平均値±標準偏差として提示してある。ソフトウェアDAS(Drug And Statistics Ver1.0)を用いた各群内または群同士間の比較に、対応のあるt−検定または単一因子ANOVAを適用した。P<0.05を統計的に有意性ありと見なした。
【0199】
4 結果
【0200】
【表17】

【0201】
【表18】

【0202】
【表19】

【0203】
【表20】

【0204】
【表21】

【0205】
結論
適切な投与量のCMS−030は、食塩水対照と比較して統計的有意性(P<0.05)をもって、栄養肥満ラットにおける体重減少を誘発し、各血中脂質量を低減できることが判明した。該物質の投与中に、食欲に有意な変化はなかった。CMS−030は、栄養関連の肥満および脂質過多の管理に使用し得る。
【0206】
参考資料
以下の参考資料を出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
1. SFDA, PR China. The guideline for pre-clinical research of new drugs. 1993. 193-194.
2. Bays HE. Current and investigational anti-obesity agents and obesity therapeutic treatment targets. Obes Res. 2004; 12 (8):1197-1211.
【実施例9】
【0207】
マウスにおける遅延過敏症に対するCMS−030の効果
目的:マウスにおける遅延過敏症(DTH)に対するCMS−030の抑制効果の調査。
【0208】
方法:CMS−030の免疫抑制効果を示すために、2,4−ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)誘発耳腫脹を使用した。
【0209】
結果:10μg/kg/日で、CMS−030は、食塩水対照と比較して統計的有意性(P<0.01)をもって、マウスにおけるDNFB誘発耳腫脹を抑制できることが判明した。
【0210】
結論:CMS−030は、免疫抑制特性を有し、免疫関連障害の管理に有用となり得る。
【0211】
1 材料および方法
1.1 薬物および試薬
CMS−030:Shenzhen Kangzhe Pharmaceutical Co. Ltd., Shenzhen, PR Chinaによる特注合成
2,4−ジニトロフルオロベンゼン(DNFB):Smack Co. Ltd.
硫化ナトリウム(NaS):Tianjin Beilian Chemical Co. Ltd., Tianjin, PR China
【0212】
1.2 動物
特定病原体未感染等級(SPF)の6〜8週齢で、体重18〜22gのBalb/cマウス:Military Medical Academy of Science, PR China
【0213】
1.3 方法
BALB/cマウスを食塩水対照(0.5ml/日)およびCMS−030(10μg/kg/日)の各群に無作為に分けた。試験物質を食塩水0.5mlに溶解し、感作前の2週間、1日1回腹腔内に投与した。
【0214】
感作の前日、マウスの腹部を8%NaS溶液で脱毛した。DNFBをアセトン/オリーブ油(4:1)に溶解して1%の最終濃度とし、感作のためにその50μlを脱毛域に塗布した。初回感作から4日後、遅延過敏症性炎症を引き起こすために、1%DNFB溶液10μlを右耳に局所的に塗布した。DNFBを含まない溶媒の同容量をベースラインとして左耳に塗布した。24時間後、直径6mmのパンチを用いて左右両耳の同一箇所から耳組織一片を採取し、その組織を正確に秤量した。左耳の組織重量を同一マウスの右耳の組織重量から差し引くことにより、耳腫脹を算出した[1]。抑制率(%)=(食塩水対照の耳腫脹−試験群の耳腫脹)/食塩水対照の耳腫脹×100%。
【0215】
1.4 統計分析
統計分析は、SPSSによる一元配置ANOVAを用いて行った。
【0216】
2 結果
【0217】
【表22】

【0218】
3 結論
CMS−030は、食塩水対照と比較して統計的有意性(P<0.05)をもって、DNFBに対するマウスの遅延過敏症反応を抑制できることが判明した。これは、CMS−030が過敏症関連免疫障害の管理に使用し得ることを示した。
【0219】
参考資料
以下の参考資料を出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
[1] Li Weidong, Ren LianSheng, Lin Zhibin, et al. Preliminary study on immunomodulating actions of Actarit in mice. Journal of Beijing Medical University, 2000, Vol, 1(32):1-3.
【実施例10】
【0220】
インビボでのCMS−030の免疫抑制特性に関する試験
目的:CMS−030の抗同種移植片拒絶特性の調査。
【0221】
方法:CMS−030の免疫抑制特性は、インビトロでのTリンパ球増殖および混合リンパ球反応(MLR)で観察した。同種移植片の生存に対するCMS−030の効果は、インビボでのマウスの皮膚および心筋同種移植片動物モデルについて観察した。移植片受容動物の形質転換したT細胞および脾臓細胞のIL−2分泌に対するCMS−030の効果も、観察した。
【0222】
結論:CMS−030は、抗同種移植片拒絶特性を有することが認められた。Tリンパ球活性およびリンパ球によるIL−2分泌の抑制を介して、これを媒介し得る。
【0223】
1 材料および方法
1.1 動物
5週齢で、特定病原体未感染の雌性および雄性のBalb/c(H−2)およびC57BL/6J(H−2)マウス:Institute for Laboratory Animals of Military Medical Academy of Science (Beijing, China)。雄性および雌性が半々。
【0224】
C57BL/6新生児マウスは、自己飼育で得た。
【0225】
1.2 薬物および他の試薬
CMS−030:Shenzhen Kangzhe Pharmaceutical Co. Ltd., Shenzhen, PR Chinaによる特注合成
サイクロスポリン(CsA):Novartis Pharmaceutical Co. Ltd., Basel, Switzerland。CsAの全群に対して最終容量0.5mlにして溶解。
ウシ血清、RPMI−1640、ハンクス液:GIBCO(登録商標), Invitrogen, Carlsbad, California, USA
MTT、ConA:Sigma Chemical Co., St. Louis, Missouri, USA
NaS:Tianjin Beilian Fine Chemicals Co., Ltd., Tianjin, PR China
マウスIL−2 Elisaキット:R&D Systems Inc., Minneapolis, Minnesota, USA
【0226】
1.3 動物の群別
インビボ試験に対して、マウスを以下の各群に無作為に分けた。
CMS−030(10μg/kg/日)
CMS−030(2μg/kg/日)
CsA(10mg/kg/日)
生理食塩水(0.5ml/日)
【0227】
各溶液は、移植前の5日間、1日1回腹腔内注射により投与し、手術後更に20日間継続した。
【0228】
1.4 インビトロでのTリンパ球増殖に対するCMS−030の効果[1]
健常Balb/cマウスの脾臓を無菌的に切除し、氷冷したD−ハンクス液に浸漬した。脾臓細胞は、RPMI−1640中、つや消しスライドグラスで脾臓を破壊することにより調製した。その細胞をRPMI−1640中、4℃および1200rpmで10分間、2回洗浄した。次いで、細胞数を計数し、各アッセイに必要な濃度に調整した。実験における細胞生存率は、トリパンブルー排除法で決定したが、95%を超えるべきである。
【0229】
健常マウスの脾臓細胞は、96穴プレート中で培養し、4×10個/穴の濃度に調整した。CMS−030を最終濃度40μg/ml、8μg/ml、1.6μg/mlおよび0.32μg/mlで各穴に添加した。そのプレートを最終濃度5μg/mlのコンカナバリンA(ConA)の存在下、37℃、5%COの加湿雰囲気中68時間インキュベートした。陽性対照群には、CMS−030を添加しなかった。陰性対照群には、ConA、CMS−030のいずれも添加しなかった。リンパ球の増殖は、インキュベーションの終了時に、臭化3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウム(MTT)比色アッセイにより測定した。MTTを20μl各穴に添加し、プレートを更に4時間インキュベートした。次いで、イソプロピルアルコール中の0.04M HClを100μl各穴に添加することにより、ホルマザン沈殿を可溶化した。各試料のODは、630nmを基準とした570nmで分光法で測定した。
【0230】
1.5 インビトロでの混合リンパ球反応(MLR)に対するCMS−030の効果[2]
健常Balb/cマウスの脾臓細胞を氷冷したD−ハンクス液で洗浄し、RPMI−1640中8×10個/穴へ再懸濁することにより、応答細胞を形成した。健常C57BL/6Jマウスの脾臓細胞懸濁液に、37℃のRPMI−1640中、5%CO中で45分間マイトマイシン(25μg/ml)とインキュベートした後、RPMI−1640で洗浄し、8×10個/穴へ再懸濁することにより、刺激細胞を形成した。試験群に対する96穴培養プレートを用いて、応答細胞100μgおよび刺激細胞100μg、更に最終濃度が40μg/ml、8μg/ml、1.6μg/mlまたは0.32μg/mlとなるように、CMS−030を20μl添加した。陽性対照群に対しては、応答細胞100μl、刺激細胞100μlおよびRPMI−1640を20μl添加した。陰性対照群に対しては、刺激細胞200μlおよびRPMI−1640を20μl添加した。並行する6穴を各組合せに対して用いた。37℃および5%COで5日間インキュベーションした後、リンパ球の増殖をMTT比色アッセイにより測定した。
【0231】
1.6 インビボでの心臓移植片の生存に対するCMS−030の効果[3]
24時間齢新生児C57BL/6Jマウスから、供与心臓を切除した。その心臓をD−ハンクス液に浸漬し、心臓腔から血液を一掃した。その心臓を健常成体Balb/c受容マウスの耳介道に皮下移植した。心臓および該経路中の空気は、僅かな圧力で追い出した。移植後の6日目から開始して、移植心臓の心電図(ECG)を毎日撮った。3日連続ECG信号がなければ、移植術が失敗であることを示し、そのマウスを統計分析から除外した。ECGは毎日追跡し、拒絶時期をECG信号が消えた日とした。試験物質は、手術の6日前から開始して腹腔内に投与した。1群につきマウスは10匹であった。サイクロスポリンAは10mg/kg/日、CMS−030は10μg/kg/日または2μg/kg/日、食塩水は0.5ml/kg/日を投与した。統計分析は、Kaplan−Meierの対数順位検定による食塩水処置群との比較を用いて行った。
【0232】
1.7 インビボでの皮膚同種移植片の生存に対するCMS−030の効果[4]
Balb/cマウスの背部の毛1パッチを8%NaS溶液により除去した。翌日、その皮膚を外科的に除去することにより、約1cmの創傷床を生成し、次いでその創傷床上に、同性のC57BL/6J供与マウスの全厚尾部皮膚片1cmを載せた。その手術部位をパラフィンガーゼ層で被覆、保護した後、絆創膏を施した。移植から8日後に絆創膏を外し、同種移植片の生存性について受容マウスを毎日監視した。拒絶の終点は、同種移植片の10%未満だけがなお生存しているときに設定した。試験物質による腹腔内処置は、手術の6日前に開始した。1群につきマウスは10匹であった。サイクロスポリンAは10mg/kg/日、CMS−030は10μg/kg/日または2μg/kg/日、食塩水は0.5ml/kg/日を投与した。処置は、手術後更に20日間継続した。
【0233】
1.8 インビボでのTリンパ球増殖に対するCMS−030の効果[5]
皮膚移植片受容マウスの脾臓細胞を分離し、RPMI−1640中で4×10個/mlに再懸濁した。細胞100μl/穴を96穴プレート中に添加した。試験穴に対しては、ConA100μlを添加して最終濃度5μg/mlとした。対照穴に対しては、RPMI−1640を100μl代わりに添加した。1条件につき並行穴4個。細胞は、37℃および5%COで68時間インキュベートした。リンパ球の増殖は、MTT比色アッセイにより測定した。各試料のODは、630nmを基準とした570nmで分光法で測定した。データは、試験群のODを対照群のODで割った刺激指数として表示した。
【0234】
1.9 インビボでのIL−2量に対するCMS−030の効果[6]
皮膚移植片受容マウスの脾臓細胞を分離し、RPMI−1640中で2×10個/mlに再懸濁した。細胞1.5ml/穴を24穴プレート中に添加し、付着させるために24時間インキュベートした。ConA100μlを添加して最終濃度10μg/mlとした。細胞を更に48時間インキュベートし、続いて遠心分離後に上清を採集した。培養上清中のIL−2量をELISAにより決定した。
【0235】
1.10 統計分析
Kaplan−Meierの対数順位検定による対照群との比較を用いて、同種移植片の生存期間の分析を行った。ステューデントの両側t検定による平均値の分散との比較は、他の実験のために使用した。
【0236】
2 結果
【0237】
【表23】

【0238】
【表24】

【0239】
【表25】

【0240】
【表26】

【0241】
【表27】

【0242】
【表28】

【0243】
結論
0.32μg/mlから40μg/mlの濃度で、CMS−030は、インビトロでのConA誘発Tリンパ球増殖を統計的に有意に抑制できることが判明し、CMS−030がインビトロでTリンパ球の増殖を抑制できることを示した。MLRは、異なるHLA−II分子に対するリンパ球の応答を判定するためのインビトロ実験であり、臓器移植後の拒絶性を予測するモデルである[7]。1.6μg/mlから40μg/mlの濃度で、CMS−030は、混合リンパ球反応を統計的に有意に抑制できることが判明し、CMS−030が臓器移植後の拒絶性を減少させることができることを示した。
【0244】
心臓移植片および皮膚同種移植片の実験は、移植後の拒絶を抑制する研究の動物モデルであった[7]。投与量2μg/kg/日および10μg/kg/日のCMS−030は、統計的有意性をもって移植片の生存を延長できることが判明し、CMS−030が、宿主免疫応答による移植片の拒絶を抑制できることを示した。皮膚移植片受容マウスから分離した脾臓細胞の分析により、CMS−030は、いずれも統計的有意性をもって、リンパ球の活性化およびTリンパ球によるIL−2分泌を抑制できることが明らかとなり、同種移植片の生存延長が、受容動物の免疫応答の抑制により実現されることを示した。
【0245】
参考資料
以下の参考資料を出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
[1] Roma Kalra, Shashi P. Singh, Juan C, et al. Immunosuppressive and Anti−Inflammatory Effects of Nicotine Administered by Patch in an Animal Model. Clinical and Diagnostic Laborarory Immunology, May 2004, 563?568.
[2] Dubey DP, Yunis I, Yunis EJ, et al. Cellar typing: mixed lymphocyte response and cell mediated lympholysis. American Society for Microbiology, 1986, 847−848.
[3] Vakeva A Laurila P,Meri S, et al.. Regulation of complement membrane attack complex formation in myocardial infarction. Am J Pathol, 1993, 143:65.
[4] Ming Jiankuo, Wang Xingbing, Huang Baojun, et al. Peptide Nucleic Acid Antisense Prolongs Skin Allograft Survival by Means of Blockade of CXCR3 Expression Directing T Cells into Graft. The Journal of Immunology, 2003, 170:1556?65.
[5] Maria A. Puertollano, Manuel A. de Pablo, et al. Relevance of Dietary Lipids as Modulators of Immune Functions in Cells Infected with Listeria monocytogenes. Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology. 2002, 9:352−357.
[6] Mayumi H,Himeno K,Shin T, et al. Drug−induced tolerance to allografts in mice. Immunobiology, 1985, 169(2):147−161.
[7] Rene J.Duquesnoy Li YP. Transplantation immunobiology. 2002, 10:5−7.
【実施例11】
【0246】
マウスの運動誘発疲労に対するペプチドの効果
目的:Balb/cマウスに対するペプチドの抗疲労効果の調査。
【0247】
方法:雄性Balb/cマウスの水泳時間をペプチドの抗疲労効果を調べる動物モデルとして使用した。
【0248】
結果:CMS−001.30およびCMS−001.31は、対照と比較して統計的有意性(P<0.01)をもって、マウスの水泳時間を延長できることが判明した。
【0249】
結論:CMS−001.30およびCMS−001.31は、抗疲労特性を有しており、疲労関連障害の管理に使用し得る。
【0250】
1 材料および方法
1.1 薬物および試薬
CMS−001.30およびCMS−001.31は、Shenzhen Kangzhe Pharmaceutical Co. Ltd., Shenzhen, PR Chinaにより特注合成された。
エリスロポエチン(EPO):Japan Kunpeng Medical Corporation
【0251】
1.2 動物
特定病原体未感染(SPF)等級で体重18〜22gの雄性Balb/cマウス:Academy of Military Medicines and Sciences Experimental Animal Center, PR China
【0252】
1.3 群別および方法[1]
Balb/cマウスを、CMS−001.30(20μg/kg/日)、CMS−001.31(20μg/kg/日)、EPO(1000u/kg/日、週3回)、および食塩水対照の各群に無作為に分けた。試験物質を食塩水0.5mlに溶解し、1日1回30日間連続して腹腔内に適用した(EPOを適用しない場合、EPOを食塩水で代用した)。10日目に、マウスを水温25±1℃で10分間泳ぐように訓練した。試験物質の最終投与から30分後、マウスを水泳槽(50cm×50cm×40cm)中で泳ぐように配置した。水深は30cm、水温は25±1℃であった。マウスの四肢は、その全過程で動かし続けられた。死亡するまでのマウスの水泳時間(分)を記録した。
消耗的水泳時間延長率(ESTR)(%)=(試験群の平均消耗的水泳時間−食塩水対照の平均消耗的水泳時間)/(食塩水対照の平均消耗的水泳時間)×100%
【0253】
1.4 統計
群同士間の差異は、ANOVA分散分析で分析した。
【0254】
2 結果
【0255】
【表29】

【0256】
3 結論
CMS001−30およびCMS001−31は、抗疲労特性を有することが判明したので、疲労関連障害の管理に使用することができる。
【0257】
参考資料
以下の参考資料を出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
1. Mizunoya W, Oyaizu S, Ishihara K, et al.Protocol for measuring the endurance capacity of mice in an adjustable−current swimming pool. Biosci Biotechnol Biochem. 2002 May; 66(5):1133−1136.
【0258】
上記情報に基づいて、多様な医薬製剤を開示したペプチドから作製することができる。該医薬製剤は、公知の医薬担体のいずれを含んでもよい。適切な担体の例には、医薬として許容される当業者に公知の標準的担体が含まれる。こうした担体には、それだけに限らないが、生理食塩水、水、油水混合物またはトリグリセリド乳濁液を含む乳濁液、ならびに他種の作用剤、充填剤、コート錠およびカプセルが挙げられる。適当な担体は、医薬組成物の投与方式に基づいて選択し得る。
【0259】
医薬製剤は、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、および皮下埋め込みを介して投与することができる。該ペプチドは、例えば、錠剤、カプセル、懸濁液、溶液などの経口投与の任意の形態、即ち、改変しない通常の形態、もしくは徐放形態、または胃腸保護をして、もしくはせずに投与することもできる。該ペプチドは、軟膏、クリーム、ゲルなどの局所塗布の任意の形態で、経皮的促進用具を使用し、または使用せずに適用することもできる。該ペプチドは、単独で、または他のペプチド配列と組み合わせて、その遺伝子配列中に解釈し込み、発現系の中にクローニングすることにより、生成ペプチド分子を発生させて、本明細書に記載の該ペプチドの活性を利用してもよい。
【0260】
各ペプチドの投与量は、1ng〜10g/kg体重とし得る。好ましい投与量は、注射投与方式に対して、10ng〜10mg/kg、より好ましくは1μg〜1mg/kgである。しかし、該ペプチドの1種または複数は、正常な生理的応答のカスケードを誘発すると見込まれる受容体を介して作用し得るので、その有効用量は1ng/kg体重という少量にもなることができる。あるいは、該ペプチドの1種または複数は、全反応カスケードの単なる開始剤に過ぎないこともある。経口摂取に対しては、その量は、1ng〜10g/日/kg体重、より好ましくは0.1μg〜1g/日/kg体重、更により好ましくは1μg〜10mg/日とし得る。
【0261】
前記ペプチド配列に基づく遺伝子治療は、当技術分野で公知の方法に基づき、またその全体が参照により本明細書に組み込まれている、特許公開WO03/006492A2にも基づいて実施し得る。該ペプチドは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、特許公開WO2004/055042A1に開示された教示に基づいて、他の強化分子と結合させてもよい。
【0262】
参考資料
以下の参考資料を出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
1. Principles of Pre−clinical Research of New Drugs, People’s Republic of China. 1993, 7:134−135.
2. Shuyun Xu, Rulian Bian, Xiu Chen. Methodology of pharmacological experiment. People’s Health Publishing House. 1991, 1221−1234.
3. Principle of new drug research in pre−clinic issued by Ministry of Health, People’s Republic of China. 1993, 7:140.
4. Jinsheng He, Ruizhu Li, Tingyi Zong. The study on MTT reduction method of testing NK cell activity. China Immunology Journal. 1996, 1(6):356−358.
5. Qian Wang. Modern medical experiment method. People’s Health Publishing House. 1998, 482−483.
6. Principle of new drug research in pre−clinic issued by Ministry of Health, People’s Republic of China. 1993, 7:141.
7. Principle of new drug research in pre−clinic issued by Ministry of Health, People’s Republic of China. 1993, 7:132−133.
8. Principle of new drug research in pre−clinic issued by Ministry of Health, People’s Republic of China. 1993, 7:128−129.
9. Yuanpei Zhang, Huaide Su. Phamalogical experiment (second edition). People’s Health Publishing House. 1998, 137−138.
10. Jiatai Li, clinical pharmacology(second edition). People’s Health Publishing House. 1998, 1338−1339.
【実施例12】
【0263】
遺伝子操作した乳酸桿菌細菌種によるペプチドの送達
下記に、上記のような宿主へ本発明のペプチドを送達するための一例の方法を提供する。上記の表Aに列挙したペプチドのうち1つをコードするDNA配列は、化学的手段によって合成され、該DNA配列は、当業者によく知られた遺伝子操作の標準的技術を用いて、発現ベクター中へ挿入される。選択された発現ベクターは、乳酸桿菌において機能的な構造性プロモーター、特定の5’ないし3’配向におけるDNA配列の導入のためのマルチプルクローニングサイト、ならびに抗生物質耐性(クローニング法において助けるための)を与える選択マーカー遺伝子を含有し、ペプチドの生産および/または分泌を補助するための他の配列、例えば、シグナルペプチド配列を含みうる。かかるベクターの例は、Pavlaの米国特許第5,592,908号(出典明示により、全体として本明細書の一部とされる)によって提供される。簡単に言うと、該特許は、乳酸桿菌種において機能する数個の既知のプロモーター、ならびに該細菌中の新規なプロモーター(そのいずれも、乳酸桿菌中でペプチドを発現するように、本発明のペプチドをコードしている核酸に作動可能に連結されていてもよい)を見出す方法を論じる。上記の米国特許第5,529,908号に記載のようなラクトバシラス・ラクチス中で活性な16ないし35個のほとんど疎水性のアミノ酸よりなるペプチドのようなシグナルペプチドをコードしている核酸は、プロモーターと本発明のペプチドをコードしている核酸との間に挿入され、その結果、シグナルペプチドをコードしている核酸は、本発明のペプチドをコードしている核酸を有するフレーム内にある。
【0264】
ペプチドのコーディング配列のほかに、合成されたDNA配列は、該DNAの発現ベクター中への連結およびクローニングにおいて助けとなる配列を含んでいてもよい。例えば、ベクターのマルチプルクローニングサイトにおいて見出される配列に対応する制限酵素認識部位を、該配列の5’および3’末端にて該合成DNA中に組み込むことができ、その結果、該配列をベクター内で適当な配向でクローン化することができる。ベクターおよび合成DNAの両方とも、特定の制限酵素で消化され、次いで、精製される。ベクターおよび合成DNAとの連結反応の後、イー・コリの適当な株に形質転換する。形質転換された細菌は、ベクターが耐性を与える抗生物質を含有する培地に植える。形質転換された細菌のコロニーを、生育培養およびプラスミド調製法について選択し;正しい配向の合成DNAの存在を確認する。
【0265】
次いで、発現ベクターを乳酸桿菌種、例えば、エル・アシドフィルスの細菌宿主細胞中に形質転換する。形質転換細胞は、ベクター配列内に見出される選択マーカーによって選択され、該ペプチドの分泌は、ウェスタン・ブロットを行い、成長培地中に存在するペプチドのゲル電気泳動を行い、または他の標準的な技術によって証明されうる。細菌の形質転換コロニーを選択し、遺伝子操作した細菌の大量培養を調製するために用いる。所望のペプチドを発現している遺伝子操作した細菌の培養物を増殖させ、少なくとも、その一部を、その中で細菌が複製することのできる宿主生物の消化管、膣、気管または他の領域に投与する。所望により、細菌培養物は、宿主による腸での消費のためのサプリメントを生産するための種々の方法において処理することができる。これらの処理は、凍結乾燥または細菌を保存するための他の方法を包含し、さらに、細菌と担体薬剤、例えば、溶液、溶媒、分散培地、遅延剤、エマルジョンなどと組み合わせる。サプリメントを調製するためのこれらの薬剤の使用は、当該分野でよく知られている。例えば、細菌を用いて、ヒト消費用の発酵乳製品または他の食品を製造することができ、その結果、該ペプチドを発現している生物は宿主生物の胃でコロニー形成する。乳酸菌の特定の株をヨーグルト、キムチ、チーズおよびバターなどの食品中に組み込むための多くの異なる方法が、Ohの米国特許第6,036,952号(出典明示により、全体として本明細書の一部とされる)において開示される。多くの経路のうち1つによる細菌の消費において、操作された生物は胃でコロニー形成でき、胃の粘膜層を介する本発明のペプチドの提示および/または吸収を可能にする。
【実施例13】
【0266】
バシラス・サチルスの遺伝子操作形態によるペプチドの送達
下記に、上記のような宿主へ本発明のペプチドを送達するための別例の方法を提供する。上記の表Aに列挙したペプチドのうち1つをコードするDNA配列は、化学的手段によって合成され、該DNA配列は、遺伝子操作技術(全ての技術は当該分野で知られている)によって、発現ベクター中へ挿入される。選択される発現ベクターは、イー・コリおよびビー・サチルスの両方において増殖することができ、形質転換細菌のコロニーを選択するための抗生物質耐性遺伝子を含有するシャトルベクター、例えば、pTZ18R(Pharmacia, Piscataway, NJ)を含む。該ベクターは、ビー・サチルスにおいて活性な構造性プロモーター、例えば、ビー・サチルスのSac B遺伝子由来のプロモーターならびに細菌細胞からの発現した異種蛋白質の有効な輸送を指示するビー・サチルスにおいて活性なシグナルまたはリーダーペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含有することができる。かかるベクターの一例は、Fahnestockの米国特許第6,268,169号(出典明示により、全体として本明細書の一部とされる)に開示される。簡単に言うと、上記のように、本発明のペプチドをコードしているDNAは、当業者によく知られた技術によって、DNAのクローニングを容易にするための制限酵素部位および/または他の配列を用いて合成されるであろう。イー・コリ中への形質転換、播種、選択およびプラスミドを増殖してプラスミドストックを作成後、該プラスミドをビー・サチルス中に形質転換し、播種培地において、形質転換体を抗生物質耐性によって選択する。
【0267】
遺伝子操作したビー・サチルスにおけるペプチドの生産および該細菌からのその分泌は、当業者によく知られた技術、例えば、SDS−PAGE分析またはウェスタンブロット後のオートラジオグラフィック検出のためのペプチドの放射能標識を用いて証明される。
遺伝子操作された細菌の培養物を増殖させ、少なくともその一部を細菌が増殖することのできる宿主生物の消化管、膣、気管または他の領域に投与する。
【実施例14】
【0268】
遺伝子操作されたサッカロミセス酵母種によるペプチドの送達
下記に、上記のような宿主へ本発明のペプチドを送達するための別例の方法を提供する。上記の表Aに列挙されたペプチドのうち1つをコードするDNA配列は、化学的手段によって合成され、該DNA配列は、遺伝子操作技術(全ての技術は当該分野で知られている)によって発現ベクター中へ挿入される。選択される発現ベクターは、安定に維持された酵母蛋白質発現ベクターを含み、それは、pADH1のような構造性酵母プロモーター、酵母およびイー・コリの両方におけるベクターの複製のための部位、選択目的のために栄養要求性酵母突然変異体に栄養を与える遺伝子、マルチプルクローニングサイト(MCS)および、所望により、シグナルペプチドをコードする配列を含む。このようなベクターは、商業的に入手可能であり、当該分野でよく知られているか、または標準的な技術を用いて容易に構築できる。合成DNAの酵母ベクター中への挿入、イー・コリ中への形質転換、形質転換したイー・コリの選択培地への播種、形質転換した細菌コロニーの選択および該コロニー由来の細菌の成長培養物からのプラスミドDNAの調製後、よく知られた技術、例えば、酢酸リチウム形質転換またはエレクトロポレーションによって、ベクターをサッカロミセス・セレビシエ中に形質転換する。形質転換のために選択されたサッカロミセス・セレビシエの株は、最少培地プレート上で生育するために、プラスミド上の遺伝子を必要とするであろう突然変異体栄養要求株である。形質転換された酵母コロニーは、ベクター上に提供される遺伝子を欠く成長培地上に酵母を播種することによって、単離される。ベクターおよびその選択遺伝子を受け取り、その遺伝子産物を発現している酵母だけが、最少培地上でコロニーに成長できるであろう。ペプチド分泌の証明は、ウェスタンブロットを行い、成長培地に存在するペプチドのゲル電気泳動を行うことによって、または他の標準的技術によって、得ることができる。
【0269】
酵母の形質転換コロニーを選択し、大量培養物を調製するために使用する。所望のペプチドを発現している遺伝子操作した酵母の培養物を増殖させ、少なくともその一部を、細菌が複製することのできる宿主生物の消化管、膣、気管または他の領域に投与する。所望により、酵母培養物は、宿主による腸での消化のためのサプリメントを生産する種々の方法において処理できる。これらの処理は、凍結乾燥または酵母を保存する他の方法を包含し、さらに、溶液、溶媒、分散培地、遅延剤、エマルジョンなどの担体物質と細菌を組み合わせることを含む。サプリメントを調製するためのこれらの薬剤の使用は、当該分野でよく知られている。別の具体例において、形質転換した酵母を、当業者によく知られた技術によって、食品、例えば、ヨーグルトおよびケフィールなどの発酵乳製品の生産に用いる。これらの食品中の生きている乳酸菌培養物と同様に、形質転換した酵母は、少なくとも一時的に胃でコロニー形成し、胃の管腔を介してペプチドを宿主へ提供する。
【0270】
本発明は上記した方法ならびに多くの場合において本明細書にて記載されるペプチドの実施例を用いて記載されるが、これは単なる例示であって、本発明を限定すると解釈すべきではない。本明細書に記載のペプチドは本発明の実施形態を示し、本発明の同じ原理はまたそのペプチドの生物学的機能に影響を及ぼすことなく修飾される他の機能的に均等なペプチドに適用できることも理解すべきである。さらには、これらペプチドの医薬用途について上記した疾患または障害がその有用性を支持するのに言及されているが、これらの医薬用途は単なる例示であって、特許請求の範囲を限定するのに用いるべきではない。これらペプチドおよびその機能的誘導体は、それ自身、免疫系を強化またはブーストし、疲労を緩和し、正常なヒトまたは感染患者の血中乳酸量を下げるための、健康食品サプリメントとしての使用に限定されるものではなく、他の可能性のある/意図する用途があることは明らかである。かかるいずれの使用もまた本発明の範囲内にある。
【0271】
前に公開されている配列を有するペプチドに関して、本発明はその新規かつ予期せぬ使用を提供するものであり、これらの新規な使用はこれらの既知のペプチドを以前には予期されない産業上の用途に用いることを支持すると考える。上記に、および特許請求の範囲に記載される新規な医薬用途とは別に、本明細書の教示に基づいて正常な個体の状態を改善するための食餌または栄養サプリメントとして用いることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む、実質的に純粋なペプチド。
【請求項2】
以下の状態:疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲の少なくとも1種を調節する、請求項1に記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項3】
前記栄養障害が、以下の状態:肝グリコーゲン貯蔵、血中乳酸量、血中脂質量、トリグリセリド量および総コレステロール量、肥満、ならびに体重過多の少なくとも1種を含む、請求項2に記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項4】
前記代謝障害が、以下の状態:肝グリコーゲン貯蔵、血中乳酸量、血中脂質量、トリグリセリド量および総コレステロール量、肥満、ならびに体重過多の少なくとも1種を含む、請求項2に記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項5】
前記脂質代謝が、以下の状態:血中脂質量、トリグリセリド量および総コレステロール量、肥満、ならびに体脂肪過多の少なくとも1種を含む、請求項2に記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項6】
前記アシドーシスが、以下の状態:高血中乳酸量(複数)の少なくとも1種を含む、請求項2に記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項7】
免疫活性の前記調節が、以下の状態:放射線療法誘発免疫不全症、免疫過敏症、Tリンパ球増殖、および混合リンパ球増殖の少なくとも1種の調節を含む、請求項2に記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項8】
前記癌増殖が、以下の癌:肝癌および胃癌の少なくとも1種を含む、請求項2に記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項9】
配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列から本質的になる、実質的に純粋なペプチド。
【請求項10】
以下の状態:疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲の少なくとも1種を調節する、請求項9に記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項11】
配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドの機能的誘導体を含む、実質的に純粋なペプチド。
【請求項12】
以下の状態:疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲の少なくとも1種を調節する、請求項11に記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項13】
本質的に、配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドの機能的誘導体からなる、実質的に純粋なペプチド。
【請求項14】
以下の状態:疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲の少なくとも1種を調節する、請求項13に記載の実質的に純粋なペプチド。
【請求項15】
配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドの強化誘導体を含む分子であって、前記強化誘導体が、前記生物活性ペプチドに作動可能に連結した強化分子を含み、前記強化分子が、前記生物活性ペプチドの治療有効性を強化する、強化誘導体を含む分子。
【請求項16】
配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を含んだペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含む遺伝子ベクター。
【請求項17】
配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を含んだペプチドをコードする、核酸配列を含む遺伝子組成物を有する微生物。
【請求項18】
配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を含んだ実質的に純粋なペプチドを含む、医薬組成物。
【請求項19】
配列番号4、5、8〜11からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドの医薬有効量の投与を含む、ヒト疾患の作用を低下させる方法。
【請求項20】
前記ヒトが、以下の状態:疲労、栄養障害、代謝障害、脂質代謝障害、アシドーシス、免疫活性、放射線作用、肝炎、移植臓器拒絶、癌増殖および食欲の少なくとも1種に罹っている、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
以下の状態:個人の疲労、肝グリコーゲン貯蔵量、血中乳酸量および免疫反応の少なくとも1種を調節する医薬の製造における、配列番号1を含むアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドまたはその機能的誘導体の使用。
【請求項22】
配列番号1を含むアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドまたはその機能的誘導体の医薬有効量を投与することを含む、個人の肝グリコーゲン貯蔵量、血中乳酸量または免疫反応を調節する方法。
【請求項23】
肝炎を治療する医薬の製造における、配列番号2もしくは15を含むアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドまたはその機能的誘導体の使用。
【請求項24】
配列番号2もしくは15を含むアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドまたはその機能的誘導体の医薬有効量を投与することを含む、個人における肝炎を治療する方法。
【請求項25】
疲労を軽減する医薬の製造における、配列番号3を含むアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドまたはその機能的誘導体の使用。
【請求項26】
配列番号3を含むアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドまたはその機能的誘導体の医薬有効量を投与することを含む、個人における疲労を軽減する方法。
【請求項27】
以下の状態:炎症、食欲、体重、体脂肪、血中脂質量、血中トリグリセリド量、血中コレステロール量、炎症および免疫の少なくとも1種を調節する医薬の製造における、配列番号21を含むアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドまたはその機能的誘導体の使用。
【請求項28】
配列番号21を含むアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドまたはその機能的誘導体の医薬有効量を投与することを含む、個人における以下の状態:炎症、食欲、体重、体脂肪、血中脂質量、血中トリグリセリド量、血中コレステロール量、炎症および免疫の少なくとも1種を調節する方法。
【請求項29】
個人の免疫系を調節する医薬の製造における、配列番号7を含むアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドまたはその機能的誘導体の使用。
【請求項30】
配列番号7を含むアミノ酸配列を有する生物活性ペプチドまたはその機能的誘導体の医薬有効量を投与することを含む、個人の免疫系を調節する方法。

【公表番号】特表2009−506757(P2009−506757A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523969(P2008−523969)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/028135
【国際公開番号】WO2007/015918
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(506263398)シーエムエス・ペプタイズ・パテント・ホールディング・カンパニー・リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】CMS Peptides Patent Holding Company Limited
【Fターム(参考)】