説明

新規のピラン誘導体、その調製、及び香料製造におけるその使用

式(I):


(式中、Rは直鎖又は分岐C5アルキル基を表す)の化合物を調製する方法、並びに着香組成物及び/又は風味添加組成物におけるかかる化合物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレグランス及びフレーバーの分野に関する。より詳細には、本発明は新たなピラン誘導体、その調製方法、並びに香料製造及び風味添加の分野におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
テトラヒドロピラン及びジヒドロピランは重要な種類の着香成分に属しており、ローズオキサイド及び類似の誘導体等の既知の化合物を、特許文献1及び特許文献2に記載されるような直鎖若しくは分岐アルキルアルデヒド及びアルケニルアルデヒド、又は特許文献3に記載されるようなベンジルアルデヒドから調製するために、既に多くの研究が行われている。
【0003】
同様に、ピラノール及びそのエステル誘導体又はエーテル誘導体は、特許文献4及び特許文献5に示されるようにアロマ産業において注目されている。
【0004】
新たな着香ピラン誘導体の開発は、かかる化合物が他の着香成分とよく混ざり、化粧品、家庭用品等に使用されるあらゆる香料基剤(perfumed bases)において良好な安定性を有するため重大な課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,681,263号
【特許文献2】国際公開第04/009749号
【特許文献3】瑞国特許第655932号
【特許文献4】米国特許第4,963,285号
【特許文献5】米国特許第4,962,090号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため出願人は、新たなピラン誘導体の調製に着目した。
【0007】
新たな化合物の必要性は、フレグランス産業の発展(近年では、或る特定の材料の使用に関するさらに厳しい国際的規制要件、並びに環境問題及び性能向上についての顧客要求に対峙する必要があった)にとって非常に重要である。新たな着香化合物及び/又は風味添加化合物の開発は、同じ化合物への反復曝露によるアレルギーのリスクを最小限にするよう、既存の着香化合物及び/又は風味添加化合物の代替品を提供するためにも重要である。したがって、新たな着香化合物及び/又は風味添加化合物、並びにかかる化合物を製造する手段を提供することが、本発明の目的の1つである。
【0008】
言い換えると、着香化合物を製造する新たなプロセス、及びかかる化合物を提供することが本発明の目的の1つである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式(I):
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、Rは直鎖又は分岐C5アルキル基を表す)の化合物を調製する方法であって、式(III):
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Rは式(I)に関して定義される通りである)の化合物を、式(IV):
【0014】
【化3】

【0015】
の化合物と、酸の存在下で反応させることを含む、方法を対象とする。該反応は、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンを含む群から選択される有機溶媒中で、約70℃〜還流の温度、好ましくは80℃〜90℃、さらにより好ましくは約80℃で行われ、それにより式(I)の化合物が得られる。
【0016】
本発明は式(I)の化合物の全ての異性体を含む。
【0017】
好ましい実施の形態では、式(III)の化合物は、2−エチル−ブチルアルデヒド及びヘキサナールを含む群から選択される。
【0018】
酸は好ましくは、p−トルエンスルホン酸(PTSA)、HSO及び担持酸(supported acid)、特にイオン交換樹脂又は粘土に担持された酸を含む群から選択される。特に好ましい担持酸は、モンモリロナイト等の粘土、又はイオン交換樹脂に担持されたHSO、スルホン酸及びZnClである。好適な担持触媒の例としては、例えばAmberlyst(登録商標)15という商品名で販売されるイオン交換樹脂に担持されたHSO、Montmorillonite KSFという商品名で販売されるモンモリロナイトに担持されたスルホン酸、及びMontmorillonite K10という商品名で販売されるモンモリロナイトに担持されたZnClが挙げられる。担持酸の主要な利点は、特に反応生成物からのその分離の点から見て、使用が容易であることである。さらに、例えばAmberlyst(登録商標)15等の或る特定の酸を、活性の喪失が現れるまで数サイクルの間使用することができる。
【0019】
担持酸は、化合物(III)の重量の5重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜30重量%、さらにより好ましくは約10重量%の量で有利に使用される。
【0020】
p−トルエンスルホン酸(PTSA)及びHSO等の非担持酸は、化合物(III)の重量の1重量%〜10重量%、好ましくは2重量%〜5重量%、さらにより好ましくは約5重量%の量で有利に使用される。
【0021】
酸は、ハロゲン化カルボン酸、又はカルボン酸とハロゲン化カルボン酸との混合物であってもよい。好ましいカルボン酸は酢酸であり、好ましいハロゲン化カルボン酸はトリフルオロ酢酸である。混合物として使用される場合、カルボン酸/ハロゲン化カルボン酸、特に酢酸/トリフルオロ酢酸のモル比は0:100〜99:1、好ましくは50:50〜95:5の間に含まれ、さらにより好ましくはモル比は約85:15である。単独のハロゲン化カルボン酸の代わりにカルボン酸とハロゲン化カルボン酸との混合物を用いることの主要な利点は、コストの削減である。より多くのハロゲン化カルボン酸をカルボン酸で置き換えるほど、この方法は経済的観点からさらに魅力的なものとなる。
【0022】
酸がハロゲン化カルボン酸、又はカルボン酸とハロゲン化カルボン酸との混合物である場合、本発明の方法は、式(I)のピラノールを得るために鹸化を行う工程をさらに含む。
【0023】
本発明の有利な態様では、化合物(III)と化合物(IV)との反応は、1時間〜48時間、好ましくは1時間〜8時間、さらにより好ましくは約2時間行われる。
【0024】
本発明の方法は、良好な収率での式(I)の化合物の調製を可能にする。好ましい式(I)の化合物は、Rが1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル(1−エチル−プロピル)、1−(2−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択される式(I)の化合物である。新規の式(Ia)の化合物。特に好ましい式(I)の化合物は、2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール及び2−(1−ペンチル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オールである。
【0025】
本発明の方法の変形形態では、該方法は、式(I)の化合物を、式(V):
R’−O−R’ (V)
の酸無水物、又は式(VI):
R’−X (VI)
のハロゲン化アシル(式中、R’は水素、又は直鎖若しくは分岐C1〜C6アルキル基、又は直鎖若しくは分岐C2〜C6アルケニル基で置換されたカルボニル基である)と反応させ、それにより式(Ia):
【0026】
【化4】

【0027】
(式中、Rは式(I)に関して定義される通りであり、R’は式(V)及び式(VI)に関して定義される通りである)の化合物を得る工程をさらに含む。
【0028】
好ましくは、R’はアセチル、プロピオニル、クロトニル(ブト−2−エノイル)、2−メチル−ブト−2−エノイル、ブチリル、イソブチリル、2−メチル−ブチリル、バレリル、イソバレリル、2−メチル−バレリル、3−メチル−バレリル、ヘキセノイル、ヘキサ−3−エノイルから成る群から選択される。
【0029】
好ましい式(Ia)の化合物は、2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアセテート、プロピオン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステル、ブト−2−エン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステル、ブト−3−エン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステル及び4−メチル−2−(1−ペンチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアセテートから成る群から選択される。
【0030】
エステル化は、当該技術分野で既知の方法に従って行われる。
【0031】
本発明による方法は、環化とエステル化との間に式(I)の化合物を精製する工程を含み得る。一方で、エステル化は式(I)の粗ピラノールを用いて行うこともできる。中間体精製は、反応混合物が、最終エステルから分離することが困難であるが、式(I)のピラノールからはより容易に分離することができる副生成物を含有する場合に特に有利である。
【0032】
本発明の別の態様では、方法は、式(I)の化合物を脱水し、それにより式(II):
【0033】
【化5】

【0034】
(式中、Rは式(I)に関して定義される通りであり、点線は4位の炭素原子を含む二重結合を表す)の化合物を得ることをさらに含む。
【0035】
脱水は、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンから成る群から選択される溶媒中で有利に行われる。化合物(I)の調製と同じ溶媒中で脱水を行うのが好ましい。この反応は、約70℃〜還流の温度、好ましくは還流温度で行われる。
【0036】
本発明のさらに別の態様では、方法は、式(I)の化合物を脱水して式(II)の化合物を得た後に、化合物(II)を水素化し、それにより対応する式(II’):
【0037】
【化6】

【0038】
の4−メチル−テトラヒドロピランを得る、水素化する工程を含む。
【0039】
水素化は、当該技術分野で既知の任意の好適な水素化方法に従って行われる。好適な方法は、Pd(パラジウム)炭の存在下での水素化である。
【0040】
本発明は、式(II):
【0041】
【化7】

【0042】
(式中、Rは3−ペンチル、1−(2−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択され、点線は4位の炭素原子を含む二重結合を表す)の化合物も対象とする。したがって、式(II)の化合物は以下の化合物となる:
【0043】
【化8】

【0044】
(式中、Rは一般式(II)に関して定義される通りである)。
【0045】
好ましい式(II)の化合物は、4−メチレン−2−(3−ペンチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン、4−メチル−2−(3−ペンチル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン、4−メチル−2−(3−ペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン、4−メチレン−2−(1−ペンチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン、4−メチル−2−(1−ペンチル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン、4−メチル−2−(1−ペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピランから選択される。
【0046】
本発明は、式(II’):
【0047】
【化9】

【0048】
(式中、Rは直鎖又は分岐C5アルキル基、好ましくは1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル(1−エチル−プロピル)、1−(2−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択される基を表す)の化合物をさらに対象とする。
【0049】
選択された新規の式(I)及び式(Ia)の化合物は、本発明の別の目的である。新規の式(I):
【0050】
【化10】

【0051】
の化合物は、Rが3−ペンチル、(1−エチル−プロピル)、1−(2−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択される式(I)の化合物である。特に好ましい式(I)の化合物は、2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オールである。
【0052】
新規の式(Ia):
【0053】
【化11】

【0054】
の化合物は、Rが1−ペンチル、3−ペンチル、1−(2−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択され、R’が水素原子、又は直鎖若しくは分岐C1〜C6アルキル基、又は直鎖若しくは分岐C2〜C6アルケニル基で置換されたカルボニル基である式(Ia)の化合物である。好ましくは、R’はアセチル、プロピオニル、クロトニル(ブト−2−エノイル)、2−メチル−ブト−2−エノイル、ブチリル、イソブチリル、2−メチル−ブチリル、バレリル、イソバレリル、2−メチル−バレリル、3−メチル−バレリル、ヘキセノイル及びヘキサ−3−エノイルから成る群から選択される。特に好ましい式(Ia)の化合物は、2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアセテート、プロピオン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステル、ブト−2−エン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステル、ブト−3−エン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステル及び4−メチル−2−(1−ペンチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアセテートである。
【0055】
本発明の化合物は魅力的な嗅覚特性(olfactiveproperties)を示す。特に、Florol(2−イソブチル−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール)と比較すると、2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オールは、最初の匂い(starting odor)はあまり強くないが、ノートはより長く持続し、フローラル組成物に非常によく混ざって、他のトップノート化合物をエンハンスさせる。したがって、本発明の化合物は香料製造の分野において特に興味深い。
【0056】
したがって、本発明のさらなる目的は、香料製造の分野における、香料基剤及び香料濃縮物、フレグランス、香料;局所(topic)組成物;フェイスクリーム及びボディクリーム、洗顔料、フェイシャルトリートメント、タルクパウダー、ヘアオイル、シャンプー、ヘアローション、バスオイル及びバスソルト、ボディソープ(shower and bath gels)、石鹸、制汗剤(body anti-perspirants)及びデオドラント(deodorizers)、プレシェーブクリーム及びプレシェーブローション、シェービングクリーム及びシェービングローション、並びにポストシェーブ(post-shave)クリーム及びポストシェーブローション、クリーム、歯磨き粉、洗口液(mouth baths)、ポマード等の化粧品組成物;並びに柔軟剤、洗剤、防臭剤及び家庭用クリーニング用品等の洗濯用品(cleaning products)を調製するための、式(I)の化合物(Rが3−ペンチル(1−エチル−プロピル)、1−(2−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択される)、式(Ia)の化合物(Rが1−ペンチル、3−ペンチル、1−(2−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択され、R’が水素原子、又は直鎖若しくは分岐C1〜C6アルキル基、又は直鎖若しくは分岐C2〜C6アルケニル基で置換されたカルボニル基である)、式(II)の化合物(Rが直鎖又は分岐C5アルキルであり、点線は4位の炭素原子を含む二重結合を表す)、又は式(II')の化合物(Rが直鎖又は分岐C5アルキルである)の使用である。
【0057】
本発明は、食品、飲料及びタバコの調製のための風味添加剤としての、式(I)の化合物(Rが3−ペンチル(1−エチル−プロピル)、1−(2−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択される)、式(Ia)の化合物(Rが1−ペンチル、3−ペンチル、1−(2−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択され、R’が水素原子、又は直鎖若しくは分岐C1〜C6アルキル基、又は直鎖若しくは分岐C2〜C6アルケニル基で置換されたカルボニル基である)、式(II)の化合物(Rが直鎖又は分岐C5アルキルであり、点線は4位の炭素原子を含む二重結合を表す)、又は式(II’)の化合物(Rが直鎖又は分岐C5アルキルである)の使用も対象とする。食品及び飲料は、好ましくは乳製品、アイスクリーム、スープ、ソース、ディップ、料理(dishes)、肉製品、調味料(culinary assistances)、塩味のビスケット、スナック、清涼飲料、ビール、ワイン及びスピリッツから成る群から選択される。
【0058】
本発明はまた、例えば医薬組成物、化粧品組成物又は食品組成物における匂い及び/又は風味のマスキング剤としての、式(I)の化合物(Rが3−ペンチル(1−エチル−プロピル)、1−(2−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択される)、式(Ia)の化合物(Rが1−ペンチル、3−ペンチル、1−(2−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択され、R’が水素原子、又は直鎖若しくは分岐C1〜C6アルキル基、又は直鎖若しくは分岐C2〜C6アルケニル基で置換されたカルボニル基である)、式(II)の化合物(Rが直鎖又は分岐C5アルキルであり、点線は4位の炭素原子を含む二重結合を表す)、又は式(II’)の化合物(Rが直鎖又は分岐C5アルキルである)の使用を対象とする。
【0059】
本発明は、他の着香成分又は風味添加成分、溶媒又は添加剤又は固定剤と組み合わせた、式(I)の化合物(Rが3−ペンチル(1−エチル−プロピル)、1−(2−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択される)、式(Ia)の化合物(Rが1−ペンチル、3−ペンチル、1−(2−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択され、R’が水素原子、又は直鎖若しくは分岐C1〜C6アルキル基、又は直鎖若しくは分岐C2〜C6アルケニル基で置換されたカルボニル基である)、式(II)の化合物(Rが直鎖又は分岐C5アルキルであり、点線は4位の炭素原子を含む二重結合を表す)、又は式(II’)の化合物(Rが直鎖又は分岐C5アルキルである)の使用も提供する。
【0060】
本発明の化合物は、0.001重量%〜99重量%、好ましくは0.1重量%〜50重量%、より好ましくは0.1重量%〜30重量%の範囲に含まれる濃度で使用することができる。これらの値が着香及び/又は風味添加される組成物/物品の性質、所望の香り及び/又は風味の強さ、並びに該組成物又は物品中に存在する他の成分の性質によって決まることは当業者に既知である。本発明の好ましい実施の形態によると、化合物は嗅覚効果のある(olfactory effective)量で使用される。
[定義]
本明細書中で使用される場合、「フレグランス」及び「着香」という用語は、化合物又は化合物の混合物に言及するときには同じ意味で使用され、嗅覚を心地よく刺激することを意図するものである。
【0061】
本明細書中で使用される場合、「風味」及び「風味添加」という用語は、化合物又は化合物の混合物に言及するときには同じ意味で使用され、味覚及び嗅覚を刺激することを意図するものである。同様に本発明の意味においては、「風味添加」という用語は、人間用又は動物用の、任意の液体又は固体、特に飲料、乳製品、アイスクリーム、スープ、ソース、ディップ、料理、肉製品、調味料、塩味のビスケット又はスナックの風味添加に関する。該用語は、ビール、ワイン及びタバコの風味添加も意味する。
【0062】
本明細書中で使用される場合、「嗅覚効果のある量」という用語は、材料中に存在する着香/風味添加化合物のレベル又は量であって、含まれる化合物が官能効果を示すレベル又は量を意味する。
【0063】
「マスキング」という用語は、1つ又は複数の分子が生成物の組成に加わることによって生じる悪臭又は悪い風味の感覚を軽減又は排除することを意味する。
【0064】
「異性体」という用語は、本発明においては、同じ化学式、すなわち同じ数及び種類の原子を有するが、原子の配置が異なる分子を意味する。「異性体」という用語は、構造異性体、幾何異性体、光学異性体及び立体異性体を包含する。該用語は特に、式(I)及び式(Ia)の化合物のシス/トランス異性体(シス異性体はR及びヒドロキシル基が環の同じ側にある異性体であり、トランス立体配置はR及びヒドロキシル基が環の異なる側にある立体配置である)を包含する。
【0065】
「直鎖又は分岐C5アルキル基」という用語は、5個の炭素原子を有する全てのアルキル基を含む。直鎖C5アルキルは1−ペンチルである。分岐C5アルキル基は、2−ペンチル、3−ペンチル、1−(2−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルである。
【0066】
本発明は以下の実施例を参照して、よりよく理解される。これらの実施例は本発明の具体的な実施形態を示すことを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【発明を実施するための形態】
【0067】
[実施例]
実施例1:2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オールの調製
10重量%のモンモリロナイトK10を含む、2−エチル−ブチルアルデヒド(1当量)及び3−メチル−3−ブテン−1−オール(1当量)の2Mトルエン溶液を、還流下又は80℃で2時間加熱する。冷却した後、混合物をフリットで濾過し、溶媒を蒸発させる。次いで、粗混合物をビグリューカラムを用いて減圧蒸留する。より純粋な化合物を得るために、充填カラムを用いて精留(fine distillation)を行ってもよい。
【0068】
結果を下記表に要約する。
【0069】
【表1】

【0070】
このようにして得られる2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−ピラン−4−オールは、通常はシス/トランス異性体の混合物(50:50)である。
【0071】
匂い:トップノート:グリーン、フローラル、スズラン、ローズ系、ローズオキサイド。
ドライダウンノート(Dried down notes):スズラン、レモン系、ムスク系。
【0072】
ブロッター上での持続性(Tenacity):48時間;ローズオキサイドより長い。
【0073】
IR(film、cm−1):592w、633w、882w、936w、1005w、1059w、1083m、1107m、1127m、1166m、1257w、1346w、1379m、1464m、2876s、2963s、3407(br)m。
第1の異性体:
H−NMR(200MHz、CDCl):δ(ppm)0.86(t,J=7.1Hz,6H);1.18〜1.74(m,9H);1.25(s,3H);3.58(ddd,J=2.4Hz,J=5.2Hz,J=11.3Hz,1H);3.71(dt,J=2.5Hz,J=11.9Hz,1H);3.75〜3.90(m,1H)。
【0074】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)11.50&11.55;21.46;32.01;38.86;41.11;45.65;63.80;68.06;74.40。
【0075】
MS[e/m(%)]:186(M+)、115(41)、97(10)、71(97)、69(86)、58(19)、55(17)、43(100)、41(25)。
第2の異性体:
H−NMR(200MHz、CDCl):δ(ppm)0.86(t,J=7.1Hz,6H);1.18〜1.74(m,9H);1.31(s,3H);3.24(ddd,J=2.1Hz,J=5Hz,J=11.4Hz,1H);3.38(dt,J=3Hz,J=12Hz,1H);3.95(ddd,J=1.9Hz,J=5Hz,J=11.9Hz,1H)。
【0076】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)11.44&44.59;21.58;25.39;40.81;42.91;45.71;65.55;69.27;77.02。
【0077】
MS[e/m(%)]:186(M+)、115(34)、71(87)、69(71)、58(13)、55(15)、43(100)、41(23)。
実施例2:2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オールの調製
2−エチルブチルアルデヒド及び3−メチル−3−ブテン−1−オールを、2モル当量の酢酸/トリフルオロ酢酸の混合物(85:15)で処理することによって化合物を調製する。次いで、得られた混合物を還流エタノール中、KOHで処理して、ピラノールを得る。
【0078】
キャラクタリゼーション:実施例1と同様。
実施例3:4−メチレン−2−(ペンタン−3−イル)−テトラヒドロ−2H−ピラン(II−Aa)、4−メチル−2−(ペンタン−3−イル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン(II−Ab)及び4−メチル−2−(ペンタン−3−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン(II−Ac):
方法A:対応するピラノール(実施例1)を、ディーン・スターク装置を用いて、触媒量のPTSAの存在下、還流トルエン中で脱水することによって化合物を調製する。
【0079】
方法B:2−エチルブチルアルデヒド(1mol)及び3−メチル−3−ブテン−1−オールのトルエン溶液を、触媒量の酸と共に還流することによって化合物を直接的にも調製する。反応の終了後、反応混合物を冷却し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させて、濾過する。溶媒を蒸発させて、粗生成物を蒸留により精製する。方法Bについての種々の結果を下記表に要約する。
【0080】
【表2】

【0081】
回収された生成物は、異性体(II−Aa)、(II−Ab)及び(II−Ac)の混合物である。
【0082】
匂い:トップノート:グリーン、ローズ系、メタリック、フルーティ(マンゴー、ベルガモット(bergamote))、プチグレン、ローズオキサイド、オーデコロン。
ドライダウンノート:なし。
【0083】
充填カラムを用いた精留によって、種々のピランa、b又はcの非常に濃縮された画分が得られる。特に、a及びcは純粋な化合物として得られる。
【0084】
IR(film、cm−1):887m、1061m、1095s、1112m、1379m、1462m、1654m、2846m、2875s、2936s、2962s。
4−メチレン−2−(ペンタン−3−イル)−テトラヒドロ−2H−ピラン(II−Aa):
H−NMR(500MHz、CDCl):δ(ppm)0.85(t,J=7.5Hz,3H);0.86(t,J=7.4Hz,3H);1.18〜1.52(m,5H);2.01(t,J=12.2Hz,1H);2.09(dd br,J=0.8Hz,J=13.3Hz,1H);2.15(d br,J=13.1Hz,1H);2.25(dt,J=5.6Hz,J=12.8Hz,1H);3.16(ddd,J=2.2Hz,J=5.5Hz,J=11.2Hz,1H);3.30(ddd,J=2.5Hz,J=10.5Hz,J=11.5Hz,1H);4.04(dd,J=5.6Hz,J=10.8Hz,1H);4.68(s,2H)。
【0085】
13C−NMR(125MHz、CDCl):δ(ppm)11.4;21.4&21.5;35.4;37.8;45.8;68.9;80.5;108.1;145.4. MS[e/m(%)]:168(M+、4)、97(100)、96(30)、69(19)、68(21)、67(54)、55(16)、53(16)、43(16)、41(28)。
【0086】
匂い:グリーン(パセリ)、フルーティ(洋ナシ、グリーンペアー(green pear)の皮)、ローズオキサイド、プチグレン。
4−メチル−2−(ペンタン−3−イル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン(II−Ab):
H−NMR(500MHz、CDCl):δ(ppm)0.87(d,J=7.5Hz,3H);0.87(t,J=6.0Hz,3H);1.18〜1.52(m,5H);1.67(s,3H);1.79(dt,J=5.5Hz,J=13.1Hz,1H);2.16〜2.24(m,1H);3.55(dt,J=3.6Hz,J=10.9Hz,1H);3.96(ddd,J=1.3Hz,J=5.9Hz,J=11.1Hz,1H);4.0〜41(m,1H);5.28(s,1H)。
【0087】
13C−NMR(125MHz、CDCl):δ(ppm)12.0&12.1;21.9&22.3;23.2;30.2;46.2;64.0;75.5;122.7;132.7。
【0088】
MS[e/m(%)]:168(M+、1)、97(100)、43(12)、41(16)。
4−メチル−2−(ペンタン−3−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン(II−Ac):
H−NMR(500MHz、CDCl):δ(ppm)0.87(t,J=7.5Hz,6H);1.2〜1.28(m,1H);1.27〜1.35(m,1H);1.35〜1.47(m,1H);1.45〜1.55(m,2H);1.68(s,3H);1.71〜1.78(m,1H);1.97〜1.06(m,1H);3.38(ddd,J=3.3Hz,J=6.1Hz,J=10.0Hz,1H);4.11(q,J=15.8Hz,2H);5.39(m,1H)。
【0089】
13C−NMR(125MHz、CDCl):δ(ppm)11.2&11.3;21.2&21.3;23.1;32.9;45.6;66.2;75.4;119.6;132.2。
【0090】
MS[e/m(%)]:168(M+、5)、124(9)、97(62)、71(17)、69(100)、68(48)、67(32)、55(27)、53(17)、43(40)、41(50)。
実施例4:2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアセテート
対応するピラノール(実施例1)を、無水酢酸と60℃で2時間〜3時間反応させることによって化合物を調製する。次いで、過剰の無水酢酸及び酢酸を減圧蒸留によって除去する。このようにして得られる生成物をt−ブチルメチルエーテルで希釈し、溶液を水、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄する。硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を蒸発によって除去する。
【0091】
粗生成物を蒸留によって精製し、2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアセテートを異性体混合物として得る。
【0092】
匂い:トップノート:グリーン、柑橘系(hesperidic)、ファッティ、スパイシー。
ドライダウンノート:ウッディ、スパイシー(キャラウェイ(carvi))、パウダリー/スウィート(メチルイオノン、アンバー系、バニラ)。
【0093】
Bp=72℃/0.51トール。
【0094】
IR(film、cm−1):1020m、1083m、1109m、1144m、1236s、1369m、1464m、1736s、2877m、2935m、2964s。
第1の異性体:
H−NMR(200MHz、CDCl):δ(ppm)0.86(t,J=7.2Hz,6H);1.10〜1.65(m,7H);1.61(s,3H);1.86(dt,J=5.3Hz,J=12.9Hz,2H);1.7〜2.3(m,2H);2.01(s,3H);3.35〜3.50(m,1H);3.58(ddd,J=2.1Hz,J=11.7Hz,J=12.5Hz,1H);3.82(ddd,J=1.2Hz,J=5.4Hz,J=11.7Hz,1H)。
【0095】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)11.41&11.59;21.56&21.65;21.63;22.30;36.50;38.35;45.48;63.61;74.25;79.51;170.39。
【0096】
MS[e/m(%)]:228(M+)、97(100)、69(12)、55(6)、43(34)、41(13)。
第2の異性体:
H−NMR(200MHz、CDCl):δ(ppm)0.86(t,J=7.2Hz,6H);1.10〜1.65(m,7H);1.51(s,3H);1.7〜2.3(m,2H);1.97(s,3H);3.29(ddd,J=1.6Hz,J=4.6Hz,J=11.9Hz,1H);3.35〜3.50(m,1H);3.93(ddd,J=1.7Hz,J=5.2Hz,J=12.1Hz,1H)。
【0097】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)11.49&11.56;21.51;22.48;26.39;37.82;39.85;45.73;64.74;76.06;80.55;170.27。
【0098】
MS[e/m(%)]:第1の異性体に同じ(idem)。
実施例5:プロピオン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステルの調製
プロピオン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−ピラン−4−イルエステルを、対応するピラノール(実施例1又は実施例2)及びプロピオン酸無水物から実施例4に従って調製した。これは異性体混合物(55:45)として得られる。
【0099】
匂い:ミルラ(Myrrhe)、炒った豆、パワフルでない。
【0100】
IR(film、cm−1):1003w、1082m、1109m、1142m、1195s、1257w、1358w、1379m、1464m、1734s、2877m、2938m、2964s。
主要異性体:
H−NMR(200MHz、CDCl):δ(ppm)0.85(t,J=7.3Hz,6H);1.11(t,J=7.2Hz,3H);1.15〜1.48(m,5H);1.48〜1.60(m,2H);1.50(s,3H);1.95〜2.05(m,1H);2.15〜2.37(m,4H);3.35〜3.55(m,2H);3.82(ddd,1H、J=1.1Hz,J=5.5Hz,J=11.7Hz)。
【0101】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)9.38;11.37&11.58;21.51;26.44;28.86;36.54;38.31;45.45;63.64;74.17;79.17;173.66。
【0102】
MS[e/m(%)]:242(M+)、169(2)、168(2)、153(2)、140(5)、97(100)、69(15)、57(17)、43(43)、41(13)。
少量異性体:
H−NMR(200MHz、CDCl、選択されたデータ):δ(ppm)1.07(t,J=7.0Hz,3H);1.61(s,3H);1.82(dt,J=5.2Hz,J=12.7Hz,2H);2.05〜2.15(m,2H);2.15〜2.3(m,1H);3.22〜3.5(m,1H);3.55〜3.65(m,1H);3.93(ddd,1H,J=1.5Hz,J=5.1Hz,J=11.8Hz)。
【0103】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)9.12;11.46&11.53;21.47&21.61;21.69;28.71;37.86;39.86;45.71;64.75;76.05;80.24;173.66。
【0104】
MS[e/m(%)]:主要異性体に同じ。
実施例6:ブト−2−エン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステル及びブト−3−エン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステルの調製
これらのエステルを、対応するピラノール(実施例1又は実施例2)及びクロトン酸無水物から実施例4に従って調製する。これらは異性体混合物(80:20)として得られ、精留によって分離することができる。
【0105】
匂い:コーヒー、グリーンナッツ、スパイシー(フェヌグリーク(fenugrec)、ラビッジ(liveche))。
【0106】
IR(film、cm−1):970m、997m、1060w、1083m、1104m、1142m、1188s、1255m、1295m、1315m、1379m、1446m、1462m、1657m、1717s、2876m、2935m、2963s。
ブト−2−エン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステル
この化合物は、エナンチオマーのE/Z混合物(95:5)(シス異性体/トランス異性体の比:50:50)として得られる。
異性体1(E異性体):
H−NMR(200MHz、CDCl):δ(ppm)0.84(t,J=7.2Hz,6H);1.10〜1.67(m,7H);1.52(s,3H);1.85(dd,J=1.7Hz,J=6.9Hz,3H);1.97〜2.13(m,1H);2.13〜2.32(m,1H);3.35〜3.52(m,1H);3.59(dt,J=2.0Hz,J=12.5Hz,1H);3.81(dd,1H,J=4.7Hz,J=11.6Hz);5.79(qd,J=1.6Hz,J=15.5Hz,1H);6.88(qd,J=6.9Hz,J=15.4Hz,1H)。
【0107】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)11.38&11.59;17.81;21.51(2C);26.48;36.57;38.46;45.46;63.62;74.19;79.17;124.11;143.63;165.61。
異性体2(E異性体):
H−NMR(200MHz、CDCl):δ(ppm)0.85(t,J=7.2Hz,6H);1.10〜1.55(m,6H);1.64(s,3H);1.83(dd,J=1.7Hz,J=6.9Hz,3H);1.76〜1.96(m,1H);1.98〜2.15(m,2H);3.30(ddd,J=1.5Hz,J=4.5Hz,J=11.9Hz,1H);3.44(dt,J=2.3Hz,J=12.4Hz,1H);3.93(ddd,J=1.5Hz,J=5.2Hz,J=11.9Hz,1H);5.75(qd,J=1.5Hz,J=15.4Hz,1H);6.86(qd,J=6.9Hz,J=15.5Hz,1H)。
【0108】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)11.47&11.54;17.74;21.48&21.62;21.71;31.90;39.87;45.71;64.74;76.04;80.26;124.20;143.56;165.62。
【0109】
MS[e/m(%)]:(異性体1(Z又はE))254(M+、<1)、168(2)、153(2)、140(6)、97(100)、69(34)、55(6)、43(13)、41(21)。
【0110】
MS[e/m(%)]:(異性体2(Z又はE))254(M+、<1)、97(100)、69(33)、55(5)、43(12)、41(17)。
ブト−3−エン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステル
この化合物はエナンチオマー混合物(20:80)として得られる。
少量異性体:
H−NMR(200MHz、CDCl):δ(ppm)0.84(t,6H,J=7.2Hz);1.10〜1.25(m,3H);1.25〜1.70(m,3H);1.50(s,3H);1.94(d,1H,J=7.3Hz);2.0〜2.35(m,2H);3.04(td,2H,J=1.4Hz,J=7.1Hz);5.07〜5.12(m,1H);5.15〜5.22(m,1H);5.80〜6.02(m,1H)。
【0111】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)11.35&11.53;21.47;26.38;36.44;38.23;40.58;45.40;63.54;74.05;79.89;118.37;130.56;170.58。
【0112】
MS[e/m(%)]:254(M+、<1)、163(13)、97(100)、69(53)、55(8)、43(15)、41(32)。
主要異性体:
H−NMR(200MHz、CDCl):δ(ppm)0.85(t,J=7.2Hz,6H);1.10〜1.55(m,6H);1.61(s,3H);1.76〜1.96(m,1H);1.98〜2.31(m,2H);3.0(td,J=1.4Hz,J=7.0Hz,2H);3.22〜3.40(m,1H);3.40〜3.52(m,1H);3.87〜3.99(m,1H);5.05〜5.21(m,2H);5.80〜6.02(m,1H)。
【0113】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)11.44&11.53;21.60&21.66;26.48;37.78;39.79;40.32;45.68;64.71;76.03;80.94;118.16;130.62;170.60。
【0114】
MS[e/m(%)]:少量異性体に同じ。
実施例7:2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン
この化合物を、Pd炭の存在下で、対応するピラン混合物(実施例3)の水素化によって調製する。
【0115】
これは2つのジアステレオマーの混合物:シス/トランス(72:28)である。
【0116】
匂い:トップノート:ミント系、ココアパウダー、ムスク系。
ドライダウンノート:ムスク系、ダスティ。
【0117】
Bp=76℃〜78℃/1.5kPa。
シス異性体:
H−NMR(CDCl、200MHz):δ(ppm)0.80〜0.95(m,9H);1.10〜1.70(m,9H);3.18(ddd,1H,J=1.2Hz,J=3.28Hz,J=11.1Hz);3.35(td,1H,J=2.1Hz,J=11.8Hz);3.97(ddd,1H,J=1.2Hz,J=4.5Hz,J=11.3
Hz)。
【0118】
13C−NMR(CDCl、50MHz):δ(ppm)11.64、21.67&21.76、22.57、30.67、35.04、36.98、46.14、68.32、79.30。
トランス異性体:
H−NMR(CDCl、200MHz、選択されたデータ):δ(ppm)1.04(d,3H,J=7.1Hz);1.65〜1.90(m,2H);1.92〜2.12(m,1H);3.40〜3.95(m,3H)。
【0119】
13C−NMR(CDCl、50MHz):δ(ppm)11.24&11.27、18.44、21.29&21.47、25.02、32.33、34.10、44.47、62.92、73.55。
【0120】
IR(film、cm−1):1082s、1097s、1174m、1458m、2840s、2874s、2928s、2959s。
【0121】
MS[e/m(%)]:(シス)170(M+)、169(1)、99(100)、81(15)、55(22)、43(35)、41(16)。
【0122】
MS[e/m(%)]:(トランス)同上(ibid)。
実施例8:4−メチル−2−(1−ペンチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オールの調製
この化合物を、ヘキサナール及び3−メチル−3−ブテン−1−オールから実施例1に従って調製する。これは異性体混合物として得られる。
【0123】
匂い:トップノート:グリーン(草、スミレの葉)、フルーティ(リンゴ、パイナップル)、ローズ系。
ドライダウンノート:よりフローラル(ジャスミン系、ローズ系)、フルーティ。
【0124】
IR(film、cm−1):1087m、1111s、1173m、1259m、1378m、1463m、2861s、2933s、2958s、3431m(br)。
主要異性体:
H−NMR(200MHz、CDCl):δ(ppm)0.85(t,J=6.4Hz,3H);1.2〜1.8(m,12H);1.21(s,3H);3.39(dt,J=2.9Hz,J=12.0Hz,1H);3.50〜3.65(m,1H);3.75〜3.87(m,1H)。
【0125】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)13.99;22.56;25.14;31.76;31.89;36.14;38.71;44.63;63.56;67.82;72.92。
【0126】
MS[e/m(%)]:186(M+)、115(28)、112(23)、97(21)、83(22)、71(90)、69(71)、58(31)、55(26)、43(100)、41(31)。
少量異性体:
H−NMR(200MHz、CDCl、選択されたデータ):δ(ppm)1.29(s,3H);3.17〜3.32(m,1H);3.72(dt,J=2.4Hz,J=11.5Hz,1H);3.93(ddd,J=1.8Hz,J=5.0Hz,J=11.9Hz,1H)。
【0127】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)13.99;22.56;25.17;25.38;31.83;36.30;40.63;46.57;65.35;68.82;75.87。
【0128】
MS[e/m(%)]:186(M+)、115(38)、71(92)、69(68)、58(25)、55(20)、43(100)、41(27)。
実施例9:4−メチレン−2−(1−ペンチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン(II−Ba)、4−メチル−6−(1−ペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン(II−Bb)及び4−メチル−2−(1−ペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン(II−Bc)の調製
4−メチレン−2−ペンチル−テトラヒドロ−ピラン(II−Ba)、4−メチル−6−ペンチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン(II−Bb)及び4−メチル−2−ペンチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン(II−Bc)の混合物(4:33:63)を、3−メチル−3−ブテン−1−オール及びヘキサナールから、実施例3(方法B、具体的な条件は項目6に記載)に従って得る。異性体を精留によって分離することができる。
【0129】
匂い:トップノート:柑橘系(プチグレン、マンダリン)、グリーン、ローズ系、メタリック。
ドライダウンノート:パワフル、グリーン、柑橘系、フローラル、ローズ系、セロリ。
【0130】
IR(film、cm−1):1110m、1140m、1381m、1457m、2858m、2931s、2959s。
4−メチレン−2−(1−ペンチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン(II−Ba)
H−NMR(200MHz、CDCl、選択されたデータ):δ(ppm)4.69(m,2H)。
【0131】
13C−NMR(50MHz、CDCl、選択されたデータ):δ(ppm)68.65、78.83、108.1。
4−メチル−6−(1−ペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン(II−Bb)
H−NMR(200MHz、CDCl):δ(ppm)0.87(t,J=6.3Hz,3H)、1.2〜1.6(m,8H)、1.67(br s,3H)、2.0〜2.4(m,2H)、3.59(ddd,J=4.0Hz,J=10.1Hz,J=11.2Hz,1H)、3.97(ddd,J=2.3Hz,J=5.9Hz,J=11.1Hz,2H)、5.28〜5.34(m,1H)。
【0132】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)14.03、23.12、25.03、30.10、31.95、35.67、35.92、63.51、74.03、124.16、132.01。
4−メチル−2−(1−ペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン(II−Bc)
H−NMR(200MHz、CDCl):δ(ppm)0.88(t,J=6.3Hz,3H)、1.2〜1.6(m,8H)、1.67(br s,3H)、1.65〜2.0(m,2H)、3.32〜3.51(m,1H)、4.05〜4.15(m,2H)、5.34〜5.43(m,1H)。
【0133】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)14.03、22.61、22.96、25.16、31.91、395.92(2C)、65.86、73.78、119.71、131.81。
【0134】
MS[e/m(%)]:(II−Ba)168(M+、2)、97(100)、68(35)、67(81)、55(21)、53(19)、41(29)。
(II−Bb)168(M+)、167(1)、153(3)、112(12)、97(100)、55(10)、43(14)、41(21)。
(II−Bc)168(M+、12)、99(17)、97(44)、71(40)、69(79)、68(100)、67(61)、56(18)、55(38)、53(26)、43(29)、41(67)、39(23)。
実施例10:酢酸4−メチル−2−(1−ペンチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステルの調製
実施例4に従って、対応するピラノール(実施例8)を無水酢酸で処理することによって化合物を調製する。
【0135】
これは異性体混合物(80:20)として得られる。
【0136】
匂い:トップノート:グリーン、ウッディ、スパイシー。
ドライダウンノート:フルーティ(ルバーブ)、フローラル(スミレ)、ウッディ−アンバー系−スパイシー(Timberol(登録商標)、Trimofix(登録商標))。
【0137】
IR(film、cm−1):606w、808w、940w、1019m、1045w、1087m、1112m、1145m、1183m、1203w、1238s、1369m、1437w、1462m、1737s、2861m、2932s、2957s。
主要異性体:
H−NMR(200MHz、CDCl):δ(ppm)0.84(t,J=6.5Hz,3H);1.08〜1.60(m,10H);1.45(s,3H);1.98(s,3H)、2.07〜2.25(m,2H);3.33〜3.48(m,1H);3.56(dt,J=2.0Hz,J=12.5Hz,1H);3.70〜3.80(m,H)。
【0138】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)19.95;22.24;22.51;25.05;26.13;31.86;35.96;36.20;42.02;63.31;72.72;79.18;170.29。
少量異性体:
H−NMR(200MHz、CDCl、選択されたデータ):δ(ppm)1.60〜1.70(m,1H);1.75〜1.90(m,1H);1.93(s,3H);3.77〜3.83(m,1H)。
【0139】
13C−NMR(50MHz、CDCl):δ(ppm)19.95;22.24;22.51;25.11;31.71;31.86;36.14;38.69;44.62;63.54;72.84;79.97;170.16。
実施例11:実施例1において得られるピラノールを含有するフレグランス組成物
スズラン系のアコードを以下の成分から作製する:
【0140】
【表3】

【0141】
実施例1からのピラノールを含有する(A)又は含有しない(B)、これら2つの組成物(A、B)を、当業者に既知の通常の希釈率で繊維柔軟剤に使用した。ピラノールを処方Aに追加することによって、乾燥させた布地上での香りの持続性が大幅に向上する。ピラノールによって、非常に自然で、よりフローラル−グリーンなノートがもたらされ、より爽やかな感覚が布地に与えられる。
実施例12:実施例1において得られるピラノールを含有するフレグランス組成物
低刺激性の制約に配慮したスズラン系のアコードを以下の成分から作製する:
【0142】
【表4】

【0143】
ピラノールを処方に追加することによって、フレグランスがより強くなり、よりグリーン、フローラルな、スズランの良いノートがアコードにもたらされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、Rは直鎖又は分岐C5アルキル基を表す)の化合物を調製する方法であって、式(III):
【化2】

(式中、Rは式(I)に関して定義される通りである)の化合物を、式(IV):
【化3】

の化合物と、酸の存在下で反応させることを含み、該反応がトルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンを含む群から選択される有機溶媒中で、約70℃〜還流の温度、好ましくは80℃〜90℃、さらにより好ましくは約80℃で行われる、方法。
【請求項2】
前記酸がp−トルエンスルホン酸(PTSA)、HSO及び担持酸、特にイオン交換樹脂又は粘土に担持された酸を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(III)の化合物が、2−エチル−ブチルアルデヒド及びヘキサナールを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記式(I)の化合物を、式(V):
R’−O−R’ (V)
の酸無水物、又は式(VI):
R’−X (VI)
のハロゲン化アシル(式中、R’は水素原子、又は直鎖若しくは分岐C1〜C6アルキル基、又は直鎖若しくは分岐C2〜C6アルケニル基で置換されたカルボニル基である)と反応させ、それにより式(Ia):
【化4】

(式中、Rは式(I)に関して定義される通りであり、R’は式(V)及び式(VI)に関して定義される通りである)の化合物を得る工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
R’がアセチル、プロピオニル、クロトニル(ブト−2−エノイル)、2−メチル−ブト−2−エノイル、ブチリル、イソブチリル、2−メチル−ブチリル、バレリル、イソバレリル、2−メチル−バレリル、3−メチル−バレリル、ヘキセノイル、ヘキサ−3−エノイルから成る群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記式(I)の化合物を脱水し、それにより式(II):
【化5】

(式中、Rは式(I)に関して定義される通りであり、点線は4位の炭素原子を含む二重結合を表す)の化合物を得ることをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記式(II)の化合物を水素化し、それにより式(II’):
【化6】

(式中、Rは式(I)に関して定義される通りである)の化合物を得る工程をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
Rが3−ペンチル、1−(2−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択されることを特徴とする、式(II):
【化7】

の化合物。
【請求項9】
4−メチレン−2−(3−ペンチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン、4−メチル−2−(3−ペンチル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン及び4−メチル−2−(3−ペンチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピランから成る群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Rが直鎖又は分岐C5アルキル基を表すことを特徴とする、式:
【化8】

の化合物。
【請求項11】
式:
【化9】

(式中、Rは1−ペンチル、3−ペンチル、1−(2−メチル−ブチル)、2−(2−メチル−ブチル)、2−(3−メチル−ブチル)、1−(3−メチル−ブチル)及び1−(2,2−ジメチル)−プロピルから成る群から選択され、R’は水素原子、又は直鎖若しくは分岐C1〜C6アルキル基、又は直鎖若しくは分岐C2〜C6アルケニル基で置換されたカルボニル基であるが、ただし式(I)ではRは1−ペンチルではない)の化合物。
【請求項12】
2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール、2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアセテート、プロピオン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステル、ブト−2−エン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステル、ブト−3−エン酸2−(1−エチル−プロピル)−4−メチル−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルエステル及び4−メチル−2−(1−ペンチル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアセテートから成る群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
着香剤又は風味添加剤としての、請求項8〜12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
匂い及び/又は風味のマスキング剤としての、請求項8〜12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
前記化合物が医薬組成物、化粧品組成物又は食品組成物から選択される組成物中に含まれることを特徴とする、請求項13又は14に記載の使用。
【請求項16】
前記化合物が、他の着香成分若しくは風味添加成分、溶媒、添加剤又は固定剤と組み合わせて使用されることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2011−522781(P2011−522781A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505477(P2011−505477)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054691
【国際公開番号】WO2009/130192
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(510116347)
【Fターム(参考)】