説明

新規の樹脂およびこれを含むフォトレジスト組成物

【課題】光酸不安定である、複数環の芳香族および/または多環式エステル単位を含む新規の樹脂の提供。
【解決手段】この新規樹脂を含む化学増幅ポジ型フォトレジスト、並びに複数環の芳香族および/または多環式エステルモノマーの提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規の複数環の多環式(multi−ring,multi−cyclic)エステルモノマー、複数環の多環式エステル単位を含む樹脂、およびこの樹脂を含むフォトレジストに関する。好ましいフォトレジストはこの樹脂を含み、サブ200nmの放射線、例えば、193nmの放射線で効果的に像形成されうる化学増幅ポジ型(chemically−amplified positive−tone)組成物である。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは基体への像の転写に使用される感光膜である。フォトレジストの塗膜層が基体上に形成され、次いで、そのフォトレジスト層がフォトマスクを通して活性化放射線源に露光される。フォトマスクは活性化放射線に対して不透明な領域および活性化放射線に対して透明な他の領域を有する。活性化放射線への露光は、フォトレジスト塗膜の光誘起化学変換をもたらし、それによって、フォトマスクのパターンをフォトレジストでコーティングされた基体に移す。露光に続いて、フォトレジストは現像されて、基体の選択的な処理を可能にするレリーフ像を提供する。
【0003】
フォトレジストはポジ型またはネガ型のいずれかでありうる。ほとんどのネガ型フォトレジストについては、活性化放射線に露光されるその塗膜層部分は、フォトレジスト組成物の光活性化合物と重合剤との間の反応において重合するかまたは架橋する。その結果、露光された塗膜部分は未露光部分よりも現像剤溶液中での可溶性が低くなる。ポジ型フォトレジストについては、露光された部分は現像剤溶液中でより可溶性になる一方で、露光されていない領域は相対的に低い現像剤可溶性のままである。米国特許第6586157号参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6586157号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在利用可能なフォトレジストは多くの用途に好適であるが、現在のレジストは、特に高性能用途、例えば、高解像サブハーフミクロンおよびサブクオーターミクロンフィーチャーにおいてかなりの欠点を示す場合もある。
例えば、現在のレジストの持続している欠点は、特にポジ型レジストを使用する場合の「孤立した」レジスト線または他のフィーチャーの低い解像度である。現像されたレジスト線または他のフィーチャーは、それが最も近い隣のレジストフィーチャーから、その線幅の2倍以上の距離で離れている場合には、一般的に「孤立している」と見なされる。よって、例えば、ある線が0.25μm幅で印刷される場合に、その線は、その隣のレジストフィーチャーがその線から少なくとも約0.50ミクロンの間隔を開けられている場合には、孤立している(密集しているのではなく)と見なされるであろう。孤立した線について共通する解像度の問題としては、丸まった頂部およびアンダーカットが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一形態において、本発明者は、複数環の多環式エステル(multi−ring,multi−cyclic)単位を含む繰り返し単位を含む新規の樹脂を提供する。別の形態においては、本発明者は、複数環の(multi−ring)芳香族エステル単位を含む樹脂を提供する。この樹脂はフォトレジスト組成物の成分として特に有用である。この複数環のエステル樹脂単位は、好ましくは、その樹脂を含むフォトレジストのリソグラフィー処理(露光、露光後ベーク)中に光酸誘起切断を受ける。
【発明の効果】
【0007】
本発明者は、このエステル単位をポリマーに組み込むことが、当該ポリマーを含むフォトレジストのリソグラフィー性能の有意な改善をもたらしうることを見いだした。とりわけ、複数環のエステル基を有する樹脂を含むフォトレジストは、良好なパターン崩壊マージン(pattern collapse margins)および増大した焦点深度孤立線性能を示すことができる。複数環の多環式エステル基を有する樹脂を含むフォトレジストのレリーフ像はプラズマエッチング剤に対する良好な耐性も示す。さらに、好ましい複数環のエステル基は比較的低い活性化エネルギーでの酸不安定(acid−labile)脱離基として機能しうる。
理論に拘束されないが、リソグラフィー処理で遊離する(すなわち、当該基の光酸誘起切断)嵩高な脱離基(すなわち、多環式または芳香族基)は、レジスト層内により多くの自由体積を作り出すことができ、これは次いで、露光されたレジスト領域における光酸の所望のより多くの移動を促進することができ、一方で、未露光領域において留まっている嵩高な脱離基は、このような露光されたレジスト層領域への光酸の望まれない拡散を阻害することができ、それにより、コントラストおよびリソグラフィー結果を向上させることができると考えられる。すなわち、脱離基の比較的大きな立体サイズが、レジストに高い溶解コントラストを付与しうると考えられる。
さらに、第2の分岐点(すなわち、光酸誘起切断を受けない第2の環)の存在が脱離基の再結合速度を低下させることができ、それにより、フォトスピード(photospeed)を増大させ、および/または処理温度(すなわち、露光後ベーク温度)を低減させることができると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において言及される場合、「複数環の多環式エステル」化合物、単位、基または他の表示は、複数の炭素またはヘテロ脂環式環基を含み、その環基の少なくとも1つが、橋かけおよび/または縮合の2以上の環式構造を含むエステル部分を示す。炭素脂環式部分(すなわち、全ての環メンバーが炭素である)が概して好ましい。
【0009】
本明細書において言及される場合、「複数環の芳香族エステル」化合物、単位、基または他の表示は、複数の脂環式環基を含み、典型的には全ての環メンバーが炭素原子であり、この環基の少なくとも1つが、橋かけおよび/または縮合の2以上の環式構造を含むエステル部分を示す。
【0010】
エステル酸素に対してベータの炭素(例えば、次の下線を付けた炭素:−C(=O)OCH2X3)が第四級炭素または芳香族環メンバーである本発明のエステル基も特に好ましい。本明細書において「第四級」炭素との言及は、その炭素原子が4つの非水素置換基を有する(すなわち、CRR;式中、R、R、RおよびRはそれぞれ同じかもしくは異なっており、かつそのそれぞれは水素ではない)ことを示す。第四級の用語の説明については、例えば、モリソンおよびボイド有機化学、特に85ページ(第3版、Allyn and Bacon)を参照。
【0011】
好ましいこのベータ炭素はヘテロまたは炭素脂環式環メンバー、例えば、橋頭炭素、またはアルキル、ハロ、他の置換基を有する環メンバー(例えば、−C(X)<、式中、XはC1−8アルキル、C1−8アルコキシ、ハロなど;および、<は他のへテロもしくは炭素脂環式環メンバーへの結合を示す)であることができる。本明細書において言及される場合、炭素脂環式基は、全ての環原子が炭素である非芳香族環式構造である。本発明のエステル単位の好ましい炭素脂環式基には、例えば、場合によって置換されたアダマンチル、場合によって置換されたノルボルニル、場合によって置換されたエチルフェンキル、場合によって置換されたシクロペンタンおよび場合によって置換されたトリシクロデカニルが挙げられる。本明細書において言及される場合、ヘテロ脂環式基は、少なくとも1つの環原子が酸素または硫黄のような炭素以外である非芳香族環式構造である。
【0012】
別の形態においては、本発明の好ましい樹脂、およびこの樹脂を含む組成物は、ここで開示される光酸不安定な複数環の芳香族もしくは多環式エステル基に加えてかつこれとは別個に、少なくとも1種の光酸不安定基を含む。様々な追加の別個の光酸不安定基、例えば、光酸不安定エステル(例えば、t−ブチルエステル)およびアセタール基(例えば、ビニルエーテルによって提供されるアセタール基)。
【0013】
好ましい複数環の多環式エステル基には、下記式Iの基が挙げられ、これは式IAのモノマーを含むことができる:
【化1】

式IおよびIAにおいて、RおよびR’はそれぞれ独立して水素もしくは場合によって置換されたC1−6アルキル、例えば、メチルであり、Mは芳香族環(例えば、炭素環式芳香族もしくはヘテロ芳香族、例えば、場合によって置換されたフェニル、ナフチル、チエニルなど)または多環式炭素もしくはヘテロ脂環式環構造、好ましくは炭素脂環式多環基、例えば、場合によって置換されたノルボルニル、アダマンチルであり、nは1〜8、好ましくは1〜4の整数である。
【0014】
好ましいM基には、炭素脂環式多環基、例えば、場合によって置換されたアダマンチル、例えば、下記式IIの複数環の多環式エステル基が挙げられ、これは式IIAのモノマーを含むことができる:
【化2】

式IIおよびIIAにおいて、R、R’およびnは上記式IおよびIAについて定義したのと同じであり、Rは非水素置換基、例えば、ヒドロキシル、シアノ、場合によって置換されたアルキル、例えば、場合によって置換されたC1−8アルキル、および場合によって置換されたアルコキシ、例えば、場合によって置換されたC1−8アルコキシであり;pは0〜8の整数である。
【0015】
概して好ましい化合物は、場合によって置換されたシクロペンチルもしくは場合によって置換されたシクロヘキシル基、例えば、下記式IIIおよびIVの化合物を含む:
【化3】

式IIIおよびIVにおいて、Rおよびpは上記式IIにおいて定義したのと同じである。
【0016】
さらなる態様においては、好ましいのは下記式VおよびVIの1種以上の部分を含む化合物(モノマーおよび樹脂など)である。好ましくは、これらの部分は塩基(0.26Nの水性アルカリフォトレジスト現像剤など)の存在下で脱保護され、アルカリ可溶性基(例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、アミド基、イミド基、フェノール基、チオール基、アザラクトン基およびヒドロキシオキシム基)を生じさせることができる。
【0017】
【化4】

式VおよびVIにおいて、Rは、C1に直接結合した第四級炭素を含み、かつ1以上のヘテロ原子(N、OまたはS)を含むことができる、直鎖、分岐、単環式または多環式の一価の7〜30の炭素原子の炭化水素基であり(および、好ましくはRは単環式または多環式であり);nは0〜7の整数であり;mは0〜2の整数であり;Aは炭素、水素、酸素、窒素、フッ素および/または硫黄の1以上の原子(典型的には1〜10原子)を含む二価のリンカーを表す。
【0018】
好ましいモノマーには下記構造VIIの化合物が挙げられる:
【化5】

式中、RはC1に直接結合した第四級炭素を含み、かつ1以上のヘテロ原子を含むことができる、直鎖、分岐、単環式または多環式の一価の7〜30の炭素原子の炭化水素基であり;Rは1以上のヘテロ原子(例えば、Fをはじめとするハロ、N、OもしくはS)を含むことができる、直鎖、分岐または環式の一価の1〜6の炭素原子の炭化水素基、水素を表し;nは0〜7の整数であり;mは0〜2の整数である。
【0019】
本発明の特に好ましい化合物には下記VIIAの化合物が挙げられる:
【化6】

式中、nは0〜7の整数であり;Rは、Rが上記式VIIで定義されるのと同じに定義される。
【0020】
本発明の好ましい樹脂は、多環式エステル単位に加えて、繰り返し単位を含み、特に、アクリラートまたは場合によって置換された環式オレフィンの重合により提供されるような非芳香族単位、例えば、重合された、場合によって置換されたノルボルネンなどを含む。このような追加の樹脂単位は、光酸不安定エステルもしくはアセタール部分のような光酸不安定部分を含むこともできる。他の好ましい樹脂はヘテロ置換炭素環式アリール基、例えば、ヒドロキシルナフチル基を含む。少なくともある形態においては、特に好ましい樹脂は芳香族部分を実質的に含まないか、またはヒドロキシルナフチル基以外の芳香族基を少なくとも実質的に含まない。
【0021】
追加の好ましいポリマー単位は、無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸のような酸無水物;または好適なアクリラート、例えば、アクリルオキシ−ノルボルナン−ブチロラクトンなどの重合により提供されるようなラクトン;の重合により提供されうる。
【0022】
本発明のフォトレジストは、好ましくは、光活性成分として1種以上の光酸発生剤化合物(PAG)を含む。本発明のレジストにおける使用のために好ましいPAGには、オニウム塩化合物、例えば、ヨードニウムおよびスルホニウム化合物;並びに、非イオン性PAG、例えば、イミドスルホナート化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物;ジアゾスルホニル化合物および他のスルホンPAG、例えば、α,α−メチレンジスルホン、ジスルホンヒドラジンおよびジスルホニルアミン塩;ニトロベンジル化合物、ハロゲン化特にフッ素化非イオン性PAGが挙げられる。
【0023】
本発明のフォトレジストは樹脂のブレンドを含むこともでき、この樹脂の少なくとも1種は複数環の芳香族および/または多環式エステル基を含む。
本発明は、本明細書において開示されるラクトン基および/または樹脂を含む光像形成性(photoimageable)組成物(すなわち、活性化放射線に対するパターン様露光、場合によって熱処理;現像を含むリソグラフィー処理によってレリーフ像を形成できる)も含む。
【0024】
本発明はレリーフ像を形成する方法、例えば、各線が垂直または本質的に垂直な側壁を有し、かつ約0.40ミクロン以下、またはさらには、約0.25、0.20、0.15もしくは0.10ミクロン以下の線幅を有する(密集したまたは孤立した)線のパターンのような高解像レリーフ像を形成する方法も含む。このような方法においては、好ましくは、本発明のレジストの塗膜層が、短い波長の放射線、特にサブ200nmの放射線、特に193nmの放射線、および100nm未満の波長を有する高エネルギー放射線、および他の高エネルギー放射線、例えば、EUV、電子ビーム、イオンビームまたはX線で像形成される。本発明は、本発明のフォトレジストおよびレリーフ像が基体上にコーティングされたマイクロエレクトロニクスウェハのような基体を含む製造物品をさらに含む。本発明はそのような物品の製造方法も提供する。
本発明の他の形態は以下で論じられる。
【0025】
本発明の典型的な好ましい光酸不安定エステル基には、後述の重合可能な化合物に示される下記エステル単位が挙げられる。これら後述の化合物が好ましく、かつ重合に適する不飽和を示す。後述の化合物の部分は、これら示された以外の基との組み合わせでの使用のため、および示された組み合わせでの使用のための双方で非常に好ましい。
【0026】
【化7】

【0027】
上述のように、本発明の樹脂は、複数環の芳香族および/または多環式エステル単位を含むことに加えて、様々な基を含むことができる。
一形態においては、本発明の樹脂の好ましい追加の単位には、ヘテロ置換(特にヒドロキシおよびチオ)炭素環式アリール部分、例えば、ヒドロキシナフチル基が挙げられる。本明細書におけるヘテロ置換炭素環式アリール基についての言及は、ヘテロ原子、特に酸素または硫黄を含む環置換基を1以上、典型的には1、2または3つ、この炭素環式基が有することを意味する。すなわち、「ヘテロ置換」についてのこのような言及は、1以上のヘテロ原子、特に1もしくは2つの酸素および/または硫黄原子を含み、炭素環式アリール基の環置換基である部分を指定する。
【0028】
本明細書における、ヒドロキシナフチル基または他の類似の用語についての言及は、少なくとも1つのヒドロキシ環置換基を有するナフチル基を意味する。このナフチル基は単一のヒドロキシ置換基を含むことが一般的に好ましいが、このナフチル基は、2または3つのヒドロキシ環置換基のような、1より多いヒドロキシ基を好適に有しうる。
【0029】
樹脂に組み込むのに好ましい置換されたへテロ置換炭素環式アリール単位は、ナフチル基、並びに他の置換炭素環式アリール部分、例えば、ヘテロ置換されたフェニル、アントラセニル、アセナフチル、フェナントリルなどである。概して、ヘテロ置換されたナフチル、アントラセニル、アセナフチル、フェナントリルなどのような複数の縮合環を有するヘテロ置換炭素環式アリール基(例えば、少なくとも1つが炭素環式アリールである縮合二または三環)が好ましい。
【0030】
炭素環式基は様々なヘテロ置換基を有することができ、酸素含有置換基および硫黄含有置換基が概して好ましい。例えば、本発明の樹脂の好ましいヘテロ置換炭素環式アリール基には、ヒドロキシ(−OH)、チオ(−SH)、アルコール(例えば、ヒドロキシC1−6アルキル)、チオアルキル(例えば、HSC1−6アルキル)、アルカノイル(例えば、C1−6アルカノイル、例えば、ホルミルもしくはアシル)、アルキルスルフィド、例えば、C1−6アルキルスルフィド、カルボン酸エステル(例えば、C1−12エステル)、アルキルエーテル、例えば、C1−8エーテルなどの1以上を有するそれらアリール基が挙げられる。好ましくは、ヘテロ含有置換基の少なくとも1つのヘテロ原子は水素置換基を有する(例えば、ヒドロキシはアルコキシよりも好ましい)。炭素環式環に直接結合したへテロ原子(ヒドロキシもしくはチオ環置換基など)をこのヘテロ基が有すること、または−CHOHもしくは−CHSHまたは他の第一級ヒドロキシもしくはチオアルキルの環置換基のように、ヘテロ原子が活性化炭素の置換基であることも好ましい。
【0031】
本発明の樹脂は、比較的広範囲の量のヒドロキシナフチル単位もしくは他のヘテロ置換炭素環式アリール基を好適に含むことができる。かなり少量のヒドロキシナフチル単位を含むポリマーを使用して、良好なリソグラフィー結果が実現されうる。例えば、本発明のポリマーは、樹脂の全単位を基準にして約50または40モルパーセント未満のヘテロ置換炭素環式アリール単位、またはポリマーの全単位を基準にして約30、20、15、または10モルパーセント未満のヘテロ置換炭素環式アリール単位を好適に含むことができる。確かに、本発明のポリマーは、樹脂の全単位を基準にして約0.5、1、2、3、4、5、6、7または8モルパーセントのヒドロキシナフチル単位を好適に含むことができる。
【0032】
193nmで像形成されるフォトレジストにおいて使用される本発明の樹脂は、好適には、ヘテロ置換炭素環式アリール単位以外のフェニルまたは他の芳香族基を実質的に含まないことができる。例えば、このような短い波長での像形成に使用されるのに好ましい本発明の樹脂は、ヘテロ置換炭素環式アリール単位以外の芳香族基を約5モルパーセント未満しか含まず、より好ましくは、約1または2モルパーセント未満しか含まない。
【0033】
本発明の樹脂は、様々な他の単位を含むこともできる。好ましい追加の単位には、重合されたアクリラートおよび環式オレフィン基が挙げられる。特に好ましいのは、光酸不安定基、例えば、光酸不安定エステルもしくはアセタール基を含むような単位である。例えば、樹脂は、重合されたアクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチルおよび/またはメタクリル酸メチルアダマンチル単位などを好適に含むことができる。他に特定されない限りは、本明細書におけるアクリラート基または化合物についての言及は、置換アクリラート化合物、例えば、メタクリラート化合物も含む。
【0034】
好ましい重合されたアクリラート基は脂環式基を含むことができる。本明細書において言及される場合、樹脂の「脂環式脱離基」との用語は、次のことを意味する:ポリマーに共有結合されている脂環式基であって、このポリマーが、当該ポリマーと光活性成分(特に、1種以上の光酸発生剤)とを含むフォトレジスト中に配合される場合で、活性化放射線(例えば、193nm)にフォトレジストの塗膜層を露光し、典型的には、露光後熱処理(例えば、90℃以上で、0.5分、1分またはそれを超える)を伴う際に発生する酸に曝露する際に、この脂環式基がポリマーから切断されうるか、切断される(すなわち、ポリマーへの共有結合が切断される)ことを意味する。
【0035】
脂環式アクリラート化合物は、エステル部分がメチルアダマンチルなどのような脂環式基であるビニルエステルを含む。ビニル基は好適に置換されることができ、特にアルファビニル炭素において、例えば、場合によって置換されたC1−8アルキル(例えば、−CH、−CF、−CHOH、−CHCHOHおよび他のハロ、特にフルオロ、およびヒドロキシルアルキル)によって置換されることができ、よって、メタクリラートも挙げられる。
【0036】
好ましいポリマーには、アクリル酸アルキル単位を含むもの、特にアクリラート基が脂環式部分を含むアクリル酸アルキル単位を含むものが挙げられる。ポリマー骨格に縮合したノルボルニルのような炭素脂環式基を含むポリマーも好適である。
好ましいポリマーは、ラクトン単位、例えば、重合されたアクリラートの部分であるラクトン、または他の不飽和分子から重合された他のラクトンも含むことができる。アルファ−ブチロラクトン基を含むポリマー単位が好適である。
本発明の好ましいポリマーは、2、3、4または5種の異なる繰り返し単位を含み、すなわち、本明細書において開示される複数環の多環式エステル基を1種以上含むコポリマー、ターポリマー、テトラポリマーおよびペンタポリマーが好ましい。
【0037】
本発明のポリマーは好ましくは193nmで像形成されるフォトレジストに使用され、よって、好ましくはヘテロ置換炭素環式アリール単位以外のフェニルまたは他の芳香族基を実質的に含まないことができる。例えば、好ましいポリマーは、ヘテロ置換炭素環式アリール単位以外の芳香族基を約5モルパーセント未満しか含まず、より好ましくは約1または2モルパーセント未満しか含まない。
【0038】
上述のように、本発明の樹脂は複数環の多環式エステル基に加えて、光酸不安定基(photoacid−labile group)を含むことができる。このような追加の光酸不安定基には光酸不安定エステル基が挙げられ、多くの場合、tert−ブチルエステルもしくは第三級脂環式基を含むエステルが好ましい。このような光酸不安定エステルは、炭素脂環式、ヘテロ脂環式または他のポリマー単位から直接的にペンダントであることができ(例えば、光酸不安定基は式、−C(=O)ORのものであり、式中、Rはtert−ブチルもしくは他の非環式アルキル基または第三級脂環式基であって、ポリマー単位に直接結合している)、またはそのエステル部分はヘテロ脂環式もしくは炭素脂環式ポリマー単位から、例えば、場合によってアルキレン結合(例えば、−(CH1−8C(=O)OR、式中、Rはtert−ブチルもしくは他の非環式アルキル基、または第三級脂環式基である)によって、離されていることができる。このような光酸不安定基は好適に、利用可能な位置にフッ素置換を含むこともできる。
【0039】
好ましい追加の光酸不安定エステル基は、第三級脂環式炭化水素エステル部分を含む。好ましい第三級脂環式炭化水素エステル部分は多環式基、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、エチルフェンキル、シクロペンタンまたはトリシクロデカニル部分である。本明細書における「第三級脂環式エステル基」または他の類似の用語についての言及は、第三級脂環式環炭素がエステル酸素に共有結合していること、すなわち、−C(=O)O−TR’(式中、Tは脂環式基R’の第三級環炭素である)を示す。少なくとも多くの場合において、好ましくは、脂環式部分の第三級環炭素はエステル酸素に共有結合されていることができ、以下に示される具体的に好ましいポリマーで例示されうる。しかし、エステル酸素に結合した第三級炭素は脂環式環の環外にあることができ、典型的には、この場合、脂環式環は環外第三級炭素の置換基の1つである。典型的には、エステル酸素に結合している第三級炭素は脂環式環自体で、および/または1〜約12個の炭素、より典型的には1〜約8個の炭素、さらにより典型的には1、2、3もしくは4個の炭素を有するアルキル基の1つ、2つまたは3つで置換されることができる。この脂環式基は好ましくは芳香族置換を有していなくてもよい。この脂環式基は好適には、単環式、または多環式、特に、二環式もしくは三環式基であることができる。
【0040】
本発明のポリマーの光酸不安定エステル基の好ましい脂環式部分(例えば、−C(=O)O−TR’のTR’基)はかなり大きな体積を有する。このような嵩だかな脂環式基が本発明のコポリマーに使用される場合に、向上した解像度をもたらしうることが見いだされた。
本発明のポリマーは脂環式部分を含まない光酸不安定基を含むこともできる。例えば、本発明のポリマーは光酸不安定アルキルエステルのような光酸不安定エステル単位を含むことができる。一般に、光酸不安定エステルのカルボキシル酸素(すなわち、−C(=O)−の下線が付されたカルボキシル酸素)は第四級炭素と共有結合されうる。t−ブチルおよび−C(CHCH(CHのような分岐光酸不安定エステルが一般に好ましい。
この点において、上述したように、本発明のレジストにおいて使用されるポリマーは異なる複数種の光酸不安定基を含むことができ、すなわち、そのポリマーは、例えば、一方のエステルが脂環式部分を有することができ、他方のエステルがt−ブチルのような非環式部分を有することができる、異なるエステル部分の置換を有する2種以上のエステル基を含むことができるか、またはそのポリマーはエステル官能基と、アセタール、ケタールおよび/もしくはエーテルのような光酸不安定な他の官能基との双方を含むことができる。
【0041】
論じられたように、樹脂単位の様々な部分が場合によって置換されうる。「置換される」置換基は、1以上の利用可能な位置、典型的には、1、2もしくは3つの位置で、1種以上の好適な基、例えば、ハロゲン(特にF、ClもしくはBr)、シアノ、C1−8アルキル、C1−8アルコキシ、C1−8アルキルチオ、C1−8アルキルスルホニル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、ヒドロキシル、ニトロ、アルカノイル、例えば、C1−6アルカノイル、例えば、アシルなどによって置換されうる。
好ましいアルカノイル基は、1以上のケト基、例えば、式−C(=O)R”(式中、R”は水素またはC1−8アルキルである)の基を有しうる。
【0042】
本発明のポリマーは様々な方法によって製造されうる。好適な方法の1つはフリーラジカル重合を含むことができる付加反応であり、例えば、選択されたモノマーの反応により、不活性雰囲気(例えば、Nまたはアルゴン)下で、約60℃以上のような高温で、ラジカル開始剤の存在下で上述のような様々な単位を提供しうるが、ただし、反応温度は、使用される具体的な薬剤の反応性および(溶媒が使用される場合には)反応溶媒の沸点に応じて変化しうる。好適な反応溶媒には、テトラヒドロフランまたはより好適にはハロゲン化溶媒、例えば、フッ素化溶媒もしくは塩素化溶媒などが挙げられる。具体的なシステムに好適な反応温度は、本開示に基づいて当業者によって経験的に容易に決定されうる。様々なフリーラジカル開始剤が使用されうる。例えば、アゾ化合物、例えば、アゾ−ビス−2,4−ジメチルペンタンニトリルが使用されうる。過酸化物、過エステル、過酸および過硫酸塩も使用されうる。典型的に好ましい反応条件および手順について論ずる実施例2を参照。
【0043】
本発明のポリマーを提供するために反応させられうる他のモノマーが当業者によって特定されうる。例えば、光酸不安定単位を提供するために、好適なモノマーには、例えば、エステル基のカルボキシ酸素上に好適な置換(例えば、第三級脂環式、t−ブチルなど)を有するメタクリラートまたはアクリラートが挙げられる。本発明のレジストに有用なポリマーの合成に好適な第三級脂環式基を有するアクリラートモノマーはバークレイらへの米国特許第6,306,554号に開示されてもいる。無水マレイン酸は縮合された酸無水物ポリマー単位を提供するのに好ましい薬剤である。アルファ−ブチロラクトンのようなビニルラクトンも好ましい薬剤である。
【0044】
好ましくは、本発明のポリマーは約800もしくは1,000から約100,000、より好ましくは約2,000から約30,000、さらにより好ましくは約2,000〜15,000もしくは20,000の重量平均分子量(Mw)、約3以下の分子量分布(Mw/Mn)、より好ましくは約2以下の分子量分布を有しうる。本発明のポリマーの分子量(MwまたはMn)はゲル浸透クロマトグラフィーによって好適に決定される。
【0045】
化学増幅ポジ型フォトレジスト配合物において使用される本発明のポリマーは、望まれるレジストレリーフ像の形成を可能にするのに充分な量の光発生酸不安定エステル基を含むべきである。例えば、このような酸不安定エステル基の好適な量は、ポリマーの全単位の少なくとも1モルパーセント、より好ましくは全ポリマー単位の約2〜7モルパーセント、さらにより典型的には全ポリマー単位の約3〜30、40、50もしくは60モルパーセントであり得る。
【0046】
上述のように、本発明のポリマーはフォトレジスト組成物、特に化学増幅ポジ型レジスト中の樹脂成分として非常に有用である。本発明のフォトレジストは、概して、光活性成分と、上述のようなポリマーを含む樹脂バインダー成分とを含む。
樹脂成分は、レジストの塗膜層を水性アルカリ現像剤で現像可能にするのに充分な量で使用されるべきである。
【0047】
本発明のレジスト組成物は、活性化放射線への露光の際にレジストの塗膜層に潜像を生じさせるのに充分な量で好適に使用される光酸発生剤(すなわち「PAG」)も含む。193nmおよび248nmイメージングでの像形成に好ましいPAGには、イミドスルホナート、例えば、次式の化合物が挙げられる:
【化8】

式中、Rはカンフル、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)およびフルオロアルキル、例えば、フルオロ(C1−18アルキル)、例えば、RCF−(式中、Rは場合によって置換されたアダマンチルである)である。
【0048】
上述のスルホナートアニオンのようなアニオン、特に、ペルフルオロブタンスルホナートのようなペルフルオロアルキルスルホナートと複合体を形成したトリフェニルスルホニウムPAGも好ましい。
他の公知のPAGも本発明のレジストに使用されうる。特に、193nmでの像形成には、向上した透明性を提供するために、芳香族基を含まないPAG、例えば、上述のイミドスルホナートが一般的に好ましい。
【0049】
本発明の組成物に使用するのに好適な他の光酸発生剤には、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホナート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート、および2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、および1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、およびビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム;N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びに、ハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、および2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。このようなPAGの1種以上が使用されうる。
【0050】
本発明のレジストの好ましい任意成分の添加剤は追加塩基、特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクタートであり、これは現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させることができる。193nmで像形成されるレジストについては、好ましい追加塩基はテトラブチルアンモニウムヒドロキシドの乳酸塩、並びに様々な他のアミン、例えば、トリイソプロパノール、ジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。追加塩基は比較的少量で、例えば、全固形分に対して約0.03〜5重量パーセントで好適に使用される。
【0051】
本発明のフォトレジストは他の任意物質を含むこともできる。例えば、他の任意の添加剤には、抗ストリエーション(anti−striation)剤、可塑剤、速度向上剤、溶解防止剤などが挙げられる。比較的高濃度で、例えば、レジストの乾燥成分の合計重量の約5〜30重量パーセントの量で存在することができる充填剤および染料を除いて、このような任意の添加剤は、典型的には、フォトレジスト組成物中で低濃度で存在しうる。
【0052】
本発明のレジストは、当業者によって容易に製造されうる。例えば、本発明のフォトレジスト組成物は、好適な溶媒、例えば、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートおよび3−エトキシエチルプロピオナートなどの中にフォトレジストの成分を溶解させることにより製造されうる。典型的には、組成物の固形分量はフォトレジスト組成物の全重量の約1〜35重量パーセントで変化する。樹脂バインダーおよび光活性成分は、膜コーティング層、並びに良好な品質の潜像およびレリーフ像の形成をもたらすのに充分な量で存在すべきである。
【0053】
本発明の組成物は一般的に知られた手順に従って使用される。本発明の液体コーティング組成物は、スピニング、ディッピング、ローラーコーティングまたは他の従来のコーティング技術によるなどして基体に適用される。スピンコーティングの場合には、コーティング溶液の固形分量は、所望の膜厚を提供するために、使用される具体的なスピニング装置、溶液の粘度、スピナーの速度、およびスピニングが行われる時間量に基づいて調節されうる。
【0054】
本発明のレジスト組成物は、フォトレジストでのコーティングを伴うプロセスにおいて従来使用されている基体に好適に適用される。例えば、この組成物はマイクロプロセッサおよび他の集積回路部品の製造のための、シリコンウェハ、または二酸化ケイ素で覆われたシリコンウェハ上に適用されうる。フォトレジストは基体上の別の塗膜層上に、例えば、有機もしくは無機反射防止組成物層上にコーティングされうる。アルミニウム−酸化アルミニウム、ガリウムヒ素、セラミック、石英、銅、ガラス基体なども好適に使用される。
【0055】
表面上へのフォトレジストのコーティングに続いて、それは加熱により乾燥させられて、好ましくはフォトレジスト塗膜が粘着性でなくなるまで溶媒を除去する。その後、塗膜は従来の方法でマスクを通して像形成される。この露光はフォトレジストシステムの光活性成分を効果的に活性化させ、レジスト塗膜層にパターン形成された像を生じさせるのに充分であり、より具体的には、露光エネルギーは典型的には、露光ツールおよびフォトレジスト組成物の成分に応じて、約1〜100mJ/cmの範囲である。
【0056】
上述のように、本発明のレジスト組成物の塗膜層は好ましくは、短い露光波長によって、特に、サブ300nmおよびサブ200nm露光波長によって光活性化される。上述のように193nmは特に好ましい露光波長である。しかし、本発明のレジスト組成物はより高い波長でも好適に像形成されうる。例えば、本発明の樹脂は、好適なPAGおよび必要な場合には増感剤と配合され、より高い波長、例えば、248nmまたは365nmで像形成されうる。
【0057】
露光に続いて、組成物の膜層は好ましくは約60℃〜約160℃の範囲の温度でベークされる。その後、その膜は現像される。露光されたレジスト膜は極性現像剤、好ましくは水性ベースの現像剤、例えば、第四級アンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液;様々なアミン溶液、好ましくは0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミンまたはメチルジエチルアミン;アルコールアミン、例えば、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン;環式アミン、例えば、ピロール、ピリジンなどを使用することによりポジで機能するようにされる。一般に、現像は当該技術分野で認識された手順に従う。
【0058】
基体上のフォトレジスト塗膜の現像に続いて、現像された基体はレジストが除かれた領域上について、例えば、当該技術分野で知られた手順に従って、レジストが除かれた基体領域を化学的にエッチングするかまたはめっきすることにより、選択的に処理されうる。マイクロエレクトロニクス基体の製造、例えば、二酸化ケイ素ウェハの製造のためには、好適なエッチング剤には、ガスエッチング剤が挙げられ、例えば、ハロゲンプラズマエッチング剤、例えば、プラズマ流れとして適用される塩素またはフッ素ベースのエッチング剤、例えばClまたはCF/CHFエッチング剤が挙げられる。このような処理の後、レジストは、公知の剥離手順を用いて、処理された基体から除去されることができる。
【0059】
本明細書において言及された全ての文献は参照により本明細書に組み込まれる。次の非限定的な実施例は本発明の例示である。
【実施例】
【0060】
実施例1:ACPMAモノマー合成
【化9】

【0061】
ACP−OH(150g)を乾燥CHCl(0.2L)に溶解させた。メタクリロイルクロライド(100mL)を添加した。この溶液を氷浴中で冷却した。乾燥トリエチルアミン(236mL)および乾燥CHCl(0.2L)中のN,N−ジメチルアミノピリジン(3g)の溶液を4時間かけて滴下添加した。添加後、反応混合物をゆっくりと室温まで暖め、3日間攪拌した。この反応混合物を氷浴中で冷却した。水(500mL)を滴下添加し、この混合物をさらに15分間攪拌した。層を分離させた。有機層を水(1×100mL)、HCl(0.3N、2×100mL)、NaHCO(2×100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して、淡黄色固体を得た。ヘプタン中の再結晶により、ACPMA(109g)を白色固体として得た。
【0062】
実施例2:ACPMA/ECHMA/αGBLMA/ODOTMA/HAMAペンタポリマーの合成
【化10】

【0063】
上記モノマーが次の量で使用された:ACPMA 6.57グラム;ECHMA 4.2グラム;αGBLMA 5.9グラム;ODOTMA 5.5グラム;HAMA 2.7グラム。これらの量のこれらモノマーは15gのテトラヒドロフランに溶解され、窒素でバブリングされた。5gのテトラヒドロフランおよびV601開始剤(2.9グラム)を別のフラスコに秤量した。丸底フラスコに凝縮器、窒素ラインを取り付け、5gのテトラヒドロフランを添加し、70℃に加熱した。V601/テトラヒドロフラン混合物を添加し、温度を70℃に戻した。次いで、このフラスコにモノマー溶液を3.5時間にわたって供給し、次いで、30分間保持した。この溶液に15mlのテトラヒドロフランを添加し、次いで、氷浴で室温まで冷却した。この溶液を、次いで、20倍の体積のイソプロピルアルコール中で沈殿させ、乾燥し、テトラヒドロフランに再溶解させ(〜30%)、次いで、二回目の20倍体積のイソプロピルアルコール沈殿を行った。次いで、この物質を真空オーブン中で45℃で一晩乾燥させ、17.7gの標記ペンタポリマーの白色固体を得た。
【0064】
実施例3:本発明のフォトレジストの製造および処理
本発明のレジストが下記成分を添加することにより製造される:量は固形分(溶媒を除いた全成分)の重量パーセントとして表され、そのレジストは下記の量で下記成分を混合することにより配合される:
【0065】
【表1】

【0066】
このレジストにおいて、樹脂は上記実施例2のポリマーである。PAGはトリフェニルスルホニウム3−ヒドロキシアダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホナートである。塩基性添加剤はドデシルジエタノールアミンである。
配合したレジスト組成物はHMDS蒸気下塗り(primed)シリコンウェハ上にスピンコートされ、110℃で60秒間真空ホットプレートでソフトベークされる。このレジスト塗膜層がフォトマスクを通して193nmで露光され、次いで、露光された塗膜層が95℃で60秒間露光後ベークされる。像形成されたレジスト層が次いで、0.26Nの水性テトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液で処理することにより現像される。
本発明の上記記載は単にその例示であり、特許請求の範囲に示された発明の意図または範囲を逸脱することなく、変化および変更がなされうることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数環の多環式エステル単位を含む樹脂を含むフォトレジスト組成物。
【請求項2】
複数環のエステル単位を含む樹脂を含むフォトレジスト組成物であって、当該エステル単位の少なくとも1つの環が芳香族である、フォトレジスト組成物。
【請求項3】
前記エステルのベータ炭素が芳香族または第四級である、請求項1または2に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
前記樹脂が下記式:
【化1】

(式中、Mは芳香族環構造、または多環式炭素もしくはヘテロ脂環式環構造であり、nは1〜5の整数である)
の基を含む1種以上の単位を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
前記樹脂が下記式:
【化2】

(式中、RおよびR’はそれぞれ独立して水素または場合によって置換されたC1−6アルキルであり;各Rは同じかまたは異なっていて、かつ非水素置換基であり;pは0〜8の整数であり;nは1〜5の整数である)
の基を含む1種以上の単位を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
保護されたアルカリ可溶性基を含む構造単位を含む膜形成性化合物を含むフォトレジスト組成物であって、前記単位における保護されたアルカリ可溶性基の保護部分は、光酸発生剤から生じる酸の作用によって切断されることができ、
前記保護部分は下記式VまたはVI:
【化3】

(式VおよびVIにおいて、Rは、直鎖、分岐、単環式もしくは多環式の一価の7〜30の炭素原子の炭化水素基であり、C1に直接結合した第四級炭素を含み、かつ1以上のヘテロ原子を含むことができ;nは0〜7の整数であり;mは0〜2の整数であり;Aは炭素、水素、酸素、窒素、フッ素および硫黄の1種以上の原子を含む2価のリンカーを表す)
の基を含む、フォトレジスト組成物。
【請求項7】
前記アルカリ可溶性基が、カルボン酸基、スルホン酸基、アミド基、イミド基、フェノール基、チオール基、アザラクトン基およびヒドロキシオキシム基からなる群から選択される、請求項6に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
前記樹脂がコポリマー、ターポリマー、テトラポリマーまたはペンタポリマーである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
前記フォトレジストが1種以上の光酸発生剤化合物を含み、エステル基が光酸不安定である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
前記光酸不安定であるエステルとは異なる第2の光酸不安定基を、前記フォトレジスト樹脂が含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項11】
a)請求項1〜10のいずれか1項のフォトレジスト組成物の塗膜層を基体上に適用し;および
b)前記フォトレジスト組成物層を活性化放射線に露光して、前記露光されたフォトレジスト塗膜層を現像する;
ことを含む、フォトレジストレリーフ像を提供する方法。
【請求項12】
(i)複数環の多環式エステル単位および/または(ii)複数環のエステル単位の少なくとも1つの環が芳香族である、当該複数環のエステル単位;を含む樹脂。
【請求項13】
前記エステルのベータ炭素が芳香族または第四級である、請求項12に記載の樹脂。
【請求項14】
下記式:
【化4】

(式中、Mは芳香族環構造、または多環式炭素もしくはヘテロ脂環式環構造であり;nは1から5、6、7もしくは8の整数である)
の構造を有し、場合によって重合可能でありうる化合物。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項の樹脂または化合物を含む像形成性組成物。

【公開番号】特開2011−43794(P2011−43794A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−115708(P2010−115708)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】