説明

新規インフルエンザウイルス免疫エピトープ

植物または植物の一部内でインフルエンザウイルス様粒子(VLP)を合成する方法が提供される。方法は、植物中での新規のインフルエンザHAタンパク質の発現およびその精製を含む。本発明はインフルエンザHAタンパク質および植物脂質を含むVLPも指向する。本発明は、ベクターに加えて、改善されたインフルエンザHAをコードする核酸も指向する。VLPは、インフルエンザワクチンを製剤化するために使用することができるか、または既存のワクチンを濃縮するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウイルス様粒子の産生に関する。より具体的には、本発明は、インフルエンザ抗原、特に他のインフルエンザ株との広範囲の交差反応性を有する修飾されたインフルエンザ抗原を含むウイルス様粒子の産生を指向する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザは、呼吸系ウイルスに起因するヒトにおける代表的な死因である。一般的な病徴は熱、咽頭炎、息切れおよび筋肉痛を特に含む。インフルエンザシーズンの間に、インフルエンザウイルスは、世界中で集団の10〜20%に感染し、毎年250,000〜500,000人の死亡をもたらす。
【0003】
インフルエンザウイルスは、感染した哺乳類細胞の原形質膜から出芽するエンベロープウイルスである。それらは、存在する核タンパク質およびマトリックスタンパク質抗原に基づいてA型、B型またはC型へと分類される。インフルエンザA型ウイルスは、表面の糖タンパク質が提示する赤血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)の組み合わせに従って亜型へとさらに分類することができる。HAは、ウイルスが宿主細胞に結合し浸透する能力を決定する。NAは宿主細胞およびウイルス表面タンパク質上のグリカン鎖から末端シアル酸残基を除去し、それによりウイルス凝集を妨害し、ウイルス移動性を促進する。現在、16個のHA(H1〜H16)および9個のNA(N1〜N9)亜型が認識されている。各々のA型インフルエンザウイルスは1タイプのHAおよび1タイプのNAの糖タンパク質を提示する。一般的には、各々の亜型は種特異性を示し、例えば、すべてのHAおよびNA亜型は鳥類に感染することが公知であるが、亜型H1、H2、H3、H5、H7、H9、H10、N1、N2、N3およびN7のみがヒトに感染することが示されている(Horimoto 2006; Suzuki 2005)。H5、H7およびH9を含むインフルエンザウイルスはインフルエンザA型ウイルスの最も高病原性の形態と判断され、将来のパンデミックを引き起こす可能性が最も高い。
【0004】
インフルエンザパンデミックは通常、高度に伝播性の毒性のインフルエンザウイルスによって引き起こされ、疾病および死亡のレベルの上昇を世界的にもたらしうる。新しいインフルエンザA亜型の出現は20世紀中で4つの大きなパンデミックをもたらした。1918〜1919年のスペインかぜ(H1N1ウイルスによって引き起こされた)は、1917年から1920年の間に世界中で5000万人以上の死亡をもたらした。現在、新しい亜型の出現のリスクまたは動物に固有の亜型のヒトに対する伝播のリスクは常に存在する。特に重要なものは鳥類インフルエンザ(「トリインフルエンザ」とも呼ばれる)の高度に毒性の形態であり、大発生が世界中のいくつかの国で報告されている。多くの事例において、このトリインフルエンザは48時間以内に100%に近い死亡率をもたらしうる。最初に1997年に香港で同定された鳥類インフルエンザウイルス(H5N1)の他のアジア諸国およびヨーロッパへの広がりは、野鳥の移動パターンに関連することが提唱されている。
【0005】
ヒトのインフルエンザに対抗する現行の方法は毎年のワクチン接種による。ワクチンは通常、次の「インフルエンザシーズン」で優勢株と予測されるいくつかの株の組み合わせである。この予測は世界保健機構によって統合される。一般的には、毎年産生されるワクチン用量の数は世界の集団のワクチン接種には十分ではない。例えば、カナダおよび米国は集団の約3分の1の免疫に十分なワクチン用量を得るが、欧州連合では集団の17%しかワクチン接種することができない。インフルエンザワクチンの世界中の現行の産生は、世界的なインフルエンザパンデミックに直面して不十分であろうことは明らかである。ある年になんとかして必要な年間の産生量を満たすことができたとしても、優勢株は毎年変化し、したがってその年の中で必要性が低い時に備蓄することは実践的ではない。効果的なインフルエンザワクチンの経済的で大規模な産生は、政府および民間産業に同様に重大な関心事である。
【0006】
現在、ワクチンで使用されるウイルスストックの最も重要なソースは受精卵中で産生される。ウイルス粒子を採取し、不活性化ウイルスワクチンのために界面活性剤によって破壊して不活性化する。弱毒化生ワクチンは低温での増殖に適合したインフルエンザウイルスから作製され、これは正常体温では、ワクチンが弱毒化されることを意味する。かかるワクチンは、合衆国では5乃至49歳の個人における使用が許可されている。不活性化全ウイルスワクチンは化学薬剤による不活性化によって無害にされ、それらは孵化卵または哺乳類細胞培養において産生されている。これらのすべてのタイプのワクチンはいくつかの特異的な利点および欠点を示す。全ウイルスに由来するワクチンの1つの利点は、かかるワクチンによって誘導される免疫のタイプである。一般に、スプリットワクチンは強い抗体応答を誘導するが、全ウイルスから作製されるワクチンは抗体(液性)および細胞応答の両方を誘導する。機能的抗体応答がワクチンによって誘導される防御と関連することが認可のための基準であっても、T細胞応答もインフルエンザ免疫において重要であり、高齢者においても良好な防御を提供できるという証拠が増えている。
【0007】
細胞性免疫反応を誘導するために、全ウイルスから作製されたワクチンが開発された。インフルエンザ菌株(例えばH5N1)の高い病原性に起因して、これらのワクチンはBL3+施設中で産生される。H5N1などの高病原性インフルエンザ株については、いくつかの製造業者はインフルエンザ株の病原性を低下させて無発病性にし、より容易に孵化卵または哺乳類細胞培養において産生されるようにするために、赤血球凝集素遺伝子配列を修飾した。他の業者は、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼのタンパク質の遺伝子配列が高収量低病原性インフルエンザドナー株中でクローン化されたリアソータントインフルエンザ株も使用する(A/PR/8/34;Quan F-S et al, 2007)。これらの方法は有用なワクチンを産生することができるが、例年の世界的な需要を満たすのに必要なスケールで、多量で低コストで迅速なワクチン産生の必要性に対する解決を提供せず、パンデミックに直面してほとんど確実に不十分となるだろう。
【0008】
このリバースジェネティクス技術を使用する場合、HAタンパク質の遺伝子配列を変異させて無発病性にすることが必要かもしれない。高病原性インフルエンザ株については、全ウイルスワクチンの産生は、封じ込め手順または生じたワクチンを循環ウイルスの遺伝子配列に正確に一致させないことのいずれかが必要とされる。弱毒化生ワクチンの事例において、投与されたワクチンが宿主からのインフルエンザウイルスと組換えを起こし、新しいインフルエンザウイルスをもたらすリスクがなお存在する。
【0009】
この方法は抗原エピトープおよび翻訳後修飾を維持しているが、全ウイルスの使用に起因する汚染のリスクおよびウイルス株に依存する収率変動性を含む多数の短所がある。卵の中への導入に起因するウイルスの遺伝的異質性から、最適レベル以下の防御が生じうる。他の短所は、卵を得るための大規模な計画、精製において使用される化学物質に起因する汚染リスク、および長期の生産時間を含む。さらに、卵タンパク質に過度に感受性のある人は、ワクチンの服用にふさわしい候補ではない。
【0010】
パンデミックの事例において、スプリットワクチン産生は、卵中の増殖のために株を適応させる必要性および達成される産生収率の変動性によって限定される。この技術は近年季節性ワクチンの産生のために使用されてきたが、パンデミックに対して妥当な時間枠で対応することはほとんどできず、世界的な製造能力は限定されている。
【0011】
インフルエンザA型H1N1のメキシコにおける最近の大発生は、さらに新しい新興株のワクチン産生についての迅速な方法論を発達させる緊急な医学的必要性を強調する。
【0012】
インフルエンザウイルスは、卵の使用を回避するために哺乳類細胞培養(例えばMDCK細胞またはPERC.6細胞または同種のもの)においても産生されている。別のアプローチは、ウイルス遺伝子による細胞の形質転換によってウイルスが産生されるリバースジェネティクスである。しかしながら、これらの方法は手の込んだ方法および特殊な培養環境に加えて全ウイルスの使用も必要とする。
【0013】
いくつかの組換え産物が組換えインフルエンザワクチン候補として開発されている。これらのアプローチは、バキュロウイルス感染昆虫細胞(Crawford et al, 1999; Johansson, 1999)、ウイルスベクターおよびDNAワクチンコンストラクト(Olsen et al., 1997)を使用するこれらのタンパク質の発現を含む、インフルエンザA型のHAタンパク質およびNAタンパク質の発現、産生および精製に焦点を当てられる。
【0014】
インフルエンザウイルス感染の詳細は周知である。簡潔には、感染サイクルは、シアル酸含有細胞受容体(糖タンパク質および糖脂質)へのビリオン表面のHAタンパク質の付着によって開始される。NAタンパク質はシアル酸受容体のプロセシングを媒介し、細胞の中へのウイルス侵入はHA依存性受容体媒介性エンドサイトーシスに依存する。インフルエンザビリオンを含有する内部移行されたエンドソームの酸性域の中で、HAタンパク質はコンフォメーション変化し、ウイルス膜および細胞膜の融合、ならびにウイルス脱外被、ならびにヌクレオカプシドと会合したリボヌクレオタンパク質(RNP)からのM1タンパク質のM2媒介性放出をもたらし、RNPはウイルスRNA合成のために細胞核へと移動する。HAタンパク質に対する抗体はウイルス感染性を中和することによってウイルス感染を妨害するが、NAタンパク質に対する抗体は、ウイルス複製の初期段階でのNAタンパク質の作用を干渉する。
【0015】
Crawford et al. (1999)は、バキュロウイルス感染昆虫細胞におけるインフルエンザHAの発現を開示する。発現されたタンパク質は、トリH5およびH7インフルエンザ亜型によって引き起こされる致死性インフルエンザ疾患を妨害することができると記載されている。Johansson et al. (1999)は、バキュロウイルスにより発現されたインフルエンザのHAタンパク質およびNAタンパク質は、従来のワクチンによって誘導されたものより優れた免疫応答を動物中で誘導することを教示する。バキュロウイルスにより発現されたウマインフルエンザウイルスの赤血球凝集素の免疫原性および有効性は、相同なDNAワクチン候補と匹敵していた(Olsen et al., 1997)。まとめると、これらのデーターは、インフルエンザウイルスの攻撃感染に対する高度の防御を、異なる動物モデルにおいて様々な実験的アプローチを使用して、組換えのHAタンパク質またはNAタンパク質により誘導できることを実証する。
【0016】
表面のインフルエンザ糖タンパク質(HAおよびNA)はインフルエンザウイルスに対する防御免疫の誘発のための一次標的であること、およびM1はインフルエンザへの細胞性免疫のための保存された標的を提供することが従来の研究により示されているので、新しいワクチン候補は、ウイルス様粒子(VLP)などのタンパク質の巨大分子性粒子としてこれらのウイルス抗原を含むことができる。ワクチン製品として、VLPは、サブユニット抗原または組換え抗原よりも免疫原性が高いという長所があり、液性免疫反応および細胞性免疫反応の両方を刺激することができる(Grgacic and Anderson, 2006)。さらに、これらのインフルエンザ抗原を持つ粒子は、インフルエンザウイルスの複数の株に対する中和抗体を誘発するコンフォメーショナルエピトープを提示することができる。
【0017】
ワクチン目的のための非感染性インフルエンザウイルス株の産生は、不慮の感染を回避する1つの手段である。あるいは、培養されたウイルスの代替物としてウイルス様粒子(VLP)が研究されている。VLPは、ウイルスカプシドの構造を模倣するがゲノムを欠損し、したがって複製または二次感染の手段を提供することができない。
【0018】
いくつかの研究により、組換えインフルエンザタンパク質は、哺乳類発現プラスミドまたはパキュロウイルスベクターを使用する細胞培養においてVLPへと自己集合することが実証された(Gomez-Puertas et al., 1999; Neumann et al., 2000; Latham and Galarza, 2001)。Gomez-Puertas et al. (1999)は、インフルエンザVLPの効率的な形成がいくつかのウイルスタンパク質の発現レベルに依存することを開示する。Neumann et al. (2000)は、もっぱらクローン化されたcDNAから感染インフルエンザウイルス様粒子を生成するために哺乳類の発現プラスミドに基づくシステムを確立した。Latham and Galarza (2001)は、HA、NA、M1およびM2遺伝子を共発現する組換えバキュロウイルスにより感染した昆虫細胞中のインフルエンザVLPの形成を報告した。これらの研究は、インフルエンザビリオンタンパク質は真核生物細胞中で共発現させると自己集合できることを実証した。
【0019】
Gomez-Puertas et al. (2000)は、赤血球凝集素(HA)に加えてインフルエンザウイルスのマトリックスタンパク質(M1)が昆虫細胞からのVLP出芽に必須であることを教示する。しかしながら、Chen et al. (2007)は、M1はVLP形成に必要とされない可能性を教示し、M1およびVLPの効率的な放出はHAの存在およびNAにより提供されるシアリダーゼ活性を必要とすることを観察した。NAは細胞表面で糖タンパク質のシアル酸を切断し、VLPを産生し、培地中にVLPを放出する。
【0020】
Quan et al (2007)は、バキュロウイルス発現システム(昆虫細胞)で産生されたVLPワクチンは、インフルエンザウイルスのいくつかの株(A/PR8/34(H1N1))に対する防御免疫を誘導することを教示する。Quanによって研究されたVLPは原形質膜から出芽することが観察され、哺乳類システム(MDCK細胞)で得られるものに類似する正しいサイズおよび形態であると判断された。
【0021】
エンベロープウイルスは感染細胞から「出芽」するときに脂質エンベロープを得て、原形質膜からまたは細胞内小器官の膜から膜を得ることができる。インフルエンザウイルス粒子およびVLPは宿主細胞の原形質膜から出芽する。哺乳類の細胞システムまたはバキュロウイルス細胞システムにおいて、例えば、インフルエンザは原形質膜から出芽する(Quan et al 2007)。
【0022】
少数のエンベロープウイルスのみが植物に感染することが公知である(例えばトポウイルスおよびラブドウイルスのメンバー)。公知の植物のエンベロープウイルスは、原形質膜からではなく宿主細胞の内膜から出芽することによって特徴づけられる。少数の組換えVLPは植物の宿主において産生されたが、どれも原形質膜に由来しない。現行のインフルエンザVLP生産技術は複数のウイルスタンパク質の共発現に依存し、パンデミックおよび毎年の流行の事例においては応答時間がワクチン接種に重要であるので、この依存性はこれらの技術の短所となる。ワクチンの開発を加速するために、1つのみのウイルスタンパク質の発現に依存するより単純なVLP産生システムが所望される。
【0023】
植物ベースのシステムにおけるインフルエンザHA VLPの産生はWO2009/009876中で記載され、インフルエンザHAが植物宿主細胞中で自己集合し、ウイルス様粒子で原形質膜から出芽できることを本質的に示した。
【0024】
インフルエンザから世界人口を守り、将来のパンデミックを食い止めるために、ワクチン製造業者は、ワクチン用量を産生する効果的な迅速な方法を開発する必要があるだろう。ワクチンを産生するための受精卵の現行の使用は不十分であり、長いプロセスを含む。使用されるHAタンパク質は各々の株について特異的であり他の株と交差反応せず、より広域なスペクトルのワクチンを提供するためには、したがって、持続的な産生またはいったん新しい株が同定されてからの短い反応時間が必要となる。
【0025】
VLPの産生のために使用するHAの天然のタンパク質に対して、特定の修飾および/または変異を行うことができ、かかる修飾は、単一投与のみの後でさえ、インフルエンザの1つ以上の株またはいくつかの株を中和する抗体を誘導するより広域のスペクトルを有する赤血球凝集素タンパク質をもたらす。
【発明の概要】
【0026】
本発明の1つの態様は改善されたインフルエンザワクチンを提供することである。
【0027】
本発明のさらなる態様は、新規のインフルエンザウイルス様粒子を提供することである。
【0028】
本発明のさらなる態様は、より広域のスペクトルの抗体反応を提供するように修飾された赤血球凝集素タンパク質を提供することである。
【0029】
本発明は、N結合型糖タンパク質であるが、N結合型炭水化物が部分的にまたは完全にない(すなわち、もとの天然のHA配列と比較した場合に消失している(abolish)1つまたは複数の糖鎖付加部位を有する)ウイルスエンベロープと実質的に同一のアミノ酸残基配列を有するポリペプチドに加えて、ポリペプチドを産生および利用する方法を意図する。
【0030】
本発明のさらなる態様は、広域スペクトルのインフルエンザワクチンの調製のためのインフルエンザVLPを産生するために、HA1ドメインからの1つまたは複数のN結合型糖鎖付加部位が修飾された/欠失した/変異した/除去された/消失したHAタンパク質を提供することである。
【0031】
特に、HA1ドメインは、株A/ベトナム/1194/04;配列番号:34に従って番号付けした1位乃至331位に位置するアミノ酸を含む。より詳細には、HA1ドメインは、株A/ベトナム/1194/04;配列番号:34に従って番号付けしたタンパク質の39位乃至331位の間のアミノ酸に対応する、球状頭部およびタンパク質のF’2ドメインを含む。特に、消失する糖鎖付加部位はタンパク質の球状頭部にもともと存在し、特に配列番号:34の39位乃至273位の間に位置するアミノ酸に対応する。より詳細には、消失される糖鎖付加部位は、もともとタンパク質のF’2ドメイン中に位置し、配列番号:34の274位〜331位の間に位置するアミノ酸に特に対応する。
【0032】
本発明は、HAの抗原性および免疫原性を変更することができるインフルエンザA型の赤血球凝集素(NA)分子中のアミノ酸置換を提供する。これらの置換は、受容体特異性および/または抗体抗原結合の変更によって抗原部位を変更することができる。実施形態の多様性において、置換からもたらされる抗原性の増加はインフルエンザのためのより広域の交差反応性を持つワクチンの産生のために有用でありえる。特に、アミノ酸置換は、受容体結合部位に対応し、特に位置154および/または165および/または286(番号付けは株A/ベトナム/1194/04;配列番号:34に従う)に対応する位置で、HAタンパク質の非アスパラギン残基のアミノ酸置換の免疫原的な特徴を持つ分子をもたらす。特定の実施形態において、アミノ酸置換は糖鎖付加部位を除去する/欠失させる/消失させる。
【0033】
インフルエンザウイルスの抗原性の増加したHA分子は、H5の154位および/または165位および/または286位に対応する1つまたは複数の糖鎖付加されていないアミノ酸を含むことができ、これらの糖鎖付加部位の任意の1つの除去は、野生型HA分子を持つインフルエンザウイルスに曝露された動物に由来する抗血清との反応性の増加をもたらす。
【0034】
糖鎖付加部位を破壊するために、三つ組シグナルのN−X−S/T(配列中、NはAsnであり、XはPro以外の任意のアミノ酸でありえ、S/TはSerまたはThrの両方でありえる)は、タンパク質工学によって修飾することができる。使用される第1のアプローチは、Asnを別のアミノ酸によって置換することである。第2のアプローチは、糖鎖付加される予定のアスパラギンに対してn+2位の位置でS/Tアミノ酸を他のアミノ酸残基によって置換することである。アスパラギン、セリンまたはスレオニンの置換に使用したされる適切なアミノ酸はアラニンであるが、他のアミノ酸も使用することができる。例えば、Asnは、Leu、Ile、Val、Thr、SerまたはAlaによって置換することができる。さらに、SerまたはThrは、Ala、Val、IleまたはLeuによって置換することができる。
【0035】
特に、インフルエンザウイルスの抗原性の増加したHA分子は、H5 HA中の154位および/または165位および/または286位で非アスパラギンのアミノ酸を含むことができる。
【0036】
インフルエンザウイルスの抗原性の増加したHA分子は、頭部がN結合型糖鎖付加部位を欠いている、すなわち、すべての3つの糖鎖付加部位が消失されているHAタンパク質を含むことができる。
【0037】
インフルエンザウイルスの抗原性の増加したHA分子は、N−154、N−165およびN−286(番号付けは株A/ベトナム/1194/04に従う)からなる群から選択される1つまたは複数の除去される糖鎖付加部位を含むことができる。
【0038】
本発明は異なるインフルエンザ株からの修飾された赤血球凝集素(HA)を提供する。
【0039】
本発明は、
a)シアル化していない宿主生物またはその一部において活性のある調節領域に作動可能に連結された上で定義されたインフルエンザ赤血球凝集素(HA)抗原をコードする核酸を導入することと、
b)核酸の発現を可能にする条件下で宿主またはその一部をインキュベーションして、それによってVLPを産生することと
を含む、シアル化していない宿主生物中でインフルエンザウイルス様粒子(VLP)を産生する方法も提供する。
【0040】
本発明は、導入工程(工程a)において、核酸が宿主中で一過性に発現されるか、または宿主中で安定的に発現されうる上記の方法を含む。さらに、VLPは、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して精製することができる。
【0041】
さらに、本発明は、インフルエンザウイルスHAタンパク質を含むウイルス様粒子(VLP)の産生のために使用される、シアル化していない宿主生物に関する。特に、VLPを産生することができる適切な宿主は、例えば、植物もしくはその一部、植物細胞、昆虫もしくはその一部、昆虫細胞、酵母もしくはその一部、または酵母細胞である。
【0042】
本発明に従えば、シアル化していない宿主生物において活性のある調節領域に作動可能に連結された上述のように定義された修飾インフルエンザHAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸が提供される。抗原は、分子の頭部から1つまたは複数のN結合型糖鎖付加部位(天然の配列中に通常は存在する抗原部位)を欠くインフルエンザ赤血球凝集素(HA)でありえる。
【0043】
本発明は、本明細書において定義されたインフルエンザウイルスHAタンパク質および1つまたは複数の宿主脂質を含むウイルス様粒子(VLP)も提供する。宿主が昆虫ならば、ウイルス様粒子(VLP)はインフルエンザウイルスHAタンパク質および1つまたは複数の昆虫脂質を含むことができ、宿主が酵母ならば、ウイルス様粒子(VLP)はインフルエンザウイルスHAタンパク質および1つまたは複数の酵母脂質を含むことができ、宿主が植物ならば、ウイルス様粒子(VLP)はインフルエンザウイルスHAタンパク質および1つまたは複数の植物脂質を含むことができる。
【0044】
さらなる本発明は、植物中で産生され、それによって植物起原の1つまたは複数の脂質(一般的に「植物脂質」と呼ばれる)を含有するVLPを提供する。
【0045】
本発明は、昆虫細胞の原形質膜からの脂質(一般的に「昆虫脂質」と呼ばれる)を含む昆虫細胞中で産生されたVLPをさらに提供する。
【0046】
本発明は、酵母細胞の原形質膜からの脂質(一般的に「酵母脂質」と呼ばれる)を含む酵母中で産生されたVLPをさらに提供する。
【0047】
さらに、VLP(インフルエンザウイルスHAタンパク質、シアル化しない宿主産生細胞に由来する1つまたは複数の脂質を含む)の効果的な用量を含む組成物は、薬学的に許容される担体との混合において、本発明中に含まれる。薬学的に許容される担体は、経口投与、皮内投与、鼻腔内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、静脈内投与、または皮下投与のために適切でありえる。
【0048】
アジュバントの存在ありまたはなしで、薬学的に許容される担体との混合において、本明細書において定義されたVLPの免疫学的に効果的な用量を含むワクチン組成物は、本発明中にさらに含まれる。ワクチンは、経口で、皮膚内で、鼻腔内で、筋肉内で、腹腔内で、静脈内でまたは皮下で投与することができる。特に、ワクチンはアジュバントの使用なしで投与される。
【0049】
本発明は、インフルエンザウイルス感染に対する免疫を被験体において誘導する方法であって、ウイルス様粒子(インフルエンザウイルスHAタンパク質、1つまたは複数の宿主脂質を含む)および薬学的に許容される担体を被験体に投与することを含む方法も提供する。ウイルス様粒子は、経口で、皮膚内で、鼻腔内で、筋肉内で、腹腔内で、静脈内でまたは皮下で被験体に投与することができる。
【0050】
本発明は、本明細書において定義された1つまたは複数のVLPを含むワクチンの効果的な用量を被験体に投与することを含む、インフルエンザウイルス感染に対する免疫を被験体において誘導する方法に関する。
【0051】
上で定義された方法によって治療される被験体は、ヒト、霊長類、ウマ、ブタ、トリ(鳥類)、水鳥、渡り鳥、ウズラ、アヒル、ガチョウ、家禽、ニワトリ、ラクダ、イヌ科の動物、イヌ、ネコ科の動物、ネコ、トラ、ヒョウ、ジャコウネコ、ミンク、ブナテン、フェレット、家で飼われるペット、家畜、マウス、ラット、アザラシ、クジラ、および同種のものからなる群から選択することができる。特に、被験体は、ヒト患者またはトリ一般(水鳥、渡り鳥、ウズラ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウ、ニワトリなどの家禽を含む)、特に渡り鳥またはヒト消費のための家禽(ウズラ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウ、ニワトリ)でありえる。
【0052】
本発明は、かかる容器を含むキットに加えてシリンジなどの容器も提供し、そのすべては本明細書において定義されたワクチン組成物を含む。
【0053】
本発明のこの要約は、必ずしも本発明のすべての態様を記載するとは限らない。
本発明のこれらおよび他の特色は添付の図面を参照する以下の記載からより明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1A】インフルエンザウイルスHA H5 A/インドネシア/5/05上の糖鎖付加部位の局在化を示した図である。アミノ酸同一性、ポジション、および位置は、A/ベトナム/1194/04;配列番号:34(PDBファイル:2IBX)の構造上のアナロジーによって示される。三重変異体は、球状頭部に位置する糖鎖付加部位N154、N165およびN286の破壊によって作製された。Bright et al. (2003)からの研究を使用して、可能な抗原部位の位置決めを行った。糖鎖付加の型は、HA H1、H3およびH7について文献中で述べられているものに基づいて決定された(Abe Y. et al. (2004);Vigerust DJ et al (2007);およびKuroda et al. (1990))。
【図1B】HA単量体のサブドメインの実例を示した図である。F’1サブドメイン(A/ベトナム/1194/04に従って番号付けした1〜38;配列番号:34)、F’2サブドメイン(274〜331)およびFサブドメインが示される。受容体結合部位およびエステラーゼサブドメインはともに球状頭部(39〜273)を形成する。融合ペプチドは白いボックスとして示される。HAの可溶性ブロメライン産物のみが結晶化されて構造が解明されているので、膜貫通ドメインおよび細胞質尾部をHA構造上で見ることができない。
【図2】異なるA亜型からのHAの単量体の構造を示した図である。脂質二重層(その脂肪性相当物およびその極性頭部と共に)を同様に提示する。構造は、Ha et al(Ha Y, Stevens DJ, Skehel JJ, Wiley DC (2002))H5鳥類から援用した。
【図3】本発明の実施形態に従うH1の発現に使用したアルファルファのプラストシアニンベースの発現カセットの配列を示した図である(配列番号:8)。タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)シグナルペプチドに下線が引かれる。クローニングに使用したBglII(AGATCT)およびSacI(GAGCTC)制限部位を太字で示す。
【図4】A/インドネシア/5/05からの野生型HA亜型H5の発現のために組み立てたプラスミド660の表示を示した図である。
【図5】A/インドネシア/5/05からの糖鎖付加のない変異させたHA亜型H5の発現のために組み立てたプラスミド680の表示を示した図である。
【図6】第1および第2の投薬後の非活性化全ウイルス(WIV)に対する抗体力価を示した図である。野生型VLPまたは三重変異体VLP(糖鎖付加されない)のいずれかで免疫されたラットからの血清の反応性を、第1の免疫後(14日目)または第2の免疫後(35日目)に評価した。免疫反応性をいくつかのH5N1ウイルスに対して評価した。
【図7】第1および第2の投薬後の赤血球凝集阻害(HI)抗体力価を示した図である。野生型VLPまたは三重変異体VLP(糖鎖付加されない)で免疫されたラットからのHI力価を、第1の免疫(14日目)または第2の免疫(35日目)の14日後に評価した。いくつかのH5N1ウイルスおよび1つのH1N1ウイルスに対して免疫反応性を評価した。
【図8】インフルエンザHA0についての配列リストを示した図である。
【図9】インフルエンザHAタンパク質亜型H2の配列リストを示した図である。
【図10】インフルエンザHAタンパク質亜型H3の配列リストを示した図である。
【図11】インフルエンザHAタンパク質亜型H4の配列リストを示した図である。
【図12】インフルエンザHAタンパク質亜型H5の配列リストを示した図である。
【図13】インフルエンザHAタンパク質亜型H6の配列リストを示した図である。
【図14】インフルエンザHAタンパク質亜型H7の配列リストを示した図である。
【図15】インフルエンザHAタンパク質亜型H8の配列リストを示した図である。
【図16】インフルエンザHAタンパク質亜型H9の配列リストを示した図である。
【図17】インフルエンザHAタンパク質亜型H10の配列リストを示した図である。
【図18】インフルエンザHAタンパク質亜型H11の配列リストを示した図である。
【図19】インフルエンザHAタンパク質亜型H12の配列リストを示した図である。
【図20】インフルエンザHAタンパク質亜型H13の配列リストを示した図である。
【図21】インフルエンザHAタンパク質亜型H14の配列リストを示した図である。
【図22】インフルエンザHAタンパク質亜型H15の配列リストを示した図である。
【図23】インフルエンザHAタンパク質亜型H16の配列リストを示した図である。
【図24】完全な野生型H5配列を含有する、660 pCAMBIA発現ベクターの配列リストを示した図である。
【図25A】PCR増幅に使用されたプライマーの配列リストを示した図である。
【図25B】PCR増幅に使用されたプライマーの配列リストを示した図である。
【図25C】PCR増幅に使用されたプライマーの配列リストを示した図である。
【図25D】PCR増幅に使用されたプライマーの配列リストを示した図である。
【図25E】PCR増幅に使用されたプライマーの配列リストを示した図である。
【図25F】PCR増幅に使用されたプライマーの配列リストを示した図である。
【図25G】PCR増幅に使用されたプライマーの配列リストを示した図である。
【図25H】PCR増幅に使用されたプライマーの配列リストを示した図である。
【図25I】PCR増幅に使用されたプライマーの配列リストを示した図である。
【図25J】PCR増幅に使用されたプライマーの配列リストを示した図である。
【図26】最初のATGのすぐ上流のHindIII部位が隣接する天然のシグナルペプチドおよびストップ(TAA)コドンのすぐ下流のSacI部位を含む、完全なH5コード領域を含有して産生された断片の配列リストを示した図である。
【図27】最初のATGのすぐ上流のHindIII部位が隣接する天然のシグナルペプチドおよびストップ(TAA)コドンのすぐ下流のSacI部位を含む、3つの糖鎖付加部位をすべて除去するように修飾した完全なH5コード領域を含有して産生された断片のための配列リストを示した図である。
【図28A】PCR増幅のプライマーのための配列リストを示した図である。
【図28B】PCR増幅のプライマーのための配列リストを示した図である。
【図28C】PCR増幅のプライマーのための配列リストを示した図である。
【図28D】PCR増幅のプライマーのための配列リストを示した図である。
【図29】株A/ベトナム/1194/04からの成熟H5のアミノ酸配列を示した図である。
【図30A】株B/フロリダ/4/2006からの成熟HAの核酸配列を示した図である。
【図30B】株B/フロリダ/4/2006からの成熟HAのアミノ酸配列を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明はウイルス様粒子(VLP)の産生に関する。より詳細には、本発明はインフルエンザ抗原を含むウイルス様粒子の産生を指向する。
【0056】
以下の記載は特定の実施形態である。
【0057】
1−HAタンパク質
本明細書において使用される時、「タンパク質」は、特定の形態を達成するために二次構造、三次構造または四次構造へと折り畳まれる、ペプチド結合によって結合される一連のアミノ酸を一般的に指す。あるいは、ポリペプチド、ペプチドまたはペプチドフラグメントという用語は、類似する情況で使用することができる。
【0058】
「赤血球凝集素ドメイン」という用語は、HA0前駆体ポリペプチド、またはHA1ドメインおよびHA2のドメインのいずれかを含むペプチドを指す。赤血球凝集素ドメインは、シグナルペプチド、膜貫通ドメインまたは天然に存在するタンパク質中で見出される細胞質尾部を含まない。
【0059】
インフルエンザウイルスに関して、本明細書において使用される時「赤血球凝集素」または「HA」という用語は、インフルエンザウイルス粒子の外側上で見出される糖タンパク質を指す。HAは、一般的にはシグナルペプチド、HA1ドメイン、ならびにC末端および小さな細胞質尾部で膜通過アンカー部位を含むHA2ドメインを含むホモ三量体の膜のタイプI糖タンパク質である(図1B)。HAをコードするヌクレオチド配列は周知であり利用可能である。例えば、バイオディフェンスパブリックヘルスベース(BioDefence Public Health base)(インフルエンザウイルス;URL: biohealthbase.orgを参照)または全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(URL: ncbi.nlm.nih.govを参照)を参照(その両者は参照として本明細書に組み込まれる)。
【0060】
インフルエンザHAに関する構造的情報
HA単量体は、2つの別個の機能ドメイン(球状頭部ドメインおよびステムドメイン)で細分することができる。一次配列とHAの構造との間のこれらのドメインの一致を図1Bおよび図2で示す。ステムドメインは、酸性pHで行なうことができる並外れたコンフォメーション変化を介してウイルスの伝染性および病原性に関与する。ステムドメインは4つのサブドメインとしてさらに記載され、それらは融合ペプチド(低pHのコンフォメーショナル状態で宿主膜との融合に関与する26アミノ酸の疎水性ストレッチ)、ステムドメインそれ自体(2つの極端に異なるコンフォメーションに適合することができる)、膜貫通ドメイン(TmD)(脂質ラフトに対するHAの親和性を決定する)、細胞質尾部(C尾部)(HAの分泌に関与する)である。球状頭部は、2つのサブドメイン(受容体結合(RB)ドメインおよび痕跡のエステラーゼドメイン(E))に分けられる。エステラーゼサブドメインは、タンパク質の表面からかなり埋まっており、したがってHAに対して作製された大多数の抗体は、受容体結合ドメインに結合する(頭部の最上部分によって図2中に示される)。
【0061】
「ホモ三量体」または「ホモ三量体の」という用語は、オリゴマーが3つのHAタンパク質分子によって形成されることを示す。HAタンパク質は75kDaの単量体前駆体タンパク質(HA0)として合成され、それは伸長した三量体タンパク質へと表面で集合する。高病原性鳥類株については、前駆体タンパク質は、三量体化が起こる前に、ジスルフィド結合によって連結される2つのポリペプチド鎖、HA1(328アミノ酸)およびHA2(221アミノ酸;膜貫通領域を含む)へと保存された活性化切断部位(融合ペプチドとも呼ばれる)で細胞内で切断される。この工程はウイルス感染性に重要であるが、タンパク質の三量体化に必須ではない。哺乳類インフルエンザウイルス株および非病原性鳥類インフルエンザウイルス株については、前駆体HA0は、宿主の呼吸管の細胞によって、または細菌もしくはマイコプラズマの共感染によって分泌されたプロテアーゼによって細胞外で切断される。宿主細胞の小胞体(ER)膜内部へのHAの挿入、シグナルペプチド切断、およびタンパク質の糖鎖付加は、翻訳と同時に起こる事象である。HAの正しい再折畳みは、タンパク質の糖鎖付加および6つの鎖内ジスルフィド結合の形成を必要とする。HA三量体はシスゴルジ複合体およびトランスゴルジ複合体内で集合し、膜貫通ドメインが三量体化プロセスにおいて役割を果たす。ブロメライン処理したHAタンパク質の結晶構造(膜貫通ドメインを欠損する)は、インフルエンザ株の中で高度に保存された構造を示した。感染プロセス(前駆体HA0が2つのポリペプチド鎖HA1およびHA2へと切断されることを必要とする)の間にHAが大きなコンフォメーション変化を受けることも立証された。HAタンパク質はプロセシングを受ける(すなわち、HA1ドメインおよびHA2のドメインを含む)か、またはプロセシングを受けない(すなわち、HA0ドメインを含む)。
【0062】
本発明は、膜貫通ドメインを含むHAタンパク質の使用に関し、HA1ドメインおよびHA2ドメインを含み、例えば、HAタンパク質はHA0、またはHA1およびHA2を含むプロセシングされたHAでありえる。
【0063】
本発明のHAは任意の亜型から得ることができる。例えば、HAは、亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15またはH16のものでありえる。
【0064】
本発明は、修飾したN−グリカンを有するHAを含むVLPを含む。本発明の組換えHAは、当技術分野において公知の任意の赤血球凝集素の配列に基づいたアミノ酸配列も含むことができ(例えば、バイオディフェンスパブリックヘルスベース(インフルエンザウイルス;URL: biohealthbase.orgを参照)、または全米バイオテクノロジー情報センター(URL: ncbi.nlm.nih.govを参照)を参照)、ペプチド抗原部位をマスクする糖残基を除去するために、天然のN結合型糖鎖付加部位は除去/変異/欠失/修飾される。
【0065】
さらに、HAは、1つまたは複数の新興インフルエンザウイルスまたは新しく同定されたインフルエンザウイルスから単離した赤血球凝集素の配列に基づくことができる。
【0066】
さらに、HA亜型の組み合わせを含むVLPは産生することができる。例えば、VLPは、亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、またはその組み合わせからの1つまたは複数のHAを含むことができる。HAの組み合わせの選択は、VLPから調製したワクチン使用の意図によって決定することができる。例えば、トリの接種における使用のためのワクチンは、HA亜型の任意の組み合わせを含むことができ、その一方でヒトの接種に有用なVLPは、1つまたは複数の亜型H1、H2、H3またはH5からの亜型を含むことができる。しかしながら、他のHA亜型の組み合わせはVLPの使用に応じて調製することができる。HA亜型の組み合わせを含むVLPを産生するために、所望されるHA亜型は同じ細胞(例えば植物細胞)内で共発現することができる。
【0067】
特に、本明細書において記載されるように産生されたVLPはノイラミニダーゼ(NA)を含まない。しかしながら、HAおよびNAを含むVLPが所望されるならばNAはHAと共発現させることができる。
【0068】
2−インフルエンザ亜型
本発明は、例えば非常に優勢なA亜型ならびにそれほど一般的でないB型およびC型を含むが、これらに限定されないすべての型のヒトインフルエンザウイルス、ならびに他のインフルエンザ亜型から得られるHAを含む。
【0069】
本発明は、1つまたは複数のインフルエンザ亜型から得られたHAを含むVLPも含む。例えば、VLPは、亜型H1(配列番号:1によってコードされる)、H2(配列番号:2によってコードされる)、H3(配列番号:3によってコードされる)、H4(配列番号:4によってコードされる)、H5(配列番号:5によってコードされる)、H6(配列番号:6によってコードされる)、H7(配列番号:7によってコードされる)、H8(配列番号:8によってコードされる)、H9(配列番号:9によってコードされる)、H10(配列番号:10によってコードされる)、H11(配列番号:11によってコードされる)、H12(配列番号:12によってコードされる)、H13(配列番号:13によってコードされる)、H14(配列番号:14によってコードされる)、H15(配列番号:15によってコードされる)、H16(配列番号:16によってコードされる)またはその組み合わせからの1つまたは複数のHAを含むことができる。1つまたは複数のHAの合成が1つまたは複数のインフルエンザ亜型から得られたHAの組み合わせを含むVLPの形成をもたらすことを保証するために、1つまたは複数のインフルエンザ亜型からの1つまたは複数のHAは、植物細胞または昆虫細胞内で共発現させることができる。HAの組み合わせの選択は、VLPから調製したワクチン使用の意図によって決定することができる。例えば、ヒトの接種における使用のためのワクチンは、HA亜型の任意の組み合わせ、特に、1つまたは複数の亜型H1、H2、H3、H5、H7、H9、H10、N1、N2、N3およびN7、特にH1、H2、H3、H5を含むことができる。
【0070】
しかしながら、他のHA亜型の組み合わせは、接種物の使用に応じて調製することができる。
【0071】
3−産生の方法
さらに、本発明は、宿主においてウイルス様粒子(VLP)を産生する方法を提供する。したがって、本発明は、単一エンベロープタンパク質の発現からのVLP、および宿主発現システムにおけるウイルスVLPを産生する方法を提供する。方法は、宿主またはその一部において活性のある調節領域に作動可能に連結された抗原をコードする核酸を導入すること、および核酸の発現を可能にする条件下で宿主または宿主の一部をインキュベーションして、それによってVLPを産生することを含む。
【0072】
本発明の調節エレメントは、形質転換または一過性発現に適用可能な、特に植物、昆虫または酵母などの様々な宿主生物内の発現のために、対象となるコード領域とも組み合わせることができる。
【0073】
特に、かかる生物は、植物(単子葉植物および双子葉植物の両方)、例えば、トウモロコシ、穀物用植物、コムギ、オオムギ、カラスムギ、タバコ属の種、アブラナ属の種、ダイズ、インゲンマメ、エンドウ、アルファルファ、ジャガイモ、トマト、チョウセンニンジン、およびシロイヌナズナであるが、これらに限定されない。
【0074】
これらの生物の安定した形質転換および再生のための方法は、当技術分野において確立され、当業者に公知である。形質転換され再生された植物を得る方法は、当技術分野において周知である。
【0075】
「形質転換」によって、遺伝子型、表現型、または両方によって明示される遺伝情報(ヌクレオチド配列)の安定した種間移行が意味される。キメラコンストラクトから宿主への遺伝情報の種間移行は遺伝性であり、遺伝情報の移行は安定性であるか、または移行は一過性であり遺伝情報の移行は遺伝可能ではないと判断される。
【0076】
本発明のコンストラクトを発現するために、一過性発現方法を使用することができる(Liu and Lomonossoff, 2002, Journal of Virological Methods, 105:343-348を参照;参照として本明細書に組み込まれる)。あるいは、Kapila et al. 1997(参照として本明細書に組み込まれる)によって記載された真空に基づく一過性発現方法を使用することができる。これらの方法は、例えば、アグロ接種またはアグロインフィルトレーションの方法を含むが、これらに限定されず、しかしながら、他の一過性方法も上述されるように使用することができる。アグロ接種またはアグロインフィルトレーションのいずれかにより、所望される核酸を含むアグロバクテリアの混合物は、組織、例えば、葉、植物の地上構造の一部(茎、葉および花を含む)、植物の他の一部(茎、根、花)、または全草の細胞間の空間に入り込む。表皮の通過後に、アグロバクテリウムは感染し、細胞へとt−DNAコピーを移行させる。t−DNAはエピソームとして転写され、mRNAは翻訳され、感染した細胞中で対象となるタンパク質の産生をもたらすが、核の内部でのt−DNAの継代は一過性である。
【0077】
4−宿主生物
本発明のVLPは、グリコフォーラム(glycoforum)中で同定されるように、タンパク質をシアル化する能力の欠損(例えばシアリダーゼの欠損)によって特徴づけられる、植物細胞、昆虫細胞、真菌、および海綿動物、腔腸動物、環形動物、節足動物、軟体動物、線形動物、輪形動物、扁形動物、毛顎動物、有触手動物、クラミジア、スピロヘータ、グラム陽性菌、シアノバクテリア、古細菌を含む他の生物などの宿主細胞中で産生することができる(例えば、URL: glycoforum.gr.jp/science/word/evolution/ES-AOSE.htmlを参照)。
【0078】
本明細書において記載されるように産生されたVLPは、典型的にはノイラミニダーゼ(NA)を含まない。しかしながら、HAおよびNAを含むVLPが所望されれば、NAはHAと共発現することができる。
【0079】
特に、本発明のVLPは、植物細胞、植物全体またはその一部(葉、種子または他の植物素材などの)において産生することができる。
【0080】
「植物素材」という用語によって、植物に由来する任意の材料が意味される。植物素材は、植物全体、組織、細胞または任意のその画分を含むことができる。さらに、植物素材は、細胞内植物成分、細胞外植物成分、植物の液体もしくは固体の抽出物、またはその組み合わせを含むことができる。さらに、植物素材は、植物葉、茎、果実、根またはその組み合わせからの植物、植物細胞、組織、液体抽出物またはその組み合わせを含むことができる。植物素材は、任意の加工工程が行われていない植物またはその一部を含むことができる。しかしながら、植物材料に対して、以下に定義されるような最小の加工工程、またはより厳密な加工(クロマトグラフィー、電気泳動および同種のものを含むがこれらに限定されない当技術分野内で一般に公知である部分的または実質的なタンパク質精製を使用する技術を含む)を行うことができることも意図される。
【0081】
「最小限の加工」という用語によって、植物素材、例えば、対象となるタンパク質を含む植物またはその一部を、部分的に精製して、植物抽出物、ホモジネート、植物ホモジネートの画分または同種のものを得る(すなわち最小限に加工する)ことが意味される。部分的精製は、植物の細胞構造を破壊すること、それによって可溶性植物成分、および例えば遠心分離、濾過またはその組み合わせであるがこれらに限定されないものによって分離することができる不溶性植物成分を含む組成物を生成することを含むことができるが、これらに限定されない。この点に関して、葉または他の組織の細胞外空間内の分泌タンパク質を真空または遠心による抽出を使用して容易に得ることができるか、または細胞外空間内からタンパク質を圧搾または遊離させるために圧力下でのローラーを介する通過もしくは粉砕または同種のものによって組織を抽出することができる。可溶性タンパク質の粗抽出物の調製物は二次的な植物産物からの混入がほとんどないので、最小限の加工は可溶性タンパク質の粗抽出物の調製物も含みうる。さらに、最小限の加工は、葉からの可溶性タンパクの水抽出、続いて任意の適切な塩による沈殿を含むことができる。他の方法は、抽出物の直接使用を可能にするために大規模浸軟および液汁抽出を含みうる。
【0082】
植物素材(植物材料または組織の形態で)は、被験体に経口送達することができる。植物素材は、食事へのサプリメントの一部分として他の食品と共に投与されるか、またはカプセル化して投与することができる。植物素材もしくは組織は、食味性を改善もしくは増加させるために濃縮するか、または必要に応じて、他の材料、成分もしくは医薬品賦形剤と共に提供することもできる。
【0083】
本発明の考慮される部分は、本発明のキメラ遺伝子コンストラクトを含有するトランスジェニックの植物、植物細胞または種子である。植物細胞から全植物体を再生する方法も当技術分野において公知である。一般に、形質転換された植物細胞の同定を促進するために選択マーカーが使用される場合、形質転換された植物細胞は、適切な培地(抗生物質などの選択薬剤を含むことができる)中で培養される。いったんカルスが形成されたなら、公知の方法に従う適切な植物ホルモンを用いることによって芽形成は促進することができ、シュートを植物の再生のための発根培地に移す。次いで、種子または栄養繁殖技術の使用のいずれかからの反復世代を確立するために、植物を使用することができる。トランスジェニック植物は組織培養を使用せずに生成することもできる。
【0084】
本発明の考慮される部分は、本発明に従う、VLP産生のための組換えHA0をコードする核酸を含むキメラ遺伝子コンストラクトを含有するトランスジェニックの植物、樹木、酵母、細菌、真菌および昆虫および動物細胞である。
【0085】
対象となるタンパク質を含む植物、または対象となるタンパク質を含むVLPを発現する植物は、必要性および状況に応じた様々な手段で、被験体または標的生物に投与できることが意図される。例えば、植物から得られる対象となるタンパク質は、粗製形態、部分精製形態、または精製形態のいずれかで使用前に抽出することができる。タンパク質が精製される予定ならば、食用植物または非食用植物のいずれかにおいて産生することができる。さらに、タンパク質が経口投与されるならば、植物の組織を収穫し被験体に直接食物として与えるか、または収穫された組織を食物として与える前に乾燥させるか、または事前に収穫することなく動物を植物上で放牧させることができる。収穫された植物の組織を動物用食物内の食品サプリメントとして提供することも本発明の範囲内である判断される。植物の組織が、ほとんどまたはまったくさらに加工されずに、動物に食物として与えられるならば、投与されている植物組織が食用であることが好ましい。
【0086】
転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)は植物中での導入遺伝子の発現を限定することに関与し、導入遺伝子mRNAの特異的分解を打ち消すためにジャガイモウイルスY(HcPro)からのサイレンシングサプレッサーの共発現を使用することができる(Brigneti et al., 1998)。代替のサイレンシングサプレッサーは当技術分野において周知であり、本明細書において記載されるように使用することができ(Chiba et al., 2006, Virology 346:7-14;参照として本明細書に組み込まれる)、例えば、TEV−p1/HC−Pro(タバコエッチウイルス−p1/HC−Pro)、BYV−p21、トマトブッシースタントウイルスのp19(TBSV p19)、トマトクリンクルウイルスのカプシドタンパク質(TCV−CP)、キュウリモザイクウイルスの2b(CMV−2b)ジャガイモウイルスXのp25(PVX−p25)、ジャガイモウイルスMのp11(PVM−p11)、ジャガイモウイルスSのp11(PVS−p11)、ブルーベリースコーチウイルスのp16(BScV−p16)、柑橘トリステザウイルスのp23(CTV−p23)、ブドウ葉巻随伴ウイルス−2のp24(GLRaV−2 p24)、ブドウウイルスAのp10(GVA−p10)、ブドウウイルスBのp14(GVB−p14)、ヘラクレウム(Heracleum)潜在ウイルスのp10(HLV−p10)またはニンニク共通潜在ウイルスのp16(GCLV−p16)であるが、これらに限定されない。したがって、サイレンシングサプレッサー、例えば、HcPro、TEV−p1/HC−Pro、BYV−p21、TBSV p19、TCV−CP、CMV2b、PVX−p25、PVM−p11、PVS−p11、BScV−p16、CTV−p23、GLRaV−2 p24、GBV−p14、HLV−p10、GCLV−p16またはGVA−p10であるが、これらに限定されないものは、植物内での高レベルタンパク質産生をさらに保証するために、対象となるタンパク質をコードする核酸配列と共に共発現させることができる。
【0087】
エンベロープウイルスのVLPは、一般的には出芽する膜からエンベロープを取得する。植物原形質膜は、免疫刺激効果がある植物性ステロール相補物を有している。この可能性を調査するために、植物で作製されたH5 VLPをアジュバントの存在下において動物に投与し、HAI(赤血球凝集阻害抗体応答)を決定した(図7)。
【0088】
植物中のVLPの産生は、昆虫細胞培養中のこれらの粒子の産生を上回るいくつかの利点を示す。植物脂質は特異的な免疫細胞を刺激し、誘導された免疫応答を促進することができる。植物膜は脂質、ホスファチジルコリン(PC)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)からできており、植物ならびにある種の細菌および原虫類に特有なグリコスフィンゴ脂質も含有する。スフィンゴ脂質は、PCまたはPEのようなグリセロールのエステルではなく、むしろ18個以上の炭素を含有する脂肪酸鎖とアミド結合を形成する長鎖アミノアルコールからなるという点で独特である。スフィンゴ糖脂質に加えてPCおよびPEは、樹状細胞およびマクロファージのような抗原提示細胞(APC)、ならびに胸腺および肝臓中のBリンパ球およびTリンパ球を含む他の細胞などの哺乳類の免疫細胞によって発現されるCD1分子と結合することができる(Tsuji M, 2006)。さらに、植物脂質の存在下のアジュバント効果の可能性に加えて、植物N−グリカンが抗原提示細胞による糖タンパク質抗原の捕捉を促進する能力(Saint-Jore-Dupas, 2007)は、植物中のVLPの産生で有利でありえる。
【0089】
理論に束縛されるものではないが、植物で作製されたVLPが他の産生/製造システムにおいて作製されたVLPよりも強い免疫反応を誘導し、生全ウイルスワクチンまたは弱毒化全ウイルスワクチンによって誘導された免疫反応と比較した場合、植物で作製されたVLPによって誘導された免疫反応がより強くなることが予想される。
【0090】
全ウイルスから作製されたワクチンとは異なって、VLPは非感染性であり、したがって制限的な生物学的封じ込めは、感染性の全ウイルスを用いて作業するときほど重要な問題ではなく、産生には必要とされないので、VLPは有利である。植物で作製されたVLPは、発現システムを温室または野外で生育させることを可能にし、したがって有意に経済的であることおよびスケールアップに適切であることによって、一層の利点をさらに提供する。
【0091】
さらに、植物は、シアル酸残基の合成およびタンパク質への付加に関与する酵素を含まない。VLPはノイラミニダーゼ(NA)の非存在下で産生することができ、植物中のVLP産生を保証するために、NAを共発現する必要性、またはシアリダーゼ(ノイラミニダーゼ)により産生する細胞または抽出物を処理する必要性はない。
【0092】
特に、本発明に従って産生されたVLPは、RNAを結合することが公知であるM1タンパク質を含まない。RNAはVLP調製物の混入物であり、ヒトワクチンとしての使用のためのVLP産物についての規制認可を得るときには所望されない。
【0093】
5−核酸
本発明は、シアル化しない宿主生物において活性のある調節領域に作動可能に連結された、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)抗原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0094】
本発明は、宿主発現ベクターの中へのHA(例えばヒトインフルエンザAウイルスHAであるが、これらに限定されない)をコードする核酸のクローニング、およびワクチン産生のために適切な宿主からのインフルエンザVLPの製造を記載するが、これらに限定されない。VLPは、形質転換された宿主細胞(例えば植物細胞または昆虫細胞)中で、機能的および免疫原的に同型の巨大分子性タンパク質構造(インフルエンザサブウイルス粒子およびインフルエンザVLPを含む)へと自己集合する組換えインフルエンザ構造タンパク質からなる試薬を産生するためにも使用することができる。
【0095】
本発明は、ヌクレオチド配列のH1(配列番号:1によってコードされる)、H2(配列番号:2によってコードされる)、H3(配列番号:3によってコードされる)、H4(配列番号:4によってコードされる)、H5(配列番号:5によってコードされる)、H6(配列番号:6によってコードされる)、H7(配列番号:7によってコードされる)、H8(配列番号:8によってコードされる)、H9(配列番号:9によってコードされる)、H10(配列番号:10によってコードされる)、H11(配列番号:11によってコードされる)、H12(配列番号:12によってコードされる)、H13(配列番号:13によってコードされる)、H14(配列番号:14によってコードされる)、H15(配列番号:15によってコードされる)およびH16(配列番号:16によってコードされる)も含む。
【0096】
特に、本発明は、H1、H5もしくはH7からのHAをそれぞれコードするヌクレオチド配列の配列番号:1;配列番号:5;配列番号:7;ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、H1、H5もしくはH7からのHAをコードする核酸にそれぞれハイブリダイズするヌクレオチド配列の配列番号:1;配列番号:5;配列番号:7;またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、H1、H5もしくはH7からのHAをそれぞれコードする核酸の相補物にハイブリダイズするヌクレオチド配列の配列番号:1;配列番号:5;配列番号:7を含み;ヌクレオチド配列は、発現させた場合VLPを形成する赤血球凝集素タンパク質をコードし、VLPは抗体の産生を誘導する。例えば、宿主細胞内でのヌクレオチド配列の発現はVLPを形成し、VLPは、成熟HA、HA0、HA1またはHA2を含むHAの結合が可能な抗体を産生するために使用することができる。VLPは被験体に投与された場合免疫応答を誘導する。
【0097】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーションは当技術分野において公知である。(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology、Ausubel et al.編、1995年およびサプリメント;Maniatis et al.、Molecular Cloning (A Laboratory Manual)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)社、1982年;Sambrook and Russell、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版2001年を参照;その各々は参照として本明細書に組み込まれる)。1つのかかるストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の一例は、65℃の4×SSC中で約16〜20時間のハイブリダイゼーション、続いて65℃の0.1×SSC中で1時間の洗浄、または65℃の0.1×SSC中で各々20分間または30分間の2回の洗浄でありえる。あるいは、例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、42℃の50%ホルムアミド、4×SSC中で一晩(16〜20時間)、続いて65℃の0.1×SSC中で1時間の洗浄、または65℃の0.1×SSC中で各々20分間もしくは30分間または一晩(16〜20時間)2回の洗浄、または65℃でChurch水性リン酸緩衝液(7% SDS;0.5M NaPO4緩衝液pH7.2;10mM EDTA)中でハイブリダイゼーション、そして50℃の0.1×SSC、0.1%SDS中で各々20分間もしくは30分間の2回の洗浄、または65℃の2×SSC、0.1%SDS中で各々20分間もしくは30分間の2回の洗浄でありえる。
【0098】
さらに、本発明は、H1(配列番号:1)、H5(配列番号:5)またはH7(配列番号:7)からのHAをコードするヌクレオチド配列と、約70、75、80、85、87、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%またはその間の任意の量の配列同一性または配列類似性を有するとして特徴づけられるヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は、発現させた場合VLPを形成する赤血球凝集素タンパク質をコードし、VLPは抗体の産生を誘導する。例えば、植物細胞内でのヌクレオチド配列の発現はVLPを形成し、VLPは、成熟HA、HA0、HA1またはHA2を含むHAの結合が可能な抗体を産生するために使用することができる。VLPは被験体に投与された場合免疫応答を誘導する。
【0099】
配列同一性または配列類似性は、DNASIS内で提供されたものなどのヌクレオチド配列比較プログラムを使用して決定することができる(例えば以下のパラメーターを使用するが、これらに限定されない:ギャップペナルティ5、トップダイアゴナル数5、固定ギャップペナルティ10、k−タプル2、フローティングギャップ10およびウィンドサイズ5)。しかしながら、比較のための配列のアライメントの他の方法は当技術分野において周知であり、例えば、Smith & Waterman (1981, Adv. Appl. Math. 2:482)、Needleman & Wunsch (J. Mol. Biol. 48:443, 1970)、Pearson & Lipman (1988, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85:2444)のアルゴリズムであり、これらのアルゴリズムのコンピューターによる遂行(例えばGAP、BESTFIT、FASTAおよびBLAST)によって、または手動アライメントおよび目視検査によって行われるものである。
【0100】
したがって、本発明は、安定的発現システムまたは一過性発現システムによる使用に適切なキメラコンストラクトを含む適切なベクターをさらに含む。遺伝情報は1つまたは複数のコンストラクト内でも提供することができる。例えば、対象となるタンパク質をコードするヌクレオチド配列を1つのコンストラクト中に導入し、対象となるタンパク質の糖鎖付加を修飾するタンパク質をコードする第2のヌクレオチド配列は個別のコンストラクトを使用して導入することができる。次いで、これらのヌクレオチド配列を宿主内で共発現させることができる。しかしながら、対象となるタンパク質および対象となるタンパク質の糖鎖付加プロフィールを修飾するタンパク質の両方をコードするヌクレオチド配列を含むコンストラクトも使用することができる。この事例において、ヌクレオチド配列は、対象となるプロモーターまたは調節領域に作動可能に連結されたタンパク質をコードする第1の核酸配列を含む第1の配列、および対象となるタンパク質の糖鎖付加プロフィールを修飾するタンパク質をコードする第2の核酸配列を含む第2の配列(第2の配列はプロモーターまたは調節領域に作動可能に連結される)を含むだろう。
【0101】
「共発現される」によって、宿主内でおよそ同じ時間で、および宿主の同じ組織内で2つまたはそれ以上のヌクレオチド配列が発現されることが意味される。しかしながら、ヌクレオチド配列が正確に同じ時間で発現される必要はない。むしろ、2つまたはそれ以上のヌクレオチド配列は、コードされた産物が相互作用する機会を有するような様式で発現される。例えば、対象となるタンパク質の糖鎖付加を修飾するタンパク質は、対象となるタンパク質の糖鎖付加の修飾が行われるように、対象となるタンパク質が発現される期間の前にまたはその間に発現させることができる。2つまたはそれ以上の配列の両方の配列が発現されるという条件下でおよそ同じ時間で宿主内で導入される場合には、2つまたはそれ以上のヌクレオチド配列は一過性発現システムを使用して共発現させることができる。あるいは、ヌクレオチド配列のうちの1つ(例えば対象となるタンパク質の糖鎖付加プロフィールを修飾するタンパク質をコードする配列)を含むプラットフォーム宿主は、一過性様式にまたは安定的様式で、対象となるタンパク質をコードする追加の配列により形質転換することができる。この事例において、対象となるタンパク質の糖鎖付加プロフィールを修飾するタンパク質をコードする配列は、所望される発生ステージの間に所望される組織内で発現させることができるか、またはその発現は誘導可能プロモーターを使用して誘導することができ、対象となるタンパク質を、コードする追加の配列を類似する条件下でおよび同じ組織で発現させて、ヌクレオチド配列が共発現されることを保証することができる。
【0102】
本発明のコンストラクトは、Tiプラスミド、Riプラスミド、植物ウイルスベクター、直接的DNA形質転換、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどを使用して、植物細胞へと導入することができる。かかる技術の総説については、例えば、Weissbach and Weissbach、Methods for Plant Molecular Biology、アカデミー・プレス(Academy Press)社、ニューヨークVIII、pp.421−463(1988);Geierson and Corey、Plant Molecular Biology、第2版(1988);およびPlant Metabolism中のMiki and Iyer、Fundamentals of Gene Transfer in Plants.、第2版DT. Dennis, DH Turpin, DD Lefebrve, DB Layzell(編)、アディソン・ウェズリー・ラングマン社(Addison Wesly,Langmans Ltd.)ロンドン、pp.561−579(1997)を参照。他の方法は、直接的DNA取込、リポソームの使用、エレクトロポレーション(例えばプロトプラストを使用して)、マイクロインジェクション、マイクロプロジェクタイルまたはウィスカー、およびバキュームインフィルトレーションを含む。例えば、Bilang, et al. (Gene 100: 247-250 (1991)、Scheid et al. (Mol. Gen. Genet. 228: 104-112, 1991)、Guerche et al. (Plant Science 52: 111-116, 1987)、Neuhause et al. (Theor. Appl Genet. 75: 30-36, 1987)、Klein et al., Nature 327: 70-73 (1987);Howell et al. (Science 208: 1265, 1980)、Horsch et al. (Science 227: 1229-1231, 1985)、DeBlock et al. (Plant Physiology 91: 694-701, 1989)、Methods for Plant Molecular Biology(Weissbach and Weissbach編、アカデミックプレス社(Academic Press Inc.)、1988年)、Methods in Plant Molecular Biology(Schuler and Zielinski編、アカデミックプレス社、1989年)、Liu and Lomonossoff(J. Virol Meth, 105:343-348, 2002)、米国特許第4,945,050号;第5,036,006号;および第5,100,792号、1995年5月10日に出願された米国特許出願シリアル番号08/438,666、および1992年9月25日に出願された米国特許出願シリアル番号07/951,715を参照(そのすべては参照として本明細書に組み込まれる)。
【0103】
「調節領域」、「調節エレメント」または「プロモーター」によって、典型的には遺伝子のタンパク質コード領域の上流であるが必ずしもそうではない核酸の一部が意味され、それはDNAもしくはRNAのいずれか、またはDNAおよびRNAの両方からなることができる。調節領域に活性があり、対象となる遺伝子と作動可能に会合しているかまたは作動可能に連結される場合、これは対象となる遺伝子の発現をもたらすことができる。調節エレメントは、器官特異性を媒介することができるか、または発生的遺伝子活性化または時間的遺伝子活性化を制御することができる。「調節領域」は、プロモーターエレメント、基底プロモーター活性を示すコアプロモーターエレメント、外部刺激に応答する誘導可能エレメント、負の調節エレメントなどのプロモーター活性を媒介するエレメントまたは転写エンハンサーを含む。「調節領域」は、本明細書において使用される時、転写の後に活性のあるエレメント、例えば、翻訳および転写のエンハンサー、翻訳および転写のリプレッサー、上流活性化配列、ならびにmRNA不安定性デターミナントなどの遺伝子発現を修飾する調節エレメントも含む。これらの後者エレメントのいくつかのものは、コード領域に近くに位置することができる。
【0104】
本開示の文脈において、「調節エレメント」または「調節領域」という用語は、典型的には構造遺伝子のコード配列に対して通常上流(5’)であるが必ずしもそうではないDNAの配列を指し、それはRNAポリメラーゼおよび/または特定の部位での転写の開始に必要とされる他の因子のための認識を提供することによって、コード領域の発現を制御する。しかしながら、イントロン内、または配列の3’に位置する他のヌクレオチド配列も、対象となるコード領域の発現の調節に寄与できることを理解すべきである。特定の部位での開始を保証するためにRNAポリメラーゼまたは他の転写因子のための認識を提供する調節エレメントの一例は、プロモーターエレメントである。大部分であるがすべてではない真核生物プロモーターエレメントは、TATAボックス(通常、転写開始部位の約25塩基対上流に位置するアデノシンおよびチミジンのヌクレオチド塩基対からなる保存された核酸配列)を含有する。プロモーターエレメントは、転写の開始に関与する基底プロモーターエレメントに加えて、遺伝子発現を修飾する他の調節エレメント(上でリストされるような)を含む。
【0105】
発生的に調節されるもの、誘導可能なもの、または構成的なものを含むいくつかのタイプの調節領域がある。発生的に調節される調節領域、またはその制御下で遺伝子の差異的な発現を制御する調節領域は、その器官または組織の発生の間の特異的時間で特定の器官または器官の組織内で活性化される。しかしながら、発生的に調節されるいくつかの調節領域は、特異的発生段階の特定の器官または組織内で優先的に活性があってもよく、それらは、植物内の他の器官または組織で発生的に調節される様式でも、または基底レベルででも同様に活性があってもよい。例えば、組織特異的調節領域の実例は、ナピンプロモーターおよびクルシフェリンプロモーターを含む特異的調節領域を参照(Rask et al., 1998, J. Plant Physiol. 152: 595-599; Bilodeau et al., 1994, Plant Cell 14: 125-130)。葉特異的プロモーターの一例は、プラストシアニンプロモーターを含む(図3;US7,125,978、参照として本明細書に組み込まれる)。
【0106】
誘導可能調節領域は、インデューサーに応答して1つまたは複数のDNA配列または遺伝子の転写を直接または間接的に活性化することができるものである。インデューサーの非存在下において、DNA配列または遺伝子は転写されない。典型的には、転写を活性化するために誘導可能調節領域に特異的に結合するタンパク質因子は不活性形態で存在し、次いでそれはインデューサーによって直接または間接的に活性形態に変換される。しかしながら、タンパク質因子も存在しなくてもよい。ンデューサーは、タンパク質、代謝物質、増殖調節因子、除草剤もしくはフェノール化合物などの化学薬剤、または熱、寒冷、塩もしくは有毒物質によって直接、またはウイルスなどの病原菌もしくは病原体の作用を介して間接的に、課された生理的ストレスでありえる。誘導可能調節領域を含有する植物細胞は、噴霧、潅水、加熱または類似する方法によってなど、細胞または植物にインデューサーを外部的に適用することによって、インデューサーに曝露することができる。誘導可能調節エレメントは植物遺伝子または非植物遺伝子のいずれかに由来しうる(例えGatz, C. and Lenk, I.R.P., 1998, Trends Plant Sci. 3, 352-358;参照として組み込まれる)。可能性のある誘導可能プロモーターの実例は、テトラサイクリン誘導可能プロモーター(Gatz, C.,1997, Ann. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 48, 89-108;参照として組み込まれる)、ステロイド誘導可能プロモーター(Aoyama, T. and Chua, N.H.,1997, Plant J. 2, 397-404;参照として組み込まれる)およびエタノール誘導可能プロモーター(Salter, M.G., et al, 1998, Plant Journal 16, 127-132;Caddick, M.X., et al,1998, Nature Biotech. 16, 177-180、参照として組み込まれる)、サイトカイニン誘導可能なIB6遺伝子およびCKI1遺伝子(Brandstatter, I. and Kieber, J.J.,1998, Plant Cell 10, 1009-1019;Kakimoto, T., 1996, Science 274, 982-985;参照として組み込まれる)ならびにオーキシン誘導可能エレメント、DR5(Ulmasov, T., et al., 1997, Plant Cell 9, 1963-1971;参照として組み込まれる)を含むが、これらに限定されない。
【0107】
構成的調節領域は、植物の様々な部分にわたって、および植物発生の全体にわたって連続的に遺伝子の発現を指令する。公知の構成的調節エレメントの実例は、CaMV 35S転写物(Odell et al., 1985, Nature, 313: 810-812)、コメのアクチン1遺伝子(Zhang et al, 1991, Plant Cell, 3: 1155-1165)、アクチン2遺伝子(An et al., 1996, Plant J., 10: 107-121)、またはtms 2遺伝子(U.S.5,428,147、参照として本明細書に組み込まれる)、およびトリオースリン酸イソメラーゼ1遺伝子(Xu et. al., 1994, Plant Physiol. 106: 459-467)、トウモロコシのユビキチン1遺伝子(Cornejo et al, 1993, Plant Mol. Biol. 29: 637-646)、シロイヌナズナのユビキチン1および6遺伝子(Holtorf et al, 1995, Plant Mol. Biol. 29: 637-646)、ならびにタバコ翻訳開始因子4A遺伝子(Mandel et al, 1995 Plant Mol. Biol. 29: 995-1004)と結合したプロモーターを含む。本明細書において使用される時「構成的」という用語は、構成的調節領域の制御下で遺伝子がすべての細胞タイプにおいて同じレベルで発現することを必ずしも示さないが、存在量の変動はしばしば観察されても遺伝子が広範囲の細胞タイプにおいて発現することを示す。
【0108】
「作動可能に連結された」によって、特定の配列(例えば調節エレメントおよび対象となるコード領域)が、遺伝子発現の媒介または修飾などの意図された機能を実行するために直接または間接的に相互作用することが意味される。作動可能に連結された配列の相互作用は、例えば、作動可能に連結された配列と相互作用するタンパク質によって媒介されうる。
【0109】
本発明の1つまたは複数のヌクレオチド配列は、本発明のヌクレオチド配列、またはコンストラクト、またはベクターによって形質転換される任意の適切な植物宿主において発現することができる。適切な宿主の実例は、アルファルファ、キャノーラ、アブラナ属の種、トウモロコシ、タバコ属の種、アルファルファ、ジャガイモ、チョウセンニンジン、エンドウ、カラスムギ、コメ、ダイズ、コムギ、オオムギ、ヒマワリ、ワタおよび同種のものを含む農作物を含むが、これらに限定されない。
【0110】
本発明の1つまたは複数のキメラ遺伝子コンストラクトは、3’非翻訳領域をさらに含むことができる。3’非翻訳領域は、ポリアデニル化シグナル、およびmRNAのプロセシングまたは遺伝子発現をもたらすことができる他の調節シグナルを含有するDNAセグメントを含む遺伝子の一部を指す。ポリアデニル化シグナルは、mRNAの前駆体の3’末端にポリアデニル酸トラックの追加をもたらすことによって通常特徴づけられる。ポリアデニル化シグナルは、変動がないわけではないが、カノニカル形態5’AATAAA−3’に対する相同性の存在によって一般に認識される。本発明の1つまたは複数のキメラ遺伝子コンストラクトは、エンハンサー(翻訳エンハンサーまたは転写エンハンサーのいずれか)も必要に応じてさらに含むことができる。これらのエンハンサー領域は当業者に周知であり、ATG開始コドンおよび隣接した配列を含むことができる。完全な配列の翻訳を保証するために、開始コドンはコード配列のリーディングフレームと同調しなくてはならない。
【0111】
適切な3’領域の非限定例は、ノパリンシンターゼ(Nos遺伝子)などのアグロバクテリウムの腫瘍誘導(Ti)プラスミド遺伝子、ならびにダイズ貯蔵タンパク質遺伝子およびリブロース−1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼの小サブユニット(ssRUBISCO;US4,962,028;参照として本明細書に組み込まれる)遺伝子などの植物遺伝子のポリアデニル化シグナルを含有する3’転写される非翻訳領域、ならびにプラストシアニン発現調節に使用されるプロモーター(Pwee and Gray 1993;参照として本明細書に組み込まれる)である。プラストシアニンプロモーターの一例は、US7,125,978(参照として本明細書に組み込まれる)中で記載される。
【0112】
本明細書において記載されるように、葉発現において実証された効率を持つエンハンサー配列を含むプロモーターは一過性発現に効果的であることが見出されてきた。理論に束縛されるものではないが、核マトリックスへの付着による光合成の遺伝子の上流調節エレメントの付着は、強い発現を媒介することができる。例えば、エンドウのプラストシアニン遺伝子の翻訳開始部位から−784までは、強いレポーター遺伝子発現を媒介するために使用することができる。
【0113】
光合成の遺伝子からの調節領域(例えば、プラストシアニン調節領域(US7,125,978;参照として本明細書に組み込まれる)、またはリブロース1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(RuBisCO;US4,962,028;参照として本明細書に組み込まれる)、クロロフィルa/b結合タンパク質(CAB;Leutwiler et a; 1986;参照として本明細書に組み込まれる)、ST−LS1(光化学系IIの酸素発生複合体と会合するStockhaus et al.1989;参照として本明細書に組み込まれる)から得られた調節領域であるが、これらに限定されない)の使用は本発明に従って使用することができる。
【0114】
形質転換された植物細胞の同定を支援するために、本発明のコンストラクトは植物選択マーカーを含んでいるようにさらに操作することができる。有用な選択マーカーは、抗生物質(例えばゲンタマイシン、ハイグロマイシン、カナマイシン)または除草剤(ホスフィノトリシン、グリフォサート、クロロスルフロンおよび同種のものなど)などの化学物質に対する耐性を提供する酵素を含む。同様に、色変化(GUS(β‐グルクロニダーゼ)など)または発光(ルシフェラーゼまたはGFPなど)によって識別可能な化合物の産生を提供する酵素を使用することができる。
【0115】
これらの遺伝子のもたらされたcDNAコピーは、宿主発現システムによって要求されるような適切な発現ベクター中でクローン化することができる。あるいは、植物に適切な発現ベクターの実例は、以下に記載されるバキュロウイルス発現ベクター、例えばpFastBac1(インビトロゲン(InVitrogen)社)であり、公知の方法を使用して、および製造者の使用説明書によって提供された情報を使用して、pFastBac1ベースのプラスミドがもたらされる。
【0116】
本発明は、上記されるように、植物中で作動可能な調節エレメントに作動可能に連結されたHAをコードする核酸を含む遺伝子コンストラクトをさらに指向する。植物細胞中で作動可能な調節エレメントおよび本発明に従って使用することができるものの実例は、プラストシアニン調節領域(US7,125,978;参照として本明細書に組み込まれる)、またはリブロース1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(RuBisCO;US4,962,028;参照として本明細書に組み込まれる)、クロロフィルa/b結合タンパク質(CAB;Leutwiler et al; 1986;参照として本明細書に組み込まれる)、ST−LS1(光化学系IIの酸素発生複合体と会合する、Stockhaus et al. 1989;参照として本明細書に組み込まれる)から得られる調節領域を含むが、これらに限定されない。コンストラクトが昆虫細胞中で発現されるならば、昆虫細胞中で作動可能な調節エレメントの実例は、ポリヘドロン(polyhedron)プロモーター、gp64プロモーターおよび同種のものを含むが、これらに限定されない。
【0117】
本発明は、HA(例えば、ヒトインフルエンザA/インドネシア/5/05ウイルスHA(H5N1)であるが、これらに限定されない)をコードする核酸の植物、酵母または昆虫の発現ベクター(例えばバキュロウイルス発現ベクター)へのクローニング、および形質転換された植物細胞または形質転換された昆虫細胞中で、機能的および免疫原的に同型の巨大分子性タンパク質構造(インフルエンザサブウイルス粒子およびインフルエンザVLPを含む)へと自己集合する組換えインフルエンザ構造タンパク質からなるインフルエンザワクチンの候補または試薬の産生をさらに提供する。
【0118】
HAをコードする核酸、例えば、ヒトインフルエンザA/ニューカレドニア/20/99(H1N1)ウイルスHA遺伝子、またはヒトインフルエンザA/インドネシア/5/05ウイルスHA遺伝子であるが、これらに限定されないものを、適切な細胞株、例えば、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞(例えばSf−9細胞株;ATCC PTA−4047)中で、例えば、バキュロウイルス発現システムを使用して、発現させることができる。他の昆虫細胞株も使用することができる。
【0119】
HAをコードする核酸は、代わって、植物細胞または植物中で発現させることができる。HAをコードする核酸は、HA RNAを使用する逆転写およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって合成することができる。一例として、RNAは、ヒトインフルエンザA/ニューカレドニア/20/99(H1N1)ウイルスもしくはヒトインフルエンザA/インドネシア/5/05(H5N1)ウイルスから、またはインフルエンザウイルスに感染させた細胞から単離することができる。逆転写およびPCRのために、HA RNA(例えば、ヒトインフルエンザA/ニューカレドニア/20/99(H1N1)ウイルスHA遺伝子またはヒトインフルエンザA/インドネシア/5/05(H5N1)ウイルスHA0遺伝子であるが、これらに限定されないもの)に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用することができる。さらに、HAをコードする核酸は、当業者に公知であるような方法を使用して、化学的に合成することができる。
【0120】
6−タンパク質
本発明は、ヌクレオチド配列の配列番号:1;配列番号:5;配列番号:7(H1、H5またはH7からのHAをそれぞれコードする)、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、H1、H5もしくはH7からのHAをコードする核酸にそれぞれハイブリダイズするヌクレオチド配列の配列番号:1;配列番号:5;配列番号:7、またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、H1、H5もしくはH7からのHAをそれぞれコードする核酸の相補物にハイブリダイズするヌクレオチド配列の配列番号:1;配列番号:5;配列番号:7によってコードされる1つまたは複数のHAタンパク質も含み、ヌクレオチド配列は、発現させた場合VLPを形成する赤血球凝集素タンパク質をコードし、VLPは抗体の産生を誘導する。
【0121】
同様に、本発明は、以下の亜型H1(配列番号:1によってコードされる)、H2(配列番号:2によってコードされる)、H3(配列番号:3によってコードされる)、H4(配列番号:4によってコードされる)、H5(配列番号:5によってコードされる)、H6(配列番号:6によってコードされる)、H7(配列番号:7によってコードされる)、H8(配列番号:8によってコードされる)、H9(配列番号:9によってコードされる)、H10(配列番号:10によってコードされる)、H11(配列番号:11によってコードされる)、H12(配列番号:12によってコードされる)、H13(配列番号:13によってコードされる)、H14(配列番号:14によってコードされる)、H15(配列番号:15によってコードされる)、H16(配列番号:16によってコードされる)と関連するHA;およびH1(配列番号:1)、H2(配列番号:2)、H3(配列番号:3)、H4(配列番号:4)、H5(配列番号:5)、H6(配列番号:6)、H7(配列番号:7)、H8(配列番号:8)、H9(配列番号:9)、H10(配列番号:10)、H11(配列番号:11)、H12(配列番号:12)、H13(配列番号:13)、H14(配列番号:14)、H15(配列番号:15)、H16(配列番号:16)と約60乃至100%もしくはその間の任意の量の配列同一性、特に約70乃至100%の相同性もしくはその間の任意の量、80乃至100%もしくはその間の任意の量、90〜100%もしくはその間の任意の量、または95〜100%もしくはその間の任意の量の配列同一性を有するとして特徴づけられるヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は、発現させた場合VLPを形成する赤血球凝集素タンパク質をコードし、VLPは抗体の産生を誘導する。例えば、植物細胞内でのヌクレオチド配列の発現はVLPを形成し、VLPは、成熟HA、HA0、HA1またはHA2を含むHAの結合が可能な抗体を産生するために使用することができる。VLPは被験体に投与された場合免疫応答を誘導する。
【0122】
7−VLP
したがって、本発明は1つまたは複数のHA型または亜型を含むVLPに関する。
【0123】
「ウイルス様粒子」(VLP)、または「複数のウイルス様粒子」もしくは「複数のVLP」という用語は、自己集合し、インフルエンザHAタンパク質などの構造タンパク質を含む構造を指す。VLPは一般的には、感染中に産生されるビリオンに形態学的および抗原的に類似するが、複製に十分な遺伝情報を欠損し、したがって非感染性である。いくつかの実例において、VLPは単一のタンパク質種、または1つ以上のタンパク種を含むことができる。1つ以上のタンパク種を含むVLPについては、タンパク種はウイルスの同じ種からでありえるか、またはウイルスの異なる種、属、亜科または科(ICTV命名法によって表記されるように)からのタンパク質を含むことができる。他の実例において、VLPを含む1つまたは複数のタンパク種は、天然に存在する配列から修飾されてもよい。VLPは植物宿主細胞および昆虫宿主細胞を含む適切な宿主細胞中で産生することができる。宿主細胞からの抽出に続いて、そして適切な条件下での単離およびさらなる精製に際して、VLPはインタクトな構造として精製することができる。
【0124】
本発明は、VLPタンパク質が発現される細胞の原形質膜から脂質エンベロープを得る、インフルエンザに由来するVLPも含むが、これらに限定されない。例えば、VLPが植物をベースのシステム中で発現されるならば、VLPは細胞の原形質膜から脂質エンベロープを得ることができる。
【0125】
一般的には、「脂質」という用語は、脂溶性(親油性)で天然に存在する分子を指す。この用語は、より具体的には、脂肪酸およびそれらの誘導体(トリグリセリド、ジグリセリド、およびモノグリセリドならびにリン脂質を含む)に加えて、他の脂溶性のステロール含有代謝物質またはステロールを指すのにも使用される。リン脂質は、糖脂質、ステロールおよびタンパク質と共に、すべての生体膜の主要な成分である。リン脂質の実例は、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、および同種のものを含む。ステロールの実例は、動物性ステロール(例えばコレステロール)および植物性ステロールを含む。200以上の植物性ステロールが様々な植物種において同定され、最も一般的なものは、カンペステロール、スチグマステロール、エルゴステロール、ブラジカステロール、デルタ−7−スチグマステロール、デルタ−7−アベナステロール、ダウノステロール(daunosterol)、シトステロール、24−メチルコレステロール、コレステロールまたはβ−シトステロールである。当業者が理解するように、細胞の原形質膜の脂質組成は、細胞、または細胞が得られる生物の培養または増殖の条件に応じて変動しうる。
【0126】
細胞膜は一般的には、様々な機能のために、脂質二重層に加えてタンパク質を含む。特定の脂質の局所的な濃縮は、「脂質ラフト」と呼ばれて、脂質二重層において見出すことができる。理論に束縛されるものではないが、脂質ラフトは、エンドサイトーシスおよびエキソサイトーシス、ウイルスまたは他の感染因子の侵入または放出、細胞間シグナル伝達、細胞内マトリックスおよび細胞外マトリックスなどの細胞または生物の他の構造成分との相互作用における有意な役割を有することができる。
【0127】
本発明に従ってインフルエンザに由来するタンパク質から産生されたVLPは、M1タンパク質を含まない。M1タンパク質はVLP調製物の混入物であるRNAを結合すること(Wakefield and Brownlee, 1989)が公知である。VLP産物についての規制認可を得るときにRNAの存在は所望されず、したがってRNAを欠損するVLP調製物は有利であろう。
【0128】
本発明のいくつかの態様に従う植物中で産生されたVLPは、植物に由来する脂質と複合体を形成することができる。VLPはHA0、HA1もしくはHA2ペプチドまたはその組合せを含むことができる。植物に由来する脂質は、脂質二重層形態であり、VLPを囲むエンベロープをさらに含むことができる。植物に由来する脂質は、VLPが産生される植物の原形質膜の脂質成分、および例えば1つまたは複数の植物由来脂質(ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、スフィンゴ糖脂質または植物性ステロールまたはその組み合わせを含むが、これらに限定されない)を含むことができる。植物に由来する脂質は「植物脂質」とも呼ぶことができる。
【0129】
植物において、インフルエンザVLPは原形質膜から出芽し、したがってVLPの脂質組成はそれらの起原を反映する。本発明に従って産生されたVLPは、植物に由来する脂質と複合体を形成したHAを含む。植物脂質は特異的免疫細胞を刺激し、誘導された免疫応答を促進することができる。植物膜は脂質、ホスファチジルコリン(PC)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)から構成されており、スフィンゴ糖脂質、サポニンおよび植物性ステロールも含有する。さらに、脂質ラフトも植物原形質膜に見出され、これらのマイクロドメインはスフィンゴ脂質およびステロールに富んでいる。植物において、スチグマステロール、シトステロール、24−メチルコレステロールおよびコレステロールを含む、様々な植物性ステロールが存在することが公知である(Mongrand et al., 2004)。
【0130】
スフィンゴ糖脂質に加えて、PCおよびPEは、樹状細胞およびマクロファージのような抗原提示細胞(APC)、ならびに胸腺および肝臓中のBリンパ球およびTリンパ球を含む他の細胞などの哺乳類の免疫細胞によって発現されたCD1分子と結合することができる(Tsuji M,. 2006)。CD1分子はクラスIの主要組織適合性複合体(MHC)分子に構造的に類似しており、それらの役割はNKT細胞(ナチュラルキラーT細胞)に対して糖脂質抗原を提示することである。活性化に際して、NKT細胞は、NK細胞および樹状細胞などの先天性免疫細胞を活性化し、抗体を産生するB細胞およびT細胞のような適応免疫細胞も活性化する。
【0131】
様々な植物性ステロールを原形質膜に見出すことができ、特異的相補物は、種、生育条件、栄養素源または病原体状態(いくつかの因子が挙げられる)に応じて変動してもよい。一般的には、β−シトステロールは最も多量にある植物性ステロールである。
【0132】
原形質膜由来エンベロープなどの脂質二重層と複合体を形成したインフルエンザVLPにおいて提示された植物性ステロールは、有利なワクチン組成物を提供することができる。理論に束縛されるものではないが、原形質膜由来エンベロープなどの脂質二重層と複合体を形成した植物で作製されたVLPは、他の発現システム中で作製されたVLPよりも強い免疫反応を誘導し、生または弱毒化された全ウイルスワクチンによって誘導された免疫反応に類似する。
【0133】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、植物に由来する脂質二重層と複合体を形成したVLPを提供する。いくつかの実施形態において、植物に由来する脂質二重層は、VLPのエンベロープを構成することができる。
【0134】
8−組成物
したがって、本発明は、効果的な用量のVLP(インフルエンザウイルスHAタンパク質、1つまたは複数の植物脂質を含む)および薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。インフルエンザウイルスHAタンパク質は、H5インドネシアでありえる。さらに、インフルエンザウイルス感染に対する被験体の免疫を誘導する方法が提供される。方法は、ウイルス様粒子(インフルエンザウイルスHAタンパク質、1つまたは複数の植物脂質を含む)および薬学的に許容される担体を投与することを含む。ウイルス様粒子は、経口で、皮膚内で、鼻腔内で、筋肉内で、腹腔内で、静脈内で、または皮下で被験体に投与することができる。
【0135】
9−治療の方法
本発明は、インフルエンザウイルス感染に対する免疫、または「免疫応答の誘発」を被験体において誘導する方法であって、本明細書において定義されるような組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0136】
「免疫応答」は、一般的には適応免疫系の応答を指す。適応免疫系は一般的には液性応答および細胞媒介性応答を含む。液性応答は、Bリンパ球系列(B細胞)の細胞において産生される分泌抗体によって媒介される免疫の態様である。分泌抗体は、侵入微生物(ウイルスまたは細菌など)の表面上の抗原に結合し、抗体は破壊のために微生物に目印を付ける。液性免疫は、一般的には、抗体産生およびそれに伴うプロセスに加えて、抗体のエフェクター機能(Th2細胞活性化およびサイトカイン産生、メモリー細胞生成、ファゴサイトーシスのオプソニン促進、病原菌除去および同種のものを含む)を指すために使用される。
【0137】
細胞媒介性応答は、抗体を含まないが、むしろマクロファージ、ナチュラルキラー細胞(NK)、抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球の活性化、および抗原に応答した様々なサイトカインの放出を含む免疫応答である。細胞媒介性免疫は、一般的に、何らかのTh細胞活性化、Tc細胞活性化およびT細胞媒介性応答を指すために使用される。細胞媒介性免疫は、ウイルス感染への応答において特に重要である。
【0138】
本発明の組換えHA VLPは、ワクチンを補足してそれらをより効果的にし、必要な投与量を減少させるために、既存のインフルエンザワクチンと併用して使用することができる。当業者に公知であるように、ワクチンは1つまたは複数のインフルエンザウイルスに対して指向することができる。適切なワクチンの実例は,サノフィ・パスツール(Sanofi−Pasteur)社、ID・バイオメディカル(ID Biomedical)社、メリアル(Merial)社、シノバック(Sinovac)社、カイロン(Chiron)社、ロッシュ(Roche)社、メディミューン(MedImmune)社、グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)社、ノバルティス(Novartis)社、サノフィ・アベンティス(Sanofi−Aventis)社、セローノ(Serono)社、シレ・ファーマシューティカルズ(Shire Pharmaceuticals)社および同種のものから商業的に入手可能なものを含むが、これらに限定されない。
【0139】
所望されるならば、本発明のVLPは、当業者に公知であるような適切なアジュバントと混合することができる。さらに、VLPは、上で定義されるように標的生物の処置に効果的な用量のVLPを含むワクチン組成物中で使用することができる。さらに、本発明に従って産生されたVLPは、異なるインフルエンザタンパク質(例えばノイラミニダーゼ(NA))を使用して得られるVLPと組み合わせることができる。
【0140】
したがって、本発明は、1つまたは複数のVLPを含むワクチンの効果的な用量を投与することを含む、動物または標的生物中でインフルエンザウイルス感染に対する免疫を誘導する方法を提供する。ワクチンは、経口で、皮膚内で、鼻腔内で、筋肉内で、腹腔内で、静脈内で、または皮下で投与することができる。
【0141】
図6および7中で示されるように、インビトロの分析は、変異させたA/インドネシア/5/05 H5 VLP、ならびにA/ベトナム/1203/04;A/アンホイ/1/05およびA/トルコ/582/06などの他のインフルエンザ株(すべてH5N1株)に対して作製された抗体の交差反応性を示すが、検査されたH1N1に対してのみより低い赤血球凝集反応性を示す(図7)。
【0142】
重要なことに、変異させたH5N1(糖鎖が付加されないH5タンパク質)の単一投薬後に産生された抗体は、14日後に試験されたすべてのH5株に対して、野生型H5に対して産生された抗体よりもより高い応答を誘導し、この糖鎖が付加されなかった免疫原は野生型ものよりも迅速な応答を提供できることを示した。
【0143】
したがって、これらのデータは、N結合型炭水化物を欠く変異させたH5赤血球凝集素ウイルスタンパク質を含む、植物で作製されたインフルエンザVLPは、病原性インフルエンザ株に特異的免疫応答を誘導し、この応答が交差反応性であり、1回の単一投薬後に迅速に起こることを実証する。
【0144】
10−被験体
本発明のVLPを投与することができる被験体または標的生物の実例は、ヒトおよび霊長類、トリ、水鳥、渡り鳥、ウズラ、アヒル、ガチョウ、家禽、シチメンチョウ、ニワトリ、ブタ、ヒツジ、ウマ科の動物、ウマ、ラクダ、イヌ科の動物、イヌ、ネコ科の動物、ネコ、トラ、ヒョウ、ジャコウネコ、ミンク、ブナテン、フェレット、家で飼われるペット、家畜、ウサギ、マウス、ラット、モルモットまたは他のげっ歯類、アザラシ、クジラ、および同種のものを含むが、これらに限定されないかかる標的生物は例示的であり、本発明の適用および使用に対して限定して判断されるべきではない。
【0145】
本発明は、他の哺乳類または宿主動物、例えば、ヒト、霊長類、ウマ、ブタ、トリ、鳥類、水鳥、渡り鳥、ウズラ、アヒル、ガチョウ、家禽、シチメンチョウ、ニワトリ、ラクダ、イヌ科の動物、イヌ、ネコ科の動物、ネコ、トラ、ヒョウ、ジャコウネコ、ミンク、ブナテン、フェレット、家で飼われるペット、家畜、マウス、ラット、アザラシ、クジラ、および同種のものに感染するインフルエンザウイルスにも関する。
【0146】
特に、上で定義されるような方法によって治療される被験体は、ヒト、霊長類、ウマ、ブタ、トリ(鳥類)、水鳥、渡り鳥、ウズラ、アヒル、ガチョウ、ニワトリ、イヌ、ネコ、フェレット、家畜および同種のものを含む群から選択することができる。特に、被験体は、ヒト患者またはトリ一般(水鳥、渡り鳥、家禽(ウズラ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウ、ニワトリなどの)を含む)、特に渡り鳥またはヒトの消費のための家禽(ウズラ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウ、ニワトリ)でありえる。より詳細には、被験体はヒトである。
【0147】
11−容器、シリンジおよびキットなど
本発明は、本明細書において定義されるような組成物を含む容器も提供する。特に、容器は単一単位用量、または防腐剤を含む複数投与量形態を含有する。より詳細には、容器は、本明細書において定義されるような組成物またはワクチンにより充填済みの「使用のために準備済み」のシリンジである。
【0148】
より詳細には、本発明は、本明細書において定義されるようなワクチンまたは組成物を含む容器、および前記組成物/ワクチンの使用/投与方法の説明書を含むキットも提供する。
【0149】
本発明はここで以下の非限定例を単なる参照として詳細に記載される。
【実施例】
【0150】
実施例1
材料および方法
1.変異させ糖鎖付加のないH5を得るためのA/インドネシア/5/05(配列番号:17)からの野生型H5の変異。
三重変異体は、野生型HAの球状頭部に位置する糖鎖付加部位のN154、N165およびN286の除去によって、より具体的には糖鎖付加配列パターンN−X−T/S中にあるThrまたはSerのAla残基による置換によって作製された。したがって、三重変異体は以下の3つのアミノ酸置換を含有する。T156A、T167AおよびS288A(開始の配列番号:17に従って番号付けした)。3つのアミノ酸置換は、鋳型として野生型HA発現ベクター(660コンストラクト、図4)を使用して、Darveau et al. (1995)中で提示されたPCRベースのライゲーション方法によって行なわれた。
【0151】
簡潔には、以下の3つのPCR増幅を、異なる3ペアのプライマーにより鋳型として660 pCAMBIA発現ベクターで平行して行った。
1)Plato−443c(配列番号:18)およびHA5−T156A.r(配列番号:19);
2)HA5−T167A.C(配列番号:20)およびHA5−S288A.r(配列番号:21);ならびに
3)HA5−S288A.C(配列番号:22)およびHA(Ind)−SacI.r(配列番号:23)。
【0152】
3つの反応から得た増幅産物をともに混合し、プライマーとしてPlato−443c(配列番号:18)およびHA(Ind)−Sac.r(配列番号:23)を使用して、第4の反応(組み立て反応)のための鋳型として混合物を使った。もたらされた断片をBamHI(プラストシアニンプロモーター中に位置する)およびSacI(断片の3’末端にある)により消化し、事前に同じ酵素により消化したpCAMBIAPlastoの中にクローン化した。680と命名したもたらされたプラスミドを図5中に示す(配列番号:29)。
【0153】
2.発現カセットの組み立て
すべての操作は、Sambrook and Russell(2001;参照として本明細書に組み込まれる)の一般的な分子生物学プロトコールを使用して実行した。第1のクローニング工程は、アルファルファプラストシアニン遺伝子の上流調節エレメントおよび下流調節エレメントを含有する受容体プラスミドを組み立てることであった。プラストシアニンプロモーターおよび5’UTR配列は、オリゴヌクレオチドプライマーXmaI−pPlas.c(配列番号:24)およびSacI−ATG−pPlas.r(配列番号:25)を使用して、アルファルファゲノムDNAから増幅した。もたらされた増幅産物をXmaIおよびSacIにより消化し、事前に同じ酵素により消化したpCAMBIA2300(キャンビア(Cambia)社、キャンベラ、オーストラリア)の中へライゲーションして、pCAMBIApromo Plastoを生成した。同様に、プラストシアニン遺伝子の3’UTR配列およびターミネーターは、プライマーのSacI−PlasTer.c(配列番号:26)およびEcoRI−PlasTer.r(配列番号:27)を使用してアルファルファゲノムDNAから増幅し、pCAMBIApromoPlastoの同じ部位の中へ挿入する前にSacIおよびEcoRIにより産物を消化して、pCAMBIAPlastoを生成した。
【0154】
3.H5発現カセットの組み立て
インフルエンザ株A/インドネシア/5/05(H5N1;アクセッション番号LANL ISDN125873)からの赤血球凝集素をコードする断片は、エポック・バイオラボ(Epoch Biolabs)社(シュガーランド、テキサス、アメリカ)によって合成された。最初のATGのすぐ上流のHindIII部位が隣接する天然のシグナルペプチドを含む完全なH5コード領域(配列番号:17)およびストップ(TAA)コドンのすぐ下流のSacI部位を含有する、産生された断片を、配列番号:28(および変異体H5の事例においては配列番号:29)中で提示する。H5コード領域を、Darveau et al. (1995)中で提示されたPCRベースのライゲーション法によってプラストシアニンベースの発現カセットの中へクローン化した。簡潔には、第1のPCR増幅物を、プライマーのPlato−443c(配列番号:30)およびSpHA(Ind)−Plasto.r(配列番号:31)、ならびに鋳型としてpCAMBIA promoPlastoを使用して得た。平行して、鋳型としてH5コード断片、プライマーのPlasto−SpHA(Ind).c(配列番号:6)およびHA(Ind)−Sac.r(配列番号:32)を用いて、第2の増幅を行った。両方の反応から得た増幅をともに混合し、プライマーとしてPlato−443c(配列番号:4)およびHA(Ind)−Sac.r(配列番号:33)を使用し、混合物を鋳型として、第3の反応(組み立て反応)を行った。たらされた断片を、BamHI(プラストシアニンプロモーター中の)およびSacI(断片の3’末端で)で消化し、事前に同じ酵素で消化したpCAMBIAPlastoの中へクローン化した。660と命名したもたらされたプラスミドを図5中で提示するが、「変異させた」H5タンパク質からもたらされたプラスミドは680と命名する。
【0155】
Hamilton et al. (2002)中で記載されるように、HcProコンストラクト(35HcPro)を調製した。すべてクローンをコンストラクトの全体性を確認するために配列決定した。プラスミドを使用して、エレクトロポレーションによってアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)(AGL1;ATCC、マナッサス、バージニア20108、アメリカ)を形質転換した(Mattanovich et al., 1989)。すべてのA.ツメファシエンス株の全体性を制限マッピングによって確認した。
【0156】
4.植物バイオマスの調製、接種物、アグロインフィルトレーションおよび収穫
植物のニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana)植物を、市販のピートモス基質で満たした低地において種子から育てた。16/8の光周期および25℃昼/20℃夜の温度レジーム下の温室中で植物を成長させた。種まきの3週間後に、個別の苗木を選び、ポットに移植し、同じ環境条件下の温室中でさらに3週間成長させた。形質転換前に、頂芽および腋芽を、植物から芽をはさむことによってまたは化学的に植物を処理することによってのいずれかで、様々な時間で以下に示すように除去した。
【0157】
プラスミド660またはプラスミド680によりトランスフェクションしたアグロバクテリアを、それらが0.6乃至1.6の間のOD600に到達するまで、10mM 2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸(MES)、20μMアセトシリンゴン、50μg/mlカナマイシンおよび25μg/mlカルベニシリンpH5.6により補足されたYEB培地中で増殖させた。アグロバクテリウム懸濁物を使用の前に遠心分離し、インフィルトレーション培地(10mM MgCl2および10mM MES(pH5.6))中で再懸濁した。Liu and Lomonossoff (2002, Journal of Virological Methods, 105:343-348)によって記載されるように、シリンジインフィルトレーションを行った。バキュームインフィルトレーションのために、A.ツメファシエンス懸濁物を遠心分離し、インフィルトレーション培地中で再懸濁し、4℃で一晩保存した。インフィルトレーションの日に、培養バッチを2.5培養体積で希釈し、使用の前に暖めた。ニコチアナ・ベンサミアナの全植物体を、20〜40トルの真空下で気密性ステンレス鋼タンク中の細菌懸濁液中で転倒させて2分間置いた。シリンジインフィルトレーションまたはバキュームインフィルトレーションに続いて、収穫までの4〜5日のインキュベーション期間、植物を温室に戻した。
【0158】
5.葉サンプリングおよび全タンパク質抽出
インキュベーションに続いて、植物の地上構造の部分を収穫し、−80℃で凍結し、破砕して細かくした。冷却した50mMトリス(pH7.4)、0.15M NaClおよび1mMフェニルメタンスルホニルフルオリドの3体積中で、凍結破砕した各々の植物材料のサンプルをホモジナイズ(ポリトロン)することによって、全可溶性タンパク質を抽出した。ホモジナイゼーション後に、スラリーを4℃で20分間20,000gで遠心分離し、清澄化した粗抽出物(上清)を分析のために保存した。清澄化した粗抽出物の全タンパク質含有量を、参照スタンダードとしてウシ血清アルブミンを使用して、ブラッドフォード分析(バイオ・ラッド(Bio−Rad)社、ヘラクレス、カリフォルニア)によって決定した。
【0159】
6.タンパク質分析およびイムノブロット
タンパク質濃度はBCAプロテインアッセイ(protein assay)(ピアース・バイオケミカルズ(Pierce Biochemicals)社ロックポート、イリノイ)によって決定した。タンパク質を還元条件下でSDS−PAGEによって分離し、クマシーブルーにより染色した。染色したゲルをスキャンし、ImageJソフトウェア(NIH)を使用してデンシトメトリー解析を行った。
【0160】
SECからの溶出画分からのタンパク質をアセトンにより沈殿させ(Bollag et al., 1996)、1/5体積の平衡/溶出緩衝液中で再懸濁し、還元条件下でSDS−PAGEによって分離し、免疫検出のためにポリビニレンジフルオリド(PVDF)膜(ロッシュ・ダイアグノスティックス社(Roche Diagnostics Corporation)、インディアナポリス、インディアナ)上に電気的に転写した。イムノブロット前に、膜は、トリス緩衝生理食塩水(TBST)中の5%スキムミルクおよび0.1%ツイーン20により4℃で16〜18時間ブロックした。
【0161】
イムノブロットは以下の抗体を用いたインキュベーションによって行った。H1の検出については、マウス抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(フィッツジェラルド・インダストリーズ・インターナショナル(Fitzgerald Industries International)社、コンコード、マサチューセッツ、アメリカ、カタログ番号10−150)(TBS−0.1%ツイーン20中の2%スキムミルク中で2μg/ml)、およびH5の検出については、TBS−0.1%ツイーン20中の2%スキムミルク中で1/4000に希釈したウサギ抗H5(ベトナム)抗体(イミューン・テクノロジー(Immune Technology)社、ウッドサイド、ニューヨーク、アメリカ)、カタログ番号IT−003−005V)。ペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗マウスIgG(H+L)抗体(ジャクソン・イムノリサーチ・ラボラトリーズ(Jackson Immunoresearch Laboratories)社、ウエストグローブ、ペンシルバニア、アメリカ、カタログ番号115−035−146)(TBS−0.1%ツイーン20中の2%スキムミルク中で1/12000に希釈した)を、二次抗体として使用した。免疫反応性複合体を化学発光によって検出した(ロッシュ・ダイアグノスティックス社)。ヒトIgG抗体のホースラディッシュペルオキシダーゼ酵素へのコンジュゲーションは、EZ−リンクプラス(EZ−Link Plus)(登録商標)アクティベーティッドペルオキシダーゼコンジュゲーションキット(Activated Peroxidase conjugation kit)(ピアース社、ロックフォード、イリノイ)の使用によって実行した。
【0162】
H5についての赤血球凝集分析はNayak and Reichl (2004)によって記載された方法に基づいた。簡潔には、試験サンプル(100μL)の連続的な2倍希釈を、1ウェルあたり100μLの希釈サンプルを残して、100μLのPBSを含むV底の96ウェルマイクロタイタープレート中で作製した。100マイクロリットルの0.25%シチメンチョウ赤血球懸濁物(バイオ・リンク社(Bio Link Inc.)、シラキュース、ニューヨーク)を各々のウェルに追加し、プレートを室温で2時間インキュベーションした。完全な赤血球凝集を示す最高希釈の逆数をHA活性として記録した。平行して、組換えHAスタンダード(A/ベトナム/1203/2004 H5N1)(プロテイン・サイエンス社(Protein Science Corporation)、メリデン、コネチカット)をPBS中で希釈し、各々のプレートで対照として使用した。
【0163】
7.H5 VLP精製
660または680をインフィルトレーションしたN.ベンサミアナの凍結葉を、市販のブレンダーを使用して、1.5体積の50mMトリス(pH8)、150mM NaClおよび0.04%メタ重亜硫酸ナトリウム中でホモジナイズした。生じた抽出物に1mM PMSFを補足し、1M酢酸でpH6に調節し、5分間42℃で加熱した。pHシフトおよび熱処理によって沈殿させた混入物を吸着するために珪藻土(DE)を熱処理した抽出物に追加し、スラリーをワットマンの濾紙を通して濾過した。生じた清澄化抽出物は残りのDEを除去するために室温で10分間10,000×gで遠心分離し、0.8/0.2μmアクロパック(Acropack)20フィルターを通し、フェチュイン−アガロース親和性カラム(シグマ−アルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ、アメリカ)上にロードした。400mM NaCl、25mMトリス(pH6)中での洗浄工程に続いて、結合タンパク質を1.5M NaCl、50mM MES(pH6)により溶出した。溶出されたVLPは、0.0005%(v/v)の最終濃度までツイーン80で補足した。VLPを100kDa分子量カットオフアミコンの膜で濃縮し、4℃で30分間10,000×gで遠心分離し、0.01%ツイーン80および0.01%チメロサールを含むPBS(pH7.4)中で再懸濁した。懸濁したVLPを使用前にフィルター滅菌した。
【0164】
8.動物研究
インフルエンザVLP投与に対する免疫応答に関する試験を、6〜8週間齢のメスのウィスターラット(チャールズ・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories)社)により行った。13匹のラットを、対照群について3匹、植物で作製されたVLP H5野生型ワクチン(660)群および変異体ワクチン(680)群の両方について5匹の動物の3群へとランダムに分けた。8群を筋肉内免疫のために使用し、6群を鼻腔内経路の投与を試験するために使用した。すべての群は、2用量のレジメン(追加接種免疫は第1の免疫の14日後に行われる)で免疫された。
【0165】
後肢中の筋肉内投与のために、麻酔をしていないラットを、植物で作製されたVLP H5ワクチン(15μg)、植物で作製されたVLP H5変異型のワクチン、またはPBSのいずれかで免疫した。
【0166】
すべての抗原調製物は、免疫の前に1:1体積比で、アルハイドロゲル(ミョウバン;アキュレイト・ケミカル・アンド・サイエンティフィック社(Accurate Chemical and Scientific Corporation)、ウェストベリー、ニューヨーク、アメリカ)と1%の最終濃度に混合した。
【0167】
血液採取および脾臓採取
頚静脈血液採取を、麻酔した動物で第1の免疫の14日後および第2の免疫の14日後に行なった。8000gで10分間遠心分離することによって血清を採取した。
【0168】
第2の免疫の3週間後に、CO2ガスでラットを麻酔し、終了と同時に直ちに心臓穿刺を使用して血液を採取した。
【0169】
脾臓採取をラットで行った。採取された脾臓をゲンタマイシンを補足したRPMI中に置き、10mlのシリンジからプランジャーにより50mlのコニカルチューブ中につぶした。つぶした脾臓を2回リンスし、2000rpmで5分間遠心分離し、ACK溶解緩衝液中に室温で5分間再懸濁した。脾細胞をPBS−ゲンタマイシン中で洗浄し、5%RPMI中に再懸濁し、カウントした。脾細胞を増殖分析のために使用した。
【0170】
抗体力価:
A/ベトナム/1203/2004(H5N1);A/アンホイ/1/05(H5N1);A/シチメンチョウ/トルコ/1/05(H5N1);A/ニューカレドニア/20/99(H1N2)
血清の抗インフルエンザの抗体力価を、第1の免疫の14日後に加えて、第2の免疫の21日後(屠殺時)に測定した。力価は、コーティング抗原として非活性化ウイルスA/インドネシア/5/05を使用する酵素結合免疫吸着分析(ELISA)によって決定した。終了点力価は、陰性対照サンプルのOD値の少なくとも0.1以上のOD値に達した最高希釈の逆数値として表現した。
【0171】
抗体クラス決定(IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM)のために、力価は以前に記載されるようにELISAによって最終採血で評価された。
【0172】
赤血球凝集阻害(HI)力価
血清の赤血球凝集阻害(HI)力価は、以前に記載されるように第2の免疫の14および35日後に測定された(WHO 2002;Kendal 1982)。株A/インドネシア/5/05;A/アンホイ/1/05(H5N1);A/シチメンチョウ/トルコ/1/05(H5N1)またはA/ベトナム/1203/2004からの非活性化ウイルス調製物を使用して、HI活性についてラット血清サンプルを試験した。血清は、コレラ菌から調製された受容体破壊酵素II(RDE II)(デンカ生研社(Denka Seiken Co.)、東京、日本)で前処理した(Kendal 1982)。HI分析は0.5%シチメンチョウ赤血球で行った。HI抗体力価は、凝集の完全阻害を引き起こす最高希釈の逆数として定義された。
【0173】
結果
野生型VLPまたは変異体VLPのいずれかにより免疫されたラットからの血清の反応性は、第1の免疫の14日後(14日目)または第2の免疫の14日後(35日目)に評価した。ラットは、すべてミョウバンと共に製剤化した15μgの抗原で免疫した。免疫反応性は、クレード1(A/ベトナム/1203/04)、クレード2.1(A/インドネシア/5/05)、クレード2.2(A/シチメンチョウ/トルコ/1/05)およびクレード2.3(A/アンホイ/1/05)のH5N1ウイルスに対して評価した。第1の投薬後に、変異体VLPは、検査されたすべてのH5N1株について野生型よりも高い抗体反応を誘導した(図6)。鳥類株A/シチメンチョウ/トルコ/1/05に対する免疫反応性は、第1の投薬後に統計的に有意であった(p<0.05)。免疫反応性をH1N1ウイルス(A/ニューカレドニア/20/99)に対しても評価し、追加接種注射後に免疫反応性を示した。GMT:幾何平均力価。値は、1つの群あたり5匹のラットの終了点力価の逆数(reciprocal end-point titer)GMT(ln)である。バーは平均偏差を示す。*野生型VLPと比較してp<0.05。
【0174】
野生型または変異体VLPにより免疫されたラットからのHI力価は、第1の免疫の14日後(14日目)または第2の免疫の14日後(35日目)に評価した。HI抗体応答は不活性化H5N1全ウイルスを使用して測定した。第1の免疫後に、変異体VLPは、検査されたすべてのH5N1ウイルスに対して野生型VLPよりも高いHI抗体応答を誘導する(図7)。A/インドネシア/5/05およびA/シチメンチョウ/トルコ/1/05のインフルエンザ株については統計的有意性が達成された。GMT:幾何平均力価。値は、1つの群あたり5匹のラットの終了点力価の逆数GMT(ln)である。バーは平均偏差を示す。*野生型VLPと比較してp<0.05。
【0175】
これらのデータは、「変異させた」糖鎖付加のないH5タンパク質が、広域スペクトルで迅速な活性のあるインフルエンザワクチンとして、VLPの産生のための天然のH5タンパク質に対する非常に興味深い代替物となることを強く示唆する。
【0176】
すべての引用は参照として本明細書に組み込まれる。
【0177】
本発明は1つまたは複数の特定の実施形態に関して記載された。しかしながら、請求項において定義された本発明の範囲から逸脱することなしに、多数の変形および修飾を行うことができることは当業者に明らかだろう。
【0178】
参考文献






【特許請求の範囲】
【請求項1】
HA1ドメインを有するインフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)分子であって、前記HA1ドメインは、N結合型糖鎖付加が完全にまたは部分的にない、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)分子。
【請求項2】
HA1ドメインに由来する1つまたは複数のN結合型糖鎖付加部位が消失しており、消失する前記糖鎖付加部位はタンパク質の免疫原性の球状頭部に当初存在する、請求項1に記載のインフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)分子。
【請求項3】
前記消失する糖鎖付加部位が、前記免疫原性の球状頭部の受容体結合サブドメイン内若しくは付近にあるか、又は、HA1ドメインのF’2サブドメイン内または若しくは付近にある、請求項2に記載のインフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)分子。
【請求項4】
前記糖鎖付加部位が、糖鎖付加認識三つ組N−X−S/Tであって、Nがアスパラギンであり、Xがプロリン以外のアミノ酸であり、Sはセリンであり、Tはスレオニンであるる、前記糖鎖付加認識三つ組N−X−S/Tからなる、請求項3に記載のHA分子。
【請求項5】
糖鎖付加認識三つ組N−X−S/T中に含まれる1つまたは複数のアスパラギン残基が、非アスパラギンのアミノ酸で置換される、請求項4に記載のHA分子。
【請求項6】
前記アスパラギン残基が、Leu、Ile、Val、Thr、SerおよびAlaからなる群から選択されるアミノ酸で置換される、請求項5に記載のHA分子。
【請求項7】
前記アスパラギン残基が、アラニンで置換される、請求項6に記載のHA分子。
【請求項8】
糖鎖付加認識三つ組N−X−S/T中に含まれる1つ若しくは複数のセリン残基またはスレオニン残基が、非セリンアミノ酸および非スレオニンアミノ酸で置換される、請求項4または5に記載のHA分子。
【請求項9】
糖鎖付加認識三つ組N−X−S/T中に含まれる1つ若しくは複数のセリン残基またはスレオニン残基が、Ala、Val、IleおよびLeuからなる群から選択されるアミノ酸で置換される、請求項8に記載のHA分子。
【請求項10】
前記セリン残基またはスレオニン残基が、アラニンで置換される、請求項9に記載のHA分子。
【請求項11】
前記糖鎖付加部位が、アミノ酸39乃至331(番号付けは株A/ベトナム/1194/04に従う)の間に位置する三つ組に対応する位置にあり、前記N糖鎖付加部位の消失が、HA分子を、天然のHA分子に対して特異的な抗体に対してより抗原性にする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のHA分子。
【請求項12】
前記糖鎖付加部位が、154位、165位および286位からなる群から選択される位置にある、請求項11に記載のHA分子。
【請求項13】
1つの消失した糖鎖付加部位を有する、請求項12に記載のHA分子。
【請求項14】
2つの消失した糖鎖付加部位を有する、請求項12に記載のHA分子。
【請求項15】
3つの消失した糖鎖付加部位を有する、請求項12に記載のHA分子。
【請求項16】
前記インフルエンザがA型およびB型のものである、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のインフルエンザ赤血球凝集素(HA)。
【請求項17】
前記インフルエンザがB型のものである、請求項16に記載のインフルエンザ赤血球凝集素(HA)。
【請求項18】
前記HAが、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15およびH16からなる群から選択される1つまたは複数のA亜型に由来する、請求項16に記載のインフルエンザ赤血球凝集素(HA)。
【請求項19】
前記HA亜型が、H1、H2、H3、H5、H7、H9およびH10からなる群から選択される1つまたは複数の亜型からなる、請求項18に記載のインフルエンザ赤血球凝集素(HA)。
【請求項20】
前記HA亜型が、H1、H3、H5およびH7からなる群から選択される1つまたは複数の亜型からなる、請求項19に記載のインフルエンザ赤血球凝集素(HA)。
【請求項21】
前記インフルエンザ赤血球凝集素が、B型またはA型亜型H3からなる、請求項16に記載のインフルエンザ赤血球凝集素(HA)。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれか一項に記載のインフルエンザHA分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項23】
154、165および286からなる群から選択されるアミノ酸をコードする1つまたは複数の残基が、非アスパラギンをコードしている、配列番号:17に従って定義される核酸。
【請求項24】
154、165および286からなる群から選択されるアミノ酸をコードする前記1つまたは複数の残基が、アラニンをコードしている、請求項23に記載の核酸。
【請求項25】
154+2、165+2および286+2からなる群から選択されるアミノ酸をコードする1つまたは複数の残基が、非セリンおよび非スレオニンをコードしている、配列番号:17に従って定義される核酸。
【請求項26】
154+2、165+2および286+2からなる群から選択されるアミノ酸をコードする前記1つまたは複数の残基が、アラニンをコードしている、請求項25に記載の核酸。
【請求項27】
請求項23、24、25または26のいずれか一項に記載の核酸に対して90%の同一性を有する核酸。
【請求項28】
配列番号:29に従って定義される核酸。
【請求項29】
配列番号:29に対して90%の同一性を有する核酸。
【請求項30】
シアル化していない宿主生物において活性のある調節領域に作動可能に連結された、請求項22乃至29のいずれか一項に記載の核酸を含む発現カセット。
【請求項31】
前記調節領域が、プラストシアニン調節領域;ナピンプロモーター、クルシフェリンプロモーター、またはリブロース1,5−ビスホスフェートカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(RuBisCO)、クロロフィルa/b結合タンパク質若しくはST−LSから得られる調節領域、ポリへドロンプロモーター、およびgp64プロモーターからなる群から選択される、請求項30に記載の発現カセット。
【請求項32】
前記プラストシアニン調節領域が、アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa))に由来する、請求項31に記載の発現カセット。
【請求項33】
シアル化していない宿主生物中でインフルエンザウイルス様粒子(VLP)を産生する方法であって、
a)シアル化していない宿主生物またはその一部において活性のある調節領域に作動可能に連結された、請求項22乃至29のいずれか一項に記載の核酸を導入する工程と、
b)核酸の発現を可能にする条件下で前記宿主または一部をインキュベーションして、それによってVLPを産生する工程と
を含む前記方法。
【請求項34】
前記導入工程(工程a)において、前記核酸が前記宿主中で一過性に発現されるか、または前記宿主中で安定的に発現されうる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記シアル化していない宿主生物が、植物、昆虫および酵母からなる群から選択される、請求項33または34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記植物が、植物細胞、植物全体およびその一部からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記植物細胞が、N.ベンチアミナ(N.benthiamina)に由来する、請求項36に記載の核酸。
【請求項38】
c)前記宿主を採取し、前記VLPを精製する工程をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
HA1ドメインを有するインフルエンザ赤血球凝集素分子を含むウイルス様粒子(VLP)であって、前記HA1サブドメイン由来の1つまたは複数のN結合型糖鎖付加部位が消失している、ウイルス様粒子(VLP)。
【請求項40】
前記VLPが免疫原性である、請求項39に記載のVLP。
【請求項41】
請求項22乃至29のいずれか一項に記載の核酸によってコードされるウイルス様粒子(VLP)。
【請求項42】
請求項1乃至21のいずれか一項に記載のインフルエンザウイルスHAタンパク質および1つまたは複数の宿主脂質を含むウイルス様粒子(VLP)。
【請求項43】
前記宿主脂質が植物脂質である、請求項41または42に記載のウイルス様粒子。
【請求項44】
植物特異的N−グリカンまたは修飾N−グリカンを持つインフルエンザウイルスHAを含む、請求項41、42または43のいずれか一項に記載のウイルス様粒子(VLP)。
【請求項45】
前記インフルエンザHAタンパク質が、H5インドネシアである、請求項44に記載のウイルス様粒子(VLP)。
【請求項46】
被験体におけるウイルス感染の予防または治療のためのワクチンの製品のための請求項39乃至45のいずれか一項に記載のVLPの使用。
【請求項47】
前記被験体が、ヒトまたはトリからなる群から選択される、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
被験体におけるインフルエンザウイルス感染の予防または治療のための請求項39乃45のいずれか一項に記載のVLPの使用。
【請求項49】
前記被験体がヒトまたは鳥類からなる群から選択される、請求項48に記載の使用。
【請求項50】
薬学的に許容される担体と混合されている、効果的な用量の、請求項39乃至45のいずれか一項に記載のVLPを含む組成物。
【請求項51】
前記薬学的に許容される担体が、経口投与、皮内投与、鼻腔内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、静脈内投与、皮下投与のために適切である、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
薬学的に許容される担体と混合されている請求項39乃至45のいずれか一項に記載のVLPを含む、インフルエンザウイルス疾患にかかるリスクがある個体を免疫するための組成物。
【請求項53】
前記組成物が、液体形態、懸濁形態、固体形態または粉末形態である、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
前記組成物が、経口投与、皮内投与、鼻腔内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、静脈内投与、または皮下投与に適している、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
アジュバントの存在ありまたはなしで薬学的に許容される担体と混合されている請求項39乃至45のいずれか一項に記載のVLPの免疫学的に効果的な用量を含む、ワクチン組成物。
【請求項56】
前記薬学的に許容される担体が、経口で、皮膚内で、鼻腔内、筋肉内で、腹腔内で、静脈内でまたは皮下で投与するのに適切である、請求項55に記載のワクチン。
【請求項57】
前記アジュバントを欠く、請求項56に記載のワクチン。
【請求項58】
生理学的に許容される賦形剤またはアジュバント中の混合に混合されている請求項39乃至45のいずれか一項に記載のVLPを含むウイルス性ワクチン。
【請求項59】
ヒトワクチンまたはトリワクチンである、請求項58に記載のワクチン。
【請求項60】
病徴の出現前の予防に;または病徴の出現後の感染の治療に適している、請求項59に記載のワクチン。
【請求項61】
インフルエンザウイルス感染に対する免疫を被験体において誘導する方法であって、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の、または請求項22乃至29のいずれか一項に記載の核酸によってコードされる、インフルエンザウイルスHAタンパク質を含むウイルス様粒子、1つまたは複数の宿主脂質、および薬学的に許容される担体投与することを含む方法。
【請求項62】
前記ウイルス様粒子が、経口で、皮膚内で、鼻腔内で、筋肉内で、腹腔内で、静脈内でまたは皮下で被験体に投与される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
効果的な用量の、請求項50に記載の組成物または請求項55に記載のワクチンを投与することを含む、インフルエンザウイルス感染に対する免疫を被験体において誘導する方法。
【請求項64】
請求項39乃至45のいずれか一項に記載のウイルス様粒子を投与することを含む、インフルエンザウイルス感染に対する免疫を被験体において誘導する方法。
【請求項65】
前記ウイルス様粒子が、経口で、皮膚内で、鼻腔内で、筋肉内で、腹腔内で、静脈内でまたは皮下で被験体に投与される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記被験体が、ヒト、霊長類、ウマ、ブタ、トリ(鳥類)水鳥、渡り鳥、ウズラ、アヒル、ガチョウ、家禽、ニワトリ、ラクダ、イヌ科の動物、イヌ、ネコ科の動物、ネコ、トラ、ヒョウ、ジャコウネコ、ミンク、ブナテン、フェレット、家で飼われるペット、家畜、マウス、ラット、アザラシ、クジラなどからなる群から選択される、請求項61乃至65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記被験体が、ヒトおよびトリからなる群から選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記被験体がヒトである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
請求項55に記載のワクチンを含む容器。
【請求項70】
請求項69に記載の容器であって、単一単位用量を含有する前記容器。
【請求項71】
請求項69に記載の容器であって、複数投与量の形態である前記容器。
【請求項72】
請求項69、70または71のいずれか一項に記載の容器であって、シリンジである前記容器。
【請求項73】
請求項55に記載のワクチンで充填済みのシリンジ。
【請求項74】
請求項69乃至73のいずれか一項に記載の容器、および前記ワクチンの使用/投与方法についての説明書を含むキット。
【請求項75】
請求項22乃至29のいずれか一項に記載の核酸により形質転換された植物細胞。
【請求項76】
一過性または安定的に形質転換されている、請求項75に記載の植物細胞。
【請求項77】
請求項22乃至29のいずれか一項に記載の核酸により形質転換された植物の一部。
【請求項78】
一過性または安定的に形質転換されている、請求項77に記載の植物の一部。
【請求項79】
請求項22乃至29のいずれか一項に記載の核酸により形質転換された植物。
【請求項80】
一過性または安定的に形質転換されている請求項79に記載の植物。
【請求項81】
請求項30、31または32のいずれか一項に記載の発現カセットによりトランスフェクションされたアグロバクテリウム細胞。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図25D】
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【図25E】
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【図25F】
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【図25G】
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【図25H】
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【図25I】
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【図25J】
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【図26】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図28D】
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【図29】
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【図30A】
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【図30B】
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【公表番号】特表2011−528223(P2011−528223A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517725(P2011−517725)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001040
【国際公開番号】WO2010/006452
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(502121395)メディカゴ インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】