説明

新規トランスフェラーゼ及びアミラーゼ、それらの製造法及び利用、並びに該新規酵素類の遺伝子

【課題】新規アミラーゼ及び新規トランスフェラーゼならびにそれらを組み合わせて用いるα,α−トレハロースの製造法の提供。
【解決手段】少なくとも還元末端から3つ以上のグルコース残基がα−1,4結合である3糖以上の糖を基質とし、その還元末端のα−1,4結合をα−1,α−1結合に転移させる作用を有する新規トランスフェラーゼ、その製造法、その遺伝子。また、少なくとも還元末端側の3糖がグルコース単位で構成され、該末端側の1つ目と2つ目のグルコース間の結合がα−1,α−1結合で、該末端側の2つ目と3つ目のグルコース間の結合がα−1,4結合である3糖以上の糖を基質とし、2つ目と3つ目のグルコース間のα−1,4結合を加水分解し、2糖及び/又は単糖を遊離する新規アミラーゼ、その製造法、その遺伝子、及びそれを上記新規トランスフェラーゼと組み合わせて用いたα,α−トレハロースの製造法。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも還元末端から3つ以上の糖がグルコース単位で構成される3糖以上の糖を基質とし、還元末端側から加水分解して主に単糖及び/又は2糖を遊離する活性を有する新規アミラーゼ。
【請求項2】
少なくとも還元末端側の3糖がグルコース単位で構成され、該末端側の1つ目と2つ目のグルコース間の結合がα−1,α−1結合で、該末端側の2つ目と3つ目のグルコース間の結合がα−1,4結合である3糖以上の糖を基質とし、2つ目と3つ目のグルコース間のα−1,4結合を加水分解し、α,α−トレハロースを遊離する主要な活性を有する請求項1に記載の新規アミラーゼ。
【請求項3】
基質の分子鎖中のα−1,4結合をエンド型で加水分解する活性を合わせ持つ、請求項1或いは2に記載の新規アミラーゼ。
【請求項4】
グルコシルトレハロース、マルトオリゴシルトレハロース等のトレハロースオリゴ糖を基質とし、還元末端側の2つ目と3つ目のグルコース間のα−1,4結合を加水分解し、α,α−トレハロースを遊離する活性を有する、請求項1、2或いは3に記載の新規アミラーゼ。
【請求項5】
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が約61,000〜64,000である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の酵素。
【請求項6】
下記の理化学的性質を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の酵素:
(1) 至適pH:4.5〜5.5
(2) 至適温度:60〜85℃
(3) 安定pH:4.0〜10.0
(4) 温度安定性:80℃で6時間の処理により100%残存。
【請求項7】
等電点電気泳動法による等電点が4.3〜5.4である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の酵素。
【請求項8】
5mM CuSO4 で100%阻害される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の酵素。
【請求項9】
Sulfolobales目に属する古細菌から得られる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の酵素。
【請求項10】
Sulfolobus属に属する古細菌から得られる、請求項9に記載の酵素。
【請求項11】
Sulfolobus属に属する古細菌がSulfolobus solfataricus KM1株(FERM BP−4626)或いはその変異株である、請求項10に記載の酵素。
【請求項12】
Sulfolobus属に属する古細菌がSulfolobus solfataricus DSM 5833株或いはその変異株である、請求項10に記載の酵素。
【請求項13】
Sulfolobus属に属する古細菌がSulfolobus acidocaldarius ATCC 33909株或いはその変異株である、請求項10に記載の酵素。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のアミラーゼを産生する能力を有する細菌を培地に培養し、培養物より、トレハロースオリゴ糖を基質としてα,α−トレハロースを生成する活性を指標とする活性測定法に基づいて、該アミラーゼを単離精製することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のアミラーゼの製造法。
【請求項15】
Sulfolobales目の古細菌を培養する、請求項14に記載のアミラーゼの製造法。
【請求項16】
Sulfolobus属に属する細菌を培養する、請求項15に記載のアミラーゼの製造法。
【請求項17】
Sulfolobus属に属するSulfolobus solfataricus KM1株(FERM BP−4626)を培養する、請求項16に記載のアミラーゼの製造法。
【請求項18】
Sulfolobus属に属するSulfolobus solfataricus DSM 5833株を培養する、請求項16に記載のアミラーゼの製造法。
【請求項19】
Sulfolobus属に属するSulfolobus acidocaldarius ATCC 33909株を培養する、請求項16に記載のアミラーゼの製造法。
【請求項20】
請求項1記載の新規アミラーゼをコードするDNA配列を含んでなる、DNA断片。
【請求項21】
請求項2記載の新規アミラーゼをコードするDNA配列を含んでなる、請求項20記載のDNA断片。
【請求項22】
糖鎖中のα‐1,4結合をエンド型で加水分解する活性を有する新規アミラーゼをコードするDNA配列を含んでなる、請求項20または21記載のDNA断片。
【請求項23】
前記新規アミラーゼが、トレハロースオリゴ糖を基質とし、還元末端側の2つ目と3つ目のグルコース間のα‐1,4結合を加水分解し、α,α‐トレハロースを遊離する活性を有するものである、請求項20〜22のいずれか一項記載のDNA断片。
【請求項24】
(1)糖鎖中のα‐1,4グルコシド結合をエンド型で加水分解する活性、
(2)少なくとも還元末端から3つ以上の糖がグルコース単位で構成され、かつその結合がα‐1,4結合である3糖以上の糖を基質とし、還元末端側から加水分解して主に単糖および/または2糖を遊離する活性、および
(3)少なくとも還元末端側の3糖がグルコース単位で構成され、該末端側の1つ目と2つ目のグルコース間の結合がα‐1,α‐1結合であり、かつ該末端側の2つ目と3つ目のグルコース間の結合がα‐1,4結合である3糖以上の糖を基質とし、2つ目と3つ目のグルコース間のα‐1,4結合を加水分解し、α,α‐トレハロースを遊離する主要な活性
を有する新規アミラーゼをコードするDNA配列を含んでなる、DNA断片。
【請求項25】
前記新規アミラーゼの至適温度が60〜85℃である、請求項20〜24のいずれか一項記載のDNA断片。
【請求項26】
図34に示される制限酵素地図で表される、請求項20〜25のいずれか一項記載のDNA断片。
【請求項27】
図38に示される制限酵素地図で表される、請求項20〜25のいずれか一項記載のDNA断片。
【請求項28】
配列番号6に示されるアミノ酸配列、またはその等価配列をコードするDNA配列を含んでなる、DNA断片。
【請求項29】
配列番号5に示される塩基配列の642番から2315番までの塩基配列を含んでなる、請求項28記載のDNA断片。
【請求項30】
配列番号5に示される塩基配列の639番から2315番までの塩基配列を含んでなる、請求項28記載のDNA断片。
【請求項31】
配列番号5に示される塩基配列の1番から2691番までの塩基配列を含んでなる、請求項28載のDNA断片。
【請求項32】
配列番号8に示されるアミノ酸配列、またはその等価配列をコードするDNA配列を含んでなる、DNA断片。
【請求項33】
配列番号7に示される塩基配列の1176番から2843番までの塩基配列を含んでなる、請求項32記載のDNA断片。
【請求項34】
配列番号7に示される塩基配列の1番から3600番までの塩基配列を含んでなる、請求項32記載のDNA断片。
【請求項35】
Sulfolobales目に属する古細菌由来である、請求項20〜34のいずれか一項記載のDNA断片。
【請求項36】
Sulfolobus属に属する古細菌由来である、請求項35記載のDNA断片。
【請求項37】
Sulfolobus solfataricus KM1株由来である、請求項36記載のDNA断片。
【請求項38】
Sulfolobus acidocaldarius ATCC33909株由来である、請求項36記載のDNA断片。
【請求項39】
配列番号5に示される塩基配列の639番または642番から2315番までの塩基配列、またはその相補体に、40℃、5×SSCのイオン強度下でハイブリッドを形成し、かつ少なくとも還元末端から3つ以上の糖がグルコース単位で構成された3糖以上の糖を基質とし、還元末端側から加水分解して、主に単糖および/または2糖を遊離する活性を有する新規アミラーゼをコードするDNA断片、および該DNA断片によりコードされるアミノ酸配列をコードするDNA断片。
【請求項40】
配列番号5に示される塩基配列の639番または642番から2315番までの塩基配列、またはその相補体に、40℃、5×SSCのイオン強度下でハイブリッドを形成し、かつ、少なくとも還元末端側の3糖がグルコース単位で構成され、該末端側の1つ目と2つ目のグルコース間の結合がα‐1,α‐1結合であり、かつ該末端側の2つ目と3つ目のグルコース間の結合がα‐1,4結合である3糖以上の糖を基質とし、2つ目と3つ目のグルコース間のα‐1,4結合を加水分解し、α,α‐トレハロースを遊離する主要な活性を有する新規アミラーゼをコードするDNA断片、および該DNA断片によりコードされるアミノ酸配列をコードするDNA断片。
【請求項41】
配列番号7に示される塩基配列の1393番から2121番までの塩基配列、またはその相補体に、60℃、6xSSPEのイオン強度下でハイブリッドを形成し、かつ少なくとも還元末端から3つ以上の糖がグルコース単位で構成された3糖以上の糖を基質とし、還元末端側から加水分解して、主に単糖および/または2糖を遊離する活性を有する新規アミラーゼをコードするDNA断片、および該DNA断片によりコードされるアミノ酸配列をコードするDNA断片。
【請求項42】
配列番号7に示される塩基配列の1393番から2121番までの塩基配列、またはその相補体に、60℃、6xSSPEのイオン強度下でハイブリッドを形成し、かつ少なくとも還元末端側の3糖がグルコース単位で構成され、該末端側の1つ目と2つ目のグルコース間の結合がα‐1,α‐1結合であり、かつ該末端側の2つ目と3つ目のグルコース間の結合がα‐1,4結合である3糖以上の糖を基質とし、2つ目と3つ目のグルコース間のα‐1,4結合を加水分解し、α,α‐トレハロースを遊離する主要な活性を有する新規アミラーゼをコードするDNA断片、および該DNA断片によりコードされるアミノ酸配列をコードするDNA断片。
【請求項43】
配列番号6に示されるアミノ酸配列またはその等価配列を含んでなる、ポリペプチド。
【請求項44】
配列番号8に示されるアミノ酸配列またはその等価配列を含んでなる、ポリペプチド。
【請求項45】
そのN末端に更にMetを有してなる、請求項43に記載のポリペプチド。
【請求項46】
少なくとも還元末端側の三糖がグルコース単位で構成され、該末端側の1つ目と2つ目のグルコース間の結合がα‐1,α‐1結合で、該末端側の2つ目と3つ目のグルコース間の結合がα‐1,4結合である、3糖以上の糖を基質とし、2つ目と3つ目のグルコース間のα‐1,4結合を加水分解し、α,α‐トレハロースを遊離する作用を有する、請求項43〜45のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項47】
(1)糖鎖中のα‐1,4グルコシド結合をエンド型で加水分解する活性、
(2)少なくとも還元末端から3つ以上の糖がグルコース単位で構成され、かつその結合がα‐1,4結合である3糖以上の糖を基質とし、還元末端側から加水分解して単糖および/または2糖を遊離する活性、および
(3)少なくとも還元末端側の3糖がグルコース単位で構成され、該末端側の1つ目と2つ目のグルコース間の結合がα‐1,α‐1結合であり、かつ該末端側の2つ目と3つ目のグルコース間の結合がα‐1,4結合である3糖以上の糖を基質とし、2つ目と3つ目のグルコース間のα‐1,4結合を加水分解し、α,α‐トレハロースを遊離する主要な活性
を有する、請求項43〜45のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項48】
作用の至適温度が60〜85℃である、請求項43〜47のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項49】
請求項20〜42のいずれか一項記載のDNA断片を含んでなる、組換えDNA分子。
【請求項50】
請求項20〜42のいずれか一項記載のDNA断片がプラスミドベクターに組み込まれてなる、請求項49記載の組換えDNA分子。
【請求項51】
プラスミドpKA2である、請求項49または50記載の組換えDNA分子。
【請求項52】
プラスミドp09A1である、請求項49または50記載の組換えDNA分子。
【請求項53】
請求項49〜52のいずれか一項記載の組換えDNA分子によって形質転換された、宿主細胞。
【請求項54】
宿主細胞がEscherichia属またはBacillus属に属する微生物である、請求項53記載の宿主細胞。
【請求項55】
宿主細胞がEscherichia coli JM109株である、請求項54記載の宿主細胞。
【請求項56】
組換え新規アミラーゼの製造法であって、 該組換え新規アミラーゼが
少なくとも還元末端側の3糖がグルコース単位で構成され、該末端側の1つ目と2つ目のグルコース間の結合がα‐1,α‐1結合であり、かつ該末端側の2つ目と3つ目のグルコース間の結合がα‐1,4結合である3糖以上の糖を基質とし、2つ目と3つ目のグルコース間のα‐1,4結合を加水分解し、α,α‐トレハロースを遊離する主要な活性
を有するものであり、
請求項53〜55のいずれか一項記載の宿主細胞を培養し、その培養物中に前記組換え新規アミラーゼを生成させ、これを採取することを含んでなる、方法。
【請求項57】
請求項20〜42のいずれか一項記載のDNA断片によりコードされる組換え新規アミラーゼ、または請求項43〜48のいずれか一項記載のポリペプチドを含んでなる組換え新規アミラーゼの製造法であって、
請求項53〜55のいずれか一項記載の宿主細胞を培養し、その培養物中に前記組換え新規アミラーゼを生成させ、これを採取することを含んでなる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32A】
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【図32B】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41A】
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【図41B】
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【図42】
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【公開番号】特開2008−139(P2008−139A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196400(P2007−196400)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【分割の表示】特願平8−501939の分割
【原出願日】平成7年6月14日(1995.6.14)
【出願人】(000253503)キリンホールディングス株式会社 (247)
【Fターム(参考)】