説明

新規ピリダジン誘導体

本発明は、殺微生物活性、特に殺真菌活性を有する活性成分としての式Iの新規ピリダジン誘導体(ここでR1は、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、又はC3〜C6シクロアルキルであり;R2は、任意に置換されたヘテロアリールであり;R3は、任意に置換されたアリールであり;そしてR4は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、ヒドロキシ、又はシアノである)、又はその農薬として使用可能な塩に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺微生物活性、特に殺真菌活性を有する活性成分としての新規ピリダジン誘導体に関する。本発明はまた、これらの活性成分の調製と、これらの活性成分の調製の中間体として使用される新規複素環誘導体と、これらの新規中間体の調製と、少なくとも1つの新規活性成分を含む農薬組成物と、これらの組成物の調製と、植物病原性微生物、好ましくは真菌による植物、収穫作物、又は非生物材料への侵入を防除又は防止するための農業又は園芸における該活性成分もしくは組成物の使用とに関する。
【0002】
本発明は式(I)の化合物:
【化1】

(ここで、
1は、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、又はC3〜C6シクロアルキルであり;
2は、任意に置換されたヘテロアリールであり;
3は、任意に置換されたアリールであり;そして
4は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、ヒドロキシ、又はシアノである)、
又は農薬として使用できるその塩を提供する。
【0003】
上記定義において、アリールは、芳香族炭化水素環、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、及びビフェニルを含み、フェニルが好適である。
【0004】
ヘテロアリールは、少なくとも1つの酸素、窒素、又は硫黄原子が環員として存在する、単環系、二環系、又は三環系等の芳香環系を意味する。例えば、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、キノリル、インソキノリニル、イソキノリル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、及びナフチリジニルである。各ヘテロアリールは、炭素原子又は窒素原子によりピリダジンに結合することができる。
【0005】
上記アリール及びヘテロアリール基は任意に置換される。これは、これらが1つ又はそれ以上の同じかまたは異なる置換基を有することを意味する。通常3つ以下の置換基が同時に存在する。アリール及びヘテロアリール基の置換基の例は以下の通りである:ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルケニルオキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シクロアルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アルコキシアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ。任意に置換されたアリールの典型例には、2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、2−メチルフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−クロロ−3−フルオロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2−クロロ−5−フルオロフェニル、2−クロロ−6−フルオロフェニル、3−クロロ−2−フルオロフェニル、4−クロロ−2−フルオロフェニル、5−クロロ−2−フルオロフェニル、2−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニル、2−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル、2−フルオロ−6−トリフルオロメチルフェニル、2−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル、2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル、2−クロロ−6−トリフルオロメチルフェニル、4−フルオロ−2−トリフルオロメチルフェニル、4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェニル、2−フルオロ−3−メチルフェニル、2−フルオロ−4−メチルフェニル、2−フルオロ−5−メチルフェニル、2−フルオロ−6−メチルフェニル、2−クロロ−3−メチルフェニル、2−クロロ−4−メチルフェニル、2−クロロ−5−メチルフェニル、2−クロロ−6−メチルフェニル、4−フルオロ−2−メチルフェニル、4−クロロ−2−メチルフェニル、2,4,6−トリフルオロフェニル、2,3,6−トリフルオロフェニル、2,3,4−トリフルオロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2,3,6−トリクロロフェニル、2,3,4−トリクロロフェニル、2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル、2,6−ジフルオロ−4−トリフルオロメトキシフェニル、2,6−ジフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2,6−ジフルオロ−4−シアノフェニル、2,6−ジフルオロ−4−メチルフェニル、2,6−ジクロロ−4−メトキシフェニル、2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメトキシフェニル、2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2,6−ジクロロ−4−シアノフェニル、2,6−ジクロロ−4−メチルフェニル、ペンタフルオロフェニルがある。任意に置換されたヘテロアリールの典型例には、5−クロロチオフェン−2−イル、4−ブロモ−5−メチルチオフェン−2−イル、4−ブロモチオフェン−2−イル、5−ブロモチオフェン−2−イル、5−メチルチオフェン−2−イル、5−ブロモフラン−2−イル、4,5−ジメチルフラン−2−イル、5−メチルフラン−2−イル、5−クロロフラン−2−イル、3−メチルイソチアゾール−4−イル、5−メチルイソキサゾール−3−イル、6−クロロピリジン−2−イル、6−メチルピリジン−2−イル、6−クロロピリジン−3−イル、6−ブロモピリジン−3−イル、5−ブロモピリジン−3−イル、6−メチルピリジン−3−イル、6−メトキシピリジン−3−イル、5,6−ジクロロピリジン−3−イル、2−クロロピリジン−4−イル、2−メチルピリジン−4−イル、2,6−ジクロロピリジン−4−イル、2−メチルピリミジン−4−イルがある。
【0006】
上記定義においてハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素である。
アルキル、アルケニル、又はアルキニル基は、直鎖または分岐鎖でもよい。
【0007】
アルキルは、それ自体で又は他の置換基の一部として、記載の炭素原子の数に応じて、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびこれらの異性体、例えばイソプロパノール、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、又はtert−ペンチルである。
【0008】
ハロアルキル基は、1つ又はそれ以上の同じかまたは異なるハロゲン原子を含んでよく、例えばCH2Cl、CHCl2,CCl3,CH2F、CHF2,CF3,CF3CH2,CH3CF2,CF3CF2、又はCCl3CCl2を意味する。
【0009】
シクロアルキルは、それ自体で又は他の置換基の一部として、記載の炭素原子の数に応じて、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルである。
【0010】
アルケニルは、それ自体で又は他の置換基の一部として、記載の炭素原子の数に応じて、例えばエテニル、アリル、1−プロペニル、ブテン−2−イル、ペンテン−1−イル、ペンテン−3−イル、ヘキセン−1−イル、又は4−メチル−3−ペンテニルである。
【0011】
アルキニルは、それ自体で又は他の置換基の一部として、記載の炭素原子の数に応じて、例えばエチニル、プロピン−1−イル、プロピン−2−イル、ブチン−1−イル、ブチン−2−イル、1−メチル−2−ブチニル、ヘキシン−1−イル、又は1−エチル−2−ブチニルである。
【0012】
式Iの化合物中の1つ又はそれ以上の可能な非対称炭素原子の存在は、化合物が光学異性体型、すなわち鏡像異性体型又はジアステレオ異性体型で存在することを意味する。可能な脂肪族C=C二重結合の存在の結果として、これはシス−トランス又は(E)−(Z)異性を意味する幾何異性体が存在することもある。また単結合の周りの制限された回転の結果として、アトロプ異性体が存在することもある。式Iは、すべての可能な異性体型及びこれらの混合物を含む。本発明は、式Iの化合物のすべての可能な異性体型及びこれらの混合物を含む。
【0013】
第1の実施態様においてR1は、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、又はC3〜C6シクロアルキルである。
【0014】
第2の実施態様においてR2は、任意に置換されたフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、キノリル、インソキノリニル、イソキノリル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、又はびナフチリジニルである。
【0015】
第3の実施態様においてR3は、任意に置換されたフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、又はビフェニルである。
【0016】
第4の実施態様においてR4は、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、ヒドロキシ、又はシアノである。
【0017】
本発明の式Iの化合物の好適なサブグループは、
1が、任意に置換されたC1〜C6アルキル又はC1〜C6ハロアルキルであり;
2が、任意に置換されたフリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、キノリル、又はキノキサリニルであり;
3が、任意に置換されたフェニル、ナフチル、又はビフェニルであり;
4が、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、又はヒドロキシである、ものである。
【0018】
本発明の式Iの化合物のさらに好適なサブグループは、
1が、C1〜C6アルキルであり;
2が、任意に置換されたフリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、又はベンゾフラニルであり;
3が、任意に置換されたフェニル又はナフチルであり;そして
4が、ハロゲン、C1〜C3アルキル、C1〜C6アルコキシ、又はヒドロキシである、ものである。
【0019】
本発明の式Iの化合物の最も好適なサブグループは、
1が、C1〜C3アルキルであり;
2が、任意に置換されたフリル、チエニル、ピリジル、ピリダジニル、又はピリミジニルであり;
3が、任意に置換されたフェニルであり;そして
4が、フルオロ、クロロ、C1〜C3アルキル、C1〜C3アルコキシ、又はヒドロキシである、ものである。
【0020】
本発明の式Iの化合物の特に好適なサブグループは、
1が、メチル又はエチルであり;
2が、任意に置換されたフリル、チエニル、ピリジル、又はピリミジニルであり;
3が、2,4,6−トリフルオロフェニル、2−クロロ−6−フルオロフェニル、又は2,6−ジクロロ−4−メトキシフェニルであり;そして
4が、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ、又はヒドロキシである、ものである。
【0021】
好適な個々の化合物は以下の通りである:
3−クロロ−5−フラン−2−イル−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−6−メチル−5−(5−ブロモフラン−2−イル)−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−6−メチル−5−ピリジン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−5−(6−クロロピリジン−2−イル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−6−メチル−5−ピリジン−3−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−5−(6−クロロピリジン−3−イル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−6−メチル−5−ピリジン−4−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−5−(2,6−ジクロロピリジン−4−イル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−6−メチル−5−ピリミジン−4−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−6−メチル−5−(2−メチルピリミジン−4−イル)−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−メトキシ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−メトキシ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−ピリダジン、
3−フルオロ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、及び
3,6−ジメチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン。
【0022】
例えばWO2005/121104号及びWO2006/001175号のように、植物に有害な真菌を防除するために、4位と5位に2つのフェニル基を有するいくつかのピリダジン誘導体が提唱されている。しかしこれらの調製物の作用は、農業のニーズのすべての面で必ずしも満足できない。驚くべきことに式Iの化合物を用いることにより、高レベルの生物活性を有する新しい種類の殺真菌剤が発見された。
【0023】
式(I.1)、(I.2)、(I.3)、(I.4)、及び(I.5)を有する化合物(ここで、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は上記の意味を有する)は、一般式(I)の化合物のすべての例であり、以下のスキームに示すように作成される。
【0024】
式I.2の化合物(ここで、R1、R2、R3、及びR5は式Iの化合物について定義したものであり、R5はC1〜C6アルキル又はC1〜C6ハロアルキルである)は、式I.1の化合物(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものであり、Halはハロゲン、好ましくはフッ素、塩素、又は臭素である)をアルコールR5OH(ここで、R5はC1〜C6アルキル又はC1〜C6ハロアルキルである)と塩基、又はナトリウムアルコキシドNaOR5(ここで、R5はC1〜C6アルキル又はC1〜C6ハロアルキルである)と反応させることにより得られる。
【化2】

【0025】
式I.3の化合物(ここで、R1、R2、R3、及びR6は式Iの化合物について定義したものであり、R6はC1〜C6アルキルである)は、式I.1の化合物(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものであり、Halはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素である)をグリニャール試薬R6MgHal(ここで、R6はC1〜C6アルキルであり、Halはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素である)を用いて、遷移金属触媒の存在下で変換することにより得られる。
【化3】

【0026】
式I.4の化合物(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)は、式I.1の化合物(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものであり、Halはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素である)を無機フッ素(例えばフッ化カリウム)を用いて変換することにより得られる。
【化4】

【0027】
式I.1の化合物(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものであり、Halはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素である)は、式I.5の化合物(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)を、オキシハロゲン化リン(例えばオキシ塩化リン又はオキシ臭化リン)又はハロゲン化チオニル(例えば塩化チオニル又は臭化チオニル)と反応させることにより得られる。
【化5】

【0028】
式I.5の化合物(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)は、式IIの化合物(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)を、ヒドラジン誘導体(例えばヒドラジン水和物)と反応させることにより得られる。
【化6】

【0029】
式IIの化合物(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)は、式IIIの化合物(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)を酸素、空気、又は3−クロロ過安息香酸で酸化することにより得られる。
【化7】

【0030】
式IIIの化合物(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)は、式IVの化合物(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)を塩基(例えばピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチレンアミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)と反応させることにより得られる。
【化8】

【0031】
式IVの化合物(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)は、式Vの化合物(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものであり、Halはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素である)を、式VIの化合物(ここで、R3は式Iの化合物について定義したものである)及び塩基(例えばピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチレンアミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)と反応させることにより得られる。
【化9】

【0032】
驚くべきことに、式Iの新規化合物は、実用目的のために、真菌ならびに細菌及びウイルスにより引き起こされる疾患に対して植物を防御するための活性の非常に有利なスペクトルを有することがわかった。
【0033】
式Iの化合物は、農業及びその関連分野で、植物害虫を防除するための活性成分として、又はヒトに有害な可能性のある腐敗微生物又は生物を防除するための非生物材料上に使用することができる。この新規化合物は、低い施用率での優れた活性により、植物が充分許容できることにより、及び環境的に安全なことにより、区別される。これらは非常に有用な治療性、予防性、及び浸透性を有し、多くの栽培植物を防御するために使用される。式Iの化合物は、有用な植物の異なる作物の植物体又は植物の部分(果実、花、葉、幹茎、塊茎、根)に存在する害虫を阻止又は破壊し、一方、後に生長する植物の部分を例えば植物病原性微生物から防御するのに使用することができる。
【0034】
植物繁殖材料(例えば、種子、果実、塊茎、又は穀粒、又は植物の伐採物、例えばコメ)の処理のための、真菌感染に対する、ならびに土壌中に存在する植物病原性真菌に対する防御のための、粉衣剤として式Iの化合物を使用することができる。繁殖材料は、植える前に式Iの化合物を含む組成物で処理することができ、例えば種子は蒔く前に施肥される。本発明の活性成分はまた、種子を液体調製物中に浸漬することにより、又はこれらを固体調製物でコーティングすることにより、穀粒(コーティング)に適用することもできる。組成物はまた、繁殖材料が蒔かれる時は蒔く場所に施用することができ、例えば種まき中に播き溝に蒔かれる。本発明はまた、植物繁殖材料を処理するためのかかる方法と、こうして処理される植物繁殖材料とに関する。
【0035】
さらに、本発明の化合物は、関連分野の真菌を防除するために使用することができ、例えば食品保存、衛生管理における技工物(木及び木関連技工物を含む)の防御に使用することができる。
【0036】
さらに本発明は、真菌による攻撃から非生物材料、例えば木材、壁材、及びペンキを防御するのに使用されるであろう。
【0037】
式Iの化合物は、例えば以下のクラスの植物病原性真菌に対して有効である:不完全菌類(Fungi imperfecti)[例えば、ボトリティス(Botrytis)属の種、アルテルナリア(Alternaria)属の種]、及び担子菌類(Basidiomycetes)[例えば、リゾクトニア(Rhizoctonia)属の種、ヘミレイア(Hemileia)属の種、プチニア(Puccinia)属の種、ファコプソラ(Phakopsora)属の種、黒穂菌(Ustilago)属の種、チレチア(Tiletia)属の種]。さらにこれらはまた、子嚢菌類(Ascomycetes)[例えば、ベンチュリア(Venturia)属の種、ブルメリア(Blumeria)属の種、ポドスファエラ(Podosphaera)属の種、モニリニア(Monilinia)属の種、フザリウム(Fusarium)属の種、ウンシヌラ(Uncinula)属の種、ミコスファエレラ(Mycosphaerella)属の種、ピレノフォラ(Pyrenophora)属の種、リンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)、マグナポルテ(Magnaporthe)属の種、コレトトリクム(Colletotrichum)属の種、ガエウマノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)、タペシア(Tapesia)属の種、ラムラリア(Ramularia)属の種、ミクロドキウム・ニバレ(Microdochium nivale)、スクレロチニア(Sclerotinia)属の種]、及び卵菌類(Oomycetes)[例えば、フィトフトラ(Phytophthora)属の種、フィチウム(Phythium)属の種、プラスモパラ(Plasmopara)属の種、シュードペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis)]に対して有効であることが観察されている。顕著な活性が、うどんこ病菌[例えば、ウンシヌラ・ネカトール(Uncinula necator)]、さび菌[例えば、プチニア(Puccinia)属の種]、及び斑点病菌[例えば、セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)]に対して観察されている。さらに式Iの新規化合物は、植物病原性細菌及びウイルスに対して有効である[例えば、キサントモナス(Xanthomonas)属の種、シュードモナス(Pseudomonas)属の種、エルウイニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)、ならびにタバコモザイクウイルスに対して]。
【0038】
本発明の範囲内において、防御すべき標的作物は典型的には以下の植物種を含む:穀類(小麦、大麦、ライ麦、オート麦、イネ、トウモロコシ、モロコシ、及び関連する種);ビート(テンサイ、飼料用ビート);梨状果、石果、及び柔らかい果物(リンゴ、セイヨウナシ、プラム、モモ、アーモンド、サクランボ、イチゴ、ラスベリー、及びブラックベリー);マメ科植物(豆、レンズ豆、インゲン豆、大豆);油料植物(菜種、マスタード、ケシ、オリーブ、ヒマワリ、ココナツ、ヒマシ油植物、ココア豆、落花生);キュウリ植物(カボチャ、キュウリ、メロン);繊維植物(綿花、亜麻、麻、ジュート);柑橘類(オレンジ、レモン、グレープフルーツ、マンダリン);野菜(ほうれん草、レタス、アスパラガス、キャベツ、人参、玉ねぎ、トマト、ジャガイモ、パプリカ);クスノキ科(lauraceae)(アボカド、楠、樟脳)、又はタバコ、ナッツ、コーヒー、ナス、サトウキビ、お茶、コショウ、ブドウ、ホップ、バナナのような植物、及び芝生及び観賞植物。
【0039】
本発明の標的作物は、従来の、ならびに遺伝的に増強したか又は遺伝子操作した変種、例えば昆虫抵抗性(例えば、Bt及びVIP変種)、ならびに疾患抵抗性、除草剤抵抗性(例えば、商品名RoundupReady(登録商標)及びLibertyLink(登録商標)で市販されているグリホセート抵抗性及びグルホシネート抵抗性トウモロコシ変種)、及び線虫抵抗性変種を含む。例えば適当な遺伝的に増強したか又は遺伝子操作した変種には、Stoneville 5599BR綿花とStoneville 4892綿花変種がある。
【0040】
式Iの化合物は、変更されずに、又は、好ましくは製剤の分野で通常使用される補助剤とともに使用される。このためにこれらは、乳剤、コーティング可能なペースト、直接噴霧可能なもしくは希釈可能な溶液もしくは懸濁物、希釈エマルジョン、水和剤、溶剤、粉剤、粒剤、及び例えばポリマー物質中の封入剤に、公知の方法により便利に調製される。組成物の種類と同様に、施用法(例えば、噴霧、霧化、粉化、散布、拡散、コーティング、又は流し込み)は、目的及びその時の状況に従って選択される。組成物はまた、補助剤、例えば安定剤、消泡剤、粘度調節剤、結合剤、又は粘着剤、ならびに生長促進剤、微量要素供与剤、又は特殊な効果を得るための他の製剤をさらに含有してもよい。
【0041】
適切な担体及び補助剤は固体でも液体でもよく、製剤技術において有用な物質、例えば天然の又は再生されたミネラル物質、溶媒、分散剤、湿潤剤、粘着剤、結合剤、又は生長促進剤である。かかる担体は例えばWO97/33890号に記載されている。
【0042】
式Iの化合物は通常組成物の形で使用され、処理すべき作物場所もしくはプラントに、追加の化合物と同時にもしくは連続して施用することができる。これらの追加の化合物は、例えば生長促進剤もしくは微量要素供与剤、又は植物の生長に影響を与える他の調製物でもよい。これらはまた、選択的除草剤、ならびに殺虫剤、殺真菌剤、殺細菌剤、殺線虫剤、軟体動物駆除剤、又はこれらの調製物のいくつかのの混合物でもよく、所望であれば追加の担体、界面活性剤、又は製剤分野で通常使用されている施用促進補助剤と一緒でもよい。
【0043】
式Iの化合物は通常、活性成分として遊離型もしくは農薬として使用可能な塩の形の少なくとも1つの式Iの化合物を、及び少なくとも1つの上記補助剤を含む、植物病原性微生物に対して防除又は防御するための殺真菌組成物の形で使用される。
【0044】
式Iの化合物は他の殺真菌と混合して、ある場合には予想外の相乗作用を得ることができる。特に好ましい混合成分は以下の通りである:
【0045】
アゾール類、例えばアザコナゾール、BAY14120、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアフォル、ヘキサコナゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペフラゾエート、ペンコナゾール、プロチオコナゾール、ピリフェノックス、プロクロラズ、プロピオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリフルミゾール、トリチコナゾール;
【0046】
ピリミジニルカルビノール類、例えばアンシミドール、フェナリモール、ヌアリモール;
2−アミノ−ピリミジン類、例えばブピリメート、ヂメチリモール、エチリモール;
モルホリン類、例えばドデモルホ、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、スピロキサミン、トリデモルフ;
アニリノピリミジン類、例えばシプロジニル、メパニピリム、ピリメタニル;
ピロール類、例えばフェンピクロニル、フルジオキソニル;
フェニルアミド類、例えばバナラキシル、フララキシル、メタラキシル、R−メタラキシル、オフレース、オキサジキシル;
【0047】
ベンゾイミダゾール類、例えばベノミル、カルベンダジム、デバカルブ、フベリダゾール、チアベンダゾール;
ジカルボキシミド類、例えばクロゾリネート、ジクロゾリン、イプロジオン、ミクロゾリン、プロシミドン、ビンクロゾリン;
カルボキサミド類、例えばボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルトラニル、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルザミド;
グアニジン類、例えばグアザチン、ドジン、イミノクタジン;
ストロビルリン類、例えばアゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、トリフロキシストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン;
【0048】
ジチオカルバミン酸塩類、例えばフェルバム、マンコゼブ、マネブ、メチラム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム;
N−ハロメチルチオテトラヒドロフタルイミド類、例えばカプタフォル、カプタン、ジクロフルアニド、フルオロミデス、フォルペット、トリフルアニド;
銅化合物、例えばボルドー液、水酸化銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、酸化第一銅、マンカッパー(mancopper)、オキシン銅;
【0049】
ニトロフェノール誘導体、例えばジノカップ、ニトロタール−イソプロピル;
有機リン誘導体、例えばエジフェンホス、イプロベンホス、イソプロチオラン、ホスジフェン、ピラゾホス、トルクロホス−メチル;
【0050】
公知であり、WO05/121104号及びWO06/001175号に記載の方法により調製されるピリダジン誘導体、例えば3−クロロ−5−(4−クロロ−フェニル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン(式P.1)及び3−クロロ−6−メチル−5−トリル−4−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリダジン(式P.2);
【化10】

【0051】
公知であり、WO98/46607号に記載の方法により調製されるトリアゾロピリミジン誘導体、例えば5−クロロ−7−(4−メチル−ピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン(式T.1);
【化11】

【0052】
公知であり、WO04/035589号及びWO06/37632号に記載の方法により調製されるカルボキサミド誘導体、例えば3−ジフルオロメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(9−イソプロピプ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノ−ナフタレン−5−イル)−アミド(式U.1);
【化12】

【0053】
公知であり、WO2004/016088号に記載の方法により調製されるベンズアミド誘導体、例えばN−{−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−2−トリフルオロメチルベンズアミド(これはフルオピラムという名前でも知られている(式V.1);
【化13】

及び
種々の他の物質、例えばアシベンゾラー−S−メチル、アニラジン、ベンチアバリカルブ、ブラスチシジン−S、シノメチオネート、クロロネブ、クロロタロニル、シフルフェナミド、シモキサニル、ジクロン、ジクロシメト、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジメトモルフ、フルモルフ、ジチアノン、エタボキサム、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェノキサニル、フェンチン、フェリムゾン、フルアジナム、フルオピコリド、フルスファミド、フェンヘキサミド、フォセチル−アルミニウム、ヒメキサゾール、イプロバリカルブ、シアゾファミド、カスガマイシン、マンジプロパミド、メタスルホカルブ、メトラフェノン、ニコビフェン、ペンシクロン、フタリド、ポリオキシン類、プロベナゾール、プロパモカルブ、プロキナジド、ピロキロン、キノキシフェン、キントゼン、硫黄、タジニル、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリホリン、バリダマイシン、ゾキサミド、及びグリホセート。
【0054】
本発明の他の態様は、植物病原性微生物、好ましくは真菌による植物、収穫作物、又は非生物材料への侵入を防除又は防止するための、式Iの化合物、少なくとも1つの式Iの化合物を含む組成物、又は少なくとも1つの式Iの化合物を例えば上記したような他の殺真菌剤とともに含む殺真菌剤混合物、の使用に関する。
【0055】
本発明のさらなる態様は、ヒトに有害な可能性のある植物病原性又は腐敗微生物又は生物、特に真菌、による作物又は非生物材料への侵入を防除又は防止する方法であって、式Iの化合物を活性成分として植物、植物の部分、もしくはその存在場所に、又は非生物材料の任意の部分に施用することを含んでなる方法に関する。防除又は防止することは、ヒトに有害な可能性のある植物病原性又は腐敗微生物又は生物、特に真菌、による作物又は非生物材料への侵入を、改善が証明されるレベルまで低下させることを意味する。
【0056】
式Iの化合物、又は少なくとも1つの該化合物を含む農薬組成物の施用を含んでなる、植物病原性微生物、特に真菌による作物への侵入を防除又は防止する好適な方法は、葉への施用である。施用頻度と施用率は、対応する病原体による侵入のリスクに依存する。しかし式Iの化合物はまた、植物の存在場所を液体調製物で濡らすことにより、又は固体型の化合物を土壌に、例えば顆粒型で施用(土壌施用)することにより、土壌を介して根から植物に浸透することができる(浸透作用)。水稲作物では、かかる粒剤は水田に施用することができる。式Iの化合物はまた、種子又は塊茎を殺真菌剤の液体調製物に浸漬させるか、又は固体調製物でこれらを被覆することにより、種子に施用(コーティング)することもできる。
【0057】
調製物[すなわち、式Iの化合物を含有する組成物]及び所望であれば式Iの化合物を封入するための固体もしくは液体補助剤又はモノマーは、公知の方法により、典型的には化合物を増量剤、例えば溶媒、固体担体、及び任意に界面活性化合物(界面活性剤)とともに充分混合及び/又は粉砕することにより調製される。
【0058】
農薬調製物は、通常0.1〜99重量%、好ましくは0.1〜95重量%の式Iの化合物と、99.9〜1重量%、好ましくは99.8〜5重量%の固体もしくは液体補助剤と、0〜25重量%、好ましくは0.1〜25重量%の界面活性剤とを含有する。
【0059】
有利な施用率は、1ヘクタール(ha)当たり通常5g〜2kgの活性成分(a.i.)、好ましくは10g〜1kg a.i./ha、最も好ましくは20g〜600g a.i./haである。種子粉衣剤として使用される時、便利な用量は、種子1kg当たり10mg〜1gの活性物質である。
【0060】
市販品を濃縮物として調製することが好ましいが、最終ユーザーは通常希釈調製物を使用するであろう。
【0061】
以下の非限定例は上記発明をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0062】
本例は、3−クロロ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン(化合物番号I.h.198)の調製を例示する
【0063】
a)2−ブロモ−1−チオフェン−2−イル−プロパン−1−オンの調製
臭素(3.7ml)を、1−(2−チエニル)−1−プロパン(10g)、0.1mlの臭化水素酸(48%溶液)、及び80mlの酢酸の混合液に0℃で窒素雰囲気下で加える。次に混合液を室温で2.5時間攪拌する。減圧下で反応混合物から溶媒を留去する。2−ブロモ−1−チオフェン−2−イル−プロパン−1−オンを褐色の油状物として得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用する。
【0064】
b)5−ヒドロキシ−5−メチル−4−チオフェン−2−イル−3−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−5H−フラン−2−オン(化合物番号II.h.040)の調製
2−ブロモ−1−チオフェン−2−イル−プロパン−1−オン(2.1g)、2,4,6−トリフルオロフェニル酢酸(2.0g)、1.5mlのトリエチルアミン、及び30mlのアセトニトリルの混合液を室温で16時間攪拌する。次に30mlのアセトニトリルと3.4mlの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−オン(DBU)を冷却下で加え、さらに2.5時間攪拌を続ける。次に反応混合物に空気を3時間吹き込む。塩化アンモニウム水溶液を加え、混合液を酢酸エチルで抽出する。一緒にした有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去する。残りをシリカゲルのクロマトグラフィーによりヘプタン/酢酸エチル2:1混合液を溶離液として使用して精製して、5−ヒドロキシ−5−メチル−4−チオフェン−2−イル−3−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−5H−フラン−2−オン(化合物番号II.h.040)を無色の結晶として得る、融点134〜136℃。
【0065】
c)6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン(化合物番号I.h.196)の調製
5−ヒドロキシ−5−メチル−4−チオフェン−2−イル−3−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−5H−フラン−2−オン(1.9g)、0.3mlのヒドラジン水和物、及び30mlの1−ブタノールの混合物を120℃で16時間加熱する。次に混合物を0℃まで冷却する。こうして得られた固体をろ過し、ヘキサンで洗浄して6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン(化合物番号I.h.196)を無色の結晶として得る、融点249〜251℃。
【0066】
d)6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン(化合物番号I.h.196、1.2g)と6.5mlのオキシ塩化リンの混合物を混合し、110℃で1時間加熱する。冷却後、反応混合物から減圧下で溶媒を留去する。残りを酢酸エチルと水に溶解し、相を分離する。有機層を水と食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去する。残渣をヘキサンで再結晶化して3−クロロ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン(化合物番号I.h.198)をベージュ色の結晶として得る、融点90〜92℃。
【実施例2】
【0067】
本例は、3−メトキシ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン(化合物番号I.h.199)と4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−メトキシ−6−メチル−5−チオフェン−2−イルピリダジン(化合物番号I.h.254)の調製を例示する
【0068】
3−クロロ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン(化合物番号I.h.198、0.7g)、ナトリウムメトキシド(30%メタノール溶液、0.4g)、及び10mgのメタノールを60℃で16時間加熱する。次に反応混合物を冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。一緒にした有機層を水と食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去する。残りをシリカゲルのクロマトグラフィーによりヘプタン/酢酸エチル9:1混合液を溶離液として使用して精製して、3−メトキシ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン(化合物番号I.h.199)(融点124〜125℃)と4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−3−メトキシ−6−メチル−5−チオフェン−2−イルピリダジン(化合物番号I.h.254)(融点130〜133℃)を得る。
【実施例3】
【0069】
本例は、3−フルオロ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン(化合物番号I.h.197)の調製を例示する
【0070】
3−クロロ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン(化合物番号I.h.198、0.25g)、フッ化カリウム(0.1g)、及び5mlのジメチルスルホキシドを混合し、140℃で48時間加熱する。次に反応混合物を冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。一緒にした有機層を水と食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去する。残りをシリカゲルのクロマトグラフィーによりヘキサン/酢酸エチル9:1混合液を溶離液として使用して精製して、3−フルオロ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン(化合物番号I.h.197)をベージュ色の結晶(ジエチルエーテル/ヘキサンから)として得る、融点71〜74℃。
【実施例4】
【0071】
本例は、3,6−ジメチル−4−チオフェン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン(化合物番号I.h.200)の調製を例示する
【0072】
1.2mlのジエチルエーテル中の臭化メチルマグネシウムの3M溶液を5mlのテトラヒドロフランと混合し、20mlのテトラヒドロフランと1.5mlの1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)中の3−クロロ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン(化合物番号I.h.198、0.26g)と鉄(III)アセチルアセトナート(0.03g)の溶液に−70℃でゆっくり加える。−70℃で0.5時間後、混合物を室温でさらに2.5時間攪拌する。希釈HClで反応を停止させ、水相をtert−ブチルメチルエーテルで抽出する。一緒にした有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去する。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーによりヘキサン/酢酸エチル3:1混合液を溶離液として使用して精製して、3,6−ジメチル−4−チオフェン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン(化合物番号I.h.200)をベージュ色の結晶として得る、融点100〜102℃。
【0073】
以下の表1と2は、本発明の式Iと式IIの個々の化合物の例を示す。
表1.本発明の式Iの個々の化合物
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
【表5】

【0078】
【表6】

【0079】
【表7】

【0080】
【表8】

【0081】
【表9】

【0082】
【表10】

【0083】
【表11】

【0084】
【表12】

【0085】
【表13】

【0086】
【表14】

【0087】
a)式(I.a)の392化合物:
【化14】

【0088】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
b)式(I.b)の392化合物:
【化15】

【0089】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
c)式(I.c)の392化合物:
【化16】

【0090】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
d)式(I.d)の392化合物:
【化17】

【0091】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
e)式(I.e)の392化合物:
【化18】

【0092】
ここで、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
f)式(I.f)の392化合物:
【化19】

【0093】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
g)式(I.g)の392化合物:
【化20】

【0094】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
h)式(I.h)の392化合物:
【化21】

【0095】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
i)式(I.i)の392化合物:
【化22】

【0096】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
j)式(I.j)の392化合物:
【化23】

【0097】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
k)式(I.k)の392化合物:
【化24】

【0098】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
l)式(I.l)の392化合物:
【化25】

【0099】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
m)式(I.m)の392化合物:
【化26】

【0100】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
n)式(I.n)の392化合物:
【化27】

【0101】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
o)式(I.o)の392化合物:
【化28】

【0102】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
p)式(I.p)の392化合物:
【化29】

【0103】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
q)式(I.q)の392化合物:
【化30】

【0104】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
r)式(I.r)の392化合物:
【化31】

【0105】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
s)式(I.s)の392化合物:
【化32】

【0106】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
t)式(I.t)の392化合物:
【化33】

【0107】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
u)式(I.u)の392化合物:
【化34】

【0108】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
v)式(I.v)の392化合物:
【化35】

【0109】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
w)式(I.w)の392化合物:
【化36】

【0110】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
x)式(I.x)の392化合物:
【化37】

【0111】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
y)式(I.y)の392化合物:
【化38】

【0112】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
z)式(I.z)の392化合物:
【化39】

【0113】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
aa)式(I.aa)の392化合物:
【化40】

【0114】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
ab)式(I.ab)の392化合物:
【化41】

【0115】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
ac)式(I.ac)の392化合物:
【化42】

【0116】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
ad)式(I.ad)の392化合物:
【化43】

【0117】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
ae)式(I.ae)の392化合物:
【化44】

【0118】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
af)式(I.af)の392化合物:
【化45】

【0119】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
ag)式(I.ag)の392化合物:
【化46】

【0120】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
ah)式(I.ah)の392化合物:
【化47】

【0121】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
ai)式(I.ai)の392化合物:
【化48】

【0122】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
aj)式(I.aj)の392化合物:
【化49】

【0123】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
ak)式(I.ak)の392化合物:
【化50】

【0124】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
al)式(I.al)の392化合物:
【化51】

(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
am)式(I.am)の392化合物:
【化52】

【0125】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
an)式(I.an)の392化合物:
【化53】

【0126】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
ao)式(I.ao)の392化合物:
【化54】

【0127】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
ap)式(I.ap)の392化合物:
【化55】

【0128】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
aq)式(I.aq)の392化合物:
【化56】

【0129】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
ar)式(I.ar)の392化合物:
【化57】

【0130】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
as)式(I.as)の392化合物:
【化58】

【0131】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
at)式(I.at)の392化合物:
【化59】

【0132】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
au)式(I.au)の392化合物:
【化60】

【0133】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
av)式(I.av)の392化合物:
【化61】

【0134】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
aw)式(I.aw)の392化合物:
【化62】

【0135】
(式中、R1、R3、及びR4は表1で定義したものである)
【0136】
表2.本発明の式IIの個々の化合物
【表15】

【0137】
【表16】

【0138】
【表17】

【0139】
【表18】

【0140】
【表19】

【0141】
a)式(II.a)の112化合物:
【化63】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0142】
b)式(II.b)の112化合物:
【化64】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0143】
c)式(II.c)の112化合物:
【化65】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0144】
d)式(II.d)の112化合物:
【化66】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0145】
e)式(II.e)の112化合物:
【化67】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0146】
f)式(II.f)の112化合物:
【化68】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0147】
g)式(II.g)の112化合物:
【化69】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0148】
h)式(II.h)の112化合物:
【化70】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0149】
i)式(II.i)の112化合物:
【化71】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0150】
j)式(II.j)の112化合物:
【化72】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0151】
k)式(II.k)の112化合物:
【化73】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0152】
l)式(II.l)の112化合物:
【化74】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0153】
m)式(II.m)の112化合物:
【化75】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0154】
n)式(II.n)の112化合物:
【化76】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0155】
o)式(II.o)の112化合物:
【化77】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0156】
p)式(II.p)の112化合物:
【化78】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0157】
q)式(II.q)の112化合物:
【化79】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0158】
r)式(II.r)の112化合物:
【化80】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0159】
s)式(II.s)の112化合物:
【化81】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0160】
t)式(II.t)の112化合物:
【化82】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0161】
u)式(II.u)の112化合物:
【化83】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0162】
v)式(II.v)の112化合物:
【化84】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0163】
w)式(II.w)の112化合物:
【化85】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0164】
x)式(II.x)の112化合物:
【化86】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0165】
y)式(II.y)の112化合物:
【化87】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
z)式(II.z)の112化合物:
【化88】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0166】
aa)式(II.aa)の112化合物:
【化89】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0167】
ab)式(II.ab)の112化合物:
【化90】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0168】
ac)式(II.ac)の112化合物:
【化91】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0169】
ad)式(II.ad)の112化合物:
【化92】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0170】
ae)式(II.ae)の112化合物:
【化93】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0171】
af)式(II.af)の112化合物:
【化94】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0172】
ag)式(II.ag)の112化合物:
【化95】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0173】
ah)式(II.ah)の112化合物:
【化96】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0174】
ai)式(II.ai)の112化合物:
【化97】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0175】
aj)式(II.aj)の112化合物:
【化98】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0176】
ak)式(II.ak)の112化合物:
【化99】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0177】
al)式(II.al)の112化合物:
【化100】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0178】
am)式(II.am)の112化合物:
【化101】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0179】
an)式(II.an)の112化合物:
【化102】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0180】
ao)式(II.ao)の112化合物:
【化103】

(R1及びR3は表2で定義したものである)
【0181】
ap)式(II.ap)の112化合物:
【化104】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0182】
aq)式(II.aq)の112化合物:
【化105】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0183】
ar)式(II.ar)の112化合物:
【化106】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0184】
as)式(II.as)の112化合物:
【化107】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0185】
at)式(II.at)の112化合物:
【化108】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0186】
au)式(II.au)の112化合物:
【化109】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0187】
av)式(II.av)の112化合物:
【化110】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0188】
aw)式(II.aw)の112化合物:
【化111】

(式中、R1及びR3は表2で定義したものである)
【0189】
この説明を通して、特に他の単位で明記しない限り、温度は摂氏度、そして「%」は重量パーセントで示す。
【0190】
表3は、表1と表2の化合物について選択された融点(特に明記しない限り、すべての場合のすべての解析データを示してはいない)を示す。
表3.表1及び2の化合物の融点
【表20】

【0191】
【表21】

【0192】
本発明の化合物は上記反応スキームに従って調製することができ、ここで特に明記しない場合は、各変数の定義は式(I)の化合物について上記したものと同じである。
【0193】
生物学的例
アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)/トマト/予防(トマト上のアルテルナリア(Alternaria)に対する作用)
4週齢のトマト植物栽培品種ローター・グノム(Roter Gnom)を、調製した試験化合物により噴霧チャンバー中で処理する。施用の2日後、試験植物に胞子懸濁物を噴霧することによりトマト植物に接種する。温室で22℃/18℃と95%r.h.で4日間インキュベーション後、疾患の発生率を評価する。
本発明の式Iの化合物、特に200ppmの化合物I.a.198、I.h.197、I.h.198、I.h.199、I.h.200、I.j.197、I.j.198、I.j.199、I.j.200、I.k.197、I.k.198、I.k.199、I.k.200、I.l.197、I.l.198、I.l.199、I.l.200、I.ae.197、I.ae.198、I.ae.199、及びI.ae.200は、この試験で真菌の侵入を少なくとも80%阻害し、一方、同じ条件下で未処理対照植物は植物病原性真菌により80%以上感染される。
【0194】
ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)/トマト/予防(トマト上のボトリティス(Botrytis)に対する作用)
4週齢のトマト植物栽培品種ローター・グノム(Roter Gnom)を、調製した試験化合物により噴霧チャンバー中で処理する。施用の2日後、試験植物に胞子懸濁物を噴霧することによりトマト植物に接種する。温室で20℃と95%r.h.で3日間インキュベーション後、疾患の発生率を評価する。
【0195】
本発明の式Iの化合物、特に200ppmの化合物I.a.197、I.a.198、I.a.199、I.a.200、I.h.197、I.h.198、I.h.199、I.h.200、I.j.197、I.j.198、I.j.199、I.j.200、I.k.197、I.k.198、I.l.197、I.l.198、I.l.199、I.l.200、I.ae.197、I.ae.198、I.ae.199、及びI.ae.200は、この試験で真菌の侵入を少なくとも80%阻害し、一方、同じ条件下で未処理対照植物は植物病原性真菌により80%以上感染される。
【0196】
プチニア・レコンジタ(Puccinia recondita)/小麦/予防(小麦上のプチニア(Puccinia)に対する作用)
1週齢の小麦植物栽培品種アリーナ(Arina)を、調製した試験化合物により噴霧チャンバー中で処理する。施用の1日後、試験植物に胞子懸濁物(1×10の夏胞子/ml)を噴霧することにより小麦植物に接種する。温室で20℃と95%r.h.で1日インキュベーション後、植物を20℃/18℃(昼/夜)と60%r.h.で温室中で維持する。接種の11日後、疾患の発生率を評価する。
【0197】
本発明の式Iの化合物、特に200ppmの化合物I.a.197、I.a.198、I.a.200、I.h.197、I.h.198、I.h.199、I.h.200、I.j.197、I.j.198、I.j.199、I.j.200、I.k.197、I.k.198、I.k.199、I.k.200、I.l.197、I.l.198、I.l.199、I.l.200、I.ae.197、I.ae.198、I.ae.199、及びI.ae.200は、この試験で真菌の侵入を少なくとも80%阻害し、一方、同じ条件下で未処理対照植物は植物病原性真菌により80%以上感染される。
【0198】
マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)(ピリキュラリア・オリゼ(Pyricularia oryzae)/イネ/予防(イモチ病に対する作用)
3週齢のイネ植物栽培品種コシヒカリ(Koshihikari)を、調製した試験化合物により噴霧チャンバー中で処理する。施用の2日後、試験植物に胞子懸濁物(1×105の分生子/ml)を噴霧することによりイネ植物に接種する。温室で25℃と95%r.h.で6日間インキュベーション後、疾患の発生率を評価する。
【0199】
本発明の式Iの化合物、特に200ppmの化合物、I.a.198、I.a.199、I.h.197、I.h.198、I.h.199、I.h.200、I.j.197、I.j.198、I.j.199、I.j.200、I.k.197、I.k.198、I.k.200、I.l.197、I.l.198、I.l.199、I.l.200、I.ae.198、I.ae.199、及びI.ae.200は、この試験で真菌の侵入を少なくとも80%阻害し、一方、同じ条件下で未処理対照植物は植物病原性真菌により80%以上感染される。
【0200】
ピレノフォラ・テレス(Pyrenophora teres)(ヘルミントスポリウム・テレス(Helminthosporium teres)/大麦/予防(オオムギ網斑病に対する作用)
1週齢の大麦植物栽培品種レジーナ(Regina)を、調製した試験化合物により噴霧チャンバー中で処理する。施用の2日後、試験植物に胞子懸濁物(2.6×104の分生子/ml)を噴霧することにより大麦植物に接種する。温室で20℃と95%r.h.で4日間インキュベーション後、疾患の発生率を評価する。
【0201】
本発明の式Iの化合物、特に200ppmの化合物、I.a.198、I.a.199、I.a.200、I.h.197、I.h.198、I.h.199、I.h.200、I.j.197、I.j.198、I.j.199、I.j.200、I.k.197、I.k.198、I.k.199、I.k.200、I.l.198、I.l.199、I.l.200、I.ae.197、I.ae.198、及びI.ae.200は、この試験で真菌の侵入を少なくとも80%阻害し、一方、同じ条件下で未処理対照植物は植物病原性真菌により80%以上感染される。
【0202】
セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)/小麦/予防(小麦のセプトリア(Septoria)斑点病に対する作用)
2週齢の小麦植物栽培品種リバンド(Riband)を、調製した試験化合物により噴霧チャンバー中で処理する。施用の1日後、試験植物に胞子懸濁物(106の分生子/ml)を噴霧することにより小麦植物に接種する。温室で22℃/21℃と95%r.h.で1日インキュベーション後、植物を22℃/21℃と70%r.h.で温室で維持する。接種16〜18日後、疾患の発生率を評価する。
【0203】
本発明の式Iの化合物、特に200ppmの化合物、I.a.197、I.a.198、I.a.199、I.a.200、I.h.197、I.h.198、I.h.199、I.h.200、I.j.197、I.j.198、I.j.199、I.j.200、I.k.197、I.k.198、I.k.199、I.k.200、I.l.197、I.l.198、I.l.199、I.l.200、I.ae.197、I.ae.198、I.ae.199、及びI.ae.200は、この試験で真菌の侵入を少なくとも80%阻害し、一方、同じ条件下で未処理対照植物は植物病原性真菌により80%以上感染される。
【0204】
ウンシヌラ・ネカトール(Uncinula necator)/ブドウ/予防(ブドウのうどんこ病菌に対する作用)
5週齢のブドウ苗木栽培品種グテデル(Gutedel)を、調製した試験化合物により噴霧チャンバー中で処理する。施用の1日後、試験植物にブドウうどんこ病菌を感染させた植物を振りかけることによりブドウ植物に接種する。温室で24℃/22℃と70%r.h.で14/10h(明/暗)の光条件下で7日間インキュベーション後、疾患の発生率を評価する。
【0205】
本発明の式Iの化合物、特に200ppmの化合物、I.a.197、I.a.198、I.a.199、I.a.200、I.h.198、I.h.199、I.h.200、I.j.197、I.j.198、I.j.199、I.k.197、I.k.198、I.k.199、I.k.200、I.l.197、I.l.198、I.l.199、I.l.200、I.ae.198、I.ae.199、及びI.ae.200は、この試験で真菌の侵入を少なくとも80%阻害し、一方、同じ条件下で未処理対照植物は植物病原性真菌に80%以上感染する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

(ここで、
1は、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、又はC3〜C6シクロアルキルであり;
2は、任意に置換されたヘテロアリールであり;
3は、任意に置換されたアリールであり;そして
4は、水素、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、ヒドロキシ、又はシアノである)、
又は農薬として使用できるその塩。
【請求項2】
1は、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、又はC3〜C6シクロアルキルである、請求項1の化合物。
【請求項3】
2が、任意に置換されたフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、又はナフチリジニルである、請求項1又は2の化合物。
【請求項4】
3が、任意に置換されたフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、又はビフェニルである、請求項1〜3のいずれか1項の化合物。
【請求項5】
4が、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、ヒドロキシ、又はシアノである、請求項1〜4のいずれか1項の化合物。
【請求項6】
1が、C1〜C6アルキル又はC1〜C6ハロアルキルであり;
2が、任意に置換されたフリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、キノリル、又はキノキサリニルであり;
3が、任意に置換されたフェニル、ナフチル、又はビフェニルであり;そして
4が、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6ハロアルコキシ、又はヒドロキシである、請求項1〜5のいずれか1項の化合物。
【請求項7】
1が、C1〜C6アルキルであり;
2が、任意に置換されたフリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、又はベンゾフラニルであり;
3が、任意に置換されたフェニル又はナフチルであり;そして
4が、ハロゲン、C1〜C3アルキル、C1〜C6アルコキシ、又はヒドロキシである、請求項1〜6のいずれか1項の化合物。
【請求項8】
1が、C1〜C3アルキルであり;
2が、任意に置換されたフリル、チエニル、ピリジル、ピリダジニル、又はピリミジニルであり;
3が、任意に置換されたフェニルであり;そして
4が、フルオロ、クロロ、C1〜C3アルキル、C1〜C3アルコキシ、又はヒドロキシである、請求項1〜7のいずれか1項の化合物。
【請求項9】
1が、メチル又はエチルであり;
2が、任意に置換されたフリル、チエニル、ピリジル、又はピリミジニルであり;
3が、2,4,6−トリフルオロフェニル、2−クロロ−6−フルオロフェニル、又は2,6−ジクロロ−4−メトキシフェニルであり;そして
4が、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ、又はヒドロキシである、請求項1〜8のいずれか1項の化合物。
【請求項10】
以下から選択される化合物:
3−クロロ−5−フラン−2−イル−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−6−メチル−5−(5−ブロモフラン−2−イル)−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−6−メチル−5−ピリジン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−5−(6−クロロピリジン−2−イル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−6−メチル−5−ピリジン−3−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−5−(6−クロロピリジン−3−イル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−6−メチル−5−ピリジン−4−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−5−(2,6−ジクロロピリジン−4−イル)−6−メチル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−6−メチル−5−ピリミジン−4−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−クロロ−6−メチル−5−(2−メチルピリミジン−4−イル)−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−メトキシ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、
3−メトキシ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−ピリダジン、
3−フルオロ−6−メチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン、及び
3,6−ジメチル−5−チオフェン−2−イル−4−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリダジン。
【請求項11】
式I.1の化合物
【化2】

(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものであり、Halはハロゲンである)の製造法であって、式I.5の化合物
【化3】

(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)を、オキシハロゲン化リン又はハロゲン化チオニルと反応させることを含んでなる方法。
【請求項12】
式I.5の化合物
【化4】

(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)の製造法であって、式IIの化合物
【化5】

(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)を、ヒドラジン誘導体と反応させることを含んでなる方法。
【請求項13】
式IIの化合物
【化6】

(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)の製造法であって、式IIIの化合物
【化7】

(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)を、酸素、空気、又は3−クロロ過安息香酸で酸化することを含んでなる方法。
【請求項14】
式IIIの化合物
【化8】

(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)の製造法であって、式IVの化合物
【化9】

(ここで、R1、R2、及びR3は式Iの化合物について定義したものである)を、塩基と反応させることを含んでなる方法。
【請求項15】
活性成分としての請求項1〜10のいずれか1項で定義された少なくとも1つの化合物の遊離型もしくは農薬として使用可能な塩の型と、少なくとも1つの補助剤とを含む、植物病原性微生物に対して防除又は防御するための殺真菌組成物。
【請求項16】
好ましくはアゾール類、ピリミジニルカルビノール類、2−アミノ−ピリミジン類、モルホリン類、アニリノピリミジン類、ピロール類、フェニルアミド類、ベンゾイミダゾール類、ジカルボキシミド類、カルボキサミド類、ストロビルリン類、ジチオカルバミン酸塩類、N−ハロメチルチオテトラヒドロフタルイミド類、銅化合物、ニトロフェノール類、有機リン誘導体、ピリダジン類、トリアゾロピリミジン類、カルボキサミド類、又はベンズアミド類よりなる群から選択される、少なくとも1つの追加の殺真菌活性化合物を含む、請求項15の組成物。
【請求項17】
植物病原性微生物による植物、収穫作物、又は非生物材料への侵入を防除又は防止するための、請求項1〜10のいずれか1項に定義された化合物の使用。
【請求項18】
ヒトに有害な可能性のある植物病原性又は腐敗微生物もしくは生物による植物、収穫作物、又は非生物材料への侵入を防除又は防止する方法であって、請求項1〜10のいずれか1項に定義された化合物を活性成分として植物、植物の部分、もしくはその存在場所に、又は非生物材料の任意の部分に施用することを含んでなる上記方法。
【請求項19】
植物病原性微生物は真菌生物であることを特徴とする、請求項18の方法。

【公表番号】特表2009−543822(P2009−543822A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519852(P2009−519852)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006304
【国際公開番号】WO2008/009406
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】