説明

新規ペプチド

【課題】コラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生促進能を有する、安全な新規素材を提供すること。
【解決手段】Leu−Glu−Hisで表されるペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩であって、Leu−Glu−His−Ala、Leu−Asp−His−Ala、及びLeu−Glu−His−Ala−Pheで表されるペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩を除く、ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のアミノ酸配列を有する新規ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩に関する。さらに本発明は、これらの新規ペプチド等を含む組成物、これらの新規ペプチド等を利用する方法、これらの新規ペプチド等の使用、ならびにこれらの新規ペプチド等をコードするポリヌクレオチド等に関する。本発明の新規ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩は、細胞におけるコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生を促進させるために利用され得る。
【背景技術】
【0002】
従来より、動物の結合組織には、その主要成分として、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ラミニンなどが含まれていることが分かっている。なかでも、コラーゲンおよびヒアルロン酸は、後述の通り、結合組織において重要な役割を果たしている。
【0003】
即ち、コラーゲンは、動物の結合組織を構成する主要蛋白質であり、特にヒトの体の総蛋白質の30%近くをコラーゲンが占める。コラーゲンの主たる機能は、生体組織の骨格構造の形成にあるので、動物の組織形態の骨格構造を構成する主成分として皮膚、軟骨組織、角膜、心臓、肝臓等に広く分布する。コラーゲンは、各種細胞の接着、細胞の分化や増殖に対して特異的に作用し、細胞機能の調節因子としての役割も持っているため、コラーゲンの減少は、角膜潰瘍等の角膜障害、リューマチ、関節炎、変形性関節炎、骨関節炎等の関節障害、炎症性疾患等の様々な疾患を引き起こすことがある。
【0004】
皮膚真皮細胞外マトリックスでは、コラーゲン線維が網目状の束を形成することにより組織形態を維持している。コラーゲン線維は、成熟し増殖して架橋形成が進行すると太く直線的な線維束となり、若い皮膚での適度なハリを与えている。しかし、老化した皮膚では線維芽細胞の活性(例えば、コラーゲン産生活性等)が低下するのに伴い、真皮細胞外マトリックスのコラーゲン線維が著しく減少したり、異常な老化架橋が形成されるため硬直して、本来の弾力性に富むハリが失われてしまう。その結果、皮膚にはシワやタルミが形成される。光老化によるヘアレスマウスのコラーゲン線維束構造の変化が詳細に検討され(非特許文献1参照)、UVBを照射したヘアレスマウスには、シワが形成され、シワの形成と一致するようにコラーゲン線維束構造が崩壊し皮膚弾力性が低下していくことが示されている。また、コラーゲンは水分保持機能に優れていることも知られている。
【0005】
コラーゲンの減少による状態を改善するために、種々のコラーゲン合成促進物質が見出されている。例えば、レチノイン酸(例えば、非特許文献2参照)、グリシンおよびプロリンおよびアラニンからなる3種アミノ酸を含有する製剤(例えば、特許文献1参照)、カンゾウ、ソウハクヒ、アロエ、スギナ、キンギンカ、オウバク、ガイヨウまたはゲンチアナ等の植物抽出物(例えば、特許文献2参照)、TGF−β、アスコルビン酸類等が知られている。また別のコラーゲン合成促進物質として、タイプIプロコラーゲンの182〜241残基のペプチド(例えば、非特許文献3参照)およびこのタイプIプロコラーゲンの182〜241残基のペプチドから選択されたLys−Thr−Thr−Lys−Serペプチド(例えば、非特許文献4参照)が知られている。
【0006】
一方、ヒアルロン酸は、皮膚、軟骨、関節液、臍帯、眼硝子体、その他の結合組織に存在する酸性ムコ多糖の一種である。なかでも皮膚表皮では、基底層から顆粒層まで広くヒアルロン酸が分布しており、表皮細胞外空間の構造を支え、表皮基底層から角層への栄養分・老廃物などの物質輸送に関与したり、表皮細胞のターンオーバーを促進するトリガーとして働いたりすることが知られている。また、ヒアルロン酸は、わずか1gで約6Lもの水分を保持できるという強力な保水作用を有し、その作用により、細胞間隙に水分を保持する役割を担っていることも知られている。ヒアルロン酸は、加齢により徐々に減少することが知られ、この減少もまたコラーゲンの場合と同様に、皮膚のシワやタルミの形成、皮膚の弾力性やハリの低下、または皮膚の乾燥や肌荒れといった皮膚の老化を招く一因となっている。しかし、ヒアルロン酸は高分子化合物であるため、皮膚の外側から表皮に供給することは容易ではなく、表皮細胞間などにヒアルロン酸を供給するためには、生体内におけるヒアルロン酸の生合成の促進が重要である。
【0007】
ヒアルロン酸の減少による状態を改善するために、種々のヒアルロン酸合成促進物質が見出されている。例えば、アロエ抽出物、オクラ抽出物、水溶性β−1,3−グルカン誘導体、酵母抽出物(特許文献3)、ツカサノリ科トサカモドキ属に属する海藻の抽出物(特許文献4)、ラベンダー抽出物(特許文献5)、ダービリア科ダービリア属に属する海藻の抽出物(特許文献6)が知られている。
【特許文献1】特開平7−194375号公報
【特許文献2】特開2001−206835号公報
【特許文献3】特開2004−051533号公報
【特許文献4】特開2000−136147号公報
【特許文献5】特開平10−182402号公報
【特許文献6】特開平09−176036号公報
【非特許文献1】Fragrance Journal、4、p36-37、1998
【非特許文献2】R. Marksら、 British Journal of Dermatology、122、91-98、1990
【非特許文献3】K. Katayamaら、 Biochemistry、30、7097-7104、1991
【非特許文献4】K. Katayamaら、 J. Biol. Chem.、268(14)、9941-9944、1990
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし従来の素材は、安全性や効果の面で十分に満足できるものではなかったので、安全でありかつ有意なコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生促進能を有する新規素材の開発が望まれていた。本発明は、かかる従来の問題に鑑み、安全でありかつ有意なコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生促進能を有する新規素材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のアミノ酸配列を有する新規ペプチドが、安全でありかつ有意なコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生促進能を有する新規素材として利用され得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、
[1] 式(I):Leu−Glu−Hisで表されるペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩、
[2] 前記[1]に記載のアミノ酸配列において1個以上のアミノ酸の置換および/または付加を有し、かつ細胞におけるコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生促進能を有する、ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩であって、ただし該ペプチドはLys−Thr−Thr−Lys−Serを含まない、
[3] 式(II):Leu−Glu−His−Ala(配列番号1)で表されるペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩、
[4] 式(III):Leu−Glu−Lys−Ala(配列番号18)で表されるペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩、
[5] 式(IV):Leu−Asp−His−Ala(配列番号19)で表されるペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩、
[6] 式(V):Leu−Glu−His−Ala−Phe(配列番号20)で表されるペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩、
[7] 前記[1]〜[6]いずれか記載のペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩を含む組成物、
[8] 前記[1]〜[6]いずれか記載のペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩、あるいは前記[7]記載の組成物を用いて、細胞におけるコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生を促進する方法、
[9] 細胞におけるコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生を促進するための組成物の製造のための、前記[1]〜[6]いずれか記載のペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩の使用、
[10] 前記[1]〜[6]いずれか記載のペプチドをコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド、
[11] 前記[1]〜[6]いずれか記載のペプチドをコードする塩基配列に対するアンチセンス配列からなるポリヌクレオチド、
[12] 前記[10]または[11]記載のポリヌクレオチドを含む、プラスミド、
[13] 前記[10]または[11]記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター、ならびに
[14] 前記[10]または[11]記載のポリヌクレオチドを含む、形質転換体
に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、コラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生促進能を有する新規素材が提供される。また本発明のペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩は、細胞に作用させても細胞数を有意に減少させないことが示されている。従って、本発明により、コラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生促進能を有し、かつ細胞毒性を示さずに安全に使用され得る新規ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、式(I):Leu−Glu−Hisで表されるペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩である。
【0013】
本発明はまた、式(I):Leu−Glu−Hisで表されるアミノ酸配列において1個以上のアミノ酸の置換および/または付加を有し、かつ細胞におけるコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生促進能を有することを特徴とするペプチド(ただし該ペプチドはLys−Thr−Thr−Lys−Serを含まない)もしくはその誘導体またはそれらの塩を提供する。
【0014】
本明細書中において、「ペプチドの誘導体」とは、例えば、ペプチドをアセチル化、パルミトイル化、ミリスチル化、アミド化、アクリル化、ダンシル化、ビオチン化、リン酸化、サクシニル化、アニリド化、ベンジルオキシカルボニル化、ホルミル化、ニトロ化、スルフォン化、アルデヒド化、環状化、グリコシル化、モノメチル化、ジメチル化、トリメチル化、グアニジル化、アミジン化、マレイル化、トリフルオロアセチル化、カルバミル化、トリニトロフェニル化、ニトロトロポニル化、またはアセトアセチル化した誘導体等をいう。この中でもパルミトイル化は、細胞への浸透性が高くなることが期待されるので好ましく、またN末端のアセチル化、C末端のアミド化、C末端のメチル化は、末端からペプチドを分解するエキソペプチダーゼに対する抵抗性が付与され、生体中における安定性が高くなることが期待されるので好ましい。
【0015】
本明細書において、「塩」とは、ペプチドまたはその誘導体の薬理学的に許容される任意の塩(無機塩および有機塩を含む)をいい、例えば、ペプチドまたはその誘導体のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、有機酸塩(酢酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、蟻酸塩、安息香酸塩、ピクリン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩等)等が挙げられ、好ましくは、アンモニウム塩、塩酸塩、硫酸塩および酢酸塩であり、より好ましくはアンモニウム塩および酢酸塩である。
【0016】
アミノ酸の置換は、特に限定されないが、好ましくは保存的アミノ酸置換、即ち、アミノ酸の保存的置換である。
【0017】
本明細書において用語「アミノ酸の保存的置換」とは、以下の表1の各群内におけるアミノ酸間の置換をいう。
【0018】
【表1】

【0019】
この中で、好ましいアミノ酸の保存的置換としては、アスパラギン酸(D)とグルタミン酸(E)との間での置換、アルギニン(R)とリジン(K)とヒスチジン(H)との間での置換、トリプトファン(W)とフェニルアラニン(F)との間での置換、フェニルアラニン(F)とバリン(V)との間での置換、ロイシン(L)とイソロイシン(I)とアラニン(A)との間での置換、グリシン(G)とアラニン(A)との間での置換等が挙げられる。
【0020】
1個以上のアミノ酸の(保存的)置換とは、好ましくは1個または数個のアミノ酸の(保存的)置換をいい、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、さらにより好ましくは1個のアミノ酸の(保存的)置換である。
【0021】
1個以上のアミノ酸の付加とは、好ましくは1〜22個、より好ましくは1〜12個、さらに好ましくは1〜5個、さらにより好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個のアミノ酸の付加をいう。
【0022】
Leu−Glu−His(以下、アミノ酸の一文字略号によりLEHという場合がある)において1個以上のアミノ酸の保存的置換および/または付加を有するペプチドとしては、例えば、1個以上のアミノ酸の保存的置換を含むもの(例えば、IEH、LDH、LDK、LEK等)、およびLEH配列に1個以上のアミノ酸を付加したもの(例えば、LEHA、LEHW、LEHF、LEHV、LEHL、LEHI、LEHM、LEHG、LEHS、LEHT、ALEH、GLEH、SLEH、MLEH、TLEH、LEHAW、LEHAF、LEHAV、LEHAL、LEHAI、LEHAM、LEHAG、LEHAS、LEHAT、ALEHA、GLEHA、SLEHA、MLEHA、TLEHA、FLEHA、SLEHHT、GLEHAL、DLEHAL、QLEHAK、SLEHAD、QLEHAR、EFLEHA、LEHAVV、DPELEHA、HLEHAAS、LEHASVD等)等が挙げられるが、これらに限定されない。この中で好ましいペプチドとしては、IEH、LDH、LDK、LEK、LEHA、LEHF、LEHG、LEHAF、FLEHA、SLEHHT、GLEHAL、DLEHAL、QLEHAK、SLEHAD、QLEHAR、EFLEHA、LEHAVV、DPELEHA、HLEHAAS、LEHASVD等が挙げられ、より好ましくはLEHAおよびLEHAFである。
【0023】
さらにLEHペプチドにおいて、アミノ酸の保存的置換および付加を有するペプチドとしては、特に限定されないが、例えばIEHA、LDHA、LDKA、LEKA等が好適な例として挙げられる。かかるペプチドのより好適な例としては、LEHAペプチドにおいて、1個以上のアミノ酸の置換および/または付加を有するペプチド、より好ましくは1個以上のアミノ酸の保存的置換および/または付加を有するペプチドが挙げられ得る。ここで、1個以上のアミノ酸の(保存的)置換および/または付加とは、上記と同義である。
【0024】
さらにLEHペプチドにおいて、アミノ酸の保存的置換および/または付加を有するペプチドから1個または数個のアミノ酸を欠失させたペプチドもまた、細胞におけるコラーゲンまたはヒアルロン酸産生促進能を有する限り、本発明のペプチドに含まれる。このようなペプチドとしては、例えばLEHAペプチドから1アミノ酸を欠失させたEHA、LHA、LEA等が挙げられる。
【0025】
本明細書において用語「細胞におけるコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生促進能を有する」とは、目的のペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩を細胞に作用させた場合に、当該目的のペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩を細胞に作用させない場合と比較して、細胞におけるコラーゲン、ヒアルロン酸またはその両方の産生量が増加することを意味する。例えば、この用語は、ヒト細胞の培養系試験において目的のペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩を10μg/mlの濃度で作用させた場合に、当該目的のペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩を作用させない場合と比較して、細胞におけるコラーゲン産生量が、例えば約110%以上、より好ましくは約120%以上、さらに好ましくは約130%以上まで達することを意味する。また、例えば、該ペプチド等を100μg/mlの濃度で作用させた場合に、該ペプチド等を作用させない場合と比較して、細胞におけるヒアルロン酸産生量が、例えば約110%以上、より好ましくは約120%以上、さらに好ましくは約130%以上まで達することを意味する。また特定の態様では、当該用語における細胞とは線維芽細胞または角化細胞を意味し、さらに特定の態様では、皮膚線維芽細胞または表皮角化細胞を意味する。
【0026】
本発明のペプチドは、当該分野で公知の方法により作製され得る。例えば、本発明のペプチドは、化学合成方法(例えば、固相法(例えば、Fmoc法)、液相法等)により合成されてもよく、また遺伝子組換え発現等の方法により作製されてもよい。なお本発明のペプチドを構成するアミノ酸は、L−体であってもD−体であってもよいが、好ましくはL−体である。
【0027】
さらに本発明のペプチドは、目的のアミノ酸配列を含むタンパク質のアミノ酸配列中から、目的のアミノ酸配列からなるペプチドをプロテアーゼ処理等の公知の手段によって切り出すことによっても調製され得る。例えば、LEH配列およびLEHA配列を含むタンパク質としては、以下の表2に示すようなタンパク質が挙げられる。
【0028】
【表2】

【0029】
当業者は、プロテアーゼの配列特異性等を考慮して、目的のアミノ酸配列を含むタンパク質のアミノ酸配列中から、目的のアミノ酸配列からなるペプチドを切り出すために適切なプロテアーゼを適宜選択し得る。例えば、上記ニンジン由来の配列(配列番号6)からLEH配列および/またはLEHA配列を切り出すためには、サーモリシン(Bacillus thermoproteolyticus由来)とキモトリプシン(ウシ膵臓由来)とを併用することなどが挙げられる。また、例えば、上記ジャガイモ由来の配列(配列番号8)からLEH配列および/またはLEHA配列を切り出すためには、プロテアーゼM「アマノ」G(Aspergillus oryzae 由来:天野エンザイム(株)製)と前記サーモリシンとを併用することなどが挙げられる。また、例えば、上記イネ由来の配列(配列番号9)からLEH配列および/またはLEHA配列を切り出すためには、前記プロテアーゼM「アマノ」Gと前記サーモリシンとを併用することなどが挙げられる。また、例えば、上記ダイズ由来の配列(配列番号10)からLEH配列および/またはLEHA配列を切り出すためには、前記サーモリシンを使用することなどが挙げられる。また、例えば、上記インゲンマメ由来の配列(配列番号11)からLEH配列および/またはLEHA配列を切り出すためには、前記キモトリプシンと前記サーモリシンとを併用することなどが挙げられる。また、例えば、上記キャッサバ由来の配列(配列番号12)からLEH配列および/またはLEHA配列を切り出すためには、前記キモトリプシンと前記サーモリシンとを併用することなどが挙げられる。また、例えば、上記カワヤツメ由来の配列(配列番号16)からLEH配列および/またはLEHA配列を切り出すためには、トリプシン(ブタ膵臓由来)と前記サーモリシンとを併用することなどが挙げられる。目的のアミノ酸配列を含むタンパク質とプロテアーゼの組合せは、上記の組合せに限定されないが、好ましい組合せとしては、ダイズタンパク質とサーモリシンの組合せが挙げられる。
【0030】
タンパク質をプロテアーゼで加水分解する場合に用いられる反応条件は、特に制限されず、技術常識に従って当業者により適宜選択され得る。例えば、市販のプロテアーゼを使用する場合には、その使用説明書に従って反応条件を選択することができる。一般的には、30〜80℃、好ましくは40〜70℃、より好ましくは50〜60℃の反応温度が使用され得る。また一般的には、2〜30時間、好ましくは3〜24時間、より好ましくは10〜20時間、特に好ましくは12〜18時間の反応時間が使用され得る。反応pHとしては、使用するプロテアーゼの至適pH付近であることが好ましい。反応の停止手段についても、特に制限はなく、公知の手段を用いることができる。かかる手段としては、例えば、85℃で15分間加熱や100℃で5分間加熱等の加熱処理等が挙げられる。
【0031】
プロテアーゼによる加水分解処理後には、当該分野で公知の手段によって精製することにより、目的のペプチドを得ることができる。かかる公知の手段としては、例えば、強酸性イオン交換樹脂やオクタデシルシリカ(ODS)樹脂などが利用され得る。例えば、プロテアーゼ処理後のペプチド水溶液をODS樹脂に吸着させて任意の濃度の有機溶媒(例えば、アセトニトリル等)で溶出することにより、目的のペプチドを精製することができる。あるいは、例えば、プロテアーゼ処理後のペプチド水溶液を強酸性イオン交換樹脂に吸着させて、0.18M〜0.25M塩濃度の溶出液(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、より好ましくは0.20M〜0.23M塩濃度の溶出液で溶出することにより、目的のペプチドを精製することができる。
【0032】
このように、天然のタンパク質をプロテアーゼで加水分解して得られるペプチドは、化学合成方法で製造する場合よりもコスト面から有利となる。さらに、天然のタンパク質をプロテアーゼで加水分解して得られるペプチドは、生体に対してより安全であると考えられる。従って、このようにして得られたペプチドは、生体への適用に対しより高い安全性が求められる内服剤や食品、敏感肌用化粧料、飼料などに好適に使用され得る。
【0033】
本発明のペプチドの誘導体は、当該分野で公知の方法により、作製され得る。例えば、LEHペプチドのN末端をアセチル化することを例にして、簡単に述べると以下の通りである(Fmoc法による固相合成法(L.A.Carpino, G.Y.Han, J.Am.Chem.Soc., 92, 5748 (1970))に従う)。まず固相合成用樹脂にFmoc−His(1−Trt)−OHのC末端を結合させてから、保護基(Fmoc)をピペリジン処理で除去し、次いでこの樹脂を中和・洗浄後、Fmoc−Glu(OtBu)−OHをHisのN末端に導入する。次いで保護基(Fmoc)をピペリジン処理で除去し、再度この樹脂を中和・洗浄後、N−acetyl−leucineをGluのN末端に導入する。この樹脂からペプチド鎖を切り出し、TFA(トリフルオロ酢酸)により、HisのTrt基とGluのtBu基を切断することにより脱保護する。最後に、分取HPLCで未反応物を除去して精製することにより、N末端がアセチル化されたLEHが得られる。上記方法を適宜変更することにより任意の誘導体が作製され得、例えば、N末端パルミトイル化LEHを調製する場合には、上記のN−acetyl−LeucineをN−palmitoyl−leucineに変更すればよいことが当業者に明らかである。
【0034】
本発明のペプチドの塩もまた、当該分野で公知の任意の方法により、当業者によって容易に作製され得る。
【0035】
以上のようにして得られた本発明のペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩は、細胞におけるコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生を促進するために使用することができる。
【0036】
後述の実施例に示すように、係るペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩を添加した培養液で皮膚線維芽細胞を培養することにより、該細胞のタイプIコラーゲン産生量が増加し、また、表皮角化細胞を培養することにより、該細胞のヒアルロン酸産生量が増加することが確認されている。
【0037】
本発明はまた、前記ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩を含むことを特徴とする組成物を提供する。かかる特徴を有することにより、該組成物は例えば、医薬組成物、食品、化粧料または飼料として、さらにコラーゲンまたはヒアルロン酸に関連する生理状態の解明のための研究試薬として好適に使用され得る。
【0038】
医薬組成物としては、例えば、ヒトをはじめとする哺乳動物におけるコラーゲンおよび/またはヒアルロン酸量の低下に起因する疾患の治療剤または予防剤が挙げられる。具体的には、本発明の組成物は、慢性関節リウマチ、変形性関節症、骨関節炎等の関節疾患用の治療剤および/または予防剤として、また、紫外線曝露、加齢等による皮膚のシワもしくはタルミの予防剤および/または治療剤として、さらに皮膚の弾力性もしくはハリの低下に対する予防剤および/または治療剤として好適に使用され得る。
【0039】
食品としては、例えば、ヒトをはじめとする哺乳動物におけるコラーゲンおよび/またはヒアルロン酸量の低下に起因する状態の改善用または予防用の食品が挙げられる。具体的には、本発明の組成物は、関節痛などの症状に対する改善または予防のための食品として、または紫外線曝露、加齢等による皮膚のシワもしくはタルミの改善または予防のための食品として、さらに皮膚の弾力性もしくはハリの低下に対する改善または予防のための食品として好適に使用され得る。
【0040】
化粧料としては、例えば、紫外線曝露、加齢等による皮膚のシワもしくはタルミの予防および/または改善のための化粧料、皮膚の弾力性もしくはハリの低下に対する予防および/または改善のための化粧料が挙げられる。
【0041】
飼料としては、例えば、ウシ、ブタ、ニワトリ、ヒツジ、ウマ等の家畜や、イヌ、ネコ等のペット動物におけるコラーゲンおよび/またはヒアルロン酸量の低下に起因する状態の改善用または予防用の飼料が挙げられる。具体的には、本発明の組成物は、角膜潰瘍等の角膜障害、リューマチ、関節炎、変形性関節炎、骨関節炎等の関節障害、炎症性疾患等の様々なコラーゲンおよび/またはヒアルロン酸量の低下に起因する疾患の改善用または予防用の飼料としても好適に用いられ得る。
【0042】
本組成物中の前記ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩の含有量は、ペプチド等の種類、組成物の剤型等によっても異なるが、一般には、高いコラーゲンおよび/またはヒアルロン酸産生促進効果を得る観点から、好ましくは0.0001〜70重量%、より好ましくは0.001〜50重量%、さらに好ましくは0.001〜20重量%、さらにより好ましくは0.01〜10重量%、さらにより好ましくは0.05〜10重量%、さらにより好ましくは0.12〜10重量%である。
【0043】
本発明の組成物は、前記ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩の他に製剤分野や食品分野等において通常使用される担体、基剤、および/または添加剤等を本発明の目的を達成する範囲内で適宜配合して調製することができる。
【0044】
一態様において、本組成物は、前記ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩が、例えば0.05重量%以上、好ましくは0.08重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.12重量%以上となるようにいったん精製されたものを、前記含有量になるように配合することにより、調製され得る。
【0045】
担体としては、例えば、糖類(例えば、マンニトール、乳糖、デキストラン等)、セルロース類(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、結晶性セルロース等)、水難溶性ガム類(例えば、アラビアガム、トラガントガム等)、架橋ビニル重合体、脂質類等が1種または2種以上組み合わせて用いられ得る。
【0046】
基剤としては、例えば、水、油脂類、鉱物油類、ロウ類、脂肪酸類、シリコーン油類、ステロール類、エステル類、金属石鹸類、アルコール等が1種または2種以上組み合わせて用いられ得る。
【0047】
添加剤としては、例えば、界面活性剤、可溶化成分、乳化剤、油分、安定化剤、増粘剤、防腐剤、結合剤、滑沢剤、分散剤、pH調整剤、保湿剤、紫外線吸収剤、キレート剤、経皮吸収促進剤、抗酸化剤、崩壊剤、可塑剤、緩衝剤、ビタミン類、アミノ酸類、着色剤、香料等が1種または2種以上組み合わせて用いられ得る。
【0048】
さらに本発明の組成物には、必要に応じて他の有用な作用を付加するために、美白成分、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活化成分、収斂成分、抗酸化成分、ニキビ改善成分、コラーゲン等の生体成分合成促進成分、血行促進成分、保湿成分、老化防止成分等の各種成分を1種または2種以上組み合わせて配合されてもよい。
【0049】
本発明の組成物は、外用剤(化粧料を含む)、内服剤(食品および飼料を含む)等の任意の剤型であり得、好ましくは外用剤として使用され得る。
【0050】
外用剤としては、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ローション状、ペースト状、ムース状、ジェル状、シート状(基材担持)、エアゾール状、スプレー状等の任意の形態で使用され得る。
【0051】
化粧料としては、例えば、ローション、乳液、クリーム、オイル、パック等の基礎化粧料、またファンデーション、頬紅、口紅等のメーキャップ化粧料、さらに洗顔料、クレンジング、ボディ洗浄料等の洗浄料、入浴剤等の任意の形態で使用され得る。
【0052】
内服剤(食品および飼料を含む)としては、例えば、錠剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(ドリンク剤、懸濁剤、シロップ剤を含む)、ゲル剤、リポソーム剤、エキス剤、チンキ剤、レモネード剤、ゼリー剤等の任意の形態で使用され得る。
【0053】
また食品とする場合には、パン、麺、惣菜、食肉加工食品(例えば、ハム、ソーセージなど)、水産加工食品、調味料(例えば、ドレッシングなど)、乳製品、菓子(例えば、ビスケット、キャンディー、ゼリー、アイスクリームなど)、スープ、ジュースなどの任意の一般の食品形態としても提供され得る。このような形態にする場合、本発明のペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩は、目的とする食品の性質等に依存して、当業者に公知の方法により適宜配合され得る。
【0054】
飼料としては、任意の形態で使用され得るため、特に限定は無い。
【0055】
本発明の組成物は、前記ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩が細胞におけるコラーゲンおよび/またはヒアルロン酸産生促進能を有することを利用して、細胞におけるコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生を促進するために使用され得る。
【0056】
本発明はさらに、前記ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩、あるいは前記組成物を用いることを特徴とする、細胞におけるコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生を促進する方法を提供する。
【0057】
本発明の方法においては、前記ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩、あるいは前記組成物をコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生促進効果が得られる有効量以上用いればよい。
【0058】
すなわち、本発明の方法における前記ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩の使用量は通常、外用剤の場合には、成人1人体重約50kgあたり好ましくは約0.1μg〜2g/日である。また、内服剤の場合における当該使用量は通常、成人1人体重約50kgあたり好ましくは約0.001〜10000mg/日、より好ましくは約1〜1000mg/日、さらに好ましくは約1〜100mg/日である。
【0059】
本発明の方法は、さらに前記ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩あるいは前記組成物を皮膚に適用する工程を含んでいてもよい。この場合の前記ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩の皮膚への適用量は、好ましくは約1ng〜500μg/cm2、より好ましくは約0.01〜50μg/cm2、さらに好ましくは約0.1〜10μg/cm2である。
【0060】
本発明はさらに、細胞におけるコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生を促進するための組成物、好ましくは外用剤として使用され得る組成物の製造のための、前記ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩の使用を提供する。
【0061】
前記ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩の使用量は、前記組成物中の含有量となるように使用すればよい。
【0062】
本発明はさらに、前記ペプチドをコードする塩基配列からなることを特徴とするポリヌクレオチドを提供する。
【0063】
本発明のポリヌクレオチドは、前記ペプチドをコードする限り、特に限定されない。例えば、LEHAをコードするポリヌクレオチドとしては、遺伝暗号表に従いLEHAをコードすることが明らかな任意の配列が、コドン使用頻度等に応じて適宜使用され得る。好ましくは、例えば下記配列:
TTG GAA CAT GCG(配列番号2)
TTG GAA CAT GCA(配列番号3)
CTT GAA CAC GCG(配列番号4)
CTG GAG CAC GCA(配列番号5)
が挙げられる。
【0064】
本発明のポリヌクレオチドは、当該分野で公知の方法により作製され得る。例えば、市販のDNA合成機(例えばApplied Biosystems 3400 DNA合成機、Applied Biosystems社製)を用いて作製することができる。
【0065】
以上のようにして得られたポリヌクレオチドを使用することにより、以下に述べるプラスミドまたは発現ベクターを作製することができる。
【0066】
本発明はさらに、前記ペプチドをコードする塩基配列に対するアンチセンス配列からなることを特徴とするポリヌクレオチドを提供する。
【0067】
かかるポリヌクレオチドもまた、前述と同様にして作製することができる。
【0068】
本発明のポリヌクレオチドは、遺伝子組換え技術により前記ペプチドを発現させるために、または遺伝子治療等において、あるいはコラーゲンまたはヒアルロン酸に関連する生理状態の解明のための研究試薬として利用することができる。
【0069】
さらに、かかるポリヌクレオチドを使用することにより、以下に述べる本発明のプラスミドまたは発現ベクターを作製することができる。
【0070】
本発明はさらに、前記ポリヌクレオチドを含むことを特徴とするプラスミドを提供する。
【0071】
本発明のプラスミドは、特に限定されないが、例えばpBR系プラスミド、pUC系プラスミド等の公知のプラスミドに、一般的な分子生物学的実験手法を使用して本発明のポリヌクレオチドを組込んで作製できる。
【0072】
本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする発現ベクターを提供する。
【0073】
本発明の発現ベクターは、特に限定されないが、例えばpcDNA3、pSD64、λファージベクター等の公知のベクターに、一般的な分子生物学的実験手法を使用して本発明のポリヌクレオチドを発現可能な状態で組込んで作製できる。
【0074】
以上のようにして得られたプラスミドまたは発現ベクターを使用することにより、以下に述べる形質転換体を作製することができる。
【0075】
本発明はさらに、前記ポリヌクレオチドを含むことを特徴とする形質転換体を提供する。
【0076】
本発明の形質転換体は、前記プラスミドまたは発現ベクターを所望の宿主に導入すること、または前記ポリヌクレオチドを直接宿主の染色体に組込むこと等により得ることができる。宿主としては特に限定されず、例えば大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞等を使用することができる。発現ベクターを宿主へ導入する方法としては、例えばカルシウム処理法、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法、DEAEデキストラン法等の公知の方法を用いればよい。
【0077】
以上のようにして得られた形質転換体を適当な条件下で培養して前記ペプチドを発現させ、これを精製することにより、前記ペプチドを得ることもできる。
【0078】
以下、本発明を実施例、比較例および参考例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【実施例】
【0079】
実施例1 LEHの調製
1)ペプチドの合成
ペプチドを、ペプチド自動合成装置(島津製作所社製:PSSM8)を用いて、Fmoc法による固相合成法により合成した。具体的な手順は以下の通りである:まず固相合成用樹脂にFmoc−His(1−Trt)−OHのC末端を結合させてから、保護基(Fmoc)をピペリジン処理で除去し、次いでこの樹脂を中和・洗浄後、Fmoc−Glu(OtBu)−OHをHisのN末端に導入した。次いで保護基(Fmoc)をピペリジン処理で除去し、再度この樹脂を中和・洗浄後、Fmoc−Leu−OHをGluのN末端に導入した。次いで、保護基(Fmoc)をピペリジン処理で除去し、この樹脂からペプチド鎖の切り出しを行った。TFA(トリフルオロ酢酸)により、HisのTrt基とGluのtBu基を切断することにより脱保護した。最後に、分取HPLCで未反応物を除去して精製することによりLEHを得た。
2)合成ペプチドの純度検定
得られた精製物を分析用逆相高速液体クロマトグラフィー[カラム:μBondasphere 5μ C18−100Å (内径: 3.9mm、長さ: 150mm) 、Waters社製、;移動相:溶媒A(0.1%トリフルオロ酢酸)および溶媒B(0.1%トリフルオロ酢酸、90%アセトニトリル)のグラジエント(0分(溶媒B=7%)〜20分(溶媒B=12%));流速:1 ml/分;検出法:波長 220nmにおける吸光度]に付したところ、13.1分に単一の鋭いピークが示され、純度は99%であった。
【0080】
実施例2 LEHAの調製
ペプチド:LEHAを実施例1に示した方法と同様に合成し、精製した。得られた精製物を分析用逆相高速液体クロマトグラフィー[カラム:μBondasphere 5μ C18−100Å (内径: 3.9mm、長さ: 150mm) 、Waters社製、;移動相:溶媒A(0.1%トリフルオロ酢酸)および溶媒B(0.1%トリフルオロ酢酸、90%アセトニトリル)のグラジエント(0分(溶媒B=12%)〜20分(溶媒B=17%));流速:1 ml/分;検出法:波長 220nmにおける吸光度]に付したところ、12.8分に単一の鋭いピークが示され、純度は99%であった。
【0081】
実施例3 LEHおよびLEHAを用いた、皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン産生検定
ヒト正常皮膚由来線維芽細胞(CRL−1836;ATCC)を、48ウェルカルチャープレート中で培養した。より詳細には、12500細胞/1cm密度でプレートに播種し、37℃で、5%炭酸ガスおよび95%空気の環境下で約72時間培養を行った。培養液は、Dulbecco’s Modified Eagle Medium(D−MEM)に牛胎仔血清(FBS)を10重量%の濃度で含有した培地を各ウェル500μlずつ使用した。細胞がコンフルエントになった時点で、培養液を除去し、D−MEMに実施例1または2で合成したLEHまたはLEHAを10μg/ml濃度添加した培地を500μlずつ添加した。なお、ペプチドを添加しない培地を500μl添加したものをコントロールとして用いた。72時間培養した後、培養液を採取し、培養液中のタイプIコラーゲン濃度を、酵素結合免疫測定法(Anti−Human Procollagen typeI C−peptide EIA Kit;タカラバイオ株式会社製)で定量した。定量結果をもとに、コントロール培養液中のタイプIコラーゲン量を100%としてペプチド添加培養液のタイプIコラーゲン量を算出した。結果を表3に示す。
【0082】
【表3】

【0083】
表3に示されるとおり、各ペプチド添加培養液でヒト正常皮膚由来線維芽細胞を培養することにより、該細胞のコラーゲン産生量が有意に増加することが見出された。
【0084】
実施例4 LEHおよびLEHAを用いた、毒性試験
実施例3で培養液を採取した後の細胞に対してD−MEMを250μl添加した後、Cell Counting Kit−8(同仁化学研究所製)を用いて生細胞の数を計測した。結果を表4に示す。
【0085】
【表4】

【0086】
表4に示されるとおり、各ペプチド添加培養液で培養されることによる生細胞数の有意な減少は見られなかった。
【0087】
実施例5 ダイズタンパク質からのLEHおよびLEHAペプチドの調製
1)ダイズタンパク質のプロテアーゼ分解
脱皮大豆粉末1gを40mLの蒸留水に分散し、0.1N NaOHでpH8.5に調整した。これに50mgのサーモリシン(Bacillus thermoproteolyticus由来、商品名:サモアーゼPC10F、大和化成株式会社製)を添加して、60℃で15時間での分解を行なった。反応後、100℃で10分間煮沸してサーモリシンを失活させた。放冷後、1gのろ過助剤(商品名:ラジオライト500、昭和化学工業株式会社)を添加し、撹拌した後、ろ過を行なった。
【0088】
2)粗ペプチドの回収
上述のようにして得られたろ液を、強酸性イオン交換樹脂(商品名「Dowex 50W×2,H+ form, 50-100 mesh」、ダウケミカルカンパニー製)を充填した150mL容カラムに通した後、カラムの5倍容の脱イオン水で洗浄し、非ペプチド成分を除去した。2Mのアンモニア溶液を通液し、カラム吸着成分を溶出させて、ペプチド画分を回収した。エバポレータを用いてアンモニアを留去し、更に濃縮して乾固させた。5mLの水を加えて乾固物を溶解後、遠心分離(10,000 r.p.m., 30分間)を行ない、溶液から不溶物を除去した。分析キット(商品名:QuantiPro BCA assay kit, SIGMA)により、該溶液中のペプチドを定量したところ、140mgの粗ペプチドが回収されたことが確認された。
【0089】
3)分子量分画
Sephadex G-25(Mediumタイプ、Amersham Biosciences製)を充填したゲルろ過カラム(φ2.6×100cm)を0.1M リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で平衡化し、上述のようにして得られた粗ペプチド140mgを負荷した。流速:1.0mL/min、検出:280nmで溶出し、分子量1,000以下のフラクションを分取した。分取により得られたフラクションを脱塩し、2mLまで濃縮した。
【0090】
4)強酸性イオン交換樹脂による分離
強酸性イオン交換樹脂(商品名「SP Sephadex C-25, H+ form」、Amersham Biosciences製)を充填した20mL容カラムを脱イオン水で平衡化し、上述のようにして得られた分子量1,000以下の濃縮液2.0mLを負荷した。カラムの5倍容の脱イオン水で洗浄した後、0〜0.256Mの塩化ナトリウム水溶液の直線濃度勾配により成分を溶出させ、2.0mLずつフラクションコレクターで分取した。得られたクロマトグラムにおいて、6個の主要ピークが検出された。この6個の主要ピーク(塩化ナトリウム濃度0.026〜0.062Mで溶出したフラクション14mL(以下、SP[1])、塩化ナトリウム濃度0.062〜0.092Mで溶出したフラクション12mL(以下、SP[2])、塩化ナトリウム濃度0.092〜0.113Mで溶出したフラクション8mL(以下、SP[3])、塩化ナトリウム濃度0.113〜0.168Mで溶出したフラクション22mL(以下、SP[4])、塩化ナトリウム濃度0.20〜0.23Mで溶出したフラクション14mL(以下、SP[5])、および塩化ナトリウム濃度0.256M以降に溶出したフラクション16mL(以下、SP[6]))をそれぞれ回収した。
【0091】
5)HPLC分析
上述のようにして得られたSP[1]〜SP[6]について、脱塩後、以下の条件でHPLC分析を行なった。
(カラム)Inertsil ODS-2, φ4.6×250mm, 5μm (GL Science Inc.)
(検出)214nm
(流速)1.0mL/min
(分離条件)
溶媒(a):0.05%トリフルオロ酢酸
溶媒(b):0.05%トリフルオロ酢酸+20%アセトニトリル
溶媒(a)100%でカラムを平衡化した後、60分までに溶媒(b)が100%となるように直線濃度勾配で溶出した。
(注入量)20μL
(カラム温度)室温
化学合成により作製したLeu−Glu−HisおよびLeu−Glu−His−Alaを標品として使用し、この標品の溶出時間との比較を行った。その結果、標品と同じ溶出時間にピークが検出されたフラクションはSP[5]のみであり、SP[5]以外のフラクションでは、標品と同じ溶出時間に有意なピークは認められなかった。
【0092】
6)N末端アミノ酸配列分析
SP[5]において標品と同じ溶出時間に検出された2つのピークを分取し、N末端アミノ酸配列分析機(Procise 494 HT Protein Sequencing System, Applied Biosystems)で解析を行った。その結果、この2つのピークが、Leu−Glu−HisおよびLeu−Glu−His−Alaであることが確認された。
7)定量
HPLC分析の結果から計算して、脱皮大豆粉末1gをサーモリシンで処理すると、30.1μgのLeu−Glu−His、および20.1μgのLeu−Glu−His−Alaが生成することが明らかになった。
【0093】
実施例6 ダイズタンパク質由来のLEHおよびLEHAを用いた、皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン産生検定
合成したLEHおよびLEHAを使用した代わりに、実施例5で得られたSP[5]フラクションに含まれるペプチドを10μg/ml濃度となるように調整して使用した以外は、実施例3と同様にして、皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン産生促進効果を調べた。結果を表5に示す。
【0094】
【表5】

【0095】
表5に示されるとおり、SP[5]添加培養液でヒト正常皮膚由来線維芽細胞を培養することにより、該細胞のコラーゲン産生量が有意に増加することが見出された。
【0096】
実施例7 ダイズタンパク質由来のLEHおよびLEHAを用いた、毒性試験
実施例6で培養液を採取した後の細胞に対して実施例4と同様にして生細胞の数を計測した。結果を表6に示す。
【0097】
【表6】

【0098】
表6に示されるとおり、SP[5]添加培養液で培養されることによる生細胞数の有意な減少は見られなかった。
【0099】
実施例5のようにしてダイズタンパク質から調製されるLEHおよびLEHAペプチドを使用して、上記と同様にコラーゲン産生検定を行う場合においても、合成したLEHおよびLEHAペプチドと同様のコラーゲン産生促進効果が確認される。また、前記ペプチドを使用して、上記と同様に毒性試験を行っても、生細胞数の有意な減少は見られない。
【0100】
実施例8 N末端アセチル化LEHAの調製
Fmoc法による固相合成法(L.A.Carpino, G.Y.Han, J.Am.Chem.Soc., 92, 5748 (1970))に従い、LEHAペプチドのN末端アセチル化誘導体を作製した。まず、固相合成用樹脂にFmoc-Ala-OHのC末端を結合させてから、保護基(Fmoc)をピペリジン処理で除去し、次いで、この樹脂を中和・洗浄後、Fmoc-His(1-Trt)-OHをAlaのN末端に導入した。次いで、保護基(Fmoc)をピペリジン処理で除去し、再度この樹脂を中和・洗浄後、Fmoc-Glu(OtBu)-OHをHisのN末端に導入した。次いで、保護基(Fmoc)をピペリジン処理で除去し、この樹脂を中和・洗浄後、N-acetyl-leucineをGluのN末端に導入した。この樹脂からペプチド鎖を切り出し、TFA(トリフルオロ酢酸)により、HisのTrt基とGluのtBu基を切断することにより脱保護した。最後に、分取HPLCで未反応物を除去して精製することにより、N末端をアセチル化したLEHAを得た。なお、得られた精製物の純度は96.8%であった。
【0101】
実施例9 C末端アミド化LEHAの調製
Fmoc法による固相合成法(L.A.Carpino, G.Y.Han, J.Am.Chem.Soc., 92, 5748 (1970))に従い、LEHAペプチドのC末端アミド化誘導体を作製した。まず、4-メチルベンズヒドリルアミン樹脂にFmoc-Ala-OHのC末端を結合させてから、保護基(Fmoc)をピペリジン処理で除去した。次いで、この樹脂を中和・洗浄後、Fmoc-His(1-Trt)-OHをAlaのN末端に導入した。次いで、保護基(Fmoc)をピペリジン処理で除去し、再度この樹脂を中和・洗浄後、Fmoc-Glu(OtBu)-OHをHisのN末端に導入した。次いで、保護基(Fmoc)をピペリジン処理で除去し、この樹脂を中和・洗浄後、Fmoc-Leu-OHをGluのN末端に導入した。この樹脂からペプチド鎖を切り出し、TFA(トリフルオロ酢酸)により、HisのTrt基とGluのtBu基を切断することにより脱保護した。最後に、分取HPLCで未反応物を除去して精製することにより、C末端をアミド化したLEHAを得た。なお、得られた精製物の純度は94.0%であった。
【0102】
実施例10 ペプチド誘導体を用いた、皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン産生検定
実施例1および2で合成したLEHおよびLEHAの代わりに、実施例8および9で調製したN末端アセチル化LEHAおよびC末端アミド化LEHAを使用した以外は、実施例3と同様にして、皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン産生促進効果を調べた。結果を表7に示す。
【0103】
【表7】

【0104】
表7に示されるとおり、各ペプチド誘導体添加培養液でヒト正常皮膚由来線維芽細胞を培養することにより、該細胞のコラーゲン産生量が有意に増加することが見出された。
【0105】
実施例11 ペプチド誘導体を用いた、毒性試験
実施例10で培養液を採取した後の細胞に対して実施例4と同様にして生細胞の数を計測した。結果を表8に示す。
【0106】
【表8】

【0107】
表8に示されるとおり、各ペプチド誘導体添加培養液で培養されることによる生細胞数の有意な減少は見られなかった。
【0108】
実施例12 皮膚表皮角化細胞におけるヒアルロン酸産生検定
ヒト正常表皮角化細胞(NHEK、倉敷紡績株式会社製)を48ウェルカルチャープレート中で培養した。より詳細には、25000細胞/1cm2密度でプレートに播種し、37℃で、5%炭酸ガスおよび95%空気の環境下で約72時間培養を行なった。培養液は、HuMedia KG−2(倉敷紡績株式会社製)を各ウェル400μLずつ使用した。72時間後に培養液を除去し、実施例2に記載のようにして合成したLEHAを、100または300μg/ml濃度添加したHuMedia KG−2培地を400μLずつ添加した。なお、LEHAを添加しない培地を400μL添加したものをコントロールとして用いた。さらに72時間培養した後、培養液を採取し、培養液中のヒアルロン酸濃度を酵素結合免疫測定法(ヒアルロン酸測定キット;生化学工業株式会社製)で定量した。定量結果をもとにコントロール培養液中のヒアルロン酸量を100%として、LEHA添加培養液のヒアルロン酸量を算出した。結果を表9に示す。
【0109】
【表9】

【0110】
表9に示されるとおり、LEHA添加培養液でヒト正常表皮角化細胞を培養することにより、該細胞のヒアルロン酸産生量が有意に増加することが見出された。驚くべきことに、300μg/ml濃度でLEHAを用いた場合には、コントロールに比べて約200%のヒアルロン酸産生量が得られるという顕著に高いヒアルロン酸産生促進効果が認められた。
【0111】
実施例13 LEKAの調製
ペプチド:LEKAを実施例1に示した方法と同様に合成した。次いで、分取HPLCで未反応物を除去して精製することにより、LEKAを得た。
【0112】
実施例14 LEKAを用いた、皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン産生検定
実施例1および2で合成したLEHおよびLEHAの代わりに、上記で合成したLEKAペプチドを使用した以外は、実施例3と同様にして、皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン産生促進効果を調べた。結果を表10に示す。
【0113】
【表10】

【0114】
表10に示されるとおり、LEKAペプチド添加培養液でヒト正常皮膚由来線維芽細胞を培養することにより、該細胞のコラーゲン産生量が増加することが見出された。
【0115】
実施例15 LEKAを用いた、毒性試験
実施例14で培養液を採取した後の細胞に対して実施例4と同様にして生細胞の数を計測した。結果を表11に示す。
【0116】
【表11】

【0117】
表11に示されるとおり、LEKA添加培養液で培養されることによる生細胞数の減少は見られなかった。
【0118】
実施例16 LDHAの調製
ペプチド:LDHAを実施例1に示した方法と同様に合成した。次いで、分取HPLCで未反応物を除去して精製することにより、LDHAを得た。
【0119】
実施例17 LDHAを用いた、皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン産生検定
実施例1および2で合成したLEHおよびLEHAを10μg/mlで使用した代わりに、上記で合成したLDHAペプチドを1μg/mlで使用した以外は、実施例3と同様にして、皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン産生促進効果を調べた。結果を表12に示す。
【0120】
【表12】

【0121】
表12に示されるとおり、LDHAペプチド添加培養液でヒト正常皮膚由来線維芽細胞を培養することにより、該細胞のコラーゲン産生量が増加することが見出された。
【0122】
実施例18 LDHAを用いた、毒性試験
実施例17で培養液を採取した後の細胞に対して実施例4と同様にして生細胞の数を計測した。結果を表13に示す。
【0123】
【表13】

【0124】
表13に示されるとおり、LDHAペプチド添加培養液で培養されることによる生細胞数の減少は見られなかった。
【0125】
実施例19 LEHAFの調製
ペプチド:LEHAFを実施例1に示した方法と同様に合成した。次いで、分取HPLCで未反応物を除去して精製することにより、LEHAFを得た。
【0126】
実施例20 LEHAFを用いた、皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン産生検定
実施例1および2で合成したLEHおよびLEHAを10μg/mlで使用した代わりに、上記で合成したLEHAFを1μg/mlまたは3μg/mlで使用した以外は、実施例3と同様にして、皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン産生促進効果を調べた。結果を表14に示す。
【0127】
【表14】

【0128】
表14に示されるとおり、LEHAFペプチド添加培養液でヒト正常皮膚由来線維芽細胞を培養することにより、該細胞のコラーゲン産生量が増加することが見出された。
【0129】
実施例21 LEHAFを用いた、毒性試験
実施例20で培養液を採取した後の細胞に対して実施例4と同様にして生細胞の数を計測した。結果を表15に示す。
【0130】
【表15】

【0131】
表15に示されるとおり、LEHAFペプチド添加培養液で培養されることによる生細胞数の有意な減少は見られなかった。
【0132】
実施例22 ヘアレスマウスを用いた抗シワ検定
へアレスマウスを用いて紫外線によるシワ発生に対する予防効果を、ペプチドの塗布試験により検定する。すなわち、5週齡雄性へアレスマウスを3群に分け(8匹/1群)、3週間にわたり、第1週目に90mJ/cm、第2週目に120mJ/cm、第3週目に150mJ/cmのUVB紫外線を1週間あたり3回照射する。また紫外線を照射している3週間、各群のヘアレスマウスには、各試験ペプチド等を含有する試験溶液を50μlずつ1日3回背中に塗布する。そして、第1回目の紫外線照射から24日後に、目視にてシワを7段階にスコア化(表16)し、シワ発生の予防効果を評価する。この抗シワ検定により、本発明のペプチドを含有する試験溶液を塗布した群に優れたシワ発生の予防効果が認められる。
【0133】
【表16】

【配列表フリーテキスト】
【0134】
配列表の配列番号1は、本発明のペプチドである。
配列表の配列番号2は、LEHAペプチドをコードするDNAである。
配列表の配列番号3は、LEHAペプチドをコードするDNAである。
配列表の配列番号4は、LEHAペプチドをコードするDNAである。
配列表の配列番号5は、LEHAペプチドをコードするDNAである。
配列表の配列番号18は、本発明のペプチドである。
配列表の配列番号19は、本発明のペプチドである。
配列表の配列番号20は、本発明のペプチドである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):Leu−Glu−Hisで表されるペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩であって、
式(II):Leu−Glu−His−Ala(配列番号1)で表されるペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩、
式(IV):Leu−Asp−His−Ala(配列番号19)で表されるペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩、及び
式(V):Leu−Glu−His−Ala−Phe(配列番号20)で表されるペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩
を除く、ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩。
【請求項2】
請求項1に記載のアミノ酸配列において1個以上のアミノ酸の置換および/または付加を有し、かつ細胞におけるコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生促進能を有する、ペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩であって、ただし該ペプチドはLys−Thr−Thr−Lys−Serを含まない。
【請求項3】
前記置換が保存的アミノ酸置換である、請求項2記載のペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩。
【請求項4】
式(III):Leu−Glu−Lys−Ala(配列番号18)で表されるペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩。
【請求項5】
3〜25残基のアミノ酸長を有する、請求項2または3記載のペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載のペプチドもしくはその誘導体またはそれらの塩を含む組成物。
【請求項7】
細胞におけるコラーゲンおよびヒアルロン酸からなる群より選択される少なくとも1種の産生を促進するために使用され得る、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
外用剤として使用され得る、請求項6または7記載の組成物。


【公開番号】特開2007−145845(P2007−145845A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324728(P2006−324728)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【分割の表示】特願2006−73974(P2006−73974)の分割
【原出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】