説明

新規化合物

治療に使用するための、式(I):
【化1】


の化合物およびその薬学的に許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、チアゾロピリミジノン化合物、その製造方法、およびその製造で用いられる中間体、それを含む医薬組成物、および治療におけるその使用に関する。
【0002】
ケモカインは、喘息およびアレルギー性疾患、および自己免疫病状、例えばリウマチ性関節炎やアテローム性動脈硬化症を含む、種々の疾患および状態での、免疫応答および炎症性応答において、重要な役割を果たす。これらの小分泌性分子は、保存された4つのシステイン・モチーフによって特徴付けられている8〜14kDaの蛋白質の、増大しつつあるスーパーファミリーである。現在、ケモカイン・スーパーファミリーは、特徴的な構造モチーフ、すなわちCys−X−Cys(C−X−C)、Cys−Cys(C−C)、およびCys−X−Cys(C−X−C)ファミリーを示す3つのグループを含む。C−X−CおよびC−Cファミリーは、配列類似性を有し、そしてシステイン残基のNH隣接ペアの間の1個のアミノ酸挿入を有することに基づいて互いに識別される。C−X−Cファミリーは、システイン残基のNH隣接ペアの間の3個のアミノ酸挿入を有することに基づいて他の2つのファミリーから識別される。
【0003】
C−X−Cケモカインは、幾つかの強力な走化性物質、および好中球、例えばインターロイキン−8(IL−8)、および好中球活性化ペプチド−2(NAP−2)を含む。
C−Cケモカインは、単球の強力な走化性物質、およびリンパ球を含むが、好中球を含まない。例は、ヒトの単球の走化性蛋白質 1−3(MCP−1、MCP−2、およびMCP−3)、RANTES(Regulated on Activation, Normal T Expressed and Secreted)、エオタキシン、およびマクロファージ炎症性蛋白質−1αおよび1β(MIP−1αおよびMIP−1β)を含む。
【0004】
C−X−Cケモカイン(フラクタルカインとしても知られる)は、強力な走化性物質であり、そして中枢神経系(CNS)の小膠細胞、および単球、T細胞、NK細胞、および肥満細胞のアクチベーターである。
【0005】
研究の結果、ケモカインの作用は、CCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、およびCCR11(C−Cファミリーにおいて);CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、およびCXCR5(C−X−Cファミリーにおいて)、およびCXCR1(C−X−Cファミリーにおいて)と名付けられた受容体のうち、G蛋白質結合受容体のファミリーによって媒介されることが証明された。これらの受容体は、これらの受容体を調節する薬剤が、上記の疾患の処置に有用であることから、薬物の開発における良好な標的となっている。
【0006】
WO 01/25242 は、CXCR2アンタゴニストとして有用なチアゾロピリミジノン化合物のシリーズを開示している。
特に本明細書中で開示されていないが、WO 01/25242 の範囲の化合物は、驚くべきことに、WO 01/25242 の構造的に最も類似の化合物と比較して、すなわち実施例4および7の化合物と比較して、改善された薬理学的プロフィールを有することが見出されている。
【0007】
本発明は、従って、式(I):
【化1】

の化合物およびその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
式(I)の化合物は、互変異性体の形態で存在し得る。互変異性体およびその混合物はまた、本発明の態様を形成する。
【0008】
本発明に従って、式(I)の化合物を製造する方法であって、式(II):
【化2】

[式中、RはC1−6アルキルである]の化合物を、酸と反応させること;
そして所望によりその後薬学的に許容される塩を形成することを含む方法を提供する。
【0009】
好ましくは、Rは、エチルまたはメチルであり、より好ましくはメチルである。好ましくは、反応は、ジオキサンおよびHClを用いて行う。好ましくは、本発明の化合物は、本明細書中で例示した手順に従って製造する。
【0010】
式(II)の化合物は、式(III):
【化3】

[式中、Rはハロゲンである]の対応する化合物から、塩基の存在下で、式:ROHの化合物で処理することによって製造し得る。好ましくは、式(III)の化合物を、ナトリウム メトキシドで処理する。好ましくは、Rはクロロである。
【0011】
式(III)の化合物を、下記:
【化4】

の順序を用いて製造し得る。
【0012】
段階aからfに適切な試薬は、当業界で既知である。好ましくは、段階aからfは、本明細書で例示されているように行う。
式(II)の化合物は、新規であると考えられ、そして本発明のさらなる態様を形成する。
【0013】
出発試薬または中間体化合物中の、特定の官能基、例えばヒドロキシルまたはアミノは、保護基によって保護する必要があり得ることが、当業者に明らかであろう。従って、式(I)の化合物の製造は、適切な段階での1個以上の保護基の除去を含み得る。官能基の保護および脱保護は、“Protective Groups in Organic Chemistry”, edited by J. W. F. McOmie, Plenum Press (1973)、および“Protective Groups in Organic Synthesis”, 2nd edition, T. W. Greene & P. G. M. Wuts, WileyInterscience (1991) によって完全に記載されている。
【0014】
上記の式(I)の化合物を、薬学的に許容される塩またはその溶媒和物に変換し得、好ましくは、塩基付加塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、ベンザチン塩、クロロプロカイン塩、コリン塩、ジエタノールアミン塩、エタノールアミン塩、エチルジアミン塩、メグルミン塩、トロメタミン塩、またはプロカイン塩、または酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、またはp−トルエンスルホン酸塩に変換し得る。
【0015】
式(I)の化合物は、医薬として、特にケモカイン受容体(特にCXCR2)活性のモジュレーターとして活性を有し、ヒトおよび非ヒト動物において、ケモカインの過剰もしくは非制御生産によって増悪する または引き起こされる状態/疾患の処置(治療的もしくは予防的)に用いられ得る。
【0016】
このような状態/疾患の例は、
(1) [呼吸管]
慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む閉塞性気道疾患;喘息、例えば気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、および塵埃喘息、特に慢性または難治性喘息(例えば遅発性喘息、および気道過剰応答);気管支炎;急性、アレルギー性、萎縮性鼻炎、および乾酪性鼻炎、肥厚性鼻炎、化膿性鼻炎、乾燥性鼻炎、および薬物性鼻炎を含む慢性鼻炎;クループ性鼻炎、フィブリン性鼻炎、および偽膜性鼻炎を含む膜性鼻炎、および腺病性鼻炎;神経性鼻炎(枯草熱)を含む季節性鼻炎、および血管運動神経性鼻炎;サルコイドーシス、農夫肺および関連疾患、類肺繊維症(fibroid lung)、および特発性間質性肺炎;
(2) [骨および関節]
リウマチ性関節炎、血清反応陰性脊椎関節症(強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、およびライター病を含む)、ベーチェット病、シェーグレン症候群、および全身性硬化症;
(3) [皮膚]
乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、および他の湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、皮膚脈管炎(angiodermas)、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、ブドウ膜炎、円形脱毛症、および春季結膜炎;
(4) [胃腸管]
セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、不確定性大腸炎(indeterminate colitis)、顕微鏡性大腸炎(microscopic colitis)、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、非炎症性下痢、腸から離れた部位に発現する食物関連アレルギー、例えば偏頭痛、鼻炎、および湿疹;
(5) [中枢および末梢神経系]
神経変性疾患、および痴呆疾患、例えばアルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、および他の運動神経疾患、クロイツフェルト−ヤコブ病、および他のプリオン疾患、HIV脳症(AIDS性痴呆合併症)、ハンチントン病、前頭側頭骨性痴呆、レヴィー小体痴呆、および血管性痴呆;多発性神経障害、例えばギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経根筋障害、多巣性運動神経障害、神経叢障害;CNS脱髄、例えば多発性硬化症、急性播種性/出血性脳脊髄炎、および亜急性硬化性全脳炎;神経筋疾患、例えば重症筋無力症、およびランバート−イートン症候群;脊髄疾患、例えば熱帯性痙攣不全対麻痺、およびスティッフマン症候群;新生物随伴症候群、例えば小脳変性、および脳脊髄炎;CNS外傷;偏頭痛;および卒中;
(6) [その他の組織および全身性疾患]
アテローム硬化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)、エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、I型糖尿病、ネフローゼ症候群、好酸球性筋膜炎、高IgE症候群、らい腫性らい、および特発性血小板減少性紫斑;手術後癒着、および敗血症;
(7) 卒中、クモ膜下出血、心臓、脳、末梢肢、および他の器官における再灌流傷害;
(8) [同種移植片拒絶反応]
例えば、腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、皮膚、および角膜移植後の急性および慢性の拒絶反応;および慢性移植片対宿主病;
(9) 癌、特に非肺小細胞癌(NSCLC)、悪性黒色腫、前立腺癌、および扁平上皮肉腫、および腫瘍転移;
(10) 血管新生がCXCR2ケモカインレベルの上昇を伴う疾患(例えばNSCLC、糖尿病性網膜症);
(11) 嚢胞性線維症;
(12) 火傷 および 慢性皮膚潰瘍;
(13) 生殖系疾患(例えば排卵、月経、および着床の疾患、早産、子宮内膜症など);
を含む。
【0017】
従って、本発明は、治療に使用するための、上記で定義した通りの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
好ましくは、本発明の化合物をCXCケモカイン受容体サブファミリーに属する疾患、より好ましくは標的ケモカイン受容体がCXCR2受容体である疾患を処置するために用いる。
【0018】
本発明の化合物で処置し得る特定の状態は、リウマチ性関節炎、血管新生がCXCR2ケモカインレベルの上昇を伴う疾患、およびCOPDである。本発明の化合物は、リウマチ性関節炎および呼吸器疾患を処置するために用いられることが望ましい。
【0019】
本発明のさらなる態様として、式(I)の化合物は、CX3CR1受容体のアンタゴニストとして有用性を有し得る。このような化合物は、中枢および末梢神経系での疾患、および小膠細胞の活性化 および/または 白血球の浸潤によって特徴付けられる他の状態(例えば卒中/虚血および頭部外傷)の処置に特に有用であると期待される。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、治療に使用するための医薬の製造において、上記で定義した通りの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0021】
さらなる態様において、本発明は、ケモカイン受容体活性の調節が有益であるヒトの疾患もしくは状態を処置する医薬の製造における、上記で定義した通りの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0022】
本明細書の内容において、“治療”という用語はまた、明細書の記載に反しない限り、“予防”を含む。“治療上”および“治療的に”という用語は、これに従って解釈されるべきである。
【0023】
本発明は、さらに、ケモカインがケモカイン(特にCXCR2)受容体に結合するケモカイン介在疾患を処置する方法であって、上記で定義した通りの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、治療上有効な量で、患者に投与することを含む方法を提供する。
【0024】
本発明はまた、該疾患に罹患している もしくはそのリスクがある患者において、炎症性疾患、特にリウマチ性関節炎、COPD、呼吸器疾患、および乾癬を処置する方法であって、上記で定義した通りの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、治療上有効な量で、該患者に投与することを含む方法を提供する。
【0025】
上記の治療上の使用において、投与される用量は、用いられる化合物、投与方法、望ましい処置、および適応される疾患に伴って、当然に変化する。
【0026】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩および溶媒和物は、それ自身で用いられ得るが、一般的に式(I)の化合物/塩/溶媒和物(活性成分)が、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、もしくは担体と組み合わされている医薬組成物の形態で投与される。投与方法に依存して、医薬組成物は、好ましくは0.05から99%w(重量%)、より好ましくは0.05から80%w、さらにより好ましくは0.10から70%w、いっそうより好ましくは0.10から50%wの、活性成分を含む。全ての重量%は全組成物に基づく。
【0027】
本発明はまた、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、もしくは担体と組み合わせた、上記で定義した通りの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物を提供する。
【0028】
本発明は、さらに、本発明の医薬組成物を製造する方法であって、上記で定義した通りの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、もしくは担体と混合することを含む方法を提供する。
【0029】
医薬組成物は、溶液、懸濁液、ヘプタフルオロアルカン・エアゾール、および乾燥粉末製剤の形態で、局所に(例えば肺および/または気道に、または皮膚に);全身に、例えば 錠剤、カプセル剤、シロップ、粉剤、または顆粒の形態で、経口投与によって、または溶液もしくは懸濁液の形態で非経腸投与によって、または皮下投与によって、または坐剤の形態で直腸投与によって、または経皮で、投与され得る。好ましくは本発明の化合物を経口で投与する。
【0030】
本発明は、さらに、式(1)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは in vivo で加水分解可能なエステル、または式(1)の化合物を含む医薬組成物もしくは製剤を、喘息、アレルギー性鼻炎、癌、COPD、リウマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、骨関節炎、または骨粗鬆症の何れか1つを処置するための治療および/または薬剤と、同時にもしくは連続して投与する、組み合わせ治療に関する。
【0031】
特に、炎症性疾患、リウマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、COPD、喘息、およびアレルギー性鼻炎の処置のために、本発明の化合物は、例えばTNF−α阻害剤、例えば抗TNFモノクローナル抗体 (例えば Remicade, CDP-870 および D.sub2.E.sub7.)、およびTNF受容体免疫グロブリン分子(例えば Enbrel.reg.)、非選択性COX−1/COX−2阻害剤(例えばピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸、例えばナプロキセン、フルルビプロフェン(flubiprofen)、フェノプロフェン、ケトプロフェン、およびイブプロフェン、フェナメート、例えばメフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アパゾン、ピラゾロン、例えばフェニルブタゾン、サリチレート、例えばアスピリン)、COX−2 阻害剤(例えばメロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ(valdecoxib)、およびエトリコキシブ(etoricoxib))、低用量メトトレキセート、レフノミド(lefunomide);シクレソニド(ciclesonide);ヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine)、d−ペニシラミン、オーラノフィン、または非経腸もしくは経口の金と組み合わせ得る。炎症性腸疾患および過敏性腸疾患のための、さらなる慣用の薬剤は、スルファサラジン(sulphasalazine)、および5−ASAs、局所および全身性ステロイド、免疫調節剤および免疫抑制剤、抗生物質、プロバイオティクス、および抗インテグリンを含む。
【0032】
本発明は、さらに、ロイコトリエン生合成阻害剤、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤、または5−リポキシゲナーゼ活性化蛋白質(FLAP)アンタゴニスト、例えばジロートン(zileuton);ABT−761;フェンロイトン(fenleuton);テポキサリン(tepoxalin);Abbott-79175;Abbott-85761;N−(5−置換)−チオフェン−2−アルキルスルホンアミド;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール ヒドラゾン;メトキシテトラヒドロピラン、例えば Zeneca ZD-2138;化合物 SB-210661;ピリジニル置換 2−シアノナフタレン化合物、例えば L-739,010;2−シアノキノリン化合物、例えば L-746,530;インドールおよびキノリン化合物、例えば MK-591、MK-886、および BAY x 1005 と本発明の化合物の組み合わせに関する。
【0033】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、フェノチアジン−3−オン、例えば L-651,392 からなる群から選択される、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、LTB.sub4.、LTC.sub4.、LTD.sub4.、および LTE.sub4.;アミジノ化合物、例えば CGS-25019c;ベンゾキサラミン(benzoxalamine)、例えばオンタゾラスト(ontazolast);ベンゼンカルボキシミドアミド、例えば BIIL 284/260;および化合物、例えばザフィルルカスト(zafirlukast)、アブルカスト(ablukast)、モンテルカスト(montelukast)、プランルカスト、ベルルカスト(verlukast)(MK-679)、RG-12525、Ro-245913、イラルカスト(iralukast)(CGP 45715A)、および BAY x 7195 との組み合わせに関する。
【0034】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、PDE4Dのアイソフォームの阻害剤を含むPDE4阻害剤との組み合わせに関する。
【0035】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、抗ヒスタミン性 H.sub1. 受容体アンタゴニスト、例えばセチリジン(cetirizine)、ロラタジン(loratadine)、デスロラタジン(desloratadine)、フェキソフェナジン、アステミゾール、アゼラスチン、およびクロルフェニラミンとの組み合わせに関する。
【0036】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、胃保護 H.sub2. 受容体アンタゴニストとの組み合わせに関する。
本発明は、さらに、本発明の化合物と、α.sub1.−およびα.sub2.−アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮交感神経模倣薬、例えばプロピルヘキセドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードエフェドリン、塩酸ナファゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸キシロメタゾリン(xylometazoline)、および塩酸エチルノルエピネフリンとの組み合わせに関する。
【0037】
本発明は、さらに、抗コリン作用薬、例えば 臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム、ピレンゼピン、およびテレンゼピンとの組み合わせに関する。
【0038】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、β.sub1.−からβ.sub4.−アドレナリン受容体アゴニスト、例えばメタプロテレノール、イソプロテレノール、イソプレナリン、アルブテロール、サルブタモール、フォルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、ビトルテロール メシレート、およびピルブテロール;またはテオフィリンおよびアミノフィリンを含むメチルキサンタニン(methylxanthanines);クロモグリク酸ナトリウム;またはムスカリン受容体(M1、M2、およびM3)アンタゴニストとの組み合わせに関する。
【0039】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、インシュリン様成長因子 タイプI(IGF−1)模倣薬との組み合わせに関する。
本発明は、さらに、本発明の化合物と、全身性の副作用の減少を伴う吸入グルココルチコイド、例えばプレドニゾン、プレドニゾロン、フルニソリド、トリアムシノロン アセトニド、ベクロメタゾン ジプロピオネート、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン、およびフランカルボン酸モメタゾンとの組み合わせに関する。
【0040】
本発明の化合物は、さらに、本発明の化合物を、マトリックス・メタロプロテイナーゼ(MMP)、すなわちストロメライシン、コラゲナーゼ、およびゼラチナーゼ、およびアグリカナーゼ;特にコラゲナーゼ−1(MMP−1)、コラゲナーゼ−2(MMP−8)、コラゲナーゼ−3(MMP−13)、ストロメライシン−1(MMP−3)、ストロメライシン−2(MMP−10)、およびストロメライシン−3(MMP−11)、およびMMP−12の阻害剤との組み合わせに関する。
【0041】
本発明は、さらに、本発明の化合物の、別のケモカイン受容体機能の、例えばCCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、およびCCR11(C−Cファミリーにおいて);CXCR1、CXCR3、CXCR4、およびCXCR5(C−X−Cファミリーにおいて)、およびC−X−CファミリーにおいてCXCR1のモジュレーターとの組み合わせに関する。
【0042】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、抗ウイルス薬、例えばヴィラセプト(Viracept)、AZT、アシクロビル(aciclovir)、およびファムシクロビル(famciclovir)との、および抗敗血症化合物、例えば Valant との組み合わせに関する。
【0043】
本発明はなおさらに、本発明の化合物と、心血管薬(例えばカルシウムチャネル遮断薬)の、脂質低下薬(例えばスタチン)、フィブラート、β−遮断薬、Ace阻害剤、アンギオテンシン−2受容体アンタゴニスト、および血小板凝集阻害剤との組合せに関する。
【0044】
本発明はなおさらに、本発明の化合物と、CNS剤(例えば抗鬱薬(例えばセルトラリン))、抗パーキンソン病薬(例えばデプレニル、L−ドーパ、Requip、Mirapex、MAOB阻害剤(例えばセレギン(selegine)およびラサジリン(rasgiline))、comP阻害剤(例えばTasmar)、A−2阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、ドーパミンアゴニスト、および神経型一酸化窒素合成酵素阻害剤)、および抗アルツハイマー病薬(例えばドネペジル)、タクリン、COX−2阻害剤、プロペントフィリン、またはメトリフォネート(metryfonate)との組合せに関する。
【0045】
本発明はなおさらに、本発明の化合物と、(i)トリプターゼ阻害剤;(ii)血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;(iii)インターロイキン変換酵素(ICE)阻害剤;(iv)IMPDH阻害剤;(v)VLA−4アンタゴニストを含む接着分子阻害剤;(vi)カテプシン;(vii)MAPキナーゼ阻害剤;(viii)グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤;(ix)キニン−B.sub1.およびB.sub2.−受容体アンタゴニスト;(x)抗痛風薬、例えば、コルヒチン;(xi)キサンチンオキシダーゼ阻害剤、例えば、アロプリノール;(xii)尿酸排泄薬、例えば、プロベネシド、スルフィンピラゾン、およびベンズブロマロン;(xiii)成長ホルモン分泌促進薬;(xiv)トランスフォーミング増殖因子(TGFβ);(xv)血小板由来増殖因子(PDGF);(xvi)繊維芽細胞増殖因子、例えば、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF);(xvii)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);(xviii)カプサイシンクリーム;(xix)NKP−608C;SB−233412(タルネタント(talnetant));およびD−4418からなる群から選択されるタキキニンNK.sub1.およびNK.sub3.受容体アンタゴニスト;(xx)UT−77およびZD−0892からなる群から選択されるエラスターゼ阻害剤;(xxi)TNFδ変換酵素阻害剤(TACE);(xxii)誘導型一酸化窒素合成酵素阻害剤(iNOS);または(xxiii)TH2細胞で発現される化学誘引物質受容体相同分子(chemoattractant receptor-homologous molecule)(CRTH2アンタゴニスト)との組合せに関する。
【0046】
本発明の化合物はまた、骨粗鬆症薬(例えばラロキシフェン(roloxifene)、ドロロキシフェン(droloxifene)、ラソフォキシフェン(lasofoxifene)またはフォサマックス(fosomax))、および免疫抑制剤(例えばFK−506、ラパマイシン、シクロスポリン、アザチオプリン、およびメトトレキサート)と組み合わせて用い得る。
【0047】
本発明の化合物はまた、既存の骨関節炎処置用治療薬と組み合わせて用い得る。組み合わせて用いるのに適切な薬剤は、標準的な非ステロイド抗炎症薬(以下、NSAID)、例えば、ピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸(例えばナプロキセン、フルルビプロフェン(flubiprofen)、フェノプロフェン、ケトプロフェン、およびイブプロフェン)、フェナム酸塩(例えばメフェナム酸)、インドメタシン、スリンダック、アパゾン、ピラゾロン(例えばフェニルブタゾン)、サリチレート(例えばアスピリン)、COX−2阻害剤(例えばセレコキシブ、バルデコキシブ(valdecoxib)、ロフェコキシブ、およびエトリコキシブ(etoricoxib))、鎮痛剤、および関節内治療薬(例えばコルチコステロイド、およびヒアルロン酸(例えば Hyalgan および Synvisc))、およびP2X7受容体アンタゴニスト)を含む。
【0048】
本発明の化合物はまた、既存の癌処置用治療薬と組み合わせて用い得る。組み合わせて用いるのに適切な薬剤は、以下を含む:
(i) 医学的腫瘍学に用いるものとしての抗増殖/抗腫瘍薬およびその組合せ、例えば、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロランブシル、ブスルファン、およびニトロソ尿素);抗代謝物質(例えば、5−フルオロウラシルおよびテガフールのようなフルオロピリミジン類などの抗葉酸代謝薬、ラルチトレキセド(raltitrexed)、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素、ゲムシタビン、およびパクリタキセル(タキソール(登録商標)));抗腫瘍抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、およびミトラマイシン(mithramycin)のようなアントラサイクリン類);有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビン(vinorelbine)のようなビンカアルカロイド類、ならびにタキソールおよびタキソテールのようなタキソイド類);およびトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシド(teniposide)、アムサクリン、トポテカン、およびカンプトテシンのようなエピポドフィロトキシン類);
(ii) 細胞分裂停止剤(例えば、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンおよびヨードキシフェン(iodoxyfene))、エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(例えば fulvestrant)、抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド(nilutamide)、および酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニスト、またはLHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン、リュープロレリンおよびブセレリン)、プロゲストーゲン類(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール(letrozole)、ボラゾール(vorazole)、およびエキセメスタン)、および5α−レダクターゼ阻害剤(例えばフィナステリド);
(iii) 癌細胞の浸潤を阻害する薬剤(例えば、マリマスタットのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体機能の阻害剤);
(iv) 成長因子機能阻害剤、例えば成長因子抗体、成長因子受容体抗体 (例えば抗erbb2抗体 トラスツズマブ [Herceptin(商標)]、および抗erbb1抗体 セツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、およびセリン/トレオニン・キナーゼ阻害剤、例えば上皮細胞成長因子ファミリーの阻害剤(例えばEGFRファミリー・チロシンキナーゼ阻害剤、例えば −(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(gefitinib, AZD1839)、−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(erlotinib, OSI 774)、および6−アクリルアミド−−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI 1033))、例えば血小板誘導成長因子ファミリーの阻害剤、および例えば肝細胞成長因子ファミリーの阻害剤;
(v) 抗血管新生剤(例えば血管内皮成長因子を阻害するもの(例えば抗血管内皮細胞成長因子抗体ベバシズマブ(bevacizumab)[Avastin(商標)])、例えば国際特許出願 WO 97/22596、WO 97/30035、WO 97/32856、および WO 98/13354 に開示された化合物)、および他の機構によって働く化合物(例えば、リノマイド、インテグリンαvβ3機能の阻害剤およびアンジオスタチン);
(vi) 血管損傷剤(例えば Combretastatin A4)、および国際特許出願 WO 99/02166、WO00/40529、WO 00/41669、WO01/92224、WO02/04434、および WO02/08213 に開示されている化合物;
(vii) アンチセンス療法、例えば上記標的を指向するもの、例えば ISIS 2503、抗rasアンチセンス;
(viii) 遺伝子療法アプローチ(例えば異常な遺伝子を置換するアプローチ(例えば異常なp53、または異常な BRCA1 もしくは BRCA2)を含む)、GDEPT(遺伝子指定酵素プロドラッグ療法)アプローチ(例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌のニトロ還元酵素を用いるもの)、および化学療法または放射線療法に対する患者の耐性を高めるアプローチ(例えば多剤耐性遺伝子療法)を含む;ならびに
(ix) 免疫療法アプローチ(患者の腫瘍細胞の免疫原性を高める ex vivo および in vivo アプローチ(例えばサイトカイン類(例えばインターロイキン−2、インターロイキン−4、または顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子)でのトランスフェクション)を含む)、T細胞アネルギーを低下させるアプローチ、トランスフェクト免疫細胞を用いるアプローチ(例えばサイトカイン−トランスフェクト樹状細胞)、サイトカイン−トランスフェクト腫瘍細胞系を用いるアプローチ、および抗イディオタイプ抗体を用いるアプローチ;
を含む。
【0049】
本発明は、さらに、下記の実施例の記載によって説明される。実施例において、核磁気共鳴スペクトル(NMR)を Varian Unity Inova 300 もしくは 400 MHz spectrometer で測定し、質量分析(MS)を、Agilent MSD spectrometer で測定した。必要であれば、反応を窒素の不活性雰囲気下で行った。クロマトグラフィーは、一般的に、フラッシュ・シリカゲル・クロマトグラフィーに適切な、Matrex Silica 60(登録商標) (35−70ミクロン)、または Prolabo シリカゲル 60(登録商標) (35-70ミクロン)を用いて行った。高速液体クロマトグラフィーによる精製は、Gilson Auto-Purification System を用いて行った。実施例中の略号 m.p. およびDMSOは、それぞれ融点およびジメチルスルホキシドを意味する。化合物は、 ACD/labs 6.0 naming programme を用いて命名した。
【実施例】
【0050】
実施例1
5−[[(2,3−ジフルオロフェニル)メチル]チオ]−7−[[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)−1−メチルエチル]アミノ]−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2(3H)−オン
a)6−アミノ−2−[[(2,3−ジフルオロフェニル)メチル]チオ]−4(3H)−ピリミジノン
4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン一水和物(7.1g)を、一度に、撹拌しながら、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(70ml)中の60% 水素化ナトリウム(2.4g)の懸濁液に加えた。1時間後、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(10ml)中の臭化 2,3−ジフルオロベンジル(10g)の溶液を加えた。週末にわたって室温で撹拌した。氷/水に注ぎ、沈殿物を濾過によって集め、9.6gの生成物を得た。
収率81%。
MS (APCI) (+ve) 270 (M+H, 94%).
【0051】
b)4−アミノ−2−[[(2,3−ジフルオロフェニル)メチル]チオ]−1,6−ジヒドロ−6−オキソ−5−ピリミジニル エステル チオシアン酸
N,N−ジメチルホルムアミド(583ml)中の段階(a)の生成物(28g)およびチオシアン酸カリウム(40.5g)を、一緒に65℃で加熱した。ピリジン(14.5ml)を加え、溶液を5℃に冷却した。臭素(5.0ml)をゆっくりと加え、反応混合物を5〜10℃で2時間撹拌した。反応混合物を氷水(4200ml)に注ぎ、1時間撹拌し、固体を濾過によって集め、水とエーテルで洗浄し、24gの生成物を得た。収率70%。
MS (APCI) (+ve) 327 (M+H).
【0052】
c)2−アミノ−5−[[(2,3−ジフルオロフェニル)メチル]チオ]−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7(6H)−オン
段階(b)の生成物(12.1g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(70ml)と、水(20ml)の混合物を、120℃で24時間加熱した。無色の固体が溶液から沈殿し、それを放置して冷却し、固体を濾過によって集め、8.3gの生成物を得る。収率70%。
MS (APCI) (+ve) 327 (M+H).
【0053】
d)7−クロロ−5−[[(2,3−ジフルオロフェニル)メチル]チオ]−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2−アミン
段階(c)の生成物(10.0g)を塩化ホスホリル(55ml)に懸濁した。N,N−ジメチルアニリン(5.5ml)をゆっくりと加え、反応混合物を2時間還流した。放置して冷却し、次に勢いよく撹拌しながら氷に注いだ。温度は、45℃以上とならないようにした(氷を加えた)。約20分後、温度を30℃で安定化した。形成した固体を濾過によって集め、水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(EtOAcからEtOAc中5% MeOH)によって精製し、3.34gの生成物を得る。収率31%。
MS: APCI (+ve) 345 (M+H).
【0054】
e)2−[[2−アミノ−5−[[(2,3−ジフルオロフェニル)メチル]チオ]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7−イル]アミノ]−2−メチル−1,3−プロパンジオール
段階(d)の生成物(1.5g)をNMP(10ml)に懸濁し、次にHunigs塩基(1.5ml)と2−アミノ−2−メチルプロパンジオール(1.37g)を加えた。反応混合物を110℃でN下で4時間加熱した。2−アミノ−2−メチルプロパンジオール(0.685g)のさらなるアリコートを加え、混合物を110℃で5時間加熱した。混合物を水(400ml)に注ぎ、固体を精製によって集めた。カラムクロマトグラフィー(EtOAc:メタノール(95:5))によって精製し、0.756gの生成物を得た。収率42%。
MS: APCI (+ve) 414 (M+H).
【0055】
f)2−[[2−クロロ−5−[[(2,3−ジフルオロフェニル)メチル]チオ]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7−イル]アミノ]−2−メチル−1,3−プロパンジオール
段階(e)の生成物(0.485g)を、濃HCl(18ml)に懸濁した。それを次に15℃に冷却した。水(15ml)とアセトニトリル(25ml)の混合物を加え、溶液を得た。5℃に冷却し、水(1ml)中の亜硝酸ナトリウム(0.162g)の溶液を滴下した。5℃で数時間撹拌し、次に終夜温めた。溶液を−10℃に冷却し、アンモニアで中和し、次に真空で濃縮した。黄色の沈殿物を濾過によって集め、水で洗浄した。真空で乾燥し、0.339gの生成物を得た。収率67%。
MS: APCI (+ve) 433 (M+H).
【0056】
g)2−[[5−[[(2,3−ジフルオロフェニル)メチル]チオ]−2−メトキシチアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7−イル]アミノ]−2−メチル−1,3−プロパンジオール
段階(f)の生成物(0.339g)をメタノール(32ml)に懸濁した。水酸化カリウム(0.088g)を加え、混合物を50℃で20分間撹拌した。2N HClで中和し、溶媒を真空で除去し、橙色の残渣を得た。水を加えて無機物を除き、黄色の固体を濾過によって集め、0.3gの望ましい生成物を得た。収率90%。
MS: APCI (+ve) 429 (M+H).
【0057】
h)5−[[(2,3−ジフルオロフェニル)メチル]チオ]−7−[[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)−1−メチルエチル]アミノ]−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2(3H)−オン
段階(g)の生成物(0.3g)を、ジオキサン(50ml)と濃HCl(1ml)の混合物に懸濁した。水(1ml)を加え、得られた溶液を60℃で12時間加熱した。週末にわたって放置した。溶媒を真空で除去し、残渣を水に溶かした。黄色の沈殿物を濾過によって集め、水で洗浄した。分取Hplc(アセトニトリル:0.1% 酢酸アンモニウム(90:10から95:5))を用いて、25分にわたって精製し、0.063gの望ましい生成物を得た。収率22%。
MS: APCI (+ve) 415 (M+H).
1H NMR: δ (DMSO) 1.25 (3H, s), 3.54-3.66 (4H, m), 4.39 (2H, s), 4.65-4.69 (2H, t), 6.34 (1H, s), 7.12-7.20 (1H, m), 7.29-7.41 (2H, m), 12.43 (1H, s).
mp 230-233 ℃.
【0058】
実施例2
5−[[(2,3−ジフルオロフェニル)メチル]チオ]−7−[[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)−1−メチルエチル]アミノ]−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2(3H)−オン, 一ナトリウム塩
実施例1の段階(h)の生成物(0.87g)を、水(80ml)に懸濁し、1.0M 水酸化ナトリウム(3.0ml)を加え、次にメタノール(15ml)を加え、混合物を蒸気浴で加熱した。溶解がほぼ完了したら、混合物を熱濾過し、濾液を終夜冷蔵し、濾過後綿状の白色の沈殿物を得た。これを、真空オーブン中で、50℃で、終夜乾燥した(0.60g)。
MS: APCI (+ve) 415 (M+H).
1H NMR: δ (DMSO) 1.23 (3H, s), 3.47-3.58 (4H, m), 4.37 (2H, s), 4.94 (2H, t), 5.29 (1H, s), 7.14 (1H, m), 7.31 (1H, m), 7.35 (1H,m).
mp 238℃ (分解).
【0059】
薬理学的データ
リガンド結合アッセイ
2,000Ci/mmolの比活性を有する[125I]IL−8(ヒト, リコンビナント)を Amersham, U.K. から購入した。全ての他の化学薬品も分析用であった。高レベルのhrCXCR2を、HEK 293細胞(ヒト胎児腎臓 293細胞 ECACC No. 85120602)中で発現した(Lee et al. (1992) J. Biol. Chem. 267 pp.16283-16291)。hrCXCR2 cDNAを増幅し、ヒトの好中球のmRNAからクローニングした。DNAをPCRスクリプト(Stratagene)にクローニングし、クローンをDNAを用いて同定した。コード配列を真核生物の発現ベクター RcCMV (Invitrogen)にサブクローニングした。プラスミドDNAを、Quiagen Megaprep 2500 を用いて製造し、Lipofectamine reagent (Gibco BRL)を用いて、HEK 293細胞にトランスフェクトした。最も高くクローンを発現した細胞を、0.2%(w/v)エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)を含むリン酸緩衝食塩水に集め、遠心分離した(200G, 5分)。細胞ペレットを氷冷したホモジニゼーション緩衝液[10mM HEPES(pH7.4), 1mM ジチオスレイトール(threitol), 1mM EDTA、およびプロテアーゼ阻害剤のパネル(1mM フッ化フェニルメチルスルホニル, 2μg/ml 大豆トリプシン阻害剤, 3mM ベンズアミジン, 0.5μg/ml ロイペプチン、および100μg/ml バシトラシン)]中で再度懸濁し、細胞を10分間膨潤させた。細胞調整液を手持ちガラスモーター/PTFE 乳棒ホモジナイザーを用いて破砕し、細胞膜を遠心分離(45分間, 100,000G, 4℃)によって得た。Tyrode's 塩溶液(137mM NaCl, 2.7mM KCl, 0.4mM NaHPO)、0.1%(w/v) ゼラチン、および10%(v/v) グリセロールを加えたホモジニゼーション緩衝液中で、膜調整液を−70℃で保存した。
【0060】
全てのアッセイは、96−ウェル MultiScreen 0.45μm 濾過プレート (Millipore, U.K.) 中で行った。全てのアッセイは、アッセイ緩衝液[10mM HEPES(pH7.4), 1.8mM CaCl, 1mM MgCl, 0.125mg/ml バシトラシン, および0.1%(w/v) ゼラチンを含む Tyrode's 塩溶液]中の、〜50pMの[125I]IL−8および膜(〜200,000細胞に等しい)を含む。さらに、実施例に記載の式(I)の化合物をDMSOに前もって溶解し、そして最終濃度が1%(v/v)のDMSOになるよう加えた。アッセイは、膜の添加から開始し、室温で1.5時間後、膜を Millipore MultiScreen vacuum manifold を用いて、濾過によって集め、アッセイ緩衝液(バシトラシンを含まない)で2回洗浄した。 backing plate を MultiScreen plate assembly から除き、室温でフィルターを乾燥し、穴をあけ、次に Cobra γ−カウンターで計数した。
式(I)の化合物は、10μM未満のIC50値を有する。
【0061】
細胞間カルシウム流動アッセイ
ヒトの好中球を、以前に記載された通りに、保存緩衝液[5.7mM グルコース、および10mM HEPES(pH 7.4)を含む、Tyrode's 塩溶液(137mM NaCl, 2.7mM KCl, 0.4mM NaHPO)]中、EDTA処理した末梢血から得た(Baly et al. (1997) Methods in Enzymology 287 pp.70-72)。
【0062】
ケモカイン GROα(ヒト, リコンビナント)は、R and D Systems (Abingdon, U.K.)から購入した。全ての他の薬品は、分析用グレードであった。細胞間の遊離のカルシウムにおける変化を、以前に記載されたように(Merritt et al. (1990) Biochem. J. 269, pp513-519)、カルシウム感受性蛍光染料であるfluo−3で好中球に負荷をかけることによって、蛍光測定で測定した。細胞は、1時間、37℃で、5μM fluo−3 AM エステルを含む負荷緩衝液(0.1%(w/v)ゼラチンを含む保存緩衝液)中で負荷をかけ、負荷緩衝液で洗浄し、そして5.7mM グルコース, 0.1%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA), 1.8mM CaCl, および1mM MgClを含む Tyrode's 塩溶液中で再度懸濁した。細胞は、壁面が黒色で透明な底部を有する96ウェルマイクロプレート(Costar, Boston, U.S.A.)中にピペッティングし、遠心分離した(200G, 5分間, 室温)。
【0063】
実施例に記載の式(I)の化合物は、DMSO中に前もって溶解し、最終濃度0.1%(v/v) DMSOになるよう加えた。GROαをA50濃度加えることによってアッセイを開始し、fluo−3蛍光(λEx=490nm, およびλEm=520nm)の一過性の増大を、FLIPR(Fluorometric Imaging Plate Reader, Molecular Devices, Sunnyvale, U.S.A.)を用いてモニターした。
式(I)の化合物を試験し、ヒトの好中球におけるCXCR2受容体のアンタゴニストであることを見出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物、およびその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
治療に使用するための、請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
喘息、アレルギー性鼻炎、COPD、炎症性腸疾患、骨関節炎、骨粗鬆症、リウマチ性関節炎、または乾癬を処置する医薬として使用するための、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは in vivo で加水分解可能なエステル。
【請求項4】
癌を処置する医薬として使用するための、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは in vivo で加水分解可能なエステル。
【請求項5】
治療に使用するための医薬の製造における、請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩 もしくは溶媒和物の使用。
【請求項6】
ケモカインが1個以上のケモカイン受容体に結合するケモカイン介在疾患を処置する方法であって、治療上有効な量の請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物を、患者に投与することを含む方法。
【請求項7】
炎症性疾患に罹患している もしくはそのリスクがある患者において、炎症性疾患を処置する方法であって、請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩 もしくは溶媒和物を、治療上有効な量で、該患者に投与することを含む方法。
【請求項8】
血管新生がCXCR2ケモカイン・レベルの上昇に関連する疾患、もしくは該疾患のリスクがある状態を処置する方法であって、請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩 もしくは溶媒和物を、治療上有効な量で、該患者に投与することを含む方法。
【請求項9】
式(I)の化合物の製造方法であって、式(II):
【化2】

[式中、RがC1−6アルキルである]の化合物を、酸と反応させること;
そして所望によりその後に、薬学的に許容される塩を形成することを含む方法。
【請求項10】
式(1)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは in vivo で加水分解可能なエステル、または式(1)の化合物を含む医薬組成物もしくは製剤を他の治療および/または別の医薬物質と、同時にもしくは連続して、投与することを含む組み合わせ治療。
【請求項11】
喘息、アレルギー性鼻炎、COPD、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、骨関節炎、骨粗鬆症、リウマチ性関節炎、または乾癬を処置するための、請求項10に記載の組み合わせ治療。
【請求項12】
癌を処置するための、請求項10に記載の組み合わせ治療。
【請求項13】
薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、もしくは担体と組み合わせた、請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、もしくは溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項14】
喘息、アレルギー性鼻炎、COPD、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、骨関節炎、骨粗鬆症、リウマチ性関節炎、または乾癬を処置するための、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
癌を処置するための、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩 もしくは溶媒和物を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、もしくは担体と混合することを含む、請求項13に記載の医薬組成物の製造方法。

【公表番号】特表2006−503835(P2006−503835A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537276(P2004−537276)
【出願日】平成15年9月16日(2003.9.16)
【国際出願番号】PCT/GB2003/003998
【国際公開番号】WO2004/026880
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】