説明

新規化合物

【課題】抗生物質活性に関して化合物をスクリーニングするのに有用な因子、およびそのアンタゴニストおよびアゴニスト、さらにそれらのスクリーニング法を提供する。
【解決手段】(a)特定のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド;(b)(a)のポリヌクレオチドに対して相捕的なポリヌクレオチド;(c)寄託株のストレプトコッカス・ニューモニアエ中に含まれるRF−1(ペプチド放出因子)遺伝子およびそれと少なくとも70%の相同性を有するポリヌクレオチド;(d)(a〜c)のポリヌクレオチド中の少なくとも15個の連続した塩基配列を含む単離ポリヌクレオチド、ならびにそれによりコードされるポリペプチド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新たに同定されたポリヌクレオチドおよびポリペプチド、ならびにそれらの製造および使用、ならびにそれらの変種、アゴニストおよびアンタゴニスト、そしてそれらの使用に関する。詳細には、これらの点および他の点に関して、本発明は、RF−1ファミリーの新規ポリヌクレオチドおよびポリペプチド(以下、「RF−1」という)に関する。
【背景技術】
【0002】
ストレプトコッカス属(Streptococci)は医学的に重要な微生物属を形成しており、ヒトにおいて、例えば中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄膜炎、静脈洞炎、膿胸および心内膜炎、最も詳細には例えば脳脊髄液の感染のごとき髄膜炎を包含する、いくつかの型の疾患を引き起こすことが知られている。ストレプトコッカス属の単離から100年以上も経過しているため、ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae)は、より詳細な研究がなされた微生物の一つである。例えば、事実、DNAが遺伝物質であるという初期の見解の大部分は、この微生物を用いたGriffithならびに、Avery、MacleodおよびMcCartyの研究において述べられた。ストレプトコッカス・ニューモニアエに関する研究は膨大であるにも関わらず、この微生物の毒性に関しては多くの疑問が残されている。抗生物質の開発のための標的としてストレプトコッカス属の遺伝子および遺伝子産物を用いるのはとりわけ好ましいことである。
【0003】
ストレプトコッカス・ニューモニアエ感染の頻度は過去20年間に劇的に上昇している。これは多重抗生物質耐性株の出現、および免疫系が低下した人の集団の増加に起因している。いくつかのまたは全ての標準的な抗生物質に対して耐性を有するストレプトコッカス・ニューモニアエ株を単離することはもはやめずらしいことではない。この現象がこの生物に対する新しい抗菌剤、ワクチンおよび診断試験についての必要性を形成した。
【0004】
ペプチド放出因子prfA(RF−1)は、細菌における蛋白合成の終結に必要な3つの因子のうちの1つである。ユニークなストップコドンの認識により、RF−1はリボソームに結合し、加水分解機能のリボソームスイッチングのペプチジルトランスフェラーゼ中心を生じ、完成したポリペプチド鎖を除去する(非特許文献1)。エス・チフィムリウム(S. typhimurium)のprfAにおける変異は、新規調節回路により細胞分裂を阻害することが示されており(非特許文献2)、それゆえ、我々はRF−1を適切な抗細菌標的として提案する。
【非特許文献1】Tuite & Stansfield, 1994: Mol Biol Rep 19(3) 171-181
【非特許文献2】Olaffson et al 1996: J. Bacteriol 178(13) 3829-39
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
明らかに、抗生物質活性に関して化合物をスクリーニングするのに有用であるという目下の利益を有する、本発明新規化合物のごとき因子に対する必要性がある。かかる因子は、感染、機能不全および疾病の発生におけるそれらの役割を調べるのにも有用である。感染、機能不全または疾病の予防、改善または修正において役割を果たしうる、かかる因子ならびにそれらのアンタゴニストおよびアゴニストに対する必要性もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
表1(配列番号:2)に示すアミノ酸配列および既知アミノ酸配列またはバチルス・ズブチリスのRF−1蛋白のごとき他の蛋白の配列の間の相同性により、新規RF−1ポリペプチドであると同定されたポリペプチド提供することが本発明の目的である。
【0007】
RF−1ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド、詳細には本明細書でRF−1と命名されたポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを提供することが本発明のさらなる目的である。
【0008】
本発明の特に好ましい具体例において、ポリヌクレオチドは、表1(配列番号:1)に示す配列を含むRF−1ポリペプチドをコードする領域を含み、全長遺伝子またはその変種が包含される。
【0009】
本発明のもう1つの特に好ましい具体例において、表1(配列番号:2)のアミノ酸配列を含むストレプトコッカス・ニューモニアエ由来の新規RF−1蛋白、またはその変種がある。
【0010】
本発明のもう1つの態様によれば、寄託株に含まれるストレプトコッカス・ニューモニアエ0100993株により発現可能な成熟ポリペプチドをコードしている単離核酸分子が提供される。
【0011】
本発明のさらなる態様は、RF−1、詳細にはストレプトコッカス・ニューモニアエのRF−1をコードしている単離核酸分子が提供され、それにはmRNA、cDNA、ゲノムDNAが包含される。本発明のさらなる具体例は、生物学的、診断学的、予防的、臨床的もしくは治療的に有用なその変種、およびそれらを含む組成物を包含する。
【0012】
本発明のもう1つの態様によれば、治療または予防を目的とした、特に遺伝学的免疫を目的とした、本発明ポリヌクレオチドの使用が提供される。本発明の特に好ましい具体例には、RF−1の天然に存在する対立遺伝子変種およびそれによりコードされるポリペプチドがある。
【0013】
本発明のもう1つの態様において、本明細書においてRF−1と称されるストレプトコッカス・ニューモニアエの新規ポリペプチド、ならびに生物学的、診断学的、予防的、臨床的もしくは治療的に有用なそのフラグメント、変種および誘導体、および前記したフラグメントおよびアナログの変種および誘導体、およびそれらを含む組成物が提供される。
【0014】
本発明の特に好ましい具体例には、RF−1遺伝子の天然に存在する対立遺伝子によりコードされるRF−1ポリペプチドの変種がある。
【0015】
本発明の好ましい具体例において、上記RF−1ポリペプチドの製造方法がある。
【0016】
本発明のさらに別の態様によれば、例えば、抗体を含め、抗細菌剤として有用なかかるポリペプチドの阻害剤が提供される。
【0017】
本発明の特定の好ましい具体例によれば、RF−1発現の評価、疾病の治療、例えば中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄膜炎、静脈洞炎、膿胸および心内膜炎、最も詳細には例えば脳脊髄液の感染のごとき髄膜炎の治療、遺伝学的変異のアッセイ、ならびに細菌、特にストレプトコッカス・ニューモニアエ細菌に対する免疫学的応答を生起するための生物へのRF−1ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの投与のための、製品、組成物および方法が提供される。
【0018】
本発明のこのおよび他の態様の特定の好ましい具体例によれば、特に、厳密な条件下でRF−1ポリヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドが提供される。
【0019】
本発明の特定の好ましい具体例において、RF−1ポリペプチドに対する抗体が提供される。
【0020】
本発明の他の具体例において、本発明ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの結合、あるいは相互作用して、それらの活性を阻害または活性化する化合物の同定方法が提供され、該方法は、化合物とポリペプチドまたはポリヌクレオチドとの間の結合あるいは他の相互作用を可能にする条件下で、本発明ポリペプチドまたはポリヌクレオチドをスクリーニングすべき化合物と接触させて、化合物との結合あるいは他の相互作用を評価し(かかる結合または相互作用は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドと化合物との結合あるいは相互作用に応答して検出可能なシグナルを提供することのできる第2の化合物に関連している)、次いで、化合物とポリペプチドまたはポリヌクレオチドとの結合または相互作用から生じるシグナルの存在または不存在を検出することにより、化合物がポリペプチドまたはポリヌクレオチドに結合あるいは相互作用して、それらの活性を活性化または阻害するかどうかを決定することを含む。
【0021】
本発明のさらにもう1つの態様によれば、RF−1のアゴニストおよびアンタゴニスト、好ましくは静細菌性または殺細菌性アゴニストおよびアンタゴニストが提供される。
【0022】
本発明のさらなる態様において、単細胞または多細胞生物に投与するための、RF−1ポリヌクレオチドまたはRF−1ポリペプチドを含む組成物が提供される。
【0023】
開示した本発明の精神および範囲内での種々の変更および修飾は、以下の記載を読むこと、および本明細書のその他の部分を読むことにより、当業者に容易に明らかとなろう。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)のRF−1蛋白に対するアミノ酸配列相同性を有する新規ポリペプチド、それをコードするポリヌクレオチドが得られる。それらを用いて動物の疾病を治療することができ、あるいは治療薬をスクリーニングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下の説明は、本明細書、とりわけ実施例において汎用される特定の用語の理解を容易にするために示すものである。
【0026】
「宿主細胞」は外来性ポリヌクレオチド配列により形質転換もしくはトランスフェクションされた、または形質転換またはトランスフェクションすることのできる細胞である。
【0027】
当該分野にて周知であるように「同一性」は、配列を比較して測定されるような、二つまたはそれ以上のポリペプチド配列間または二つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該分野において、「同一性」とはまた、時には、かかる配列の2つの鎖の間の合致により決定されるような2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の関連性の程度をも意味する。「同一性」および「類似性」はともに既知方法により容易に算出できる(Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.編、オックスフォード・ユニバーシティー・プレス、ニューヨーク、1988年;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.編、アカデミック・プレス、ニューヨーク、1993年;Computer Analysis of Sequence Data,パートI,Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.編、ヒューマナ・プレス、ニュージャージー、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.、アカデミック・プレス、1987年;およびSequence Analysis Primer,Gribskov,M.およびDevereux,J.編、Mストックトン・プレス、ニューヨーク、1991年;およびCarillo,H.,およびLipman,D.,SIAM J., Applied Math., 48:1073(1988)があるがこれらに限らない)。同一性を決定するための好ましい方法は、試験する2つの配列間で最も良く適合するように設計される。同一性および類似性を測定する方法は、公に利用できるコンピュータープログラムに集成されている。二つの配列間の同一性および類似性を測定する好ましいコンピュータープログラム法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.ら、Nucleic Acids Research 12(1):387(1984)、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Atschul,S.F.ら、J.Molec.Biol.215:403(1990)))を包含するが、これらに限定されるものではない。一例として、配列番号:1の対照ヌクレオチド配列に対して、例えば少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを挙げると、そのポリヌクレオチド配列が配列番号:1の対照ヌクレオチド酸配列のヌクレオチド100個ごとに5個までのヌクレオチドの変化を含みうることを除き、そのポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は対照配列と同一である。言い換えると、対照酸配列に対して少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリペプチドを得るためには、対照配列中の5%までのヌクレオチドが欠失または別のヌクレオチドと置換されていてもよく、あるいは対照配列中の全ヌクレオチドのうち5%までの数のヌクレオチドが対照配列に挿入されたものであってもよい。対照配列のこれらの変異は、対照ヌクレオチド配列の5’または3’末端位置に存在していてもよく、あるいはそれらの末端位置の間のいずれかの位置に存在していてもく、対照配列のヌクレオチドに散在していてもよく、あるいは対照配列内の1個またはそれ以上の一連の群となっていてもよい。同様に、配列番号:2の対照アミノ酸配列に対して少なくとも例えば95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを例に挙げると、そのポリペプチド配列が配列番号:2の対照アミノ酸配列のアミノ酸100個ごとに5個までのアミノ酸の変化を含みうることを除き、そのポリペプチドのアミノ酸配列は対照配列と同一である。言い換えると、対照アミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るためには、対照配列中のアミノ酸の5%までが欠失または他のアミノ酸と置換していてもよく、あるいは対照配列中の全アミノ酸のうち5%までの数のアミノ酸が対照配列中に挿入されたものであってもよい。対照配列におけるこれらの変化は、対照アミノ酸配列のアミノまたはカルボキシ末端位置に存在してもよく、あるいはそれらの末端間のいずれかの位置に存在してもよく、対照配列中に散在していてもよく、あるいは対照配列内で1個またはそれ以上の一連の群をなしていてもよい。
【0028】
「単離」とは、「人の手によって」天然の状態から変化させられた、すなわち、天然物の場合、その本来の環境から変化または除去あるいはその両方が行われたことを意味する。例えば、天然において生体に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、「単離」されていないが、その天然状態で共存する物質から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本明細書に用いる用語としての「単離」がなされている。
【0029】
「ポリヌクレオチド(複数でも可)」は、一般に、修飾されていないRNAもしくはDNA、または修飾されたRNAもしくはDNAであってよい、ポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドをも意味する。従って、「ポリヌクレオチド」は、とりわけ一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物または一本鎖、二本鎖および三本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖もしくはより典型的には二本鎖もしくは三本鎖、または一本鎖および二本鎖領域の混合物であってもよいDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子を包含するがこれらに限らない。加えて、本明細書で用いる「ポリヌクレオチド」は、RNAもしくはDNAまたはRNAとDNAの両方を含む三本鎖領域を意味する。かかる領域における鎖は同一の分子または異なる分子由来のものでよい。この領域はこれらの分子の一つまたはそれ以上の全てを含んでいてもよいが、より典型的にはいくつかの分子の一領域のみを含む。三重らせん領域の分子の一つは、オリゴヌクレオチドであることがしばしばである。本明細書で用いる場合、「ポリヌクレオチド」なる用語は、一つまたはそれ以上の修飾した塩基を含有する、前記したDNAまたはRNAを包含する。このように、安定性または他の理由で修飾された骨格を有するDNAまたはRNAも、本明細書が意図するろところの「ポリヌクレオチド」である。さらに、イノシン等の普通でない塩基、またはトリチル化塩基等の修飾塩基を含むDNAまたはRNA(二つの例だけを示す)も、本明細書での用語ポリペプチドである。当業者に既知の多くの有用な目的を提供するDNAおよびRNAに、非常に多くの修飾がなされていることは、明らかであろう。「ポリヌクレオチド」なる用語は、本明細書で用いる場合、ポリヌクレオチドのこのような化学的、酵素的または代謝的に修飾した形態、ならびにウイルス、とりわけ単純型細胞および複雑型細胞を含む、細胞に特徴的なDNAおよびRNAの化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド」は、しばしば、オリゴヌクレオチド(複数でも可)と称される短鎖ポリヌクレオチドを包含する。
【0030】
本明細書で用いる「ポリペプチド」は、ペプチド結合により直鎖で互いに結合している2個またはそれ以上のアミノ酸を含むペプチドまたは蛋白をいうのに用いる。「ポリペプチド」は、当該分野で通常例えばペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーとも称される短鎖、および多くの型があり、当該分野で一般的に蛋白と称する長鎖の両方を意味する。ポリペプチドは、遺伝子によりコードされる20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含んでいてもよい。「ポリペプチド」は、プロセッシングおよび他の翻訳後修飾のような自然の工程により、ならびに化学修飾によるものを包含する。かかる修飾は基礎的なテキストおよびさらに詳細な論文ならびに多数の研究文献にも詳しく記載されており、これらは当業者に周知である。同じタイプの修飾がポリペプチド中にいくつかの部位に同程度または種々の程度で存在してもよいことが理解されるであろう。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノもしくはカルボキシ末端を包含するポリペプチドのいずれの場所にあってもよい。修飾としては、例えば、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋形成、シスチン形成、ピログルタミン酸塩形成、ホルミル化、ガンマー−カルボキシル化、糖鎖形成、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、蛋白加水分解プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などの転移RNA媒介の蛋白へのアミノ酸付加、およびユビキチネーションがある。例えば、Proteins-Structure and Molecular Properties、第2版、T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、ニューヨーク(1993)に記載されている。例えば、Posttranslational Covalent Modification of Proteins、B.C.Johnson編、アカデミック・プレス、ニューヨーク(1983)のWold,F., Posttranslational Protein Modifications:Perspective and Prospects、1〜12頁;Seifterら、Meth.Enzymol. 182:626-646(1990)およびRattanら、Protein Synthesis:Posttranslational Modifications and Aging,Ann. N. Y. Acad. Sci. 663:48-62(1992)参照。ポリペプチドは分枝状あるいは分枝ありまたはなしの環状であってもよい。環状、分枝状、および分枝状かつ環状のポリペプチドは、翻訳後の天然プロセスから生じるものであってもよく、同様に全く合成的な方法により製造されるものであってもよい。
【0031】
本明細書で用いる「変種」なる用語は、対照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは各々異なるポリヌクレオチドまたはポリペプチドであるが、本質的な特性は保持している。典型的なポリヌクレオチドの変種は、別の対照ポリヌクレオチドとはヌクレオチド配列が異なる。変種のヌクレオチド配列の変化は、対照ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変化させるものであってもよく、変化させないものであってもよい。以下に論じるように、ヌクレオチドの変化は結果的に、対照配列によりコードされるポリペプチドにおけるアミノ酸置換、付加、欠失、融合および末端切断を招く。典型的なポリペプチドの変種は、別の対照ポリペプチドとはアミノ酸配列が異なる。一般的には、差異は、対照ポリペプチドおよび変種の配列が、全体的に非常に類似しており、多くの領域で同一なものに限られる。変種および対照ポリペプチドは、1またはそれ以上の置換、付加、欠失が任意の組み合わせで起こることにより、アミノ酸配列が変化し得る。置換または挿入されたアミノ酸残基は、遺伝学的コードによりコードされたものであってもなくてもよい。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変種は、例えば対立遺伝子変種のような自然発生的なものでもよく、または自然発生することが知られていない変種でもよい。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの非自然発生変種は、突然変異技術または直接的合成、および当業者に知られた他の組み換え法により製造できる。
【0032】
本発明は、とりわけ、以下に非常に詳細に説明する、新規RF−1ポリペプチドおよびポリヌクレオチドに関する。詳細には、本発明は、batirusu・ズブチリスのRF−1ポリペプチドに対するアミノ酸配列相同性により関連付けられる、ストレプトコッカス・ニューモニアエの新規RF−1のポリペプチドおよびポリヌクレオチドに関する。特に本発明は、それぞれ表1(配列番号:1)および表1(配列番号:2)に示すヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を有するRF−1に関し、さらに寄託株中のDNAのRF−1ヌクレオチド配列およびそれによりコードされるアミノ酸配列に関する。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
【表4】

【0037】
寄託物質
ストレプトコッカス・ニューモニアエ 0100993株を含有する寄託物は、ナショナル・コレクション・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア・リミテッド(NCIMBという)、23ストリート、マッカードライブ、アベルディーンAB21RY、スコットランドに1996年4月11日寄託し、NCIMB受託番号40794が付与された。寄託したことにより、寄託株をストレプトコッカス・ニューモニアエ 0100993株という。1996年4月17日に、イー・コリ(E. coli)中のストレプトコッカス・ニューモニアエ0100993DNAライブラリーをNCIMBに同様に寄託し、受託番号40800を付与された。ストレプトコッカス・ニューモニアエ株寄託物を、本明細書では「寄託株」または「寄託株のDNA」という。
【0038】
寄託株は全長のRF−1遺伝子を含んでいる。寄託株中に含まれるポリヌクレオチド配列ならびにそれによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、本明細書の配列に関する任意の記載に矛盾する事象において支配的である。
【0039】
寄託株の寄託は、特許手続き上の微生物寄託の国際承認に関するブダペスト条約の条件下でなされている。特許が発行されると何らの制限または条件もなく、最終的に株は分譲される。寄託は当業者の便宜のためにのみ提供され、35U.S.C.112条のもとに要求されるような、寄託が実施可能要件であることを承認するものではない。
寄託物を製造、使用または販売するためにはライセンスが必要であるが、そのようなライセンスはここでは賦与されていない。
【0040】
ポリペプチド
本発明ポリペプチドは表1[配列番号:2]のポリペプチド(詳細には、成熟ポリペプチド)ならびにポリペプチドおよびフラグメント、詳細にはRF−1の生物学的活性を有するものを包含し、さらに表1[配列番号:2]のポリペプチドまたはその重要部分に対して少なくとも70%、好ましくは表1[配列番号:2]のポリペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドおよびフラグメント、より好ましくは表1[配列番号:2]のポリペプチドに対して少なくとも90%の類似性を有し(より好ましくは、少なくとも90%の同一性を有し)、さらにより好ましくは表1[配列番号:2]のポリペプチドに対して少なくとも95%の類似性を有する(さらにより好ましくは少なくとも95%の同一性を有する)ポリペプチドおよびフラグメント、さらに通常には少なくとも30個、より好ましくは少なくとも50個のアミノ酸を含むかかるポリペプチドの部分を包含する。
【0041】
また本発明は表1(D)に示す式のポリペプチドを包含し、式中のアミノ末端においてXは水素であり、カルボキシル末端においてYは水素または金属であり、R1およびR2はアミノ酸残基、nは1ないし1000の整数である。いずれかのR基(Rは1個よりも多い)により示されるアミノ酸残基の伸長部分はヘテロポリマーであってもホモポリマーであってもよく、好ましくはヘテロポリマーである。
【0042】
フラグメントは、前述のポリペプチドのアミノ酸配列のすべてではなく一部に対して全く同一であるアミノ酸配列を有する変種ポリペプチドである。RF−1ポリペプチドについては、フラグメントは「独立して存在(free standing)」しているか、または一部分もしくは領域を形成することにより、大型のポリペプチド内に含まれていてもよく、最も好ましくは単一の連続した領域、すなわち大型の単一ポリペプチドとして含まれる。
【0043】
好ましいフラグメントは、表1[配列番号:2]のアミノ酸配列の一部分を有する末端切断されたポリペプチド、またはそれらの変種を包含するが、その例としてはアミノ末端を含む一連の残基を切断、またはカルボキシル末端を含む一連の残基を切断したものがある。宿主、とりわけストレプトコッカス・ニューモニアエにおける、本発明のポリペプチドの分解形態もまた好ましい。また、構造的または機能的属性により特徴づけられたフラグメント、例えばアルファーヘリックスおよびアルファーヘリックス形成領域、ベータシートおよびベータシート形成領域、ターンおよびターン形成領域、コイルおよびコイル形成領域、親水性領域、疎水性領域、アルファー両親媒性領域、ベータ両親媒性領域、可変領域、表面形成領域、基質結合領域、および高抗原性指標領域を含むフラグメントなども好ましい。
【0044】
RF−1活性を媒介し、あるいは活性を改善し、望ましくない活性を減じられたフラグメントである生物学的に活性のあるフラグメントも好ましい。動物、とりわけヒトにおいて抗原的または免疫原的なフラグメントもまた含まれる。個体、特にヒトにおけるストレプトコッカス・ニューモニアエ の生存に必須の機能、あるいは疾病を開始または維持する能力を付与する酵素の受容体またはドメインを含むフラグメントが特に好ましい。
【0045】
本発明ポリペプチドのフラグメントである変種を、ペプチド合成による対応全長ポリペプチドの製造に使用してもよく、それゆえ、これらの変種を全長のポリペプチド製造のための中間体として用いてもよい。本発明ポリヌクレオチドのフラグメントである変種を用いて本発明の全長のポリヌクレオチドを合成してもよい。
【0046】
ポリヌクレオチド
本発明の別の態様は単離ポリヌクレオチドに関するものであり、それには表1[配列番号:2]の推定アミノ酸配列を有するRF−1ポリペプチドをコードする全長遺伝子およびそれに密接に関連するポリヌクレオチドおよびそれらの変種が包含される。
【0047】
本明細書に提供される情報を用いて、例えば表1[配列番号:1]に示すポリヌクレオチド配列を用い、出発物質ストレプトコッカス・ニューモニアエ 0100993細胞からの染色体DNAフラグメントをクローニングおよび配列決定するために用いるような標準的なクローニングおよびスクリーニングを用いて、RF−1ポリペプチドをコードしている本発明ポリヌクレオチドを得て、次いで、全長のクローンを得てもよい。例えば、本発明ポリヌクレオチド配列、例えば表1[配列番号:1]に示す配列を得るために、イー・コリ(E.coli)またはいくつかの他の適切な宿主におけるストレプトコッカス・ニューモニアエ 0100993の染色体DNAのクローンの典型的なライブラリーを、部分的配列に由来する、好ましくは17量体またはそれ以上の長さの放射性標識化オリゴヌクレオチドにてプローブする。プローブのDNAに同一であるDNAを担持するクローンは厳密な条件を用いて区別できる。元の配列から設計した配列決定プライマーを用いてこのように同定した個々のクローンを配列決定することにより、両方向で配列が伸長できるようになり、全遺伝子配列を決定できる。このような配列決定は便宜的にプラスミドクローンから調製した変性二本鎖DNAを用いて実施する。適切な技法については、Maniatis,T.、Fitsch,F.F.およびSambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)に記載されている(Screening By Hybridization 1.90およびSequencing Denatured Double-Stranded DNA Templates 13.70参照)。本発明の典型例において、表1[配列番号:1]に示すポリヌクレオチドが、ストレプトコッカス・ニューモニアエ 0100993由来のDNAライブラリー中に見いだされた。
【0048】
表1[配列番号:1]に示すDNA配列は、表1[配列番号:2]に示すアミノ酸残基数とほぼ同数のアミノ酸からなる蛋白をコードしている読み枠を含んでおり、蛋白の推定分子量は、当該分野でよく知られたアミノ酸の分子量を用いて算出できる。表1のDNAのスタートコドンはヌクレオチド番号1であり、アミノ酸をコードする最終コドンはヌクレオチド番号1077であり、ストップコドンはアミノ酸をコードするこの最終コドンの後に続く次のコドンである。
【0049】
本発明RF−1蛋白は、寄託株のRF−1をコードしているDNAの配列決定結果により示されるように、RF−1ファミリーの他の蛋白に構造的に関連している。本発明蛋白は、知られた蛋白の中でもバチルス・ズブチリスのRF−1蛋白に対して最大の相同性を示す。表1[配列番号:2]のRF−1蛋白は、バチルス・ズブチリス由来のRF−1ポリペプチドのアミノ酸配列に対して、その全長にわたり約59%の同一性、そしてその全長にわたり約75%の類似性を示す。
【0050】
本発明は、表1[配列番号:1]のコーディング配列に対して全長にわたり同一であるポリヌクレオチド配列を提供する。成熟ポリペプチドのコーディング配列またはそれらのフラグメント、ならびにその他のコーディング配列を有する読み枠中の成熟ポリペプチドのコーディング配列またはそのフラグメント、例えばリーダーまたは分泌配列、プレ、プロ、プレプロ蛋白配列をコードする配列も本発明により提供される。ポリヌクレオチドは、例えば、転写された非翻訳配列、終止シグナル、リボソーム結合部位、mRNAを安定化する配列、イントロン、ポリアデニル化シグナル等の転写非翻訳配列、および付加アミノ酸をコードする付加コーディング配列等の非コーディング5'および3'配列等の非コーディング配列をも含有しうるが、これらに限定するのではない。例えば、融合ポリペプチドの精製を促すマーカー配列をコードすることもできる。本発明のある好ましい態様において、マーカー配列は、pQEベクター(Qiagen, Inc.)中に提供されるようなヘキサ−ヒスチジンペプチド(Gentzら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 86:821-824(1989)に記載される)またはHAタグ(Wilsonら、Cell,37:767(1984))である。本発明のポリヌクレオチドはまた、構造遺伝子および遺伝子発現を調節する天然の配列をも含むが、これらに限定するものではない。
【0051】
本発明の好ましい具体例は、RF−1ポリペプチドをコードしている、表1の配列番号:1に示すヌクレオチド1から1077までを含むポリヌクレオチドである。
【0052】
また本発明は、表1(C)に示す式のポリヌクレオチドを包含し、式中の5’末端においてXは水素であり、3’末端においてYは水素または金属であり、R1およびR2は核酸残基、nは1ないし1000の整数である。いずれかのR基(Rは1個よりも多い)により示される核酸残基の伸長部分はヘテロポリマーであってもホモポリマーであってもよく、好ましくはヘテロポリマーである。
【0053】
上記した本明細書の用語「ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド」は、本発明ポリペプチド配列をコードする配列を含むポリヌクレオチドを包含し、詳細には、細菌のポリペプチド、より詳細には表1[配列番号:2]に示すアミノ酸配列を有するストレプトコッカス・ニューモニアエのRF−1のポリペプチドを包含する。該用語は、コーディング配列および/または非コーディング配列を含んでいてもよいさらなる領域を伴った、ポリペプチドをコードしている単一の連続領域または不連続領域(例えば、組み込まれたファージまたは配列の挿入または配列の編集により分断されたもの)を含むポリヌクレオチドを包含する。
【0054】
さらに本発明は、表1[配列番号:2]の推定アミノ酸配列を有するポリペプチドの変種をコードする上記ポリヌクレオチドの変種にも関する。本発明ポリヌクレオチドのフラグメントである変種を用いて本発明の全長ポリヌクレオチドを合成してもよい。
【0055】
さらに特に好ましい具体例は、表1[配列番号:2]のRF−1ポリペプチドのアミノ酸配列を有するRF−1変種をコードするポリヌクレオチドであり、その中には、いくつか、少しの、5ないし10、1ないし5、1ないし3、2、1または0個のアミノ酸残基を置換、欠失または付加を任意の組み合わせで施したアミノ酸配列を有する。中でもとりわけ好ましいものは、RF−1の特性および活性を変化させないサイレント置換、付加および欠失である。
【0056】
本発明のさらに好ましい具体例は、表1[配列番号:2]に示すアミノ酸配列を有するRF−1ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドに対して、その全長にわたり少なくとも70%の同一性があるポリヌクレオチド、およびかかるポリヌクレオチドに対して相補的なポリヌクレオチドである。あるいはまた、寄託株のRF−1ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドに対してその全長にわたり少なくとも80%同一である領域を含むポリヌクレオチド、およびそれに対して相補的なポリヌクレオチドが最も非常に好ましい。この点に関して、全長で少なくとも90%同一であるポリヌクレオチドがとりわけ好ましく、中でも少なくとも95%の同一性を有するものが特に好ましく、さらに少なくとも95%の同一性を有するものの中でも少なくとも97%であるのがより好ましく、中でも少なくとも98%および少なくとも99%であるのが特に好ましく、さらに少なくとも99%であるのがより好ましい。
【0057】
特に好ましい具体例は、表1[配列番号:1]のDNAによりコードされる成熟ポリペプチドと実質的に同じ生物学的機能または活性を保持するポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドである。
【0058】
本発明はさらに本明細書上述の配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。この点に関して、本発明は特に厳密な条件で本明細書上述のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。本明細書で用いる「厳密な条件」および「厳密なハイブリダイゼーション条件」なる用語は、配列間の同一性が少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%である場合のみに起こるハイブリダイゼーションを意味する。厳密なハイブリダイゼーション条件の例としては、50%ホルムアミド。5xSSC(150mM NaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハーツ溶液、10%硫酸デキストラン、および20μg/mlの変性し、剪断されたサケ精子DNAを含有する溶液中、42℃で一晩インキュベーションし、続いて約65℃で0.1xSSC中でフィルターを洗浄するものである。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は周知であり、Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)、とりわけその第11章に実例が示されている。
【0059】
本発明はまた、厳密なハイブリダイゼーション条件で、配列番号:1に示すポリヌクレオチド配列に関する完全遺伝子を含む適当なライブラリーを、配列番号:1に示す上記ポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントの配列を有するプローブでスクリーニングし、DNA配列を単離することにより得ることのできるポリヌクレオチド配列を本質的に含むポリヌクレオチドをも提供する。かかるポリヌクレオチドを得るために有用なフラグメントには、例えば本明細書の別の箇所において説明するプローブおよびプライマー等がある。
本発明のポリヌクレオチドアッセイに関してここでさらに論じるが、例えば上述の本発明のポリヌクレオチドを、RF−1をコードするcDNA全長およびゲノムクローンを単離するための、およびRF−1遺伝子に高度な配列類似性を有するその他の遺伝子のcDNAおよびゲノムクローンを単離するための、RNA、cDNAおよびゲノムDNA用のハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。このようなプローブは通常少なくとも15塩基を含む。好ましくはこのようなプローブは少なくとも30塩基を有し、少なくとも50塩基を有していてもよい。とりわけ好ましいプローブは少なくとも30塩基を有し、50塩基またはそれ以下である。
【0060】
例えば、RF−1遺伝子のコーディング領域は、配列番号:1に示すDNA配列を用いてオリゴヌクレオチドプローブを合成してスクリーニングすることにより単離できる。次いで、本発明の遺伝子の配列に相補的な配列を有する標識オリゴヌクレオチドを、cDNA、ゲノムDNAまたはmRNAのライブラリーのスクリーニングに用い、プローブがライブラリーのいずれのメンバーにハイブリダイゼーションするのかを決定する。
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、例えば、疾病とりわけヒトの疾病の治療法および診断法の発見のための研究試薬および材料として使用でき、とりわけポリヌクレオチドアッセイに関連して本明細書でさらに論じる。
【0061】
配列番号:1および/または2の配列由来のオリゴヌクレオチドである本発明ポリヌクレオチドを本明細書記載の方法に使用してもよいが、好ましくはPCRに使用して、本明細書で同定したポリヌクレオチドの全体または一部が感染した組織に転写されるかどうかを決定する。かかる配列が、病原体が達成した感染段階および感染型の診断にも有用であることが理解される。
【0062】
また本発明は、さらなるアミノもしくはカルボキシル末端アミノ酸、または成熟ポリペプチドに内在するアミノ酸を加えた成熟蛋白であるポリペプチドをコードできるポリヌクレオチドも提供する(例えば成熟形態が一つ以上のポリペプチド鎖を有する場合)。このような配列は、前駆体から成熟形態への蛋白のプロセッシングに役割を担い、蛋白の輸送を可能にし、蛋白の半減期を延長もしくは短縮し、またはとりわけアッセイもしくは製造のための蛋白の操作を容易にすることができる。一般的にインビボの場合、付加アミノ酸は、細胞性酵素によりプロセッシングされ、成熟蛋白から取り除かれる。
【0063】
1またはそれ以上のプロ配列と融合した成熟形態のポリペプチドを有する前駆蛋白は、ポリペプチドの不活性形態でありうる。プロ配列が除去されると、通常にはこのような不活性前駆体が活性化される。プロ配列のいくつかまたはすべてを活性化の前に除去できる。通常、このような前駆体はプロ蛋白と称される。
【0064】
要するに、本発明のポリヌクレオチドは成熟蛋白、リーダー配列を加えた成熟蛋白(プレ蛋白と称することができる)、プレ蛋白のリーダー配列ではない1またはそれ以上のプロ配列を有する成熟蛋白の前駆体、またはリーダー配列および1またはそれ以上のプロ配列を有するプロ蛋白の前駆体であるプレプロ蛋白をコードしていてもよく、プロ配列は通常ポリペプチドの活性および成熟形態を生成するプロセッシング段階で除去される。
【0065】
ベクター、宿主細胞、発現
本発明はまた、ポリヌクレオチドまたは本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、本発明ベクターで遺伝子操作される宿主細胞および組換え技法による本発明のポリペプチドの製造にも関する。本発明DNA構築物に由来するRNAを用い、無細胞翻訳系を用いてこのような蛋白を製造できる。
【0066】
組換え体を製造するために、宿主細胞を遺伝子操作して、発現系もしくはそれらの一部、または本発明のポリヌクレオチドを組み込むことができる。ポリヌクレオチドの宿主細胞への導入は、例えば、Davisら、Basic Methods in Molecular Biology(1986);Sambrookら、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)のように、多くの標準的な実験マニュアルに記載される方法により行うことができ、例えばリン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、トランスベクション、マイクロインジェクション、陽イオン脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、トランスダクション、スクレープ負荷、バリスティック導入および感染等がある。
【0067】
適当な宿主の代表的なものには、細菌細胞、例えばストレプトコッカス属
(Streptococci)、スタフィロコッカス属(Staphylococci)、エンテロコッカス属(Enterococci)、イー・コリ(E.coli)、ストレプトミセス(Streptomyces)およびバチルス・ズブチリス(Bacillus subtiis)細胞;真菌細胞、例えば酵母細胞およびアスペルギルス属(Aspergillus)細胞;昆虫細胞、例えばドロソフィラS2(Drosophila S2)およびスポドプテラSf9(Spodoptera Sf9)細胞;動物細胞、例えばCHO、COS、HeLa、C127、3T3、BHK、293およびボウズ(Bows)黒色腫細胞;ならびに植物細胞等がある。
【0068】
本発明のポリペプチドを製造するために非常に多くの発現系を使用できる。このようなベクターには、染色体、エピソームおよびウイルス由来のベクター、例えば細菌プラスミド由来、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来、酵母エピソーム由来、挿入エレメント由来、酵母染色体エレメント由来、例えばバキュロウイルス、パポバウイルス、例えばSV40、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルス等のウイルス由来のベクター、ならびにそれらを組み合わせたものに由来するベクター、例えばプラスミドおよびバクテリオファージの遺伝学的エレメント由来のベクター、例えばコスミドおよびファージミド等がある。発現系の構築物は発現を制御および引き起こす調節領域を含有していてもよい。この点に関して、一般的には、宿主中にポリヌクレオチドを保持、伸長または発現するのに、および/またはポリペプチドを発現するのに適した任意の系またはベクターを発現に使用できる。周知のおよび通常的な種々の任意の技術により、適当なDNA配列を発現系に挿入してもよく、例えばSambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(上述)に記載されている。
【0069】
翻訳蛋白を、小胞体内腔、ペリプラスミックスペースまたは細胞外環境へ分泌させるために、適当な分泌シグナルを発現するポリペプチドに組み込むことができる。これらのシグナルはポリペプチドに本来的なものであってもく、あるいは異種性のシグナルでもよい。
【0070】
本発明のポリペプチドは周知の方法により、組換え細胞培養物から回収および精製でき、その方法には、例えば硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィー等がある。高速液体クロマトグラフィーを精製に用いるのが最も好ましい。ポリペプチドが単離および/または精製中に変性した場合、再び活性なコンホーメーションにするために、蛋白再生のための周知の技法を用いることができる。
【0071】
診断アッセイ
本発明はまた診断試薬として使用するための本発明のRF−1ポリヌクレオチドの使用にも関する。真核生物とりわけ哺乳動物、特にヒトにおけるRF−1の検出は、疾患の診断のための診断法を提供する。RF−1遺伝子を含む生物に感染した真核生物(本明細書において「個体」とも称する)とりわけ哺乳動物、特にヒトを種々の方法によりDNAレベルで検出できる。
【0072】
診断用の核酸は、感染した個体の細胞および組織、例えば骨、血液、筋肉、軟骨および皮膚より得ることができる。ゲノムDNAを直接検出に使用してもよく、あるいは分析の前にPCRもしくはその他の増幅法を用いることにより酵素的に増幅できる。RNAまたはcDNAもまた同じ方法で用いることができる。増幅法を用いると、真核生物とりわけ哺乳動物、特にヒトに存在する原核生物株を、原核生物遺伝子の遺伝子型の分析により特徴づけすることができる。対照配列の遺伝子型と比較した場合の増幅産物の大きさの変化により、欠失および挿入を検出できる。点突然変異は、増幅DNAを標識化RF−1ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズさせることにより同定できる。完全に対合した配列はRNアーゼ消化により、または融解温度の差により、誤対合二重らせんから区別できる。変性剤含有または不含ゲル中のDNAフラグメントの電気泳動の移動度の変化を検出することにより、または直接的なDNAの配列決定により、DNA配列の差を検出してもよい。例えばMeyersら、Science,230:1242(1985)参照。また、特異的な位置での配列の変化を、ヌクレアーゼ保護アッセイ、例えばRNアーゼおよびS1保護または化学的切断法によって明らかにしてもよい。例えばCottonら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 85:4397-4401 (1985)参照。
【0073】
本発明の遺伝子の突然変異または多型性を担持する細胞を、種々の技術により、DNAレベルで、例えばセロタイピングすることにより検出してもよい。例えば、RT−PCRを用いて突然変異を検出することができる。RT−PCRは自動検出系、例えばGeneScan等と組み合わせて用いるのがとりわけ好ましい。RNAまたはcDNAを同じ目的でPCRまたはRT−PCRに用いてもよい。例を挙げると、RF−1をコードする核酸に相補的なPCRプライマーは、突然変異を同定および分析するのに用いることができる。本発明はまた、5'および/または3'末端から1、2、3または4個のヌクレオチド除去したプライマーをも提供する。該プライマーを用いて、感染個体から単離された遺伝子を増幅してもよく、次いで、該遺伝子をDNA配列を調べるための種々の技法に供してもよい。このように、DNA配列における突然変異を検出し、感染の診断および感染性物質のセロタイピングおよび/または分類に使用することができる。
【0074】
本発明はまた、疾患、好ましくは細菌感染、より好ましくはストレプトコッカス・ニューモニアエによる感染、および最も好ましくは、中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄膜炎、静脈洞炎、膿胸および心内膜炎、最も詳細には例えば脳脊髄液の感染のごとき髄膜炎のような疾病の診断方法を提供し、該方法は、表1[配列番号:1]の配列を有するポリヌクレオチドの発現レベルの上昇を個体由来の試料から検出することを特徴とする。RF−1ポリヌクレオチドの発現の増加または低下は、ポリヌクレオチドの定量法として当該分野でよく知られたいずれかの方法、例えば増幅、PCR、RT−PCR、RNアーゼ保護、ノーザンブロッティングおよびその他のハイブリダイゼーション法を用いて測定できる。
【0075】
さらに、正常対照組織サンプルと比較して、RF−1蛋白の過剰発現を検出するための本発明診断アッセイを用いて、例えば感染の存在を検出してもよい。宿主由来のサンプル中のRF−1蛋白のレベルを決定するために用いることができるアッセイ技法は、当業者に周知である。かかるアッセイ法には、ラジオイムノアッセイ、競争結合アッセイ、ウェスタンブロット分析およびELISAアッセイ等がある。
【0076】
抗体
本発明のポリペプチドもしくはそれらの変種、またはそれらを発現する細胞を免疫源として用いて、かかるポリペプチドに免疫特異的な抗体を得ることができる。本明細書で用いる「抗体」には、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、キメラ、一本鎖、サル化抗体およびヒト化抗体、ならびにFabフラグメントが包含され、さらに免疫グロブリン発現ライブラリーの産物等のFabフラグメントも包含される。
【0077】
本発明のポリペプチドに対して生じる抗体は、ポリペプチドまたはエピトープが付いたフラグメント、アナログまたは細胞を、好ましくはヒトはでない動物に通常の実験法を用いて投与することにより得ることができる。連続的細胞系培養により産生される抗体を提供する、当業者周知の技術を用いて、モノクローナル抗体を調製することができる。例としては、Kohler, G.およびMilstein, C.,Nature, 256:495-497 (1975); Kozborら、Immunology Today, 4:72 (1983);Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R Liss, Inc.、77-96頁(1985)に記載されるような種々の技法がある。
【0078】
一本鎖抗体の産生のために記載された技術(米国特許第4946778号)を適用して、本発明ポリペプチドに対する一本鎖抗体を得ることができる。また、トランスジェニックマウスまたはその他の生物、例えばその他の哺乳動物を用いてヒト化抗体等の抗体を発現させてもよい。
【0079】
別法として、ファージディスプレイ技法を用いて、抗−ポリペプチドを有することにつきスクリーニングされたヒト・リンパ球のPCR増幅されたv遺伝子のレパートリーから、抗−RF−1を有することについてスクリーニングされたヒトから、あるいは無処理のライブラリーから、ポリペプチドに対する結合活性を有する抗体遺伝子を選別することもできる(McCafferty, J.ら、Nature 348:552-554 (1990); Marks, J.ら、Biotechnology 10:779-783 (1992))。これらの抗体の親和性はチェインシャフリング(chain shuffling)により改善することもできる(Clackson, T.ら、Nature 352:624-628 (1991))。
【0080】
二つの抗原結合ドメインが存在する場合、各ドメインは「二特異性」抗体と称する異なるエピトープに対して指向される。
【0081】
上記抗体を用いてポリペプチドを発現するクローンを単離または同定してもよく、上記抗体を親和性クロマトグラフィーにより精製することができる。
【0082】
従って、とりわけRF−1に対する抗体を、感染、とりわけ細菌感染、特に中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄膜炎、静脈洞炎、膿胸および心内膜炎、最も詳細には例えば脳脊髄液の感染のごとき髄膜炎のような疾病の治療に用いてもよい。
ポリペプチド変種には抗原的、エピトープ的または免疫学的に等価な変種等があり、本発明の特定の態様である。本明細書で用いる「抗原的に等価な誘導体」なる用語は、本発明により蛋白またはポリペプチドに対して生成した場合、病原および哺乳動物宿主間での即時的な物理的相互作用を妨害する特定の抗体により特異的に認識されるポリペプチドまたはその同等物を包含する。本明細書で用いる「免疫学的に等価な誘導体」なる用語は、脊椎動物において抗体を産生させるのに適した処方を用いた場合、抗体が病原および哺乳動物宿主間での即時的な物理的相互作用を妨害するように作用するペプチドまたはその等価物を包含する。
【0083】
ポリペプチド、例えば抗原的、免疫学的に等価な誘導体、またはそれらの融合蛋白は、マウスまたはその他の動物例えばラットもしくはニワトリを免疫するための抗原として使用できる。融合蛋白はポリペプチドに安定性を付与できる。抗原は、例えば抱合することにより、免疫原性キャリヤ蛋白、例えばウシ血清アルブミン(BSA)またはキーホール・リンペット・ヘモシアニン(keyhole limpet haemocyanin:KLH)に結合することができる。あるいはまた、蛋白もしくはポリペプチド、またはそれらに抗原的もしくは免疫学的に等価なポリペプチドの多重コピーを含む多重抗原ペプチドは、免疫原性を改良するための十分な抗原性を有しているので、キャリヤーを使用しなくてすむ。
好ましくは、抗体またはそれらの変種を、個体における免疫原性を減じるために修飾する。例えば、個体がヒトである場合、最も好ましくは、抗体は「ヒト化」されており;この場合、ハイブリドーマ由来の抗体の相補性決定領域がヒト・モノクローナル抗体に移植されており、例えばJones,P.ら、Nature 321:522-525(1986)またはTempestら、Biotechnology 9:266-273(1991)に記載されている。
【0084】
本発明のポリヌクレオチドを遺伝学的免疫において使用する場合、例えばプラスミドDNAの筋肉への直接注射(Wolffら、Hum.Mol.Genet.1:363(1992);Manthorpeら、Hum.Gene Ther.4:419(1963))、特異的蛋白キャリヤーとDNAとの複合体の送達(Wuら、J.Biol.Chem.264:16985(1989))、リン酸カルシウムとのDNA共沈(Benvenisty & Reshef、PNAS 83:9551(1986))、種々の形態のリポソーム中へのDNA封入(Kanedaら、Science 243:375(1989))、微粒子爆撃(Tangら、Nature 356:152(1992);Eisenbraunら、DNA Cell Biol.12:791(1993))およびクローン化レトロウイルスベクターを用いたインビボ感染(Seegerら、PNAS 81:5849(1984))等の適切な送達方法を用いるのが好ましい。
【0085】
アンタゴニストおよびアゴニスト−アッセイおよび分子
本発明ポリペプチドを用いて、例えば、細胞、無細胞標品、化学ライブラリー、および天然産物混合物中における小型分子基質およびリガンドの結合を評価してもよい。これらの基質およびリガンドは天然基質およびリガンドであってもよく、構造上または機能上の模倣物であってもよい。例えば、Coligan et al.,Current Protocols in Immunology 1(2):Chapter 5 (1991)参照。
【0086】
また本発明は、RF−1ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの作用を増強(アゴニスト)または阻害(アンタゴニスト)する化合物、詳細には、静菌性および/または殺菌性化合物を同定するための、化合物のスクリーニング方法をも提供する。該スクリーニング方法は高処理量の方法である。例えば、アゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニングするために、合成反応混合物、膜、細胞エンベロープもしくは細胞壁のごとき細胞コンパートメント、またはRF−1ポリペプチドおよび標識基質もしくはかかるポリペプチドのリガンドを含むそれらの調合物を、RF−1ゴニストまたはアンタゴニストである可能性のある候補化合物の不存在下または存在下でインキュベーションする。候補分子がRF−1ポリペプチドにアゴナイズまたはアンタゴナイズする能力は、標識化リガンドの結合の低下またはこのような基質からの生成物の産生の低下に反映される。結合しても影響を及ぼさない分子、すなわちRF−1の効果を誘導しない分子は、最も良好なアンタゴニストである可能性がある。結合性が良好で、基質からの生成物の生成速度を高める分子はアゴニストである。基質からの生成物の生成速度またはレベルはリポーターシステムを用いることにより強調できる。この点に関して有用なリポーターシステムには、生成物に転換される比色測定用標識化基質、RF−1ポリヌクレオチドまたはポリペプチド活性の変化に応答するリポーター遺伝子、および当該分野で周知の結合アッセイ等があるが、これらに限定するものではない。
【0087】
RF−1ンタゴニストのアッセイのもう1つの例は競争アッセイであり、競争阻害アッセイに適した条件下で、RF−1および潜在的アンタゴニストを、RF−1結合分子、組換えRF−1結合分子、天然基質もしくはリガンド、または基質もしくはリガンド模倣物と混合する。例えば放射活性または比色測定用化合物によりRF−1を標識し、結合分子に結合した、または生成物に変換されたRF−1分子の数を正確に決定して、潜在的なアンタゴニストの効果を評価できる。
【0088】
潜在的アンタゴニストには、本発明ポリペプチドに結合し、そのことによりその活性を阻害し消失させる小型有機分子、ペプチド、ポリペプチドおよび抗体などがある。また、潜在的アンタゴニストは、密接に関連した蛋白または抗体のごとき小型有機分子、ペプチド、ポリペプチドであってもよく、それらは結合分子の同じ部位に結合するが、RF−1により誘導される活性を誘導せず、それゆえRF−1を結合から排除することによりRF−1の作用を妨害する。
【0089】
潜在的アンタゴニストには、ポリペプチドの結合部位に結合し、およびそれを占領し、それにより細胞性結合分子への結合を妨害して、正常の生物学的活性を妨害する小型分子等がある。小型分子の例としては、小型有機分子、ペプチド、ペプチド様分子等があるが、これらに限定するものではない。その他の潜在的アンタゴニストにはアンチセンス分子等がある(これらの分子についての記載に関してはOkano,J.,Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxy-nucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRCプレス、ボッカラートン、フロリダ州(1988)参照)。好ましい潜在的アンタゴニストには、RF−1関連化合物およびRF−1変種等がある。
【0090】
本明細書に示す各DNA配列を、抗細菌化合物の発見および開発に使用してもよい。コードされている蛋白は、発現した場合、抗細菌剤のスクリーニングのための標的として使用されうる。さらに、コードされている蛋白のアミノ末端領域または各mRNAのシャイン−ダルガノ配列または他の翻訳容易化配列をコードしているDNA配列を用いてアンチセンス配列を構築し、目的コーディング配列の発現を制御することもできる。
【0091】
本発明は、感染の続発症に関与する病因および哺乳動物宿主間の最初の物理的相互作用を妨害するための本発明ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは阻害物質の使用を提供する。とりわけ本発明分子を、内在デバイス上の哺乳動物細胞外マトリックス蛋白または傷における細胞外マトリックス蛋白への細菌の付着、詳細にはグラム陽性細菌の付着の防止;例えば、哺乳動物チロシンキナーゼのホスホリレーションを開始することによる、RF−1蛋白により媒介される哺乳動物細胞への侵入のブロック(Rosenshine et al., Infect. Immunol. 60: 2211 (1992));哺乳動物細胞外マトリックス蛋白と細菌RF−1蛋白との間の、組織ダメージを媒介する細菌付着のブロック;内在デバイスの移植または他の外科的方法以外により開始される、感染における通常の病状の進行のブロックに使用することができる。
【0092】
本発明アンタゴニストおよびアゴニストを、例えば、感染、とりわけ細菌感染、特に中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄膜炎、静脈洞炎、膿胸および心内膜炎、最も詳細には例えば脳脊髄液の感染のごとき髄膜炎のような疾病の抑制および治療に用いてもよい。
【0093】
ワクチン
本発明の別の態様は、個体とりわけ哺乳動物における免疫学的反応を誘導する方法に関し、該方法は、感染、詳細には細菌感染、最も詳細にはストレプトコッカス・ニューモニアエ感染から個体を防御するための抗体および/またはT細胞免疫応答を生じさせるに十分なRF−1またはそのフラグメントもしくは変種を個体に接種することを特徴とする。かかる免疫学的応答が細菌の複製を遅らせる方法も提供される。本発明のさらにもう1つの態様は、個体における免疫学的応答の誘導方法に関し、該方法は、疾病が個体においてすでに確立されているか否かにかかわらず、インビボでRF−1、またはそのフラグメントもしくは変種を発現させるためにRF−1またはそのフラグメントもしくは変種の発現を指令する核酸ベクターをかかる個体に送達して、例えば、抗体および/またはT細胞免疫応答(例えば、サイトカイン産生T細胞または細胞毒性T細胞)を生じさせる免疫学的応答を誘導して、該個体を疾病から防御する抗体を産生させることを特徴とする。迅速に遺伝子を所望細胞中に投与する方法としては、粒子上にコーディングすること等がある。
【0094】
かかる核酸ベクターはDNA、RNA、修飾核酸、またはDNA/RNAハイブリッドを含んでいてもよい。
【0095】
本発明のさらなる態様は、免疫学的反応を宿主内に誘導できる、または誘導されたた宿主に導入した場合、RF−1またはそれによりコードされている蛋白に対する免疫学的反応を該宿主に誘導する免疫学的組成物に関し、その組成物は組換えRF−1またはそれによりコードされている蛋白を含み、RF−1またはそれによりコードされている蛋白に対する抗原をコードし発現するDNAを含む。免疫学的応答を治療的または予防的に用いてもよく、また免疫学的応答はCTLまたはCD4+T細胞から生じるような抗体免疫または細胞性免疫の形態であってもよい。
RF−1ポリペプチドまたはそれらのフラグメントを、それ自身は抗体を産生しないが、第1の蛋白を安定化し、免疫原的および保護特性を有する融合蛋白を産生する能力のある共存蛋白(co-protein)と融合させてもよい。好ましくは、かかる融合組換え蛋白は、抗原補蛋白、例えばヘモフィルス・インフルエンザエ(Hemophilus influenzae)由来のリポ蛋白D、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)またはベーターガラクトシダーゼのごとき共存蛋白、蛋白を可溶化してそれらの産生および精製を促進する比較的大きな共存蛋白等を含む。さらに、共存蛋白は免疫系において普遍的な刺激を提供するという意味で、アジュバントとして作用することができる。共存蛋白は第1の蛋白のアミノまたはカルボキシいずれの末端に結合していてもよい。
【0096】
本発明は、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドおよびSato Y.ら、Science 273:352 (1966)に記載されているような免疫刺激DNA配列を含む組成物、とりわけワクチン組成物、および方法を提供する。
【0097】
また、本発明は、ストレプトコッカス・ニューモニアエに感染した動物モデルにおいて、かかる遺伝的免疫化実験に用られるDNA構築物中の細菌細胞表面蛋白の不変領域をコードすることが示されている、説明したポリヌクレオチドまたはとりわけそれらのフラグメントを用いる方法を提供し、これらはとりわけ予防的または治療的免疫反応を刺激することができる蛋白エピトープを同定するのに有用である。この研究は、哺乳動物、とりわけヒトにおける細菌感染とりわけストレプトコッカス・ニューモニアエ感染の予防薬または治療的処置の開発のために、感染に抵抗しこれを一掃するのに成功した動物の必須器官から特に価値あるモノクローナル抗体をうまく調製することを可能にすると思われる。
【0098】
ポリペプチドを宿主接種用抗原として用いて、例えば損傷組織への細菌の付着を阻害することにより細菌の侵入に対して防御する特異的抗体を得てもよい。組織損傷の例としては、例えば機械的、化学的もしくは熱的ダメージにより、または内在デバイスの埋め込みにより引き起こされた皮膚または結合組織の創傷、または粘膜、例えば口、乳腺、尿道または膣の創傷等がある。
【0099】
また本発明は、適切な担体と一緒になった免疫原性組換え蛋白を含有するワクチン処方を包含する。蛋白は胃で分解されうるので、非経口的に、例えば皮下、筋肉内、静脈内または皮膚内等に投与するのが好ましい。非経口投与に適した処方には、抗酸化剤、緩衝液、静細菌剤、および処方を個体の体液(好ましくは血液)と等張にする溶質を含有していてもよい水性または非水性滅菌注射液、および懸濁化剤または増粘剤を含有していてもよい水性または非水性滅菌懸濁液等がある。処方は1回投与または多回投与用容器、例えばシールしたアンプルおよびバイアルに入れてよく、使用直前に滅菌液体担体の添加のみを必要とする凍結乾燥状態として保存してもよい。ワクチン処方は処方の免疫原性を高めるアジュバント系を含有していてもよく、例えば水中油系または当該分野で周知のその他の系等がある。投与量はワクチンの特異的活性に依存し、通常の実験法により容易に決定できる。
【0100】
本発明を特定のRF−1蛋白に関して説明したが、本発明は天然に存在する蛋白および、実質的に組換え蛋白の免疫原特性に影響しない付加、欠失または置換を施した類似の蛋白のフラグメントを包含することが理解されよう。
【0101】
組成物、キットおよび投与
本発明はまた上述のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはそれらのアゴニストもしくはアンタゴニストを含む組成物にも関する。本発明ポリペプチドを、細胞、組織もしくは生物に用いられる未滅菌もしくは滅菌済み担体と混合して、例えば対象への投与に適した医薬的担体と混合して用いることができる。このような組成物は、例えば溶媒添加物または治療上有効量の本発明ポリペプチド、および医薬的に許容できる担体または賦形剤を含む。このような担体には生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノールおよびそれらの組み合わせ等があるが、これらに限定するものではない。
【0102】
処方は投与法に適したものにすべきである。さらに本発明は、1またはそれ以上の上記本発明組成物成分を充填した1またはそれ以上の容器を含む診断用および医薬用パックおよびキットにも関する。
【0103】
本発明ポリペプチドおよびその他の化合物を、単独で、あるいは治療用化合物等のその他の化合物と組み合わせて用いてもよい。
【0104】
いずれかの有効かつ利便的な方法、例えば、とりわけ局所、経口、経膣、静脈内、腹膜腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内、または皮膚内の経路で医薬組成物を投与してもよい。
【0105】
治療において、または予防薬として、活性物質を注射用組成物として、例えば好ましくは等張の滅菌水性分散物として個体に投与できる。
【0106】
別法として、組成物を局所適用用、例えば軟膏、クリーム、ローション、眼軟膏、点眼液、点耳液、洗口剤、含浸包帯および縫合用の糸、ならびにエアロゾール等の形態に処方してもよく、適当な慣用的な添加物、例えば保存剤、薬物の浸透を補助する溶媒、ならびに軟膏およびクリームには軟化剤を含有していてもよい。かかる局所用処方は、適合した慣用的な担体、例えばクリームまたは軟膏基剤、およびローションにはエタノールまたはオレイルアルコールを含有していてもよい。このような担体は重量で処方の約1%から約98%であってよく、より通常には重量で処方の約80%までとする。
【0107】
哺乳動物とりわけヒトに投与するために、活性物質の1日あたりの投与量は、0.01mg/kgから10mg/kgであり、典型的には約1mg/kgである。医者はあらゆる場合、個体に最も適した実際の投与量を決定し、年齢、体重および特に個体の反応性に応じて変化させる。上述の投与量は、平均的なケースの典型例である。もちろん、高用量および低用量の範囲が適合する個々の例もあり、かかる例は本発明の範囲内である。
内在デバイスには外科的インプラント、補てつデバイスおよびカテーテル等があり、即ち個体の体に導入し、長時間その位置に存在するものである。このようなデバイスには、例えば人工関節、心臓弁、ペースメーカー、血管移植片、血管カテーテル、脳脊髄液シャント、尿カテーテル、継続的歩行可能腹膜透析(continuous ambulatory peritoneal dialysis:CAPD)カテーテル等がある。
【0108】
本発明の組成物を注射により投与し、内在デバイスの挿入の直前に、関連細菌に対する全身的な効果を得てもよい。手術後、デバイスが体内に存在する期間中、処置を続けてもよい。さらに、外科的手技中に広げるカバーに用いて、細菌性創傷感染、とりわけストレプトコッカス・ニューモニアエの創傷感染を防御することもできる。
【0109】
多くの整形外科医は、補てつ関節を有するヒトについては、菌血症を生じうる歯科的処置の前に抗生物質予防法を考慮すべきであると考えている。遅延性の重篤な感染は、時々補てつ関節を失うに至る深刻な合併症であり、有意性のある罹病率および死亡率を伴う。それゆえ、この状況において、予防的な抗生物質に代わるものとして、活性物質の使用を拡張することが可能である。
【0110】
上述の治療に加え、一般的には本発明組成物を創傷の治療薬として使用して、創傷組織において曝露されたマトリックス蛋白に細菌が付着するのを防いでもよく、歯科治療においては抗生物質による予防法に代えて、またはそれと組み合わせて予防的に使用してもよい。
【0111】
別法として、本発明の組成物を用いて挿入直前の内在デバイスを浸してもよい。創傷または内在デバイスを浸すためには、活性物質は1μg/mlから10mg/mlの濃度であるのが好ましい。
【0112】
ワクチン組成物を便宜的に注射可能な形態にする。慣用的なアジュバントを用いて免疫反応を高めてもよい。ワクチン化に適した単位投与量は、抗原0.5〜5μg/kgであり、このような投与量は1〜3週間隔で1〜3回投与するのが好ましい。本発明化合物については、指示した投与量範囲では、適切な個体への投与を妨げるような不利な毒性効果は観察されない。
【0113】
本明細書に開示した各文献を、参照によりその全体が本明細書に記載されているものとみなす。本願が優先権を主張しているいずれの特許出願も、参照によりその全体が本明細書に記載されているものとみなす。
【0114】
以下の実施例は、詳細に説明したこと以外は、当業者に周知で通常的な標準的な技法を用いて実施する。実施例は説明のためにのみ示すもので、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0115】
実施例1:菌株の選択、ライブラリーの製造および配列決定
配列番号:1に示すDNA配列を有するポリヌクレオチドを、イー・コリ(E. coli)中のストレプトコッカス・ニューモニアエの染色体DNAのクローンのライブラリーから得た。重複するストレプトコッカス・ニューモニアエのDNAを含有する2個またはそれ以上のクローンからの配列決定データを用いて配列番号:1の隣接DNA配列を構築した場合もある。通常の方法、例えば以下の方法1および2によりライブラリーを製造できる。
【0116】
全細胞DNAは、ストレプトコッカス・ニューモニアエ 0100993から、標準法に準じて単離し、二つの方法のどちらかによりサイズ分画する。
【0117】
方法1
標準法に準じてサイズ分画化するために、全細胞DNAを注射針に通して機械的に剪断する。11kbpまでの大きさのフラグメントを、エクソヌクレアーゼおよびDNAポリメラーゼで処理することにより、平滑末端化し、EcoRIリンカーを加える。フラグメントを、EcoRIで切断されているベクターラムダZapIIに連結し、標準法によりライブラリーをパッケージングし、次いでパッケージングしたライブラリーでE. coliを感染させる。ライブラリーは標準法により増幅する。
【0118】
方法2
全細胞DNAは、ライブラリーベクター(例えば、RsaI、PalI、AluI、Bshl235I)にクローニングするための一連のフラグメントを適切に生じる1の制限酵素または制限酵素の組み合わせで部分的加水分解し、かかるフラグメントを標準法に準じてサイズ分画化する。EcoRIリンカーをDNAおよびフラグメントに連結し、次いでEcoRIで切断されているベクターラムダZapIIに連結し、標準法によりライブラリーをパッケージングし、次いでパッケージングしたライブラリーでE. coliを感染させる。ライブラリーを標準法により増幅する。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、動物の疾病、例えば感染症などの治療薬の開発および製造の分野、医薬に関する研究等において利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドコードしているポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)(a)のポリヌクレオチドに対して相捕的なポリヌクレオチド;
(c)寄託株のストレプトコッカス・ニューモニアエ中に含まれるRF−1遺伝子により発現されるのと同じ成熟ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド;
(d)(a)、(b)または(c)のポリヌクレオチドの少なくとも15個の連続した塩基を含むポリヌクレオチド
からなる群より選択されるポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド。
【請求項2】
ポリヌクレオチドがDNAである請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項3】
ポリヌクレオチドがRNAである請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項4】
配列番号1に示す核酸配列を含む請求項2のポリヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号1に示すヌクレオチド1から1077までを含む請求項2のポリヌクレオチド。
【請求項6】
配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードしている請求項2のポリヌクレオチド。
【請求項7】
請求項1のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項8】
請求項7のベクターを含む宿主細胞。
【請求項9】
請求項8の宿主細胞から上記DNAによりコードされているポリペプチドを発現させることを含む、ポリペプチドの製造方法。
【請求項10】
RF−1ポリペプチドまたはフラグメントの製造方法であって、該ポリペプチドまたはフラグメントの生成に十分な条件下で請求項8の宿主を培養することを含む方法。
【請求項11】
配列番号:2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
【請求項12】
配列番号:2に示すアミノ酸配列を含むポリペプチド。
【請求項13】
請求項11のポリペプチドに対する抗体。
【請求項14】
請求項11のポリペプチドの活性または発現を阻害するアンタゴニスト。
【請求項15】
治療上有効量の請求項11のポリペプチドを個体に投与することを含む、RF−1ポリペプチドを必要とする個体の治療方法。
【請求項16】
治療上有効量の請求項14のアンタゴニストを個体に投与することを含む、RF−1ポリペプチドの阻害を必要とする個体の治療方法。
【請求項17】
個体における請求項11のポリペプチドの発現または活性に関連した疾病の診断方法であって、
(a)該ポリペプチドをコードしている核酸配列を決定すること、および/または
(b)個体由来の試料中の該ポリペプチドの存在または量について分析すること
を含む方法。
【請求項18】
請求項11のポリペプチドと相互作用して、その活性を阻害または活性化する化合物の同定方法であって、
化合物とポリペプチドとの間の相互作用を可能にする条件下で、ポリペプチドとスクリーニングすべき化合物とを接触させて化合物の相互作用を評価し(かかる相互作用はポリペプチドと化合物との相互作用に応答した検出可能シグナルを提供しうる第2の成分に関連したものである)、
次いで、化合物とポリペプチドとの相互作用により生じるシグナルの存在または不存在を検出することにより、化合物がポリペプチドと相互作用して、その活性を活性化または阻害するかどうかを決定する
ことを含む方法。
【請求項19】
哺乳動物における免疫学的応答を誘導する方法であって、抗体および/またはT細胞免疫応答を生じさせて動物を疾病から防御するに十分な請求項11のRF−1ポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種を哺乳動物に接種することを含む方法。
【請求項20】
哺乳動物における免疫学的応答を誘導する方法であって、RF−1ポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種をインビボで発現させて、抗体および/またはT細胞免疫応答を生じさせる免疫学的応答を誘導して該動物を疾病から防御するために、請求項11のRF−1ポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種の発現を指令する核酸ベクターを送達することを含む方法。

【公開番号】特開2008−29344(P2008−29344A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187161(P2007−187161)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【分割の表示】特願平9−541128の分割
【原出願日】平成9年5月14日(1997.5.14)
【出願人】(502354959)レプリダイン・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】