説明

新規有機電界発光化合物およびこれを使用する有機電界発光素子

新規の有機電界発光化合物およびこれを含む有機電界発光素子が開示される。本発明の有機電界発光化合物は高い発光効率および優れた色純度および寿命特性を示すので、これらは非常に良好な駆動寿命を有するOLEDを製造するために使用されうる。
【代表図】なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の有機電界発光化合物(organic electroluminescent compound)、およびこれを含む有機電界発光素子(organic electroluminescent device)に関する。具体的には、本発明の有機電界発光化合物は化学式1によって表される:
【化1】

式中、XはN、P、BもしくはP(=O)である。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ素子の中では、電界発光(EL)素子は、それが自己発光型ディスプレイ素子として広い視野角、優れたコントラストおよび速い応答速度を提供する点で有利である。1987年に、イーストマンコダック(Eastman Kodak)は、電界発光層を形成するための物質として、低分子量芳香族ジアミンとアルミニウム錯体を使用する有機EL素子を初めて開発した[Appl.Phys.Lett.51,913,1987]。
【0003】
有機EL素子においては、電子注入電極(カソード)および正孔注入電極(アノード)の間に形成される有機層に電荷が適用される場合に、電子および正孔が対になって、励起子を形成する。この励起子が不活性化する際に、リン光もしくは蛍光によって光が放射される。有機EL素子は、それがプラスチックのような可撓性で透明な基体上に形成されることができ、プラズマディスプレイパネルもしくは無機ELディスプレイと比較して相対的に低い電圧(10V以下)で駆動可能であり、より少ない電力しか消費せず、かつ優れた色を提供する点で有利である。有機EL素子は緑色、青色および赤色を発色しうるので、次世代のフルカラーディスプレイ素子として多くの注目を集めている。有機EL素子において、発光効率および駆動寿命をはじめとするその性能を決定する最も重要な要因は電界発光材料である。電界発光材料のいくつかの要件には、固体状態での高い電界発光量子収率、電子および正孔の高い移動度、真空蒸着中の分解に対する耐性、並びに均一な膜を形成する能力、並びに安定性が挙げられる。一般に、有機EL素子はアノード/HIL/HTL/EML/ETL/EIL/カソードの構造を一般的に有する。青色、緑色もしくは赤色の光を放射する有機電界発光素子はどのように電界発光層(EML)を形成するかに応じて実現されうる。機能の点では、電界発光材料はホスト材料とドーパント材料とに分けられうる。優れたEL特性を提供するためには、ホストにドーパントをドープすることにより製造された電解発光層が一般的に知られている。最近、高効率かつ長い駆動寿命を有する有機EL素子の開発が差し迫った課題となっている。
【0004】
青色電界発光材料については、出光興産のジフェニルビニル−ビフェニル(DPVBi)(化合物a)に続いて、多くの材料が商業化されてきた。出光興産の青色材料系に加えて、コダックのジナフチルアントラセン(DNA、化合物b)およびテトラ(t−ブチル)ペリレン(化合物c)が知られているが、より多くの研究開発が必要である。
【0005】
現在までに、出光興産のジスチリル化合物系は最良の効率を有することが知られている。それは6 lm/Wの電力効率および30,000時間以上の駆動寿命を示す。しかし、低下する色純度のせいで、フルカラーディスプレイについての駆動時間はわずか数千時間にすぎない。青色電界発光は、電界発光波長が長波長側にわずかにシフトする場合には、発光効率の観点からは有利になる。しかし、その結果、純粋な青色が達成されないので、高品質のディスプレイには適用できない。よって、色純度、効率および熱安定性を向上させるための研究開発が非常に必要とされている。
【0006】
【化2】

【0007】
上述のように、既存の材料はホスト−ドーパント層ではなく単一の層を含み、そして色純度および効率の観点から商業化には不適切である。また、それらは信頼できる長い駆動寿命を確実にしていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.51,913,1987
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
よって、本発明の目的は、既存の材料を超えて改良された発光効率および素子駆動寿命を有し、並びに好適な色座標を有する優れた骨格を有する有機電界発光化合物を提供することである。本発明の別の目的は電界発光材料としてこの有機電界発光化合物を使用して、高効率かつ長い駆動寿命の有機電子素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は化学式1で表される有機電界発光化合物、およびこれを含む有機電界発光素子を提供する。本発明の有機電界発光化合物は優れた発光効率、並びに優れた色純度および寿命特性を有するので、それは非常に優れた駆動寿命を有するOLED素子を製造するために使用されうる。
【0011】
【化3】

化学式1においては、XはN、P、BもしくはP(=O)であり;
ArおよびArは独立して−L−L−であり;
およびLは独立して、化学結合、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリーレン、置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリーレン、置換基を有するかもしくは有しない5員〜7員のヘテロシクロアルキレン、置換基を有するかもしくは有しない1以上の芳香環と縮合した5員〜7員のヘテロシクロアルキレン、置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)シクロアルキレン、置換基を有するかもしくは有しない1以上の芳香環と縮合した(C3−C30)シクロアルキレン、置換基を有するかもしくは有しないアダマンチレン、置換基を有するかもしくは有しない(C7−C30)ビシクロアルキレン、置換基を有するかもしくは有しない(C2−C30)アルケニレン、置換基を有するかもしくは有しない(C2−C30)アルキニレン、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール(C1−C30)アルキレン、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキレンチオ、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキレンオキシ、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリーレンオキシ、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリーレンチオ、−O−、または−S−であり;ただし、LおよびLの両方が同時に化学結合ではない;
、R、およびAr〜Arは独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキル、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール、置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)シクロアルキルの1以上と縮合した置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール、置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリール、置換基を有するかもしくは有しない5員〜7員のへテロシクロアルキル、置換基を有するかもしくは有しない1以上の芳香環と縮合した5員〜7員のヘテロシクロアルキル、置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)シクロアルキル、置換基を有するかもしくは有しない1以上の芳香環と縮合した(C3−C30)シクロアルキル、置換基を有するかもしくは有しないアダマンチル、置換基を有するかもしくは有しない(C7−C30)ビシクロアルキル、シアノ、NR1112、BR1314、PR1516、P(=O)R1718[R11〜R18は独立して、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキル、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール、または置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリールである]、置換基を有するかもしくは有しないトリ(C1−C30)アルキルシリル、置換基を有するかもしくは有しないジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、置換基を有するかもしくは有しないトリ(C6−C30)アリールシリル、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール(C1−C30)アルキル、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキルオキシ、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキルチオ、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリールオキシ、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリールチオ、置換基を有するかもしくは有しない(C2−C30)アルケニル、置換基を有するかもしくは有しない(C2−C30)アルキニル、
【化4】

または、
【化5】

であるか、またはそのそれぞれは、置換基を有するかもしくは有しない芳香環を有するかもしくは有しない(C4−C30)アルキレンを介して隣の置換基に結合して脂環式環または縮合環を形成し、かつ当該アルキレンの炭素原子は窒素、硫黄もしくは酸素で置換されていてよく;
Wは−(CR3132−、−(R31)C=C(R32)−、−N(R33)−、−S−、−O−、−Si(R34)(R35)−、−P(R36)−、−P(=O)(R37)−、−C(=O)−または−B(R38)−であり;
21〜R23およびR31〜R38はR、RおよびAr〜Arにおいて定義されるのと同じであり;並びに
ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールはB、N、O、S、P(=O)、SiおよびPからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含み;並びに
mは1または2の整数である。
【0012】
具体的には、
【化6】

および
【化7】

は、下記構造で例示されうる:
【化8】

式中、R23およびR31〜R38は独立して、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキル、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アリールまたは置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)ヘテロアリールであるか、またはR31〜R38のそれぞれは、縮合環を有するかもしくは有しない(C3−C30)アルキレンもしくは(C3−C30)アルケニレンを介して隣の置換基に結合して脂肪族環または単環式もしくは多環式芳香環を形成していてもよい。
【0013】
本発明においては、「アルキル」、「アルコキシ」および「アルキル」部分を含む他の置換基には、線状および分岐の種類の双方が挙げられる。
【0014】
本発明においては、「アリール」は、1つの水素原子を除去することにより芳香族炭化水素から得られる有機基を意味し、4員〜7員、特に5員もしくは6員の単環もしくは縮合環、例えば、単結合によって連結された複数のアリールが挙げられうる。具体的な例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、インデニル、フルオレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ナフチルには1−ナフチルおよび2−ナフチルが挙げられ、アントリルには1−アントリル、2−アントリルおよび9−アントリルが挙げられ、フルオレニルは1−フルオレニル、2−フルオレニル、3−フルオレニル、4−フルオレニルおよび9−フルオレニルが挙げられる。
【0015】
本発明においては、「ヘテロアリール」は、芳香環骨格原子としてB、N、O、S、P(=O)、SiおよびPから選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、他の残りの芳香環骨格原子が炭素であるアリール基を意味する。それは、5員もしくは6員の単環式ヘテロアリール、またはベンゼン環との縮合から得られる多環式ヘテロアリールであってよく、部分的に飽和されていてもよい。さらに、ヘテロアリールには、単結合によって結合されている1より多いヘテロアリールが挙げられる。ヘテロアリールには、環のヘテロ原子が酸化されるかまたは四級化されることができ、例えば、N−オキシド、もしくは第四級塩を形成できる2価のアリール基が挙げられる。具体的な例には、単環式ヘテロアリール、例えば、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルなど;多環式ヘテロアリール、例えば、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリルなど;そのN−オキシド(例えば、ピリジルN−オキシド、キノリルN−オキシドなど)、その第四級塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本発明においては、「(C1−C30)アルキル、トリ(C1−C30)アルキルシリル、ジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、(C6−C30)アリール(C1−C30)アルキル、(C1−C30)アルキルオキシ、もしくは(C1−C30)アルキルチオ」のアルキル部分は、1〜30個の炭素原子、具体的には1〜20個の炭素原子、より具体的には1〜10個の炭素数を有することができる。「(C6−C30)アリール、ジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、トリ(C6−C30)アリールシリル、(C6−C30)アリール(C1−C30)アルキル、(C6−C30)アリールオキシ、もしくは(C6−C30)アリールチオ」のアリールアルキル部分は6〜30個の炭素原子、具体的には6〜20個の炭素原子、より具体的には6〜12個の炭素原子を有することができる。「(C3−C30)ヘテロアリール」は3〜30個の炭素原子、具体的には4〜20個の炭素原子、より具体的には4〜12個の炭素原子を有することができる。「(C3−C30)シクロアルキル」は3〜30個の炭素原子、具体的には3〜20個の炭素原子、より具体的には3〜7個の炭素原子を有することができる。「(C2−C30)アルケニルもしくはアルキニル」は2〜30個の炭素原子、具体的には2〜20個の炭素原子、より具体的には2〜10個の炭素原子を有することができる。
【0017】
さらに、本発明においては、語句「置換基を有するかもしくは有しない」とは、L、L、R、RおよびAr〜Arの置換基が、重水素、ハロゲン、ハロゲン置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキル、(C6−C30)アリール、(C6−C30)アリール置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリール、5員〜7員のヘテロシクロアルキル、1以上の芳香環と縮合した5員〜7員のヘテロシクロアルキル、(C3−C30)シクロアルキル、1以上の芳香環と縮合した(C6−C30)シクロアルキル、トリ(C1−C30)アルキルシリル、ジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、トリ(C6−C30)アリールシリル、アダマンチル、(C7−C30)ビシクロアルキル、(C2−C30)アルケニル、(C2−C30)アルキニル、シアノ、カルバゾリル、NR4142、BR4344、PR4546、P(=O)R4748[R41〜R48は独立して、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキル、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール、または置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリールである]、(C6−C30)アリール(C1−C30)アルキル、(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリール、(C1−C30)アルキルオキシ、(C1−C30)アルキルチオ、(C6−C30)アリールオキシ、(C6−C30)アリールチオ、(C1−C30)アルコキシカルボニル、(C1−C30)アルキルカルボニル、(C6−C30)アリールカルボニル、(C6−C30)アリールオキシカルボニル、(C1−C30)アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C30)アルキルカルボニルオキシ、(C6−C30)アリールカルボニルオキシ、(C6−C30)アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシル、ニトロ、およびヒドロキシルからなる群から選択される1種以上の置換基で独立して置換されうること、または隣の置換基に結合されて環を形成しうることを意味する。
【0018】
好ましくは、ArおよびArは独立して、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリーレン、置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリーレン、または−L−L−であり;LおよびLは独立して置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリーレン、または置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリーレンであり;RおよびRは独立して、水素、重水素、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキル、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール、置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリール、または置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)シクロアルキルであり;並びに、Ar〜Arは独立して、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール、または置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリールであるか、あるいはAr〜Arは、置換基を有するかもしくは有しない芳香環を有するかもしくは有しない(C4−C30)アルキレンを介して隣の置換基に結合されて、脂環式環もしくは縮合環を形成し、かつ当該アルキレンの炭素原子は窒素、硫黄もしくは酸素で置換されていてよい。
【0019】
ArおよびArは独立して、アリーレン、例えば、フェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、ビフェニレン、フルオレニレン、トリフェニレン、フルオランテニレン、クリセニレン、テルフェニレン、フェナントリレン、ピレニレン、ペリレニレン、インデノフルオレンなど、ヘテロアリールアリーレン、例えば、ピリジニレン、ピラジニレン、フリレン、チエニレン、セレノフェニレン、ジベンゾチエニレン、ジベンゾフリレン、キノリニレン、キノキサリニレン、フェナントロリニレンなど、または−L−L−から選択されうるが、これらに限定されない。これらは化学式1におけるようにさらに置換されていてもよい。
【0020】
およびLは独立してアリーレン、例えば、フェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、ビフェニレン、フルオレニレン、トリフェニレン、フルオランテニレン、クリセニレン、テルフェニレン、フェナントリレン、ピレニレン、ペリレニレン、インデノフルオレンなど、もしくはヘテロアリールアリーレン、例えば、ピリジニレン、ピラジニレン、フリレン、チエニレン、セレノフェニレン、ジベンゾチエニレン、ジベンゾフリレン、キノリニレン、キノキサリニレン、フェナントロリニレンなどから選択されうるが、これらに限定されない。これらは化学式1におけるようにさらに置換されていてもよい。
【0021】
およびRは独立して、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、エチルヘキシル、ヘプチル、オクチルなど、アリール、例えば、フェニル、ナフチル、フルオレニル、ビフェニル、フェナントリル、テルフェニル、ピレニル、ペリレニル、スピロビフルオレニル、フルオランテニル、クリセニル、トリフェニレニルなど、ヘテロアリールアリール、例えば、ジベンゾチエニル、ジベンゾフリル、カルバゾリル、ピリジル、フリル、チエニル、キノリル、トリアジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フェナントロリニルなど、またはシクロアルキル、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどから選択されうるが、これらに限定されない。これらは化学式1におけるようにさらに置換されていてもよい。
【0022】
Ar〜Arは独立して、アリール、例えば、フェニル、ナフチル、フルオレニル、ビフェニル、フェナントリル、テルフェニル、ピレニル、ペリレニル、スピロビフルオレニル、フルオランテニル、クリセニル、トリフェニレニルなど、またはヘテロアリールアリール、例えば、ジベンゾチエニル、ジベンゾフリル、カルバゾリル、ピリジル、フリル、チエニル、キノリル、トリアジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フェナントロリニルなどから選択されうるが、これらに限定されない。これらは化学式1におけるようにさらに置換されていてもよい。ArとArとが、置換基を有するかもしくは有しない芳香環を有するかもしくは有しないアルキレンを介して結合されて環を形成する場合には、
【化9】

は下記構造から選択されうるが、これらに限定されない:
【化10】

式中、Xは化学式1において定義されるのと同じであり;R51〜R55は独立して、水素、(C1−C30)アルキルもしくは(C6−C30)アリールであるか、またはR51とR52とが、縮合環を有するかもしくは有しない(C3−C12)アルキレンもしくは(C3−C12)アルケニレンを介して結合されて縮合環を形成していてもよい。
【0023】
より具体的には、本発明の有機電界発光化合物は下記化合物によって例示されうるが、下記化合物は本発明を限定するものではない:
【化11】

【化12】

【化13】

【0024】
本発明の有機電界発光化合物はスキーム1に従って製造されうる。
【化14】

ここで、X、Ar、Ar、Ar、Ar、RおよびRは化学式1において定義されるのと同じである。
【0025】
本発明は、第1の電極;第2の電極;並びに、第1の電極と第2の電極との間に設けられた少なくとも1つの有機層;を含む有機電界発光素子を提供する。この有機層は化学式1で表される有機電界発光化合物の1種以上を含む。この有機電界発光化合物は電界発光層におけるドーパント材料として使用される。
【0026】
有機層は、化学式1で表される有機電界発光化合物の1種以上に加えて、1種以上のホストをさらに含む電解発光層を含むことができる。本発明の有機電子素子に使用されるホストは特に限定されない。
【0027】
好ましくは、本発明の有機電子素子に使用されるホストは化学式2および3によって表される化合物から選択される:
[化学式2]
(Ar11−Y−(Ar12
[化学式3]
(Ar13−Z−(Ar14
式中、Yは置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリーレンまたは置換基を有するかもしくは有しない(C4−C30)ヘテロアリーレンであり;
Zは置換基を有するかもしくは有しないアントラセニレンであり;
Ar11〜Ar14は独立して、重水素、ハロゲン、ハロゲン置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキル、(C6−C30)アリール、(C6−C30)アリール置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリール、B、N、O、S、P(=O)、SiおよびPからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、1以上の芳香環と縮合した5員〜7員のへテロシクロアルキル、(C3−C30)シクロアルキル、1以上の芳香環と縮合した(C6−C30)シクロアルキル、トリ(C1−C30)アルキルシリル、ジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、トリ(C6−C30)アリールシリル、アダマンチル、(C7−C30)ビシクロアルキル、(C2−C30)アルケニル、(C2−C30)アルキニル、シアノ、カルバゾリル、NR6162、BR6364、PR6566、P(=O)R6768[R61〜R68は独立して、(C1−C30)アルキル、(C6−C30)アリール、または(C3−C30)ヘテロアリールである]、(C6−C30)アリール(C1−C30)アルキル、(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリール、(C1−C30)アルキルオキシ、(C1−C30)アルキルチオ、(C6−C30)アリールオキシ、(C6−C30)アリールチオ、(C1−C30)アルコキシカルボニル、(C1−C30)アルキルカルボニル、(C6−C30)アリールカルボニル、(C6−C30)アリールオキシカルボニル、(C1−C30)アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C30)アルキルカルボニルオキシ、(C6−C30)アリールカルボニルオキシ、(C6−C30)アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシル、ニトロ、およびヒドロキシルからなる群から選択される1種以上の置換基で独立して置換されるか、またはこれらのそれぞれは隣の置換基に結合されて環を形成し;並びに
a、b、cおよびdは独立して0〜4の整数である。
【0028】
化学式2または3で表されるホスト化合物は下記化合物によって例示されうるが、これらに限定されない:
【化15】

【化16】

【0029】
本発明の有機電子素子においては、有機層は、化学式1で表される有機電界発光化合物に加えて、アリールアミン化合物およびスチリルアリールアミン化合物からなる群から選択される1種以上の化合物をさらに同時に含むことができる。アリールアミン化合物もしくはスチリルアリールアミン化合物は韓国特許出願第10−2008−0123276号、第10−2008−0107606号、または第10−2008−0118428号に例示されているが、これに限定されない。
【0030】
本発明の有機電子素子においては、有機層は化学式1で表される有機電界発光化合物と共に、第1族、第2族、第4周期および第5周期遷移金属、ランタニド金属並びにd−遷移元素の有機金属からなる群から選択される1種以上の金属または錯体化合物をさらに含むことができる。有機層は電界発光層および電荷発生層を含むことができる。さらに有機層は、白色光発光型有機電界発光素子を提供するために、前記有機電界発光化合物に加えて、同時に、青色、赤色および緑色の光を発光する1以上の有機電界発光層を含むこともできる。青色、赤色もしくは緑色の光を発光する化合物は韓国特許出願第10−2008−0123276号、第10−2008−0107606号および第10−2008−0118428号に例示されるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明の有機電界発光素子においては、電極の対のうちの一方もしくは両方の電極の内側表面に、カルコゲナイド(chalcogenide)層、ハロゲン化金属層および金属酸化物層から選択される層(以下、「表面層」という)が配置されうる。より具体的には、電界発光媒体層のアノード表面上にケイ素もしくはアルミニウムのカルコゲナイド(酸化物を含む)層が配置されることができ、並びに電界発光媒体層のカソード表面上にハロゲン化金属層または金属酸化物層が配置されうる。その結果、駆動の安定性が達成されうる。カルコゲナイドには、例えば、SiO(1=X=2)、AlO(1=X=1.5)、SiON、SiAlONなどが挙げられうる。ハロゲン化金属は、例えば、LiF、MgF、CaF、希土類金属フッ化物などでありうる。金属酸化物は、例えば、CsO、LiO、MgO、SrO、BaO、CaOなどでありうる。さらに、本発明の電界発光素子においては、対になった電極のうちの一方もしくは両方の電極の内側表面上に、電子輸送化合物と還元性ドーパントとの混合領域、または正孔輸送化合物と酸化性ドーパントとの混合領域が配置されうる。この場合、電子輸送化合物がアニオンに還元されるので、この混合領域から電界発光媒体への電子の注入および輸送はより容易になる。さらに、正孔輸送化合物はカチオンに酸化されるので、この混合領域から電界発光媒体への正孔の注入および輸送はより容易になる。酸化性ドーパントの好ましい例には様々なルイス酸およびアクセプター化合物が挙げられる。還元性ドーパントの好ましい例には、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属およびこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
さらに、2以上の電界発光層を有する白色光発光型有機電界発光素子は還元性ドーパント層を電荷発生層として使用することにより製造されうる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の有機電界発光化合物は良好な発光効率および優れた寿命特性を示すので、これは非常に良好な駆動寿命を有するOLED素子を製造するために使用されうる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以降、いくつかの化合物について、本発明の有機電子材料のための化合物、その製造方法およびこの素子の電界発光特性が説明される。しかし、以下の実施形態は例示にすぎず、本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0035】
[製造例1]化合物5の製造
【化17】

【0036】
化合物1−1の製造
2,7−ジブロモ−9,9−ジメチル−9H−フルオレン(5.4g、15.5mmol)がTHF(200mL)に溶解され、−78℃に冷却された。10分後、n−BuLi(7.4mL、18.6mmol、ヘキサン中2.5M)をゆっくりと添加した後で、この混合物は30分間攪拌された。THF(30mL)に溶解したジメシチルボロンフルオリド(5g、18.6mmol)がゆっくりと添加され、この混合物が12時間攪拌された。反応の完了時に、生成物はEAで抽出され、そして無水MgSOを用いて残存する水分が除去された。カラムクロマトグラフィによる精製で化合物1−1(5g、9.6mmol、63%)を得た。
【0037】
化合物1−2の製造
化合物1−1(4g、10.1mmol)がTHF(40mL)に溶解され、−78℃に冷却された。10分後、n−BuLi(4.4mL、10.97mmol、ヘキサン中2.5M)をゆっくりと添加した後で、この混合物は1時間攪拌された。DMF(0.85mL、10.97mmol)をゆっくりと添加した後で、この混合物が1時間攪拌された。1MのHClを添加し、EAで抽出した後で、無水MgSOを用いて残存する水分が除去された。カラムクロマトグラフィによる精製で化合物1−2(2g、4.57mmol、61%)を得た。
【0038】
化合物2−1の製造
4−(ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド(2.0g、7.32mmol)およびNaBH(1.11g、9.3mmol)がエタノール(50mL)に溶解され、78℃で3時間還流にかけられた。反応の完了時に、この混合物溶液は氷水に注がれ、次いでエーテルで抽出された。無水MgSOを用いて残存する水分を除去した後で、カラムクロマトグラフィによる精製で化合物2−1(2g、7.26mmol、99.2%)を得た。
【0039】
化合物2−2の製造
化合物2−1(507mg、1.84mmol)がトリエチルホスファイト(2.5mL)に溶解された。0℃に冷却し、そしてヨウ素(I、468mg、1.84mmol)を添加した後で、この混合物は30分間攪拌された。室温までゆっくりと加熱しつつ、この混合物はさらに12時間攪拌された。反応の完了後に、真空蒸留装置を用いてトリエチルホスファイトを除去し、次いでカラムクロマトグラフィによる精製で化合物2−2(683mg、1.73mmol、93.9%)を得た。
【0040】
化合物5の製造
化合物1−2(683mg、1.73mmol)および化合物2−2(574mg、1.73mmol)が250mLの丸底フラスコに入れられた。減圧下で乾燥させた後で、フラスコ内が窒素ガスで満たされた。THF(10mL)を添加することによりこれら化合物を溶解させ、そして0℃に冷却した後で、t−BuO(3.46mL、3.46mmol、THF中1.0M)がゆっくりと添加された。10分間攪拌した後で、室温まで加熱した後で、この混合物はさらに1時間攪拌された。反応の完了時に、過剰量の蒸留水が添加され、そして生じた沈殿が濾別された。濾別された固体のカラムクロマトグラフィによる精製で化合物5(300mg、0.421mmol、30%)を得た。
【0041】
製造例1と同じように、有機電界発光化合物(化合物1〜55)が製造された。このように製造された有機電界発光化合物のH NMRおよびMS/FABデータが表1に示される。
【0042】
【表1】

【表2】

【0043】
[実施例1]
本発明の有機電界発光化合物を使用したOLED素子の製造
本発明の有機電界発光化合物を使用することによりOLED素子が製造された。
まず、OLED用ガラス基体(サムスンコーニング)から調製された透明電極ITO膜(15Ω/□)を、トリクロロエチレン、アセトン、エタノールおよび蒸留水を順に使用した超音波洗浄にかけ、後の使用のためにイソプロパノール中に貯蔵した。
次に、真空蒸着装置の基体ホルダにITO基体を取り付けた。この真空蒸着装置のセル内に4,4’,4”−トリス(N,N−(2−ナフチル)−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)を入れた後で、このチャンバー内側の圧力を10−6torrまで下げた。次いで、このセルに電流を適用することにより、2−TNATAを蒸発させて、ITO基体上に60nmの厚みを有する正孔注入層を形成した。次いで、真空蒸着装置の他のセルにN,N’−ビス(α−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(NPB)を入れた後で、このセルに電流を適用することによりNPBを蒸発させて、正孔注入層上に20nmの厚みを有する正孔輸送層を形成した。
【0044】
【化18】

【0045】
次のように正孔輸送層上に電界発光層が形成された。ジナフチルアントラセン(DNA)がホストとして真空蒸着装置のセルに入れられ、本発明に従う化合物1がドーパントとして別のセルに入れられた。DNA基準で2〜5重量%で正孔輸送層上に30nmの厚さを有する電界発光層が形成されるように、これら2つのセルは一緒に加熱された。
【0046】
その後、トリス(8−ヒドロキシキノリン)−アルミニウム(III)(Alq)が20nmの厚みで電子輸送層として堆積された。次いで、リチウムキノラート(Liq)を1〜2nmの厚さで電子注入層として堆積させた後で、別の真空蒸着装置を使用して、150nmの厚みを有するAlカソードが形成されて、OLEDを製造した。
【0047】
【化19】

【0048】
OLED素子に使用された各電界発光材料は10−6torrでの真空昇華によって精製されていた。
【0049】
[比較例1]
既存の電界発光材料を使用するOLED素子の製造
実施例1におけるのと同じように正孔注入層および正孔輸送層が形成された。次いで、電界発光ホスト材料としてDNAを真空蒸着装置のセルに入れ、かつ別のセルに青色発光材料である化合物Aを入れた後で、30nmの厚さを有する電界発光層が正孔輸送層上に形成されるように、これら2つの材料は100:1の割合で蒸発させられた。
【0050】
【化20】

【0051】
次いで、電子輸送層および電子注入層を実施例1と同じように堆積させた後で、別の真空蒸着装置を使用することにより、150nmの厚みを有するAlカソードが形成されて、OLEDを製造した。
【0052】
実施例1および比較例1で製造されたOLED素子の発光効率が1,000cd/mで測定された。結果が表2に示される。
【0053】
【表3】

【0054】
表2から認められるように、青色発光の電界発光素子のために使用される場合、本発明の有機電界発光化合物は著しく向上した発光効率を示すと同時に、比較例1と比べて同等もしくはより良好な色純度を維持する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式1で表される有機電界発光化合物:
【化1】

化学式1において、
XはN、P、BもしくはP(=O)であり;
ArおよびArは独立して−L−L−であり;
およびLは独立して、化学結合、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリーレン、置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリーレン、置換基を有するかもしくは有しない5員〜7員のヘテロシクロアルキレン、置換基を有するかもしくは有しない1以上の芳香環と縮合した5員〜7員のヘテロシクロアルキレン、置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)シクロアルキレン、置換基を有するかもしくは有しない1以上の芳香環と縮合した(C3−C30)シクロアルキレン、置換基を有するかもしくは有しないアダマンチレン、置換基を有するかもしくは有しない(C7−C30)ビシクロアルキレン、置換基を有するかもしくは有しない(C2−C30)アルケニレン、置換基を有するかもしくは有しない(C2−C30)アルキニレン、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール(C1−C30)アルキレン、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキレンチオ、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキレンオキシ、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリーレンオキシ、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリーレンチオ、−O−、または−S−であり;ただし、LおよびLの両方が同時に化学結合ではない;
、R、およびAr〜Arは独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキル、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール、置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)シクロアルキルの1以上と縮合した置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール、置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリール、置換基を有するかもしくは有しない5員〜7員のへテロシクロアルキル、置換基を有するかもしくは有しない1以上の芳香環と縮合した5員〜7員のヘテロシクロアルキル、置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)シクロアルキル、置換基を有するかもしくは有しない1以上の芳香環と縮合した(C3−C30)シクロアルキル、置換基を有するかもしくは有しないアダマンチル、置換基を有するかもしくは有しない(C7−C30)ビシクロアルキル、シアノ、NR1112、BR1314、PR1516、P(=O)R1718[R11〜R18は独立して、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキル、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール、または置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリールである]、置換基を有するかもしくは有しないトリ(C1−C30)アルキルシリル、置換基を有するかもしくは有しないジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、置換基を有するかもしくは有しないトリ(C6−C30)アリールシリル、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール(C1−C30)アルキル、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキルオキシ、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキルチオ、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリールオキシ、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリールチオ、置換基を有するかもしくは有しない(C2−C30)アルケニル、置換基を有するかもしくは有しない(C2−C30)アルキニル、
【化2】

または、
【化3】

であるか、またはそのそれぞれは、置換基を有するかもしくは有しない芳香環を有するかもしくは有しない(C4−C30)アルキレンを介して隣の置換基に結合して脂環式環または縮合環を形成し、かつ当該アルキレンの炭素原子は窒素、硫黄もしくは酸素で置換されていてよく;
Wは−(CR3132−、−(R31)C=C(R32)−、−N(R33)−、−S−、−O−、−Si(R34)(R35)−、−P(R36)−、−P(=O)(R37)−、−C(=O)−または−B(R38)−であり;
21〜R23およびR31〜R38はR、RおよびAr〜Arにおいて定義されるのと同じであり;並びに
ヘテロシクロアルキルおよびヘテロアリールはB、N、O、S、P(=O)、SiおよびPからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含み;並びに
mは1または2の整数である。
【請求項2】
ArおよびArは独立して、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリーレン、置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリーレン、または−L−L−であり;
およびLは独立して置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリーレン、または置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリーレンであり;
およびRは独立して、水素、重水素、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキル、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール、置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリール、または置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)シクロアルキルであり;並びに、
Ar〜Arは独立して、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール、または置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリールであるか、あるいはAr〜Arは、置換基を有するかもしくは有しない芳香環を有するかもしくは有しない(C4−C30)アルキレンで隣の置換基に結合されて、脂環式環もしくは縮合環を形成し、かつ当該アルキレンの炭素原子は窒素、硫黄もしくは酸素で置換されていてよい;
請求項1に記載の有機電界発光化合物。
【請求項3】
、L、R、RおよびAr〜Arが、重水素、ハロゲン、ハロゲン置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキル、(C6−C30)アリール、(C6−C30)アリール置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリール、5員〜7員のヘテロシクロアルキル、1以上の芳香環と縮合した5員〜7員のヘテロシクロアルキル、(C3−C30)シクロアルキル、1以上の芳香環と縮合した(C6−C30)シクロアルキル、トリ(C1−C30)アルキルシリル、ジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、トリ(C6−C30)アリールシリル、アダマンチル、(C7−C30)ビシクロアルキル、(C2−C30)アルケニル、(C2−C30)アルキニル、シアノ、カルバゾリル、NR4142、BR4344、PR4546、P(=O)R4748[R41〜R48は独立して、置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキル、置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリール、または置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリールである]、(C6−C30)アリール(C1−C30)アルキル、(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリール、(C1−C30)アルキルオキシ、(C1−C30)アルキルチオ、(C6−C30)アリールオキシ、(C6−C30)アリールチオ、(C1−C30)アルコキシカルボニル、(C1−C30)アルキルカルボニル、(C6−C30)アリールカルボニル、(C6−C30)アリールオキシカルボニル、(C1−C30)アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C30)アルキルカルボニルオキシ、(C6−C30)アリールカルボニルオキシ、(C6−C30)アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシル、ニトロ、およびヒドロキシルからなる群から選択される1種以上の置換基でされるか、または隣の置換基に結合されて環を形成しうる、請求項1または2に記載の有機電界発光化合物。
【請求項4】
下記化合物から選択される請求項3に記載の有機電界発光化合物:
【化4】

【化5】


【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機電界発光化合物を含む有機電界発光素子。
【請求項6】
第1の電極;第2の電極;並びに、第1の電極と第2の電極との間に設けられた1以上の有機層;を含む有機電界発光素子であって、
前記有機層が1種以上の有機電界発光化合物と、化学式2および3で表される化合物から選択される1種以上のホストとを含む、請求項5に記載の有機電界発光素子:
[化学式2]
(Ar11−Y−(Ar12
[化学式3]
(Ar13−Z−(Ar14
式中、Yは置換基を有するかもしくは有しない(C6−C30)アリーレンまたは置換基を有するかもしくは有しない(C4−C30)ヘテロアリーレンであり;
Zは置換基を有するかもしくは有しないアントラセニレンであり;
Ar11〜Ar14は独立して、重水素、ハロゲン、ハロゲン置換基を有するかもしくは有しない(C1−C30)アルキル、(C6−C30)アリール、(C6−C30)アリール置換基を有するかもしくは有しない(C3−C30)ヘテロアリール、B、N、O、S、P(=O)、SiおよびPからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、1以上の芳香環と縮合した5員〜7員のへテロシクロアルキル、(C3−C30)シクロアルキル、1以上の芳香環と縮合した(C6−C30)シクロアルキル、トリ(C1−C30)アルキルシリル、ジ(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリールシリル、トリ(C6−C30)アリールシリル、アダマンチル、(C7−C30)ビシクロアルキル、(C2−C30)アルケニル、(C2−C30)アルキニル、シアノ、カルバゾリル、NR6162、BR6364、PR6566、P(=O)R6768[R61〜R68は独立して、(C1−C30)アルキル、(C6−C30)アリール、または(C3−C30)ヘテロアリールである]、(C6−C30)アリール(C1−C30)アルキル、(C1−C30)アルキル(C6−C30)アリール、(C1−C30)アルキルオキシ、(C1−C30)アルキルチオ、(C6−C30)アリールオキシ、(C6−C30)アリールチオ、(C1−C30)アルコキシカルボニル、(C1−C30)アルキルカルボニル、(C6−C30)アリールカルボニル、(C6−C30)アリールオキシカルボニル、(C1−C30)アルコキシカルボニルオキシ、(C1−C30)アルキルカルボニルオキシ、(C6−C30)アリールカルボニルオキシ、(C6−C30)アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシル、ニトロ、およびヒドロキシルからなる群から選択される1種以上の置換基で独立して置換されているか、またはこれらのそれぞれは隣の置換基に結合されて環を形成し;並びに
a、b、cおよびdは独立して0〜4の整数である。
【請求項7】
前記有機層が、アリールアミン化合物およびスチリルアリールアミン化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含む、請求項6に記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
前記有機層が、元素の周期表の第1族、第2族、第4周期および第5周期遷移金属、ランタニド金属並びにd−遷移元素の有機金属からなる群から選択される1種以上の金属または錯体化合物をさらに含む、請求項6に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
前記有機層が電界発光層と電荷発生層とを含む請求項6に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
有機電界発光素子が白色光発光型有機電界発光素子であり、前記有機層が同時に青色、赤色および緑色の光を発光する1以上の有機電界発光層を含む、請求項6に記載の有機電界発光素子。

【公表番号】特表2012−525378(P2012−525378A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508382(P2012−508382)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際出願番号】PCT/KR2010/002167
【国際公開番号】WO2010/126233
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(509266480)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド (9)
【Fターム(参考)】